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特許7182839軸方向に可変の側壁テーパーを有するビアを備えたシリカ含有基板、およびその形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】軸方向に可変の側壁テーパーを有するビアを備えたシリカ含有基板、およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20221128BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20221128BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20221128BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20221128BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20221128BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H05K1/02 C
B23K26/53
H01L23/14 Z
H05K3/00 N
C03C23/00 D
C03C15/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019564791
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018033814
(87)【国際公開番号】W WO2018217698
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】62/510,957
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/588,615
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ダールバーグ,レイチェル アイリーン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ティエン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ユィホイ
(72)【発明者】
【氏名】ピエヒ,ギャレット アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リケッツ,ダニエル オーエン
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213253(JP,A)
【文献】特開2017-059669(JP,A)
【文献】特表2017-510531(JP,A)
【文献】国際公開第2005/033033(WO,A1)
【文献】特開2014-214036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
B23K 26/53
H01L 23/14
H05K 3/00
C03C 23/00
C03C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ、第一面、および該第一面と反対の第二面を含む基板を加工する方法において、
レーザビームを使用して、前記第一面から前記第二面まで前記基板を通る損傷軌跡を形成する工程であって、該損傷軌跡が、
前記第一面に近接した第1の高度に変更されたセグメント、
前記第二面に近接した第2の高度に変更されたセグメント、および
該第1の高度に変更されたセグメントと該第2の高度に変更されたセグメントの間に配置された最小に変更されたセグメント、
を含むように、該損傷軌跡に沿った該基板の変更のレベルは、該第一面から始まり該基板の中身に向かう第1の方向に減少し、該基板の変更のレベルは、該第二面から始まり該基板の中身に向かう第2の方向に減少する、工程、および
エッチング液を使用して、前記基板をエッチングして、前記第一面での第1の直径、前記第二面での第2の直径、および該第一面と該第二面の間の胴部の直径を有するビア胴部を有するビアを形成する工程であって、該胴部の直径は、該第1の直径より小さく、該第2の直径より小さい、工程、
を有してなり、
前記ビアが、
縦軸、
内壁、
前記第一面に近接して位置する第1のテーパー領域であって、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有する第1のテーパー領域、
前記第1のテーパー領域と前記ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域であって、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する第2のテーパー領域、
前記ビア胴部に隣接する第3のテーパー領域であって、該第3のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第3の角度を有する第3のテーパー領域、および
前記第3のテーパー領域と前記第二面との間に位置する第4のテーパー領域であって、該第4のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第4の角度を有する第4のテーパー領域、
を含み、
前記第2の角度および前記第3の角度の各々が、前記第1の角度および前記第4の角度より大きい、方法。
【請求項2】
前記基板が少なくとも75モル%のシリカを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記レーザビームが、
前記損傷軌跡が、前記最小に変更されたセグメントと前記第2の高度に変更されたセグメントとの間に位置する追加の最小に変更されたセグメントを含み、
前記追加の最小に変更されたセグメントの変更のレベルが、前記第1の高度に変更されたセグメントおよび前記第2の高度に変更されたセグメントの変更のレベルよりも小さい、ように作動される、請求項1から3いずれ1項記載の方法。
【請求項5】
前記レーザビームが、前記基板の中身を通って位置決めされたレーザビーム焦線に集束されるパルスレーザビームを含み、
前記レーザビーム焦線が、前記基板内に多光子誘発吸収を生じ、該多光子誘発吸収が、該レーザビーム焦線に沿って該基板内に材料の変更を生じ、それによって、前記損傷軌跡が形成される、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記レーザビーム焦線の最大強度が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記レーザビームを使用して、前記損傷軌跡を形成しながら、前記第一面および第二面の1つ以上の温度を調節する工程をさらに含む、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記レーザビーム焦線が、該レーザビーム焦線の中心領域よりも、該レーザビーム焦線の第1の端部および該レーザビーム焦線の第2の端部で大きい強度を有するように、前記レーザビームを作動させる工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2017年5月25日に出願された米国仮特許出願第62/510957号、および2017年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/588615号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものであり、その両方の内容が依拠され、ここに全て引用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、ビアを備えたシリカ含有基板に関する。具体的には、本開示は、軸方向に可変の側壁テーパーを有するビアを備えた、少なくとも75モル%のシリカを含むシリカ含有基板、ビアを備えたシリカ含有基板を組み込んだ電子デバイス、およびシリカ含有基板内に、軸方向に可変の側壁テーパーを有するビアを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコンなどの基板が、電気部品(例えば、プリント基板、集積回路など)間に配置されるインターポーザとして使用されてきた。金属化された基板貫通ビアが、電気信号をインターポーザの両側の間に通過させるためのインターポーザを通る通路を提供する。ガラス基板は、低い熱膨張係数(CTE)による優れた熱的寸法安定性、並びに高周波電気性能での非常に良好な低電気損失、および厚さと大きいパネルサイズで形成される可能性を有するので、電気信号伝送にとって極めて好都合の魅力的な材料である。具体的には、溶融シリカなどの高シリカ含有量の基板は、溶融シリカのCTEが極めて低い(約0.5ppm/℃)ことがあり得、誘電正接が、多くの場合、かなりの割合の非シリカ材料を含有するガラスにおけるよりもさらに低くあり得るので、汎用ガラスよりも、より一層魅了的である。しかしながら、高シリカ含有量の基板における、貫通ビアの形成および金属化は、重要な課題を提示する。
【0004】
ビアは、導電性材料(例えば、銅)がそのビアの側壁に堆積され、ビアが密封されるまで連続的に積み重なる電気メッキ過程によって充填されることがある。ビアを電気メッキするには、導電性材料を最初に堆積させるための金属「橋」を提供する狭い胴部を有する砂時計の形状が必要である。その導電性材料は、ビアが充填されるまで、この橋の両側に連続的に堆積される。
【0005】
電子デバイスのガラス製インターポーザ内に電気的接続を与えることにつながる小径ビアは、レーザ損傷・エッチング過程によって形成されることがある。この過程において、最初に、損傷軌跡が、レーザを使用して、その損傷軌跡に沿ってガラス材料を変更することによって、ガラス基板に形成される。次に、エッチング液がガラス基板に施される。このガラス基板はそのエッチング液によって薄化される。ガラス材料のエッチング速度は損傷軌跡でより速いので、ガラス基板を貫通してビアが開けられるように、損傷軌跡が優先的にエッチングされる。ほとんどのガラス材料において、ビアの形状は、選択的に、電気メッキを促進する砂時計の形状である。しかしながら、溶融シリカなどの、高シリカ含有量のシリカ含有基板において、結果として生じたビアは、電気メッキ過程中に金属橋を提供するための狭い胴部を持たずに、円筒形である。溶融シリカにおけるそのような真っ直ぐな壁は、電気メッキすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、シリカ含有基板において、軸方向に可変の側壁テーパー(例えば、砂時計の形状)を有するビアを形成する代わりの方法、並びにそのようなビアが組み込まれたシリカ含有基板が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
シリカ、第一面、およびその第一面と反対の第2面を含む基板を加工する方法は、レーザビームを使用して、その第一面から第二面まで基板を通る損傷軌跡を形成する工程を含み、その損傷軌跡に沿った基板の変更のレベルは、第一面から始まり基板の中身に向かう第1の方向に減少し、その基板の変更のレベルは、第二面から始まり基板の中身に向かう第2の方向に減少する。その損傷軌跡は、第一面に近接した第1の変更セグメント、第二面に近接した第2の変更セグメント、およびその第1の高度に変更されたセグメントと第2の高度に変更されたセグメントの間に配置された第3の変更セグメントを含み、その第3の変更セグメントの変更のレベルは、第1の変更セグメントおよび第2の変更セグメントの変更のレベルより小さい。この方法は、エッチング液を使用して、基板をエッチングして、第一面での第1の直径、第二面での第2の直径、および第一面と第二面の間の胴部の直径を有するビア胴部を有するビアを形成する工程をさらに含み、その胴部の直径は、第1の直径より小さく、第2の直径より小さい。
【0008】
別の実施の形態において、物品は、シリカ含有基板であって、85モル%以上のシリカ、第一面、その第一面と反対の第2面、およびその第一面から第二面に向かってシリカ含有基板を通って延在するビアを含むシリカ含有基板を備える。そのビアは、100μm以下の直径を有する第一面での第1の直径、100μm以下の直径を有する第二面での第2の直径、および第一面と第二面の間のビア胴部を有する。そのビア胴部は、胴部の直径であって、その胴部の直径と、第1の直径および第2の直径の各々との間の比が75%以下であるように第1の直径および第2の直径より小さい胴部の直径を有する。
【0009】
さらに別の実施の形態において、電子デバイスは、シリカ含有基板であって、85モル%以上のシリカ、第一面、その第一面と反対の第2面、およびその第一面から第二面に向かってシリカ含有基板を通って延在するビアを含むシリカ含有基板を備える。そのビアは、100μm以下の直径を有する第一面での第1の直径、100μm以下の直径を有する第二面での第2の直径、および第一面と第二面の間のビア胴部を有し、そのビア胴部は、胴部の直径であって、その胴部の直径と、第1の直径および第2の直径の各々との間の比が75%以下であるように第1の直径および第2の直径より小さい胴部の直径を有する。この電子デバイスは、そのシリカ含有基板に結合された半導体素子をさらに備え、その半導体素子はビアに電気的に結合されている。
【0010】
さらに別の実施の形態において、基板は、85モル%以上のシリカ、第一面、その第一面と反対の第2面、およびその第一面から第二面までその基板を貫通する損傷軌跡を含む。その損傷軌跡に沿った基板の変更のレベルは、第一面から始まり基板の中身に向かう第1の方向に減少し、その基板の変更のレベルは、第二面から始まり基板の中身に向かう第2の方向に減少する。その損傷軌跡は、第一面に近接した第1の変更セグメント、第二面に近接した第2の変更セグメント、およびその第1の高度に変更されたセグメントと第2の高度に変更されたセグメントの間に配置された第3の変更セグメントを含む。
【0011】
さらに別の実施の形態において、物品は、シリカ含有基板であって、85モル%以上のシリカ、第一面、その第一面と反対の第2面、およびその第一面から第二面に向かってシリカ含有基板を通って延在するビアを含むシリカ含有基板を備える。そのビアは、100μm以下の直径を有する第一面での第1の直径、100μm以下の直径を有する第二面での第2の直径、および第一面と第二面の間のビア胴部を有する。そのビア胴部は、胴部の直径であって、シリカ含有基板の厚さの半分に対する第1の直径と胴部の直径との間の差の比が1/15以上であるように第1の直径および第2の直径より小さい胴部の直径を有する。
【0012】
ここに記載された実施の形態の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となる、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0013】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、その様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に含まれ、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明とともに、請求項の主題の原理および作動を説明する働きをする。
【0014】
図面に示され実施の形態は、実際に、説明に役立ち、かつ例であり、請求項により定義された主題を限定する意図はない。説明に役立つ実施の形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている、以下の図面と共に読んだときに、理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、インターポーザとしてのシリカ含有基板の部分斜視図
図2】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、電子デバイス間に配置されたインターポーザとしてのシリカ含有基板を備えた例示の電子デバイスの概略図
図3】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板を貫通した例示のビアの寸法特徴を示す概略図
図4A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板を貫通した例示のビアの形成の進展を示す概略図
図4B図4Aに続く概略図
図4C図4Bに続く概略図
図4D図4Cに続く概略図
図4E図4Dに続く概略図
図5】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザスポットの強度を調節しながら、シリカ含有基板の中身を通ってレーザスポットを走査することによって、シリカ含有基板内に損傷軌跡を形成する方法を示す概略図
図6】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板の中に位置付けられたレーザビーム焦線に集束したパルスレーザビームを使用することによって、シリカ含有基板内に損傷軌跡を形成する方法を示す概略図
図7】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、図6に示されたパルスレーザビームのサブパルスを示す概略図
図8】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、図6に示されたパルスレーザビームのサブパルスを示す概略図
図9A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板内の様々な位置に最大強度が位置付けられた、図6のガウス・ベッセル・レーザビーム焦線の強度プロファイルを示すグラフ
図9B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板内の様々な位置に最大強度が位置付けられた、図6のガウス・ベッセル型レーザビーム焦線の強度プロファイルを示すグラフ
図9C】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板内の様々な位置に最大強度が位置付けられた、図6のガウス・ベッセル型レーザビーム焦線の強度プロファイルを示すグラフ
図10A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、図6に示されたレーザビーム焦線上の1つの強度プロファイルを示すグラフ
図10B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、図6に示されたレーザビーム焦線上の別の異なる強度プロファイルを示すグラフ
図11A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板内の損傷軌跡のデジタル画像
図11B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板内の損傷軌跡のデジタル画像
図11C】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、シリカ含有基板内の損傷軌跡のデジタル画像
図12】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内の砂時計の形状を有するビアのデジタル画像
図13A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内のビアの第1の直径の分布を示すヒストグラム
図13B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内のビアの第2の直径の分布を示すヒストグラム
図13C】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内のビアの胴部の直径の分布を示すヒストグラム
図14A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内のビアの第1の直径に関する真円度の分布を示すヒストグラム
図14B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内のビアの第2の直径に関する真円度の分布を示すヒストグラム
図14C】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、レーザ損傷・エッチング過程により形成されたシリカ含有基板内のビアの胴部の直径に関する真円度の分布を示すヒストグラム
図15A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、4つの異なるバーストエネルギーおよび3つの異なる焦点設定でレーザビーム焦線を使用してレーザ加工した試料に関する、胴部欠陥を示すヒストグラム
図15B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、4つの異なるバーストエネルギーおよび3つの異なる焦点設定でレーザビーム焦線を使用してレーザ加工した試料に関する、全欠陥を示すヒストグラム
図16A】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、4つの異なるバーストエネルギーおよび3つの異なる焦点設定でレーザビーム焦線を使用してレーザ加工した試料に亘るビア胴部変動を示すヒストグラム
図16B】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、4つの異なるバーストエネルギーおよび3つの異なる焦点設定でレーザビーム焦線を使用してレーザ加工した試料に亘るビア胴部変動を示すヒストグラム
図16C】ここに記載され、図示された1つ以上の実施の形態による、4つの異なるバーストエネルギーおよび3つの異なる焦点設定でレーザビーム焦線を使用してレーザ加工した試料に亘るビア胴部変動を示すヒストグラム
【発明を実施するための形態】
【0016】
広く図面を参照すると、本開示の実施の形態は、概して、以下に限られないが、ビアの金属化/電気メッキおよび再分配層(RDL)の適用を含む後処理プロセスを成功させられるビア(例えば、孔)を有するシリカ含有基板を備えた物品に関する。この物品は、半導体素子、高周波(RF)素子(例えば、アンテナ、電子スイッチなど)、インターポーザ素子、マイクロ電子デバイス、光電子装置、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、およびビアを活用できる他の用途に使用することができる。
【0017】
本開示の実施の形態は、概して、シリカ含有基板内にビアを形成する方法にも関する。いくつかの実施の形態において、そのビアは、ビアの電気メッキを容易にする外形を有する。シリカ含有基板は、ガラスおよびガラスセラミックを含む。ここに用いられているように、「シリカ含有基板」という用語は、75モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上、91モル%以上、92モル%以上、93モル%以上、94モル%以上、95モル%以上、96モル%以上、97モル%以上、98モル%以上、99モル%以上、または99.9モル%以上のシリカ(SiO)含有量を有するシリカ含有基板を意味する。いくつかの実施の形態において、そのシリカ含有基板は溶融シリカであることがある。例示のシリカ含有基板としては、以下に限られないが、ガラスコード7980、7979、および8655でニューヨーク州、コーニング所在のCorning Incorporatedにより販売されているHPFS(登録商標)溶融シリカが挙げられる。一例において、シリカ含有基板は、故意ではなくドープされたシリカを含む基板である。「故意ではなくドープされた」という句は、シリカを溶融する前に、シリカに追加の成分が意図的に添加されていないことを意味する。
【0018】
シリカの性質のために、シリカは、電子デバイスにおけるインターポーザとしての望ましい基板となる。「インターポーザ」という用語は、概して、任意の構造であって、その構造を貫通する、例えば、以下に限られないが、インターポーザの両面に配置された2つ以上の電子デバイス間の、電気的接続を伸ばすまたは完了する任意の構造を称する。その2つ以上の電子デバイスは、インターポーザが相互接続ノジュールなどの一部として機能するように、単一構造内で同一場所に配置されていても、または異なる構造内で互いに隣接して位置していてもよい。それゆえ、そのインターポーザは、ビアおよび他の相互接続導体(例えば、電源、接地、および信号導体などの)が存在し、形成されている、1つ以上の能動区域を含有することがある。そのインターポーザは、ブラインドビアが存在し、形成されている1つ以上の能動区域も含むことがある。インターポーザが、ダイス、アンダーフィル材料、封止材などの他の構成部材と共に形成されている場合、そのインターポーザは、インターポーザアセンブリと称されることがある。また、「インターポーザ」という用語は、インターポーザのアレイなどの複数のインターポーザをさらに含むことがある。
【0019】
シリカの低い熱膨張係数(CTE)ために、インターポーザの機能を果たすシリカ含有基板に結合された半導体素子により生じる熱流束などの熱流束の印加による、シリカ含有基板の膨張および移動が最小になる。インターポーザと半導体素子(または他の電子部品)との間のCTEの不一致によるインターポーザの膨張は、インターポーザと半導体素子との間の結合を壊し、分離または他の損傷をもたらすことがある。
【0020】
それに加え、シリカ含有基板は、シリコンなどの他の基板を上回る望ましいRF特性を提供する。望ましいRF特性は、高速データ通信用途などの高周波用途において重要であろう。
【0021】
それゆえ、75モル%以上、80モル%以上、85モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、または99モル%以上のシリカ(SiO)を含むシリカ含有基板は、特定の電子デバイス内のインターポーザにおける所望の材料であろう。しかしながら、シリカ含有基板の使用は、以下に限られないが、砂時計形のビアを含む、ビアの特定の形状が望ましい場合、課題を提示する。砂時計形のビアは、電気メッキ過程によるビアの金属化を容易にする。電気メッキ過程中、導電性材料(例えば、銅、銀、アルミニウム、チタン、金、白金、ニッケル、タングステン、マグネシウム、または任意の他の適切な材料)がビア内に堆積される。砂時計形のビアは、インターポーザの表面にある開口の直径よりも小さい直径を有する狭い胴部を有する。電気メッキ過程において、堆積した金属は、最初に胴部の位置で金属橋を形成し、次に、その橋の上に金属が堆積して、ビアの充填を終わらせて、ビアの空隙のない気密充填を可能にする。
【0022】
シリカ含有材料にビアを形成するために、レーザ損傷・エッチング技術が利用されることがある。しかしながら、ここに定義されたようなシリカ含有基板内にビアを形成するために使用される従来のレーザ損傷・エッチング技術は、実質的に円筒形のビア(すなわち、実質的に真っ直ぐな壁を有するビア)をもたらす。したがって、狭い胴部および金属橋を形成する能力が欠如しているために、従来の技術を使用してシリカ含有基板内に形成されるビアの電気メッキは可能ではないであろう。シリカ含有基板内に、狭い胴部を有するビアを製造することができないことは、フッ化水素酸の遅いエッチング速度、およびそのエッチング過程により、基板の中央部内で詰まり、またはそのエッチングを阻害し、シリカ含有基板内の深部に対して表面での孔のエッチング速度に差を生じる不溶性副生成物がなくなることのためであろう。ここに開示された方法は、75モル%以上のシリカ(SiO)を含むシリカ含有基板に限定されないことに留意のこと。ここに開示された方法は、75モル%未満のシリカを有するガラスまたはガラスセラミック基板にも使用してよい。例えば、ここに記載された方法は、Corning Incorporatedにより販売されているEagle XG(登録商標)ガラスおよびGorilla(登録商標)Glassなどの、75モル%未満のシリカ(SiO)を有するガラスまたはガラスセラミック基板内に胴部の狭いビアを形成するためにも利用してよい。
【0023】
ここに記載された実施の形態は、各々が特有の角度を有し、それによって、「砂時計」の形状を画成する複数の領域を有する内壁などの特定の内壁形状を含む、レーザ損傷・エッチング過程によって形成されたビアを有するシリカ含有基板を備えた物品および方法に関する。実施の形態は、実用的かつ確実に形成される、シリカ含有基板内の高品質の砂時計形のビアを提供する。物品、半導体パッケージ、および基板内に狭い胴部を有するビアを形成する方法の様々な実施の形態が、下記に詳しく記載されている。
【0024】
ここで図1を参照すると、シリカ含有基板100を備えた例示の物品が、部分斜視図に概略示されている。シリカ含有基板100は、第一面102および第一面102と反対の第二面104を有する。複数のビア110が、第一面102から第二面104までシリカ含有基板100の中を通って延在している。いくつのビア110が、どの配置でシリカ含有基板100を通って延在してもよいことを理解すべきである。シリカ含有基板100の厚さtは、用途に応じてどの適切な厚さであってもよい。非限定例として、そのシリカ含有基板の厚さtは、端点を含む50μmから1mmの範囲内、端点を含む100μmから700μmの範囲内、端点を含む100μmから500μmの範囲内、または端点を含む250μmから500μmの範囲内にある。
【0025】
ビア110のピッチは、隣接するビア110間の中心から中心の間隔であり、そのピッチは、制限なく、約10μm、約50μm、約100μm、約250μm、約1,000μm、約2,000μm、またはこれらの値のいずれか2つの間の任意の値または範囲(端点を含む)を含む約10μmから約2,000μmなどの所望の用途にしたがう、どの寸法であってもよい。いくつかの実施の形態において、そのピッチは、同じシリカ含有基板100上のビア110間で変動してもよい(すなわち、第1のビアと第2のビアとの間のピッチが、第1のビアと第3のビアとの間のピッチと異なってもよい)。いくつかの実施の形態において、そのピッチは、約10μmから約100μm、約25μmから約500μm、約10μmから約1,000μm、または約250μmから約2,000μmなどの範囲であってもよい。
【0026】
シリカ含有基板100は、図2に概略示されるような電子デバイス200のインターポーザであることがある。図2に概略示された非限定的な電子デバイス200は、シリカ含有基板100の第一面102に結合した第1の電気部品201およびシリカ含有基板100の第二面104に結合した第2の電気部品203を備える。第1の電気部品201および第2の電気部品203は、制限なく、半導体素子、基板、電源、またはアンテナなどのどのタイプの電気部品として作られてもよい。シリカ含有基板100は、電気信号および/または電力がその間を通過できるように、第1の電気部品201を第2の電気部品203に電気的に結合する複数の金属化ビア110を備えている。
【0027】
砂時計形プロファイルを有するシリカ含有基板100を貫通する例示の導電性ビア110が、図3に概略示されている。ビア110は、第一面102での第1の直径Dおよび第二面104での第2の直径Dを有する。例示のビア110は、ビア110の長さに沿った縦軸LA、内壁111、およびビア110の最小直径である胴部の直径Dを有する胴部wをさらに含む。それゆえ、胴部の直径Dは、第1の直径Dおよび第2の直径Dの両方より小さい。非限定例として、ビア110のプロファイルは、胴部の直径Dが、第1の直径Dおよび第2の直径Dの各々の75%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満であるようなものである。さらに、エッチング時間が減少すると、ひいては、2つの表面からの孔が接続し損ね、「ブラインド」ビアがもたらされる。このブラインドビアは、基板の内部で終端するビアである。非限定例として、エッチング後の第1の直径Dおよび第2の直径Dは、エッチング後に、端点を含む5μmから150μm、端点を含む5μmから100μm、端点を含む20μmから150μm、端点を含む30μmから60μm、または端点を含む40μmから50μmの範囲内にある。いくつかの実施の形態において、第1の直径Dおよび第2の直径Dは、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、または10μm以下である。第1の直径Dは、第2の直径Dと等しくても、等しくなくてもよい。
【0028】
図3の例示のビア110は、4つの別個のテーパー領域:第1のテーパー領域112、第2のテーパー領域113、第3のテーパー領域118および第4のテーパー領域119を有する。例示のビア110は、4つの異なるテーパー角:それぞれ、第1のテーパー領域112、第2のテーパー領域113、第3のテーパー領域118および第4のテーパー領域119に対応する、第1の角度θ、第2の角度θ、第3の角度θ、および第4の角度θを有する。例示のビア110は、4つのセグメント長:第一面102から第2のテーパー領域113への移行部まで延在する第1のセグメント長L、第1のテーパー領域112と第2のテーパー領域113の間の移行部から胴部wまで延在する第2のセグメント長L、胴部wから第3のテーパー領域118と第4のテーパー領域119の間の移行部まで延在する第3のセグメント長L、および第3のテーパー領域118と第4のテーパー領域119の間の移行部から第二面104まで延在する第4のセグメント長Lによってさらに特徴付けられる。
【0029】
第1から第4のセグメント長L~Lは、どの適切な長さであってもよく、本開示により限定されない。図3の例において、4つのセグメント長の各々は互いに異なる。しかしながら、実施の形態は、それに限定されない。例えば、第1のセグメント長Lは第4のセグメント長Lと等しいことがある、および/または第2のセグメント長Lは第3のセグメント長Lと等しいことがある。
【0030】
図3に示されたテーパー角は、縦軸LAに平行なそれぞれの基準線とビア110の内壁111との間で測定されることに留意のこと。第1の角度θは、第1のテーパー領域112の内壁111から縦軸LAまで測定される。第2の角度θは、第2のテーパー領域113の内壁111から縦軸LAまで測定される。第3の角度θは、第3のテーパー領域118の内壁111から縦軸LAまで測定される。第4の角度θは、第4のテーパー領域119の内壁111から縦軸LAまで測定される。
【0031】
縦軸LAに対するビア110の角度は、特定のテーパー領域の内壁111の輪郭と一致するトレース線TLを形成することによって決定することができる。次に、そのトレース線を分析して、内壁111の1つ以上の部分(様々なテーパー領域112、113、118、119を含む)の勾配を決定することができる。例えば、図3に示されるように、トレース線TLが図示されており、ここに記載されたコンピュータソフトウェアを使用して、トレース線TLの1つ以上の線形領域を決定する。線形領域は、以下のように定義される:(1)その領域の長さは、5μm以上であり、一般に、10μm超であることがある;(2)その領域は、線形関数(y=a+bx)にフィッティングすることができ、式中、yは孔の半径であり、xは基板の深さであり、フィッティング残差の絶対値は1μm未満である;および(3)どの隣接領域のフィッティング関数の勾配も、少なくとも0.01だけ異なるべきであり、これは、テーパー角に関して、0.57度の差に変換される。先に記載された基準の全てを満たす領域は、定勾配を有する領域(すなわち、線形領域)と称される。図3に示されるように、トレース線TLは、4つの別個の線形領域:点AとBの間の領域、点BとCの間の領域、点CとDの間の領域、および点DとEの間の領域を有する。このように、点AとBの間の領域、点BとCの間の領域、点CとDの間の領域、および点DとEの間の領域の勾配は、一定である。しかしながら、非定勾配を有する、各点A、B、C、D、およびEを取り囲むトレース線TLの区域があってもよい。これらの区域は、ここにより詳しく記載されるように、定勾配の区域の間の移行区域であることがある。そのような区域は、テーパー領域間に段階的移行がある場合に生じることがある。
【0032】
テーパー領域の各々の勾配の間の移行区域は、内壁111の定勾配の領域が終わるどの場合にも生じるであろう。手短に図12を参照すると、点AとBの間の第1のテーパー領域512、点CとDの間の第2のテーパー領域513、点EとFの間の第3のテーパー領域518、および点GとHの間の第4のテーパー領域519を含む、シリカ含有基板内に形成されたビア510が、図示されている。例示のビア510は、点BとCの間、点DとEの間、および点FとGの間のトレース線1415の領域である非定勾配を有する移行区域を有する。いくつかの実施の形態において、その移行区域の勾配は、約0.57度以上、約1度以上、約2度以上、約3度以上、約4度以上、または約5度以上だけ、定勾配の領域の勾配と異なる。
【0033】
先に述べたように、各テーパー領域の定勾配は、ビアの縦軸LAに対する角度により定義されることがある。この縦軸LAは、第一面102および/または第二面104に対して略垂直である。再度図3を参照すると、第1の角度θおよび第4の角度θの各々は、シリカ含有基板100の第一面102と第二面104に近接した強力に変更された材料、およびシリカ含有基板100の内部領域におけるより弱く変更された材料のために、第2の角度θおよび第3の角度θの各々より小さい。限定ではなく、例として、第1の角度θおよび第4の角度θの各々は、5度未満、例えば、0度超から5度、0度超から4度、0度超から3度、0度超から2度、1度から5度、1度から4度、1度から3度、1度から2度、2度から5度、2度から4度、2度から3度の範囲内、もしくは4度、3度、2度、または1度である。図3の例において、テーパー角の各々は、互いに異なる。しかしながら、実施の形態は、それに限定されない。例えば、第1の角度θおよび第4の角度θは互いに等しいことがある、および/または第2の角度θおよび第3の角度θは、互いに等しいことがある。
【0034】
先に述べたように、胴部wは、最小直径(D)を有するビアの領域である。ここに記載された基板を貫通するビア110は、以下の関係式:
【0035】
【数1】
【0036】
に与えられるような、シリカ含有基板の厚さの半分に対する、第1の直径(または第2の直径)と胴部の直径の間の差の比が1/15以上であることにより特徴付けられることがある。
【0037】
ビア110に、スパッタリング、電気メッキまたはペースト充填などのどの公知の過程またはまだ開発されていない過程によって、導電性材料を充填してもよい。その導電性材料は、制限なく、銅、銀、アルミニウム、チタン、金、白金、ニッケル、タングステン、またはマグネシウムなどのどの適切な材料であってもよい。
【0038】
ここで図4A~4Eを参照すると、レーザ損傷・エッチング過程および初期厚tを有するシリカ含有基板100内の軸方向に可変の側壁テーパーを有するビア110の製造の進展が、概略示されている。図4Aを参照すると、損傷軌跡120が、第一面102から第二面104までシリカ含有基板100の中身を通るレーザビームを使用して形成される。限定ではなく、一例として、損傷軌跡120は、1μm以下の直径を有する。そのレーザビームは、損傷軌跡120に沿って材料を変更する。ここに用いられているように、そのシリカ含有基板に関する「変更する」または「変更」という用語は、屈折率の変化、材料密度の変化、材料の溶融、圧縮、アブレーション、または化学的変質を意味する。その変更は、気体または液体エッチング剤の浸透を促進することができる微視的裂け目または空隙を作るための材料の亀裂形成も含むことがある。このレーザビームは、損傷軌跡120が、異なるエッチング特性を与えるセグメントを有するように損傷軌跡120を形成する。シリカ含有基板100の変更のレベルは、第一面102および第二面104に近接して最も強く、その変更のレベルは、損傷軌跡120に沿ったシリカ含有基板100の中への方向に減少する。その変更のレベルは、シリカ含有基板100のエッチング速度に影響を与える。変更のレベルが高いほど、シリカ含有基板100のエッチング速度が速くなる。ここに記載された実施の形態において、変更のレベルは、背面照明の存在下での顕微鏡で損傷軌跡120を評価することによって決定される。背面照明の存在下では、損傷軌跡120に沿った材料が暗いほど、変更のレベルが高くなる。実施の形態において、損傷軌跡120は、シリカ含有基板100の表面近くではより暗く見え(すなわち、損傷軌跡は、これらのセグメントにおいて高レベルの変更を有し)、シリカ含有基板100の中央近くではより明るく見える(すなわち、損傷軌跡は、表面に近接したセグメントと比べて、これらのセグメントにおいて低レベルの変更を有する)。図11Aは、下記により詳しく記載されるが、顕微鏡による、背面から照らされたシリカ含有基板100における損傷軌跡120、120’、120”の様々なレベルの材料変更の様子を示している。
【0039】
図4Aの例において、損傷軌跡120は、各々が異なるレベルの変更、したがって、異なるエッチング特性を有する4つのセグメント:第1の変更セグメント120A、第2の変更セグメント120B、第3の変更セグメント120C、および第4の変更セグメント120Dを含む。様々なセグメント間の変更のレベルは、不連続でなくてもよいことを理解すべきである。そうではなく、変更のレベルは、損傷軌跡120に沿って徐々に変化してもよい。それゆえ、変更のレベルは、損傷軌跡120の個々のセグメント内で変化してもよい。
【0040】
先に述べたように、損傷軌跡120は、最高レベルの変更がシリカ含有基板100の第一面102および第二面104に近接して生じるように作られる。したがって、第1の変更セグメント120Aおよび第4の変更セグメント120Dが、最高に変更されたセグメントである。第2の変更セグメント120Bおよび第3の変更セグメント120Cは、それらが、第1の変更セグメント120Aおよび第4の変更セグメント120Dのものより小さい変更のレベルを有するという点で、最小に変更されたセグメントである。第2の変更セグメント120Bおよび第3の変更セグメント120Cが、個々のセグメントとして示されているが、いくつかの実施の形態において、第2の変更セグメント120Bおよび第3の変更セグメント120Cは、第1の変更セグメント120Aおよび第4の変更セグメント120Dの変更のレベルより小さい変更のレベルを有する単一の最小に変更されたセグメントである。
【0041】
損傷軌跡を形成するために利用されるレーザビーム特性に関する詳細が、図5~8に関して、下記に述べられている。
【0042】
損傷軌跡120を形成した後、エッチング液を施すことによって、シリカ含有基板100がエッチングされる。一例において、シリカ含有基板100は、エッチング液の浴中に入れられる。あるいは、エッチング液をシリカ含有基板100上に吹き付けてもよい。エッチング液のタイプは、本開示により限定されない。シリカ含有基板をエッチングすることができるどの公知のエッチング液またはまだ開発されていないエッチング液を利用してよい。一例において、エッチング液は、フッ化水素酸(HF)または水酸化ナトリウム/カリウムを含む。特定の例として、溶融シリカをエッチングするためのエッチング液は、約47℃の20体積%のHFまたは20体積%のHFと20体積%のHClを含み、これは、約0.005μm/秒のエッチング速度を与える。温度調節(例えば、10℃から50℃)および酸濃度調節を行って、エッチング速度を変えることができる。硝酸(HNO)などの他の鉱酸をHClの代わりに使用してもよい。水酸化ナトリウム(NaOH)および水酸化カリウム(KOH)などの水酸化物エッチング剤を使用することも可能である。
【0043】
このエッチング液は、図4Bに示されるように、量Δsだけ、シリカ含有基板100の第一面102および第二面104の各々で材料をエッチングにより除去する。損傷軌跡120の強力に変更された第1のセグメント120Aおよび第4のセグメント120D内で損傷を受けた材料は、損傷軌跡120の外側の非損傷領域よりも速い速度でエッチングされる。損傷を受けた材料によるこのより速いエッチング速度により、第1のパイロット孔115が第一面102に開き、損傷軌跡の第1のセグメント120Aに沿ってシリカ含有基板100の中身を通じて延在し、第2のパイロット孔117が第二面104に開き、損傷軌跡の第4のセグメント120Dに沿ってシリカ含有基板100の中身を通じて延在する。図4Cに示されるように、第1のパイロット孔115および第2のパイロット孔117は、シリカ含有基板100の中身により深く延在し、シリカ含有基板100は、増加量Δsだけさらに薄化する。
【0044】
ここで図4Dを参照すると、シリカ含有基板100の継続エッチングにより、第1のパイロット孔115の直径が増加し、開口して第1のテーパー領域112になり、第2のパイロット孔117の直径が増加し、開口して第4のテーパー領域119になる。シリカ含有基板100の第一面102および第二面104は、増加量Δsだけさらに薄化する。この時までに、エッチング液は、損傷軌跡120の第2のセグメント120Bおよび第3のセグメント120Cに到達する。第2のセグメント120Bは開口して第2のテーパー領域113になり、第3のセグメント120Cは開口して第3のテーパー領域118になる。材料の変更のレベルは、第1のセグメント120Aおよび第4のセグメント120Dよりも、第2のセグメント120Bおよび第3のセグメント120Cのほうが低いので、エッチング速度は、第1のセグメント120Aおよび第4のセグメント120Dよりも、第2のセグメント120Bおよび第3のセグメント120Cのほうが遅い。図4Dに示されるように、損傷軌跡120に沿った変更のレベルの差により、縦軸LAに対する第2のテーパー領域113および第3のテーパー領域118の角度が、第1のテーパー領域112および第4のテーパー領域119よりも大きくなる。
【0045】
第2のテーパー領域113および第3のテーパー領域118は、胴部wで出合う。胴部wは、ビア110の最も狭い領域であり、電気メッキ過程中に金属橋が形成される位置である。ここで図4Eを参照すると、最終厚tを有する溶融基板内の完成した例示のビア110が示されている。図から分かるように、ビア110は、別個のセグメントをもたらす軸方向に可変の側壁テーパー、並びに電気メッキ過程中に金属橋が形成する位置を提供する狭い胴部wを有する。
【0046】
シリカ含有基板100の様々な変更のレベルを有する、ここに記載された損傷軌跡120は、様々なレーザ過程によって形成することができる。図5に示された例において、損傷軌跡120は、方向zにシリカ含有基板100の厚さtを通してレーザビーム150の集束レーザスポットLSを走査することによって、シリカ含有基板100内に形成され、そのレーザビームの出力は、グラフ152に示されるように、走査中に変調されて、シリカ含有基板100の表面からの異なる深さで異なるレベルの材料変更(すなわち、損傷)を生じる。レーザ出力は、集束レーザスポットLSがシリカ含有基板100の第一面102および第二面104の近くに位置しているときよりも、集束レーザスポットLSがシリカ含有基板100の内部(すなわち、中央近く)にあるときのほうが低い。しかしながら、この方法には、シリカ含有基板100の全厚を通じて損傷軌跡120を形成するために多くの連続レーザ露光が必要であろうし、これにより、過程が遅くなるであろう。
【0047】
図6を参照すると、別の例において、損傷軌跡120は、シリカ含有基板100の中身を通って位置付けられるレーザビーム焦線302bに集束されるパルスレーザビーム302aにより形成される。このレーザビーム集線は、シリカ含有基板100内に多光子誘発吸収を生じる。この多光子誘発吸収により、レーザビーム集線302bに沿ってそのシリカ含有基板内に材料変更が生じ、それによって、損傷軌跡120が形成される。レーザビーム集線302bは、光学素子306により形成され、この光学素子は、図6に示された非限定例として、円錐形レンズ(すなわち、アキシコン)である。ガラス基板に孔をあけるためのレーザビーム集線を生成し、使用する方法の追加の記載が、ここに全て引用される、米国特許第9517963号明細書に与えられている。
【0048】
光学素子306は、レーザビームを拡張焦点または準非回折ビームに形成し、ベッセル様ビームまたはガウス・ベッセル・ビームが生じる。そのビームの準非回折性のために、光は、より一般に使用されているガウス・ビームで達成されるよりずっと長い範囲に亘り強く集束された強度を維持し、ガラス基板の全厚tを、単一バーストパルスまたはレーザパルスの厳密に時機が合った一連のバーストにより損傷させることができる。
【0049】
シリカ含有基板を変更し、損傷軌跡を形成するために、パルスレーザビームの波長は、シリカ含有基板の材料に透過性であるべきである。パルスの持続時間および強度は、先に記載された多光子吸収効果を達成するために十分に短いべきである。ピコ秒またはフェムト秒レーザ源などの超短パルスレーザを利用してよい。いくつかの実施の形態において、約10ピコ秒のパルスレーザを利用してよい。限定ではなく、例として、約1mmと約3mmの間の範囲の線焦点、および200kHzの繰り返し率で約50W(250μJ/パルス)超の出力を生じる約10ピコ秒のパルスレーザにより、ひいては、線領域の光強度は、シリカ含有基板において非線形吸収を生じるために十分に高いべきである。
【0050】
ここに記載されたそのようなピコ秒レーザの操作により、「パルスバースト」5のサブパルス5aが生じることに留意のこと。図7は、3つのサブパルス5a、5a’、および5a”(集合的に「5a」)を示している。パルスバーストの生成は、パルス放出が、均一な定常流ではなく、むしろサブパルスの緻密な群であるレーザ操作のタイプである。各パルスバーストは、非常に短い持続時間の多数の個々のサブパルス5a(制限なく、少なくとも2つのサブパルス、少なくとも3つのサブパルス、少なくとも4つのサブパルス、少なくとも5つのサブパルスなど)を含む。すなわち、パルスバースト5は、サブパルス5aの「ポケット」であり、パルスバースト5は、各バースト内の個々の隣接するパルスの間隔より長い持続時間だけ、互いに離れている。図7のサブパルス5aに関する時間に対してレーザ放出をプロットしている図8を参照すると、サブパルスは、100ピコ秒まで(例えば、0.1ピコ秒、5ピコ秒、10ピコ秒、15ピコ秒、18ピコ秒、20ピコ秒、22ピコ秒、25ピコ秒、30ピコ秒、50ピコ秒、75ピコ秒、またはそれらの間)のパルス持続時間Tを有することがある。単一パルスバースト5内のこれらの個々のサブパルス(例えば、サブパルス5a、5a’、および5a”)は、それらが単一パルスバースト内で生じるという事実を示すために、ここでは、サブパルスと称される。パルスバースト5内の各個々のサブパルス5a、5a’、5a”のエネルギーまたは強度は、そのパルスバースト内の他のサブパルスのものと等しくなくてもよく、パルスバースト内の多数のサブパルスの強度分布は、多くの場合、レーザ設計により決定される、時間の経過による指数関数的減衰にしたがう。
【0051】
ここに記載された例示の実施の形態のパルスバースト5内の各サブパルス(例えば、サブパルス5a、5a’、および5a”)は、1ナノ秒から50ナノ秒(例えば、10~50ナノ秒、または10~30ナノ秒、その時間は、レーザ空洞の設計により大抵決まる)の持続時間tだけ、そのバースト内のその後のサブパルスから時間の間隔が空いている。所定のレーザについて、パルスバースト5内の各サブパルス間の時間間隔t(サブパルスからサブパルスの間隔)は、比較的均一である(±10%)。例えば、いくつかの実施の形態において、あるパルスバースト内の各サブパルスは、約20ナノ秒(50MHz)だけ、次のサブパルスから時間が離れていることがある。例えば、約20ナノ秒のサブパルス間隔tを生じるレーザについて、パルスバースト内のサブパルスからサブパルスの間隔tは、約±10%以内、に維持される、または約±2ナノ秒である。
【0052】
サブパルスが多すぎると、円筒形のビアが生じることが観察された。詳しくは、80μJのエネルギーを与える15のサブパルスバーストにより、円筒形のビアが生じた一方で、50μJを与える5つのサブパルスバーストにより、砂時計形のビアが生じた。前者は、サブパルス当たりのエネルギーが小さいが、シリカ含有基板の厚さを通じて非常に均一な損傷軌跡を生じるのに対し、後者は、サブパルス当たりのエネルギーが大きいが、シリカ含有基板の厚さを通じてより不均一な損傷軌跡を生じ、より強力な損傷が、ガラス表面近くで観察され、より弱い損傷が、シリカ含有基板の中央近くで観察された。
【0053】
レーザビーム集線302bは、典型的に、均一な強度を有する。しかしながら、ここに記載された実施の形態において、エネルギーの量およびレーザビームバーストの数は、所望の損傷軌跡120に沿って不均一なレベルの変更を与えるために制御されている。言い換えると、シリカ含有基板100内の深さの関数としての損傷パターンは、均一ではない。観察されるのは、シリカ含有基板100の表面近く、特に、各表面の100μm以内の材料変更の量は、シリカ含有基板100の中央(中心)における損傷と著しく異なり、それよりも強力である。背面照明を用いた顕微鏡で観察されるように、シリカ含有基板100の表面近くの領域は、典型的に、非常に暗く見え、より大きい光散乱および材料変更を示すのに対し、シリカ含有基板100の中心近くの領域は、明るい色の領域または分割された暗い領域に見え、少ない光散乱およびそれゆえ、弱いまたは空間的に一貫していない材料変更を示す。それに加え、シリカ含有基板100の表面近くの領域は、多くの場合、実際の孔、または材料が基板から放出/除去された領域を示し、これにより、化学エッチング剤が浸透し易い通路を提供することができる。
【0054】
基板近くのより強力な損傷のこの効果は、レーザビーム集線302bのレーザエネルギーが、閾値の上の60%以内、閾値の上の65%以内、閾値の上の55%以内、閾値の上の50%以内、閾値の上の45%以内、閾値の上の40%以内、閾値の上の35%以内、閾値の上の30%以内、閾値の上の25%以内、閾値の上の20%以内、閾値の上の15%以内、または閾値の上の10%以内など、シリカ含有基板100を変更するのに必要な閾値のすぐ上に低下されているので、特に明白である。ここに用いられているように、「閾値」という用語は、レーザビーム集線を使用して基板上に表面損傷を生じるのに必要な最小エネルギーを意味する。そのような状況において、表面に最も近い領域は、まだ暗い損傷領域を示すが、シリカ含有基板の中央は、ある場合には、明白な損傷または変更領域を全く示さない。先に記載したように、非回折ビームに観察される深さの関数としてのこの損傷効果の相違をうまく利用して、テーパー状ビアの形状がそうしなければ可能ではない場所で、シリカ含有基板内にそのようなビアを形成できるであろう。非限定例として、パルスレーザビームの作動範囲は、5つのサブパルスについて、端点を含む40μJから55μJの範囲内、または端点を含む45μJから50μJの範囲内にある。
【0055】
レーザビーム集線の最大強度の位置を変えることによって、ビアの胴部wの位置をシフトさせることが可能である。図9Aは、シリカ含有基板100を通るレーザビーム集線の強度305をプロットしており、例示のシリカ含有基板400内の結果として生じるビア410を示している。図9Aに示されるように、シリカ含有基板100の中心に最大強度305を位置付けると、エッチング過程後にシリカ含有基板400の中心に胴部を有するビア410が得られる。
【0056】
図9Bは、シリカ含有基板100の第一面102へのレーザビーム集線の最大強度305のシフトをグラフで示している。図9Bは、エッチング過程後に、第一面402より第二面404に近い胴部を有するビア410’を有する例示のシリカ含有基板400’をさらに示す。図9Cは、シリカ含有基板100の第二面104へのレーザビーム集線の最大強度305のシフトをグラフで示している。図9Cは、エッチング過程後に、第二面404より第一面402に近い胴部を有するビア410”を有する例示のシリカ含有基板400”をさらに示す。胴部wをシフトさせると、シリカ含有基板100の中心を通る面の周りで非対称になる。
【0057】
準非回折ビーム(例えば、レーザビーム集線302b)の光強度をシリカ含有基板100の表面近くでより強くする必要はないことに留意のこと。しかしながら、ワキシコン様素子などの光学素子を設計することが可能であり、これにより、ビーム伝播方向に沿った特別注文の光エネルギー分布が作られる。そのような場合、レーザビーム集線302bの光強度は、溶融基板の表面近くで増強されることがある一方で、シリカ含有基板の中央では低い強度の領域が作られる。レーザビーム集線のエネルギー分布をカスタマイズするための例示の光学素子が、米国仮特許出願第62/381345号明細書に記載されている。
【0058】
図10Aおよび10Bは、シリカ含有基板100を通る2つのレーザビーム集線の強度プロファイルの操作をグラフで示している。図10Aにおいて、レーザビーム集線の強度プロファイル305’は、長方形の「シルクハット」形状を有する。この強度プロファイル305’は、例えば、ワキシコン光学素子により形成されることがあり、図9A~9Cに示されたガウスプロファイルよりも、シリカ含有基板の表面に近接した変更がより強力になることがある。図10Bに示された強度プロファイル305”は、シリカ含有基板100の第一面102および第二面104に近接して2つの最大ピークを有し、これにより、そのシリカ含有基板の中央よりも、第一面102および第二面104に近接して強力な変更となる。図10Bのレーザビーム集線は、そのレーザビーム集線の中心領域よりも、レーザビーム集線の第1の端部およびレーザビーム集線の第2の端部で大きい強度を有する。特別注文の光学素子を用いて、図10Bに示された強度プロファイル305”を作ることができる。
【0059】
シリカ含有基板の表面近くのレーザ損傷/変更を強化するための他の手法には、熱風流の印加などにより、その表面を加熱または冷却して、温度勾配を持たせ、それゆえ、次に、ガラス厚を通るレーザ/ガラス相互作用を相違させることがある。
【実施例
【0060】
厚さが0.36mmの、50mm×50mmのCorningコード7980の溶融シリカ基板を、532nmの波長で作動するCoherent Hyper-Rapid-50ピコ秒レーザを備えたシステムを使用して、レーザ損傷させた。そのビーム伝送光学素子は、ガウス・ベッセル・レーザビーム集線を作るように構成し、レーザ伝播軸に沿った光強度分布は、0.74mmの半値全幅であり、スポットサイズは、ビームのベッセル様断面プロファイルにおける第1のヌルまたは強度最小値の直径で測定して、直径1.2μmであった。各損傷軌跡は、シリカ含有基板を、5つのレーザパルスを含む50μJのレーザバーストに暴露することによって形成した。各パルスは、7.2ピコ秒の持続時間を有し、各バースト内部のパルス間の時間間隔は20ナノ秒であった。次に、レーザ加工したシリカ含有基板を、47℃で、20%HF(体積%)および12%HCl(体積%)の静止(物理的撹拌なし、超音波なし)浴中でエッチングした。バルクエッチング速度は、0.0046μm/秒~0.005μm/秒であった。
【0061】
図11Aは、エッチング前の背面照明下での試料について、低倍率での、0.36mm厚の溶融シリカ基板に作られた損傷軌跡120、120’および120”の画像を示す。図11Aの画像における損傷軌跡の横間隔(すなわち、ピッチ)は150μmである。各損傷軌跡が、第一面102(第1の変更部分)および第二面104(第2の変更部分)近くにある、より強力に変更された部分(2つの水平な点線の上と下の、光学顕微鏡画像におけるより暗い線形特徴)、並びにガラスの中央のより弱い第3の変更部分(2つの水平な点線の間の、光学顕微鏡画像におけるより明るい線形特徴)を有することが、図11Aの光学顕微鏡画像から明らかである。それゆえ、この第3の変更部分の変更のレベルは、第1の変更部分および第2の変更部分の変更のレベルよりも小さい。その差は、図11B(第一面102)および図11C(第二面104)の高倍率画像においてより明白に示されている。
【0062】
損傷軌跡120、120’および120”の各々は、少なくとも、第1のセグメント120A、120A’および120A”、第2のセグメント120B、120B’および120B”、並びに第3のセグメント120C、120C’および120C”を有する。
【0063】
損傷軌跡の強度における差は、準非回折ビーム(ガウス・ベッセル)形成光学素子により作られる光強度の差で説明されないことに留意のこと。焦線強度は、光軸に沿って走査したCCDカメラおよび高NA顕微鏡対物レンズを使用して測定され、ガウス・ベッセル強度プロファイルに厳密にしたがうことが示された。その焦線の位置は、シリカ含有基板の中心近くでほぼ最大強度を達成するように設定し、表面の各々の近くでは、強度はわずかに減少した。0.35mm厚のガラスの深さを通るこの焦線に関して予測される強度変動は、約6~8%である。
【0064】
図12は、この実施例のエッチング過程後の、エッチングされたビア510の側面の光学顕微鏡画像を示す。図から分かるように、ビア110は、狭い胴部wを有する砂時計の形状を有する。ビア510は、図5に概略示された例示のビア110と似た内壁プロファイルを有する。図5および12を参照すると、ビア510は、以下の内壁プロファイルを有する:θ=θ=1°、θ=θ=8°、L=L=62μm、L=L=88μm;第1の直径D=49.5μm;第2の直径D=51.2μm;およびD=25.7μm。この場合、損傷軌跡は、溶融基板の厚さの中央面辺りでほぼ対照であり、図3に示された場合とは対照的に、水平中心線の周りに対称なビアになる。
【0065】
この過程で製造されたシリカ含有基板は、その部品レベルで非常に低いビアからビアの変動を示した。これは、この過程が安定しており、レーザエネルギーの任意の小さい変動またはシステムの焦点により過度に影響を受けないことを示す。図13A~13Cおよび14A~14Cに示されるように、直径と真円度の両方は、10000個のビアの上部、胴部および底部について、非常にうまく制御されている。各グラフに示されるような多数の孔について、図13Aは、第1の直径を示すヒストグラムであり、図13Bは、第2の直径を示すヒストグラムであり、図13Cは胴部の直径を示すヒストグラムである。寸法制御は、第1の直径について±1%より良好であり、第2の直径について±2.5%より良好であり、胴部の直径について±6%より良好であることが示されている。
【0066】
ビアの品質に関する別の測定基準は真円度であり、これは、各ビアの第1の直径(図14A)、第2の直径(図14B)、および胴部の直径(図14C)について測定することができる。ここに用いられているように、真円度は、ビアの顕微鏡画像に円をフィッティングさせることによって、決定される。H={h、h、・・・・、h}を、上から見たような(例えば、それぞれの直径でのビアの顕微鏡画像から)第1の直径、第2の直径、または胴部の直径でのビアのエッジに沿って特定された一群の点h=(x、y)と考える。それらの点は、制限なく、画素当たり約1μmの解像度にあることがある。正確に1つの最小二乗適合の円を評価することができる。この円の中心点C=(x、y)およびその半径Rにより、数量
【0067】
が最小になる。一連の距離(直径)d=dist(h、C)を考えると、最小値dminおよび最大値dmaxを見つけることができる。ここでは、差dmax-dminを真円度と称する。それゆえ、全ての距離dが等しい理論的に完全な円は、dminおよびdmaxの値が等しくなり、真円度値がゼロとなる。大きい真円度値は、それほど丸くない孔を示す。
【0068】
図15Aは、4つの異なるバーストエネルギーでの、試料に関する胴部欠陥のヒストグラムである。真円度が大きすぎるビアは、楕円形すぎるまたは不完全に形成されたビアである。図15Bは、4つの異なるバーストエネルギーでの、試料に関する全欠陥(ブラインドビア、入口または第2の直径が5μm超のビア、もしくは5μm超の胴部の真円度)のヒストグラムである。図16A(平均)および図16B(標準偏差)は、異なるバーストエネルギーおよび焦点条件で製造された試料に関する、部品に亘るビア胴部のばらつきを示すヒストグラムである。図16Cは、異なるバーストエネルギーおよび焦点条件に関する胴部の直径と第1の直径との間の比を示すヒストグラムである。
【0069】
5μmを超える真円度を有するビアの百分率で定義されるような、図15Aおよび15B並びに図16A~16Cに示されるように、この過程により製造された部品は、妥当なプロセスウィンドウ内にある(図15Aおよび15B)、極めて低い欠陥率も有し、胴部の開口のみが、プロセスウィンドウ内で小さいばらつきを有し(図16A~16C)、両方ともその過程が安定していることを示す。それに加え、図16A~16Cは、5μJのエネルギーおよび100μmのプロセスウィンドウを使用して、35%~45%の胴部の直径/第1の直径の比を達成できることを示す。
【0070】
今では、ここに記載された実施の形態が、高純度シリカ含有基板などのシリカ含有基板において砂時計形のビアを提供する方法および物品を提供することを理解すべきである。砂時計形のビアは、例えば、電気メッキ過程を使用して金属化することができる。この砂時計形のビアは、エッチング過程前にシリカ含有基板に特別注文の損傷軌跡を形成するレーザ損傷・エッチング過程により形成される。その損傷軌跡は、シリカ含有基板の中身/中央よりも、シリカ含有基板の表面に近接して、より強力な材料変更を有する。その特別注文の損傷軌跡は、胴部を画成するテーパー領域を有するエッチングされたビアをもたらす。その胴部は、ビア内に内部金属層を成長させるための金属橋の機能を果たすことができる。砂時計形のビアを有するシリカ含有基板は、高周波電子デバイスなどの電子デバイスにおけるインターポーザとして使用することができる。
【0071】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、それらの改変および変更が付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという条件で、包含することが意図されている。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0073】
実施形態1
シリカ、第一面、および該第一面と反対の第2面を含む基板を加工する方法において、
レーザビームを使用して、前記第一面から前記第二面まで前記基板を通る損傷軌跡を形成する工程であって、該損傷軌跡が、
前記第一面に近接した第1の高度に変更されたセグメント、
前記第二面に近接した第2の高度に変更されたセグメント、および
該第1の高度に変更されたセグメントと該第2の高度に変更されたセグメントの間に配置された最小に変更されたセグメント、
を含むように、該損傷軌跡に沿った該基板の変更のレベルは、該第一面から始まり該基板の中身に向かう第1の方向に減少し、該基板の変更のレベルは、該第二面から始まり該基板の中身に向かう第2の方向に減少する、工程、および
エッチング液を使用して、前記基板をエッチングして、前記第一面での第1の直径、前記第二面での第2の直径、および該第一面と該第二面の間の胴部の直径を有するビア胴部を有するビアを形成する工程であって、該胴部の直径は、該第1の直径より小さく、該第2の直径より小さい、工程、
を有してなる方法。
【0074】
実施形態2
前記損傷軌跡の最小に変更されたセグメントが、前記レーザビームによって変更されている、実施形態1に記載の方法。
【0075】
実施形態3
前記損傷軌跡の最小に変更されたセグメント内の前記基板の少なくとも一部が、前記レーザビームによって変更されていない、実施形態1または2に記載の方法。
【0076】
実施形態4
前記基板が少なくとも75モル%のシリカを含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態5
前記基板が少なくとも90モル%のシリカを含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態6
前記基板が少なくとも99モル%のシリカを含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態7
前記基板が、故意ではなくドープされたシリカを含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態8
前記基板の厚さが、50μm以上かつ1mm以下である、実施形態1から7いずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態9
前記胴部の直径が、前記第1の直径および前記第2の直径の各々の少なくとも50%である、実施形態1から8いずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態10
前記ビアが砂時計の形状を有する、実施形態1から9いずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態11
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、実施形態1から10いずれか1つに記載の方法。
【0084】
実施形態12
前記第1の直径および前記第2の直径が5μm以上である、実施形態1から11いずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態13
前記基板の第一面が、前記レーザビームを放出するレーザ源に面しており、
前記胴部の直径と前記第1の直径との間の比が、35%以上かつ45%以下である、実施形態1から12いずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態14
前記ビアが、縦軸、内壁、前記第一面と前記ビア胴部との間に位置する第1のテーパー領域、および前記第二面と該ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域を含み、
前記第1のテーパー領域が、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有し、
前記第2のテーパー領域が、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する、実施形態1から13いずれか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態15
前記第1の角度が前記第2の角度と等しい、実施形態14に記載の方法。
【0088】
実施形態16
前記第1の角度が前記第2の角度と異なる、実施形態14に記載の方法。
【0089】
実施形態17
前記レーザビームが、
前記損傷軌跡が、前記最小に変更されたセグメントと前記第2の高度に変更されたセグメントとの間に位置する追加の最小に変更されたセグメントを含み、
前記追加の最小に変更されたセグメントの変更のレベルが、前記第1の高度に変更されたセグメントおよび前記第2の高度に変更されたセグメントの変更のレベルよりも小さい、ように作動される、実施形態1から16いずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態18
前記ビアが、
縦軸、
内壁、
前記第一面に近接して位置する第1のテーパー領域であって、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有する第1のテーパー領域、
前記第1のテーパー領域と前記ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域であって、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する第2のテーパー領域、
前記ビア胴部に隣接する第3のテーパー領域であって、該第3のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第3の角度を有する第3のテーパー領域、および
前記第3のテーパー領域と前記第二面との間に位置する第4のテーパー領域であって、該第4のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第4の角度を有する第4のテーパー領域、
を含み、
前記第2の角度および前記第3の角度の各々が、前記第1の角度および前記第4の角度より小さい、実施形態1から17いずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態19
前記第1の角度および前記第4の角度が異なる、実施形態18に記載の方法。
【0092】
実施形態20
前記第1の角度および前記第4の角度の各々が、5度以下である、実施形態19に記載の方法。
【0093】
実施形態21
前記第2の角度および前記第3の角度が異なる、実施形態18に記載の方法。
【0094】
実施形態22
前記第1の角度、前記第2の角度、前記第3の角度、および前記第4の角度の各々が、該第1の角度、該第2の角度、該第3の角度、および該第4の角度の他のものと異なる、実施形態18に記載の方法。
【0095】
実施形態23
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該第二面の他方よりも近く位置している、実施形態18から22いずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態24
前記レーザビームが、前記基板の中身を通って位置決めされたレーザビーム焦線に集束されるパルスレーザビームを含み、
前記レーザビーム集線が、前記基板内に多光子誘発吸収を生じ、該多光子誘発吸収が、該レーザビーム集線に沿って該基板内に材料の変更を生じ、それによって、前記損傷軌跡が形成される、実施形態1から23いずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態25
前記パルスレーザビームが複数のレーザビームサブパルスを含み、該複数のレーザビームサブパルスの個々のレーザビームサブパルスが、ある時間間隔だけ隔てられている、実施形態24に記載の方法。
【0098】
実施形態26
前記複数のレーザビームバーストが、10未満の個々のレーザビームサブパルスを含む、実施形態25に記載の方法。
【0099】
実施形態27
前記複数のレーザビームバーストが、5以下の個々のレーザビームサブパルスを含む、実施形態25に記載の方法。
【0100】
実施形態28
前記レーザビームの前記レーザビーム集線が、前記基板の第一面および第二面に近い該基板を、該基板の第一面および第二面からさらに離れた領域よりも強力に変更する、実施形態24から27いずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態29
前記レーザビーム集線の最大強度が、前記損傷軌跡の所望の線に沿って、前記第一面と前記第二面の間の中点に位置している、実施形態24から28いずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態30
前記レーザビーム集線の最大強度が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、実施形態24から28いずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態31
前記レーザビームを使用して、前記損傷軌跡を形成しながら、前記第一面および第二面の1つ以上の温度を調節する工程をさらに含む、実施形態1から30いずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施形態32
前記レーザビームが準非回折ビームである、実施形態1から31いずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態33
前記レーザビームのエネルギーが、前記基板を変更するための閾値より高い、実施形態1から32いずれか1つに記載の方法。
【0106】
実施形態34
前記レーザビームのエネルギーが、前記基板を変更するための閾値より75パーセント未満大きい、実施形態33に記載の方法。
【0107】
実施形態35
前記レーザビームのエネルギーが、前記基板を変更するための閾値より10パーセント未満大きい、実施形態34に記載の方法。
【0108】
実施形態36
前記レーザビーム集線が、該レーザビーム集線の中心領域よりも、該レーザビーム集線の第1の端部および該レーザビーム集線の第2の端部で大きい強度を有するように、前記レーザビームを作動させる工程をさらに含む、実施形態24から28いずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態37
前記エッチング液がフッ化水素酸を含む、実施形態1から36いずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態38
前記エッチング液が、20体積%のフッ化水素酸および12体積%の塩化水素酸を含む、実施形態37に記載の方法。
【0111】
実施形態39
前記基板のエッチング工程後、前記ビアを電気メッキする工程をさらに含む、実施形態1から38いずれか1つに記載の方法。
【0112】
実施形態40
物品において、
シリカ含有基板であって、75モル%以上のシリカ、第一面、該第一面と反対の第2面、および該第一面から該第二面に向かって該シリカ含有基板を通って延在するビアを含み、該ビアは、
前記第一面での第1の直径、
前記第二面での第2の直径、および
前記第一面と前記第二面の間のビア胴部において、胴部の直径であって、該胴部の直径と、前記第1の直径および前記第2の直径の各々との間の比が75%以下であるように該第1の直径および該第2の直径より小さい胴部の直径を有するビア胴部、
を有する、シリカ含有基板、
を備えた物品。
【0113】
実施形態41
前記シリカ含有基板が少なくとも90モル%のシリカを含む、実施形態40に記載の物品。
【0114】
実施形態42
前記シリカ含有基板が少なくとも99モル%のシリカを含む、実施形態40に記載の物品。
【0115】
実施形態43
前記シリカ含有基板が、故意ではなくドープされたシリカを含む、実施形態40に記載の物品。
【0116】
実施形態44
前記シリカ含有基板の厚さが、50μm以上かつ1mm以下である、実施形態40から43いずれか1つに記載の物品。
【0117】
実施形態45
前記胴部の直径が、前記第1の直径および前記第2の直径の各々の少なくとも50%である、実施形態40から44いずれか1つに記載の物品。
【0118】
実施形態46
前記ビアが砂時計の形状を有する、実施形態40から45いずれか1つに記載の物品。
【0119】
実施形態47
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、実施形態40から46いずれか1つに記載の物品。
【0120】
実施形態48
前記第1の直径および前記第2の直径の各々が、5μm以上かつ100μm以下である、実施形態40から47いずれか1つに記載の物品。
【0121】
実施形態49
前記胴部の直径と前記第1の直径との間の比が、35%以上かつ45%以下である、実施形態40から48いずれか1つに記載の物品。
【0122】
実施形態50
前記ビアが、縦軸、内壁、前記第一面と前記ビア胴部との間に位置する第1のテーパー領域、および前記第二面と該ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域を含み、
前記第1のテーパー領域が、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有し、
前記第2のテーパー領域が、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する、実施形態40から49いずれか1つに記載の物品。
【0123】
実施形態51
前記第1の角度が前記第2の角度と等しい、実施形態50に記載の物品。
【0124】
実施形態52
前記第1の角度が前記第2の角度と異なる、実施形態50に記載の物品。
【0125】
実施形態53
前記ビアが、
縦軸、
内壁、
前記第一面に近接して位置する第1のテーパー領域であって、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有する第1のテーパー領域、
前記第1のテーパー領域と前記ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域であって、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する第2のテーパー領域、
前記ビア胴部に隣接する第3のテーパー領域であって、該第3のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第3の角度を有する第3のテーパー領域、および
前記第3のテーパー領域と前記第二面との間に位置する第4のテーパー領域であって、該第4のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第4の角度を有する第4のテーパー領域、
を含み、
前記第2の角度および前記第3の角度の各々が、前記第1の角度および前記第4の角度より小さい、実施形態40から49いずれか1つに記載の物品。
【0126】
実施形態54
前記第1の角度および前記第4の角度が異なる、実施形態53に記載の物品。
【0127】
実施形態55
前記第1の角度および前記第4の角度の各々が、5度以下である、実施形態54に記載の物品。
【0128】
実施形態56
前記第2の角度および前記第3の角度が異なる、実施形態53に記載の物品。
【0129】
実施形態57
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該第二面の他方よりも近く位置している、実施形態53から56いずれか1つに記載の物品。
【0130】
実施形態58
前記ビアが、導電性材料で電気メッキされている、実施形態40から57いずれか1つに記載の物品。
【0131】
実施形態59
前記シリカ含有基板を貫通する複数のビアをさらに含む、実施形態40から58いずれか1つに記載の物品。
【0132】
実施形態60
電子デバイスにおいて、
シリカ含有基板であって、75モル%以上のシリカ、第一面、該第一面と反対の第2面、および該第一面から該第二面に向かって該シリカ含有基板を通って延在するビアを含み、該ビアは、
前記第一面での第1の直径、
前記第二面での第2の直径、および
前記第一面と前記第二面の間のビア胴部において、胴部の直径であって、該胴部の直径と、前記第1の直径および前記第2の直径の各々との間の比が75%以下であるように該第1の直径および該第2の直径より小さい胴部の直径を有するビア胴部、
を有する、シリカ含有基板、および
前記シリカ含有基板に結合された半導体素子であって、前記ビアに電気的に結合されている半導体素子、
を備えた電子デバイス。
【0133】
実施形態61
前記シリカ含有基板が少なくとも90モル%のシリカを含む、実施形態60に記載の電子デバイス。
【0134】
実施形態62
前記シリカ含有基板が少なくとも99モル%のシリカを含む、実施形態60に記載の電子デバイス。
【0135】
実施形態63
前記シリカ含有基板が、故意ではなくドープされたシリカを含む、実施形態60に記載の電子デバイス。
【0136】
実施形態64
前記シリカ含有基板の厚さが、50μm以上かつ1mm以下である、実施形態60から63いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0137】
実施形態65
前記胴部の直径が、前記第1の直径および前記第2の直径の各々の少なくとも50%である、実施形態60から64いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0138】
実施形態66
前記ビアが砂時計の形状を有する、実施形態60から65いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0139】
実施形態67
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、実施形態60から66いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0140】
実施形態68
前記第1の直径および前記第2の直径の各々が、5μm以上かつ100μm以下である、実施形態60から67いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0141】
実施形態69
前記胴部の直径と前記第1の直径との間の比が、35%以上かつ45%以下である、実施形態60から68いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0142】
実施形態70
前記ビアが、縦軸、内壁、前記第一面と前記ビア胴部との間に位置する第1のテーパー領域、および前記第二面と該ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域を含み、
前記第1のテーパー領域が、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有し、
前記第2のテーパー領域が、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する、実施形態60から69いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0143】
実施形態71
前記第1の角度が前記第2の角度と等しい、実施形態70に記載の電子デバイス。
【0144】
実施形態72
前記第1の角度が前記第2の角度と異なる、実施形態70に記載の電子デバイス。
【0145】
実施形態73
前記ビアが、
縦軸、
内壁、
前記第一面に近接して位置する第1のテーパー領域であって、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有する第1のテーパー領域、
前記第1のテーパー領域と前記ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域であって、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する第2のテーパー領域、
前記ビア胴部に隣接する第3のテーパー領域であって、該第3のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第3の角度を有する第3のテーパー領域、および
前記第3のテーパー領域と前記第二面との間に位置する第4のテーパー領域であって、該第4のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第4の角度を有する第4のテーパー領域、
を含み、
前記第2の角度および前記第3の角度の各々が、前記第1の角度および前記第4の角度より小さい、実施形態60から69いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0146】
実施形態74
前記第1の角度および前記第4の角度が異なる、実施形態73に記載の電子デバイス。
【0147】
実施形態75
前記第1の角度および前記第4の角度の各々が、5度以下である、実施形態74に記載の電子デバイス。
【0148】
実施形態76
前記第2の角度および前記第3の角度が異なる、実施形態73に記載の電子デバイス。
【0149】
実施形態77
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該第二面の他方よりも近く位置している、実施形態73に記載の電子デバイス。
【0150】
実施形態78
前記ビアが、導電性材料で電気メッキされている、実施形態60から77いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0151】
実施形態79
前記シリカ含有基板を貫通する複数のビアをさらに含む、実施形態60から78いずれか1つに記載の電子デバイス。
【0152】
実施形態80
シリカ含有基板であって、75モル%以上のシリカ、第一面、該第一面と反対の第2面、および該第一面から該第二面まで該シリカ含有基板を貫通する損傷軌跡を含み、該損傷軌跡が、
前記第一面に近接した第1の高度に変更されたセグメント、
前記第二面に近接した第2の高度に変更されたセグメント、および
該第1の高度に変更されたセグメントと該第2の高度に変更されたセグメントの間に配置された最小に変更されたセグメント、
を含むように、該損傷軌跡に沿った該シリカ含有基板の変更のレベルは、該第一面から始まり該シリカ含有基板の中身に向かう第1の方向に減少し、該シリカ含有基板の変更のレベルは、該第二面から始まり該シリカ含有基板の中身に向かう第2の方向に減少する、シリカ含有基板。
【0153】
実施形態81
前記シリカ含有基板が少なくとも75モル%のシリカを含む、実施形態80に記載のシリカ含有基板。
【0154】
実施形態82
前記シリカ含有基板が少なくとも90モル%のシリカを含む、実施形態80に記載のシリカ含有基板。
【0155】
実施形態83
前記シリカ含有基板が、故意ではなくドープされたシリカを含む、実施形態80に記載のシリカ含有基板。
【0156】
実施形態84
前記シリカ含有基板の厚さが、50μm以上かつ1mm以下である、実施形態80から83いずれか1つに記載のシリカ含有基板。
【0157】
実施形態85
物品において、
シリカ含有基板であって、75モル%以上のシリカ、第一面、該第一面と反対の第2面、および該第一面から該第二面に向かって該シリカ含有基板を通って延在するビアを含み、該ビアは、
前記第一面での第1の直径、
前記第二面での第2の直径、および
前記第一面と前記第二面の間のビア胴部において、胴部の直径であって、該胴部の直径と、前記シリカ含有基板の厚さの半分に対する前記第1の直径と胴部の直径との間の差の比が1/15以上であるように該第1の直径および該第2の直径より小さい胴部の直径を有するビア胴部、
を有する、シリカ含有基板、
を備えた物品。
【0158】
実施形態86
前記シリカ含有基板が少なくとも90モル%のシリカを含む、実施形態85に記載の物品。
【0159】
実施形態87
前記シリカ含有基板が少なくとも99モル%のシリカを含む、実施形態85に記載の物品。
【0160】
実施形態88
前記シリカ含有基板が、故意ではなくドープされたシリカを含む、実施形態85に記載の物品。
【0161】
実施形態89
前記シリカ含有基板の厚さが、50μm以上かつ1mm以下である、実施形態85から88いずれか1つに記載の物品。
【0162】
実施形態90
前記胴部の直径が、前記第1の直径および前記第2の直径の各々の少なくとも50%である、実施形態85から89いずれか1つに記載の物品。
【0163】
実施形態91
前記ビアが砂時計の形状を有する、実施形態85から90いずれか1つに記載の物品。
【0164】
実施形態92
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該二面の他方よりも近く位置している、実施形態85から91いずれか1つに記載の物品。
【0165】
実施形態93
前記第1の直径および前記第2の直径の各々が、5μm以上かつ100μm以下である、実施形態85から92いずれか1つに記載の物品。
【0166】
実施形態94
前記胴部の直径と前記第1の直径との間の比が、35%以上かつ45%以下である、実施形態85から93いずれか1つに記載の物品。
【0167】
実施形態95
前記ビアが、縦軸、内壁、前記第一面と前記ビア胴部との間に位置する第1のテーパー領域、および前記第二面と該ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域を含み、
前記第1のテーパー領域が、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有し、
前記第2のテーパー領域が、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する、実施形態85から94いずれか1つに記載の物品。
【0168】
実施形態96
前記第1の角度が前記第2の角度と等しい、実施形態95に記載の物品。
【0169】
実施形態97
前記第1の角度が前記第2の角度と異なる、実施形態95に記載の物品。
【0170】
実施形態98
前記ビアが、
縦軸、
内壁、
前記第一面に近接して位置する第1のテーパー領域であって、該第1のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第1の角度を有する第1のテーパー領域、
前記第1のテーパー領域と前記ビア胴部との間に位置する第2のテーパー領域であって、該第2のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第2の角度を有する第2のテーパー領域、
前記ビア胴部に隣接する第3のテーパー領域であって、該第3のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第3の角度を有する第3のテーパー領域、および
前記第3のテーパー領域と前記第二面との間に位置する第4のテーパー領域であって、該第4のテーパー領域内の内壁と前記縦軸との間で測定された第4の角度を有する第4のテーパー領域、
を含み、
前記第2の角度および前記第3の角度の各々が、前記第1の角度および前記第4の角度より小さい、実施形態85に記載の物品。
【0171】
実施形態99
前記第1の角度および前記第4の角度が異なる、実施形態98に記載の物品。
【0172】
実施形態100
前記第1の角度および前記第4の角度の各々が、5度以下である、実施形態99に記載の物品。
【0173】
実施形態101
前記第2の角度および前記第3の角度が異なる、実施形態100に記載の物品。
【0174】
実施形態102
前記ビア胴部が、前記第一面および前記第二面の一方に、該第一面または該第二面の他方よりも近く位置している、実施形態98から101いずれか1つに記載の物品。
【0175】
実施形態103
前記ビアが、導電性材料で電気メッキされている、実施形態98から102いずれか1つに記載の物品。
【0176】
実施形態104
前記シリカ含有基板を貫通する複数のビアをさらに含む、実施形態98から103いずれか1つに記載の物品。
【符号の説明】
【0177】
100、400、400’、400” シリカ含有基板
102、402 第一面
104、404 第二面
110、410、410’、410”、510 ビア
111 内壁
112、512 第1のテーパー領域
113、513 第2のテーパー領域
115 第1のパイロット孔
117 第2のパイロット孔
118、518 第3のテーパー領域
119、519 第4のテーパー領域
120、120’、120” 損傷軌跡
120A 第1の変更セグメント
120B 第2の変更セグメント
120C 第3の変更セグメント
120D 第4の変更セグメント
150 レーザビーム
200 電子デバイス
201 第1の電気部品
203 第2の電気部品
302a パルスレーザビーム
302b レーザビーム集線
306 光学素子
第1の直径
第2の直径
胴部の直径
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C