(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ポンプ装置及びバルブモジュール
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20221125BHJP
F04B 45/04 20060101ALI20221125BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F04B43/02 D
F04B45/04 D
F04B53/10 F
(21)【出願番号】P 2022011640
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2022-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000127352
【氏名又は名称】株式会社イワキ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 将樹
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-099501(JP,U)
【文献】実開昭54-100103(JP,U)
【文献】特表2016-537563(JP,A)
【文献】特開昭57-035176(JP,A)
【文献】実開昭60-097380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 45/04
F04B 53/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプヘッドと、
前記ポンプヘッドが着脱可能に取り付けられる装置本体部と、を備え、
前記ポンプヘッドは、
吸込バルブと、吐出バルブと、移送流体を下方から上方に移送するように前記吸込バルブを下側に前記吐出バルブを上側に配置して前記吸込バルブ及び前記吐出バルブを一体的に保持すると共に前記吸込バルブ及び前記吐出バルブの間のバルブ間流路と外側面とを連通する側方流路を有するモジュールガイドと、を有するバルブモジュールと、
前記バルブモジュールの下部を収容する第1収容室と、前記移送流体を吸入する吸込口と、前記吸込口と前記吸込バルブの下部とを接続する吸込側流路と、上部が前記バルブモジュールの側方流路よりも下側に設けられたポンプ室と、前記ポンプ室と前記バルブモジュールの側方流路とを接続するポンプ室連絡流路と、を有する第1ブロックと、
前記バルブモジュールの上部を収容する第2収容室と、前記移送流体を吐出する吐出口と、前記吐出口と前記吐出バルブの上部とを接続する吐出側流路と、を有する第2ブロックと、
内部に前記バルブモジュールを収容した状態で、前記第1ブロックと前記第2ブロックとを結合させる結合手段と、を有し、
前記装置本体部は、前記第1ブロックのポンプ室に収容されたダイヤフラムと、このダイヤフラムを往復駆動するアクチュエータと、を有
し、
前記ポンプ室は、前記第1ブロックの下面に設けられ、
前記アクチュエータは、前記ダイヤフラムを垂直方向に往復駆動し、前記バルブモジュールの下方位置に配置されている
ポンプ装置。
【請求項2】
複数の前記バルブモジュールと、前記複数のバルブモジュールを収容する複数の前記第1収容室及び第2収容室と、前記複数のバルブモジュールに対応した複数のポンプ室、複数のポンプ室連絡流路、複数の前記ダイヤフラム及び複数の前記アクチュエータと、を備え、
前記複数のバルブモジュールは、水平方向に並設され、
前記複数のアクチュエータは、垂直方向から見て前記複数のバルブモジュールを間に挟むように、前記バルブモジュールの並設方向と交差する水平方向に並設されている
請求項1記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記吸込口は前記第1ブロックの側面に形成され、
前記吸込側流路は、前記吸込口と連通し水平方向に延びる第1吸込側流路と、前記第1吸込側流路と前記複数の第1収容室とを垂直方向に連通する複数の第2吸込側流路と、を有し、
前記吐出口は前記第2ブロックの側面に形成され、
前記吐出側流路は、前記吐出口と連通し水平方向に延びる第1吐出側流路と、前記第1吐出側流路と前記複数の第2収容室とを垂直方向に連通する複数の第2吐出側流路と、を有し、
前記アクチュエータは、位相をずらせて前記複数のダイヤフラムをそれぞれ駆動する
請求項
2記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記吸込口は前記第1ブロックの側面に形成され、
前記吸込側流路は、前記吸込口と連通し水平方向に延びる第1吸込側流路と、前記第1吸込側流路と前記複数の第1収容室とを垂直方向に連通する複数の第2吸込側流路と、を有し、
前記吐出口は前記第2ブロックの上面に形成され、
前記吐出側流路は、前記吐出口と前記複数の第2収容室とをそれぞれ斜め方向に連通するように設けられ、
前記アクチュエータは、位相をずらせて前記複数のダイヤフラムをそれぞれ駆動する
請求項
2記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記バルブモジュールは、前記モジュールガイドの下端に前記モジュールガイドと一体的に設けられたガスケットを備え、
前記モジュールガイドは、前記第1収容室に嵌合される前記吸込バルブ側の第1ガイド部と、前記第1ガイド部の外径よりも小径で前記第2収容室に嵌合される前記吐出バルブ側の第2ガイド部と、を有する段付き円筒状に形成され、
前記第1ガイド部の上端と前記第2ブロックとの間にシール部材を有する
請求項1記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記ガスケットは、円筒部と、この円筒部の下端から水平方向の外側に張り出す鍔部とを有し、
前記円筒部は、前記モジュールガイドの内周側に装着され、
前記鍔部は、前記モジュールガイドの下端部に沿って配置されている
請求項
5記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記モジュールガイドは、複数の前記側方流路と、前記第1ガイド部の外周部に形成されて、前記複数の側方流路を連絡する環状溝からなるガイド流路と、を備える
請求項
5記載のポンプ装置。
【請求項8】
吸込バルブと、
吐出バルブと、
移送流体の吸込側に前記吸込バルブを配置すると共に前記移送流体の吐出側に前記吐出バルブを配置して前記吸込バルブと前記吐出バルブとを一体的に保持するモジュールガイドと、
前記モジュールガイドの前記移送流体の吸込側に設けられたガスケットと、
を備えたバルブモジュールであって、
前記モジュールガイドは、第1の外径を有する前記吸込バルブ側の第1ガイド部と、前記第1の外径よりも小径の第2の外径を有する前記吐出バルブ側の第2ガイド部と、を有する段付き円筒状に形成され、前記吸込バルブと前記吐出バルブとの間に設けられたバルブ間流路と、前記バルブ間流路と前記第1ガイド部の外側面とを接続する側方流路と、を有し、
前記側方流路は、前記バルブモジュールがポンプヘッドに装着された際にポンプ室に連通
し、
前記ガスケットは、円筒部と、この円筒部の一端から径方向の外側に張り出す鍔部とを有し、
前記円筒部は、前記モジュールガイドの内周側に装着され、
前記鍔部は、前記モジュールガイドの吸込側端部に沿って配置されている
バルブモジュール。
【請求項9】
前記モジュールガイドは、複数の前記側方流路と、前記第1ガイド部の外周部に形成されて、前記複数の側方流路を連絡する環状溝からなるガイド流路と、を備える
請求項
8記載のバルブモジュール。
【請求項10】
前記吸込バルブは、バルブホルダを介して前記モジュールガイドに保持されている
請求項
8記載のバルブモジュール。
【請求項11】
前記吸込バルブ及び前記吐出バルブは、ボールバルブ、アンブレラ型バルブ及びポペット式バルブのいずれか一つにより構成される
請求項
8~
10のいずれか1項記載のバルブモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及びバルブモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラムの往復動により移送流体を移送する往復動ポンプ(例えば、特許文献1参照)には、移送流体をポンプ室内に導入する吸込バルブと、移送流体をポンプ室内から吐出する吐出バルブとが設けられる。これら吸込バルブと吐出バルブは、通常、ポンプヘッドの下端及び上端に、垂直方向に複数段(例えば、2段式)配置されて取り付けられた構造を備える。これにより、吸込バルブ及び吐出バルブは、ポンプ室の斜め下方側及び斜め上方側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された従来技術の往復動ポンプは、吸込バルブと吐出バルブを、ポンプヘッドに対してそれぞれ固定ねじを介して接続する必要がある。このため、吸込バルブ及び吐出バルブの交換及びメインテナンス時等における各バルブの取り付け及び取り外しが容易ではないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、吸込バルブ及び吐出バルブのポンプヘッドに対する取り付け及び取り外しを容易にすることができるポンプ装置及びバルブモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポンプ装置は、ポンプヘッドと、前記ポンプヘッドが着脱可能に取り付けられる装置本体部と、を備え、前記ポンプヘッドは、吸込バルブと、吐出バルブと、移送流体を下方から上方に移送するように前記吸込バルブを下側に前記吐出バルブを上側に配置して前記吸込バルブ及び前記吐出バルブを一体的に保持すると共に前記吸込バルブ及び前記吐出バルブの間のバルブ間流路と外周面とを連通する側方流路を有するモジュールガイドと、を有するバルブモジュールと、前記バルブモジュールの下部を収容する第1収容室と、前記移送流体を吸入する吸込口と、前記吸込口と前記吸込バルブの下部とを接続する吸込側流路と、上部が前記バルブモジュールの側方流路よりも下側に設けられたポンプ室と、前記ポンプ室と前記バルブモジュールの側方流路とを接続するポンプ室連絡流路と、を有する第1ブロックと、前記バルブモジュールの上部を収容する第2収容室と、前記移送流体を吐出する吐出口と、前記吐出口と前記吐出バルブの上部とを接続する吐出側流路と、を有する第2ブロックと、内部に前記バルブモジュールを収容した状態で、前記第1ブロックと前記第2ブロックとを結合させる結合手段と、を有し、前記装置本体部は、前記第1ブロックのポンプ室に収容されたダイヤフラムと、このダイヤフラムを往復駆動するアクチュエータと、を有する。
【0007】
本発明の一実施形態において、複数の前記バルブモジュールと、前記複数のバルブモジュールを収容する複数の前記第1収容室及び第2収容室と、前記複数のバルブモジュールに対応した複数のポンプ室、複数の前記ダイヤフラム及び複数の前記アクチュエータとを備え、前記複数のバルブモジュールは、水平方向に並設され、前記吸込口は前記第1ブロックの側面に形成され、前記吸込側流路は、前記吸込口と連通し水平方向に延びる第1吸込側流路と、前記第1吸込側流路と前記複数の第1収容室とを垂直方向に連通する複数の第2吸込側流路と、を有し、前記吐出口は前記第2ブロックの側面に形成され、前記吐出側流路は、前記吐出口と連通し水平方向に延びる第1吐出側流路と、前記第1吐出側流路と前記複数の第2収容室とを垂直方向に連通する複数の第2吐出側流路と、を有し、前記アクチュエータは、位相をずらせて前記複数のダイヤフラムをそれぞれ駆動する。
【0008】
本発明の他の実施形態において、複数の前記バルブモジュールと、前記複数のバルブモジュールを収容する複数の前記第1収容室及び第2収容室と、前記複数のバルブモジュールに対応した複数のポンプ室、複数の前記ダイヤフラム及び複数の前記アクチュエータとを備え、前記複数のバルブモジュールは、水平方向に並設され、前記吸込口は前記第1ブロックの側面に形成され、前記吸込側流路は、前記吸込口と連通し水平方向に延びる第1吸込側流路と、前記第1吸込側流路と前記複数の第1収容室とを垂直方向に連通する複数の第2吸込側流路と、を有し、前記吐出口は前記第2ブロックの上面に形成され、前記吐出側流路は、前記吐出口と前記複数の第2収容室とをそれぞれ斜め方向に連通するように設けられ、前記アクチュエータは、位相をずらせて前記複数のダイヤフラムをそれぞれ駆動する。
【0009】
本発明の更に他の実施形態において、前記バルブモジュールは、前記モジュールガイドの下端に前記モジュールガイドと一体的に設けられたガスケットを備え、前記モジュールガイドは、前記第1収容室に嵌合される前記吸込バルブ側の第1ガイド部と、前記第1ガイド部の外径よりも小径で前記第2収容室に嵌合される前記吐出バルブ側の第2ガイド部と、を有する段付き円筒状に形成され、前記第1ガイド部の上端と前記第2ブロックとの間にシール部材を有する。
【0010】
本発明の更に他の実施形態において、前記ガスケットは、円筒部と、この円筒部の下端から水平方向の外側に張り出す鍔部とを有し、前記円筒部は、前記モジュールガイドの内周側に装着され、前記鍔部は、前記モジュールガイドの下端部に沿って配置されている。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、前記モジュールガイドは、複数の前記側方流路と、前記第1ガイド部の外周部に形成されて、前記複数の側方流路を連絡する環状溝からなるガイド流路と、を備える。
【0012】
本発明の更に他の実施形態において、前記ポンプ室は、前記第1ブロックの側面に設けられ、前記アクチュエータは、前記ダイヤフラムを水平方向に往復駆動する。また、前記ポンプ室は、前記第1ブロックの下面に設けられ、前記アクチュエータは、前記ダイヤフラムを垂直方向に往復駆動する。
【0013】
本発明の一態様に係るバルブモジュールは、吸込バルブと、吐出バルブと、移送流体の吸込側に前記吸込バルブを配置すると共に前記移送流体の吐出側に前記吐出バルブを配置して前記吸込バルブと前記吐出バルブとを一体的に保持するモジュールガイドと、を備えたバルブモジュールであって、前記モジュールガイドは、第1の外径を有する前記吸込バルブ側の第1ガイド部と、前記第1の外径よりも小径の第2の外径を有する前記吐出バルブ側の第2ガイド部と、を有する段付き円筒状に形成され、前記吸込バルブと前記吐出バルブとの間に設けられたバルブ間流路と、前記バルブ間流路と前記第1ガイド部の外側面とを接続する側方流路と、を有し、前記側方流路は、前記バルブモジュールがポンプヘッドに装着された際にポンプ室に連通する。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記モジュールガイドの前記移送流体の吸込側に設けられたガスケットを更に有し、前記ガスケットは、円筒部と、この円筒部の一端から径方向の外側に張り出す鍔部とを有し、前記円筒部は、前記モジュールガイドの内周側に装着され、前記鍔部は、前記モジュールガイドの吸込側端部に沿って配置されている。
【0015】
本発明の他の実施形態において、前記モジュールガイドは、複数の前記側方流路と、前記第1ガイド部の外周部に形成されて、前記複数の側方流路を連絡する環状溝からなるガイド流路と、を備える。
【0016】
本発明の更に他の実施形態において、前記吸込バルブは、バルブホルダを介して前記モジュールガイドに保持されている。また、前記吸込バルブ及び前記吐出バルブは、ボールバルブ、アンブレラ型バルブ及びポペット式バルブのいずれか一つにより構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吸込バルブ及び吐出バルブのポンプヘッドに対する取り付け及び取り外しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】同ポンプ装置のポンプヘッドの分解斜視図である。
【
図5】同ポンプ装置のダイヤフラムが取り付けられるアクチュエータを示す一部断面図である。
【
図6】同ポンプ装置に用いられる他のバルブモジュールを示す断面図である。
【
図7】同ポンプ装置に用いられる他のバルブモジュールを示す断面図である。
【
図8】同ポンプ装置に用いられる他のバルブモジュールを示す断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置のポンプヘッドの分解斜視図である。
【
図14】同ポンプヘッドの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係るポンプ装置の一例として電磁定量ポンプ装置及びバルブモジュールを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施形態において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を附して重複した説明を省略する。また、実施形態においては、各構成要素の縮尺及び寸法が実際のものとは一致しない状態で示されている場合、並びに一部の構成要素につき省略されて示されている場合があるとする。
【0020】
[第1の実施形態]
[電磁定量ポンプ装置の外観構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置の外観構成を示す斜視図である。
図2は、このポンプ装置のポンプヘッドの分解斜視図である。また、
図3は
図1のA-A線断面図、
図4は
図3のB-B線断面図である。
【0021】
図1に示すように、第1の実施形態に係る電磁定量ポンプ装置(以下、「ポンプ装置」と呼ぶ。)100は、ポンプヘッド10と、このポンプヘッド10が着脱可能に取り付けられる装置本体部50と、を備える。
【0022】
ポンプヘッド10は、例えば樹脂成形品からなる。装置本体部50は、例えば樹脂製の筐体を有し、その一側面(
図1における、右側面)側に、上面、側面及び背面の一部を取り除いて形成された凹み形状のヘッド装着部51を有する。ポンプヘッド10は、装置本体部50に対して、それぞれ上面、側面及び背面がはみ出さないように、ヘッド装着部51に装着されている。このように、ポンプヘッド10は、ヘッド装着部51に装着された際に、ポンプ装置100が全体として矩形状となるように、ヘッド装着部51の空間を埋めて収まる範囲の寸法で形成されている。
【0023】
装置本体部50は、後述するポンプヘッド10の複数のポンプ室13(
図3参照)にそれぞれ液密に取り付けられる可撓性のダイヤフラム14(
図3参照)と、このダイヤフラム14を往復動させる複数のアクチュエータ60(
図5参照)とを内部に有する。なお、本実施形態ではポンプ室13及びアクチュエータ60は、それぞれ2つずつ設けられている。
【0024】
装置本体部50は、正面側に設けられた、ディスプレイ52を有する操作パネル部53と、装置本体部50のヘッド装着部51と反対側の側面に設けられた複数の外部入出力用ポート54と、を備える。装置本体部50の内部には、ポンプ装置100の動作を制御する制御部(図示せず)が設けられている。ディスプレイ52には、ポンプ装置100の設定流量をはじめ、ポンプ装置100に関する各種の情報が表示される。なお、設定流量は、例えば100ml/min~0.01ml/minの流量範囲で設定可能である。
【0025】
操作パネル部53は、上記ディスプレイ52と共に、電源ボタン53a、ポンプ動作の開始・停止ボタン53b及びカーソル・リターン操作部53cを有する。また、操作パネル部53は、キャリブレーションボタン53d、モード設定ボタン53e、レンジ設定ボタン53f、ストローク設定ボタン53g及びI/O設定ボタン53hを有する。カーソル・リターン操作部53cには、最大量指定ボタン53ca及びエスケープボタン53cbが併設されている。ポンプ装置100のユーザは、操作パネル部53を介して各種の操作入力を行うことで、ポンプ装置100の動作・設定等の各種の操作を行うことができる。
【0026】
[ポンプヘッドの構成]
図2~
図4に示すように、ポンプヘッド10は、移送流体の吸込口11と、移送流体の吐出口12と、これら吸込口11及び吐出口12と連通する複数のポンプ室13と、を有する。ポンプヘッド10は、その内部に、水平方向に並設された複数のバルブモジュール20を収容する。バルブモジュール20は、垂直方向に配置された、例えばボールバルブにより構成される吸込バルブ30及び吐出バルブ40(
図3参照)を有する。
【0027】
ポンプヘッド10の吸込口11には、図示しない接続ナットを介して吸込側ホースが接続され、タンクからの移送流体をポンプ室13の内部に導入するようになっている。また、ポンプヘッド10の吐出口12には、図示しない接続ナットを介して吐出側ホースが接続され、ポンプ室13からの移送流体を吐出側ホースに吐出するようになっている。
【0028】
ポンプヘッド10は、複数のバルブモジュール20の吸込バルブ30及び吐出バルブ40の間で垂直方向に分離可能な複数のポンプヘッドブロックを構成する第1ブロック15及び第2ブロック16を有する。第1ブロック15は、側面に形成された吸込口11と連通し水平方向に延びる第1吸込側流路71と、この第1吸込側流路71と連通し垂直方向の上方に延びる複数の第2吸込側流路72と、を有する。
【0029】
第1ブロック15には、第2吸込側流路72と連通しバルブモジュール20の吸込バルブ30側の部分が収容される複数の第1収容室73が形成されている。なお、各第1収容室73は、それぞれ上方に向けて開口している。また、第1ブロック15には、ダイヤフラム14と共にポンプ室13を形成するためのダイヤフラム取付孔17が、第1及び第2吸込側流路71,72と交差する方向に開口するように形成されている。ダイヤフラム取付孔17は、ポンプ室13の上部がバルブモジュール20の後述する側方流路27の位置よりも低くなる第1ブロック15の位置に設けられている。
【0030】
第2ブロック16は、側面に形成された吐出口12と連通し水平方向に延びる第1吐出側流路81と、この第1吐出側流路81と連通し垂直方向の下方に延びる複数の第2吐出側流路82と、を有する。第2ブロック16には、第2吐出側流路82と連通しバルブモジュール20の吐出バルブ40側の部分が収容される複数の第2収容室83が形成されている。なお、各第2収容室83は、それぞれ下方に向けて開口している。
【0031】
なお、第1ブロック15及び第2ブロック16は、垂直方向に延伸する、結合手段としての複数の固定ボルト19によって、ねじ止め固定されることにより一体化され、ポンプヘッド10を構成する。本実施形態の第1ブロック15及び第2ブロック16は、一体化されたときの装置本体部50の操作パネル部53側の角部が、それぞれ面取りされたような矩形状を有している。このように構成されたポンプヘッド10は、装置本体部50に対し、取付孔15aを介して図示しない複数の取付ねじでヘッド装着部51にねじ止め固定されることにより、装置本体部50の側面側に一体的に装着される。
【0032】
[バルブモジュールの構成]
バルブモジュール20は、吸込バルブ30と、吸込バルブ30と同一構成の吐出バルブ40と、吸込バルブ30を下側に、吐出バルブ40を上側に配置して、両者を垂直方向に一体的に保持するモジュールガイド23と、を備える。モジュールガイド23は、下側に吸込バルブ収容室23a、上側に吐出バルブ収容室23bを有する。吸込バルブ30は、バルブホルダ21を介して吸込バルブ収容室23aに収容される。吐出バルブ40は、吐出バルブ収容室23bに収容される。なお、吸込バルブ収容室23aは、例えば吐出バルブ収容室23bよりも大径の内周面を有する。この内径差はバルブホルダ21によって吸収されている。
【0033】
モジュールガイド23は、吸込バルブ30側の第1ガイド部24と、この第1ガイド部24の外径よりも小径で吐出バルブ40側の第2ガイド部25と、を有する段付き円筒状に形成されている。このように、モジュールガイド23は、第1ガイド部24及び第2ガイド部25の間に段差を備えて形成されている。
【0034】
なお、モジュールガイド23は、第1ガイド部24の第2ガイド部25との段差近傍に周方向に所定間隔で配置された複数の側方流路27を有する。複数の側方流路27は、吸込バルブ30及び吐出バルブ40の間のバルブ間流路79bとモジュールガイド23の外側面とを連通する。モジュールガイド23は、第1ガイド部24の第2ガイド部25との段差近傍の外周部の全周にわたって、複数の側方流路27を連絡する、例えば中心軸方向に凹む環状溝により構成された、移送流体が通流するガイド流路26を備える。また、第1ブロック15は、
図3に示すように、複数のポンプ室13の上部からそれぞれ斜め上方に延びて複数の第1収容室73と連通する複数のポンプ室連絡流路74を有する。
【0035】
モジュールガイド23の第1ガイド部24に設けられたガイド流路26は、例えばバルブモジュール20が第1収容室73にセットされた状態で、第1ブロック15の第1収容室73の内側において、ポンプ室13と連通するポンプ室連絡流路74と接続される。
【0036】
ガイド流路26は、このように吸込バルブ30と吐出バルブ40との間に360°全周にわたって設けられ、上記ポンプ室連絡流路74を介してポンプ室13と繋がる構造を備える。このため、バルブモジュール20のポンプヘッド10への着脱時の軸方向を中心とした回転方向の向きは自由であり、モジュール交換等の作業性が向上する。また、バルブモジュール20は、吸込バルブ30側の部分と吐出バルブ40側の部分とが垂直方向に連続するように近くに配置可能な構造を有する。このため、バルブモジュール20を構成する部品点数を削減しつつコンパクト化を図り、デッドスペースの削減を可能にする。
【0037】
バルブモジュール20の吸込バルブ30は、一つのバルブボール31と、このバルブボール31の下方に配置されたバルブシート32と、から構成される。吸込バルブ30は、バルブホルダ21に装着された状態で吸込バルブ収容室23aに収容されている。バルブボール31は、バルブホルダ21とバルブシート32の間に、上下に僅かに移動できるように収容されている。バルブシート32の内側の筒状空間79aの下端部は第2吸込側流路72と連通し、上端部は吐出バルブ40の下端側と連絡するようになっている。
【0038】
バルブホルダ21は、小径部21a及び大径部21bを有する段付き円筒状に形成されており、小径部21aが吸込バルブ収容室23aの小径の内周面の空間に嵌まり、大径部21bとの段差部が吸込バルブ収容室23aの小径の内周面と大径の内周面との段差部に突き当たる構造となっている。バルブホルダ21は、その上端部よりも僅かに下方の位置に形成された、モジュールガイド23に形成された側方流路27及びバルブボール31の上方のバルブ間流路79bと連通するホルダ流路33を有する。
【0039】
このバルブホルダ21の大径部21bの外周部とモジュールガイド23の下端内周部との間には、例えばPTFE製のガスケット34が装着されている。このガスケット34は、円筒部34aと、この円筒部34aの下端から径方向の外側に張り出す鍔部34bとを有する。円筒部34aは、バルブホルダ21とモジュールガイド23との間で挟持されている。鍔部34bは、例えば、モジュールガイド23の下端(吸込側端部)を覆うように、下端に沿って設けられている。
【0040】
このガスケット34は、モジュールガイド23にガスケット34を介してバルブホルダ21がセットされた際に、バルブホルダ21の下部外周及びモジュールガイド23の下部内周と密着し、第1ブロック15と第2ブロック16とが上下に結合された際に、第1ブロック15の第1収容室73の底面と密着する。これにより、ガスケット34は、第1収容室73の吸込バルブ30側とポンプ室13側とをシールする。
【0041】
バルブモジュール20の吐出バルブ40は、吸込バルブ30と同様に、一つのバルブボール41と、このバルブボール41の下方に配置されたバルブシート42と、から構成される。バルブボール41は、モジュールガイド23とバルブシート42の間で上下に僅かに移動できるように吐出バルブ収容室23b内に収容されている。バルブシート42の内側の筒状空間79cの下端部が吸込バルブ30の上端側と連絡し、上端部が第2収容室83の上方に形成された円錐台状空間84の下端部と複数の垂直流路79dを介して連絡され、更に第2吐出側流路82と連通するようになっている。
【0042】
なお、吸込バルブ収容室23aに収容されたバルブホルダ21は、その上端部によって、吐出バルブ40のバルブシート42の下端部を上方側に押さえ付けている。したがって、バルブモジュール20の組み立ては、バルブボール41及びバルブシート42をモジュールガイド23にセットし、バルブホルダ21にバルブボール31、バルブシート32を取り付けた上で、バルブホルダ21及びガスケット34をモジュールガイド23に嵌め込むという簡単な作業で行うことができる。なお、ガスケット34は、予めバルブホルダ21に嵌めておいても良いし、予めモジュールガイド23に嵌めておいても良いし、モジュールガイド23にバルブホルダ21を嵌めた後に両者の間に嵌めるようにしても良い。これにより、吸込バルブ30及び吐出バルブ40が垂直方向に連続するように配置されたバルブモジュール20を形成することができる。また、バルブモジュール20は、上記のように組み立ててモジュール化することができるので、構成部品の部品点数を削減しつつ組立性を向上させ、併せてコンパクト化を図ることが可能となる。また、バルブモジュール20は、吸込バルブ30及び吐出バルブ40を同一構成のみならず、異なるバルブ方式(例えば、アンブレラ型バルブ、ポペット式バルブ等)と組み合わせてモジュール化することも可能である。
【0043】
このように構成されたバルブモジュール20は、第1ガイド部24が第1収容室73に収容され、第2ガイド部25が第2収容室83に収容されて、第1及び第2ブロック15,16により上下方向に挟持された状態で、ポンプヘッド10の内部に備えられる。なお、ポンプヘッド10における第1ブロック15及び第2ブロック16の合わせ面からの移送流体の漏洩は、第1ガイド部24の上端面側に配置されたシール部材としてのOリング89により防止される。
【0044】
ガスケット34の鍔部34bは、第1収容室73の底面側に配置される。この鍔部34bは、バルブモジュール20のモジュールガイド23の下端面と、第1収容室73の底面及びこれと連続する内周面との間をシールする。Oリング89は、第1ガイド部24の上端面側に配置される。Oリング89は、この第1ガイド部24の上端面と、第1収容室73の内周面と、上記合わせ面よりも第1収容室73側に突出する第2ブロック16の逆円錐台状部分の外周面との間をシールする。なお、Oリング89に代えて、シール部材としてPTFE等からなるガスケット(図示せず)を配置するようにしても良い。
【0045】
このように、バルブモジュール20は、第1ブロック15及び第2ブロック16に挟持された際に、シール設計の思想が全ていわゆる突き当て構造(上下方向に圧力をかけてシールする構造)となっている。このため、径方向にシールするような構造と比べて、シール性が良く、シール材の摩耗も少ない。また、径方向にシールする構造のように、移送流体の脈動でシール材が上下に運動してしまうことはない。従って、吐出精度が悪化することがなく、これらに伴う流量低下を招くこともない。更に、シール材設置のための溝部等のスペース確保も不要であり、デッドスペース及びエアだまり箇所を削減することができる。また、シールが突き当て構造であるため、側面シールに比べて、バルブモジュール20の取り外しが容易である。このため、吐出精度、シール性及び組立性の向上を図りながら、高圧負荷時の流量低下等の不具合を防止し、更にデッドスペースの削減を図ることが可能となる。
【0046】
[ポンプヘッド周りの構成]
図5は、ポンプ装置のダイヤフラムが取り付けられるアクチュエータを示す一部断面図である。
図5に示すように、アクチュエータ60は、例えば電磁アクチュエータで、外観円筒状のアクチュエータ本体61と、このアクチュエータ本体61の基端側に設けられ、電気配線62a及び信号配線62bが接続された制御基板62と、を有する。アクチュエータ本体61の制御基板62とは反対側の先端側には、装置本体部50の図示しない内部取付部への取付パネル63が、例えばねじ止め等により装着されている。
【0047】
アクチュエータ本体61の先端側に延伸する棒状の駆動軸64は、アクチュエータ60の駆動力によって図中矢印で示す方向に往復駆動される。駆動軸64の先端には、往復動部材であるダイヤフラム14が、インサートボルト19aを介して装着されている。ダイヤフラム14の中央背面部は、駆動軸64に装着されたリテーナ18によって支持されている。
【0048】
なお、ダイヤフラム14と取付パネル63との間には、円筒状のブラケット66が取り付けられている。ブラケット66は、内部に防水用のブッシュ65を有し、ポンプヘッド10の第1ブロック15のダイヤフラム取付孔17に嵌合する。ダイヤフラム14の周縁部は、ダイヤフラム取付孔17の底部とブラケット66との間で挟持される。ダイヤフラム14は、その前面中央部でポンプヘッド10の第1ブロック15との間にポンプ室13を形成する。
【0049】
[ポンプ装置の動作]
次に、このように構成されたポンプ装置100の動作について説明する。
装置本体部50の制御部は、操作パネル部53を介して入力された設定情報に基づき、所定の流量で移送流体を移送するために、2つのアクチュエータ60のいずれか一方の駆動軸64と共にダイヤフラム14を水平方向に後退させる吸込動作と、いずれか他方の駆動軸64と共にダイヤフラム14を水平方向に前進させる吐出動作と、を並行して実行する。すなわち、アクチュエータ60は、位相をずらせて複数のダイヤフラム14をそれぞれ駆動可能に構成されている。
【0050】
吸込動作においては、バルブモジュール20の吸込バルブ30が開くと共に吐出バルブ40が閉じるので、移送流体は、図示しないタンクから吸込口11、第1吸込側流路71、第2吸込側流路72、吸込バルブ30、バルブ間流路79b、ホルダ流路33、側方流路27、ガイド流路26、ポンプ室連絡流路74を介してポンプ室13内に導入される。このとき、吐出バルブ40は、バルブボール41がバルブシート42に密着しているので、移送流体が吐出側に流入することはない。
【0051】
また、吐出動作においては、バルブモジュール20の吐出バルブ40が開くと共に吸込バルブ30が閉じるので、移送流体は、ポンプ室13からポンプ室連絡流路74、ガイド流路26、側方流路27、ホルダ流路33、バルブ間流路79b、吐出バルブ40、円錐台状空間84、第2吐出側流路82、第1吐出側流路81、吐出口12を介して吐出側ホースに吐出される。
【0052】
[実施形態の効果]
第1実施形態に係るポンプ装置100は、ポンプヘッド10が、バルブモジュール20の途中の箇所、換言すれば吸込バルブ30及び吐出バルブ40の間の箇所で、第1ブロック15及び第2ブロック16に上下に分離できるようになっているので、バルブモジュール20の取り付け及び取り外しが容易である。これにより、バルブモジュール20の交換等を含めたメインテナンス性を向上させることができる。
【0053】
また、バルブモジュール20が吸込バルブ30及び吐出バルブ40を一体的にユニット化した構造を備えるので、吸込バルブ30と吐出バルブ40とを別々にポンプヘッド10に取り付けるものと比較して、ポンプヘッド10への取り付け及び取り外し作業が著しく簡便となる。さらに、移送流体の流路の一部を構成するガイド流路26が、バルブモジュール20のモジュールガイド23の360°全周にわたって形成されているので、第1ブロック15の第1収容室73へのバルブモジュール20の取付時の向き(方向性)は自由であり、容易に取り付けることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態のポンプヘッド10においては、ポンプ室13に繋がるバルブモジュール20の各流路26,27,33の容積が、吸込バルブ30及び吐出バルブ40間において小さくなるように構成されているので、デッドボリュームを小さくすることが可能である。このように、第1の実施形態のポンプ装置100によれば、デッドボリュームを小さくし、且つ吸込バルブ30及び吐出バルブ40のポンプヘッド10に対する取り付け及び取り外しを容易にすることが可能となる。
【0055】
[他のバルブモジュールの構成]
図6、
図7及び
図8は、上述したポンプ装置に用いられる他のバルブモジュールを示す断面図である。
図6に示すように、他のバルブモジュール20Aは、例えばポペット式バルブにより構成される吸込バルブ30A及び吐出バルブ40Aが垂直方向に配置された構造を備えている。
【0056】
バルブモジュール20Aのモジュールガイド23A、第1ガイド部24A及び第2ガイド部25Aは、上述したバルブモジュール20のモジュールガイド23、第1ガイド部24及び第2ガイド部25と同様の外形形状及び外形寸法で形成され、ガイド流路26も同位置に形成されている。したがって、バルブモジュール20Aは、ポンプヘッド10の第1ブロック15及び第2ブロック16の第1収容室73及び第2収容室83内に、バルブモジュール20と同様に収容され得る。
【0057】
バルブモジュール20Aの吸込バルブ30Aは、一つのポペット式バルブ31Aと、このポペット式バルブ31Aが開閉可能に取り付けられたバルブシートの機能を兼ねるバルブホルダ21Aと、から構成される。バルブホルダ21Aは、ポペット式バルブ31Aの弁体31Aaが上下に僅かに移動できるようにポペット式バルブ31Aが取り付けられる筒状空間を形成する。
【0058】
バルブモジュール20Aの吐出バルブ40Aは、一つのポペット式バルブ41Aと、このポペット式バルブ41Aが開閉可能に取り付けられたバルブシートの機能を兼ねるモジュールガイド23Aと、から構成される。モジュールガイド23Aは、ポペット式バルブ41Aの弁体41Aaが上下に僅かに移動できるようにポペット式バルブ41Aが取り付けられる筒状空間を形成する。
【0059】
なお、上下のポペット式バルブ31A,41A間には、バルブ間流路を形成するチャンバ28が設けられており、このチャンバ28には、ガイド流路26と放射状に連通する側方流路27が接続している。また、バルブホルダ21Aと吸込バルブ収容室22との間には、鍔部34bを有するガスケット34が密着するように取り付けられている。
【0060】
一方、
図7に示すように、他のバルブモジュール20Bは、例えばアンブレラ型バルブにより構成される吸込バルブ30B及び吐出バルブ40Bが垂直方向に配置された構造を備えている。なお、バルブモジュール20Bのモジュールガイド23B、第1ガイド部24B及び第2ガイド部25Bは、上述したバルブモジュール20,20Aのモジュールガイド23,23A、第1ガイド部24,24A及び第2ガイド部25,25Aと同様の外形形状及び外形寸法で形成され、ガイド流路26も同位置に形成されている。したがって、バルブモジュール20Bは、ポンプヘッド10の第1ブロック15及び第2ブロック16の第1収容室73及び第2収容室83内に、バルブモジュール20,20Aと同様に収容され得る。
【0061】
バルブモジュール20Bの吸込バルブ30Bは、一つのアンブレラ型バルブ31Bと、このアンブレラ型バルブ31Bの下方に配置され、アンブレラ型バルブ31Bの弁体31Baが開閉可能に取り付けられたバルブシートの機能を兼ねるバルブホルダ21Bと、から構成される。モジュールガイド23Bの吸込バルブ収容室22の上方には、アンブレラ型バルブ31Bの弁体31Baが上下に移動可能な筒状空間29が形成されている。
【0062】
バルブモジュール20Bの吐出バルブ40Bは、モジュールガイド23Bの上端部に弁体41Baが開閉可能に取り付けられた一つのアンブレラ型バルブ41Bと、バルブシートの機能を兼ねるモジュールガイド23Bと、から構成される。アンブレラ型バルブ41Bの弁体41Baは、第2ブロック16の第2収容室83に収容された際に、第2収容室83の内部空間の上部に形成される筒状空間において上下に移動し得る。
【0063】
なお、バルブホルダ21Bには、第1ブロック15の第2吸込側流路72と連通する中央円形空間21Bc及びこれと連通する垂直流路21Bbが形成されている。バルブホルダ21Bと吸込バルブ収容室22との間には、鍔部34bを有するガスケット34が密着するように取り付けられている。また、モジュールガイド23Bには、筒状空間29、ガイド流路26及び側方流路27と連通するバルブ間流路を形成する垂直流路23Bbが形成されている。
【0064】
図8に示すように、他のバルブモジュール20Cは、ボールバルブにより構成される吸込バルブ30及び吐出バルブ40が垂直方向に配置された構造は、先のバルブモジュール20と同様である。すなわち、バルブモジュール20Cのモジュールガイド23C、第1ガイド部24C及び第2ガイド部25Cは、上述したバルブモジュール20,20A,20Bのモジュールガイド23,23A,23B、第1ガイド部24,24A,24B及び第2ガイド部25,25A,25Bと同様の外形形状及び外形寸法で形成され、ガイド流路26も同位置に形成されている。したがって、バルブモジュール20Cは、ポンプヘッド10の第1ブロック15及び第2ブロック16の第1収容室73及び第2収容室83内に、バルブモジュール20,20A,20Bと同様に収容され得る。
【0065】
バルブモジュール20Cにおいて、モジュールガイド23Cの吸込バルブ収容室23aの下端近傍の内側位置には、例えばPTFE製のガスケット34Aが、バルブホルダ21の下端部とバルブシート32の下端部とを覆うように装着されている。このガスケット34Aは、上述したガスケット34と同様に円筒部34a及び鍔部34bを有する。円筒部34aは、バルブシート32の内側の筒状空間79aの下端部及び第2吸込側流路72(図示せず)と連通する筒状空間34dを中心部に有する。円筒部34aは、吸込バルブ収容室23aの内周側に、例えば圧入装着されている。鍔部34bは、モジュールガイド23Cの下端(吸込側端部)を覆い且つ下端に沿って設けられている。
【0066】
このガスケット34Aは、モジュールガイド23Cにバルブホルダ21をセットした後に装着され、吸込バルブ収容室23aの下部内周と密着し、第1ブロック15と第2ブロック16とが上下に結合された際に、第1ブロック15の第1収容室73の底面と密着する。これにより、ガスケット34Aは、第1収容室73の吸込バルブ30側とポンプ室13側とをシールする。
【0067】
このガスケット34Aによれば、円筒部34aの径方向の寸法管理が容易となる。すなわち、ガスケット34Aは、モジュールガイド23Cの吸込バルブ収容室23aの内側に円筒部34aが挿入される構造であるので、ガスケット34Aの寸法管理は、吸込バルブ収容室23aの内径の寸法管理を考慮することのみでバルブモジュール20Cを組み立てることが可能となる。これにより、ガスケット34Aの製造が容易となり、コストダウンを図ることが可能となる。
【0068】
また、この構造のガスケット34Aによれば、円筒部34aが吸込バルブ収容室23a内に深く差し込まれることなくシール性を確保することができる。これにより、モジュールガイド23Cに対するガスケット34Aの着脱が容易となり、結果的にバルブモジュール20Cの組み立て、分解が容易となるので、組立作業性を向上させることが可能となる。
【0069】
このように、バルブモジュール20A,20B,20Cを、バルブモジュール20と同様の形状及び寸法で構成し、吸込バルブ30,30A,30B及び吐出バルブ40,40A,40Bをそれぞれ一体的にユニット化した構造とすることにより、ポンプヘッド10において、例えば移送流体の種類、移送流体の粘度、設定流量等の各種の条件に応じた適切なバルブ方式(ボールバルブ、ポペット式バルブ、アンブレラ型バルブ等)に切り替え/交換することができ、種々の方式が異なるバルブをポンプヘッド10に容易に適用することが可能となる。また、バルブモジュール20,20A,20B,20Cにおいて、吸込バルブ30,30A,30Bと吐出バルブ40,40A,40Bとを、上記のように同一構成のみならず、異なるバルブ方式で構成することも可能である。
【0070】
[第2の実施形態]
[ポンプヘッドの構成]
図9は、本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置のポンプヘッドの分解斜視図である。また、
図10は、ポンプヘッドの透過側面図、
図11はポンプヘッドの透過上面図、
図12は
図11のC-C線断面図、
図13は
図11のD-D線断面図である。なお、
図9~
図13を含む以降の説明においては、第1の実施形態及びその変形例と同一の構成要素については同一の符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0071】
図9~
図13に示すように、第2の実施形態に係るポンプ装置のポンプヘッド10Aは、装置本体部50の側面側に装着された第1の実施形態のポンプヘッド10とは異なり、図示しない装置本体部の上面側に着脱可能に取り付けられる構造を備えている。このポンプヘッド10Aを用いれば、いわゆる縦型のポンプ装置を実現することができる。
【0072】
ポンプヘッド10Aは、例えば樹脂成形品からなり、装置本体部の上面側に着脱可能に取り付けられる。ポンプヘッド10Aは、吸込口11、第1及び第2吸込側流路71,72、第1収容室73、下面にポンプ室13が形成された第1ブロック15Aと、吐出口12、第1及び第2吐出側流路81,82、第2収容室83が形成された第2ブロック16Aと、を有する。第1ブロック15A及び第2ブロック16Aは、複数のバルブモジュール20の吸込バルブ30及び吐出バルブ40の間で垂直方向に分離可能である。
【0073】
ポンプヘッド10Aの第1ブロック15Aは、装置本体部に取り付けられる基台部91と、この基台部91から立設し、内側に水平方向に並設された複数の第1収容室73を有すると共に、外周部にねじ部92aが形成された円柱状の螺合部92と、を備える。第1ブロック15Aの基台部91は、例えば上面視で見て横長八角形状に形成されている。
【0074】
基台部91は、長辺側面に吸込口11を有し、この吸込口11から水平方向に延びる第1吸込側流路71及び第1吸込側流路71から垂直方向の上方に延び複数の第1収容室73に連通する複数の第2吸込側流路72を有する。また、基台部91は、下方に開口しアクチュエータ60に取り付けられたダイヤフラム14と共にポンプ室13を形成するダイヤフラム取付孔17を複数有する。基台部91の一部から螺合部92にわたっては、上方に開口しバルブモジュール20の吸込バルブ30側の部分を収容する複数の第1収容室73が形成されている。
【0075】
なお、複数のアクチュエータ60は、図示しない装置本体部において、駆動軸64が垂直方向に往復動する状態で、上記第1収容室73の並設方向と交差する水平方向に複数並設され、ダイヤフラム14を垂直方向に往復駆動する。第2吸込側流路72は、第1吸込側流路71と連通すると共に、第1収容室73に連通している。
【0076】
ポンプ室13と連通するポンプ室連絡流路74は、複数のポンプ室13からそれぞれ第1収容室73に向かって方向が異なる斜め上方に延びるように、第1ブロック15Aの基台部91及び螺合部92にわたって形成されている。ポンプヘッド10Aの第2ブロック16Aは、山型に突出した円柱状に形成され、下端周縁部が第1ブロック15Aの螺合部92の外径とほぼ同径のフランジ状に形成されている。
【0077】
第2ブロック16Aは、山型部分の側面に吐出口12を有し、この吐出口12から水平方向に延びる第1吐出側流路81及び第1吐出側流路81から垂直方向の下方に延び複数の第2収容室83に連通する複数の第2吐出側流路82を有する。なお、山型部分は、円錐台状、多角錐台状、楕円錐台状等、種々の形状で形成され得る。第2ブロック16Aには、下方に向けて開口しバルブモジュール20の吐出バルブ40側の部分が収容される複数の第2収容室83が、円錐台状空間84を介して第2吐出側流路82と連通するように形成されている。
【0078】
第2ブロック16Aは、結合手段として、上述した固定ボルト19の代わりに、例えばユニオンナット93を被せて第1ブロック15Aの螺合部92に螺合することにより、バルブモジュール20を挟持した状態で第1ブロック15Aと一体的に固定される。このように構成されたポンプヘッド10Aは、図示しない装置本体部に対し複数の取付ねじ(図示せず)を介して上面側にねじ止め固定されることにより、一体的に装着される。その他、バルブモジュール20の構成及びポンプヘッド10Aの各部の構成は、第1実施形態で説明したバルブモジュール20が取り付けられたポンプヘッド10と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
【0079】
第2実施形態に係るポンプヘッド10Aも、バルブモジュール20の途中の箇所で、第1ブロック15A及び第2ブロック16Aに上下に分離可能であるので、バルブモジュール20の取り付け及び取り外しが容易であり、バルブモジュール20の交換等を含めたメインテナンス性を向上させることができる。また、異なるバルブモジュール20A,20B,20Cへの取り替え作業も容易に行うことができる。
【0080】
また、バルブモジュール20が吸込バルブ30及び吐出バルブ40を一体的にユニット化しているので、ポンプヘッド10Aへの取り付け及び取り外し作業が簡便となる。更に、このポンプヘッド10Aを有するポンプ装置は、第1の実施形態のポンプ装置100に比べて、いわゆる縦型構造とすることができるので、ポンプ装置の設置幅が狭小な設置スペースにおいても、ポンプ装置100と同等の機能を実現するポンプ装置を設置することが可能となる。このように、第2の実施形態のポンプヘッド10Aによれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0081】
[変形例]
図14は、ポンプヘッド10Aの変形例を示す断面図である。
図14に示すように、変形例のポンプヘッド10Bは、装置本体部50の上面側に装着される点は、上記ポンプヘッド10Aと同様であるが、第2ブロック16Bの吐出口12が山型部分の上面に形成されている点が、吐出口12が第2ブロック16Aの側面に形成されたポンプヘッド10Aとは相違している。その他の各部の構成はポンプヘッド10Aと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
このポンプヘッド10Bによれば、吐出口12を上方に開口するように設けることができるので、気泡が滞留し難い構造を実現する。なお、吐出口12が上方に開口しているため、第2ブロック16Aにおいて設けられていた吐出口12から水平方向に延びる第1吐出側流路81は、第2ブロック16Bでは廃止され、第2吐出側流路82が円錐台状空間84から吐出口12に向けて斜め上方に延びている。
【0083】
第2の実施形態及び変形例のポンプヘッド10A,10Bによれば、第1ブロック15A及び第2ブロック16A,16Bを、例えばユニオンナット93によって手動により一体的に固定することができるので、別途取付用の工具等を使用せずに取り付けが可能である。また、上向きにポンプ室13が形成され、そこからバルブモジュール20に繋がるポンプ室連絡流路74が斜め上方に上向きに形成されているので、ポンプ室13内に気泡が入り難く、仮に気泡が入ったとしても排出し易い構造を実現する。
【0084】
更に、ポンプヘッド10A,10Bの水平方向の取り付け向きを、180°回転させて取り付けることができるので、例えば吸込口11の開口向きを180°容易に変更することが可能である。また、ポンプヘッド10A,10Bが装置本体部50の上面側に装着されているため、例えば第1ブロック15Aから第2ブロック16A,16Bを取り外したときの内部のバルブモジュール20の状態を上方から容易に確認することができ、交換等の際に作業がし易くなる。なお、第1ブロック15A及び第2ブロック16A,16Bを透明樹脂等で内部の様子を視認可能に形成した場合、第2ブロック16A,16Bを取り外さなくとも、内部のバルブモジュール20の様子を容易に確認可能となる。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
10 ポンプヘッド
11 吸込口
12 吐出口
13 ポンプ室
14 ダイヤフラム
15 第1ブロック
16 第2ブロック
20 バルブモジュール
21 バルブホルダ
22 吸込バルブ収容室
23 モジュールガイド
23a 吸込バルブ収容室
23b 吐出バルブ収容室
24 第1ガイド部
25 第2ガイド部
26 ガイド流路
27 側方流路
30 吸込バルブ
34 ガスケット
40 吐出バルブ
50 装置本体部
60 アクチュエータ
71 第1吸込側流路
72 第2吸込側流路
73 第1収容室
74 ポンプ室連絡流路
81 第1吐出側流路
82 第2吐出側流路
83 第2収容室
100 ポンプ装置
【要約】
【課題】吸込バルブ及び吐出バルブの取り付け及び取り外しを容易にする。
【解決手段】ポンプ装置は、ポンプヘッドと装置本体部とを備える。ポンプヘッドは、吸込バルブ及び吐出バルブを一体的に保持すると共にバルブ間流路と外周面とを連通する側方流路を有するモジュールガイドを有するバルブモジュールと、バルブモジュールの下部を収容する第1収容室、吸込口、これと吸込バルブとを接続する吸込側流路、上部が側方流路よりも下側に設けられたポンプ室、これと側方流路とを接続するポンプ室連絡流路を有する第1ブロックと、バルブモジュールの上部を収容する第2収容室、吐出口、これと吐出バルブの上部とを接続する吐出側流路を有する第2ブロックと、各ブロックの結合手段とを有する。装置本体部は、第1ブロックのポンプ室に収容されたダイヤフラム及びこのダイヤフラムを往復駆動するアクチュエータを有する。
【選択図】
図1