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特許7182712電子部品収納用パッケージ、電子装置、および電子モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電子部品収納用パッケージ、電子装置、および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/04 20060101AFI20221125BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20221125BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L23/04 E
H01L23/12 K
H03H9/02 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021527698
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024858
(87)【国際公開番号】W WO2020262472
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2019120065
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴浩
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/090508(WO,A1)
【文献】特開2017-063165(JP,A)
【文献】特開2018-032773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02-23/08
H01L 23/12-23/13
H03H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する絶縁基板と、
前記主面に一部が露出した外部接続導体と、
該外部接続導体よりも前記絶縁基板の厚み方向の内側に位置する内層導体と、を有しており、
前記外部接続導体は、前記内層導体に向かう突出部を有し、
該突出部が、前記内層導体に接しており、
前記絶縁基板の側面において、前記外部接続導体の露出部に金属層が位置し、前記内層導体の露出部に前記金属層が位置しない部分を有することを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
【請求項2】
主面を有する絶縁基板と、
前記主面に一部が露出した外部接続導体と、
該外部接続導体よりも前記絶縁基板の厚み方向の内側に位置する内層導体と、を有しており、
前記外部接続導体は、前記内層導体に向かう突出部を有し、
該突出部が、前記内層導体に接しており、
前記突出部は、平面透視で、前記外部接続導体より小さく、かつ、前記外部接続導体の外形形状に沿った形状を有していることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
【請求項3】
主面を有する絶縁基板と、
前記主面に一部が露出した外部接続導体と、
該外部接続導体よりも前記絶縁基板の厚み方向の内側に位置する内層導体と、を有しており、
前記外部接続導体は、前記内層導体に向かう突出部を有し、
該突出部が、前記内層導体に接しており、
前記突出部は、平面透視で、前記外部接続導体より小さく、かつ、前記外部接続導体の50%以上の面積を有することを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
【請求項4】
前記突出部は、前記絶縁基板の内部に位置していることを特徴とする請求項1及至請求項3のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項5】
前記絶縁基板は、前記内層導体と前記外部接続導体とに挟まれ、平面透視で前記突出部に接する囲繞部を有していることを特徴とする請求項1及至請求項4のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項6】
前記囲繞部は、前記絶縁基板の側面にあたる露出部分が凹凸部を有することを特徴とする請求項5に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項7】
前記囲繞部は、前記絶縁基板の内側にあたる部分の厚みが、前記絶縁基板の外側にあたる部分の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項8】
前記絶縁基板の厚み方向に沿った断面視において、前記囲繞部における前記絶縁基板の中央側に位置する部分は、前記主面側に曲がった曲部を有する、ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項9】
平面透視において、前記突出部は、絶縁基板の中央側に向いた辺部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージと、該電子部品収納用パッケージに搭載された電子部品とを有していることを特徴とする電子装置。
【請求項11】
接続パッドを有するモジュール用基板と、
前記接続パッドが接続された請求項10に記載の電子装置とを有することを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動素子または半導体素子等の電子部品を収容するための電子部品収納用パッケージ、電子装置、および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を凹状の搭載部に収容し、搭載部の電子部品を外部に設けられた配線導体に接続する構成の電子部品収納用パッケージが考案されている。電子部品を電子部品収納用パッケージに収容したのち、搭載部を蓋体で気密封止して電子装置とすることで、その取り扱い及び配線接続が容易となる(例えば特開2002-164451号公報参照。)。
【発明の概要】
【0003】
本開示の電子部品収納用パッケージは、主面を有する絶縁基板と、前記主面に一部が露出した外部接続導体と、該外部接続導体よりも前記絶縁基板の厚み方向の内側に位置する内層導体と、を有しており、前記外部接続導体は、前記内層導体に向かう突出部を有し、該突出部が、前記内層導体に接している。
【0004】
本開示の電子装置は、上記に記載の電子部品収納用パッケージと、該電子部品収納用パッケージに搭載された電子部品とを有している。
【0005】
本開示の電子モジュールは、接続パッドを有するモジュール用基板と、前記接続パッドが接続された上記に記載の電子装置とを有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の電子部品収納用パッケージ等を示す上面透視図である。
図2図1に示した電子部品収納用パッケージ等のX-X線における断面図である。
図3】本開示の電子部品収納用パッケージ等を示す下面透視図である。
図4】本開示の電子部品収納用パッケージ等を示す側面図である。
図5】本開示の電子部品収納用パッケージが配列された母基板を示す下面透視図である。
図6図5に示した母基板のY-Y線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本開示の実施形態に係る電子部品収納用パッケージ100は、例えば第1主面101aを有するフレーム部103と、第2主面101b(主面ともいう)を有する基部102とが一体的になった構造体である。フレーム部103は、枠状メタライズ層116と、ビア導体117が含まれる。基部102は、外部接続導体105と、突出部106と、内層導体107と、電極パッド114と、ビア導体117が含まれる。第1主面101aは、蓋体115が接合される封止面を構成し、第2主面101bはモジュール用基板301への実装面を構成する。第1主面101aには枠状メタライズ層116が位置しており、搭載部104に電子部品112が搭載されたのち、枠状メタライズ層116上に蓋体115がろう材により接合されて電子部品112が気密封止される。なお、電子部品収納用パッケージ100は、フレーム部103と基部102を別々の絶縁層で構成し、フレーム部103と基部102を接合した構造体で構成してもよい。
【0008】
基部102は、平板状の形態を有し、第2主面101bとは反対側の中央の範囲に電子部品112が搭載される搭載部104が位置している。図1では、電子部品112として水晶振動子(圧電素子)が搭載される例を示している。
【0009】
基部102、フレーム部103を含む絶縁基板101は、絶縁材料から構成される。絶縁材料としては、例えば酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム焼結体,ムライト質焼結体又はガラス-セラミック焼結体等のセラミック材料を適用できる。
【0010】
外部接続導体105は、第2主面101b側に広がり、外部に露出された面状として第2主面101bに位置している。基部102には、図3に示すように、例えば4つの外部接続導体105が位置している。外部接続導体105は、図3に示すように、平面形状が四辺形状であり、基部102の第2主面101b側の四隅に位置している。
【0011】
内層導体107は、面状として外部接続導体105と対向するように、基部102の内部に位置している。また、内層導体107は、図2に示すように、断面透視において基部102の外縁から基部102の中央方向にかけて傾斜するように位置している。また、図3図4で示すように、内層導体107の端部が基部102の側面に露出している。そして、外部接続導体105と内層導体107は、外部接続導体105における絶縁基板101の第2主面101b側に対応する部分、および内層導体107よりも平面透視における面積が小さく、内側に位置する突出部106により接続されている。
【0012】
また、外部接続導体105と内層導体107との間の外部接続導体105の突出部106を除く領域には、囲繞部108が位置している。図2に示すように、搭載部104に位置する電極パッド114は、ビア導体117、内層導体107、突出部106を介して、一方の外部接続導体105へ導出される。さらに、フレーム部103の第1主面101aに位置する枠状メタライズ層116は、ビア導体117、内層導体107、突出部106を介して、他方の外部接続導体105へ導出される。なお、ビア導体117の途中に中継導体(図示せず)を位置させて、中継導体によりビア導体117を繋ぐ構成で外部接続導体105まで導出させてもよい。
【0013】
2つの電極パッド114からそれぞれ導出される2つの外部接続導体105は、例えば第2主面101bに位置する4つの外部接続導体105のうち、基部102の四隅の対角上に位置する2つの外部接続導体105に配置され、枠状メタライズ層116から導出される外部接続導体105は、基部102の四隅の対角上に位置する他の2つの外部接続導体105に導出される。
【0014】
本開示の電子部品収納用パッケージ100は、主面を有する絶縁基板101と、主面に一部が露出した外部接続導体105と、外部接続導体105よりも絶縁基板101の厚み方向の内側に位置する内層導体107と、を有しており、外部接続導体105は、内層導体107に向かう突出部106を有し、突出部106が、内層導体107に接している。
【0015】
上記の構成により、外部接続導体105の突出部106が絶縁基板101に食い込み、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を大きくできる。つまり、平面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、さらに外部接続導体105と内層導体107が外部接続導体105の突出部106により接続されていることから、外部接続導体105と内層導体107との間で絶縁基板101の一部を挟んでいることから、絶縁基板101と外部接続導体105との接合強度を大きくできる。
【0016】
図2に示すように、内層導体107は、外部接続導体105と対向するように、基部102の内部に位置している。また、内層導体107は、断面透視において基部102の外縁から基部102の中央方向にかけて傾斜するように位置している。なお、断面透視において内層導体107の最も第2主面101b側に近い端部は、外部接続導体105の最も第1主面101a側に近い端部よりも第1主面101a側に位置している。そして、電子部品収納用パッケージ100の第2主面101bに位置する外部接続導体105が、接続パッド302を有するモジュール用基板301に、半田等の接続部材303により接続される。
【0017】
また、内層導体107は、断面透視において基部102の外縁から基部102の中央部側にかけて傾斜するように位置しており、絶縁基板101の四隅において、第2主面101bから最も離間している。内層導体107は、図5図6で示したように、配線基板領域(電子部品収納用パッケージ100)が配列された母基板120において、隣接する配線基板領域の導体を接続するための導通経路として作用する。よって、一方の配線基板領域の内層導体107と、他方の配線基板領域の内層導体107が、配線基板領域の境界を跨いで接続されることにより、一方の配線基板領域の各導体と、他方の配線基板領域の各導体が一体となり、母基板120に配列された配線基板領域の各導体の全体が電気的に接続される。各導体には、外部接続導体105、突出部106、内層導体107、電極パッド114、枠状メタライズ層116、ビア導体117が含まれる。
【0018】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、突出部106が、絶縁基板101の内部に位置している。上記の構成により、外部接続導体105の突出部106が絶縁基板101の内部に食い込み、絶縁基板101と外部接続導体105との接合強度をさらに大きくできる。つまり、図3に示すように、平面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、外部接続導体105と内層導体107が外部接続導体105の突出部106により接続されていることから、外部接続導体105と内層導体107の間に、突出部106を取り囲んで絶縁基板101の一部が位置することになり、モジュール用基板301から加わる外部接続導体105に対する平面方向の応力が突出部106で分散されるため、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を高いものとすることができる。なお、図3に示すように、外部接続導体105は、例えば平面透視で絶縁基板101の四隅に、矩形状に4つが位置しており、突出部106が内層導体107、外部接続導体105よりも面積が小さく、矩形状に位置している。
【0019】
また、図3図4で示すように、外部接続導体105は、基部102の第2主面101b側、および基部102の側面に露出している。さらに、内層導体107の外周端部は、基部102の側面に露出している。電子部品収納用パッケージ100の外部接続導体105と、モジュール用基板301の接続パッド302とを接続する接続部材303は、外部接続導体105の第2主面101bに露出する全面、および基部102の側面に露出する部分に接続されて、電子部品収納用パッケージ100がモジュール用基板301に強固に接続される。なお、上記の際に絶縁基板101の外周側面において、外部接続導体105と内層導体107との間には絶縁材料(絶縁基板101の一部)が位置することから、内層導体107は接続部材303と接触しない。よって、接続部材303のボリュームが電子部品収納用パッケージ100の外部接続導体105を含む接続導体側に移動することが抑制されるため、過剰な接続部材303のフィレット等による隣接する電子装置との短絡等を抑制できる。
【0020】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、絶縁基板101が、内層導体107と外部接続導体105とに挟まれ、平面透視で突出部106に接する囲繞部108を有している。上記の構成により、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を高めながら、絶縁基板101の変形が抑制された電子部品収納用パッケージ100を提供できる。つまり、絶縁基板101の第2主面101b側に位置する接続導体を、外部接続導体105と突出部106と内層導体107で構成したことから、外部接続導体105における絶縁基板101の第2主面101b側に対応する部分と内層導体107の厚みを抑制して位置させることが可能となり、電子部品収納用パッケージ100を製造する際の母基板120における焼成収縮の影響が軽減され、絶縁基板101の変形が抑制された電子部品収納用パッケージ100を提供できる。
【0021】
さらに、外部接続導体105と内層導体107が突出部106により外部接続導体105の中央部側で接続されていることから、外部接続導体105と内層導体107が囲繞部108により強固に接合されて、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を高いものとすることができる。
【0022】
なお、外部接続導体105は、平面透視で絶縁基板101の四隅に、矩形状に4つが位置しており、突出部106が内層導体107、外部接続導体105よりも面積が小さく、矩形状の例を示したが、上記に限定されず、例えば4つの外部接続導体105のうちの1つの外部接続導体105の1つの角部にC面を設け、上記のC面を有する外部接続導体105を電子部品収納用パッケージ100のアライメントマークとして活用してもよく、C面を有する外部接続導体105においては、絶縁基板101の中央側に向いた辺部119を有していてもよい。さらに、外部接続導体105は、矩形状以外に円状、多角状、1/4円状等で、複数の形状を組み合わせて位置させてもよい。上記の際に、外部接続導体105と内層導体107とを接続する突出部106の平面透視における面積が、外部接続導体105、内層導体107よりも小さく、突出部106が外部接続導体105における絶縁基板101の第2主面101b側に対応する部分と内層導体107との間に位置するように設けてもよい。上記により、外部接続導体105と内層導体107との間に突出部106を取り囲む囲繞部108が位置することになり、外部接続導体105と内層導体107が囲繞部108により外部接続導体105の全周にわたって強固に接合され、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を高いものとすることができる。
【0023】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、囲繞部108が絶縁基板101の側面にあたる露出部分が凹凸部109を有している。上記の構成により、内層導体107と接続部材303との接触をより効果的に抑制できる。つまり、接続部材303のボリュームが電子部品収納用パッケージ100の側面に位置した内層導体107側に移動することが凹凸部109で妨げられるため、過剰な接続部材303のフィレット等による隣接する電子装置との短絡等を抑制できる。
【0024】
具体的には、電子部品収納用パッケージ100の外部接続導体105と、モジュール用基板301の接続パッド302とを接続する接続部材303は、外部接続導体105の第2主面101bに露出する全面、および基部102の側面に露出する部分に接続されて、電子部品収納用パッケージ100がモジュール用基板301に強固に接続され、接続部材303の溶融時の表面張力により、絶縁基板101の側面を這い上がろうとする。しかし、接続部材303は絶縁基板101の側面に露出した囲繞部108の凹凸部109により、絶縁基板101の側面を這い上がり難くなり、過剰な接続部材303のフィレット等による隣接する電子装置との短絡等が抑制される。凹凸部109は、例えば図5図6に示した母基板120を配線基板領域間に位置した切断面110に沿って分割した際の破断面で構成することができる。
【0025】
なお、図4に示すように、側面視において外部接続導体105の厚みが絶縁基板101の中央側から外縁にかけて厚くなるように位置していれば、外部接続導体105とモジュール用基板301の接続時に最も応力を受け易い絶縁基板101の外縁において、絶縁基板101と外部接続導体105との接合強度を高まるため、有効である。
【0026】
さらに、側面視において囲繞部108が絶縁基板101の側面にあたる露出部分に凹凸部109が位置していることから、母基板120から電子部品収納用パッケージ100を製造する際に、内層導体107が露出し難く、めっき工程において隣接する配線基板領域間の外部接続導体105、および内層導体107がつながり難いため、母基板120の分割性の低下を抑制できる。
【0027】
つまり、外部接続導体105は第2主面101bに位置しており、母基板120における隣接する配線基板領域間の外部接続導体105は、分割前に既に切断面110で離間していることから、めっき工程において隣接する外部接続導体105同士が配線導体間でつながり難い。さらに、囲繞部108に凹凸部109が位置していることから、傾斜した内層導体107には切断面110が位置し難くなる。そして、内層導体107のほとんどが基部102の内部に位置する構成となるため、内層導体107に金属層111が設けられ難くなり、めっき工程において隣接する内層導体107同士が金属層111でつながり難い。
【0028】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、囲繞部108は、絶縁基板101の内側にあたる部分の厚みが、絶縁基板101の外側にあたる部分の厚みよりも小さい。上記の構成により、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を高めながら、絶縁基板101の搭載部104における変形が抑制された電子部品収納用パッケージ100を提供できる。つまり、絶縁基板101の第2主面101b側に位置する接続導体を、外部接続導体105と突出部106と内層導体107で構成するとともに、平面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、囲繞部108の厚みが、絶縁基板101の内側が絶縁基板101の外側よりも小さいことから、側面透視において絶縁基板101の中央方向に近づくほど、厚み方向における搭載部104と内層導体107との距離が大きくなり、内層導体107の厚みによる搭載部104への焼成収縮の影響が抑制されて、絶縁基板101の搭載部104における変形が抑制された電子部品収納用パッケージ100を提供できる。
【0029】
図1に示すように、例えば絶縁基板101は平板状の形態を有し、第2主面101bとは反対側に電子部品112が搭載される搭載部104が位置しており、搭載される電子部品112が水晶振動子(圧電素子)であれば、搭載部104の隅部に一対の電極パッド114が位置している。絶縁基板101の搭載部104が変形すると、上記の一対の電極パッド114が水平とならず、搭載する電子部品112の電極(図示せず)を一対の電極パッド114に対向して配置しても、絶縁基板101側の電極パッド114と電子部品112の電極とが平行にならないため、電子部品112が傾いたり、接合材113の厚みが不均一になる等、電子部品112の特性が低下する可能性があったが、絶縁基板101の搭載部104における変形が抑制された、電子部品112の実装信頼性に優れた電子部品収納用パッケージ100を提供できる。
【0030】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、絶縁基板101の厚み方向に沿った断面視において、囲繞部108における絶縁基板101の中央側に位置する部分は、主面側に曲がった曲部118を有する。上記の構成により、内層導体107のえぐれが抑制されて、寸法精度に優れたパッケージを実現できる。つまり、囲繞部108が曲部118を有することにより、絶縁基板101の外縁から内側にかけて漸次厚みが小さくなっており、厚み方向において、絶縁基板101の内側における第2主面101bから内層導体107までの距離が、絶縁基板101の外側における第2主面101bから内層導体107までの距離よりも小さいため、図5図6に示した母基板120を個片の配線基板(電子部品収納用パッケージ100)に分割する際に、内層導体107が一度に分割されずに第2主面101b側から第1主面101a側に向かって引き千切られるように分割されるため、内層導体107のえぐれが抑制される。
【0031】
上記のように、絶縁基板101に内層導体107等を位置させるためには、例えば、基部102となるセラミックグリーンシートの各配線基板領域の第2主面101b側に、内層導体107となるメタライズペーストをスクリーン印刷法等により塗布しておき、塗布された内層導体107となるメタライズペーストの中央部を除いて、各配線基板領域の第2主面101b側に、囲繞部108となるセラミックペーストを塗布し、さらに上記のセラミックペーストの上に外部接続導体105となるメタライズペーストをスクリーン印刷法等により再度塗布してから、加工されたセラミックグリーンシートの第2主面101b側を加圧すればよい。上記により、囲繞部108が絶縁基板101の内側にかけて漸次厚みが小さくなるように変形して曲部118が位置する構成となる。上記の構成では、図2に示すように、内層導体107は傾斜した構成となり、絶縁基板101の四隅において、第2主面101bから内層導体107が最も離間し、絶縁基板101の中央部側、つまり内層導体107の端部において、第2主面101bから内層導体107が最も近接した構成となる。そして、外部接続導体105の露出面は第2主面101bと同一平面上に位置する構成となる。その他の方法として、圧入法、めっき法により、絶縁基板101に内層導体107、突出部106、外部接続導体105を位置させてもよい。
【0032】
また、上記の構成により、電子部品収納用パッケージ100とモジュール用基板301との接続において、モジュール用基板301のたわみ等により、接続部材303を介して外部接続導体105に機械的な応力が加わったとしても、上記の応力を突出部106、囲繞部108、および内層導体107に分散させることができるため、クラックが生じ難い。
【0033】
つまり、断面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、さらに外部接続導体105と内層導体107が突出部106により外部接続導体105の中央部側で接続されていることから、接続部材303から外部接続導体105に応力が加わったとしても、外部接続導体105の外周部では囲繞部108に応力を分散できるとともに、外部接続導体105の中央部側では突出部106、内層導体107に分散させることができる。そして、絶縁基板101の中央部側においては、内層導体107から搭載部104の内面までの距離が大きいことから、外部接続導体105側から搭載部104の内面側に向かうクラックが生じ難い。よって、気密封止の信頼性に優れた電子部品収納用パッケージ100を実現できる。
【0034】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、平面透視において、突出部106が絶縁基板101の中央側に向いた辺部119を有している。上記の構成により、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を大きくできるとともに、例えば4つの外部接続導体105のうちの1つの外部接続導体105の1つの角部にC面を設け、上記のC面を有する外部接続導体105を電子部品収納用パッケージ100のアライメントマークとして活用する場合に、C面を有する外部接続導体105においても、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を大きくできる。
【0035】
つまり、平面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、さらにC面を有する外部接続導体105と内層導体107が、辺部119を有する突出部106により外部接続導体105と接続されていることから、外部接続導体105と内層導体107との間で絶縁基板101を保持できるとともに、基部102の内側に位置した内層導体107と辺部119を有する突出部106により、C面を有する外部接続導体105との配線導体同士の接続を強固なものとすることができる。
【0036】
なお、図3図5に示した平面透視において、突出部106が絶縁基板101の中央側に向いた辺部119を有していれば、絶縁基板101の第2主面101bに、C面を有する外部接続導体105を位置させても、内層導体107と外部接続導体105における絶縁基板101の第2主面101b側に対応する部分との間に位置する突出部106の外縁が外部接続導体105の外縁を超えないため、内層導体107と外部接続導体105との間に囲繞部108が全周にわたって位置する構造となる。上記により、外部接続導体105の全周にわたって内層導体107と辺部119を有する突出部106により、C面を有する外部接続導体105との配線導体同士の接続を強固なものとできる。
【0037】
そして、電子部品収納用パッケージ100が小型化しても、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度を大きくしながら、電子部品収納用パッケージ100の第2主面101bに、アライメントマークとして活用できるC面を有する外部接続導体105を位置させて、絶縁基板101の搭載部104への電子部品112の実装時の不具合が抑制され、電子部品112の実装信頼性に優れた電子部品収納用パッケージを提供できる。
【0038】
また、本開示の電子部品収納用パッケージ100は、絶縁基板101の側面において、外部接続導体105の露出部に金属層111が位置し、内層導体107の露出部に金属層111が位置しない部分を有している。上記の構成により、モジュール用基板301の接続パッド302との接続を良好に行うことができるとともに、内層導体107の露出面に金属層111が位置していないため、半田等の接続部材303が内層導体107側に這い上がることが抑制されて、接続部材303のボリューム不足、隣接する電子部品112との短絡等の可能性を抑制できる。
【0039】
なお、上記の実施形態の例においては、金属層111は外部接続導体105を含む他の露出した各配線導体の表面に設けられるニッケルめっき層、金めっき層等を意味するものであり、露出した各配線導体の表面に順次被着されている。そして、例えばニッケルめっき層は1.0~20μm程度、金めっき層は0.1~1.0μm程度で形成される。上記の金属層111により、露出した各配線導体の表面が覆われるため、耐腐食性に優れ、半田およびろう材等の濡れ性が良好な配線導体となる。
【0040】
また、内層導体107の露出面に金属層111が位置していなければ、図5図6で示すように、電子部品収納用パッケージ100となる配線基板領域が配列された母基板120において、めっき工程で内層導体107が露出しておらず、内層導体107にめっき液が接触しないことから、内層導体107の露出面に金属層111が被着されない。そして、内層導体107は隣接する配線基板領域の導体を接続するための導通経路として作用し、母基板120を分割した際に破断面として電子部品収納用パッケージ100の側面に露出することになる。
【0041】
上記により、内層導体107の露出面に金属層111が位置せず、外部接続導体105と内層導体107との間には半田等の接続部材303が濡れない囲繞部108が位置する構成となり、絶縁基板101の側面において、接続部材303が外部接続導体105から囲繞部108を超えて内層導体107側に這い上がることが抑制される。よって、接続部材303のボリューム不足、隣接する電子部品との短絡等の可能性を抑制できる。
【0042】
なお、母基板120において、内層導体107は隣接する配線基板領域の導体間を接続するための導通経路として作用しており、図4に示すように、内層導体107が傾斜していれば、絶縁基板101の四隅において、第2主面101bから最も離間する構成となる。そして、母基板120に切断面110を位置させるために、母基板120となるセラミックグリーンシート積層体に金型、カッター刃を押圧した場合、外部接続導体105および囲繞部108に切断面110が位置するとともに、内層導体107の端部側に切断面110が位置することから、絶縁基板101の四隅側においては内層導体107が切断され難い。よって、絶縁基板101の四隅側では導通経路が確保されて、母基板120の各配線基板領域の露出した導体に良好にめっき工程により金属層111を位置させることができる。
【0043】
なお、母基板120に切断面110を位置させる方法として、金型、カッター刃を母基板120に押圧する例を挙げたが、他の方法で位置させてもよく、例えば、母基板120の各配線基板領域の境界にレーザーにより切断面110を位置させてもよい。上記の場合、非接触加工であり、金型等の押圧によりセラミックグリーンシート積層体の変形が発生しない。
【0044】
本開示の例においては、外部接続導体105、電極パッド114、枠状メタライズ層116等の露出した導体の表面に、ニッケル層、金層等の金属層111が順次設けられている。上記の金属層111により露出した各導体の表面が覆われるため、耐腐食性に優れ、半田およびろう材等の濡れ性が良好な導体を有する電子部品収納用パッケージを実現できる。
【0045】
本開示の電子装置200は、上記のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージ100と、電子部品収納用パッケージ100に搭載された電子部品112とを有している。上記の構成により、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度が大きい電子部品収納用パッケージ100を用いて、モジュール用基板301への接続信頼性に優れた電子装置200を提供できる。
【0046】
つまり、電子部品収納用パッケージ100において、平面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、さらに外部接続導体105と内層導体107が突出部106により接続されていることから、外部接続導体105と内層導体107が囲繞部108を含んだ絶縁基板101に強固に接合される。さらに、電子部品収納用パッケージ100において、基部102の内側に位置した内層導体107と、外部接続導体105との配線導体同士の接続が突出部106により強固なものとされており、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度に優れた電子部品収納用パッケージ100を用いることにより、モジュール用基板301への接続信頼性に優れた電子装置200を提供できる。
【0047】
図4に示すように、電子装置200の長辺側の側面、および短辺側の側面には、外部接続導体105と内層導体107が露出しており、外部接続導体105と内層導体107との間には、囲繞部108が位置している。そして、外部接続導体105の露出する全面にはニッケル層、金層等の金属層111が位置している。また、内層導体107の露出する面に金属層111が位置していなければ、電子装置200がモジュール用基板301に実装される際に、内層導体107に半田が濡れ難いため、半田等の接続部材303が絶縁基板101の側面に露出した内層導体107側に這い上がることが抑制されて、接続部材303のボリューム不足、隣接する電子装置との意図しない短絡等の可能性を抑制できる。
【0048】
本開示の電子モジュール300は、接続パッド302を有するモジュール用基板301と、接続パッド302が接続された上記に記載の電子装置200とを有している。上記の構成により、モジュール用基板301への接続信頼性に優れた電子装置200を用いて、電気特性の信頼性が高い電子モジュール300を提供できる。つまり、電子装置200は、平面透視で外部接続導体105と内層導体107が対向して配置されており、さらに外部接続導体105と内層導体107が突出部106により接続されており、外部接続導体105と内層導体107が囲繞部108を含む絶縁基板101に強固に接合された電子部品収納用パッケージ100を含んでいる。
【0049】
そして、電子部品収納用パッケージ100が、基部102の内側に位置した内層導体107と、外部接続導体105との配線導体同士の接続が、突出部106により強固なものとされており、絶縁基板101への外部接続導体105の接合強度に優れ、接続信頼性に優れた電子装置200を用いることにより、電気特性の信頼性が高い電子モジュール300を提供できる。
【0050】
また、上記の電子装置200を用いることにより、外部接続導体105が絶縁基板101の第2主面101bから側面にかけて延在して位置しておらず、電子装置200をモジュール用基板301の接続パッド302に位置決めしてリフロー法で半田付けする際に、小型化して軽量となった電子装置200の側面が半田(接続部材303)の表面張力により引っ張られて、マンハッタン現象により電子装置200が立ち上がり実装不良となることが抑制される。よって、小型化した電子部品収納用パッケージ100を用いても、搭載部104の電極パッド114に電子部品112が実装された電子装置200を実現でき、電子装置200とモジュール用基板301との接合強度の低下が抑制されるとともに、接続信頼性に優れた電子モジュール300を提供できる。
【0051】
以上、本発明の電子部品収納用パッケージ100等の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものでない。例えば、上記実施形態では、絶縁基板101の基部102の第2主面101b側の四隅に、4つの外部接続導体105を位置させた例を示したが、電子装置の種類、形状等に応じて4つ以外の外部接続導体を位置させてもよい。また、外部接続導体105は、絶縁基板101の短辺側および長辺側の両方に接する場所に位置する例を示したが、絶縁基板101の短辺側のみ、または長辺側のみに接する場所に位置させてもよい。上記の場合においても、外部接続導体105と内層導体107との間に囲繞部108が位置した構成となる。
【0052】
さらに、上記実施形態では、本発明に係る配線基板を有する構成として、基部102とフレーム部103とを有する電子部品収納用パッケージ100を示したが、本発明の電子部品収納用パッケージは、フレーム部が無い平板状の構成であってもよい。また、上記実施形態では、電子部品として水晶振動子を搭載した例を示したが、電子部品としては、半導体素子、コンデンサ、インダクタ、抵抗器など、様々な変形例に適用できる。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
100・・・電子部品収納用パッケージ(配線基板)
101・・・絶縁基板
101a・・・第1主面
101b・・・第2主面
102・・・基部
103・・・フレーム部
104・・・搭載部
105・・・外部接続導体
106・・・突出部
107・・・内層導体
108・・・囲繞部
109・・・凹凸部
110・・・切断面
111・・・金属層
112・・・電子部品
113・・・接合材
114・・・電極パッド
115・・・蓋体
116・・・枠状メタライズ層
117・・・ビア導体
118・・・曲部
119・・・辺部
120・・・母基板
200・・・電子装置
300・・・電子モジュール
301・・・モジュール用基板
302・・・接続パッド
303・・・接続部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6