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特許7182837ニコチンアミドリボシド及びウロリチンを含む組成物
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  • 特許-ニコチンアミドリボシド及びウロリチンを含む組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ニコチンアミドリボシド及びウロリチンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/706 20060101AFI20221128BHJP
   A61K 31/37 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221128BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20221128BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20221128BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61K31/706
A61K31/37
A61K9/08
A61K9/107
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L33/10
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P43/00 107
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2018533612
(86)(22)【出願日】2016-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2016082596
(87)【国際公開番号】W WO2017109195
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-23
(31)【優先権主張番号】1522892.7
(32)【優先日】2015-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1611960.4
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512018265
【氏名又は名称】アマゼンティス エスアー
【氏名又は名称原語表記】AMAZENTIS SA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,ペネロペ
(72)【発明者】
【氏名】リンシュ,クリストファー
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/042261(WO,A1)
【文献】特表2013-500266(JP,A)
【文献】国際公開第2015/097231(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/111580(WO,A1)
【文献】Trends in Cell Biology,2014年,VOL.24,PP.464-471
【文献】EMBO MOLECULAR MEDICINE,2014年04月,VOL. 6, NR. 6,PAGE(S). 721-731,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24711540
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A23L 33/00-33/29
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ニコチンアミドリボシドと、
b)式(I)の化合物またはその塩である、ウロリチンと、を含み、
【化1】
式中、
A、B、C、及びDが各々独立して、H及びOHから選択され、
W、X、及びYが各々独立して、H及びOHから選択され、
Zが、H及びOHから選択される、組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、ウロリチンAである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が、ウロリチンBである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
20mg~5gのニコチンアミドリボシドと10mg~5gのウロリチンとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、固体、半固体、粉末、または液体の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、錠剤、バー、ソフトゲル、硬質カプセル、または、エマルジョンの形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ソフトゲルの形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
薬剤、栄養補助食品、機能性食品、機能性飲料、特殊栄養、または医療食品としての使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
薬剤としての使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
不十分なミトコンドリア活性及び/または低筋肉量もしくは低筋性能に関連する疾患及び状態の治療における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ミトコンドリア機能の改善における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
マイトファジー及びミトコンドリア生合成の増強における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
筋関連病態、神経変性疾患、及び/またはミトコンドリア疾患の治療において使用される薬剤としての使用のための、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病またはパーキンソン病より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
筋関連病態の治療方法に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記筋関連病態が、筋骨格疾患もしくは障害;筋消耗;ミオパチー;神経筋疾患;サルコペニア、筋萎縮及び/または悪液質から選択される、請求項13または15に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記神経筋疾患が、封入体筋炎、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、および、請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記封入体筋炎が、散発性封入体筋炎である、請求項17に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記サルコペニアが、急性サルコペニアである、請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記筋委縮及び/または悪液質が、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、及び/もしくは整形外科の大手術に関連している、請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項21】
対象における筋肉もしくは身体的パフォーマンスの、維持、低下の予防もしくは向上、または持久力の向上方法において使用するための請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記筋肉パフォーマンスが、運動パフォーマンスである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
身体的持久力の向上、身体的疲労の防止または遅延、作業能力及び持久力の向上、筋疲労の低減、及び、筋回復の向上における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
有効量の前記組成物を対象に投与することを含む、筋肉量を増加、筋成長を向上、及び/または、筋力を向上する方法において使用するための請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
筋機能の向上、筋機能の維持、筋機能の低下の予防、及び/または、筋消耗の低減をする方法における使用において有効量が対象に投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
細胞におけるオートファジーまたはマイトファジーを増加させる方法における使用において有効量が対象に投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記対象が、加齢性筋機能低下、サルコペニア、加齢性筋消耗、サルコペニック肥満、身体疲労、筋疲労、加齢関連の嚥下困難または嚥下障害を患っており、かつ/または虚弱もしくは前虚弱である、請求項21または23に記載の組成物。
【請求項28】
前記サルコペニアが、加齢性サルコペニアである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記対象が、虚弱もしくは前虚弱、または座りがちである、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1に記載の前記式(I)の化合物またはその塩であるウロリチンおよびニコチンアミドリボシドの投与が同時であるか、またはある時間間隔により隔てられる、対象における筋関連病態、神経変性疾患、及び/もしくはミトコンドリア疾患の治療方法、または対象における筋機能の向上方法において使用するための有効量のウロリチン及び有効量のニコチンアミドリボシドを含む組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の前記式(I)の化合物またはその塩であるウロリチンとニコチンアミドリボシドとを含むキット。
【請求項32】
前記ウロリチンが、ウロリチンAである、請求項30に記載の組成物または請求項31に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウロリチン及びニコチンアミドリボシド、具体的には、ウロリチンA及びニコチンアミドリボシドの栄養及び医療製剤に関する。製剤は、最適なミトコンドリア機能を促進するために、マイトファジー及びミトコンドリア生合成を同時に増強するのに特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ウロリチンは、肥満、代謝率の低下、メタボリックシンドローム、糖尿病、循環器疾患、高脂血症、神経変性疾患、認知障害、気分障害、ストレス及び不安障害を含む、不十分なミトコンドリア活性に関連する様々な状態の治療として、体重管理のため、または筋性能もしくは精神的能力を向上するためものとして提案されている。特許文献1(Amazentis SA)を参照。特許文献2(The Regents of the University of California)において、様々な腫瘍性疾患の治療のためのウロリチンの使用が記載されている。
【0003】
特許文献3(PCT/US2013/48310の出願に由来する)は、細胞において、特にマイトファジーを含むオートファジーを増加させる方法であって、細胞を有効量のウロリチンまたはその薬学的に許容可能な塩と接触させることによって、細胞において、特にマイトファジーを含むオートファジーを増加させることを含む方法を開示する。投与は、代謝ストレス、循環器疾患、内皮細胞機能障害、サルコペニア、筋変性疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝傷害または薬物性筋障害、α1-アンチトリプシン欠損、虚血再灌流障害、炎症、皮膚の老化、炎症性腸疾患、クローン病、肥満、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、加齢性黄斑変性症、ミトコンドリア疾患(例えば、成長不良、筋肉調整の喪失、筋力低下、視覚障害、聴覚障害、心疾患、肝疾患、腎疾患、胃腸障害、呼吸障害、神経学的問題、しばしば学習障害である自律神経障害、ミトコンドリア疾患の結果としての認知症を含む)、筋疾患、癌、認知障害、ストレス、及び気分障害から選択される疾患または状態を有する患者に対するものであってよい。
【0004】
具体的には、ウロリチンは、筋関連病態の治療として提案されている。筋関連病態は、ミオパチー及び神経筋疾患を含む。そのような状態の例としては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、急性サルコペニア、例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、頸部、及び/もしくは整形外科の大手術に関連した筋萎縮及び/または悪液質、筋萎縮性側索硬化症、ならびに多発性硬化症が挙げられる。加齢性筋力低下は、特に一般的な状態である。長期固定または他の疾患、例えば、癌による悪液質は、低筋性能を特徴とすることが多い他の状態である。
【0005】
有効な筋機能と身体的パフォーマンスは、健康な個人、ならびに疾患を患っている個人、特に高齢者における、全ての年齢層で高品質の生活を送るために重要である。筋性能の向上は、特にアスリートにとって興味深い。例えば、筋収縮強度の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮はすべて、個人、特にアスリートへの利益である。筋力低下/消耗を含む加齢性筋機能低下を患っている高齢者または、悪液質筋消耗を患っている個人にとって、筋肉または身体的パフォーマンスの向上は、補助なしで彼らが歩くことのできる歩行速度や歩行距離のような日々の機能の基本的な側面において重要である。
【0006】
ニコチンアミドリボシドは、ビタミンB3の一形態であり、酵母中に天然に生じるNAD+の前駆体である。それは、ミトコンドリア生合成を誘導し、筋性能、代謝、神経保護、健康的な老化、及び循環器系の健康に対して有益であるものとして示唆されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。
【0007】
驚くべきことに、ニコチンアミドリボシドとウロリチンの両方を含む組成物が、予測できなかった相乗効果を示すことが、ここで見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2012/088519号
【文献】国際公開第2007/127263号
【文献】国際公開第2014/004902号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Chi and Sauve,Curr Opin Clin Nutr Metab Care,2013,16,657-661
【文献】Canto et al,Cell Metabolism,2012,15,838-847
【発明の概要】
【0010】
本発明は、
a)ニコチンアミドリボシドと、
b)式(I)の化合物またはその塩と、を含む組成物を提供し、
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
A、B、C、及びDが各々独立して、H及びOHから選択され、
W、X、及びYが各々独立して、H及びOHから選択され、
Zが、H及びOHから選択される。
【0013】
式(I)の化合物は、ウロリチンファミリーのメンバーであり、具体的には、式(I)の化合物は、ウロリチンAである。本発明の組成物は、不十分なミトコンドリア活性及び/または低筋肉量もしくは低筋性能に関連する疾患及び状態の治療、ならびに筋成長及び/または筋性能の向上、ならびに本明細書中以下に説明する様々な他の目的に有用である。
【0014】
本発明の組成物は、筋肉及び/または身体的パフォーマンスの向上、筋機能の向上、筋機能の低下の予防、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減に使用される。筋性能の向上、筋機能の向上、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減は、医療処置の一部であり得、または個人的な嗜好(「ライフスタイル」)もしくは美容上の理由であり得る。組成物は、例えば、加齢における健康な状態を維持するのに使用できる。組成物は、栄養補助食品として、機能性食品、機能性飲料、特殊栄養製品、または医療食品もしくは医療栄養製品として使用することができる。本発明の組成物は、薬剤として使用することができる。
【0015】
本発明は、筋関連病態の治療における使用のための本発明の組成物をさらに提供する。本発明はまた、対象における筋関連病態の治療方法であって、その対象に有効量の本発明の組成物を投与することを含む、方法を提供する。本発明は、筋性能の向上における使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、対象に有効量の本発明の組成物を投与することによる、筋性能の向上方法を提供する。
【0016】
本発明の治療において、ウロリチン及びニコチンアミドリボシドが単一の組成物の一部として同時に投与されることは必須ではない。本発明はまた、対象における筋関連病態の治療、または対象における筋機能の向上方法であって、その対象に有効量のウロリチン(例えば、ウロリチンA)及び有効量のニコチンアミドリボシドを投与することを含む、方法を提供する。ウロリチン及びニコチンアミドリボシドは、同時に、またはある時間間隔を隔てて投与することができる。本発明は、こうした方法における使用のための、ウロリチン及びニコチンアミドリボシドを含むキットをさらに提供する。ウロリチン及びニコチンアミドリボシドは、異なる物理的形状であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ニコチンアミドリボシド:
ニコチンアミドリボシドは、ビタミンB3のピリジン-ヌクレオシド形態であり、NAD+の前駆体として機能する。その構造は以下の式(II)に示される。
【0018】
【化2】
【0019】
ニコチンアミドリボシドは、酵母によって分泌され、いくつかの食品中に微量栄養素として存在する。それは補助食品の形態(例えば、その塩化物塩として、商品名NIAGEN(商標)でChromadexによって流通される)で入手可能である。
ウロリチン:
ウロリチンは、ヒトを含む、哺乳類の、腸内ミクロビオータのエラジタンニン及びエラグ酸に対する作用により産生される代謝物である。エラジタンニン及びエラグ酸は、ザクロ、堅果類、及び液果類のような、食品中に一般的に見られる化合物である。エラジタンニンは、単独では消化管中で最小限に吸収される。ウロリチンは、上に示されている代表的な構造(I)を有する化合物のクラスである。いくつかの特に一般的なウロリチンの構造を、構造(I)を参照しながら、下の表に記載する。
【0020】
実際には、商業規模製品の場合、ウロリチンの合成が便利である。合成の経路については、例えば、国際公開第2014/004902号に記載されている。
【0021】
本発明の組成物中での使用に特に適した化合物は、自然発生ウロリチンである。よって、Zは、好ましくはOHであり、W、X、及びYは、好ましくはすべてHである。W、X、及びYがすべてHであり、A及びBの両方がHであり、C、D、及びZがすべてOHである場合、化合物はウロリチンCである。W、X、及びYがすべてHであり、A、B、及びCがすべてHであり、D及びZの両方がOHである場合、化合物はウロリチンAである。好ましくは、本発明の製剤中に使用されるウロリチンは、ウロリチンAまたはウロリチンBまたはウロリチンCである。より好ましくは、本発明の製剤中に使用されるウロリチンは、ウロリチンAまたはウロリチンBである。最も好ましくは、本発明の製剤中に使用されるウロリチンは、ウロリチンAである。
【0022】
【化3】
【0023】
イロウロリチンA及びBについてもまた言及されてもよい。W、X、及びYがすべてHであり、A、B、及びDがすべてHであり、C及びZの両方がOHである場合、化合物はイソウロリチンAである。W、X、Y、及びZがすべてHであり、A、B、及びDがすべてHであり、CがOHである場合、化合物はイソウロリチンBである。
【0024】
好ましくは、本発明の組成物中での使用のためのウロリチンは、微粒化される。微粒化ウロリチンは、非微粒化ウロリチンより急速かつ効果的に溶解または懸濁することができることが見出された。微粒化ウロリチンは、好ましくは、100μm未満のD50サイズを有し、すなわち、ウロリチンの50質量%は、100μm未満の粒子サイズを有する。より好ましくは、ウロリチンは、75μm未満、例えば、50μm未満、例えば、25μm未満、例えば、20μm未満、例えば、10μm未満のD50サイズを有する。より好ましくは、ウロリチンは、0.5~50μm、例えば、0.5~20μm、例えば、0.5~10μm、例えば、1~10μmの範囲内のD50を有する。好ましくは、ウロリチンは、100μm未満のD90サイズを有し、すなわち、ウロリチンの90質量%は、100μm未満の粒子サイズを有する。より好ましくは、ウロリチンは、75μm未満、例えば、50μm未満、例えば、25μm未満、例えば、20μm未満、例えば、15μm未満のD90サイズを有する。ウロリチンは、好ましくは、5~100μm、例えば、5~50μm、例えば、5~20μmの範囲内のD90を有する。微粒化は、当該技術分野において構築されている方法により達成することができ、例えば圧縮力粉砕、ハンマー粉砕、ユニバーサルもしくはピン粉砕、またはジェット粉砕(例えばスパイラルジェット粉砕または流動床ジェット粉砕)を使用してもよい。ジェット粉砕が特に適している。
投薬:
摂取される組成物の有効量は、投与方法、年齢、体重、及び対象の健康状態に応じて異なるだろう。対象の病状、年齢、及び体重のような因子が重要となり得、投薬計画は、最適な応答を提供するように調節され得る。
【0025】
従来のニコチンアミドリボシド補助食品は、一般的に1日当たり250mgのレベルで摂取されるが、より高い用量で摂取されてもよい。本発明の組成物によって提供される1日用量のニコチンアミドリボシドは、20~5000mgの範囲であってよく、例えば20~4000mg、例えば200~4000mg、例えば20~3000mg、例えば20~2000mg、例えば100~1000mg、例えば100~800mg、例えば200~600mg、例えば200~400mg、例えば200~300mg、例えば250mgであってよい。ニコチンアミドリボシドの1日の摂取は、1食で提供されてもよく、複数の食事の間に分割されてもよい。
【0026】
単位用量は、スナックバーの形態であってもよく、重量25~150g、例えば、40~100gのスナックバーは、(200~300mgのニコチンアミドリボシド、または上述されている別の量のような)必要量のニコチンアミドリボシドを含有してもよい。単位用量組成物は、あるいは飲料の形態であって、例えば、単一用量(例えば、50~500ml、例えば、100~300ml)に適した容積の容器(例えば、パウチまたはボトル)中で提供してもよい。100~300mlの飲料は、必要量のニコチンアミドリボシドを含有してもよい。単位用量組成物は、あるいは飲料に再構成される粉末、例えば、単一用量に適した量の粉末(例えば、200~300mgのニコチンアミドリボシドを含有する、5g~10gの粉末)の形態であってもよい。100~500mlの再構成飲料は、必要量のニコチンアミドリボシドを含んでもよい。以下に述べるように、本発明における使用のための組成物は、いずれかの適切な物理形態を取り得る。それは、固体(例えば、錠剤もしくはバー)、半固体(例えば、ソフトゲル、カプセル(例えば、硬質カプセル)、もしくはドラジェ)、粉末、または液体(エマルジョンを含む)の形態であってもよい。本発明の組成物は、栄養組成物であってもよい。本発明の組成物は、薬学的組成物であってもよい。組成物は、栄養補助食品として、機能性食品、機能性飲料、または医療食品もしくは医療栄養製品の形態であることができる。ウロリチン(例えば、ウロリチンA)成分の1日の摂取量は、典型的には、1日当たり10mg~5g、例えば、1日当たり20mg~2500mg、例えば、1日当たり25mg~250mg、例えば、1日当たり25mg~500mg、例えば、1日当たり50mg~1500mg、例えば、1日当たり250mg~2000mg、例えば、1日当たり250mg~1500mg、例えば、1日当たり50mg~1000mg、例えば、1日当たり20mg~250mg、例えば、1日当たり250mg~1000mg、例えば、1日当たり500mg~1000mg、例えば、1日当たり750mg~1000mgの範囲内である。1つの実施形態では、組成物は、約0.2mg/kg/日~約100mg/kg/日超の範囲内のウロリチンの投与量を提供する量で摂取される。例えば、ウロリチンの投与量は、0.2~100、0.2~50、0.2~25、0.2~10、0.2~7.5、0.2~5、0.25~100、0.25~25、0.25~25、0.25~10、0.25~7.5、0.25~5、0.5~50、0.5~25、0.5~20、0.5~15、0.5~10、0.5~7.5、0.5~5、0.75~50、0.75~25、0.75~20、0.75~15、0.75~10、0.75~7.5、0.75~5、1.0~50、1~25、1~20、1~15、1~10、1~7.5、1~5、2~50、2~25、2~20、2~15、2~10、2~7.5、または2~5mg/kg/日であってもよい。
【0027】
単位用量は、スナックバーの形態であってもよく、重量25~150g(例えば、40~100g)のスナックバーは、必要量のウロリチンを含有してもよい。単位用量組成物は、あるいは飲料の形態であって、例えば、単一用量(例えば、100~300ml)に適した容積の容器(例えば、パウチ)中で提供してもよい。50~500ml(例えば、100~300ml)の飲料は、必要量のウロリチンを含有してもよい。本発明の組成物を提供する飲料は、1ml当たり0.1~50mg、例えば、1ml当たり0.5~10mg、例えば、1ml当たり1~5mgの濃度のウロリチンを含有してもよい。単位用量は、あるいは、圧縮錠のような1つ以上の固体の形態であってよい。単一の圧縮錠は、例えば、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mgまたは1000mgのウロリチン用量を含有してもよい。単位用量は、あるいは、ソフトゲルまたはペーストのような1つ以上の半固体用量の形態であってよい。単一のソフトゲルカプセルは、例えば、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、例えば250mgのウロリチン用量を含有してもよい。
【0028】
ニコチンアミドリボシド成分とウロリチンとの間の重量比は、通常は、500:1~1:250、例えば、400:1~1:250、例えば、300:1~1:250、例えば、300:1~1:100、例えば、200:1~1:100、例えば、200:1~1:75、例えば、200:1~1:50、例えば、200:1~1:25、例えば、50:1~1:20、例えば、25:1~1:15、例えば、10:1~1:10、例えば、5:1~1:8、例えば、5:1~1:5、例えば、3:1~1:5、例えば、1:1~1:8、例えば、1:1~1:5、例えば、1:2~1:6、例えば、1:2~1:5、例えば、1:3~1:4の範囲内である。比は、例えば、1:3~5:1、例えば、1:1~8:1、例えば、1:1~5:1、例えば、2:1~6:1、例えば、2:1~5:1、例えば、3:1~4:1であってもよい。
【0029】
したがって、本発明の組成物は、20~5000mgのニコチンアミドリボシド及び10mg~5gのウロリチン、例えば、20~4000mgのニコチンアミドリボシド及び10mg~5gのウロリチン、例えば、20~3000mgのニコチンアミドリボシド及び10mg~5gのウロリチン、例えば、20~2000mgのニコチンアミドリボシド及び10mg~5gのウロリチン、例えば、150~3000mgのニコチンアミドリボシド及び10mg~5gのウロリチン、例えば、50mg~500mgのニコチンアミドリボシド及び50mg~500mgのウロリチン、例えば、250~2000mgのニコチンアミドリボシド及び10~3000mgのウロリチン、例えば、300~3000mgのニコチンアミドリボシド及び10~3000mgのウロリチン、例えば、200~600mgのニコチンアミドリボシド及び20mg~2500mgのウロリチン、例えば、250mg~2500mgのニコチンアミドリボシド及び100mg~2000mgのウロリチン、例えば、200~400mgのニコチンアミドリボシド及び20mg~2500mgのウロリチン、例えば、200~300mgのニコチンアミドリボシド及び50mg~1000mgのウロリチン、200~300mgのニコチンアミドリボシド及び50mg~500mgのウロリチン、200~300mgのニコチンアミドリボシド及び100mg~500mgのウロリチンを包含してもよい。組成物は、例えば、タンパク質、炭水化物、ビタミン、及びミネラルをさらに含有してもよい。
【0030】
化合物の用量は、本明細書において、一日用量基準で述べられる。多くの場合において、本発明の組成物の有益な効果は、組成物が長期間、例えば2週間以上、例えば4週間以上、例えば6週間以上、例えば8週間、例えば12週間以上、例えば16週間以上、例えば20週間以上、例えば24週間以上摂取されるときに最も明らかになる。
組成物の形態:
本発明の組成物は、いずれかの適切な物理形態をとることができる。それらは、固体(例えば、錠剤もしくはバー)、半固体(例えば、ソフトゲル、カプセル(例えば、硬質カプセル)、もしくはドラジェ)、粉末、または液体(エマルジョンを含む)の形態であってもよい。本発明の組成物は、栄養組成物であってもよい。本発明の組成物は、薬学的組成物であってもよい。組成物は、栄養補助食品として、機能性食品、機能性飲料、または医療食品もしくは医療栄養製品の形態であることができる。
【0031】
錠剤形態の組成物は、いずれかの適切なタイプであってもよく、それらは、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、所望の硬度、貯蔵期限、及びフレーバーを提供することができる。バーは、いずれかの適切なタイプであってもよく、これは、スナックバーの調製のために従来使用されている成分を含有してもよい。
【0032】
半固体形態は、同様に、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、所望の硬度、貯蔵期限、及びフレーバーを提供することができる。半固体形態は、経口投与のために、または局所投与のために提供してもよい。
【0033】
栄養及び医療組成物の供給には、粉末が一般的に使用される。粉末は、複数用量を単一の容器中で提供することができ、同じ供給容器から様々なサイズの用量を使用することができるという利点を有する。粉末は、通常は良好な保存特性を有する。粉末組成物はまた、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、貯蔵期限、フレーバー、及び耐湿性を提供することができる。本発明は、ニコチンアミドリボシド組成物に加えてウロリチンを包含する別個の組成物を含むキット、例えば、ニコチンアミドリボシドの粉末組成物に加えてウロリチンを包含する固体または液体の組成物を含むキットの形態をとってもよい。ウロリチンを含有する固体または液体組成物(例えば、錠剤もしくは飲料、または本明細書において記載されている他の形態)は、ニコチンアミドリボシド粉末と共に使用するための説明書を備えてもよい。例えば、ニコチンアミドリボシドとウロリチンの両方が、粉末形態であってよい。
【0034】
液体組成物は、薬剤の形態、飲料の形態であってもよい。液体製剤は、溶液、エマルジョン、スラリー、または他の半液体であってよい。液体組成物中の賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように、貯蔵期限、外観、フレーバー、及び食感を提供することができる。液体組成物は、経口投与のために提供されてもよい。液体組成物は、例えば、クリーム、軟膏またはローションの形態で局所適用のために提供されてもよい。
【0035】
いくつかの使用において、本発明の組成物は、注射または静脈内投与に適した溶液の形態であってもよい。
本発明の組成物中の追加の成分:
本発明による組成物は、ウロリチン及びニコチンアミドリボシドを超える追加の成分を含有してもよい。追加の成分は、例えば、ビタミン、ミネラル、多価不飽和脂肪酸、機能性アミノ酸、及び他の化合物から選択される、健康上の利益を提供する化合物であってもよい。
【0036】
ビタミンの中でも、具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12、及びビタミンK2が挙げられ得る。本明細書において使用される場合、「ビタミンD」とは、ビタミンDの既知の形態のいずれかを指し、具体的には、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆体、代謝物、及び他の類似体、ならびにこれらの組み合わせ、またビタミンDの様々な活性及び不活性形態を含む。例えば、ビタミンD3は、コレカルシフェロールとしてその非加水分解不活性形態で提供してもよく、またはカルシトリオールとしてその加水分解活性形態で提供してもよい。
【0037】
クレアチンは、筋障害の治療において有益な効果を有するものとして記載されている。これは、本発明の組成物中に含めることができる。β-ヒドロキシル-β-メチルブチレート(HMB)は、筋障害の治療において有益な効果を有するものとして記載されている。これは、本発明の組成物中に含めることができる。
【0038】
ミネラルの中でも、具体的には、カルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム)、セレニウム、亜鉛塩、マグネシウム塩、及び鉄塩が挙げられ得る。
【0039】
多くの筋成長及び/または筋向上治療にとって、いくつかの特定のアミノ酸が提供されることは有益である。例えば、L-アルギニン、L-グルタミン、リジン、及び分岐鎖アミノ酸が重要であると考えられている。これらのアミノ酸は時に「機能性アミノ酸」として知られている。本発明の組成物は、1つ以上の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、及びバリン)を含んでもよい。本発明の組成物は、L-アルギニン及びL-グルタミンの一方または両方を含んでもよい。本発明の組成物は、リジンを含んでもよい。
【0040】
本発明の薬学的組成物は、追加の薬学的に活性な化合物を含んでもよい。例えば、スタチンが含まれてもよい。本明細書は、ウロリチンとニコチンアミドリボシドと、例えばスタチンのような薬学的に活性な化合物とを含有する組成物を含むキットとして提供してもよい。
【0041】
本発明の組成物は、ミトコンドリア生物発生またはミトコンドリア障害の治療に有用な1つ以上のさらなる薬剤を含んでもよい。こうした化合物としては、限定なしに、レスベラトロール、ピロロキノリンキノン、ユビキノン、スルフォラファン、補酵素Q10、ゲニステイン、ヒドロキシルチロソール、ケルセチン、L-カルニチン、α-リポ酸、及びフォリン酸(例えば、ロイコボリン)が挙げられる。
【0042】
例えば、トマチジン、ウルソール酸、クルクミン、カプサイシン、メントール、サリチル酸トロラミン、及びサリチル酸メチルを含む、追加の化合物を、本発明の組成物中にさらに(または代替的に)含めてもよい。
【0043】
いくつかの例となる実施形態では、本開示の組成物は、ニコチンアミドリボシド及びウロリチンに加えて、1つ以上の追加の主要栄養剤、典型的には、タンパク質、脂質もしくは炭水化物、またはタンパク質、脂質及び炭水化物の2つ以上を含んでもよい。
【0044】
食品及び医薬品の調製において一般的に使用されているタイプの脂質または油のいずれかの適切な源を、本発明の組成物に使用してもよい。本明細書において記載されている組成物中での使用に適した脂質源の非限定的な例は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びこれらの組み合わせのような、多価不飽和脂肪酸も含む。
【0045】
本明細書において記載されている組成物中での使用に適した炭水化物またはその源の非限定的な例は、マルトデキストリン、加水分解または変性デンプンまたはトウモロコシデンプン、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固体、米由来の炭水化物、グルコース、フルクトース、ラクトース、トレハロース、高フルクトースコーンシロップ、タピオカデキストリン、イソマルツロース、スクロマルト、マルチトール粉末、グリセリン、フラクトオリゴ糖、大豆繊維、トウモロコシ繊維、グアーガム、コンニャク粉、ポリデキストロース、蜂蜜、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール)、及びこれらの組み合わせを含み得る。マルトデキストリン、スクロース、及びフルクトースが特に好ましい。
【0046】
本明細書において記載される組成物中での使用に適したタンパク質またはその源の非限定的な例としては、加水分解、部分加水分解、または非加水分解タンパク質またはタンパク質源が挙げられ得る。それらは、乳(例えば、カゼイン、乳清)、動物(例えば、肉、魚)、穀物(例えば、米、トウモロコシ)、または植物(例えば、大豆、エンドウ豆)源のような、いずれかの既知の、またはその他の適切な源に由来していてもよい。タンパク質源またはタイプの組み合わせを使用してもよい。タンパク質またはその源の非限定的な例としては、インタクトなエンドウ豆タンパク質、インタクトなエンドウ豆タンパク質単離物、インタクトなエンドウ豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、乳タンパク質濃縮物、カゼインタンパク質単離物、カゼインタンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、カゼイン酸ナトリウムまたはカルシウム、成分無調整牛乳、部分または完全脱脂乳、ヨーグルト、大豆タンパク質単離物及び大豆タンパク質濃縮物、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。タンパク質源またはタイプの組み合わせを使用してもよい。例えば、ギリシャ及びアイスランドスタイルのヨーグルトは、一般的に特に高いタンパク質含有量を有することが知られ、本発明の製剤中での使用に特に適したものとなる。本発明の組成物中での使用のためのヨーグルトは、例えば、100g当たり2~15gのタンパク質を含有してもよい。特に好ましいものは、高いタンパク質含有量、例えば、100g当たり6~15g、100g当たり7~15g、例えば、100g当たり8~15gを有するヨーグルトである。任意で、補足のタンパク質もヨーグルト製剤に添加し、製剤のタンパク質含有量を増加してもよい。本発明のヨーグルトは、S.thermophilus、L.bulgaricus、L.acidophilus、L.lactisのような、生きた培養菌を含有してもよい。
【0047】
タンパク質、脂質、炭水化物、及び他の成分の総濃度または量は、対象とする使用者の栄養必要量に応じて異なる。
【0048】
本発明の組成物中の追加の成分は、対象に健康上の利益を提供しないが、代わりに組成物を他の方法で、例えば、上述されているようなその味、食感、または貯蔵期限を向上させる化合物であってもよい。本発明の組成物は、よって、乳化剤、着色剤、防腐剤、ガム、硬化剤、増粘剤、甘味料、及び香料から選択される1つ以上の化合物をさらに含有してもよい。
【0049】
適切な乳化剤、着色剤、防腐剤、ガム、硬化剤、及び増粘剤は、エマルジョン及び他の半液体製造の技術分野において周知である。例えば、安息香酸、ソルビン酸、リン酸、乳酸、酢酸、塩酸、及びそれらの可溶塩のような、防腐剤を使用してもよい。
【0050】
甘味料は、本発明の組成物において特に有益であり得る。例えば、アスパルテーム、スクロース、アセスルファムカリウム、サッカリン、サイクラメート、ステビア、ソーマチン、及びこれらの混合物から選択される、強力な非栄養性の炭水化物甘味料を使用してもよい。アスパルテームは特に適している。
【0051】
香料は、本発明の組成物において特に有益であり得る。液体または半液体組成物において、フルーツソースまたはピューレを含めることにより、フルーツフレーバーを提供することができる。典型的な香料としては、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、アプリコット、ザクロ、ピーチ、パイナップル、レモン、オレンジ、及びアップルが挙げられる。一般に、フルーツ香料は、フルーツエキス、フルーツジャム、またはフルーツピューレを、甘味料、デンプン、安定化剤、天然及び/または人工フレーバー、着色剤、防腐剤、水、ならびにクエン酸またはpHを制御するのに適した他の酸のいずれかの組み合わせと共に含む。
【0052】
経口投与のために、組成物は、単独で、または適切な添加剤と組み合わせて、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはポテトデンプンのような慣用の添加剤と共に、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤と共に、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースのような崩壊薬と共に、滑石、またはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤と共に、ならびに必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤及び香味剤と共に、錠剤、散剤、顆粒剤、またはカプセルを作製するのに使用できる。
【0053】
組成物は、必要に応じて、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤及び防腐剤のような慣用の添加剤と共に、植物または他の類似の油、合成脂肪族グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールのような水性または非水性の溶媒中にそれらを溶解、懸濁または乳化することによって液体製剤へと製剤化することができる。組成物は、吸入により投与されるエアロゾル製剤において使用することができる。それらは、乳化基剤または水溶性基剤のような様々な基剤と混合することによって坐剤にすることができる。
【0054】
シロップ、エリキシル剤、懸濁剤のような経口投与のための単位剤形が提供されてもよく、例えば茶さじ1杯、大さじ1杯、錠剤またはカプセルのような各々の単位剤形が、所定の量の本発明の組成物を包含する。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、生理食塩水または薬学的に許容可能な担体中の溶液として、本発明の化合物を組成物中に含んでもよく、例えば、mLまたはLのような各々の投与単位が、所定の量の本発明の組成物を包含する。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
バルク粉末は、通常は、1食分にどれぐらいの粉末を使用するかを対象に知らせる説明書と共に提供される。例えば、バルク粉末は、正しい量の粉末を計り分けるのを可能にする必要なサイズの計量スプーンが付属した容器中で供給してもよい。粉末は、そのまま摂取しても、食品と混合しても、水またはジュースに添加して飲料を作製してもよい。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
本発明の組成物は、単一の処置または、より一般的には、一連の処置として摂取することができる。1つの例では、対象は、運動前または後に用量を摂取する。運動することができない対象について、組成物の用量は、例えば、1日に1回、2回、もしくは3回、または1週間に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回摂取してもよい。化合物の有効な投与量は、特定の処置にわたって、増加または減少し得ることも理解されるだろう。
処置:
本発明の組成物は、筋性能の向上、筋機能の向上、筋機能の低下の予防、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減に使用される。筋性能の向上、筋機能の向上、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減は、医療処置の一部であり得、または個人的な嗜好(「ライフスタイル」)もしくは美容上の理由であり得、あるいは、栄養または生理学における健康の個人的な、規定されていない管理の一部であり得る。本発明の組成物は、薬剤として使用することができる。組成物は、栄養補助食品として、機能性食品、機能性飲料、特殊栄養または医療食品として使用することができる。
【0064】
組成物は、疾患及び病状の両方の治療に使用される。組成物は、低い身体的パフォーマンス、持久力低下、及び筋機能障害を特徴とする状態の健康な個人において、正常な生理機能の管理に使用される。本発明の組成物は、若齢及び高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、身体的パフォーマンスを向上させ得る。本発明の組成物は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、及び高齢者を含む、健康な個人において、身体的パフォーマンス、例えば、短期的パフォーマンスまたは長期的パフォーマンスを向上させ得る。このパフォーマンスの向上は、特定の距離を歩くまたは走るのにかかった時間(例えば、6分間歩行テスト(MWT)でのパフォーマンスの向上)、特定の距離を走る時間の向上、国際標準化身体活動質問票でのIPAQスコアの向上、特定の時間内での椅子立ち上がり回数の増加、または身体的パフォーマンスを測定するように設計された別のテストにより測定され得る。
【0065】
組成物は、健康な個人において、正常な生理機能(例えば、身体的パフォーマンス、持久力、筋機能)の管理及び維持に使用される。
【0066】
組成物はまた、改善されたミトコンドリア機能をもたらす栄養状態の管理に使用される。これは、例えば、疾患を有する人や病院に入院している人に対し、組成物を疾患を治療するためではなく、栄養補助食品として投与される場合において重要である。
【0067】
本発明の組成物は、持久力の向上をさらに提供する。持久力とは、一定の作業負荷で、通常は80%VO2max未満の強度で運動する場合の疲労までの時間を指す。本発明の組成物は、若齢及び高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、持久力を向上させ得る。本発明の組成物は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、及び高齢者を含む、健康な個人において、持久力を向上させ得る。本発明は、特定の活動、例えば、フィットネストレーニング、ウォーキング、ランニング、スイミング、またはサイクリングを行う際の疲労までの時間の増加方法を提供する。この持久力の向上は、客観的測定(例えば、スピード、酸素消費、または心拍数)で評価してもよく、または自己報告測定(例えば、有効な質問票の使用)であり得る。
【0068】
本発明は、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減するための組成物をさらに提供する。本発明の組成物は、若齢及び高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減し得る。本発明の組成物は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、及び高齢者を含む、健康な個人において、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減し得る。例えば、本発明の組成物は、虚弱または前虚弱な個人において、筋機能を向上、維持、またはその低下を低減し得る。例えば、本発明の組成物は、運動のような身体活動のパフォーマンスの向上、例えば、ウエイトを持ち上げる能力の増加または握力の増加により証明されるように、筋力を増加させ得る。また、本発明の組成物は、例えば、正常な筋機能、低下する筋機能、または筋機能障害の状態において、筋肉量を増加または維持することにより、筋構造を向上させ得る。
【0069】
本発明は、個人により知覚される身体的パフォーマンスまたは持久力の向上のための組成物をさらに提供する。例えば、自己報告質問票を使用して決定される運動または活動の自覚的な労作または努力の低減による。
筋性能:
本発明の組成物は、筋肉及び/または身体的パフォーマンスの向上において有用である。本発明は、よって、筋肉及び/または身体的パフォーマンスの向上における使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、対象に有効量の本発明の組成物を投与することによる、筋肉及び/または身体的パフォーマンスの向上方法を提供する。投与は、自己投与であり得る。
【0070】
筋性能の向上は、筋機能の向上、筋機能低下の低減、筋機能の維持、筋力の向上、筋持久力の向上、及び筋回復の向上または維持の1つ以上であり得る。
【0071】
本発明の組成物は、よって、身体的持久力(例えば、運動、肉体労働、スポーツ活動のような肉体作業を行う能力)の向上、身体的疲労の防止または遅延、作業能力及び持久力の向上、ならびに筋疲労の低減方法において使用することができる。
【0072】
筋機能の向上は、例えばサルコペニア及び筋消耗のような加齢性状態の結果として筋機能が低減した高齢の対象において特に有益であり得る。本発明の組成物は、本発明の組成物を座りがち、虚弱または前虚弱である対象に投与することにより、筋性能の向上に使用してもよい。
【0073】
筋肉パフォーマンスは、運動パフォーマンスであり得、すなわち、スポーツ活動に参加するアスリートの筋肉のパフォーマンス能力である。スポーツパフォーマンス、パワー、スピード、及び持久力の向上は、筋収縮力の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮により測定される。アスリートとは、例えば、ボディビルダー、競輪選手、長距離走者、及び短距離走者のような、いずれかのレベルでスポーツに参加し、そのパフォーマンスにおいてパワー、スピード、または持久力のレベルの向上を達成しようとする個人を指す。スポーツパフォーマンスの向上は、筋疲労を克服する能力、より長時間活動を維持し、より効果的なトレーニングを行う能力により示される。
医療処置:
本発明の組成物は、薬剤として使用することができる。本発明の組成物は、筋関連病態の治療に使用される。したがって、本発明は、筋関連病態の治療における使用のための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、対象における筋関連病態の治療方法であって、その対象に有効量の本発明の組成物を投与することを含む、方法を提供する。筋関連病態は、全般的に健康な個人に影響を及ぼす状態と、病態との両方を含む。健康な人々または疾患による影響を受ける人々において見られるこうした筋状態としては、筋骨格疾患または障害、悪液質、筋消耗、ミオパチー、加齢性筋機能低下、前虚弱、虚弱、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及び他のジストロフィーのような神経筋疾患、サルコペニア、例えば、急性サルコペニア、筋萎縮及び/または悪液質、例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、及び/もしくは整形外科の大手術に関連した筋萎縮及び/または悪液質、多発性硬化症、例えば、その再発寛解形態、ならびに筋変性疾患が挙げられる。
【0074】
本発明の組成物で治療され得る加齢性の状態の例としては、サルコペニア、前虚弱、虚弱、嚥下困難または嚥下障害、及び筋消耗が挙げられる。一般的に、組成物は、筋機能及び/または可動性の加齢性の低下と関連するミトコンドリア機能を改善する。
【0075】
上述されるように、本発明は、薬剤としての使用のための、ニコチンアミドリボシドと式(I)の化合物またはその塩を含有する組成物を提供する。例えば、薬剤は、メタボリックシンドローム、代謝率の低下、代謝ストレス、循環器疾患、サルコペニア、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば散発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬物性肝傷害、薬物誘発性渇望、貧血障害、α1-アンチトリプシン欠損、虚血再灌流障害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、不安障害、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、ミトコンドリア疾患(例えば、成長不良、筋肉調整の喪失、筋力低下、視覚障害、聴覚障害、心疾患、肝疾患、腎疾患、胃腸障害、呼吸障害、神経学的問題、しばしば学習障害である自律神経障害、ミトコンドリア疾患の結果としての認知症を含む からなる群より選択される疾患または状態の治療における使用のためのものであり得る。ミトコンドリア機能不全に関連するさらなる疾患は以下を含む。糖尿病及び聴覚消失(DAD);レーベル遺伝性視神経症(LHON);リー症候群(亜急性硬化性脳症);神経障害、運動失調、色素性網膜炎及び下垂症(NARP);筋原性胃腸脳症(MNGIE);赤色ぼろ線維(MERRF);ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作症候群(MELAS);ならびにmtDNA枯渇)、及び癌、認知障害、ストレス、気分障害、認知機能の改善のため、体重管理のため、または筋性能もしくは精神的能力を向上するため。本発明の組成物は、筋機能、筋力持久力、及び筋回復の改善における使用に特に適している。
【0076】
具体的に、本発明は、メタボリックシンドローム、代謝率の低下、代謝ストレス、循環器疾患、サルコペニア、前虚弱、虚弱、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば散発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝傷害、薬物誘発性渇望、貧血障害、α1-アンチトリプシン欠損、虚血再灌流障害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、不安障害、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、ならびに癌、認知障害、ストレス、及び不安障害からなる群より選択される疾患または状態の治療における使用のため、認知機能を改善するため、体重管理のため、または筋性能もしくは精神的能力を向上するための組成物を提供する。
【0077】
本発明は、代謝ストレス、サルコペニア、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば散発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝傷害、α1-アンチトリプシン欠損、虚血再灌流障害、炎症性腸疾患、クローン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、及び癌からなる群より選択される症状または状態の治療において使用するための本発明の組成物をさらに提供する。
【0078】
本発明は、細胞におけるオートファジーまたはマイトファジーを増加させるための本発明の組成物をさらに提供する。例えば、オートファジーまたはマイトファジーは、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞、成体幹細胞、分化細胞、血液細胞、造血細胞、上皮細胞、外分泌細胞、内分泌細胞、結合組織細胞、脂肪細胞、骨細胞、平滑筋細胞、横紋筋細胞、神経細胞、感覚細胞、心臓細胞、肝細胞、胃細胞、腸細胞、肺細胞、表皮(すなわち皮膚)細胞(ケラチノサイト及び線維芽細胞を含む)、腎細胞及び生殖細胞におけるものであってよい。したがって、それは例えば、メタボリックシンドローム、代謝率の低下、代謝ストレス、循環器疾患、サルコペニア、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば散発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝傷害、薬物誘発性渇望、貧血障害、α1-アンチトリプシン欠損、虚血再灌流障害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、不安障害、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、ならびに癌、認知障害、ストレス、及び不安障害からなる群より選択される疾患または状態の治療または予防することができるかまたは、体重管理を補助することができるかまたは、筋性能もしくは精神的能力を向上することができる。
【0079】
神経変性疾患の中で、特にエイズ認知症複合、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパーズ症候群、血管拡張性失調症、バッテン病、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、レビー小体型認知症、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、ケネディ病、クラッベ病、ライム病、マシャド・ジョセフ病、多発性硬化症、多系統萎縮症、神経有棘赤血球症、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ピック病、原発性側索硬化症、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、びまん性ミエリン破壊性硬化症、脊髄小脳失調、脊髄亜急性連合変性症、脊髄癆、テイ・サックス病、中毒性脳症、伝達性海綿状脳症、及びハリネズミふらつき症候群について述べられてよい。一実施形態において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、及びパーキンソン病からなる群より選択される。一実施形態において、神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0080】
本発明の態様は、認知機能の改善におけるものである。一実施形態において、認知機能は、知覚、記憶、注意、スピーチ理解、スピーチ生成、読解、画像の作成、学習、及び推論からなる群より選択される。一実施形態において認知機能は、知覚、記憶、注意、及び推論からなる群より選択される。一実施形態において、認知機能は記憶である。
【0081】
本発明の態様は、ストレス誘発性のまたはストレス関連の認知障害の治療におけるものである。本発明の態様は、気分障害の治療におけるものである。一実施形態において、気分障害は、うつ病、分娩後うつ病、気分変調症、及び双極性障害からなる群より選択される。一実施形態において、気分障害はうつ病である。一実施形態において、気分障害は気分変調症である。
【0082】
本発明の態様は、ストレス誘発性のまたはストレス関連の気分障害、例えば気分変調症の治療におけるものである。本発明の態様は、不安障害の治療におけるものである。一実施形態において、不安障害は、全般性不安障害、パニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、広場恐怖症、社会不安障害、強迫性障害、及び心的外傷後ストレス障害からなる群より選択される。一実施形態において、不安障害は全般性不安障害である。一実施形態において、不安障害は心的外傷後ストレス障害である。
【0083】
本発明の態様は、ストレス誘発性のまたはストレス関連の不安の治療におけるものである。
【0084】
本発明の態様は、筋疾患または神経筋疾患の治療におけるものである。一実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は、ミオパチーである。一実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は、サルコペニアである。一実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は、筋ジストロフィーである。一実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである。一実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は、例えば散発性封入体筋炎のような封入体筋炎である。
【0085】
本発明の態様は、ミトコンドリア疾患の治療におけるものである。例えば、対象は、筋肉調整の喪失、筋力低下、視覚障害、聴覚障害、心疾患、肝疾患、腎疾患、胃腸障害、呼吸障害、神経学的問題、しばしば学習障害である自律神経障害、及びミトコンドリア疾患の結果としての認知症の治療を必要としてもよい。
【0086】
本発明の態様は、筋性能の向上におけるものである。一実施形態において、筋性能は、パワー、スピード、持久力、及び回復からなる群より選択される。ヒトにおいて、筋機能は、一般に、年齢と共に低下し、人生の30代から始まり、一般的に65歳を過ぎると低下が加速する。したがって、本発明の態様は、老化過程の筋性能の維持におけるものである。筋性能の向上は、健康な老化(例えば、45歳~65歳)、及び65歳以上の筋肉低下率を遅らせること(前虚弱)において、スポーツ栄養中の化合物の使用の一部であり得る。
用途:
本発明の組成物は、特定の状態の治療のインビトロ試験においても使用される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】実施例6の結果、具体的に48時間の、DMSO(コントロール)、UA、NRまたはUAとNRの組み合わせによる処理後のC2C12筋芽細胞におけるミトコンドリア呼吸サブユニットタンパク質の定量化を示す。図1Aは、図1Bに示されるバンドの強度を表すヒートマップである。
図2】実施例7の結果を示す。具体的に、図2は、DMSOで24時間、0.1μMのUAで24時間、1mMのNRで6時間、または0.1μMのUAで24時間と1mMのNRで6時間の処理後のC2C12筋芽細胞におけるミトコンドリア呼吸サブユニットとオートファジーの遺伝子発現結果を示す。
図3】実施例7の結果を示す。具体的に、図3は、DMSOで24時間、1μMのUAで24時間、1mMのNRで6時間、または1μMのUAで24時間と1mMのNRで6時間の処理後のC2C12筋芽細胞におけるミトコンドリア呼吸サブユニットとオートファジーの遺伝子発現結果を示す。
図4】実施例7の結果を示す。図4は、DMSOで24時間、25μMのUAで24時間、1mMのNRで24時間、または24μMのUAと1mMのNRで24時間の処理後のC2C12筋芽細胞におけるミトコンドリア呼吸サブユニットとオートファジーの遺伝子発現結果を示す。
【実施例
【0088】
下記の実施例は、本発明を説明する。
実施例1:化合物
ウロリチンAを、下記のとおり調製した:
ウロリチンA(4)を、臭化物1及びレゾルシノール2から出発する2つのステップで調製した。純粋な化合物を淡黄色の粉末として得た。
【0089】
【化4】
【0090】
ステップ1:
水(120mL)中の2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸1(27.6g、119mmol、1.0当量)、レゾルシノール2(26.3g、239mmol、2.0当量)、及び水酸化ナトリウム(10.5g、263mmol、2.2当量)の混合物を1時間還流加熱した。硫酸銅の5%水溶液(50mLの水中の3.88gのCuSO・5HO、15.5mmol、0.1当量)を次に添加し、混合物をさらに30分間還流した。混合物を室温まで冷却させ、固体をブフナーフィルタ上で濾過した。残留物を冷水で洗浄して淡赤色の固体を得て、これを熱いMeOH中で粉砕した。懸濁液を一晩4℃で放置した。得られた沈殿物を濾過し、冷たいMeOHで洗浄し、表題化合物3を淡褐色の固体として得た。
ステップ2:
乾燥ジクロロメタン(100mL)中の3(10.0g、41mmol、1.0当量)の懸濁液に、0℃で乾燥ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液(110mLの無水ジクロロメタン中の11.93mLの純粋BBr、124mmol、3.0当量)を滴加した。混合物を0℃で1時間放置した後、室温まで温めた。溶液をその温度で17時間撹拌した。次に氷を混合物に十分に添加した。黄色の沈殿物を濾過し、冷水で洗浄して黄色の固体を得て、これを酢酸中で3時間還流加熱した。熱い溶液を迅速に濾過し、沈殿物を酢酸で、次にジエチルエーテルで洗浄し、表題化合物4を黄色の固体として得た。H-及び13C-NMRは、4の構造と一致した。
実施例2:高タンパク質、ニコチンアミドリボシド及びウロリチンAを含有する、健康的な老化及び加齢性筋力低下を対象とする粉ミルク組成物
【0091】
【表8】
【0092】
表8に示されている栄養プロファイルを有する組成物は、加齢性筋力低下に対抗するために、対象に与えられる。
実施例3:ニコチンアミドリボシド及びウロリチンAを含有する、集中治療または入院中の寝たきりの対象向けの経腸栄養液体組成物
【0093】
【表9】
【0094】
表9に示されている栄養プロファイルを有する飲料組成物は、集中治療または入院中の寝たきりの対象に与えられる。
実施例4:ニコチンアミドリボシド及びウロリチンAを含有する、持久力トレーニング中の最適な筋機能のための、活動的なアスリートを対象とするシリアルバー組成物
【0095】
【表10】
【0096】
表10に示されている栄養プロファイルを有するバー組成物は、持久力中の最適な筋機能のために、活動的なアスリートに与えられる。
実施例5:ヨーグルト組成物
【0097】
【表11】
【0098】
実施例6:筋肉細胞におけるミトコンドリア呼吸サブユニットタンパク質に対するウロリチンAとニコチンアミドリボシドのインビトロ試験
C2C12筋芽細胞を、4.5g/Lのグルコース、10%のウシ胎仔血清、及び50μg/mLのゲンタマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養した。ウロリチンA(UA)を、DMSO中で50mMのストック溶液に溶解した。トリフレート塩の形態のニコチンアミドリボシド(NR)を、二重蒸留水中で、1Mのストック溶液中に溶解した。10万個の細胞を、0時間で、6ウェルプレート中に播種した。条件当たり、全部で3ウェルを使用した(群当たりn=3)。細胞を、48時間の期間、2mlの容量中、(a)DMSO0.1%、(b)25μMのUA、(c)0.1mMのNR、(d)1mMのNR、(e)25μMのUA+0.1mMのNR、及び(f)25μMのUA+1mMのNRの最終濃度で処理した
処理の最後に、細胞を、プロテアーゼ(cOmplete(商標)、Roche)、及びホスファターゼ阻害剤(PhosSTOP(商標)、Roche)を含む細胞溶解緩衝液(#9803、Cell signalling)で溶解し、Invitrogen NuPage(登録商標)Novex(登録商標)Gel System(Bis-Tris Protein Gels-4-12%,Thermo fisher Scientific)へと供した。ミトコンドリアにコードされたシトクロムcオキシダーゼ(MTCO1)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体フラビンタンパク質サブユニットA(SDHA)及びB(SDHB)、ユビキノール・チトクロムc還元酵素コアタンパク質II(UQCRC2)及び、ATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体、αサブユニット1(ATP5A)を含む、ミトコンドリア呼吸サブユニットについてタンパク質レベルを調べた。ハウスキーピングタンパク質であるチューブリンaをローディングのコントロールとして測定した。タンパク質の検出は、Azure c300(Azure biosystem)を用いて実施した(図1B)。ウエスタンブロット画像は、3つの生物学的な重複の代表である。実験は少なくとも2回繰り返した。ImageJソフトウェアを用いてバンドを定量化した。バンド強度のヒートマップをGEN-E(Broad Institute)を用いて条件付きフォーマットで描いた。コントロールのDMSOの値を1に設定した(図1A)。
【0099】
図1に示されるように、25μMにおけるUAが単独で、SDHA(+54%)、SDHB(+10%)、UQCRC2(+26%)及びMT-CO1(+14%)のタンパク質レベルの増加を誘導する一方で、ATP5Aタンパク質レベルにおける変化を観察しなかった。NRは、試験された濃度のおいて、用量依存的ではない異なった効果を有する。NRの0.1と1mMの両方は、SDHAに+≒100%の増加をもたらし、SDHBにおける変化をもたらさず、UQCRC2における+≒10%の変化とMT-CO1における-≒10%の変化をもたらした。0.1mMのNRは、ATP5Aに影響を有さない一方で、1mMのNRはそれを20%減少させた。対照的に、UAとNRの組み合わせは、全てのタンパク質レベルを増加させ、単一の化合物によるものよりも高い度合で増加させた。UA25μM+NR0.1mMが、SDHAを140%、SDHBを+18%、UQCRC2を+30%、MT-CO1を37%、及びATP5Aを18%増加させる一方で、UA25μM+NR1mMが、SDHAを127%、SDHBを+34%、UQCRC2を+63%、MT-CO1を66%、及びATP5Aを33%増加させた。
【0100】
これらの結果は、UAとNRの組み合わせが、ミトコンドリア生合成に対し相乗効果を有し、この効果が、NRのいくつかの濃度にわたって保存されるということを示した。興味深いことに、UAと組み合わせたときに、NRの用量依存的な効果が存在し、一方で、化合物単独ではそうではなかった。
実施例7:筋肉細胞におけるミトコンドリア生合成とオートファジーのマーカーに対するウロリチンAとニコチンアミドリボシドのインビトロ試験
C2C12筋芽細胞を、4.5g/Lのグルコース、10%のウシ胎仔血清、及び50μg/mLのゲンタマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養した。ウロリチンを、DMSO中で50mMのストック溶液に溶解した。トリフレート塩の形態のニコチンアミドリボシドを、二重蒸留水中で、1Mのストック溶液中に溶解した。10万個の細胞を、0時間で、6ウェルプレート中に播種した。条件当たり、全部で6ウェルを使用した(群当たりn=6)。
【0101】
第1のバッチの実験において、細胞を、2mlの容量で、(a)DMSOを0.1%で24時間、(b)0.1μMのUAで24時間、(c)1μMのUAで24時間、(d)1mMのNRで6時間、(e)0.1μMのUAで24時間と1mMのNRで6時間、(f)1μMで24時間と1mMのNRで6時間、によって処理した(図2及び3)。
【0102】
第2のバッチの実験において、細胞を、2mlの容量で、(a)DMSOを0.1%で24時間、(b)25μMのUAで24時間、(d)1mMのNRで24時間、及び(e)25μMのUAと1mMのNRで24時間、によって処理した(図4)。
【0103】
処理の最後に、全RNAをTRIzol(Invitrogen)を用いて調製した。cDNAを、QuantiTect Reverse Transcription Kit(Qiagen)を用いて、取扱説明書に従って調製した。RT-qPCR反応を、示したプライマー(表12)と共に、Light-Cycler system(Roche Applied Science)及びqPCR Supermix(Qiagen)を用いて実施した。ミトコンドリア生合成経路(コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体フラボタンパク質サブユニットA、SDHA;ミトコンドリアにコードされたシトクロムcオキシダーゼII、MT-CO2;ATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体、αサブユニット1、ATP5A及びNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼサブユニットB2、NDUFB2)、及びオートファジー経路(オートファジー関連5、ATG5、GABAタイプA関連タンパク質様1、GABARAPL1及びセクエストソーム1、p62)に属する遺伝子が解析され、ハウスキーピング遺伝子であるアクチンβ(ACTB)及びヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT1)に対して標準化された。図2が0.1μMのUAで24時間と1mMのNRで6時間の組み合わせを示す一方で、図3が、1μMのUAで24時間と1mMのNRで6時間の組み合わせを示す。図4は、25μMのUAと1mMのNRの組み合わせで24時間を示す。棒グラフは平均±SEMを表す。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001は、一元配置ANOVAに続いてバートレット検定とダネットの多重比較検定を行った後のUAとNRの組み合わせと他の処理との間の統計的差異である。実験は少なくとも2回繰り返した。
【0104】
図2及び3に示すように、UA0.1μMまたは1μMで24時間と、NR1mMで6時間の組み合わせは、UA単独またはNR単独と比べて、ミトコンドリア呼吸サブユニット(図2A~C及び図3A~C)及びオートファジー遺伝子(図2D~E及び図3D~E)の有意により高い増加をもたらした。同様に、UA25μMとNR1mMの組み合わせで24時間は、UA単独またはNR単独と比べて、有意により多くのミトコンドリア生合成(図4A~C)及びオートファジー遺伝子(図4D~E)をもたらした。これらの結果は、UAとNRの組み合わせが、ミトコンドリア生合成とオートファジーに対し相乗効果を有し、この効果が、UAのいくつかの濃度とNRのいくつかの処理のタイミングにわたって保存されるということを示した。これらの結果は、ミトコンドリア生合成とオートファジーの両方の遺伝子が、ウロリチンAとニコチンアミドリボシドの組み合わせにおいて上方制御されるために驚くべきである。
【0105】
RT-qPCR解析に用いられるプライマーは、以下の表12に示される参考文献由来の公知の文献のプライマーである。
【0106】
【表12】
【0107】
実施例8a筋肉細胞におけるオートファジーとミトコンドリア生合成に対するウロリチンAとニコチンアミドリボシドのインビトロ試験
C2C12筋芽細胞を、4.5g/Lのグルコース、20%のウシ胎仔血清、及び50μg/mLのゲンタマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養する。ウロリチンを、DMSO中で50mMのストック溶液に溶解する。ニコチンアミドリボシドを、DMSO中で50mMのストック溶液に溶解する。細胞を、50μMのウロリチン、1mMのニコチンアミドリボシド、または50μMのウロリチンと1mMのニコチンアミドリボシドで24時間処理する。コントロールの細胞を、等価最終濃度のDMSOで同じ期間処理し、未処理のコントロールとしての役割を果たす。
【0108】
ヒト初代骨格筋細胞を、インビトロで培養し、50μMのウロリチン、1mMのニコチンアミドリボシド、または50μMのウロリチンと1mMのニコチンアミドリボシドの濃度に対し24時間曝露する。ヒト初代骨格筋細胞を、2%ウマ血清を加えたDMEMで増殖させる。コントロールの細胞を、等価最終濃度のDMSOで同じ期間処理し、未処理のコントロールとしての役割を果たした。
【0109】
処理の終了時に、RNAを細胞から抽出し、qPCR解析のためにcDNAへと変換した。NAD+合成経路(Nampt)、ミトコンドリア生合成経路(Pgc1a、Sirt1、Nrf1、Tfam、Mrps5)、ミトコンドリア呼吸鎖サブユニット(Ndufb5、Sdha、CytC、CoxIV、Atp5g1)、オートファジー経路(LC3B、Pik3c3、p62、Gabarapl1)、及びマイトファジー経路(Parkin、PINK1)に属する遺伝子を解析し、ハウスキーピング遺伝子であるActb及びHprt1で標準化した。結果は、NAD+合成経路、ミトコンドリア生合成ならびに呼吸サブユニット、オートファジー及びマイトファジーに属する遺伝子の発現に対するニコチンアミドリボシドと組み合わせたウロリチンAの効果を示す。
【0110】
同様に、処理の終了時に、細胞をRIPA緩衝液で溶解し、SDS-PAGEへと供し、オートファジー関連タンパク質(LC3-I及びLC3-II、p62、AMPKa、ならびにp-AMPKa)、マイトファジー関連タンパク質(Parkin)ミトコンドリア呼吸サブユニット(MTCO1、NDUFS3、SDHA、SDHB、UQCRC2、ATP5A)に関するタンパク質レベルを調べた。ローディングされた全タンパク質について、ハウスキーピングタンパク質であるβアクチンをローディングのコントロールとして測定した。ミトコンドリアタンパク質VDAC1を、ミトコンドリアの存在量のためのハウスキーピングタンパク質として使用した。結果は、問題の細胞における、オートファジー、マイトファジー、及びミトコンドリア存在量に対する、ニコチンアミドリボシドと組み合わされたウロリチンAの効果を示す。
実施例8b:筋肉細胞における呼吸容量に対するウロリチンAとニコチンアミドリボシドのインビトロ試験
C2C12筋芽細胞を、4.5g/Lのグルコース、20%のウシ胎仔血清、及び50μg/mLのゲンタマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養する。ウロリチンを、DMSO中で50mMのストック溶液に溶解する。ニコチンアミドリボシドを、DMSO中で50mMのストック溶液に溶解する。細胞を、50μMのウロリチン、1mMのニコチンアミドリボシド、または50μMのウロリチンと1mMのニコチンアミドリボシドで24時間処理する。コントロールの細胞を、等価最終濃度のDMSOで同じ期間処理し、未処理のコントロールとしての役割を果たす。
【0111】
ヒト初代骨格筋細胞を、インビトロで培養し、50μMのウロリチン、1mMのニコチンアミドリボシド、または50μMのウロリチンと1mMのニコチンアミドリボシドの濃度に対し24時間曝露する。ヒト初代骨格筋細胞を、2%ウマ血清を加えたDMEMで増殖させる。コントロールの細胞を、等価最終濃度のDMSOで同じ期間処理し、未処理のコントロールとしての役割を果たした。
【0112】
処理の終了時に、呼吸容量を、基底酸素消費量と脱共カルボニルシアン化物m-クロロフェニルヒドラジン(CCCP)を最終濃度10μMで添加後の測定によって決定した。結果は、問題の細胞における、呼吸容量に対する、ニコチンアミドリボシドと組み合わされたウロリチンAの効果を示す。
実施例8c:筋機能に対する実験
65歳~75歳の高齢のヒトに相当する22ヶ月齢のC57BL/6Jの老齢マウスを、老化のモデルで使用する。マウスを、(i)補助食品を伴わない食餌、(ii)ウロリチンを伴う食餌、(iii)ニコチンアミドリボシドを伴う食餌、または(iv)ウロリチンとニコチンアミドリボシドを伴う食餌で処置した。補助食品に加えて、食餌は、タンパク質、脂質、炭水化物必須栄養素、ビタミン、及びミネラルを含有する。
【0113】
食餌による処置の終了時に、筋肉を秤量し、収集した。RNAを細胞から抽出し、qPCR解析のためにcDNAへと変換した。NAD+合成経路(Nampt)、ミトコンドリア生合成経路(Pgc1a、Sirt1、Nrf1、Tfam、Mrps5)、ミトコンドリア呼吸鎖サブユニット(Ndufb5、Sdha、CytC、CoxIV、Atp5g1)、オートファジー経路(LC3B、Pik3c3、p62、Gabarapl1)、及びマイトファジー経路(Parkin、PINK1)に属する遺伝子を解析し、ハウスキーピング遺伝子であるActb及びHprt1で標準化した。
【0114】
結果は、NAD+合成経路、ミトコンドリア生合成ならびに呼吸サブユニット、オートファジー及びマイトファジーに属する遺伝子の発現に対するニコチンアミドリボシドと組み合わせたウロリチンAの効果を示す。
図1
図2
図3
図4