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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】スイッチ装置及び開閉検知装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/04 20060101AFI20221125BHJP
   H01H 21/28 20060101ALI20221125BHJP
   H01H 21/08 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01H9/04 B
H01H21/28 M
H01H21/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021503461
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003308
(87)【国際公開番号】W WO2020179289
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2019040372
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】魚住 岳輝
(72)【発明者】
【氏名】李 更▲銀▼
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-031262(JP,U)
【文献】実開昭60-024026(JP,U)
【文献】実開昭55-140216(JP,U)
【文献】実開昭57-143627(JP,U)
【文献】特開2013-225423(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008911(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/04
H01H 21/28
H01H 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に端子を有するスイッチと、
前記端子に固定されたリード線と、
前記リード線の前記端子に固定された部分を封止する封止部材と、
前記封止部材を収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、
前記リード線が貫通する開口部が形成された第1の底面と、
前記第1の底面よりも前記スイッチ側に位置する第2の底面と、
を有し、
前記封止部材は前記第2の底面に当接し、
前記封止部材と前記第1の底面との間に第1の空間が存在することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の底面に前記ハウジングの外部の空間に連通する排水路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
外部に端子を有するスイッチと、
前記端子に固定されたリード線と、
前記リード線の前記端子に固定された部分を封止する封止部材と、
前記封止部材を収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、
前記リード線が貫通する開口部が形成された第1の底面と、
前記第1の底面よりも前記スイッチ側に位置する第2の底面と、
を有し、
前記封止部材は前記第2の底面に当接し、
前記第1の底面に前記ハウジングの外部の空間に連通する排水路が形成されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
前記第2の底面と前記封止部材との間に第2の空間が存在する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
外部に端子を有するスイッチと、
前記端子に固定されたリード線と、
前記リード線の前記端子に固定された部分を封止する封止部材と、
前記封止部材を収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、
前記リード線が貫通する開口部が形成された第1の底面と、
前記第1の底面よりも前記スイッチ側に位置する第2の底面と、
を有し、
前記封止部材は前記第2の底面に当接し、
前記第2の底面と前記封止部材との間に第2の空間が存在する、スイッチ装置。
【請求項6】
前記第2の底面は、前記第1の底面側とは反対側に突出する凸部を有し、
前記封止部材は前記凸部に当接する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
外部に端子を有するスイッチと、
前記端子に固定されたリード線と、
前記リード線の前記端子に固定された部分を封止する封止部材と、
前記封止部材を収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、
前記リード線が貫通する開口部が形成された第1の底面と、
前記第1の底面よりも前記スイッチ側に位置する第2の底面と、
を有し、
前記封止部材は前記第2の底面に当接し、
前記第2の底面は、前記第1の底面側とは反対側に突出する凸部を有し、
前記封止部材は前記凸部に当接する、スイッチ装置。
【請求項8】
前記第2の底面の外縁は、前記第1の底面の外縁より外側にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記封止部材は弾性を有し、
前記スイッチと前記第2の底面との間で前記封止部材が圧縮された状態で、前記ハウジングが前記スイッチにスナップ係合されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記スイッチの側面に接し、係合孔が形成された側板を有し、
前記スイッチは、前記側面に前記係合孔に嵌まる係合突起を有することを特徴とする請求項に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
前記封止部材はホットメルト接着剤を有する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスイッチ装置と、
前記スイッチ装置を、扉の近傍に固定する固定部材と、
前記扉と、前記スイッチ装置との間に介在し、前記扉の開閉動作を、前記スイッチ装置が備える前記スイッチの切り替え動作に変換する変換部材と、
を備えることを特徴とする開閉検知装置。
【請求項13】
前記扉は、車両が備えるボンネットフードであることを特徴とする請求項1に記載の開閉検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ装置及び開閉検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両において、対象物の近傍に設置され、当該対象物の状態を検知することが可能なスイッチ装置が知られている。例えば、このようなスイッチ装置を、車両が備えるボンネットフードの近傍に設置することにより、当該ボンネットフードの開閉状態を検知することが可能となる。このように、スイッチ装置を車室外に設置する場合には、スイッチ装置の誤作動や故障を防止するために、スイッチ装置に防水性を持たせることが必要となる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、スイッチ装置において、ケーブルの外被表面に多数の凹凸部を設けることにより、ケーブルと充填剤との接着効果を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、多芯ケーブルのシール構造に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-45815号公報
【文献】特開2016-122595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によっても十分な防水性を得ることができず、スイッチ装置への水の侵入に伴う誤動作、故障の懸念がある。また、特許文献2に記載の技術をスイッチ装置にそのまま適用したとしても、十分な防水性が得られるとはいえない。
【0006】
本開示は、優れた防水性を得ることができるスイッチ装置及び開閉検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態によれば、外部に端子を有するスイッチと、前記端子に固定されたリード線と、前記リード線の前記端子に固定された部分を封止する封止部材と、前記封止部材を収容するハウジングと、を有し、前記ハウジングは、前記リード線が貫通する開口部が形成された第1の底面と、前記第1の底面よりも前記スイッチ側に位置する第2の底面と、を有し、前記封止部材は前記第2の底面に当接し、前記封止部材と前記第1の底面との間に第1の空間が存在するスイッチ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、優れた防水性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示す斜視図(その1)である。
図2】第1の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示す斜視図(その2)である。
図3】第1の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示す分解斜視図である。
図4】ハウジングの構成を示す上面図である。
図5】ハウジングの構成を示す斜視断面図(その1)である。
図6】ハウジングの構成を示す斜視断面図(その2)である。
図7】スイッチ構造体の構成を示す斜視図である。
図8A】スイッチの構成を示す斜視図である。
図8B】スイッチの構成を示す斜視図である。
図9】スイッチとリード線との関係を示す斜視図である。
図10】ハウジングとリード線との関係を示す下面図である。
図11】ハウジングがスイッチにスナップ係合された状態での封止部材とハウジングとの関係を示す斜視断面図である。
図12】ハウジングがスイッチにスナップ係合された状態での封止部材とハウジングとの関係を示す正面断面図である。
図13】第2の実施形態に係る開閉検知装置(ボンネットフードが閉じているときの状態)の外観を示す斜視図である。
図14】第2の実施形態に係る開閉検知装置(ボンネットフードが開いているときの状態)の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。この結果、ハウジングの底面に押し付けるようにしてスイッチをハウジング内に収容することが防水性の向上に有効であることを見出した。その一方で、スイッチの下面がハウジングの底面に密着している場合、ハウジング内に侵入した水が排出されず、所望の防水性が得られないことがあることも判明した。本開示は、このような新たな知見に基づくものである。
【0011】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本開示においては、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。なお、便宜上、Z1-Z2方向を上下方向とする。また、平面視とは、Z1側から対象物を見ることをいう。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態はスイッチ装置に関する。図1及び図2は、第1の実施形態に係るスイッチ装置100の構成を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態に係るスイッチ装置100の構成を示す分解斜視図である。
【0013】
第1の実施形態に係るスイッチ装置100は、車両用のスイッチ装置である。スイッチ装置100は、車両が備える対象物の動きに伴って、ON状態とOFF状態との間で切り替わる。これにより、スイッチ装置100は、対象物の状態を検出することができる。スイッチ装置100は、防水性を有しているため、車室外でも使用が可能である。例えば、スイッチ装置100は、車両のボンネットフード、ドア、トランクフード等の開閉状態を検出するための検出装置として用いることができる。
【0014】
図1図3に示すように、スイッチ装置100は、ハウジング110、スイッチ構造体160及びレバー部140を有する。
【0015】
図4は、ハウジング110の構成を示す上面図である。図5及び図6は、ハウジング110の構成を示す斜視断面図である。
【0016】
ハウジング110は、絶縁性を有する硬質な素材(例えば、樹脂等)が用いられた成型部品である。ハウジング110内にスイッチ構造体160が収容され、ハウジング110にレバー部140が取り付けられる。ハウジング110は、上部が開口した容器状をなしており、当該開口からスイッチ構造体160がハウジング110内に収容される。
【0017】
ハウジング110は、下部に第1の底面111及び第2の底面112を有する。第2の底面112は、平面視で第1の底面111の周囲に設けられており、第1の底面111は第2の底面112よりも深い。つまり、第2の底面112の外縁は、第1の底面111の外縁より外側にある。従って、第1の底面111と第2の底面112との間に段差が存在する。第1の底面111に、リード線150Aが貫通する開口部114A及びリード線150Bが貫通する開口部114Bが形成されている。開口部114Aの周囲に環状の隆起部115Aが形成され、開口部114Bの周囲に環状の隆起部115Bが形成されている。第2の底面112上に、3個以上、ここでは5個のドーム状の凸部113が形成されている。例えば、3個以上の凸部113のうちの少なくとも3個の凸部113は、同一の直線上にはない。凸部113は、Z1側、すなわち、第1の底面111側(Z2側)とは反対側に突出する。凸部113は第2の底面112の一部である。
【0018】
ハウジング110は、ZX平面に平行な側板116AB及び側板116CDを有する。側板116ABには、係合孔118A及び係合孔118Bが形成されている。また、側板116ABの側板116CDと対向する面には、係合孔118Aの上方の傾斜面117Aと、係合孔118Bの上方の傾斜面117Bとが形成されている。傾斜面117A及び傾斜面117Bは、側板116ABの上端に近づくほど側板116CDから離間するように傾斜している。側板116CDには、係合孔118C及び係合孔118Dが形成されている。また、側板116CDの側板116ABと対向する面には、係合孔118Cの上方の傾斜面117Cと、係合孔118Dの上方の傾斜面117Dとが形成されている。傾斜面117C及び傾斜面117Dは、側板116CDの上端に近づくほど側板116ABから離間するように傾斜している。側板116AB及び側板116CDは可撓性を有しており、それぞれ厚さ方向(Y1-Y2方向)に湾曲することができる。
【0019】
図7は、スイッチ構造体160の構成を示す斜視図である。図8A及び図8Bは、スイッチ120の構成を示す斜視図である。図9は、スイッチ120と、リード線150A及びリード線150Bとの関係を示す斜視図である。図10は、ハウジング110と、リード線150A及びリード線150Bとの関係を示す下面図である。
【0020】
スイッチ構造体160は、上記のように、ハウジング110に収容される。スイッチ構造体160は、スイッチ120、封止部材130、リード線150A及びリード線150Bを有している。
【0021】
スイッチ120は、ケース部120A、ボタン121、ウェハ123、端子122A及び端子122Bを有している。ケース部120Aは、ZX平面に平行な2平面と、YZ平面に平行な2平面とを備えた略直方体の形状を有している。ZX平面に平行な2平面のうち、Y2側の平面にボス124A及び124Bが形成され、Y1側の平面にボス124C及び124Dが形成されている。ボス124Aは係合孔118Aに嵌まり、ボス124Bは係合孔118Bに嵌まり、ボス124Cは係合孔118Cに嵌まり、ボス124Dは係合孔118Dに嵌まる。ボス124A~124Dは係合突起の一例である。
【0022】
端子122A及び端子122Bは、ケース部120Aの下面から突出した、平板状の部材である。端子122Aには、リード線150Aが電気的且つ物理的に接続され、端子122Bには、リード線150Bが電気的且つ物理的に接続されている。例えば、リード線150A及びリード線150Bは、それぞれ、半田を用いて端子122A及び端子122Bに固定されている。溶接により、リード線150A及びリード線150Bが、それぞれ、端子122A及び端子122Bに固定されていてもよい。端子122A及び端子122Bには、導電性を有する硬質な素材(例えば、金属素材)が用いられる。ボタン121は、スイッチ120のケース部120Aの上面から突出しており、スイッチ120をON状態とOFF状態との間で切り替えるための押圧操作可能な部材である。例えば、スイッチ120は、ボタン121が押圧されると、ON状態(すなわち、端子122Aと端子122Bとが導通した状態)に切り替わる。そして、スイッチ120は、ボタン121の押圧が解除されると、OFF状態(すなわち、端子122Aと端子122Bとが導通していない状態)に切り替わる。ウェハ123は、ケース部120Aの下面に設けられ、端子122A及び端子122Bを直立状態に支持する。ケース部120A及びウェハ123は、例えば、絶縁性を有する硬質な素材(例えば、樹脂等)が用いられた成型部品である。
【0023】
封止部材130は、リード線150Aの端子122Aに固定された部分と、リード線150Bの端子122Bに固定された部分とを封止している。封止部材130は弾性を有している。封止部材130は、例えばホットメルト接着剤を含むことができる。封止部材130は、XY平面の平面形状がケース部120AのXY平面の平面形状に倣う基部131と、基部131の下面の中央部からリード線150A及びリード線150Bに沿って下方(Z2側)に突出する突出部132とを有している。基部131は略直方体の形状を有している。主として、突出部132が、第1の底面111と第2の底面112との間の段差により形成された空間に収容され、基部131及びケース部120Aが第2の底面112より上方の空間に収容される。
【0024】
開口部114Aはリード線150Aの外周よりも広く形成されており、開口部114Bはリード線150Bの外周よりも広く形成されている。従って、開口部114Aとリード線150Aとの間に隙間151Aが存在し、開口部114Bとリード線150Bとの間に隙間151Bが存在する。
【0025】
レバー部140は、一端がハウジング110によって支持され、且つ、スイッチ120のボタン121上に延在する、金属製且つ薄板状の素材が加工されてなる部材である。レバー部140は、他端が外部から操作されて押し下げられることにより、スイッチ120のボタン121を押し下げることが可能である。なお、レバー部140は、車種や検出対象物に応じた形状とすることが可能である。
【0026】
ここで、スイッチ構造体160をハウジング110に収容する方法について説明する。
【0027】
スイッチ構造体160をハウジング110に収容する際には、先ず、リード線150Aを開口部114Aに通し、リード線150Bを開口部114Bに通す。次いで、ボス124Aを傾斜面117Aに接触させ、ボス124Bを傾斜面117Bに接触させ、ボス124Cを傾斜面117Cに接触させ、ボス124Dを傾斜面117Dに接触させる。
【0028】
この状態から、スイッチ構造体160をハウジング110内に更に押し込むと、ボス124A~124Dがそれぞれ傾斜面117A~117Dに沿って下方に移動しながら、側板116AB及び側板116CDが外側に撓む。スイッチ構造体160を更にハウジング110内に押し込むと、封止部材130が凸部113に当接する。封止部材130が弾性を有しているため、封止部材130はZ1-Z2方向で圧縮される。
【0029】
この状態から、スイッチ構造体160を更にハウジング110内に押し込むと、ボス124Aが係合孔118Aに嵌まり、ボス124Bが係合孔118Bに嵌まり、ボス124Cが係合孔118Cに嵌まり、ボス124Dが係合孔118Dに嵌まる。この結果、ボス124A~124Dによる側板116AB及び側板116CDの外側への押圧が解放され、ハウジング110がスイッチ120にスナップ係合される。また、スイッチ構造体160の押し込みを止めると、Z1-Z2方向に圧縮されている封止部材130が元の形状に戻ろうとするが、ボス124A~124Dがそれぞれ係合孔118A~118Dに嵌まっているため、封止部材130は圧縮されたままとなる。従って、封止部材130はスイッチ120のウェハ123に強固に密着する。
【0030】
図11は、ハウジング110がスイッチ120にスナップ係合された状態での封止部材130とハウジング110との関係を示す斜視断面図である。図12は、ハウジング110がスイッチ120にスナップ係合された状態での封止部材130とハウジング110との関係を示す正面断面図である。
【0031】
図11及び図12に示すように、第2の底面112に設けられた凸部113に基部131の下面が当接し、基部131の凸部113に当接する箇所が凹んでいる。つまり、封止部材130はスイッチ120と第2の底面112との間でZ1-Z2方向に圧縮されている。また、凸部113によって押し上げられた基部131の周辺では、第2の底面112と基部131の下面とが互いから離間し、第2の底面112と基部131の下面との間に第2の空間162が存在する。また、隆起部115A及び隆起部115Bの上面と突出部132の下面とが互いから離間し、隆起部115A及び隆起部115Bの上面と突出部132の下面との間に第1の空間161が存在する。
【0032】
なお、第2の底面112に、平面視で、第2の底面112の外縁と内縁とを繋ぐ溝等の排水路が形成されていてもよい。このような排水路内の空間も第2の空間として機能し得る。
【0033】
また、第1の底面111に開口部114A又は開口部114Bに繋がる溝等の排水路が形成されていてもよい。このような排水路内の空間も第1の空間として機能し得る。また、第1の底面111に、開口部114A及び開口部114Bとは別に、排水用の開口部が形成されていてもよい。
【0034】
このように、第1の実施形態に係るスイッチ装置100では、第1の底面111に、リード線150Aが貫通する開口部114A及びリード線150Bが貫通する開口部114Bが形成され、封止部材130が第2の底面112に当接している。また、第2の底面112は第1の底面111よりもスイッチ120側に位置する。従って、ハウジング110内に水が侵入したとしても、当該水は第1の底面111から開口部114Aの隙間151A及び開口部114Bの隙間151Bを通じて外部に排出することができる。
【0035】
更に、ハウジング110の外側でリード線150A及びリード線150Bに様々な方向の引張荷重が印加されるが、リード線150A及びリード線150Bと封止部材130との密着性、封止部材130とスイッチ120との密着性を良好に保持することができる。例えば、Z2側を向く引張荷重がリード線150A及びリード線150Bに作用した場合、リード線150A及びリード線150Bが端子122A及び端子122Bに半田等により固定されているため、スイッチ120が封止部材130を第2の底面112に向けて圧縮する。従って、半田等による固定部が補強され、リード線150A及びリード線150Bと封止部材130との間の剥離も、封止部材130とスイッチ120との間の剥離も生じにくい。また、XY平面内の任意の方向を向く引張荷重がリード線150A及びリード線150Bに作用した場合、この引張荷重は開口部114A及び開口部114B内でZ2側を向く引張荷重に変換される。従って、Z2側を向く引張荷重がリード線150A及びリード線150Bに作用した場合と同様に、半田等による固定部が補強され、リード線150A及びリード線150Bと封止部材130との間の剥離も、封止部材130とスイッチ120との間の剥離も生じにくい。これにより、防水性を維持しつつ様々な方向の引張荷重に対する強度を向上させることが可能となる。
【0036】
また、第2の底面112は平面視で第1の底面111の周囲に設けられており、第2の底面112の外縁は第1の底面111の外縁より外側にある。従って、スイッチ構造体160をハウジング110の上方からハウジング110内に収容しやすい。
【0037】
また、封止部材130と第1の底面111との間に第1の空間161が存在するため、ハウジング110内に侵入した水をより確実に外部に排出することができる。
【0038】
また、第1の底面にハウジング110の外部の空間に連通する排水路が形成されていてもよい。ハウジング110内に侵入した水を、排水路を通じてより確実に外部に排出することができる。
【0039】
また、封止部材130が弾性を有し、スイッチ120と第2の底面112との間で封止部材130が圧縮された状態で、ハウジング110がスイッチ120にスナップ係合されている。従って、封止部材130がスイッチ120に強固に密着し、リード線150A及びリード線150Bに引張荷重が印加されても、封止部材130はスイッチ120から極めて剥離しにくい。このため、優れた防水性を得ることができる。
【0040】
また、ハウジング110は、スイッチ120の側面に接し、係合孔118A及び係合孔118Bが形成された側板116ABと、係合孔118C及び係合孔118Dが形成された側板116CDとを有し、スイッチ120は、側面に係合孔118A~118Dに嵌まるボス124A~124Dを有する。従って、より確実にハウジング110をスイッチ120にスナップ係合することができる。
【0041】
また、第2の底面112と封止部材130との間に第2の空間162が存在するため、ハウジング110内に侵入した水を第2の底面112から第1の底面111に向けて容易に流すことができる。
【0042】
また、第2の底面112は、第1の底面111側(Z2側)とは反対側(Z1側)に突出する凸部113を有し、封止部材130は凸部113に当接する。従って、第2の底面112と封止部材130との間に第2の空間162を確保しやすい。また、凸部113により封止部材130を上方に押し上げて、封止部材130とスイッチ120との間の密着強度を向上することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、スイッチ装置100を備えた開閉検知装置に関する。図13は、第2の実施形態に係る開閉検知装置200(ボンネットフードが閉じているときの状態)の外観を示す斜視図である。図14は、第2の実施形態に係る開閉検知装置200(ボンネットフードが開いているときの状態)の外観を示す斜視図である。
【0044】
第2の実施形態に係る開閉検知装置200は、車両が備えるボンネットフードの開閉状態を検知するための装置である。図13に示すように、開閉検知装置200は、第1の実施形態に係るスイッチ装置100と、ベースプレート210と、カムプレート220とを備えて構成されている。
【0045】
ベースプレート210は、金属製且つ平板状の素材が加工されてなる部材である。ベースプレート210は、スイッチ装置100を、車両が備えるボンネットフードの近傍に固定する。また、ベースプレート210は、カムプレート220を回動自在に支持する。なお、ベースプレート210は、車種や取付位置に応じた形状とすることが可能である。すなわち、本実施形態の開閉検知装置200は、ベースプレート210の形状を適宜変更することにより、複数の車種や複数の取付位置に適用することが可能である。ベースプレート210は固定部材の一例である。
【0046】
カムプレート220は、金属製且つ平板状の部材である。カムプレート220は、ベースプレート210によって軸部220Aが支持される。これにより、カムプレート220は、軸部220Aを中心として回動自在となる。カムプレート220は、ボンネットフードのストライカ300と係合可能な、U字状のレバー部222を有する。これにより、カムプレート220は、ボンネットフードの開閉動作に伴って、レバー部222がストライカ300によって操作されることにより、回動することが可能である。カムプレート220は、他の部分よりも半径方向に突出した部分であるカム部221をさらに有する。カム部221は、カムプレート220の回動に伴って、スイッチ装置100のレバー部140を押し下げる部分である。カムプレート220は、このような構成を有することにより、ボンネットフードの開閉動作を、スイッチ装置100が備えるスイッチ120の切り替え動作に変換することが可能である。カムプレート220は変換部材の一例である。
【0047】
図13に示すように、ボンネットフードが閉じているとき、カムプレート220のレバー部222は、ボンネットフードのストライカ300と係合する。これにより、カムプレート220は、所定の回転角度となっている状態を維持する。この状態において、カムプレート220のカム部221は、スイッチ装置100のレバー部140を押し下げない位置にある。よって、スイッチ装置100は、OFF状態となる。
【0048】
一方、図14に示すように、ボンネットフードが開かれると、ボンネットフードのストライカ300が上方に引き上げられることに伴い、当該ストライカ300によって、カムプレート220のレバー部222が上方に引き上げられる。これにより、カムプレート220は、軸部220Aを中心として、時計回りに回動する。このとき、カムプレート220のカム部221が、スイッチ装置100のレバー部140を押し下げる。これにより、レバー部140がスイッチ120のボタン121を押し下げる。よって、スイッチ装置100は、ON状態となる。
【0049】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0050】
例えば、上記実施形態では、本開示のスイッチ装置を、車両が備えるボンネットフードの開閉状態を検知するための開閉検知装置200に適用した例を説明したが、これに限らず、例えば、本開示のスイッチ装置は、車両が備えるボンネットフード以外の扉(例えば、トランクフード、ドア等)の状態を検知するための他の検知装置に適用することも可能である。また、本開示のスイッチ装置は、車両に限らず、その他の如何なる装置(例えば、飛行機、船舶、産業用機械、家電製品等)においても適用可能である。
【0051】
また、例えば、上記実施形態のスイッチ装置100において、当該スイッチ装置100を適用する装置に応じて、レバー部140を設けない構成(すなわち、外部から直接的にスイッチ120のボタン121が押下される構成)としてもよい。
【0052】
また、例えば、上記実施形態のスイッチ装置100において、2つの端子を有するスイッチ120の代わりに、3つ以上の端子を有するスイッチを用い、これに合わせて、リード線の数を変更するようにしてもよい。
【0053】
また、例えば、上記実施形態のスイッチ装置100において、スイッチ120(押ボタンスイッチ)の代わりに、他の種類のスイッチ(例えば、トグルスイッチ、ロッカースイッチ等)を用いるようにしてもよい。
【0054】
本国際出願は、2019年3月6日に出願した日本国特許出願第2019-040372号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0055】
100 スイッチ装置
110 ハウジング
111 第1の底面
112 第2の底面
113 凸部
114A、114B 開口部
115A、115B 隆起部
116AB、116CD 側板
117A、117B、117C、117D 傾斜面
118A、118B、118C、118D 係合孔
120 スイッチ
120A ケース部
121 ボタン
122A、122B 端子
123 ウェハ
124A、124B、124C、124D ボス
130 封止部材
131 基部
132 突出部
140 レバー部
150A、150B リード線
151A、151B 隙間
160 スイッチ構造体
161 第1の空間
162 第2の空間
200 開閉検知装置
210 ベースプレート(固定部材)
220 カムプレート(変換部材)
220A 軸部
221 カム部
222 レバー部
300 ストライカ
図1
図2
図3
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図5
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図8A
図8B
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