(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】移送方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20221128BHJP
【FI】
G05D1/02 Q
(21)【出願番号】P 2021516905
(86)(22)【出願日】2019-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2019116913
(87)【国際公開番号】W WO2020094144
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201811333608.0
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518015815
【氏名又は名称】蘇州瑞得恩光能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RADIANT PHOTOVOLTAIC TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 636, Zixu Road, Xukou Township, Wuzhong Dist. Suzhou, Jiangsu 215101 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】路 建郷
(72)【発明者】
【氏名】汪 志▲シャウ▼
(72)【発明者】
【氏名】曹 恵民
(72)【発明者】
【氏名】斉 献山
(72)【発明者】
【氏名】徐 建栄
(72)【発明者】
【氏名】徐 斐
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-155308(JP,A)
【文献】特開2018-147034(JP,A)
【文献】特開2012-098813(JP,A)
【文献】中国実用新案第206854321(CN,U)
【文献】特表2022-502779(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186461(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃領域に清掃ロボットを搬送するように移送ロボットを制御する第1制御ステップと、
前記清掃領域の上面で清掃作業を行うように前記清掃ロボットを制御する清掃制御ステップと、
前記清掃ロボットを前記清掃領域から離間して搬送するように前記移送ロボットを制御する第2制御ステップと、を含
み、
前記第1制御ステップは、
各清掃領域の外側に当該清掃領域の側辺に隣接する第1移送領域を設置し、各清掃領域の内側に前記第1移送領域に対向して設置されるように前記清掃領域の側辺に隣接する第2移送領域を設置する移送領域設置ステップと、
清掃領域の第1移送領域に走行するように移送ロボットを制御する清掃領域近接ステップと、
移送台の上面と清掃領域パネルの上面とが面一となるとともに移送台の出入口が前記第2移送領域を向くように移送台の角度及び/又は高さを調整する移送台初回調整ステップと、
前記出入口を通過して前記第1移送領域から前記第2移送領域に進行し、又は前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御する清掃ロボット移送ステップと、を含み、
前記第2制御ステップは、
移送台の上面が水平状態に調整されるように移送台の角度及び/又は高さを調整する移送台再調整ステップと、
前記第1移送領域から離間して走行するように移送ロボットを制御する清掃領域離間ステップと、を含み、
前記清掃領域近接ステップは、
移送ロボットの搬送ルートの終点位置及び推奨ルートを含む進行制御指令を取得する指令取得ステップと、
推奨ルートに沿って前記第1移送領域に位置する前記終点位置に進行する駐留ステップと、
前記移送ロボットと前記清掃領域の額縁との距離Sを取得し、実際の距離Sが所定の距離閾値S0より大きいか否かを判断する距離取得ステップと、
距離SがS0より大きい場合、右に一定角度A転向して(S-S0)/sinAである一定距離B前進し、それから左に一定角度A転向して(S-S0)/tgAである一定距離C後退し、前記第1移送領域に進行するように前記移送ロボットを制御し、距離SがS0未満である場合、左に一定角度A転向して(S0-S)/sinAである一定距離B前進し、それから右に一定角度A転向して(S0-S)/tgAである一定距離C後退し、前記第1移送領域に進行するように前記移送ロボットを制御する位置調整ステップと、を含む、
ことを特徴とする清掃システムの制御方法。
【請求項2】
前記清掃領域近接ステップでは、
前記位置調整ステップを行う前に、前記実際の距離Sをデータ処理システムに送信する距離信号送信ステップと、前記データ処理システムが前記清掃ロボットに第1進行指令を送信する第1指令送信ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記清掃制御ステップを行う前に、
移送ロボットが所定の位置に到着した信号をデータ処理システムに送信する位置到着信号送信ステップと、前記データ処理システムが第2進行指令を前記清掃ロボットに送信する第2指令送信ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
前記清掃ロボットが前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行する必要がある場合、前記清掃制御ステップを行う前に、
清掃ロボットが前記第2移送領域に位置するか否かを判断し、清掃ロボットが前記第2移送領域に位置していない場合、次のステップを実行する清掃ロボット位置判断ステップと、
前記第2移送領域に位置が調整されるように清掃ロボットを制御する清掃ロボット位置調整ステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記清掃ロボット位置判断ステップは、
清掃ロボットにおける図形標識を含むリアルタイムイメージを取得するイメージ取得ステップと、
当該リアルタイムイメージにおける当該図形標識の位置と所定の位置との偏差値Dを算出する偏差値算出ステップと、
偏差値Dの絶対値が所定の閾値D0より小さい場合、清掃ロボットが第2移送領域に到達したと判断し、偏差値Dの絶対値が所定の閾値D0以上である場合、清掃ロボットが前記第2移送領域から逸脱したと判断する偏差判断ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記清掃ロボット位置調整ステップは、
リアルタイムイメージにおける図形標識の位置と所定の位置との偏差値Dを算出する偏差値算出ステップと、
前記偏差値Dに基づいて清掃ロボットの逸脱方向を判断する逸脱方向判断ステップと、
当該図形標識が清掃ロボットの前面又は後面に位置するかを判断する図形標識判断ステップと、及び
清掃ロボット第2制御ステップ、を含み、
前記清掃ロボット第2制御ステップとは、清掃ロボットが左に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの前面に設けられる場合、右に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G後退し、それから左に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H前進し、前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御し、
清掃ロボットが左に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの後面に設けられる場合、右に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G前進し、それから左に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H後退し、前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御し、
清掃ロボットが右に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの前面に設けられる場合、左に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G後退し、それから右に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H前進し、前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御し、
清掃ロボットが右に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの後面に設けられる場合、左に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G前進し、それから右に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H後退し、前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項7】
前記清掃ロボット第2制御ステップを行う前に、
前記清掃ロボットの逸脱方向及び前記清掃ロボットにおける前記図形標識の位置をデータ処理システムに送信する清掃ロボットデータ送信ステップと、
前記データ処理システムが前記清掃ロボットに第3進行指令を送信する第3指令送信ステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記移送台初回調整ステップを行った後に、
前記移送台を前記清掃領域の第2移送領域と接続させる接続ステップをさらに含み、
前記移送台再調整ステップを行う前に、前記移送台を前記清掃領域の前記第2移送領域から離間させる接続解除ステップ、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項9】
前記接続ステップでは、移送ロボットから前記移送台の上面と前記清掃領域の上面とを接続するブリッジ板が伸出され、
前記接続解除ステップでは、前記移送台の上面を前記清掃領域の上面から離間させるように前記ブリッジ板が回収される、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル間で清掃ロボットを移送するための移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の減少が日々続くと、新たな再生可能エネルギーとしての太陽エネルギーは、人間が使用するエネルギーの重要な一部になっていた。過去10年間、太陽エネルギー応用技術は、世界の各国で急速に発展してきた。
【0003】
太陽光パネルの作業環境は、屋外に限られる。太陽光パネルの動作に影響を与える最大の問題は、風雨雷ではなく、長年蓄積してきた粉塵である。太陽光パネルに付着した粉塵又はその他の付着物は、パネルの透過率に影響し、光電効率を妨げるため、パネルが太陽光を直接に取得する効率に深刻な影響を与え、パネルのエネルギー吸収及び変換効率を低下させ、発電効率を低下させる。
【0004】
よって、各太陽光発電所では、太陽光パネル表面の清掃作業を行う必要がある。明らかにユーザによる清掃の効率が低く、かつリスクが大きい。一方、業界では、太陽光パネルを清掃するための清掃ロボットは、清掃効率を有効に向上させることができるとともに、ユーザの安全性の問題をクリアすることができる。
【0005】
太陽光パネル又は太陽光パネルアレイは、一体的に設けられるものではなく、所定領域に複数設けられるものであるため、所定領域の異なる位置に位置する太陽光パネル又は太陽光パネルアレイ間には、大きな空間間隔が存在する。よって、清掃ロボットが異なる太陽光パネル間に存在するこれらの空間間隔を直接跨ることはできない。また、それぞれの太陽光パネルに清掃ロボットを一台ずつ設けると、ハードウェアのコストが高すぎるだけではなく、各清掃ロボットの使用効率が低く、リソースが無駄になってしまう。
【0006】
上記問題に鑑み、単一の太陽光パネル又は太陽光パネルアレイにおいて有効に清掃する清掃ロボットと、清掃ロボットを一つの太陽光パネルアレイから他の太陽光パネルアレイに移送し、サーバを用いて清掃ロボットを異なる太陽光パネルアレイに有効に清掃させるようにリモートに調整及び制御する移送ロボットと、を発明する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、清掃ロボットを複数の太陽光パネルアレイ間に移送させるように調整する技術問題を解決するための移送方法を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を実現するため、本発明によれば、各清掃領域の外側に当該清掃領域の側辺に隣接する第1移送領域を設置し、各清掃領域の内側に前記第1移送領域に対向して設置されるように前記清掃領域の側辺に隣接する第2移送領域を設置する移送領域設置ステップと、第1清掃領域の第1移送領域に走行するように移送ロボットを制御する清掃領域近接ステップと、移送台の上面と清掃領域パネルの上面とが面一となるとともに移送装置の出入口が前記第2移送領域を向くように移送台の角度及び/又は高さを調整する移送台初回調整ステップと、前記出入口を通過して前記第1移送領域から前記第2移送領域に進行し、又は前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御する清掃ロボット移送ステップと、移送台の上面が水平状態に調整されるように移送台の角度及び/又は高さを調整する移送台再調整ステップと、前記第1移送領域から離間して走行するように移送ロボットを制御する清掃領域離間ステップと、を含む移送方法が提供される。
【0009】
さらに、清掃ロボット制御ステップを行う前に、移送ロボットが所定の位置に到着した信号をデータ処理システムに送信する位置到着信号送信ステップと、前記データ処理システムが第2進行指令を前記清掃ロボットに送信する第2指令送信ステップと、をさらに含んでもよい。
【0010】
さらに、前記清掃領域近接ステップは、移送ロボットの搬送ルートの終点位置及び推奨ルートを含む進行制御指令を取得する指令取得ステップと、推奨ルートに沿って前記第1移送領域に位置する前記終点位置に進行する駐留ステップと、前記移送ロボットと前記清掃領域の額縁との距離Sを取得し、実際の距離Sが所定の距離閾値S0より大きいか否かを判断する距離取得ステップと、距離SがS0より大きい場合、右に一定角度A転向して(S-S0)/sinAである一定距離B前進し、それから左に一定角度A転向して(S-S0)/tgAである一定距離C後退し、前記第1移送領域に進行するように前記移送ロボットを制御し、距離SがS0未満である場合、左に一定角度A転向して(S0-S)/sinAである一定距離B前進し、それから右に一定角度A転向して(S0-S)/tgAである一定距離C後退し、前記第1移送領域に進行するように前記移送ロボットを制御する位置調整ステップと、を含む。
【0011】
さらに、前記清掃領域近接ステップでは、前記位置調整ステップを行う前に、前記実際の距離Sをデータ処理システムに送信する距離信号送信ステップと、前記データ処理システムが前記清掃ロボットに第1進行指令を送信する第1指令送信ステップと、をさらに含んでもよい。
【0012】
さらに、前記清掃ロボットが前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行する必要がある場合、前記清掃ロボット制御ステップを行う前に、清掃ロボットが前記第2移送領域に位置するか否かを判断し、清掃ロボットが前記第2移送領域に位置していない場合、次のステップを実行する清掃ロボット位置判断ステップと、前記第2移送領域に位置が調整されるように清掃ロボットを制御する清掃ロボット位置調整ステップと、をさらに含む。
【0013】
さらに、前記清掃ロボット位置判断ステップは、清掃ロボットにおける図形標識を含むリアルタイムイメージを取得するイメージ取得ステップと、当該リアルタイムイメージにおける当該図形標識の位置と所定の位置との偏差値Dを算出する偏差値算出ステップと、偏差値Dの絶対値が所定の閾値D0より小さい場合、清掃ロボットが第2移送領域に到達したと判断し、偏差値Dの絶対値が所定の閾値D0以上である場合、清掃ロボットが前記第2移送領域から逸脱したと判断する偏差判断ステップと、を含む。
【0014】
さらに、前記清掃ロボット位置調整ステップは、当該リアルタイムイメージにおける当該図形標識の位置と所定の位置との偏差値Dを算出する偏差値算出ステップと、前記偏差値に基づいて清掃ロボットの逸脱方向を判断する逸脱方向判断ステップと、当該図形標識が清掃ロボットの前面又は後面に位置するかを判断する図形標識判断ステップと、清掃ロボットが左に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの前面に設けられる場合、右に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G後退し、それから左に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H前進し、前記第2移送領域に進行し、清掃ロボットが左に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの後面に設けられる場合、右に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G前進し、それから左に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H後退し、前記第2移送領域に進行し、清掃ロボットが右に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの前面に設けられる場合、左に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G後退し、それから右に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H前進し、前記第2移送領域に進行し、清掃ロボットが右に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの後面に設けられる場合、左に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G前進し、それから右に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H後退し、前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御する清掃ロボット第2制御ステップと、を含む。
【0015】
さらに、前記清掃ロボット第2制御ステップを行う前に、前記清掃ロボットの逸脱方向及び前記清掃ロボットにおける前記図形標識の位置をデータ処理システムに送信する清掃ロボットデータ送信ステップと、前記データ処理システムが前記清掃ロボットに第3進行指令を送信する第3指令送信ステップと、をさらに含んでもよい。
【0016】
さらに、前記移送台初回調整ステップを行った後に、前記移送台を前記清掃領域の第2移送領域と接続させる接続ステップをさらに含んでもよく、前記移送台再調整ステップを行う前に、前記移送台を前記清掃領域の前記第2移送領域から離間させる接続解除ステップをさらに含んでもよい。
【0017】
さらに、前記接続ステップでは、移送ロボットから前記移送台の上面と前記清掃領域の上面とを接続するブリッジ板が伸出される。前記接続解除ステップでは、前記移送台の上面を前記清掃領域の上面から離間させるように前記ブリッジ板が回収される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、太陽光パネル間で清掃ロボットを移送するための移送方法が提供され、清掃ロボットを利用して太陽光パネル又は太陽光パネルアレイにおいて清掃作業を完了させ、移送ロボットを利用して複数の太陽光パネルアレイ間で清掃ロボットを移送し、データ処理システムを利用して清掃ロボット及び移送ロボットの派遣及び制御を実現し、清掃すべきである太陽光パネルの数に応じて適切な数の清掃ロボット及び接続ロボットを派遣することができるため、全ての太陽光パネル及びパネルアレイの清掃任務が最短時間で完了される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例に係る作業領域を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る清掃システムの作業状態を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施例に係る清掃システムを示す構成概略図である。
【
図4】本発明の実施例に係る清掃領域を示す構成概略図である。
【
図5】移送台が水平に位置する、本発明の実施例に係る移送ロボットの状態を示す概略図である。
【
図6】移送台が傾斜する、本発明の実施例に係る移送ロボットの状態を示す概略図である。
【
図7】本発明の実施例に係る移送ロボットの頂部を示す構成概略図である。
【
図8】一方向から見た本発明の実施例に係る移送ロボットの底部を示す構成概略図である。
【
図9】他方向から見た本発明の実施例に係る移送ロボットの底部を示す構成概略図である。
【
図10】本発明の実施例に係る高さ調整装置が展開された状態を示す構成概略図である。
【
図11】本発明の実施例に係る高さ調整装置が展開された状態を示す分解構成概略図である。
【
図12】本発明の実施例に係る高さ調整装置が折り畳まれた状態を示す構成概略図である。
【
図13】本発明の実施例に係る清掃システムの電子機器の機能を示すブロック図である。
【
図14】本発明の実施例に係る移送方法を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施例に係る清掃領域近接ステップを示すフローチャートである。
【
図16】本発明の実施例に係る清掃ロボット制御ステップを示すフローチャートである。
【
図17】本発明の実施例に係る清掃ロボット位置判断ステップを示すフローチャートである。
【
図18】本発明の実施例に係る清掃ロボット位置調整ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施を立証するため、添付図面を参照しながら本発明の好適実施例について説明する。これらの実施例は、当業者に本発明の技術内容を詳細に説明することができるため、本発明の技術内容をより明確かつ理解しやすくすることができる。本発明は、異なる態様の実施例から表現されるが、権利範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
図面において、構成が同じである部材に同じ符号を付し、各構成又は機能が類似する部材に類似する符号を付する。ある部材が他の部材に接続されるとは、ある部材が他の部材に直接接続されてもよく、ある部材が中間部材を介して他の部材に接続されてもよい。
【0022】
図1に示すように、太陽光発電所内には、作業領域100が設けられる。当該作業領域100は、複数の太陽光パネルアレイ101(以下、単にパネルアレイと称する。)を備える。各太陽光パネルアレイ101と水平面とをなす傾斜角は、なるべく多くの太陽光を太陽光パネルに直射させることが確保されるように15~45度である。大部分の太陽光発電所では、全ての太陽光パネルの水平面に対する傾斜角(以下、単にパネル傾斜角又は傾斜角と称する。)は同じである。また、ある太陽光発電所では、異なる太陽光パネルは、傾斜角が異なってもよく、調整可能又は変化可能に構成されてもよい。
【0023】
図1に示すように、各太陽光パネルアレイ101は、組み合わされた複数の太陽光パネル102(以下、単にパネルと称する。)を備える。複数の太陽光パネルアレイ101及び/又は複数の太陽光パネル102は、マトリックスに配列される。隣接する如何なる二つの太陽光パネルアレイ101及び/又は太陽光パネル102の間には、通路領域103が形成される。本実施例では、互いに交差して連通する複数の通路領域103は、縦横を交差する通路ネットワークを構成する。
【0024】
図2及び
図3に示すように、本実施例に係る清掃システムは、清掃ロボット200、移送ロボット300及びデータ処理システム400を備える。作業領域100は、清掃ロボット200及び移送ロボット300が太陽光パネル清掃作業を完了させるための作業領域である。
【0025】
太陽光発電所が通常稼働する際に、ある太陽光パネル又は太陽光パネルアレイに粉塵や汚れが付着されるため、清掃処理を行う必要がある。清掃処理を行うべきである各太陽光パネル102又は太陽光パネルアレイ101は、清掃領域500である。清掃ロボット200は、太陽光パネル102又は太陽光パネルアレイ101において清掃作業を行うことができるため、太陽光パネル102又は太陽光パネルアレイ101における各領域を有効に清掃することができる。移送ロボット300は、清掃ロボット200を清掃ロボット200が待機すべきである箇所からある清掃領域500(清掃処理を行うべきであるパネル又はパネルアレイ)の上面に搬送したり、清掃されたパネルアレイの上面から他の清掃領域500(清掃処理を行うべきであるパネル又はパネルアレイ)の上面に搬送したり、清掃された清掃領域500の上面から清掃ロボット200が待機すべきである箇所に搬送したりすることができる。
【0026】
図4に示すように、各清掃領域500は、組み合わされた矩形のパネルアレイ101からなり、その周囲辺縁箇所をそれぞれ清掃領域上端501、清掃領域下端502、清掃領域左側端503及び清掃領域右側端504とすることが好ましい。
【0027】
清掃ロボット200が移送ロボット300によって清掃領域500に搬送された場合に、清掃ロボット220は、清掃領域左側端503又は清掃領域右側端504から清掃領域500に走行することが好ましい。また、同様に清掃ロボット200が移送ロボット300によって清掃領域500から移送された場合に、清掃ロボット200は、清掃領域左側端503又は清掃領域右側端504から移送ロボット300に走行することが好ましい。
【0028】
図4に示すように、各清掃領域500は、互いに対応して設けられる第1移送領域505及び第2移送領域506を有する。第1移送領域505、第2移送領域506は、それぞれ清掃領域左側端503又は清掃領域右側端504の両側に設けられる。本実施例では、第1移送領域505は、清掃領域右側端504と隣接する当該清掃領域500の外部の領域であり、第2移送領域506は、清掃領域右側端504と隣接する当該清掃領域500の外部の領域である。第1移送領域505、第2移送領域506は、清掃領域右側端504の下部と隣接することが好ましい。
【0029】
以下、太陽光発電所における太陽光パネルアレイを清掃するべきであるか否かを判断する手法を示す。手法1は、分割推定法である。小型領域(領域範囲を自由設定可能)内において、互いに隣接する複数のパネルアレイの自然環境が類似するため、当該領域内のパネルの汚れ度合も類似する。そして、太陽光パネルをランダムに選択し、その汚れ度合を検出することにより、当該パネルを清掃するべきであるか否かを判断する。当該パネルを清掃すべきである場合に、当該領域内の全てのパネルを清掃すべきである。発電所の作業領域の占有面積が大きい場合に、大型作業領域を複数の小型作業領域に分割し、領域毎にサンプリングを行うことができる。手法2は、定時清掃法である。当該作業領域の自然環境の状況に応じて、当該作業領域内の全てのパネルアレイを定時に清掃する。当該作業領域の砂嵐が大きく又は降水が多い場合に、太陽光パネル表面に付着される付着物が重たく、毎日1から2回清掃する必要がある。一方、当該作業領域の砂嵐が小さく又は降水が少ない場合に、太陽光パネル表面に付着される付着物が少なく、10日置きで清掃すればよい。以上の二つの手法については、複数の太陽光パネルアレイを差異なく処理するが、精度が低く、パネル表面に付着される付着物が少ないにもかかわらず、清掃処理される可能性がある。手法3は、個別検出法である。各パネル表面の汚れ度合を細かく検出し、清掃すべきであるパネルアレイ又はパネルを判断する。この手法の精度が高いが、効率が低い。
【0030】
図3に示すように、データ処理システム400は、清掃ロボット200及び/又は移送ロボット300に接続される物理サーバ又はクラウドサーバであることが好ましい。これにより、データ処理システム400と清掃ロボット200及び/又は移送ロボット300とのデータ交換が図られる。そして、データ処理システム400は、清掃ロボット200及び/又は移送ロボット300に制御指令を送信するとともに、清掃ロボット200及び/又は移送ロボット300から例えば二つのロボットのリアルタイムにおける位置座標、二つのロボットがリアルタイムに収集する撮像データ等であるフィードバックデータを受信する。これにより、データ処理システム400は、清掃ロボット200の清掃作業プロセス及び移送ロボット300の進行及び移送プロセスをリアルタイムに監視することができる。また、移送ロボット300が作業領域100の通路ネットワークにおいて正常に進行すること及び移送ロボット300と清掃領域のパネルアレイ101とが接続されることを制御することができる。
【0031】
データ処理システム400は、どのパネルアレイ101を清掃すべきである情報(あるパネル番号)を取得した後、太陽光発電所において許可される清掃作業の時間に鑑み、清掃作業に要する移送ロボット300及び清掃ロボット200の数を推定する。そして、データ処理システム400は、移送ロボット300を用いて清掃ロボット200を清掃すべきであるパネルアレイ101に移送する。そして、清掃ロボット200は、当該パネルアレイ101において全面の清掃作業を行う。そして、当該パネルアレイ101の清掃作業が完了した後、データ処理システム400は、移送ロボット300を用いて清掃ロボット200を清掃されたパネルアレイ101から他の清掃すべきであるパネルアレイ101上面又は清掃ロボット200が待機すべきである箇所に搬送する。
【0032】
清掃ロボット200は、出願人による自社開発製品であり、出願人が2016年から2018年に出願したシリーズの太陽光パネル清掃ロボットに関連するものを参照すればよい。清掃ロボット200は、太陽光パネルアレイに移送された後、パネルアレイ上を自由行進することができるため、当該パネルアレイのあらゆる隅に走行することができる。そして、進行中においてパネルアレイ全体の清掃作業を行うことができる。その説明については省略する。
【0033】
図5に示すように、本実施例によれば、車体310、移送装置320、角度調整装置330及び高さ調整装置350を備える移送ロボット300が提供される。
【0034】
図5及び
図6に示すように、移送装置320は、清掃ロボット200が載置され、回動可能に車体310の頂部又は上半部に設けられる移送台321を有する。移送台321は、移送のプロセスにおいて、清掃ロボット200は、移送台321の上面からパネルの上面に走行し(パネルを上る)、又は、パネルの上面から移送台321の上面に走行する(パネルを下りる)。
【0035】
図7から
図9に示すように、移送装置320は、移送台321と垂直するように移送台321の辺縁から突出する壁板322を有する。壁板322は、順に接続される左側壁板322a、背側壁板322b及び右側壁板322cを有し、凹字型に取り囲まれる。左側壁板322aの開放端と右側壁板322cの開放端との間には、出入口323が形成される。
【0036】
移送装置320は、緩衝部材324をさらに有する。緩衝部材324は、背側壁板322bの内側壁に設けられる緩衝バーであることが好ましい。左側壁板322a及び/又は右側壁板322cの内側壁には、それぞれ緩衝バー(図示しない)が設けられてもよい。
【0037】
移送装置320は、摺動可能に移送台321の上面に装着されるブリッジ板327と、一端が移送台321の下面に接続され他端がブリッジ板327の下面に接続される第1伸縮ロッド328と、をさらに有する。第1伸縮ロッド328は、液圧伸縮ロッド又は電力伸縮ロッドであり、第1伸縮ロッド制御部329を有する。第1伸縮ロッド制御部329が指令電気信号を受信する場合に、第1伸縮ロッド328の長さを調整することができる。第1伸縮ロッド328の長さが最短に短縮される場合に、ブリッジ板327は移送台321の上面に位置し、一方、第1伸縮ロッド328の長さが伸長する場合に、ブリッジ板327は出入口323の方向に向かって所定の距離を伸出する。移送ロボット300と太陽光パネルアレイ101との間の距離が最小となり、移送台321の角度がパネルアレイ101と一致するように調整される場合に、第1伸縮ロッド328が所定距離を伸出し、ブリッジ板327は太陽光パネルアレイ101に延在することにより、移送台321は太陽光パネルアレイ101に接続される。このため、清掃ロボット200は、スムーズに移送台321から太陽光パネルアレイ101(すなわち、清掃領域)に進行することができ、又は、太陽光パネルアレイ101(すなわち、清掃領域)から移送台321に進行することができる。清掃ロボット200の移送が完了した後、第1伸縮ロッド328の長さが最短に短縮され、ブリッジ板327は移送台321の上面に回収される。
【0038】
図7から
図9に示すように、移送装置320は、対向して設けられる二つの摺動軸ベース325a,325bと、対向して設けられる二つの回動軸ベース326a,326bと、を有する。
【0039】
二つの摺動軸ベース325a,325bは、移送台321の底面の中央部から突出する。二つの摺動軸ベース325a,325bの対向する二つの対向面には、それぞれ二つの第1摺動溝325c、325dが設けられる。二つの第1摺動溝325c、325dは、形状、寸法が同じであり、位置が対向する。
【0040】
二つの回動軸ベース326a,326bは、移送台321の右側の一端辺縁寄りに位置するように移送台321の底面から突出する。二つの回動軸ベース326a,326bの中心には、それぞれベース通孔326c,326dが形成される。ベース通孔326c,326dは、形状、寸法が同じであり、位置が対向する。
【0041】
図6に示すように、車体310は、車体本体311と、それぞれ車体本体311の底部の左右両側に設けられる進行装置312(例えば、車輪)と、を有する。路面の適応能力及び通過性能が良好である観点から、進行装置312は履帯ホイールセットであることが好ましい。
【0042】
図10に示すように、車体本体311は、立体フレームの車両フレーム313を有する。車両フレーム313は、全体が略長方体形状に形成され、水平に設けられる複数の横方向フレーム及び鉛直に設けられる複数の縦方向フレームを有する。当該縦方向フレームは、水平面と垂直し、又は水平面に対し所定の角を保持する。車両フレーム313の頂面又は側面又は底面には単一又は複数の壁板が設けられる。そして、当該壁板と車両フレーム313とによって車体本体311が取り囲まれる。
【0043】
図5及び
図6、
図10から
図12に示すように、車体310の頂部又は上部には高さ調整装置350が設けられ、高さ調整装置350の頂部には角度調整装置330が設けられ、移送台321は、移送台321の傾斜角度を制御するために回動可能に角度調整装置330の頂部に接続されている。
図10から
図12に示すように、角度調整装置330は、摺動軸331、第2伸縮ロッド332、回動軸333及び伸縮ロッド装着ブラケット334を有する。第2伸縮ロッド332は、液圧伸縮ロッド又は電力伸縮ロッドであり、第2伸縮ロッド制御部335を有する。第2伸縮ロッド制御部335が指令電気信号を受信する場合に、第2伸縮ロッド332の長さを調整することができる。
【0044】
摺動軸331は、両端が摺動可能に二つの第1摺動溝325c、325dに装着される。伸縮ロッド装着ブラケット334は、高さ調整装置350に固定される。第2伸縮ロッド332は、一端が回動可能に摺動軸331の中央部に接続され、他端が回動可能に伸縮ロッド装着ブラケット334に接続される。回動軸333は、中央部が高さ調整装置350に固定して接続され、両端が回動可能に二つの回動軸ベース326a,326bのベース通孔326c,326dに装着されることにより、回動軸333は回動軸ベース326a,326bに対し回動可能である。第2伸縮ロッド332の長さが変化する時、移送台321の傾斜角度が大きく又は小さくなるように調整することができる。
【0045】
図5及び
図6、
図10から
図12に示すように、高さ調整装置350は、フレーム351、第1ブラケット352、第2ブラケット353及びピン軸354を有する。移送装置320は、回動可能にフレーム351の一端に接続される。第1ブラケット352は、上端が摺動可能にフレーム351に接続され、下端が摺動可能に車体310の頂部に接続される。ピン軸354は、第1ブラケット352の中央部及び第2ブラケット353の中央部を貫通し、第2ブラケット353は、ピン軸354を介して回動可能に第1ブラケット352に接続される。
【0046】
高さ調整装置350は、対向するように設けられる二つの第1レール355a,355b及び対向するように設けられる二つの第2レール356a,356bを有する。第1レール355a,355bは、水平に位置するようにフレーム351に装着され、対向する二つの対向面にそれぞれ互いに対向する二つの第2摺動溝357a,357bが形成される。第2レール356a,356bは、水平に位置するように車体310の頂部又は上部に装着され、対向する二つの対向面にそれぞれ互いに対向する二つの第3摺動溝358a,358bが形成される。
【0047】
角度調整装置330では、伸縮ロッド装着ブラケット334は、フレーム351に接続されるようにフレーム351の下方に設けられる。回動軸333は、中央部がフレーム351の頂部又は上半部の一端に固定して接続され、両端が回動可能に二つの回動軸ベース326a,326bのベース通孔326c,326dに装着されることにより、回動軸333は回動軸ベース326a,326bに対し回動可能である。
【0048】
高さ調整装置350では、第1ブラケット352は、平行に設けられる二つの第1接続ロッド3521a,3521bと、両端がそれぞれ第1接続ロッド3521a,3521bに接続される第1横梁3522と接続される。第1接続ロッド3521a又は3521bの上端の外側には、第1摺動輪3523a又は3523bが設けられる。二つの第1摺動輪3523a,3523bは、それぞれ摺動可能に第2摺動溝357a,357b内に装着される。第2ブラケット353は、平行に設けられる二つの第2接続ロッド3531a,3531bと、両端がそれぞれ第2接続ロッド3531a,3531bに接続される第2横梁3532と接続される。第2接続ロッド3531a又は3531bの下端の外側には、第2摺動輪3533a又は3533bが設けられる。二つの第2摺動輪3533a,3533bは、それぞれ摺動可能に第3摺動溝358a,358b内に装着される。
【0049】
高さ調整装置350は、一端が回動可能に第1ブラケット352又は第2ブラケット353に接続され他端が回動可能に車体310に接続される第3伸縮ロッド359をさらに有する。第1ブラケット352に両端がそれぞれ二つの第1接続ロッド3521a,3521bと垂直して接続される第3横梁(図示しない)が設けられ、当該第3横梁の外部に筒3524が設けられ、第3伸縮ロッド359の上端は、当該第3横梁周りに回転可能に筒3524にヒンジ接続されることが好ましい。
【0050】
第3伸縮ロッド359は、液圧伸縮ロッド又は電力伸縮ロッドであり、第2伸縮ロッド制御部335を有する。第3伸縮ロッド制御部360が指令電気信号を受信する場合に、第2伸縮ロッド332を制御することによりその長さを調整することができる。
【0051】
第3伸縮ロッド359は、液圧伸縮ロッド又は電力伸縮ロッドであり、プロセッサ340に接続される(
図18参照)。プロセッサ340は、電気信号を送信することで第1伸縮ロッド328、第2伸縮ロッド332及び第3伸縮ロッド359を制御することにより長さを調整することができる。
【0052】
図3に示すように、移送ロボット300が清掃領域500(太陽光パネル又はパネルアレイ101)の付近に進行する場合に、データ処理システム400は、移送ロボット300の位置及び方向が調整されるように移送ロボット300を制御することにより、移送ロボット300を清掃領域500の右側の下端の第1移送領域505に進行させるとともに、移送装置320の出入口323を清掃領域500の方向に対向させる。
【0053】
本実施例では、移送ロボット300が通路領域103内に進行する場合に、第2伸縮ロッド332、第3伸縮ロッド359の長さは最短に短縮され、高さ調整装置350の高さは最低箇所に下降され、移送台321は水平に車体310の頂部に設けられる。この場合に、移送台321と車体310の上面とをなす角は、0度となる。移送台321に清掃ロボット200が載置される場合に、移送中において滑り落ちることなく、安定性を保持することができる。
【0054】
図3に示すように、移送ロボット300が清掃領域500の第1移送領域505に走行する場合に、プロセッサ340は、電気信号を第2伸縮ロッド制御部335及び/又は第3伸縮ロッド制御部360に送信し、第2伸縮ロッド332及び/又は第3伸縮ロッド359の伸長を制御する。第3伸縮ロッド359が伸長されることで、高さ調整装置350の上端のフレーム351及び移送台321は上昇され、第2伸縮ロッド332が伸長されることで、回動軸333から離間する移送台321の一端が上昇するように支持され、移送台321の他端が回動軸333周りに回動する。そして、移送台321と車体310の上面とをなす角は、水平面に対する移送台321の傾斜角と水平面に対する清掃領域500(太陽光パネル又はパネルアレイ)の傾斜角とが一致するように次第に増大することにより、移送台321の上面と清掃領域500のパネルの上面とが面一となる。
【0055】
同様に、移送プロセスが完了した後、プロセッサ340は、電気信号を第2伸縮ロッド制御部335及び/又は第3伸縮ロッド制御部360に送信することにより、第2伸縮ロッド332及び/又は第3伸縮ロッド359の短縮を制御する。第2伸縮ロッド332が短縮されることで、移送装置320の移送台321と水平面とをなす角を0度までに減少させ、移送台321は、傾斜状態から水平状態に戻る。第3伸縮ロッド359が短縮されることで、高さ調整装置350の上端のフレーム351及び移送台321は、最低箇所に下降される。その後、移送ロボット300は、他の位置に進行することができる。
【0056】
第2伸縮ロッド332の伸長又は短縮プロセスでは、回動軸333は、両端が二つのベース通孔326c,326d内において回動し、両端が二つの第1摺動溝325c,325d内を摺動することにより、移送台321は、揺れることなく、底部が傾斜角調整プロセスにおいて安定に保持される。
【0057】
第3伸縮ロッド359の伸長又は短縮プロセスでは、第1ブラケット352は、下端が車体310に対し回動することが可能であり、上端の左右両側の第1摺動輪3523a,3523bがそれぞれ第2摺動溝357a,357b内を摺動することが可能である。また、第2ブラケット353は、上端が移送装置320に対し回動することが可能であり、下端の左右両側の第2摺動輪3533a,3533bがそれぞれ第3摺動溝358a,358b内を摺動することが可能である。第1ブラケット352、第2ブラケット353の形状、寸法は、ほぼ同じである。第1接続ロッド3521bの長さと第2接続ロッド3531bの長さとは、同じであり、第1ブラケット352の下端の回動角度と第2ブラケット353の上端の回動角度とは、同じであり、第1ブラケット352の摺動距離と第2ブラケット353の摺動距離とは、同じである。高さ調整装置350の昇降プロセスでは、移送装置320は、揺れることなく、安定に保持される。移送台321には清掃ロボット200が載置される場合に、滑り落ちることなく、安定性を保持することができる。
【0058】
作業領域100における全ての太陽光パネル102の傾斜角が同じかつ不変であり、第2伸縮ロッド332が伸長する距離があらかじめ所定の長さに設定される場合に、第2伸縮ロッド332が伸長する度に、調整された移送台321の傾斜角度は、パネルの傾斜角度と同じとなる。
【0059】
作業領域100における全ての太陽光パネル102の高さが同じであり、第3伸縮ロッド359が伸長する距離があらかじめ所定の長さに設定される場合に、第3伸縮ロッド3359が伸長する度に、移送台321が上昇する高さは、同じであり、パネルの下端の高さ以上である。
【0060】
作業領域100における全ての太陽光パネルの傾斜角度及び/又は高さがいずれも異なる場合に、データ処理システム400は、清掃領域500のパネル高さ及びパネル傾斜角度に基づいて指令を移送ロボット300のプロセッサ340に送信する。そして、プロセッサ340は、指令を第3伸縮ロッド制御部360に送信することにより、高さ調整装置350の高さ及び移送台321の高さを調整することができる。また、プロセッサ340は、指令を第2伸縮ロッド制御部335に送信することにより、移送台321の傾斜角度を調整することができる。
【0061】
移送台321の傾斜角度が調整された後、データ処理システム400は、移送ロボット300からのフィードバック情報を受信し、清掃ロボット200に行動指令を送信し、清掃ロボット200が第1移送領域505に位置する移送台321から第2移送領域506に位置する太陽光パネル(以下、単に上板と称する)に走行し、又は第2移送領域506に位置する太陽光パネルから第1移送領域505に位置する移送台321(以下、単に下板と称する)に走行するように清掃ロボット200を制御することにより、移送プロセスが終了する。
【0062】
図12に示すように、本実施例に係る移送ロボット300は、回路板314を備える。回路板は車体310内に設けられることが好ましい。回路板314には、移送ロボット300を制御する制御機器としてのプロセッサ340が設けられる。プロセッサ340は、それぞれ第1伸縮ロッド制御部329、第2伸縮ロッド制御部335及び第3伸縮ロッド制御部360に接続され、第1伸縮ロッド制御部329及び/又は第2伸縮ロッド制御部335及び/又は第3伸縮ロッド制御部360に制御指令を送信するためのものである。
【0063】
図13に示すように、清掃ロボット200には第1無線通信ユニット201が設けられ、移送ロボット300には第2無線通信ユニット301が設けられ、データ処理システム400には第3無線通信ユニット401が設けられる。第1無線通信ユニット201、第2無線通信ユニット301及び第3無線通信ユニット401は、互いに無線接続されるため、清掃ロボット200又は移送ロボット300とデータ処理システム400とのデータ交換は、無線通信によって行われる。
【0064】
図4に示すように、移送ロボット300が清掃領域500(太陽光パネル又はパネルアレイ101)の近傍に進行する場合に、データ処理システム400は、移送ロボット300が清掃領域500の右側下端の第1移送領域505に進行し、移送装置320の出入口323が清掃領域500の方向に対向するように、移送ロボット300の位置及び方向を調整し、移送ロボット300を制御する。
【0065】
図5及び
図6、
図10から
図12に示すように、本実施例では、移送ロボット300が通路領域103内に進行する場合に、第2伸縮ロッド332の長さが最短に短縮され、移送台321は水平に車体310の頂部に設けられる。この場合に、移送台321と車体310の上面とをなす角は、0度となる。移送台321に清掃ロボット200が載置される場合に、移送中において滑り落ちることなく、安定性を保持することができる。
【0066】
図4から
図6に示すように、移送ロボット300が清掃領域500の第1移送領域505に走行する場合に、プロセッサ340は、電気信号を第2伸縮ロッド制御部335に送信し、第2伸縮ロッド332の伸長を制御することにより、回動軸333から離間する移送台321の一端が上昇するように支持され、移送台321の他端が回動軸333周りに回動する。そして、移送台321と車体310の上面とをなす角は、水平面に対する移送台321の傾斜角と水平面に対する清掃領域500(太陽光パネル又はパネルアレイ)の傾斜角とが一致するように次第に増大することにより、移送台321の上面と清掃領域500のパネルの上面とが面一となる。
図7から
図9に示すように、第2伸縮ロッド332の伸長プロセスでは、回動軸333は、両端が二つのベース通孔326c,326d内において回動し、摺動軸331は、両端が二つの第1摺動溝325c,325d内を摺動することにより、移送台321は、揺れることなく、底部が傾斜角調整プロセスにおいて安定に保持される。
【0067】
作業領域100における全ての太陽光パネルの傾斜角が同じかつ不変であり、第2伸縮ロッド332が伸長する距離があらかじめ所定の長さに設定される場合に、第2伸縮ロッド332が伸長する度に、調整された移送台321の傾斜角度は、パネルの傾斜角度と同じとなる。
【0068】
作業領域100における全ての太陽光パネルの傾斜角度が異なる場合に、データ処理システム400は、清掃領域500のパネル傾斜角度に基づいて指令を移送ロボット300のプロセッサ340に送信する。そして、プロセッサ340は、指令を第2伸縮ロッド制御部335に送信することにより、移送台321の傾斜角度を調整することができる。
【0069】
移送台321の傾斜角度が調整された後、データ処理システム400は、移送ロボット300からのフィードバック情報を受信し、清掃ロボット200に行動指令を送信し、清掃ロボット200が第1移送領域505に位置する移送台321から第2移送領域506に位置する太陽光パネル(以下、単に上板と称する)に走行し、又は第2移送領域506に位置する太陽光パネルから第1移送領域505に位置する移送台321(以下、単に下板と称する)に走行するように清掃ロボット200を制御することにより、移送プロセスが終了する。
【0070】
本実施例では、移送台321が傾斜状態にある場合に、移送台321の最低箇所の高さは、作業領域100における太陽光パネル又はパネルアレイ101の最低端(例えば清掃領域下端502)以上であり、移送台321の最高箇所の高さは、作業領域100における太陽光パネル又はパネルアレイ101の最高端(例えば清掃領域上端501)以下である。これにより、移送プロセスにおいて、移送台321を太陽光パネル又はパネルアレイ101の左側又は右側(例えば、清掃領域左側端503又は右側端504)に接続させることを確保することができる。
【0071】
移送台321は、傾斜状態又は平置状態にあることを問わず、移送台321の最低箇所の高さは、ほぼ不変であり、車体310の頂部の高さによる。移送台321とパネルとの移送位置は、パネル又はパネルアレイ101の右側の下部に位置することが好ましい。これにより、車体310の高さに対する要求が低い。車体310の重心が低いほど、移送ロボット300は、清掃ロボット200を搬送して進行するプロセスにおいて、安定となり、路面の凸凹による揺れを有効に防止することができる。
【0072】
図13に示すように、本実施例では、移送ロボット300には、移送ロボット300の作動中の各作動データを収集する複数のデータ収集装置が設けられる。当該データ収集装置は、例えば、光電センサ601、距離センサ602、傾斜角センサ603、位置特定装置604、電子コンパス605、撮像センサ606、照明装置607及び障害物回避センサ608等のような異なるセンサ装置を有する。上述した各センサは、有線又は無線によってプロセッサ340に接続されるため、移送ロボット300は、作業プロセスにおいて収集する原始作業データをプロセッサ340に伝達し、プロセッサ340の処理によってプリ処理データが形成される。当該原始作業データ及び/又はプリ処理データは、無線通信ユニットによってデータ処理システム400に送信されるため、作業プロセスにおける移送ロボット300をリアルタイムに監視すること及び移送ロボット300の進行プロセス及び/又は移送プロセスをリアルタイムに制御することが図られる。
【0073】
図5から
図7に示すように、光電センサ601は、対向するようにそれぞれ移送装置320の左側壁板322a及び右側壁板322cの内側壁に設けられる発光素子601a及び受光素子601bを有する。発光素子601a及び受光素子601bは、出入口323寄りに位置するようにそれぞれ出入口323の両側に設けられる。光電センサ601は、一対の赤外線センサからなることが好ましい。発光素子601aから射出した赤外線は、受光素子601bに受光される。そして、赤外線が遮断されるとき、プロセッサ340は、部品が出入口323を通過していることを判断することができる。
【0074】
清掃ロボット200が外部から移送装置320の出入口に走行する場合に、発光素子601aと受光素子601bとの間に形成される赤外線が遮断されるため、光電センサ601は、清掃ロボット200の前端が移送装置320に進行したことを検出することができる。そして、清掃ロボット200全体が移送装置320内に走行した場合に、発光素子601aと受光素子601bとの間に形成される赤外線の遮断が解除されるため、光電センサ601は、清掃ロボット200の後端が移送装置320に進行したことを検出することができる。よって、プロセッサ340は、光電センサ601のリアルタイムの電気信号に基づいて清掃ロボット200の前端が移送装置320に進行したことや清掃ロボット200全体が移送装置320に走行したことを判断することができる。
【0075】
距離センサ602は、出入口323と対向するように移送装置320の背側壁板322bの中央部の内側壁に設けられる。距離センサ602は、反射式赤外線センサからなることが好ましい。当該反射式赤外線センサは、出入口323の方向に赤外線を射出する。当該反射式赤外線センサが反射された赤外線を受光する場合に、清掃ロボット200の前端が出入口323から移送台321に入り込んだことを判断する。さらに、受光した赤外線の時間に基づいて清掃ロボット200の前端と移送装置320の背側壁板322bとの間の距離を取得することができる。
【0076】
清掃ロボット200が外部から移送装置320の出入口に走行する場合に、距離センサ602(反射式赤外線センサ)は、清掃ロボット200が移送装置320に進行したことを判断することができる。また、距離センサ602は、受光した反射の赤外線の時間に基づいて、清掃ロボット200の前端と背側壁板322bとの間の距離を取得することができる。そして、プロセッサ340は、当該距離の数値を取得することにより、清掃ロボット200が移送装置320に入り込む度合をリアルタイムに監視することができる。このため、プロセッサ340は、清掃ロボット200全体が移送台321内に入り込んだか否かを判断することができる。
【0077】
清掃ロボット200が出入口を経由して移送装置320から離間する場合に、距離センサ602(反射式赤外線センサ)は、清掃ロボット200が移送装置320から離間したことを判断することができる。また、距離センサ602は、受光した反射の赤外線の時間に基づいて、清掃ロボット200の前端と背側壁板322bとの間の距離を取得することができる。そして、プロセッサ340は、当該距離の数値を取得することにより、清掃ロボット200が移送装置320から離間する度合をリアルタイムに監視することができる。このため、プロセッサ340は、清掃ロボット200全体が移送台321内に離間したか否かを判断することができる。
【0078】
傾斜角センサ603は移送台321の下面(
図8参照)に設けられることが好ましい。傾斜角センサ603は、移送台321の上面と水平面とをなす角(以下、単に台傾斜角と称する)をリアルタイムに検出し、台傾斜角の角度値をプロセッサ340に送信するためのものである。作業領域100における全ての太陽光パネル102の傾斜角が異なり、又はパネルの傾斜角が可変である場合に、第2伸縮ロッド332が伸長する度に、傾斜角センサ603は台傾斜角の角度値をリアルタイムに検出し、プロセッサ340に送信する。リアルタイムに検出された台傾斜角の角度値とパネル傾斜角の角度値とが同じである場合に、プロセッサ340は、第2伸縮ロッド制御部335に停止指令を送信する。これにより、第2伸縮ロッド332の伸長を停止させ、台傾斜角とパネル傾斜角とを同じにすることができる。
【0079】
本実施例では、位置特定装置604は、車体310の内部又は外部に設けられるRFIDリーダ(RFID Reader)である。位置特定装置604は、車体310の底部又は移送台321の前端に設けられることが好ましい。位置特定装置604は、作業領域における車体310のリアルタイム位置を取得し、取得した車体310のリアルタイム位置をプロセッサ340に送信する。
【0080】
本実施例によれば、タグによる位置特定の方法が用いられる。通路領域103内に車体310が推奨ルートに沿って進行するように車体310を制御する。推奨ルートには、所定の距離を空けて識別可能なタグが設けられる。識別可能なタグは、例えば、RFIDタグであり、作業領域内の当該タグの位置座標等のデータが記憶される。移送ロボット300は、ある交差点又は通路段に走行する場合に、RFIDリーダは、当該交差点又は通路段に設けられるRFIDタグを読み取ることにより、プロセッサ340は、移送ロボット300のリアルタイム位置を取得することができる。また、プロセッサ340は、取得した移送ロボット300のリアルタイム位置をデータ処理システム400に送信してもよい。他の実施例では、位置特定装置604は、高精度のGPS位置特定ユニット又は北斗位置特定ユニットであってもよい。この場合に、移送ロボット300の正確なリアルタイム位置を取得することができる。
【0081】
電子コンパス605は、車体310の内部又は外部に設けられることが好ましい。電子コンパス605は、移送ロボット300のリアルタイム進行方向を取得し、データ処理及びデータ分析が行われるように取得した移送ロボット300のリアルタイム進行方向をプロセッサ340に送信する。プロセッサ340は、送信された移送ロボット300のリアルタイム進行方向に基づいて、移送ロボット300のリアルタイム進行方向が所定方向と一致するか否かを判断する。移送ロボット300が所定方向からオフセットした場合に、プロセッサ340は、車体310の進行方向が即座調整されるように車体310に制御指令を送信する。
【0082】
撮像センサ606及び/又は照明装置607は車体310の前端及び/又は後端に設けられることが好ましい。撮像センサ606は、車体310の前方又は後方のリアルタイム画像及び/又はイメージをリアルタイムに収集し、収集したリアルタイム画像及び/又はイメージをプロセッサ340に送信する。移送ロボット300が作業領域100の通路領域103を進行する場合に、撮像センサ606が収集したイメージに含まれる任意時点における通路領域103内の進行可能領域は、プロセッサ340に送信される。そして、プロセッサ340は、車体310のリアルタイム進行速度に基づいて、次の時間帯において車体310がカバーする推定進行領域を算出し、推定進行領域と進行可能領域とをリアルタイムに対比することにより、次の時間帯において車体310が進行可能領域に位置するか否かを判断する。推定進行領域が進行可能領域を超える場合に、車体310の進行ルート上に障害物が存在する。車体310が進行中に障害物と接触することを防止するため、プロセッサ340は、車体310の進行方向をリアルタイムに調整すべきである。
【0083】
他の実施例では、撮像センサ606が収集したイメージには、太陽光パネル102及び/又はパネルアレイ101の額縁が含まれてもよい。なお、当該額縁は、イメージにおいて額縁直線として示される。また、他の実施例では、特定アルゴリズム処理によって、移送ロボット300は、当該額縁直線の位置を参照しながら進行方向をリアルタイムに調整することで、移送ロボット300をなるべく直線進行させることができる。
【0084】
移送ロボット300が暗い環境(例えば、夜や曇り等)において進行する場合に、照明装置607は、車体310の前方及び/又は後方の通路領域103を照明することにより、撮像センサ606が画像及び/又はイメージを正常に収集させることができる。他の実施例では、撮像センサ606及び/又は照明装置607は、車体310の左側及び/又は右側に設けられてもよい。この場合に、撮像センサ606及び/又は照明装置607は、車体310の左側及び/又は右側のリアルタイム画像及び/又はイメージを収集する。他の実施例では、撮像センサ606及び/又は照明装置607は、移送装置320の片側に設けられてもよい。この場合に、撮像センサ606のカメラは、外側に向かっている。移送台321の高さ及び傾斜角が太陽光パネル102と一致するように調整される場合に、当該カメラは、太陽光パネル102に対向する。
【0085】
障害物回避センサ608は、車体310の前端又は後端に設けられる超音波センサであることが好ましい。移送ロボット300が進行し、プロセッサ340が前端又は後端の障害物回避センサ608からの検出信号を取得した場合に、車体310が進行するルートの前方又は後方に走行に影響を与える障害物が存在し、プロセッサ340は、障害物が回避されるように移送ロボット300の進行方向を調整することができる。他の実施例では、障害物回避センサ608は、車体310の左側及び/又は右側に設けられてもよい。
【0086】
本実施例によれば、清掃ロボット200の搬送具として、複数の太陽光パネルアレイ101間の通路領域103において清掃ロボット200を移送することで、清掃ロボット200を異なる太陽光パネルアレイ101に清掃させることができる。本実施例では、移送ロボットの移送台の高さ及び傾斜角度は、いずれも調整されるため、太陽光パネルの高さが大きい場合であっても、移送台を太陽光パネルの全面に亘って接続することができる。
【0087】
図14に示すように、上記実施例に基づいて、本発明によれば、以下のステップS1~S10を順次含む移送方法がさらに提供される。
【0088】
S1移送領域設置ステップでは、各清掃領域(太陽光パネル又はパネルアレイ)の外側に当該清掃領域の側辺に隣接する第1移送領域を設置し、各清掃領域の内側に前記第1移送領域に対向して設置されるように前記清掃領域の側辺に隣接する第2移送領域を設置する。
【0089】
S2清掃領域近接ステップでは、データ処理システムが第1清掃領域の前記第1移送領域に走行するように移送ロボットを制御する。
【0090】
図15に示すように、S2清掃領域近接ステップは、移送ロボットがデータ処理システムから送信された制御指令であって移送ロボットの搬送ルートの終点位置及び推奨ルートを含む制御指令を取得するS21指令取得ステップと、移送ロボットが前記制御指令に従って、推奨ルートに沿って前記第1移送領域に位置する前記終点位置に進行するS22駐留ステップと、移送ロボットが前記移送ロボットと前記清掃領域の額縁との距離Sを取得し、実際の距離Sが所定の距離閾値S0より大きいか否かを判断するS23距離取得ステップと、移送ロボットが前記実際の距離Sをデータ処理システムに送信するS24距離信号送信ステップと、前記データ処理システムが前記清掃ロボットに第1進行指令を送信するS25第1指令送信ステップと、距離SがS0より大きい場合、右に一定角度A転向して(S-S0)/sinAである一定距離B前進し、それから左に一定角度A転向して(S-S0)/tgAである一定距離C後退し、前記第1移送領域に進行するように前記移送ロボットを制御し、距離SがS0未満である場合、左に一定角度A転向して(S0-S)/sinAである一定距離B前進し、それから右に一定角度A転向して(S0-S)/tgAである一定距離C後退し、前記第1移送領域に進行するように前記移送ロボットを制御するS26位置調整ステップと、を含む。
【0091】
S3移送台初回調整ステップでは、移送ロボットがその移送装置の移送台の角度及び/又は高さを調整する。本実施例に係る移送ロボットは、角度調整装置330及び高さ調整装置350を備えるため、移送台の高さ及び角度を調整することができる。調整された後に、移送ロボットの移送台の上面と清掃領域パネルの上面とが面一となるため、清掃ロボットが同一平面上を進行できるようになるとともに、清掃ロボットが自由に移動できるように移送装置の出入口が前記第2移送領域を向くようになる。
【0092】
S4接続ステップでは、移送ロボットが前記清掃領域の第2移送領域に移送台を接続させる。前記接続ステップでは、移送ロボットの移送装置に前記移送装置の移送台の上面と清掃領域パネルの上面とを接続するブリッジ板を伸出させる。移送台と太陽光パネルとの距離が近い場合、例えば10cm未満である場合、履帯を有する清掃ロボットは、ブリッジ板を使用せずに移送台と太陽光パネルとの間を直接走行することができるため、S4接続ステップは省略してもよい。
【0093】
S5位置到着信号送信ステップでは、移送ロボットが、所定の位置に到着した信号をデータ処理システムに送信し、前記移送ロボットが第1移送領域に進行したことをデータ処理システムに通知する。
【0094】
S6第2指令送信ステップでは、前記データ処理システムが、移送ロボットが前記第1移送領域に進行したことを受信した後に、実際の状況に応じて第2進行指令を前記清掃ロボットに送信する。一般には、移送ロボットに載置される清掃ロボットを清掃領域パネルに移送する場合と、清掃領域パネルから移送ロボットの移送台に清掃ロボットを移送する場合との二つの場合がある。
【0095】
S7清掃ロボット移送ステップでは、データ処理システムが、実際の状況に応じて清掃ロボットに指令を送信し、前記出入口を通過して前記第1移送領域から前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御し、前記移送ロボットに載置される清掃ロボットを清掃領域パネルに移送し、又は、前記出入口を通過して前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御し、清掃領域パネルから移送ロボットの移送台に清掃ロボットを移送する。移送ロボットの移送装置には光電センサ及び距離センサが設けられているため、移送装置における清掃ロボットが移送台から完全に離間したか否か、又は、パネルにおける清掃ロボットが移送台の内部に完全に進行したか否かをリアルタイムに判断することができ、それにより清掃ロボットの移送が完了したか否かが判断される。
【0096】
S8接続解除ステップでは、清掃ロボットの移送プロセスが完了した後に、移送ロボットが前記移送台を前記清掃領域の前記第2移送領域から離間させる。前記接続解除ステップでは、移送ロボットはブリッジ板を回収することにより、前記移送装置の移送台の上面を清掃領域パネルの上面から離間させる。移送台と太陽光パネルとの距離が近い場合、例えば10cm未満である場合、清掃ロボットの底部に履帯が設けられているため、通過性が良好であり、幅の小さい路面割れ目を直接通過できるため、S4接続ステップ及びS8接続解除ステップを省略することができる。
【0097】
S9移送台再調整ステップでは、その移送台の上面が水平状態に調整されるように移送ロボットがその移送台の角度及び/又は高さを調整する。本実施例は、角度調整装置330及び高さ調整装置350を備えるため、移送ロボット移送装置の移送台の高さ及び角度を調整することができる。調整された後に、移送ロボットの移送装置の移送台の上面が水平状態に調整されるため、清掃ロボットは水平状態に保持することができ、移送ロボットが清掃ロボットを搬送して他のパネルに進行する場合、清掃ロボットは移送台で安定した水平状態に保持することができる。
【0098】
S10清掃領域離間ステップでは、移送ロボットが前記第1移送領域から離間して走行する。
【0099】
移送ロボットを使用して第1清掃領域から第2清掃領域に清掃ロボットを移送するプロセスでは、第1清掃領域に清掃ロボットが載置されない移送ロボットが派遣され、上記ステップS1~S10が実行される。ステップS6では、前記データ処理システムが前記第1清掃領域に位置する清掃ロボットに第2進行指令を送信し、ステップS7では、前記第2移送領域から前記第1移送領域に位置する移送ロボットの移送台に進行するように前記清掃ロボットを制御する。
【0100】
図16に示すように、前記清掃ロボットが前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行する必要がある場合、清掃ロボットが移送ロボットに進行するプロセスでは、清掃ロボットの停車位置又は先端部の向きが逸脱してしまうと、清掃ロボットには一定の落下リスクが存在することになる。そこで、移送リスクを低減させるために、S7清掃ロボット制御ステップは、清掃ロボットが前記第2移送領域に位置するか否かを判断し、清掃ロボットが前記第2移送領域に位置していない場合、ステップS72を実行するS71清掃ロボット位置判断ステップと、第2移送領域に位置が調整されるように清掃ロボットを制御するS72清掃ロボット位置調整ステップと、を含む。
【0101】
図17に示すように、S71清掃ロボット位置判断ステップは、清掃ロボットにおける図形標識を含むリアルタイムイメージを取得するS711イメージ取得ステップと、当該リアルタイムイメージにおける当該図形標識の位置と所定の位置との偏差値Dを算出するS712偏差値算出ステップと、偏差値Dの絶対値が所定の閾値D0より小さい場合、清掃ロボットが第2移送領域に到達したと判断し、偏差値Dの絶対値が所定の閾値D0以上である場合、清掃ロボットが前記第2移送領域から逸脱したと判断するS713偏差判断ステップと、を含む。清掃ロボットにおける図形標識は、清掃ロボットの外筐表面に予め設置されたものであり、図形の画像特徴、形状、色及び寸法などの情報は、いずれも移送ロボット又はデータ処理システムに予め記憶される。同様に、前記図形標識の当該リアルタイムイメージにおける所定の位置との偏差値Dも、移送ロボット又はデータ処理システムに予め記憶される。
【0102】
図18に示すように、S72清掃ロボット位置調整ステップは、当該リアルタイムイメージにおける当該図形標識の位置と所定の位置との偏差値Dを算出するS721偏差値算出ステップと、前記偏差値に基づいて清掃ロボットの逸脱方向を判断するS722逸脱方向判断ステップと、当該図形標識が清掃ロボットの前面又は後面に位置するかを判断するS723図形標識判断ステップと、前記清掃ロボットの逸脱方向及び前記清掃ロボットにおける前記図形標識の位置をデータ処理システムに送信するS724清掃ロボットデータ送信ステップと、前記データ処理システムが前記清掃ロボットに第3進行指令を送信するS725第3指令送信ステップと、清掃ロボットが左に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの前面に設けられる場合、右に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G後退し、それから左に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H前進し、前記第2移送領域に進行し、清掃ロボットが左に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの後面に設けられる場合、右に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G前進し、それから左に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H後退し、前記第2移送領域に進行し、清掃ロボットが右に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの前面に設けられる場合、左に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G後退し、それから右に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H前進し、前記第2移送領域に進行し、清掃ロボットが右に逸脱し、かつ前記図形標識が前記清掃ロボットの後面に設けられる場合、左に一定角度F転向してE/sinFである一定距離G前進し、それから右に一定角度F転向してE/tgFである一定距離H後退し、前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御するS726清掃ロボット第2制御ステップと、を含む。
【0103】
ステップS71~S72は、清掃ロボットが移送台に進行する前に位置確認を行うために用いされ、清掃ロボットが清掃領域に停車している位置と移送台の位置とが完全に対応できないと発見された場合、清掃ロボットが移送ロボットに進行する際に滑り落ちるリスクが存在する。安全を確保するために、移送ロボットは、清掃領域における清掃ロボットの停車位置と移送台の位置とが完全に対応しているか否かを特定する必要があり、完全に対応している場合にのみ、移送ロボットは、データ処理システムに通知する確認指令を送信し、それにより前記第2移送領域から前記第1移送領域に進行するように清掃ロボットが制御される。清掃領域における清掃ロボットの停車位置と移送台の位置とが完全に対応できない場合、移送ロボットは、移送台に通知し、データ処理システムに通知し、それにより位置が調整されるように清掃ロボットが制御されるため、清掃領域における清掃ロボットの停車位置と移送台の位置とが完全に対応することになる。
【0104】
清掃ロボットが載置される移送ロボットが第2清掃領域に派遣される場合、上記ステップS2~S10が実行される。ステップS5において、移送ロボットは、前記第2清掃領域の前記第1移送領域に進行し、ステップS6において、前記データ処理システムは、前記移送ロボット内に位置する清掃ロボットに第2進行指令を送信し、ステップS6において、前記第1移送領域に位置する移送ロボットの移送台から第2清掃領域の前記第2移送領域に進行するように前記清掃ロボットを制御する。前記清掃ロボットが前記第1移送領域から前記第2移送領域に進行する必要がある場合、前記清掃ロボットは、第2進行指令に従って直接進行すればよい。
【0105】
本発明によれば、移送方法が提供され、清掃ロボットを利用して太陽光パネル又は太陽光パネルアレイにおいて清掃作業を完了させ、移送ロボットを利用して複数の太陽光パネルアレイ間で清掃ロボットを移送することにより、太陽光発電所における大量の太陽光パネル及びパネルアレイの清掃任務を最短時間で完了させることができる。
【0106】
上記は、本発明の好適実施形態に過ぎない。なお、当業者は、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善及び修正を行ってもよいが、これらの改善及び修正も、本発明の保護範囲とみなすべきである。
【符号の説明】
【0107】
100 作業領域、200 清掃ロボット、300 移送ロボット、400 データ処理システム、500 清掃領域、
101 太陽光パネルアレイ、102 太陽光パネル、103 通路領域、
201 第1無線通信ユニット、301 第2無線通信ユニット、401 第3無線通信ユニット、
310 車体、320 移送装置、330 角度調整装置、340 プロセッサ、350 高さ調整装置、
311 車体本体、312 進行装置、313 車両フレーム、314 回路板
321 移送台、322 壁板、322a 左側壁板、322b 背側壁板、322c 右側壁板、323 出入口、
324 緩衝部材、325a,325b 摺動軸ベース、325c,325d 第1摺動溝、
326a,326b 回動軸ベース、326c,326d ベース通孔、327 ブリッジ板
328 第1伸縮ロッド、329 第1伸縮ロッド制御部、331 摺動軸、
332 第2伸縮ロッド、333 回動軸、334 伸縮ロッド装着ブラケット 335 第2伸縮ロッド制御部、
351 フレーム、352 第1ブラケット、353 第2ブラケット、354 ピン軸、335a,335b 第1レール、356a,356b 第2レール、357a,357b 第2摺動溝、358a,358b 第3摺動溝、
359 第3伸縮ロッド、360 第3伸縮ロッド制御部、
501 清掃領域上端、502 清掃領域下端、503 清掃領域左側端、504 清掃領域右側端、
505 第1移送領域、506 第2移送領域、
601 光電センサ、601a 発光素子、601b 受光素子、602 距離センサ、603 傾斜角センサ、604 位置特定装置、605 電子コンパス、606 撮像センサ、607 照明装置、608 障害物回避センサ、
3521a,3521b 第1接続ロッド、3522 第1横梁、3523a,3523b 第1摺動輪、3524 筒、
3531a,3531b 第2接続ロッド、3532 第2横梁、3533a,3533b 第2摺動輪