(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシまたは7,8-エン-アンドログラフォライドおよびその15位置換誘導体と用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/341 20060101AFI20221128BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221128BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221128BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20221128BHJP
A61K 31/443 20060101ALI20221128BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20221128BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221128BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221128BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221128BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20221128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221128BHJP
C07D 307/58 20060101ALN20221128BHJP
C07D 307/92 20060101ALN20221128BHJP
C07D 405/14 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
A61K31/341
A61K9/08
A61K9/14
A61K9/19
A61K9/20
A61K9/48
A61K31/343
A61K31/443
A61K31/5377
A61P1/16
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P43/00 105
C07D307/58
C07D307/92
C07D405/14
(21)【出願番号】P 2020544208
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2019076608
(87)【国際公開番号】W WO2019166003
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】201810174787.1
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810174797.5
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510015556
【氏名又は名称】▲鄭▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】戴 桂馥
(72)【発明者】
【氏名】呉 笛
(72)【発明者】
【氏名】徐 海偉
(72)【発明者】
【氏名】朱 家貞
(72)【発明者】
【氏名】伏 自波
(72)【発明者】
【氏名】関 珍貞
(72)【発明者】
【氏名】張 暁沛
(72)【発明者】
【氏名】尚 寧
(72)【発明者】
【氏名】張 淑秋
(72)【発明者】
【氏名】▲イェン▼ 光明
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第100999520(CN,A)
【文献】Hai-Wei Xu et al.,Facile synthesis of c-alkylidenebutenolides,Organic & Biomolecular Chemistry,5,2007年,PP.1247-1250
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として ヒトの組織または臓器の線維化の治療薬または予防薬の調製に使用されることを特徴とする、医薬品の調製における14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその構造が一般式(2)に示す15-サブユニット置換誘導体の
使用。
【化2】
[式中、
R
1、R
2は、各々水素またはフェニル、メチル、2-フリル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2,3,4-トリクロロフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニルであり、またはR
1とR
2は、互いに結合してシクロヘキシル、シクロペンチルを形成し;R
1、R
2は同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
R
1、R
2のいずれか一方が水素である場合、R
1、R
2の他方は、メチル、2-フリル、フェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニルからなる群から選択され、またはR
1とR
2は互いに結合してシクロヘキシルを形成することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品の調製における14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその15-サブユニット置換誘導体の
使用。
【請求項3】
次の通りの化合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品の調製における14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその15-サブユニット置換誘導体の
使用。
ADC:14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エンアンドログラフォライド;
ADC-1:R
1=H,R
2=4-Cl-C
6H
4;
ADC-2:R
1=H,R
2=C
6H
5;
ADC-3:R
1=H,R
2=3-Cl-C
6H
4;
ADC-4:R
1=H,R
2=4-Br-C
6H
4;
ADC-5:R
1=H,R
2=4-F-C
6H
4;
ADC-6:R
1=H,R
2=3,4-ジフルオロフェニル;
ADC-7:R
1=H,R
2=2-Cl-C
6H
4;
ADC-8:R
1=H,R
2=3-CH
3O-C
6H
4;
ADC-9:R
1=H,R
2=4-N(CH
3)
2-C
6H
4;
ADC-10:R
1=H,R
2=3-F-4-(4-モルホリニル)-C
6H
3;
ADC-11:R
1=H,R
2=4-CH
3O-C
6H
4;
ADC-12:R
1=H,R
2=2-HO-C
6H
4;
ADC-13:R
1=H,R
2=4-HO-C
6H
4;
ADC-14:R
1=H,R
2=3-NO
2-C
6H
4;
ADC-15:R
1=H,R
2=3,4,5-トリメチルオキシフェニル;
ADC-16:R
1=H,R
2=2-フリル;
ADC-17:R
1とR
2は互いに結合してシクロヘキシルを形成する。
【請求項4】
活性成分として ヒトの組織または臓器の線維化の治療薬または予防薬の調製に使用されることを特徴とする、医薬品の調製における請求項1に記載の14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその
15-サブユニット置換誘導体の
使用。
【請求項5】
活性成分として肝線維化、肺線維化、腎線維化、心筋線維化の治療薬または予防薬に使用されることを特徴とする、請求項1又は4に記載の医薬品の調製にお
いて、「14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその15-サブユニット置換誘導体」及び「14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォライドおよびその15-サブユニット置換誘導体」の両者の使用。
【請求項6】
活性成分または他の薬物と組み合わせて、製薬中の許容される補助成分および/または添加成分と混合された後、従来の製薬方法およびプロセスの要件に基づき、抗ヒト組織または臓器の線維化のための経口製剤、注射製剤を製造することを特徴とする、請求項5に記載の医薬品の調製にお
いて、「14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその15-サブユニット置換誘導体」及び「14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォライドおよびその15-サブユニット置換誘導体」の両者の使用。
【請求項7】
経口製剤は、錠剤、丸剤、カプセル、顆粒またはシロップなどであり;注射用製剤は、注射剤または凍結乾燥粉末注射剤であることを特徴とする、請求項6に記載の医薬品の調製にお
いて、「14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその15-サブユニット置換誘導体」及び「14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォライドおよびその15-サブユニット置換誘導体」の両者の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品技術の分野に属し、抗線維化薬としてのアンドログラフォライド誘導体の応用に関し、特に、14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォライドおよびその15位置換誘導体と14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその15位置換誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
組織線維化は、主に肝臓、肺、心臓、腎臓などの部位で発生する慢性疾患である。世界の人々の3分の1は、組織線維化およびこれによる臓器不全で亡くなっている。組織が損傷すると、損傷部位において一連の細胞反応が起こり、細胞外マトリックスの過剰沈着と組織の線維化を引き起こし、最終的に臓器機能障害や死に至ることもある。心血管の組織線維化は、高血圧と心不全によって引き起こされる心血管組織のリモデリングにおいて重要な役割を果たし、アテローム性動脈硬化症の主な原因でもある。心筋線維化は、細胞外マトリックスが細胞間物質に蓄積することで、心臓の収縮機能および拡張機能の障害を引き起こすことを特徴とする。心筋線維化は、非代償性心肥大および心不全の重要なマーカーであり、高血圧、肥大型心筋症、心不全、および心筋梗塞によって起こされる心筋リモデリングに関与している。
【0003】
肝線維化は、肝臓における慢性損傷修復機転の一環として生じる現象であり、多くの慢性肝疾患に共通する病理学的変化である。慢性肝疾患および肝硬変は、世界的にも重要な健康問題であり、肝線維化の発生率が約1000人に1人となっている。臨床的には、アルコール性肝炎、脂肪肝、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患および代謝障害がすべて肝線維化を引き起こす可能性がある。肝線維化は、肝組織の構造と機能の変化を引き起こす可能性がある。細胞外マトリックスが長時間にわたって蓄積し続けると、線維の増殖が網状の隔壁を形成し、肝細胞と血液との間の物質とエネルギーの正常な交換が妨げられ、多数の肝細胞に壊死が起こることで肝硬変(Liver cirrhosis、LC)が成形される。世界保健機関の定義によりとLCは、異常な結節性過形成を伴うびまん性肝線維化をいい、結局肝不全や肝癌(Hepatocellular carcinoma、HCC)につながる。臨床研究においてHFは、可逆性病変であり、LCとHCCが死亡率の高い不可逆的な病変であることが示唆されている。
【0004】
近年、肺線維化の発生率と死亡率は増加している。肺線維化は、多くの肺疾患の進行、進化および瘢痕化の最終結果であり、その原因が多様である。喘息、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患、肺結核、肺癌、間質性肺疾患などを含む多くの慢性肺疾患は、線維化の病理学的変化を伴う。主な病理学的特徴には、肺組織の間葉系細胞の増殖、細胞外マトリックスの増殖と沈着、および肺実質のリモデリングが含まれる。特発性肺線維症、呼吸窮迫症候群、好酸球性肉芽腫などの様々な肺疾患にとって、肺線維の増殖と線維化の程度がその疾患の臨床的結果を決定する。これらの疾患は、後期に進行して患者の普段の仕事や生活の質に深刻な影響を及ぼし、呼吸不全や心不全により患者の死にさえ至る。過去20年間で、特発性肺線維症の全体的な発生率は、大幅に増加し、診断確定後の平均生存期間が約3年間、5年間の生存率が30%~50%と予後不良である。
【0005】
腎線維化は、細胞外基質と不適切な結合組織が腎臓に蓄積し、腎構造の変化と機能障害を引き起こす病理学的プロセスを示し、ほとんどすべての腎臓病が末期腎不全に進展する共通経路でもある。多くの急性や慢性腎臓病は、また組織線維化の発生および進行、特に糖尿病性腎症および高血圧による腎線維化の変化と密接に関連している。様々な免疫疾患および関節炎、全身性強皮症、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患にも組織線維化の変化もある。
【0006】
現在の線維症治療薬は、非常に少なく、ほとんどが補助的な治療上の役割を果たすだけであり、肝線維化に関しては、インターフェロンの治癒率が高くなく、副作用も多いため後期の治療効果はわずかである。ヌクレオシド系薬剤が用いられた長期抗ウイルス療法は、薬剤耐性を発現しやすい。シリマリンやマロチレートなどの抗炎症および抗酸化細胞保護薬を使用しても、根本的に問題を解決することができない。肺線維化に関し、糖質コルチコイドと免疫抑制薬は、肺線維化の症状を改善し、疾患の進行を遅らせることができるが、強い副作用がある。米国FDAによって承認された唯一の治療薬は、Esbriet(pirfenidone、ピルフェニドン)とニンテダニブ(Nintedanib)であるが、これら2つの治療薬も現在の患者への働きが満足のいくものではない。
【0007】
上述の様々な組織および臓器の線維増殖性疾患を引き起こす原因は、多く発症機序が複雑であり、疾患の経過が数年から数十年続くため、現在組織線維化の正確な発症機序が完全には解明されておらず、組織線維化を本当に逆転させることができると共に認められた治療薬がない。中国の漢方薬と天然物は、疾患治療に使用すると、マルチターゲットと総合的な作用メカニズムの特徴を持っているため、それらを抗線維化薬の開発に応用することが一定の利点と特徴がある。
【0008】
アンドログラフォライドは、アンドログラフィスパニクラータAndrographis paniculata(Burm.f.)Neesから抽出されたジテルペンラクトン化合物であり、中国の漢方薬アンドログラフィスパニクラータの主要な有効成分の1つである。臨床的には、主に上気道感染症、細菌性赤痢などの治療に用いられる。近年、抗腫瘍、肝臓保護・利胆作用、抗ウイルスなどの側面におけるアンドログラフォライドの応用や研究は、深まっている。寧光氏は、特許文献1で急性肝損傷の治療薬の調製におけるアンドログラフォライドの応用を開示している。アンドログラフォライドは、コンカナバリンA誘発肝障害を大幅に抑制し、コンカナバリンAによる肝細胞死を抑制し、肝臓の炎症反応を抑制することができ、コンカナバリンA誘発肝障害の治療に用いることができる。現在、アンドログラフォライドおよびその誘導体は、多くの抗腫瘍(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)、抗ウイルス(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10)などの潜在的な治療薬の合成に成功していた。関連する研究も日増しに増えている。非特許文献1は、アンドログラフォライドが脂質過酸化反応を抑制し、組織内の酸素フリーラジカルの生成を減少させることにより、四塩化炭素の急性肝損傷から保護できることを証明し、メカニズムがTNF-α発現の阻害、HO-1発現の誘導に関連している可能性がある。非特許文献2の研究は、α-ナフチルイソチオシアネート(ANIT)誘発急性肝内胆汁うっ滞モデルラットに対するアンドログラフォライドの保護効果を実証している。可能なメカニズムは、NF-κBをダウンレギュレートし、肝星細胞の活性化を阻害することである。アンドログラフォライドは、腎臓の酸化ストレス、炎症、線維化を抑制することにより、糖尿病性腎症の進行を抑制する。非特許文献3の研究は、アンドログラフォライドがPI3K/AKTおよびERKを介して抗酸化タンパク質GST、GPxおよびGRの発現をアップレギュレートし、エタノール毒性から保護することが実証されている。非特許文献4は、ブレオマイシンによって誘発された肺線維化のラットの肺胞炎を緩和し、肺組織のヒドロキシプロリン含有量を減らし、肺組織の血小板由来因子(PDGF)の発現を減らすため、繊維化の程度を軽減し、かつ肝臓と腎臓に明らかな副作用はないことを研究し;非特許文献5は、アンドログラフォライド(AP)が糖尿病ラットの腎臓組織に対するグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH;Px)の影響を介して糖尿病に起因する腎臓の高酸化ストレスを軽減し、糖尿病に起因する腎障害を軽減でき、長期生存率が向上する可能性を証明している。非特許文献6は、アンドログラフォライドがイソプロテレノール(ISO)誘発ラットの心臓肥大に保護作用があり、その作用メカニズムがラットの抗酸化能力を向上することに関連することを発見した。
【0009】
本発明者らは、予備的研究(特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14)で新規構造を有するアンドログラフォライド誘導体を多数得ており、一部の誘導体が抗腫瘍、抗炎症および抗HBV、HCVおよび急性肝損傷の保護作用などにおける応用について特許権による保護を申請した。これに基づき、イソアンドログラフォライドとその15置換誘導体をさらに合成し、活性試験を実施した。現在、関連する報告が無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】中国特許第CN201010266185.2号
【文献】中国特許第CN201410263842.6号
【文献】中国特許第CN201510718226.X号
【文献】中国特許第CN201310617805.6号
【文献】中国特許第CN201010516322.3号
【文献】中国特許第CN201410010214.7号
【文献】中国特許第CN201010177952.2号
【文献】中国特許第CN201410034947.4号
【文献】中国特許第CN201310144902.8号
【文献】中国特許第CN200710029644.3号
【文献】中国特許第CN200510107247.4号
【文献】中国特許第CN200710053807.1号
【文献】中国特許第CN200710053806.7号
【文献】中国特許第CN200610017357.6号
【文献】特許第ZL200710053807.1号イソアンドログラフォライド類似体およびその調製方法
【文献】特許第CN102838571A号、出願番号201210358667X、「γ-サブユニットブテノリドを含有するアンドログラフォライド誘導体、その合成方法および用途」、
【非特許文献】
【0011】
【文献】万君ら[The J Pract Med,2014:(14):2204-2207]
【文献】Tanaporn K.[Eur J Pharmacol,2016;789:64-254]
【文献】李二ら[Clin J Tradit Chin Med、2017;45(4):350-354]
【文献】黄成亮ら[Lishizhen Med Mater Med Res,2012;23(4):904-907]
【文献】林海涵[Shandong Med J,2011;51(4):40-41]
【文献】鐘富有ら[Lishizhen Med Mater Med Res,2010:21(1):226-227]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
予備的研究の結果に基づき、本発明者らは、抗線維化活性について合成化合物をスクリーニングすることによって、14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォリドおよびその構造の一般式(1)に示す14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラホリド15-置換誘導体、および14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフラクトン(ADC)、ならびに一般式(2)に示す構造のアンドログラフォライド誘導体が線維化関連疾患の予防と治療の顕著な効果を有し、高効率で毒性が低く、抗線維化薬として開発される可能性があることを見出した。故に本発明の目的は、14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォリドおよびその15位置換誘導体と14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフラクトン(ADC)を提供することであり;別の目的は、抗線維化薬の調製における応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を達成するために、前記14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォライドおよびその15位置換誘導体の分子構造は、下式で表される。
【化1】
〔式中、
R
1、R
2は、それぞれ水素、メチルまたはフェニル、ピリジル、フリル、チエニルまたはピロリルなどの芳香環、複素芳香環、およびそれらの一置換体または多置換体の1種であり;R
1、R
2は、C3-6シクロアルキル基またはC2-5アルキル基と窒素原子で構成されるシクロヘキシルやシクロペンチルなどの環状アミノ基であってもよく;R
1、R
2は、同一又は相異なる置換基であってもよい。R
3、R
4は、それぞれ水素、またはCH
2CH
2COOH、CH
2CH
2CH
2CH
2COOH、CH
2CHCHCH
2COOH、CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2COOHなどの1種、またはCOR
5であり、R
5が置換または非置換のフェニル、ピリジル、ピロリル、フリルなどの芳香族複素環またはシクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピル、モルホリニル、ピペリジニルなどの炭素環式あるいは複素環式構造、および飽和または不飽和のC1-18の炭素鎖長などである。R
3、R
4は、同じ置換基であっても、異なる置換基であってもよい。〕
【0014】
次の通りの化合物が好ましく、すなわちR1、R2は、各々水素、メチルまたはフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2,3,4-トリクロロフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニルであり;R1、R2は、同一か又は異なり;R3、R4は、各々水素であり;あるいはR3、R4は、それぞれCH2CH2COOHまたはCH2CH2CH2CH2COOH、CH2CHCHCH2COOH、CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COOHのうちの1種であり、またはR3、R4は、各々COR5であり;R5は、3-ピリジルまたはCH2CH2COOH、CH2CH2CH2CH2COOH、CH2CHCHCH2COOH、CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COOHのうちの1種であり;R3、R4は、同じまたは異なる置換基から同時に選択される。
【0015】
より好ましくは、R1、R2は、各々水素またはフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2,3,4-トリクロロフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニルであり;しかし、R1、R2は異なり;R3、R4は、各々水素であり;またはR3、R4は、それぞれCH2CH2COOH、CH2CH2CH2CH2COOH、CH2CHCHCH2COOH、CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COOHのうちの1種であり、またはR3、R4は、各々COR5であり、R5が3-ピリジルまたはCH2CH2COOHであり、R3、R4が同じ置換基から選択される。
【0016】
より好ましくは、R1、R2のいずれか一方が水素である場合、R1、R2の他方は、フェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、4-ヒドロキシフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニルからなる群から選択され;R3、R4は、各々水素であり;またはR3、R4は、それぞれCH2CH2COOH、CH2CH2CH2CH2COOH、CH2CHCHCH2COOH、CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COOHのうちの1種であり、またはR3、R4は、各々COR5であり、R5が3-ピリジルまたはCH2CH2COOHであり、R3、R4が同じ置換基から選択される。
【0017】
より好ましい化合物としては、以下の化合物が挙げられる:
ADY:14-デオキシ-11,12-デヒドロ-8,12-エポキシ-アンドログラフォライド;
ADY-1:R1=H,R2=4-Cl-C6H4,R3=R4=H;
ADY-2:R1=H,R2=4-Br-C6H4,R3=R4=H;
ADY-3:R1=H,R2=4-F-C6H4,R3=R4=H;
ADY-4:R1=H,R2=2-Cl-C6H4,R3=R4=H;
ADY-5:R1=H,R2=C6H5,R3=R4=H;
ADY-6:R1=H,R2=3,4-ジフルオロフェニル,R3=R4=H;
ADY-7:R1=H,R2=3-CH3O-C6H4,R3=R4=H;
ADY-8:R1=H,R2=4-OH-C6H4,R3=R4=H;
ADY-9:R1=H,R2=3,4,5-トリメチルオキシフェニル,R3=R4=H;
ADY-10:R1=H,R2=3-Cl-C6H4,R3=R4=H;
ADY-11:R1=H,R2=3-F-4-[N,-メチルピペリジン]-C6H3,R3=R4=H;
ADY-12:R1=H,R2=4-CH3O-C6H4,R3=R4=H;
ADY-13:R1=H,R2=3-F-4-モルホリン-C6H3,R3=R4=H;
ADY-14:R1=H,R2=4-[N-(CH3)2]-C6H4,R3=R4=H;
ADY-15:R1=H,R2=3,4-ジフルオロフェニル,R3=R4=COR5,R5=3-ピリジル
ADY-16:R1=H,R2=C6H5,R3=R4=COR5,R5=3-ピリジル;
ADY-17:R1=H,R2=4-Cl-C6H4,R3=R4=COR5,R5=CH2CH2COOH。
【0018】
上記の本発明の化合物の合成方法については、文献(特許文献15)を参照のこと。
【0019】
構造キャラクタリゼーションのデータは、次の通りである:
ADY-1:mp197-1990C;IR3415,2931,1762,1650,1587,1491,1091,1041,1021,921cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.69(d,J=8.6Hz,2H),7.36(d,J=8.6Hz,2H),7.28(d,J=1.7Hz,1H),5.93(s,1H),4.83(t,J=8.4Hz,1H),4.28(d,J=10.6Hz,1H),3.48(d,J=11.3Hz,1H),3.43ー3.34(m,1H),3.02(d,J=8.0Hz,1H),2.85(d,J=3.5Hz,1H),2.48(dd,J=13.8,8.1Hz,1H),2.23(m,1H),2.15ー2.05(m,1H),1.89ー1.72(m,3H),1.58ー1.43(m,4H),1.28(s,3H),1.13(s,3H),1.09ー0.99(m,2H),0.97(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ168.75,147.62,137.25,137.14,134.85,131.61,131.57(2C),129.05(2C),111.76,82.93,80.89,72.85,64.22,57.92,52.75,42.56,38.99,36.26,35.66,33.26,31.45,27.48,22.78,18.18,16.45.
【0020】
ADY-2:mp189-1900C;IR3343,2922,2872,1754,1644,1581,1486,1451,1039,1019,920cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.53(d,J=8.6Hz,2H),7.42(d,J=8.5Hz,2H),7.19(d,J=1.6Hz,1H),5.83(s,1H),4.73(t,J=8.5Hz,1H),4.19(d,J=11.0Hz,1H),3.38(d,J=10.4Hz,1H),3.34ー3.25(m,1H),2.39(dd,J=13.8,8.1Hz,1H),2.14(m,1H),2.06ー1.99(m,1H),1.74ー1.59(m,3H),1.50ー1.32(m,4H),1.19(s,3H),1.04(s,3H),1.00ー0.90(m,2H),0.88(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ168.74,147.72,137.32,137.16,132.01(3C),131.78(2C),123.25,111.83,82.94,80.83,72.84,64.22,57.91,52.73,42.51,38.99,36.25,35.65,33.24,31.45,27.44,22.80,18.18,16.45.
【0021】
ADY-3:mp180-1820C;IR3403,2931,1765,1654,1599,1508,1451,1365,1236,1041,1019,921cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66(dd,J=7.5,5.6Hz,2H),7.20(s,1H),6.98(dd,J=12.4,4.8Hz,2H),5.87(s,1H),4.74(t,J=8.5Hz,1H),4.19(d,J=8.6Hz,1H),3.44ー3.33(m,2H),2.38(dd,J=13.7,8.1Hz,1H),2.17ー2.11(m,1H),2.04ー2.00(m,1H),1.74ー1.60(m,3H),1.53ー1.40(m,4H),1.18(s,3H),1.05(s,3H),0.95(m,2H),0.88(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ168.92,162.85(d,J=250Hz),146.99(d,J=2Hz),137.23,136.79,132.38,132.29,129.39(d,J=3Hz),116.07,115.85,111.91,82.90,80.90,72.84,64.21,57.94,52.76,42.57,39.00,36.26,35.66,33.27,31.45,27.48,22.77,18.18,16.45.
【0022】
ADY-4:mp248-2490C;IR3374,2967,2931,1764,1644,1611,1469,1363,1036,1015,922,755,693cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ8.05(d,J=7.8Hz,1H),7.78(s,1H),7.54(d,J=8.0Hz,1H),7.44(t,J=7.6Hz,1H),7.37(t,J=7.6Hz,1H),6.60(s,1H),5.08(d,J=4.7Hz,1H),4.68(t,J=8.4Hz,1H),4.12(dd,J=7.7,2.5Hz,1H),3.93(dd,J=10.9,2.5Hz,1H),3.31ー3.15(m,2H),2.31ー2.21(m,1H),2.15ー2.03(m,2H),1.71ー1.59(m,2H),1.54(m,2H),1.49ー1.35(m,3H),1.10(s,3H),1.08(s,3H),1.03ー0.90(m,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,DMSO)δ168.70,149.33,138.58,137.55,133.53,131.73,131.25,130.65,130.28,128.13,107.46,82.85,79.36,72.29,63.32,57.77,52.27,42.39,39.06,36.44,35.65,32.81,31.44,27.63,23.65,18.64,16.43.
【0023】
ADY-5:mp242-2430C;IR3277,2968,2932,1747,1653,1610,1451,1365,1034,1017,922,774,691cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68(d,J=7.3Hz,2H),7.31(t,J=7.4Hz,2H),7.25(dd,J=6.0,3.8Hz,1H),7.21(d,J=1.7Hz,1H),5.90(s,1H),4.76(t,J=8.5Hz,1H),4.20(d,J=11.1Hz,1H),3.40(d,J=11.1Hz,1H),3.34ー3.26(m,1H),2.83(d,J=8.0Hz,1H),2.59(s,1H),2.40(dd,J=13.8,8.1Hz,1H),2.16(m,1H),2.03(m,1H),1.73ー1.59(m,3H),1.54ー1.38(m,4H),1.20(s,3H),1.06(s,3H),1.01ー0.91(m,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ169.03,147.37,137.32,136.84,133.10,130.47(2C),129.00,128.81(2C),113.22,82.88,80.94,72.87,64.22,57.95,52.78,42.60,39.00,36.28,35.67,33.29,31.46,27.50,22.76,18.19,16.45.
【0024】
ADY-6:mp185-1860C;IR3374,2927,1762,1654,1602,1517,1431,1302,1277,1039,1019,917cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.59(ddd,J=11.3,7.8,1.8Hz,1H),7.37ー7.30(m,1H),7.19(d,J=1.5Hz,1H),7.08(dd,J=18.3,8.5Hz,1H),5.81(s,1H),4.74(t,J=8.5Hz,1H),4.19(d,J=10.9Hz,1H),3.38(d,J=9.8Hz,1H),3.33ー3.25(m,1H),2.39(dd,J=13.7,8.1Hz,1H),2.19ー2.10(m,1H),2.06ー1.96(m,1H),1.78ー1.59(m,3H),1.51ー1.30(m,4H),1.19(s,3H),1.05(s,3H),1.00ー0.90(m,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ168.56,151.66(t,J=12Hz),149.16(dd,J=8,13Hz),147.67(d,J=3Hz),137.52,137.00,130.23(dd,J=4,7Hz),126.90(dd,J=3,6Hz),118.84(d,J=18Hz),117.60(d,J=17Hz),110.70,82.98,80.81,72.81,64.22,57.89,52.71,42.49,38.98,36.23,35.65,33.23,31.43,27.42,22.80,18.17,16.44.
【0025】
ADY-7:mp214-2150C;IR3353,2933,1759,1596,1573,1463,1266,1019,928cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.24(d,J=3.3Hz,2H),7.22(s,1H),7.20(s,1H),6.84ー6.78(m,1H),5.87(s,1H),4.75(t,J=8.5Hz,1H),4.20(d,J=11.1Hz,1H),3.77(s,3H),3.40(dd,J=11.6,3.9Hz,1H),3.30(d,J=11.0Hz,1H),2.84(s,1H),2.60(s,1H),2.40(dd,J=13.8,8.1Hz,1H),2.15(dd,J=11.2,3.6Hz,1H),2.08ー1.99(m,1H),1.72ー1.61(m,3H),1.51ー1.36(m,4H),1.20(s,3H),1.05(s,3H),0.95(m,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ168.89,159.75,147.51,137.30,136.96,134.33,129.73,123.20,115.26,115.07,113.09,82.88,80.94,72.87,64.22,57.94,55.35,52.77,42.59,39.00,36.28,35.67,33.28,31.46,27.49,22.76,18.19,16.45.
【0026】
ADY-8:mp224-2260C;IR3380,2933,1727,1597,1458,1264,1021,921cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ10.16(s,1H),7.88(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),7.70(d,J=1.3Hz,1H),7.17(m,1H),6.90(d,J=3.2Hz,1H),6.88(d,J=2.6Hz,1H),6.59(s,1H),5.10(d,J=4.7Hz,1H),4.66(t,J=8.2Hz,1H),4.13(dd,J=7.7,2.6Hz,1H),3.94(dd,J=10.9,2.5Hz,1H),3.28ー3.20(m,2H),2.25(dd,J=13.5,8.0Hz,1H),2.15ー2.02(m,2H),1.65(dd,J=14.8,6.5Hz,2H),1.53(d,J=7.5Hz,2H),1.43(m,3H),1.10(s,3H),1.07(s,3H),0.93(m,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,DMSO)δ169.20,156.47,147.14,139.03,135.35,130.83,120.56,120.00,116.01,110.32,107.45,82.74,79.37,72.19,63.32,57.86,52.25,42.38,39.08,36.43,35.65,32.89,31.40,27.63,23.64,18.64,16.46.
【0027】
ADY-9:mp225-2260C;IR3416,2940,1762,1578,1504,1247,1126,1086,1018,921cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.05(s,1H),6.81(s,1H),6.75(s,2H),5.08(d,J=4.7Hz,1H),4.69(t,J=8.4Hz,1H),4.12(dd,J=7.6,2.7Hz,1H),3.93(dd,J=11.0,2.6Hz,1H),3.81(s,9H),3.28ー3.21(m,2H),2.25-2.16(m,2H),2.09ー2.04(m,1H),1.69-1.63(m,2H),1.56-1.53(m,2H),1.50-1.43(m,3H),1.10(s,3H),1.08(s,3H),1.01-0.92(m,2H),0.90(s,3H);13C NMR(100MHz,DMSO)δ168.02,153.57(2C),153.40,148.48,139.88,133.26,128.86,115.25,107.06(2C),82.91,79.35,72.27,63.32,60.64,60.59,57.78,56.33,52.20,42.37,42.32,39.06,36.36,35.66,32.66,31.39,27.59,23.62,18.60,16.45.
【0028】
ADY-10:mp229-2300C;IR3347,2908,1768,1476,1036,1017,924cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.76(s,1H),7.65(d,J=7.7Hz,1H),7.60(s,1H),7.47(t,J=7.8Hz,1H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),6.32(s,1H),5.09(d,J=4.7Hz,1H),4.67(t,J=8.4Hz,1H),4.12(dd,J=7.7,2.6Hz,1H),3.93(dd,J=10.9,2.5Hz,1H),3.31ー3.18(m,2H),2.26(dd,J=13.5,8.1Hz,1H),2.17ー2.03(m,2H),1.64(dd,J=15.2,6.7Hz,2H),1.54(t,J=7.4Hz,2H),1.44(dd,J=12.0,5.8Hz,3H),1.10(s,3H),1.06(s,3H),0.95(dd,J=17.4,6.6Hz,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,DMSO)δ168.59,148.66,138.20,137.40,135.69,134.00,131.24,129.56,129.05,128.90,110.99,82.84,79.36,72.29,63.32,57.76,52.25,42.39,39.06,36.42,35.65,32.76,31.40,27.63,23.65,18.63,16.43.
【0029】
ADY-11:mp219-2210C;IR3425,2933,1756,1599,1511,1252,1142,1022,923cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.56(s,1H),7.49(dd,J=14.9,1.4Hz,1H),7.41(d,J=8.6Hz,1H),7.04(t,J=9.0Hz,1H),6.24(s,1H),5.09(d,J=4.7Hz,1H),4.65(t,J=8.3Hz,1H),4.12(d,J=5.7Hz,1H),3.98ー3.89(m,1H),3.30ー3.19(m,2H),3.12-3.06(m,4H),2.49-2.42(m,4H),2.29ー2.23(m,1H),2.22(s,3H),2.14ー2.02(m,2H),1.70ー1.57(m,2H),1.54(dd,J=11.3,5.8Hz,2H),1.49ー1.35(m,3H),1.10(s,3H),1.05(s,3H),1.01ー0.90(m,2H),0.88(s,3H);13C NMR(100MHz,DMSO)δ168.81,154.55(d,J=242Hz),146.87,140.58(d,J=8Hz),138.28,135.63,127.74,127.17(d,J=9Hz),119.49(d,J=4Hz),117.31(d,J=22Hz),111.98,82.74,79.36,72.25,63.32,57.83,54.96,52.24,49.95,49.91,49.06,46.21,42.38,39.08,36.41,35.64,32.85,31.42,27.63,23.64,18.63,16.45.
【0030】
ADY-12:mp215-2160C;IR3329,2939,1749,1598,1511,1463,1303,1255,1175,1020,921cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.68(d,J=8.8Hz,2H),7.57(s,1H),7.01(d,J=8.8Hz,2H),6.27(s,1H),5.08(d,J=4.7Hz,1H),4.66(t,J=8.3Hz,1H),4.12(dd,J=7.6,2.4Hz,1H),3.93(dd,J=10.9,2.4Hz,1H),3.80(s,3H),3.24(ddd,J=15.7,10.6,6.3Hz,2H),2.25(dd,J=13.5,8.0Hz,1H),2.15ー2.01(m,2H),1.64(dd,J=14.4,6.2Hz,2H),1.55(dd,J=16.5,9.0Hz,2H),1.41(dd,J=29.2,5.2Hz,3H),1.10(s,3H),1.06(s,3H),1.02ー0.90(m,2H),0.89(s,3H);13C NMR(100MHz,DMSO)δ169.05,160.23,146.24,138.53,135.16,132.25(2C),126.26,115.01(2C),112.99,82.72,79.36,72.24,63.31,57.85,55.73,52.23,42.38,39.09,36.42,35.65,32.89,31.44,27.63,23.64,18.64,16.46.
【0031】
ADY-13:mp213-2140C;IR3372,2943,1750,1598,1513,1446,1252,1123,1020,923cm-1;1H NMR(400MHz,DMSO)δ7.56(d,J=1.2Hz,1H),7.50(dd,J=14.8,1.5Hz,1H),7.43(dd,J=8.5,1.4Hz,1H),7.06(t,J=9.0Hz,1H),6.25(s,1H),5.09(d,J=4.7Hz,1H),4.65(t,J=8.2Hz,1H),4.13(dd,J=7.6,2.5Hz,1H),3.93(dd,J=11.0,2.5Hz,1H),3.77ー3.71(m,4H),3.30ー3.19(m,2H),3.12ー3.06(m,4H),2.24(dd,J=13.4,8.0Hz,1H),2.14ー2.01(m,2H),1.68ー1.60(m,2H),1.56ー1.50(m,2H),1.49ー1.39(m,3H),1.10(s,3H),1.05(s,3H),0.99ー0.90(m,2H),0.88(s,3H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ168.39,154.19(d,J=243Hz),146.56,140.01(d,J=8Hz),137.87,135.32,127.35,127.08(d,J=9Hz),118.92(d,J=3Hz),116.95(d,J=22Hz),111.44,82.35,78.95,71.82,66.06(2C),62.90,57.41,51.81,50.04,50.00,41.96,38.66,35.97,35.22,32.42,30.99,27.19,23.21,18.20,16.02.。
【0032】
前記14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エン-アンドログラフォライド(ADC)およびその誘導体は、下式に示す構造を有する。
【化2】
〔式中、
R
1、R
2は、それぞれ水素、メチルまたはフェニル、ピリジル、フリル、チエニルまたはピロリルなどの芳香環、複素芳香環、およびそれらの一置換体または多置換体の1種であり;R
1、R
2は、互いに結合してシクロヘキサンやシクロペンタンなどの環状置換基を形成してもよく;R
1、R
2は同一でも異なっていてもよい。〕
【0033】
好ましい化合物:R1、R2は、各々水素またはフェニル、メチル、2-フリル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2,3,4-トリクロロフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル、3-アミノ-4-クロロフェニル、2-アミノ-4-クロロフェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニルであり、またはR1とR2は、互いに結合してシクロヘキシル、シクロペンチルを形成する。R1、R2は同一でも異なっていてもよい。
【0034】
より好ましい化合物:R1、R2のいずれか一方が水素である場合、R1、R2の他方は、メチル、2-フリル、フェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-クロロフェニル、3,4,5-トリメチルオキシフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,4-ジブロモフェニル、2-フルオロ-4-クロロフェニル、2-ブロモ-4-クロロフェニル、3-フルオロ-4-クロロフェニル、3-ブロモ-4-クロロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジブロモフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-ブロモ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-ブロモ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ブロモフェニル、2-クロロ-4-ブロモフェニル、3-フルオロ-4-ブロモフェニル、3-クロロ-4-ブロモフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、4-(N、N-ジメチルアミノ)フェニル、3-フルオロ-4-(4-モルホリニル)フェニル、3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジニル)フェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニルからなる群から選択され、またはR1とR2は互いに結合してシクロヘキシルを形成する。
【0035】
より好ましい化合物は、次の通りである:
ADC:14-デオキシ-11,12-デヒドロ-7,8-エンアンドログラフォライド;
ADC-1:R1=H,R2=4-Cl-C6H4;
ADC-2:R1=H,R2=C6H5;
ADC-3:R1=H,R2=3-Cl-C6H4;
ADC-4:R1=H,R2=4-Br-C6H4;
ADC-5:R1=H,R2=4-F-C6H4;
ADC-6:R1=H,R2=3,4-ジフルオロフェニル;
ADC-7:R1=H,R2=2-Cl-C6H4;
ADC-8:R1=H,R2=3-CH3O-C6H4;
ADC-9:R1=H,R2=4-N(CH3)2-C6H4;
ADC-10:R1=H,R2=3-F-4-(4-モルホリニル)-C6H3;
ADC-11:R1=H,R2=4-CH3O-C6H4;
ADC-12:R1=H,R2=2-HO-C6H4;
ADC-13:R1=H,R2=4-HO-C6H4;
ADC-14:R1=H,R2=3-NO2-C6H4;
ADC-15:R1=H,R2=3,4,5-トリメチルオキシフェニル;
ADC-16:R1=H,R2=2-フリル;
ADC-17:R1とR2は互いに結合してシクロヘキシルを形成する。
【0036】
その合成方法については、特許文献16を参照のこと。
【0037】
上記化合物の構造キャラクタリゼーションのデータは、次の通りである:
ADC:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.21(s,1H),6.64(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.17(d,J=15.8Hz,1H),5.52(s,1H),4.85(d,J=1.6Hz,2H),4.30(d,J=11.0Hz,1H),3.51(t,J=9.5Hz,2H),2.94(d,J=7.6Hz,1H),2.63(s,1H),2.44(d,J=10.8Hz,1H),2.12(d,J=17.3Hz,1H),1.97ー1.86(m,1H),1.85ー1.76(m,1H),1.75ー1.66(m,2H),1.53(s,3H),1.36(dd,J=12.4,4.6Hz,1H),1.27(s,3H),1.24ー1.14(m,1H),0.84(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ172.87,147.12,136.32,132.56,127.48,122.64,122.15,79.37,70.65,62.99,59.98,49.97,42.08,38.27,35.94,27.80,23.70,23.23,22.67,15.95.HRMS(ESI):m/z calcd for C20H28NaO4[M+Na]+,355.1880;found,355.1878.
【0038】
ADC-1:R1=H,R2=4-Cl-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.76(d,J=8.6Hz,2H),7.74(s,1H),7.52(d,J=8.6Hz,2H),6.62(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.33(d,J=17.3Hz,2H,overlap),5.51(s,1H),5.12(s,1H),4.31(s,1H),3.94(d,J=10.9Hz,1H),3.41(d,J=10.5Hz,1H),3.28ー3.18(m,1H),2.48(s,1H,overlap),2.02(s,2H),1.70ー1.50(m,3H),1.48(s,3H),1.26(dd,J=10.4,6.5Hz,1H),1.22ー1.13(m,1H),1.08(s,3H),0.81(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.81,148.37,139.47,137.27,133.81,132.71,132.40,132.18(2C,overlap),129.50(2C,overlap),126.75,122.81,122.20,111.86,79.35,62.98,60.23,49.97,42.13,38.31,36.23,27.81,23.72,23.23,22.70,16.03.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H31ClNaO4[M+Na]+,477.1809;found,477.1810.
【0039】
ADC-2:R1=H,R2=C6H5;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.80(d,J=7.6Hz,2H),7.60(s,1H),7.44(t,J=7.6Hz,2H),7.35(t,J=7.4Hz,1H),6.74(dd,J=15.7,10.7Hz,1H),6.38(d,J=15.7Hz,1H),6.25(s,1H),5.54(s,1H),4.62(s,1H),4.21(d,J=10.8Hz,1H),3.84(d,J=7.6Hz,1H),3.50ー3.38(m,2H),2.55(d,J=10.4Hz,1H),2.15ー2.08(m,1H),2.03ー1.91(m,1H),1.84ー1.74(m,1H),1.74ー1.68(m,1H),1.68ー1.61(m,1H),1.53(s,3H),1.37(dd,J=12.3,4.8Hz,1H),1.32ー1.22(m,1H),1.21(s,3H),0.88(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.92,148.50,139.56,136.85,134.28,132.88,130.73(2C,overlap),129.27(2C,overlap),129.16,127.11,122.62,122.52,112.99,80.62,63.86,60.97,50.56,42.42,38.65,36.49,28.11,23.64,22.71,22.27,15.83.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H32NaO4[M+Na]+,443.2198;found,443.2168.。
【0040】
ADC-3:R1=H,R2=3-Cl-C6H4;1H NMR(400MHz,Acetone-d6)δ8.22(d,J=7.9Hz,1H),7.74(s,1H),7.53(d,J=8.0Hz,1H),7.47(t,J=7.6Hz,1H),7.42ー7.35(m,1H),6.79(dd,J=15.7,10.7Hz,1H),6.59(s,1H),6.42(d,J=15.7Hz,1H),5.57(s,1H),4.65(s,1H),4.24(d,J=10.8Hz,1H),3.87(d,J=6.8Hz,1H),3.60(d,J=6.8Hz,1H),3.52ー3.46(m,1H),2.59(d,J=10.3Hz,1H),2.14(d,J=18.0Hz,1H),2.00(t,J=14.9Hz,1H),1.86ー1.77(m,1H),1.76ー1.71(m,1H),1.70ー1.63(m,1H),1.56(s,3H),1.39(dd,J=12.3,4.7Hz,1H),1.34ー1.25(m,1H),1.22(s,3H),0.90(s,3H).13C NMR(100MHz,Acetone-d6)δ168.24,149.45,139.93,136.37,133.62,132.34,131.60,131.43,129.92,129.77,127.54,127.46,122.25,121.96,107.09,80.17,63.42,60.52,50.12,41.99,38.21,36.09,27.67,23.20,22.28,21.82,15.40.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H31ClNaO4[M+Na]+,477.1809;found,477.1807.
【0041】
ADC-4:R1=H,R2=4-Br-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.73(s,1H),7.69(d,J=8.7Hz,2H),7.65(d,J=8.7Hz,2H),6.62(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.32(t,J=7.8Hz,2H),5.51(s,1H),5.13(d,J=4.8Hz,1H),4.31(d,J=5.1Hz,1H),3.94(d,J=10.7Hz,1H),3.41(dd,J=10.7,7.8Hz,1H),3.27ー3.19(m,1H),2.51ー2.47(m,1H,overlap),2.02(s,2H),1.71ー1.50(m,3H),1.47(s,3H),1.26(dd,J=10.4,6.4Hz,1H),1.23ー1.12(m,1H),1.08(s,3H),0.81(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.81,148.44,139.50,137.27,133.01,132.42(2C,overlap),132.39(3C,overlap),126.79,122.80,122.65,122.21,111.95,79.35,62.98,60.24,49.96,42.13,38.30,36.22,27.81,23.71,23.23,22.70,16.03.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H31BrNaO4[M+Na]+,521.1303;found,521.1306.
【0042】
ADC-5:R1=H,R2=4-F-C6H4;1H NMR(400MHz,Acetone-d6)δ7.88(dd,J=8.6,5.7Hz,2H),7.61(s,1H),7.25(t,J=8.8Hz,2H),6.76(dd,J=15.7,10.7Hz,1H),6.39(d,J=15.7Hz,1H),6.28(s,1H),5.56(s,1H),4.63(d,J=4.3Hz,1H),4.24(d,J=10.8Hz,1H),3.86(d,J=8.1Hz,1H),3.53ー3.39(m,2H),2.57(d,J=10.3Hz,1H),2.14(d,J=17.8Hz,1H),2.00(t,J=14.9Hz,1H),1.86ー1.77(m,1H),1.76ー1.71(m,1H),1.70ー1.63(m,1H),1.55(s,3H),1.39(dd,J=12.3,4.7Hz,1H),1.33ー1.26(m,1H),1.23(s,3H),0.90(s,3H).13C NMR(100MHz,Acetone-d6)δ168.40,162.64(d,J=247Hz),147.76(d,J=3Hz),139.17,136.31,132.43,132.42,132.35,130.41(d,J=3Hz),126.64,122.20,122.04,115.90,115.68,111.24,80.18,63.43,60.54,50.13,41.99,38.22,36.06,27.67,23.20,22.27,21.82,15.38.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H31FNaO4[M+Na]+,461.2104;found,461.2106.
【0043】
ADC-6:R1=H,R2=3,4-diF-C6H3;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.79ー7.72(m,2H),7.63ー7.57(m,1H),7.52(dd,J=18.9,8.7Hz,1H),6.63(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.33(t,J=7.8Hz,2H),5.51(s,1H),5.13(d,J=4.6Hz,1H),4.31(d,J=5.3Hz,1H),3.94(d,J=10.5Hz,1H),3.40(dd,J=10.7,7.5Hz,1H),3.27ー3.18(m,1H),2.48(s,1H,overlap),2.02(s,2H),1.67ー1.49(m,3H),1.47(s,3H),1.26(dd,J=10.4,6.5Hz,1H),1.23ー1.13(m,1H),1.08(s,3H),0.81(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.69,151.09(dd,J=8,13Hz),148.69(d,J=13Hz),148.46(d,J=2Hz),139.71,137.10,132.37,131.48(dd,J=4,7Hz),127.84(dd,J=3,6Hz),126.97,122.81,122.11,118.85(d,J=18Hz),118.63(d,J=17Hz),110.80,79.35,62.98,60.23,49.96,42.13,38.30,36.23,27.80,23.71,23.22,22.68,16.02.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H30F2NaO4[M+Na]+,479.2010;found,479.2013.
【0044】
ADC-7:R1=H,R2=2-Cl-C6H4;1H NMR(400MHz,Acetone-d6)δ8.22(d,J=7.9Hz,1H),7.74(s,1H),7.53(d,J=8.0Hz,1H),7.47(t,J=7.6Hz,1H),7.42ー7.35(m,1H),6.79(dd,J=15.7,10.7Hz,1H),6.59(s,1H),6.42(d,J=15.7Hz,1H),5.57(s,1H),4.65(s,1H),4.24(d,J=10.8Hz,1H),3.87(d,J=6.8Hz,1H),3.60(d,J=6.8Hz,1H),3.52ー3.46(m,1H),2.59(d,J=10.3Hz,1H),2.14(d,J=18.0Hz,1H),2.00(t,J=14.9Hz,1H),1.86ー1.77(m,1H),1.76ー1.71(m,1H),1.70ー1.63(m,1H),1.56(s,3H),1.39(dd,J=12.3,4.7Hz,1H),1.34ー1.25(m,1H),1.22(s,3H),0.90(s,3H).13C NMR(100MHz,Acetone-d6)δ168.24,149.45,139.93,136.37,133.62,132.34,131.60,131.43,129.92,129.77,127.54,127.46,122.25,121.96,107.09,80.17,63.42,60.52,50.12,41.99,38.21,36.09,27.67,23.20,22.28,21.82,15.40.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H31ClNaO4[M+Na]+,477.1809;found,477.1807.
【0045】
ADC-8:R1=H,R2=3-CH3O-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.73(s,1H),7.41ー7.33(m,2H),7.31(s,1H),6.99ー6.93(m,1H),6.61(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.32(t,J=7.8Hz,2H,overlap),5.51(s,1H),5.12(s,1H),4.31(d,J=4.9Hz,1H),3.94(d,J=10.8Hz,1H),3.80(s,3H),3.41(dd,J=10.6,6.6Hz,1H),3.23(d,J=10.3Hz,1H),2.48(s,1H,overlap),2.02(s,2H),1.65ー1.49(m,3H),1.48(s,3H),1.26(dd,J=10.5,6.4Hz,1H),1.22ー1.13(m,1H),1.08(s,3H),0.81(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.95,159.88,148.14,139.24,137.40,134.98,132.43,130.44,126.51,123.16,122.78,122.20,115.91,115.00,113.22,79.36,62.99,60.22,55.59,49.97,42.13,38.30,36.22,27.82,23.71,23.23,22.70,16.02.HRMS(ESI):m/zcalcd for C28H34NaO5[M+Na]+,473.2304;found,473.2306.
【0046】
ADC-9:R1=H,R2=4-N(CH3)2-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.63(s,1H),7.61(d,J=9.0Hz,2H),6.76(d,J=9.0Hz,2H),6.51(dd,J=15.7,10.5Hz,1H),6.26(d,J=15.7Hz,1H),6.21(s,1H),5.50(s,1H),5.08(s,1H),4.31(s,1H),3.95(d,J=10.9Hz,1H),3.40(d,J=10.9Hz,1H),3.23(dd,J=10.8,4.1Hz,1H),2.99(s,6H),2.47(d,J=9.8Hz,1H),2.01(s,2H),1.68ー1.49(m,3H),1.47(s,3H),1.25(dd,J=10.5,6.2Hz,1H),1.22ー1.12(m,1H),1.07(d,J=6.5Hz,3H),0.80(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ174.12,155.72,149.67,142.10,141.74,137.42,137.16(2C,overlap),128.16,127.39,127.31,126.10,119.83,117.28(2C,overlap),84.15,67.76,65.01,54.76,46.87,44.85(2C,overlap),43.08,40.92,32.59,28.47,27.98,27.48,20.77.HRMS(ESI):m/z calcd for C29H37NNaO4[M+Na]+,486.2620;found,486.2619.
【0047】
ADC-10:R1=H,R2=3-F-4-(4-モルホリニル)-C6H3;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.70(s,1H),7.53(d,J=14.8Hz,1H),7.48(d,J=8.6Hz,1H),7.08(t,J=9.0Hz,1H),6.58(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.30(d,J=16.0Hz,1H),6.27(s,1H),5.51(s,1H),5.12(s,1H),4.31(s,1H),3.94(d,J=10.9Hz,1H),3.83ー3.70(m,4H),3.40(d,J=12.2Hz,1H),3.23(d,J=7.3Hz,1H),3.15ー3.03(m,4H),2.48(s,1H),2.02(s,2H),1.68ー1.49(m,3H),1.47(s,3H),1.26(dd,J=10.4,6.3Hz,1H),1.22ー1.13(m,1H),1.08(s,3H),0.80(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.92,154.61(d,J=243Hz),147.22,140.50(d,J=8Hz),138.77,137.17,132.47,127.89(d,J=2Hz),127.68(d,J=8Hz),125.73,122.75,122.27,119.36(d,J=3Hz),117.64,117.41,112.36,79.37,66.48,62.99,60.24,50.48,50.44,49.97,42.12,38.31,36.21,27.81,23.71,23.22,22.70,16.02.HRMS(ESI):m/z calcd for C31H38FNNaO5[M+Na]+,546.2632;found,546.2634.
【0048】
ADC-11:R1=H,R2=4-CH3O-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.72(d,J=8.8Hz,2H),7.70(s,1H),7.03(d,J=8.8Hz,2H),6.57(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.30(t,J=7.8Hz,2H),5.51(s,1H),5.13(s,1H),4.31(s,1H),3.94(d,J=10.8Hz,1H),3.81(s,3H),3.40(d,J=10.8Hz,1H),3.27ー3.19(m,1H),2.48(s,1H),2.02(s,2H),1.69ー1.50(m,3H),1.48(s,3H),1.26(dd,J=10.5,6.3Hz,1H),1.22ー1.13(m,1H),1.06(s,3H),0.81(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ169.15,160.34,146.47,138.32,137.49,132.51,132.43(2C,overlap),126.48,125.24,122.73,122.33,115.06(2C,overlap),113.51,79.37,62.99,60.23,55.77,49.98,42.12,38.31,36.19,27.82,23.71,23.23,22.71,16.02.HRMS(ESI):m/z calcd for C28H34NaO5[M+Na]+,473.2304;found,473.2303.
【0049】
ADC-12:R1=H,R2=2-HO-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.19(s,1H),7.91(dd,J=7.8,1.3Hz,1H),7.79(s,1H),7.21ー7.16(m,1H),6.91(d,J=8.5Hz,2H),6.62ー6.53(m,2H),6.29(d,J=15.7Hz,1H),5.51(s,1H),5.13(d,J=4.8Hz,1H),4.31(d,J=5.0Hz,1H),3.94(d,J=10.6Hz,1H),3.44ー3.38(m,1H),3.26ー3.19(m,1H),2.50(s,1H),2.02(s,2H),1.65ー1.50(m,3H),1.48(s,3H),1.26(dd,J=10.5,6.4Hz,1H),1.23ー1.16(m,1H),1.08(s,3H),0.81(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ169.21,156.53,147.33,138.46,137.92,132.50,130.95,128.78,125.45,122.74,122.32,120.75,120.09,116.05,107.83,79.36,62.99,60.20,49.97,42.12,38.32,36.19,27.82,23.71,23.23,22.72,16.03.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H32NaO5[M+Na]+,459.2147;found,459.2151.
【0050】
ADC-13:R1=H,R2=4-HO-C6H4;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.10(s,1H),7.65(s,1H),7.61(d,J=8.7Hz,2H),6.85(d,J=8.6Hz,2H),6.54(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.28(d,J=15.7Hz,1H),6.24(s,1H),5.49(s,1H),5.17(d,J=4.9Hz,1H),4.41ー4.32(m,1H),3.99ー3.90(m,1H),3.40(dd,J=10.7,7.5Hz,1H),3.28ー3.18(m,1H),2.47(d,J=10.2Hz,1H),2.01(s,2H),1.69ー1.48(m,3H),1.46(s,3H),1.25(dd,J=10.9,5.7Hz,1H),1.21ー1.11(m,1H),1.07(s,3H),0.79(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ169.27,159.02,145.86,137.96,137.54,132.70(2C,overlap),132.54,124.97,124.73,122.69,122.36,116.50(2C,overlap),114.15,79.41,63.02,60.21,49.96,42.08,38.28,36.15,27.77,23.68,23.17,22.69,16.00.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H32NaO5[M+Na]+,459.2147;found,459.2146.
【0051】
ADC-14:R1=H,R2=3-NO2-C6H4;1H NMR(400MHz,Acetone-d6)δ8.35(s,1H),8.26(d,J=7.7Hz,1H),7.94(d,J=7.6Hz,1H),7.71(t,J=7.9Hz,1H),7.58(s,1H),6.72(dd,J=15.7,10.7Hz,1H),6.32(d,J=15.7Hz,1H),6.06(s,1H),5.58(s,1H),4.91(s,2H),4.50(d,J=11.3Hz,1H),3.76(d,J=4.2Hz,1H),3.73(d,J=5.2Hz,1H),2.64ー2.50(m,2H),2.18(d,J=17.2Hz,1H),1.91(t,J=15.0Hz,1H),1.81(d,J=13.4Hz,1H),1.75ー1.66(m,1H),1.56(s,3H),1.53ー1.48(m,1H),1.47(s,3H),1.36ー1.27(m,1H),1.05(s,3H).13C NMR(100MHz,Acetone-d6)δ172.05,148.15,145.33,141.91,136.02,133.19,132.76,129.49,128.01,123.21,122.44,121.80,121.08,93.29,81.46,69.81,69.26,59.88,49.45,37.01,36.17,35.99,25.06,22.16,21.84,21.17,15.18.HRMS(ESI):m/z calcd for C27H31NNaO6[M+Na]+,488.2049;found,488.2047.
【0052】
ADC-15:R1=H,R2=3,4,5-triCH3O-C6H2;1H NMR(400MHz,Acetone-d6)δ7.58(s,1H),7.16(s,2H),6.74(dd,J=15.7,10.7Hz,1H),6.37(d,J=15.7Hz,1H),6.20(s,1H),5.55(s,1H),4.69(d,J=4.7Hz,1H),4.23(d,J=10.7Hz,1H),3.93(s,1H),3.90(s,6H),3.80(s,3H),3.46(dd,J=18.4,10.6Hz,2H),2.55(d,J=10.0Hz,1H),2.17ー2.10(m,1H),2.04ー1.92(m,1H),1.82ー1.65(m,3H),1.54(s,3H),1.37(dd,J=12.2,4.7Hz,1H),1.32ー1.26(m,1H),1.22(s,3H),0.89(s,3H).13C NMR(100MHz,Acetone-d6)δ168.47,153.56(2C,overlap),147.40,139.48,138.82,136.40,132.47,129.25,126.07,122.17,122.11,112.97,108.12(2C,overlap),80.18,63.45,60.51,59.84,55.62(2C,overlap),50.11,41.96,38.20,36.04,27.67,23.20,22.29,21.87,15.40.HRMS(ESI):m/z calcd for C30H38NaO7[M+Na]+,533.2515;found,533.2513.
【0053】
ADC-16:R1=H,R2=2-フリル;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.87(d,J=1.2Hz,1H),7.69(s,1H),6.91(d,J=3.5Hz,1H),6.68(dd,J=3.1,1.8Hz,1H),6.58(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.39(s,1H),6.31(d,J=15.7Hz,1H),5.51(s,1H),5.13(d,J=4.3Hz,1H),4.31(d,J=5.3Hz,1H),3.94(d,J=10.8Hz,1H),3.45ー3.39(m,1H),3.26ー3.19(m,1H),2.49(s,1H),2.02(s,2H),1.69ー1.49(m,3H),1.47(s,3H),1.26(dd,J=10.6,6.3Hz,1H),1.22ー1.13(m,1H),1.08(s,3H),0.80(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ168.74,149.47,145.92,145.68,138.93,136.13,132.45,126.35,122.76,122.35,115.35,113.69,101.65,79.36,62.99,60.22,49.98,42.12,38.30,36.22,27.81,23.71,23.22,22.69,16.02.HRMS(ESI):m/z calcd for C25H30NaO5[M+Na]+,433.1991;found,433.1990.
【0054】
ADC-17:R1とR2は互いに結合してシクロヘキシルを形成し;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.02(s,1H),6.52(dd,J=15.7,10.6Hz,1H),6.21(d,J=15.7Hz,1H),5.50(s,1H),5.12(s,1H),4.30(s,1H),3.94(d,J=10.9Hz,1H),3.40(d,J=11.1Hz,1H),3.22(dd,J=10.9,4.1Hz,1H),2.48(d,J=11.0Hz,1H),2.45ー2.36(m,4H),2.01(s,2H),1.59(s,6H),1.57ー1.47(m,3H),1.46(s,3H),1.26(dd,J=10.6,6.3Hz,1H),1.17(td,J=13.1,3.7Hz,1H),1.08(s,3H),0.79(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6)δ169.15,142.54,137.70,132.59,132.57,130.84,126.33,122.65,122.33,79.37,62.99,60.16,49.97,42.11,38.28,36.11,28.94,28.72,28.16,27.82,27.49,26.08,23.71,23.22,22.67,15.99.HRMS(ESI):m/z calcd for C26H36NaO4[M+Na]+,435.2511;found,435.2516.
【0055】
抗線維化薬の調製における本発明の化合物の応用効果を研究するために、本発明は、ヒト肝星細胞LX-2を利用して、細胞遊走および活性化に対する本発明の化合物の抑制活性を測定し、化合物のインビトロでの抗肝線維化活性を評価し;TGF-β1で誘導されたA549細胞間葉転換に対する本発明の化合物の阻害活性を、ヒト肺胞II型上皮細胞A549を用いて評価し、化合物のインビトロでの抗肺線維化活性を評価し;ヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2を利用してTGF-β1で誘導されたHK-2細胞間葉転換に対する本発明の化合物の阻害活性を評価し、化合物のインビトロでの抗腎線維化活性を評価し;初代ヒト心臓線維芽細胞HCFBを用いてAngIIで誘導されたHCFB細胞遊走に対する本発明の化合物の抑制活性を評価し、化合物のインビトロでの抗心筋線維化活性を評価した。さらにマウス総胆管結紮モデル、シリカ誘発マウス肺線維症モデル、およびマウス片側尿管結紮モデルを用いて本発明の化合物のインビボでの抗線維化活性を研究した。
【0056】
この化合物のシスおよび逆構造は、抗ヒト臓器(組織)線維化活性を有し、化合物を有効な医薬成分とし、または化合物の様々なプロドラッグ形態として単独または他の薬物と組み合わせて、現在の様々な従来の製薬方法およびプロセス要件に基づき、製薬中の許容される補助成分および/または添加成分と混合された後、抗線維化用の経口製剤、注射製剤などの様々な医薬品剤形を調製する。肝臓、肺、腎臓、心臓などの様々な臓器または組織の線維症の治療薬または予防薬を調製することが好ましい。経口製剤は、錠剤、丸剤、カプセル、顆粒またはシロップなどが挙げられ;注射用製剤は、注射剤または凍結乾燥粉末注射剤が挙げられる。
【発明の効果】
【0057】
本発明の利点および新規性は、次の通りである。
活性スクリーニングを通じて、上記の化合物が明らかな抗臓器および組織線維化活性を有すると確認される。実験により、親化合物であるアンドログラフォライド(AD)と比較して、本発明の化合物は、肝臓、肺、腎臓および心筋の線維化抑制効果を有意に向上したことが証明された。したがって、そのような化合物を有効成分として様々な抗線維化薬の調製に用いられ、線維化疾患の治療および予防のための創薬アプローチを提供し、それにより臨床薬剤投与の選択肢を広げ、良好な応用と開発の見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1A】ヒト肝星細胞LX-2生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物(30.00μM)の影響を示すグラフである[
図1Aの代表的な化合物はADYおよびその誘導体であり、図内:1.AD;2.ADY;3.ADY-1;4.ADY-2;5.ADY-3;6.ADY-4;7.ADY-5;8.ADY-6;9.ADY-7;10.ADY-8;11.ADY-9;12.ADY-10;13.ADY-11;14.ADY-12;15.ADY-13;16.ADY-14;17.ADY-15;18.ADY-16;19.ADY-17;]。
【
図1B】ヒト肝星細胞LX-2生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物(30.00μM)の影響を示すグラフである[
図1Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、図内:1.AD;2.ADC;3.ADC-1;4.ADC-2;5.ADC-3;6.ADC-4;7.ADC-5;8.ADC-6;9.ADC-7;10.ADC-8;11.ADC-9;12.ADC-10;13.ADC-11;14.ADC-12;15.ADC-13;16.ADC-14;17.ADC-15;18.ADC-16;19.ADC-17。]。
【
図2A】ADおよび本発明の代表的な化合物がヒト肝星細胞LX-2の遊走を抑制する結果(統計結果)を示すグラフである[化合物の濃度は、1.00μMおよび5.00μMであり;
図2Aの代表的な化合物はADYおよびその誘導体であり、図内:1.AD;2.ADY;3.ADY-1;4.ADY-2;5.ADY-3;6.ADY-4;7.ADY-5;8.ADY-6;9.ADY-7;10.ADY-8;11.ADY-9;12.ADY-10;13.ADY-11;14.ADY-12;15.ADY-13;16.ADY-14;17.ADY-15;18.ADY-16;19.ADY-17;]。
【
図2B】ADおよび本発明の代表的な化合物がヒト肝星細胞LX-2の遊走を抑制する結果(統計結果)を示すグラフである[
図2Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、図内:1.AD;2.ADC;3.ADC-1;4.ADC-2;5.ADC-3;6.ADC-4;7.ADC-5;8.ADC-6;9.ADC-7;10.ADC-8;11.ADC-9;12.ADC-10;13.ADC-11;14.ADC-12;15.ADC-13;16.ADC-14;17.ADC-15;18.ADC-16;19.ADC-17。]。
【
図3A】ヒト肺胞III型上皮細胞A549生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物の影響を示すグラフである[
図3Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、ADY-10およびADY-11の濃度が3.00μMであり、残りが30.00μMであり;図内:1.AD;2.ADY;3.ADY-1;4.ADY-2;5.ADY-3;6.ADY-4;7.ADY-5;8.ADY-6;9.ADY-7;10.ADY-8;11.ADY-9;12.ADY-10;13.ADY-11;14.ADY-12;15.ADY-13;16.ADY-14;17.ADY-15;18.ADY-16;19.ADY-17;]。
【
図3B】ヒト肺胞III型上皮細胞A549生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物の影響を示すグラフである[
図3Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、ADC-9が3.00μMの結果で、残りが30.00μMの結果であり;図内:1.AD;2.ADC;3.ADC-1;4.ADC-2;5.ADC-3;6.ADC-4;7.ADC-5;8.ADC-6;9.ADC-7;10.ADC-8;11.ADC-9;12.ADC-10;13.ADC-11;14.ADC-12;15.ADC-13;16.ADC-14;17.ADC-15;18.ADC-16;19.ADC-17。]。
【
図4A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト肺胞II型上皮細胞A549間葉転換(統計結果)を阻害することを示すグラフである[
図4Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、化合物AD低濃度および高濃度がそれぞれ1.25μMおよび2.50μMであり、ADY-8の低濃度および高濃度がそれぞれ0.63μMおよび1.25μMであり、残りの化合物低濃度および高濃度がそれぞれ0.31μMおよび0.63μMであり;
図4A内:1.コントロール;2.TGF-β1(5ng/mL);3.TGF-β1+AD;4.TGF-β1+ADY;5.TGF-β1+ADY-1;6.TGF-β1+ADY-2;7.TGF-β1+ADY-3;8.TGF-β1+ADY-4;9.TGF-β1+ADY-5;10.TGF-β1+ADY-6;11.TGF-β1+ADY-7;12.TGF-β1+ADY-8;13.TGF-β1+ADY-9;14.TGF-β1+ADY-10;15.TGF-β1+ADY-11;16.TGF-β1+ADY-12;17.TGF-β1+ADY-13;18.TGF-β1+ADY-14;19.TGF-β1+ADY-15;20.TGF-β1+ADY-16;21.TGF-β1+ADY-17;]
【
図4B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト肺胞II型上皮細胞A549間葉転換(統計結果)を阻害することを示すグラフである[
図4Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、図内の化合物AD、ADC-1、ADC-5、ADC-7、ADC-8、ADC-9、ADC-13、ADC-14およびADC-15の低濃度および高濃度がそれぞれ1.25μMおよび2.50μMで、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.63μMおよび1.25μMであり;
図4B内:1.コントロール;2.TGF-β1;3.TGF-β1+AD;4.TGF-β1+ADC;5.TGF-β1+ADC-1;6.TGF-β1+ADC-2;7.TGF-β1+ADC-3;8.TGF-β1+ADC-4;9.TGF-β1+ADC-5;10.TGF-β1+ADC-6;11.TGF-β1+ADC-7;12.TGF-β1+ADC-8;13.TGF-β1+ADC-9;14.TGF-β1+ADC-10;15.TGF-β1+ADC-11;16.TGF-β1+ADC-12;17.TGF-β1+ADC-13;18.TGF-β1+ADC-14;19.TGF-β1+ADC-15;20.TGF-β1+ADC-16; 21.TGF-β1+ADC-17。]
【
図5A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト肺胞II型上皮細胞A549遊走を抑制する結果を示すグラフである[
図5Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、化合物ADの低濃度および高濃度がそれぞれ0.31μMおよび0.63μMであり、ADY、ADY-1、ADY-2、ADY-4、ADY-6、ADY-7、ADY-8およびADY-13の低濃度および高濃度がそれぞれ0.08μMおよび0.16μMであり、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.16μMおよび0.31μMであり;
図5A内:1.TGF-β1(5ng/mL)+AD;2.TGF-β1+ADY;3.TGF-β1+ADY-1;4.TGF-β1+ADY-2;5.TGF-β1+ADY-3;6.TGF-β1+ADY-4;7.TGF-β1+ADY-5;8.TGF-β1+ADY-6;9.TGF-β1+ADY-7;10.TGF-β1+ADY-8;11.TGF-β1+ADY-9;12.TGF-β1+ADY-10;13.TGF-β1+ADY-11;14.TGF-β1+ADY-12;15.TGF-β1+ADY-13;16.TGF-β1+ADY-14;17.TGF-β1+ADY-15;18.TGF-β1+ADY-16;19.TGF-β1+ ADY-17;]
【
図5B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト肺胞II型上皮細胞A549遊走を抑制する結果を示すグラフである[
図5Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、化合物のAD、ADC-8、ADC-11、ADC-16およびADC-17の低濃度および高濃度がそれぞれ0.31μMおよび0.63μMであり、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.08μMおよび0.16μMであり;
図5B内:1.TGF-β1(5ng/mL)+AD;2.TGF-β1+ADC;3.TGF-β1+ADC-1;4.TGF-β1+ADC-2;5.TGF-β1+ADC-3;6.TGF-β1+ ADC-4;7.TGF-β1+ADC-5;8.TGF-β1+ADC-6;9.TGF-β1+ADC-7;10.TGF-β1+ADYC-8;11.TGF-β1+ADC-9;12.TGF-β1+ADC-10;13.TGF-β1+ADC-11;14.TGF-β1+ADC-12;15.TGF-β1+ADC-13;16.TGF-β1+ADC-15;17.TGF-β1+ADC-16;18.TGF-β1+ADC-17。]
【
図6A】ヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物の影響を示すグラフである[
図6Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、濃度が30.00μMの場合、細胞増殖に対するADY-2、ADY-5、ADY-6、ADY-8およびADY-11の抑制作用が同じ濃度のADよりも強く;
図6A内:1.AD;2.ADY;3.ADY-1;4.ADY-2;5.ADY-3;6.ADY-4;7.ADY-5;8.ADY-6;9.ADY-7;10.ADY-8;11.ADY-9;12.ADY-10;13.ADY-11;14.ADY-12;15.ADY-13;16.ADY-14;17.ADY-15;18.ADY-16;19.ADCY-17;
図6A内:ADY-2、ADY-5、ADY-6およびADY-8の濃度は、15.00μMであり、ADY-11の濃度が3.00μMであり、残りの化合物の濃度が30.00μMであり;]。
【
図6B】ヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物の影響を示すグラフである[
図6Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、濃度が30.00μMの場合、細胞増殖に対するADC-5、ADC-6、ADC-11およびADC-12の抑制作用が同じ濃度のADよりも強く;
図6B内:1.AD;2.ADC;3.ADC-1;4.ADC-2;5.ADC-3;6.ADC-4;7.ADC-5;8.ADC-6;9.ADC-7;10.ADC-8;11.ADC-9;12.ADC-10;13.ADC-11;14.ADC-12;15.ADC-13;16.ADC-14;17.ADC-15;18.ADC-16;19.ADC-17;
図6B内:ADC-5およびADC-6は、3.00μMの結果であり、残りが30.00μMの結果であった。]。
【
図7A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2間葉転換を阻害する作用を示すグラフである(部分的な顕微鏡写真(倍率100倍))[
図7Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、図内:1.正常;2.TGF-β1;3.TGF-β1+ADY-4(0.31μM);4.TGF-β1+ADY-5(0.08μM);5.TGF-β1+ADY-6(0.63μM);6.TGF-β1+ADY-9(0.08μM);7.TGF-β1+ADY-11(0.08μM);8.TGF-β1+AD(1.25μM);]。
【
図7B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2間葉転換を阻害する作用を示すグラフである(部分的な顕微鏡写真(倍率100倍))[
図7Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図7B内:1.コントロール;2.TGF-β1;3.TGF-β1+AD(1.25μM);4.TGF-β1+ADC(0.63μM);5.TGF-β1+ADC-2(0.63μM);6.TGF-β1+ADC-12(0.31μM);7.TGF-β1+ADC-14(0.08μM);8.TGF-β1+ADC-15(0.08μM)。]。
【
図8A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2遊走を抑制する結果を示すグラフである[
図8Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、化合物AD、ADY-11、ADY-13およびADY-15~ADY-17の低濃度および高濃度がそれぞれ0.08μMおよび0.16μMであり、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.04μMおよび0.08μMであり;
図8A内:1.TGF-β1(5ng/mL)+AD;2.TGF-β1+ADY;3.TGF-β1+ADY-1;4.TGF-β1+ADY-2;5.TGF-β1+ADY-3;6.TGF-β1+ADY-4;7.TGF-β1+ADY-5;8. TGF-β1+ADY-6;9.TGF-β1+ADY-7;10.TGF-β1+ADY-8;11.TGF-β1+ADY-9;12.TGF-β1+ADY-10;13.TGF-β1+ADY-11;14.TGF-β1+ADY-12;15.TGF-β1+ADY-13;16.TGF-β1+ADY-14;17.TGF-β1+ADY-15;18.TGF-β1+ADY-16;19.TGF-β1+ADY-17;]。
【
図8B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、TGF-β1で誘導されたヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2遊走を抑制する結果を示すグラフである[
図8Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、化合物AD、ADC-5、ADC-11、ADC-13およびADC-17の低濃度および高濃度がそれぞれ0.08μMおよび0.16μMであり、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.04μMおよび0.08μMであり;
図8B内:1.TGF-β1(5ng/mL)+AD;2.TGF-β1+ADC;3.TGF-β1+ADC-1;4.TGF-β1+ADC-2;5.TGF-β1+ADC-3;6.TGF-β1+ADC-4;7.TGF-β1+ADC-5;8.TGF-β1+ADC-6;9.TGF-β1+ADC-7;10.TGF-β1+ADC-8;11.TGF-β1+ADC-9;12.TGF-β1+ADC-10;13.TGF-β1+ADC-11;14.TGF-β1+ADC-12;15.TGF-β1+ADC-13;16.TGF-β1+ADC-15;17.TGF-β1+ADC-16;18.TGF-β1+ADC-17。]。
【
図9A】初代ヒト心臓線維芽細胞HCFB生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物(15.00μM)の影響を示すグラフである[
図9Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図9A内:1.AD;2.ADY;3.ADY-1;4.ADY-2;5.ADY-3;6.ADY-4;7.ADY-5;8.ADY-6;9.ADY-7;10.ADY-8;11.ADY-9;12.ADY-10;13.ADY-11;14.ADY-12;15.ADY-13;16.ADY-14;17.ADY-15;18.ADY-16;19.ADY-17;]。
【
図9B】初代ヒト心臓線維芽細胞HCFB生存能力に対するADおよび本発明の代表的な化合物(15.00μM)の影響を示すグラフである[
図9Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図9B内:1.AD;2.ADC;3.ADC-1;4.ADC-2;5.ADC-3;6.ADC-4;7.ADC-5;8.ADC-6;9.ADC-7;10.ADC-8;11.ADC-9;12.ADC-10;13.ADC-11;14.ADC-12;15.ADC-13;16.ADC-14;17.ADC-15;18.ADC-16;19.ADC-17。 ]。
【
図10A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、アンジオテンシンII(AngII)で誘導された初代ヒト心臓線維芽細胞HCFB遊走を抑制する結果を示すグラフである[
図10Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、化合物AD、ADYの低濃度および高濃度がそれぞれ0.31μMおよび0.63μMで、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.16μMおよび0.31μMであり;
図10A内:1.AngII(10
-7mol/L)+AD;2.AngII+ADY;3.AngII+ADY-1;4.AngII+ADY-2;5.AngII+ADY-3;6.AngII+ADY-4;7.AngII+ADY-5;8.AngII+ADY-6;9.AngII+ADY-7;10.AngII+ADY-8;11.AngII+ADY-9;12.AngII+ADY-10;13.AngII+ADY-11;14.AngII+ADY-12;15.AngII+ADY-13;16.AngII+ADY-14;]。
【
図10B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、アンジオテンシンII(AngII)で誘導された初代ヒト心臓線維芽細胞HCFB遊走を抑制する結果を示すグラフである[
図10Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、化合物AD、ADCの低濃度および高濃度がそれぞれ0.31μMおよび0.63μMで、残りの化合物の低濃度および高濃度がそれぞれ0.16μMおよび0.32μMであり;
図10B内:1.AngII+AD;2.AngII+ADC;3.AngII+ADC-1;4.AngII+ADC-2;5.AngII+ADC-3;6.AngII+ADC-4;7.AngII+ADC-5;8.AngII+ADC-6;9.AngII+ADC-7;10.AngII+ADC-8;11.AngII+ADC-9;12.AngII+ADC-10;13.AngII+ADC-11;14.AngII+ADC-12;15.AngII+ADC-13;16.AngII+ADC-15;17.AngII+ADC-16;18.AngII+ ADC-17。]。
【
図11A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、肝組織コラーゲンレベルを有意に低下させることを示す(シリウスレッド染色;統計結果)[
図11Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図11A内:1.モデル;2.AD(15mg/kg;ig);3.AD(40mg/kg;ig);4.ADY(15mg/kg;ig);5. ADY-6(15mg/kg;ig);6.ADY-8(15mg/kg;ig);7.ADY-12(15mg/kg;ig);8.ADY-7(15mg/kg;ig);]。
【
図11B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、肝組織コラーゲンレベルを有意に低下させることを示す(シリウスレッド染色;統計結果)[
図11Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図11B内:1.モデル;2.AD(15mg/kg;ig);3.AD(40mg/kg;ig);4.ADC(15mg/kg;ig);5.ADC-2(15mg/kg;ig);6.ADC-4(40mg/kg;ig);7.ADC-10(15mg/kg;ig);8.ADC-12(15mg/kg;ig);9.ADC-15(40mg/kg;ig)。]。
【
図12A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、総胆管結紮を有するKMマウスにおける肝線維化の程度を有意に軽減させることを示す(シリウス赤色染色;顕微鏡写真(倍率100倍))[
図12Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図12A内:1.偽手術;2.モデル;3.AD(15mg/kg;ig);4.ADY(15mg/kg;ig);5.ADY-6(15mg/kg;ig);6.ADY-8(15mg/kg;ig);7.ADY-12(15mg/kg;ig);8.ADY-7(15mg/kg;ig);]。
【
図12B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、総胆管結紮を有するKMマウスにおける肝線維化の程度を有意に軽減させることを示す(シリウス赤色染色;顕微鏡写真(倍率100倍))[
図12Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図12B内:1.偽手術;2.モデル;3.AD(15mg/kg;ig);4.ADC(15mg/kg;ig);5. ADC-2(15mg/kg;ig);6.ADC-4(40mg/kg;ig);7.ADC-10(15mg/kg;ig);8.ADC-12(15mg/kg;ig);9.ADC-15(40mg/kg;ig)。]。
【
図13A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、シリカによって誘発されたKMマウスにおける肺線維化の程度を有意に軽減させることを示す(マッソン染色;顕微鏡写真(倍率100倍))[
図13Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図13A内:1.偽手術;2.モデル;3.AD(120mg/kg;ig);4.ADY(40 mg/kg;ig);5.ADY-6(120mg/kg;ig);6.ADY-8(120mg/kg;ig);7.ADY-7(120mg/kg;ig);8.ADY-4(40 mg/kg;ig);9.ADY-12(120 mg/kg;ig);]。
【
図13B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、シリカによって誘発されたKMマウスにおける肺線維化の程度を有意に軽減させることを示す(マッソン染色;顕微鏡写真(倍率100倍))[
図13Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図13B内:1.偽手術;2.モデル;3.AD(120mg/kg;ig);4.ADC(120mg/kg;ig);5.ADC-2(40mg/kg;ig);6.ADC-4(120mg/kg;ig);7.ADC-10(40mg/kg;ig);8.ADC-12(120mg/kg;ig);9.ADC-15(40mg/kg;ig)。]。
【
図14A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減させることを示す写真(HE染色;顕微鏡写真(倍率40倍))である[
図14Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図14A内:1、偽手術;2.モデル;3.AD(70mg/kg;ig);4.ADY(70mg/kg;ig);5.ADY-4(25mg/kg;ig);6.ADY-6(25mg/kg;ig);7.ADY-7(25mg/kg;ig);8.ADY-8(25mg/kg;ig);9.ADY-12(25mg/kg;ig);]。
【
図14B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減させることを示す写真(HE染色;顕微鏡写真(倍率40倍))である[
図14Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図14B:1.偽手術;2.モデル;3.AD(70mg/kg;ig);4.ADC(70mg/kg;ig);5.ADC-2(25mg/kg;ig);6.ADC-4(70mg/kg;ig);7.ADC-10(25mg/kg;ig);8.ADC-12(25mg/kg;ig);9.ADC-15(25 mg/kg;ig);10.ADC-16(25mg/kg;ig)。]。
【
図15A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減させることを示す写真(HE染色;顕微鏡写真(倍率100倍))である[
図15Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図15A内:1、偽手術;2.モデル;3.AD(70mg/kg;ig);4.ADY(70mg/kg;ig);5.ADY-4(25mg/kg;ig); 6.ADY-6(25mg/kg;ig);7.ADY-7(25mg/kg;ig);8.ADY-8(25mg/kg;ig);9.ADY-12(25mg/kg;ig);]。
【
図15B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減させることを示す写真(HE染色;顕微鏡写真(倍率100倍))である[
図15Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図15B内:1.偽手術;2.モデル;3.AD(70mg/kg;ig);4.ADC(70 mg/kg;ig);5.ADC-2(25mg/kg;ig);6.ADC-4(70mg/kg;ig);7.ADC-10(25mg/kg;ig);8.ADC-12(25 mg/kg;ig);9.ADC-15(25mg/kg;ig);10.ADC-16(25 mg/kg;ig)。]。
【
図16A】ADおよび本発明の代表的な化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減させることを示す写真(Masson染色;顕微鏡写真(倍率100倍))である[
図16Aの代表的な化合物は、ADYおよびその誘導体であり、
図16A内:1、偽手術;2.モデル;3.AD(70mg/kg;ig);4.ADY(70mg/kg;ig);5.ADY-4(25mg/kg;ig);6.ADY-6(25mg/kg;ig);7.ADY-7(25mg/kg;ig);8.ADY-8(25mg/kg;ig);9.ADY-12(25mg/kg;ig);]。
【
図16B】ADおよび本発明の代表的な化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減させることを示す写真(Masson染色;顕微鏡写真(倍率100倍))である[
図16Bの代表的な化合物は、ADCおよびその誘導体であり、
図16B内:1.偽手術;2.モデル;3.AD(70mg/kg;ig);4.ADC(70mg/kg;ig);5.ADC-2(25mg/kg;ig);6.ADC-4(70mg/kg;ig);7.ADC-10(25mg/kg;ig);8.ADC-12(25mg/kg;ig);9.ADC-15(25mg/kg;ig);10.ADC-16(25mg/kg;ig)。]。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、具体的実施形態を参照しつつ本発明を説明する。これらの実施形態は、これらの実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本発明に係る化合物は、実施例で使用される代表的な構造に限定されず、15位の異なる置換基を置換して、抗線維化活性を有する化合物を得ることができ;線維化に引き起こす多様な原因を研究対象として使用して本発明の化合物は抗線維化作用を有すると結論付けることができ;他の様々なインビボおよびインビトロ研究モデル(方法)を使用して本発明の化合物は抗線維化作用を有すると結論付けることもできる。
【実施例】
【0060】
[実施例1〕 本発明の化合物によるヒト肝星細胞LX-2遊走の抑制作用
様々な炎症性メディエーター、成長因子などのサイトカインの刺激下で、肝星細胞は損傷した肝組織の炎症部位に遊走することで、増殖して活性化し、コラーゲンなどのECM成分の合成は、肝線維化の発生や進行の鍵となる。したがって、アンドログラフォライドと比較して、ヒト肝星細胞LX-2(北京北納創聯生物技術研究院から提供された)を利用して、本発明の化合物の抗肝線維化作用をインビトロでスクラッチ法により研究した。
【0061】
1)細胞培養および被験化合物
LX-2細胞を10%(V/V)ウシ胎児血清、100μg/mLストレプトマイシン、および100IU/mLペニシリンを含むRPMI1640培養液で培養し、体積分率5%のCO2インキュベーターに入れ、飽和湿度、37℃で培養した。アンドログラフォライドは、四川什ファン市金シン生物科技有限公司で生産(ロット番号:120822)され、純度が99%を超え;本発明の化合物は、本発明者の実験室で合成され、純度が99%を超え、以下同様である。
【0062】
2)MTT法による細胞毒性の測定
対数増殖期のLX-2細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で3.5×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種し、体積分率5%のCO
2インキュベーターで37℃,24時間培養し、異なる濃度の薬剤を含む培地を加え、薬剤の最終濃度が最大30.00μMであり、各処理の重複ウェルを4つにした。48時間培養し続け、MTT(5mg/mL)を20μL/ウェル加え、4時間培養し、上清を捨て、150μLのDMSOを加え、10分間振とうし、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。測定波長は570nm、参照波長が450nmであった。化合物作用後の細胞生存率を下式で計算した結果は、
図1Aおよび
図1Bに示すように平均化された。
[数1]
生存率(%)=投与群OD
570-450値/対照群OD
570-450値×100%
【0063】
3)スクラッチ(遊走)試験によるLX-2細胞の遊走に対する薬剤の影響の観察
対数増殖期のLX-2細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で1.0×10
5/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種した。12時間培養した後、細胞がコンフルエントな状態になったら、古い培地を捨て、0.5%(V/V)血清を含む培地を加えてから12時間同期培養させた後、引っかき傷を入れ、PBSで2回洗浄し、200μLの被験化合物を含むRPMI1640培地を加えた直後顕微鏡下で写真を撮った。重複ウェルを3つ設け、かつ対照を設けた。24時間培養した後、顕微鏡下で写真を撮って測定した。遊走抑制率を下式で計算した結果は、
図2Aおよび
図2Bに示すように平均化された。
[数2]
遊走抑制率=[1-(投与群の0時間の引っかき距離-24時間の引っかき距離)/(ブランク群0時間の引っかき距離-24時間の引っかき距離)]×100%
【0064】
4)試験結果
図1Aおよび
図1Bの結果は、30.00μMの濃度で、細胞増殖に対する本発明の化合物ADC-8およびADC-9の阻害活性がADの阻害活性と類似しており、細胞増殖に対する残りの化合物の阻害活性が親化合物ADの阻害活性よりも著しく低いことを示している。
【0065】
図1A、
図1B、
図2A、および
図2Bを参照すると、ADと比較して非毒性濃度で、本発明の化合物がヒト肝星状細胞LX-2の遊走に対してより強い抑制作用およびより高い安全性を持っていることが結果から分かる。
【0066】
[実施例2〕 本発明の化合物によるヒトII型肺胞上皮細胞A549間葉転換の阻害作用
肺胞に存在するII型肺胞上皮細胞は、炎症性メディエーター、成長因子などのサイトカインによって刺激され、細胞の形態が丸石形状から紡錘形状へと変わり、上皮間葉転換(EMT)プロセスを完了し、間葉系細胞の機能を持ち、そしてコラーゲン線維が合成され、大量のコラーゲン線維沈着が間質性肺線維化の経過を悪化させる可能性がある。したがってアンドログラフォライドと比較して、ヒトII型肺胞上皮細胞A549を利用して、形態学的観察および細胞スクラッチ(遊走)試験により、本発明の化合物の抗肺線維化作用をインビトロで評価した。
【0067】
1)細胞培養
A549細胞を10%(V/V)ウシ胎児血清、100μg/mLストレプトマイシン、および100IU/mLペニシリンを含むRPMI1640培養液で培養し、体積分率5%のCO2インキュベーターに入れ、飽和湿度、37℃で培養した。
【0068】
2)MTT法による細胞毒性の測定
対数増殖期のA549細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で3.5×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種し、体積分率5%のCO
2インキュベーターで37℃,24時間培養し、薬剤を含む培地を加え、薬剤の最終濃度が最大30.00μmol/Lであり、各処理の重複ウェルを4つにした。その他は実施例1と同じである。結果は、
図3Aおよび
図3Bに示すように平均化された。
【0069】
3)形態学的観察法によるA549細胞のEMTに対する薬剤の影響の検出
対数増殖期のA549細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で3×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種した。24時間培養した後、付着細胞が80%~90%に融合したら古い培地を捨て、無血清培地を24時間同期培養させた後、培地を捨て、PBSで2回洗浄し、200μLのTGF-β1(5ng/mL)および異なる濃度の被験化合物を含むRPMI1640培地を加えた直後顕微鏡下で写真を撮った(倍率100倍)。重複ウェルを3つ設け、かつ対照を設けた。48時間培養した後、顕微鏡下で写真を撮った。各化合物の濃度が同じ5つのフィールドを選択し、100個を超える細胞を測定した。photoshop CS6ソフトウェアで画像を処理し、その真円度を下式で計算した。結果は、
図4Aおよび
図4Bに示すように平均化された。
[数3]
(e=4π×S/C2、ここでeは真円度、Sが面積、Cが円周を表す)
【0070】
4)スクラッチ(遊走)試験によるA549細胞の遊走に対する薬剤の影響の観察
対数増殖期のA549細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で3×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種した。24時間培養した後、付着細胞が80%~90%に融合したら古い培地を捨て、無血清培地を24時間同期培養させた後、引っかき傷を入れ、PBSで2回洗浄し、200μLの被験化合物を含むRPMI1640培地を加えた直後顕微鏡下で写真を撮った。重複ウェルを3つ設け、かつ対照を設けた。24時間培養した後、顕微鏡下で写真を撮って測定した。結果を
図5A、
図5Bに示す。
[数4]
遊走距離=エッジ距離(0時間)-エッジ距離(24時間)
[数5]
遊走抑制率=[1-(TGF-β1群の遊走距離-投与群の遊走距離)/(TGF-β1群の遊走距離-ブランク群の遊走距離)]×100%
【0071】
5)試験結果
図3Aおよび
図3Bの結果は、ADと比較して、ヒトA549細胞の増殖に対する本発明の化合物の阻害活性が有意に低下していることを示している。
【0072】
図3A、
図3B、
図4A、
図4Bおよび
図5A、
図5Bの結果は、本発明の化合物が非毒性濃度でA549細胞上皮間葉転換を有意に阻害でき、ADと比較して阻害作用がより強く、安全性がより高いことを示している。
【0073】
[実施例3〕 本発明の化合物であるTGF-β1で誘導されたヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2間葉転換の阻害作用
初期の研究では、腎尿細管上皮細胞が線維芽細胞に分化転換し、そのマーカータンパク質である線維芽細胞特異的タンパク質1(FSP1,fibroblast-specific protein 1)を発現できることが分かっている。腎尿細管上皮細胞間葉細胞の分化転換は、腎間質線維化の重要な発症機序の一つである。したがって、アンドログラフォライドADと比較して、ヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2(中国典型培養物寄託センターによって提供される)を利用し、TGF-β1刺激後の形態観察法およびスクラッチ試験を用いて 本発明の化合物のインビトロでの抗腎線維化作用を研究した。
【0074】
1)細胞培養
HK-2細胞を10%(V/V)ウシ胎児血清、100μg/mLストレプトマイシン、および100IU/mLペニシリンを含むDMEM/F12培養液で培養し、体積分率5%のCO2インキュベーターに入れ、飽和湿度、37℃で培養した。
【0075】
2)MTT法による細胞毒性の測定
対数増殖期のHK-2細胞を0.25%(W/V)トリプシン+0.02%EDTA(W/V)で消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むDMEM/F12培地で7.0×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種し、体積分率5%のCO
2インキュベーターで37℃,24時間培養し、異なる濃度の薬剤を含む培地に交換し、薬剤の最終濃度が最大30.00μMであり、各処理の重複ウェルを4つにした。その他は実施例1と同じである。結果は、
図6Aおよび
図6Bに示すように平均化された。
【0076】
3)TGF-β1刺激後のHK-2細胞形態に対する薬剤の影響の観察
対数増殖期のHK-2細胞を0.25%(W/V)トリプシン+0.02%EDTA(W/V)で消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むDMEM/F12培地で5.0×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種した。24時間の培養後、細胞を単層に成長させ、古い培地を廃棄し、0.01MPBSで2回洗浄し、無血清培地を交換して同期させ、さらに24時間培養後、無血清培地を吸引除去し、200μLの異なる濃度の被験化合物および刺激因子TGF-β1(5ng/mL)を含むDMEM/F12培地を加えた。重複ウェルを3つ設け、かつ対照を設けた。48時間培養した後、顕微鏡下で写真を撮って記録した。一部の本発明の化合物が細胞に作用した後の細胞の形態学的変化を
図7A、
図7Bに示す。
【0077】
4)細胞スクラッチ(遊走)試験によるHK-2細胞遊走に対する薬剤の影響の観察
対数増殖期のHK-2細胞を0.25%(W/V)トリプシン+0.02%EDTA(W/V)で消化した後、10%(V/V)ウシ胎児血清を含むDMEM/F12培地で2.0×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに200μLずつ播種した。24時間培養した後、細胞がコンフルエントな状態になったら、古い培地を捨て、0.01MPBSで2回洗浄し、無血清培地を加えて細胞を飢餓状態にして細胞周期を24時間同調させ、上清を捨て、200μLのピペットチップで引っかき傷を入れ、PBSで2回洗浄し、200μLの異なる濃度の被験化合物および刺激因子TGF-β1(5ng/mL)を含むDMEM/F12培地(2%ウシ胎児血清を含む)を加えた直後顕微鏡下で写真を撮った。重複ウェルを3つ設け、かつ対照を設けた。24時間培養した後、顕微鏡下で写真を撮って測定した。遊走抑制率を下式で計算した結果は
図8Aおよび
図8Bに示すように平均化された。
[数6]
遊走距離=エッジ距離(0時間)-エッジ距離(24時間)
[数7]
遊走抑制率=[1-(TGF-β1群の遊走距離-投与群の遊走距離)/(TGF-β1群の遊走距離-ブランク群の遊走距離)]×100%
【0078】
5)試験結果
図6Aおよび
図6Bの結果は、化合物ADY-2、ADY-5、ADY-6、ADY-8、ADY-11およびADC-5、ADC-6、ADC-11およびADC-12を除いて、ADと比較してヒト腎皮質近位尿細管上皮細胞HK-2の増殖に対する本発明の化合物の抑制作用は、有意に向上されないことを示している。
【0079】
図6A、
図6Bおよび
図7A、
図7B、
図8A、および
図8Bの結果は、本発明の化合物が、非毒性濃度でHK-2細胞間葉転換を有意に阻害でき、ADと比較して阻害作用がより強く、安全性がより高いことを示している。
【0080】
[実施例4〕 本発明の化合物によるアンジオテンシンII(AngII)で誘導された初代ヒト心臓線維芽細胞遊走の抑制作用
研究により、心臓線維芽細胞は、心筋線維化の主たるエフェクター細胞で、AngIIなどの活性物質によって刺激された後、表現型に変化が現れ、遊走能が増強され、細胞外マトリックスを分泌する筋線維芽細胞に転換することが示されている。したがって、アンドログラフォライドと比較して、MTT法を用いて、初代ヒト心臓線維芽細胞HCFBの増殖・生存能力に対する本発明の化合物の影響を検出し;引っかき傷法を用いて、AngIIで誘導された初代ヒト心臓線維芽細胞の遊走に対する本発明の化合物の抑制作用を評価した。
【0081】
1)細胞培養
初代ヒト心臓線維芽細胞HCFB(商城北納創聯生物科技有限公司から提供された)を、8%ウシ胎児血清、100μg/mLストレプトマイシン、および100IU/mLペニシリンを含むH-DMEM培養液の培養フラスコで培養し、体積分率5%のCO2インキュベーターに培養フラスコを置き、37℃の飽和湿度で培養した。
【0082】
2)MTT法による細胞毒性の測定
対数増殖期のHCFB細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、8%ウシ胎児血清を含むH-DMEM培地で5.0×10
4/mLの細胞懸濁液に希釈し、それを96ウェルプレートの各ウェルに7000細胞ずつ播種し、飽和湿度、体積分率5%のCO
2インキュベーターで37℃,24時間培養し、異なる濃度のADまたは本発明の化合物を含む培地を加え、48時間継続培養し、その他は実施例1と同じである。結果は、
図9Aおよび
図9Bに示すように平均化された。
【0083】
3)スクラッチ(遊走)試験によるAngIIで刺激されたHCFB遊走能に対する抑制作用の観察
対数増殖期のHCFB細胞を0.25%(W/V)トリプシンで消化した後、8%ウシ胎児血清を含むH-DMEM培地で細胞懸濁液に希釈し、96ウェルプレートの各ウェルに20,000細胞ずつ播種した。24時間培養した後、細胞がコンフルエントな状態になったら、古い培地を捨て、無血清培地を加えて24時間同期培養させた後、引っかき傷を入れ、PBSで2回洗浄し、200μLのピペットチップで引っかき傷を入れてから、投与群に200μLの異なる濃度の被験化合物およびAngII(10
-7mol/L)を含むH-DMEM(0.5%DMSOを含む)培地を加え、0.5%DMSOを含むH-DMEM倍地をブランク群、AngIIと0.5%DMSOを含むH-DMEM培地をAngII群とし、重複ウェルを3つ設けた。それぞれ培養前(0時間)および24時間培養した後顕微鏡下で写真を撮って測定した。遊走抑制率を下式で計算した結果は
図10Aおよび
図10Bに示すように平均化された。
[数8]
遊走距離=エッジ距離(0時間)-エッジ距離(24時間)
[数9]
阻害率=[1-(AngII群の遊走距離-投与群の遊走距離)/(AngII群の遊走距離-ブランク群の遊走距離)]×100%
【0084】
4)試験結果
試験結果は、濃度15μmol/Lの本発明の化合物で48時間処理されたHCFB細胞は、同じ濃度のAD処理よりも細胞生存能力はより高く(
図9A、
図9B);試験濃度範囲内で、AngIIによって刺激されたHCFB遊走能に対する本発明の化合物の抑制作用は、ADよりも強力であることを示している(
図10Aおよび
図10B)。
【0085】
[実施例5〕 本発明の化合物が、総胆管結紮を有するKMマウスにおける肝線維化の程度を有意に軽減
1)実験動物および方法
体重20±2gのSPFグレードのKM雄マウスは、河南省実験動物センターから購入された[許可番号:SCXK(豫)2017-0001]。3日間自由摂食させた後、動物を偽手術対照群、モデル群、AD対照群および本発明の化合物群に無作為に割り付け、各群を6匹にした。手術の12時間前に、床敷を交換し、絶水させずに絶食させ、0.5%ペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与して麻酔した後、仰臥位でマウスの四肢を保定し、剃毛し、皮膚をヨウ素で消毒し、穴あきドレープを覆い、腹部の正中線に沿って皮膚を上下に切り開き、胃に沿って十二指腸を見つけて引き上げ、総胆管を近位の肝門から0.5cm離して解放し、二重結紮し、4号絹糸で二重結紮し、総胆管を切離し、出血と胆汁の漏れがないことを確認し、腹部を層ごとに絹糸で連続縫合して閉創し、創部をヨウ素で消毒し、術後覚醒するまで温めさせた。偽手術群では、麻酔、開腹、総胆管の解放のみを行い、総胆管の結紮と切離を行わなかった。毎回強制経口投与は、朝、空腹時に行われた。偽手術群とモデル群の動物には、0.5質量%カルボキシメチルセルロース(CMC-Na)を強制経口投与し、他の投与群には、対応する薬剤の0.5質量%CMC-Na懸濁液を投与し、10日間投薬後実験を終了した。採血後、肝臓を迅速かつ完全に解剖し;採取した血液を37℃のインキュベーターに45分間静置した後、4℃、3500rpmで15分間遠心分離し、上部の血清を取って小分けして用意しておく。マウス肝臓の左葉を10倍量のパラホルムアルデヒド(4質量%)の固定液で固定し、24時間後に固定液を交換した。十分に固定した後、病理切片を実施し、肝臓の病理学的変化と線維化度をHEおよびシリウスレッド染色で観察し、肝臓組織の肝線維化をグレードで病理学的に評価した。その基準は次の通りであった。グレード0:線維症なし;グレード1:わずかなPF±短い繊維隔壁;グレード2:PF、線維隔壁の形成;グレード3:多数のPF、時々PP;グレード4:明らかなP-PおよびPCを伴うPF;グレード5:明らかなP-P/P-C、時折の結節;グレード:確実な肝硬変または肝硬変の可能性がある。PFは門脈域線維化、P-Pが門脈域相互の架橋性線維化、P-Cが門脈域と中心静脈の架橋性線維化である。肝臓組織のコラーゲン沈着をシリウスレッド染色で評価し、陽性の発現をImage-Pro Plusで半定量的に分析した。相対コラーゲン面積を下式で計算した結果は
図11A、
図11B、
図12A、
図12Bに示されている。
[数10]
(投与群の平均面積-偽手術群の平均面積)/(モデル群の平均面積-偽手術群の平均面積)×100%。
【0086】
2)実験結果
結果は、親化合物AD治療群の肝組織切片の線維化の病理学的な評価はモデル群の平均4.8から平均2.83(15mg/kg;ig)および2.10(40mg/kg;ig)に減少し;本発明の化合物(15mg/kg;ig)ADY-8、ADY-6、ADY、ADC-2、ADC-15および本発明の化合物(40mg/kg;ig)ADC、ADC-4、ADC-10、ADC-12治療群の動物肝組織切片の線維化の病理学的な評価は、モデル群の平均4.8から平均0.6~1.4に減少し;本発明の化合物(15mg/kg;ig)動物の肝組織切片のADY-7およびADY-12治療群の動物肝組織切片の線維化の病理学的な評価は、モデル群の平均4.25から平均0.4および1.4にそれぞれ減少し;各投薬群の動物肝組織コラーゲンの面積は、モデル群のそれよりも有意に低く、本発明の化合物の効果がADよりも有意に優れていたことを示している。
【0087】
図11A、
図11B、
図12A、
図12Bを参照すると、総胆管結紮によって引き起こされるマウス肝線維化モデルに対して、本発明の化合物は良好な抗肝線維化作用を有し、その効果がADよりも有意に強い。
【0088】
[実施例6〕 本発明の化合物が、シリカによって誘発されたKMマウスにおける肺線維化の程度を有意に軽減
肺線維化は、多様な原因によって引き起こされる肺の損傷であり、肺線維化の病理的機序が複雑であり、様々な病原性の条件による損傷には、血管内皮細胞、肺胞上皮細胞、線維芽細胞、マクロファージなどの複数の細胞および複数のサイトカインの相互作用がある。シリカは無機質の粉塵類に属し、大量に吸入すると、重篤な珪肺症を引き起こしたり、人々の命を危険にさらしたりする可能性がある。動物実験では、シリカによる肺線維化の組織病理学的変化がヒトじん肺とよく似ていることが確認され、肺線維化を研究するための古典的なモデルとなる。
【0089】
1)材料および方法
体重20±2gのSPFグレードのKM雄マウスは、河南省実験動物センターから購入された[許可番号:SCXK(豫)2017-0001]。80%シリカの粒子径範囲は、1~5μmで、Sigmaから提供された。使用前に、シリカを250℃のマッフル炉で1時間処理してエンドトキシンを除去し、密封してオートクレーブ処理した後、クリーンベンチ内にて生理食塩水で最終濃度75mg/mlの懸濁液に調製し、4℃で保存して置いた。注射前によく振り混ぜた後、30分間超音波処理した。
【0090】
2)実験方法
3日間自由摂食させた後、マウスを偽手術群、モデル群および各投与群に無作為に割り付け、各群を8匹にした。0.5%ペントバルビタールナトリウム50mg/kgを腹腔内投与して麻酔し、マウスを仰臥位に保定し、首の毛を剃り、ヨウ素による消毒と脱ヨウ化の後、首下約1cmの正中切開を行い、気管支を解放し、体重に応じて、対応するシリカの懸濁液と100ulの空気(150mg/kg)を吸収し、軟骨の隙間から気管に注入します。筋肉を元の位置に戻させた後、マウスを2分間素早く回転させてシリカを均一に分散させ、縫合して消毒した後、滅菌済ガーゼで創部を巻いた。ここで、偽手術群には等量の生理食塩水を注射した。モデリング終了24時間後に1日1回強制経口投与し、偽手術群とモデル群には0.5質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を強制経口投与し、他の投与群には、対応する薬剤の0.5質量%CMC-Na懸濁液を投与し、21日間連続投与後実験を終了した。マウスは最後の強制経口投与の12時間前に床敷を交換し、絶水させずに絶食させた。投与1時間後にマウス全血を採取し、採血後、頸椎脱臼によりマウスを処死し、肺を摘出し、秤量し、肺病変を観察・記録した。肺組織固定およびパラフィン切片の作製は、実施例5と同じであった。本発明の化合物による肺組織の炎症および線維化の改善をHE染色およびMasson染色により、観察および分析し、Hubnerらの方法に従って肺線維化の程度を評価した。0点:線維化なし、正常な肺胞構造;1点:軽度の肺組織線維化、肺胞中隔の肥厚≦正常値の3倍、肺胞壁が薄くなり、繊維化塊状巣なし;2点:明らかな線維の変化で、肺胞中隔の厚さが正常値の3倍を超えており、紐の結び目状の変化が見られるが相互に繋がっていない;3点:視野の主な変化は連続線維化(肺胞中隔の厚さ>正常値の3倍)であり、肺胞腔が明らかに増大し、肺胞構造が異常であり、肺胞中隔が正常群よりも薄く、肺組織に明らかな線維性変化があり;4点:肺組織線維化で、単一の明らかな病巣の出現を評価基準とする(病変範囲<10%の視野);5点:肺組織の重度損傷のグレードを付けられ、その典型的な病理学的特徴は、単一の病巣が融合して塊状になる線維性結節の形成(病変範囲は10~50%視野)であり;6点:ほとんどの肺胞中隔が消え、多数の連続した肺線維化(病変範囲>50%視野)、ほとんどの肺の形態が損傷し;7点:肺胞中隔が消え、肺胞はほとんど塊状線維化組織であり;8点:視野全体が塊状線維化組織である。
【0091】
3)実験結果
結果は、本発明の化合物の高用量(120mg/kg)および低用量(40mg/kg)が、シリカにより誘発されたKMマウスにおける肺線維化の程度を有意に改善したことを示した。ADY、ADY-6、およびADY-8治療群の動物の肺組織線維化スコアは、モデルの平均6.75から1.5~2.7に減少し;ADC-2とADC-12の低用量とADC-15の高用量の治療群の動物の肺組織線維化スコアは、平均2.2~2.7の範囲内の変動に減少した。ADY-4、ADY-7、およびADY-12治療群の動物の肺組織線維化スコアは、モデルの平均5.5から2.1~2.8の範囲内の変動に減少し;ADC-4高用量およびADC-10低用量の治療群の動物の肺組織線維化スコアは、モデルの平均5.5から平均2.1および1.9に減少した。かつ、本発明の化合物の抗肺線維化作用は、同じ用量のAD(3.8~4.9)よりも有意に優れている。肺線維化に対する一部の代表的な化合物の改善を
図13Aおよび13Bに示す。
【0092】
[実施例7] 本発明の化合物が、片側尿管結紮によって誘発されたKMマウスにおける腎間質纖維化の程度を有意に軽減
片側尿管結紮(UUO)によって誘発されたマウス腎線維化モデルは、腎線維化の古典的なモデルの1つであり、このモデルが尿細管間質の炎症細胞の蓄積、線維芽細胞の分化/増殖、ECM沈着の増加、および尿細管萎縮などを特徴とし、臨床的閉塞性腎疾患の発生・進行に似ており、モデル率が100%、病変が均一で再現性がよく、短期間で線維化を起こすことができる。したがって、UUOモデルは腎間質線維化メカニズムの研究および腎線維化を改善する治療効果の評価に広く使用されている。
【0093】
1)実験動物
体重20±2gのSPFグレードのKM雄マウスは、河南省実験動物センターから購入された[許可番号:SCXK(豫)2017-0001]。
【0094】
2)実験方法
3日間自由摂食させた後、マウスを偽手術群、モデル群および各投与群に無作為に割り付け、各群を7匹にした。術前の準備および麻酔は、実施例5と同じであり、麻酔後、マウスを左臥位に保定し、胸骨下端から後肢毛を剃り、手術用布で剃った皮膚を覆い、ヨウ素で皮膚を消毒した後、胸骨下約0.5cmの端から下へ1cm程度を縦切開し、腎臓を押し出して尿管を解放し、膀胱から尿管の長さの約1/3のところで、尿管を5号絹糸で二重結紮し、尿管を切断し、腎臓が腹腔に戻された後、5号絹糸で腹部全層を閉創し、ヨードフォア消毒後、創部を滅菌済ガーゼで巻き、最後に術後のマウスを覚醒するまで暖かい場所に送った。ここでの偽手術群は、結紮や切離をせずに尿管を解放しただけだった。モデリングの終了から24時間後、同じ時刻、同じ場所、同じ人が強制経口投与し、投与方法は実施例5と同じであり、投与7日後に実験を終了した。マウスは最後の強制経口投与の12時間前に床敷を交換し、絶水させずに絶食させた。投与1時間後、左眼球を摘出して採血し、採血後、左腎臓を迅速かつ完全に解剖し、腎臓の重量を量り、腎臓のサイズを測定し、写真を撮った後、4質量%パラホルムアルデヒド固定液で固定した。パラフィン切片作製、血清調製、HE、Masson染色方法および統計処理は、実施例5または実施例6と同じであった。解剖した腎臓の観察および病理切片のHE染色を通じて本発明の化合物による腎臓組織の炎症状態の改善を分析し、MASSON染色で本発明の化合物による腎線維化の改善を分析した。腎間質線維化の病理学的なグレード分類基準は、次の通りであった。グレード1:間質が基本的に正常で、軽度の尿細管変性と拡張があり;グレード2:間質線維化で、尿細管萎縮<20%、散在性炎症細胞が浸潤し;グレード3:間質線維で、尿細管萎縮は30%を占め、散在性および(または)びまん性炎症細胞が浸潤し;グレード4:間質線維症で、尿細管萎縮>50%、散在性および(または)びまん性炎症細胞が浸潤している。
【0095】
3)試験結果
図14A、
図14B、
図15A、
図15Bおよび
図16A、
図16Bを参照すると、結果は、偽手術群のマウス腎臓組織の表面が湿って光沢があり、糸球体構造が無傷であり、尿細管がコンパクトであり、目に見える病変がないことを示している。モデル群ののマウスの腎臓組織は、腫れ上がり、中央に大量の滲出液があり、周囲の組織と癒着し、糸球体には線維増殖性組織があり、そのほとんどが壊死・脱落し、腎間質線維化物質が尿細管を圧迫することで、尿細管はびまん性に萎縮し、一部の領域の尿細管内の固有細胞がすべて脱落してタンパク質のキャストを形成し、腎間質に多数の炎症細胞が浸潤していた。モデル群と比較して、投与群の動物の腎組織損傷は様々な程度に改善され;本発明の化合物を投与した治療群の動物の腎組織損傷は大幅に改善され、腎間質線維化の病理学的なグレード分類がモデルのグレード4からグレード1~2に下げ、効果はADよりもはるかに優れている。