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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】乾式散水器アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/11 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A62C37/11
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2021532289
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019047627
(87)【国際公開番号】W WO2020041550
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】62/721,753
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510218928
【氏名又は名称】ビクターリック カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ペックハセック, スティーブン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-526613(JP,A)
【文献】特開平09-257191(JP,A)
【文献】特開2008-168114(JP,A)
【文献】特表2009-516533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0096981(US,A1)
【文献】米国特許第07516800(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火システムの配管網との併用のための乾式散水器アセンブリであって、前記乾式散水器アセンブリは、
前記配管網と流体連通するように取付可能な第1の端部を有する、1インチNPSパイプ要素と、
前記第1の端部に近接する、前記パイプ要素内に位置付けられた弁であって、前記弁は、前記パイプ要素を通した流体流を防止する、閉鎖位置と、前記パイプ要素を通した流体流を許容する、開放位置との間で移動可能な第1の閉鎖部材を有する、弁と、
前記パイプ要素の第2の端部上に搭載された防火散水器と
を備え、
前記散水器は、前記パイプ要素と流体連通するボアを画定し、かつ、
前記ボアと係合状態にある第2の閉鎖部材と、
前記第2の閉鎖部材と係合され、周囲温度が所定の閾値を超過するまで、前記第2の閉鎖部材を前記係合状態に維持する、温度感受性トリガであって、前記トリガは、前記周囲温度が、前記所定の閾値に到達する、またはそれを超過すると、前記ボアとの前記係合状態から前記第2の閉鎖部材を解放する、温度感受性トリガと
を備え、
前記第1の閉鎖部材が前記開放位置にあり、かつ前記第2の閉鎖部材が前記係合状態から解放されると、前記散水器アセンブリは、17以上の放出率であるk係数を達成し、
前記乾式散水器アセンブリは、前記パイプ要素内に同軸方向に位置付けられた管をさらに備え、前記管は、前記パイプ要素の内周より小さい外周を有し、前記パイプ要素に沿って長手方向に移動可能であり、前記第1の閉鎖部材は、前記管の第1の端部上に搭載され、前記管の第2の端部は、前記第2の閉鎖部材が前記ボアと前記係合状態にあるとき、前記第2の閉鎖部材と係合され、
前記弁は、前記パイプ要素の前記第1の端部に近接して搭載された座部を備え、前記第1の閉鎖部材は、前記座部と係合可能であり、
前記第1の閉鎖部材は、
前記管の前記第1の端部上に枢動可能に搭載されたプラットフォームと、
前記プラットフォーム上に搭載された閉塞体であって、前記閉塞体は、前記座部に面し、それと係合可能である、第1の位置と、前記座部に対して角度のある状態で配向された第2の位置との間で枢動可能である、閉塞体と
を備え
前記乾式散水器アセンブリは、
前記管の前記第1の端部上に搭載された枢動支持体であって、前記プラットフォームは、前記枢動支持体上に枢動可能に搭載されている、枢動支持体と、
前記枢動支持体上に位置付けられた停止表面と、
前記プラットフォームから延在し、前記プラットフォームの枢動運動を限定するように前記停止表面と係合可能である、突出部と
をさらに備える、乾式散水器アセンブリ。
【請求項2】
前記管は、前記パイプ要素の内径より小さい外径を伴う、丸みを帯びた断面を有する、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項3】
前記管は、それを通して複数の開口部を画定する、側壁を備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項4】
前記開口部は、前記管に沿って長手方向に配向された複数のスロットを備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項5】
前記管の前記第2の端部に近接する、前記側壁の一部は、それを通した開口部を有していない、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項6】
前記開口部は、前記側壁の表面積の少なくとも30%を含む、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ
【請求項7】
前記閉塞体は、ベルビルワッシャを備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項8】
前記閉塞体を前記第2の位置に付勢するために、前記管と前記プラットフォームとの間に作用する、付勢部材をさらに備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項9】
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の前記第2の端部から離れるように延在する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項10】
前記トリガは、熱感受性液体で充填された脆弱なバイアルを備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項11】
前記散水器は、前記パイプ要素に対するその摺動運動を限定するための、前記管と係合可能な少なくとも1つの停止表面を備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項12】
前記停止表面は、前記アームのうちの一方から延在する少なくとも1つの突出部を備える、請求項11に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項13】
前記散水器はさらに、前記本体から延在するニップルを備え、前記ニップルは、その上にオス型のスクリューねじ山を有する、請求項12に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項14】
前記散水器は、前記本体上に肩部を備え、前記肩部は、前記ボアの中に突出し、前記肩部は、前記停止表面を画定し、
前記管は、そこから外向きに突出する少なくとも1つの戻り止めを備え、前記少なくとも1つの戻り止めは、前記管の前記第2の端部から離間関係に位置付けられ、前記パイプ要素内の前記管の運動に応じて前記停止表面と係合可能である、請求項11に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項15】
前記肩部は、前記ボアを囲繞する環を備える、請求項14に記載の乾式散水器アセンブリ
【請求項16】
前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、請求項14に記載の乾式散水器アセンブリ
【請求項17】
前記第2の閉鎖部材は、プラグを備える、請求項1に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項18】
前記プラグは、前記ボアと係合可能な複数のプラグ本体を備え、前記プラグ本体は、前記パイプ要素からの凝縮物の排水を許容する間隙を画定する、請求項17に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項19】
前記複数のプラグ本体および前記トリガと係合可能な、トリガ軸受をさらに備える、請求項18に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項20】
前記1インチNPSパイプ要素は、0.095インチ未満の壁厚を有する、請求項1に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項21】
前記管の前記第2の端部に近接する、前記管に取り付けられた流量調整カラーをさらに備え、前記カラーは、前記管の前記側壁内の前記複数の開口部の少なくとも一部を覆う、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項22】
防火システムの配管網との併用のための乾式散水器アセンブリであって、前記乾式散水器アセンブリは、
前記配管網と流体連通するように取付可能な第1の端部を有する、1インチNPSパイプ要素と、
前記第1の端部に近接する、前記パイプ要素内に位置付けられた弁であって、前記弁は、前記パイプ要素を通した流体流を防止する、閉鎖位置と、前記パイプ要素を通した流体流を許容する、開放位置との間で移動可能な第1の閉鎖部材を有し、前記弁は、前記パイプ要素の前記第1の端部に近接して搭載された座部を備え、前記第1の閉鎖部材は、前記座部と係合可能である、弁と、
前記パイプ要素内に同軸方向に位置付けられた管であって、前記管は、前記パイプ要素の内周より小さい外周を有し、前記パイプ要素に沿って長手方向に移動可能である、管と
を備え、
前記第1の閉鎖部材は、前記管の第1の端部上に搭載され、前記第1の閉鎖部材は、
前記管の前記第1の端部上に搭載された枢動支持体であってプラットフォーム、前記枢動支持体上に枢動可能に搭載されている、枢動支持体と、
前記プラットフォーム上に搭載された閉塞体であって、前記閉塞体は、前記座部に面し、それと係合可能である、第1の位置と、前記座部に対して角度のある状態で配向された第2の位置との間で枢動可能である、閉塞体と、
前記枢動支持体上に位置付けられた停止表面と、
前記プラットフォームから延在し、前記プラットフォームの枢動運動を限定するように前記停止表面と係合可能である、突出部と
を備え、
防火散水器は、前記パイプ要素の第2の端部上に搭載され、前記散水器は、前記パイプ要素と流体連通するボアを画定し、前記散水器はさらに、
前記ボアと係合状態にある第2の閉鎖部材であって、前記管の第2の端部は、前記第2の閉鎖部材が前記ボアと前記係合状態にあるとき、前記第2の閉鎖部材と係合される、第2の閉鎖部材と、
前記第2の閉鎖部材と係合され、周囲温度が所定の閾値を超過するまで、前記第2の閉鎖部材を前記係合状態に維持する、温度感受性トリガであって、前記トリガは、前記周囲温度が、前記所定の閾値に到達する、またはそれを超過すると、前記ボアとの前記係合状態から前記第2の閉鎖部材を解放する、温度感受性トリガと
を備え、
前記第1の閉鎖部材が前記開放位置にあり、かつ前記第2の閉鎖部材が前記係合状態から解放されると、前記散水器アセンブリは、11.2以上の放出率であるk係数を達成する、乾式散水器アセンブリ。
【請求項23】
前記管は、前記パイプ要素の内径より小さい外径を伴う、丸みを帯びた断面を有する、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項24】
前記管は、それを通して複数の開口部を画定する、側壁を備える、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項25】
前記開口部は、前記管に沿って長手方向に配向された複数のスロットを備える、請求項24に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項26】
前記管の前記第2の端部に近接する、前記側壁の一部は、それを通した開口部を有していない、請求項24に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項27】
前記開口部は、前記側壁の表面積の少なくとも30%を含む、請求項24に記載の乾式散水器アセンブリ
【請求項28】
前記閉塞体は、ベルビルワッシャを備える、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項29】
前記閉塞体を前記第2の位置に付勢するために、前記管と前記プラットフォームとの間に作用する、付勢部材をさらに備える、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項30】
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の前記第2の端部から離れるように延在する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項31】
前記トリガは、熱感受性液体で充填された脆弱なバイアルを備える、請求項30に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項32】
前記散水器は、前記パイプ要素に対するその摺動運動を限定するための、前記管と係合可能な少なくとも1つの停止表面を備える、請求項30に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項33】
前記停止表面は、前記アームのうちの一方から延在する少なくとも1つの突出部を備える、請求項32に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項34】
前記散水器はさらに、前記本体から延在するニップルを備え、前記ニップルは、その上にオス型のスクリューねじ山を有する、請求項33に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項35】
前記散水器は、前記本体上に肩部を備え、前記肩部は、前記ボアの中に突出し、前記肩部は、前記停止表面を画定し、
前記管は、そこから外向きに突出する少なくとも1つの戻り止めを備え、前記少なくとも1つの戻り止めは、前記管の前記第2の端部から離間関係に位置付けられ、前記パイプ要素内の前記管の運動に応じて前記停止表面と係合可能である、請求項32に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項36】
前記肩部は、前記ボアを囲繞する環を備える、請求項35に記載の乾式散水器アセンブリ
【請求項37】
前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、請求項35に記載の乾式散水器アセンブリ
【請求項38】
前記第2の閉鎖部材は、プラグを備える、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項39】
前記プラグは、前記ボアと係合可能な複数のプラグ本体を備え、前記プラグ本体は、前記パイプ要素からの凝縮物の排水を許容する間隙を画定する、請求項38に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項40】
前記複数のプラグ本体および前記トリガと係合可能な、トリガ軸受をさらに備える、請求項39に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項41】
前記1インチNPSパイプ要素は、0.095インチ未満の壁厚を有する、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項42】
前記管の前記第2の端部に近接する、前記管に取り付けられた流量調整カラーをさらに備え、前記カラーは、前記管の前記側壁内の前記複数の開口部の少なくとも一部を覆う、請求項24に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項43】
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体であって、前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の第2の端部から離れるように延在する、一対のアームであって、前記パイプ要素の前記第2の端部は、その上に、前記ボアを囲繞する前記メス型のねじ山に係合する、オス型のスクリューねじ山を有する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、請求項に記載の乾式散水器アセンブリ。
【請求項44】
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体であって、前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の第2の端部から離れるように延在する、一対のアームであって、前記パイプ要素の前記第2の端部は、その上に、前記ボアを囲繞する前記メス型のねじ山に係合する、オス型のスクリューねじ山を有する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、請求項22に記載の乾式散水器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年8月23日に出願され、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/721,753号の優先権の利益に基づき、それを主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、氷点下の周囲条件における使用のための乾式散水器に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
防火のための散水器システムが、相互との大きい温度差を有する、隣接する領域を分離または封入する構造を保護するために使用される。そのような構造の実施例は、冷凍庫、アパートのバルコニー、および倉庫の積込ドックを含む。これらの構造はそれぞれ、温度が、温度が氷点を下回るように維持される、または氷点を下回って低下し得る領域から、水の氷点を上回るように維持される領域を分離する、1つ以上の壁および/または天井を有する。
【0004】
特に、水が、好ましい防火液体であるとき、水が配管網内で凍結しないことを確実にするための手段が講じられなければならないため、そのような構造に対して火災防御を提供することは、難題である。本難題を充足させるために、配管網を、パイプ内の水が凍結しないであろう、温度が制御される「温かい」環境内に位置付け、配管網から開口部を通して、構造の天井または壁の中に、かつ「冷たい」もしくは制御されていない環境の中に延在する、「乾式」タイプの散水器アセンブリを提供することが、公知である。そのような乾式散水器アセンブリは、散水器と、散水器が火災からの熱によってアクティブ化されるまで、散水器アセンブリを「乾燥」状態、すなわち、パイプ要素内に水を伴わない状態に維持するための、弁を内側に伴う、配管網との間に延在する、伸長パイプ要素を有する。熱感受性のトリガ、例えば、火災から熱を受けると破損する、液体が充填される脆弱なバルブが、散水器を開放し、水の放出を許容し、また、弁を開放し、水が配管網から導管を通して、散水器を通して外に流動することを可能にするように作用する。
【0005】
例えば、温かい環境内の配管網に接続し、冷たい環境内に位置する散水器出口を有する、乾式散水器アセンブリを備える、パイプ要素のための1インチNPSパイプを使用しながら、11.2またはそれより大きい値の公称k係数を有する流率を達成し得る、乾式散水器アセンブリを提供することが、有利であろう。(k係数は、
【数1】
として定義され、式中、qは、乾式散水器アセンブリからの1分あたりのガロン単位の放出率であり、pは、パイプ要素内のpsi(ゲージ)単位の圧力である。)乾式散水器を備えるパイプ要素のために1インチNPSパイプを使用して、k17に等しいまたはそれを上回る公称k係数を有する、乾式散水器アセンブリを提供することが、特に有利であろう。Tyco Fire Products製のモデルESFR-17 Dry Type Pendent Sprinkler、およびViking Group,Inc.製のK17 Dry ESFR Pendent Storage Sprinkler等のk17の公知の商業的に利用可能な乾式散水器は全て、1インチを上回るサイズのNPSパイプを有する、パイプ要素を備える。より大きいサイズから作製される乾式散水器は、より重く、より多くのコストがかかり、配設することがより困難である。サイズ1インチのNPSのパイプ要素を備える、11.2およびより大きいk係数、特に、k係数17の乾式散水器を提供する必要性が、明確に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本発明は、防火システムの配管網との併用のための乾式散水器アセンブリに関する。一例示的実施形態では、乾式散水器アセンブリは、配管網と流体連通するように取付可能な第1の端部を有する、1インチNPSパイプ要素を備える。実践的設計では、1インチNPSパイプ要素が、0.095インチ未満の壁厚を有することが有利である。弁が、第1の端部に近接する、パイプ要素内に位置付けられる。弁は、パイプ要素を通した流体流を防止する、閉鎖位置と、パイプ要素を通した流体流を許容する、開放位置との間で移動可能な第1の閉鎖部材を有する。防火散水器が、パイプ要素の第2の端部上に搭載される。散水器は、パイプ要素と流体連通する、ボアを画定する。例示的実施形態では、散水器は、ボアと係合状態にある、第2の閉鎖部材を備える。温度感受性トリガが、第2の閉鎖部材と係合され、周囲温度が、所定の閾値を超過するまで、第2の閉鎖部材をボアとの係合状態に維持する。トリガは、周囲温度が、所定の閾値に到達する、またはそれを超過すると、ボアとの係合状態から第2の閉鎖部材を解放し、それによって、パイプ要素を通した流体流を許容し、第1の閉鎖部材が、開放位置にあり、かつ第2の閉鎖部材が、ボアとの係合状態から解放されると、散水器アセンブリは、17のk係数に等しい、またはそれを上回る放出率を達成する。
【0007】
実施例として、アセンブリはさらに、パイプ要素内に同軸方向に位置付けられる、管を備え得る。管は、パイプ要素の内周より小さい、外周を有し、パイプ要素に沿って長手方向に移動可能である。第1の閉鎖部材は、管の第1の端部上に搭載され、管の第2の端部は、第2の閉鎖部材が、ボアと係合状態にあるとき、第2の閉鎖部材と係合される。
【0008】
実施例として、管は、パイプ要素の内径より小さい外径を伴う、丸みを帯びた断面を有する。さらなる例示的実施形態では、管は、それを通して複数の開口部を画定する、側壁を備える。例示的実施形態では、開口部は、管に沿って長手方向に配向される、複数のスロットを備える。例示的実施形態では、管の第2の端部に近接する、側壁の一部は、それを通した開口部を有していない。実施例として、開口部は、側壁の表面積の少なくとも30%を含み得る。
【0009】
例示的アセンブリ実施形態では、弁は、パイプ要素の第1の端部に近接して搭載される、座部を備える。第1の閉鎖部材は、座部と係合可能である。実施例として、第1の閉鎖部材は、管の第1の端部上に枢動可能に搭載される、プラットフォームを備える。閉塞体が、プラットフォーム上に搭載される。閉塞体は、座部に面し、それと係合可能である、第1の位置と、座部に対して角度のある状態で配向される、第2の位置との間で枢動可能である。具体的な例示的実施形態では、閉塞体は、ベルビルワッシャを備える。
【0010】
例示的実施形態では、枢動支持体が、管の第1の端部上に搭載される。プラットフォームは、枢動支持体上に枢動可能に搭載される。停止表面が、枢動支持体上に位置付けられる。突出部が、プラットフォームから延在し、プラットフォームの枢動運動を限定するように停止表面と係合可能である。さらに、実施例として、付勢部材が、閉塞体を第2の位置に付勢するために、管とプラットフォームとの間に作用する。
【0011】
例示的実施形態では、散水器は、ボアを画定する、本体を備える。一対のアームが、本体から、パイプ要素の第2の端部から離れるように延在する。偏向器プレートが、アーム上に搭載される。トリガは、偏向器プレートと第2の閉鎖部材との間に位置付けられる。トリガは、熱感受性液体で充填される、脆弱なバイアルを備え得る。
【0012】
例示的実施形態では、散水器は、パイプ要素に対するその摺動運動を限定するための、管と係合可能な少なくとも1つの停止表面を備える。具体的な実施例では、停止表面は、アームのうちの一方から延在する、少なくとも1つの突出部を備える。例示的散水器はさらに、本体から延在する、ニップルを備え得る。ニップルは、その上にオス型のスクリューねじ山を有し得る。別の例示的実施形態では、散水器は、本体上に、肩部を備える。肩部は、ボアの中に突出し、停止表面を画定する。本例示的実施形態では、管は、そこから外向きに突出する、少なくとも1つの戻り止めを備える。少なくとも1つの戻り止めは、管の第2の端部から離間関係に位置付けられ、パイプ要素内の管の運動に応じて、停止表面と係合可能である。具体的な例示的実施形態では、肩部は、ボアを囲繞する、環を備える。さらに、実施例として、本体は、ボアを囲繞する、メス型のねじ山を備え得る。一対のアームが、本体から、パイプ要素の第2の端部から離れるように延在する。特定の例示的実施形態では、パイプ要素の第2の端部は、その上に、該ボアを囲繞するメス型のねじ山に係合する、オス型のスクリューねじ山を有する。偏向器プレートが、アーム上に搭載される。トリガは、偏向器プレートと第2の閉鎖部材との間に位置付けられる。
【0013】
本発明による、さらなる例示的実施形態では、第2の閉鎖部材は、プラグを備える。具体的な実施例では、プラグは、ボアと係合可能な複数のプラグ本体を備える。プラグ本体は、パイプ要素からの凝縮物の排水を許容する、間隙を画定する。本例示的実施形態はさらに、複数のプラグ本体およびトリガと係合可能な、トリガ軸受を備え得る。
【0014】
本発明はまた、防火システムの配管網との併用のための乾式散水器アセンブリを包含し、乾式散水器アセンブリは、11.2のk係数に等しい、またはそれを上回る放出率を有する。例示的実施形態では、本発明による乾式散水器アセンブリは、配管網と流体連通するように取付可能な第1の端部を有する、1インチNPSパイプ要素を備える。実践的設計では、1インチNPSパイプ要素が、0.095インチ未満の壁厚を有することが有利である。弁が、第1の端部に近接する、パイプ要素内に位置付けられる。弁は、パイプ要素を通した流体流を防止する、閉鎖位置と、パイプ要素を通した流体流を許容する、開放位置との間で移動可能な第1の閉鎖部材を有する。弁は、パイプ要素の第1の端部に近接して搭載される、座部を備える。第1の閉鎖部材は、座部と係合可能である。管が、パイプ要素内に同軸方向に位置付けられる。管は、パイプ要素の内周より小さい、外周を有し、パイプ要素に沿って長手方向に移動可能である。第1の閉鎖部材は、管の第1の端部上に搭載される。実施例として、第1の閉鎖部材は、管の第1の端部上に搭載される、枢動支持体を備える。プラットフォームが、枢動支持体上に枢動可能に搭載される。閉塞体が、プラットフォーム上に搭載される。閉塞体は、座部に面し、それと係合可能である、第1の位置と、座部に対して角度のある状態で配向される、第2の位置との間で枢動可能である。停止表面が、枢動支持体上に位置付けられる。突出部が、プラットフォームから延在し、プラットフォームの枢動運動を限定するように停止表面と係合可能である。防火散水器が、パイプ要素の第2の端部上に搭載される。散水器は、パイプ要素と流体連通する、ボアを画定する。実施例として、散水器はさらに、ボアと係合状態にある、第2の閉鎖部材を備える。管の第2の端部は、第2の閉鎖部材が、ボアと係合状態にあるとき、第2の閉鎖部材と係合される。温度感受性トリガが、第2の閉鎖部材と係合され、周囲温度が、所定の閾値を超過するまで、第2の閉鎖部材を係合状態に維持する。トリガは、周囲温度が、所定の閾値に到達する、またはそれを超過すると、ボアとの係合状態から第2の閉鎖部材を解放する。第1の閉鎖部材が、開放位置にあり、かつ第2の閉鎖部材が、係合状態から解放されると、散水器アセンブリは、11.2のk係数に等しい、またはそれを上回る放出率を達成する。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
防火システムの配管網との併用のための乾式散水器アセンブリであって、前記乾式散水器アセンブリは、
前記配管網と流体連通するように取付可能な第1の端部を有する、1インチNPSパイプ要素と、
前記第1の端部に近接する、前記パイプ要素内に位置付けられた弁であって、前記弁は、前記パイプ要素を通した流体流を防止する、閉鎖位置と、前記パイプ要素を通した流体流を許容する、開放位置との間で移動可能な第1の閉鎖部材を有する、弁と、
前記パイプ要素の第2の端部上に搭載された防火散水器と
を備え、
前記散水器は、前記パイプ要素と流体連通するボアを画定し、かつ、
前記ボアと係合状態にある第2の閉鎖部材と、
前記第2の閉鎖部材と係合され、周囲温度が所定の閾値を超過するまで、前記第2の閉鎖部材を前記係合状態に維持する、温度感受性トリガであって、前記トリガは、前記周囲温度が、前記所定の閾値に到達する、またはそれを超過すると、前記ボアとの係合状態から前記第2の閉鎖部材を解放する、温度感受性トリガと
を備え、
前記第1の閉鎖部材が前記開放位置にあり、かつ前記第2の閉鎖部材が前記係合状態から解放されると、前記散水器アセンブリは、17のk係数に等しい、またはそれを上回る放出率を達成する、乾式散水器アセンブリ。
(項目2)
前記パイプ要素内に同軸方向に位置付けられた管をさらに備え、前記管は、前記パイプ要素の内周より小さい外周を有し、前記パイプ要素に沿って長手方向に移動可能であり、前記第1の閉鎖部材は、前記管の第1の端部上に搭載され、前記管の第2の端部は、前記第2の閉鎖部材が前記ボアと前記係合状態にあるとき、前記第2の閉鎖部材と係合される、項目1に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目3)
前記管は、前記パイプ要素の内径より小さい外径を伴う、丸みを帯びた断面を有する、項目2に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目4)
前記管は、それを通して複数の開口部を画定する、側壁を備える、項目2に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目5)
前記開口部は、前記管に沿って長手方向に配向された複数のスロットを備える、項目4に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目6)
前記管の前記第2の端部に近接する、前記側壁の一部は、それを通した開口部を有していない、項目4に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目7)
前記開口部は、前記側壁の表面積の少なくとも30%を含む、項目4に記載の乾式散水器。
(項目8)
前記弁は、前記パイプ要素の前記第1の端部に近接して搭載された座部を備え、前記第1の閉鎖部材は、前記座部と係合可能である、項目2に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目9)
前記第1の閉鎖部材は、
前記管の前記第1の端部上に枢動可能に搭載されたプラットフォームと、
前記プラットフォーム上に搭載された閉塞体であって、前記閉塞体は、前記座部に面し、それと係合可能である、第1の位置と、前記座部に対して角度のある状態で配向された第2の位置との間で枢動可能である、閉塞体と
を備える、項目8に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目10)
前記閉塞体は、ベルビルワッシャを備える、項目9に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目11)
前記管の前記第1の端部上に搭載された枢動支持体であって、前記プラットフォームは、前記枢動支持体上に枢動可能に搭載されている、枢動支持体と、
前記枢動支持体上に位置付けられた停止表面と、
前記プラットフォームから延在し、前記プラットフォームの枢動運動を限定するように前記停止表面と係合可能である、突出部と
をさらに備える、項目9に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目12)
前記閉塞体を前記第2の位置に付勢するために、前記管と前記プラットフォームとの間に作用する、付勢部材をさらに備える、項目9に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目13)
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の前記第2の端部から離れるように延在する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、項目2に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目14)
前記トリガは、熱感受性液体で充填された脆弱なバイアルを備える、項目13に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目15)
前記散水器は、前記パイプ要素に対するその摺動運動を限定するための、前記管と係合可能な少なくとも1つの停止表面を備える、項目13に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目16)
前記停止表面は、前記アームのうちの一方から延在する少なくとも1つの突出部を備える、項目15に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目17)
前記散水器はさらに、前記本体から延在するニップルを備え、前記ニップルは、その上にオス型のスクリューねじ山を有する、項目16に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目18)
前記散水器は、前記本体上に肩部を備え、前記肩部は、前記ボアの中に突出し、前記肩部は、前記停止表面を画定し、
前記管は、そこから外向きに突出する少なくとも1つの戻り止めを備え、前記少なくとも1つの戻り止めは、前記管の前記第2の端部から離間関係に位置付けられ、前記パイプ要素内の前記管の運動に応じて前記停止表面と係合可能である、項目15に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目19)
前記肩部は、前記ボアを囲繞する環を備える、項目18に記載の乾式散水器。
(項目20)
前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、項目18に記載の乾式散水器。
(項目21)
前記第2の閉鎖部材は、プラグを備える、項目1に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目22)
前記プラグは、前記ボアと係合可能な複数のプラグ本体を備え、前記プラグ本体は、前記パイプ要素からの凝縮物の排水を許容する間隙を画定する、項目21に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目23)
前記複数のプラグ本体および前記トリガと係合可能な、トリガ軸受をさらに備える、項目22に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目24)
前記1インチNPSパイプ要素は、0.095インチ未満の壁厚を有する、項目1に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目25)
前記管の前記第2の端部に近接する、前記管に取り付けられた流量調整カラーをさらに備え、前記カラーは、前記管の前記側壁内の前記複数の開口部の少なくとも一部を覆う、項目4に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目26)
防火システムの配管網との併用のための乾式散水器アセンブリであって、前記乾式散水器アセンブリは、
前記配管網と流体連通するように取付可能な第1の端部を有する、1インチNPSパイプ要素と、
前記第1の端部に近接する、前記パイプ要素内に位置付けられた弁であって、前記弁は、前記パイプ要素を通した流体流を防止する、閉鎖位置と、前記パイプ要素を通した流体流を許容する、開放位置との間で移動可能な第1の閉鎖部材を有し、前記弁は、前記パイプ要素の前記第1の端部に近接して搭載された座部を備え、前記第1の閉鎖部材は、前記座部と係合可能である、弁と、
前記パイプ要素内に同軸方向に位置付けられた管であって、前記管は、前記パイプ要素の内周より小さい外周を有し、前記パイプ要素に沿って長手方向に移動可能である、管と
を備え、
前記第1の閉鎖部材は、前記管の第1の端部上に搭載され、前記第1の閉鎖部材は、
前記管の前記第1の端部上に搭載された枢動支持体であって、プラットフォームが、前記枢動支持体上に枢動可能に搭載されている、枢動支持体と、
前記プラットフォーム上に搭載された閉塞体であって、前記閉塞体は、前記座部に面し、それと係合可能である、第1の位置と、前記座部に対して角度のある状態で配向された第2の位置との間で枢動可能である、閉塞体と、
前記枢動支持体上に位置付けられた停止表面と、
前記プラットフォームから延在し、前記プラットフォームの枢動運動を限定するように前記停止表面と係合可能である、突出部と
を備え、
防火散水器は、前記パイプ要素の第2の端部上に搭載され、前記散水器は、前記パイプ要素と流体連通するボアを画定し、前記散水器はさらに、
前記ボアと係合状態にある第2の閉鎖部材であって、前記管の第2の端部は、前記第2の閉鎖部材が前記ボアと前記係合状態にあるとき、前記第2の閉鎖部材と係合される、第2の閉鎖部材と、
前記第2の閉鎖部材と係合され、周囲温度が所定の閾値を超過するまで、前記第2の閉鎖部材を前記係合状態に維持する、温度感受性トリガであって、前記トリガは、前記周囲温度が、前記所定の閾値に到達する、またはそれを超過すると、前記ボアとの前記係合状態から前記第2の閉鎖部材を解放する、温度感受性トリガと
を備え、
前記第1の閉鎖部材が前記開放位置にあり、かつ前記第2の閉鎖部材が前記係合状態から解放されると、前記散水器アセンブリは、11.2のk係数に等しい、またはそれを上回る放出率を達成する、乾式散水器アセンブリ。
(項目27)
前記管は、前記パイプ要素の内径より小さい外径を伴う、丸みを帯びた断面を有する、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目28)
前記管は、それを通して複数の開口部を画定する、側壁を備える、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目29)
前記開口部は、前記管に沿って長手方向に配向された複数のスロットを備える、項目28に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目30)
前記管の前記第2の端部に近接する、前記側壁の一部は、それを通した開口部を有していない、項目28に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目31)
前記開口部は、前記側壁の表面積の少なくとも30%を含む、項目28に記載の乾式散水器。
(項目32)
前記閉塞体は、ベルビルワッシャを備える、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目33)
前記閉塞体を前記第2の位置に付勢するために、前記管と前記プラットフォームとの間に作用する、付勢部材をさらに備える、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目34)
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の前記第2の端部から離れるように延在する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目35)
前記トリガは、熱感受性液体で充填された脆弱なバイアルを備える、項目34に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目36)
前記散水器は、前記パイプ要素に対するその摺動運動を限定するための、前記管と係合可能な少なくとも1つの停止表面を備える、項目34に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目37)
前記停止表面は、前記アームのうちの一方から延在する少なくとも1つの突出部を備える、項目36に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目38)
前記散水器はさらに、前記本体から延在するニップルを備え、前記ニップルは、その上にオス型のスクリューねじ山を有する、項目37に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目39)
前記散水器は、前記本体上に肩部を備え、前記肩部は、前記ボアの中に突出し、前記肩部は、前記停止表面を画定し、
前記管は、そこから外向きに突出する少なくとも1つの戻り止めを備え、前記少なくとも1つの戻り止めは、前記管の前記第2の端部から離間関係に位置付けられ、前記パイプ要素内の前記管の運動に応じて前記停止表面と係合可能である、項目36に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目40)
前記肩部は、前記ボアを囲繞する環を備える、項目39に記載の乾式散水器。
(項目41)
前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、項目39に記載の乾式散水器。
(項目42)
前記第2の閉鎖部材は、プラグを備える、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目43)
前記プラグは、前記ボアと係合可能な複数のプラグ本体を備え、前記プラグ本体は、前記パイプ要素からの凝縮物の排水を許容する間隙を画定する、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目44)
前記複数のプラグ本体および前記トリガと係合可能な、トリガ軸受をさらに備える、項目43に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目45)
前記1インチNPSパイプ要素は、0.095インチ未満の壁厚を有する、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目46)
前記管の前記第2の端部に近接する、前記管に取り付けられた流量調整カラーをさらに備え、前記カラーは、前記管の前記側壁内の前記複数の開口部の少なくとも一部を覆う、項目28に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目47)
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体であって、前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の第2の端部から離れるように延在する、一対のアームであって、前記パイプ要素の前記第2の端部は、その上に、前記ボアを囲繞する前記メス型のねじ山に係合する、オス型のスクリューねじ山を有する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、項目2に記載の乾式散水器アセンブリ。
(項目48)
前記散水器は、
前記ボアを画定する本体であって、前記本体は、前記ボアを囲繞するメス型のねじ山を備える、本体と、
前記本体から、前記パイプ要素の第2の端部から離れるように延在する、一対のアームであって、前記パイプ要素の前記第2の端部は、その上に、前記ボアを囲繞する前記メス型のねじ山に係合する、オス型のスクリューねじ山を有する、一対のアームと、
前記アーム上に搭載された偏向器プレートであって、前記トリガは、前記偏向器プレートと前記第2の閉鎖部材との間に位置付けられている、偏向器プレートと
を備える、項目26に記載の乾式散水器アセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、「装填」状態にある、本発明による、乾式散水器アセンブリの例示的実施形態の等角図である。
図1A図1Aは、本発明による、乾式散水器アセンブリの例示的構成要素の等角分解図である。
図2図2は、図1に示される、乾式散水器アセンブリの縦断面図である。
図2A図2Aは、本発明による、乾式散水器アセンブリの例示的構成要素の等角分解図である。
図3図3および4は、図1に示される、乾式散水器アセンブリの一部の部分的等角断面図である。
図4図3および4は、図1に示される、乾式散水器アセンブリの一部の部分的等角断面図である。
図5図5は、図1に示される、乾式散水器アセンブリの構成要素の断面図である。
図6図6は、「装填」状態にある、図1に示される、乾式散水器アセンブリの縦断面図である。
図6A図6Aは、拡大スケールで図6に示される、乾式散水器アセンブリの一部の縦断面図である。
図6B図6Bは、図6Aの線6B-6Bにおいて得られる、横断面図である。
図6C図6Cは、「装填」状態にある、乾式散水器アセンブリの別の例示的実施形態の縦断面図である。
図7図7は、「トリガ」状態にある、図1に示される、乾式散水器アセンブリの縦断面図である。
図8図8は、本発明による、乾式散水器アセンブリの例示的実施形態の一部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
図1は、本発明による、乾式散水器アセンブリ10の例示的実施形態を示す。散水器アセンブリ10は、防火システム(図示せず)の配管網との併用のための、1インチ国家パイプ規格(NPS)パイプ要素12を備える。国家パイプ規格と一貫して、パイプ要素12は、実践的設計のために実現可能である、1.315インチの基本外径と、スケジュール5、10s/20、30、および40s/40のための壁厚ならびに公差と一貫する、0.0568インチ~0.133インチの範囲に及ぶ、壁厚とを有する。パイプ要素12を通した所望の流率を達成するために、壁厚が、0.095インチ未満であることが有利である。パイプ要素12はまた、本発明に従って、アセンブリ内に約12インチ~約36インチの長さを有し得る。継手14が、パイプ要素12の第1の端部16上に搭載され、継手は、アセンブリを配管網と流体連通するように取り付けるための、ねじ山付きニップル18を有する。防火散水器20が、パイプ要素12の第2の端部22上に搭載される。散水器20は、パイプ要素12と流体連通する、ボア26(図2Aも参照)を画定する、本体24を備える。図2に示されるように、パイプ要素12への散水器20の搭載は、本体24から延在し、パイプ要素12の内側表面上の互換性のあるメス型のねじ山25に係合する、オス型のねじ山付きニップル23を介してもたらされる。図2Aに示される代替実施形態では、散水器本体24は、ボア26内に、その第2の端部22においてオス型のねじ山29を有するパイプ要素12を受容する、メス型のねじ山27を備える。オス型のねじ山29を伴うパイプ要素12を使用し、散水器本体24のメス型のねじ山27に係合することは、これが、パイプ要素の壁が、パイプ要素がメス型のねじ山を有する場合より薄くなることを許容し、それによって、潜在的に、内径を最大限にすることによってパイプ要素を通したより大きい流率を可能にするため、有利である。両方の実施形態(図2および2A)において、一対のアーム28が、本体24から延在し、アームは、その上に搭載される、偏向器プレート30を支持する。
【0017】
図2に示されるように、管32が、パイプ要素12内に略同軸方向に位置付けられる。管32は、パイプ要素12の内周36より小さい外周34を有し、パイプ要素に沿って長手方向に移動可能である。本例示的実施形態では、管32は、パイプ要素12の内径42より小さい外径40を伴う、丸みを帯びた断面38を有する。管32は、管に沿って長手方向に配向される、複数の開口部46、本実施例では、スロット48を画定する、側壁44を備える。開口部46は、側壁44の表面積の少なくとも30%を含み、パイプ要素の全内径の実践的である限りの多くを使用することによって、パイプ要素12を通した最大流量を許容し得る。
【0018】
弁50が、第1の端部16に近接する、パイプ要素12内に位置付けられる。図3に示される例示的実施形態では、弁50は、継手14と一体的に形成され、パイプ要素の第1の端部16上に搭載される、座部52を備える。弁50はさらに、座部52と係合可能な、第1の閉鎖部材54を備える。示される例示的弁では、第1の閉鎖部材54は、管32の第1の端部58上に搭載される、枢動支持体56を備える。プラットフォーム60が、枢動支持体56上に枢動可能に搭載される。閉塞体62が、プラットフォーム60上に搭載される。本例示的実施形態では、閉塞体62は、共形性材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレンの層65で巻着され、ワッシャ64が座部52に係合するとき、液密シールを確実にする、ベルビルワッシャ64(図5も参照)を備える。ベルビルワッシャ64は、下記に説明されるように、アセンブリ10がトリガされると、ばねとして作用する。閉塞体62(ワッシャ64)は、弁座部52(図3)に面する、第1の位置と、座部(図4)に対して角度のある状態で配向される、第2の位置との間のプラットフォーム60を介して枢動可能である。本体62の配向角度66は、パイプ要素12を通した流体流に対して最小の損失水頭(最小の抵抗)を提供するように選択される。本実施例では、ワッシャ64の配向角度66は、90°であり、角度は、本実施形態では、枢動支持体56上に位置付けられる、付勢部材68(図3参照)と停止表面70との組み合わせによって確立される。付勢部材68、本実施例では、ねじりばね72が、プラットフォームを第2の角度のある状態で配向される位置に付勢するために、枢動支持体56とプラットフォーム60との間に作用する。プラットフォーム60から延在する突出部74が、停止表面70に係合し、プラットフォームの回転を所望の配向角度66に限定する。代替として(図示せず)、突出部は、枢動支持体56または管32の第1の端部58上に位置し、プラットフォーム60上に位置する停止表面と係合し得る。付勢部材68が、パイプ要素12を通した激しい流体流にもかかわらず、プラットフォームの配向を実質的に維持するために十分な剛度を有するように設計される。
【0019】
図1、1A、および2に示されるように、第2の閉鎖部材76が、散水器本体24によって画定される、ボア26と係合状態にある。本例示的実施形態では、第2の閉鎖部材76は、分割プラグ78を備える。分割プラグ78は、3つの構成要素、すなわち、トリガ軸受75と、トリガ軸受を囲繞する離間関係に位置付けられる、プラグ本体77とを含む。トリガ軸受75は、ボア26内に配設されると、プラグ本体77によって画定される、間隙79に跨設され、間隙は、凝縮物がパイプ要素12から排水することを可能にする。分割プラグ78は、トリガ軸受75と、アーム28によって支持される、先端31との間に作用する、温度感受性トリガ80によって、ボア26と係合状態に維持される。示される実施例では、トリガ80は、熱感受性液体を含有する、脆弱なバイアル82を備える。別の周知のトリガは、共晶はんだによってまとめられる、機械的連結具を備える。
【0020】
図2に示されるように、第2の閉鎖部材76は、管32の第2の端部84に係合し、それを支持することによって、第1の閉鎖部材54を座部52と係合された状態に維持し、それによって、パイプ要素12を通した流動またはその中への漏出を防止する。管32は、第2の閉鎖部材76によって係合され、支持されると、第1の閉鎖部材54が座部52に密着状態で係合し、パイプ要素12を通した流動を防止するように、ある長さを有する。第1の閉鎖部材54が、図2および3に示されるようなベルビルワッシャ64を備えるとき、ワッシャは、下記に説明されるように、第2の閉鎖部材76が、散水器ボア26との係合状態から解放されると、座部52に対して圧縮され、管32をパイプ要素12を通して長手方向に、かつその第2の端部22に向かって移動させるように、予め荷重されたばねとして作用する。付勢部材68の剛度もまた、管32を第2の端部22に向かって移動させるように作用し得る。
【0021】
動作時、アセンブリ10は、機械的結合具との併用のために、示されるようにねじ山が付けられる、または溝を提供され得る、ニップル18を使用して、防火システム(図示せず)の分岐ラインに取り付けられる。アセンブリ10は、最初に、その閉鎖位置にあるベルビルワッシャ64が、座部52に面し、かつそれに対して予め荷重される状態で、図3および6に示される、「装填」構成にある。図6および6Aに示されるように、ワッシャ64は、管32との係合を通して、第2の閉鎖部材76(プラグ78)によって、閉鎖される、予め荷重される位置に保持され、プラグは、散水器20のボア26に係合する。ひいては、プラグ78は、温度感受性トリガ80によってボア26と係合状態に維持され、脆弱なバイアル82が、先端31とプラグ78のトリガ軸受75との間に作用する。
【0022】
図4および7は、パイプ要素12を通した流体流を許容する、「トリガ」構成にある、アセンブリ10を示す。これは、トリガ80を囲繞する周囲温度が、所定の閾値(例えば、155°F)に到達する、またはそれを超過し、熱的トリガ、本場合では、脆弱なバイアル82を粉砕させ、それによって、プラグ78への支持を除去すると、生じる。管32上の軸方向の制約力がない場合、ベルビルワッシャ64は、座部52に対して押動し、管32を座部から離れるように軸方向に移動させる。本移動は、付勢部材68によって補助され、分岐ライン内の流体圧力の作用は、第1の閉鎖部材54上に作用する。管32の運動は、座部52からワッシャ64を係脱させ、これは、ワッシャを支承するプラットフォーム60が、(ねじりばね72によって付勢される、図3参照)枢動支持体56上で図4に示される、角度のある状態で配列される位置に枢動することを許容する。配向角度66は、プラットフォーム60から延在する突出部74が、枢動支持体56上の停止表面70に係合すると、設定される。座部52から離れるような管32の運動が、第2の閉鎖部材76を排出し、プラグ78の多部品構築物は、ボア26からのプラグの排出を補助する。ボア26内にメス型のねじ山27を有する、図2Aに示される散水器実施形態に関して、パイプ要素12内の管32の運動は、管32から外向きに突出し、散水器本体24によって画定される、ボア26の中に突出する肩部35に係合する、複数の戻り止め33(図6Aおよび6B参照)によって限定される。本実施例における肩部35は、環を備え、ボア26を囲繞する。戻り止め33は、管(図6参照)の第2の端部84からある距離37を置いて位置付けられる、管32の外向きの穿刺によって便宜的に形成され、管が、図7に示されるように、プラットフォーム60を移動させ、その回転を可能にすることを許容する。実践的設計では、管32の周囲に90°の間隔において角度のある状態で離間される、4つの戻り止め33が存在する。
【0023】
図6Cは、その第2の端部84に近接する、管32に取り付けられる、流量調整カラー89を備える、別の例示的実施形態を示す。示される例示的実施形態におけるように、カラー89は、側壁44内の開口部46の少なくとも一部を覆ってもよい。カラー89は、2つの機能を実施する。本構成では、カラー89は、管から退出する前に管32を通した激しい流動を低減させることが予期される、流量調整表面を提供し、散水器アセンブリがトリガされると管32の進行の範囲を限定するために肩部35に係合する、停止部を提供する。
【0024】
図8に示される別の例示的実施形態では、パイプ要素12に対する管32の縦方向(摺動)運動が、管の第2の端部84と、パイプ要素12の第2の端部22に対して離間関係に位置付けられる、1つ以上の停止表面86の係合によって限定される。本実施例では、2つの停止表面86が、散水器20のアーム28上に位置付けられる。両方の散水器実施形態に関して、管32の第2の端部84に近接して位置する、側壁44の一部は、それを通した開放部を有しておらず、水または他の防火液体が放出されるとき、流量調整導管88として作用する。
【0025】
図7に示されるように、第1の閉鎖部材54がその開放位置にある状態で、かつ第2の閉鎖部材76が、ボア26ともはや係合されていない状態の両方で、防火流体(例えば、水)が、配管網からパイプ要素12および管32を通して、流動し得、それに応じて、これが、流量調整導管88から退出し、偏向器30上に衝突し、火災事象面積にわたって分散される。
【0026】
本発明による、乾式散水器アセンブリは、暖かい環境内の配管網を冷たい環境内に位置する散水器に接続するパイプ要素のために1インチNPSパイプを使用しながら、防火システムの信頼性および有効性の両方を改良することが予期される。本発明による乾式散水器アセンブリの放出率は、11.2のk係数に等しい、またはそれを上回ることが予期される(k係数は、
【数2】
として定義され、式中、qは、アセンブリ10からの1分あたりのガロン単位の放出率であり、pは、パイプ要素12内のpsi(ゲージ)単位の圧力である)。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図7
図8