(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】荷重取扱装置の操作部ユニット
(51)【国際特許分類】
B66F 19/00 20060101AFI20221128BHJP
B66C 13/56 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B66F19/00 H
B66C13/56
(21)【出願番号】P 2018189780
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501178950
【氏名又は名称】元田技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】元田 公之
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-157293(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0077590(US,A1)
【文献】実開昭55-093484(JP,U)
【文献】特開2007-245263(JP,A)
【文献】米国特許第03948487(US,A)
【文献】実開昭49-018262(JP,U)
【文献】特開平06-336396(JP,A)
【文献】実開平01-096343(JP,U)
【文献】米国特許第06612449(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 19/00 - 19/02
B66C 13/00 - 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーと、前記操作レバーに直交したレバー軸と、前記レバー軸を前面から貫通させたプレートと、前記プレートの背面側において前記レバー軸の正、逆回転に対し自己復帰作用をさせる回転規制部、及び前記レバー軸の回転が伝動されるポテンショメータを備える荷重取扱装置の操作部において、
前記プレートをフランジ付プレートに形成し、前記フランジ付プレートの背面に、前記回転規制部を挟んで前記レバー軸の先端側が貫通するフランジ付カバーを被せ、前記フランジ付プレートとフランジ付カバーのフランジ同士を重ねて一体化し、一体化した前記フランジ付カバーの背面に前記ポテンショメータを取付け、さらに一体化した前記フランジにネジ穴による取付部を設けて操作部ユニットに形成すると共に、前記操作部ユニットは、一体化したフランジに設けた取付部の前記ネジ穴において、標準タイプの荷重取扱装置の操作部を形成するボックス状本体にネジ止めして用いるか、又は重量タイプの荷重取扱装置のパワー負荷部の制御部が備える筐体のパネルに、前記取付部のネジ穴においてネジ止めして用いることを特徴とする荷重取扱装置の操作部。
【請求項2】
前記操作部ユニットにおいて一体化された前記フランジ付プレートとフランジ付カバーの間に配置された前記回転規制部は、前記レバー軸に固着されたストッパ板と、該ストッパ板に立設されたバネピンと、前記レバー軸に取付けられ前記バネピンで捩り作用を受ける捩りコイルバネと、前記ストッパ板の回転を規制するストッパピンを備えて形成されている請求項1に記載の荷重取扱装置の操作部。
【請求項3】
前記操作部ユニットにおいてポテンショメータに伝動される前記レバー軸の回転は、前記レバー軸の先端部に設けた駆動ギアと、該駆動ギアに噛合されて前記ポテンショメータのツマミ軸に設けた従動ギアによる伝動機構を介して伝動される請求項
1又は2に記載の荷重取扱装置の操作部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として平行リンクを利用した関節型のアーム機構を、モータなどの駆動力によって伸縮、昇降、回転などの動作をさせ、前記アーム機構の先端部に形成した負荷部に支持させた荷物(荷重)を、前記負荷部が届く任意の位置に移動させるように形成された荷重取扱装置における前記アーム機構の負荷部に少なくとも昇降動作をさせる操作部をユニット化した荷重取扱装置の操作部ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パントグラフ状の平行リンクを利用した関節型のアーム機構を主体とする荷重取扱装置は、簡易なクレーンタイプの省力機械として多方面において広く活用されている。
【0003】
前記荷重取扱装置では、アーム機構の先端側アームに設けた荷物を支持するフック等を備えた負荷部に隣接して前記アーム機構の動作(アームの伸縮等による負荷部の水平移動や昇降)を指示するための操作部を設けたものが多く、また、前記操作部には、オペレーター(操作員)がその掌で握ることができる操作レバーを備えた形式のものが多い。
【0004】
前記操作部のよく知られている例としては、特許文献1~3等に開示された操作部がある。この操作部は、操作部本体をなす略立方体状の箱体(ボックス状本体)の外側壁面に、平面視略T状の操作レバーをその支持軸(レバー軸)において回転自在に設け、前記操作レバーを例えば時計回り方向に回転させると前記負荷部の上昇指令が生成され、前記操作レバーを反時計回り方向に回転させると前記負荷部の下降指令が生成されるように形成されており、前記先端側アームの先端とフック等による負荷部の間に連結部材の形で設けられている。
【0005】
ところで、上記荷重取扱装置の操作部は、取扱う荷物の大きさがそれほど大きくない、例えば、取扱う荷物が100kg重~200kg重程度のいわば標準タイプの荷重取扱装置(以下、単に標準タイプともいう)では、先端側アームの先端と負荷部の間に設けられていることが、負荷部に支持させる荷物の上げ下ろしやその荷物を吊下げて平面内で移動させる等の操作をする上で便宜である。
【0006】
しかし、取扱う荷物が、例えば500kg重以上のいわば大荷重タイプの荷重取扱装置(以下、単に大荷重タイプともいう)になると、アーム機構も高強度で大型・大重量の構造になり、取扱う荷物も外形が大形・異形になる。取扱う荷物が大形や異形になると、負荷部にその荷物を支持(掴む、吊下げる等)させるとき、この負荷部に操作部が隣接していると、負荷部で支持している大形荷物や異形荷物が邪魔になって操作部の操作レバーがきわめて操作しにくいか、或は操作できない場合が生じていた。
【0007】
このようにアーム機構が大型になって取扱い荷物も大形や異形になる大荷重タイプの荷重取扱装置では、標準タイプの負荷部を、モータやシリンダ等の駆動力によって荷物の支持や開放を行うパワー負荷部に置き換え、このパワー負荷部の動作を制御する制御部をアーム機構の先端側アームの先端から適宜離間させて位置付け、この制御部をアタッチメント等の連結部材を介して前記パワー負荷部に結合した形で配置することが行われている。
【0008】
ところで、上述した標準タイプの荷重取扱装置における操作部は、アーム機構の先端側アームの先端と負荷部の間に配置されるボックス状本体に操作部の構成部材の全てが配置された形態である。一方、大荷重タイプの荷重取扱装置においては、パワー負荷部とこのパワー負荷部にアタッチメントを介して連結された制御部が設置されるため、荷物を支持するパワー負荷部を昇降させる操作部は、標準的タイプに用いているボックス状の操作部をそのまま転用することはできず、別製した操作部を前記制御部に付設していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4200304号公報
【文献】特公平8-367号公報
【文献】実用新案第2578142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では、標準タイプの荷重取扱装置のボックス状本体に組み込んで標準タイプ用の操作部に形成できると共に、大荷重タイプの荷重取扱装置のために別製されたパワー負荷部の制御部に付設されていた別体の操作部に代え前記制御部の筐体にそのまま組み込んで操作部を形成できる操作部ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決することを目的としてなされた本発明操作部ユニットの構成は、操作レバーを一端に備えて前記操作レバーに直交したレバー軸と、前記レバー軸の軸受を備えそのレバー軸の他端側が前面から貫通して配置されるフランジ付プレートと、
前記フランジ付プレートの後ろで前記レバー軸に固定され前記レバー軸の正,逆回転の自己復帰機能を有するレバー軸の回転規制部と、前記回転規制部を挟む形で前記フランジ付きプレートの背面に被せられ前記レバー軸の先端側が軸受を介して貫通するフランジ付カバーと、前記フランジ付カバーの背面に設けられて前記レバー軸の回転が伝道されるポテンシヨメータとを備えることを特徴とする。
本発明操作部ユニットは、前記フランジ付プレートとフランジ付カバーの2つのフランジを重ねて一体化した重複フランジ部に、標準タイプの操作部を形成するボックス本体、及びパワー負荷部の制御部が備える正面パネルのいずれにもそのままネジ止めで取付けることが出来る取付部を形成したことを特徴とする。
【0012】
前記操作部ユニットにおけるレバー軸の回転規制部は、前記レバー軸に固着されたストッパ板と、該ストッパ板に立設された作動ピンと、前記レバー軸に取付けられ前記作動ピンで作動される捩りコイルバネと、前記捩りコイルバネの動作を規制する規制ピンを備えて形成されている。
【0013】
また、前記ポテンシヨメータに伝動されるレバー軸の回転は、前記レバー軸の先端部に設けた駆動ギアと、該駆動ギアに噛合されてポテンシヨメータのつまみ軸に設けた従動ギアによる伝動機構を介して伝動されるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、操作部ユニットの構成部材であるフランジ付プレートとフランジ付カバーの夫々のフランジを重ねて一体化した重複フランジ部に、標準タイプ用の操作部を形成するボックス状本体の開口部を有する側壁か、又は駆動力で荷物の支持と開放をするパワー負荷部の制御部を形成する筺体のフロントパネルのいずれかに、本発明操作部ユニットをネジ止して設置できる取付部を形成したから、一つの操作部ユニットを、標準タイプのボックス状本体に前記取付部においてネジ止で取付けるだけで操作部に形成することが出来ると共に、パワー負荷部の制御部を形成する筺体のフロントパネルに前記取付部においてネジ止で取付けるだけで別体操作部に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】本発明操作部ユニットを標準タイプの荷重取扱装置の操作部に適用した例の斜視図。
【
図7】本発明操作部ユニットをアーム機構の先端側アームから離れて設けた別体操作部に適用した例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明操作部ユニットの実施の形態例について、図を参照しながら説明する。
【0017】
図1~
図7において、1は、横向きの操作レバー2を備え、前記操作レバー2と直交した向きのレバー軸である。前記レバー軸1は、重量軽減のため中空パイプ状に形成されており、前記操作レバー2を結合した側がテーパー部1aに形成され、該テーパー部1aの反対側は、段部1bを介して段付部1cに形成されている。3は前記レバー軸1と操作レバー2の結合ピンである。前記操作レバー2は、その全長の略1/3程度の位置でレバー軸1に前記結合ピン3を介して結合され、前記レバー軸1と操作レバー2が平面視略T状をなすように結合されている。
【0018】
前記レバー軸1の段部1bを含む段付部1cの太径部位には、軸受4を介してフランジ付きプレート5が装着されている。フランジ付プレート5は、前記軸受4が中心に位置する中心側のプレート部5aと該プレート部5aの外周側のフランジ部5bを備えている。5cは前記軸受4をプレート部5aに固定するための結合ピンである。
【0019】
6は、前記フランジ付プレート5の背面側(操作レバー2とは反対側)において、そのフランジ付プレート5に背面側から被せたフランジ付カバーである。そのフランジ付カバー6は、その中心に、前記レバー軸1の段付部1cの小径部位1gを支承する軸受7を有するカバー本体部6aと、そのカバー本体部6aの外周側に配されたフランジ部6bを備える。
【0020】
前記フランジ付プレート5のフランジ部5b(以下、第1フランジ部5bともいう)と、前記フランジ付カバー6のフランジ部6b(以下、第2フランジ部6bともいう)とは、略同じ外径で略同じ幅に形成され、ここでは周上120度ピッチの3本の結合ネジ8によって結合されている。9は、前記第1フランジ5bと第2フランジ6bを重ねて結合する前記の各結ネジ8の中間に、略120度ピッチで前記第1フランジ5bと第2フランジ6bを貫通して設けた取付部になる取付穴である。
【0021】
第1フランジ部5bと第2フランジ部6bが3本の結合ネジ8によって重複状態で結合されたフランジ付プレート5とフランジ付カバー6において対面するプレート部5aとカバー本体部6aが形成する空間内には、前記レバー軸1の段付部1cにおける大径部分が位置付けられ、前記操作レバー2(レバー軸1)の回転規制部CLが前記段付部1cに装備されている。次に、回転規制部CLについて説明する。
【0022】
回転規制部CLは、レバー軸1の段付部1cの大径部位に取付けられたストッパ板10と、ストッパ板10の角回転を止めるストッパピン11と、前記レバー軸1に装着されて正方向又は逆方向に回転されるレバー軸1を元の位置に復帰させる力を当該レバー軸1に伝える捩りコイルバネ12と、前記捩りコイルバネ12のバネ力を支持するバネピン13と、前記捩りコイルバネ12をストッパ板10に押付けるバネ押え14を備えている(
図4参照)。なお、
図4の斜視図に示された回転規制部CLは、
図1の断面図に示した回転規制部CLの上下方向の向きと、上,下が逆になっている。
【0023】
回転規制部CLのストッパ板10は、
図4に正断面の姿を示した。ストッパ板10は、正面から見た略矩形の基板10aがレバー軸1の段付部1cのキー溝1dにキー10bによって固定されてレバー軸1と一体化されている。10cはキー10bの押えネジである。
図4に示したストッパ板10の下辺は、レバー軸1を中心とする略円弧凹状のガイド溝10dに形成され、このガイド溝10dに入る位置にストッパピン11がフランジ付プレート5のプレート部5aに立設されている。レバー軸1と一体に回転するストッパ板10は、そのガイド溝10dの両端部10e、10fがストッパピン11に当るまで、正方向と逆方向に回転可能である。
【0024】
捩りコイルバネ12は、そのバネの両端側が脚のような姿でリング状になった捩り部の外側に突出している。以下、突出している部分を脚状突出部12aと呼ぶ。捩りコイルバネ12は、そのリング状部がレバー軸1の段付部1cに外嵌されており、2本の脚状突出部12aの間に、前記ストッパ板10に形成されたガイド溝10dの長さ方向中間部の縁に立設したバネピン13が挟まれた形で位置するようになっている。
【0025】
14は、前記捩りコイルバネ12をストッパ板10の側へ押付けるバネ押えであり、大略円弧状のカバー体がストッパ板10にネジ14aで止められるように形成されている。
【0026】
以上によりレバー軸1(操作レバー2)の回転規制部CLを構成するが、その機能は次の通りである。いま操作レバー2を手で掴み、レバー軸1を
図2の時計回り方向に回転させると、その回転は、ストッパ板10のガイド溝10dの右端(
図4では符号10e)がストッパピン11に当接するまで許容され、それ以上の時計回り方向の回転はできない。
【0027】
上記の回転中に、レバー軸1に装設している捩りコイルバネ12は、その脚状突出部12aがバネピン13によってレバー軸1の回転方向に押されて捩りコイルバネ12を捩って戻り力を与える。捩りによってコイルバネ12に与えられた戻り力は、そのコイルバネ12の弾性によって操作レバー2から手を放すとレバー軸1を元の位置に戻す復帰力として作用する。
【0028】
前記レバー軸1の反時計回り方向においても、その回転がガイド溝10dの左端(
図4参照)がストッパピン11に当接するまで許容される。この回転に伴いバネピン13が捩りコイルバネ12の脚状突出部12aを捩り方向に押して軸1は自動復帰する。
【0029】
15は、フランジ付きカバー6の背面に、取付台16と取付スペーサ17を介して取付けたロータリー型のポテンシヨメータである。取付台16は取付スペーサ17を備えており、ポテンシヨメータ15が取付ビス17aにより取付台16に取付けられている。16aは前記取付台16をフランジ付カバー6の背面に取り付けるための取付ビスである。前記ポテンシヨメータは、回転角に正確に対応した電気値(抵抗値又は電圧値)を出力するから、その回転のために先に述べたレバー軸1の回転を伝えるための伝動機構を備えている。
【0030】
伝動機構は、前記ポテンシヨメータ15のつまみ軸15aに取付ビス15cによって取付けたピニオンギア15b(従動ギア)と、前記ピニオンギア15bに噛合う大径のギアであって前記レバー軸1の末端部(段付部1cにおける小径部位1g)に取り付けネジ15により取付けられた駆動ギア1eとにより形成されている。この伝動機構により、操作レバー2を手で掴みレバー軸1を時計回り方向又は反時計回り方向に、回転規制部CLで許容される範囲内で正,逆の角回転をさせると、その回転が駆動ギア1eを通してピニオンギア15bに伝わり、ポテンシヨメータ15のツマミ軸15aを、時計回り方向又は反時計回り方向に回転させる。
【0031】
ここで、ポテンシヨメータ15のつまみ軸15aの時計回り方向の角回転と反時計回り方向の角回転によって得られた電気信号は、前記ポテンシヨメータ15が接続されるサーボモータ(図示しないが荷重取扱装置の持上げ駆動源)の制御回路に対し、前記サーボモータの回転方向(吊下げている荷物の上昇方向と降下方向)と各回転方向での回転数(荷物の上昇と下降の速度)を制御するための信号として利用される。18はポテンシヨメータ15の3つの端子に接続されたリード線を備えた電気カプラーである。
【0032】
以上に説明した操作レバー2を備えるレバー軸1から取付台16、取付スペーサ17を介して設けたポテンシヨメータ15までの構成によって、操作部Cをユニット化した本発明操作部ユニットCUの一例を形成するので、次に本発明操作部ユニットCUの適用例について説明する。
【0033】
先に述べたフランジ付プレート5とフランジ付カバー6において、結合ビス8によって結合一体化された2つのフランジ部5bと6bには一体化した2つのフランジ部5bと6bを貫通する取付穴9が、図示した例では周上に3個設けられている。前記取付穴9は、3個以上であってもよい。取付穴9は、本発明操作部ユニットCUを、
図6に例示するパントグラフ型アーム機構によるクレーン型の荷重取扱装置Baの先端側アームA1の下端部に配置される負荷部Lと一体をなす操作部Cのボックス状本体Bmの側壁Wsに取付ける際の取付部として機能する。Fは荷物吊下げ用のフックである。
【0034】
すなわち、前記ボックス状本体Bmの側壁Wsに、フランジ付カバー6のカバー本体6aより僅かに大きい装着穴(図示せず)を形成すると共に、前記取付穴9と対応する位置に側壁ネジ穴(図示せず)を形成しておき、側壁Wsの前記装着穴に、本発明操作部ユニットCUを、ポテンシヨメータ15の側から差し入れ、2つの一体化したフランジ部5b,6bの取付穴9と前記側壁ネジ穴に、取付用ネジ(図示せず)を締め込むことにより、本発明操作部ユニットCUを前記操作部Cのボックス状本体Bmに取り付けることができる。
【0035】
先端側アームA1の下端部に配置される負荷部Lと一体に、ボックス状本体Bmの操作部Cに本発明操作部ユニットCUが設けられると、負荷部LのフックFに荷物を吊下げて持上げるとき、操作者は利き手で操作レバー2を握り、他方の手を荷物に添えて当該荷物の昇降をさせるという操作を、至って自然体の姿勢で行うことができる。
【0036】
一方、取扱う荷物が大形や異形であると、その荷物を前記フックFに吊下げたとき、荷物の外形が操作レバー2の操作を邪魔して円滑な荷物の昇降操作が行い難いといった問題がある。
このため大形荷物用の荷重取扱装置Baにおいては、負荷部Lの操作部CとフックFに代えて、エアシリンダ等のアクチュエータを駆動源とする大形の掴み装置やチャック装置によるパワー負荷部PLを形成している。しかし標準タイプの操作部CやフックFに代えてパワー負荷部PLを採用すると、パワー負荷部PLの操作や制御のための制御部Cpが必要であると共に前記パワー負荷部PLを昇降させるための操作部Cをどこに設けるかが課題となる。
【0037】
そこで本発明では、操作レバー2とポテンシヨメータ15をフランジ付プレート5とフランジ付カバー6を介して一体化した形態の操作部ユニットCUを、前記パワー負荷部PLに隣接又は離間して設けられる制御部Cpの本体が収容された制御ボックス(筐体)BcのフロントパネルPfに取付けて別体操作部Caを形成し前記課題を解決した。
【0038】
図7は、先端側アームA1の下端部に、大型荷物を支持させるために一例としてエアシリンダ式のチャック装置をパワー負荷部PLとして設け、そのパワー負荷部PLの動作を制御する制御部Cpを、前記パワー負荷部PLに結合した連結アタッチメントAtを介して設けた例である。ここでは、制御部本体が納められた筐体BcのフロントパネルPfに形成した取付穴に本発明操作部ユニットCUを後部(ポテンシヨメータ15の側)から入れ、取付穴9に入れた取付ネジを前記フロントパネルPfに締め込んで筐体Bcに取付け別体操作部Caを形成している。
図7において、Chは掴みチャック、Aiは掴みチャックChの駆動源たるエアシリンダ、Buは制御部Cpのスイッチを含む操作ボタンである。
【0039】
操作員は、前記制御部Cpの筐体BcのフロントパネルPfに配置されたパワー負荷部PLを作動させるためのスイッチやツマミ等の操作ボタンBuを操作して前記パワー負荷部PLに大型荷物を掴ませたり放したりする動作をさせると共に、同じフロントパネルPfに形成した別体操作部Caにおける本発明操作部ユニットCUの操作レバー2を回転操作することによって、前記パワー負荷部PLの掴みチャックChに掴ませた大形荷物の昇降動作を行う。
【0040】
本発明は以上の通りであって、標準タイプの操作部のボックス状本体の側壁か、又は別製の筺体に配置されるパワー負荷部の制御部のフロントパネルのいずれにも本発明制御部ユニットを取付けることが出来るから、一種類の操作部ユニットで標準タイプの操作部に適用できることは勿論、様々な形態のパワー負荷部ゆえにそれらの制御部も区々の形態となるため、制御部に設置される操作部もその都度別製されていた大荷重タイプ用の別体操作部を、一種類の本発明操作部ユニットを用いて形成することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 レバー軸
2 操作レバー
3 取付ピン
4 軸受
5 フランジ付プレート
6 フランジ付カバー
7 軸受
8 結合ビス(ネジ)
9 取付穴
CL 回転規制部
10 ストッパ板
11 ストッパピン
12 捩りコイルバネ
13 バネピン
14 バネ押え
15 ポテンシヨメータ
16 取付台
17 取付スペーサ
18 電気コネクタ
Ba 荷役取扱装置
A1 先端側アーム
L 負荷部
C 操作部
Bm ボックス状本体
Ws 側壁
F フック
Ca 別体操作部
PL パワー負荷部
Cp パワー負荷部の制御部
Bc 制御部の筐体
Pf 筐体のフロンパネル