IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立建機ティエラの特許一覧

<>
  • 特許-電動式建設機械 図1
  • 特許-電動式建設機械 図2
  • 特許-電動式建設機械 図3
  • 特許-電動式建設機械 図4
  • 特許-電動式建設機械 図5
  • 特許-電動式建設機械 図6
  • 特許-電動式建設機械 図7
  • 特許-電動式建設機械 図8
  • 特許-電動式建設機械 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電動式建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221125BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20221125BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
E02F9/00 M
B60K11/04 B
B60K11/04 E
B60K11/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022510277
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2020013763
(87)【国際公開番号】W WO2021192165
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 祐太
(72)【発明者】
【氏名】木原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 究
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/102042(WO,A1)
【文献】特開2010-121328(JP,A)
【文献】特開2015-140643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 11/04
B60K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とを有し、
前記車体は、前側に前記作業装置が取付けられた車体フレームと、
前記車体フレーム上に設けられた運転席と、
前記運転席から前記車体の左右方向の一側に離間して前記車体フレーム上に設けられ、電源からの給電により作動する電動モータと、
前記電動モータによって駆動され前記作業装置に作動油を供給する油圧ポンプと、
前記作業装置に供給される作動油を貯溜するオイルタンクと、
前記電動モータを含む電気機器と前記油圧ポンプおよび前記オイルタンクを含む油圧機器とを覆って前記車体フレームに設けられた外装カバーとを備えてなる電動式建設機械において、
前記車体フレームには、前記外装カバーの内部を前記電気機器が収容される電気機器室と前記油圧機器が収容される油圧機器室とに仕切る仕切り部材が設けられ、
前記電気機器室には、電気機器冷却ファンを有し前記電気機器を冷却する電気機器冷却装置が設けられ、
前記油圧機器室には、油圧機器冷却ファンを有し前記油圧機器を冷却する油圧機器冷却装置が設けられていることを特徴とする電動式建設機械。
【請求項2】
前記車体フレームには、前記電気機器冷却ファンによって前記電気機器室に冷却風を導入するフレーム側電気機器室冷却風導入口と、前記油圧機器冷却ファンによって前記油圧機器室に冷却風を導入するフレーム側油圧機器室冷却風導入口とが設けられ、
前記外装カバーには、前記電気機器冷却ファンによって前記電気機器室に冷却風を導入するカバー側電気機器室冷却風導入口と、前記油圧機器冷却ファンによって前記油圧機器室に冷却風を導入するカバー側油圧機器室冷却風導入口と、前記電気機器室に導入された冷却風を外部に排出する電気機器室冷却風排出口と、前記油圧機器室に導入された冷却風を外部に排出する油圧機器室冷却風排出口とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記車体フレームには、前記運転席の後側に位置して前記電源を構成するバッテリが搭載され、
前記電気機器室は前記仕切り部材の後側に形成され、
前記油圧機器室は前記仕切り部材の前側に形成され、
前記仕切り部材の後側には、前記バッテリが収容されるバッテリ室が設けられており、前記バッテリ室と前記電気機器室との間には、第2の仕切り部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
前記第2の仕切り部材には、前記電気機器室と前記バッテリ室との間を連通させる連通口が設けられ、
前記電気機器冷却ファンによる冷却風は、前記連通口を通じて前記バッテリ室から前記電気機器室に流入することを特徴とする請求項3に記載の電動式建設機械。
【請求項5】
前記電気機器室には、前記電動モータの駆動電圧を制御するインバータが設けられ、
前記電気機器冷却装置は、前記電気機器冷却ファンと、前記電気機器を冷却する冷却水を循環させる冷却水ポンプと、前記冷却水ポンプによって循環する冷却水の熱を前記電気機器冷却ファンからの冷却風により放熱するラジエータとを含んで構成され、
前記電動モータ、前記インバータおよび前記冷却水ポンプは、前記電気機器室の内部で前記電気機器冷却ファンと対面する領域から外れた領域内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項6】
前記油圧機器冷却装置は、前記油圧機器冷却ファンによる冷却風が供給されることにより前記オイルタンクに戻る作動油を冷却するオイルクーラを備え、
前記オイルクーラは、前記オイルタンクの外側面に隙間をもって対面させて配置し、
前記油圧機器冷却ファンは、前記オイルクーラを挟んで前記オイルタンクとは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力源として電動モータを備えた油圧ショベル等の電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えている。近年では、地球温暖化、大気汚染を抑制する対策として、電動モータを動力源とする電動式油圧ショベルが実用化されている。この電動式油圧ショベルには、電動機器と油圧機器とが搭載されている。
【0003】
電動式油圧ショベルに搭載される電動機器は、動力源となる電動モータ、電動モータに対する給電を行うバッテリ、電動モータの動作を制御するインバータ等により構成されている。電動式油圧ショベルに搭載される油圧機器は、電動モータによって駆動され、各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する油圧ポンプ、油圧ポンプに供給される作動油を蓄えるオイルタンク等により構成されている。これら電動機器および油圧機器は、作動時に熱を発生する。このため、電動式油圧ショベルには、熱交換器および冷却ファンを含む冷却装置が搭載され、冷却装置によって電動機器および油圧機器を冷却している。
【0004】
このような電動式油圧ショベルとして、上部旋回体の左側に運転席が配置され、上部旋回体の右側にバッテリを除く電気機器、油圧機器、熱交換器等が配置され、上部旋回体の後側にバッテリが配置されたものが提案されている。この従来技術による電動式油圧ショベルは、上部旋回体に仕切り板が設けられ、この仕切り板によって、電気機器および油圧機器が収容された機械室と、バッテリが収容されたバッテリ室とが仕切られている。機械室には冷却ファンが設けられ、この冷却ファンによる冷却風によって電気機器や油圧機器が冷却される。これにより、電気機器や油圧機器から発生した熱がバッテリに伝わるのを防止でき、バッテリの周囲を適正な温度に保つことができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/102042号
【発明の概要】
【0006】
従来技術による電動式油圧ショベルは、電気機器と油圧機器とが同一の空間(機械室)内に収容され、機械室内に供給される冷却風によって一緒に冷却される。しかし、電動モータおよびインバータ等の電気機器が使用されるときの温度(使用温度帯)と、油圧ポンプおよびオイルタンク等の油圧機器が使用されるときの使用温度帯とは異なっている。このため、機械室内に供給される冷却風によって電気機器と油圧機器とが一緒に冷却される構造では、電気機器と油圧機器とを同時に効率良く冷却することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、車体に搭載された電気機器と油圧機器とを、それぞれ効率良く冷却することができるようにした電動式建設機械を提供することにある。
【0008】
本発明の一実施形態は、自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とを有し、前記車体は、前側に前記作業装置が取付けられた車体フレームと、前記車体フレーム上に設けられた運転席と、前記運転席から前記車体の左右方向の一側に離間して前記車体フレーム上に設けられ、電源からの給電により作動する電動モータと、前記電動モータによって駆動され前記作業装置に作動油を供給する油圧ポンプと、前記作業装置に供給される作動油を貯溜するオイルタンクと、前記電動モータを含む電気機器と前記油圧ポンプおよび前記オイルタンクを含む油圧機器とを覆って前記車体フレームに設けられた外装カバーとを備えてなる電動式建設機械において、前記車体フレームには、前記外装カバーの内部を前記電気機器が収容される電気機器室と前記油圧機器が収容される油圧機器室とに仕切る仕切り部材が設けられ、前記電気機器室には、電気機器冷却ファンを有し前記電気機器を冷却する電気機器冷却装置が設けられ、前記油圧機器室には、油圧機器冷却ファンを有し前記油圧機器を冷却する油圧機器冷却装置が設けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、電気機器室に収容された電気機器は、電気機器冷却装置によって冷却され、油圧機器室に収容された油圧機器は、油圧機器冷却装置によって冷却される。従って、電気機器と油圧機器とを、個別の冷却装置によって別々に冷却することができ、電気機器と油圧機器とを、それぞれ効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態による電動式油圧ショベルを示す右側面図である。
図2】電動式油圧ショベルの左側面図である。
図3】上部旋回体を下面側から見た下面図である。
図4】旋回フレームに仕切り部材を取付けた状態を示す斜視図である。
図5】旋回フレームに仕切り部材と隔壁を取付けた状態を示す斜視図である。
図6】旋回フレームに仕切り部材、第2の仕切り部材、電動モータ、ラジエータ、インバータ、電気機器冷却ファン等を取付けた状態を示す斜視図である。
図7】作業装置、カウンタウエイト、右後外装カバー、右前外装カバー等を取外した上部旋回体の右側面図である。
図8】作業装置、カウンタウエイト、右後外装カバー、右前外装カバー、隔壁等を取外した上部旋回体の平面図である。
図9】作業装置、カウンタウエイト、右後外装カバー、右前外装カバー、隔壁等を取外した上部旋回体の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、電動式建設機械の実施の形態について、クローラを備えた電動式油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0012】
図1および図2において、電動式建設機械の代表例である電動式油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。電動式油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体4とにより構成されている。下部走行体2の前側には、ブレード(排土板)5が上下方向に回動可能に設けられ、このブレード5を用いて排土作業等が行われる。上部旋回体4の前側には、スイング式の作業装置6が設けられ、この作業装置6を用いて土砂の掘削作業等が行われる。
【0013】
スイング式の作業装置6は、後述する旋回フレーム7の前側に左右方向に揺動可能に設けられたスイングポスト6Aと、スイングポスト6Aに回動可能に取付けられたブーム6Bと、ブーム6Bの先端に回動可能に取付けられたアーム6Cと、アーム6Cの先端に上下方向に回動可能に取付けられたバケット6Dとを含んで構成されている。また、作業装置6は、スイングポスト6Aを揺動させるスイングシリンダ6Eと、ブーム6Bを回動させるブームシリンダ6Fと、アーム6Cを回動させるアームシリンダ6Gと、バケット6Dを回動させるバケットシリンダ6Hとを備えている。
【0014】
上部旋回体4は、下部走行体2に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、下部走行体2上で旋回動作を行う。上部旋回体4は、後述する旋回フレーム7と、運転席10と、キャノピ13と、カウンタウエイト14と、電動モータ15と、油圧ポンプ17と、バッテリ19と、外装カバー20とを含んで構成されている。
【0015】
車体フレームとしての旋回フレーム7は、上部旋回体4のベースを構成している。旋回フレーム7は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられ、旋回フレーム7の前側には、作業装置6が取付けられている。
【0016】
図4ないし図6に示すように、旋回フレーム7は、底板7Aと、左縦板7Bおよび右縦板7Cと、左サイドフレーム7Dと、右サイドフレーム7Eとを含んで構成されている。底板7Aは、前後方向に延びる厚肉な鋼板からなり、左右方向の中央部に位置して前後方向に延びている。左縦板7Bおよび右縦板7Cは、底板7A上に立設され、左右方向で対面しつつ前後方向に延びている。左サイドフレーム7Dは、底板7Aおよび左縦板7Bから左側方に張出す左張出しビーム7D1の先端に固定され、前後方向に延びている。右サイドフレーム7Eは、底板7Aおよび右縦板7Cから右側方に張出す右張出しビーム7E1の先端に固定され、円弧状に湾曲しつつ前後方向に延びている。
【0017】
左縦板7Bと右縦板7Cとの間隔は、後側から前側に向けて小さくなり、左縦板7Bおよび右縦板7Cの前端には円筒状の支持筒体7Fが設けられている。支持筒体7Fには、作業装置6のスイングポスト6Aが左右方向に揺動(スイング)可能に支持されている。旋回フレーム7の前後方向の中間部には、左右方向に延びる横板7Gが設けられている。横板7Gは、底板7A上に立設され、左縦板7Bの後端と右縦板7Cの後端との間を連結している。旋回フレーム7の後側には、バッテリ19を取付けるためのバッテリ取付枠7Hが設けられている。バッテリ取付枠7Hは、C字型に屈曲した枠体として形成され、横板7Gの後側に位置して底板7A上に立設されている。
【0018】
左縦板7Bの左側には、L字型に屈曲したフロア支持部材7Jが設けられている。フロア支持部材7Jは、左サイドフレーム7D上に一定の間隔をもって配置され、後述のフロア部材8を支持する。右縦板7Cと右張出しビーム7E1との間には、前後に離間して一対のタンク支持部材7Kが設けられている。一対のタンク支持部材7Kは、右縦板7Cから右サイドフレーム7Eに向けて右側方へと延びている。タンク支持部材7Kの下側には、スイングシリンダ6Eが配置され、タンク支持部材7Kの上側には、後述のオイルタンク18が支持される。バッテリ取付枠7Hの右側には、前後に離間して一対のモータ支持部材7Lが設けられている。モータ支持部材7Lは、電動モータ15を支持する。
【0019】
図3に示すように、旋回フレーム7の底板7Aと左サイドフレーム7Dとの間には、左アンダカバー7Mが設けられている。旋回フレーム7の底板7Aと右サイドフレーム7Eとの間には、右アンダカバー7Nが設けられている。底板7Aの後側には、後述するフレーム側電気機器室冷却風導入口38の中央導入口38Aが形成されている。左アンダカバー7Mには、後述の左側導入口38Bが設けられ、右アンダカバー7Nには、後述するフレーム側油圧機器室冷却風導入口39の前側導入口39Aおよび後側導入口39Bが設けられている。
【0020】
フロア部材8は、旋回フレーム7のフロア支持部材7Jに取付けられ、旋回フレーム7の左前側に配置されている。フロア部材8は、旋回フレーム7の左前部から前後方向の中央部までの範囲に水平に延びて配置され、運転席10に座ったオペレータの足場を形成している。運転席台座9は、フロア部材8の後側に位置して旋回フレーム7の左側に設けられている。運転席台座9は、フロア部材8の後端から上方に立ち上がる立上り部9Aと、立上り部9Aの上端から後方へと延びる水平な台座部9Bと、台座部9Bの後端から斜め上方へと延びる背板部9Cとを含んで構成されている。
【0021】
運転席10は、旋回フレーム7上に配置された運転席台座9に取付けられている。運転席10はオペレータが座るものである。運転席10の前側には、下部走行体2の走行方向を操作する左右の走行用レバー・ペダル11(左側のみ図示)が設けられている。運転席10の左右両側には、旋回装置3および作業装置6を操作するための左右の作業用操作レバー12が設けられている。フロア部材8および運転席10の上側は、4柱式のキャノピ13によって覆われている。
【0022】
カウンタウエイト14は、運転席10の後側に位置して旋回フレーム7の後端に設けられている。カウンタウエイト14は、作業装置6との重量バランスをとっている。カウンタウエイト14の外周面は、左右方向の中央部が後方に突出した円弧状をなしている。これにより、上部旋回体4が旋回したときに、カウンタウエイト14の外周面は一定の旋回半径内に収まる構成となっている。カウンタウエイト14は、バッテリ19を後方から覆っている。
【0023】
電動モータ15は、運転席10から右側(上部旋回体4の左右方向の一側)に離間して旋回フレーム7に設けられている。電動モータ15は、電動式油圧ショベル1の動力源を構成し、バッテリ19からの給電によって作動することにより、油圧ポンプ17を駆動する。電動モータ15は、後述する電気機器室28内に収容され、出力軸(図示せず)が前後方向に延びた状態で、旋回フレーム7のモータ支持部材7Lに、マウント部材15Aを介して支持されている。
【0024】
インバータ16は、電動モータ15の上側に位置して後述の仕切り部材25に取付けられている。インバータ16は、バッテリ19から電動モータ15に供給される駆動電圧を制御することにより、電動モータ15の作動を制御する。インバータ16および電動モータ15は電気機器を構成し、後述の電気機器室28内に収容されている。ここで、電動モータ15およびインバータ16には、それぞれ冷却水が循環するウォータジャケット(いずれも図示せず)が設けられ、このウォータジャケットには後述の冷却水ポンプ33が接続されている。
【0025】
油圧ポンプ17は、電動モータ15の前側に取付けられている。油圧ポンプ17は、電動モータ15によって駆動されることにより、オイルタンク18に貯留された作動油を加圧し、作動用の圧油として作業装置6のスイングシリンダ6E、ブームシリンダ6F、アームシリンダ6G、バケットシリンダ6H等の各種油圧アクチュエータに供給する。
【0026】
オイルタンク18は、油圧ポンプ17の前側に位置して旋回フレーム7の右前側に設けられている。オイルタンク18は、図7および図8に示すように、上下方向に延びる箱型の容器として形成され、旋回フレーム7のタンク支持部材7Kに支持されている。オイルタンク18には、各種油圧アクチュエータに供給される作動油が貯留されている。オイルタンク18のうち後述の右前外装カバー24と左右方向で対面する外側面18Aには、右前外装カバー24から離れる方向に窪む凹窪部18Bが設けられている。油圧ポンプ17とオイルタンク18とは油圧機器を構成し、後述する油圧機器室29内に収容されている。
【0027】
バッテリ19は、運転席10の後側に位置して旋回フレーム7に搭載されている。バッテリ19は電源を構成し、電動モータ15に対して電力を供給(給電)する。バッテリ19は、運転席台座9とカウンタウエイト14との間に配置され、旋回フレーム7のバッテリ取付枠7H上に、マウント部材19Aを介して取付けられている。バッテリ19は、後述するバッテリ室30内に収容されている。
【0028】
外装カバー20は、運転席10の周囲を取り囲むように旋回フレーム7上に設けられている。外装カバー20は、電動モータ15、インバータ16等を含む電気機器、油圧ポンプ17、オイルタンク18等を含む油圧機器、バッテリ19等を、カウンタウエイト14と共に覆っている。外装カバー20は、図2に示す左後外装カバー21と、左前外装カバー22と、図1に示す右後外装カバー23と、右前外装カバー24とを含んで構成されている。
【0029】
左後外装カバー21は、カウンタウエイト14の左端から運転席10の左側までの範囲に配置されている。左後外装カバー21は、バッテリ19等を左側方から覆っている。左前外装カバー22は、左後外装カバー21の前端から旋回フレーム7の左縦板7Bまでの範囲に配置されている。左前外装カバー22は、例えばフロア部材8と旋回フレーム7の左サイドフレーム7Dとの間に配置されたコントロールバルブ等(図示せず)を左側方および前方から覆っている。
【0030】
右後外装カバー23は、カウンタウエイト14の右端から運転席10の右側までの範囲に配置されている。右後外装カバー23は、電動モータ15、インバータ16等の電気機器を右側方から覆っている。右前外装カバー24は、右後外装カバー23の前端から旋回フレーム7の右縦板7Cまでの範囲に配置されている。右前外装カバー24は、右前下カバー24Aと、右前下カバー24A上に配置され上下方向に開閉可能となった右前上カバー24Bとにより構成されている。右前下カバー24Aは、油圧ポンプ17、オイルタンク18等の油圧機器を右側方および前方から覆っている。右前上カバー24Bは、油圧ポンプ17、オイルタンク18等の油圧機器を上方および前方から覆っている。
【0031】
仕切り部材25は、運転席10の右側に位置して旋回フレーム7上に設けられている。仕切り部材25は、外装カバー20の内部を、電気機器室28と油圧機器室29とに仕切っている。仕切り部材25は、旋回フレーム7の前後方向の中間部に配置され、横板7Gの右側部位から右縦板7Cを跨いで右サイドフレーム7Eへと左右方向に延びている。ここで、仕切り部材25は、右縦板7Cと右サイドフレーム7Eとの間に立設されたL字型の枠体25Aと、枠体25Aの内側に取付けられた板体25Bとを含んで構成されている。仕切り部材25の枠体25Aは、右後外装カバー23の前端を、ヒンジ機構(図示せず)を介して開閉可能に支持している。仕切り部材25の板体25Bのうち、旋回フレーム7の底板7Aと右縦板7Cとが交わる角部に対応する部位には、前後方向に貫通するポンプ挿通部25Cが形成されている。このポンプ挿通部25Cには、電動モータ15の前側に接続された油圧ポンプ17が挿通される構成となっている。
【0032】
第2の仕切り部材26は、仕切り部材25の後側に位置して旋回フレーム7上に設けられている。図6および図7に示すように、第2の仕切り部材26は、上下方向および前後方向に延びる板体により形成され、バッテリ室30と電気機器室28との間を仕切っている。第2の仕切り部材26は、バッテリ19の右側に配置され、仕切り部材25からカウンタウエイト14に向けて後方に延びている。第2の仕切り部材26は、バッテリ室30に収容されたバッテリ19に対し、電気機器室28に収容された電動モータ15、インバータ16等からの熱を遮蔽する。
【0033】
第2の仕切り部材26の上側部位には、角孔状の連通口26Aが形成されている。連通口26Aは、バッテリ室30と電気機器室28との間を連通させ、バッテリ室30に導入された冷却風を、電気機器室28内に流入させる。
【0034】
隔壁27は、仕切り部材25の前側に位置して旋回フレーム7上に設けられている。図5および図7に示すように、隔壁27は、上下方向および前後方向に延びる板体により形成され、運転席10の右側に配置されている。隔壁27は、仕切り部材25の左側から前方に延び、運転席10と油圧機器室29との間を仕切っている。
【0035】
電気機器室28は、仕切り部材25の後側で、かつ第2の仕切り部材26の右側に位置して外装カバー20内に形成されている。即ち、電気機器室28は、仕切り部材25と、第2の仕切り部材26と、右後外装カバー23とによって囲まれた空間として形成され、上部旋回体4の右後側に配置されている。電気機器室28内には、電動モータ15、インバータ16等の電気機器と、後述する電気機器冷却装置31が収容されている。
【0036】
油圧機器室29は、仕切り部材25の前側で、かつ隔壁27の右側に位置して外装カバー20内に形成されている。即ち、油圧機器室29と電気機器室28とは、仕切り部材25によって互いに独立した2つの空間に仕切られている。油圧機器室29は、仕切り部材25と、隔壁27と、右前外装カバー24とによって囲まれた空間として形成され、上部旋回体4の右前側に配置されている。油圧機器室29内には、油圧ポンプ17、オイルタンク18等の油圧機器と、後述する油圧機器冷却装置35が収容されている。
【0037】
バッテリ室30は、第2の仕切り部材26の左側で、かつ仕切り部材25の後側に位置して外装カバー20内に形成されている。即ち、バッテリ室30と電気機器室28との間には、第2の仕切り部材26が設けられ、バッテリ室30は、電気機器室28および油圧機器室29から独立した空間となっている。バッテリ室30は、運転席台座9と、カウンタウエイト14と、左後外装カバー21と、第2の仕切り部材26とによって囲まれた空間として形成され、上部旋回体4の中央後側に配置されている。バッテリ室30内には、電源となるバッテリ19が収容されている。
【0038】
電気機器冷却装置31は、電動モータ15、インバータ16と共に電気機器室28内に配置されている。電気機器冷却装置31は、ラジエータ32と、冷却水ポンプ33と、電気機器冷却ファン34とを含んで構成されている。ラジエータ32は、第2の仕切り部材26の連通口26Aに対応する位置に配置されている。即ち、ラジエータ32は、連通口26Aを覆うように配置され、バッテリ室30から連通口26Aを通じて電気機器室28内に流入する冷却風が直接的に供給(通過)されるようになっている。ラジエータ32は、冷却水ポンプ33によって電動モータ15およびインバータ16のウォータジャケット(いずれも図示せず)を循環する冷却水の熱を、電気機器室28内に流入する冷却風により放熱し、電動モータ15およびインバータ16を冷却する。
【0039】
冷却水ポンプ33は、ブラケット等(図示せず)を介して仕切り部材25に支持され、電動モータ15よりも上側で、かつ電気機器冷却ファン34よりも下側に配置されている。冷却水ポンプ33は、電動モータ15およびインバータ16のウォータジャケット(いずれも図示せず)に接続され、このウォータジャケットに冷却水を循環させる。電気機器冷却ファン34は、ラジエータ32のうち第2の仕切り部材26とは反対側の面に取付けられている。電気機器冷却ファン34は、例えば電動ファンからなり、第2の仕切り部材26の連通口26Aを通じて電気機器室28内に冷却風を導入する。
【0040】
ここで、図7に示すように、電動モータ15、インバータ16および冷却水ポンプ33は、電気機器室28の内部で電気機器冷却ファン34と対面(正対)する領域から外れた(対面しない)領域内に配置されている。これにより、電気機器冷却ファン34によって電気機器室28内に流入した冷却風が、電動モータ15、インバータ16および冷却水ポンプ33に直接的に衝突することがない。これにより、電気機器室28内に流入した冷却風は、後述の電気機器室冷却風排出口42に向けて円滑に流通する。
【0041】
油圧機器冷却装置35は、油圧ポンプ17、オイルタンク18と共に油圧機器室29内に配置されている。油圧機器冷却装置35は、オイルクーラ36と、油圧機器冷却ファン37とを含んで構成されている。オイルクーラ36は、オイルタンク18の外側面18Aのうち凹窪部18Bに対応する部位に隙間Gをもって対面し、右前外装カバー24の右前下カバー24Aと左右方向で対面している(図8参照)。オイルクーラ36は、油圧アクチュエータからオイルタンク18に戻る戻り油(作動油)の熱を、油圧機器冷却ファン37による冷却風中に放熱し、作動油を冷却する。
【0042】
油圧機器冷却ファン37は、オイルクーラ36を挟んでオイルタンク18とは反対側に取付けられ、オイルクーラ36と右前外装カバー24(右前下カバー24A)との間に配置されている。油圧機器冷却ファン37は、例えば電動ファンからなり、後述のフレーム側油圧機器室冷却風導入口39およびカバー側油圧機器室冷却風導入口41を通じて油圧機器室29内に冷却風を導入する。このように、オイルクーラ36は、オイルタンク18の外側面18Aに隙間Gをもって対面した状態で配置され、油圧機器冷却ファン37は、オイルクーラ36を挟んでオイルタンク18とは反対側に設けられている。これにより、油圧機器冷却ファン37によって油圧機器室29内に導入された冷却風の一部は、オイルタンク18の外側面18Aに沿って流れ、後述の油圧機器室冷却風排出口43を通じて外部に排出される構成となっている。
【0043】
フレーム側電気機器室冷却風導入口38は、旋回フレーム7に設けられ、バッテリ室30に開口している。図3に示すように、フレーム側電気機器室冷却風導入口38は、旋回フレーム7の底板7Aに形成された中央導入口38Aと、左アンダカバー7Mに設けられた左側導入口38Bとを有している。中央導入口38Aは、旋回フレーム7の横板7Gよりも後側に配置され、バッテリ取付枠7Hによって取り囲まれている。従って、中央導入口38Aはバッテリ19の下方に開口し、左側導入口38Bはバッテリ19の左側に開口している。
【0044】
電気機器冷却ファン34が作動することにより、中央導入口38Aおよび左側導入口38Bを通じて外気がバッテリ室30内に導入される。この外気は、冷却風となってバッテリ19に供給されると共に、第2の仕切り部材26の連通口26Aを通じて電気機器室28内に導入され、ラジエータ32に供給される。
【0045】
フレーム側油圧機器室冷却風導入口39は、旋回フレーム7の右アンダカバー7Nに設けられ、油圧機器室29に開口している。フレーム側油圧機器室冷却風導入口39は、オイルクーラ36の下側に開口する前側導入口39Aと、油圧ポンプ17の下側に開口する後側導入口39Bとを有している。油圧機器冷却ファン37が作動することにより、前側導入口39Aおよび後側導入口39Bを通じて外気が油圧機器室29内に導入される。この外気は、冷却風となって油圧ポンプ17およびオイルクーラ36に供給される。
【0046】
カバー側電気機器室冷却風導入口40は、左後外装カバー21に設けられ、バッテリ室30に開口している(図2参照)。従って、電気機器冷却ファン34が作動することにより、カバー側電気機器室冷却風導入口40を通じて外気がバッテリ室30内に導入される。この外気は、冷却風となってバッテリ19に供給されると共に、第2の仕切り部材26の連通口26Aを通じて電気機器室28内に導入され、ラジエータ32に供給される。
【0047】
カバー側油圧機器室冷却風導入口41は、右前外装カバー24を構成する右前下カバー24Aの前面に設けられている(図1参照)。カバー側油圧機器室冷却風導入口41は、右前下カバー24Aの前面のうち、旋回フレーム7の右縦板7Cとが交わる角部の近くに形成され、油圧機器室29に開口している。また、カバー側油圧機器室冷却風導入口41は、スイングシリンダ6Eのロッドが挿通されるロッド挿通孔を兼ねている。従って、油圧機器冷却ファン37が作動することにより、カバー側油圧機器室冷却風導入口41を通じて外気が油圧機器室29内に導入され、この外気は、冷却風となって油圧ポンプ17およびオイルクーラ36に供給される。
【0048】
電気機器室冷却風排出口42は、右後外装カバー23に上下方向に間隔をもって複数個(例えば3個)設けられ、電気機器室28に開口している(図1参照)。電気機器冷却ファン34によってバッテリ室30から電気機器室28に導入された冷却風は、ラジエータ32等に供給された後、電気機器室冷却風排出口42を通じて上部旋回体4の外部に排出される。
【0049】
油圧機器室冷却風排出口43は、右前外装カバー24の右前下カバー24Aに設けられ、油圧機器冷却ファン37と対面する位置で、油圧機器室29に開口している。油圧機器冷却ファン37によって油圧機器室29に導入された冷却風は、オイルクーラ36等に供給された後、油圧機器室冷却風排出口43を通じて上部旋回体4の外部に排出される。
【0050】
実施形態による電動式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、その作動について説明する。
【0051】
電動式油圧ショベル1を用いて掘削作業等を行う場合には、オペレータが運転席10に座り、電動モータ15を作動させることにより、油圧ポンプ17を駆動させる。この状態で、オペレータが走行用レバー・ペダル11を操作することにより、電動式油圧ショベル1を作業現場まで走行させる。電動式油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが作業用操作レバー12を操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置6によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0052】
電動式油圧ショベル1の作動時には、電気機器冷却ファン34および油圧機器冷却ファン37が同時に回転駆動される。電気機器冷却ファン34が回転すると、旋回フレーム7に設けられたフレーム側電気機器室冷却風導入口38(底板7Aに形成された中央導入口38Aおよび左アンダカバー7Mに形成された左側導入口38B)と、左後外装カバー21に設けられたカバー側電気機器室冷却風導入口40とを通じて、バッテリ室30内に外気が導入される。バッテリ室30内に導入された外気は、冷却風となってバッテリ19の周囲を流れることにより、バッテリ19を冷却する。しかも、第2の仕切り部材26は、バッテリ室30に収容されたバッテリ19に対し、電気機器室28に収容された電気機器からの熱を遮蔽する。この結果、バッテリ19を効率良く冷却することができ、バッテリ19の寿命を延ばすことができる。
【0053】
バッテリ室30内でバッテリ19を冷却した冷却風は、第2の仕切り部材26の連通口26Aを通じて電気機器室28内に流入する。第2の仕切り部材26には、連通口26Aを覆うようにラジエータ32が設けられている。従って、電気機器室28内に流入する冷却風の多くを直接的にラジエータ32に供給することができる。ラジエータ32は、冷却水ポンプ33によって電動モータ15およびインバータ16のウォータジャケットを循環する冷却水の熱を、電気機器室28内に流入する大量の冷却風中に放熱する。これにより、電動モータ15およびインバータ16を冷却することができる。このように、バッテリ室30に収容されたバッテリ19と、電気機器室28に収容された電動モータ15およびインバータ16等の電気機器とを、電気機器冷却ファン34による冷却風によって一緒に効率良く冷却することができる。
【0054】
電気機器室28内に流入した冷却風は、ラジエータ32に供給された後、電動モータ15、インバータ16、冷却水ポンプ33等の周囲を通過することにより、これらを外側から冷却する。電動モータ15、インバータ16、冷却水ポンプ33等の周囲を通過した冷却風は、右後外装カバー23に設けられた電気機器室冷却風排出口42を通じて、上部旋回体4の外部に排出される。ここで、電動モータ15、インバータ16および冷却水ポンプ33は、電気機器冷却ファン34とは対面(正対)しない領域内に配置されている。従って、電気機器室28内に流入した冷却風は、電動モータ15、インバータ16および冷却水ポンプ33に直接的に衝突することなく、円滑に電気機器室冷却風排出口42へと流れる。この結果、電動モータ15、インバータ16等によって暖められた冷却風が、電気機器室28内に滞留するのを防止することができ、電動モータ15、インバータ16等の冷却効率を高めることができる。
【0055】
一方、油圧機器冷却ファン37が回転すると、旋回フレーム7に設けられたフレーム側油圧機器室冷却風導入口39(右アンダカバー7Nに形成された前側導入口39Aおよび後側導入口39B)と、右前外装カバー24の右前下カバー24Aに設けられたカバー側油圧機器室冷却風導入口41とを通じて、油圧機器室29内に外気(冷却風)が導入される。図8に示すように、油圧機器室29内に導入された冷却風の流通経路は、オイルクーラ36に供給される流通経路F1と、オイルタンク18および油圧ポンプ17の周囲を流れる流通経路F2とに大別される。
【0056】
流通経路F1を流れる冷却風は、オイルクーラ36を通過した後、右後外装カバー23に設けられた油圧機器室冷却風排出口43を通じて、上部旋回体4の外部に排出される。このとき、オイルクーラ36は、油圧アクチュエータからオイルタンク18に戻る戻り油(作動油)の熱を、オイルクーラ36を通過する冷却風中に放熱する。これにより、オイルタンク18に戻る作動油を冷却することができる。また、流通経路F2を流れる冷却風は、オイルタンク18および油圧ポンプ17の周囲を流れてこれらを冷却し、オイルクーラ36から油圧機器室冷却風排出口43を通じて上部旋回体4の外部に排出される。これにより、オイルタンク18、油圧ポンプ17を外側から冷却することができる。
【0057】
ここで、オイルクーラ36は、オイルタンク18の凹窪部18Bの外側面18Aに隙間Gをもって対面させて配置されている。また、油圧機器冷却ファン37は、オイルクーラ36を挟んでオイルタンク18とは反対側に取付けられている。これにより、流通経路F1を流れる冷却風の一部は、オイルタンク18の外側面18Aに沿って流れ、油圧機器室冷却風排出口43を通じて外部に排出されるので、オイルタンク18を効率良く冷却することができる。
【0058】
かくして、本実施形態による電動式油圧ショベル1は、前側に作業装置6が取付けられた旋回フレーム7と、旋回フレーム7上に設けられた運転席10と、運転席10から上部旋回体4の左右方向の一側に離間して旋回フレーム7上に設けられ、電源からの給電により作動する電動モータ15と、電動モータ15によって駆動され作業装置6に作動油を供給する油圧ポンプ17と、作業装置6に供給される作動油を貯溜するオイルタンク18と、電動モータ15およびインバータ16を含む電気機器と油圧ポンプ17およびオイルタンク18を含む油圧機器とを覆って旋回フレーム7に設けられた外装カバー20とを備えている。旋回フレーム7には、外装カバー20の内部を前記電気機器が収容される電気機器室28と前記油圧機器が収容される油圧機器室29とに仕切る仕切り部材25が設けられ、電気機器室28には、電気機器冷却ファン34を有し前記電気機器を冷却する電気機器冷却装置31が設けられ、油圧機器室29には、油圧機器冷却ファン37を有し前記油圧機器を冷却する油圧機器冷却装置35が設けられている。
【0059】
この構成によれば、電気機器室28に収容された電気機器は、電気機器冷却装置31によって冷却され、油圧機器室29に収容された油圧機器は、油圧機器冷却装置35によって冷却される。従って、電動モータ15およびインバータ16を含む電気機器の使用温度帯と、油圧ポンプ17およびオイルタンク18を含む油圧機器の使用温度帯とが異なる場合でも、これら電気機器と油圧機器とを、互いに異なる電気機器冷却装置31と油圧機器冷却装置35とによって個別に冷却することができる。この結果、電動モータ15およびインバータ16を含む電気機器と、油圧ポンプ17およびオイルタンク18を含む油圧機器とを、それぞれ適正な使用温度帯で使用することができ、電動式油圧ショベル1の信頼性を高めることができる。
【0060】
実施形態では、旋回フレーム7には、電気機器冷却ファン34によって電気機器室28に冷却風を導入するフレーム側電気機器室冷却風導入口38と、油圧機器冷却ファン37によって油圧機器室29に冷却風を導入するフレーム側油圧機器室冷却風導入口39とが設けられ、外装カバー20には、電気機器冷却ファン34によって電気機器室28に冷却風を導入するカバー側電気機器室冷却風導入口40と、油圧機器冷却ファン37によって油圧機器室29に冷却風を導入するカバー側油圧機器室冷却風導入口41と、電気機器室28に導入された冷却風を外部に排出する電気機器室冷却風排出口42と、油圧機器室29に導入された冷却風を外部に排出する油圧機器室冷却風排出口43とが設けられている。この構成によれば、フレーム側電気機器室冷却風導入口38とカバー側電気機器室冷却風導入口40とを通じて、電気機器室28内に大量の冷却風を供給することができ、電気機器を効率良く冷却することができる。また、フレーム側油圧機器室冷却風導入口39とカバー側油圧機器室冷却風導入口41とを通じて、油圧機器室29内に大量の冷却風を供給することができ、油圧機器を効率良く冷却することができる。
【0061】
実施形態では、旋回フレーム7には、運転席10の後側に位置して電源を構成するバッテリ19が搭載され、電気機器室28は仕切り部材25の後側に形成され、油圧機器室29は仕切り部材25の前側に形成され、仕切り部材25の後側には、バッテリ19が収容されるバッテリ室30が設けられており、バッテリ室30と電気機器室28との間には、第2の仕切り部材26が設けられている。この構成によれば、第2の仕切り部材26は、バッテリ室30に収容されたバッテリ19に対し、電気機器室28に収容された電気機器からの熱を遮蔽する。これにより、バッテリ19を効率良く冷却することができ、バッテリ19の寿命を延ばすことができる。
【0062】
実施形態では、第2の仕切り部材には、電気機器室28とバッテリ室30との間を連通させる連通口26Aが設けられ、電気機器冷却ファン34による冷却風は、連通口26Aを通じてバッテリ室30から電気機器室28に流入する。この構成によれば、バッテリ室30に収容されたバッテリ19と、電気機器室28に収容された電動モータ15およびインバータ16等の電気機器とを、電気機器冷却ファン34による冷却風によって一緒に効率良く冷却することができる。
【0063】
実施形態では、電気機器室28には、電動モータ15の駆動電圧を制御するインバータ16が設けられ、電気機器冷却装置31は、電気機器冷却ファン34と、前記電気機器を冷却する冷却水を循環させる冷却水ポンプ33と、冷却水ポンプ33によって循環する冷却水の熱を電気機器冷却ファン34からの冷却風により放熱するラジエータ32とを含んで構成され、電動モータ15、インバータ16および冷却水ポンプ33は、電気機器室28の内部で電気機器冷却ファン34と対面する領域から外れた領域内に配置されている。この構成によれば、電気機器冷却ファン34によって電気機器室28内に流入した冷却風の多くは、電動モータ15、インバータ16および冷却水ポンプ33に直接的に衝突することなく、電気機器室冷却風排出口42に向けて円滑に流通する。この結果、電動モータ15、インバータ16等によって暖められた冷却風が電気機器室28内に滞留するのを防止することができ、電動モータ15、インバータ16等の冷却効率を高めることができる。
【0064】
実施形態では、油圧機器冷却装置35は、油圧機器冷却ファン37による冷却風が供給されることによりオイルタンク18に戻る作動油を冷却するオイルクーラ36を備え、オイルクーラ36は、オイルタンク18の外側面18Aに隙間Gをもって対面させて配置し、油圧機器冷却ファン37は、オイルクーラ36を挟んでオイルタンク18とは反対側に設けられている。この構成によれば、油圧機器室29に導入された冷却風の一部は、オイルタンク18の外側面18Aに沿って流れ、油圧機器室冷却風排出口43を通じて外部に排出されるので、オイルタンク18を効率良く冷却することができる。
【0065】
なお、実施形態では、運転席10の上側を覆うキャノピ13を備えた電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、キャノピ13に代えて、内部に運転席を収容するキャブを備える構成としてもよい。
【0066】
また、実施形態では、車体フレームとして旋回フレーム7を備えた電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、旋回動作を行わない車体フレームを備える構成としてもよい。
【0067】
さらに、実施形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた電動式油圧ショベル等の他の電動式建設機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 電動式油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
4 上部旋回体(車体)
6 作業装置
7 旋回フレーム(車体フレーム)
10 運転席
15 電動モータ(電機機器)
16 インバータ(電機機器)
17 油圧ポンプ(油圧機器)
18 オイルタンク(油圧機器)
18A 外側面
19 バッテリ(電源)
20 外装カバー
25 仕切り部材
26 第2の仕切り部材
27 隔壁
28 電気機器室
29 油圧機器室
31 電気機器冷却装置
32 ラジエータ
33 冷却水ポンプ
34 電気機器冷却ファン
35 油圧機器冷却装置
36 オイルクーラ
37 油圧機器冷却ファン
38 フレーム側電気機器室冷却風導入口
39 フレーム側油圧機器室冷却風導入口
40 カバー側電気機器室冷却風導入口
41 カバー側油圧機器室冷却風導入口
42 電気機器室冷却風排出口
43 油圧機器室冷却風排出口
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9