(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】倉庫管理システム、および管理装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20221125BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2021110065
(22)【出願日】2021-07-01
(62)【分割の表示】P 2019226058の分割
【原出願日】2019-12-16
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森綱 康二
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-199562(JP,A)
【文献】特表2009-541174(JP,A)
【文献】特開2016-210547(JP,A)
【文献】国際公開第2015/052830(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送棚と、前記搬送棚を入出庫する自動倉庫と、前記搬送棚を積載可能な移動体と、前記移動体と通信可能な管理装置と、を有する倉庫管理システムであって、
前記搬送棚は、物品を保管可能な複数の棚面
と、前記複数の棚面のうち特定の棚面が向いている方向を特定可能
な識別コードと、を有し、
前記移動体は、前記識別コードを撮像可能な撮像部を有し、
前記管理装置は、前記搬送棚で保管される物品と、当該物品が前記搬送棚に保管される棚面とを対応付けた在庫情報にアクセス可能であり、
前記管理装置は、
対象物品が保管されている前記搬送棚が前記自動倉庫から出庫され
る場合、
前記在庫情報を参照して、前記対象物品が前記搬送棚に保管される保管先棚面を特定し、
前記移動体の前記撮像部で撮像した前記識別コードにより特定される前記特定の棚面が向いている方向に基づいて、前記保管先棚面の向きを特定し、
前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、
前記保管先棚面
の向きが、
前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体を制御する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の倉庫管理システムであって、
前記搬送棚は、前記搬送棚の下部にパレットを有し、
前記パレットの底面に、前記識別コードが設けられる、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の倉庫管理システムであって、
前記搬送棚の前記パレットは、前記自動倉庫において前記搬送棚を保持して移動させる移動機構が挿入可能な挿入孔を有する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項4】
請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載の倉庫管理システムであって、
前記自動倉庫に隣接し、前記自動倉庫から前記搬送棚を搬送して前記移動体に引き渡すコンベアを有し、
前記識別コードは、前記搬送棚が前記コンベアに載置される底面に形成された凹部に設けられる、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項5】
請求項
1に記載の倉庫管理システムであって、
前記自動倉庫と前記ピッキングステーションとの間に、前記搬送棚を一時的に滞留させるバッファ領域が存在し、
前記管理装置は、
前記搬送棚を積載した移動体を、前記ピッキングステーションへの移動前または移動後に前記バッファ領域に移動させる、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項6】
請求項
5に記載の倉庫管理システムであって、
前記管理装置は、
前記ピッキングステーションで前記搬送棚に対するピッキングが終了した後、前記搬送棚を前記自動倉庫に入庫する場合に、前記搬送棚を前記バッファ領域のうち前記自動倉庫により近い領域に移動させる、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項7】
請求項
5に記載の倉庫管理システムであって、
前記管理装置は、
前記搬送棚を積載した前記移動体を、前記ピッキングステーションへの出荷頻度が高いほど、または、前記ピッキングステーションへの出荷順が早いほど、前記バッファ領域内の前記ピッキングステーションにより近い領域に移動させる、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項8】
請求項
5に記載の倉庫管理システムであって、
前記バッファ領域は複数存在し、
前記管理装置は、
前記搬送棚を積載した前記移動体を、前記ピッキングステーションへの出荷頻度が高いほど、または、前記ピッキングステーションへの出荷順が早いほど、複数のバッファ領域のうち前記ピッキングステーションにより近いバッファ領域に移動させる、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項9】
請求項
1に記載の倉庫管理システムであって、
前記管理装置は、
前記移動体の周辺に他の移動体が存在するか否かを判断し、
前記移動体の周辺に前記他の移動体が存在しない場合、前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、前記保管先棚面の向きが、前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体が移動する搬送領域で前記移動体を回転制御する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項10】
請求項
9に記載の倉庫管理システムであって、
前記管理装置は、前記移動体および前記他の移動体の最新位置を管理する移動体情報にアクセス可能であり、
前記管理装置は、
前記移動体情報を参照して、前記移動体の周辺に前記他の移動体が存在するか否かを判断する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項11】
請求項
1に記載の倉庫管理システムであって、
前記識別コードは、複数の位置検出パターンを有する二次元コードであり、
前記複数の位置検出パターンは、前記撮像部が前記二次元コードの位置を認識するためのパターンであり、
前記管理装置は、
前記複数の位置検出パターンの配置関係に基づいて、前記特定の棚面が向いている方向を特定する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項12】
搬送棚と、前記搬送棚を入出庫する自動倉庫と、前記搬送棚を積載可能な移動体と、前記移動体と通信可能な管理装置と、を有する倉庫管理システムであって、
前記搬送棚は、物品を保管可能な複数の棚面を有し、前記複数の棚面のうち特定の棚面が向いている方向を特定可能に構成されており、
前記管理装置は、
対象物品が保管されている前記搬送棚が前記自動倉庫から出庫されるとき、
前記移動体の周辺に他の移動体が存在するか否かを判断し、
前記移動体の周辺に前記他の移動体が存在しない場合、前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、前記対象物品が前記搬送棚に保管される保管先棚面の向きが、前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体が移動する搬送領域で前記移動体を回転制御する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項13】
請求項
12に記載の倉庫管理システムであって、
前記管理装置は、前記移動体および前記他の移動体の最新位置を管理する移動体情報にアクセス可能であり、
前記管理装置は、
前記移動体情報を参照して、前記移動体の周辺に前記他の移動体が存在するか否かを判断する、
ことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項14】
自動倉庫から出庫される搬送棚を積載可能な移動体と通信可能な管理装置であって、
前記搬送棚は、物品を保管可能な複数の棚面
と、前記複数の棚面のうち特定の棚面が向いている方向を特定可能
な識別コードと、を有し、
前記移動体は、前記識別コードを撮像可能な撮像部を有し、
前記管理装置は、前記搬送棚で保管される物品と、当該物品が前記搬送棚に保管される棚面とを対応付けた在庫情報にアクセス可能であり、
前記管理装置は、
対象物品が保管されている前記搬送棚が前記自動倉庫から出庫され
る場合、
前記在庫情報を参照して、前記対象物品が前記搬送棚に保管される保管先棚面を特定し、
前記移動体の前記撮像部で撮像した前記識別コードにより特定される前記特定の棚面が向いている方向に基づいて、前記保管先棚面の向きを特定し、
前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、
前記保管先棚面
の向きが、
前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体を制御する、
ことを特徴とする管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫管理システム、および管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、スタッカークレーンの走行時における収容ラックの荷崩れを抑制できる自動倉庫の搬送システムを開示する。この自動倉庫は、スタッカークレーンの走行経路に沿って配置される複数の保管棚に多層構造の収容ラックを収容可能な自動倉庫において、前記収容ラックは、卵を収容した複数のトレイを一方向から積み込み可能な開放面を備えるとともに、この開放面以外の側面三方向を落下防止用の壁で囲まれたものであり、前記収容ラックを前記保管棚との間で移載する前記スタッカークレーンは、走行方向の前後に側壁を備えており、前記スタッカークレーンの一方の前記側壁と前記収容ラックの前記開放面とが向かい合った状態で、前記スタッカークレーンが前記収容ラックを搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、自動倉庫および自動倉庫に連結する搬送設備の範囲内での収容ラックの搬送についてのみ開示されており、搬送設備の範囲外での収容ラックの搬送については、考慮されていない。したがって、収容ラックを搬送設備の範囲外に搬送すると、収容ラックの棚面が、ピッキングステーションと対面しない場合があり、物品の入出荷作業が遅延する。
【0005】
本発明は、物品の入出荷作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明の第1側面となる倉庫管理システムは、搬送棚と、前記搬送棚を入出庫する自動倉庫と、前記搬送棚を積載可能な移動体と、前記移動体と通信可能な管理装置と、を有する倉庫管理システムであって、前記搬送棚は、物品を保管可能な複数の棚面と、前記複数の棚面のうち特定の棚面が向いている方向を特定可能な識別コードと、を有し、前記移動体は、前記識別コードを撮像可能な撮像部を有し、前記管理装置は、前記搬送棚で保管される物品と、当該物品が前記搬送棚に保管される棚面とを対応付けた在庫情報にアクセス可能であり、前記管理装置は、対象物品が保管されている前記搬送棚が前記自動倉庫から出庫される場合、前記在庫情報を参照して、前記対象物品が前記搬送棚に保管される保管先棚面を特定し、前記移動体の前記撮像部で撮像した前記識別コードにより特定される前記特定の棚面が向いている方向に基づいて、前記保管先棚面の向きを特定し、前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、前記保管先棚面の向きが、前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体を制御する、ことを特徴とする。
本願において開示される発明の第2側面となる倉庫管理システムは、搬送棚と、前記搬送棚を入出庫する自動倉庫と、前記搬送棚を積載可能な移動体と、前記移動体と通信可能な管理装置と、を有する倉庫管理システムであって、前記搬送棚は、物品を保管可能な複数の棚面を有し、前記複数の棚面のうち特定の棚面が向いている方向を特定可能に構成されており、前記管理装置は、対象物品が保管されている前記搬送棚が前記自動倉庫から出庫されるとき、前記移動体の周辺に他の移動体が存在するか否かを判断し、前記移動体の周辺に前記他の移動体が存在しない場合、前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、前記対象物品が前記搬送棚に保管される保管先棚面の向きが、前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体が移動する搬送領域で前記移動体を回転制御する、ことを特徴とする。
【0007】
本願において開示される発明の第3側面となる管理装置は、自動倉庫から出庫される搬送棚を積載可能な移動体と通信可能な管理装置であって、前記搬送棚は、物品を保管可能な複数の棚面と、前記複数の棚面のうち特定の棚面が向いている方向を特定可能な識別コードと、を有し、前記移動体は、前記識別コードを撮像可能な撮像部を有し、前記管理装置は、前記搬送棚で保管される物品と、当該物品が前記搬送棚に保管される棚面とを対応付けた在庫情報にアクセス可能であり、前記管理装置は、対象物品が保管されている前記搬送棚が前記自動倉庫から出庫される場合、前記在庫情報を参照して、前記対象物品が前記搬送棚に保管される保管先棚面を特定し、前記移動体の前記撮像部で撮像した前記識別コードにより特定される前記特定の棚面が向いている方向に基づいて、前記保管先棚面の向きを特定し、前記搬送棚を積載する前記移動体がピッキングステーションに到着するときに、前記保管先棚面の向きが、前記移動体から前記ピッキングステーションへの方向となるように、前記移動体を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の代表的な実施の形態によれば、物品の入出荷作業の効率化を図ることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、倉庫管理システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、自動倉庫を構成するラックの正面図である。
【
図6】
図6は、倉庫管理システムのシステム構成例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、搬送車のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、地図情報DBの一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、搬送車情報DBの一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、搬送車による搬送棚の回転制御例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、物品出荷時のシーケンス例を示すシーケンス図である。
【
図15】
図15は、物品入荷時のシーケンス例を示すシーケンス図である。
【
図16】
図16は、搬送棚の入庫シーケンス例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<倉庫管理システムの構成例>
図1は、倉庫管理システムの構成例を示す説明図である。倉庫管理システム100は、自動倉庫101と、搬送設備102と、搬送領域103と、を有する。自動倉庫101は、自動的に搬送棚113を入出庫する設備である。搬送設備102は、自動倉庫101から出庫されてきた搬送棚113を搬送領域103に移動させ、搬送領域103からの搬送棚113を自動倉庫101に入庫するために自動倉庫101に移動させる設備である。
【0011】
搬送領域103は、自律走行により搬送棚113を搬送する無人搬送車(以下、単に搬送車)113が移動し、かつ、物品を搬送棚113に入荷したり、搬送棚113から物品を出荷(ピッキング)したりするピッキングステーションPS1、PS2が存在する領域である。ピッキングステーションPS1、PS2を区別しない場合は、単にピッキングステーションPSと表記する。また、
図1では、ピッキングステーションPSは2つであるが、1つでもよく3つ以上でもよい。
【0012】
自動倉庫101は、ラック111-1,111-2と、スタッカークレーン112と、を有する。ラック111-1,111-2を区別しない場合は、単にラック111と表記する。また、
図1では、ラック111は2つであるが、1つでもよく3つ以上でもよい。
【0013】
ラック111は、Y軸方向に配列される。ラック111は、XZ平面に搬送棚113を収容するマトリクス状の収容領域を有する。スタッカークレーン112は、ラック111-1,111-2の間に配置され、X軸方向に移動可能で、かつ、Z軸方向に昇降可能な移動機構である。スタッカークレーン112は、搬送棚113を保持可能であり、ラック111の収容領域から搬送棚113を取り出して搬送設備102に出庫したり、搬送設備102から搬送棚113を引き受けてラック111の収容領域の空きブロックに入庫したりする。
【0014】
搬送設備102は、自動倉庫101と搬送領域103との間に設けられ、自動倉庫101と搬送領域103との間で搬送棚113を引き渡す。搬送設備102は、搬送棚113を搬送可能なコンベア121-1,121-2を有する。コンベア121-1,121-2を区別しない場合は、単にコンベア121と表記する。また、
図1では、コンベア121は2本であるが、1本でもよく3本以上でもよい。
【0015】
コンベア121は、ラック111とともにY軸方向に配列される。コンベア121の搬送方向はX軸方向である。コンベア121の一端は、スタッカークレーン112の移動範囲に対応する。コンベア121の一端では、スタッカークレーン112から搬送棚113が載置されたり、取り出されたりする。コンベア121の他端は、搬送領域103に対応する。コンベア121の他端では、搬送車104に搬送棚113が載置されたり、搬送車104に載置された搬送棚113がコンベア121に載置されたりする。
【0016】
具体的には、たとえば、搬送棚113を搬送領域103に搬送する場合、コンベア121の他端の下方に搬送車104が移動すると、搬送車104は、後述する回転板をZ軸方向に上昇させることで、コンベア121の他端に搬送されてきた搬送棚113を持ち上げてコンベア121から離間させる。搬送車104は、コンベア121から搬送領域103に移動し、その後、搬送棚113が載置された回転板をZ軸方向に下降させる。
【0017】
また、搬送棚113を搬送領域103から搬送設備102に移行する場合、コンベア121の他端の下方に搬送棚113を載置した搬送車104が接近すると、搬送車104は、搬送棚113が載置された回転板をZ軸方向に上昇させ、この状態でコンベア121の他端の下方に移動する。そして、搬送車104は、搬送棚113が載置された回転板をZ軸方向に下降することで、コンベア121の他端に搬送棚113を引き渡す。
【0018】
搬送領域103は、搬送設備102に隣接する。搬送領域103では複数の搬送車104が走行する。搬送車104は、搬送設備102とピッキングステーションPSとの間で搬送棚113を搬送する移動体である。搬送車104は、搬送設備102から搬送棚113を受け取ってピッキングステーションPSに搬送したり、ピッキングステーションPSから搬送棚113を受け取って搬送設備102に搬送したりする。
【0019】
また、搬送領域103には、中継地点B1~B3が存在してもよい。この場合、搬送車104は、中継地点B1~B3に搬送棚113を置いたり、中継地点B1~B3に置かれている搬送棚113を受け取って搬送したりする。中継地点B1~B3は、物品が保管されている搬送棚113が自動倉庫101から出庫され、搬送棚113を搬送車104が積載した場合に、搬送車104の移動先へ搬送するタイミングを調整するために、搬送棚113を一時的に配置させるバッファ領域になる。
【0020】
ピッキングステーションPSは、搬送棚113に保管されている物品を取り出したり(出荷)、外部から運搬されてきた物品を搬送棚113に保管したり(入荷)する場所である。入出荷作業は、作業員または作業ロボットによって行われる。
【0021】
<ラック111>
図2は、自動倉庫101を構成するラック111の正面図である。ラック111は、収容領域200として、複数のブロックr(i,j)を有する(iは1≦i≦mを満たす整数であり、jは1≦j≦nを満たす整数である。mおよびnは、1以上の整数である。)。
図2において、搬送棚113が収容されていないブロックr(i,j)が空きブロックである。
【0022】
<搬送棚113>
図3は、搬送棚113の斜視図である。
図3では、3種類の搬送棚113a~113cを示す。搬送棚113a~113cを区別しない場合は、単に、搬送棚113と表記する。搬送棚113aは、2つの棚の背面を対面して(背中合わせにして)構成される。棚が見える面、すなわち、棚の正面を棚面と称す。一方の棚面をA面と称し、他方の棚面をB面と称す。A面とB面とは、180度向いている方向が異なる。搬送棚113aにおける棚の棚段はZ軸方向に3段であるが、2段でも4段以上でもよい。棚段を1段にしたのが搬送棚113bである。また、XZ平面に平行な棚板をY軸方向に配列することにより、棚段に物品が補完か可能な複数の間口が形成されていてもよい。
【0023】
搬送棚113cは、4つの棚の棚面(A面~D面)が外側に向くように構成される。搬送棚113a,113bと同様、A面とB面とは、180度向いている方向が異なり、C面とD面とは、180度向いている方向が異なる。A面およびB面と、C面およびD面とは、90度向いている方向が異なる。
【0024】
搬送棚113の下部には、パレット301が設けられる。パレット301には挿入孔310が設けられ、スタッカークレーン112が有するフォーク(不図示)が差し込まれる。これにより、スタッカークレーン112は、搬送棚113を搬送可能になる。なお、挿入孔310がないパレット301もある。この場合、スタッカークレーン112は、パレット301の底面から搬送棚113を持ち上げることになる。
【0025】
図4は、搬送棚113を示す説明図である。(A)は搬送棚113の底面図である。搬送棚113の底面、すなわち、パレット301の底面301aには、所定の位置(たとえば、中央)に識別コード400が設けられる。すなわち、底面301aは、識別コード400が設けられる表示面となる。
【0026】
具体的には、たとえば、識別コード400が印刷されたシートが底面301aに貼着されてもよく、識別コード400が底面301aに塗布されてもよい。また、識別コード400は、底面301aに設けられた表示器に画像として表示されてもよい。
図4では、識別コード400の一例として二次元コードが付与されている。二次元コードの四隅のうち3つには、位置検出パターン401~403が設けられる。位置検出パターン401~403は、後述する撮像部504が二次元コードの位置を認識するためのパターンである。
【0027】
位置検出パターン401,402は、A面側に配置され、位置検出パターン403は、B面側に配置される。位置検出パターン401,403は、A面およびB面の配列方向に配置される。位置検出パターン401~403の配置状態を検出することにより、搬送棚113の棚面がどの方向を向いているかを特定することが可能になる。
【0028】
(B)は搬送棚113のパレット301の拡大断面図である。識別コード400は、パレット301の底面301aに付与されるが、(B)に示したように、底面301aに形成された凹部404に識別コード400が付与されてもよい。これにより、搬送棚113がコンベア121に載置された場合、底面301aはコンベア121に接触するが、識別コード400はコンベア121に接触しない。したがって、底面301aとコンベア121との摩擦による識別コード400の剥離が低減される。
【0029】
<搬送車104>
図5は、搬送車104の拡大図である。(A)は、搬送車104の斜視図を示す。搬送車104は正面501を有する。正面501が向いている方向が、搬送車104の進行方向dとなる。搬送車104の上面502には、回転板503と、撮像部504と、が設けられる。撮像部504は、回転板503の中心位置に設けられる。また、回転板503には、搬送棚113が載置される。回転板503は、搬送棚113が載置された状態で、撮像部504を中心として矢印R方向に回転可能である。撮像部504は、回転板503に搬送棚113が載置された場合に、パレット301の底面301aの識別コード400を撮像する。
【0030】
(B)は、搬送車104による搬送棚113の搬送状態を示す平面図である。(B1)搬送車104は、搬送棚113を載置した状態で進行方向dを進む。ここでは、A面は進行方向dを向いているものとする。(B2)たとえば、搬送車104がZ軸回りに時計回りに90度回転する場合、回転板503は搬送車104の回転に伴って回転しないため、A面は、回転前と同じ方向を向く。
【0031】
(B3)たとえば、(B2)の状態から搬送車104がZ軸回りに反時計回りに90度回転する場合、回転板503は搬送車104の回転に伴って回転しないため、A面は、回転前と同じ方向を向いたままである。なお、
図5の(B)では、回転板503は搬送車104の回転に伴って回転しない場合を例に挙げたが、回転板503は搬送車104の回転に伴って回転するように制御されてもよい。
【0032】
<倉庫管理システム100のシステム構成例>
図6は、倉庫管理システム100のシステム構成例を示す説明図である。倉庫管理システム100は、自動倉庫101と、搬送設備102と、搬送車104と、管理装置601と、コントローラ602と、端末603と、を有する。管理装置601、コントローラ602、搬送車104、および端末603は、LAN(Local Area Network),WAN(Wide Area Network),インターネットのようなネットワーク600により、通信可能に接続される。また、コントローラ602は、自動倉庫101および搬送設備102と通信可能に接続される。
【0033】
管理装置601は、コントローラ602および搬送車104を管理する。管理装置601は、端末603から入荷情報や出荷情報を受信する。管理装置601は、搬送車104の走行ルートを生成し、搬送車104が走行ルートを走行するように移動制御する。なお、走行ルートについては、目的地点(たとえば、ピッキングステーションPSや搬送設備102)までの経路でもよいが、搬送領域103には他の搬送車104も走行中であるため、目的地点に向かうための所定距離までの経路としてもよい。この場合、管理装置601は、所定距離ごとに走行ルートを生成して搬送車104に送信することにある。これにより、状況に応じて搬送車104を誘導することができる。
【0034】
また、管理装置601は、地図情報DB611と、搬送車情報DB612と、在庫情報DB613と、を有する。地図情報DB611は、搬送領域103の地図情報を記憶するデータベースであり、詳細は
図9で後述する。搬送車情報DB612は、搬送車104に関する移動体情報を記憶するデータベースであり、詳細は
図10で後述する。
【0035】
在庫情報DB613は、物品の在庫情報を記憶するデータベースであり、詳細は
図11で後述する。搬送棚DB614は、搬送棚113に関する情報を記憶するデータベースであり、詳細は
図12で後述する。なお、搬送棚DB614は、管理装置601に設けられていてもよい。また、コントローラ602の機能も、管理装置601に設けられていてもよい。
【0036】
コントローラ602は、自動倉庫101に対する搬送棚113の入出庫を制御したり、搬送設備102におけるコンベア121の搬送速度や搬送方向を制御する。端末603は、ピッキングステーションPSに配置され、ピッキングステーションPSの作業員が操作する。
【0037】
<コントローラ602のハードウェア構成例>
図7は、コンピュータ(管理装置601、コントローラ602、端末603)のハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータ700は、第1プロセッサ701と、第1記憶デバイス702と、入力デバイス703と、出力デバイス704と、第1通信インタフェース(第1通信IF)705と、を有する。第1プロセッサ701、第1記憶デバイス702、入力デバイス703、出力デバイス704、および第1通信IF705は、バス706により接続される。第1プロセッサ701は、コンピュータ700を制御する。第1記憶デバイス702は、第1プロセッサ701の作業エリアとなる。また、第1記憶デバイス702は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。第1記憶デバイス702としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス703は、データを入力する。入力デバイス703としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナがある。出力デバイス704は、データを出力する。出力デバイス704としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタがある。第1通信IF705は、ネットワーク600と接続し、データを送受信する。
【0038】
<搬送車104のハードウェア構成例>
図8は、搬送車104のハードウェア構成例を示すブロック図である。搬送車104は、第2プロセッサ801と、第2記憶デバイス802と、駆動部803と、撮像部504と、第2通信インタフェース(第2通信IF)805と、を有する。第2プロセッサ801、第2記憶デバイス802、駆動部803、撮像部504、および第2通信IF805は、バス806により接続される。第2プロセッサ801は、搬送車104を制御する。第2記憶デバイス802は、第2プロセッサ801の作業エリアとなる。また、第2記憶デバイス802は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。第2記憶デバイス802としては、たとえば、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリがある。駆動部803は、搬送車104の移動機構を駆動することにより搬送車104を搬送領域103で移動させたり、回転板503を回転させたりする。撮像部504は、回転板503に積載された搬送棚113の底面301aの識別コード400を撮像する。また、搬送車104の底面301aにも撮像部504が設けられ、搬送領域103の床面に設けられたマーカーを読み取る。第2通信IF805は、ネットワーク600と接続し、データを送受信する。
【0039】
<データベース>
図9は、地図情報DB611の一例を示す説明図である。地図情報DB611は、搬送領域103のXY平面を示す地図データ(不図示)を有する。具体的には、たとえば、搬送領域103の床面は、
図1に示したように、2次元メッシュで分割されており、管理装置601は、地図データとして、各メッシュの中心の座標値を、地図データとして管理する(中心ではなく、メッシュの頂点座標値でもよい)。また、各メッシュは、当該メッシュの座標値を含むマーカーを有する。マーカーは、例えば、メッシュ上に貼着または塗布されたバーコード(2次元コードも含む)である。バーコードはメッシュの座標値が織り込まれた情報である。
【0040】
また、地図情報DB611は、搬送領域103における位置情報を記憶する。具体的には、たとえば、地図情報DB611は、フィールドとして、位置ID901と、位置名902と、位置903と、を有する。同一行の各フィールドの値の組み合わせが、位置情報を示すエントリを構成する。
【0041】
位置ID901は、位置を一意に特定する識別子である。
図9では、便宜上、位置に用いられている符号を位置IDの値とする。位置名902は、位置IDで特定される位置の名称である。位置903は、地図データ上のXY座標値である。
【0042】
図10は、搬送車情報DB612の一例を示す説明図である。搬送車情報DB612は、フィールドとして、搬送車ID1001と、最新位置1002と、搬送車ステータス1003と、を有する。同一行の各フィールドの値の組み合わせが、当該搬送車104の搬送車情報を示すエントリを構成する。
【0043】
搬送車ID1001は、搬送車104を一意に特定する識別情報である。最新位置1002は、搬送車104の最新の位置を示すXY座標値である。具体的には、たとえば、搬送車104がマーカーを読み取る都度、読み取ったマーカーから得られるメッシュのXY座標値および搬送車ID1001を管理装置601に送信する。管理装置601は、メッシュのXY座標値が搬送車104から受信される都度、受信された搬送車ID1001で特定されるエントリの最新位置1002に、受信されたXY座標値を上書きする。
【0044】
搬送車ステータス1003は、搬送車104の現在の状態を示す。搬送車ステータス1003には、「搬送」、「待機」および「迎車」の3種類がある。「搬送」は、搬送車104を搬送している状態である。「待機」は、搬送車104を搬送せずに待機している状態を示す。「迎車」は、搬送対象の搬送棚113の元に向かっている状態を示す。
【0045】
図11は、在庫情報DB613の一例を示す説明図である。在庫情報DB613は、フィールドとして、物品ID1101と、数量1102と、保管先搬送棚ID1103と、保管先棚面1104と、保管先棚段1105と、を有する。同一行の各フィールドの値の組み合わせが、当該物品の在庫情報を示すエントリを構成する。
【0046】
物品ID1101は、物品を一意に特定する識別情報である。数量1102は、その物品が保管されている個数である。保管先搬送棚ID1103は、その物品が保管されている搬送棚113の搬送棚IDである。搬送棚IDは、搬送棚113を一意に特定する識別情報である。保管先棚面1104は、その保管先搬送棚113においてその物品が保管されている棚面である。保管先棚段1105は、その保管先棚面1104においてその物品が保管されている棚段である。
【0047】
図12は、搬送棚DB614の一例を示す説明図である。搬送棚DB614は、フィールドとして、搬送棚ID1201と、棚面1202と、入庫列1203と、最新位置1204と、搬送棚ステータス1205と、を有する。同一行の各フィールドの値の組み合わせが、当該搬送棚113の搬送棚情報を示すエントリを構成する。
【0048】
搬送棚ID1201は、搬送棚113を一意に特定する識別情報である。棚面1202は、その搬送棚113が有する各棚が有する物品の保管面であり、たとえば、上述したA面~D面となる。入庫列1203は、その搬送棚113が入庫されたラック111である。入庫列1203の値を、便宜的に、ランクの符号(ラックIDと称す)とする。
【0049】
最新位置1204は、その搬送棚113の最新の位置である。入庫列1203および最新位置1204に値が存在する場合には、その搬送棚113は、入庫列1203で特定されるラック111の収容領域200以内のブロックr(i,j)に入庫されている。またこの場合、コントローラ602は、搬送棚113の入庫が完了した時点で、入庫した搬送棚113についての入庫列1203および最新位置1204を更新する。
【0050】
搬送棚ステータス1205は、搬送棚113の現在の状態を示す。搬送棚ステータス1205には、「収容」、「入庫」、「出庫」および「待機」の4種類がある。「収容」は、その搬送棚113がラック111に収容されている状態である。「入庫」は、その搬送棚113がラック111に入庫するために搬送中であることを示す。「出庫」は、その搬送棚113がラック111から出庫されて搬送中であることを示す。「待機」は、「収容」、「入庫」および「出庫」のいずれにも該当しない状態であり、たとえば、中継地点B1~B3やピッキングステーションPSに載置された状態である。
【0051】
また、入庫列1203および最新位置1204のうち最新位置1204にのみ値が存在する場合には、その搬送棚113は、搬送領域103に存在する。たとえば、搬送棚ステータス1205が「待機」の場合、コントローラ602は、管理装置601から搬送棚113の待機位置を取得して、取得した待機位置のXY座標値を最新位置1204に格納する。
【0052】
また、搬送棚ステータス1205が「入庫」および「出庫」の場合、搬送棚113の搬送中は、時々刻々と搬送棚113の最新位置が変わる。このため、管理装置601は、搬送棚113を積載した搬送車104の最新位置を当該搬送車104から受信する。コントローラ602は、管理装置601から搬送車104の最新位置を取得して、搬送棚ステータス1205が「入庫」および「出庫」であるエントリの最新位置1204を、取得した搬送車104の最新位置で更新する。これにより、搬送棚113の位置がリアルタイムで管理される。
【0053】
<搬送棚113の回転制御例>
図13は、搬送車104による搬送棚113の回転制御例を示す説明図である。
図13では、搬送設備102からピッキングステーションPSに搬送棚113を搬送する場合の搬送棚113の回転制御例を説明する。そのため、一例として、搬送棚113のA面側の棚段に、ピッキングステーションPSにおいてピッキング対象となる物品gが保管されているものとする。また、
図13では、説明の便宜上、回転板503の回転方向は反時計回り方向で説明するが、時計回り方向でもよい。また、(A)~(D)において、搬送車104は、その正面501がピッキングステーションPSと対向するように到着するものとする。
【0054】
(A)は、搬送棚113のA面と搬送車104の正面501とが同じ向きである場合に搬送車104がピッキングステーションPS前に到着した状態を示す。A面がピッキングステーションPSと対向しているため、作業員は、物品gを取り出しやすい。したがって、搬送車104は回転板503を回転させる必要はない。
【0055】
(B)は、搬送棚113のA面の向きが搬送車104の正面501から時計回り方向に90度ずれている場合に搬送車104がピッキングステーションPS前に到着した状態(b1)を示す。搬送車104は、状態(b1)において、回転板503を反時計回り方向に90度回転させ、状態(b2)にする。これにより、A面がピッキングステーションPSと対向するため、作業員は、物品gを取り出しやすくなる。
【0056】
(C)は、搬送棚113のA面の向きが搬送車104の正面501から時計回り方向に180度ずれている場合に搬送車104がピッキングステーションPS前に到着した状態(c1)を示す。搬送車104は、状態(c1)において、回転板503を反時計回り方向に180度回転させ、状態(c2)にする。これにより、A面がピッキングステーションPSと対向するため、作業員は、物品gを取り出しやすくなる。
【0057】
(D)は、搬送棚113のA面の向きが搬送車104の正面501から時計回り方向に270度ずれている場合に搬送車104がピッキングステーションPS前に到着した状態(d1)を示す。搬送車104は、状態(d1)において、回転板503を反時計回り方向に270度回転させ、状態(d2)にする。これにより、A面がピッキングステーションPSと対向するため、作業員は、物品gを取り出しやすくなる。
【0058】
なお、(A)~(D)において、外部から入荷されてきた物品gを、ピッキングステーションPSにおいて搬送棚113のA面側の棚段に収容する場合も、同様の回転制御となる。この場合、作業員は、物品gを、物品gの保管位置となるA面の棚段に収容しやすくなる。
【0059】
<物品出荷時のシーケンス例>
図14は、物品出荷時のシーケンス例を示すシーケンス図である。管理装置601は出荷情報を取得する(ステップS1401)。出荷情報とは、ピッキングステーションPSからの出荷対象となる物品を特定する情報である。具体的には、たとえば、出荷情報は、出荷対象物品の物品ID1101、数量1102、出荷元となるピッキングステーションPSの位置ID901および、出荷対象物品の出荷順を含む。出荷情報は、たとえば、管理装置601に接続される上位システムまたは端末603から取得される。
【0060】
つぎに、管理装置601は、出荷対象物品が保管されている搬送棚113の搬送棚ID1201を特定し、特定した搬送棚ID1201をコントローラ602に送信する(ステップS1402)。具体的には、たとえば、管理装置601は、在庫情報DB613を参照して、出荷情報に含まれている出荷対象物品の物品ID1101と同一エントリの保管先搬送棚ID1103を特定する。たとえば、物品ID1101が「g1」であれば、保管先搬送棚ID1103として「S1」が特定される。そして、管理装置601は、特定した保管先搬送棚ID1103をコントローラ602に送信する。
【0061】
コントローラ602は、管理装置601から保管先搬送棚ID1103を受信すると、保管先搬送棚ID1103で特定される搬送棚113(以下、対象搬送棚113)の出庫制御を実行する(ステップS1403)。具体的には、たとえば、コントローラ602は、搬送棚DB614を参照して、管理装置601から受信した保管先搬送棚ID1103と一致する搬送棚ID1201を特定し、特定した搬送棚ID1201と同一エントリの入庫列1203、最新位置1204、および搬送棚ステータス1205を特定し、入庫列1203を管理装置601に返す。
【0062】
搬送棚ステータス1205が「収容」である場合、対象搬送棚113は自動倉庫101に収容されているため、入庫列1203からラック111を特定し、最新位置1204から当該ラック111での対象搬送棚113のブロックr(i,j)を特定する。そして、コントローラ602は、特定したラック111のブロックr(i,j)から対象搬送棚113を取り出すようにスタッカークレーン112を制御する。対象搬送棚113を取り出したスタッカークレーン112は、対象搬送棚113を搬送設備102に引き渡す。搬送設備102は対象搬送棚113を搬送領域103に搬送する。これにより、対象搬送棚113が自動倉庫101および搬送設備102から出庫される。
【0063】
搬送棚ステータス1205が「出庫」である場合、コントローラ602は、搬送棚ステータス1205が「出庫」以外になるまで待機する。搬送棚ステータス1205が「入庫」である場合、対象搬送棚113を積載した搬送車104は、搬送領域103を搬送設備102に向かって走行中である。したがって、コントローラ602は、搬送棚ステータス1205「入庫」を管理装置601に返す。これにより、管理装置601は、ステップS1409以降の処理を実行する。
【0064】
搬送棚ステータス1205が「待機」である場合、対象搬送棚113は、待機位置、たとえば、搬送領域103の中継地点B1~B3またはピッキングステーションPSに存在する。対象搬送棚113の待機位置は、最新位置1204で特定される。たとえば、対象搬送棚113の搬送棚IDが「S5」である場合、対象搬送棚113は、最新位置1204として、搬送領域103の位置(X1、Y1)に位置する。したがって、コントローラ602は、搬送棚ステータス1205「待機」および最新位置1204を管理装置601に返す。これにより、管理装置601は、ステップS1404以降の処理を実行する。
【0065】
つぎに、管理装置601は、対象搬送棚113の待機位置を特定する(ステップS1404)。具体的には、たとえば、コントローラ602から入庫列1203を受信すると、管理装置601は、入庫列1203に対応する搬送設備102のコンベア121の他端を、対象搬送棚113の待機位置として特定する。また、コントローラ602から搬送棚ステータス1205「待機」および最新位置1204を受信すると、管理装置601は、受信された最新位置1204を、対象搬送棚113の待機位置として特定する。
【0066】
つぎに、管理装置601は、搬送車104を探索する(ステップS1405)。具体的には、たとえば、管理装置601は、搬送車情報DB612を参照して、搬送車ステータス1003が「待機」であるエントリの中からいずれかのエントリの搬送車ID1001の搬送車104を選択する。より好ましくは、管理装置601は、搬送車ステータス1003が「待機」であるエントリのうち、最新位置1002とステップS1404で特定された待機位置との間の距離が最短である搬送車104を選択する。
【0067】
つぎに、管理装置601は、ステップS1405で選択された搬送車104(以下、対象搬送車104)の搬送車ステータス1003を「迎車」に更新し(ステップS1406)、対象搬送車104を、ステップS1404で特定された待機位置に呼び出す(ステップS1407)。具体的には、たとえば、管理装置601は、待機位置までの走行ルートを対象搬送車104に送信して、対象搬送車104を待機位置まで誘導する。
【0068】
対象搬送車104は、待機位置に到着すると、対象搬送棚113を回転板503に積載し、対象搬送車104から情報を収集し、積載完了通知を管理装置601に送信する(ステップS1408)。具体的には、たとえば、対象搬送車104は、積載した対象搬送棚113の底面301aの識別コード400を撮像部504で撮像して、識別コード400から対象搬送棚113の搬送棚ID1201を読み取り、識別コード400の位置検出パターン401~403の配置関係から回転板503に積載したときの対象搬送棚113の向き(たとえば、A面の向き)を特定する。そして、対象搬送車104は、対象搬送車104の搬送車ID1001と、対象搬送棚113の搬送棚ID1201と、対象搬送車104の向きと、を含む積載完了通知を、管理装置601に送信する。
【0069】
管理装置601は、積載完了通知に含まれる対象搬送車104の搬送車ID1001、対象搬送棚113の搬送棚ID1201、および対象搬送車104の向きをステップS1415が完了するまで管理する。
【0070】
積載完了通知を受信すると、管理装置601は、搬送棚DB614において積載完了通知に含まれている搬送棚ID1201のエントリの搬送棚ステータス1205を「出庫」に更新し、最新位置1204を待機位置のXY座標値に更新するように、コントローラ602に指示する。また、管理装置601は、搬送車情報DB612において積載完了通知に含まれている搬送車ID1001のエントリの搬送車ステータス1003を「迎車」から「搬送」に更新する(ステップS1409)。
【0071】
つぎに、管理装置601は、方向特定を実行する(ステップS1410)。具体的には、たとえば、管理装置601は、出荷対象物品の保管先となる搬送棚113を搬送車104が積載した場合に搬送棚113に表示されている識別コード400が撮像部504によって撮像された結果、搬送棚113の搬送棚ID1201とA面の向き(第1方向)とを特定する。すなわち、管理装置601は、搬送車104から搬送棚ID1201とA面の向き(第1方向)とを取得する。
【0072】
そして、管理装置601は、在庫情報DB613を参照して、出荷対象物品が、取得した搬送棚ID1201の搬送棚113に保管される保管先棚面1104を特定する。そして、管理装置601は、取得したA面の向き(第1方向)に基づいて、保管先棚面1104の向き(第2方向)を特定する。たとえば、保管先棚面1104がA面であれば、第2方向は第1方向と同一方向として特定される。保管先棚面1104がB面であれば、第2方向は第1方向とは逆方向(180度反転した方向)として特定される。保管先棚面1104がC面であれば、第2方向はZ軸回りに第1方向から時計回り方向に90度回転した方向として特定される。保管先棚面1104がD面であれば、第2方向はZ軸回りに第1方向から時計回り方向に270度回転した方向として特定される。
【0073】
そして、管理装置601は、対象搬送棚113を積載した対象搬送車104を、出荷元となるピッキングステーションPSの位置まで移動制御する(ステップS1411)。具体的には、たとえば、管理装置601は、対象搬送車104に出荷元となるピッキングステーションPSの位置までの走行ルートを送信して、対象搬送車104を出荷元となるピッキングステーションPSの位置まで誘導する。対象搬送車104は、管理装置601からの移動制御にしたがって搬送領域103内を移動する(ステップS1412)。
【0074】
つぎに、管理装置601は、対象搬送棚113を回転制御する(ステップS1413)。具体的には、たとえば、管理装置601は、対象搬送車104が出荷元となるピッキングステーションPSの手前のメッシュに到着すると、搬送車情報DB612の最新位置1002を参照して、対象搬送車104の周囲に他の搬送車104が存在するか否かを判断する。周囲とは、対象搬送車104が位置するメッシュに隣接するメッシュであり、たとえば、対象搬送車104が位置するメッシュの前後左右の隣接4メッシュである。対象搬送車104が位置するメッシュの周囲8メッシュでもよい。また、メッシュの大きさによっては、隣接メッシュに隣接するメッシュも含むように設定される。
【0075】
他の搬送車104が存在しない場合、管理装置601は、ステップS1410で特定された保管先棚面1104の向き(第2方向)と、搬送車104から移動先であるピッキングステーションPSへの第3方向と、に基づいて、第2方向が第3方向となるように対象搬送棚113を回転制御する。本例の場合、搬送車104がピッキングステーションPSの手前のメッシュに到着した場合に、搬送車104の正面501および搬送棚113のA面がピッキングステーションPSと対向するため、第3方向はA面の向き(第1方向)となる。したがって、管理装置601は、第2方向が第1方向となるように対象搬送棚113を回転制御する。
【0076】
一方、他の搬送車104が存在する場合、所定時間経過後、管理装置601は、対象搬送車104の周囲に他の搬送車104が存在するか否かを再度判断する。このように、他の搬送車104が存在しなくなるまで実行される。これにより、他の搬送車104との干渉を回避することができる。なお、ここでは、他の搬送車104の存否について判断したが、他の搬送車104は、搬送棚113を積載中の搬送車104に制限してもよい。搬送棚113を積載していない搬送車104とは、搬送棚113が回転しても他の搬送車104とは干渉しにくいため、搬送効率の向上を図ることができる。
【0077】
このように、対象搬送車104は、管理装置601からの回転制御にしたがって回転板503を回転させる(ステップS1414)。具体的には、たとえば、出荷対象物品の保管先棚面1104が「A」であれば、
図13に示したような回転制御となる。出荷対象物品の保管先棚面1104が「B」であれば、管理装置601は、B面が出荷元のピッキングステーションPSと対向するように、対象搬送車104に対し対象搬送棚113を回転制御する。出荷対象物品の保管先棚面1104が「C」、「D」の場合も同様である。
【0078】
このあと、管理装置601は、端末603からピッキング完了通知を取得する(ステップS1415)。具体的には、たとえば、作業員は、対象搬送棚113から出荷対象物品を取り出すと、出荷対象物品を梱包する。梱包された出荷対象物品は、トラックに積載されて出荷先に運搬される。端末603は、作業員の操作により、出荷対象物品のピッキングが完了した旨を示すピッキング完了通知を管理装置601に送信する。ピッキング完了通知には、出荷対象物品の物品ID1101が含まれる。
【0079】
ピッキング完了通知を受信すると、管理装置601は、在庫情報DB613を参照して、ピッキング完了通知に含まれる出荷対象物品の物品ID1101から、保管先搬送棚ID1103を対象搬送棚113の搬送棚ID1201として特定し、積載完了通知において、当該搬送棚ID1201に対応する対象搬送車104の搬送車ID1001を特定する。そして、管理装置601は、搬送棚DB614において対象搬送棚113の搬送棚ID1201のエントリの搬送棚ステータス1205を「待機」に更新し、最新位置1204を待機位置のXY座標値に更新するように、コントローラ602に指示する。
【0080】
また、管理装置601は、搬送車情報DB612において対象搬送車104の搬送車ID1001のエントリの搬送車ステータス1003を「搬送」から「待機」に更新する(ステップS1416)。このようにして、搬送棚113に保管された出荷対象物品がピッキングステーションPSから出荷されることになる。
【0081】
<物品入荷時のシーケンス例>
図15は、物品入荷時のシーケンス例を示すシーケンス図である。管理装置601は入荷情報を取得する(ステップS1501)。入荷情報とは、自動倉庫101への入荷対象となる物品を特定する情報である。具体的には、たとえば、入荷情報は、入荷対象物品の物品ID1101、数量1102、および、入荷元となるピッキングステーションPSの位置ID901を含む。入荷情報は、たとえば、管理装置601に接続される上位システムまたは端末603から取得される。
【0082】
つぎに、管理装置601は、入荷対象物品の保管位置となる搬送棚113の搬送棚ID1201を特定し、特定した搬送棚ID1201をコントローラ602に送信する(ステップS1502)。具体的には、たとえば、管理装置601は、在庫情報DB613を参照して、入荷情報に含まれている入荷対象物品の物品ID1101と同一エントリの保管先搬送棚ID1103を特定する。たとえば、物品ID1101が「g1」であれば、保管先搬送棚ID1103として「S1」が特定される。そして、管理装置601は、特定した保管先搬送棚ID1103をコントローラ602に送信する。
【0083】
コントローラ602は、管理装置601から保管先搬送棚ID1103を受信すると、保管先搬送棚ID1103で特定される搬送棚113(以下、対象搬送棚113)の出庫制御を実行する(ステップS1503)。具体的には、たとえば、コントローラ602は、搬送棚DB614を参照して、管理装置601から受信した保管先搬送棚ID1103と一致する搬送棚ID1201を特定し、特定した搬送棚ID1201と同一エントリの入庫列1203、最新位置1204、および搬送棚ステータス1205を特定し、入庫列1203を管理装置601に返す。
【0084】
搬送棚ステータス1205が「収容」である場合、対象搬送棚113は自動倉庫101に収容されているため、入庫列1203からラック111を特定し、最新位置1204から当該ラック111での対象搬送棚113のブロックr(i,j)を特定する。そして、コントローラ602は、特定したラック111のブロックr(i,j)から対象搬送棚113を取り出すようにスタッカークレーン112を制御する。対象搬送棚113を取り出したスタッカークレーン112は、対象搬送棚113を搬送設備102に引き渡す。搬送設備102は対象搬送棚113を搬送領域103に搬送する。これにより、対象搬送棚113が自動倉庫101および搬送設備102から出庫される。
【0085】
搬送棚ステータス1205が「出庫」である場合、コントローラ602は、搬送棚ステータス1205が「出庫」以外になるまで待機する。搬送棚ステータス1205が「入庫」である場合、対象搬送棚113を積載した搬送車104は、搬送領域103を搬送設備102に向かって走行中である。したがって、コントローラ602は、搬送棚ステータス1205「入庫」を管理装置601に返す。これにより、管理装置601は、ステップS1509以降の処理を実行する。
【0086】
搬送棚ステータス1205が「待機」である場合、対象搬送棚113は、待機位置、たとえば、搬送領域103の中継地点B1~B3またはピッキングステーションPSに存在する。対象搬送棚113の待機位置は、最新位置1204で特定される。たとえば、対象搬送棚113の搬送棚IDが「S5」である場合、対象搬送棚113は、最新位置1204として、搬送領域103の位置(X1、Y1)に位置する。したがって、コントローラ602は、搬送棚ステータス1205「待機」および最新位置1204を管理装置601に返す。これにより、管理装置601は、ステップS1504以降の処理を実行する。
【0087】
つぎに、管理装置601は、対象搬送棚113の待機位置を特定する(ステップS1504)。具体的には、たとえば、コントローラ602から入庫列1203を受信すると、管理装置601は、入庫列1203に対応する搬送設備102のコンベア121の他端を、対象搬送棚113の待機位置として特定する。また、コントローラ602から搬送棚ステータス1205「待機」および最新位置1204を受信すると、管理装置601は、受信された最新位置1204を、対象搬送棚113の待機位置として特定する。
【0088】
つぎに、管理装置601は、搬送車104を探索する(ステップS1505)。具体的には、たとえば、管理装置601は、搬送車情報DB612を参照して、搬送車ステータス1003が「待機」であるエントリの中からいずれかのエントリの搬送車ID1001の搬送車104を選択する。より好ましくは、管理装置601は、搬送車ステータス1003が「待機」であるエントリのうち、最新位置1002とステップS1504で特定された待機位置との間の距離が最短である搬送車104を選択する。
【0089】
つぎに、管理装置601は、ステップS1505で選択された搬送車104(以下、対象搬送車104)の搬送車ステータス1003を「迎車」に更新し(ステップS1506)、対象搬送車104を、ステップS1504で特定された待機位置に呼び出す(ステップS1507)。具体的には、たとえば、管理装置601は、待機位置までの走行ルートを対象搬送車104に送信して、対象搬送車104を待機位置まで誘導する。
【0090】
対象搬送車104は、待機位置に到着すると、対象搬送棚113を回転板503に積載し、対象搬送車104から情報を収集し、積載完了通知を管理装置601に送信する(ステップS1508)。具体的には、たとえば、対象搬送車104は、積載した対象搬送棚113の底面301aの識別コード400を撮像部504で撮像して、識別コード400から対象搬送棚113の搬送棚ID1201を読み取り、識別コード400の位置検出パターン401~403の配置関係から回転板503に積載したときの対象搬送棚113の向き(たとえば、A面の向き)を特定する。そして、対象搬送車104は、対象搬送車104の搬送車ID1001と、対象搬送棚113の搬送棚ID1201と、対象搬送車104の向きと、を含む積載完了通知を管理装置601に送信する。
【0091】
管理装置601は、積載完了通知に含まれる対象搬送車104の搬送車ID1001、対象搬送棚113の搬送棚ID1201、および対象搬送車104の向きをステップS1514が完了するまで管理する。
【0092】
積載完了通知を受信すると、管理装置601は、搬送棚DB614において積載完了通知に含まれている搬送棚ID1201のエントリの搬送棚ステータス1205を「出庫」に更新し、最新位置1204を待機位置のXY座標値に更新するように、コントローラ602に指示する。また、管理装置601は、搬送車情報DB612において積載完了通知に含まれている搬送車ID1001のエントリの搬送車ステータス1003を「迎車」から「搬送」に更新する(ステップS1509)。
【0093】
つぎに、管理装置601は、方向特定を実行する(ステップS1510)。具体的には、たとえば、管理装置601は、入荷対象物品の保管先となる搬送棚113を搬送車104が積載した場合に搬送棚113に表示されている識別コード400が撮像部504によって撮像された結果、搬送棚113の搬送棚ID1201とA面の向き(第1方向)とを特定する。すなわち、管理装置601は、搬送車104から搬送棚ID1201とA面の向き(第1方向)とを取得する。
【0094】
そして、管理装置601は、在庫情報DB613を参照して、入荷対象物品が、取得した搬送棚ID1201の搬送棚113に保管される保管先棚面1104を特定する。そして、管理装置601は、取得したA面の向き(第1方向)に基づいて、保管先棚面1104の向き(第2方向)を特定する。たとえば、保管先棚面1104がA面であれば、第2方向は第1方向と同一方向として特定される。保管先棚面1104がB面であれば、第2方向は第1方向とは逆方向(180度反転した方向)として特定される。保管先棚面1104がC面であれば、第2方向はZ軸回りに第1方向から時計回り方向に90度回転した方向として特定される。保管先棚面1104がD面であれば、第2方向はZ軸回りに第1方向から時計回り方向に270度回転した方向として特定される。
【0095】
そして、管理装置601は、対象搬送棚113を積載した対象搬送車104を、入荷元となるピッキングステーションPSの位置まで移動制御する(ステップS1511)。具体的には、たとえば、管理装置601は、対象搬送車104に入荷元となるピッキングステーションPSの位置までの走行ルートを送信して、対象搬送車104を入荷元となるピッキングステーションPSの位置まで誘導する。対象搬送車104は、管理装置601からの移動制御にしたがって搬送領域103内を移動する(ステップS1512)。
【0096】
つぎに、管理装置601は、対象搬送棚113を回転制御する(ステップS1513)。具体的には、たとえば、管理装置601は、対象搬送車104が入荷元となるピッキングステーションPSの手前のメッシュに到着すると、搬送車情報DB612の最新位置1002を参照して、
図14での説明と同様、対象搬送車104の周囲に他の搬送車104が存在するか否かを判断する。
【0097】
他の搬送車104が存在しない場合、管理装置601は、ステップS1510で特定された保管先棚面1104の向き(第2方向)と、搬送車104から移動先であるピッキングステーションPSへの第3方向と、に基づいて、第2方向が第3方向となるように対象搬送棚113を回転制御する。本例の場合、搬送車104がピッキングステーションPSの手前のメッシュに到着した場合に、搬送車104の正面501および搬送棚113のA面がピッキングステーションPSと対向するため、第3方向はA面の向き(第1方向)となる。したがって、管理装置601は、第2方向が第1方向となるように対象搬送棚113を回転制御する。
【0098】
このように、対象搬送車104は、管理装置601からの回転制御にしたがって回転板503を回転させる(ステップS1514)。具体的には、たとえば、入荷対象物品の保管先棚面1104が「A」であれば、
図13に示したような回転制御となる。入荷対象物品の保管先棚面1104が「B」であれば、管理装置601は、B面が入荷元のピッキングステーションPSと対向するように、対象搬送車104に対し対象搬送棚113を回転制御する。入荷対象物品の保管先棚面1104が「C」、「D」の場合も同様である。
【0099】
このあと、管理装置601は、端末603から収容完了通知を取得する(ステップS1515)。具体的には、たとえば、作業員は、対象搬送棚113の入荷対象物品の最新位置となる棚面1202の棚段に入荷対象物品を収容する。端末603は、作業員の操作により、入荷対象物品の収容が完了した旨を示す収容完了通知を管理装置601に送信する。収容完了通知には、入荷対象物品の物品ID1101および収容した数量1102が含まれる。
【0100】
収容完了通知を受信すると、管理装置601は、在庫情報DB613を参照して、収容完了通知に含まれる入荷対象物品の物品ID1101のエントリを特定し、数量1102を更新する。また、管理装置601は、入荷対象物品の物品ID1101のエントリから、保管先搬送棚ID1103を対象搬送棚113の搬送棚IDとして特定し、積載完了通知において、当該搬送棚ID1201に対応する対象搬送車104の搬送車ID1001を特定する。そして、管理装置601は、搬送棚DB614において対象搬送棚113の搬送棚ID1201のエントリの搬送棚ステータス1205を「待機」に更新し、最新位置1204を待機位置のXY座標値に更新するように、コントローラ602に指示する。
【0101】
また、管理装置601は、搬送車情報DB612において対象搬送車104の搬送車ID1001のエントリの搬送車ステータス1003を「搬送」から「待機」に更新する(ステップS1516)。このようにして、入荷対象物品がピッキングステーションPSから搬送棚113に収容されることになる。
【0102】
なお、
図14および
図15において、搬送車ステータス1003が「待機」となった搬送車104は、その位置に滞在したままでもよく、搬送領域103内のあらかじめ指定された待機位置に移動してもよい。
【0103】
図16は、搬送棚113の入庫シーケンス例を示すシーケンス図である。搬送棚113の自動倉庫101への入庫は、
図14に示したように当該搬送棚113から出荷対象物品がピッキングされた後、および、
図15に示したように入荷対象物品が搬送棚113に収納された後に実行される。
図16の搬送棚113の入庫シーケンスは、たとえば、
図14のピッキング完了通知および
図15の収容完了通知を契機にして、または、端末603からの入庫指示により、実行される。また、
図16では、フリーロケーションによる運用を例に挙げて説明するが、個々の搬送棚113のブロックr(i,j)が固定であってもよい。
【0104】
管理装置601は、入庫すべき対象搬送棚113を特定する(ステップS1601)。具体的には、たとえば、管理装置601は、ピッキング完了通知や収容完了通知の対象となった搬送棚113の搬送棚ID1201を、ピッキング完了通知や収容完了通知から取得することで、対象搬送棚113を特定する。また、管理装置601は、端末603からの指定により、搬送棚113の搬送棚ID1201を特定してもよい。
【0105】
つぎに、コントローラ602は、管理装置601からの指示により、搬送棚DB614において、ステップS1601で特定された対象搬送棚113の搬送棚ステータス1205を「入庫」に更新し、更新完了通知を管理装置601に返す(ステップS1602)。
【0106】
つぎに、管理装置601は、搬送車104を探索する(ステップS1603)。具体的には、たとえば、管理装置601は、搬送車情報DB612を参照して、搬送車ステータス1003が「待機」であるエントリの中からいずれかのエントリの搬送車ID1001の搬送車104を選択する。より好ましくは、管理装置601は、搬送車ステータス1003が「待機」であるエントリのうち、搬送車104の最新位置1002と対象搬送棚113の最新位置1204(待機位置)との間の距離が最短である搬送車104を選択する。
【0107】
つぎに、管理装置601は、ステップS1603で選択された搬送車104(以下、対象搬送車104)の搬送車ステータス1003を「迎車」に更新し(ステップS1604)、対象搬送車104を、対象搬送棚113の最新位置1204(待機位置)に呼び出す(ステップS1605)。具体的には、たとえば、管理装置601は、対象搬送棚113の待機位置までの走行ルートを対象搬送車104に送信して、対象搬送車104を対象搬送棚113の待機位置まで誘導する。
【0108】
対象搬送車104は、対象搬送棚113の最新位置(待機位置)に到着すると、対象搬送棚113を回転板503に積載し、対象搬送車104から情報を収集し、積載完了通知を管理装置601に送信する(ステップS1606)。具体的には、たとえば、対象搬送車104は、積載した対象搬送棚113の底面301aの識別コード400を撮像部504で撮像して、識別コード400から対象搬送棚113の搬送棚IDを読み取る。そして、対象搬送車104は、対象搬送車104の搬送車ID1001と、対象搬送棚113の搬送棚IDと、を含む積載完了通知を管理装置601に送信する。
【0109】
管理装置601は、積載完了通知に含まれる対象搬送車104の搬送車ID1001、対象搬送棚113の搬送棚IDをステップS1612が完了するまで管理する。
【0110】
積載完了通知を受信すると、管理装置601は、搬送車情報DB612において積載完了通知に含まれている搬送車ID1001のエントリの搬送車ステータス1003を「迎車」から「搬送」に更新する(ステップS1607)。
【0111】
そして、管理装置601は、対象搬送棚113を積載した対象搬送車104を、搬送設備102まで移動制御する(ステップS1608)。具体的には、たとえば、管理装置601は、搬送設備102までの走行ルートを対象搬送車104に送信して、対象搬送車104を搬送設備102まで誘導する。なお、搬送設備102には、ラック111ごとにコンベア121があるが、対象搬送車104の移動先となるコンベア121は、いずれのコンベア121でもよい。
【0112】
たとえば、対象搬送車104から最も近いコンベア121でもよい。また、管理装置601は、入出庫頻度、すなわち、入荷情報および出荷情報から入荷予定回数および出荷予定回数の合計が大きいほど、ピッキングステーションPSに近いコンベア121に誘導する。これにより、搬送棚113の効率的な入出庫を実現することができる。このあと、対象搬送車104は、管理装置601からの移動制御にしたがって搬送領域103内を移動する(ステップS1609)。
【0113】
管理装置601は、対象搬送車104の現在位置を対象搬送車104から受信して、対象搬送車104が搬送設備102に到着したことを検出した場合、対象搬送棚113の移載指示を対象搬送車104に指示する(ステップS1610)。対象搬送車104は、対象搬送棚113をコンベア121に移載する(ステップS1611)。これにより、対象搬送棚113は、コンベア121の他端から一端に搬送される。そして、管理装置601は、対象搬送車104の搬送車ステータス1003を「待機」に更新する(ステップS1612)。
【0114】
また、移載指示は、コントローラ602にも送信される。コントローラ602は、移載指示を受信すると、空きブロックr(i,j)を検索する(ステップS1613)。そして、コントローラ602は、スタッカークレーン112を制御して、検索された空きブロックr(i,j)に対象搬送棚113を入庫する(ステップS1614)。このあと、コントローラ602は、搬送棚DB614を更新する(ステップS1615)。具体的には、たとえば、コントローラ602は、搬送棚DB614の入庫列1203を、対象搬送棚113を入庫したラック111のIDに更新し、最新位置1204を、入庫したラック111のブロックr(i,j)に更新し、搬送棚ステータス1205を「収容」に更新する。
【0115】
図14および
図15で説明したように、自動倉庫101から搬送棚113を出庫する場合であっても、搬送車104が搬送棚113を積載するときに識別コード400を撮像部504で撮像することによりA面の向きを検出する。したがって、
図16で説明したように、自動倉庫101は、搬送棚113の棚面の向きを考慮せずに空きブロックr(i,j)に搬送棚113を入庫することができる。
【0116】
以上説明したように、上述した実施例によれば、搬送棚113が有する複数方向の棚面に対する物品の収容作業および取出し作業の容易化を図ることができ、作業の生産性が向上する。また、上述した実施例では、管理装置601が搬送車104の移動制御と回転板503の回転制御を行ったが、搬送車104が搬送車104の移動制御と回転板503の回転制御とを自律的に実行してもよい。すなわち、搬送車104は、
図14に示した管理装置601の処理のうち少なくともステップS1411、S1413と、
図15に示した管理装置601の処理のうち少なくともステップS1511、S1513と、を実行する。
【0117】
また、上述した実施例では、搬送車104は回転板503を有するが、回転板503に替えて、搬送棚113を積載可能な回転しない板でもよい。この場合、搬送車104は、搬送車104自身がZ軸回りに回転することで、搬送棚113の棚面の向きを変えることができる。
【0118】
また、上述した実施例では、搬送棚113は、自動倉庫101から出庫され、その後、自動倉庫101に入庫されるが、出庫頻度が高い搬送棚113については、管理装置601は、自動倉庫101に入庫せずに、中継地点B1~B3に待機させてもよい。具体的には、たとえば、管理装置601は、入荷情報および出荷情報を参照して、入荷回数および出荷回数の合計がしきい値以上となる搬送棚113を、自動倉庫101に入庫させずに中継地点B1~B3に待機するよう、搬送車104により誘導することができる。
【0119】
また、2つの中継地点B1,B2が連結した1つのバッファ領域に待機中の搬送棚113が存在する場合、管理装置601は、あるピッキングステーションPSにおける出荷頻度が高い物品や出荷順が早い物品を保管する搬送棚113を、中継地点B1,B2のうち、よりピッキングステーションPSに近い領域に配置するよう搬送車104を移動制御する。
【0120】
たとえば、搬送領域103を移動先に向かって移動中の搬送棚113(中継地点B1,B2にすでに配置されている搬送棚113でもよい)のうち、当該移動先における出荷頻度が高い物品ほど、当該物品を保管する搬送棚113を、その移動先となるピッキングステーションPSにより近い中継地点B1,B2内の位置に配置される。当該移動先がピッキングステーションPS1であれば、たとえば、出荷頻度がP1の物品を保管する搬送棚113は、中継地点B2側の領域に配置され、出荷頻度がP2(<P1)の物品を保管する搬送棚113は、中継地点B1側の領域に配置される。
【0121】
また、出荷作業は順次行われるため、中継地点B1,B2から他のバッファ領域(たとえば、中継地点B3)に配置換えされる場合もある。たとえば、中継地点B1,B2にすでに配置されている搬送棚113のうち、移動先となるピッキングステーションPS2への出荷頻度が高い物品ほど、管理装置601は、当該物品を保管する搬送棚113を、中継地点B3に配置替え(中継地点B1,B2で搬送棚113を積載、中継地点B3へ移動、中継地点B3で搬送棚113を積み下ろし)する。
【0122】
また、このようなバッファ領域の配置制御は、物品の出荷頻度ではなく、物品の出荷順に基づいて実行されてもよい。出荷順の場合、たとえば、管理装置601は、ステップS1401で取得した出荷情報を参照して、未出荷物品の中で出荷順が早い物品を保管する搬送棚113を、バッファ領域である中継地点B1~B3に待機させてもよい。具体的には、たとえば、管理装置601は、出荷情報を参照して、未出荷物品のうち出荷順が早いほど、当該未出荷物品を保管する搬送棚113を、移動先のピッキングステーションPSにより近い中継地点B1~B3に待機するよう、搬送車104により誘導することができる。
【0123】
また同様に、2つの中継地点B1,B2が連結した1つのバッファ領域に待機中の搬送棚113が存在する場合、管理装置601は、未出荷物品の中で出荷順が早い物品ほど、当該物品を保管する搬送棚113を、中継地点B1,B2のうち、よりピッキングステーションPSに近い領域に配置するよう搬送車104を移動制御する。
【0124】
たとえば、搬送領域103を自動倉庫101に向かって移動中の搬送棚113(中継地点B1,B2にすでに配置されている搬送棚113でもよい)のうち、出荷順が早い物品ほど、当該物品を保管する搬送棚113を、その移動先となるピッキングステーションPSにより近い中継地点B1,B2内の位置に配置される。当該移動先がピッキングステーションPS1であれば、たとえば、出荷順(順位の値が小さいほど早い)がQ1の物品を保管する搬送棚113は、中継地点B2側の領域に配置され、出荷順がQ2(>Q1)の物品を保管する搬送棚113は、中継地点B1側の領域に配置される。
【0125】
また、出荷作業は順次行われるため、中継地点B1,B2から他のバッファ領域(たとえば、中継地点B3)に配置換えされる場合もある。たとえば、中継地点B1,B2にすでに配置されている搬送棚113のうち、移動先となるピッキングステーションPS2への出荷順が早い物品ほど、管理装置601は、当該物品を保管する搬送棚113を、中継地点B3に配置替え(中継地点B1,B2で搬送棚113を積載、中継地点B3へ移動、中継地点B3で搬送棚113を積み下ろし)する。
【0126】
このように、出荷頻度や出荷順に基づいて、搬送棚113を自動倉庫101に入庫させずにバッファ領域に待機させることにより、倉庫管理システム100は、搬送棚113の自動倉庫101への無駄な入庫作業を低減し、物品の出荷作業を効率的に行うことができる。
【0127】
また、移動先となるピッキングステーションPSで搬送棚113に対するピッキングが終了した後、搬送棚113を自動倉庫101に入庫する場合、自動倉庫101への入庫タイミングを調整したい場合がある。その場合、搬送棚113を中継地点B1~B3のうち自動倉庫101により近い領域に移動させるようにしてもよい。本構成により、搬送棚113を自動倉庫101へ入庫するタイミングが来た場合に、中継地点B1~B3から自動倉庫101までの搬送棚113の搬送時間を低減することが可能となる。
【0128】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
【0129】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0130】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【0131】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0132】
100 倉庫管理システム
101 自動倉庫
102 搬送設備
103 搬送領域
104 搬送車
111 ラック
112 スタッカークレーン
113 搬送棚
121 コンベア
301a 底面
310 挿入孔
400 識別コード
401 凹部
401~403 位置検出パターン
501 正面
502 上面
503 回転板
504 撮像部
601 管理装置
602 コントローラ
603 端末
611 地図情報DB
612 搬送車情報DB
613 在庫情報DB
614 搬送棚DB