(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】無線周波数での通信に適した電子デバイスをそれぞれのゴムスリーブ内に挿入する処理方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/06 20060101AFI20221125BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20221125BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20221125BHJP
G06K 19/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B29D30/06
G06K19/07 230
G06K19/077 136
G06K19/077 144
G06K19/02 020
(21)【出願番号】P 2021565047
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 IB2020054095
(87)【国際公開番号】W WO2020225668
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】102019000006513
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
【住所又は居所原語表記】Kleine Kloosterstraat 10, B-1932 Zaventem (BE)
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】キロ ベッキオネ
(72)【発明者】
【氏名】アルフォンソ ディ エジディオ
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-525654(JP,A)
【文献】特開2009-126179(JP,A)
【文献】特開2000-001069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0091821(US,A1)
【文献】韓国特許第10-2010-0120505(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/06
G06K 19/07
G06K 19/077
G06K 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数での通信に適した電子デバイスを対応するゴムスリーブ(5)内に挿入する処理方法であり、前記ゴムスリーブ各々は、2つのオーバーラップする細条(6、7)を有し、これら細条間に無線周波数での通信に適した対応する電子デバイス(1)を包囲するものである、該処理方法であって、
コンベヤ(9)によって挿入経路に沿って、好適には水平に配置した第1ゴムベルト(10)を前進させるステップであり、前記第1ゴムベルト(10)は、各スリーブ(5)の第1細条(6)を形成することを意図するものである、該前進ステップと、
第1送給デバイス(12)によって前記第1ゴムベルト(10)の上面上に、前記電子デバイス(1)を載置するステップと、
を備える、該処理方法において、さらに、
第2送給デバイス(13)により、前記第1ゴムベルト(10)の上面上に及びそこに先に載置された無線周波数での通信に適した前記各電子デバイス(1)上に対応するゴムシート(14)を載置するステップであり、前記ゴムシート(14)は、無線周波数での通信に適した前記電子デバイス(1)の各々を完全にカバーするものであり、前記各ゴムシート(14)は、前記スリーブ(5)各々の第2細条(7)を形成することを意図するものである、該ステップと、
前記ゴムベルト(10)から無線周波数での通信に適した対応する電子デバイス(1)を含む各スリーブ(5)を分離するため、前記第1ゴムベルト(10)の移行方向に沿って前記第2送給デバイス(13)の下流に配置した切断デバイス(16)によって、少なくとも前記第1ゴムベルト(10)で無線周波数での通信に適した前記電子デバイス(1)各々の周りにおける周縁カットを実施して切り抜くステップと、
を備える、処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の処理方法において、前記切断デバイス(16)は、前記第1ゴムベルト(10)から無線周波数での通信に適した対応する電子デバイス(1)を含む前記スリーブ(5)を分離するため、前記第1ゴムベルト(10)及び前記ゴムシート(14)の双方を切断する、処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の処理方法において、前記切断デバイス(16)によって作成される各周縁カットは、前記対応するゴムシート(14)よりも小さく、前記対応するゴムシート(14)の範囲内に全体として含まれ、また前記対応するゴムシート(14)を横切りもする、処理方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の処理方法において、前記コンベヤ(9)は、前記第1ゴムベルト(10)が前進する移動フェーズ及び前記第1ゴムベルト(10)が静止状態に留まる停止フェーズの周期的交互動作を与える間欠的な運動法則に従って前記ゴムベルト(10)を前進させ、また
前記ゴムシート(14)の送給及び前記第1ゴムベルト(10)の切断は、前記第1ゴムベルト(10)が静止しているとき、すなわち、前記間欠的な運動の停止フェーズ中にのみもっぱら排他的に実施され、また前記第1ゴムベルト(10)が運動しているとき、すなわち、前記間欠的な運動の移動フェーズ中に保留される、処理方法。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項記載の処理方法において、前記切断デバイス(16)は、内部が中空である第1ブレードを担持する切断ヘッド(17)と、及び前記切断ヘッド(17)に整列し、また前記切断ヘッド(17)に対して前記第1ゴムベルト(10)の反対側の側面に配置されるカウンタヘッド(18)と、を有する、処理方法。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項記載の処理方法において、前記第1送給デバイス(12)は、
無線周波数での通信に適した少なくとも1つの電子デバイス(1)をピックアップしまた保持するのに適した第1把持ヘッド、及び
前記把持ヘッドが無線周波数での通信に適した電子デバイス(1)をピックアップするピックアップステーションと、前記把持ヘッドが無線周波数での通信に適した前記電子デバイス(1)を前記第1ゴムベルト(10)の上面上に載置する転送ステーションとの間で前記把持ヘッドを周期的に移動させる電動アーム、
を有する、処理方法。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項記載の処理方法において、前記第2送給デバイス(13)は、
少なくとも1つのゴムシート(14)をピックアップしまた保持するのに適した第2把持ヘッド(19)、及び
前記把持ヘッド(19)がゴムシート(14)をピックアップするピックアップステーション(S1)と、前記把持ヘッド(19)が前記ゴムシート(14)を前記第1ゴムベルト(10)の上面上及び無線周波数での通信に適した対応する電子デバイス(1)上に載置する転送ステーション(S2)との間で前記第2把持ヘッド(19)を周期的に移動させる第2電動アーム(19)、
を有する、処理方法。
【請求項8】
請求項7記載の処理方法において、前記第2把持ヘッド(19)は、
第2ゴムベルト(22)からゴムシート(14)を切断しまたピックアップするのに適した内部が中空の第2ブレード(21)と、
前記第2ブレード(21)内に配置され、また前記ゴムシート(14)を前記第1ゴムベルト(10)の上面上に、また無線周波数での通信に適した対応する電子デバイス(1)上に載置するため、前記ブレード(21)内からゴムシート(14)を押し出すのに適したプッシャー(25)と、
を有する、処理方法。
【請求項9】
請求項8記載の処理方法において、前記ゴムシート(14)が押し出される前記第2ゴムベルト(22)は、前記第1ゴムベルト(10)の側方に並置される、処理方法。
【請求項10】
請求項8記載の処理方法において、前記ゴムシート(14)が押し出される前記第2ゴムベルト(22)は、前記第1ゴムベルト(10)の上方に配置され、また前記第1ゴムベルト(10)自体に垂直方向に整列される、処理方法。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか1項記載の処理方法において、さらに、前記第2送給デバイス(13)と前記切断デバイス(16)との間に配置される圧迫デバイス(15)によって前記第1ゴムベルト(10)及び各ゴムシート(14)を互いに押し合わせるステップを備える、処理方法。
【請求項12】
請求項11記載の処理方法において、前記圧迫デバイス(15)は、互いに協働する1対の圧力ローラを有し、無線周波数での通信に適しており、またゴムシート(14)でカバーされる前記電子デバイス(1)を搬送する第1ゴムベルト(10)がこれら圧力ローラ間を通過する、処理方法。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか1項記載の処理方法において、無線周波数での通信に適した前記電子デバイス(1)は、空気タイヤ内に組み入れるのに適している、処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数での通信に適した電子デバイスをそれぞれのゴムスリーブ内に挿入する処理方法に関する。
【0002】
本発明は、トランスポンダーのそれぞれに対応するゴムスリーブ内への挿入に有利な用途を見出し、この挿入に関して以下の説明は明確に言及するが、この言及は一般性を何ら損なうものではない。
【背景技術】
【0003】
近年、取り付けられる空気タイヤのタイプに関する情報、空気タイヤの状態に関する情報、及び環境条件に関する情報をも提供して、現代の車両の能動的部品を形成することができるいわゆる「スマート」空気タイヤが出現してきている。
【0004】
「スマート」空気タイヤは、通常トランスポンダー(すなわち、無線周波数での通信に適した電子デバイス)を装備し、空気タイヤの識別、特性及び履歴に関する遠隔通信(すなわち、タイヤが取り付けられる車両及び空気タイヤのチェック又は交換を実施しなければならないオペレータの双方に対しての)を可能にする。
【0005】
最近、トランスポンダー内に有効膨張圧力を記憶し、またその後トランスポンダー自体により有効膨張圧力を遠隔通信するため、トランスポンダーの存在に基づくRFID(「Radio-Frequency Identification」)技術と、及び有効膨張圧力を測定するTPMS(「Tyre Pressure Monitoring Systems」)との統合化が提案されてきた。
【0006】
初期的には、空気タイヤにおける側壁の内面又は外面にトランスポンダーを接着することが提案され、この解決法は、設計の観点から極めて単純であり、また既存空気タイヤにも適用可能であるが、逆に、トランスポンダーが空気タイヤから外れないことを保証するものではなく(とくに、外面に接着するとき)、このことは、空気タイヤの側壁が受ける周期的変形を招くことになる。
【0007】
その後、空気タイヤの構造内、すなわち、空気タイヤを構成する様々なレイヤの内部にトランスポンダーを組み入れることが提案された。
【0008】
空気タイヤの構造内にトランスポンダーを組み入れることができるようにするために、概して、トランスポンダーの全側面を完全に包囲するゴムスリーブ内に前もってトランスポンダーを挿入し、このようなゴムスリーブは、無線周波数信号のより効率的な発信及び受信を可能にすること、ゴムの誘電特性を有効利用することの双方の機能、並びに空気タイヤを構成するコンポーネントに対してトランスポンダー自体を結合するのに必要である取扱い操作中にトランスポンダーを保護する機能を有する。
【0009】
トランスポンダーを対応するゴムスリーブ内に挿入するため、直線挿入経路に沿って水平に配置される第1ゴムベルトを前進させ、第1ゴムベルトの上面上にトランスポンダーを載置し、第1ゴムベルトの上面(及びひいては先に載置されたトランスポンダー)の上方に第1ゴムベルトと同一寸法を有する第2ゴムベルトを載置し、2つのゴムベルトがその間を通過する少なくとも1対の協働ローラにより、ローラ間に2つのゴムベルトをプレスし、またその後、ゴムスリーブ(2つのゴムスリーブの一部を構成する)を分離するため、2つのゴムベルトを横方向に切断することは知られている。
【0010】
特許文献1(欧州特許第2172878号)は、RFIDタグを生産する方法について開示している。
【0011】
特許文献2(米国公開特許公報第2011284155号)は、ゴムでカバーされる少なくとも1つの電子コンポーネントを備える少なくとも1つの素子を作製する方法であって、該コンポーネントは、第1ゴム細条に接触するよう載置され、またこのコンポーネントをカバーするように第2ゴム細条によってカバーされる方法について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許第2172878号明細書
【文献】米国公開特許公報第2011284155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、無線周波数での通信に適した電子デバイスをそれぞれのゴムスリーブ内に挿入する処理方法であって、製造が容易かつ安価である方法を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、特許請求の範囲に記載の方法に従って、無線周波数での通信に適した電子デバイスをそれぞれのゴムスリーブ内に挿入する処理方法を提供する。
【0015】
特許請求の範囲は、本明細書の不可欠な部分をなす本発明の好適な実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に例示的で非限定的な実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を説明する。
【
図1】ゴムスリーブ内に挿入されるトランスポンダーの概略図である。
【
図2】
図1の断面ラインII-IIによるトランスポンダーの断面図である。
【
図3】
図1の断面ラインIII-IIIによるトランスポンダーの断面図である。
【
図4】それぞれに対応するゴムエンクロージャ内にトランスポンダーを挿入する処理ユニットの概略的側面図である。
【
図6】
図4の処理ユニットにおけるゴムのシートを送給するデバイスの概略的平面図である。
【
図7】ピックアップステーション内における
図6の送給デバイスの把持ヘッドの概略的側面図である。
【
図8】転送ステーション内における
図7の把持ヘッドの概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、参照符号1はトランスポンダーを全体的に示し、すなわち、このトランスポンダーは、情報を記憶することができ、また無線周波数によって通信することができる電子デバイス(通常はパッシブ、すなわち、専用電源がない)である。換言すれば、トランスポンダー1は、特別な固定又は携帯型のデバイス、いわゆるリーダー(又はポーリングデバイス)による遠隔ポーリングに応答するのに適した小さい寸法の「スマート標識(smart label)」であり、リーダーは、無線周波数でトランスポンダー1と通信している間に、ポーリングしているトランスポンダー1内に含まれる情報を読み出す及び/又は変調することができる。したがって、トランスポンダー1は、いわゆるRFID(「Radio-Frequency Identification」)技術に従って動作する無線読出し及び/又は書込みシステムの一部である。
【0018】
トランスポンダー1は空気タイヤ内に組み入れる、すなわち、空気タイヤ自体の構成中に空気タイヤのコンポーネント間に挿入することを意図する、又は空気タイヤ1の外面に固着することを意図する。
【0019】
図1に示す実施形態によれば、トランスポンダー1は、不揮発性メモリ(代表的にはEEPROM又はFRAM、後者はよりコストがかかるが技術的により進化している)を装備した電子回路2(すなわち、マイクロチップ)と、電子回路2に接続したアンテナ3と、並びに電子回路2及びアンテナ3の双方を担持し、またしばしば「基板(substrate)」(代表的には、マイラー(登録商標)、PET若しくはPVCのようなプラスチック、又は他の同様な材料の薄いレイヤ)と定義される支持体4を備え、以下に説明するように、支持体4は存在しないこともあり得る。
図2に示す実施形態において、アンテナ3は、ダイポールアンテナ(又は簡略的にダイポール)であり、電流が流れる際に電磁場を遠隔に放射する線形の導電体を用いて実現される2つの等しい広げたアームを有する。
【0020】
使用にあたり、アンテナ3は、電子回路2自体に給電し、したがって、作動状態にするため、電磁誘導によりアンテナ3内に電位差を誘導し、電子回路2内における電流循環を発生させる電磁信号を受信し、アンテナ3によってメモリ内に格納されたデータを送信し、また適切な場合であれば、メモリ内に格納されたデータを変調する。
【0021】
図1、2及び3に示す実施形態によれば、トランスポンダー1は、互いに重ね合わされまたプレスされるグリーン(生)ゴムの2つの細条6及び7より成る(好適には、2つのゴム細条6及び7は、空気タイヤ自体の最終加硫中に空気タイヤの残りの部分に対して加硫される)ゴムスリーブ5内に挿入され、概して、スリーブ5のグリーンゴムによる2つの細条6及び7は、トランスポンダー1よりも(すなわち、電子回路2及びアンテナ3よりも)1~2mm長い/広い。グリーンゴムによる2つの細条6及び7は、初期的には平行6面体であり、また互いにトランスポンダー1自体の周りにプレスされるとき、トランスポンダー1のコンポーネント周りに変形する。代案的実施形態によれば、スリーブ5の2つのゴム細条6及び7は、初めから加硫される(すなわち、2つの細条におけるゴム6のゴムは即時に加硫される)、又は半加硫される(又は部分的に加硫される)ものとし、2つのゴム細条6及び7は、それらの間で異なる程度の加硫度を有することもできる(例えば、細条6はグリーンゴムとするとともに、細条7は加硫ゴム又は半加硫ゴムとする又はその逆とすることができる。)。
【0022】
図示しない異なる実施形態によれば、支持体4は存在せず、またその支持機能はスリーブ5におけるゴムの細条6及び7によって実施される。
【0023】
好適な(勿論、非限定的であるが)実施形態によれば、スリーブ5(その内部にトランスポンダー1を含む)の厚さTは0.6~2mmの間であり、スリーブ5の幅Wは約8~12mmであり、スリーブ5の長さLは約60~80mmである。
【0024】
図4及び5において、参照符号8は、トランスポンダー1を全体としてそれぞれに対応するゴムスリーブ5内に挿入するための処理ユニットを示す。
【0025】
この処理ユニット8は、配置された(例えば、水平方向に)グリーンゴムの単一ベルト10を水平で真直ぐな挿入経路に沿って前進させるコンベヤ9を備え、以下にさらに説明するように、ゴムベルト10は、各スリーブ5の細条6を形成することを意図するものである。グリーンゴムベルト10は、押出成形機によりグリーンゴムベルト10を生産することができる、又はリールからグリーンゴムベルト10を繰り出すことができる(この場合、グリーンゴムベルト10は非粘着性フィルムを介在させてリールに巻き取り、このフィルムは、繰り出しを行うときに除去することができ、また一般的に最終的除去後に再使用される)送給デバイス11によってコンベヤ9に送られる。
【0026】
処理ユニット8は、ゴムベルト10の上面上でゴムベルト10の中心に各トランスポンダー1を載置する送給デバイス12を有し、各トランスポンダー1は、ゴムベルト10自体の領域内に留まるよう必ずゴムベルト10の上面に載置される。添付図面に示す好適な実施形態において、各トランスポンダー1は、ゴムベルト10の上面上に横方向に載置される、すなわち、トランスポンダー1の長手方向軸線がゴムベルト10の長手方向軸線に直交するよう載置され、代案的実施形態(図示せず)によれば、各トランスポンダー1は、ゴムベルト10の上面上に長手方向に載置される、すなわち、トランスポンダー1の長手方向軸線がゴムベルト10の長手方向軸線10に平行(同軸状)になるよう載置される。
【0027】
例えば、送給デバイス12は、トランスポンダー1をピックアップしまた保持するのに適した把持ヘッド(吸引又は磁気)と、把持ヘッドがトランスポンダー1をピックアップするピックアップステーションと、把持ヘッドがトランスポンダー1をゴムベルト10の上面上に載置する転送ステーションとの間で把持ヘッドを周期的に移動させる電動アームと、を有することができる。換言すれば、送給デバイス12の把持ヘッドは、空気吸引によって、又は電磁石が発生する磁力によってトランスポンダー1を保持することができる。
【0028】
添付図面に示す実施形態において、送給デバイス12は、一度に単一のトランスポンダー1をゴムベルト10の上面上に載置し、図示しない異なる実施形態によれば、送給デバイス12は、ゴムベルト10の上面上に一度に数個のトランスポンダー1(例えば、一度に2個、3個、4個、5個等々のトランスポンダー1)を載置する。
【0029】
処理ユニット8は、ゴムベルト10の移行方向に沿って送給デバイス12の下流に配置される送給デバイス13であって、以下に説明するように、ゴムベルト10の上面上かつ先に載置された各トランスポンダー1上に、トランスポンダー1を完全にカバーするゴムシート14を載置する、該送給デバイス13を有し、各ゴムシート14は、各スリーブ5の細条7を形成することを意図する。添付図面に示す実施形態において、各ゴムシート14は矩形形状を有するが、図示しない他の実施形態によれば、各ゴムシート14は矩形以外の異なる形状を有する。ゴムシート14は、グリーンゴム、半加硫ゴム又は加硫済みゴムより成るものとすることができる。添付図面に示す実施形態において、各ゴムシート14は単一のトランスポンダー1をカバーする。図示しない異なる実施形態において、互いに並置される数個のトランスポンダー1(例えば、並置される2個、3個、4個、5個等々のトランスポンダー1)をカバーする。
【0030】
例えば、送給デバイス13は、ゴムシート14をピックアップしまた保持するのに適した把持ヘッドと、把持ヘッドがゴムシート14をピックアップするピックアップステーションと、吸引把持ヘッドがゴムシート14をゴムベルト10の上面上及び対応するトランスポンダー1上に載置する転送ステーションとの間で把持ヘッドを周期的に移動させる電動アームと、を有することができる。
【0031】
添付図面に示す実施形態において、送給デバイス13は、一度に単一のゴムシート14をゴムベルト10の上面上に載置し、図示しない異なる実施形態によれば、送給デバイス13は、ゴムベルト10の上面上に一度に数個のゴムシート14(例えば、一度に2個、3個、4個、5個等々のゴムシート14)を載置する。
【0032】
添付図面に示す好適な実施形態によれば、処理ユニット8は、ゴムベルト10の移行方向に沿って送給デバイス13の下流に配置される圧迫デバイス15であって、各ゴムシート14をゴムベルト10(対応するトランスポンダー1が介在する)に押し付けるのに適した、該圧迫デバイス15を有する。
【0033】
添付図面に示す好適な実施形態によれば、圧迫デバイス15は、互いに協働する少なくとも1対の圧力ローラを有し、この場合、ゴムシート14でカバーされるトランスポンダー1を搬送するゴムベルト10がこれら圧力ローラ間を通過する。
【0034】
処理ユニット8は、ゴムベルト10の移行方向に沿って圧迫デバイス15の下流に配置される切断デバイス16であって、ゴムベルト10からそれぞれに対応するトランスポンダー1を含むスリーブ5を分離するため、各トランスポンダー1の周りで矩形形状の周縁カットを実施してゴムベルト10を切断するのに適した、該切断デバイス16を有する。この切断デバイス16は、矩形ブレード(内部が空洞である)を担持する切断ヘッド17と、この切断ヘッド17に整列し、また切断ヘッド17に対してゴムベルト10の反対側に配置されるカウンタヘッド18と、を有し、切断ヘッド17は、カウンタヘッド18が固定され得る間にゴムベルト10に対して接近及び離間するよう垂直方向に移動可能である、又はカウンタヘッド18がゴムベルト10に対して接近及び離間するよう垂直方向に移動可能でもある。
【0035】
添付図面に示す実施形態において、切断デバイス16は、一度に1個のトランスポンダー1を切断し、図示しない異なる実施形態によれば、切断デバイス16は、一度に数個のトランスポンダー1(例えば、一度に2個、3個、4個、5個等々のトランスポンダー1)を切り抜く。
【0036】
添付図面に示す好適な実施形態によれば、切断デバイス16は、ゴムベルト10からそれぞれに対応するトランスポンダー1を含むスリーブ5を切り離すため、ゴムベルト10及びゴムシート14の双方を切断する、換言すれば、切断デバイス16によって作成される矩形カットは、僅かにゴムシート14よりも(僅かに)小さく、これにより切断デバイス16によって作成される矩形カットは、ゴムシート14を伴いもする(交差する)。すなわち、切断デバイス16により作成される矩形形状の各周縁カットは、対応するゴムシート14よりも小さく、全体的に対応するゴムシート14内に包含され、また対応するゴムシート14を横切りもする。この結果として、切断デバイス16は、対応するゴムシート14内でゴムシート14から各スリーブ5を切り出す。
【0037】
コンベヤ9は、ゴムベルト10が前進する移動フェーズ及びゴムベルト10が静止状態に留まる停止フェーズの周期的交互動作と見なせる間欠的な運動法則に従って(ステップ・バイ・ステップで)ゴムベルト10を移動させることを強調することは重要である。すべての処理(トランスポンダー1の送給、ゴムシート14の送給、スリーブ5の切り出し)は、ゴムベルト10が停止しているとき(又は停止フェーズ中)に実行され、ゴムベルト10が運動しているとき(すなわち、移動フェーズ中)に保留される。
【0038】
図6は、ゴムベルト10の上面上及び先に載置した各トランスポンダー1上にグリーンゴムシート14を載置する送給デバイス13のあり得る例示的実施形態を示す。送給デバイス13は、ゴムシート14をピックアップ及び保持するのに適した把持ヘッド19と、把持ヘッド19がゴムシート14をピックアップするピックアップステーションS1と、吸引把持ヘッド19がゴムシート14をゴムベルト10の上面上及び対応するトランスポンダー1上に載置する転送ステーションS2との間で把持ヘッド19を周期的に移動させる電動アーム20と、を有する。
【0039】
図7及び8に示す実施形態によれば、把持ヘッド19は、矩形形状であり、またゴムベルト22からゴムシート14を切断及び取り出すのに適した内部が空洞であるブレード21を有し、ゴムベルト22は、摺動平面23上を周期的に移動し、またブレード21のカウンタとしても作用し、したがって、ゴムベルト22の使用済みの部分は、ゴムシート14が切り取られた領域で一連の矩形開口24(
図6に示す)を有する。ブレード21は、矩形形状と異なる形状を有することができ、ブレード21は、ゴムシート14の形状を再現しなければならず、したがって、ゴムシート14が矩形形状とは異なる(多かれ少なかれ)形状を有する場合、ブレード21は、やはり矩形形状と異なる同一形状(多かれ少なかれ)を有していなければならない。把持ヘッド19は、さらに、プッシャー25を有し、このプッシャー25は、矩形形状のブレード21内に配置し、またゴムシート14をゴムベルト10の上面上及び対応するトランスポンダー1上に載置するため、ブレード21内からゴムシート14を押し出すのに適したものとする。この点に関して、グリーンゴムシート14は極めて「粘つく(sticky)」ものであり、したがって、矩形形状のブレード21の内面に対して強く付着する傾向があることに気付くのは重要であり、これにより、矩形形状のブレード21内にゴムシート14を保持する手段を設ける必要はなく、その代わりに矩形形状のブレード21内からゴムシート14を押し出す手段(例えば、プッシャー25)を設ける必要がある。当然のことながら、ゴムシート14が加硫した又は半加硫したゴムで作成される場合、ゴムシート14を内部に保持する手段(例えば、真空手段)をブレード21に設けることができる。
【0040】
添付図面に示す実施形態において、ゴムシート14が押し出されるゴムベルト22はゴムベルト10の側方に並置され、図示しない異なる実施形態によれば、ゴムシート14が押し出されるゴムベルト22は、ゴムベルト10の上方に配置し、またゴムベルト10自体に垂直方向に整列させる(この実施形態において、把持ヘッド19は、垂直方向に真直ぐな直線移動のみ行う)。
【0041】
本明細書記載の実施形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせることができる。
【0042】
上述した処理ユニット8は多くの利点がある。
【0043】
第1に、上述した処理ユニット8は、自動化が容易である数少ない動作のみの実行が予想される限り、実現がとくに簡単かつ経済的である。
【0044】
さらにまた、上述した挿入方法は、トランスポンダー1のスリーブ5内への挿入を可能にするとともに、ゴムベルト10が静止しているとき、各ゴムシート14がゴムベルト10の上面上及び対応するトランスポンダー1上に載置する常に高い精度を確保することを可能にする。
【0045】
最後に、上述した挿入方法は、切断デバイス16によりカットを作成した後に、廃棄されるゴムの量が減少する限り、ゴムベルト10の上方に他の連続ゴムベルトを重ね合わせる解決法に比べて製造コストを低減することを可能にし、このことは、ゴムシート14がゴムベルト10よりも小さい(すなわち、ゴムシートは、ほぼトランスポンダー1のサイズである)ことに起因する。
【符号の説明】
【0046】
1 トランスポンダー
2 電子回路
3 アンテナ
4 支持体
5 スリーブ
6 細条
7 細条
8 処理ユニット
9 コンベヤ
10 ゴムベルト
11 送給デバイス
12 送給デバイス
13 送給デバイス
14 ゴムシート
15 圧迫デバイス
16 切断デバイス
17 切断ヘッド
18 カウンタヘッド
19 把持ヘッド
20 電動アーム
21 ブレード
22 ゴムベルト
23 摺動平面
24 開口
25 プッシャー
S1 ピックアップステーション
S2 転送ステーション
H 高さ
L 長さ
W 幅
T 厚さ