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特許7182676周期的堆積により基材上に金属性膜を形成する方法及び関連する半導体デバイス構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】周期的堆積により基材上に金属性膜を形成する方法及び関連する半導体デバイス構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/285 20060101AFI20221125BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20221125BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L21/285 C
H01L21/90 C
C23C16/455
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021145259
(22)【出願日】2021-09-07
(62)【分割の表示】P 2018024655の分割
【原出願日】2018-02-15
(65)【公開番号】P2021192455
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】15/434,051
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516317045
【氏名又は名称】アーエスエム・イーぺー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】カティア・ヴァユリュネン
(72)【発明者】
【氏名】ミッコ・リタラ
(72)【発明者】
【氏名】マルック・レスケラ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-042781(JP,A)
【文献】特開2015-021175(JP,A)
【文献】特表2013-501714(JP,A)
【文献】特表2014-534333(JP,A)
【文献】特表2016-540038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0234550(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0201541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/285
H01L 21/768
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に基材を保持するために構成され、配置されている反応チャンバー;
反応チャンバーに流動的に連結されている第1の前駆体反応物質源;
反応チャンバーに流動的に連結されている第2の前駆体反応物質源;及び
第1の前駆体反応物質源及び第2の前駆体反応物質源と電子的に連絡しているシステム動作及び制御機構;
を含む基材上に金属性膜を形成するシステムであって、
第1の前駆体反応物質源は、銅、ニッケル又はコバルトの少なくとも1つを含むハロゲン非含有金属前駆体を保持するために構成され、配置されており、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも1つの酸素原子及び少なくとも1つの窒素原子を介して金属原子に結合する少なくとも1つの配位子を含み、
第2の前駆体反応物質源は、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を保持するために構成され、配置されており、
システム動作及び制御機構は、ハロゲン非含有金属前駆体が第1の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで選択的に流れるように、炭化水素置換ヒドラジン前駆体が第2の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで選択的に流れるように、構成されている、
前記システム。
【請求項2】
パージガスを保持するために構成され、配置されている反応チャンバーに流動的に連結されているパージガス源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
パージガスは、アルゴンガス、窒素ガス又はヘリウムガスの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
システム動作及び制御機構は、
ハロゲン非含有金属前駆体を第1の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで流すこと、及び
炭化水素置換ヒドラジン前駆体を第2の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで流すこと、
を含む動作を行うために構成され、配置されており、
金属性膜は、ハロゲン非含有金属前駆体及び炭化水素置換ヒドラジン前駆体が反応チャンバーに流されて基材と接触したことにより基材上に形成される、
請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記動作が、さらに、ハロゲン非含有金属前駆体を反応チャンバーから排出した後に、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を第2の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで流すことを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ハロゲン非含有金属前駆体を反応チャンバーから排出することが、パージガスをパージガス源から反応チャンバーまで流すことを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
炭化水素置換ヒドラジン前駆体を反応チャンバーまで流した後、直ぐにハロゲン非含有金属前駆体を反応チャンバーに流すか、又は直ぐにパージガスを反応チャンバーまで流す、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記動作が、ハロゲン非含有金属前駆体を第1の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで流すこと、及び、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を第2の前駆体反応物質源から反応チャンバーまで流すこと、を交互に及び連続して行うことを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
炭化水素置換ヒドラジン前駆体がC1-C10炭化水素基を含む、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
炭化水素置換ヒドラジン前駆体が芳香族炭化水素基を含む、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
炭化水素置換ヒドラジン前駆体が、分枝鎖アルキル基又は少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基のsec-又はtert-異性体を含む、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
ハロゲン非含有金属前駆体が、少なくとも1つの二座配位子を含む、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
ハロゲン非含有金属前駆体が、少なくとも2つのハロゲン非含有配位子を含む、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
ハロゲン非含有金属前駆体及び炭化水素置換ヒドラジン前駆体が、プラズマ反応物質を含まない、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
内部に基材を保持するために構成され、配置されている反応チャンバー;
反応チャンバーに流動的に連結されている第1の前駆体反応物質源;
反応チャンバーに流動的に連結されている第2の前駆体反応物質源;及び
第1の前駆体反応物質源及び第2の前駆体反応物質源と電子的に連絡しているシステム動作及び制御機構;
を含む基材上に金属性膜を形成するシステムであって、
第1の前駆体反応物質源は、銅、ニッケル又はコバルトの少なくとも1つを含むハロゲン非含有金属前駆体を保持するために構成され、配置されており、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも1つの酸素原子及び少なくとも1つの窒素原子を介して金属原子に結合する少なくとも1つの配位子を含み、
第2の前駆体反応物質源は、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を保持するために構成され、配置されており、
システム動作及び制御機構は、ハロゲン非含有金属前駆体を基材と接触させること、及び、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を基材と接触させること、を含む、基材上に周期的堆積を完了するための動作を行うように構成され、配置されており、
炭化水素置換ヒドラジン前駆体を基材と接触させた後、直ぐにハロゲン非含有金属前駆体を基材と接触させるか、又はハロゲン非含有金属前駆体を基材と接触させた後パージガスを反応チャンバーまで流すことを含む介在動作を直ぐに行う、
前記システム。
【請求項16】
周期的堆積は、原子層堆積を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記周期的堆積は、周期的化学蒸着を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
炭化水素置換ヒドラジン前駆体が、C4-C8炭化水素基を含む、請求項15~17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
パージガスを含み、反応チャンバーに流動的に連結されているパージガス源をさらに含む、請求項15~18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記動作が、ハロゲン非含有金属前駆体を基材と接触させること、及び、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を基材と接触させること、を交互に及び連続して行うことを含む、請求項15~19のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
共同研究協約の当事者
本願で特許請求される発明は、ヘルシンキ大学(the University of Helsinki)とASM Microchemistry Oyとの間の共同研究協約によって、又は共同研究協約のために、及び/
又は共同研究協約に関連してなされた。当協約は、特許請求される発明がなされた日及びその日以前に発効しており、特許請求される発明は、当協約の範囲内で取り組まれた活動の結果としてなされたものである。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概ね、周期的堆積により、基材上に金属性膜を形成する、特に銅、コバルト及びニッケルの少なくとも1つを含む金属性膜を形成する方法に関する。本開示はまた、
周期的堆積によって形成される金属性膜を含む半導体デバイス構造にも関する。
【0003】
関連技術
銅、コバルト及びニッケルを含む金属性膜等の金属性膜は、半導体デバイス構造の製造に利用されることができる。例えば、銅は、抵抗率が低く、かつ銅膜が示すエレクトロマイグレーション耐性が高いため、マイクロエレクトロニクスデバイスの主要な相互接続材料となっている。銅の相互接続は、銅シード層が最初に物理蒸着(PVD)により形成され、続いて次の銅充填プロセスが電着プロセスにより行われる2段階プロセスにより製造されることができる。しかし、次世代マイクロエレクトロニクスデバイスの開発は、半導体デバイスの形体サイズの縮小化に依存する。したがって、銅シード層は、低抵抗率を示すだけでなく、共形に形成することもできる極めて薄い膜であることが要求されることがある。
【0004】
PVD技術では固有の共形性に限定されるために、例えば銅シード層の形成用等の半導体デバイス構造の製造に利用する金属性膜を共形に堆積させる、より適した堆積プロセスが必要とされる。周期的堆積、例えば、原子層堆積プロセスを用いて、基材の表面での反応のために2つ以上の気体前駆体の供給を交互に行うことにより金属性膜を共形に形成することができる。原子レベルの精度で均一で共形な金属性膜を堆積させることができる原子層堆積プロセスを構成する反応工程は、自己制御的であることができる。
【0005】
一例として、半導体デバイス構造の製造のための銅の周期的堆積が研究されており、塩化銅(CuCl)、亜鉛(Zn)及び水素(H)を含む前駆体を利用することができる。しかし、低温での高品質の銅膜の堆積は困難な問題であることが判明している。凝集を抑制し、銅の薄い連続膜の堆積を可能にする原子層堆積プロセスなどの周期的堆積では、低い堆積温度を利用することができる。しかし、大部分の銅ALDプロセスは、高温堆積技術を必要とし、低温プロセスは主にプラズマ強化プロセスにより達成されるが、基材の劣化及び共形性が劣る被覆をもたらす可能性がある。
【0006】
したがって、低い堆積温度で金属性膜を堆積することができる方法及び半導体デバイス構造が望ましく、その堆積プロセスでは高品質で共形な金属性膜を提供することができる。
【発明の概要】
【0007】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供される。これらの概念は、以下の開示の例示の実施形態の詳細な説明において更に詳細に説明される。この
発明の概要は、請求項に記載の主題の重要な特徴も、本質的な特徴も特定することを意図するものではなく、請求項に記載の主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0008】
いくつかの実施形態では、周期的堆積により基材上に金属性膜を形成する方法が提供される。この方法は、基材を、銅、ニッケル又はコバルトの少なくとも1つを含むハロゲン非含有金属前駆体を含む第1の反応物質と接触させることと、基材を炭化水素置換ヒドラジン前駆体を含む第2の反応物質と接触させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを特に指摘し、明確に主張し特許請求の範囲で結論付けるが、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと開示の実施形態のいくつかの例の説明からより容易に確認することができる。添付の図面において、
図1】本開示の実施形態に従って形成される銅膜のX線回折(XRD)スキャンを示すグラフである。
図2】本開示の実施形態に従って形成される半導体デバイス構造の単純化された断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態を実施するように構成された反応システムを例示する図である。
図4】本開示の実施形態に従って形成される銅膜の飛行時間型弾性反跳粒子検出分析(TOF-ERDA)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造、又はデバイスの実際の図であることを意味するものではなく、本開示の実施形態を説明するために使用される単に理想化された表現にすぎない。
【0011】
本明細書で使用される「周期的堆積」という用語は、基材上に層を堆積させるために反応チャンバーに前駆体(反応物質)を連続的に導入することを指し、原子層堆積及び周期的化学蒸着などの処理技術を含む。
【0012】
本明細書で使用される「原子層堆積」(ALD)という用語は、堆積サイクル、好ましくは複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。典型的には、各サイクルの間、前駆体は、堆積表面(例えば、基材の表面又は以前に堆積させた下地の表面、例えば、以前のALDサイクルを用いて堆積させた材料等)に化学吸着し、追加の前駆体と容易に反応しない単分子層又はサブ単分子層を形成する(即ち、自己制御反応)。その後、必要に応じて、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体又は反応ガス)をその後プロセスチャンバー内に導入することができる。典型的には、この反応物質は前駆体と更に反応することができる。更に、各サイクル中にパージ工程を利用して、化学吸着した前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去する、並びに/又は過剰の反応物質及び/若しくは反応副生成物をプロセスチャンバーから除去することができる。更に、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語は、関連する用語、例えば、「化学蒸着原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、又は有機金属MBE、並びに前駆体組成物、反応性ガス、及びパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシー等、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0013】
本明細書で使用される「周期的化学蒸着」という用語は、基材を2つ以上の揮発性前駆
体に逐次曝し、その前駆体が基材上で反応及び/又は分解して所望の堆積物を生成する、任意のプロセスを指すことができる。
本明細書で使用される「基材」という用語は、使用され得る、又はその上にデバイス、回路若しくは膜が形成され得る任意の下地材料又は複数の下地材料を指すことができる。
【0014】
本明細書で使用される「炭化水素置換ヒドラジン」という用語は、少なくとも1つの炭化水素置換基を含み得るヒドラジン(N)の誘導体を指すことができる。
【0015】
本明細書で使用される「ハロゲン非含有金属前駆体」という用語は、ハロゲン種を実質的に含まない金属前駆体を指すことができる。
【0016】
本開示は、周期的堆積プロセスにより基材上に金属性膜を形成する方法、及び周期的堆積プロセスにより形成される金属性膜を含む半導体デバイス構造自体を含む。開示の方法は、例えば銅、コバルト及びニッケル等の金属性膜の周期的堆積方法を含み得る。この開示はまた、金属性相互接続の少なくとも一部として、銅等の金属性膜を利用することも含み得る。この開示はまた、低減された電気抵抗率及び望ましい結晶学的特性を有する金属性膜を形成する方法も含み得る。このような方法及び半導体デバイス構造の例を、以下で更に詳細に開示する。
【0017】
周期的堆積プロセスの非限定的な例示の実施形態はALDを含み、ALDは典型的な自己制御反応に基づいており、それにより反応物質の逐次及び交互パルスを用いて、堆積サイクル当たり材料の約1原子(又は分子)単層を堆積する。堆積条件及び前駆体は、典型的には、1つの反応物質の吸着層が同じ反応物質の気相の反応物質と非反応性の表面終端
を残すように、自己飽和反応を提供するように選択される。その後、基材を、前の終端と反応する異なる反応物質と接触させ、連続的な堆積を可能にする。従って、交互パルスの各サイクルは、典型的には、所望の材料の約1層以下の単層を残す。しかし、上記のように、1つ又は複数のALDサイクルにおいて、例えば、交互するプロセスの性質にもかかわらずいくつかの気相反応が起こる場合、材料の1つより多い単層を堆積させることができることを、当業者は認識するであろう。
【0018】
金属性膜を堆積させるALDタイプのプロセスでは、1回の堆積サイクルは、基材を第1の反応物質に曝すことと、任意の未反応の第1の反応物質及び反応副生成物を反応空間から除去することと、基材を第2の反応物質へ曝すことと、を含むことができ、第2の除去する工程に続く。第1の反応物質は、ハロゲン非含有金属前駆体を含むことができ、第2の反応物質は、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を含むことができる。
【0019】
前駆体は、反応物質間の気相反応を防止し、自己飽和表面反応を可能にするように、アルゴン(Ar)又は窒素(N)のような不活性ガスによって分離されることができる。しかし、いくつかの実施形態では、基材を移動させて、第1の気相の反応物質と第2の気相の反応物質とを、別々に接触させることができる。反応が自己飽和するので、基材の厳密な温度制御及び前駆体の正確な投与量制御は通常必要ではない。しかし、基材温度は、入射ガス種が単層に凝縮しないように、及び表面で分解しないようにすることが好ましい。基材を次の反応性化学物質と接触させる前に、余分な化学物質及び反応副生成物がある場合には、それらを、例えば反応空間をパージすることにより又は基材を移動させることにより、基材の表面から除去する。望ましくない気体の分子を、不活性パージガスを用いて反応空間から効果的に排出することができる。パージを促進するために、真空ポンプを使用することができる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、ALDプロセスは、集積回路ワークピース等の基材上に金属性膜を形成するために使用される。本開示のいくつかの実施形態では、各ALDサイ
クルは、2つの異なる堆積工程又は段階を含む。堆積サイクルの第1段階(「金属段階」)では、堆積が望まれる基材の表面を、基材の表面上に化学吸着する金属前駆体を含み、基材の表面上に反応物質種の約1層以下の単層を形成する第1の気相の反応物質と接触させる。
【0021】
薄膜を成長させるために使用することができる反応器を堆積に使用し得る。このような反応器としては、前駆体を供給するための適切な装置及び手段を備えたALD反応器、並びにCVD反応器が挙げられる。いくつかの実施形態によれば、シャワーヘッド反応器を使用し得る。
【0022】
使用することができる適切な反応器の例としては、アリゾナ州フェニックスのASM America, Inc.、及びオランダ アルメアのASM Europe B.V. から入手可能な、市販の単一基材(又は単一ウェーハ)堆積装置、例えば、Pulsar(登録商標)反応器(例えば、Pulsar(登録商標)2000、Pulsar(登録商標)3000、及びPulsar(登録商標)XP ALD等)、並びにEmerALD(登録商標)XP及びEmerALD(登録商標)反応器等が挙げられる。他の市販の反応器としては、商品名Eagle(登録商標)XP及びXP8、日本エー・エス・エム(株)(日本東京)製の反応器が挙げられる。いくつかの実施形態では、反応器は処理中に基材が移動又は回転する空間ALD反応器である。
【0023】
いくつかの実施形態では、バッチ式反応器を使用し得る。適切なバッチ式反応器としては、商品名A400及びA412PLUSでASM Europe B.V (オランダ アルメア)から市販のAdvance
(登録商標)400シリーズ反応器が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施
形態では、処理中に反応器内でボートが回転するA412等の垂直バッチ式反応器が利用される。したがって、いくつかの実施形態では、ウェーハは処理中に回転する。他の実施形態では、バッチ式反応器は、10枚以下のウェーハ、8枚以下のウェーハ、6枚以下のウェーハ、4枚以下のウェーハ、又は2枚のウェーハを収容するように構成されたミニバッチ反応器を備える。バッチ式反応器が使用されるいくつかの実施形態では、ウェーハ間の均一性は3%(1シグマ)未満、2%未満、1%未満又は更には0.5%未満である。
【0024】
本明細書に記載の堆積プロセスを、クラスターツールに連結された反応器又は反応空間で任意に行うことができる。クラスタツールでは、各反応空間が1つのタイプのプロセス専用であるため、各モジュール内の反応空間の温度を一定に保つことができ、各運転の前に基材をプロセス温度まで加熱する反応器と比較してスループットが向上する。更に、クラスターツールでは、反応空間を基材間で所望のプロセス圧力レベルに排気する時間を短縮することが可能である。
【0025】
独立型反応器にはロードロックが装備されている。その場合、各運転と運転との間に反応空間を冷却する必要はない。いくつかの実施形態では、金属性膜を含む薄膜を堆積させる堆積プロセスは、複数の堆積サイクル、例えばALDサイクルを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、基材上に金属性膜を形成するのに使用され、周期的堆積プロセスはALDタイプのプロセスであることができる。いくつかの実施形態では、周期的堆積は、ハイブリッドALD/CVD又は周期的CVDプロセスであることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ALDプロセスの成長速度は、CVDプロセスと比較して低い場合がある。成長速度を増加させる1つのアプローチは、ALDプロセスにおいて典型的に使用される温度よりも高い基材温度で動作するアプローチであり、結果として化学蒸着プロセスになるが、更に前駆体の逐次導入を利用し、このようなプロセスは周期的CVDと呼ばれ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書で「金属化合物」とも呼ばれる金属前駆体は、ハロ
ゲン非含有金属前駆体を含むことができる。即ち、金属前駆体は実質的にハロゲン種を含まない。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、銅、コバルト及びニッケルのうちの1つを含むことができる。したがって、ハロゲン非含有金属前駆体は、Cu(dmap)(dmap=ジメチルアミノ-2-プロポキシド)、Ni(dmap)、又はCo(dmap)の少なくとも1つを含む。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が二座配位子中の少なくとも1つの酸素及び少なくとも1つの窒素原子を介して結合する少なくとも1つの二座配位子を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が二座配位子中の少なくとも1つの窒素原子を介して結合する少なくとも1つの二座配位子を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも1つの二座配位子及び少なくとも1つの他の配位子、例えば単座配位子等、を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも1つの二座配位子及び少なくとも2つの他の配位子、例えば単座配位子等、を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも1つの二座配位子及び少なくとも1つの他の配位子、例えば、N又はOを介して中心金属原子に結合する単座配位子等、を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が少なくとも1つの窒素原子を介して
結合し、二座配位子の窒素以外の少なくとも1つの原子を介して結合する少なくとも1つの二座配位子を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、中心金属原子が二座配位子中の2つの窒素原子を介して結合する少なくとも1つの二座配位子を含み得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、少なくとも2つの二座配位子を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、
2つの二座配位子を含む。好適なハロゲン化物非含有β-ジケチミナト(例えば、Ni(pda)2)、(pda=ペンタン-2,4-ジケチミナト)化合物のいくつかの例は、米国特許公開第2009/0197411A1号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる 好適なハロゲン化物非含有アミジネート化合物(例えば、Ni(iPr-AMD)2)のいくつかの例は、米国特許出願公開第2006/0141155A1号に記載されており、その開示は全体が本明細書に組み込まれる。好適なハロゲン化物非含有イミノアルコキシド化合物のいくつかの例は、米国特許公開第2014/0227444号A1に記載されており、その開示は全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、所望の金属(Co、Ni、Cu)以外の金属原子を含まない。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、0の酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、+Iの酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、+IIIの酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体中の金属は、+IIの酸化状態を有する。いくつかの実施形態では、酸化状態は、室温での前駆体中の金属の酸化状態である。酸化状態は、異なる条件、例えば、異なる圧力、温度、及び/又は雰囲気において、並びに前記異なる条件で異なる表面材料と接触した場合等、において変化し得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、F、Cl、Br及びI等のハロゲン化物を含まない。いくつかの実施形態では、ハロゲン非含有金属前駆体は、炭素、水素及び窒素、並びに場合により酸素を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物非含有銅前駆体は、例えばCu(dmap)又は銅(I)N,N’-ジイソプロピルアセトアミジネートを含み得る。. いくつかの実施形態では、銅前駆体は、銅β-ジケトネート化合物、銅β-ジケチミナト化合物、銅アミノアルコキシド化合物、例えば、Cu(dmae)、Cu(deap)又はCu(dmamb)、銅アミジネート化合物、例えば、Cu(Bu-amd)]、銅シクロペンタジエニル化合物、銅カルボニル化合物、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択されることができる。いくつかの実施形態では、X(acac)又はX(thd)化合物が用いられ、ここで、Xは銅、yは一般的に2又は3であるが必ずしもそうで
はなく、thdは2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナトである。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物非含有銅前駆体は、酢酸銅(II)、[Cu(HMDS)]4若しくはCu(nhc)HMDS(1,3-ジ-イソプロピル-イミダゾリン-2-イリデン銅ヘキサメチルジシラジド)、又はCu-β-ジケチミネート、例えば、Cu(dki)VTMS (dki=ジケチミネート)である。
【0029】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化物非含有ニッケル前駆体は、例えば、ビス(4-N-エチルアミノ-3-ペンテン-2-N-エチルイミノナト)ニッケル(II)であることができる。いくつかの実施形態では、ニッケル前駆体は、ニッケルβ-ジケトネート化合物、ニッケルβ-ジケチミナト化合物、ニッケルアミノアルコキシド化合物、ニッケルアミジネート化合物、ニッケルシクロペンタジエニル化合物、ニッケルカルボニル化合物及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、X(acac)又はX(thd)化合物が用いられ、ここで、Xはニッケルであり、yは一般的に2又は3であるが必ずしもそうではなく、thdは、2,2,6,6-テトラメチル-3,5ヘプタンジオナトである。
【0030】
いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoβ-ジケトイミナト化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoケトイミネート化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoアミジネート化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体はCoβ-ジケトイミネート化合物である。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、少なくとも1つのケトイミン配位子又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、少なくとも1つのアミジン配位子又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、少なくとも1つのケトネート配位子又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Co前駆体は、Co(CO)、CCTBA、CoCp、Co(Cp-amd)、Co(Cp(CO))、tBu-AllylCo(CO)、又はCo(HMDS)である。
【0031】
いくつかの実施形態では、基材をハロゲン非含有金属前駆体に曝すことは、基材上に金属前駆体(例えば、Cu(dmap))を約0.01秒~約60秒の時間、約0.05秒~約10.0秒の時間、約0.1秒~約5.0秒の時間パルス注入することを含む。更に、基材上に金属前駆体をパルス注入する間、金属前駆体の流量は、2000sccm未満、又は1000sccm未満、又は500sccm未満、又は200sccm未満、又は更に100sccm未満であることができる。
【0032】
過剰な金属前駆体及び反応副生成物がある場合には、それらを、例えば不活性ガスでパージすることにより、基材の表面から除去し得る。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、この方法は、基材の表面を約1.0秒未満の時間パージするパージサイクルを含み得る。過剰な金属前駆体及び任意の反応副生成物を、ポンプ装置により生成される真空を用いて除去することができる。
【0033】
堆積サイクルの第2の段階(「置換ヒドラジン段階」)では、基材を炭化水素置換ヒドラジン前駆体を含む第2の気相の反応物質と接触させる。本開示のいくつかの実施形態では、方法は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基を含むように置換ヒドラジンを選択することを更に含むことができ、ここで、「アルキル基」は、長さが少なくとも4個の炭素原子の飽和又は不飽和炭化水素鎖を指し、例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチル、並びにそれらの異性体、例えば、それらのn-、iso-、sec-及びtert-異性体等、であるが、これらに限定されない。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、アルキル基のすべての構造異性体形態を包含してもよい。いくつかの実施形態では、アルキル鎖は置換されていてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、アルキルヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも1つの水素を含み得る。本開
示のいくつかの実施形態では、アルキルヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも2つの水素を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、アルキルヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも1つの水素、及び窒素に結合した少なくとも1つのアルキル鎖を含み得る
。本開示のいくつかの実施形態では、第2の反応物質は、アルキルヒドラジンを含んでもよく、更に1つ又は複数のtert-ブチルヒドラジン(C)、ジメチルヒドラジン、又はジエチルヒドラジンを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも1つの炭化水素基を有する。本開示のいくつ
かの実施形態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも2つの炭化水素基を有する。本開示のいくつかの実施形態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも3つの炭化水素基を有する。本開示のいくつかの実施形態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも1つのC1-C3炭化水素基を有する。本開示のいくつかの実施形
態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した少なくとも1つのC4-C10炭化水素基を
有する。本開示のいくつかの実施形態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した直鎖、分枝鎖、又は環状若しくは芳香族炭化水素基を有する。本開示のいくつかの実施形態では、置換ヒドラジンは、窒素に結合した置換炭化水素基を含む。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、置換ヒドラジンは、以下の式を有する:
RIRII-N-NRIIIRIV , (1)
【0035】
ここで、Rは、炭化水素基、例えば、直鎖、分枝鎖、環状、芳香族又は置換炭化水素基等、から選択されることができ、RII基、RIII基、RIV基のそれぞれは、水素基又は炭化水素基、例えば、直鎖、分枝鎖、環状、芳香族又は置換炭化水素基等、であるように独立して選択されることができる。
【0036】
式(1)のいくつかの実施形態では、R、RII、RIII、RIVの各々は、直鎖、分枝鎖、環状、芳香族又は置換炭化水素基のようなC1-C10炭化水素、C1-C3炭化水素、C4-C10炭化水素、又は水素とすることができる。いくつかの実施形態では、R、RII、RIII、RIV基の少なくとも1つは、フェニル基のような芳香族基を含む。いくつかの実施形態では、R、RII、RIII、RIV基の少なくとも1つは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、tert-ブチル基又はフェニル基を含む。いくつかの実施形態では、各々のR、RII、RIII、RIV基の少なくとも2つは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、tert-ブチル基又はフェニル基を含むように、独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、RII、RIII及びRIV基は水素である。いくつかの実施形態では、RII、RIII及びRIV基の少なくとも2つ1つは水素である。いくつかの実施形態では、RII、RIII及び
IV基の少なくとも1つは水素である。いくつかの実施形態では、RII、RIII及びRIV基の全ては水素である。
【0037】
いくつかの実施形態では、基材を置換ヒドラジン前駆体に曝すことは、基材上に置換ヒドラジン前駆体(例えば、tertブチルヒドラジン)を0.1秒~2.0秒、若しくは約0.01秒~約10秒の時間、又は約20秒未満、約10秒未満、若しくは約5秒未満、パルス注入することを含む。更に、基材上に置換ヒドラジン前駆体をパルス注入する間、置換ヒドラジン前駆体の流量を、2000sccm未満、又は1000sccm未満、又は500sccm未満、又は更に100sccm未満とすることができる。
【0038】
置換ヒドラジン前駆体を含む第2の気相の反応物質は、基材の表面上に残った金属含有分子と反応し得る。いくつかの実施形態では、第2段階の置換ヒドラジン前駆体は、基材の表面に残った金属含有分子を還元し、それにより金属性膜を形成することができる還元剤を含み得る。例えば、第1の気相の反応物質は銅前駆体を含むことができ、第2の気相
の反応物質は還元剤を含むことができる。銅前駆体を反応チャンバーに導入して基材の表面に吸着させた後、過剰な銅前駆体蒸気をチャンバーから排気する、又はパージすることができる。このプロセスに続いて、基材の表面上で銅前駆体と反応する還元剤の導入が行われ、銅金属及び遊離形態の配位子を形成する。金属性膜の所望の厚さを達成するために、必要であればこの堆積サイクルを繰り返すことができる。
【0039】
例えば、パージガスのパルス注入及び/又は排気系により生成された真空により、基材の表面から過剰な第2の原料化学物質及び反応副生成物がある場合には、それらを除去してもよい。パージガスは、任意の不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)、窒素(N)又はヘリウム(He)等であることが好ましいが、これらに限定されない。1つの段階は
、パージ(即ち、パージガスパルス)又は他の反応物質除去工程が介在する場合、一般に別の段階の直後に続くと考えられる。
【0040】
基材を第1の気相の反応物質(即ち、ハロゲン非含有金属前駆体)及び第2の気相の反応物質(即ち、置換ヒドラジン前駆体)と交互に接触させる堆積サイクルは、所望の厚さの金属性膜が堆積されるまで2回以上繰り返され得る。当然のことながら、本開示のいくつかの実施形態では、基材を第1の気相の反応物質及び第2の気相の反応物質と接触させる順序は、基材を最初に第2の気相の反応物質と接触させるのに続いて、第1の気相の反応物質と接触させるようにすることができる。更に、いくつかの実施形態では、周期的堆積プロセスは、基材を第2の気相の反応物質と1回又は複数回接触させる前に、基材を第1の気相の反応物質と1回又は複数回接触させることを含むことができ、あるいは同様に、基材を第1の気相の反応物質と1回又は複数回接触させる前に、基材を第2の気相の反応物質と1回又は複数回接触させることを含むことができる。更に、本開示のいくつかの実施形態では、プラズマ反応物質を含まないように、例えば、第1及び第2の気相の反応物質はイオン化反応種を実質的に含まないように、第1の気相の反応物質及び第2の気相反応物を選択することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の気相の反応物質は、イオン化反応種、励起種及びラジカル種を実質的に含まない。例えば、第1の気相の反応物質及び第2の気相の反応物質の両方は、下地の基材のイオン化損傷及び関連する欠陥を防止するために、プラズマ反応物質を含まないことができる。
【0041】
ハロゲン非含有金属前駆体及び置換ヒドラジン前駆体を利用して金属性膜を形成する、本明細書に記載の周期的堆積プロセスは、加熱された基材を有するALD又はCVD堆積システムで実行され得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、基材を約80℃~約140℃の温度に加熱すること、又は更に基材を約80℃~約120℃の温度に加熱することを含み得る。もちろん、任意の所定の周期的堆積プロセス、例えばALD反応等の適切な温度ウィンドウは、表面終端及び含まれる反応物質種に依存するであろう。ここで、温度は使用される前駆体に応じて変化し、一般的に約700℃以下であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は一般的に蒸着プロセスでは約100℃以上であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は約100℃~約250℃であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は約120℃~約200℃である。いくつかの実施形態では、堆積温度は約500℃未満、約400℃未満又は約300℃未満である。いくつかの例では、例えば、追加の反応物質又は還元剤、例えば水素を含む反応物質若しくは還元剤等、がプロセス中で使用される場合、堆積温度は約200℃未満、約150℃未満、又は約100℃未満であることができる。場合によっては、堆積温度は約20℃より高く、約50℃より高く、及び約75℃より高くすることができる。
【0042】
本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、金属性膜を含む連続薄膜であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、約100nm未満、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約25nm未満、又は約20
nm未満、又は約15nm未満、又は約10nm未満、又は約5nm未満若しくはそれ未満の厚さで、連続的であることができる。本明細書で言及される連続性は、物理的連続性又は電気的連続性であることができる。いくつかの実施形態では、膜が物理的に連続し得る厚さは、膜が電気的に連続する厚さと同じでなくてもよく、膜が電気的に連続し得る厚さは、膜が物理的に連続している厚さと同じでなくてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、連続的であることができるが、いくつかの実施形態では、金属性膜を含む不連続薄膜、又は金属性膜を含む分離したアイランドを含む薄膜若しくは金属性膜を含むナノ粒子を含む薄膜を形成することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、金属性膜を含む堆積させた薄膜は、相互に実質的に物理的にも電気的にも連続していない銅、ニッケル又はコバルトを含むナノ粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、金属性膜を含む堆積させた薄膜は、金属膜を含む分離したナノ粒子又は分離したアイランドを含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、約100nm未満の厚さで約20μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約25nm未満、又は約20nm未満若しくはそれ未満の厚さで、約20μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約25nm未満、又は約20nm未満若しくはそれ未満の厚さで、約15μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、約60nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約25nm未満、又は約20nm未満若しくはそれ未満の厚さで、約10μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性膜を含む薄膜は、約30nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約8nm未満、又は約5nm未満若しくはそれ未満の厚さで、約200μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた金属性薄膜は、約100nm未満の厚さで、約200μΩcm未満、約100μΩcm未満、約50μΩcm未満、約30μΩcm未満、約20μΩcm未満、約18μΩcm未満、約15μΩcm未満、約12μΩcm未満、約10μΩcm未満、又は約8μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅を含む薄膜は、約100nm未満の厚さで、約200μΩcm未満、約100μΩcm未満、約50μΩcm未満、約30μΩcm未満、約20μΩcm未満、約18μΩcm未満、約15μΩcm未満、約12μΩcm未満、約10μΩcm未満、約8μΩcm未満、又は約5μΩcm未満若しくはそれ未満の電気抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅を含む薄膜は、約50nm未満の厚さで、約20μΩcm未満、約18μΩcm未満、約15μΩcm未満、約12μΩcm未満、約10μΩcm未満、約8μΩcm未満、又は約5μΩcm未満若しくはそれ未満の電気抵抗率を有することができる。本開示のいくつかの実施形態では、金属性膜(例えば、銅膜)を形成することは、約4μΩcm未満の電気抵抗率、
又は3μΩcm未満の電気抵抗率、又は更に2μΩcm未満の電気抵抗率を有するように金属性膜を形成することを含み得る。非限定的な例として、本開示の方法により、約1.92μΩcmの電気抵抗率を有し約50ナノメートルの厚さに銅膜を形成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させたニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約100nm未満の厚さで、約200μΩcm未満、約100μΩcm未満、約50μΩcm未満、約30μΩcm未満、約20μΩcm未満、約18μΩcm未満、約15μΩcm未満、約12μΩcm未満、約10μΩcm未満、又は約8μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させたニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約50nm未満の厚さで、約20μΩcm未満、約18μΩcm未満、約15μΩcm未満、約12μΩcm未満、約10μΩcm未満、約8μΩcm未満の電気抵抗率を有することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、結晶質又は多結晶質であることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、立方晶構造を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約20nm~約100nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約20nm~約60nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約20を超える、約30nmを超える、約40nmを超える、約50nmを超える、約60nmを超える、約100nmを超える、約250nmを超える、約500nmを超える又はそれを超える厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のいくつかの実施形態に従って堆積させた銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約50nm未満、約30nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約5nm未満の厚さを有することができ、又は、場合によっては銅、ニッケル又はコバルトの量は、例えば、銅、ニッケル又はコバルトを含む不連続膜又は分離した粒子若しくはアイランドが望ましい場合、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、又は約1nm未満の厚さに相当する。
【0050】
いくつかの実施形態では、金属性膜の成長速度は、約0.005Å/サイクル~約5Å/サイクル、約0.01Å/サイクル~約2.0Å/サイクルである。いくつかの実施形態では、膜の成長速度は、約0.05Å/サイクルより大きい、約0.1Å/サイクルより大きい、約0.15Å/サイクルより大きい、約0.20Å/サイクルより大きい、約0.25Å/サイクルより大きい、又は約0.3Å/サイクルより大きい。いくつかの実施形態では、膜の成長速度は、約2.0Å/サイクル未満、約1.0Å/サイクル未満、約0.75Å/サイクル未満、約0.5Å/サイクル未満、又は0.3Å/サイクル未満である。
【0051】
いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約20at%未満、約10at%未満、約7at%未満、約5at%未満、約3at%未満、約2at%未満、又は約1at%未満の不純物、即ち、Cu、Ni及びCo以外の元素、又は所望の金属性膜の金属以外の元素、を含み得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約20at%未満、約10at%未満、約5at%未満、約2at%未満、又は約1at%未満の水素を含み得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約10at%未満、約5at%未満、約2at%未満、約1a
t%未満、又は約0.5at%未満の炭素を含み得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約5at%未満、約2at%未満、約1at%未満、約0.5at%未満、又は約0.2at%未満の窒素を含み得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約15at%未満、約10at%未満、約5at%未満、約3at%未満、約2at%未満、又は約1at%未満の酸素を含み得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、前記銅、ニッケル又はコバルトの表面に、平均で約30at%未満、約20at%未満、約20at%未満、約5at%未満、又は約3at%未満の酸素を含むことができ、表面は、最表面から約20nm未満の厚さであると理解することができる。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、材料の最表面付近に化学量論の又は非化学量論の酸化銅、酸化ニッケル又は酸化コバルトを含み得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、約80at%より多く、約90at%より多く、約93at%より多く、約95at%より多く、約97at%より多く、約99at%より多くの銅、ニッケル又はコバルトを含み得る。非限定的な例として、図4は、本開示の実施形態に従って形成される銅膜の飛行時間型弾性反跳粒子検出分析(TOF-ERDA)を示すグラフを示す。
【0052】
本開示の実施形態により形成される金属性膜は、銅、コバルト及びニッケルのうちの1
つを含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、形成される金属性膜は、銅、コバルト及びニッケルのうちの1つから本質的になることができる。例えば、非限定的な例示の実
施形態として、本開示の方法により形成される金属性膜は、95.0原子%を超える、又は97.0原子%を超える、又は98.0原子%を超える、又は99.0原子%を超える、又は更には99.5原子%を超える銅の元素組成を有する銅を含み得る。いくつかの実施形態では、銅表面は酸化されてもよく、上記の値は表面酸化のないバルク膜の値を表す。本明細書で概要を述べる実施形態では、元素の原子濃度は、ラザフォード後方散乱(RBS)又は飛行時間型弾性反跳粒子検出分析(TOF-ERDA)を利用して決定され得る。X線光電子分光法(XPS)等の他のいくつかの方法が使用される場合、原子濃度は変化し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜は、三次元構造上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、銅、ニッケル又はコバルトを含む薄膜のステップカバレッジは、アスペクト比(高さ/幅)が約2より大きい、約5より大きい、約10より大きい、約25より大きい、約50より大きい、又は約100より大きい構造において、約50%以上、約80%以上、約90%以上、約95%、約98%、又は約99%若しくはそれより大きい。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法により形成される金属性膜は、所望の結晶学的特性を有し得る。例えば、非限定的な例示の実施形態として、金属性膜は本質的に銅からなり、銅膜は(111)結晶学的優先配向を有する立方晶の結晶構造を含み得る。より詳細には、図1は、様々な堆積温度でハロゲン非含有金属前駆体及びアルキルヒドラジン前駆体を利用する本開示のALDプロセスにより形成される非限定的な例示の金属性銅膜の2θX線回折(XRD)スキャンを示すグラフである。例えば、表示100で示されるXRDスキャンは、140℃の基材温度でCu(dmap)及びtertブチルヒドラジンを利用するALDにより形成される銅膜から得られる。表示100で示されるXRDスキャンは、本開示の方法により形成される銅膜が(111)及び(200)を含み、(111)結晶学的配向が優先配向であるいくつかの結晶配向を含み得ることを示す。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のALDプロセスにより形成される金属性膜は(111)結晶学的配向を含み、いくつかの実施形態では、金属性膜は(111)結晶学的優先配向を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、金属性膜を含む堆積させた薄膜は、堆積後に処理プロセスを受けることができる。いくつかの実施形態では、この処理プロセスは、例えば、金属性膜を含む堆積させた薄膜の導電率又は連続性を高めることができる。いくつかの実施形態では、処理プロセスは、例えば、アニールプロセスを含むことができる。いくつかの実施形態では、金属性膜を含む薄膜を、真空又は1つ又は複数のアニールガス、例えば水素を含
む還元性ガス等の還元性ガス、を含む雰囲気中でアニールすることができる。いくつかの実施形態では、金属性膜は、真空中又はアニールガス中で、例えば還元性ガス中で、高温、例えば金属性膜の堆積反応温度等、において窒素及びアニール/処理を含むことができ、金属性膜から窒素を低減、又は窒素をほとんど完全に除去することができる。いくつかの実施形態では、還元性ガスによる処理は、サイクルごと、n回目のサイクルごとに行われ、ここでnは、1、2、3、4、9、19、49又は99サイクルより多く、又は後処理として金属性膜堆積後に行われる。処理前の窒素を含む金属性膜は、約60at%未満、約50at%未満、約40at%未満、約30at%未満、約20at%未満、約10at%未満、又は約5at%未満の窒素を含み得る。いくつかの実施形態では、処理後の金属性膜は、約20at%未満、約10at%未満、約5at%未満、約2at%未満、約1at%未満、約0.5at%未満、又は約0.2at%未満の窒素を含み得る。
【0056】
本明細書で開示される周期的堆積プロセスにより形成される金属性膜は、半導体デバイス構造の形成等の様々な状況で利用されることができる。
【0057】
当業者は、本明細書に記載されたプロセスは、プレーナデバイス及びFinFET等の複数のゲートトランジスタを含むトランジスターの製造を含む多くの状況に適用可能であることを認識するであろう。
【0058】
非限定的な例として、図2を参照すると、半導体デバイス構造200は、基材202、バリア層204、誘電体層206、シード層208及び充填層210を含み得る相互接続構造を含み得る。本開示の教示によれば、シード層208は、本明細書に記載の周期的堆積プロセスにより形成される金属性銅膜などの金属性膜を含み得る。
【0059】
より詳細には、半導体デバイス構造200は、基材202を含むことができ、基材202は、基材202内に形成されるデバイス回路要素(図示せず)を含むシリコン材料を含み得る。バリア層204は、エッチ停止層、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、及びオキシ窒化ケイ素等を含み得る。誘電体層206は、層間誘電体材料、例えば、二酸化シリコン、窒化ケイ素、ポリマー系材料及び炭素リッチ誘電体等、を含み得る。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態では、半導体デバイス構造200は、シード層208を含むことができ、シード層は、本明細書に記載の周期的堆積プロセスにより形成される銅から本質的になる。シード層は、約20ナノメートル未満、又は約10ナノメートル未満、又は更には約5ナノメートル未満の厚さに形成され得る。更に、シード層は、約50μΩcm未満、約20μΩcm未満、約10μΩcm未満、約5μΩcm未満、約4μΩcm未満の電気抵抗率、又は3μΩcm未満の電気抵抗率、又は更には2μΩcm未満の電気抵抗率を有するように形成され得る。
【0061】
本開示の実施形態はまた、本開示の金属性膜を形成するように構成された反応システムを含み得る。より詳細には、図3は、所定の圧力、温度、及び周囲条件下で基材(図示せず)を保持し、基材を様々なガスに選択的に曝す機構を更に含む反応チャンバー302を含む反応システム300を概略的に例示する。前駆体反応物質源304は、導管又は他の適切な手段304Aにより反応チャンバー302に連結されていてもよく、更に、前駆体反応物質源304に由来する気体前駆体を制御する、マニホールド、バルブ制御システム
、質量流量制御システム、又は機構を含む。前駆体反応物質源304により供給される前駆体(図示せず)、反応物質(図示せず)は、室温及び標準大気圧条件下で液体又は固体であることができる。このような前駆体は、反応物質源の真空容器内で気化されることができ、そして前駆体は前駆体源チャンバー内で気化温度以上に維持され得る。このような実施形態では、気化された前駆体は、キャリアガス(例えば、不活性ガス(inactive gas)又は不活性ガス(inert gas))で輸送され、そして導管304Aを通って反応チャン
バー302の中へ供給され得る。他の実施形態では、前駆体は、標準的な条件下で気体であることができる。このような実施形態では、前駆体は気化する必要がなく、キャリアガスを必要としない。例えば、一実施形態では、前駆体をガスボンベに貯蔵し得る。上記のように、反応システム300はまた、導管306Aにより反応チャンバーに連結されることもできる前駆体反応物質源306等の追加の前駆体反応物質源も含み得る。
【0062】
パージガス源308はまた、導管308Aを通って反応チャンバー302に連結され、反応チャンバー302に様々な不活性ガス又は希ガスを選択的に供給して、反応チャンバーからの前駆体ガス又は廃棄ガスの除去を支援する。供給され得る様々な不活性ガス又は希ガスは、固体、液体又は貯蔵される気体形態に由来し得る。
【0063】
図3の反応システム300はまた、反応システム300に含まれるバルブ、マニホールド、ポンプ及び他の装置を選択的に動作させるための電子回路及び機械的構成要素を提供するシステム動作及び制御機構310を備え得る。このような回路及び構成要素は、前駆体、パージガスを、それぞれの前駆体原料304、306、及びパージガス源308から、導入するように動作する。システム動作及び制御機構310はまた、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材及び反応チャンバーの温度、反応チャンバーの圧力、並びに反応システム300を適切に動作させるのに必要な様々な他の動作を制御する。動作及び制御機構310は、反応チャンバー302内外への前駆体、反応物質、及びパージガスの流れを制御するための制御ソフトウェア及び電気的又は空気制御バルブを含むことができる。制御システムは、特定のタスクを実行するソフトウェア又はハードウェアコンポーネント、例えばFPGA又はASIC等のモジュールを含むことができる。モジュールは、有利には、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に存在するように構成され、1つ又は複数のプロセスを実行するように構成され得る。
【0064】
関連技術分野の当業者は、異なる数及び種類の前駆体反応物質源及びパージガス源を含む、本反応システムの他の形態も可能であることを理解する。更に、このような当業者は、反応チャンバー302の中へ選択的にガスを供給するという目的を達成するために使用され得るバルブ、導管、前駆体原料、パージガス源の多くの配置があることも理解するであろう。更に、反応システムの略図として、説明を簡単にするために多くの構成要素を省略する。このような構成要素としては、例えば、様々なバルブ、マニホールド、浄化装置、ヒーター、容器、通気孔、及び/又はバイパス等を挙げることができる。
【0065】
これらの実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその法的等価物により定義される本発明の実施形態の単なる例であるため、上記の開示の例示の実施形態は、本発明の範囲を限定するものではない。任意の同等な実施形態は、本発明の範囲内にあるものとする。実際に、記載された要素の代替的な有用な組合せ等の本明細書に示され説明されたものに加えて、本開示の様々な変更は、説明から当業者に明らかになるであろう。このような変更及び実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
周期的堆積により基材上に金属性膜を形成する方法であって、前記方法は、
前記基材を、銅、ニッケル又はコバルトの少なくとも1つを含むハロゲン非含有金属前駆体を含む第1の反応物質と接触させることと、
前記基材を、炭化水素置換ヒドラジン前駆体を含む第2の反応物質と接触させることと、
を含む、方法。
[2]
前記周期的堆積は、原子層堆積を含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記周期的堆積は、周期的化学蒸着を含む、[1]に記載の方法。
[4]
C1-C10炭化水素基を含むように、前記置換された炭化水素ヒドラジン前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[5]
芳香族炭化水素基を含むように、前記置換された炭化水素ヒドラジン前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[6]
少なくとも1つのアルキル基を含むように、前記置換された炭化水素ヒドラジン前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[7]
メチル、エチル、又はtert-ブチルアルキル基の少なくとも1つを含むように、前記アルキル基を選択することを更に含む、[6]に記載の方法。
[8]
少なくとも1つの二座配位子を含むように、前記ハロゲン非含有金属前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[9]
少なくとも1つの酸素原子及び少なくとも1つの窒素原子を介して金属原子に結合する少なくとも1つの配位子を含むように、前記ハロゲン非含有金属前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[10]
少なくとも2つのハロゲン非含有配位子を含むように、前記ハロゲン非含有金属前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[11]
Cu(dmap)、Ni(dmap)、又はCo(dmap)の少なくとも1つを含むように、前記ハロゲン非含有金属前駆体を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[12]
前記方法は、前記基材を前記第1の反応物質及び前記第2の反応物質と交互に逐次接触させる少なくとも1つの堆積サイクルを含む、[1]に記載の方法。
[13]
前記堆積サイクルは、2回以上繰り返される、[7]に記載の方法。
[14]
10μΩcm未満の電気抵抗率を有するように、前記金属性膜を形成することを更に含む、[1]に記載の方法。
[15]
50nm未満の膜厚で10μΩcm未満の電気抵抗率を有するように、前記金属性膜を形成することを更に含む、[1]に記載の方法。
[16]
前記基材を約500℃未満の温度に加熱することを更に含む、[1]に記載の方法。
[17]
前記基材を約50℃を超える温度に加熱することを更に含む、[8]に記載の方法。
[18]
プラズマ反応物質を含まないように、前記第1の反応物質及び前記第2の反応物質を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[19]
銅、コバルト又はニッケルの少なくとも1つを含むように、前記金属性膜を選択することを更に含む、[1]に記載の方法。
[20]
[1]に記載の前記方法を実施するように構成された反応システム。
[21]
[1]に記載の前記方法により形成される金属性相互接続の少なくとも一部を含む半導体デバイス構造。
図1
図2
図3
図4