(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】外科的血管吻合術に使用する装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61B17/11
(21)【出願番号】P 2019559340
(86)(22)【出願日】2018-05-01
(86)【国際出願番号】 IB2018053016
(87)【国際公開番号】W WO2018203237
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-19
(32)【優先日】2017-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519383072
【氏名又は名称】ヴァスキュラー グラフト ソリューションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VASCULAR GRAFT SOLUTIONS LTD
【住所又は居所原語表記】24 Raoul Wallenberg Street, Ziv Towers, Building A, Tel-Aviv, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリオン エヤル
(72)【発明者】
【氏名】ハラリ ボアズ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-500531(JP,A)
【文献】特開2011-172950(JP,A)
【文献】特表2011-522598(JP,A)
【文献】特表2013-509974(JP,A)
【文献】米国特許第06537299(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的血管吻合術に使用する装置であって、
血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するとともに、前記血流のない状態で、前記周りにおいて封止された血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成するように構成された血管内壁封止・孔形成デバイスと、
前記血管内壁封止・孔形成デバイスに対して可逆的に接続可能であり、前記血管内壁封止・孔形成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータと、
を備
え、
前記血管内壁封止・孔形成デバイスが、前記周辺シールを外傷なく確立するように構成された孔封止デバイスを含み、該孔封止デバイスが、
可逆的に拡張可能な非作動の潰れた構成および可逆的に潰れ可能な作動した自己拡張構成を有する孔封止アセンブリと、
前記非作動の潰れた構成の前記孔封止アセンブリを外部から完全に覆い、密に嵌合し、保持するシースであり、前記潰れた孔封止アセンブリによって、前記血管内壁セグメントに沿って前記ニードルサイズの孔を通過することにより、前記血管腔に外傷なく完全に進入するように構成された、シースと、
前記シースに対して動作可能に接続され、前記孔封止アセンブリおよび前記シースの手動制御を容易にするように構成された手動孔封止コントローラアセンブリと、
前記シースの内側遠位端に固定接続された遠位端および前記手動孔封止コントローラアセンブリの内側遠位部に固定接続された近位部を有し、前記シースの運動および位置決めならびに前記孔封止アセンブリの可逆的な作動を制御するように構成された可撓性制御ワイヤと、
前記可撓性制御ワイヤの運動を包囲、保持、およびガイドする可撓性チューブと、
を備えた、装置。
【請求項2】
前記孔封止アセンブリが、前記非作動の潰れた構成および前記作動した自己拡張構成の両者において、前記可撓性制御ワイヤが前記可撓性チューブを遠位方向に通過するとともに前記シースを前記孔封止アセンブリから遠位方向に除去することを容易にすることにより、前記孔封止アセンブリを作動させて前記作動した自己拡張構成とするように、前記可撓性制御ワイヤを内側に保持する前記可撓性チューブの遠位端のみに接続された管状遠位端首部または頂点部を有する、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記シースが、近位端が開放された主部と、遠位端または遠位頂点が閉鎖され、前記主部の外径よりも小さく、前記血管内壁セグメントにおける前記ニードルサイズの孔の直径よりも小さな最大外径を有する円錐状遠位端部と、を有する管状部材として構成された、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記孔封止アセンブリが前記作動した自己拡張構成である場合に、前記シースの開放近位端が、前記孔封止アセンブリの遠位端から少なくとも数ミリメートル、最大で数センチメートルの距離にある、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記手動孔封止コントローラアセンブリが、指で押すか引くことにより手動操作可能かつ直線平行移動可能となるように構成された手動制御つまみと、前記手動制御つまみが内部に沿って手動操作可能かつ直線平行移動可能となる直線状スロット、狭隘溝、またはチャネルが構成された手持ちハウジングアセンブリと、を含む手持ちモジュールとして構成された、請求項
1に記載の装置。
【請求項6】
前記手動孔封止コントローラアセンブリが、前記孔封止デバイスの近位端部およびその内部の手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を安定した静止物体に接続するとともに、前記孔封止デバイスの近位端部の可逆的な固定およびアンカリングがもはや必要なくなった場合には、前記孔封止デバイスの近位端部および手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を前記安定した静止物体から取り外すことによって、前記固定およびアンカリングを容易にするように構成された固定・アンカリングアセンブリを含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項7】
前記固定・アンカリングアセンブリが、中間部または中央部、前記手動孔封止コントローラアセンブリの内側に固定接続された遠位端部、および前記安定した静止物体に対して可逆的に固定およびアンカリング可能な近位端部を有する単一の一体型可撓弾性ストラップ、ロッド、またはバー式構造として構成された、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記固定・アンカリングアセンブリが、前記手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を前記安定した静止物体に対して可逆的に接続、固定、およびアンカリングするとともに、前記固定およびアンカリングがもはや必要なくなった場合に、前記手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を前記安定した静止物体から取り外す締結具またはラッチとして近位端が構成された固定・アンカリング部材ピンまたはロッドと動作可能に接続された引張りばねを含むばね式機構として構成された、請求項
6に記載の装置。
【請求項9】
前記可撓性チューブの内側の前記可撓性制御ワイヤが、前記シースを前記孔封止アセンブリから遠位方向に除去するのに先立ち、前記手動孔封止コントローラアセンブリの手動操作によって、前記孔封止デバイスの近位部と遠位部との間で遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能である、請求項
1に記載の装置。
【請求項10】
前記可撓性制御ワイヤが、前記シースの前記孔封止アセンブリからの除去中および除去後に、前記手動孔封止コントローラアセンブリの手動操作によって、前記孔封止アセンブリの首部または頂点部遠位端と前記シースの開放近位端との間で遠位方向および近位方向に前後に非直線平行移動可能かつ摺動移動可能な前記可撓性チューブの外側の遠位端部を含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項11】
前記可撓性チューブの外側の前記可撓性制御ワイヤの遠位端部が、0°~90°の範囲の鋭角状曲率部を有する、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記可撓性制御ワイヤの遠位端部の前記鋭角状曲率部が、数ミリメートル~数センチメートルの範囲の長さを有する、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記可撓性チューブの外側の前記可撓性制御ワイヤの遠位端部が、前記可撓性チューブの内側の前記可撓性制御ワイヤの残りの部分に対して、熱的に成形または処理された、請求項
10に記載の装置。
【請求項14】
前記孔封止アセンブリが前記作動した自己拡張構成である場合、前記シースの前記孔封止アセンブリからの除去後に、前記シースの前記開放近位端が、前記孔封止アセンブリの前記首部または頂点部遠位端から少なくとも数ミリメートル、最大で数センチメートルの距離にある、請求項
10に記載の装置。
【請求項15】
前記血管内壁封止・孔形成デバイスが、前記吻合孔を前記血管内壁セグメントに生成するように構成された吻合孔生成デバイスを含み、該吻合孔生成デバイスが、
長手方向全長に沿って延びた外側アセンブリ中心管状空洞を有する管状の外側アセンブリと、
長手方向全長に沿って延びた内側アセンブリ中心管状空洞を有する管状の内側アセンブリと、
を備え、
前記内側アセンブリが、前記外側アセンブリよりも長く、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリがその同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能となるように、前記外側アセンブリにより同心状に囲まれ、前記外側アセンブリ内に沿って密に嵌合する部分を有しており、
前記外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの中心管状空洞が、可撓性チューブまたはワイヤの可逆的な通過を容易にするように構成されており、
前記内側アセンブリが、遠位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントにおける前記ニードルサイズの孔を外傷なく通過し、近位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントを通る前記吻合孔を生成し、さらなる近位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントを通るように生成された前記吻合孔から出るように構成された管状の吻合孔生成部材が構成された遠位端部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記内側アセンブリが、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリの前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を制御および制限するように構成されたばねを含む、請求項
15に記載の装置。
【請求項17】
前記内側アセンブリが、前記ばねを収容する長手方向スロットが内側に同軸構成された中心管状空洞を含む、請求項
16に記載の装置。
【請求項18】
前記内側アセンブリが、前記ばねの近位端を前記長手方向スロットの内側の適所に保持するピンを含む、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記ピンが、前記外側アセンブリの近位端部における前記外側アセンブリの前記中心管状空洞に収容され、前記中心管状空洞を横切るように通って直交延伸する、請求項
18に記載の装置。
【請求項20】
前記ピンが、前記外側アセンブリの近位端部に位置する一対の2つの対向して位置決めされた孔によって適所に保持された、請求項
18に記載の装置。
【請求項21】
前記ばねの遠位端が、前記内側アセンブリの中心管状空洞の遠位端によって前記長手方向スロットの内側の適所に保持された、請求項
17に記載の装置。
【請求項22】
前記内側アセンブリの近位端部が、内側突出リムおよび外側突出リムを含み、前記内側突出リムが、前記ばねとともに、前記外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を制限するように構成され、前記外側突出リムが、前記吻合孔生成デバイスの前記孔形成アクチュエータとの可逆的な接続を容易にするように構成された、請求項
16に記載の装置。
【請求項23】
前記外側アセンブリの近位部が、その前記孔形成アクチュエータとの可逆的な接続を容易にするように構成された突出リムを含む、請求項
15に記載の装置。
【請求項24】
前記吻合孔生成部材の遠位部が、円形基部およびテーパ状先端部または頂点部を有する管状錐体として構成された、請求項
15に記載の装置。
【請求項25】
前記吻合孔生成部材の管状錐体の近位端部が、前記吻合孔生成部材の管状錐体の円形基部から連続して近位方向に延びた非傾斜または非テーパ状の管状セグメントを含む、請求項
24に記載の装置。
【請求項26】
前記管状セグメントが、外径が前記管状錐体の円形基部の直径と等しく、近位-遠位長手方向長さが前記管状錐体の近位-遠位高さよりも小さいリングの形態を有する、請求項
25に記載の装置。
【請求項27】
前記管状セグメントの近位端が、前記血管内壁セグメントを通る前記吻合孔を生成するように、前記血管内壁セグメント内から前記血管内壁セグメントの外側まで血管壁を通り抜けるように構成された鋭い縁部を有する、請求項
25に記載の装置。
【請求項28】
前記孔形成アクチュエータが、
管状の外側アセンブリと、
前記外側アセンブリよりも長い管状の内側アセンブリであり、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリがその同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能となるように、前記外側アセンブリにより同心状に囲まれ、前記外側アセンブリ内に沿って密に嵌合する部分を有し、前記血管内壁封止・孔形成デバイスに対して可逆的に接続可能な円形溝として構成された遠位端を有する、管状の内側アセンブリと、
を備え、
前記外側アセンブリが、外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を容易にする一対の対向して位置決めされた手動制御可能なガイド部材が構成された近位端部を有しており、
前記外側アセンブリが、前記内側アセンブリの円形溝の遠位端の前記血管内壁封止・孔形成デバイスへの前記可逆的な接続を容易にする一対の対向して位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材が構成された遠位端部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記内側アセンブリが、内側アセンブリの2つの側部の近位長手方向長さの中間に沿って遠位-近位方向に延びるとともに、前記外側アセンブリと内側アセンブリとの間の前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を容易にする一対の2つの対向して位置決めされた長手方向側部スロット、狭隘溝、またはチャネルが構成された、請求項
28に記載の装置。
【請求項30】
前記孔形成アクチュエータが、孔形成アクチュエータの遠位端から近位端近くまで延び、孔形成アクチュエータの前記血管内壁封止・孔形成デバイスとの可逆的な接続を容易にするように、前記血管内壁封止・孔形成デバイスの可撓性チューブを受容して緩く包囲するのに用いられる単一の同軸のデュアルアセンブリ長手方向上部スロット、狭隘溝、またはチャネルが構成された、請求項
28に記載の装置。
【請求項31】
前記デュアルアセンブリ長手方向上部スロットが、前記孔形成アクチュエータの内側アセンブリの上部に構成され、上部に沿って延びた内側アセンブリ長手方向上部スロット、狭隘溝、またはチャネルと、前記孔形成アクチュエータの外側アセンブリの上部に構成され、上部に沿って延びた外側アセンブリ長手方向上部スロット、狭隘溝、またはチャネルとを備えることにより、前記内側アセンブリおよび前記外側アセンブリの長手方向上部スロット、狭隘溝、またはチャネルが互いに同軸となる、請求項
30に記載の装置。
【請求項32】
血管腔の内側でその血管内壁セグメントの周辺を血流から封止する孔封止デバイスであって、
前記血管内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、前記血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立するように構成された孔封止アセンブリであり、可逆的に拡張可能な非作動の潰れた構成および可逆的に潰れ可能な作動した自己拡張構成を有する、孔封止アセンブリと、
前記非作動の潰れた構成の前記孔封止アセンブリを外部から完全に覆い、密に嵌合し、保持するシースであり、前記潰れた孔封止アセンブリによって、前記血管内壁セグメントに沿って前記ニードルサイズの孔を通過することにより、前記血管腔に外傷なく完全に進入するように構成された、シースと、
前記シースに対して動作可能に接続され、前記孔封止アセンブリおよび前記シースの手動制御を容易にするように構成された手動孔封止コントローラアセンブリと、
前記シースの内側遠位端に固定接続された遠位端および前記手動孔封止コントローラアセンブリの内側遠位部に固定接続された近位部を有し、前記シースの運動および位置決めならびに前記孔封止アセンブリの可逆的な作動を制御するように構成された可撓性制御ワイヤと、
前記可撓性制御ワイヤの運動を包囲、保持、およびガイドする可撓性チューブと、
を備えた、孔封止デバイス。
【請求項33】
前記孔封止アセンブリが、前記非作動の潰れた構成および前記作動した自己拡張構成の両者において、前記可撓性制御ワイヤが前記可撓性チューブを遠位方向に通過するとともに前記シースを前記孔封止アセンブリから遠位方向に除去することを容易にすることにより、前記孔封止アセンブリを作動させて前記作動した自己拡張構成とするように、前記可撓性制御ワイヤを内側に保持する前記可撓性チューブの遠位端のみに接続された管状遠位端首部または頂点部を有する、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項34】
前記シースが、近位端が開放された主部と、遠位端または遠位頂点が閉鎖され、前記主部の外径よりも小さく、前記血管内壁セグメントにおける前記ニードルサイズの孔の直径よりも小さな最大外径を有する円錐状遠位端部と、を有する管状部材として構成された、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項35】
前記孔封止アセンブリが前記作動した自己拡張構成である場合に、前記シースの開放近位端が、前記孔封止アセンブリの遠位端から少なくとも数ミリメートル、最大で数センチメートルの距離にある、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項36】
前記手動孔封止コントローラアセンブリが、指で押すか引くことにより手動操作可能かつ直線平行移動可能となるように構成された手動制御つまみと、前記手動制御つまみが内部に沿って手動操作可能かつ直線平行移動可能となる直線状スロット、狭隘溝、またはチャネルが構成された手持ちハウジングアセンブリと、を含む手持ちモジュールとして構成された、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項37】
前記手動孔封止コントローラアセンブリが、前記孔封止デバイスの近位端部およびその内部の手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を安定した静止物体に接続するとともに、前記孔封止デバイスの近位端部の可逆的な固定およびアンカリングがもはや必要なくなった場合には、前記孔封止デバイスの近位端部および手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を前記安定した静止物体から取り外すことによって、前記固定およびアンカリングを容易にするように構成された固定・アンカリングアセンブリを含む、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項38】
前記固定・アンカリングアセンブリが、中間部または中央部、前記手動孔封止コントローラアセンブリの内側に固定接続された遠位端部、および前記安定した静止物体に対して可逆的に固定およびアンカリング可能な近位端部を有する単一の一体型可撓弾性ストラップ、ロッド、またはバー式構造として構成された、請求項37に記載の孔封止デバイス。
【請求項39】
前記固定・アンカリングアセンブリが、前記手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を前記安定した静止物体に対して可逆的に接続、固定、およびアンカリングするとともに、前記固定およびアンカリングがもはや必要なくなった場合に、前記手動孔封止コントローラアセンブリの近位端部を前記安定した静止物体から取り外す締結具またはラッチとして近位端が構成された固定・アンカリング部材ピンまたはロッドと動作可能に接続された引張りばねを含むばね式機構として構成された、請求項37に記載の孔封止デバイス。
【請求項40】
前記可撓性チューブの内側の前記可撓性制御ワイヤが、前記シースを前記孔封止アセンブリから遠位方向に除去するのに先立ち、前記手動孔封止コントローラアセンブリの手動操作によって、前記孔封止デバイスの近位部と遠位部との間で遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能である、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項41】
前記可撓性制御ワイヤが、前記シースの前記孔封止アセンブリからの除去中および除去後に、前記手動孔封止コントローラアセンブリの手動操作によって、前記孔封止アセンブリの首部または頂点部遠位端と前記シースの開放近位端との間で遠位方向および近位方向に前後に非直線平行移動可能かつ摺動移動可能な前記可撓性チューブの外側の遠位端部を含む、請求項32に記載の孔封止デバイス。
【請求項42】
前記可撓性チューブの外側の前記可撓性制御ワイヤの遠位端部が、0°~90°の範囲の鋭角状曲率部を有する、請求項41に記載の孔封止デバイス。
【請求項43】
前記可撓性制御ワイヤの遠位端部の前記鋭角状曲率部が、数ミリメートル~数センチメートルの範囲の長さを有する、請求項42に記載の孔封止デバイス。
【請求項44】
前記可撓性チューブの外側の前記可撓性制御ワイヤの遠位端部が、前記可撓性チューブの内側の前記可撓性制御ワイヤの残りの部分に対して、熱的に成形または処理された、請求項41に記載の孔封止デバイス。
【請求項45】
前記孔封止アセンブリが前記作動した自己拡張構成である場合、前記シースの前記孔封止アセンブリからの除去後に、前記シースの前記開放近位端が、前記孔封止アセンブリの前記首部または頂点部遠位端から少なくとも数ミリメートル、最大で数センチメートルの距離にある、請求項41に記載の孔封止デバイス。
【請求項46】
吻合孔を血管内壁セグメントに生成する吻合孔生成デバイスであって、
長手方向全長に沿って延びた外側アセンブリ中心管状空洞を有する管状の外側アセンブリと、
長手方向全長に沿って延びた内側アセンブリ中心管状空洞を有する管状の内側アセンブリと、
を備え、
前記内側アセンブリが、前記外側アセンブリよりも長く、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリがその同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能となるように、前記外側アセンブリにより同心状に囲まれ、前記外側アセンブリ内に沿って密に嵌合する部分を有しており、
前記外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの中心管状空洞が、可撓性チューブまたはワイヤの可逆的な通過を容易にするように構成されており、
前記内側アセンブリが、遠位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔を外傷なく通過し、近位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントを通る吻合孔を生成し、さらなる近位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントを通るように生成された前記吻合孔から出るように構成された管状の吻合孔生成部材が構成された遠位端部を有
し、
前記内側アセンブリが、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリの前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を制御および制限するように構成されたばねを含み、
前記内側アセンブリが、前記ばねを収容する長手方向スロットが内側に同軸構成された中心管状空洞を含む、吻合孔生成デバイス。
【請求項47】
前記内側アセンブリが、前記ばねの近位端を前記長手方向スロットの内側の適所に保持するピンを含む、請求項46に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項48】
前記ピンが、前記外側アセンブリの近位端部における前記外側アセンブリの前記中心管状空洞に収容され、前記中心管状空洞を横切るように通って直交延伸する、請求項47に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項49】
前記ピンが、前記外側アセンブリの近位端部に位置する一対の2つの対向して位置決めされた孔によって適所に保持された、請求項47に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項50】
前記ばねの遠位端が、前記内側アセンブリの中心管状空洞の遠位端によって前記長手方向スロットの内側の適所に保持された、請求項46に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項51】
前記内側アセンブリの近位端部が、内側突出リムおよび外側突出リムを含み、前記内側突出リムが、前記ばねとともに、前記外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を制限するように構成され、前記外側突出リムが、前記吻合孔生成デバイスの別のデバイスとの可逆的な接続を容易にするように構成された、請求項46に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項52】
前記外側アセンブリの近位部が、その別のデバイスとの可逆的な接続を容易にするように構成された突出リムを含む、請求項46に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項53】
前記吻合孔生成部材の遠位部が、円形基部およびテーパ状先端部または頂点部を有する管状錐体として構成された、請求項46に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項54】
前記吻合孔生成部材の管状錐体の近位端部が、前記吻合孔生成部材の管状錐体の円形基部から連続して近位方向に延びた非傾斜または非テーパ状の管状セグメントを含む、請求項53に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項55】
前記管状セグメントが、外径が前記管状錐体の円形基部の直径と等しく、近位-遠位長手方向長さが前記管状錐体の近位-遠位高さよりも小さいリングの形態を有する、請求項54に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項56】
前記管状セグメントの近位端が、前記血管内壁セグメントを通る前記吻合孔を生成するように、前記血管内壁セグメント内から前記血管内壁セグメントの外側まで血管壁を通り抜けるように構成された鋭い縁部を有する、請求項54に記載の吻合孔生成デバイス。
【請求項57】
外科的血管吻合術に使用する医療デバイスキットであって、
血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するように構成された孔封止デバイスと、
吻合孔を前記血管内壁セグメントに生成するように構成され、前記孔封止デバイスとは別個に取り付け可能かつ位置決め可能に設けられた吻合孔生成デバイスと、
を備え、
前記孔封止デバイスが、
可逆的に拡張可能な非作動の潰れた構成および可逆的に潰れ可能な作動した自己拡張構成を有する孔封止アセンブリと、
前記非作動の潰れた構成の前記孔封止アセンブリを外部から完全に覆い、密に嵌合し、保持するシースであり、前記潰れた孔封止アセンブリによって、前記血管内壁セグメントに沿って前記ニードルサイズの孔を通過することにより、前記血管腔に外傷なく完全に進入するように構成された、シースと、
前記シースに対して動作可能に接続され、前記孔封止アセンブリおよび前記シースの手動制御を容易にするように構成された手動孔封止コントローラアセンブリと、
前記シースの内側遠位端に固定接続された遠位端および前記手動孔封止コントローラアセンブリの内側遠位部に固定接続された近位部を有し、前記シースの運動および位置決めならびに前記孔封止アセンブリの可逆的な作動を制御するように構成された可撓性制御ワイヤと、
前記可撓性制御ワイヤの運動を包囲、保持、およびガイドする可撓性チューブと、
を備え、
前記吻合孔生成デバイスが、
長手方向全長に沿って延びた外側アセンブリ中心管状空洞を有する管状の外側アセンブリと、
長手方向全長に沿って延びた内側アセンブリ中心管状空洞を有する管状の内側アセンブリと、
を備え、
前記内側アセンブリが、前記外側アセンブリよりも長く、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリがその同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能となるように、前記外側アセンブリにより同心状に囲まれ、前記外側アセンブリ内に沿って密に嵌合する部分を有しており、
前記外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの中心管状空洞が、前記可撓性チューブの可逆的な通過を容易にするように構成されており、
前記内側アセンブリが、遠位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントにおける前記ニードルサイズの孔を外傷なく通過し、近位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントを通る前記吻合孔を生成し、さらなる近位方向案内運動によって、前記血管内壁セグメントを通るように生成された前記吻合孔から出るように構成された管状吻合孔生成部材が構成された遠位端部を有する、医療デバイスキット。
【請求項58】
前記吻合孔生成デバイスに対して可逆的に接続可能であり、前記吻合孔生成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータをさらに備えた、請求項
57に記載の医療デバイスキット。
【請求項59】
前記孔形成アクチュエータが、
管状の外側アセンブリと、
前記外側アセンブリよりも長い管状の内側アセンブリであり、前記外側アセンブリおよび内側アセンブリがその同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に直線平行移動可能かつ摺動移動可能となるように、前記外側アセンブリにより同心状に囲まれ、前記外側アセンブリ内に沿って密に嵌合する部分を有し、前記吻合孔生成デバイスに対して可逆的に接続可能な円形溝として構成された遠位端を有する、管状の内側アセンブリと、
を備え、
前記外側アセンブリが、外側アセンブリおよび前記内側アセンブリの前記直線平行移動可能かつ摺動可能な相対運動を容易にする一対の対向して位置決めされた手動制御可能なガイド部材が構成された近位端部を有しており、
前記外側アセンブリが、前記内側アセンブリの円形溝の遠位端の前記吻合孔生成デバイスへの前記可逆的な接続を容易にする一対の対向して位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材が構成された遠位端部を有する、請求項
58に記載の医療デバイスキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2017年5月1日に出願された米国特許仮出願第62/492,323号「APPARATUSES AND METHODS FOR FACILITATING ANASTOMOSIS」の優先権の利益を主張するものであり、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、外科的血管吻合装置および方法に関し、より詳細には、外科的血管吻合術に使用する装置および方法に関するが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示の装置および方法を用いて外科的血管吻合を実行する手順に関する。本発明のいくつかの実施形態は、冠動脈バイパス術(CABG)を実行する「クランプレス」式の(端側)外科的血管吻合術での使用に特に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
外科的血管吻合術は、冠動脈バイパス術(CABG)において採用され、血管移植片(通例、採取した静脈または動脈)の両端の吻合接続を伴う。端側式の外科的血管吻合においては、血管移植片の一端がホスト血管の側部に接続される(たとえば、縫合される)。この手順では一般的に、選択吻合位置または部位においてホスト血管壁を切断または穿刺した後、移植片端部を穿刺部周りに縫合することによって、2つの血管の管腔間の流体(血液)連通を生成する。
【0004】
大径のホスト血管(特に、大動脈)における端側吻合は、そこを流れる血液の流量および圧力が高いことから、非常に煩雑である。従来の外科的血管吻合術には、心臓バイパス機の使用の有無に関わらず、ホスト血管壁のクランプおよび対象者の血液循環からの隔離を含む。ただし、このような外科的血管吻合術は通常、複数の考え得る重大な問題と関連する。たとえば、ホスト血管の損傷、クランプ領域に隣接する血栓の形成、石灰化形成および血管壁からのトロンビン遊離(脳に移動して神経障害を引き起こす可能性もある)が考えられる。
【0005】
近年採用されている「クランプレス」技術に基づく外科的血管吻合術では、ホスト血管中の血流を維持しつつ、ホスト血管壁の穿刺部周りからわずかに越えた部分までを一時的に封止する周辺シールを使用する。ただし、このような手順には、特に吻合構成において、穿刺部からの深刻な血液漏出を伴う可能性があるため、心臓外科チームが吻合の追加として吻合の実行中に、穿刺部の周辺を封止する複雑で時に異例の手術行為を実行する必要がある。吻合構成時の血液漏出によって、通常は視界の妨げおよび縫合領域の視認性の低下により、血管の縫合が不十分となり得る。このため、手術助手は、吻合部位に送風機を使用して、漏出血液を除去(吹き飛ばす)ことにより、視界および縫合領域の視認性を向上させることが必要となり得る。さらに、このような手順においては、送風機がホスト血管または/および血管移植片に空気を送り込むが、内部に空気塞栓または/および閉塞が生じる可能性もある。
【0006】
外科的血管吻合の分野における広範囲な教示および実践にも関わらず、少なくともこれに関連する上述の問題を考えるならば、外科的血管吻合術に使用する新たに改良された装置および方法を開発して実用化することが継続的に求められる。このようなニーズは、冠動脈バイパス術(CABG)に採用されるクランプレス式の外科的血管吻合術に特に関連する。また、このような装置および方法を用いて外科的血管吻合を実行する新たに改良された手順を開発して実用化することも同様に求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、外科的血管吻合術に使用する装置および方法に関する。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示の装置および方法を用いて外科的血管吻合を実行する手順に関する。本発明のいくつかの実施形態は、冠動脈バイパス術(CABG)を実行する「クランプレス」式の(端側)外科的血管吻合術での使用に特に適用可能である。
【0008】
本発明の実施では、外科的血管吻合術、特に、冠動脈バイパス術(CABG)において採用される吻合術と関連する様々な問題の少なくとも一部に対処して克服しようとする。たとえば、本発明の実施には、周辺封止吻合孔を血管内壁に外傷なく生成することによって、ホスト血管中の血流を維持しつつ吻合孔周りの周辺血液漏出を防止または最小化するクランプの使用を伴わない独自の技術(デバイスおよび方法)を含む。このように改良された技術によれば、より安全な手術条件がもたらされるとともに、心臓外科チームが吻合術の追加として吻合術の実行中に、血管の吻合孔の周辺を封止する複雑な手術行為を実行する必要性が除外または大幅に低減される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、外科的血管吻合術に使用する装置であって、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するとともに、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成するように構成された血管内壁封止・孔形成デバイスと、血管内壁封止・孔形成デバイスに対して動作可能に接続可能であり、血管内壁封止・孔形成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータと、を備えた、装置が提供される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、血管の内側でその血管内壁セグメントの周辺を封止するデバイスであって、血管内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立するように構成された孔封止アセンブリであり、非作動の潰れた構成および作動した自己拡張構成を有する、孔封止アセンブリと、非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリを外部から完全に覆い、密に嵌合し、保持するシースであり、潰れた孔封止アセンブリによって、血管内壁セグメントに沿ってニードルサイズの孔を通過することにより、血管に外傷なく完全に進入するように構成された、シースと、シースに対して動作可能に接続され、孔封止アセンブリおよびシースを動作させるように構成された手動孔封止コントローラアセンブリと、シースおよび手動孔封止コントローラアセンブリに対して動作可能に接続され、シースを動作させるように構成された可撓性制御ワイヤと、可撓性制御ワイヤの運動を保持およびガイドするように構成された可撓性チューブと、を備えた、デバイスが提供される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、血管内壁セグメントの周辺を封止するデバイスであって、ストラットを有し、自己拡張可能および潰れ可能な骨格フレームであり、自己拡張構成において、半球形状または形態を有する中間部と、鋭角のフレアまたはフレア状形状または形態を有し、近位方向に徐々に、近位端まで外方に非直線拡張または開放した短い近位端部とを含む、骨格フレームと、骨格フレームを外部から完全に覆うように構成された外部カバーと、を備えた、デバイスが提供される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するデバイスであって、同心長手方向軸に沿って同軸管状に成形された外側アセンブリおよび内側アセンブリを備え、内側アセンブリの遠位端部が、遠位方向案内運動によって、血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔を外傷なく通過し、近位方向案内運動によって、血管内壁セグメントを通る吻合孔を生成し、さらなる近位方向案内運動によって、血管内壁セグメントを通るように生成された孔から出るように構成された吻合孔生成部材が構成された、デバイスが提供される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、孔を血管内壁セグメントに形成するのに使用するデバイスであって、同心長手方向軸に沿って同軸管状に成形された外側アセンブリおよび内側アセンブリを備え、内側アセンブリが外側アセンブリよりも長く、外側アセンブリが、外側アセンブリおよび内側アセンブリの直線平行移動可能な相対運動を容易にする一対の対向して位置決めされた手動制御可能なガイド部材が構成された近位端部を有し、外側アセンブリが、一対の対向して位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材が構成された遠位端部を有し、内側アセンブリが、円形溝として構成された遠位端を有する、デバイスが提供される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、外科的血管吻合術に使用する医療デバイスキットであって、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するとともに、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成するように構成された血管内壁封止・孔形成デバイスと、を備えた、医療キットが提供される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、医療デバイスキットは、血管内壁封止・孔形成デバイスに対して動作可能に接続可能であり、血管内壁封止・孔形成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータをさらに備える。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、外科的血管吻合術に使用する医療デバイスキットであって、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するとともに、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成するように構成された血管内壁封止・孔形成デバイスと、血管内壁封止・孔形成デバイスに対して動作可能に接続可能であり、血管内壁封止・孔形成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータと、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するように構成された吻合孔生成デバイスと、を備えた、医療キットが提供される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、外科的血管吻合術に使用する方法であって、外科的血管吻合術に使用する装置であり、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するとともに、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成するように構成された血管内壁封止・孔形成デバイスと、血管内壁封止・孔形成デバイスに対して動作可能に接続可能であり、血管内壁封止・孔形成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータと、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するように構成された吻合孔生成デバイスと、を備えた、装置を用意することと、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔の生成前、生成中、および生成後に、装置を動作させて周辺シールを確立および維持することと、を含む、方法が提供される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、吻合孔を血管内壁セグメントに生成する方法であって、同心長手方向軸に沿って同軸管状に成形された外側アセンブリおよび内側アセンブリを備え、内側アセンブリの遠位端部が、遠位方向案内運動によって、血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔を外傷なく通過し、近位方向案内運動によって、血管内壁セグメントを通る吻合孔を生成し、さらなる近位方向案内運動によって、血管内壁セグメントを通るように生成された孔から出るように構成された吻合孔生成部材が構成された、デバイスを用意することと、デバイスを動作させて、吻合孔を血管内壁セグメントに生成することと、を含む、方法が提供される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、外科的血管吻合を実行する方法であって、外科的血管吻合術に使用する装置であり、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない血管内壁セグメントにおけるニードルサイズの孔の周りの周辺シールを外傷なく確立して維持するとともに、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成するように構成された血管内壁封止・孔形成デバイスと、血管内壁封止・孔形成デバイスに対して動作可能に接続可能であり、血管内壁封止・孔形成デバイスを動作させるように構成された孔形成アクチュエータと、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するように構成された吻合孔生成デバイスと、を備えた、装置を用意することと、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔の生成前、生成中、および生成後に、装置を動作させて周辺シールを確立および維持することと、装置の動作後、血管に対する血管移植片の吻合を実行することと、を含む、方法が提供される。
【0020】
本明細書において使用するすべての技術的または/および科学的単語、用語、または/および表現は、本明細書における別段の具体的な定義または記述のない限り、本発明が関連する技術分野の当業者が通常理解するのと同一または同様の意味を有する。本明細書において例示的に記載する方法(ステップ、手順)、装置(デバイス、システム、これらの構成要素)、機器、および材料は、例示および説明を目的としているに過ぎず、必ずしも限定的なものではない。本発明の実施形態の実現または/および試験においては、本明細書に記載したものと同等または類似の方法、装置、機器、および材料を使用可能であるが、以下では、説明を目的として、例示的な方法、装置、機器、および材料を記載する。矛盾する場合は、定義を含めて、本特許明細書が優先する。
【0021】
本明細書においては、添付の図面を参照しつつ、本発明のいくつかの実施形態を一例として説明する。以下、図面を具体的に詳しく参照するが、図示の詳細は、一例であって、本発明のいくつかの実施形態の例示的な説明を目的としたものであることを強調する。この点において、添付の図面と併せた説明により、本発明のいくつかの実施形態の実現方法が当業者には明らかとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る、それぞれ例示的な非作動および作動構成の血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイスおよび孔形成アクチュエータを備えた外科的血管吻合術に使用する装置(全体)の例示的な一実施形態の模式斜視図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、それぞれ例示的な非作動および作動構成の血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイスおよび孔形成アクチュエータを備えた外科的血管吻合術に使用する装置(全体)の例示的な一実施形態の模式斜視図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、孔封止デバイスの例示的な一実施形態の模式分解斜視図である。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態に係る、シースおよび吻合孔生成デバイスの構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置(全体)の遠位端部の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態に係る、シースおよび吻合孔生成デバイスの構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置(全体)の遠位端部の例示的な一実施形態の模式側面断面図である。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態に係る、シースの孔封止アセンブリからの非直線状遠位方向案内除去および分離によって、血管腔における可撓性制御ワイヤの遠位部の曲率部形成をさらに強調した、(作動構成の)装置(全体)の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態に係る、シースの孔封止アセンブリからの非直線状遠位方向案内除去および分離によって、血管腔における可撓性制御ワイヤの遠位部の曲率部形成をさらに強調した、(作動構成の)装置(全体)の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態に係る、孔封止デバイスの手動孔封止コントローラアセンブリの構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置(全体)の近位端部の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態に係る、孔封止デバイスの別の例示的な手動コントローラの構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置(全体)の近位端部の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図8A】本発明のいくつかの実施形態に係る、孔封止アセンブリ(孔封止デバイスの一部)の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図8B】本発明のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な孔封止アセンブリの例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図9A】本発明のいくつかの実施形態に係る、非作動(非駆動)構成の吻合孔生成デバイス(BVIW封止・孔形成デバイスの一部)の例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図9B】本発明のいくつかの実施形態に係る、非作動(非駆動)構成の吻合孔生成デバイス(BVIW封止・孔形成デバイスの一部)の例示的な一実施形態の側面断面図である。
【
図9C】本発明のいくつかの実施形態に係る、吻合孔生成デバイス(BVIW封止・孔形成デバイスの一部)の例示的な一実施形態の模式斜視図である。
【
図9D】本発明のいくつかの実施形態に係る、吻合孔生成デバイス(BVIW封止・孔形成デバイスの一部)の例示的な一実施形態の分解斜視図である。
【
図10A】本発明のいくつかの実施形態に係る、非作動(非駆動)構成の孔形成アクチュエータを備えた吻合孔生成デバイス(BVIW封止・孔形成デバイスの一部)の例示的な一実施形態の模式上面図である。
【
図10B】本発明のいくつかの実施形態に係る、非作動(非駆動)構成の孔形成アクチュエータを備えた吻合孔生成デバイス(BVIW封止・孔形成デバイスの一部)の例示的な一実施形態の上面断面図である。
【
図10C】本発明のいくつかの実施形態に係る、作動(駆動)構成の孔形成アクチュエータを備えた吻合孔生成デバイスの例示的な一実施形態の模式上面図である。
【
図10D】本発明のいくつかの実施形態に係る、作動(駆動)構成の孔形成アクチュエータを備えた吻合孔生成デバイスの例示的な一実施形態の上面断面図である。
【
図11A】本発明のいくつかの実施形態に係る、組み立て(非作動/非駆動)構成の外側および内側アセンブリを強調した、孔形成アクチュエータの例示的な一実施形態の模式上面図である。
【
図11B】本発明のいくつかの実施形態に係る、組み立て構成(非作動(非駆動)構成および作動(駆動)構成も示す)の外側および内側アセンブリを強調した、孔形成アクチュエータの例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図11C】本発明のいくつかの実施形態に係る、非作動(非駆動)構成の
図11Bの孔形成アクチュエータの例示的な実施形態の模式斜視図である。
【
図11D】本発明のいくつかの実施形態に係る、非作動(非駆動)構成の
図11Bの孔形成アクチュエータの例示的な実施形態の模式斜視図である。
【
図12A】本発明のいくつかの実施形態に係る、非組み立て構成の個々の外側および内側アセンブリ(内側アセンブリが例示的な摺動式のカバーを有する)を強調した、孔形成アクチュエータの例示的な一実施形態の模式上面図である。
【
図12B】本発明のいくつかの実施形態に係る、非組み立て構成の個々の外側および内側アセンブリ(内側アセンブリが例示的な摺動式のカバーを有する)を強調した、孔形成アクチュエータの例示的な一実施形態の模式側面図である。
【
図13A】本発明のいくつかの実施形態に係る、非組み立て構成の個々の外側および内側アセンブリ(内側アセンブリが例示的なねじ込み式のカバーを有する)を強調した、孔形成アクチュエータの別の例示的な実施形態の模式上面図である。
【
図13B】本発明のいくつかの実施形態に係る、非組み立て構成の個々の外側および内側アセンブリ(内側アセンブリが例示的なねじ込み式のカバーを有する)を強調した、孔形成アクチュエータの別の例示的な実施形態の模式側面図である。
【
図14】本発明のいくつかの実施形態に係る、装置の固定・アンカリングアセンブリの使用を強調した、例示的な血管吻合術[(クランプレス)冠動脈バイパス術(CABG)]を実行する装置(全体)の(簡素化された)「一般」型を使用する例示的な一実施形態を示した模式図である。
【
図15】本発明のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な装置の固定・アンカリングアセンブリの使用を強調した、例示的な血管吻合術[(クランプレス)冠動脈バイパス術(CABG)]を実行する装置(全体)の別の(簡素化された)「一般」型を使用する例示的な一実施形態を示した模式図である。
【
図16A】本発明のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な装置の固定・アンカリングアセンブリの使用を強調した、例示的な血管吻合術((クランプレス)冠動脈バイパス術(CABG))を実行する装置(全体)の別の(簡素化された)「一般」型を使用する例示的な一実施形態を示した模式図である。
【
図16B】本発明のいくつかの実施形態に係る、別の例示的な装置の固定・アンカリングアセンブリの使用を強調した、例示的な血管吻合術((クランプレス)冠動脈バイパス術(CABG))を実行する装置(全体)の別の(簡素化された)「一般」型を使用する例示的な一実施形態を示した模式図である。
【
図17】本発明のいくつかの実施形態に係る、(i)孔封止デバイス、(ii)吻合孔生成デバイス、および任意選択としての(iii)(吻合孔生成デバイスに接続されていない)孔形成アクチュエータを備えた医療デバイスキットの例示的な一実施形態の模式斜視図である。
【
図18】本発明のいくつかの実施形態に係る、(i)孔封止デバイス、(ii)吻合孔生成デバイス、および(iii)(吻合孔生成デバイスに接続された)孔形成アクチュエータを備えた医療デバイスキットの例示的な一実施形態の模式斜視図である。
【
図19A】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19B】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19C】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19D】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19E】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19F】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19G】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19H】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19I】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19J】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【
図19K】本発明のいくつかの実施形態に係る、外科的血管吻合術に使用する装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な一実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、外科的血管吻合術に使用する装置および方法に関する。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示の装置および方法を用いて外科的血管吻合を実行する手順に関する。本発明のいくつかの実施形態は、冠動脈バイパス術(CABG)を実行する「クランプレス」式の(端側)外科的血管吻合術での使用に特に適用可能である。
【0024】
本発明の実施では、外科的血管吻合術、特に、冠動脈バイパス術(CABG)において採用される吻合術と関連する様々な問題の少なくとも一部に対処して克服しようとする。たとえば、本発明の実施には、周辺封止吻合孔を血管内壁に外傷なく生成することによって、ホスト血管中の血流を維持しつつ吻合孔周りの周辺血液漏出を防止または最小化するクランプの使用を伴わない独自の技術(デバイスおよび方法)を含む。このように改良された技術によれば、より安全な手術条件がもたらされるとともに、心臓外科チームが吻合術の追加として吻合術の実行中に、血管の吻合孔の周辺を封止する複雑な手術行為を実行する必要性が除外または大幅に低減される。
【0025】
本発明の例示的な実施形態のより深い理解を目的として、以下の例示的な説明では、図面(
図1~
図19)を参照する。以下の説明および添付の図面の全体を通して、同じ参照番号は、同じ装置、構成要素、要素、または特徴を表す。また、説明全体を通して、標準的な用語「近位(proximal)」および「遠位(distal)」は、相対的な場所および方向を示すのに用いる。明瞭化および一貫性のため、これらの同じ用語は、各図面においても現れる。本明細書に開示の装置(および、その構成要素)の例示的な構成材料および構成要素のサイズ寸法については、開示の発明の提示の明瞭性を損なわないように、本説明の終わりごろに別途示す。
【0026】
本発明は必ずしも、以下の例示的な説明に示す例示的な装置または/およびデバイスの構成要素の構成または/および配置の特定の詳細にも、例示的な方法のステップまたは手順の如何なる特定の順序にも用途が限定されないことが了解されるものとする。また、本発明は必ずしも、外科的血管吻合術での使用に用途が限定されない。本発明は、他の例示的な実施形態が可能であるとともに、様々な医療用途において、様々な実施または実行が可能である。
【0027】
本発明は、その例示的な実施形態において、(少なくとも)外科的血管吻合術に使用する装置、血管内壁セグメントを封止するとともに孔を形成するデバイス、血管内壁セグメントの周辺を封止するデバイス、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するデバイス、孔を血管内壁セグメントに形成するのに使用するデバイス、外科的血管吻合術に使用する医療デバイスキット、外科的血管吻合術に使用する方法、吻合孔を血管内壁セグメントに形成する方法、外科的血管吻合を実行する方法といった態様を含む。
【0028】
本発明のある態様の特性および技術的特徴の例示的な説明が、他の態様の特性および技術的特徴の例示的な説明にも関連しており、十分に適用可能である点において、本発明の複数の態様は、非限定的に相互関連する。たとえば、外科的血管吻合術に使用する装置または装置の構成要素(たとえば、デバイス、アセンブリ)の特性および技術的特徴の例示的な説明は、本発明の1つまたは複数の他の態様(たとえば、外科的血管吻合術に使用する方法、吻合孔を血管内壁セグメントに形成する方法、または/および外科的血管吻合を実行する方法に関する1つまたは複数の態様)の特性および技術的特徴の例示的な説明にも関連しており、十分に適用可能である。
【0029】
また、たとえば、外科的血管吻合術に使用する装置または装置の構成要素(たとえば、デバイス、アセンブリ)の実施形態は、外科的血管吻合術に使用する方法の実施形態の実現、吻合孔を血管内壁セグメントに形成する方法の実施形態の実現、または/および外科的血管吻合を実行する方法の実施形態の実現に対して非限定的に適している。
【0030】
いくつかの実施形態において、外科的血管吻合術に使用する装置は、血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイス(本明細書においては、簡素化のため、BVIW封止・孔形成デバイスとも称する)および孔形成アクチュエータを非限定的に具備する。
【0031】
例示的な実施形態において、血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイスは、孔封止デバイスおよび吻合孔生成デバイスを具備する。
【0032】
例示的な実施形態において、孔封止デバイスは、孔封止アセンブリを完全に包囲して保持するシース、手動孔封止コントローラアセンブリ、および可撓性チューブに包囲されるとともに保持された可撓性制御ワイヤを具備する。
【0033】
例示的な実施形態において、吻合孔生成デバイスは、外側アセンブリと、吻合孔生成部材を備えた内側アセンブリとを具備する。
【0034】
例示的な実施形態において、孔形成アクチュエータは、外側アセンブリおよび内側アセンブリを具備する。
【0035】
上掲のデバイス、アセンブリ、および部材も同様に、様々なアセンブリ、部材、および構造的特徴を含む。
【0036】
例示的な実施形態において、外科的血管吻合術に使用する装置の複数の構成要素(すなわち、デバイス、アセンブリ、部材、およびこれらの構成要素)は、特に、それぞれの構造的および機能的/動作的特性および特徴に基づくほか、本明細書において例示的に説明する様態に基づいて、個々の「独立型」装置と非限定的に考えられる。このような個々の「独立型」(構造的および機能的/動作的)装置は、外科的血管吻合術に使用する装置(全体)の様々な「副組み合わせ」に対応する。
【0037】
たとえば、例示的な実施形態において、BVIW封止・孔形成デバイスおよびその構成要素は、個々の「独立型」装置と考えられる。たとえば、例示的な実施形態において、孔封止デバイス、シース、孔封止アセンブリ、手動孔封止コントローラアセンブリ、および吻合孔生成デバイスはそれぞれ、個々の「独立型」装置と考えられる。また、たとえば、吻合孔生成部材についても、個々の「独立型」装置と考えられる。
【0038】
たとえば、例示的な実施形態においては、孔形成アクチュエータも個々の「独立型」装置と考えられる。
【0039】
したがって、このような個々の「独立型」(構造的および機能的/動作的)装置はそれぞれ、外科的血管吻合術に使用する装置(全体)の例示的な特定の「副組み合わせ」に対応し、これが本発明のいくつかの実施形態の別の態様に対応する。
【0040】
ここで図面を参照して、
図1および
図2は、それぞれ例示的な非作動および作動構成の血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイス102および孔形成アクチュエータ104を備えた外科的血管吻合術に使用する装置(全体)(参照番号100によって示すとともに参照される)の例示的な一実施形態の模式斜視図である。
図19A~
図19Kは、外科的血管吻合術に使用する装置100(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な実施形態の模式図である。
【0041】
本明細書において、用語「非作動(non-activated)」および「一部作動(partially activated)」は、開示の装置の多くの構成要素および開示の方法の多くのステップ(手順)を含めて、開示の発明の種々態様の構造的および機能的(動作的)特性および特徴の明確な理解の支援を目的として使用している。
【0042】
本明細書において使用する用語「非作動(non-activated)」は、[未]「アクティブ」(すなわち、[未]作動、[未]駆動、[未]始動)の構成である構成要素またはそのような構成を有する構成要素を装置(全体)が有することを非限定的に表す。非「アクティブ」(すなわち、非作動、非駆動、非始動)の構成である装置(全体)またはそのような構成を有する装置(全体)のこのような構成要素は、たとえば外科的血管吻合術で使えるように装置(および、その構成要素)が展開された場合に、例示的に説明するすべての機能(動作)を実行する「アクティブ」(すなわち、作動、駆動、始動)になる構成となる十分な可能性および能力またはそのような構成を有する十分な可能性および能力を有する。
【0043】
本明細書において使用する用語「一部作動(partially activated)」は、「アクティブ」(すなわち、作動、駆動、始動)の構成であるいくつかの構成要素(もしくは、それらの構成要素)またはそのような構成を有する構成要素(もしくは、それらの構成要素)を装置(全体)が有する一方、装置(全体)の他のいくつかの構成要素(もしくは、それらの構成要素)が[未]「アクティブ」(すなわち、[未]作動、[未]駆動、[未]始動)の構成であるか、またはそのような構成を有することを非限定的に表す。このような「非アクティブ」の構成要素は、たとえば外科的血管吻合術で使えるように装置(および、その構成要素)が展開された場合に、例示的に説明するすべての機能(動作)を実行する「アクティブ」(すなわち、作動、駆動、始動)になる構成となる十分な可能性および能力またはそのような構成を有する十分な可能性および能力を有する。
【0044】
血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイス
血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイス102(以下、簡素化のため、BVIW封止・孔形成デバイス102とも称する)は、(i)血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、(たとえば、ニードルまたはシリンジを用いて手動で)血管内壁セグメントに作成された小さな孔[すなわち、非切開]の周りの周辺シールを外傷なく確立すること(たとえば、
図5B、
図19C、および
図19Dに示す)と、(ii)血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを維持することと、(iii)血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成(生成)すること(たとえば、
図19E~
図19Gに示す)と、を行うように構成されている。BVIW封止・孔形成デバイス102は、孔封止デバイス106(
図1、
図2、および後続の図面では、106dおよび106pとも称する)および吻合孔生成デバイス108を具備する。
【0045】
たとえば、関連する相対サイズ(寸法)の一部の桁数の適当な基準点またはガイドラインを提供するため、例示的な血管が、外科的血管吻合術(たとえば、端側式の外科的血管吻合術)に使用する装置100の展開用に選択された大動脈である場合は、たとえば同じ直径のニードルまたはシリンジを用いて手動で作成された例示的な小孔がおよそ0.8~1.0ミリメートル(mm)の直径を有する。このような例において、血管内壁セグメント周りの周辺シールは、およそ14~16ミリメートル(mm)の直径を有し、血流のない状態で周辺封止血管内壁セグメントを通るように形成(生成)された吻合孔は、およそ4~5ミリメートル(mm)の直径を有する。したがって、血管内壁セグメント周りの周辺シールの直径(およそ14~16mm)は、周辺封止血管内壁セグメントを通るように形成(生成)された吻合孔の直径(およそ4~5mm)のおよそ3~4倍である。
【0046】
孔封止デバイス
BVIW封止・孔形成デバイス102の主要構成要素である孔封止デバイス106は、血管腔の内側において、血管内壁セグメントの周辺を血流から封止することにより、血管腔の内側において、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように構成されている。
【0047】
孔封止デバイス106は、シース110、孔封止アセンブリ112、手動孔封止コントローラアセンブリ114、可撓性制御ワイヤ128、および可撓性チューブ130を具備する。
【0048】
図1および
図2に示すように、孔封止デバイス106は、遠位部106dおよび近位部106pを含み、これらが一体となって、シース110、孔封止アセンブリ112、手動孔封止コントローラアセンブリ114、可撓性制御ワイヤ128、および可撓性チューブ130を含むとともに包含する。また、
図2は、孔封止デバイス106の遠位部106dにおいて可撓性チューブ130上に位置決め(搭載)されることにより、吻合孔生成デバイス108が孔封止デバイスの遠位部106dにある状態を示している。
【0049】
シースおよび孔封止アセンブリ
孔封止デバイスの遠位部106dには、非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を完全に包囲して保持するシース(カバーまたはケース)110を含む。非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112は、シース110の内側に存在し、参照番号112の破線矢印で示す通りであるが、
図1では不可視である。作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の例示的な実施形態については、
図2、
図3、
図5A、
図5B、および
図8Aに示すとともに、以下により詳しく説明する。
【0050】
シース110は、(i)非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を外部から覆い、密に嵌合し、完全に包囲し、保持することと、(ii)(潰れた孔封止アセンブリ112によって)(たとえば、ニードルまたはシリンジを用いて医療従事者により)血管内壁セグメントに沿って血管壁を通るように(前もって)作成された小さな孔[すなわち、非切開]を通過することにより、外傷なく完全に血管腔に進入することと、を行うように構成されている(
図4B、
図19A、および
図19B)。
【0051】
例示的な実施形態において、シース110は、近位端110peが開放された主部110mと、遠位端(すなわち、テーパ状先端部または頂点部)110deが閉鎖された円錐状(すなわち、錐体または円錐形状)の遠位端部110dとを有する管状部材として構成されている。このような例示的な実施形態において、シース110の円錐状遠位端110deは、シース110の主部110mの外径よりも小さな最大外径を有する。例示的な実施形態において、シースの円錐状遠位端110deは、血管内壁セグメントに沿って血管壁を通るように(前もって)作成された小さな孔の直径よりも小さな最大外径を有する。
【0052】
たとえば遠位端110deにおけるシースの遠位端部110dの内側は、シース110の運動および位置決めならびに孔封止アセンブリ112の作動(駆動)を制御する可撓性制御ワイヤ128の遠位端に固定接続されている。非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112の場合(
図1)は、(可撓性制御ワイヤ128を包囲して保持する)可撓性チューブ130がシースの開放近位端110peから近位方向に現れる。作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合(
図2)は、(可撓性チューブ130から遠位方向に移動した)可撓性制御ワイヤ128がシースの開放近位端110peから近位方向に現れる。
【0053】
シースの円錐状遠位端部110d(閉鎖遠位端[テーパ状先端部または頂点部]110deを伴う)は、上記(ii)すなわち(潰れた孔封止アセンブリ112によって)血管内壁セグメントに沿って血管壁を通るように作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔を通過することにより、外傷なく完全に血管腔に進入することを実行する上で非常に効果的である。たとえば、端側CABG外科的血管吻合術を実行する場合は、およそ0.8ミリメートル(mm)~1.0ミリメートル(mm)の範囲の直径を有するニードルまたはシリンジを用いて大動脈壁に小さな孔[すなわち、非切開]が作成されることで、この小孔が同様の直径を有することになる。例示的なシース110は、外径がおよそ2ミリメートル(mm)の主部110mと、外径がおよそ0.6ミリメートル(mm)で、シースの主部110m(2mm)および小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔(0.8~1.0mm)それぞれの直径よりも小さい円錐状遠位端110deとを有する。以上から、可撓性制御ワイヤ128の近位-遠位(押し込み)運動によって、(直径がおよそ0.6mmの)シースの円錐状遠位端110deは、(直径がおよそ0.8~1.0mmの)小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔を容易に通過することにより、(直径がおよそ2mmの)シースの主部110mの大動脈管腔への進入を外傷なく容易にする。
【0054】
孔封止アセンブリ112は、(i)血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、(たとえば、ニードルまたはシリンジによって)血管内壁セグメントに作成された小さな孔[すなわち、非切開]の周りの周辺シールを外傷なく確立すること(たとえば、
図5B、
図19C、および
図19Dに示す)と、(ii)血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを維持すること(たとえば、
図19E~
図19Gに示す)とを行うように構成されている。
【0055】
孔封止アセンブリ112は、血流のない状態でのBVIW封止・孔形成デバイス102による(孔封止デバイス106および吻合孔生成デバイス108を介した)周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔(たとえば、およそ4~5ミリメートル(mm)の直径を有する)の形成(生成)前、形成(生成)中、および形成(生成)後に、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを外傷なく維持する。このような孔封止アセンブリ112の構造的および機能的特性および特徴により、選択した血管の血管腔の内側において外科的血管吻合術を実行する上で、血管内壁セグメントの周辺を囲む非常に望ましい外傷なき「無血流」局所環境がもたらされる。
【0056】
例示的な実施形態において、孔封止アセンブリ112は、対応する潰れた構成および自己拡張構成を有することと併せて、可逆的に潰れ可能および自己拡張可能である(すなわち、潰れ可能、自己拡張可能、再潰れ可能など)。孔封止アセンブリ112は、自己拡張可能および潰れ可能な特性を孔封止アセンブリ112に与える可撓性の弾性材料(たとえば、可撓性の弾性金属、プラスチック、合成ポリマー、複合材、または/および同様の種類の材料)で構成されている。孔封止アセンブリ112は、閉じた(潰れた)傘の上部と同様の非作動の潰れた構成を有する。孔封止アセンブリ112は、開いた(拡張した)傘の上部と同様の作動した自己拡張構成を有する。孔封止アセンブリ112は、非作動の潰れた構成から作動した自己拡張構成へと自己拡張可能に構成されている。具体的に、孔封止アセンブリ112は、シース110に包囲されて保持されることにより、潰れた構成となる。孔封止アセンブリ112は、その周りからシース110を除去すると、自己拡張して自己拡張構成となる。
【0057】
孔封止アセンブリ112は、非作動の潰れた構成および作動した自己拡張構成のそれぞれにおいて、管状形状または形態(すなわち、首または喉状の端部)を有する(比較的短い)遠位端部(首部または頂点部)を有する。このような例示的な実施形態においては、孔封止アセンブリ112の遠位端部(首部または頂点部)の管状形状または形態によって、(内側に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130の遠位端(のみ)への操作接続が容易にされる。このような操作接続により、可撓性制御ワイヤ128は、可撓性チューブ130を遠位方向に通過して、シース110を孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去することができ、孔封止アセンブリ112が作動した自己拡張構成を有することになる。また、このような操作接続により、可撓性制御ワイヤ128は、シース110を近位方向に引き戻して、シース110を孔封止アセンブリ112上に戻すことができ、孔封止アセンブリが再び非作動の潰れた構成として包囲および保持される。
【0058】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、可撓性かつ弾性の全体的な半球(傘上部、ドーム、またはベル)形状または形態を有する。このような例示的な実施形態において、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、半球形状または形態を有する(主要な)中間部と、鋭角のフレアまたはフレア状形状または形態を有する(すなわち、中間部の近位端から、近位方向に徐々に、近位端まで外方に非直線拡張または開放した)(比較的短い)近位端部とを含む。このような例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの(主要な)中間部は、孔封止アセンブリの遠位端部(首部または頂点部)および孔封止アセンブリの近位端部それぞれの(近位-遠位)長さよりも大きな(近位-遠位)長さを有する。
【0059】
例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの中間部および近位部(すなわち、孔封止アセンブリの遠位端部の近位端から孔封止アセンブリの近位端まで近位方向に延びた部分)は、ストラットを有し、可撓性の弾性外部または外側カバーにより完全に覆われた(すなわち、ストラットの周囲および間を連続的に覆われた)可撓性の弾性骨格(または、ネット、メッシュ)型フレームとして構成されている。
【0060】
例示的な実施形態において、(ストラットを備えた)フレームは、多角形(たとえば、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、ダイヤモンド型形状、または類似形状)の幾何学的パターンを有するように構成されている。例示的な実施形態において、(ストラットを備えた)フレームは、このような多角形の幾何学的パターンを有する複数(少なくとも2列、たとえば3列)のストラットを具備する。
【0061】
(ストラットを備えた)フレームは、孔封止アセンブリの中間部および近位部の半球およびフレア形状もしくは形態ならびに構造的支持を提供する。外部または外側カバーは、孔封止アセンブリの中間部および近位部に対して、非常に効果的な封止特性を与える。
【0062】
孔封止アセンブリの中間部および近位部に関するこのような例示的な実施形態によれば、異なる血管の内側の異なる血管腔において考え得る異なる特定形状または形態およびサイズ寸法に従った孔封止アセンブリ112の物理的適合、対応、および作動(駆動)が容易にされる。たとえば、大動脈に関して、管腔の特定形状または形態およびサイズ寸法は通常、患者ごとに異なる。また、たとえば、孔封止アセンブリの中間部および近位端部の柔軟な形状または形態によれば、外科的血管吻合術中の様々な血管腔の実時間の(動的に変化する)構造的特徴に対する実時間の(動的な)自己適応(自己調整、自己変化)が容易にされる。
【0063】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合、孔封止アセンブリの中間部の可撓性の弾性半球形状または形態は、孔封止アセンブリの近位端部の可撓性の弾性フレアまたはフレア状形状または形態と併せて、たとえば端側式の外科的血管吻合術等の外科的血管吻合術での使用に特に関連するとともに都合が良い。たとえば、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合、孔封止アセンブリの中間部の可撓性の半球形状または形態は、孔封止アセンブリの近位端部の可撓性の弾性フレアまたはフレア状形状または形態と併せて、外科的血管吻合術を実行する血管腔の無血流局所環境において、周辺封止血管内壁セグメント内に十分な作動(動作)空間(容積)を提供する。また、孔封止アセンブリの近位端部のフレアまたはフレア状形状または形態は、血管内壁セグメントの周りの周辺シールを確立および維持する血管内壁セグメント(および、その組織)の周囲(外周)に直接接触する孔封止アセンブリ112の部分(すなわち、近位端部の円周方向近位端)に対して外傷なき(すなわち、鋭くも角張ってもない封止)構造を与える。
【0064】
別の例示的な孔封止アセンブリの例示的な一実施形態については、
図8Bに示すとともに後述する。このような孔封止アセンブリの例示的な一実施形態には、フレアまたはフレア状形状または形態のない近位端部を含む。
【0065】
手動孔封止コントローラアセンブリ
孔封止デバイスの近位部106pには、BVIW封止・孔形成デバイス102の一部の手動制御(運動、位置決め、駆動、操作)を容易にするように構成された手動孔封止コントローラアセンブリ114を含む。より具体的に、手動孔封止コントローラアセンブリ114は、吻合孔生成デバイス108の使用前および使用後に、孔封止デバイスの遠位部106d(シース110および内部に保持された孔封止アセンブリ112を含む)の手動制御を容易にするように構成されている。
【0066】
手動孔封止コントローラアセンブリ114は、手動制御つまみ116および手持ちハウジングアセンブリ118を含む手持ちモジュールとして構成されている。手動制御つまみ116または類似種類の構造体は、たとえば手動制御つまみ116を指(たとえば、親指)で押すか引くことにより、手動操作可能かつ直線平行移動可能(手動押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)に構成されている。手持ちハウジングアセンブリ118は、たとえば
図1および
図2において破線の双頭(両方向)矢印122により示すように、手動制御つまみ116が内部に沿って手動操作可能かつ直線平行移動可能となる直線状スロット(狭隘溝またはチャネル)120が構成されている。
【0067】
手持ちハウジングアセンブリ118の遠位端部には、たとえば一対の対向(正対)位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材(たとえば、指圧作動弾性締結具またはラッチ)126が構成された接続部材124を含む(たとえば、
図2および
図3においてより見やすい)。接続部材124は、(たとえば、以下でより詳細に説明する通り、吻合孔生成デバイス108の内側アセンブリ152の突出リム(フランジ)164を介した)吻合孔生成デバイス108の近位端に対する手動孔封止コントローラアセンブリ114の遠位端の可逆的な手動操作接続(接続、取り外し、再接続)を容易にするように構成されている。
【0068】
吻合孔生成デバイス108の近位端に対する手動孔封止コントローラアセンブリ114の遠位端の手動操作接続によって、手動制御(運動、位置決め、駆動、操作)を容易にする安定した基盤が孔封止デバイスの遠位部106d(シース110および内部に保持された孔封止アセンブリ112を含む)に与えられる。これには、たとえば制御ワイヤ128を使用した孔封止アセンブリ112からのシース110の遠位方向案内除去中の安定した基盤の提供による自己拡張の容易にと、選択した血管の血管腔の内壁セグメントに沿った孔封止アセンブリ112の手動制御位置決めとを含む。これにより、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、血管内壁セグメントに作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の周りの周辺シールを正確に外傷なく確立すること(
図3B、
図19C、および
図19D)と、その後、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを維持すること(たとえば、
図19E~
図19Gに示す)とが容易にされる。
【0069】
吻合孔生成デバイス108の近位端からの手動孔封止コントローラアセンブリ114の遠位端の手動操作取り外しは、血管内壁セグメントに沿った孔封止アセンブリ112の自己拡張および手動制御位置決めに成功した後に実行され、その後の吻合孔生成デバイス108に対する孔形成アクチュエータ104の操作接続のためのスペースが確保された後、吻合孔生成デバイス108の作動および使用によって、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔が外傷なく生成される。
【0070】
(内側アセンブリ152の突出リム(フランジ)164を介した)吻合孔生成デバイス108の近位端に対する(接続部材124を介した)手動孔封止コントローラアセンブリ114の遠位端の手動操作再接続は、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔の生成および吻合孔生成デバイス108からの孔形成アクチュエータ104の取り外しに成功した後に実行される。このような取り外しは、自己拡張孔封止アセンブリ112を潰した後、潰れた構成の孔封止アセンブリ112をシース110に再挿入し、血管内壁セグメントを通じて血管からシース110を最終的に(近位方向に案内して)引き抜くことを容易にするように実行される。
【0071】
可撓性制御ワイヤおよび可撓性チューブ
可撓性制御ワイヤ128は、手動孔封止コントローラアセンブリ114の内側からシース110の内側へと延びるように構成されている。可撓性制御ワイヤ128およびその操作によれば、孔封止デバイスの遠位部106d(シース110および内部に保持された孔封止アセンブリ112を含む)の手動制御(運動、位置決め、駆動、操作)が容易にされる。可撓性チューブ130に包囲されて保持された可撓性制御ワイヤ128は、(非作動構成の)孔封止デバイス106中に存在し、参照番号128の破線矢印で示す通りであるが、
図1では不可視である。可撓性制御ワイヤ128の例示的な実施形態については、作動構成を
図2、
図5A、および
図5Bに、そのほぼ全体を
図3に、その近位端部を
図6および
図7に示す。
【0072】
これらの図に示すような例示的な実施形態において、可撓性制御ワイヤ128の近位端部は、たとえば手動制御つまみ116によって手持ちハウジングアセンブリ118の内側まで、手動孔封止コントローラアセンブリ114に固定接続される。このような例示的な実施形態において、可撓性制御ワイヤ128の遠位端は、たとえばシース110の遠位端110deの遠位端部110dの内側において、シース110に固定接続される。
【0073】
可撓性制御ワイヤ128は、可撓性チューブ130の空洞に包囲されて保持されるとともに、その長さに沿って延びる。可撓性チューブ130の近位端は、手持ちハウジングアセンブリ118の遠位部に固定接続され、孔封止デバイスの遠位部106dまで遠位方向に延びる。可撓性チューブ130の遠位端は、孔封止アセンブリがシース110の内側で非作動の潰れた構成である場合および孔封止アセンブリ112がシース110の外側で作動した自己拡張構成の場合に、孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部の内側の)遠位端に固定接続される。
【0074】
可撓性チューブ130の内側(すなわち、シース110を孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去する前)の可撓性制御ワイヤ128は、手動孔封止コントローラアセンブリ114の手動操作によって、孔封止デバイスの近位部106pと遠位部106dとの間で直線平行移動可能(直線押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)となる。例示的な実施形態において、可撓性チューブ130の外側(すなわち、シース110の孔封止アセンブリ112からの除去中および除去後)の可撓性制御ワイヤ128は、手動孔封止コントローラアセンブリ114の手動操作によって、孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端とシース110の近位端(開口)との間で非直線平行移動可能(非直線押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)となる。このような可撓性チューブ130の外側の可撓性制御ワイヤ128の一部の非直線平行移動可能な移動性(押し引き)は、たとえば可撓性制御ワイヤ128の残りの部分に対して熱的に成形(処理)された部分によって可能となる。たとえば、可撓性制御ワイヤ128の遠位部は、装置100の組み立ての完了、特に孔封止デバイス106の組み立て、より詳細には可撓性チューブ130の内側の可撓性制御ワイヤ128の配置に先立って熱的に成形(処理)される。例示的な実施形態において、可撓性制御ワイヤ128の遠位部は、温式または冷式の熱処理によって熱処理されることにより、例示的に前述および後述する構造的および機能的特性および性質が与えられる。
【0075】
例示的な実施形態において、可撓性チューブ130は、解放状態の場合に最小抵抗で異なる形状へと延展または屈曲可能であり、たとえば1g~10Kg、任意選択として10g~5Kg、または任意選択として100g~1Kgの選定張力の範囲内の張力を受けて引っ張られた場合にピンと張った形態を維持するように延伸可能である。例示的な実施形態においては、可撓性チューブ130に吻合孔生成部材170が結合され、自由に通過可能となっている。例示的な実施形態において、可撓性チューブ130は、(たとえば、角度配向により)可撓性チューブ130に沿って吻合孔生成デバイス108(吻合孔生成部材170を含む)を通過させてガイドするように構成された選定配向となるように操作可能である。
【0076】
例示的な実施形態において、シース110、孔封止アセンブリ112、可撓性制御ワイヤ128、および可撓性チューブ130は、たとえば端側式の外科的血管吻合術等の外科的血管吻合術での使用に特に関連する以下の作動構成を有するように構成されている。
【0077】
例示的な実施形態において、シース110の近位端(すなわち、開口)110peは、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端に隣接せず、離れている。具体的に、作動構成において、シース110の近位端110peは、(制御ワイヤ128による)シース110の遠位方向案内手動押し込み運動によって、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の遠位端112deから遠位方向に離れて、ある距離(たとえば、少なくとも数ミリメートル、最大で数センチメートル)に位置決めされる。
【0078】
このような例示的な実施形態において、シース110の近位端110peは、制御ワイヤ128の遠位端部によるシース110の手動押し込み(シースの遠位端110deの非直線平行移動によって)によって遠位方向に非直線状に案内されることにより、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリの遠位端から遠位方向に非直線状に離れて、ある距離(たとえば、数ミリメートル~数センチメートル)に位置決めされる。このようなシース110および孔封止アセンブリ112の作動構成によれば、制御ワイヤ128は、たとえば以下のように、特に孔封止アセンブリ112の遠位端とシース110の近位端110peとの間に延びた鋭角状曲率部(すなわち、鋭角を有し、鋭角を特徴とする曲率部)を特徴とする作動構成を有することが容易にされる。
【0079】
このような例示的な実施形態において、可撓性制御ワイヤ128は、たとえば
図2、
図5A、および
図5Bに示すように、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端と(孔封止アセンブリ112から除去された[遠位方向に非直線状に離れて、ある距離に位置決めされた])シース110の近位端110peとの間に延びた可撓性制御ワイヤ128の遠位端部が鋭角状曲率部(鋭角の曲率部)200を有する作動構成となるように構成されている。例示的な実施形態において、このような可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部は、本質的には最大で直角すなわち90°(90度)であってもよく、0°(ゼロ度)~90°(90度)の範囲を有する。例示的な実施形態において、このような可撓性制御ワイヤの遠位端部の鋭角状曲率部は、数ミリメートル(mm)~数センチメートル(cm)の範囲の長さ(たとえば、15~20ミリメートル(mm))を有する。
【0080】
可撓性制御ワイヤの鋭角状曲率部200は、外科的血管吻合術の実行に選択した血管(たとえば、大動脈)等、選択した血管の内側の血管腔において、(非作動および作動の両構成の)(a)シース110、(b)可撓性制御ワイヤ128、および(c)孔封止アセンブリ112の(結合)長さの外傷なき効率的な物理的適合および対応を容易にする。具体的に、第1には、血管腔において、(a)孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去された後の(依然として非作動の潰れた構成の)シース110の長さと(b)可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200の長さとの組み合わせの外傷なき適合および対応を容易にする。第2には、血管腔において、(a)孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去された後の(作動した自己拡張構成の)シース110の長さと(b)可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200の長さとの組み合わせの外傷なき適合および対応を容易にする。
【0081】
第2の態様に関しては、可撓性制御ワイヤの遠位端部が鋭角状曲率部200を有する場合にのみ、(a)(孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去され、離れて位置決めされた)シース110、(b)可撓性制御ワイヤの遠位端部の鋭角状曲率部200、および(c)(完全作動完全自己拡張構成の)孔封止アセンブリの(結合)長さに血管腔の内径が物理的に適合および対応し得る。可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200がないシナリオの場合は、血管腔の内径が小さいため、(a)(たとえば、孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去されたものの、隣接しており、離れて位置決めされていない)シース110および(b)(完全作動完全自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の[近位-遠位]直線状(または、ほぼ直線状)の構成の(結合)長さに対する物理的適合および対応は不可能である。
【0082】
このような可撓性制御ワイヤ128の特性および特徴によれば、血管腔の内側でその血管内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、血管内壁セグメントに作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の周りの周辺シールを外傷なく確立することと、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔の形成(生成)中に、周辺封止血管内壁セグメントを維持することとを行う孔封止アセンブリ112の非常に効率的かつ効果的な動作が容易にされる。
【0083】
固定・アンカリングアセンブリ
外科的血管吻合術において装置100を使用する例示的な実施形態において、手動孔封止コントローラアセンブリ114は(手持ちハウジングアセンブリ118を介して)、外科的血管吻合術中に存在する医療従事者(たとえば、看護師、医療助手、別の外科医)の(静止した)手の中で動かずにしっかりと固定して保持される。このような手持ちハウジングアセンブリ118のしっかりと固定された手動静止保持により、孔封止デバイスの近位部106pに対して(一般的には手動孔封止コントローラアセンブリ114(および、その構成要素)に対し、詳細には可撓性チューブ130および内部に保持された可撓性制御ワイヤ128に対して)、安定した近位方向の(基準となる)静止位置が確立される。このような構成要素について、安定した近位方向の(基準となる)静止位置を確立することは非常に望ましく、外科的血管吻合術の選択した血管腔およびその内壁セグメントに対する孔封止デバイスの遠位部106d(シース110および内部に保持された孔封止アセンブリ112を含む)の効果的で正確な手動制御(運動、位置決め、駆動、操作)を容易にする上で重要とも考えられる。
【0084】
別の(任意選択としての)例示的な実施形態において、手動孔封止コントローラアセンブリ114は、孔封止デバイスの近位端部106pを安定した静止(固定)物体に接続するとともに、このような固定およびアンカリングがもはや必要なくなった場合には、孔封止デバイスの近位端部106pを取り外すことによって、孔封止デバイスの近位端部106pの可逆的な固定およびアンカリング(固定および脱固定、アンカリングおよび脱アンカリング)を容易にするように構成された固定・アンカリングアセンブリをさらに具備する。例示的な安定静止(固定)物体は、患者の手術台フレームもしくはこれに固定接続された物体、様々な種類の手術用機器(たとえば、手術用開創器具)、あるいは医療従事者(看護師、医療助手、別の外科医)の手等、外科的血管吻合術中に一般的に存在するものである。このような例示的な実施形態において、たとえば、固定・アンカリングアセンブリは、(固定接続によって)手動孔封止コントローラアセンブリ114を安定した静止(固定)物体に可逆的に固定およびアンカリングするとともに、もはや必要なくなった場合に手動孔封止コントローラアセンブリ114を取り外すように構成されている。例示的な実施形態において、固定・アンカリングアセンブリの遠位部(または、その端部)は、手動孔封止コントローラアセンブリ114の近位部または中間部(または、その端部)に固定およびアンカリング(固定接続)され、固定・アンカリングアセンブリの近位部(または、その端部)は、安定した静止(固定)物体に対して可逆的に固定およびアンカリング(固定接続)可能である。
【0085】
固定・アンカリングアセンブリの例示的な実施形態については、
図1、
図2、
図3、
図6、
図17、および
図18において、参照番号132により示す。このような例示的な実施形態によれば、固定・アンカリングアセンブリ132は、たとえば
図1、
図2、および
図6において破線の双頭(両方向)矢印139により示すように、(接続によって)手動孔封止コントローラアセンブリ114を安定した静止(固定)物体133に可逆的に固定およびアンカリングするとともに、もはや必要なくなった場合に手動孔封止コントローラアセンブリ114を安定した静止(固定)物体133から取り外すように構成されている。
【0086】
例示的な実施形態において、固定・アンカリングアセンブリ132は、中間部または中央部134、遠位端部136、および近位端部138を有する可撓性(弾性)ストラップ、ロッド、またはバー式構造等の単一の一体型可撓性(弾性)構造体として構成されている。固定・アンカリングアセンブリの遠位端部136は、固定・アンカリングアセンブリ132中に存在し、参照番号136の破線で示す通りであるが、
図1および
図2では不可視である。固定・アンカリングアセンブリの遠位端部136の例示的な実施形態については、
図3および
図6に示すとともに、以下に詳しく説明する。これらの図に示すような例示的な実施形態においては、固定・アンカリングアセンブリの遠位端部136および近位端部138がそれぞれ、ループ(または、ループ状)およびリング(または、リング状)構造を有する。固定・アンカリングアセンブリの遠位端部136は、たとえば手持ちハウジングアセンブリ118の内側において、手動孔封止コントローラアセンブリ114の近位部または中間部(または、その端部)に固定接続されている。固定・アンカリングアセンブリの近位端部138は、患者の手術台フレームまたは/およびこれに固定接続された物体、様々な種類の手術用機器(たとえば、手術用開創器具)等の安定した静止(固定)物体に対して可逆的に固定およびアンカリング(接続)可能であり、もはや必要なくなった場合には取り外される。
【0087】
このような例示的な実施形態において、固定・アンカリングアセンブリ132の可撓性(弾性)は、たとえば孔封止デバイスの近位部106pを固定物体133に対して可逆的に固定およびアンカリングした後、可撓性制御ワイヤ128を操作することによって、孔封止アセンブリ112の張力の維持を容易にする。このように孔封止アセンブリ112の張力を維持することは、たとえば外科的血管吻合術中に固定物体133、孔封止デバイスの近位部106p、または/および患者がわずかに移動する状況において重要となる。
【0088】
別の固定・アンカリングアセンブリ(および、その構成要素)の例示的な一実施形態を含めて、手動孔封止コントローラアセンブリの別の例示的な実施形態については、以下で例示的に説明するとともに
図7に示す。
【0089】
吻合孔生成デバイス
BVIW封止・孔形成デバイス102の別の主要な構成要素である吻合孔生成デバイス108は、血流のない状態で、最初は遠位方向案内運動により、その後は近位方向案内運動によって、周辺封止血管内壁セグメントを通過する吻合孔を外傷なく生成するように構成されている。
【0090】
吻合孔生成デバイス108は、外側アセンブリ150および内側アセンブリ152を具備する。外側アセンブリ150および内側アセンブリ152はそれぞれ、(共有)同心長手方向軸に沿って同軸管状に成形されている(すなわち、中央に長手方向に穿孔された空洞が長さに沿って延びた円筒形状構造である)。例示的な実施形態においては、内側アセンブリ152が外側アセンブリ150よりも長い(すなわち、内側アセンブリ152の全長が外側アセンブリ150の全長よりも大きい)。
【0091】
図1に示すように、非作動構成の装置100の場合、可撓性チューブ130およびその内部の可撓性制御ワイヤ128は、孔封止デバイスの近位部106pから(手動孔封止コントローラアセンブリ114内から)吻合孔生成デバイス108の内側アセンブリ152および外側アセンブリ150の中心管状空洞を通って孔封止デバイスの遠位部106dまで((非作動の潰れた構成の)孔封止アセンブリ112が内部に保持されたシース110中へと)遠位方向に延びる。
図2に示すように、作動構成の装置100の場合、可撓性チューブ130およびその内部の可撓性制御ワイヤ128は、シース110を潰れた孔封止アセンブリ112から除去した後、孔封止デバイスの近位部106pから(手動孔封止コントローラアセンブリ114内から)吻合孔生成デバイス108の内側アセンブリ152および外側アセンブリ150の中心管状空洞を通って孔封止デバイスの遠位部106dまで((作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の[首部または頂点部の内側の]遠位端まで)遠位方向に延びる。したがって、吻合孔生成デバイス108は、可撓性チューブ130に沿って手動で可逆的に平行移動可能(手動押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)である。
【0092】
このような手動の可逆的な平行移動可能性により、血流のない状態で周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を外傷なく生成する準備の一部として、選択した血管およびその血管壁に対する吻合孔生成デバイス108(および、その構成要素)の手動移動、ガイド、および位置決めが容易にされる。さらに、このような可撓性チューブ130に沿った吻合孔生成デバイス108の可逆的な平行移動可能性は、吻合孔形成(生成)手順における血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを維持しつつ、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の位置および構成に影響を及ぼすことなく実現可能である。
【0093】
例示的な実施形態においては、(共有)同心長手方向軸に沿って、内側アセンブリ152の一部が外側アセンブリ150により同心状に囲まれるとともに、外側アセンブリ150内に沿って密に嵌合する。このような外側アセンブリ150における内側アセンブリ152の一部の密な嵌合は、外側アセンブリ150および内側アセンブリ152がそれぞれ互いに直線平行移動可能となる(すなわち、同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に摺動移動可能となる)形態である。例示的な実施形態において、外側アセンブリ150および内側アセンブリ152それぞれの直線平行移動可能な相対運動は、ばね154によって制御可能であるとともに制限される。ばね154は、孔生成デバイス150中に存在し、参照番号154の破線矢印で示す通りであるが、
図1および
図2では不可視である。ばね154の例示的な実施形態については、
図4B、
図9B、および
図9Dに示すとともに、以下に詳しく説明する。
【0094】
外側アセンブリ150の近位部には、たとえば
図1において破線の双頭(両方向)矢印160により示すように、孔形成アクチュエータ104の内側アセンブリの遠位端184との可逆的な手動操作接続(接続、取り外し、および再接続)を容易にするように構成された突出リム(たとえば、フランジ)156を含む。
【0095】
内側アセンブリ152の近位端部は、2つの突出リム(たとえば、フランジ)すなわち内側突出リム162および外側突出リム164が構成されている。
【0096】
内側アセンブリ152の内側突出リム162は、ばね154と併せて、吻合孔生成デバイス108の外側アセンブリ150および内側アセンブリ152それぞれの直線平行移動可能な相対運動を制限するように構成されている。
【0097】
内側アセンブリ152の外側突出リム164、たとえば
図1において破線の双頭(両方向)矢印166により示すように、孔形成アクチュエータ104の外側アセンブリの遠位端に対する吻合孔生成デバイス108の近位端の可逆的な手動操作接続(接続、取り外し、再接続)を容易にするように構成されている。例示的な実施形態において、このような形成アクチュエータ104の外側アセンブリの遠位端に対する吻合孔生成デバイス108の近位端の可逆的な手動操作接続は、以下でより詳細に説明する通り、孔形成アクチュエータ104の外側アセンブリの遠位端部上に構成された一対の(正対)位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材182(たとえば、指圧作動弾性締結具またはラッチ)の動作によっても容易にされる。
【0098】
内側アセンブリ152の外側突出リム164、(たとえば、接続部材124およびコネクタ部材126を介した)手動孔封止コントローラアセンブリ114の遠位端に対する吻合孔生成デバイス108の近位端の可逆的な手動操作接続(接続、取り外し、再接続)を容易にするようにさらに構成されている。
【0099】
吻合孔生成部材
内側アセンブリ152の遠位端部は、(i)血流のない状態で、遠位方向(すなわち、前方)案内(手動押し込み)運動により、選択した血管の血管内壁セグメントに(たとえば、ニードルまたはシリンジにより)作成された小さな孔[すなわち、非切開]を外傷なく通過することと、(ii)近位方向(すなわち、逆方向)案内(手動引き込み)運動により、選択した血管の血管内壁セグメントを通る吻合孔を生成することと、(iii)さらなる近位方向(逆方向)案内(手動引き込み)運動により、選択した血管の血管内壁セグメントを通るように生成された孔から出ることと、を行うように構成された吻合孔生成部材170が構成されている。
【0100】
例示的な実施形態において、吻合孔生成部材170の遠位部は、管状錐体(すなわち、中央に穿孔された管状形状の空洞が[近位-遠位]高さに沿って延びた錐体または円錐形状構造)として構成されている。管状錐体の近位端部には管状錐体の円形基部を含み、管状錐体の遠位端部には管状錐体のテーパ状先端部(頂点部)を含む。このような管状錐体構成は、上記(i)の実行すなわち遠位方向(前方)案内(手動押し込み)運動による選択血管の壁を通るように作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の外傷なき通過に非常に効果的である。具体的に、遠位方向案内(手動押し込み)運動によって血管壁の小さな孔[すなわち、非切開]を通過する場合の吻合孔生成部材170の遠位部の(傾斜またはテーパ状)円錐形状は、吻合孔生成部材の遠位部の非円錐構成によって発生する可能性がある血管壁の考え得る望ましくない損傷または損壊を除外または最小化するように小さな穴を外傷なく広げる(拡幅する、拡大する)。
【0101】
例示的な実施形態において、孔生成部材の管状錐体の近位端部には、管状錐体の円形基部から連続して近位方向に延びた非傾斜(非テーパ状)の管状セグメントを含む。非傾斜の管状セグメントは、管状錐体の近位端部中に存在するが、
図1および
図2では不可視である。非傾斜の管状セグメントの例示的な実施形態については、
図4A、
図4B、および
図9A~
図9Dに示すとともに、以下に詳しく説明する。例示的な実施形態において、比傾斜(非テーパ状)の管状セグメントは、外径が管状錐体の円形基部の直径と同じで、長手方向(すなわち、近位-遠位)長さが管状錐体の(近位-遠位)高さよりも小さいリングの形態を有する。例示的な実施形態において、管状セグメントの近位端は、血管壁に吻合孔を生成するように、(血管内壁セグメント内から血管内壁セグメントの外側まで)血管壁を通り抜けるように構成された鋭い縁部を有する。このような管状セグメント構成は、上記(ii)の実行すなわち近位方向(すなわち、逆方向)案内(手動引き込み)運動による選択血管の血管内壁セグメントを通る吻合孔の生成に非常に効果的である。
【0102】
例示的な実施形態において、吻合孔生成部材170の残りの近位方向延伸部(すなわち、管状セグメントから近位方向に延びた部分)は、直径が管状錐体の円形基部(または、これと連続する管状セグメント)の直径よりも小さい管状形状であり、管状セグメントの近位端から内側アセンブリ152の中間部まで近位方向に延びた一種の管状「テール」として構成されている。吻合孔生成デバイス108の内側アセンブリ152および外側アセンブリ150それぞれの中心管状空洞に関しては、管状セグメントの中心管状空洞が(内部に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130の可逆的な通過を容易にする。
【0103】
孔形成アクチュエータ
血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイス102と併せて、孔形成アクチュエータ104は、外科的血管吻合術に使用する装置(全体)100の別の主要な構成要素である。
【0104】
孔形成アクチュエータ104は、BVIW封止・孔形成デバイス102に対して動作可能に接続可能であるとともに、BVIW封止・孔形成デバイス102を動作させて、特にその吻合孔生成デバイス108を作動(駆動)させるように構成されている。
【0105】
孔形成アクチュエータ104は、外側アセンブリ174および内側アセンブリ176を具備する。外側アセンブリ174および内側アセンブリ176はそれぞれ、(共有)同心長手方向軸に沿って同軸管状に成形されている。例示的な実施形態においては、内側アセンブリ176が外側アセンブリ174よりも長い(すなわち、内側アセンブリ176の全長が外側アセンブリ174の全長よりも大きい)。
【0106】
例示的な実施形態においては、(共有)同心長手方向軸に沿って、内側アセンブリ176の一部が外側アセンブリ174により同心状に囲まれるとともに、外側アセンブリ174内に沿って密に嵌合する。このような外側アセンブリ174における内側アセンブリ176の一部の密な嵌合は、外側アセンブリ174および内側アセンブリ176がそれぞれ互いに直線平行移動可能となる(すなわち、手動押し引き可能ならびに同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に摺動移動可能となる)形態である。
【0107】
孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174の近位端部は、孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174および内側アセンブリ176それぞれの直線平行移動可能な相対運動を容易にする一対の対向(正対)位置決めされた手動制御可能なガイド部材180(たとえば、剛性つまみ)が構成されている。
【0108】
孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174の遠位端部は、上述の通り、孔形成アクチュエータ104の外側アセンブリの遠位端に対する吻合孔生成デバイス108の近位端(すなわち、内側アセンブリ152の外側突出リム164)の可逆的な手動操作接続を容易にする一対の対向(正対)位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材182(たとえば、指圧作動弾性締結具またはラッチ)が構成されている。
【0109】
孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端は、たとえば
図1(非作動状態の装置100)において破線の双頭(両方向)矢印160により示すように、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156[たとえば、フランジ]を介した)近位部との可逆的な手動操作接続(接続、取り外し)を容易にする円形の(リムまたはフランジが適合する)溝184として構成されている。このような操作接続は
図2(作動状態の装置100)において明らかであり、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の突出リム(フランジ)156が孔形成アクチュエータの遠位端の円形溝184に動作可能に接続(一体化および保持)されている。
【0110】
孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の近位端部は、カバー(または、キャップ)186が構成されている。例示的な実施形態において、カバー(または、キャップ)186は、特に孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174および内側アセンブリ176それぞれの取り扱いおよび操作によって吻合孔生成デバイス108を作動(駆動)させる間に、孔形成アクチュエータ104のユーザフレンドリで人間工学的な手動使用を容易にするように構成されている。例示的な実施形態において、カバー(または、キャップ)186は、たとえば「摺動式」の機構が構成されており、たとえば
図1、
図2、
図10A~
図10D、
図11A~
図11D、
図12A、
図12B、
図17、および
図18に示すように、内側アセンブリ176の遠位端部に対する比較的簡単な単一式の摺動被覆および保持(把持)を容易にするように構成された一組のスリット(長く真っ直ぐな狭隘切り込みまたは開口)188を含む。このような例示的な実施形態によれば、カバー(または、キャップ)186は、スリット188を介して容易に摺動し、孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の近位端部に対して円周方向に保持(把持)される。
【0111】
別の(任意選択としての)例示的な実施形態において、カバー(または、キャップ)186は、たとえば「ねじ込み式」の機構が構成されており、たとえば
図13Aおよび
図13Bに示すように、カバー(または、キャップ)186および内側アセンブリ176の近位端部がそれぞれ、小さなネジがねじ込まれてカバー(または、キャップ)186および内側アセンブリ176の近位端部を一体的に保持する同じサイズの雌ネジが構成されている。
【0112】
摺動可能な相対運動のための長手方向側部スロット
孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176は、孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の側面に沿って(遠位方向から近位方向に)中間部から近位部まで延び、一対の対向(正対)位置決めされた長手方向側部スロット(狭隘溝またはチャネル)190が構成された、ある長さの2つの側部を有する。
図1および
図2においては、2つの長手方向側部スロット190の一方のセグメントのみが見えており、長手方向側部スロットの他方の不可視セグメントについても、同じく参照番号190の破線矢印で示している。長手方向側部スロット190の別の例示的な実施形態については、
図11B~
図11Dおよび
図12Bに示す。長手方向側部スロット190は、内側アセンブリ176の中間部および近位部の2つの側部の(中間-近位)長手方向長さに沿って(遠位方向から近位方向に)延びている。
【0113】
長手方向摺動スロット190によれば、外側アセンブリ174および内側アセンブリ176それぞれの直線平行移動可能な相対運動も容易にされる。具体的に、外側アセンブリ174は、外側アセンブリ174の一対の手動制御可能なガイド部材180(たとえば、剛性つまみ)の操作により、内側アセンブリ176の長手方向摺動スロット190内でこれに沿って摺動可能である。
【0114】
可撓性チューブおよび吻合孔生成デバイスを操作する長手方向上部スロット
例示的な実施形態において、孔形成アクチュエータ104は、孔形成アクチュエータ104の遠位端から近位端近くまで(遠位方向から近位方向に)延び、単一の同軸デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向上部スロット(狭隘溝またはチャネル)[192および194]が構成された、ある長さの上部を有する。デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向上部スロット[192および194]は、内側アセンブリ長手方向上部スロット192および外側アセンブリ長手方向上部スロット194により形成され、これらを含む。孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176に内側アセンブリ長手方向上部スロット192が構成され、孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174に外側アセンブリ長手方向上部スロット194が構成されることにより、内側アセンブリ長手方向上部スロット192が外側アセンブリ長手方向上部スロット194と同軸である。
【0115】
また、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]は、孔形成アクチュエータ104の吻合孔生成デバイス108との可逆的な手動操作接続を容易にする。具体的に、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156[たとえば、フランジ]を介した)近位部に対する孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の(リムまたはフランジ嵌合溝を介した)遠位端184の可逆的な操作接続は、たとえば
図1(非作動状態の装置100)において破線の双頭(両方向)矢印160により示すとともに、
図2(作動状態の装置100)において示す通りである。たとえば、孔形成アクチュエータ104を孔封止デバイスの遠位部106dに近接させて、孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端184を吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156を介した)近位部に接続する場合は、まず、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]の使用(手動操作)により、(たとえば、
図1において破線の双頭(両方向)矢印196により示すように)(内部に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130を受容して(緩く)包囲した後、(
図2に示すように)接続を形成する。
【0116】
これと同様に(ただし逆に)、孔形成アクチュエータ104を吻合孔生成デバイス108から取り外す場合に容易さが有効となる。たとえば、(
図2に示すように)接続された構成要素を取り外す場合は、まず、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156を介した)近位部を孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端184から取り外した後、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]の内側から可撓性チューブ130を移動および解放することによって、(再び
図1に示すように)取り外しを容易にする。
【0117】
例示的に上述した通り、吻合孔生成デバイス108は、可撓性チューブ130に沿って手動で可逆的に平行移動可能(手動押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)である。孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端184を吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156を介した)近位部に接続した後は、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]によっても、血流のない状態で周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を外傷なく生成する準備の一部として、選択した血管およびその血管壁に対する吻合孔生成デバイス108(および、その構成要素)の(デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]に沿って延びる可撓性チューブ130の部分を介して)手動移動、ガイド、および位置決めが容易にされる。さらに、このようなデュアルアセンブリ長手方向スロット[192および194]の内側の可撓性チューブ130を介した吻合孔生成デバイス108の可逆的な平行移動可能性は、吻合孔形成(生成)手順における血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを維持しつつ、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の位置および構成に影響を及ぼすことなく実現可能である。
【0118】
外科的血管吻合術に使用する装置および方法の例示的な種々実施形態の別の例示的な説明および詳細
以下は、外科的血管吻合術に使用する装置および方法の例示的な種々実施形態の別の例示的な説明および詳細である。装置(全体)(および、その構成要素/機能)の例示的な実施形態に関する前述の例示的な説明が以下の別の例示的な説明にも完全に適用可能であり、その逆も同様である。
【0119】
図3は、孔封止デバイス106の例示的な一実施形態の模式分解斜視図である。BVIW封止・孔形成デバイス102の主要構成要素である孔封止デバイス106は、血管腔の内側において、血管内壁セグメントの周辺を血流から封止することにより、血管腔の内側において、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように構成されている。孔封止デバイス106は、シース110、孔封止アセンブリ112、手動孔封止コントローラアセンブリ114、可撓性制御ワイヤ128、および可撓性チューブ130を具備する。
【0120】
シース110は、(i)非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を外部から覆い、密に嵌合し、完全に包囲し、保持することと、(ii)(潰れた孔封止アセンブリ112によって)(ニードルまたはシリンジにより)血管内壁セグメントに沿って血管壁を通るように(前もって)作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔を通過することにより、外傷なく完全に血管腔に進入することと、を行うように構成されている。
図3においては、図示を目的として、孔封止アセンブリ112を作動した自己拡張構成にてシース110の外側に示している。
【0121】
シース110は、近位端110peが開放された主部110mと、遠位端(すなわち、テーパ状先端部または頂点部)110deが閉鎖された円錐状の遠位端部110dとを有する管状部材として構成されている。シースの円錐状遠位端110deは、シースの主部110mの外径よりも小さな最大外径を有する。例示的な実施形態において、シースの円錐状遠位端110deは、血管内壁セグメントに沿って血管壁を通るように(前もって)作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の直径よりも小さな最大外径を有する。
【0122】
たとえば遠位端110deにおけるシースの遠位端部110dの内側は、シース110の運動および位置決めならびに孔封止アセンブリ112の作動(駆動)を制御する可撓性制御ワイヤ128の遠位端に固定接続されている。可撓性制御ワイヤ128の近位端部は、たとえば手動制御つまみ116によって手持ちハウジングアセンブリ118の内側に固定接続される。手動孔封止コントローラアセンブリ114の内側においては、手動制御つまみ116が支持部材117により支持されている。例示的な実施形態において、手動制御つまみ116および支持部材117は、単一の一体構造として一体的に形成および構成されている。
【0123】
孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部の内側の)遠位端および可撓性チューブ130の遠位端は、互いに固定接続されている。可撓性チューブ130の近位端は、チューブ支持部材131に固定接続され、これが手持ちハウジングアセンブリ118の遠位端部に固定されている。
【0124】
手持ちハウジングアセンブリ118は、図示の構成要素の一部を含むことにより、対応する一対のネジ穴119にねじ込まれた一対のネジ117によって互いに固定接続された2つの相補部品118aおよび118bとして構成されている。手持ちハウジングアセンブリ118の相補部品118aおよび118bは、手動制御つまみ116が内部に沿って手動操作可能かつ直線平行移動可能となる直線状スロット(狭隘溝またはチャネル)120の2つの相補部120aおよび120bがそれぞれ構成されている。例示的な固定・アンカリングアセンブリ132の遠位端部136は、手持ちハウジングアセンブリ118の内側近位部に固定接続されている。
【0125】
図4Aおよび
図4Bはそれぞれ、シース110および吻合孔生成デバイス108の構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置100(全体)の遠位端部の例示的な一実施形態の模式側面図および模式側面断面図である。
図4Bは、血管壁BVW、その内部の血管腔BVL、その血管内壁BVIW、およびその血管内壁セグメントBVIWSを有する例示的な血管BVに対して、シース110および吻合孔生成デバイス108を示している。また、
図4Bは、(たとえば、ニードルまたはシリンジを用いて医療従事者により)血管内壁セグメントBVIWSに沿って血管壁BVWを通るように(前もって)作成された例示的な小さな孔[すなわち、非切開]SHを示している。
【0126】
例示的な血管BVは、たとえば外科的血管吻合術(たとえば、端側式の外科的血管吻合術)に使用する装置100の展開用に選択された大動脈である。血管BVの内側においては、血管腔BVLが血管内壁BVIWによって境界付け(囲繞)されている。吻合術を実行する場合は、内部(を通るよう)に吻合孔が生成される血管内壁BVIWに沿った対象領域が例示的な血管内壁セグメントBVIWSにより特徴付けられるようになっていてもよい(
図4Bにおいて、例示的な血管内壁セグメントBVIWSの略上下境界を指す一対の参照破線の遠位端により示す)。
【0127】
例示的に上述した通り、シース110は、(i)非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を外部から覆い、密に嵌合し、完全に包囲し、保持することと、(ii)(潰れた孔封止アセンブリ112によって)(たとえば、ニードルまたはシリンジを用いて医療従事者により)血管内壁セグメントBVIWSに沿って血管壁BVWを通るように(前もって)作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔を通過することにより、外傷なく完全に血管腔に進入することと、を行うように構成されている(
図4B、
図19A、および
図19B)。
【0128】
シース110は、近位端110peが開放された主部110mと、遠位端(すなわち、テーパ状先端部または頂点部)110deが閉鎖された円錐状(すなわち、錐体または円錐形状)の遠位端部110dとを有する管状部材として構成されている。シース110の円錐状遠位端110deは、シース110の主部110mの外径よりも小さな最大外径を有する。例示的な実施形態において、シースの円錐状遠位端110deは、血管内壁セグメントBVIWSに沿って血管壁BVWを通るように(前もって)作成された小さな孔SHの直径よりも小さな最大外径を有する。
【0129】
たとえば遠位端110deにおけるシースの遠位端部110dの内側は、シース110の運動および位置決めならびに孔封止アセンブリ112の作動(駆動)を制御する可撓性制御ワイヤ128の遠位端に固定接続されている。非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112の場合は、(可撓性制御ワイヤ128を包囲して保持する)可撓性チューブ130がシースの開放近位端110peから近位方向に現れる。
【0130】
シースの円錐状遠位端部110d(閉鎖遠位端[テーパ状先端部または頂点部]110deを伴う)は、(潰れた孔封止アセンブリ112によって)血管内壁セグメントBVIWSに沿って血管壁BVWを通るように作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔SHを通過することにより、外傷なく完全に血管腔BVLに進入する上で非常に効果的である。たとえば、端側CABG外科的血管吻合術を実行する場合は、およそ0.8ミリメートル(mm)~1.0ミリメートル(mm)の範囲の直径を有するニードルまたはシリンジを用いて大動脈壁に小さな孔SHが作成されることで、この小孔が同様の直径を有することになる。例示的なシース110は、外径がおよそ2ミリメートル(mm)の主部110mと、外径がおよそ0.6ミリメートル(mm)で、シースの主部110m(2mm)および小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔SH(0.8~1.0mm)それぞれの直径よりも小さい円錐状遠位端110deとを有する。以上から、可撓性制御ワイヤ128の近位-遠位(押し込み)運動によって、(直径がおよそ0.6mmの)シースの円錐状遠位端110deは、(直径がおよそ0.8~1.0mmの)小さな孔SHを容易に通過することにより、(直径がおよそ2mmの)シースの主部110mの大動脈管腔への進入を外傷なく容易にする。
【0131】
BVIW封止・孔形成デバイス102の別の主要な構成要素である吻合孔生成デバイス108は、血流のない状態で、最初は遠位方向案内運動により、その後は近位方向案内運動によって、周辺封止血管内壁セグメントを通過する吻合孔を外傷なく生成するように構成されている。
【0132】
吻合孔生成デバイス108は、外側アセンブリ150および内側アセンブリ152を具備する。外側アセンブリ150および内側アセンブリ152はそれぞれ、(共有)同心長手方向軸に沿って同軸管状に成形されている。例示的な実施形態においては、内側アセンブリ152が外側アセンブリ150よりも長い(すなわち、内側アセンブリ152の全長が外側アセンブリ150の全長よりも大きい)。
【0133】
非作動構成の装置100の場合、可撓性チューブ130およびその内部の可撓性制御ワイヤ128は、手動孔封止コントローラアセンブリ114から吻合孔生成デバイスの内側アセンブリ152および外側アセンブリ150それぞれの中心管状空洞を通って(非作動の潰れた構成の)孔封止アセンブリ112が内部に保持されたシース110中へと遠位方向に延びる。
【0134】
(共有)同心長手方向軸に沿って、内側アセンブリ152の一部が外側アセンブリ150により同心状に囲まれるとともに、外側アセンブリ150内に沿って密に嵌合する。このような外側アセンブリ150における内側アセンブリ152の一部の密な嵌合は、外側アセンブリ150および内側アセンブリ152がそれぞれ互いに直線平行移動可能となる(すなわち、同心長手方向軸に沿って互いに、遠位方向および近位方向に前後に摺動移動可能となる)形態である。外側アセンブリ150および内側アセンブリ152それぞれの直線平行移動可能な相対運動は、ばね154によって制御可能であるとともに制限される。
【0135】
ばね154は、長手方向スロット153(
図4B)の内側に収容され、これが内側アセンブリ152の中心管状空洞の内側に同軸で構成されている。ばね154の近位端は、ピン155を介して長手方向スロット153の内側の適所に保持されている。ピン155は、突出リム(フランジ)156に近接した外側アセンブリ150の近位端部において、外側アセンブリ150の中心管状空洞に収容され、これを横切る(通る)ように直交して(垂直に)延びている。ピン155は、外側アセンブリ150の近位端部に位置する一対の2つの対向(正対)して位置決めされた孔157(
図5A)によって適所に保持される。ばね154の遠位端は、内側アセンブリ152の中心管状空洞の遠位端159によって適所に保持される。したがって、ばね154およびその運動は、近位方向にはピン155によって制限され、遠位方向には内側アセンブリの中心空洞の遠位端159によって制限される。
【0136】
内側アセンブリ152の遠位端部は、(i)血流のない状態で、遠位方向(すなわち、前方)案内(手動押し込み)運動により、選択した血管の血管内壁セグメントに(たとえば、ニードルまたはシリンジにより)作成された小さな孔[すなわち、非切開]を外傷なく通過することと、(ii)近位方向(すなわち、逆方向)案内(手動引き込み)運動により、選択した血管の血管内壁セグメントを通る吻合孔を生成することと、(iii)さらなる近位方向(逆方向)案内(手動引き込み)運動により、選択した血管の血管内壁セグメントを通るように生成された孔から出ることによって、選択した血管から出ることと、を行うように構成された吻合孔生成部材170が構成されている。
【0137】
吻合孔生成部材170の遠位部は、管状錐体として構成されている。管状錐体の近位端部には管状錐体の円形基部を含み、管状錐体の遠位端部には管状錐体のテーパ状先端部(頂点部)を含む。このような管状錐体構成は、上記(i)の実行すなわち遠位方向(前方)案内(手動押し込み)運動による選択血管の壁を通るように作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の外傷なき通過に非常に効果的である。具体的に、遠位方向案内(手動押し込み)運動によって血管壁の小さな孔[すなわち、非切開]を通過する場合の吻合孔生成部材170の遠位部の(傾斜またはテーパ状)円錐形状は、吻合孔生成部材の遠位部の非円錐構成によって発生する可能性がある血管壁の考え得る望ましくない損傷または損壊を除外または最小化するように小さな穴を外傷なく広げる(拡幅する、拡大する)。
【0138】
孔生成部材の管状錐体170の近位端部には、管状錐体の円形基部から連続して近位方向に延びた非傾斜(非テーパ状)の管状セグメント173をさらに含む。比傾斜(非テーパ状)の管状セグメント173は、外径が管状錐体の円形基部の直径と同じで、長手方向(すなわち、近位-遠位)長さが管状錐体170の(近位-遠位)高さよりも小さいリングの形態を有する。管状セグメントの近位端は、血管壁を通る吻合孔を生成するように、(血管内壁セグメント内から血管内壁セグメントの外側まで)血管壁を通り抜けるように構成された鋭い縁部を有する。このような管状セグメント構成は、近位方向(すなわち、逆方向)案内(手動引き込み)運動による血管内壁セグメントを通る吻合孔の生成に非常に効果的である。吻合孔生成部材170の残りの近位方向延伸部(すなわち、管状セグメント173から近位方向に延びた部分)は、直径が管状錐体の円形基部(または、これと連続する管状セグメント173)の直径よりも小さい管状形状であり、管状セグメント173の近位端から内側アセンブリ152の中間部まで近位方向に延びた一種の管状「テール」として構成されている。吻合孔生成デバイス108の内側アセンブリ152および外側アセンブリ150それぞれの中心管状空洞に関しては、管状セグメント173の中心管状空洞が(内部に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130の可逆的な通過を容易にする。
【0139】
図5Aおよび
図5Bは、シース110の孔封止アセンブリ112からの非直線状遠位方向案内除去および分離によって、血管腔における可撓性制御ワイヤ128の遠位部の曲率部形成をさらに強調した、(作動構成の)装置100(全体)の例示的な実施形態の模式側面図である。
【0140】
図5Aは、吻合孔生成デバイス108の使用前に、孔封止デバイスの遠位部106d(シース110および内部に保持された孔封止アセンブリ112を含む)の手動制御(駆動、運動、位置決め)を容易にするように、直線状スロット120に沿った手動制御つまみ116の手動(遠位方向)押し込みによって、既に手動操作されている手動孔封止コントローラアセンブリ114を示す。
【0141】
図5Bは、血管壁BVW、その内部の血管腔BVL、その血管内壁BVIW、およびその血管内壁セグメントBVIWSを有する例示的な血管BVに対して、特に孔封止デバイスの遠位部106dに包含された装置100の構成要素の拡大側面図である。また、
図5Bは、(たとえば、ニードルまたはシリンジを用いて医療従事者により)血管内壁セグメントBVIWSに沿って血管壁BVWを通るように(前もって)作成された例示的な小さな孔SH(
図5Bにおいて、血管壁BVWおよび血管内壁BVIWに進入するとともに通過する参照点線の遠位端部により示す)を示している。
【0142】
例示的な血管BVは、たとえば外科的血管吻合術(たとえば、端側式の外科的血管吻合術)に使用する装置100の展開用に選択された大動脈である。血管BVの内側においては、血管腔BVLが血管内壁BVIWによって境界付け(囲繞)されている。吻合術を実行する場合は、内部(を通るよう)に吻合孔が生成される血管内壁BVIWに沿った対象領域が例示的な血管内壁セグメントBVIWSにより特徴付けられるようになっていてもよい(
図5Bにおいて、例示的な血管内壁セグメントBVIWSの略上下境界を指す一対の参照破線の遠位端により示す)。
【0143】
可撓性制御ワイヤ128の使用によって、シース110が孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去されることにより、自己拡張の容易にと、選択した血管BVの血管腔BVLの内側における血管内壁セグメントBVIWSに沿った孔封止アセンブリ112の手動制御位置決めとが容易にされる。これにより、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、血管腔BVLの内側でその血管内壁セグメントBVIWSに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを形成するように、血管内壁セグメントBVIWSに作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の周りの周辺シールを正確に外傷なく確立することと、その後、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを維持することとが容易にされる。
【0144】
孔封止アセンブリ112は、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを外傷なく確立および維持することにより、血流のない状態での(BVIW封止・孔形成デバイス102およびその構成要素(孔生成デバイス106および吻合孔生成デバイス108を含む)による)周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを通る吻合孔の形成(生成)を効果的に容易にする。孔封止アセンブリ112は、血流のない状態でのBVIW封止・孔形成デバイス102による(孔封止デバイス106および吻合孔生成デバイス108を介した)周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを通る吻合孔(たとえば、およそ4~5ミリメートル(mm)の直径を有する)の形成(生成)前、形成(生成)中、および形成(生成)後に、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを外傷なく維持する。このような孔封止アセンブリ112の構造的および機能的特性および特徴により、選択した血管BVの血管腔BVLの内側において外科的血管吻合術を実行する上で、血管内壁セグメントBVIWSの周辺を囲む非常に望ましい外傷なき「無血流」局所環境がもたらされる。
【0145】
可撓性チューブ130内の可撓性制御ワイヤ128は、手動孔封止コントローラアセンブリ114の手動操作によって、孔封止デバイスの近位部106pと遠位部106dとの間で直線平行移動可能(直線押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)となる。例示的な実施形態において、可撓性チューブ130の外側の可撓性制御ワイヤ128は、手動孔封止コントローラアセンブリ114の手動操作によって、孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端112deとシース110の近位端(開口)110peとの間で非直線平行移動可能(非直線押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)となる。
【0146】
例示的な実施形態において、シース110、孔封止アセンブリ112、可撓性制御ワイヤ128、および可撓性チューブ130は、たとえば端側式の外科的血管吻合術等の外科的血管吻合術での使用に特に関連する以下の作動構成を有するように構成されている。
【0147】
シース110および孔封止アセンブリ112が作動構成を有することにより、シース110の近位端(すなわち、開口)110peは、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端112deに隣接せず、離れている。具体的に、作動構成において、シース110の近位端110peは、(制御ワイヤ128による)シース110の遠位方向案内手動押し込み運動によって、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の遠位端112deから遠位方向に離れて、ある距離(たとえば、少なくとも数ミリメートル、最大で数センチメートル)に位置決めされる。
【0148】
シースの近位端110peは、可撓性制御ワイヤ128の遠位端部によるシース110の手動押し込み(および、シースの遠位端110deの非直線平行移動)によって遠位方向に非直線状に案内されることにより、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリの遠位端112deから遠位方向に非直線状に離れて、ある距離(たとえば、数ミリメートル~数センチメートル)に位置決めされる。このようなシース110および孔封止アセンブリ112の作動構成によれば、制御ワイヤ128は、たとえば以下のように、特に孔封止アセンブリ112の遠位端112deとシース110の近位端110peとの間に延びた鋭角状曲率部200(すなわち、鋭角を有し、鋭角を特徴とする曲率部)を特徴とする作動構成を有することが容易にされる。
【0149】
可撓性制御ワイヤ128は、たとえば
図2、
図5A、および
図5Bに示すように、(作動した自己拡張構成の)孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端112deと(孔封止アセンブリ112から除去された[遠位方向に非直線状に離れて、ある距離に位置決めされた])シース110の近位端(開口)110peとの間に延びた可撓性制御ワイヤ128の遠位端部が鋭角状曲率部(鋭角の曲率部)200を有する作動構成となる。可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200は、本質的には最大で直角すなわち90°(90度)であってもよく、0°(ゼロ度)~90°(90度)の範囲を有する。可撓性制御ワイヤの遠位端部の鋭角状曲率部200は、数ミリメートル(mm)~数センチメートル(cm)の範囲の長さ(たとえば、15~20ミリメートル(mm))を有する。
【0150】
可撓性制御ワイヤの鋭角状曲率部200は、外科的血管吻合術の実行に選択した血管(たとえば、大動脈)等、選択した血管BVの内側の血管腔BVL(の内径)において、(非作動および作動の両構成の)(a)シース110、(b)可撓性制御ワイヤ128、および(c)孔封止アセンブリ112の(結合)長さの外傷なき効率的な物理的適合および対応を容易にする。具体的に、第1には、血管腔BVLにおいて、(a)孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去された後の(依然として非作動の潰れた構成の)シース110の長さと、(b)可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200の長さおよび(c)(依然として非作動の潰れた構成の)孔封止アセンブリ112の長さとの組み合わせの外傷なき適合および対応を容易にする。第2には、血管腔BVL(の内径)において、(a)孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去された後の(作動した自己拡張構成の場合の)シース110の長さと、(b)可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200の長さならびに(c)(完全作動完全自己拡張構成の)孔封止アセンブリの長さおよび幅(直径)との組み合わせの外傷なき適合および対応を容易にする。
【0151】
第2の態様に関しては、可撓性制御ワイヤの遠位端部が鋭角状曲率部200を有する場合にのみ、(a)(孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去され、離れて位置決めされた)シース110、(b)可撓性制御ワイヤの遠位端部の鋭角状曲率部200、および(c)(完全作動完全自己拡張構成の)孔封止アセンブリの(結合)長さに血管腔BVLの内径が物理的に適合および対応し得る。可撓性制御ワイヤ128の遠位端部の鋭角状曲率部200がないシナリオの場合は、血管腔BVLの内径が小さいため、(a)(たとえば、孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去されたものの、隣接しており、離れて位置決めされていない)シース110および(b)(完全作動完全自己拡張構成の)孔封止アセンブリの[近位-遠位]直線状(または、ほぼ直線状)の構成の(結合)長さに対する物理的適合および対応は不可能である。
【0152】
このような可撓性制御ワイヤ128の特性および特徴によれば、血管腔BVLの内側でその血管内壁セグメントBVIWSに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを形成するように、血管内壁セグメントBVIWSに作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の周りの周辺シールを外傷なく確立することと、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔の形成(生成)中に、周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを維持することと、を行う孔封止アセンブリ112の非常に効率的かつ効果的な動作が容易にされる。
【0153】
(
図1および
図2を参照して)例示的に上述するとともに(
図8Aを参照して)以下に詳述する通り、孔封止アセンブリ112は、(i)血管腔BVLの内側でその血管内壁セグメントBVIWSに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを形成するように、血管内壁セグメントBVIWSに作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の周りの周辺シールを外傷なく確立することと、(ii)血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントBVIWSを維持することと、を行うように構成されている。これにより、BVIW封止・孔形成デバイス102は(孔生成デバイス106および吻合孔生成デバイス108を介して)、選択した血管BVの血管腔BVLの内側において外科的血管吻合術を実行する上で、血管内壁セグメントBVIWSの周辺を囲む非常に望ましい外傷なき「無血流」局所環境において、周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔を形成(生成)することが容易にされる。
【0154】
孔封止アセンブリ112は、対応する潰れた構成および自己拡張構成を有することと併せて、可逆的に潰れ可能および自己拡張可能である(すなわち、潰れ可能、自己拡張可能、再潰れ可能)。孔封止アセンブリ112は、可逆的に自己拡張可能および潰れ可能な特性を孔封止アセンブリ112に与える可撓性の弾性材料(たとえば、可撓性の弾性金属、プラスチック、合成ポリマー、複合材、または/および同様の種類の材料)で構成されている。
【0155】
孔封止アセンブリ112は、非作動の潰れた構成および作動した自己拡張構成のそれぞれにおいて、管状形状または形態(すなわち、首または喉状の端部)を有する遠位端部を有する。孔封止アセンブリ112の遠位端部(首部または頂点部)の管状形状または形態によって、(可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130の遠位端(のみ)への操作接続が容易にされる。このような操作接続により、可撓性制御ワイヤ128は、可撓性チューブ130を遠位方向に通過して、シース110を孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去することができ、孔封止アセンブリ112が作動した自己拡張構成を有することになる。また、このような操作接続により、可撓性制御ワイヤ128は、可撓性チューブ130を近位方向に引き戻して、シース110を孔封止アセンブリ112上に戻すことができ、孔封止アセンブリが再び非作動の潰れた構成として包囲および保持される。
【0156】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、可撓性かつ弾性の全体的な半球(傘上部、ドーム、またはベル)形状または形態を有する。このような例示的な実施形態において、孔封止アセンブリ112は、半球形状または形態を有する(主要な)中間部と、鋭角のフレアまたはフレア状形状または形態を有する(すなわち、中間部から外方へと近位方向に拡張または開放した)(比較的短い)近位端部とを含む。このような例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの(主要な)中間部は、孔封止アセンブリの遠位端部(首部または頂点部)および孔封止アセンブリの近位端部それぞれの(近位-遠位)長さよりも大きな(近位-遠位)長さを有する。
【0157】
例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの中間部および近位部(すなわち、孔封止アセンブリの遠位端部の近位端から孔封止アセンブリの近位端まで近位方向に延びた部分)は、ストラットを有し、可撓性の弾性外部または外側カバーにより完全に覆われた(すなわち、ストラットの周囲および間を連続的に覆われた)可撓性の弾性骨格(または、ネット、メッシュ)型フレームとして構成されている。
【0158】
例示的な実施形態において、(ストラットを備えた)フレームは、多角形(たとえば、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、ダイヤモンド型形状、または類似形状)の幾何学的パターンを有するように構成されている。例示的な実施形態において、(ストラットを備えた)フレームは、このような多角形の幾何学的パターンを有する複数(少なくとも2列、たとえば3列)のストラットを具備する。
【0159】
(ストラットを備えた)フレームは、孔封止アセンブリの中間部および近位部の半球およびフレア形状もしくは形態ならびに構造的支持を提供する。外部または外側カバーは、孔封止アセンブリの中間部および近位部に対して、非常に効果的な封止特性を与える。
【0160】
孔封止アセンブリの中間部および近位部に関するこのような例示的な実施形態によれば、異なる血管の内側の異なる血管腔において考え得る異なる特定形状または形態およびサイズ寸法に従った孔封止アセンブリ112の物理的適合、対応、および作動(駆動)が容易にされる。たとえば、大動脈に関して、管腔の特定形状または形態およびサイズ寸法は通常、患者ごとに異なる。また、たとえば、孔封止アセンブリの中間部および近位端部の柔軟な形状または形態によれば、外科的血管吻合術中の様々な血管腔の実時間の(動的に変化する)構造的特徴に対する実時間の(動的な)自己適応(自己調整、自己変化)が容易にされる。
【0161】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合、孔封止アセンブリの中間部112mの可撓性の弾性半球形状または形態は、孔封止アセンブリの近位端部112pの可撓性の弾性フレアまたはフレア状形状または形態と併せて、たとえば端側式の外科的血管吻合術等の外科的血管吻合術での使用に特に関連するとともに都合が良い。たとえば、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合、中間部の可撓性の半球形状または形態は、孔封止アセンブリ112の近位端の可撓性の弾性フレアまたはフレア状形状または形態と併せて、外科的血管吻合術を実行する血管腔BVLの無血流局所環境において、周辺封止血管内壁セグメントBVIWS内に十分な作動(動作)空間(容積)を提供する。また、孔封止アセンブリ112の近位端のフレアまたはフレア状形状または形態は、(たとえば、
図5Bにおいて、参照記号PSの点線矢印により示すように)血管内壁セグメントBVIWSの周りの周辺シールを確立および維持する血管内壁セグメントBVIWS(および、その血管組織)の周囲(外周)に直接接触する孔封止アセンブリ112の部分(すなわち、近位端)に対して外傷なき(すなわち、鋭くも角張ってもない封止)構造を与える。
【0162】
図6は、孔封止デバイス106の手動孔封止コントローラアセンブリ114の構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置100(全体)の近位端部の例示的な一実施形態の模式側面図である。手動孔封止コントローラアセンブリ114は、手動制御つまみ116および手持ちハウジングアセンブリ118を含む手持ちモジュールとして構成されている。
図4を参照して例示的に上述したものに加えて、
図6は、手持ちハウジングアセンブリ118の内側の構成要素および接続の拡大側面図である。たとえば、
図6は、チューブ支持部材131に固定接続され、これが手持ちハウジングアセンブリ118の遠位端部に固定された可撓性チューブ130の近位端の拡大図である。また、たとえば、
図6は、手動制御つまみ116によって手持ちハウジングアセンブリ118の内側に固定接続された可撓性制御ワイヤ128の近位端部の拡大図である。また、
図6は、支持部材117により支持された手動制御つまみ116の拡大図であり、手動制御つまみ116および支持部材117が単一の一体構造として一体的に形成および構成されている。
【0163】
図7は、孔封止デバイス106の別の例示的な手動孔封止コントローラアセンブリ220の構成要素および構造的/機能的特徴を強調した、装置100(全体)の近位端部の別の例示的な実施形態の模式側面図である。手動孔封止コントローラアセンブリ220は、手動制御つまみ222、手持ちハウジングアセンブリ224、および固定・アンカリングアセンブリ226を含む手持ちモジュールとして構成されている。
【0164】
手動制御つまみ222または類似種類の構造体は、たとえば手動制御つまみ222を指(たとえば、親指)で押すか引くことにより、手動操作可能かつ直線平行移動可能(手動押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)に構成されている。手持ちハウジングアセンブリ224は、たとえば
図7において破線の双頭(両方向)矢印230により示すように、手動制御つまみ222が内部に沿って手動操作可能かつ直線平行移動可能となる直線状スロット(狭隘溝またはチャネル)228が構成されている。
【0165】
可撓性チューブ130の近位端は、チューブ支持部材232に固定接続され、これが手持ちハウジングアセンブリ224の遠位端部に固定されている。可撓性制御ワイヤ128の近位端部は、たとえば手動制御つまみ222によって手持ちハウジングアセンブリ224の内側に固定接続される。手持ちハウジングアセンブリ224の内側においては、手動制御つまみ222が支持部材234により支持されている。例示的な実施形態において、手動制御つまみ222および支持部材234は、単一の一体構造として一体的に形成および構成されている。
【0166】
手動孔封止コントローラアセンブリ220(および、その内部の手動制御つまみ222)の手動操作によって、可撓性チューブ130の内側(すなわち、シース110を孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去する前)の可撓性制御ワイヤ128は、孔封止デバイスの近位部106pと遠位部106dとの間で直線平行移動可能(直線押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)となる。手動孔封止コントローラアセンブリ114の操作に関して例示的に上述したものと同様に、ここでも、手動孔封止コントローラアセンブリ220(および、その内部の手動制御つまみ222)の手動操作により、例示的な実施形態において、可撓性チューブ130の外側(すなわち、シース110の孔封止アセンブリ112からの除去中および除去後)の可撓性制御ワイヤ128は、孔封止アセンブリ112の(首部または頂点部)遠位端とシース110の近位端(開口)との間で非直線平行移動可能(非直線押し引き可能ならびに遠位方向および近位方向の前後摺動移動可能)となる。
【0167】
固定・アンカリングアセンブリ226は、近位端239が締結具またはラッチとして構成された固定・アンカリング部材238(たとえば、ピンまたはロッド)と動作可能に接続された引張りばね236を含むばね式機構が構成されている。固定・アンカリングアセンブリ226は、たとえば
図7において破線の双頭(両方向)矢印139により示すように、(固定接続によって)手動孔封止コントローラアセンブリ220を安定した静止(固定)物体133に可逆的に固定およびアンカリングするとともに、もはや必要なくなった場合に手動孔封止コントローラアセンブリ220を安定した静止(固定)物体133から取り外すように構成されている。
【0168】
上記説明の通り、手動孔封止コントローラアセンブリ(114[
図6]または220[
図7])は、孔封止デバイス106の構成要素であり、これがBVIW封止・孔形成デバイス102の一部であり、これが外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の一部である。例示的な実施形態においては、手動孔封止コントローラアセンブリ(114または220)も個々の「独立型」装置と考えられる。したがって、手動孔封止コントローラアセンブリ(114または220)装置は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の例示的な特定の「副組み合わせ」に対応し、これが本発明のいくつかの実施形態の別の態様に対応する。
【0169】
図8Aは、孔封止アセンブリ112(孔封止デバイス106の一部)の例示的な一実施形態の模式側面図である。孔封止アセンブリ112は、血管腔の内側でその内壁セグメントに沿って、血流のない周辺封止血管内壁セグメントを形成するように、血管内壁セグメントに作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の周りの周辺シールを外傷なく確立するように構成されている(たとえば、
図5B、
図19C、および
図19Dに示す)。また、孔封止アセンブリ112は、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを維持するように構成されている(たとえば、
図19E~
図19Gに示す)。
【0170】
孔封止アセンブリ112は、血流のない状態でのBVIW封止・孔形成デバイス102による(孔封止デバイス106および吻合孔生成デバイス108を介した)周辺封止血管内壁セグメントを通る吻合孔(たとえば、およそ4~5ミリメートル(mm)の直径を有する)の形成(生成)前、形成(生成)中、および形成(生成)後に、血流のない状態で、周辺封止血管内壁セグメントを外傷なく維持する。このような孔封止アセンブリ112の構造的および機能的特性および特徴により、選択した血管の血管腔の内側において外科的血管吻合術を実行する上で、血管内壁セグメントの周辺を囲む非常に望ましい外傷なき「無血流」局所環境がもたらされる。
【0171】
例示的な実施形態において、孔封止アセンブリ112は、対応する潰れた構成および自己拡張構成を有することと併せて、可逆的に潰れ可能および自己拡張可能である(すなわち、潰れ可能、自己拡張可能、再潰れ可能)。孔封止アセンブリ112は、自己拡張可能および潰れ可能な特性を孔封止アセンブリ112に与える可撓性の弾性材料(たとえば、可撓性の弾性金属、プラスチック、合成ポリマー、複合材、または/および同様の種類の材料)で構成されている。孔封止アセンブリ112は、閉じた(潰れた)傘の上部と同様の非作動の潰れた構成を有する。孔封止アセンブリ112は、開いた(拡張した)傘の上部と同様の作動した自己拡張構成を有する。孔封止アセンブリ112は、非作動の潰れた構成から作動した自己拡張構成へと自己拡張可能に構成されている。具体的に、孔封止アセンブリ112は、シース110に包囲されて保持されることにより、潰れた構成に限られる。孔封止アセンブリ112は、その周りからシース110を除去すると、自己拡張して自己拡張構成となる。
【0172】
孔封止アセンブリ112は、非作動の潰れた構成および作動した自己拡張構成のそれぞれにおいて、管状形状または形態(すなわち、首または喉状の端部)を有する(比較的短い)遠位端部112d(遠位端112deを含む)を有する。
【0173】
このような例示的な実施形態においては、孔封止アセンブリ112の遠位端部(首部または頂点部)112dの管状形状または形態によって、(内側に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130の遠位端(のみ)への操作接続が容易にされる。このような操作接続により、可撓性制御ワイヤ128は、可撓性チューブ130を遠位方向に通過して、シース110を孔封止アセンブリ112から遠位方向に除去することができ、孔封止アセンブリ112が作動した自己拡張構成を有することになる。また、このような操作接続により、可撓性制御ワイヤ128は、シース110を近位方向に引き戻して、シース110を孔封止アセンブリ112上に戻すことができ、孔封止アセンブリ112が再び非作動の潰れた構成として包囲および保持される。
【0174】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、可撓性かつ弾性の全体的な半球(傘上部、ドーム、またはベル)形状または形態を有する。このような例示的な実施形態において、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112は、半球形状または形態を有する(主要な)中間部112mと、鋭角のフレアまたはフレア状形状または形態を有する(すなわち、中間部112mの近位端から、近位方向に徐々に、近位端112peまで外方に非直線拡張または開放した)(比較的短い)近位端部112pとを含む。このような例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの(主要な)中間部112mは、孔封止アセンブリの遠位端部(首部または頂点部)112dおよび孔封止アセンブリの近位端部112pそれぞれの(近位-遠位)長さよりも大きな(近位-遠位)長さを有する。
【0175】
例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの中間部112mおよび近位部112p(すなわち、孔封止アセンブリの遠位端部112dの近位端から孔封止アセンブリの近位端112peまで近位方向に延びた部分)は、ストラット240sを有し、可撓性の弾性外部または外側カバー242により完全に覆われた(すなわち、ストラット240sの周囲および間を連続的に覆われた)可撓性の弾性骨格(または、ネット、メッシュ)型フレーム240として構成されている。
【0176】
例示的な実施形態において、(ストラット240sを備えた)フレーム240は、多角形(たとえば、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、ダイヤモンド型形状、または類似形状)の幾何学的パターンを有するように構成されている。例示的な実施形態において、(ストラット240sを備えた)フレーム240は、このような多角形の幾何学的パターンを有する複数(少なくとも2列、たとえば3列)のストラット240sを具備する。たとえば、
図8Aに示すように、(ストラット240sを備えた)フレーム240は、ダイヤモンド型形状の幾何学的パターンを有する複数(3列)のストラット240sを具備する。
【0177】
(ストラット240sを備えた)フレーム240は、孔封止アセンブリの中間部112mおよび近位端部112pの半球およびフレア形状もしくは形態ならびに構造的支持を提供する。外部または外側カバー242は、孔封止アセンブリの中間部112mおよび近位端部112pに対して、非常に効果的な封止特性を与える。
【0178】
孔封止アセンブリの中間部112mおよび近位端部112pに関するこのような例示的な実施形態によれば、異なる血管の内側の異なる血管腔において考え得る異なる特定形状または形態およびサイズ寸法に従った孔封止アセンブリ112の物理的適合、対応、および作動(駆動)が容易にされる。たとえば、大動脈に関して、管腔の特定形状または形態およびサイズ寸法は通常、患者ごとに異なる。また、たとえば、孔封止アセンブリの中間部112mおよび近位端部112pの柔軟な形状または形態によれば、外科的血管吻合術中の様々な血管腔の実時間の(動的に変化する)構造的特徴に対する実時間の(動的な)自己適応(自己調整、自己変化)が容易にされる。
【0179】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合、孔封止アセンブリの中間部112mの可撓性の弾性半球形状または形態は、孔封止アセンブリの近位端部112pの可撓性の弾性フレアまたはフレア状形状または形態と併せて、たとえば端側式の外科的血管吻合術等の外科的血管吻合術での使用に特に関連するとともに都合が良い。たとえば、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ112の場合、孔封止アセンブリの中間部112mの可撓性の半球形状または形態は、孔封止アセンブリの近位端部112pの可撓性の弾性フレアまたはフレア状形状または形態と併せて、外科的血管吻合術を実行する血管腔の無血流局所環境において、周辺封止血管内壁セグメント内に十分な作動(動作)空間(容積)を提供する。また、孔封止アセンブリの近位端部112pのフレアまたはフレア状形状または形態は、血管内壁セグメントの周りの周辺シールを確立および維持する血管内壁セグメント(および、その組織)の周囲(外周)に直接接触する孔封止アセンブリ112の部分(すなわち、近位端部112pの円周方向近位端112pe)に対して外傷なき(すなわち、鋭くも角張ってもない封止)構造を与える。
【0180】
図8Bは、孔封止アセンブリ113として参照されるとともに孔封止アセンブリ113と称する別の例示的な孔封止アセンブリの例示的な一実施形態の模式側面図である。孔封止アセンブリ113の例示的な実施形態は、孔封止アセンブリ112の例示的な実施形態に類似するものの、フレアまたはフレア状形状または形態のない近位端部113pを孔封止アセンブリ113が含む点のみが異なる。
【0181】
孔封止アセンブリ113は、非作動の潰れた構成および作動した自己拡張構成のそれぞれにおいて、管状形状または形態(すなわち、首または喉状の端部)を有する(比較的短い)遠位端部113d(遠位端113deを含む)を有する。
【0182】
作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ113は、可撓性かつ弾性の全体的な半球(傘上部、ドーム、またはベル)形状または形態を有する(すなわち、中間部113mの遠位端から近位端部113pの近位端113peまで延びている)。このような例示的な実施形態において、作動した自己拡張構成の孔封止アセンブリ113は、(主要な)中間部113mおよび(近位端113peを含む)近位端部113pを含み、これらが一体的に半球形状または形態を有する。このような例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの(主要な)中間部113mは、孔封止アセンブリの遠位端部(首部または頂点部)113dおよび孔封止アセンブリの近位端部113pそれぞれの(近位-遠位)長さよりも大きな(近位-遠位)長さを有する。
【0183】
例示的な実施形態において、孔封止アセンブリの中間部113mおよび近位部113p(すなわち、孔封止アセンブリの遠位端部113dの近位端から孔封止アセンブリの近位端113peまで近位方向に延びた部分)は、ストラット245sを有し、可撓性の弾性外部または外側カバー247により完全に覆われた(すなわち、ストラット245sの周囲および間を連続的に覆われた)可撓性の弾性骨格(または、ネット、メッシュ)型フレーム245として構成されている。
【0184】
例示的な実施形態において、(ストラット245sを備えた)フレーム245は、多角形(たとえば、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、ダイヤモンド型形状、または類似形状)の幾何学的パターンを有するように構成されている。例示的な実施形態において、(ストラット245sを備えた)フレーム245は、このような多角形の幾何学的パターンを有する複数(少なくとも2列、たとえば3列)のストラット245sを具備する。たとえば、
図8Bに示すように、(ストラット245sを備えた)フレーム245は、ダイヤモンド型形状の幾何学的パターンを有する複数(3列)のストラット245sを具備する。(ストラット245sを備えた)フレーム245は、孔封止アセンブリの中間部113mおよび近位端部113pの半球形状もしくは形態ならびに構造的支持を提供する。外部または外側カバー247は、孔封止アセンブリの中間部113mおよび近位端部113pに対して、非常に効果的な封止特性を与える。
【0185】
上記説明の通り、孔封止アセンブリ(112[
図8A]または113[
図8B])は、孔封止デバイス106の構成要素であり、これがBVIW封止・孔形成デバイス102の一部であり、これが外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の一部である。例示的な実施形態においては、孔封止アセンブリ(112または113)も個々の「独立型」装置と考えられる。したがって、孔封止アセンブリ(112または113)装置は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の例示的な特定の「副組み合わせ」に対応し、これが本発明のいくつかの実施形態の別の態様に対応する。
【0186】
図9Aおよび
図9Bはそれぞれ、非作動(非駆動)構成の吻合孔生成デバイス108(BVIW封止・孔形成デバイス102の一部)の例示的な一実施形態の模式側面図および模式側面断面図である。
図9Cおよび
図9Dはそれぞれ、吻合孔生成デバイス108の例示的な一実施形態の模式斜視図および模式分解斜視図である。吻合孔生成デバイス108およびその構成要素の例示的な実施形態の多くの構造的および機能的(動作的)特性および特徴を例示として上述したが、これらは、
図9A~
図9Dに示す例示的な実施形態にも完全に適用可能である。
【0187】
図9A~
図9Cにおいては、外側アセンブリ150および内側アセンブリ152が互いに隣接する(すなわち、互いに離れない)ことにより例示的な非作動(非駆動)構成となった吻合孔生成デバイス108を示している。すなわち、
図9Aおよび
図9Bにおいて参照番号250の破線矢印により示すように、外側アセンブリ150の近位端は、内側アセンブリ152の近位端部の遠位端に直接隣接し、直接接触している。
【0188】
上記説明の通り、吻合孔生成デバイス108は、BVIW封止・孔形成デバイス102の構成要素であり、これが外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の一部である。例示的な実施形態においては、吻合孔生成デバイス108も個々の「独立型」装置と考えられる。したがって、吻合孔生成デバイス108装置は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の例示的な特定の「副組み合わせ」に対応し、これが本発明のいくつかの実施形態の別の態様に対応する。
【0189】
図10Aおよび
図10Bはそれぞれ、非作動(非駆動)構成の孔形成アクチュエータ104と接続(結合)された吻合孔生成デバイス108(BVIW封止・孔形成デバイス102の一部)の例示的な一実施形態の模式上面図および模式上面断面図である。
図10Cおよび
図10Dはそれぞれ、非作動(非駆動)構成の孔形成アクチュエータ104と接続(結合)された吻合孔生成デバイス108の例示的な一実施形態の模式上面図および模式上面断面図である。吻合孔生成デバイス108、孔形成アクチュエータ104、およびその構成要素の例示的な実施形態の多くの構造的および機能的(動作的)特性および特徴を例示として上述したが、これらは、
図10A~
図10Dに示す例示的な実施形態にも完全に適用可能である。
【0190】
図10Aおよび
図10Bにおいては、孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174および内側アセンブリ176が互いに隣接する(すなわち、互いに離れて位置決めされない)ことにより例示的な非作動(非駆動)構成となった吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104を示している。すなわち、
図10Aおよび
図10Bにおいて参照番号255の破線矢印により示すように、外側アセンブリ174および内側アセンブリ176はそれぞれ、互いに直接隣接し、直接接触している。このような例示的な非作動(非駆動)構成は、(孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174および内側アセンブリ176それぞれの直線平行移動可能な相対運動を容易にする)一対の孔形成アクチュエータのガイド部材(つまみ)180および孔形成アクチュエータの内側アセンブリの近位端(たとえば、カバー186により示す)の相対位置によっても示される。すなわち、
図10Aおよび
図10Bにおいて参照番号257の破線矢印により示すように、一対の孔形成アクチュエータのガイド部材180の近位端(すなわち、背部または脊椎部)は、孔形成アクチュエータの内側アセンブリの近位端(カバー186)から分離されている(すなわち、離れて位置決めされ、隣接していない)。このような例示的な非作動(非駆動)構成は、吻合孔生成デバイスの内側アセンブリ152および外側アセンブリ150それぞれの相対位置によっても示される。すなわち、吻合孔生成デバイスの内側アセンブリ152は、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の内側から遠位方向に現れる。これは、孔形成アクチュエータ104によって、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するように作動(駆動)される前の吻合孔生成デバイス108の位置および構成に対応する。
【0191】
図10Cおよび
図10Dにおいては、孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174および内側アセンブリ176がそれぞれ互いに分離される(すなわち、離れて位置決めされる)ことにより例示的な作動(駆動)構成となった吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104を示している。すなわち、
図10Cおよび
図10Dにおいて参照番号258の破線矢印により示すように、外側アセンブリ174および内側アセンブリ176は、互いに分離されている(離れて位置決めされている)。このような例示的な作動(駆動)構成は、一対の孔形成アクチュエータのガイド部材(つまみ)180および孔形成アクチュエータの内側アセンブリの近位端(たとえば、カバー186により示す)の相対位置によっても示される。すなわち、
図10Cおよび
図10Dにおいて参照番号258の破線矢印により示すように、一対の孔形成アクチュエータのガイド部材180の近位端(すなわち、背部または脊椎部)は、孔形成アクチュエータの内側アセンブリの近位端(カバー186)に隣接している(すなわち、離れて位置決めされていない)。このような例示的な非作動(非駆動)構成は、吻合孔生成デバイスの内側アセンブリ152および外側アセンブリ150それぞれの相対位置によっても示される。すなわち、吻合孔生成デバイスの内側アセンブリ152は、ほぼ完全に吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の内側にある(近位方向に引き込まれている)。これは、孔形成アクチュエータ104によって、吻合孔を血管内壁セグメントに生成するように作動(駆動)された後の吻合孔生成デバイス108の位置および構成に対応する。
【0192】
また、
図10A~
図10Dは、吻合孔生成デバイス108に対する孔形成アクチュエータのデュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向上部スロット[192および194]の拡大図である。デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向上部スロット[192および194]は、内側アセンブリ長手方向上部スロット192および外側アセンブリ長手方向上部スロット194により形成され、これらを含む。孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176に内側アセンブリ長手方向上部スロット192が構成され、孔形成アクチュエータの外側アセンブリ174に外側アセンブリ長手方向上部スロット194が構成されることにより、内側アセンブリ長手方向上部スロット192が外側アセンブリ長手方向上部スロット194と同軸である。
【0193】
また、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]は、孔形成アクチュエータ104の吻合孔生成デバイス108との可逆的な手動操作接続を容易にする。具体的に、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の近位部に対する孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端の可逆的な操作接続は、たとえば
図1(非作動状態の装置100)において破線の双頭(両方向)矢印160により示すとともに、
図2(作動状態の装置100)において示す通りである。たとえば、孔形成アクチュエータ104を孔封止デバイスの遠位部106dに近接させて、孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端184を吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156を介した)近位部に接続する場合は、まず、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]の使用(手動操作)により、(たとえば、
図1において破線の双頭(両方向)矢印196により示すように)(内部に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130を受容して(緩く)包囲した後、(
図2に示すように)接続を形成する。
【0194】
これと同様に(ただし逆に)、孔形成アクチュエータ104を吻合孔生成デバイス108から取り外す場合に容易さが有効となる。たとえば、(
図2に示すように)接続された構成要素を取り外し場合は、まず、吻合孔生成デバイスの外側アセンブリ150の(突出リム156を介した)近位部を孔形成アクチュエータの内側アセンブリ176の遠位端184から取り外した後、デュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向スロット[192および194]の内側から可撓性チューブ130を移動および解放することによって、(再び
図1に示すように)取り外しを容易にする。
【0195】
上記説明の通り、吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の構成要素である。例示的な実施形態においては、吻合孔生成デバイス108も孔形成アクチュエータ104と併せて個々の「独立型」装置と考えられる。したがって、孔形成アクチュエータ104を備えた吻合孔生成デバイス108装置は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の例示的な特定の「副組み合わせ」に対応し、これが本発明のいくつかの実施形態の別の態様に対応する。
【0196】
図11Aは、組み立て(非作動/非駆動)構成の外側アセンブリ174および内側アセンブリ176をそれぞれ強調した、孔形成アクチュエータ104の例示的な一実施形態の模式上面図である。
図11Bは、組み立て構成(それぞれ非作動(非駆動)構成および作動(駆動)構成も示す)の外側アセンブリ174および内側アセンブリ176それぞれを強調した、孔形成アクチュエータ104の例示的な一実施形態の模式側面図である。
図11Cおよび
図11Dは、非作動(非駆動)構成の
図11Bの孔形成アクチュエータ104の例示的な実施形態の模式斜視図である。また、
図11B、
図11C、および
図11Dは、外側アセンブリ174および内側アセンブリ176それぞれの直線平行移動可能な相対運動も容易にする長手方向摺動スロット190の拡大図も含む。具体的に、外側アセンブリ174は、外側アセンブリ174の一対の手動制御可能なガイド部材180(たとえば、剛性つまみ)の操作により、内側アセンブリ176の長手方向摺動スロット190内でこれに沿って摺動可能である。
【0197】
図12Aおよび
図12Bは、非組み立て構成の個々の外側アセンブリ174および内側アセンブリ176(内側アセンブリが例示的な摺動式のカバー186を有する)を強調した、孔形成アクチュエータ104の例示的な一実施形態の模式上面図および模式側面図である。また、
図12Aおよび
図12Bは、内側アセンブリ長手方向上部スロット192および外側アセンブリ長手方向上部スロット194により形成され、これらを含む孔形成アクチュエータのデュアルアセンブリ(または、バイアセンブリ)長手方向上部スロット[192および194]の拡大図も含む。
【0198】
図13Aおよび
図13Bは、非組み立て構成の個々の内側アセンブリ252および外側アセンブリ254をそれぞれ強調した、(孔形成アクチュエータ250として参照される)孔形成アクチュエータの別の例示的な実施形態の模式上面図および模式側面図である。内側アセンブリ252および外側アセンブリ254はそれぞれ、以下2つの(比較的些細な)構造的差異を除いて、内側アセンブリ176および外側アセンブリ174(
図12Aおよび
図12B)それぞれと構造上および機能上本質的に同じである。第1に、内側アセンブリ252の近位端部は、付随する一対のネジ253と併せて、例示的なねじ込み式のカバー251が構成されている。これは、内側アセンブリ176の近位端部に構成された摺動式のカバー186と対照的である。第2に、外側アセンブリ254の遠位端部は、滑らかな近位端部(リッジなし)を含む一対の対向(正対)して位置決めされた手動制御可能なコネクタ部材256(たとえば、指圧作動弾性締結具またはラッチ)が構成されている。これは、滑らかでない「リッジ状」近位端部(リッジを有する)を含む一対のコネクタ部材182が構成された外側アセンブリ174の遠位端部と対照的である。コネクタ部材182の機能と同様に、コネクタ部材256は、孔形成アクチュエータ104の外側アセンブリの遠位端に対する吻合孔生成デバイス108の近位端(すなわち、内側アセンブリ152の外側突出リム164)の可逆的な手動操作接続を容易にする。
【0199】
孔形成アクチュエータ104およびその構成要素の例示的な実施形態の多くの構造的および機能的(動作的)特性および特徴を例示として上述したが、これらは、
図11A~
図13Bに示す例示的な実施形態にも完全に適用可能である。
【0200】
上記説明の通り、孔形成アクチュエータ(104または250)は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の構成要素である。例示的な実施形態においては、孔形成アクチュエータ(104または250)も個々の「独立型」装置と考えられる。したがって、孔形成アクチュエータ(104または250)装置は、外科的血管吻合術に使用する装置100(全体)の例示的な特定の「副組み合わせ」に対応し、これが本発明のいくつかの実施形態の別の態様に対応する。
【0201】
図14は、装置の固定・アンカリングアセンブリ132の使用を強調した、例示的な血管吻合術(たとえば、(クランプレス)冠動脈バイパス術(CABG))を実行する装置100(全体)の(簡素化された)「一般」型を使用する例示的な一実施形態を示した模式図である。
【0202】
図14においては、外科的血管吻合術を実行する方法の一部として吻合部位ASを封止する例示的な装置300を展開しており、この固定(アンカリング)装置300(および、そのBVIW封止・孔形成デバイス102)によれば、固定・アンカリングアセンブリ132の使用によって、安定した静止物体(たとえば、固定物体133)への固定がなされる。
図14は、開胸CABG術中の生体対象者(患者)の例示的な胸部CHを示している。患者の胸部CHは、たとえば胸部/胸骨開創器具RTRを用いて開胸状態に保たれる。患者は、横たわる手術台に対して安定に保たれるとともに固定された毛布BLで一部を覆われている。
【0203】
この図示の例において、手動孔封止コントローラアセンブリ114は、(内側に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130が選定張力下でピンと張った形態となるように、装置300の近位端PEにおいて、固定・アンカリングアセンブリ132により開創器具RTRに固定されている。例示的な実施形態において、固定・アンカリングアセンブリ132を安定した静止物体(本例においては、開創器具RTRの一部)に固定する正確な場所を選定することは、(可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130の張力または/および配向を決定することに関連する。そして、これにより、吻合孔生成デバイス108の孔生成部材170の移動、ガイド、および位置決めと、対象吻合部位ASの表面の法線に対して可撓性チューブ130がなす配向角度(本明細書においては、配向角度αと称する)の形成(調整)および設定とが最適化される。吻合術を実行する心臓外科医は、周辺封止手順の態様または/および特性を調整(変更)するため、たとえば吻合部位ASから突出した平常に近い角度配向(たとえば、0°≦配向角度α≦15°)に対応する配向角度αを好む場合もあるし、可撓性チューブ130による吻合縫合プロセスとの考え得る物理的干渉を抑えたい場合は、より浅い角度配向(たとえば、45°<配向角度α<90°)を好む場合もある。例示的な実施形態において、外科医は、適当であると判断した場合、如何なる配向角度α(たとえば、中間の配向角度(0°<配向角度α<90°))を使用するようにしてもよい。
【0204】
図15、
図16A、および
図16Bは、別の例示的な装置の固定・アンカリングアセンブリ315の使用を強調した、例示的な血管吻合術[(クランプレス)冠動脈バイパス術(CABG)]を実行する装置100(全体)の別の(簡素化された)「一般」型を使用する例示的な実施形態を示した模式図である。
【0205】
これらの図においては、外科的血管吻合術を実行する方法の一部として吻合部位ASを封止する例示的な装置310を展開しており、この固定(アンカリング)装置310(および、そのBVIW封止・孔形成デバイス102)によれば、別の例示的な固定・アンカリングアセンブリの使用によって、別の例示的な安定した静止物体への固定がなされる。
【0206】
張力または/および配向角度αの制御性を改善するため、装置310の近位端PEにおける固定・アンカリングアセンブリ132の使用の代替または追加として、(内側に可撓性制御ワイヤ128を備えた)可撓性チューブ130に沿った少なくとも1つの他の部分または点がアンカリング、固定、またはさらに伸長されるようになっていてもよい。
図15、
図16A、および
図16Bは、選定張力方向へと可撓性チューブ130に沿って選定点317を押しやることにより張力を生成または増大させるように構成されたテンショナ315を含む別の例示的な固定・アンカリングアセンブリを用いて展開された例示的な装置310を模式的に示している。
【0207】
テンショナ315は、安定した静止物体(固定物体133)に対して選定された長さまたは/および方向にて固定構成された張力ポール320を具備する。張力ポール320は、安定した物体に固定接続可能なポール基部325と、選定方向に選定力で可撓性チューブ130の一部を押圧することにより、可撓性チューブ130の部をアンカリングまたは/およびポール固定(枢着)する(たとえば、選定点317を支持する)ように構成されたポールヘッド327と、を有する。配向角度αは、テンショナ315を用いて、(i)可撓性チューブ130に沿った点317の場所、(ii)吻合部位ASに対する安定した物体の場所、(iii)ポール基部325に対して回転するポールヘッド327により設定可能な選定方向、または/および(iv)点317においてテンショナ315により可撓性チューブ130に印加される選定力(張力ポール320の高さの変更により設定可能)といったパラメータのうちの1つまたは複数を構成および設定することにより決定可能である。
図15は、開創器具RTRに対してテンショナ315が固定(固定接続)され、固定された毛布BLに対して固定・アンカリングアセンブリ132が固定(固定接続)された例示的なシナリオを示している(本例においては、開創器具RTRおよび毛布BLがともに、例示的な静止安定物体と考えられる)。張力ポール320は、ポールヘッド327で可撓性チューブ130の一部を(押圧により)選択的に、徐々に、または順次移動させることにより、たとえば
図16Aおよび
図16Bに示すように、選定張力を印加するように構成されている。
【0208】
外科的血管吻合術に使用する医療デバイスキット
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、外科的血管吻合術に使用する医療デバイスキットである。この医療デバイスキットの種々異なる別の実施形態およびその代替案が可能であり、それぞれ、医療従事者(外科医、外科医の助手、医療技術者)による外科的血管吻合術での容易な展開および使用に適している。
【0209】
医療デバイスキットの第1の例示的な実施形態
医療デバイスキットの第1の例示的な実施形態は、例示的に上述するとともに
図1に示した装置100(全体)の例示的な実施形態に対応する。このような医療デバイスキットの第1の例示的な実施形態は、血管内壁(BVIW)封止・孔形成デバイス102(これが孔封止デバイス106および吻合孔生成デバイス108を具備する)および孔形成アクチュエータ104を具備する。このような医療デバイスキット(すなわち、装置100)の第1の例示的な実施形態によれば、
図1に示すように、孔封止デバイス106に位置決め(すなわち、組み付け、搭載)済みの吻合孔生成デバイス108が提供される。このような医療デバイスキットの第1の例示的な実施形態によれば、(吻合孔生成デバイス108を介した)BVIW封止・孔形成デバイス102および孔形成アクチュエータ104の相互接続により、外科的血管吻合術における展開および使用が可能である。
【0210】
医療デバイスキットの第2の例示的な実施形態
医療デバイスキットの第2の例示的な実施形態およびその代替案を
図17に示すが、これを医療デバイスキット400と称する。第1の代替案によれば、医療デバイスキット400は、孔封止デバイス106および吻合孔生成デバイス108を具備するが、(任意選択としての)孔形成アクチュエータ104は備えていない。このような医療デバイスキット400の第1の代替案によれば、孔封止デバイス106から分離された(すなわち、非組み付け、非搭載の)吻合孔生成デバイス108が提供される。吻合孔生成デバイス108は、たとえば
図17において破線の双頭(両方向)矢印405により示すように、孔封止デバイス106上に位置決め可能(すなわち、組み付け可能、搭載可能)である。
【0211】
第2の代替案によれば、医療デバイスキット400は、任意選択として、(任意選択としての)孔形成アクチュエータ104をさらに具備する。このような第2の代替案によれば、吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104が互いに接続されずに提供されるとともに、相互接続によって、外科的血管吻合術における展開および使用が可能である。
【0212】
医療デバイスキットの第3の例示的な実施形態
医療デバイスキットの第3の例示的な実施形態を
図18に示すが、これを医療デバイスキット410と称する。医療デバイスキット410は、孔封止デバイス106、吻合孔生成デバイス108、および孔形成アクチュエータ104を具備しており、吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104が互いに(可逆的に)接続されて提供される。このような医療デバイスキットの第3の例示的な実施形態によれば、吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104が互いに取り外し可能であるため、外科的血管吻合術における展開および使用のための吻合孔生成デバイス108の孔封止デバイス106上への位置決め(すなわち、組み付け、搭載)が容易にされる。したがって、吻合孔生成デバイス108および孔形成アクチュエータ104は、外科的血管吻合術中に互いに接続可能である。
【0213】
例示的な実施態様および方法
上述の通り、本発明は、その例示的な実施形態において、外科的血管吻合術に使用する方法、吻合孔を血管内壁セグメントに形成する方法、外科的血管吻合を実行する方法といった態様を含む。前述の外科的血管吻合術に使用する装置または装置の構成要素(たとえば、デバイス、アセンブリ)の特性および技術的特徴の例示的な説明は、本発明のこのような他の態様のうちの1つまたは複数の特性および技術的特徴の例示的な説明にも関連しており、十分に適用可能である。また、外科的血管吻合術に使用する装置または装置の構成要素(たとえば、デバイス、アセンブリ)の実施形態は、外科的血管吻合術に使用する方法の実施形態の実現、吻合孔を血管内壁セグメントに形成する方法の実施形態の実現、または/および外科的血管吻合を実行する方法の実施形態の実現に適している。
【0214】
図19A~
図19Kは、外科的血管吻合術に使用する本明細書に開示の装置(および、その構成要素)を実装する順次ステップ(手順)の例示的な実施形態の模式図である。
図19A~
図19Kを通して、参照番号のいくつかは、上記例示的な説明を通して使用したものと同じであり、同じ特性または特徴を表す。以下は、例示的な説明である。
【0215】
図19Aは、例示的な血管BV(たとえば、大動脈)が、外科的血管吻合術(たとえば、端側式の外科的血管吻合術)に使用する装置100の展開用に選択されることを強調している。血管内壁セグメントBVIWSに沿って位置する所望の吻合部位において、小さな孔[非切開]SHが血管BV(たとえば、大動脈)に(たとえば、ニードルまたはシリンジNSを用いて手動で)作成されている。この小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔の直径は、たとえば、およそ1mm以下である。
【0216】
図19Bは、(内側に非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を備えた)吻合孔生成デバイス108のシース110が、血管BVの小さな孔SHに挿通され、血管腔BVLに挿入されることを強調している。
【0217】
図19Cは、孔封止デバイス106(
図5A、
図5B)の動作により孔封止アセンブリ112が、作動(駆動)して作動した自己拡張構成となり、血管内壁セグメントと併せて、血管内壁BVIWに対して近位方向に引き込まれることにより、血管内壁セグメントBVIWSの周りに周辺シールPSが確立されることを強調している。
【0218】
図19Dは、たとえば上述するとともに
図14、
図15A、
図15Bに示した通り、血管内壁セグメントBVIWSに対する吻合孔生成部材170の作動、移動、ガイド、および位置決めによって装置100が操作されることを強調している。吻合孔生成部材170は、血管内壁セグメントBVIWSに沿って小さな孔SHに挿通される。孔封止アセンブリ112は、(血管腔からの)血流のない状態で、血管内壁セグメントBVIWSに沿って周辺シールPSを外傷なく確立および維持するように操作される。
【0219】
図19Eは、特に吻合孔生成部材170がその円錐直径に応じて、直径がおよそ4~5mmの吻合孔AHを外傷なく生成することを容易にするように装置100が操作されることを強調している。吻合孔生成部材170は、血管内壁セグメントBVIWSに沿って大動脈血管壁BVWから除去された組織の小片Pと併せて、孔生成デバイスの外側アセンブリ150中へと近位方向に引き戻される。
【0220】
図19Fは、特に吻合孔生成デバイス108(および、その内部の吻合孔生成部材170)の「緩和」非作動構成への戻りを容易にするように装置100が操作されることを強調している。血流のない状態で、血管内壁セグメントに沿って周辺シールPSを維持する。
【0221】
図19Gおよび
図19Hは、血流のない状態で、血管内壁セグメントBVIWSに沿って周辺シールPSが確立された後に維持しつつ、外科的血管吻合術を開始することを強調している。これには、吻合部位内の血管壁BVWへの血管移植片GFTの縫合を含む。
【0222】
図19Iは、血管内壁セグメントBVIWSに沿って、孔封止アセンブリ112が依然として血管腔BVLの内側に存在する間に、吻合部位内の血管壁への血管移植片GFTの移植縫合GSのほぼすべてを完了させることを強調している。
【0223】
図19Jは、移植片GFTの最終移植縫合LGSが完了となる直前に、血管BVから(内側に非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を備えた)シース110を除去することを強調している。
【0224】
図19Kは、血管BVへの移植片GFTの最終移植縫合LGSの縫合および吻合術の完了を強調している。
【0225】
以下は、図面の参照と併せて、本発明の実施形態の実現に伴う付加的なステップ(手順)である。
【0226】
装置100を訓練された医療従事者(たとえば、外科医および外科チーム)に提供する。
【0227】
たとえば、生理食塩水中での洗浄によって、装置100の構成要素、特にBVIW封止・孔形成デバイス102および孔形成アクチュエータ104を殺菌する。
【0228】
外科的血管吻合術に向けて対象者(患者)の準備を行う。これには、吻合孔生成デバイス108の対象者への挿入に先立ち、血管内壁セグメントBVIWSに沿って位置する所望の吻合部位において、小さな孔[非切開]SHを血管BV(たとえば、大動脈)に(たとえば、ニードルまたはシリンを用いて手動で)作成することを含む。
【0229】
準備が整った対象者には、血管内壁セグメントBVIWSに沿って、選択場所およびその内部でBVIW封止・孔形成デバイス102を展開(調整)する。これには、(内側に非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を備えた)吻合孔生成デバイス108のシース110を血管BVの小さな孔SHに挿通し、血管腔BVLに挿入することを含む。
【0230】
手動孔封止コントローラアセンブリ114を吻合孔生成デバイス108に接続して、孔封止アセンブリ112を作動させる基盤を提供する。
【0231】
手動孔封止コントローラアセンブリ114(および、可撓性制御ワイヤ128)を操作して、シース110を孔封止アセンブリ112から除去することにより、非作動の潰れた構成から作動した自己拡張構成への孔封止アセンブリ112の作動を容易にする。
【0232】
孔封止アセンブリ112が作動した自己拡張構成である間に、血管内壁セグメントBVIWSに沿って、孔封止アセンブリ112を血管内壁BVIW側へ引っ張ることにより、血管内壁セグメントBVIWSの周りの周辺シールを確立する。そして、吻合孔生成デバイス108を手動孔封止コントローラアセンブリ114から取り外す。
【0233】
吻合孔生成デバイス108を遠位方向に移動させて、孔形成アクチュエータ104の吻合孔生成デバイス108への接続のためのスペースを確保する。
【0234】
孔形成アクチュエータ104を(フランジ156および164を介して)吻合孔生成デバイス108に接続するとともに、可撓性チューブ130に接続して、最終的な吻合孔の生成をセットアップする。
【0235】
孔形成アクチュエータ104を用いて吻合孔生成デバイス108(および、吻合孔生成部材170)を作動させることにより、血管内壁セグメントBVIWSに沿って、吻合孔を血管内壁に外傷なく生成する。このステップ(手順)には、孔形成アクチュエータのガイド部材(つまみ)180を遠位方向に押すことにより、外科医により作成された小さな(ニードルまたはシリンジサイズの)孔SHを通じて、吻合孔生成デバイスの内側アセンブリ152(吻合孔生成部材170を含む)を外傷なく遠位方向に移動させることを含む。また、このステップ(手順)には、孔形成アクチュエータのガイド部材(つまみ)180を近位方向に引っ張ることにより、血管内壁セグメントBVIWSに沿って、血管内壁を通過する吻合孔AHを生成することを含む。
【0236】
孔形成アクチュエータ104を吻合孔生成デバイス108および可撓性チューブ130から取り外し、(もはや必要なくなった)孔形成アクチュエータ104を横に置く。
【0237】
吻合部位における血管移植片GFTの血管壁への縫合の準備として、手動孔封止コントローラアセンブリ114を吻合孔生成デバイス108に再接続する。
【0238】
移植片GFTの1つまたは2つの最終移植縫合LGSを開けたまま、吻合術を実行することにより、(非作動の潰れた構成の孔封止アセンブリ112を備えた)シース110の吻合孔からの除去を容易にする。
【0239】
シース110を血管BVから除去するのに先立ち、手動孔封止コントローラアセンブリ114を操作して、シース110を孔封止アセンブリ112上へと近位方向に引き戻すことにより、孔封止アセンブリを非作動の潰れた構成に戻す。そして、BVIW封止・孔形成デバイス102を対象者から除去した後、移植片GFTの血管BVへの最終移植縫合LGSを完了するとともに、吻合術を完了する。
【0240】
外科的血管吻合術に使用する装置の構成要素の例示的な構成材料およびサイズ寸法
シース110
Pebax(登録商標)ポリマー樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ステンレス鋼編組線
外径:およそ2mm、内径:およそ1.7mm、全高:およそ25mm
孔封止アセンブリ112
フレーム:ニチノール、コバルト、クロム
フレーム(ストラット)カバー:熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性シリコーン
フレーム(ストラット)厚さ:およそ0.23mm、フレーム(ストラット)幅:およそ0.14mm、フレーム(首部)外径:およそ1.5mm、フレーム(首部)内径:およそ1.0mm、フレーム(フレア):およそ15.0mm、フレームカバー厚さ:およそ20ミクロン、フレーム(フレア)カバー外径:およそ16mm
手動孔封止コントローラアセンブリ114
手動制御つまみ:ポリカーボネートMakrolon(登録商標)2458、POM(ポリオキシメチレン)、ナイロン66、サイズ:およそ10mm×7mm×3mm
手持ちハウジングアセンブリ:ポリカーボネートMakrolon(登録商標)2458、ポリオキシメチレン、ナイロン66、ハンドル長:およそ13mm、ハンドル直径:およそ9mm
可撓性制御ワイヤ:ニチノール、コバルト、クロム、直径:およそ0.3mm、長さ:およそ350~400mm
可撓性チューブ:PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、Pebax(登録商標)ポリマー樹脂、外径:およそ0.8mm、内径:およそ275mm
固定・アンカリングアセンブリ:シリコーン、厚さ:およそ1.8mm、長さ:および65mm
吻合孔生成デバイス108
外側アセンブリ:ステンレス鋼304、外径:およそ9mm、内径:およそ4mm、長さ:およそ22mm
内側アセンブリ:ステンレス鋼304、長さ:およそ37mm、主部直径:およそ4mm、円錐吻合孔生成部材直径:およそ1mm、肩部直径:およそ10mm
孔形成アクチュエータ104
外側アセンブリ:ポリカーボネートMakrolon(登録商標)2458、POM(ポリオキシメチレン)、ナイロン66
ハンドル長さ:およそ115mm、ハンドル幅:およそ55mm、ハンドル直径:およそ20mm
内側アセンブリ:ポリカーボネートMakrolon(登録商標)2458、POM(ポリオキシメチレン)、ナイロン66
ハンドル長さ:およそ95mm、ハンドル直径:およそ14mm
【0241】
本明細書において、文法上の単数形「a」、「an」、および「the」で記載する以下の用語は、「少なくとも1つ(at least one)」または「1つまたは複数(one or more)」を意味する。本明細書において、表現「1つまたは複数(one or more)」の使用は、この「a」、「an」、または「the」の意図する意味を変更するものではない。したがって、本明細書において使用する用語「a」、「an」、および「the」は、別段の具体的な定義もしくは記載または文脈上の別段の明確な指示のない限り、複数の対象エンティティまたは対象物を表すとともに包含し得る。たとえば、本明細書において使用する表現「a unit」、「a device」、「an assembly」、「a mechanism」、「a component」、「an element」、および「a step or procedure」はそれぞれ、複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、および複数のステップまたは手順を表すとともに包含し得る。
【0242】
本明細書において使用する用語「含む(includes、including)」、「有する(has、having)」、および「備える(comprises、comprising)」、ならびにこれらの言語学上/文法上の変形語、派生語、もしくは/および同根語はそれぞれ、「including, but not limited to(~を含むが、これに限定されない)」を意味し、対象の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを指定するものと見なされ、1つまたは複数の付加的な構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはこれらの群の追加を除外しない。これらの用語はそれぞれ、表現「~から本質的になる(consisting essentially of)」と意味が同等であると考えられる。
【0243】
本明細書において使用する用語「方法(method)」は、所与のタスクまたは行為を達成または実現する単一のステップ、手順、様態、手段、もしくは/および技術または一連、一組、もしくは一群の2つ以上のステップ、手順、様態、手段、もしくは/および技術を表す。本明細書において非限定的に開示するこのような如何なる方法も、本明細書に開示の発明の関連分野および技術において従事者が過去に教示している1つまたは複数のステップ、手順、様態、手段、または/および技術から把握または容易に発展される1つまたは複数のステップ、手順、様態、手段、または/および技術を含み得る。本明細書において非限定的に開示するこのような任意の方法において、1つまたは複数のステップ、手順、様態、手段、または/および技術の記載または提示の順序は、別段の具体的な定義もしくは記載または文脈上の別段の明確な指示のない限り、所与のタスクまたは行為の達成または実現に対して、具体的に記載または提示の順序に限定されない。以上から、本明細書において非限定的に開示するこのような任意の方法においては、同じ所与のタスクまたは行為の達成または実現に対して、本明細書に開示の発明の同一または同様の意味および範囲を維持しつつ、同じステップ、手順、様態、手段、または/および技術の1つまたは複数の別の順序が存在していてもよい。
【0244】
本開示の全体を通して、パラメータ、特徴、特性、目標、または寸法の数値は、数値範囲フォーマットに関して記載または記述する場合がある。本明細書において使用するこのような数値範囲フォーマットは、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実装を示しており、本発明の例示的な実施形態の範囲を強固に限定するものではない。したがって、記載または記述の数値範囲は、記載または記述の数値範囲内のすべての考え得る部分的範囲および個々の数値を表すとともに包含する。たとえば、記載または記述の数値範囲「1~6」は、記載または記述の数値範囲「1~6」内の「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」等のすべての考え得る部分的範囲および「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」および「6」等の個々の数値を表すとともに包含する。このことは、記載または記述の数値範囲の数値の広がり、範囲、またはサイズに関わらず当てはまる。
【0245】
さらに、数値範囲を記載または記述する場合、表現「およそ第1の数値~およそ第2の数値の範囲(in a range of between about a first numerical value and about a second numerical value)」は、表現「およそ第1の数値からおよそ第2の数値までの範囲(in a range of from about a first numerical value to about a second numerical value)」と同等かつ同じ意味であると考えられるため、これら2つの同意表現を区別なく使用する場合がある。たとえば、室温の数値範囲を記載または記述する場合、表現「室温がおよそ20℃~およそ25℃の範囲の温度を表す(room temperature refers to a temperature in a range of between about 20 °C and about 25 °C)」は、表現「室温がおよそ20℃からおよそ25℃までの範囲の温度を表す(room temperature refers to a temperature in a range of from about 20 °C to about 25 °C」と同等かつ同じ意味であると考えられる。
【0246】
本明細書において使用する用語「およそ(about)」は、対象の数値の±10%を表す。
【0247】
本明細書において使用する表現「動作可能に接続(operatively connected)は、対応する同義表現「動作可能に結合(operatively joined)」および「動作可能に取り付け(operatively attached)」を同等に表す。本明細書において使用するこれらの表現は、記述または/および図示のエンティティが「動作可能(operative)」(動作/使用準備状態)に互いに「接続」されるように構成されたことを意味する。このようなエンティティ間の動作可能な接続、動作可能な結合、または動作可能な取り付けは、1つまたは複数の対応する種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、電子的、または/および電気機械的機器および構成要素を伴って、1つまたは複数の種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、または/および電子的、電気機械的接続に従う。任意選択として、このようなエンティティ間の動作可能な接続、動作可能な結合、または動作可能な取り付けは、1つまたは複数の種類のコンピュータ制御のハードウェアまたは/およびソフトウェア機器および構成要素を含んでいてもよいし、伴っていてもよい。
【0248】
本明細書において使用する表現「動作可能に接続可能(operatively connectable)は、対応する同義表現「動作可能に結合可能(operatively joinable)」および「動作可能に取り付け可能(operatively attachable to)」を同等に表す。本明細書において使用するこれらの表現は、記述または/および図示のエンティティが互いに「接続可能(connectable)」(すなわち、相互接続が可能、相互接続の能力を有する、または相互接続の潜在力を有する)となって、後でエンティティ間に「動作可能な接続」、「動作可能な結合」、または「動作可能な取り付け」を形成するように構成されたことを意味する。このようなエンティティ間の動作可能な接続可能性、動作可能な結合可能性、または動作可能な取り付け可能性は、1つまたは複数の対応する種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、電子的、または/および電気機械的機器および構成要素を伴って、1つまたは複数の種類の機械的(物理的、構造的)、電気的、または/および電子的、電気機械的接続に従う。任意選択として、このようなエンティティ間の動作可能な接続可能性、動作可能な結合可能性、または動作可能な取り付け可能性は、1つまたは複数の種類のコンピュータ制御のハードウェアまたは/およびソフトウェア機器および構成要素を含んでいてもよいし、伴っていてもよい。
【0249】
本発明の特定の態様、特性、および特徴は、明瞭化のため複数の別個の実施形態の文脈またはフォーマットにて例示的に説明および提示したが、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける任意適当な組み合わせまたは副組み合わせにて例示的に説明および提示することも可能であることが十分に了解される。逆に、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける組み合わせまたは副組み合わせにて例示的に説明および提示した本発明の種々態様、特性、および特徴は、複数の別個の実施形態の文脈またはフォーマットにて例示的に説明および提示することも可能である。
【0250】
本発明は、その具体的かつ例示的な実施形態および例によって例示的に説明および提示したが、当業者にとっては、本発明の多くの代替、改良、または/および変形が明らかとなるのは確かである。したがって、このようなすべての代替、改良、または/および変形は、添付の特許請求の範囲の広い範囲に包含されることが意図される。
【0251】
本開示に引用または参照のすべての刊行物、特許、または/および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または/および特許出願の具体的かつ個別の援用指示と同じ程度まで、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれている。また、本明細書における如何なる参考文献の引用または識別も、このような参考文献が本発明の先行技術を表すことまたは本発明の先行技術に対応することを認めるものとして解釈されないものとする。項目見出しは、その使用の限りにおいて、必ずしも限定的に解釈されるべきではない。