(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】獣医療支援システム、獣医療支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20221128BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20221128BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221128BHJP
【FI】
G16H10/00
G06Q10/02
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022560846
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2022018199
【審査請求日】2022-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515158272
【氏名又は名称】株式会社PECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-342461(JP,A)
【文献】特開2013-228994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するカルテ情報取得部と、
前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約する輸送予約部と、
前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定する判定部と、
前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信する予約メッセージ送信部と、
を備えることを特徴とする獣医療支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の獣医療支援システムであって、
前記カルテ情報には、前記動物患者に処方された処方薬及び処方期間が含まれ、
前記予約メッセージ送信部は、現在の日付から前記カルテ情報に含まれる前記処方期間後までの間の日付を提示する前記メッセージを送信すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の獣医療支援システムであって、
獣医師の前記獣医療機関における勤務日を記憶する勤務日記憶部を備え、
前記カルテ情報には、前記動物患者を診察した前記獣医師ならびに前記動物患者に処方された処方薬及び処方期間が含まれ、
前記予約メッセージ送信部は、現在の日付から前記カルテ情報に含まれる前記処方期間後までの間で、前記カルテ情報に含まれる前記獣医師の前記勤務日に該当する日付(時間枠)の少なくとも1つ以上を選択し、選択した前記日付を前記メッセージに含めて送信すること、
を備えることを特徴とする獣医療支援システム。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項に記載の獣医療支援システムであって、
前記メッセージの送信後に、次回の診療の予約を受け付ける診療予約部をさらに備えること、
を特徴とする獣医療支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の獣医療支援システムであって、
前記診療の予約を受け付けた後、前記移動体の運転者の端末に対して前記獣医療機関に帰還するように指示するメッセージを送信する帰還メッセージ送信部をさらにそなえること、
を特徴とする獣医療支援システム。
【請求項6】
動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するステップと、
前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約するステップと、
前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定するステップと、
前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする獣医療支援方法。
【請求項7】
動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するステップと、
前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約するステップと、
前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定するステップと、
前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獣医療支援システム、獣医療支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には動物の緊急搬送を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動物の輸送手段を効率的に運用したいというニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、獣医療支援システムであって、動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するカルテ情報取得部と、前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約する輸送予約部と、前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定する判定部と、前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信する予約メッセージ送信部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動物の輸送手段を効率的に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】獣医療支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するカルテ情報取得部と、
前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約する輸送予約部と、
前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定する判定部と、
前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信する予約メッセージ送信部と、
を備えることを特徴とする獣医療支援システム。
[項目2]
項目1に記載の獣医療支援システムであって、
前記カルテ情報には、前記動物患者に処方された処方薬及び処方期間が含まれ、
前記予約メッセージ送信部は、現在の日付から前記カルテ情報に含まれる前記処方期間後までの間の日付を提示する前記メッセージを送信すること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目3]
項目1に記載の獣医療支援システムであって、
獣医師の前記獣医療機関における勤務日を記憶する勤務日記憶部を備え、
前記カルテ情報には、前記動物患者を診察した前記獣医師ならびに前記動物患者に処方された処方薬及び処方期間が含まれ、
前記予約メッセージ送信部は、現在の日付から前記カルテ情報に含まれる前記処方期間後までの間で、前記カルテ情報に含まれる前記獣医師の前記勤務日に該当する日付(時間枠)の少なくとも1つ以上を選択し、選択した前記日付を前記メッセージに含めて送信すること、
を備えることを特徴とする獣医療支援システム。
[項目4]
項目1ないし3の何れか1項に記載の獣医療支援システムであって、
前記メッセージの送信後に、次回の診療の予約を受け付ける診療予約部をさらに備えること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目5]
項目4に記載の獣医療支援システムであって、
前記診療の予約を受け付けた後、前記移動体の運転者の端末に対して前記獣医療機関に帰還するように指示するメッセージを送信する帰還メッセージ送信部をさらにそなえること、
を特徴とする獣医療支援システム。
[項目6]
動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するステップと、
前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約するステップと、
前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定するステップと、
前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする獣医療支援方法。
[項目7]
動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するステップと、
前記獣医療機関から前記動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約するステップと、
前記カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定するステップと、
前記通院が必要と判定された場合に、前記移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0010】
<システムの概要>
以下、本発明の一実施形態に係る獣医療支援システムについて説明する。本実施形態の獣医療支援システムは、自宅と獣医療時間との間で動物患者1(及び飼主2)を輸送する輸送手段(移動体3)のを提供する。移動体3は例えば自動車である。本実施形態の獣医療支援システムでは、移動体3による帰宅時に次回の来院予約を行う。
【0011】
図1は、獣医療支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の獣医療支援システムは、管理サーバ20を含んで構成される。管理サーバ20は、ユーザ端末10及び獣医療機関端末30と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0012】
ユーザ端末10は、飼主2が操作するコンピュータであり、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。ユーザ端末10はカメラ機能を備えることができる。飼主2はユーザ端末10を操作して管理サーバ20に対して動物患者1を移動体3により獣医療機関まで輸送する依頼(以下、輸送依頼という。)を送信することができる。また、飼主2は、ユーザ端末10を操作して問診に対する回答を行うことができる。
【0013】
獣医療機関端末30は、獣医療機関の従業者が操作するコンピュータであり、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。獣医療機関の従事者は、例えば、獣医師4、看護師5、スタッフ6などを含む。獣医療機関端末30は管理サーバ20からのメッセージを受信して従事者に対して出力することができる。
【0014】
管理サーバ20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。管理サーバ20は、ユーザ端末10からの輸送依頼に応じて、問診を行い、問診結果を獣医療機関端末30に送信することができる。
【0015】
本実施形態の獣医療支援システムでは、移動体3の輸送時に薬剤を配送することで、効率的に移動体3を運用しようとしている。
【0016】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ装置20の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ20の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
図3は、管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ20は、カルテ情報記憶部231と、輸送予約情報記憶部232と、診療予約情報記憶部233と、勤務日記憶部234と、輸送受付部211と、輸送予約部212と、カルテ情報取得部213と、通院要否判定部214と、予約メッセージ送信部215と、診療予約部216と、帰還メッセージ送信部217と、を備える。
【0018】
<カルテ情報記憶部231>
カルテ情報記憶部231は、獣医療機関に通院する動物のカルテ情報を管理する。なお、獣医療機関に一度でも通院した動物についてはカルテ情報が作成される。カルテ情報に含まれる項目には、例えば、患者動物1を特定する動物IDと、受診日(日付)とに対応付けて、問診情報、身体所見、病歴、検査情報、診断情報、処置情報、処方情報、メモ、画像情報などが含まれ得る。カルテ情報記憶部231は、管理サーバ20とは別のカルテ情報管理システムに管理するようにして、当該カルテ情報管理システムにアクセスするようにすることもできる。
【0019】
身体所見とは、動物病院等において獣医師等が調べることができ、客観的な数値で表せる身体情報である。例えば「体重」「体温」「心拍」「呼吸数」等である。
【0020】
病歴とは、獣医師等が聴取した主観的な情報である。病歴は、例えば「喉が赤い」というように飼い主だけでは実際に確認するのが困難な項目も含まれている。
【0021】
問診情報は、飼主2に対して行われた問診の結果である。問診情報では「血尿が出ている」という情報が取得されたとしても、獣医師等によって診察したところ「肛門から出血している」という現病歴が聴取されることもある。
【0022】
検査情報には、少なくとも当該動物患者1が過去に受けた検査の内容(結果)を含んでいる。検査情報には、過去の通院、入院又は手術において受けたことのある検査や、検診において受けたことのある検査などを含めることができる。その際に、検査に対する反応(嫌がったかどうか等、検査自体の受容性・許容性に関する情報)を関連付けて記憶することとしてもよい。
【0023】
診断情報には、少なくとも当該動物患者1について過去に獣医師4により判断された内容(診断)の履歴が含まれうる。診断情報には、過去に罹患した具体的な疾患名や怪我等の情報を含めることができる。診断情報には、過去の通院、入院又は手術において疑われた診断に関する情報を含めてもよい。
【0024】
処置情報には、当該動物患者1が過去に受けた処置(投薬を含む。)に関する情報を含んでいる。処置情報には、処置または投薬に対する反応(嫌がったかどうか、体調に影響を来たしたか等、処置又は投薬自体の受容性・許容性に関する情報)を関連付けて記憶することとしてもよい。処置の内容としては、例えば、肛門腺処置、爪切処置、足裏処置、耳処置、毛抜き、眼科処置、歯科処置、エリザベスカラー・腹帯など、鍼灸処置、留置、便出し、抜糸、消毒、酸素処置、催吐処置、緊急蘇生処置、水抜き、強制給餌、洗浄、圧排、マッサージ、マイクロチップ、トリミング、カテーテル、リハビリ、手術、麻酔、入院、注射、輸血、点滴、検査、放射線治療、各種ドック、介護、衛生処置、シャンプー、しつけ、サプリメント、おやつ、避妊、去勢、ノミダニ駆除、狂犬病薬、ワクチン、フード、内用薬、点耳薬、点鼻薬、点眼薬、外用薬(軟膏・クリーム)、外用薬(消毒薬・スプレー)、外用薬、フィラリア予防などが例示できるがこの限りではない。
【0025】
処方情報は、当該動物患者1に処方された処方薬及び処方期間が含まれる。処方情報は、当該動物患者1が過去に処方された薬剤等を含めることもできる。処方情報には、自宅にて処方された薬剤を服用できたか否か、嫌がったかどうか、体調に影響を来たしたか等、処置又は投薬自体の受容性・許容性に関する情報をユーザ端末10を介して取得して追加するようにしてもよい。
【0026】
メモは、診察、入院又は手術の担当医、担当看護師、担当事務などにより入力されたテキストデータである。
【0027】
画像情報は、動物患者1の様子を撮影した画像である。画像情報は、静止画像であっても動画像であってもよい。
【0028】
<輸送情報記憶部232>
輸送予約情報記憶部232は、移動体3の予約に関する情報(以下、輸送予約情報という。)を記憶する。予約とは、移動体3を特定の期間中、動物患者1(及び飼主2)のために利用可能に設定することをいう。輸送予約情報には、移動体3を示す移動体ID、医療機関の場所を特定するための情報(医療機関)、患者動物1の住所を特定するための情報(自宅)、来院フラグ、乗車日時、移動体3に同乗する従事者を示す乗務員IDを含めることができる。医療機関の場所を特定するための情報は、医療機関の住所としてもよいし、管理サーバ20が医療機関ごとの住所が管理される医療機関データベースを備える場合には、医療機関を示す医療機関IDとしてもよい。患者動物1の住所を特定するための情報は、動物患者1の住所(飼主2の住所)としてもよいし、管理サーバ20が患者動物1の住所が管理される動物データベースを備える場合には、動物患者1を示す患者IDとしてもよいし、管理サーバ20が患者動物1の飼主2が管理される動物データベースと飼主2の住所が管理される飼主データベースとを備える場合には、動物患者1を示す患者ID又は飼主2を示す飼主IDとしてもよい。来院フラグは、動物患者1を自宅から獣医療機関に輸送するか否かを示す情報である。乗車日時は、動物患者1をピックアップする予定の日時である。乗務員IDは、獣医師4、看護師5、スタッフ6を示す情報であり、複数の乗務員が移動体3に同乗する場合には、複数の乗務員IDを設定してもよい。
【0029】
<診療予約情報記憶部233>
診療予約情報記憶部233は、獣医療機関における動物患者1に係る診療の予約に関する情報(診療予約情報)を記憶する。診療予約情報には、動物患者1を特定する動物IDに対応付けて、日付、時間帯(時間枠)、及び診療を担当する獣医師4を特定する医師IDが含まれうる。なお、獣医師4が指定されていない場合には、医師IDが省略(又は担当されていないことを示す値が設定)されていてもよい。
【0030】
<勤務日記憶部234>
勤務日記憶部234は、獣医師4の獣医療機関における勤務日を特定する情報を記憶する。本実施形態では、勤務日記憶部234には、獣医師4を特定する医師IDに対応付けて、当該獣医師4が勤務する曜日(勤務曜日)と勤務時間とが記憶される。なお、医師IDに対応付けて勤務予定の特定の日付及び勤務時間のリストを記憶するようにしてもよい。また、勤務日記憶部234はカレンダーシステムとして実装するようにしてもよい。
【0031】
<機能部>
輸送受付部211は、動物患者1の獣医療機関への輸送の依頼を受け付ける。本実施形態では、獣医療機関からの帰宅時の輸送依頼を想定している。輸送受付部211は、動物患者1の輸送の依頼(以下、輸送依頼という。)を受け付ける。輸送受付部211は、ユーザ端末10から輸送依頼を受信する。輸送受付部211は、獣医療機関の従事者から輸送依頼の入力を受け付けるようにしてもよい。輸送依頼には、動物患者1を示す動物ID及び獣医療機関を示す医療機関IDが設定されうる。輸送依頼に動物IDが設定されていない場合には、輸送依頼受信部211は、ユーザ端末10に対して動物IDを問い合わせるようにすることができる。輸送依頼には、受診希望日時(又は希望する期間)が設定されていてもよい。
【0032】
輸送予約部212は、輸送依頼に応じて動物患者1を輸送する移動体3を予約する。移動体3の予約とは、移動体3を特定の動物患者1を特定の日時に輸送可能な状態に確保することをいう。輸送予約部212は、輸送予約情報を作成して輸送予約情報記憶部232に登録することができる。予約部212は、すぐに移動体3を使用する場合にも、現在日時を設定した予約をすることができる。
【0033】
カルテ情報取得部213は、動物患者に対応する獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得する。カルテ情報取得部213は、輸送依頼に設定されている動物IDに対応するカルテ情報をカルテ情報記憶部231から読み出すことができる。
【0034】
通院要否判定部214は、カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定する。通院要否判定部214は、例えば、カルテ情報に、「次回通院」というキーワードを含むメモが含まれている場合や、次回の検査予約に関する情報が含まれている場合などに通院が必要と判定することができる。また、通院要否判定部214は、診察内容、状態情報、身体所見、検査結果、診断結果、処方内容などに応じて、次回の通院要否を判定することができる。例えば、カルテ情報に含まれるこれら項目等の各項目を入力データとし、獣医師4による通院要否の判断を教師データとする機械学習により学習モデルを作成しておき、当該学習モデルにカルテ情報を与えることにより通院の要否を判定することができる。また、カルテ情報の各項目に対する条件(ルール)を予め定めたルール記憶部を設けるようにし、カルテ情報がルール記憶部に記憶されている条件にマッチする場合に通院必要と判定することができる。
【0035】
予約メッセージ送信部215は、通院が必要と判定された場合に、移動体3の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信する。移動体3の中にある端末とは、飼主2のユーザ端末10であってもよいし、移動体3に同乗している従業者(獣医師4、看護師5、スタッフ6)が携帯する端末であってもよいし、移動体3の中に配置されたタブレットコンピュータなどの端末であってもよいし、移動体3の中に配置された表示装置を制御する端末であってもよい。予約メッセージ送信部215は、現在の日付からカルテ情報に含まれる処方期間後までの間の日付を提示するメッセージを送信するようにしてもよい。また、予約メッセージ送信部215は、現在の日付からカルテ情報に含まれる処方期間後までの間(例えば、処方期間後の日付から1週間前までの間)で、カルテ情報に含まれる獣医師1に対応する勤務日に該当する日付(時間枠)の少なくとも1つ以上を選択し、選択した日付をメッセージに含めて送信することができる。
【0036】
診療予約部216は、動物患者1の診療の予約を受け付けることができる。診療予約部216は、上記のメッセージの送信後に診療予約を受け付けることができる。診療予約部216は、例えば、日付、時間帯(時間枠)、獣医師の指定を受け付けて、診療予約情報を診療予約情報記憶部233に登録することができる。診療予約部216は、移動体3の中にある端末から診療の予約を受け付けることができる。例えば、診療予約部216は、飼主2のユーザ端末10から予約を受け付けるようにしてもよいし、移動体3の中に配置されたタブレットコンピュータから予約を受け付けるようにしてもよい。
【0037】
帰還メッセージ送信部217は、診療の予約を受け付けた後、移動体3の運転者の端末に対して獣医療機関に帰還するように指示するメッセージ(帰還メッセージ)を送信することができる。
【0038】
<動作>
図4は、管理サーバ20の動作を説明する図である。
図4の例は、獣医療機関から自宅への帰宅時を想定している。
【0039】
管理サーバ20は、ユーザ端末10から輸送依頼を受信すると(S301)、移動体3を予約する(S302)。輸送依頼は、獣医療機関の端末から受信するようにしてもよい。管理サーバ20は、輸送依頼に設定されている動物IDに対応するカルテ情報を取得する(S303)。
【0040】
管理サーバ20は、カルテ情報に基づいて通院の要否を判定し(S304)、通院が必要と判定した場合には(S304:YES)、現在の日付からカルテ情報に含まれる処方期間後の日付(最遅日)を計算し、計算した最遅日の前所定期間(例えば1週間等)の間の日付のうち、カルテ情報に含まれる医師IDが示す獣医師4の空いている日付及び時間枠を提示して(S305)、診療予約を受け付けることができる(S306)。管理サーバ20は、例えば、最遅日の前所定期間の間の日付のうち、勤務日記憶部234からカルテ情報の医師IDに対応する勤務曜日に対応する日付(出勤日)及び時間帯(出勤時間帯)を特定し、診療予約情報記憶部233からカルテ情報の医師IDに対応する診療予約情報を検索して、出勤日の出勤時間帯の中で、診療予約情報が設定されていない日付及び時間帯を特定することにより、獣医師4の空いている日付及び時間帯を特定することができる。
【0041】
管理サーバ20は、予約が完了するまで待ち(S307:NO)、予約が完了した場合には(S307:YES)、帰還メッセージを移動体3に同乗している従業者の端末に送信することができる(S308)。
【0042】
以上のようにして、本実施形態の獣医療支援システムによれば、動物患者1の帰宅時に、次回の来院が必要な場合には次回の診療の予約をさせることができる。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0044】
10 飼い主端末
20 サーバ装置
【要約】
【課題】動物の輸送手段を効率的に運用することができるようにする。
【解決手段】獣医療支援システムであって、動物患者に関して獣医療機関で管理されるカルテ情報を取得するカルテ情報取得部と、獣医療機関から動物患者及び飼主を輸送する移動体を予約する輸送予約部と、カルテ情報に基づいて、さらなる通院の要否を判定する判定部と、通院が必要と判定された場合に、移動体の中にある端末に対して次回の診療の予約を指示するメッセージを送信する予約メッセージ送信部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1