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特許7182666高電流コンタクト手段および自動車内で電気エネルギーを伝送する接続デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】高電流コンタクト手段および自動車内で電気エネルギーを伝送する接続デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H01R13/66
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103705
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2022008218
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】10 2020 116 904.3
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エルンスト グラーザー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ゼンガー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス シュロート
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192482(JP,A)
【文献】特開2016-207392(JP,A)
【文献】特開2000-294407(JP,A)
【文献】特開2015-008099(JP,A)
【文献】特開平05-036448(JP,A)
【文献】特開2010-054491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト要素(45、65)、コンタクトハウジング(35,40)、および温度測定手段(50、70)を備える高電流コンタクト手段(25)であって、
前記コンタクトハウジング(35)は、前記コンタクト要素(45、65)を受け取るコンタクト受け部(190)を有し、
前記コンタクト要素(45、65)は、差込み軸(110)に沿って、さらなる高電流コンタクト手段(30)のさらなるコンタクト要素(75)に少なくとも部分的に挿入することができ、
前記コンタクトハウジング(35)は、前記差込み軸(110)に対して傾斜したセンサ受け部(205)と、前記センサ受け部(205)に対向し、内側に前記センサ受け部(205)の範囲を定めるカラー部(200)を有し、
前記センサ受け部(205)は、前記コンタクト受け部(190)へ誘導され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記センサ受け部(205)と前記カラー部(200)との間に少なくとも部分的に挟持されることにより、前記センサ受け部(205)に少なくとも部分的に配置され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記コンタクト要素(45、65)の温度を測定する目的で、高電流ケーブル(20)の電気導体(175)が配置されるように構成された前記コンタクト要素(45、65)の接続領域(105)において、前記コンタクト要素(45、65)の外周面(130)に支承されている、
高電流コンタクト手段(25)。
【請求項2】
前記温度測定手段(50、70)は、温度センサ(85)およびセンサケーシング(90)を備え、
前記温度センサ(85)は、前記センサケーシング(90)に埋め込まれ、
前記センサケーシング(90)は、前記コンタクト要素(45、65)に支承され、前記温度センサ(85)を前記コンタクト要素(45、65)に熱的に結合し、
前記温度センサ(85)は、前記コンタクト要素(45、65)の温度を測定するように設計されている、
請求項1に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項3】
前記温度測定手段(50、70)は、接続ケーブル(95)を有し、
前記接続ケーブル(95)は、第1のケーブル被覆(150)と、前記第1のケーブル被覆(150)を通る少なくとも1つの電気的に絶縁された導電性のセンサ線(155)とを有し、
前記接続ケーブル(95)は、前記温度センサ(85)へ誘導され、前記センサ線(155)は、前記温度センサ(85)に電気的に接続され、
前記センサケーシング(90)は、材料接合で前記第1のケーブル被覆(150)に接続され、
前記センサケーシング(90)の小部分(160)に埋め込まれた前記接続ケーブル(95)は、前記温度センサ(85)へ誘導されている、
請求項2に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項4】
前記センサケーシング(90)および前記第1のケーブル被覆(150)は、実質上同一のマトリックス材料から構成され、
かつ/または
前記センサケーシング(90)および/もしくは前記第1のケーブル被覆(150)は、シリコーン、ポリエチレン、ポリウレタンというマトリックス材料のうちの少なくとも1つから構成され、
銅、アルミニウム、銀という充填材のうちの少なくとも1つが、前記センサケーシング(90)の前記マトリックス材料に埋め込まれている、
請求項3に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項5】
前記温度測定手段(50、70)のセンサケーシング(90)は、1W/(m・K)および2W/(m・K)を含めて1W/(m・K)~2W/(m・K)の熱伝導率を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項6】
前記コンタクト要素(45、65)は、差込み領域(100)と、前記差込み領域(100)に接続された前記接続領域(105)とを有し、
前記接続領域(105)は、前記高電流ケーブル(20)の前記電気導体(175)を受け取って電気的に接触するための接続受け部(185)を内側に有し、
前記差込み領域(100)は、前記さらなるコンタクト要素(75)への電気的接触を実現するように設計され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記接続領域(105)の外周面(130)に支承されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項7】
前記温度測定手段(50、70)のセンサケーシング(90)は、前記カラー部(200)の内周面(206)に支承されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項8】
前記温度測定手段(50、70)のセンサケーシング(90)は、前記センサケーシング(90)の周方向に実現された周方向の封止輪郭部(135)を有し、
前記封止輪郭部(135)は、前記カラー部(200)の前記内周面(206)に支承され、前記コンタクト受け部(190)を封止している、
請求項7に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項9】
前記コンタクトハウジング(35、40)の外面に配置されたセンサカバー(210)を有し、
前記センサカバー(210)は、前記センサ受け部(205)の外面を少なくとも部分的に閉じ、
前記センサカバー(210)の内面(225)は、前記コンタクト要素(45、65)とは反対側を向いている側で前記温度測定手段(50、70)に支承され、前記温度測定手段(50、70)と前記コンタクト要素との間の物理的接触を保証している、
請求項1から8のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項10】
前記温度測定手段(50、70)のセンサケーシング(90)は、前記センサ受け部(205)内に張力を受けた状態で配置され、前記温度測定手段(50、70)の支承接触面(120)が、前記コンタクト要素(45、65)の前記外周面(130)を押圧力(F)で押圧している、
請求項9に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項11】
前記センサカバー(210)は、前記センサ受け部(205)へ誘導されるリードスルー(235)を有し、
前記温度測定手段(50、70)の接続ケーブル(95)は、前記リードスルー(235)を通って前記センサ受け部(205)から導出されている、
請求項9または10に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項12】
前記センサカバー(210)は、周方向の縁(231)を有し、
前記縁(231)は、前記カラー部(200)の外面に配置され、前記カラー部(200)にポジティブ接続されている、
請求項9から11のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(25)。
【請求項13】
自動車内で電気エネルギーを伝送する接続デバイス(15)であって、
請求項1から12のいずれか一項に記載の高電流コンタクト手段(25)および高電流ケーブル(20)を有し、
前記高電流ケーブル(20)は、電気導体(175)と、前記電気導体(175)を包む第2のケーブル被覆(180)とを備え、
前記電気導体(175)は、電気エネルギーを伝送するように設計され、
前記電気導体(175)は、前記コンタクト要素(45、65)に電気的に接続されている、接続デバイス(15)。
【請求項14】
コンタクト要素(45、65)、コンタクトハウジング(35,40)、および温度測定手段(50、70)を備える高電流コンタクト手段(25)であって、
前記コンタクトハウジング(35)は、前記コンタクト要素(45、65)を受け取るコンタクト受け部(190)を有し、
前記コンタクト要素(45、65)は、差込み軸(110)に沿って、さらなる高電流コンタクト手段(30)のさらなるコンタクト要素(75)に少なくとも部分的に挿入することができ、
前記コンタクトハウジング(35)は、前記差込み軸(110)に対して傾斜したセンサ受け部(205)を有し、
前記センサ受け部(205)は、前記コンタクト受け部(190)へ誘導され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記センサ受け部(205)に少なくとも部分的に配置され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記コンタクト要素(45、65)の温度を測定する目的で、前記コンタクト要素(45、65)の外周面(130)に支承されており、
前記コンタクトハウジング(35、40)は、カラー部(200)を有し、
前記カラー部(200)は、内側に前記センサ受け部(205)の範囲を定め、
前記温度測定手段(50、70)は、周方向に実現された周方向の封止輪郭部(135)を有するセンサケーシング(90)を少なくとも備え、
前記センサケーシング(90)の前記封止輪郭部(135)は、前記カラー部(200)の内周面(206)に支承され、前記コンタクト受け部(190)を封止している、高電流コンタクト手段(25)。
【請求項15】
コンタクト要素(45、65)、コンタクトハウジング(35、40)、温度測定手段(50、70)、およびセンサカバー(210)を備える高電流コンタクト手段(25)であって、
前記コンタクトハウジング(35)は、前記コンタクト要素(45、65)を受け取るコンタクト受け部(190)を有し、
前記コンタクト要素(45、65)は、差込み軸(110)に沿って、さらなる高電流コンタクト手段(30)のさらなるコンタクト要素(75)に少なくとも部分的に挿入することができ、
前記コンタクトハウジング(35)は、前記差込み軸(110)に対して傾斜したセンサ受け部(205)を有し、
前記センサ受け部(205)は、前記コンタクト受け部(190)へ誘導され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記センサ受け部(205)に少なくとも部分的に配置され、
前記温度測定手段(50、70)は、前記コンタクト要素(45、65)の温度を測定する目的で、前記コンタクト要素(45、65)の外周面(130)に支承されており、
前記センサカバー(210)は、前記コンタクトハウジング(35、40)の外面に配置されており、
前記センサカバー(210)は、前記センサ受け部(205)の外面を少なくとも部分的に閉じ、
前記センサカバー(210)の内面(225)は、前記コンタクト要素(45、65)とは反対側を向いている側で前記温度測定手段(50、70)に支承され、前記温度測定手段(50、70)と前記コンタクト要素との間の物理的接触を保証している、高電流コンタクト手段(25)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の高電流コンタクト手段、および請求項13に記載の自動車内で電気エネルギー、特に駆動エネルギーを伝送する接続デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
温度感知機構を有するプラグインデバイスが、DE102016107401A1から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】DE102016107401A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改善された高電流コンタクト手段、および自動車内で電気エネルギー、特に電気駆動エネルギーを伝送する改善された接続デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の高電流コンタクト手段、および請求項13に記載の接続デバイスによって実現される。有利な実施形態は、従属請求項に指定される。
【0006】
改善された高電流コンタクト手段は、コンタクト要素、コンタクトハウジング、および温度測定手段を備える高電流コンタクト手段によって提供することができることが認識されている。コンタクトハウジングは、コンタクト要素を受け取るコンタクト受け部を有する。コンタクト要素は、差込み軸に沿って、さらなる高電流コンタクト手段のさらなるコンタクト要素に少なくとも部分的に挿入することができる。コンタクトハウジングは、差込み軸に対して傾斜したセンサ受け部を有する。センサ受け部は、コンタクト受け部へ誘導される。温度測定手段は、センサ受け部に少なくとも部分的に配置される。温度測定手段は、コンタクト要素の温度を測定する目的で、コンタクト要素の外周面に支承されている。
【0007】
この設計には、温度測定手段がコンタクトハウジングに一体化され、センサ受け部が差込み軸に対して傾斜しているため、温度測定手段を特に簡単に高い費用効果で取り付けることができるという利点がある。必要な場合、損傷が生じた場合には、高電流コンタクト手段を取り外すことなく、温度測定手段を交換することもできる。さらに、温度測定手段とコンタクト要素との直接接触のため、コンタクト要素の温度を特に精密に測定することができる。したがって、早い段階でコンタクト要素の過熱を検出することができ、必要な場合、高電流コンタクト手段を介して伝送される電流をそれに応じて低減させることができる。
【0008】
別の実施形態では、温度測定手段は、温度センサおよびセンサケーシングを備え、温度センサは、センサケーシングに埋め込まれる。センサケーシングは、コンタクト要素に支承され、温度センサをコンタクト要素に熱的に結合する。温度センサは、コンタクト要素の温度を測定するように設計される。温度センサをセンサケーシングに埋め込むことには、温度センサが湿気から保護されるという利点がある。特に、湿気によって引き起こされる漏れ電流が温度センサの測定を誤らせる状況を回避することが可能である。
【0009】
別の実施形態では、温度測定手段は、接続ケーブルを有する。接続ケーブルは、第1のケーブル被覆と、第1のケーブル被覆を通る少なくとも1つの電気的に絶縁された導電性のセンサ線とを有する。接続ケーブルは、温度センサへ誘導され、センサ線は、温度センサに電気的に接続される。センサケーシングは、材料接合で第1のケーブル被覆に接続される。センサケーシングの小部分に埋め込まれた接続ケーブルは、温度センサへ誘導される。センサケーシングと第1のケーブル被覆との間の材料接合接続のため、温度測定手段が高い耐久性を有し、上述した湿気の侵入が温度測定手段の寿命にわたって持続的に防止されることが保証される。
【0010】
この場合、センサケーシングおよび第1のケーブル被覆が、実質上同一のマトリックス材料から構成される場合、特に有利である。追加または別法として、センサケーシングおよび/または第1のケーブル被覆は、シリコーン、ポリエチレン、ポリウレタンというマトリックス材料のうちの少なくとも1つから構成される。また、銅、アルミニウム、銀という充填材のうちの少なくとも1つが、センサケーシングのマトリックス材料に埋め込まれる場合も、特に有利である。これにより、センサケーシングが特に強い熱伝導性を有するようになる。
【0011】
特に、センサケーシングの熱伝導率が、1W/(m・K)および2W/(m・K)を含めて1W/(m・K)~2W/(m・K)である場合、コンタクト要素の温度の精密で急速な測定が保証される。
【0012】
別の実施形態では、コンタクト要素は、差込み領域と、差込み領域に接続された接続領域とを有する。接続領域は、高電流ケーブルの電気導体を受け取って電気的に接触するための接続受け部を内側に有する。差込み領域は、さらなるコンタクト要素への電気的接触を実現するように設計される。温度測定手段は、接続領域の外周面でコンタクト要素に支承される。特に接続領域が圧着されている場合、接続領域で温度を測定することで、特に差込み領域において、コンタクト要素の温度を間接的に特定の精度で測定することが可能になる。この場合、コンタクト要素が熱伝導性を有する場合、特に有利である。
【0013】
コンタクトハウジングは、カラー部を有する。カラー部は、内側にセンサ受け部の範囲を定める。センサケーシングは、カラー部の内周面に支承される。それによって温度測定手段がセンサ受け部内で傾くことが防止される。
【0014】
センサケーシングがセンサケーシングの周方向に実現された周方向の封止輪郭部を有する場合、特に有利である。封止輪郭部は、カラー部の内周面に支承され、センサ受け部を介した液体の侵入からコンタクト受け部を封止する。これにより、コンタクト受け部内のコンタクト要素の腐食が防止される。
【0015】
別の実施形態では、高電流コンタクト手段は、コンタクトハウジングの外面に配置されたセンサカバーを有する。センサカバーは、センサ受け部の外面を少なくとも部分的に閉じる。センサカバーの内面は、コンタクト要素とは反対側を向いている側で温度測定手段に支承される。センサカバーは、温度測定手段とコンタクト要素との間の物理的接触を保証する。それによって、温度測定手段による確実な温度測定が保証される。
【0016】
センサケーシングがセンサ受け部内に張力を受けた状態で配置され、温度測定手段の支承接触面がコンタクト要素の外周面を押圧力で押圧する場合、特に有利である。したがって、コンタクト要素の外周面と温度測定手段との間の熱抵抗が特に低くなる。
【0017】
センサカバーが、センサ受け部へ誘導されるリードスルーを有し、接続ケーブルがリードスルーを通ってセンサ受け部から導出される場合、特に有利である。この設計には、コンタクトハウジングから導出されるときに接続ケーブルが押し潰されることが防止されるという利点がある。さらに、センサカバーは、センサケーシングに押圧力を確実に導入することができ、それによって接続ケーブルを損傷しない。
【0018】
別の実施形態では、センサカバーは、周方向の縁を有する。縁は、カラー部の外面に配置され、カラー部にポジティブ接続される。
【0019】
接続デバイスが高電流コンタクト手段および高電流ケーブルを有し、高電流コンタクト手段が上述したように実現されることから、自動車内で電気エネルギー、特に駆動エネルギーを伝送する接続デバイスを提供することができる。高電流ケーブルは、電気導体と、電気導体を包む第2のケーブル被覆とを備える。電気導体は、電気エネルギーを伝送するように設計される。電気導体は、コンタクト要素に電気的に接続されている。
【0020】
この設計には、温度測定手段のため、特に高電流ケーブルの電気導体がコンタクト要素に結合する領域において、コンタクト要素の温度の特に精密な測定が保証されるという利点がある。温度測定手段が一方の側で挿入されるため、温度測定手段の接続ケーブルは、高電流ケーブルの進路から独立して誘導することができる。さらに、特に損傷を受けた場合に、温度測定手段を交換することが可能であり、このときコンタクト要素を高電流ケーブルとともにコンタクトハウジングから取り外す必要はない。したがって、接続デバイスは修理するのが特に容易である。
【0021】
本発明について、図に基づいて以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】接続デバイスを有するシステムの分解図である。
図2図1に示す第1の高電流コンタクト手段の温度測定手段の斜視部分図である。
図3図1に示す断面A-Aに沿って切り取った図1に示す第1の高電流コンタクト手段の断面の詳細図である。
図4図1に示す断面A-Aに沿って切り取った図1に示すシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の図では、座標系を参照する。この座標系は、右手系として例示的に実現されており、x軸(長手方向)、y軸(横断方向)、およびz軸(垂直方向)を有する。
【0024】
図1は、接続デバイス15を備えるシステム10の分解図を示す。接続デバイス15は、少なくとも1つの高電流ケーブル20および第1の高電流コンタクト手段25を有する。システム10は、第2の高電流コンタクト手段30をさらに有する。
【0025】
この実施形態では、第1の高電流コンタクト手段25および第2の高電流コンタクト手段30は、多極コンタクト手段として実現される。当然ながら、図1に示す多極設計、特に図1に示す2極設計ではなく、第1の高電流コンタクト手段25および第2の高電流コンタクト手段30を単極にすることも考えられるはずである。簡略化のために、第1の高電流コンタクト手段25および第2の高電流コンタクト手段30について、2極設計に関連して以下に説明し、この詳細な説明は、高電流コンタクト手段25、30の極の1つに基づいている。
【0026】
システム10は、自動車の駆動モータを駆動する目的で、自動車内で駆動エネルギーを伝送する働きをする。システム10は、自動車の電気エネルギー貯蔵手段を充電するために充電電流を伝送することも可能である。この実施形態では、システム10は、10~1000アンペア、特に200~600アンペア、特に有利には400~500アンペアの電流を、少なくとも20秒、好ましくは1分、特に少なくとも5分にわたって伝送するように設計される。伝送されるべき駆動電流または充電電流の上限時間は、電気エネルギー貯蔵手段の容量によって実質上決定される。高電流コンタクト手段25、30を介して伝送される電力は、30kW~400kWとすることができる。高電流コンタクト手段25、30に印加される電圧は、たとえば48V~500Vとすることができ、したがって自動車の通常の12ボルトまたは24ボルトの電力システムとは大幅に異なる。
【0027】
第1の高電流コンタクト手段25は、第1のコンタクトハウジング35、第2のコンタクトハウジング40、少なくとも1つの第1のコンタクト要素45、および少なくとも1つの第1の温度測定手段50を有する。加えて、一例として図1で、第1の高電流コンタクト手段25は、第1の封止手段55、第2の封止手段60、第2のコンタクト要素65、および第2の温度測定手段70を有する。
【0028】
図1では例示的に、第1のコンタクト要素45および第2のコンタクト要素65は、第1のコンタクト要素45と第2のコンタクト要素65との間で中心に配置された対称平面に対して鏡面対称である。第1のコンタクト要素45および第2のコンタクト要素65は各々、導電性および熱伝導性を有する材料から構成される。材料は、1W/(m・K)および2W/(m・K)を含めて1W/(m・K)~2W/(m・K)より大きい熱伝導率を有する。
【0029】
第1の温度測定手段50は、第1のコンタクト要素45に割り当てられ、第2の温度測定手段70は、第2のコンタクト要素65に割り当てられる。この場合、第1の温度測定手段50は、第1のコンタクト要素45の第1の温度TS1(t)を測定するように設計される。第2の温度測定手段70は、この実施形態では第1の温度測定手段50に同一であり、第2のコンタクト要素65の第2の温度TS2(t)を測定するように設計される。
【0030】
第2の高電流コンタクト手段30は、第1の高電流コンタクト手段25に対応するように設計される。この実施形態では、第2の高電流コンタクト手段30は、例示的に、第3のコンタクト要素75および第4のコンタクト要素80を有し、第3のコンタクト要素75は、第1の高電流コンタクト手段25とともに嵌合されているとき、第1のコンタクト要素45との電気的接触を実現するように設計される。同様に、第4のコンタクト要素80は、第1の高電流コンタクト手段25が第2の高電流コンタクト手段30に嵌合されているとき、第2のコンタクト要素65との電気的接触を形成するように設計される。
【0031】
この実施形態では、高電流コンタクト手段25、30の極性は、たとえば、第1のコンタクト要素45および第3のコンタクト要素75が電気エネルギー貯蔵手段の第1の極、たとえば正極に電気的に接続されるように選択することができる。第2のコンタクト要素65および第4のコンタクト要素80は、たとえば、電気エネルギー貯蔵手段の第2の極、たとえば負極に電気的に接続することができる。コンタクト要素45、65、75、80を並列に接続することも考えられるはずである。したがって、たとえば、コンタクト要素45、65、75、80は、システム10が特に高い電流を伝送することができるように、電気エネルギー貯蔵手段の正極にのみ、または電気エネルギー貯蔵手段の負極にのみ接続することができる。この設計は、駆動モータが特に高い電力消費を有する場合、特に有利である。したがって、システム10は、商用車両での使用に特に好適である。
【0032】
第1のコンタクト要素45は、例示的に、ソケットコンタクトとして実現される。第1のコンタクト要素45は、差込み領域100と、差込み領域100に機械的かつ電気的に接続された接続領域105とを有する。差込み領域100は、x方向に延びる差込み軸110に沿って延びる。この実施形態では、第1のコンタクト要素45は直線であり、したがって接続領域105も差込み軸110に沿って延びる。第1のコンタクト要素45はまた、角のあるコンタクト要素として実現することもでき、すなわち接続領域105は、差込み領域100に対して傾斜し、たとえば直交する。
【0033】
加えて、第1のコンタクト要素45にコンタクトロック111を配置することができる。第1の封止手段55は、第2の高電流コンタクト手段30の方を向いている第1のコンタクトハウジング35の側に配置される。第2の封止手段60および第2のコンタクトハウジング40は、差込み軸110に対して第2の高電流コンタクト手段30とは反対側を向いている側に配置される。組み立てられた状態で、第2のコンタクトハウジング40は、第1のコンタクトハウジング35に締結されており、第2の高電流コンタクト手段30とは反対側を向いている第1の高電流コンタクト手段25の側を後方で閉じる。高電流ケーブル20は、第2の高電流コンタクト手段30とは反対側を向いている側に延び、たとえば、駆動モータまたは駆動モータを制御するための制御ユニットへ誘導される。
【0034】
第1のコンタクトハウジング35は、第1のコンタクト要素45に対する第1のコンタクト受け部190と、第2のコンタクト受け部195とを有する。第1のコンタクト要素45は、第1のコンタクト受け部190内に配置され、第2のコンタクト要素65は、第2のコンタクト受け部195内に配置される。第1のコンタクト受け部190および第2のコンタクト受け部195は、互いにy方向にずれて配置される。この場合、第1のコンタクト受け部190および第2のコンタクト受け部195は鏡面対称を有することができる。第1のコンタクト受け部190は、実質上x軸に沿ってその主長さ方向に延びる。
【0035】
図2は、図1に示す第1の高電流コンタクト手段25の温度測定手段50、70の斜視部分図を示す。
【0036】
温度測定手段50、70は各々、温度センサ85、センサケーシング90、および接続ケーブル95を有する。温度センサ85は、図2に破線によって概略的に示されている。第1の温度測定手段50について以下に説明する。第1の温度測定手段50および第2の温度測定手段70は、例示的に互いに同一である。第1の温度測定手段50に関して以下に説明する内容は、別段の記載がない限り、第2の温度測定手段70にも当てはまる。
【0037】
温度センサ85は、たとえば、NTC要素として実現することができる。温度センサ85の別の設計も考えられる。温度センサ85は、センサケーシング90に埋め込まれる。この場合、温度センサ85をセンサケーシング90に埋め込むことは、温度センサ85がセンサケーシング90によって周方向に完全に取り囲まれ、温度センサ85のどの側面も部分的にすら周方向に露出されないことを意味すると理解される。加えて、センサケーシング90は、材料接合で温度センサ85に接続することができ、したがって意図しないセンサケーシング90の取外しおよび/またはセンサケーシング90と温度センサ85との間の間隙の形成が回避される。
このようにして、センサケーシング90と温度センサ85との間の湿気の湿潤を防止することができる。したがって、温度センサ85によって第1の温度TS1(t)を測定するとき、漏れ電流およびその結果生じる温度センサ85の測定結果の誤りを回避することが可能になる。
【0038】
センサケーシング90は、第1の外周面115を有する。図2は、支承接触面120を下側に有するセンサケーシング90を例示的に示す。
【0039】
例示的に、支承接触面120は平坦な設計である。支承接触面120は、例示的にxy平面に延びる。支承接触面120はまた、湾曲させることもできる。
【0040】
センサケーシング90は、第1の外周面115に、たとえば封止輪郭部135を有する。封止輪郭部135は、1つまたは複数の封止リップ140を有することができる。封止輪郭部135は、好ましくは、第1の外周面115の周囲、特に周囲全体に実現される。封止リップ140の代わりに、封止輪郭部135はまた、異なる設計とすることもできる。図2で、たとえば、封止リップ140は、互いにz方向にずれて配置されている。
【0041】
センサケーシング90は、図2の上側、支承接触面120とは反対側を向いている側に、押圧面145を有する。押圧面145は、支承接触面120に対して平行である。この場合、押圧面145は平坦とすることができ、xy平面に延びることができる。接続ケーブル95は、例示的に押圧面145に対して中心位置で、押圧面145から導出される。
【0042】
z方向に支承接触面120とは反対の位置で、温度測定手段50、70の接続ケーブル95は、軸125に沿って直線で押圧面145から導出される。温度測定手段50、70が組み立てられたとき、軸125は、差込み軸110に対して直交して位置合わせされる。たとえば、軸125は、差込み軸110に直交する平面に延びる。この場合、図2に示すように、軸125はz方向に延びることができる。
【0043】
接続ケーブル95は、接続ケーブル95を自動車の評価手段へ案内するために、センサケーシング90から距離をあけて曲げることができる。
【0044】
接続ケーブル95は、第1のケーブル被覆150を有する。第1のケーブル被覆は、電気絶縁材料から形成される。第1のケーブル被覆150は、第1のマトリックス材料から構成することができ、第1のマトリックス材料は、たとえばシリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンを含む。さらに、接続ケーブル95は、少なくとも1つのセンサ線155を備え、センサ線155は導電性であり、温度センサ85と評価手段との間に電気的接続を提供する。センサ線155は、第1のケーブル被覆150によって周方向に完全に取り囲まれる。
【0045】
接続ケーブル95は、温度センサ85へ誘導される。有利には、接続ケーブル95の第1の小部分160がセンサケーシング90に埋め込まれる。センサケーシング90は、好ましくは、第1の小部分160において、材料接合で第1のケーブル被覆150に接続される。材料接合接続は、湿潤間隙の形成を防止する。これにより、接続ケーブル95およびセンサケーシング90の領域への湿気および/または水の侵入が防止される。
【0046】
図3は、図1に示す断面A-Aに沿って切り取った図1に示す第1の高電流コンタクト手段25の断面の詳細図を示す。
【0047】
第1の温度測定手段50が組み立てられた状態にあるとき、支承接触面120は、第1のコンタクト要素45の接続領域105において第1のコンタクト要素45の第2の外周面130に水平に(flatly、ぴったりと)接して支承される。支承接触面120が第1のコンタクト要素45の第2の外周面130に対応するように実現された場合、特に有利である。
【0048】
高電流ケーブル20は、第2の小部分165および第3の小部分170を有する。第3の小部分170は、高電流ケーブル20の端部171に隣接する。第2の小部分165は、高電流ケーブル20の端部171から隔置される。
【0049】
高電流ケーブル20は電気導体175を有し、電気導体175は、好ましくは、少なくとも15平方ミリメートル、特に少なくとも25平方ミリメートル、特に有利には少なくとも50平方ミリメートルの断面積を有する。電気導体175は、細いまたは非常に細い撚線構造とすることができる。
【0050】
高電流ケーブル20はまた、第2のケーブル被覆180を有し、第2のケーブル被覆180は、第2の小部分165において、電気導体175の周面を取り囲んで被覆する。この場合、第2のケーブル被覆180は、電気導体175を電気的に絶縁する。
【0051】
第2のケーブル被覆180は、第3の小部分170において電気導体175から隔置され、電気導体175は、接続領域105の接続受け部185に配置される。好ましくは、接続領域105は、接続受け部185に圧着される。追加または別法として、第3の小部分170を接続受け部185に電気的かつ機械的に接続するために、材料接合かつ/またはポジティブおよび/もしくは非ポジティブなさらなる接続手段が可能である。
【0052】
センサケーシング90は、温度センサ85を接続領域105の第2の外周面130に熱的に接続する。この目的で、センサケーシング90は、好ましくは、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレンという第2のマトリックス材料のうちの少なくとも1つから構成される。第1のマトリックス材料が第2のマトリックス材料に同一である場合、特に有利である。この設計には、射出成形プロセスによる第1の温度測定手段50の製造において、接続ケーブル95にすでに接続された温度センサ85と第1の小部分160とを、依然として液体または粘性の第2のマトリックス材料によって封入することができ、第2のマトリックス材料は硬化され、第2のマトリックス材料は硬化の際、第1のケーブル被覆150の第1のマトリックス材料への材料接合接続を実現するという利点がある。それによって、第1のケーブル被覆150とセンサケーシング90との間で特に良好な接合が保証される。
【0053】
加えて、センサケーシング90の第2のマトリックス材料に、少なくとも1つの粒状充填材、たとえばアルミニウムおよび/または銀および/または銅を埋め込むことができる。この充填材によって、センサケーシング90の熱伝導率は特に高くなる。その結果、センサケーシング90は、100~300W/(m・K)の熱伝導率を有する。
【0054】
第1のコンタクトハウジング35の側、たとえば図3の上側において、第1のコンタクトハウジング35は、少なくとも1つのカラー部200を有し、カラー部200は、軸125の周りで周方向に実現される。好ましくは、各コンタクト受け部190、195に対して、それぞれ1つのカラー部200が実現される。カラー部200は、カラー部200の内周面206によって、センサ受け部205の範囲を定める。センサ受け部205は、軸125に対して軸方向に、関連するコンタクト受け部190、195、図3では第1のコンタクト受け部190の内側へ誘導される。
【0055】
加えて、第1の高電流コンタクト手段25は、センサカバー210を有することができる。この実施形態において、各カラー部200に対して、それぞれ1つのセンサカバー210がカラー部200に配置される。
【0056】
温度測定手段50、70の第4の小区間215が、センサ受け部205に係合する。温度測定手段50、70の第5の小区間220が、それぞれのコンタクト受け部190、195内へ突出する。センサケーシング90は、封止輪郭部135、特に封止リップ140によって、内周面206に支承され、したがってセンサ受け部205が、システム10の環境から封止され、センサケーシング90を越えて横方向にセンサ受け部205を介して液体が侵入することが防止される。それによって、コンタクト要素45、65、75、80の腐食が防止される。封止輪郭部135の代わりに、センサケーシング90と内周面206との間に封止要素を配置することもできる。
【0057】
センサカバー210は、第1のコンタクト要素45とは反対側を向いている側で、カラー部200に取り付けられる。センサカバー210は、コンタクト受け部190、195とは反対側を向いている側(z方向)で、センサ受け部205を閉じる。
【0058】
センサカバー210は、内面225によって、センサケーシング90の押圧面145に支承される。センサカバー210が少なくとも1つのウエブ230を内側に有する場合、特に有利である。好ましくは、複数のウエブ230が、センサリッド210で互いにx方向にずれて配置される。各ウエブ230は板状であり、例示的にyz平面に延びる。各ウエブ230の自由端が、カバーの内面225を形成する。
【0059】
センサカバー210はまた、周方向の縁231を有する。縁部231は、たとえば、掛止手段によってカラー部200にポジティブ接続する(positively connected、押し込み式に接続される)ことができる。
【0060】
組み立てられた状態で、ウエブ230の自由端は、カバーの内面225によって押圧面145に支承される。センサカバー210はまた、カラー部200に掛止される。それによってセンサカバー210は、軸125に沿って作用する押圧力Fを提供する。押圧力Fによって、センサカバー210は押圧面145に作用し、関連するコンタクト要素45、65、75、80の第2の外周面130に対してセンサケーシング90を押圧する。図3で、第1の温度測定手段50のセンサケーシング90は、第1のコンタクト要素45の第2の外周面130に対して押圧される。
【0061】
図3で、第1のコンタクト要素45は、押圧力Fに反対に作用する反力Fを提供する。押圧の結果、支承接触面120は、第2の外周面130に水平に(flatly、ぴったりと)接して支承され、したがって第1のコンタクト要素45とセンサケーシング90との間の熱伝達抵抗が特に低くなる。
【0062】
好ましくは、押圧力Fおよび対応する反力Fは、センサケーシング90が、温度センサ85と支承接触面120との間で少なくとも垂直方向に、10パーセント~40パーセント可逆的に弾性変形するように選択される。このようにして、支承接触面120とセンサケーシング90との間の熱伝達抵抗をさらに低減させることができる。押圧力Fは、センサケーシング90内の複数のウエブ230を介して押圧面145へ特に効果的に導入することができる。
【0063】
加えて、センサカバー210は、センサ受け部205へ誘導されるリードスルー(lead-through、貫通部)235を有することができる。接続ケーブル95は、リードスルー235を通ってセンサ受け部205から導出される。加えて、接続ケーブル95は、2つの隣接するウエブ230間に誘導され、したがって接続ケーブル95が締め付けられることが防止される。
【0064】
図4は、組み立てられた状態にある、図1に示す断面A-Aに沿って切り取った図1に示すシステム10の断面図を示す。
【0065】
この場合、明瞭にするために、図4では第2の高電流コンタクト手段30が破線によって概略的にのみ示されている。
【0066】
組み立てられた状態で、第1のコンタクト要素45は第3のコンタクト要素75に接触し、第2のコンタクト要素65は第4のコンタクト要素80に接触する。
【0067】
第1のコンタクト要素45と第3のコンタクト要素75との間の接触の場合、差込み領域100において、システム10は、第1の電気オーミック接触抵抗を有する。同様に、接続デバイス15は、高電流ケーブル20の電気導体175と第1の電気コンタクト要素45の接続受け部185との間の電気接点に、第2の電気オーミック接触抵抗を有する。
【0068】
電流、特に100アンペアより大きい電流の伝送中、コンタクト要素45、65、75、80は、第1および第2のオーミック接触抵抗ならびにコンタクト要素45、65、75、80の内部オーミック抵抗によって加熱される。
【0069】
温度測定手段50、70の温度センサ85と関連する第1のコンタクト要素45または第2のコンタクト要素65との間の距離が短く、センサケーシング90を介した温度センサ85から接続領域105への熱的接続が良好であるため、第1の温度測定手段50の温度センサ85は、第1のコンタクト要素45の接続領域105の第1の温度TS1(t)を特に精密に測定することができる。同様に、第2の温度測定手段70の温度センサ85は、第2のコンタクト要素65の接続領域の第2の温度TS2(t)を測定する。
【0070】
図1図4に示す実施形態では、第1のコンタクト要素45の差込み領域100の第3の温度TK3(t)および第1のコンタクト要素45の接続領域105で温度センサ85によって測定される第1の温度TS1(t)が、時間tにわたって測定された場合、第1の温度TS1(t)が、わずか数ケルビン度の差(6ケルビン未満、特に4ケルビン未満)で、第3の温度TK3(t)に対応し、第3の温度TK3(t)のものに実質上同一の時間曲線を有することを見ることができる。直接の熱的結合のため、第1の測定温度TS1(t)は、差込み領域100の第3の温度TK3(t)に実質上対応する。評価手段によって、第1の温度TS1(t)と第3の温度TK3(t)との間の温度差を考慮に入れることができる。
【0071】
したがって、温度センサ85によって測定される第1の温度TS1(t)および第2の温度TS2(t)は、それぞれ差込み領域100における第1のコンタクト要素45および第2のコンタクト要素65の精密な間接的温度測定を表す。それぞれの温度センサ85は、それぞれ測定した第1の温度TS1(t)および第2の温度TS2(t)の情報を、接続ケーブル95を介して評価手段へ提供する。評価手段は、たとえば自動車の駆動モータを制御するために、測定された第1の温度TS1(t)および第2の温度TS2(t)を考慮に入れることができる。第1および第2の接触抵抗を低く抑えるために、第1の封止手段55および第2の封止手段60は、コンタクト要素45、65、75、80を環境から封止する。
【0072】
図1図4に示すシステム10の実施形態は、システム10によって、高電流ケーブル20と第3のコンタクト要素75および第4のコンタクト要素80との間で、特に電気エネルギー貯蔵手段へ伝送される動的に変化する電流負荷の特に精密かつ正確な測定に特によく適している。
【0073】
接続ケーブル95により、温度センサ85を評価手段に柔軟に接続することが可能になる。温度センサ85がセンサケーシング90によって封入され、センサケーシング90が温度センサ85および第1のケーブル被覆150の両方に材料接合で接続されるため、温度センサ85は湿気の侵入から保護される。それによって漏れ電流が防止され、したがって温度センサ85は、第1の温度TS1(t)または第2の温度TS2(t)を特に精密に測定する。
【0074】
図1図4に記載の設計はまた、たとえばレバー手段240によって互いに接触させられて機械的にロックされた高電流コンタクト手段25、30にも特に好適である。
【符号の説明】
【0075】
10 システム
15 接続デバイス
20 高電流ケーブル
25 第1の高電流コンタクト手段
30 第2の高電流コンタクト手段
35 第1のコンタクトハウジング
40 第2のコンタクトハウジング
45 第1のコンタクト要素
50 第1の温度測定手段
55 第1の封止手段
60 第2の封止手段
65 第2のコンタクト要素
70 第2の温度測定手段
75 第3のコンタクト要素
80 第4のコンタクト要素
85 温度センサ
90 センサケーシング
95 接続ケーブル
100 (第1のコンタクト要素の)差込み領域
105 (第1のコンタクト要素の)接続領域
110 差込み軸
111 コンタクトロック
115 第1の外周面
120 支承接触面
125 軸
130 第2の外周面
135 封止輪郭部
140 封止リップ
145 押圧面
150 第1のケーブル被覆
155 センサ線
160 (接続ケーブルの)第1の小部分
165 第2の小部分
170 第3の小部分
171 端部
175 電気導体
180 第2のケーブル被覆
185 接続受け部
190 第1のコンタクト受け部
195 第2のコンタクト受け部
200 カラー部
205 センサ受け部
206 内周面
210 センサカバー
215 第4の小部分
220 第5の小部分
225 カバーの内面
230 ウエブ
231 縁
235 リードスルー
240 レバー手段
押圧力
反力
S1(t) 第1の温度
S2(t) 第2の温度
K3(t) 第3の温度
図1
図2
図3
図4