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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】工場内監視装置及び工場内監視方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20221125BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221125BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221125BHJP
   G08B 5/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
H04N7/18 D
G05B23/02 301X
G08B5/00 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022028128
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522075405
【氏名又は名称】比嘉 恵一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 恵一朗
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-358111(JP,A)
【文献】特開2019-109727(JP,A)
【文献】特開2007-114967(JP,A)
【文献】特開2019-176408(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/039277(JP,A1)
【文献】特開2020-135588(JP,A)
【文献】特開2018-092499(JP,A)
【文献】特開2020-152473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/418
23/00-23/02
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G06T1/00-1/40
3/00-7/90
G06V10/00-20/90
30/418
40/16
40/20
G08B1/00-9/20
19/00-31/00
G16Z99/00
H03J9/00-9/06
H04N5/222-5/257
7/18
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視装置であって、
前記工場内を撮影する撮影手段と、該撮影手段で撮影された画像を表示する表示手段と、前記画像の中から前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理手段と、該画像処理手段による検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定手段と、該判定手段で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知手段とを備え、前記表示手段は、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠を表示し、前記画像処理手段で点灯が検出された前記警告灯に対し、該警告灯の点灯色に対応させて、該警告灯を囲む前記選択枠の表示色を変化させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に前記点灯色を示す文字を表示させることを特徴とする工場内監視装置。
【請求項2】
工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視装置であって、
前記工場内を撮影する撮影手段と、該撮影手段で撮影された画像を表示する表示手段と、前記画像の中から前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理手段と、該画像処理手段による検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定手段と、該判定手段で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知手段とを備え、前記表示手段は、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠を表示し、前記画像処理手段で点滅が検出された前記警告灯に対し、該警告灯を囲む前記選択枠を点滅させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に該警告灯の点滅状態を示す文字を表示させることを特徴とする工場内監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の工場内監視装置において、外部入力手段を備え、該外部入力手段により、前記表示手段に表示される前記画像の中から監視の対象となる前記警告灯を選択可能であることを特徴とする工場内監視装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1記載の工場内監視装置において、前記画像処理手段による検出結果の記録を出力する出力手段と、該出力手段から出力される前記記録を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする工場内監視装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1記載の工場内監視装置において、前記撮影手段は、1又は複数のネットワークカメラであり、監視の対象となる複数の前記警告灯は、1つの前記ネットワークカメラで撮影され又は複数の前記ネットワークカメラで分担されて撮影されることを特徴とする工場内監視装置。
【請求項6】
工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視方法であって、
撮影手段で撮影された前記工場内の画像を表示手段に表示する画像表示工程と、前記画像を画像処理して前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理工程と、画像処理工程での検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定工程と、該判定工程で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知工程とを備え、前記画像表示工程で、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠が表示され、前記画像処理工程で点灯が検出された前記警告灯に対し、該警告灯の点灯色に対応させて、該警告灯を囲む前記選択枠の表示色を変化させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に前記点灯色を示す文字を表示させることを特徴とする工場内監視方法。
【請求項7】
工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視方法であって、
撮影手段で撮影された前記工場内の画像を表示手段に表示する画像表示工程と、前記画像を画像処理して前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理工程と、画像処理工程での検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定工程と、該判定工程で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知工程とを備え、前記画像表示工程で、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠が表示され、前記画像処理工程で点滅が検出された前記警告灯に対し、該警告灯を囲む前記選択枠を点滅させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に該警告灯の点滅状態を示す文字を表示させることを特徴とする工場内監視方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の工場内監視方法において、前記画像表示工程で、前記表示手段に表示される前記画像の中から監視の対象となる前記警告灯を選択可能であることを特徴とする工場内監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内の各種機器に取付けられた警告灯を監視することにより、人員削減を図ることができる工場内監視装置及び工場内監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内の各種機器には警告灯が取付けられており、各種機器の動作不良又は故障等の異常が発生した場合には、警告灯の報知を確認した作業者が必要な措置を行っている。
従って、それぞれの機器に担当の作業者を配置し、各作業者が常に警告灯を監視しなければならず、作業者の負担が増加していた。
一方、特許文献1には、複数の建物(対象物)の内部及び外部をPTZカメラで監視する監視システムが開示されている。また、特許文献2には、プラントのプロセスの状態または機器の状態を表示する表示器を配列したプラント状態表示盤を撮影して画像信号とする画像入力装置と、画像信号がデータ処理された結果を表示する動画像表示装置とを備えたプラント監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-135577号公報
【文献】特開2000-184357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、それぞれの対象物の異常を報知するための警告灯を備えることが記載されているが、PTZカメラは、プリセット情報に基づき、複数の対象物を巡回撮像するものであり、固定カメラではないため、複数の警告灯を同時に撮影することはできない。従って、この監視システムでは、予めプリセット情報を作成する手間がかかるだけでなく、全ての対象物をリアルタイムで監視することはできず、異常の発生を認識するまでに時間がかかるおそれがある。また、この監視システムでは、PTZカメラが1つの対象物(警告灯)を撮影している時に、他の対象物で発生した異常(警告灯による報知)は撮影されないため、正確な記録を残すことができず、異常が発生した原因等を解明できない可能性もある。
特許文献2には、プラントの各個所を監視する監視カメラを設置し、警報ランプ又は指示ランプの色情報を識別することも記載されているが、この監視装置では、プラントの各個所をそれぞれ別々の監視カメラで撮影するため、監視の対象個所と同じ数だけの監視カメラが必要であり、監視カメラの数が増え、制御も複雑になるという課題がある。また、この監視装置では、警報ランプ又は指示ランプの色情報を識別した結果、異常と判定した場合に、異常と判定された個所の監視カメラの動画像を表示したり、識別した色情報(色の違い=異常の有無)に応じて、該当する個所の監視カメラの画像の画質を調整して表示したりしている。従って、この監視装置は、複数の監視カメラの中から選択された1つの監視カメラで撮影された1個所の監視画像のみを表示するものであり、1つの監視カメラで複数個所の警報ランプ又は指示ランプを同時に監視し、表示することはできない。このため、作業者が、複数個所の監視画像を目視で確認するためには、各箇所に設置された監視カメラを順次選択して1個所ずつ確認しなければならず、手間と時間がかかるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、工場内の複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を同時に監視することにより、各機器の動作不良又は故障等の異常の発生をリアルタイムで検出して報知できると共に、その履歴(記録)を残して各機器を管理することができる工場内監視装置及び工場内監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る工場内監視装置は、工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視装置であって、
前記工場内を撮影する撮影手段と、該撮影手段で撮影された画像を表示する表示手段と、前記画像の中から前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理手段と、該画像処理手段による検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定手段と、該判定手段で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知手段とを備え、前記表示手段は、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠を表示し、前記画像処理手段で点灯が検出された前記警告灯に対し、該警告灯の点灯色に対応させて、該警告灯を囲む前記選択枠の表示色を変化させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に前記点灯色を示す文字を表示させる。
【0007】
前記目的に沿う第2の発明に係る工場内監視装置は、工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視装置であって、
前記工場内を撮影する撮影手段と、該撮影手段で撮影された画像を表示する表示手段と、前記画像の中から前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理手段と、該画像処理手段による検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定手段と、該判定手段で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知手段とを備え、前記表示手段は、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠を表示し、前記画像処理手段で点滅が検出された前記警告灯に対し、該警告灯を囲む前記選択枠を点滅させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に該警告灯の点滅状態を示す文字を表示させる。
【0008】
【0009】
【0010】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置において、外部入力手段を備え、該外部入力手段により、前記表示手段に表示される前記画像の中から監視の対象となる前記警告灯を選択可能であることが好ましい。
【0011】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置において、前記画像処理手段による検出結果の記録(ログ)を出力する出力手段と、該出力手段から出力される前記記録を記憶する記憶手段とを備えることが好ましい。
【0012】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置において、前記撮影手段は、1又は複数のネットワークカメラであり、監視の対象となる複数の前記警告灯は、1つの前記ネットワークカメラで撮影され又は複数の前記ネットワークカメラで分担されて撮影されることが好ましい。
【0013】
前記目的に沿う第の発明に係る工場内監視方法は、工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視方法であって、
撮影手段で撮影された前記工場内の画像を表示手段に表示する画像表示工程と、前記画像を画像処理して前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理工程と、画像処理工程での検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定工程と、該判定工程で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知工程とを備え、前記画像表示工程で、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠が表示され、前記画像処理工程で点灯が検出された前記警告灯に対し、該警告灯の点灯色に対応させて、該警告灯を囲む前記選択枠の表示色を変化させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に前記点灯色を示す文字を表示させる。
【0014】
前記目的に沿う第4の発明に係る工場内監視方法は、工場内に設置された複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を監視することにより、前記各機器に発生する異常を検出する工場内監視方法であって、
撮影手段で撮影された前記工場内の画像を表示手段に表示する画像表示工程と、前記画像を画像処理して前記各警告灯の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理工程と、該画像処理工程での検出結果に基づいて前記各機器の異常の有無を判定する判定工程と、該判定工程で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知工程とを備え、前記画像表示工程で、前記画像に重ねて、監視の対象となる該画像上の前記警告灯を囲む選択枠が表示され、前記画像処理工程で点滅が検出された前記警告灯に対し、該警告灯を囲む前記選択枠を点滅させ、又は前記画像上の該警告灯の近傍に該警告灯の点滅状態を示す文字を表示させる。
【0015】
【0016】
【0017】
3、第4の発明に係る工場内監視方法において、前記画像表示工程で、前記表示手段に表示される前記画像の中から監視の対象となる前記警告灯を選択可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置及び第3、第4の発明に係る工場内監視方法は、工場内で撮影される画像を画像処理して、各機器に取付けられた警告灯の点灯及び点滅の有無を検出することにより、各機器の異常の有無を判定し、利用者(作業者)に異常の発生を報知することができるので、複数の機器の稼働状況を遠隔から同時に監視することが可能であり、各機器の監視に必要な人員を大幅に削減することができると共に、利用者の負担を軽減して省力化を図ることができる。
【0019】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置及び第3、第4の発明に係る工場内監視方法、撮影される画像に重ねて、監視の対象となる警告灯を囲む選択枠が表示されるので、監視の対象に間違い又は漏れがないか、利用者が目視で簡単に確認することができ、監視の確実性に優れる。
【0020】
第1の発明に係る工場内監視装置及び第の発明に係る工場内監視方法、警告灯の点灯色に対応させて、選択枠の表示色を変化させ、又は画像上の警告灯の近傍に点灯色を示す文字を表示させるので、また第2の発明に係る工場内監視装置及び第4の発明に係る工場内監視方法は、警告灯の点滅に対応させて、選択枠を点滅させ、又は画像上の警告灯の近傍に点滅状態を示す文字を表示させるので、監視が適正に行われていることを利用者が目視で確認することができる。
【0021】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置及び第3、第4の発明に係る工場内監視方法において、画像の中から監視の対象となる警告灯を選択可能である場合、監視が必要な警告灯のみを漏れなく確実に監視することができる。
【0022】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置において、画像処理手段による検出結果の記録を出力する出力手段と、出力手段から出力される記録を記憶する記憶手段とを備える場合、各機器に発生した異常の履歴(記録)をデータとして蓄積し、各機器を管理することができると共に、利用者は必要に応じて記録を確認することにより、異常の発生状況を把握することができ、異常が発生した原因の解明等に利用することができる。
【0023】
第1、第2の発明に係る工場内監視装置において、撮影手段が、1又は複数のネットワークカメラであり、監視の対象となる複数の警告灯が、1つのネットワークカメラで撮影され又は複数のネットワークカメラで分担されて撮影される場合、同じ警告灯が複数の異なるネットワークカメラで撮影されることを防止し、監視の対象となる複数の警告灯をリアルタイムで確実に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態に係る工場内監視装置の使用状態を示す模式図である。
図2】同工場内監視装置の構成を示すブロック図である
図3】同工場内監視装置の表示手段に表示される画像を示す説明図である。
図4】同工場内監視装置を用いた工場内監視方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施の形態に係る工場内監視装置10及び工場内監視方法について説明する。
工場内監視装置10及び工場内監視方法は、図1に示すように、工場11内に設置された複数の機器12にそれぞれ取付けられた警告灯13を監視することにより、各機器12に発生する異常を検出するものである。警告灯の点灯色としては、赤、青(若しくは緑)、黄の3色が一般的であるが、点灯色の種類、数及び配置は、適宜、選択される。
【0026】
図1図2に示すように、工場内監視装置10は、工場11内を撮影するネットワークカメラ(撮影手段の一例)15を備えている。図1に示すように、本実施の形態では、監視の対象となる複数(ここでは5つ)の警告灯13が、複数(ここでは2つ)のネットワークカメラ15で分担されて撮影されているが、工場内の警告灯13(機器12)の数及び配置は、適宜、選択され、それに応じて、ネットワークカメラの数、配置及び各ネットワークカメラで分担される警告灯の数も、適宜、選択される。なお、1つのネットワークカメラで全ての警告灯が撮影される場合もある。
【0027】
工場内監視装置10は、図2に示すように、ネットワークカメラ15で撮影された画像を表示する表示手段16と、画像の中から各警告灯13の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理手段17と、画像処理手段17による検出結果に基づいて各機器12の異常の有無を判定する判定手段18と、判定手段18で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知手段19とを備えている。
また、工場内監視装置10は、外部入力手段20を備えており、利用者は、この外部入力手段20により、事前に画像の中から監視の対象となる警告灯13を選択可能である。従って、監視が必要な警告灯13のみを漏れなく確実に監視することができる。特に、上述のように、複数の警告灯13を複数のネットワークカメラ15で監視(撮影)する場合、ネットワークカメラ15毎に監視(分担)する警告灯13を選択することにより、監視の対象となる全ての警告灯13が、複数のネットワークカメラ15で確実に分担されて撮影され、漏れ及び重複の発生を防止できる。
さらに、工場内監視装置10は、図2に示すように、画像処理手段17による検出結果の記録を出力する出力手段21と、出力手段21から出力される記録を記憶する記憶手段22とを備えている。これにより、各機器12に発生した異常の履歴(記録)をデータとして蓄積し、各機器12を管理することができる。また、利用者は必要に応じて記録を確認することにより、異常の発生状況を把握することができ、異常が発生した原因の解明等に利用することができる。
【0028】
ここで、工場内監視装置10の一部は、図1に示すように、コンピュータ23で構成することができる。つまり、工場内監視方法を実行するプログラムが、コンピュータ23にインストールされ、コンピュータ23のCPUがそのプログラムを実行することにより、コンピュータ23を上記の画像処理手段17、判定手段18、報知手段19、出力手段21及び記憶手段22として機能させることができる。このとき、図1に示すように、各ネットワークカメラ15とコンピュータ23は、通信ネットワーク25を介して接続されており、各ネットワークカメラ15で撮影された画像がコンピュータ23で受信され、コンピュータ23に接続されたモニタ(ディスプレイ)26が表示手段16として機能し、キーボード27及びマウス28が外部入力手段20として機能する。なお、各ネットワークカメラ15とコンピュータ23との接続は、有線でも無線でもよい。また、コンピュータの形態は、デスクトップ型に限定されるものではなく、ノート型又はその他の形態でもよく、表示手段となるモニタは、コンピュータから独立していてもよいし、コンピュータと一体化されていてもよい。
【0029】
表示手段16は、図3に示すように、ネットワークカメラ15で撮影された画像に重ねて、監視の対象となる画像上の警告灯13aを囲む選択枠30を表示することができる。この時、選択枠30の表示色は、適宜、選択されるが、警告灯13の点灯色とは異なる色(例えば白)であることが好ましい。これにより、利用者は、表示手段16に表示される画像を見るだけで、どの警告灯13が監視の対象となっているか即座に確認することができる。そして、工場内監視装置10は、画像処理手段17により、画像の中から各警告灯13の点灯を検出した時には、検出した各警告灯13の点灯色に対応させて、画像上で、それぞれの選択枠30の表示色を変化させることができる。このとき、選択枠の表示色の変化に代えて、又は加えて画像上の警告灯の近傍に点灯色を示す文字(記号も含む)を表示させてもよい。また、工場内監視装置10は、画像処理手段17により、各警告灯13の点滅を検出した時には、画像上で、それぞれの選択枠30を点滅させることができる。このとき、選択枠の点滅に代えて、又は加えて画像上の警告灯の近傍に警告灯の点滅状態を示す文字を表示させてもよい。なお、選択枠の点滅速度は警告灯の点滅速度と同じでも異なっていてもよい。
【0030】
報知手段19は、異常が発生したことを利用者に報知することができればよく、その報知方法は、適宜、選択される。例えば、表示手段16に文字又は記号(マーク、サイン)等を表示する方法、コンピュータ23のスピーカーから音声又は警告音を発する方法、通信ネットワーク25を介してコンピュータ23と接続された携帯端末(図示せず)等に文字(メール)、音声又は警告音等を送信する方法等があり、工場11又はコンピュータ23から離れた場所にいる利用者にも異常を知らせることができる。
外部入力手段20として、キーボード27及びマウス28の代わりにタッチパッドが用いられてもよい。
記憶手段22は、出力手段21から出力される記録のデータをファイル(電子データ)として記憶できるものであればよく、コンピュータ23に内蔵若しくは外付けされるハードディスクでもよいし、コンピュータ23によって書き込み可能な各種の記憶媒体(例えばCD-ROM、USBメモリ等)でもよい。なお、出力手段21による記録の出力形態は様々であり、記録をファイル(電子データ)として出力する以外に、文字データとして、表示手段16に出力(表示)すること又はプリンタ等の外部出力機器(図示せず)に出力(印刷)することもできる。
【0031】
以下、本発明の一実施の形態に係る工場内監視装置を用いた工場内監視方法について説明する。
図4に示すように、まず、画像表示工程で、ネットワークカメラ15で撮影された工場11内の画像が表示手段16に表示される(S1:ステップ1)。
利用者は、画像表示工程で表示手段16に表示される画像の中から監視の対象となる警告灯13を選択することができる(S2:ステップ2)。
これにより、ネットワークカメラ15で撮影された画像に重ねて、監視の対象となる画像上の警告灯13aを囲む選択枠30が表示される(図3参照)。この時の選択枠30の表示色は白とする(S3:ステップ3)。
【0032】
次に、画像処理工程で、画像処理手段17により、ネットワークカメラ15で撮影された画像が画像処理され、各警告灯13の点灯及び点滅の有無が検出される(S4:ステップ4)。
そして、ステップ4で警告灯13の点灯が検出された場合には、検出された警告灯13の点灯色に対応させて選択枠30の表示色を変化させる。さらに、ステップ4で警告灯13の点滅が検出された場合には、選択枠30を点滅させる。なお、選択枠の表示色の変化に代えて、又は加えて画像上の警告灯の近傍に点灯色を示す文字を表示させてもよいし、選択枠の点滅に代えて、又は加えて画像上の警告灯の近傍に警告灯の点滅状態を示す文字を表示させてもよい(S5:ステップ5)。
【0033】
次に、判定工程で、判定手段18により、画像処理工程での検出結果、つまり検出された各警告灯13の点灯色及び点滅の有無に基づいて各機器12の異常の有無を判定する(S6:ステップ6)。
そして、ステップ6で異常が発生していると判定された場合は、報知工程に進み、報知手段19により、異常の発生が報知される(S7:ステップ7)。
その後、外部入力手段20による監視の終了指示があればプログラムと共に監視が終了され、監視の終了指示がなければステップ4に戻って監視が継続される(S8:ステップ8)。
【0034】
先のステップ4で警告灯13の点灯及び点滅が検出されなかった場合には、上記のステップ8に進み、監視の終了指示があるまで監視が継続される。
また、先のステップ6で異常が発生していないと判定された場合も、上記のステップ8に進み、監視の終了指示があるまで監視が継続される。
【0035】
なお、画像表示工程の前に、監視に用いられるネットワークカメラ15が登録され、複数のネットワークカメラ15が登録された場合には、上記の一連の工程(ステップ1~ステップ8)が、登録された全てのネットワークカメラ15に対して同時に(並行して)行われる。特に、登録された全てのネットワークカメラ15で撮影された画像が、表示手段16に並べて表示された状態で上記の一連の工程が行われることにより、監視の対象となる全ての機器12をリアルタイムで漏れなく監視することができる。
【0036】
但し、表示手段16に表示させる画像の数、大きさ及び配置は、必要に応じて、適宜、選択される。例えば、ステップ2で、画像の中から監視の対象となる警告灯13を選択する際には、複数のネットワークカメラ15の中から順次、1つのネットワークカメラ15を選択し、選択した1つのネットワークカメラ15で撮影された画像のみを表示若しくは拡大して、ネットワークカメラ15毎に警告灯13を選択してもよい。また、判定工程で、異常が発生していると判定され、報知工程で異常の発生が報知される際には、異常が発生していると判定された機器12(警告灯13)を撮影しているネットワークカメラ15の画像のみを表示若しくは拡大してもよい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
【符号の説明】
【0038】
10:工場内監視装置、11:工場、12:機器、13:警告灯、13a:画像上の警告灯、15:ネットワークカメラ(撮影手段)、16:表示手段、17:画像処理手段、18:判定手段、19:報知手段、20:外部入力手段、21:出力手段、22:記憶手段、23:コンピュータ、25:通信ネットワーク、26:モニタ、27:キーボード、28:マウス、30:選択枠
【要約】
【課題】工場内の複数の機器にそれぞれ取付けられた警告灯を同時に監視し、各機器の異常の発生をリアルタイムで検出して報知し、その履歴で各機器を管理することができる工場内監視装置及び工場内監視方法を提供する。
【解決手段】工場11内に設置された複数の機器12にそれぞれ取付けられた警告灯13を監視して、各機器12に発生する異常を検出する工場内監視装置10が、工場11内を撮影する撮影手段15と、撮影手段15で撮影された画像を表示する表示手段と、画像の中から各警告灯13の点灯及び点滅の有無を検出する画像処理手段と、画像処理手段による検出結果に基づいて各機器12の異常の有無を判定する判定手段と、判定手段で異常が発生していると判定された時に異常の発生を報知する報知手段とを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4