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特許7182683ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法
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  • 特許-ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法 図1
  • 特許-ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法 図2a
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  • 特許-ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法 図12
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  • 特許-ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
D06F58/02 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021500090
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2019007495
(87)【国際公開番号】W WO2020009355
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077269
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077268
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514170813
【氏名又は名称】コーウェイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】COWAY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ビョンス
(72)【発明者】
【氏名】カン テキョン
(72)【発明者】
【氏名】ペク インキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョソン
(72)【発明者】
【氏名】イ キョンス
(72)【発明者】
【氏名】シン ギョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】パク イルソン
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンミン
(72)【発明者】
【氏名】ホ スンファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒョンクク
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0064966(US,A1)
【文献】特開平08-276098(JP,A)
【文献】特開2001-224898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室と、前記収納室の一側に備えられる機械室と、
前記収納室と前記機械室を連通させる循環空気流入口及び循環空気流出口と、
前記収納室と前記機械室の前面に備えられるドアと、を含み、
前記機械室は、
外気に連通する吸気口及び前記機械室の前面に備えられ、前記ドアの内面に対向する排気口と、
外気を前記吸気口から吸入して前記排気口から排出する、又は前記収納室の内部の空気を前記循環空気流入口から吸入して前記循環空気流出口から排出するファンユニットと、を含み、
前記ドアが閉鎖され、前記吸気口及び排気口が開放され、前記循環空気流入口及び前記循環空気流出口が閉鎖された状態で前記ファンユニットの動作により、前記吸気口を通じて空気が吸入され、吸入された空気は前記機械室の内部を流動して前記排気口から排出されて前記ドアの内側を乾燥させる、
多機能収納システム。
【請求項2】
前記収納室の上端部には、再循環ファンを含む再循環モジュールが備えられ、
前記再循環モジュールは、前記収納室の内部の下方に空気を吐出し、
前記収納室を乾燥させる収納室乾燥モードでは、
前記循環空気流入口及び前記循環空気流出口が閉鎖された状態で前記再循環ファンが作動し、
前記ドアの内側を乾燥させるドア乾燥モード及び前記収納室乾燥モードが同時に実行される、
請求項1に記載の多機能収納システム。
【請求項3】
前記機械室は、
前記吸気口から吸気された外気を濾過する清浄フィルターユニットをさらに含み、
前記ドアは、
一側に排気ドアが形成され、前記吸気口を除く前記機械室及び前記収納室の前面をカバーするように形成され、
外気を濾過する空気清浄モードでは、
前記循環空気流入口及び前記循環空気流出口が閉鎖され、前記吸気口、前記排気口及び前記排気ドアが開放され、
前記ドア乾燥モード及び前記収納室乾燥モードでは、前記排気ドアが閉鎖される、
請求項2に記載の多機能収納システム。
【請求項4】
前記排気ドアは、前記ドアが閉鎖されたときに前記機械室の前記排気口に対向する位置に形成される、
請求項3に記載の多機能収納システム。
【請求項5】
請求項1に記載の多機能収納システムを用いてドアの内側を乾燥させる方法であって、
前記ドアが閉鎖された状態で前記排気口及び前記吸気口が全て開放されるステップと、
前記機械室に備えられるファンユニットが作動し、外気が前記吸気口から吸入され、その後前記排気口から排出され、前記排気口から排出される空気により前記ドアの内側を乾燥させるステップと、を含む、
多機能収納システムのドアの内側を乾燥させる方法。
【請求項6】
前記ドアは、
一側に排気ドアが形成され、前記吸気口を除く前記機械室及び前記収納室の前面をカバーするように形成され、
前記ドアが閉鎖された状態で前記排気口及び前記吸気口が全て開放されるステップは、
前記排気ドアが開放されている場合に前記排気ドアが閉鎖されるステップをさらに含む、
請求項5に記載の多機能収納システムのドアの内側を乾燥させる方法。
【請求項7】
前記ドアが閉鎖された状態で前記排気口及び前記吸気口が全て開放されるステップは、
前記収納室及び前記機械室の連通が遮断されるステップをさらに含む、
請求項5に記載の多機能収納システムのドアの内側を乾燥させる方法。
【請求項8】
前記収納室の上端部には、再循環ファンを含む再循環モジュールが備えられ、
前記再循環モジュールは、前記収納室の内部の下方に空気を吐出し、
前記機械室に備えられるファンユニットが作動し、外気が前記吸気口から吸入され、その後前記排気口から排出され、前記排気口から排出される空気により前記ドアの内側を乾燥させるステップは、前記ファンユニットが作動すると、前記再循環ファンが同時に作動する、
請求項7に記載の多機能収納システムのドアの内側を乾燥させる方法。
【請求項9】
前記収納室を流動する循環空気を除湿する除湿部と、
前記循環空気流入口から前記収納室に供給される循環空気に水分を供給する循環フィルターユニットと、
前記排気口側に備えられる除湿ファンと、をさらに含み、
前記除湿ファンは、前記排気口から流出する循環空気を乾燥させる、
請求項1に記載の多機能収納システム。
【請求項10】
前記除湿ファンは、
前記排気口から吐出される空気の方向を基準に、前記排気口の端部側に備えられる、
請求項9に記載の多機能収納システム。
【請求項11】
前記除湿ファンは、
前記排気口の両端部側にそれぞれ備えられ、対向する方向に送風するように形成される、
請求項10に記載の多機能収納システム。
【請求項12】
前記除湿ファンは、
前記排気口内の側端部に備えられ、前記排気口から吐出される空気の方向と垂直な方向に送風するように形成される、
請求項9に記載の多機能収納システム。
【請求項13】
前記除湿ファンは、
前記循環空気流入口及び循環空気流出口が開放され、前記排気口が閉鎖された状態で、前記循環フィルターユニットにより生成された自然加湿空気が前記ファンユニットにより前記収納室に供給されて循環する際に作動する、
請求項9に記載の多機能収納システム。
【請求項14】
前記機械室は、
ファンユニットに連通する第1流路と、
前記排気口、ファンユニット、第1流路及び収納室にそれぞれ連通する第2流路と、
前記循環空気流入口を開閉する第1流路切替部材と、
前記循環空気流出口を開閉する第2流路切替部材と、をさらに含み、
前記第1流路切替部材及び第2流路切替部材は、前記第2流路を前記排気口又は前記収納室に選択的に連通させ、
前記除湿ファンは、
前記第2流路及び前記収納室が連通する状態で作動する、
請求項13に記載の多機能収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの内側の水滴付着防止のための多機能収納システム及びそれを用いてドアの内側を乾燥させる方法に関し、より詳細には、多機能収納システムの下端部に水滴が付着して床面に落水する現象を防止するためにドアの内側を乾燥させる多機能収納システム及びそれを用いる乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に衣類、布団、各種日用品などを収納する一種のキャビネット(cabinet)である箪笥、収納家具、衣類管理機などにおいて、ユーザが当該物品を直接使用している間にその物品に付着した埃などの汚染物質や悪臭物質などを除去し、シワを改善するために、スチームが用いられる。
【0003】
キャビネットの内部でスチームが衣類などの物品に直接噴射されると、スチームの水分子が汚染物質や悪臭物質を含んで共に蒸発することにより、汚染物質や悪臭物質が除去され、それと同時にシワが改善される原理を用いたものである。
【0004】
ここで、「スチーム(steam)」とは、約100℃の高温水を高圧ノズルなどから気体の形態で噴射したものを意味し、常温で噴射を行うと白煙のように目視できる。
【0005】
しかし、スチームを用いると、衣類などに損傷が生じることが報告されており、問題となっている。一例として、敏感な材質の衣類に高温のスチーム又は高温/高圧のスチームを直接噴射すると、当該材質に損傷が生じることがある。他の例として、スチームにより生成される水分子が常温で噴射されてその後凝縮すると水滴になるが、除湿が効果的に行われないと衣類に水滴がそのまま残り、その状態が長く続くと敏感な材質の衣類に損傷が生じることがある。
【0006】
さらに、衣類などに含まれるプラスチックの部分などにスチームが直接噴射されると、人体に非常に有害な環境ホルモンが生成されるという致命的な問題が生じるので、高温のスチームを用いることなく、収納室の内部に収納された衣類などをクリーニングすることのできる技術が強く求められている。
【0007】
一方、一種のキャビネット(cabinet)である箪笥、収納家具、衣類管理機などにおいて、ドアが閉鎖された状態で衣類管理モードを実行すると、衣類が収納された空間を循環する空気は、相対的に外気より高温高湿の空気になる。ここで、ドアが閉鎖された状態でこのような空気が内部で循環することにより、ドアの内面に水蒸気が凝結したり、水滴が付着して床面に落水するという問題が生じる。落水現象により、高温高湿の空気が外部に漏れることもある。このような問題は、周期的に床面に落水した水を除去しなければならないという不便をユーザにもたらし、ユーザが落水した水を除去しないと、細菌が繁殖するなど、空間の清潔さの維持が非常に困難になる。よって、最近は、衣類管理機などのドアの内側に水滴付着現象を防止することのできる技術が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0110653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものである。
【0010】
具体的には、多機能収納システムのドアの内側の水滴を乾燥させる乾燥方法、及びそれを行う多機能収納システムの構造を提案する。
【0011】
また、多機能収納システムの様々な構成要素を用いて、ドア自体をヒーティングせずにドアの内面を乾燥させる方法及び構造を提案する。
【0012】
衣類管理モードを実行しているときにドアの内面に一部が漏れる高温高湿の空気により発生する水滴を除去する多機能収納システムの構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態は、収納室100と、収納室100の一側に備えられる機械室200とを含む多機能収納システムであって、収納室100と機械室200の前面(foreside)に備えられるドア600をさらに含み、機械室200は、外気に連通する吸気口210及び排気口250と、外気を吸気口210から吸入して排気口250から排出するファンユニット230とを含み、ドア600が閉鎖され、吸気口210及び排気口250が開放された状態でファンユニット230が作動してドア600の内側を乾燥させる多機能収納システムを提供する。
【0014】
また、収納室100と機械室200を連通させる循環空気流入口141及び循環空気流出口142をさらに含み、ドア600の内側を乾燥させるドア乾燥モードでは、循環空気流入口141及び循環空気流出口142が閉鎖された状態でファンユニット230が作動するようにしてもよい。
【0015】
さらに、収納室100の上端部には、再循環ファンを含む再循環モジュール300が備えられ、再循環モジュール300は、収納室100の内部の下方に空気を吐出し、収納室100を乾燥させる収納室乾燥モードでは、循環空気流入口141及び循環空気流出口142が閉鎖された状態で前記再循環ファンが作動し、前記ドア乾燥モード及び前記収納室乾燥モードが同時に実行されるようにしてもよい。
【0016】
さらに、機械室200は、吸気口210から吸気された外気を濾過する清浄フィルターユニット219をさらに含み、ドア600は、一側に排気ドア650が形成され、吸気口210を除く機械室200と収納室100の前面をカバーするように形成され、外気を濾過する空気清浄モードでは、循環空気流入口141及び循環空気流出口142が閉鎖され、吸気口210、排気口250及び排気ドア650が開放され、前記ドア乾燥モード及び収納室乾燥モードでは、排気ドア650が閉鎖されるようにしてもよい。
【0017】
さらに、排気ドア650は、ドア600が閉鎖されたときに機械室200の排気口250に対向する位置に形成されてもよい。
【0018】
本発明は、前述した多機能収納システムを用いてドアの内側を乾燥させる方法であって、(a)ドア600が閉鎖された状態でドア600の内面に対向する排気口250及び吸気口210が全て開放されるステップS100と、(b)機械室200に備えられるファンユニット230が作動し、外気が吸気口210から吸入され、その後排気口250から排出され、排気口250から排出される空気によりドア600の内側を乾燥させるステップS110とを含む、多機能収納システムのドアの内側を乾燥させる方法を提供する。
【0019】
ここで、ドア600は、一側に排気ドア650が形成され、吸気口210を除く機械室200と収納室100の前面をカバーするように形成され、前記(a)ステップは、(a1)排気ドア650が開放されている場合は排気ドア650が閉鎖されるステップS102をさらに含んでもよい。
【0020】
また、前記(a)ステップは、(a2)収納室100及び機械室200の連通が遮断されるステップS104をさらに含んでもよい。
【0021】
さらに、収納室100の上端部には、再循環ファンを含む再循環モジュール300が備えられ、再循環モジュール300は、収納室100の内部の下方に空気を吐出し、前記(b)ステップは、ファンユニット230が作動すると、前記再循環ファンが同時に作動するようにしてもよい。
【0022】
さらに、本発明の他の実施形態は、収納室100を流動する循環空気を除湿する除湿部260と、収納室100と機械室200を連通させる循環空気流入口141及び循環空気流出口142と、循環空気流入口141から収納室100に供給される循環空気に水分を供給する循環フィルターユニット229と、排気口250側に備えられる除湿ファン290とをさらに含み、除湿ファン290は、排気口250から流出する循環空気を乾燥させる多機能収納システムを提供する。
【0023】
ここで、除湿ファン290は、排気口250から吐出される空気の方向を基準に、排気口250の端部側に備えられてもよい。
【0024】
また、除湿ファン290は、排気口250の両端部側にそれぞれ備えられ、対向する方向に送風するように形成されてもよい。
【0025】
さらに、除湿ファン290は、排気口250内の側端部に備えられ、排気口250から吐出される空気の方向と垂直な方向に送風するように形成されてもよい。
【0026】
さらに、除湿ファン290は、循環空気流入口141及び循環空気流出口142が開放され、排気口250が閉鎖された状態で、循環フィルターユニット229により生成された自然加湿空気がファンユニット230により収納室100に供給されて循環する際に作動するようにしてもよい。
【0027】
さらに、機械室200は、ファンユニット230に連通する第1流路220と、排気口250、ファンユニット230、第1流路220及び収納室100にそれぞれ連通する第2流路240と、循環空気流入口141を開閉する第1流路切替部材241と、循環空気流出口142を開閉する第2流路切替部材242とをさらに含み、第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242は、第2流路240を排気口250又は収納室100に選択的に連通させ、除湿ファン290は、第2流路240及び収納室100が連通する状態で作動するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ドアが閉鎖された状態でファンユニットを作動してドアの内側を乾燥させることにより、ユーザのいかなる行為も必要とせず、ドアの内側に付着した水滴を除去できるという効果を奏する。また、ドアに別途に排気ドアを備えることにより、ドア乾燥モードから空気清浄モードへの切り替え又はその逆の切り替えの際に、最小限の構成要素の作動で前記モードの切り替えを可能にする。ドア自体を加熱する方法ではなく、ドアの内側に乾燥空気を供給する方法を採用することにより、電力消費を最小限に抑えることができるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明は、排気口内に別途の除湿ファンを備え、除湿ファンにより排気口の吐出方向と垂直な方向に空気が送風され、排気口内でエアカーテンを形成することができるので、衣類管理モードで高温高湿の循環空気が外部に流失する現象を抑制することができる。衣類管理モードを実行しているときに高温高湿の循環空気が外部に流出しても、除湿ファンにより乾燥空気が送風されて乾燥させることができるので、ドアと機械室間の空間に高温高湿の空気が滞留する現象を防止することができる。
【0030】
よって、ドアの内側部及び機械室の外面、ガスケットの周辺に凝結する水滴の発生を防止することができ、多機能収納システムが設置された空間の清潔状態を改善すると共に、床面に落水する水滴を除去しなければならないという不便をユーザにもたらさず、ユーザの利便性を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による多機能収納システムの外観を示す斜視図である。
図2a】本発明による多機能収納システムのドアが閉鎖された状態を示す正面図である。
図2b】本発明による多機能収納システムのドアが開放された状態を示す正面図である。
図3】本発明による多機能収納システムの内部を示す斜視図であり、説明のためにケーシング、ドア及び再循環モジュールを除去している。
図4】本発明による多機能収納システムの内部を示す右側面図である。
図5】本発明による多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態による多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法について説明するための概念図である。
図7】本発明の他の実施形態による多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法について説明するための概念図である。
図8】本発明の多機能収納システムの空気清浄モードについて説明するための概念図である。
図9】本発明の多機能収納システムの衣類管理モードについて説明するための概念図である。
図10】本発明による多機能収納システムのうち除湿ファンが備えられる実施形態のドアが開放された状態を示す正面図である。
図11図10の実施形態の内部を示す斜視図であり、説明のためにケーシング、ドア及び再循環モジュールを除去している。
図12図10の実施形態の機械室を示す斜視図であり、排気口内に除湿ファンが備えられる態様である。
図13図10の実施形態における衣類管理モードについて説明するための概念図である。
図14図10の実施形態における空気清浄モードについて説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明による多機能収納システムについて説明する。
【0033】
説明のために、正面(X軸)、背面(-X軸)、右側(Y軸)、左側(-Y軸)、上方(Z軸)、下方(-Z軸)などの用語を用い、図面に座標系を示すが、これらはあくまで説明のためのものであり、当該方向に本発明が限定されるものではない。
【0034】
多機能収納システムの構造についての説明
図1図4を参照して、本発明による多機能収納システムについて説明する。
【0035】
本発明による多機能収納システムは、収納室100と、機械室200と、再循環モジュール300と、ケーシング500と、ドア600とを含む。
【0036】
図1図2a及び図2bに示すように、ケーシング500は、多機能収納システムの外観を形成する。
【0037】
まず、ドア600は、多機能収納システムの前面を形成するものであり、ユーザは、ドア600を開放することにより、収納室100の内側に接近することができる。ユーザがドア600を開放すると、収納室100部分では収納室100の内側が露出し、機械室200部分では排気口250、供給水槽270及び凝縮水槽280が露出する。ただし、ドア600は、吸気口210をカバーしない。ドア600の最下端が吸気口210より上方に位置するからである。これは、空気清浄モードでドア600を開放しなくても空気清浄が行われるようにするためである。
【0038】
ドア600の外面には、制御部610と排気ドア650が位置する。制御部610は、ユーザが作動モードを選択する入力部と、現在の作動状態を出力する出力部とを含む。排気ドア650は、機械室200の排気口250に連通しており、空気清浄モードでドア600を開放しなくても、排気ドア650さえ開放されていれば、濾過した外気を吐出することができる。
【0039】
ドア600は、ハーフミラー(half-mirror)からなることが好ましい。必要に応じて、収納室100の内側に位置する衣類などをユーザにそのまま見せることができ、場合によっては、鏡の機能を有して収納室100から衣類などを出したユーザに利便性を提供することができるからである。
【0040】
図2bは本発明による多機能収納システムのドアが開放された状態を示す正面図である。図2bに示すように、排気ドア650は、ドア600が閉鎖されたときに機械室200の排気口250に対向する位置に形成されている。また、排気口250の前面からの異物の侵入を防止し、ユーザの不注意によるユーザの身体の傷害を防止するために、グリル部が備えられてもよく、このグリル部は、排気ドア650の背面にさらに備えられてもよい。なお、本発明による多機能収納システムの排気口250には除湿ファン290が備えられるが、それについては後述する。
【0041】
収納室100は、衣類などを収納し、汚染物質や悪臭物質などを除去する空間である。そのために、収納室100の内部は高温に上昇し、その後自然加湿空気が循環空気として流入して循環する。具体的には、作動モードに関する説明と共に後述する。
【0042】
収納室100の内側には、下部面に循環フィルター脱着部129、循環空気流入口141、循環空気流出口142及び機能性材料収納部147が位置する。
【0043】
循環フィルター脱着部129は、機械室200に位置する循環フィルターユニット229の修理、交換などのために、それを容易に脱着できるように設けられる開口である。循環空気流入口141及び循環空気流出口142は、それぞれ収納室100の内側の循環空気が機械室200から流入及び流出する開口である。
【0044】
循環空気流入口141は、ファンユニット230に連通しており、機械室200から収納室100の方向に空気が吐出されるように形成され、循環空気流出口142は、収納室100から機械室200の方向に空気が循環するように形成される。
【0045】
また、収納室100内の循環空気流入口141に連通する部分は、上方に傾斜して形成され、循環空気流入口141から流入した空気が収納室100の内部の床面から上方に所定の角度を有して収納室100の内部に吐出されるように形成される。よって、循環空気が循環空気流入口141から垂直な方向で吐出される場合より、収納室100内に収納された衣類などに相対的に広い面積で接触するので、クリーニング効率を向上させることができる。
【0046】
機能性材料収納部147は、収納室100の内部に収納された衣類などの物品の汚染物質や悪臭物質の除去以外の機能を付加するための物質を収納する空間であり、例えば発香物質などを収納しておき、収納室100に排出させることができる。また、機能性材料がユーザにより周期的に充填されるように形成されてもよい。
【0047】
収納室100の内側の上部には、再循環モジュール300が装着される再循環モジュール装着部130が位置する。再循環モジュール300には、エアショット機能を有するエアショットハンガー(図2b参照)が備えられてもよい。
【0048】
場合によっては、収納室100の内側の上部中央にハンガー(図2b参照)が位置し、左右の内側壁面にスラックスハンガー(図示せず)などが位置するようにしてもよい。
【0049】
機械室200は、空気清浄モードを実行する空間であり、衣類管理モードで、収納室100から空気を流入させて濾過し、その後自然加湿空気を循環空気として流出することにより、空気を循環させる機能を有する空間である。
【0050】
機械室200は、収納室100を基準に、どの方向に位置してもよいが、収納室100の下方に位置することが好ましい。収納室100で凝縮する凝縮水又は飽和湿度空気が自重により機械室200に流入するようにすると、凝縮水槽280により外部に排出することができるからである。
【0051】
機械室200は、吸気口210と、第1流路220と、ファンユニット230と、第2流路240と、排気口250と、除湿部260と、供給水槽270と、凝縮水槽280とを含む。
【0052】
吸気口210は、外気を機械室200の内部に吸入する部分である。選択により、開放又は閉鎖することができる。例えば、空気清浄モードでは開放され、衣類管理モードでは閉鎖される。吸気口210の位置は、後述する排気口250の下方であることが好ましく、機械室200の最下端に位置することがより好ましい。衣類管理モードで吸気口210が閉鎖されると、循環空気の循環流路をより簡潔にすることができ、ドア600が吸気口210を覆わないことが好ましいからである。
【0053】
吸気口210には、清浄フィルターユニット脱着部218が位置し、清浄フィルターユニット219が位置してもよい。清浄フィルターユニット219は、空気清浄モードで吸入する外気を濾過する機能を有し、プリフィルター、ヘパフィルターなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
第1流路220は、吸気口210、第2流路240及びファンユニット230に連通する。空気清浄モードで吸気口210から吸入して濾過した外気と、衣類管理モードで第2流路240を介して吸入した循環空気が第1流路220に流入する。
【0055】
第1流路220の内側には、循環フィルターユニット229が位置する。循環フィルターユニット229は、循環空気を濾過する機能を有する。循環フィルターユニット229は加湿フィルターを含み、供給水槽270に貯留していた水が加湿フィルターに供給されると、循環空気がこれを通過する過程で水分の供給を受けて自然加湿空気が形成される。ユーザがドア600を開放して循環フィルター脱着部129に接近することにより、循環フィルターユニット229を除去又は装着することができる。
【0056】
多機能収納システムの他の実施形態においては、循環フィルターユニット229に備えられる加湿フィルター、又は供給水槽270と加湿フィルターを連結するチュービングに熱が加えられ、自然加湿空気の温度が所定レベルまで上昇して収納室100に供給される。熱を加えるために別途の加熱部材(図示せず)を用いてもよく、後述する除湿部260が除湿を行う過程で発生する熱を用いてもよい。
【0057】
ファンユニット230の流入側は、第1流路220に連通しており、第1流路220に空気を吸入する動力を付与する。ファンユニット230の動作により、空気清浄モードで外気が第1流路220に吸気され、衣類管理モードで収納室100の内側の空気が循環空気として第1流路220に吸気される。ファンユニット230の排出側は、第2流路240に連通している。また、排気口250が吸気口210の上方に位置し、収納室100が機械室200の上方に位置するので、排気口250及び収納室100に連通する第2流路240は、ファンユニット230及び第1流路220の上方に位置してもよい。
【0058】
第2流路240には、ファンユニット230から濾過した外気又は循環空気が供給される。第2流路240は、収納室100及び排気口250のいずれかと選択的に連通し、その制御のために第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242を含む。第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242は、ペアで作動し、流路を変更する。一実施形態において、第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242は、軸を中心に回動する部材であるが、選択的に流路を変更するものであればいかなるメカニズムを採用してもよい。
【0059】
第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242は、空気清浄モードでは第2流路240が収納室100から遮断されて排気口250に連通するようにし(図8参照)、衣類管理モードでは第2流路240が収納室100に連通して排気口250から遮断されるようにする(図9参照)。すなわち、衣類管理モードでは、収納室100の内側には第2流路240の循環空気が第1流路切替部材241の上方に位置する循環空気流入口141から流入し、収納室100の内側の循環空気は第2流路切替部材242の上方に位置する循環空気流出口142から再び第2流路240に流出することにより循環する。詳細は、作動モードに関する説明と共に後述する。
【0060】
排気口250は、第2流路240から送られた濾過した外気を外部に吐出する。排気口250に対応するドア600の外側には排気ドア650が位置し、排気口250を開閉することができる。例えば、空気清浄モードでは、排気ドア650が開放され、排気口250から濾過した外気が吐出され、衣類管理モードでは、排気ドア650が閉鎖される。
【0061】
除湿部260は、収納室100を流動する循環空気を除湿する機能を有する。除湿を行うと、収納室100の内部及び循環空気を快適に維持し、再汚染を防止することができる。収納室100内の循環空気を除湿してもよく、収納室100から機械室200に流動した循環空気を除湿してもよい。除湿部260は、例えばヒートポンプであってもよいが、これに限定されるものではない。除湿部260が除湿を行う過程で熱が発生することがあるが、その熱を捨てるのではなく、衣類管理モードで用いてもよい(図6図9に一点鎖線で表示)。一例として、除湿部260が除湿する過程で発生する熱を用いて収納室100を約50℃~70℃に加熱することにより、循環空気流入口141を介して第2流路240から常温の循環空気が流入すると、衣類などの汚染物質や悪臭物質を除去することができる。他の例として、前述したように、除湿部260が除湿する過程で発生する熱が循環フィルターユニット229の加湿フィルターに供給されるか、又は供給水槽270と加湿フィルターを連結するチュービングに供給されることにより、循環空気として機能する自然加湿空気を加熱することができる。前述した温度は例であり、これらに限定されるものではなく、様々に変更されることは言うまでもない。また、除湿部260と循環フィルターユニット229(すなわち、加湿フィルター)は、互いに妨害しないように、いずれか一方のみ選択的に作動させる。
【0062】
多機能収納システムの他の実施形態においては、衣類管理モードにおいてファンユニット230及び除湿部260の除湿過程で発生する熱を用いるか、又は別途の加熱部材(図示せず)により温風が生成され、収納室100に吐出されるように形成されてもよい。循環空気は後述する循環フィルターユニット229により水分が供給されて自然加湿空気になり、それがファンユニット230により供給される温風と組み合わされることにより、収納された衣類などの脱臭及び汚染除去が行われる。このために、除湿部260又は別途の加熱部材(図示せず)は、循環空気流入口141に隣接するように位置してもよい。また、自然加湿空気の量及び温風の量は、どちらもユーザが制御できるように形成されるので、収納される衣類などの種類及び材質に応じて最適化された制御方法が別途のモードで備えられる。
【0063】
一方、多機能収納システムのさらに他の実施形態においては、機械室200が外気及び収納室100の両方に連通する全体循環モード、並びに機械室200が外気及び収納室100の両方から遮断される全体遮断モードをさらに含んでもよいが、それらについては後述する。
【0064】
供給水槽270は、循環フィルターユニット229に備えられる加湿フィルターに供給する水を貯留する。このために、循環フィルターユニット229とチュービングで連結される。凝縮水槽280は、収納室100で生成された凝縮水を溜めて貯留するか、又は収納室100で生成された飽和湿度空気が機械室200の第1流路220、第2流路240などに流入して凝縮する過程で生成された凝縮水を溜めて貯留する。このために、収納室100及び/又は第1流路220及び/又は第2流路240とチュービングで連結される。
【0065】
水を補充したり、溜まった凝縮水を捨てるために、ユーザが供給水槽270及び凝縮水槽280の両方に容易に接近できることが好ましい。このために、供給水槽270及び凝縮水槽280は機械室200の前面に位置することが好ましく、ユーザがドア600を開放すると、排気口250の下方に位置する各水槽に備えられる取っ手を用いてこれらを容易に脱着することができる。
【0066】
再循環モジュール300は、空気清浄モードで収納室100の循環空気の再循環を助けると共に、衣類などの直接乾燥を助ける機能を有する。また、機械室200の作動の有無とは独立した動作を行い、収納室100の内部に収納された衣類などの埃を払うための動作を行ってもよい。
【0067】
多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法についての説明
図5は本発明による多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法を示すフローチャートである。
【0068】
図5に示すように、本発明による多機能収納システムのドアの内側を乾燥させる方法は、ドア600が閉鎖された状態で吸気口210及び排気口250が開放されるステップS100と、機械室200に備えられるファンユニット230が作動し、外気が吸気口210から吸入され、その後排気口250から排出され、排気口250から排出される空気によりドア600の内側が乾燥するステップS110とを含む。その前提として、機械室200には外気に連通する吸気口210及び排気口250が備えられ、ドア600が閉鎖された状態で排気口250がドア600の内面に対向する構造に形成される。
【0069】
このように、機械室200に備えられるファンユニット230が稼働することにより、乾燥空気である外気が吸気口210から吸入され、その後排気口250から排出されてドア600の内側に乾燥空気を供給するように形成される。これは、ドア600が閉鎖された状態でドア600と機械室200の前面間に存在する所定の空間に付着した水滴を乾燥させるためである。
【0070】
もし、このような乾燥作業を行わなければ、高温高湿の循環空気によりドア600の内側に水滴が付着し、それは多機能収納システムが位置する空間の床面に落水するという問題をもたらす。
【0071】
なお、本発明による多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法は、設計者の選択により異なる設定にされてもよいが、トータルで45分間かかる衣類管理モード(ベーシックモード)では約6分間行われることが好ましく、トータルで95分間かかる衣類管理モード(プロモード)では約11分間行われることが好ましい。
【0072】
ステップS100は、排気ドア650が開放されている場合は排気ドア650が閉鎖されるステップS102をさらに含んでもよい。これは、空気清浄モードで排気ドア650が開放され、排気ドア650が開放されたか否か確認しないまま本発明による乾燥方法を行うと、ファンユニット230により排気口250から排出される空気が全て排気ドア650から排出されてドア600の内側が乾燥しないことがあるからである。よって、ドア600の内側の乾燥効率を最大化させるために、排気ドア650が開放されたか否かを確認し、その後排気ドア650が開放されている場合は排気ドア650を閉鎖する必要がある。
【0073】
また、ステップS100は、収納室100及び機械室200の連通が遮断されるステップS104をさらに含んでもよい。もし、収納室100及び機械室200が連通していない状態でファンユニット230が稼働すると、ファンユニット230により吐出される空気が排気口250側に集中するのではなく、収納室100に循環するので、ドア600の内側の乾燥効率が低下するからである。
【0074】
なお、本発明による多機能乾燥システムの収納室100の上端部には、再循環ファンを含む再循環モジュール300が備えられ、再循環モジュール300は、収納室100の内部の下方に空気を吐出するように形成され、ステップS110において、ファンユニット230が作動すると、再循環ファンが同時に作動する。ここで、収納室100と機械室200間の連通が遮断されることが好ましく、この状態で再循環ファンが作動することにより、収納室100が乾燥すると共に、ドア600の内側の上部が乾燥する。
【0075】
また、本発明による多機能乾燥システムは、湿度センサ(図示せず)をさらに含んでもよい。よって、湿度センサを用いて多機能乾燥システムが位置する空間の湿度を検知することができ、前記空間の湿度が相対的に高い場合は、強制的に本発明による多機能収納システムのドアの内側の水滴付着防止のための乾燥方法が行われないように形成されてもよい。
【0076】
多機能収納システムの作動モードについての説明
図6図9を参照して、本発明による多機能収納システムの作動モードについて説明する。
【0077】
まず、「ドア乾燥モード」について説明する。図6及び図7を参照する。
【0078】
ドア乾燥モードは、前述したように、ドア600の内側又はドア600の内側と機械室200の前面間の空間に付着する水滴を除去するモードである。ドア乾燥モードを実行するためには、ドア600が閉鎖された状態で排気ドア650を閉鎖する必要がある。また、そのためには乾燥空気が必要であるので、乾燥空気である外気を引き込むために、吸気口210を開放する必要がある。これは、排気ドア650が閉鎖された状態で後述する空気清浄モードを実行すると言ってもよい。ただし、後述する空気清浄モードは、排気ドア650の開放が必須であるという点で異なる。
【0079】
図6に示すように、吸気口210から流入した乾燥空気である外気は、第1流路220を介してファンユニット230を通過し、その後第2流路240を介して排気口250から吐出される。ここで、排気ドア650が閉鎖された状態であるので、排気口250から吐出された空気は、外部にすぐに排出されるのではなく、ドア600と機械室200間の空間を反転しながら流動する。当然ながら、吸気口210から流入する外気は、ファンユニット230の作動により流入するものであるが、ファンユニット230が作動しない場合も、吸気口210が開放された状態では自然流入する。
【0080】
また、第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242は、第2流路240を排気口250又は収納室100に選択的に連通させるように形成される。本発明による多機能収納システムのドア乾燥モードでは、第1流路切替部材241及び第2流路切替部材242により第2流路240が排気口250に連通する状態でファンユニット230が作動するので、ドア600の内側を乾燥させることができる。
【0081】
なお、本発明による多機能収納システムのドア乾燥モードは、衣類管理モードが終了した後に自動的に始まり、予め設定された時間だけ作動することが好ましい。
【0082】
図7は、機械室200のファンユニット230が作動しているときに、収納室100の再循環モジュール300の再循環ファンが同時に作動している状態を示す。こうすることにより、前述したように、排気ドア650が閉鎖された状態でファンユニット230及び再循環モジュール300の再循環ファンが同時に作動するので、ドア600の内側の乾燥効率を向上させることができる。
【0083】
次に、「空気清浄モード」について説明する。図8を参照する。
【0084】
空気清浄モードは、収納室100とは独立して、機械室200のみ作動して外気を清浄にする機能を実行するモードである。すなわち、外気が汚染された状態で収納室100の内部に清潔な衣類などが位置することがあるので、収納室100に外気を流入させない作動モードである。
【0085】
ユーザが空気清浄モードを選択すると、ドア600の排気ドア650が開放され、吸気口210も開放される。
【0086】
機械室200の第1流路切替部材241と第2流路切替部材242が動作することにより、第2流路240が排気口250に連通し、収納室100や第1流路220からは遮断される。この過程では、収納室100が機械室200とは独立した空間になる。
【0087】
ファンユニット230が作動する。ファンユニット230の作動により、外気が吸気口210から第1流路220に流入し、ファンユニット230の方向に向かう。吸気口210を通過する過程において、吸気口210に位置する清浄フィルターユニット219により外気が濾過される。第1流路220を通過する過程において、第1流路220に位置する循環フィルターユニット229によりさらに濾過される。ここで、循環フィルターユニット229に位置する加湿フィルターは、ユーザの選択により、加湿機能を実行してもよく、実行しなくてもよい。外気を加湿する場合は、衣類管理モードと同様に供給水槽270が水を加湿フィルターに供給する。ファンユニット230を通過した濾過された外気は、第2流路240を通過して排気口250から外部に排気される。
【0088】
この過程が繰り返されると、本発明による多機能収納システムは、一種の空気清浄機の機能を果たす。外気は継続して機械室200に流入して濾過され、濾過された空気が継続して排気される。
【0089】
ユーザがドア600を開放するか否かに関係なく、空気清浄モードを実行することができるので好ましい。空気清浄モードが作動中であっても、ユーザは自由にドア600を開放して収納室100の内側に衣類などを配置することができ、衣類などを取り出すことができる。いつでも、供給水槽270に水を補充することができ、凝縮水槽280の水を捨てることができる。ドア600が吸気口210をカバーしておらず、排気口250がドア600の内側で開放された状態であるので、ドア600の開放が空気清浄モードの作動に影響を与えない。
【0090】
ユーザは、多機能収納システムから遠く離れた位置においても、すなわち制御部610が見えない位置においても、排気ドア650が開放されているか否かのみ確認すれば、現在空気清浄モードで動作しているのか、衣類管理モードで動作しているのかを確認することができる。
【0091】
空気清浄モード又は衣類管理モードの持続的作動などによりフィルターが汚染されても、ユーザは容易に交換することができる。清浄フィルターユニット219は、ドア600の下方の吸気口210に手を入れて交換することができる。循環フィルターユニット229は、ドア600を開放して循環フィルター脱着部129を用いて交換することができる。
【0092】
「衣類管理モード」について説明する。図9を参照する。
【0093】
衣類管理モードは、収納室100の内側に位置する衣類などから汚染物質や悪臭物質を除去するモードである。自然加湿空気を循環空気として循環させることにより、収納室100の内部を湿潤な環境にし、衣類などの汚染物質や悪臭物質を湿潤空気と共に除去し、それらを機械室200に流入させて凝縮水として排出する。この過程において、除湿部260が収納室100を流動する循環空気の除湿を行う。場合によっては、除湿部260から発生した熱を用いて収納室100の内部を加熱するようにしてもよい。すなわち、衣類管理モードでは、循環フィルターユニット229及び除湿部260がそれぞれ予め設定された時間だけ交互に作動し、収納室100の加湿及び除湿が交互に行われる。
【0094】
ユーザが衣類管理モードを選択すると、ドア600の排気ドア650が閉鎖され、吸気口210も閉鎖される。すなわち、衣類管理モードでは、収納室100内の空気は実質的に外部に排出されない。
【0095】
除湿部260は、収納室100を流動する循環空気を除湿する。場合によっては、その過程で発生した熱により収納室100の内部を加熱するようにしてもよく、その温度は50~70℃であるが、これに限定されるものではない。機械室200の第1流路切替部材241と第2流路切替部材242が動作することにより、第2流路240が収納室100及び第1流路220に連通し、排気口250からは遮断される。循環フィルターユニット229に備えられる加湿フィルターが水分を含むように、供給水槽270の水が加湿フィルターに供給される。この過程において、加湿フィルター又は加湿フィルターに供給される水は、除湿部260又は別途の加熱部材(図示せず)から発生する熱により加熱される。
【0096】
除湿と同時に又は除湿の後に、ファンユニット230が作動する。ファンユニット230の作動により、収納室100の内部の空気が循環空気流出口142から第2流路240に流入し、再び第1流路220に流入してファンユニット230の方向に向かう。この過程において、空気は、循環フィルターユニット229の加湿フィルターを通過して自然加湿空気となる。それが再び第2流路240を通過して循環空気流入口141から収納室100に供給される。
【0097】
この過程が繰り返されると、収納室100と機械室200間で循環空気が継続して循環する。循環空気が収納室100で汚染物質や悪臭物質を含むことになるが、それらが外部に排出されないので、ユーザに快適な環境を提供することができる。それと同時に、汚染物質や悪臭物質を含む循環空気が一旦機械室200に流入すると、循環フィルターユニット229で濾過され、凝縮水に凝縮して凝縮水槽280に別に溜まるため、収納室100に汚染物質や悪臭物質が再び供給される再汚染現象が発生しないので好ましい。
【0098】
一方、衣類管理モードでは、ファンユニット230及び除湿部260又は別途の加熱部材(図示せず)により温風が生成され、収納室100に吐出される。自然加湿空気が収納室100にまず吐出され、自然加湿空気の吐出が中断されると、温風が収納室100に吐出されるように形成されてもよい。
【0099】
再循環モジュール300は、循環空気の循環を補助する。再循環モジュール300が収納室100の上側で循環空気を再循環させるので、収納室100全体にわたって対流現象がより円滑に起こる。
【0100】
本発明のさらに他の実施形態において、機械室200の内部の機構は作動せず、再循環モジュール300のみ作動すると、収納室100に収納された衣類などの埃を払う機能のみ実行することができる。
【0101】
前述した衣類管理モードについての説明と図10図14を参照して、本発明による多機能収納システムに除湿ファンが備えられる実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、ドアの内側の水滴付着防止のための除湿ファンを備える構造であり、具体的には排気口250の内側に除湿ファン290が備えられる。
【0102】
衣類管理モードを実行すると、循環フィルターユニット229及び除湿部260が選択的に作動し、予め設定された時間だけ循環フィルターユニット229及び除湿部260が交互に作動し、収納室100の加湿及び除湿が繰り返し行われる。このような過程において、収納室100内には高温高湿の空気が循環し、その循環空気は、開放された循環空気流入口141及び循環空気流出口142を介して収納室100及び機械室200を循環する。
【0103】
高温高湿の循環空気が収納室100と機械室200間を循環する過程で外部に流失することを防止するために、排気口250又は収納室100に選択的に連通させる第2流路切替部材242は、第2流路240が収納室100に連通し、かつ排気口250からは遮断されるように作動することができる。ただし、排気口250が遮断された状態でも、各部材の隙間から循環空気が流出することがあるので、設計者の意図に反して、排気口250から高温高湿の空気の一部が漏れる。ここで、排気ドア650が閉鎖された状態であるため、排気口250から漏れる高温高湿の循環空気が機械室200とドア600間の隙間又は空間に滞留するので、機械室200とドア600の内側間に水滴が付着する現象が発生する。
【0104】
本実施形態は、このような水滴付着現象を防止するために、衣類管理モードを実行する際に排気口250から漏れる高温高湿の空気を乾燥させる除湿ファン290を備える。排気口250は、多機能収納システムの前方に所定の長さだけ延びるように形成され、除湿ファン290は、排気口250内の一側に備えられることが好ましい。
【0105】
ここで、除湿ファン290は、排気口250から吐出される空気の方向を基準に、排気口250の側端部に備えられ、排気口250から吐出される空気の方向と垂直な方向に送風するように形成される。このように、除湿ファン290により排気口250にエアカーテンが形成されるので、排気口250から循環空気が漏れる現象自体を抑制することができ、循環空気が少量漏れても、除湿ファン290が乾燥させるので、ドア600の内側に高温高湿の空気が滞留する現象を防止することができる。
【0106】
一方、除湿ファン290の送風方向は、排気口250から吐出される空気の方向と垂直な方向になるようにするが、設計者の選択により、鋭角方向に送風するように構成されてもよい。
【0107】
また、図10~14には除湿ファン290が排気口250内の一端部に1つだけ備えられるものを示すが、除湿ファン290は、一対で備えられてもよく、また対向する方向に送風するように構成されてもよい。
【0108】
除湿ファン290は、衣類管理モードが開始すると自動的に作動し、衣類管理モードが終了すると自動的に作動中止されるように形成されてもよい。これは、後述する多機能収納システムの空気清浄モードでは清浄フィルターユニット219により浄化された空気が排気口250から強制吐出されるように形成されるので、排気口250から排出される空気に対してエアカーテンを形成する必要がないからである。
【0109】
すなわち、除湿ファン290は、高温高湿の空気が収納室100及び機械室200を循環する衣類管理モードにおいて、前記高温高湿の空気が排気口250から漏れる現象を防止するためのものであるので、排気口250が閉鎖されると除湿ファン290が作動を開始し、排気口250が開放されている場合は除湿ファン290の作動が中止されるように形成される。
【0110】
ここで、除湿ファン290の大きさ、形状及び位置は、設計者の選択により変更することができ、除湿ファン290は、排気口250が閉鎖された状態で第2流路240を流動する空気の湿度及び温度に影響を与えないように形成されることが好ましい。
【0111】
なお、本発明による多機能収納システムのさらに他の実施形態は、前述した衣類管理モード及び空気清浄モード以外に、「全体循環モード」及び「全体遮断モード」をさらに含む。
【0112】
「全体循環モード」は、機械室200に備えられる清浄フィルターユニット219が収納室100はもとより多機能収納システムの外気にも全て連通するモードである。清浄フィルターユニット219には、収納室100の内側の空気が流入して濾過されるだけでなく、多機能収納システムの外気も流入して濾過される。このような循環モードは、室内の空気(すなわち、外気)及び収納室100の内部の空気の質がそれほど悪くない場合や、速く空気を循環させて浄化させる場合に有利である。
【0113】
「全体遮断モード」は、全体循環モードとは逆に、機械室200が収納室100はもとより多機能収納システムの外気にも全て連通しないモードである。例えば、清浄フィルターユニット219の性能が低下して交換が必要な場合や、収納室100の内部及び室内の空気の濾過が特に必要でない場合や、機械室200の予熱のみ必要な場合に有利である。
【0114】
以上、本明細書には、本発明を当業者が容易に理解して再現できるように、図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、これは例示的なものにすぎず、当業者であれば本発明の実施形態から様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解するであろう。よって、本発明の保護範囲は、請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0115】
100 収納室
129 循環フィルター脱着部
130 再循環モジュール装着部
141 循環空気流入口
142 循環空気流出口
147 機能性材料収納部
200 機械室
210 吸気口
218 清浄フィルターユニット脱着部
219 清浄フィルターユニット
220 第1流路
229 循環フィルターユニット
230 ファンユニット
240 第2流路
241 第1流路切替部材
242 第2流路切替部材
250 排気口
260 除湿部
270 供給水槽
280 凝縮水槽
300 再循環モジュール
500 ケーシング
600 ドア
610 制御部
650 排気ドア
図1
図2a
図2b
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
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図14