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  • 特許-側頭骨矯正用の指圧代用具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】側頭骨矯正用の指圧代用具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61F5/01 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019098099
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2020182761
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】594179270
【氏名又は名称】池尾 正雄
(73)【特許権者】
【識別番号】513008166
【氏名又は名称】池尾 香織
(72)【発明者】
【氏名】池尾 正雄
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3191340(JP,U)
【文献】実開平04-061533(JP,U)
【文献】登録実用新案第3152151(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
上記した作動機構におけるボルト体と前記押圧軸の頭部にそれぞれ切欠溝を形成するとともに、コイルバネの両端部をほぼ直角状に折り曲げ、そのコイルバネの両端部をボルト体と押圧軸の切欠溝にそれぞれ挿入し、ボルト体とコイルバネと押圧軸を密接状に連設して構成したことを特徴とする請求項1に記載の側頭骨矯正用の指圧代用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の側頭骨と頭頂骨の関節面(この部位を一般的に鱗状縫合と称している)における側頭骨の後方へのズレを矯正する施術行為を、人の手指によって行う指圧に代えて、器具を用いて行うようにした指圧代用具に係るものであり、さらに詳しくは、頭皮と側頭骨に対して同時に押圧力を加えることにより、側頭骨を正常位置に容易に復帰させることを可能にした側頭骨矯正用の指圧代用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体深部のこりや痛みを緩和するために、先端が丸棒状に形成された押圧軸を用いて、患者の治療対象部位に押圧力を加えるように構成した人体各部の押圧具を、本出願人が先に提案している(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記した特許文献1の人体各部の押圧具は、人体各部のこりや痛みを緩和することを目的として開発されたもので、鱗状縫合における側頭骨のズレを矯正することを目的とするものではないので、先端部が平面状に形成されたこの押圧具を用いた場合には、充分な矯正効果が得られないという欠点があった。
【0004】
また、上記した特許文献1の人体各部の押圧具には、本体内に収容したボルト体とコイルバネと押圧軸の間に、押圧軸が左右方向へ回動したり、傾斜したりすることを防止する手段が講じられていなかったので、使用中の押圧軸が不安定になり易いという不具合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3191340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明者は、上記した人体各部の押圧軸の欠点や不具合を改良し、頭皮に押圧力を加える箇所と側頭骨に押圧力を加える箇所を押圧軸の先端部に設けて、鱗状縫合における側頭骨のズレを容易に矯正可能とするとともに、本体内に収容した各部材を密接状に連設して、使用中の押圧軸が、左右方向へ予期せぬ回動をしたり、または傾斜したりすることを防止するように構成した側頭骨矯正用の指圧代用具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明は以下のような手段を講ずるものである。
すなわち請求項1に記載の本発明は、内部が中空のパイプ状に形成された本体と、その本体の一端部に取付けられた握持体と、本体内に収容された頭部と本体外に突設され指圧操作部とを備え、且つその断面が略T字状に設けられた形状の押圧軸と、ボルト体とコイルバネを用いた作動機構とにより形成された指圧代用具であって、前記した指圧操作部はその両側部に相対向状の傾斜面を形成するとともに、その一方の傾斜面における略中央部 から下端部に至る部位を直角状に切除して、該指圧操作部の先端に庇部と窪み部を設けた構成を特徴とする側頭骨矯正用の指圧代用具である。
【0008】
また請求項2に記載の本発明は、上記した作動機構におけるボルト体と前記押圧軸の頭部にそれぞれ切欠溝を形成するとともに、コイルバネの両端部をほぼ直角状に折り曲げ、そのコイルバネの両端部をボルト体と押圧軸の切欠溝にそれぞれ挿入し、ボルト体とコイルバネと押圧軸を密接状に連設して構成したことを特徴とする側頭骨矯正用の指圧代用具である。
【0009】
上記のように形成された本発明は、以下のような形態で使用されるものであるが、基本的には、指圧操作部における庇部が上方に位置し、且つ窪み部が下方に位置するように、指圧代用具を横に倒して使用するものである。
この場合に、庇部の前端下縁に形成された細長線状の頭皮当接辺を頭皮に押し当てると同時に、窪み部の後壁下縁に形成された細長線状の側頭骨当接辺を、後方へズレた状態の側頭骨に押し当て、横方向に倒した押圧軸を用いて圧力を加えるようにすると、側頭骨のズレが矯正されて、側頭骨を正常な位置に戻すことができるようになっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に成る側頭骨矯正用の指圧代用具は、頭皮と側頭骨の2か所を同時に押圧するように形成されているので、人の手指による指圧に代わって、正確且つ簡易に側頭骨のズレを矯正することができるという特筆すべき効果を奏するものである。
【0011】
また本発明では、押圧軸が使用中に予期せぬ左右方向へ回動したり、傾斜したりすることを防止する構造になっているので、押圧力が拡散されるようなことがなく、効果的および効率的な側頭骨の矯正を行うことができるという利点がある。
【0012】
なお、側頭骨が後方にズレることによって、蝶形骨、頬骨、上顎骨がズレ易く、顔のバランスが非対称となって顔の歪みが発生し易くなるが、本発明の指圧代用具の使用によって側頭骨を容易に矯正することができるので、顔の左右差を減少することができるとともに、頭痛や三叉神経痛、メニエル病、目の疲れ、肩や首のこりなどを効果的に解消することができ、さらには血液やリンパの流れを改善して美肌効果も実現することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の側頭骨矯正用の指圧代用具の正面図である。
図2】握持体の形状を示す正面図である。
図3】本体内に収容される作動機構を示す分解説明図である。
図4】指圧操作部の形状を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図、(ハ)は左側面図、(ニ)は庇部が上方に位置するように設定した底面図である。
図5】本発明の側頭骨矯正用の指圧代用具の断面図である。
図6】本発明の使用方法を説明する拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明の側頭骨矯正用の指圧代用具は、本体10と、握持体20と、押圧軸30を主たる構成材とするとともに、ボルト体40とコイルバネ50を用いて成る作動機構を備えて構成されるものである。
【0015】
本体10は金属を用いて形成されたもので、図1および図5に示すように、その内部が中空のパイプ状に設けられたものである。該本体10の一端部には、後述する握持部20が取付けられる構造となっており、且つその他端部には押圧軸挿通部11が設けられているが、該押圧軸挿通部11は、後述する押圧軸30が遊嵌可能な内径を存して形成されたものである。なお該本体10の内壁に、後述するボルト体40の雄螺子43と螺合する雌螺子12が刻設されている。
【0016】
握持体20は、図1および図2に示すように、主たる部分が合成樹脂を用いてほぼ球状に形成されたもので、該握持体20の下部には、本体10の内部に収容される金属製の挿入部22と、リング状の鍔部21が設けられている。この挿入部22は、本体10における幅広状の一端部(図1および図5における上端部)から握持体保持部13内に収容されて、ロックタイトで取付けられる部位であり、鍔部21は、本体10の幅広状の一端部に握持体20を衝止する役目を担うものである。
【0017】
押圧軸30は、図3および図5に示すように、金属の丸棒体を用いて断面が略T字状に設けられたもので、主として、本体10の内部に収容される頭部32と、本体10より外方へ突設される指圧操作部31を備えており、図1における上下方向に回動可能に構成されている。
【0018】
前記した頭部32の上面には、図3に示すように、後述するコイルバネ50の下端部を保持する小さな台状のバネ保持部33が形成されており、また該頭部32の上半部には、コイルバネ50に形成されたバネ先端部52を挿入保持するための切欠溝34が刻設されている。
【0019】
次に、図4を参照しながら、押圧軸30の端部に形成された指圧操作部31について説明する。
指圧操作部31は、その先端部を段状に形成して成るもので、押圧軸30の先端に向けて図4(ロ)に示すような相対向状の傾斜面を両側部に形成するとともに、図4(イ)および図4(ハ)に示すように、その一方の傾斜面における略中央部から下端部に至る部位を直角状に切除して形成されたものである。指圧操作部31をこのような段状に形成した結果、図4(イ)に示すように、前方に突出した形状の庇部31Aと、その庇部31Aの下方に位置する窪み部31Bが形成された形状となっている。この場合の庇部31Aの先端部と窪み部31Bの後壁は、図4(ニ)の底面図に示すように、それぞれ幅狭状の略長方形状に形成されており、この庇部31Aの先端部における細長線状の下縁が、頭皮を押圧する役目を担う頭皮当接辺31Cとなり、また窪み部31Bの後壁における細長線状の下縁が、側頭骨を押圧する役目を担う側頭骨当接辺31Dとなるのである。
【0020】
続いて、図3に基いてボルト体40とコイルバネ50と押圧軸30の三者を、左右方向への回動および傾斜を防止すべく密接状に連設した形状の作動機構について説明する。
ボルト体40には、その下部位置にバネ衝止部41が設けられており、またその側面には、前記本体10の内壁面の雌螺子12と螺合する雄螺子43が刻設されており、さらには該ボルト体40の下端部から上方に向けて、コイルバネの先端部51を挿入保持するための切欠溝42が形成されている。
【0021】
コイルバネ50は、スプリングなどと称されているようなごく一般的なバネであるが、その上端部と下端部が直角状に折り曲げられていて、一方のバネ先端部51を介してボルト体40と密接状に配置され、また他方のバネ先端部52を介して押圧軸30と密接状に配置される構造になっている。
【0022】
以上のように設けられた各構成材は、図5の断面図に示すように、パイプ状に形成された本体内に、握持体20の挿入部22、ボルト体40、コイルバネ50、押圧軸30の上半部の順序でそれぞれ収容されているのである。なお、図5においては、切欠溝34および切欠溝42が、それぞれ右端側に配置された形態で表示されているが、実際の使用時には、図3および図4(ロ)で示した指圧操作部の部位が、庇部31Aとなって上方に位置するように設定されるので、両切欠溝も上方に位置した状態で使用されるものである。
【0023】
次に、図6の模式図を参照して、本発明の指圧代用具の使用方法について説明する。
図6は、頭頂骨T3の上面に、後方へ位置ズレした側頭骨T2が重なっており、その上面を頭皮T1が覆っている状態を示しており、この側頭骨T2のズレを矯正する場合を想定したものである。
まず、庇部31Aが上方に位置し、且つ窪み部31Bが下方に位置するように、本発明に成る指圧代用具をほぼ横に倒した状態に設定する。次に、頭皮T1の遊びを取りながら庇部31Aにおける前端下縁の頭皮当接辺31Cを頭皮に当接すると同時に、窪み部31Bの後壁下縁の側頭骨当接辺31Dを側頭骨T2に当接させる。続いて、矢印で示すように、押圧軸30に圧力を加えるようにすると、側頭骨T2が移動して元の正常位置に戻るようになっているのである。
【0024】
なお、本発明においては、指圧操作部31を段状に形成した例を示したが、指圧操作部31の形状を、その端部の両側面が図4(ロ)のような相対向する傾斜状となるように形成して、段なしの平型指圧代用具とすることも可能である。
【0025】
本発明は以上のように構成されており、本体10から外方に突設された押圧軸30の指圧操作部31を用いて、頭皮と側頭骨に対して同時に押圧力を加えるようになっているので、側頭骨の後方へのズレを簡単容易に矯正することが可能となったのである。また本体10の内部に収容された作動機構の働きによって、使用中の押圧軸が予期せぬ左右方向に回動したり、傾斜して不安定になることがなく、安定した状態で施術行為を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0026】
10 本体
11 押圧軸挿通部
20 握持体
30 押圧軸
31 指圧操作部
31A 庇部
31B 窪み部
31C 頭皮当接辺
31D 側頭骨当接辺
32 押圧軸の頭部
34 押圧軸の切欠溝
40 ボルト体
42 ボルト体の切欠溝
50 コイルバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6