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特許7182875フレームラミネートされたポリウレタンフォームを作成するための組成物およびプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】フレームラミネートされたポリウレタンフォームを作成するための組成物およびプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20221128BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221128BHJP
   C08J 9/36 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
C08G18/00 G
C08G18/00 H
C08G18/00 J
C08G18/48
C08J9/36 CFF
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017553110
(86)(22)【出願日】2016-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-21
(86)【国際出願番号】 US2016026397
(87)【国際公開番号】W WO2016164552
(87)【国際公開日】2016-10-13
【審査請求日】2019-03-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】201510171297.2
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,イーロン
(72)【発明者】
【氏名】タン,センコク
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,ミンリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスラー,ラディスロー
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ブライト
(72)【発明者】
【氏名】オースティン,ポール,エドウィン
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】細井 龍史
【審判官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-121998(JP,A)
【文献】特開2005-146113(JP,A)
【文献】特表2010-509479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
C08J9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)2から6の官能性を含有し、数平均分子量が1,000から10,000g/モルのポリエーテルポリオール;
(b)ポリイソシアネート;
(c)ポリウレタンフォーム製造用の少なくとも一つの触媒;
(d)リン含有難燃化剤および芳香族構成単位を有するポリオールから選ばれたフレームラミネーション添加剤;
(e)難燃化添加剤;
(f)水を含む少なくとも一つの発泡剤;および
(g)次式のシリコーン含有ポリマーを含むシリコーン界面活性剤:
MDD’
式中、Mは(CH)SiO1/2-;Dは-O1/2Si(CH)1/2-;D’は-O1/2Si(CH)R’O1/2-;xは40から150;yは6から40;x/y≦7;R’はアセトキシキャップ化ポリエーテル;そして界面活性剤は相互に異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルを有する少なくとも二種のD’単位を含み、アセトキシキャップ化ポリエーテル基は75重量%未満のエチレンオキシド含量を有し;18,000から35,000ダルトンの目的平均分子量を有する界面活性剤
を含む組成物を反応させることを含む、フレームラミネートポリウレタンフォームスラブストックの生成プロセス。
【請求項2】
界面活性剤は20,000から30,000ダルトンの目的平均分子量を有する、請求項1のプロセス。
【請求項3】
界面活性剤は22,000から28,000ダルトンの目的平均分子量を有する、請求項1のプロセス。
【請求項4】
x/yは4から7である、請求項1~3のいずれかのプロセス。
【請求項5】
界面活性剤は三種のD’単位を有し、各々のD’単位は75重量%未満のエチレンオキシド含量を有する、異なったアセトキシキャップ化ポリエーテルを有する、請求項1~4のいずれかのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、「フレームラミネートされたポリウレタンフォームを作成するための組成物およびプロセス」と題する、2015年4月10日に出願された中国出願第201510171297.2号の優先権および利益を主張し、その開示は全体を、参照によって本願に取り入れるものとする。
【0002】
本発明は、フレームラミネートポリウレタンフォーム組成物、かかるフォームを作成するためのプロセス、およびかかるフォームを含む積層物を提供する。特に本発明は、フレームラミネートポリウレタンの改良された処理を提供可能な、界面活性剤を含む組成物、およびポリウレタンフォームにおける改良された性質を提供する。
【背景技術】
【0003】
フレームラミネート用の可撓性スラブストックフォームは、広く種々の用途、特に自動車用シート被覆材料、自動車用ルーフ被覆材料等に使用されるといった自動車用途について、多くの異なる種類の生地でラミネートされる。これはフレームラミネートのような、結合または表面溶融プロセスによって行われている。ポリエステル-ポリウレタンフォームは、その特有の適合性のゆえに、従来のフレームラミネートに典型的に使用されている。ポリオール成分にあるエステル基は良好な熱溶融挙動をもたらし、フォームは生地に対して格別に強い接合を示す傾向がある。ポリエステルポリウレタンフォーム/生地の積層物は、18から22N(DIN 53 537による)の接合強度を有する。さらに、ポリエステルポリウレタンフォームは、約300%の破断伸度および約200kPaの引張強度を示し、したがって高いラミネート速度を許容する。さらにまた、特定の嵩密度において、こうしたポリエステルフォームは、FMVSS302(SE)の難燃性試験によれば自己消火性である。したがってポリエステルフォームは主として、ラミネートプロセスのための発泡プラスチックフィルムとして使用されている。しかしながらポリエステル-ポリウレタンのフレームラミネート用フォームは、ポリエステルポリオールが低分子成分を高濃度で含有しているため、高いフォギング性および逸散排出性を示す。これらのフォームの高いフォギング性および高い逸散排出性は、自動車産業において一般的となっている新たな排出基準を満たすことができない。またポリエステル-ポリウレタンラミネートフォームは独立気泡構造の割合が高く、これは発泡のプロセスウインドウ(処理条件範囲)を狭める。
【0004】
他方、ポリエーテル-ポリウレタンのフレームラミネーションフォームは代替的な技術であり、幅広い処理の自由度と、フォームの高い多孔性(通気性)を備えている。しかしながら、ポリエーテル-ポリウレタンフォームは、ポリエステル-ポリウレタンのフレームラミネーションフォームと比較して、不十分な接合強度と難燃性挙動を示すことが知られている。ポリエーテル-ポリウレタンフォームのラミネーション接合強度および難燃性挙動を増大させるための、種々の開発研究が行われ、発明が提案されてきた。
【0005】
米国特許出願公開第2002/0098338号は、数平均分子量が150から999g/モルの一つまたはより多くのヒドロキシル含有エステルを含む二官能性芳香族ポリオールを、ポリエーテル-ポリウレタンフォームに対して1から20重量%の量で添加して、フォームの接合強度を改善させることを記載している。
【0006】
米国特許出願第8,535,476号は、天然油由来のポリオールを使用して、ポリエーテル-ポリウレタンのフレームラミネーションフォームを25.5kg/mの密度と3.4cfmの通気量で作成し、剥離力を9Nから12.5Nに改善することを記載している。しかしながら、積層部品について得られる剥離強度は、ラミネートされたポリエステルフォームの剥離強度よりも小さい。接合性が良好と言うためには、大体16Nの剥離強度が典型的に要求される。
【0007】
欧州特許EP025549号(米国特許第4,306,037号に対応する)は、フォームの製造に際してネオペンチルグリコールヒドロキシピバラートエステルを添加することを記載している。これらの特許の記載によれば、これによって良好なラミネート性および良好な高周波融着性が得られ、エーテルフォームにとっては比較的高い嵩密度においても、高い永久圧縮歪の値が得られる。
【0008】
米国特許第5,891,928号および第5,900,087号は、フレームラミネート性を改良するために、ポリエーテルフォーム処方に脂肪族ジオールまたは高分子ジオールを添加することを記載している。脂肪族ジオールまたは高分子ジオールの使用は、それが高価なイソシアネートを消費し、得られるフォームの価格が高くなるという点で、不具合がある。
【0009】
欧州特許EP035687号(米国特許第4,371,630号に対応する)は、フレームラミネート性フォームを製造するために、ジイソシアネートとジ一級ジオールの反応生成物溶液を、主として二級ヒドロキシル基を有する高分子ポリエーテルに使用することを開示している。しかしながら、これらの組成物から得られるフォームは、経年に対して耐久性がない。したがって例えば、連続的に応力が加えられた後では、復元性に劣ることが見受けられる。これらの欠点は、嵩密度が低く、自己消火性となるように難燃化剤が添加される場合にはさらに顕著である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、例えばフレームラミネーションの如きによって基材に対して熱融着性である、ポリウレタンフォームを提供する。特に本発明は、熱融着性のポリエーテルポリウレタンフォームを提供する。このポリウレタンフォームは、アセトキシキャップ化ポリエーテル含有ペンダント基を含むシリコーン系界面活性剤を含む組成物から生成される。出願人が見出したところでは、生成されるポリエーテルポリウレタンフォームは、フレームラミネーションによるなどして基材に対して熱融着性であり、フォーム形成組成物に本願で提供する界面活性剤を使用することにより、例えば初期接合強度、最終接合強度、および/または難燃性といった性質が改善される。
【0011】
一つの側面によれば、本発明は:
(a)2から6の官能性を含有し、数平均分子量が約1,000から約10,000g/モルのポリエーテルポリオール;
(b)ポリイソシアネート;
(c)ポリウレタンフォーム製造用の少なくとも一つの触媒;
(d)フレームラミネーション添加剤;
(e)難燃化添加剤;
(f)水を含む少なくとも一つの発泡剤;および
(g)次式のシリコーン含有ポリマーを含むシリコーン界面活性剤:
MDD’
式中、Mは(CH)SiO1/2-;Dは-O1/2Si(CH)1/2-;D’は-O1/2Si(CH)R’O1/2-;xは40から150;yは5から40;x/y≦7;R’はアセトキシキャップ化ポリエーテル;そして界面活性剤は相互に異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルを有する少なくとも二つのD’単位を含み、アセトキシキャップ化ポリエーテル基は分岐部分の0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%であり;約18,000から約35,000ダルトンの目的平均分子量を有する界面活性剤
を含む組成物を反応させることを含む、フレームラミネートポリウレタンフォームスラブストックの生成プロセスを提供する。
【0012】
一つの実施形態において、界面活性剤は約20,000から約30,000ダルトンの目的平均分子量を有する。
【0013】
一つの実施形態において、界面活性剤は約22,000から約28,000ダルトンの目的平均分子量を有する。
【0014】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、x/yは約4から約7である。
【0015】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、界面活性剤は三つのD’単位を含み、各々のD’単位は異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルを有し、分岐部分の0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%である。
【0016】
別の側面において、本発明は:
(a)2から6の官能性を含有し、数平均分子量が約1,000から約10,000g/モルのポリエーテルポリオール;
(b)ポリイソシアネート;
(c)ポリウレタンフォーム製造用の少なくとも一つの触媒;
(d)フレームラミネーション添加剤;
(e)難燃化添加剤;
(f)水を含む少なくとも一つの発泡剤;および
(g)次式のシリコーン含有ポリマーを含むシリコーン界面活性剤:
R-Si(CH)O-(Si(CH)O-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-Si(CH)-R
式中、R、RおよびRは式
-B-C2nO-(CO)-(CO)-(CO)-Z
のポリアルキレンオキシドポリエーテルであり、
は約3000から約6000グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約800から約2900グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約130から約800グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の0から約75重量パーセントであり;
はCからC12の置換または未置換のアルキル、アルカリール、またはアリール基であり;
Bはヒドロシリル化を受けうる部分から誘導され;
Zは水素、C~Cアルキルまたはアラルキル部分、-C(O)Z、-C(O)OZおよび-C(O)NHZ、からなる群より選択され、ここでZは単官能性C~Cアルキルまたはアリール部分を表し;
各々のRは独立して、R、R、RおよびRからなる群より選択され;
xは40から150;
yは5から40でありa+b+c+dに等しく、ここでbまたはcは両方ではなくいずれかが0であってよく、d/(a+b+c)=0~1およびa+b>0であり;x/y≦7;n≧4;そしてe、fおよびgはポリエーテルに必要とされる分子量によって定義される
を含む組成物を反応させることを含む、フレームラミネートポリウレタンフォームスラブストックの生成プロセスを提供する。
【0017】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、x/yは≦6である。
【0018】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、x/yは約3から約7である。
【0019】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、x/yは約4から約7である。
【0020】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、界面活性剤はa単位、b単位およびc単位を含む。
【0021】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、界面活性剤はa単位、b単位およびd単位を含む。
【0022】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、界面活性剤はa単位、c単位およびd単位を含む。
【0023】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、界面活性剤はa単位およびc単位を含む。
【0024】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、a単位は約3500から約5000ダルトン;さらには約4000から約4500ダルトンの混合平均分子量を有する。
【0025】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、a単位は約30から約55パーセント、約35から約50パーセント;さらには約40から約50のエチレンオキシド含量を有する。
【0026】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、b単位は約1000から約2500ダルトン;約1100から約2300ダルトン;約1200から約2000ダルトン;約1300から約1800ダルトン;さらには1400から約1600ダルトンの混合平均分子量を有する。
【0027】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、b単位は約30から約55%、約35から約50%、さらには約40から約50%のエチレンオキシド含量を有し、そしてc単位は約400から約600ダルトンの混合平均分子量および約40から50%のエチレンオキシド含量を有する。
【0028】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、c単位は約250から約750ダルトン;約300から約700ダルトン;さらには約400から約600ダルトンの混合平均分子量を有する。
【0029】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、c単位は約5から約40%;約10から約30%;約15から約20%;そしてさらには約40から50%のエチレンオキシド含量を有する。
【0030】
前述した任意の実施形態のプロセスにおいて、界面活性剤は約0.1から約5pphpの濃度で、より特定的には約0.1から約3pphpの量で、そしてさらにより特定的には約0.6から約2pphpの量で存在し、ここでpphpはポリオール100部当たりの部を意味する。
【0031】
さらに提供されるものは、基材をポリウレタンフォームに熱接着することを含む積層物の製造プロセスであり、ここでポリウレタンフォームは、前述した任意の実施形態のプロセスによって生成される。
【0032】
さらに提供されるものは、そうしたフォームを含む積層物または複合体である。
【0033】
一つの実施形態において、基材は、木材、紙、金属、皮革材料、ファブリック、プラスチック、発泡体、またはこれらの二またはより多くの組み合わせから選択される。
【0034】
一つの実施形態において、基材はポリ塩化ビニル材料から選択される。
【0035】
一つの側面によれば、本発明は積層物または複合体構造を製造するためのプロセスを提供し、このプロセスは基材をポリウレタンフォームに熱接着することを含み、ここでポリウレタンフォームは、以下を含む組成物を反応させることによって生成される:
(a)2から6の官能性を含有し、数平均分子量が約1,000から約10,000g/モルのポリエーテルポリオール;
(b)ポリイソシアネート;
(c)ポリウレタンフォーム製造用の少なくとも一つの触媒;
(d)フレームラミネーション添加剤;
(e)難燃化添加剤;
(f)水を含む少なくとも一つの発泡剤;および
(g)次式のシリコーン含有ポリマーを含むシリコーン界面活性剤:
R-Si(CH)O-(Si(CH)O-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-Si(CH)-R
式中、R、RおよびRは式
-B-C2nO-(CO)-(CO)-(CO)-Z
のポリアルキレンオキシドポリエーテルであり、
は約3000から約6000グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約800から約2900グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約130から約800グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の0から約75重量パーセントであり;
はCからC12の置換または未置換のアルキル、アルカリール、またはアリール基であり;
Bはヒドロシリル化を受けうる部分から誘導され;
Zは水素、C~Cアルキルまたはアラルキル部分、-C(O)Z、-C(O)OZおよび-C(O)NHZ、からなる群より選択され、ここでZは単官能性C~Cアルキルまたはアリール部分を表し;
各々のRは独立して、R、R、RおよびRからなる群より選択され;
xは40から150;
yは5から40でありa+b+c+dに等しく、ここでbまたはcは両方ではなくいずれかが0であってよく、d/(a+b+c)=0~1およびa+b>0であり;x/y≦7;n≧4;そしてe、fおよびgはポリエーテルに必要とされる分子量によって定義される。
【0036】
一つの実施形態において、x/yは約4から約7である。
【0037】
一つの実施形態において、界面活性剤はa単位、b単位およびc単位を含む。
【0038】
一つの実施形態において、a単位は約4000から約4500ダルトンの混合平均分子量および約40から約50%のエチレンオキシド含量を有し;b単位は約1400から約1600ダルトンの混合平均分子量および約40から約50%のエチレンオキシド含量を有し、そしてc単位は約400から約600ダルトンの混合平均分子量および約40から50%のエチレンオキシド含量を有する。
【0039】
一つの実施形態において、界面活性剤はa単位、b単位およびd単位を含む。
【0040】
一つの実施形態において、界面活性剤はa単位、c単位およびd単位を含む。
【0041】
一つの実施形態において、界面活性剤はa単位およびc単位を含む。
【0042】
一つの実施形態において、a単位は約4000から約4500ダルトンの混合平均分子量および約40から約50%のエチレンオキシド含量を有し;そしてc単位は約400から約600ダルトンの混合平均分子量および約40から50%のエチレンオキシド含量を有する。
【0043】
一つの実施形態において、基材は、木材、紙、金属、皮革材料、ファブリック、プラスチック、発泡体、またはこれらの二またはより多くの組み合わせから選択される。
【0044】
一つの実施形態において、基材はポリ塩化ビニル材料から選択される。
【0045】
以上の、および他の側面および実施形態は、以下の詳細な説明に関連してさらに理解される。幾つかの改良点および新規な側面が明示的に特定され、他のものは説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、例えばフレームラミネーションの如きによって基材に対して熱融着性である、ポリエーテルポリウレタンフォーム組成物を提供する。本発明はまた、そうしたフォームを形成するためのプロセス、ポリエーテルポリウレタンフォームを基材に対して熱接着することにより形成される積層物、およびそうした積層物を含む物品を提供する。ポリエーテルポリウレタンフォーム組成物は、異なったアセトキシキャップ化ポリエーテル系ペンダント基を含む、シリコーン系界面活性剤を含む。このシリコーン系界面活性剤は、「くし形」シリコーンコポリマーと呼んでよい。アセトキシキャップ化ポリエーテル系ペンダント基を有するシロキサン単位に対して、アルキル置換されたシロキサン基の比率が低い、低分子量から中間分子量の界面活性剤を使用することは、積層構造に用いた場合、熱融着性ポリエーテルポリウレタンフォームに対して所望の安定性、難燃性、および/または接着性をもたらすために使用可能であることが見出された。
【0047】
一つの側面によれば、本発明は、(a)ポリエーテルポリオール;(b)有機ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマー;(c)少なくとも一つのポリウレタンフォーム製造用触媒;(d)フレームラミネーション添加剤;(e)難燃化剤;(f)少なくとも一つの発泡剤;および(g)シリコーン界面活性剤を含む、フォーム形成組成物を提供する。シリコーン界面活性剤は、シリコーン系ポリマーの主鎖にあるケイ素原子からつり下がったアセトキシキャップ化ポリエーテル系基を含む、シリコーン系ポリマー界面活性剤を含む。アセトキシキャップ化ポリエーテル基の分子量および/またはエチレンオキシド含量について調整することにより、基材に対して熱接着可能なポリウレタンフォーム組成物となることが見出された。
【0048】
本発明において使用するのに適したシリコーン界面活性剤は、「くし形」シリコーンポリマーと呼んでよく、ポリマー主鎖中のケイ素原子に対してペンダントとなったポリエーテル基を含んでいる。特に、界面活性剤はアセトキシキャップ化ポリエーテルペンダント基を含む。一つの実施形態において、界面活性剤は式:
MDD’
のポリマーであり、式中、Mは(CH)SiO1/2-;Dは-O1/2Si(CH)1/2-;D’は-O1/2Si(CH)R’O1/2-;xは40から150;yは5から40;x/y≦7;そしてR’はアセトキシキャップ化ポリエーテルを含む。界面活性剤は少なくとも二つの異なるD’基を有し、これらは相互に異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルを有し、分岐部分の0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%であり、そして界面活性剤は、約18,000から約35,000ダルトンの目的平均分子量を有する。一つの実施形態において、界面活性剤二つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテル基を含む。一つの実施形態において、界面活性剤は三つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテル基を含む。一つの実施形態において、目的平均分子量は約20,000から約30,000ダルトン;約22,000から約28,000ダルトン;さらには約24,000から約26,000ダルトンである。ここで、また明細書および特許請求の範囲の他の部分においても同様に、数値は組み合わせて新たな、非開示の範囲を形成することができる。
【0049】
一つの実施形態において、D’基は以下の式の群:
-O1/2Si(CH)R1/2-;
-O1/2Si(CH)R1/2-;
-O1/2Si(CH)R1/2-;および/または
-O1/2Si(CH)R1/2-
から選択され、式中、R、RおよびRは式
-B-C2nO-(CO)-(CO)-(CO)-Z
のポリアルキレンオキシドポリエーテルであり、式中:
は約3000から約6000グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシド(EO)はポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約800から約2900グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約130から約800グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の0から約75重量パーセントであり;
は置換または未置換のC~C12アルキル、置換または未置換のアルカリール、またはCからC12のアリール基であり;
Bはヒドロシリル化を受けうる部分から誘導され;
Zは水素、C~Cアルキルまたはアラルキル部分、-C(O)Z、-C(O)OZおよび-C(O)NHZ、からなる群より選択され、ここでZは単官能性C~CアルキルまたはC~C12アリール部分を表し;そして
D’は少なくとも一つの-O1/2Si(CH)R1/2-および/または-O1/2Si(CH)R1/2-基を含む。
【0050】
一つの実施形態において、シリコーン界面活性剤は式:
R-Si(CH)O-(Si(CH)O-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-(SiCHO-)-Si(CH)-R
のシリコーンポリマーから選択され、式中、R、RおよびRは式
-B-C2nO-(CO)-(CO)-(CO)-Z
のポリアルキレンオキシドポリエーテルであり、
は約3000から約6000グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシド(EO)はポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約800から約2900グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の約20から約60重量パーセントであり;
は約130から約800グラム/モルの範囲の混合平均分子量を有し、そしてエチレンオキシドはポリエーテルのアルキレンオキシド含量の0から約75重量パーセントであり;
はCからC12の置換または未置換のアルキル、アルカリール、またはアリール基であり;
Bはヒドロシリル化を受けうる部分から誘導され;
Zは水素、C~Cアルキルまたはアラルキル部分、-C(O)Z、-C(O)OZおよび-C(O)NHZ、からなる群より選択され、ここでZは単官能性C~Cアルキルまたはアリール部分を表し;
各々のRは独立して、R、R、RおよびRからなる群より選択され;
xは40から150;
yは5から40でありa+b+c+dに等しく、ここでbまたはcは両方ではなくいずれかが0であってよく、d/(a+b+c)=0~1およびa+b>0であり;x/y≦7;n≧4;そしてe、fおよびgはポリエーテルに必要とされる分子量によって定義される。
【0051】
部分は、約30から約55重量%のEO;約35から約50重量%のEO;さらには約40から約50%のEOを含んでよい。一つの実施形態において、Rは約40%のEOを含む。R部分は、3500ダルトンよりも大きい、そして一つの実施形態においては4000ダルトンよりも大きいBAMWを有してよい。一つの実施形態において、R部分は約3500から約5000ダルトンの、一つの実施形態においては約4000から約4500ダルトンBAMWを有してよい。R部分は約30から約55重量%のEO;約35から約50重量%のEO;さらには約40から約50%のEOを有してよい。一つの実施形態において、Rは約40%のEOを含む。R部分は、約1000から約2500ダルトン;約1100から2300ダルトン;約1200から約2000ダルトン;約1300から約1800ダルトンの範囲にあるBAMWを有してよい。一つの実施形態においては、約1400から約1600ダルトンである。R部分は、0から約50重量%のEO;約5から約40重量%のEO;約10から約30重量%のEO;さらには約15から約20重量%のEOの範囲にある。一つの実施形態において、Rは約0から約40%のEOを含む。R部分は存在する場合、一つの実施形態においては、約250から約750ダルトン;300から約700ダルトン;さらには約400から約600ダルトンの範囲にあるBAMWを有する。
【0052】
各々の基は、一つより多い異なるポリエーテルを有してよい。例えば、コポリマーは、(a)分子量および/またはEO含量の異なる二つのR型のポリエーテル、例えば55%EOで4000MWと44%EOで5500MW、および(b)R型のポリエーテルを含んでよい。加えて、ポリエーテル主鎖中において、ブチレンオキシドでプロピレンオキシドを置換することができる。このポリエーテル部分は直鎖状または分岐鎖状であることができ、また任意の数の炭素原子を含むことができる。
【0053】
アルキルペンダント基Rは、C~C12の置換または未置換アルキル基、C~C12のアリール基、またはC~C12のアルカリール基であることができる。一つの実施形態において、Zは-C(O)CHまたはCHである。Bはアリル誘導体、例えばプロピルであることができ、またはメタリル誘導体、例えばイソブチルであることができる。
【0054】
本発明によれば、シリコーン界面活性剤は7に等しいかより小さいx/y比を有する。一つの実施形態において、x/y比は約2から約7;約3から約7;約4から約7;約4から約6である。x/yの比は、すべての整数および分数を含む。ここで、また明細書および特許請求の範囲の他の部分においても同様に、数値は組み合わせて新たな、非開示の範囲を形成することができる。
【0055】
本願で記載するように、値「y」はa+b+c+dの和である。理解されるように、界面活性剤は、これらの単位の任意の組み合わせを含むことができるが、但しbおよびcが両方とも0にはならず(すなわち、界面活性剤は少なくとも一つのb単位および一つのc単位、またはbおよびc単位の両方を含む)、またa+b>0である。一つの実施形態において、シリコーン界面活性剤はa、bおよびc単位を含む。一つの実施形態において、シリコーン界面活性剤はa、bおよびd単位を含む。一つの実施形態において、シリコーン界面活性剤はaおよびc単位を含む。一つの実施形態において、シリコーン界面活性剤はa、cおよびd単位を含む。一つの実施形態において、シリコーン界面活性剤はa、b、cおよびd単位を含む。
【0056】
界面活性剤は、ポリウレタンフォーム形成組成物中において、約0.1から約5pphpの濃度で、より特定的には約0.1から約3pphpの量で、そしてさらにより特定的には約0.6から約2pphpの量で使用可能であり、ここでpphpはポリオール100部当たりの部を意味する。
【0057】
界面活性剤は、界面活性剤および希釈剤を含む界面活性剤組成物として提供することができる。界面活性剤組成物中の界面活性剤の濃度は、特定の目的または意図する用途に対して所望に応じ選択可能である。一つの実施形態において、界面活性剤組成物中の界面活性剤の濃度は、界面活性剤組成物の約10%から約50重量%、より特定的には、界面活性剤組成物の重量を基準として約15%から約75%、さらにより特定的には約20%から約50重量%であることができる。
【0058】
シリコーンコポリマーは、親油性分子中に取り入れられたシリコーンまたはプロピレンオキシドの量によってもたらされる親油性と、分子内のエチレンオキシドの全量によってもたらされる親水性との法的な平衡を有している。このようにして、分子は改良された表面活性剤(界面活性剤)として作用可能であり、これはラミネーション条件(溶融段階)のもとで役立ち、フレームラミネーション用添加剤がPVCレザーまたは他の種類の生地ファブリックと有効に結合するについて最適挙動を示すことを可能にし、初期接合強度および最終接合強度を改善する。
【0059】
ポリオール(a)成分は、ポリエーテルポリウレタンフォームの形成、特に高弾性フォームの形成に有用な、任意のポリオールであることができる。ポリオールは通常、ヒドロキシル基を有する液状ポリマーである。用語「ポリオール」は、直鎖または分岐鎖のポリエーテル(エーテル結合を有する)、ポリエステルおよびその混合物であって少なくとも二つのヒドロキシル基を有するものを包含する。一つの実施形態において、ポリオールは、ポリウレタンフォームの調製に一般的に使用される少なくとも一つの種類のものであることができる。約1000から約10000の重量平均分子量を有するポリエーテルポリオールが、特に有用である。一つの実施形態において、ポリエーテルポリオール約2000から約8000;約3000から約6000;さらには約4000から約5000の重量平均分子量を有する。
【0060】
高弾性ポリウレタンフォームの製造に一般に使用されている、反応性水素原子を含有するポリオールを、本発明の処方に採用することができる。このポリオールはヒドロキシ官能性化学品またはポリマーであり、種々の分子量およびヒドロキシ官能性の、広い範囲の組成物をカバーしている。これらのポリヒドロキシル化合物は一般に幾つかの成分の混合物であるが、原理的には純粋なポリヒドロキシル化合物、すなわち個々の化合物も使用可能である。
【0061】
代表的なポリオールには、限定するものではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、アクリル成分添加ポリオール、アクリル成分分散ポリオール、スチレン添加ポリオール、スチレン分散ポリオール、ビニル添加ポリオール、ビニル分散ポリオール、尿素分散ポリオールおよびポリカーボネートポリオール、ポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、混合ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオールが含まれ、これらはすべて少なくとも二つの一級ヒドロキシル基を有する。
【0062】
ポリエーテルポリオールの幾つかの非限定的な具体例には、ポリオキシアルキレンポリオール、特に直鎖および分岐鎖のポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、これらのコポリマーおよびそれらの組み合わせが含まれる。変性ポリエーテルポリオールの非限定的な例には、ポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリウレアが分散されたポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、およびポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリウレアが分散されたポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオールが含まれる。
【0063】
一つの実施形態において、ポリエーテルポリオールは、BayerAG社からのARCOL登録商標ポリオール1053、ARCOL登録商標E-743、Hyperlite登録商標E-848、Dow BASF社からのVoranol登録商標、Stepan社からのStepanpol登録商標、Invista社からのTerate登録商標、またはこれらの二またはより多くの組み合わせから選ばれる。
【0064】
ポリオールのヒドロキシル価は、1グラムのポリオールから調製された完全にアクリル化された誘導体をすべて加水分解するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である。ヒドロキシル価はまた、ポリオールの官能性および分子量との関係を反映させた、次の等式によっても定義されている:
OH価=(56.1×1000×f)/M.W.
式中、OH価はポリオールのヒドロキシル価であり;fは平均官能性、すなわちポリエーテルポリオールの分子当たりの平均のヒドロキシル基数であり;そしてM.W.はポリエーテルポリオールの数平均分子量である。ポリエーテルポリオール中の平均のヒドロキシル基数は、ポリエーテルポリオールの製造に使用される開始剤または開始剤混合物の官能性を調整することによって得られる。
【0065】
一つの実施形態において、ポリオールは約2から約6;約3から約5;さらには約4の官能性を有することができる。本技術の当業者に理解されるように、これらの範囲は間にあるすべての部分範囲を含むものである。
【0066】
一つの実施形態において、ポリウレタンフォーム形成組成物は、約10から約3000、より特定的には約20から約2000、さらにより特定的には約30から約1000、そしてなおさらにより特定的には約35から約800のヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールを含む。ここで、また明細書および特許請求の範囲の他の部分においても同様に、数値は組み合わせて新たな、非開示の範囲を形成することができる。
【0067】
ポリイソシアネート(b)は、ポリウレタンフォームの製造に使用可能な、少なくとも二つのイソシアネート基を含有する任意の有機化合物を含むことができる。一つの実施形態において、ポリイソシアネートは少なくとも二つのイソシアネート基を含む有機化合物であることができ、また一般に、任意の既知の、または後に発見される芳香族または脂肪族ポリイソシアネートである。
【0068】
一つの実施形態において、ポリイソシアネートは炭化水素ジイソシアネートであることができ、アルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネートが含まれる。
【0069】
ポリイソシアネートの代表的で非限定的な例には、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびジフェニルメタンイソシアネートのポリマー、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、高分子またはクルードMDIとしても知られているトリイソシアネートおよびポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、およびこれらの組み合わせが含まれる。入手可能な2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートには、Mondur登録商標TDIが含まれる。
【0070】
一つの実施形態において、ポリイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物の少なくとも一つであることができ、ここで2,4-トルエンジイソシアネートは混合物の約80から約85重量パーセントの量で存在し、またここで2,6-トルエンジイソシアネートは混合物の約20から約15重量パーセントの量で存在する。本技術の当業者に理解されるように、これらの範囲はその間にあるすべての部分範囲を含んでいる。
【0071】
ポリウレタンフォーム形成組成物中に含まれるポリイソシアネートの量は、ポリウレタンフォーム形成組成物中の他の材料の量に対して、「イソシアネートインデックス」に関して記述される。「イソシアネートインデックス」は、使用されたポリイソシアネートの実際の量を、ポリウレタンフォーム形成組成物中のすべての活性水素と反応するのに必要とされる、理論的に必要なポリイソシアネートの化学量論量によって割り、100を掛けたものである。
【0072】
一つの実施形態において、ポリウレタンフォーム形成組成物のイソシアネートインデックスは、約60から約300、より特定的には約70から約200、さらにより特定的には約80から約120である。本技術の当業者に理解されるように、これらの範囲はその間にあるすべての部分範囲を含んでいる。
【0073】
本願のポリウレタンフォーム製造用の触媒(c)は、ポリオールおよび水とポリイソシアネートとの、ポリウレタンフォームを形成する反応を触媒するために使用可能な、単一の触媒または触媒混合物であることができる。この目的のためには有機アミンと有機スズ化合物の両者を使用することが一般的であるが、しかし必要という訳ではない。有機スズ化合物の代わりに、またはそれに追加して、他の金属触媒を使用することができる。
触媒(c)の代表例には、限定するものではないが:
・ビス(2,2’-ジメチルアミノ)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2-{[2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エチル]メチルアミノ}エタノール、ピリジンオキシドおよびその他のような三級アミン;
・アルカリ金属およびアルカリ土類金属のヒドロキシド、アルコキシド、フェノキシドおよびその他のような強塩基;
・塩化第二鉄、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマスおよびその他のような強酸の酸性金属塩;
・アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトアセテート、サリチルアルデヒド、シクロペンタノン-2-カルボキシレート、アセチルアセトンイミン、ビス-アセチルアセトン-アルキレンジイミン、サリチルアルデヒドイミンおよびその他と、Be、Mg、Zn、Cd、Pb、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Niのような各種金属、またはMoO ++、UO ++およびその他のようなイオンから得ることができるような、種々の金属キレート;
・Rが1から約12の炭素原子のアルキルまたはアリールである、Ti(OR)、Sn(OR)、Sn(OR)、Al(OR)およびその他のような種々の金属のアルコレートおよびフェノレート、およびアルコレートとカルボン酸、ベータジケトンおよび2-(N,N-ジアルキルアミノ)アルカノールとの反応生成物、例えばこの手順またはこれに等しい手順によって得られる周知のチタンキレート;
・例えば、酢酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヘキサン酸カルシウム、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、オクタン酸鉛、ナフテン酸マンガンおよびナフテン酸コバルトのような金属乾燥剤およびその他を含む、有機酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、BiおよびCuのような各種金属との塩;
・四価のスズ、三価および五価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル;および
・これらの二またはより多くの組み合わせ、が含まれる。
【0074】
一つの実施形態において、触媒(c)はカルボン酸のジアルキルスズ塩である有機スズ化合物であり、それに含まれる非限定的な例は、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジラウリルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズ-ビス(4-メチルアミノベンゾエート)、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズ-ビス(6-メチルアミノカプロエート)およびその他、およびこれらの二またはより多くの組み合わせである。
【0075】
同様に、別の実施形態においては、トリアルキルスズヒドロキシド、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジアルコキシド、またはジアルキルスズジクロリドおよびこれらの二またはより多くの組み合わせを使用可能であり、使用してよい。これらの化合物の非限定的な例には、トリメチルスズヒドロキシド、トリブチルスズヒドロキシド、トリオクチルスズヒドロキシド、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジラウリルスズオキシド、ジブチルスズ-ビス(イソプロポキシド)、ジブチルスズ-ビス(2-ジメチルアミノペンチレート)、ジブチルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリドおよびその他、およびこれらの二またはより多くの組み合わせが含まれる。
【0076】
一つの実施形態において、触媒は、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、オレイン酸第一スズ、またはこれらの二またはより多くの組み合わせのような、有機スズ触媒であることができる。別の実施形態においては、触媒は有機アミン触媒、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(2,2-ジメチルアミノ)エチルエーテル、N-エチルモルホリン、ジエチレントリアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、またはこれらの二またはより多くの組み合わせのような三級アミンであることができる。さらに別の実施形態においては、触媒は、Niax登録商標触媒C-183(Momentive Performance Materials, Inc.)のような三級アミンとグリコールの混合物、Niax登録商標触媒D-19(Momentive Performance Materials, Inc.)のようなオクタン酸第一スズ、またはこれらの二またはより多くの組み合わせを含むことができる。
【0077】
本発明の一つの実施形態において、触媒は、高弾性の可撓性スラブストックおよび成型フォームを製造するためのアミン触媒である。これらのアミン触媒は、ビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテルまたは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンであることができる。
【0078】
別の実施形態においては、アミン触媒はNiax登録商標触媒C-183のような三級アミンとグリコールの混合物、Niax登録商標触媒D-19のようなオクタン酸第一スズ、およびこれらの組み合わせを含むことができ、これらはMomentivePerformance Materials社から入手可能である。
【0079】
ポリウレタンフォーム形成組成物は、発泡剤を含むことができる。発泡剤は、物理的および/または化学的な種類の一つの発泡剤であることができる。典型的な物理的発泡剤には、限定するものではないが、発泡プロセスの拡大をもたらすように使用される、塩化メチレン、アセトン、水またはCOが含まれる。典型的な化学的発泡剤は水であり、これはフォーム注のイソシアネートと反応して、二酸化炭素ガスを生ずる反応混合物を形成する。これらの発泡剤は、ポリウレタンフォームの形成に用いられる他の成分に対して、種々の程度の溶解性または相溶性を有する。相溶性に乏しい成分を用いる場合に、良好な乳化を発現させ維持することは、品質条件を満たすポリウレタンフォームを処理し達成するために重要である。
【0080】
組成物は、難燃化添加剤を含む。適切な難燃化添加剤の例には、限定するものではないが、膨張生成物質、アルカリシリケート、メラミン、メラミンポリホスフェート、メラミンシアヌレート、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アンモニウムポリホスフェート、有機ホスフェートが含まれ、あるいは防火性のハロゲン化合物が適している。同様に、可塑剤、核形成剤、カーボンおよびグラファイトのようなIR吸収剤、酸化アルミニウム粉末またはAl(OH)、可溶性または不溶性染料、殺生物剤(殺菌剤のような)として作用する物質、および顔料もまた、添加剤として適している。難燃化添加剤は、ポリウレタンフォーム形成組成物中に、約1から約30pphpの濃度、より特定的には約10から約20pphpの量、そしてさらにより特定的には約10から約16pphpの量で使用してよく、ここでpphpは100部のポリオール当たりの部を意味する。
【0081】
組成物は、フレームラミネーションにおける接合強度を改良するための化合物を含んでいる。適切なフレームラミネーション添加剤の例には、限定するものではないが、リン含有難燃化剤および芳香族構成単位を有するポリオールが含まれる。特に適切なフレームラミネーション添加剤には、限定するものではないが、AKZO社からのFyrolPNX、Clariant社からのExolit OP 560のような高分子量難燃化剤およびビスフェノールAアルコキシレートが含まれる。接合強度を改良するための化合物は、ポリウレタンフォーム形成組成物中において、約1から約10pphpの濃度、より特定的には約1から約8pphpの量、およびさらにより特定的には約1から約6pphpの量で使用してよく、ここでpphpは100部のポリオール当たりの部を意味する。
【0082】
本発明の組成物からポリウレタンを形成するに際しては、ポリエーテルポリオールに前述したイソシアネートインデックスに対応する適切な量のイソシアネートを添加して混合することができ、ポリオールおよび本発明の界面活性剤化合物を含む組成物中の他の成分が撹拌される。ポリオール/イソシアネートの混合物は任意選択的に、発泡が停止するまで真空下に維持され、次いで型に注入される。得られるポリウレタンフォームは室温で、またはより高い温度で硬化することができる。
【0083】
フォームは、スラブストックプロセス、または当業者の技術範囲内の適切な任意の他のプロセス、例えば種々の成形プロセスによって調製してよい。スラブストックプロセスは格別な関心事であるが、それは、フレーム融着および/または高周波溶着による積層物の作成に使用されるポリウレタンフォーム層は、そうしたフォームの塊(バン)をスライスすることによって製造可能だからである。スラブストックプロセスにおいては、成分は混合されてトラフ容器その他の領域に注入され、そこで処方物が反応し、少なくとも一つの方向に自由に膨張し、そして硬化する。スラブストックプロセスは一般に、商業的規模で連続的に実施され、四角い塊、すなわち頂部が平坦な塊が得られる。スラブストックプロセスはまた、好ましくは蓋を使用して、不連続なまたはボックス発泡プロセスで実施してよい。別の選択肢は、後で剥離可能な円筒形のフォームのような連続した形状を連続的または不連続的に製造することである。各種の成分は混合ヘッド内へと個別に、または種々の部分的な組み合わせでもって投入され、そこで混合され、移動するコンベアまたは型内のいずれかへと分配される。
【0084】
本発明は、標準的な気泡構造を有していてよい、可撓性のポリウレタンフォームに適用される。一つの実施形態において、フォームは約10から80kg/mの間の密度を有していてよく、またそれと無関係に、少なくとも約30パーセントの弾性を有していてよい。標準的な気泡構造とは、フォームの塊全体を通じて、気泡がほぼ同じ形状と寸法を有することを意味している。一つの実施形態において、フォームは直径約0.5ミリメートルよりも大きなピンホールを有していない。積層体の厚みは、特定の目的または意図する用途について、所望に応じて選択してよい。一つの実施形態では、フォームは少なくとも約0.5;少なくとも約1ミリメートル;少なくとも約2ミリメートル;少なくとも約4ミリメートル;少なくとも約5ミリメートル;少なくとも約8ミリメートル;少なくとも約10ミリメートル;さらには約15ミリメートルまでの厚みを有する。一つの実施形態において、フォームは約0.5ミリメートルから約15ミリメートル;約1から約12ミリメートル;約2から約10ミリメートル;さらには約5から約8ミリメートルの厚みを有する。一つの実施形態において、フォームは約4から約10ミリメートルの厚みを有する。
【0085】
本発明は、本発明の界面活性剤を使用して調製された少なくとも一つのポリエーテル系フォームと、熱接着プロセスを使用してフォームに直接隣接して接合された少なくとも一つの基材を含む積層物を含んでいる。熱接着プロセスは例えば、フレーム融着または高周波溶着プロセスであってよい。積層物は、フォームまたはそれに接合された基材とは異なる組成を有する接着剤によってではなく、再固化した溶融ポリウレタンによって接合されていることによって、構造的に区別されうる。
【0086】
適切な基材は、フォームに対して熱融着可能な任意の材料を含んでいる。こうした基材には、限定するものではないが、木材(木材パルプ、パルプ複合体、製材、シート、木質構造を含む)、紙類、金属(シート、構造体、箔を含む)、紡織布、織布、ニット、フェルト、マット、不織布、フリースなどのファブリック、およびコットン、ウール、シルク、リネン、ジュート、ヘンプ、サイザル、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニル-アクリロニトリルコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、レーヨン、ポリウレタン、スパンデックスといった天然および合成繊維から製造した繊維製品ファブリックその他、およびこれらの組み合わせが含まれる。他の有用な基材には、限定するものではないが、メラミンまたはメラミンホルムアルデヒド、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)、セロファン、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレンおよびその他から調製したプラスチックフィルム、シート、構造体またはフォーム、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。組成が同じかまたは好ましくは異なる、少なくとも一つの基材に対して積層された、少なくとも一層のフォームを含む構造体もまた、本願では複合構造として参照され、任意選択的に層の形でまたは他の形態で、付加的な材料を含んでよい。複合構造は任意選択的に、技術の枠内で任意の形状または構造を有する。
【0087】
本発明の組成物から形成されたフォームは熱融着性であり、特に高周波溶着(例えば超音波溶着)を使用して、フレーム溶着および融着可能である。誘電性およびホットプレート熱接着もまた、これらのフォームを用いて有効である。本発明はまた、少なくとも一つの基材を少なくとも一つのポリウレタンフォームにヒートシールすることを含む、積層構造または複合構造の製造プロセスをも対象としており、このフォームは先に説明したようにして製造される。
【0088】
フレームラミネーションの場合、積層物および複合構造は、先に説明したポリウレタンフォームの表面の一部または全部をフォームの溶融温度以上の温度に加熱して、粘着性の液状または半液状の層を形成し、そしてその直後に、または加熱操作と同時に、基材をフォームの粘着性の表面に対して接触させ、フォームと基材の間に接合が形成されるように冷却することによって製造してよい。さらに処理を行うために十分な接合を形成するのに必要な固化の程度および速度に応じて、粘着性の表面に対する接触工程の後に、基材を粘着性の表面と接触状態で保持する任意選択の工程を設けてよい。フォームの溶融温度は、含有成分の性質および量に応じて変化しうるが、一般には約205℃から約316℃の範囲にありうる。一般に望ましいのは、具体的なフォームについて、フォームの表面を溶融温度より約38℃以上高い温度に加熱しないことである。高周波溶着の場合には、フォームと基材(単数または複数)が二つの電極の間に圧縮され、熱成形可能で溶着可能になるまで、この複合体を加熱する。この温度は約200℃である。フォームの溶融または熱成形された表面が冷却し少なくとも部分的に再固化するまで、基材をフォームの表面接触状態に維持するに際しては、接合および/または溶着が生ずるまでフォームと基材を接触状態に保つため、ある程度の大きさの圧力を用いることが、多くの場合に望ましい。この圧力は任意選択的には、フォームまたは基材の自重に由来する低いものであるが、しかし好ましくは、平方インチ当たり約0.1から約150ポンド超(約7から1,000kPa)程度のものである。低い圧力はフレーム融着に、高い圧力は高周波溶着に適用される。本技術の当業者は、殆どのプロセスにおいて、圧力はフレーム融着の場合に少なくとも24時間、すなわち積層物の冷却および養生時に維持されるが、高周波溶着は不連続操作であって圧力は直後に解放されることを認識するであろう。
【0089】
熱はフォームの表面に対して、任意の在来の手段、例えばフレーム、「ホットプレート」のような加熱表面、赤外線加熱その他によって、加えることができる。しかしながら本発明は、特にフレーム溶着において有用である。代替的に、熱は高周波放射線または誘電手段によって供給してもよい。高周波放射線には、音波が超音波領域にある、超音波処理が含まれる。
【0090】
本発明のフォーム、および当該フォームを含む積層物または複合体システムは、限定するものではないが、断熱、シートカバー、クラッシュパッド、ドアパネル、マットレス、枕およびクッションのような快適用途、例えば座席用、吸音用、振動緩衝用およびこれらの組み合わせといった、既存のフォームの用途の任意のものについて有用であり、これには天井材、被服用パッド、運動靴、プラスチック製および皮革製バッグ、ブーツおよび家庭用スリッパの中敷き、寝袋およびその他、ならびにこれらの組み合わせといった用途が含まれる。加えて、溶着されたフォームは、バンパーのパッド、運動用および医療用設備、ヘルメットのライナー、操縦席、耳栓、マットレス、パッケージ、といった各種の包装用およびクッション用途、ならびに種々の騒音および振動緩衝用途に有用である。
【0091】
上記したところは、本発明の例を含むものである。もちろん、本発明の記述を行う目的で、認識可能なあらゆる成分または方法論の組み合わせを記載することは不可能であるが、本技術の当業者は、本発明の多くの他の組み合わせおよび配列変更が可能であることを認識されうるであろう。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲内に含まれる、すべての変更、修正、および変化を包含することを意図している。さらにまた、用語「含む」は、詳細な説明または特許請求の範囲で用いられる限りにおいて、「含有する」と同様の仕方で包括的であることを意図したものであり、これは「含有する」が請求項中で用いられた場合に経過的な語として理解されるのと同様である。
【実施例
【0092】
本願に記載する例および表においては、以下の材料が使用された:
・Dow Chemical社からのポリエーテルポリオールVoranol 3010
・Momentive Performance Materials社からのNiax触媒A-1
・Momentive Performance Materials社からのNiax触媒SA-800
・Momentive Performance Materials社からのNiaxD-19
・Momentive Performance Materials社からのNiaxフレームラミネーションエーテルFLE-200
・Bayer Material Science社からのMondur TDI-80トルエンジイソシアネート
・Zhejiang Wansheng CompanyからのWSFR 504LF液体難燃化剤
例1~5
【0093】
これらの実験で使用した界面活性剤は式:
MDD’
のものであり、式中、Mは(CH)SiO1/2-;Dは-O1/2Si(CH)1/2-;D”は-O1/2Si(CH)R’O1/2-およびR’はR、R、またはR、Rである。R、RおよびRはアセトキシキャップ化ポリエーテルそしてRは置換または未置換のCからC12のアルキル、アルカリール、またはアリール基である。R’基のさらなる詳細は、具体的な界面活性剤の例について提供される。
界面活性剤S1
【0094】
界面活性剤S1は式MDD’Mの化合物であり、式中R’は、分岐部分の約80モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%で目的平均MWが約15,000ダルトンである、二つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルから構成されている。D/D’≧8であるため、界面活性剤S1は比較例であり、本発明の界面活性剤とは見なされない。
界面活性剤S2
【0095】
S2は式MDD’Mの化合物であり、式中R’は、分岐部分の約0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%で目的平均MWが約17,000ダルトンである、二つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルから構成されている。D/D’≧8であるため、界面活性剤S2は比較例であり、本発明の界面活性剤とは見なされない。
界面活性剤S3
【0096】
界面活性剤S3は式MDD’Mの化合物であり、式中R’は、分岐部分の約0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%で目的平均MWが約30,000ダルトンである、三つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルから構成されている。ポリエーテルaとポリエーテルbが一緒にブレンドされ、次いでポリエーテルcと、比率(ポリエーテルa+ポリエーテルb)/ポリエーテルcが1.0で組み合わせられる。D/D’の比率は6から7の範囲にある。
界面活性剤S4
【0097】
界面活性剤S4は式MDD’Mの化合物であり、式中R’は、一つの未置換アルカリールと、分岐部分の約0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%で目的平均MWが約20,000ダルトンである、二つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルから構成されている。D/D”の比率は4から7の範囲にある。
界面活性剤S5
【0098】
界面活性剤S5は式MDD’Mの化合物であり、式中R’は、分岐部分の約0モルパーセントがエチレンオキシド含量≧75重量%で目的平均MWが約23,000ダルトンである、二つの異なるアセトキシキャップ化ポリエーテルから構成されている。D/D”の比率は4から7の範囲にある。
可撓性のスラブストックポリウレタンフォームの調製
【0099】
これらの実験は、フォームの初期接合強度および最終接合強度というフォームの重要なフレームラミネーション特性をすべて同じ気流条件において直接比較するように設計された。
【0100】
【0101】
シリコーン界面活性剤S1、S2、S3、S4およびS5を使用して、フォームの評価対象を実験室で手練りすることによって、処方I(表1に列挙した)のポリウレタンフォームを調製した。製造されたフォームは、触媒の僅かな調節による有効なフォーム特性比較について、同等の通気性を有していた。
【表1】

フレームラミネーションプロセス
【0102】
フォームが硬化した後、スライサー装置を用いて、フォームを厚さ4mmで幅25cmの片に薄剥ぎした。薄剥ぎしたフォーム薄片とPVC皮革(灰色、乗用車のシートカバーに使用される)をパイロットフレームラミネーション装置(PLA-MA社により製造、タイプLLM-05)により、「青炎」まで10mmのフレーム距離と30m/分の積層速度の処理条件で積層した。
フレームラミネートされたフォームの物性測定
接合強度の測定
【0103】
初期接合強度はフレームラミネーションから3分後に、Zwich社の装置によりDIN 53357法にしたがって測定した。
【0104】
最終接合強度はフレームラミネーションから24時間後に、Zwich社の装置によりDIN 53357法にしたがって測定した。
フォームの気流および通気性
【0105】
フォームの通気性は、気流試験機により、ASTM D3574にしたがって測定した。
【0106】
フレームラミネートされたフォームの通気性、最終接合強度、および初期接合強度の改善を例1に対して比較し、また最終接合強度の改善を例1に対して比較し、表2に列挙した。
【表2】
【0107】
例1~5は同等の通気性挙動を有し、これはフォームのフレームラミネーション接合強度の有効な比較をもたらす。
【0108】
表2は異なるD/D”比を有する五つの異なるシリコーン界面活性剤によって作成されたフォームの例を、それらのフレームラミネーションの初期および最終接合強度と共に示す。業界で使用されている界面活性剤S1は、コントロールとして使用されており、本発明の一部をなすものではない。
【0109】
界面活性剤S1およびS2を用いた例1から例2はそれぞれ、8.4よりも大きな高いD/D”比を有している。例2の初期接合強度は、例1のそれよりも7%高い。
【0110】
7.0よりも低いD/D”比を有する界面活性剤S3によって作成された例3のフォームは、例1よりも10%高いフレームラミネーションフォーム初期接合強度10%、および例1よりも13%高い最終接合強度を有することが見出された。これは、10%から30%の接合強度改善範囲に含まれる。
【0111】
5.5よりも低いD/D”比と三つのペンダントR’基を有する界面活性剤S4によって作成された例4のフォームは、例1よりも18%高い初期接合強度と、例1よりも21%高い最終接合強度を有するフレームラミネーションフォームであり、これは10%から30%の接合強度改善範囲に含まれる。
【0112】
5.5よりも低いD/D”比と二つのペンダントR’基を有する界面活性剤S5によって作成された例5のフォームは、例1よりも21%高い初期接合強度と、例1よりも30%高い最終接合強度を有するフレームラミネーションフォームであり、これは10%から30%の接合強度改善範囲に含まれる。
例6~11:難燃レベルおよびフレームラミネーションエーテル添加剤レベルの発泡結果
フレームラミネーションフォームの難燃性挙動
【0113】
フレームラミネーションフォームの難燃性挙動は、FMVSS302((GB8410-2006自動車内装材の燃焼特性)にしたがって測定した。
【0114】
以下の例はまた実質上同一の化学的処方(表3)と手練り発泡条件を用い、実験室の手練り発泡装置によって調製した実験用フォームについての、フォームのフレームラミネーション特性および燃焼特性に重点を置いており、先の実験との主たる相違点は、一つの界面活性剤組成物を別のものと置き換え、難燃化レベルを10または20%低減させるかフレームラミネーション添加剤を10%または20%低減させたところにある。幾つかの処方については、有効なフォーム特性の比較を行うために同等の通気性を有するフォームを製造するため、上記の処方に対して触媒の僅かな調節(重量による相対量の変化)が必要であった。
【表3】
【0115】
表4の結果は、D/D”比が5.5より小さな界面活性剤S5によって作成されたフレームラミネーションフォームが、D/D”比が8.4より大きな界面活性剤S1により作成されたフレームラミネーションフォームよりも高い最終接合強度をもたらすことを示している。界面活性剤S5は、10%から20%少ない難燃化剤を使用するという大きな低減をもたらす一方で、同じか、または僅かに良好な最終接合強度、通気性、および難燃化挙動を維持する。
【表4】
【0116】
表4のデータはまた、界面活性剤S5が、より低濃度のフレームラミネーション添加剤の使用を許容することを示している。というのはフォームが、10%から20%少ないフレームラミネーション添加剤を使用する一方で、同じかまたは僅かに良好な最終接合強度、通気量および難燃化挙動を維持しているからである。
【0117】
表4の結果は、本発明の界面活性剤構造が、大きく改良されたポリエーテル-ポリウレタンのフレームラミネーションフォーム接合強度、とりわけ10から30%改良された接合強度をもたらすことを確認している。
【0118】
以上の記述は、熱管理アセンブリの種々の非限定的な実施形態を特定している。本技術分野の当業者、および本発明を製造し使用する者には、変更が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示的な目的であり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲またはその主題を制限することを意図したものではない。