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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】機械式の仮想楕円駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20221128BHJP
   F16H 55/08 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
F16H1/32 C
F16H55/08 A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018074907
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2018185042
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】15/494,396
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ.アトムール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム パトリック サージェント
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特公昭44-002373(JP,B1)
【文献】特開2003-042240(JP,A)
【文献】国際公開第2010/134218(WO,A1)
【文献】特開昭57-054754(JP,A)
【文献】特開2017-020647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 55/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸、前記回転軸に垂直な実質的に平坦な面、及び、前記実質的に平坦な面から延びる少なくとも1つの丸みを帯びた突起、を有する入力モータと、
前記入力モータの前記回転軸に対して非ゼロ角度で配置された転頭軸、前記転頭軸に垂直であるとともに概して前記入力モータの方を向く実質的に平坦な第1面、前記第1面に平行な平面を規定するとともに概して前記入力モータから離れる方を向く第2面、前記第2面に設けられた複数の面歯、及び、前記第1面と前記第2面の間の前記転頭プレートの外周に沿って、前記転頭軸に垂直な平面内に設けられた複数の転頭歯、を有する転頭プレートと、
前記複数の転頭歯と係合するように構成された複数のステータ歯を有するステータギアと、
前記回転軸と実質的に整列する出力軸及び複数の出力歯を有する出力プレートと、を含み、
前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記転頭プレートの前記第1面と係合するように構成されており、前記複数の面歯は、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記複数の出力歯と係合及び係合離脱するように構成されており
前記複数のステータ歯は、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記複数の転頭歯と係合及び係合離脱するように構成されている、転頭プレート駆動装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記回転軸を中心として測定した場合に80度と100度との間の角度離間している2つの丸みを帯びた突起を含む、請求項1に記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項3】
前記角度は、89度である、請求項2に記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記転頭プレートの前記第1面と接触するベアリングである、請求項1~2のいずれか1つに記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項5】
前記複数の転頭歯、前記複数のステータ歯、又はこれら両方は、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定される、請求項1、2、又は4のいずれか1つに記載の転頭プレート駆動装置。
【請求項6】
実質的に平坦な面と前記実質的に平坦な面から延びる少なくとも1つの丸みを帯びた突起とを有しているモータを励起させて回転軸周りに回転させ、
前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起を、転頭プレートの実質的に平らな面と係合させ、これにより前記転頭プレートを章動させ、
前記転頭プレートが章動する際に、前記転頭プレートの複数の転頭歯を、ステータギアの複数のステータ歯と係合及び係合離脱させ、これにより、前記転頭プレートを回転させ、
前記転頭プレートが章動及び回転する際に、前記転頭プレートの複数の面歯を、出力プレートの複数の出力歯と係合及び係合離脱させ、これにより、前記出力プレートを回転させる、転頭プレート駆動装置の操作方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記転頭プレートの前記実質的に平らな面と接触するベアリングである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の転頭歯及び前記複数のステータ歯は、各々が少なくとも部分的に、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定される、請求項6~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記複数の面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記円錐台面は、前記転頭プレートの重心が前記円錐台面の頂点と一致するように構成されている、請求項6~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記転頭プレートは、前記モータ、前記ステータギア、又は前記出力プレートのうちの任意の1つによって前記転頭プレートに付与される接触力が、前記回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向を向くように構成されている、請求項6~9のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転頭プレート(wobble plate)駆動装置に関する。より具体的には、本開示は、楕円状に連結するギアシステムを用いてトルクを増やすシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上のギアを使用することによって、ギア比による機械的効果を生じさせることができる。様々なギア配置によって、第1のギアが1回転すると、同じ時間内に第2のギアが1回転よりも多く又は少なく回転する構成とすることができる。用途によっては、ギア比が極めて高く、ギアの減速量が極力小さいモータを有することが望ましい場合がある。
【0003】
以前から、転頭プレート式の駆動機構は、小型で高ギア比のモータを実現するための有望な手法であると考えられてきた。しかしながら、実際には、効率的且つ効果的な転頭プレート駆動システムは、実現が困難であるとされてきた。これは、システム内で働く力により、機構の係合離脱、許容できないレベルの振動、又は、摩擦による非効率が、しばしば発生するからである。
【発明の概要】
【0004】
入力モータ、転頭プレート、ステータギア、及び出力プレートを含む、機械式の仮想楕円駆動装置が開示される。入力モータは、回転軸、前記回転軸に垂直な実質的に平坦な面、及び、前記平坦な面から延びる丸みを帯びた突起を有しうる。
【0005】
転頭プレートは、転頭軸、及び、前記転頭軸に垂直であるとともに概して前記入力モータの方を向く実質的に平坦な第1面を有しうる。前記転頭プレートの前記第1面に平行な平面内にある第2面は、概して前記モータから離れる方を向いていてよく、複数の面歯及び複数の転頭歯を含みうる。転頭プレートは、前記転頭軸が、前記モータの前記回転軸に対して非ゼロ角度を成すように配置されうる。
【0006】
ステータギアは、ステータ軸、及び、前記転頭歯と係合するように構成された複数のステータ歯を有しうる。出力プレートは、出力軸、及び、前記面歯と係合するように構成された複数の出力歯を有しうる。ステータギアは、前記ステータ軸が前記回転軸と整列するように配置されうる。同様に、出力プレートは、前記出力軸が前記回転軸と整列するように配置されうる。
【0007】
前記入力モータの丸みを帯びた突起は、前記転頭プレートの実質的に平坦な面の接触点に接触して、前記転頭プレートと係合しうる。前記入力モータは、前記ステータ軸を中心として前記突起を回転させ、これにより、前記転頭軸が前記ステータ軸を中心として歳差運動するように、前記転頭プレートを前記ステータの周囲に沿って章動させうる。前記転頭プレートと前記ステータギアとの最接近点が前記ステータ軸を中心として移動する際に、前記接触点は、前記最接近点よりも前方に進められうる。
【0008】
前記複数の転頭歯は、前記複数のステータ歯と係合するように構成されうる。前記複数の面歯は、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記複数の出力歯と係合するように構成されうる。
【0009】
前記機械式の仮想楕円駆動装置を操作する方法は、前記モータを励起させて前記回転軸周りに回転させ、前記丸みを帯びた突起を、前記転頭プレートの前記実質的に平らな面と係合させ、これにより前記転頭プレートを章動させることを含みうる。当該方法は、前記転頭プレートが章動する際に、前記複数の転頭歯を、前記複数のステータ歯と係合させ、これにより、前記転頭プレートを回転させることを含みうる。当該方法は、さらに、前記転頭プレートが回転及び章動する際に、前記複数の面歯を、前記複数の出力歯と係合させ、これにより、前記出力プレートを回転させることを含みうる。
【0010】
本開示は、種々の装置及びその使用方法を開示している。いくつかの実施形態において、機械式の仮想楕円駆動装置は、モータ、転頭プレート、ステータギア、及び出力プレートを含みうる。いくつかの実施形態において、モータは、90度未満の角度間隔で設けられた2つのカートリッジベアリングを含みうる。いくつかの実施形態において、転頭プレート、ステータギア、及び、出力プレートの各々は、偏心力を制限するように設計された形状の1組の歯を含みうる。
【0011】
特徴、機能、及び、利点は、本開示の様々な実施形態において個別に実現可能であるが、他の実施形態において互いに組み合わせてもよく、さらなる詳細については、以下の記載及び図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の態様による例示的な転頭プレート駆動装置の分解等角投影前面図である。
図2図1の転頭プレート駆動装置の分解等角投影背面図である。
図3図1の転頭プレート駆動装置の転頭プレートの等角投影図である。
図4図1の転頭プレート駆動装置の、駆動装置の回転軸に平行な平面に沿った断面図である。
図5図1の転頭プレート駆動装置の、図4の平面から45度回転させた平面に沿った断面図である。
図6】本開示の態様による、転頭プレート駆動装置の例示的な使用方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<概要>
モータ、転頭プレート、ステータギア、及び、出力プレートを有する機械式の仮想楕円駆動装置の様々な実施形態を、以下に説明するとともに、関連する図面に図示する。別段の記載がない限り、機械式の仮想楕円駆動装置及び/又はその様々な部品は、本明細書に記載、図示、及び/又は、組み込みがなされた構造、部品、機能、及び/又は変形例の少なくとも1つを含みうるが、必須ではない。また、本開示に関連させて本明細書に記載、図示、及び/又は組み込みがなされた構造、部品、機能、及び/又は変形例を、他の楕円駆動装置に含めることができるが、これは必須ではない。以下の様々な実施形態の説明は、単に例示的な性質のものであり、本開示やその適用例又は用途を、なんら限定することを意図するものではない。また、以下に説明する、実施形態によってもたらされる利点は、例示的な性質のものであり、すべての実施形態が同じ利点や同程度の利点をもたらすとは限らない。
【0014】
仮想楕円駆動装置は、転頭プレート機構を含みうる。転頭プレート機構においては、ギアのうちの1つ、例えば転頭プレートが、別のギア、例えばステータギアの周囲に沿って章動する。本明細書において、章動する又は章動という言葉は、転頭(wobble)、揺れ(sway)、又は、円形ロッキング動(rocking motion)を意味する。転頭プレートの歯数とステータギアの歯数が1つ異なる場合、そのシステムは、ステータギアの歯数に等しいギア比を有することになる。ギアを2つのみ用いる転頭プレート機構は、小型で高ギア比を実現することできる。
【0015】
<実施例>
機械式の仮想楕円駆動装置の一実施形態は、図1図2とでは異なる角度から見ることができ、概括的に符号10で示している。駆動装置10は、入力モータ12、転頭プレート14、ステータギア16、及び、出力プレート18を含みうる。モータ12は、回転軸20を規定し、当該回転軸が中心となるように、ステータギア16及び出力プレート18が配置されうる。転頭プレート14は、当該回転軸に対して非ゼロ角度で配置されうる。
【0016】
転頭プレート14は、実質的に平坦な後面24と前面26とを有するとともに、複数の面歯28及び複数の転頭歯30を備えうる。面歯28は、前面26に設けられうる。転頭歯30は、面24と面26との間の転頭プレートの外周に沿って、転頭軸に垂直な平面内に設けられうる。
【0017】
駆動装置10を組み立てると、モータ12は、転頭プレート14の後面24と係合することにより、転頭プレートをステータ16に沿って章動させることができる。ステータは、ステータギアと称する場合もあり、例えば、転頭歯30と係合するように構成された複数のステータ歯32を含んでおり、これにより転頭プレートを回転させることができる。出力プレート18は、例えば、面歯28と係合するように構成された複数の出力歯34を含んでおり、これにより、転頭プレートは、出力プレートを回転させることができる。このように、モータ12は、転頭プレート14とステータ16との第1ギア比と、転頭プレート14と出力プレート18との第2ギア比とによって決まるトルクで、出力プレート18を回転させることができる。
【0018】
図1及び図2に示した実施形態において、入力モータ12は、回転軸20に垂直な実質的に平坦な面36を有する電気モータであり、当該平坦面に連結された第1カートリッジベアリング38及び第2カートリッジベアリング40を含んでいる。ベアリング38及び40は、図1に最もよく表れている。第1ベアリングは、回転軸20周りに測定した場合に、第2ベアリングから89度角度離間しうる。ベアリングは、平坦面36の半径方向縁部に隣接する位置に、連結することができる。
【0019】
ベアリング38、40は、駆動装置10が組み立てられた際にベアリング38又はベアリング40のいずれかが転頭プレートの後面24に接触するように、平坦面36から延出しうる。この接触点は、回転軸周りに測定した場合に、モータと転頭プレートとの最接近点から45度角度離間した点に位置しうる。ベアリングは、転頭プレート14の後面24に転がり接触するように構成することができ、これにより、転頭プレートと係合して章動を生じさせる。
【0020】
図示しない別の実施形態において、(2つの突起ではなく)1つの丸みを帯びた突起が、モータ12の平坦面36に形成されていてもよい。この丸みを帯びた突起は、回転軸周りに測定した場合に、点44から45度角度離間した点で、転頭プレート14と接触しうる。他の実施形態では、必ずしも正確に89度ではなく、80度と100度との間の角度離間する2つの突起を含んでいてもよい。さらに他の実施形態では、平坦面36から延出する3つ以上の突起を含んでいてもよい。
【0021】
丸みを帯びた突起の数にかかわらず、丸みを帯びた突起と転頭プレートの後面24との摩擦を低減するために、モータ12と転頭プレート14との間に潤滑剤を配置してもよい。また、突起は、任意の形状であってよいし、転頭プレート14に対する突起の低摩擦の転がり係合の実現に資する任意の機構を含んでいてもよい。
【0022】
図3に示すように、転頭プレート14は、後面24、前面26、及び、中心軸又は転頭軸22を有する、ディスクと同様の形状に形成することができる。転頭プレート14は、転頭軸22が回転軸20に対して非ゼロ角度を成すように、位置合わせされうる。後面24は、例えば転頭軸に対して垂直であり、前面26は、後面に対して平行な平面を規定する。図1図2に示すように、後面24は、概して入力モータ12の方を向いており、前面26は、概してモータから離れる方に向いている。
【0023】
図3に戻ると、複数の転頭歯30は、後面24と前面26との間の転頭プレート14の外周に沿って、転頭軸22に垂直な平面内に設けられうる。転頭歯は、転頭プレートの外側円筒面58から、転頭軸から遠ざかる半径方向に延出しうる。転頭歯は、さらに、転頭歯ベース60から、転頭軸に沿う軸方向に延出しうる。転頭歯ベースは、例えば、転頭プレートに連結された、あるいはこれと一体の、略環状の部材である。複数の転頭歯は、円筒面58と転頭歯ベース60の両方から延出しうる。円筒面又は転頭歯ベースのいずれか又は両方に転頭歯を接続することによって、複数の転頭歯に、物理的支持又はある程度の剛性を与えることができる。転頭歯30の数は、任意に選択可能である。
【0024】
各転頭歯30は、例えば第1係合面を含み、歯の反対側には、例えば第2係合面がある。各係合面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。転頭歯30の一方又は両方の係合面は、以下に詳述するように、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。あるいは、当該曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度における、歯の位置への仮想楕円の射影であってもよい。
【0025】
また、各転頭歯30は、係合部と支持基部とを含みうる。係合部は、第1係合面及び第2係合面を含みうる。支持基部は、係合部を転頭歯ベース60に接続しうる。
【0026】
複数の転頭歯30の各々において、第1係合面及び第2係合面の一方又は両方は、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。すなわち、第2係合面の曲線は、次の第1式によって規定されうる。
【数1】
同式において、Cは、転頭プレートの半径に比例しうる定数であり、φは、0~π/2ラジアンの値をとることができ、Dは、1未満の正の定数でありうる。Dの値は、例えば約0.65である。ただし、他の値も可能である。第1式は、1に正規化してもよい。
【0027】
これに代えて、第2係合面の曲線は、次の第2式によって規定してもよい。
【数2】

同式において、Cは、転頭プレートの半径に比例しうる定数であり、φは、0~π/2ラジアンの値をとることができ、Dは、1未満の正の定数でありうる。Dの値は、例えば約0.65である。ただし、他の値も可能である。
【0028】
第2式は、転頭プレートの半径に正規化してもよい。第2係合面の曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度における、歯の位置への仮想楕円の射影であってもよい。第1係合面の曲線は、歯の頂点を通り且つ回転軸を含む平面を中心に反転させた、第2係合面の曲線の鏡像であってよい。また、第1係合面と第2係合面とは、各歯の頂点で滑らかに繋がっていてよい。従って、歯の断面は、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。
【0029】
図3に示すように、転頭プレート14の前面26は、環状の転頭面64を含みうる。当該転頭面は、図示の実施形態では、円錐台面である。すなわち、環状の転頭面64は、転頭軸22に垂直な平面に対して傾斜しており、環状転頭面上のあらゆる点は、転頭軸上に位置する円錐台頂点に至るまで延長可能な円錐台線を含んでいる。環状の転頭面64の円錐台の頂点は、転頭プレート14の重心に一致しうる。他の実施形態において、転頭面は、これとは異なる形状を有していてもよい。
【0030】
複数又は一群の面歯28が、環状転頭面64に配置されている。面歯28の数は、任意に選択可能であり、出力歯34の数より多くても少なくてもよいし、出力歯と同数であってもよい。図示の実施形態においては、面歯28の数と出力歯34の数は同じである。各面歯は、2つの駆動面を含みうる。駆動面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0031】
再び図1図2を参照すると、ステータギア16は、ベース48を有しうる。ベースは、内側円筒面50及びステータ歯ベース52を含みうる。ベース48は、駆動装置10を使用する任意の装置の台部材にステータ16を機能的に連結するように構成された取り付けポイントを含んでいてもよい。ステータ16は、当該装置に対しては、静止している。ステータギアは、回転軸20と実質的に一直線を成し、ひいては出力軸とも実質的に整列するステータ軸54を規定しうる。
【0032】
ステータ16は、一部が内側円筒面50によって規定されうる内部空間56を有しうる。内部空間56は、以下に詳述するように、転頭プレート14の一部又は全体を収容するように構成されうる。
【0033】
ステータ歯32は、内側円筒面50及びステータ歯ベース52のうちのいずれか一方又は両方に設けられうる。ステータ歯は、内側円筒面から内部空間56内に、回転軸に向かう半径方向に延出しうる。ステータ歯は、ステータ歯ベース52から、回転軸に沿う軸方向に延出しうる。ステータ歯の数は、用途及び所望のギア比によって、任意に選択可能である。ステータ歯の数は、転頭歯30の数より多くても少なくてもよいし、転頭歯と同数であってもよい。
【0034】
複数のステータ歯の各々は、回転軸20に対して、近位端及び遠位端を有しうる。ステータ歯の遠位端は、内側円筒面50に接続されうる。各歯は、例えばさらに第1係合面を含み、歯の反対側の面には、例えば第2係合面がある。各係合面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0035】
ステータ歯32の一方又は両方の係合面は、前述したように、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定されうる。あるいは、当該曲線は、0ラジアンと2πラジアンの間のすべての角度における、歯の位置への仮想楕円の射影であってもよい。
【0036】
複数のステータ歯32の各々は、係合部と支持基部とを含みうる。係合部は、第1係合面及び第2係合面を含みうる。支持基部は、係合部をステータ歯ベース52に接続しうる。
【0037】
図1図2に示すように、出力プレート18は、環状出力面62に配置された複数の出力歯34を備えうる。出力プレート18は、実質的に回転軸20と整列する出力軸をさらに有する。
【0038】
図2に最もよく表れているように、出力面62は、円錐台状である。すなわち、環状出力面62は、回転軸20に垂直な平面に対して傾斜しており、環状出力面上のあらゆる点は、回転軸上で且つ出力プレート18の前方に位置する円錐台頂点に至るまで延長可能な円錐台線を含んでいる。上述の要素を組み付けて駆動装置10とすると、環状出力面62の円錐台の頂点は、転頭プレート14の重心に一致しうる。他の実施形態において、出力面は、円筒形又は別の頂点を有する円錐台形などの、異なる形状を有していてもよい。
【0039】
出力歯34の数は、任意に選択可能であり、面歯28の数より多くても少なくてもよいし、面歯と同数であってもよい。図示の実施形態においては、出力歯34の数と面歯28の数は同じである。各出力歯は、2つの従動面を含みうる。各従動面は、平面状であってもよいし、複数の平面で構成されていてもよいし、曲率を有する1つ以上の面で構成されていてもよい。
【0040】
図4図5は、駆動装置10の断面図であり、組み付けられた状態のモータ12、転頭プレート14、ステータギア16、及び出力プレート18を示している。モータと出力プレートとは、ステータ軸54に沿って整列させることができる。すなわち、回転軸と、出力軸と、ステータ軸とが、実質的に整列する状態とすることができる。転頭プレート及び転頭軸22は、ステータ軸に対して、任意の所望且つ適切な非ゼロ角度で配置されうる。転頭プレート14がステータ16及び出力プレート18の周囲に沿って章動する際、転頭プレートの重心は、実質的に固定状態とされうる。
【0041】
図5は、図4の断面の平面をステータ軸54を中心として45度回転させた平面における断面図であり、各図における角度は、部品間の関係をより明確に示すために誇張されている。
【0042】
転頭プレート14は、ステータギア16と係合するように構成されている。より具体的には、転頭歯30が、ステータ歯32と係合するように構成されている。モータ12が第1方向に回転する場合、転頭歯の第1係合面が、ステータ歯の第1係合面と係合しうる。すなわち、複数のステータ歯の第1係合面と、第1の複数の転頭歯の第1係合面との相互作用によって、ステータギアによって転頭プレートに接触力が付与されうる。これらの接触力によって、転頭プレートは、第1方向に回転するととともに、第1章動方向に章動する。
【0043】
一般的に、ステータギアはn個のステータ歯を、転頭プレートはm個の転頭歯を有し、nとmとは1以上異なる整数であり、典型的には1異なる整数である。転頭プレートがステータギアの周囲に沿って章動する際、複数の転頭歯の各々は、1回の章動中に、複数のステータ歯のうちの1つと係合しうる。ステータ歯が転頭歯より1つ多い場合、転頭プレートは、一回の章動中にわずかだけ回転しうる。
【0044】
具体的には、転頭プレートは、転頭プレートが1回章動する間に、完全な1回転の1/mだけ回転しうる。換言すれば、転頭プレートが、おそらくはモータとの相互作用によって、完全な1回転の1/m回転すると、転頭プレートは1回の完全な章動を完了する。従って、転頭プレートとステータギアとは、m:1のギア比に従って相互作用しうる。転頭プレートは、m回章動するごとに、正確に1回転しうる。従って、開示のシステムのギア比は、転頭プレートの歯数mと、ステータギアの歯数nとによって、決定することができる。
【0045】
転頭プレート及びステータギアは、これらの間に付与されるあらゆる接触力が、回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向に向くように構成されうる。接触力は、例えば、転頭軸22に対して実質的に垂直であり、且つ、転頭歯30とステータ歯32との接触点から転頭軸22まで延びる径方向の線に対して実質的に垂直な方向を向く。
【0046】
転頭プレート14及びステータギア16は、実質的に円形でありうるが、各々の配向が異なるために、ステータ上への転頭プレートの射影は楕円形となる。複数の転頭歯30及びステータ歯32を、この仮想楕円を歯の位置に射影することによって輪郭付けしてもよい。ステータ16に対する転頭プレート14の楕円射影は、これにより、非偏心回転となるように限定される。偏心運動を許容すると、大きな不均衡な力が生成され、システムの性能が容認できないものとなる場合がある。
【0047】
転頭プレート14は、面歯28と出力歯34との係合によって、出力プレート18とも係合するように構成されている。転頭プレートが第1回転方向に回転する際、面歯の第1駆動面が、出力歯の第1従動面と係合しうる。すなわち、複数の面歯の第1駆動面と、複数の出力歯の第1従動面との相互作用によって、転頭プレートによって出力プレートに接触力が付与されうる。これらの接触力は、出力プレートを、第1方向に回転させることができる。転頭プレートが第2方向に回転する際は、面歯の第2駆動面と出力歯の第2従動面との接触力が、出力プレートを、第2回転方向に回転させることができる。
【0048】
駆動装置10の例示的な実施形態においては、出力プレートと転頭プレートとは、同じ数の歯を有している。すなわち、出力歯の数が、面歯の数に等しい。従って、図示の実施形態では、出力プレートと転頭プレートとは、1:1のギア比に従って、相互作用及び回転する。すなわち、転頭プレートが完全に一回転するたびに、出力プレートも、正確に、完全に一回転する。出力歯及び面歯の数については、他の選択も可能であり、その場合は、出力ギア比も他の値になる。
【0049】
転頭プレート14及び出力プレート18は、これらの間に付与されるあらゆる接触力が、回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向に向くように構成されうる。例えば、接触力は、転頭軸22に対して実質的に垂直であり、且つ、面歯28と出力歯34の接触点から転頭軸22まで延びる径方向の線に対して実質的に垂直な方向を向く。
【0050】
転頭プレート及び出力プレートを、これらの間の接触力がこのような方向を向くように構成することによって、偏心力を回避することができる。偏心力は、複数の面歯を複数の出力歯から係合離脱させたり、転頭プレートの重心をぐらつかせたりすることにより、駆動システムに望ましくない振動を生じさせる恐れがある。
【0051】
転頭プレート14は、回転軸20に平行な方向に測定した場合に、出力プレート18から最も遠い位置又は点である0度位置又は0度点42を転頭プレート上に有しうる。図4に示した0度位置において、例えば、転頭プレート14は、モータ12に最も接近している。転頭プレート14は、0度位置から第1章動方向に転頭プレートを1/4周した位置である90度位置又は90度点を有しうる。例えば、出力プレートの近傍における、転頭プレートの上方の視点から見て、当該90度位置は、転頭プレートの周囲を反時計回りに90度進んだ点である。転頭プレートの周囲に沿って進んでいくと、180度位置又は180度点44が、転頭プレートの0度位置42の反対側に位置しうる。180度位置は、転頭プレートが出力プレート及びステータギアに最も接近するとともにモータから最も距離が遠い点を取りうる。270度位置又は270度点は、転頭プレートの90度位置の反対側に位置しうる。
【0052】
モータ12は、図4に示すように、0度点42が、所与の瞬間に、ベアリング38とベアリング40との間のモータの平坦面36に接触するように、配置されうる。これと同じ瞬間に、図5に示すように、ベアリング38及び40のうちの一方だけが、転頭プレート14の後面24の点46に接触しうる。モータは、ステータ軸54中心としてベアリングを回転させ、これにより、転頭軸22がステータ軸を中心として歳差運動するように、転頭プレート14をステータギア16の周囲に沿って章動させる。従って、ベアリングと転頭プレート14との接触点46は、180度点44よりも前方に進みうる。
【0053】
モータが第1方向に回転する場合、ベアリング38は、転頭プレートの後面24における0度位置42と270度位置との間の点に接触し、転頭プレートと係合して転頭プレートを第1方向に章動させうる。図5は、そのような場合のベアリング38を示している。モータが第2方向に回転する場合は、ベアリング40は、転頭プレートの後面24における0度位置42と90度位置との間の点に接触し、転頭プレートと係合して転頭プレートを第2方向に章動させうる。
【0054】
駆動装置10の使用中は、転頭プレート14は、通常、章動し且つ回転することになる。転頭プレートは、ステータギア16、モータ12、及び/又は、出力プレート18の周囲に沿って章動するように構成されるものとして説明することができる。転頭プレートが第1章動方向に章動する場合、転頭プレートの0度位置は、その時点での90度位置に向かって移動し、従って、1回の完全な章動の1/4だけ章動した後には、90度位置は0度位置に、180度位置は90度位置になっているなどの状態になる。また、転頭プレートは、章動と同じ速度で回転しなくてもよい。すなわち、転頭プレートが1回の完全な章動を完了する際には、0度位置は、転頭プレートの全周上を移動しうる。この同じ時間中に、転頭プレートは、1回の完全な回転よりも少なく回転しうる。回転速度は、章動速度と、転頭歯30とステータギア16とのギア比とによって、決定されうる。
【0055】
転頭歯30は、転頭プレートが章動する際のあらゆる瞬間において、ステータギアの1/4周部分のステータ歯32と係合しうる。この係合は、第1係合面同士が互いに転動し合う転がり接触の形態でありうる。この転がり接触は、ギア歯の対向する面と面とが滑り接触によって係合する多くの標準的なギア連結とは対照的である。一般的に、同じ2つの面について比べると仮定すると、転がり接触の方が、滑り接触よりも2つの面間の摩擦がはるかに少ない。
【0056】
転頭歯30は、第1方向に章動する際には、0度位置と270度位置との間でのみ、ステータ歯32と接触しうる。この接触は、複数の転頭歯と複数のステータ歯のそれぞれの一部同士の転がり接触に限定されうる。従って、転頭プレートは、滑り接触の場合よりも少ない摩擦で、ステータの周囲に沿って章動することができる。このような構成によって、章動運動又は章動エネルギーを、回転運動又は回転エネルギーに、効率的に変換することができる。
【0057】
同様に、面歯28は、転頭プレートが章動する際のあらゆる瞬間において、出力プレートの1/4周部分の出力歯34と係合しうる。転頭プレートが第1方向に章動する際には、面歯と出力歯とは、180度位置44と90度位置との間で係合しうる。この係合によって、転頭プレート14は、出力プレート18を転頭プレートと同じ方向に回転させることができる。図示の実施形態において、面歯28と出力歯34とのギア比が1の場合、出力プレート18も、転頭プレート14と同じ速度で回転しうる。従って、モータ12の回転を、より高いトルクで、出力プレート18に伝達することができる。
【0058】
<操作/使用の方法>
図6では、機械式の仮想楕円駆動装置の操作方法を、概括的に符号100として示す。工程102において、方法100は、実質的に平坦な面に設けられた少なくとも1つの丸みを帯びた突起を有するモータを用意し、当該モータは回転軸を規定し、転頭歯及び面歯を有する転頭プレートを用意し、ステータ歯を有するステータギアを用意し、出力歯を有する出力プレートを用意することを含みうる。モータ、転頭プレート、ステータギア、及び、出力プレートは、例えば図1図5に示し且つ上述したように、あるいは、本開示に一致する任意の他の適当な態様及び構成で、製造及び組み付けが行われうる。
【0059】
工程104において、方法100は、モータを励起させて回転軸周りに回転させることを含みうる。工程106において、方法100は、モータの丸みを帯びた突起のうちの1つ又は複数を、転頭プレートの実質的に平坦な面と係合させ、これにより転頭プレートを章動させることを含みうる。工程108において、方法100は、転頭歯をステータ歯と係合させ、これにより転頭プレートを回転させることを含みうる。工程110において、方法100は、転頭プレートの面歯を出力プレートの出力歯と係合させ、これにより出力プレートを回転させることを含みうる。
【0060】
本開示による使用方法は、前述した機械式の仮想楕円駆動装置の実施形態のいずれかと組み合わせて採用することができる。いくつかの実施形態において、当該方法は、モータの回転を停止して、出力プレートを停止させることをさらに含みうる。当該方法は、モータを励起させて回転軸周りに第2回転方向に回転させ、これにより出力プレートを第2方向に回転させることをさらに含みうる。
【0061】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0062】
<付記>
付記1: 回転軸、前記回転軸に垂直な実質的に平坦な面、及び、前記実質的に平坦な面から延びる少なくとも1つの丸みを帯びた突起、を有する入力モータと、前記入力モータの前記回転軸に対して非ゼロ角度で配置された転頭軸、前記転頭軸に垂直であるとともに概して前記入力モータの方を向く実質的に平坦な第1面、前記第1面に平行な平面を規定するとともに概して前記入力モータから離れる方を向く第2面、前記第2面に設けられた複数の面歯、及び、前記第1面と前記第2面の間の前記転頭プレートの外周に沿って、前記転頭軸に垂直な平面内に設けられた複数の転頭歯、を有する転頭プレートと、前記複数の転頭歯と係合するように構成された複数のステータ歯を有するステータギアと、前記回転軸と実質的に整列する出力軸及び複数の出力歯を有する出力プレートと、を含み、前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記転頭プレートの前記第1面と係合するように構成されており、前記複数の面歯は、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記複数の出力歯と係合するように構成されている、転頭プレート駆動装置。
【0063】
付記2: 前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、前記回転軸を中心として測定した場合に80度と100度との間の角度離間している2つの丸みを帯びた突起を含む、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0064】
付記3: 前記角度は、89度である、付記2に記載の転頭プレート駆動装置。
【0065】
付記4: 前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、カートリッジベアリングである、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0066】
付記5: 前記複数の転頭歯、前記複数のステータ歯、又はこれら両方は、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定される、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0067】
付記6: 前記複数の面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記円錐台面は、前記転頭プレートの重心が前記円錐台面の頂点と一致するように構成されている、付記1に記載の転頭プレート駆動装置。
【0068】
付記7: 実質的に平坦な面から延びる丸みを帯びた突起を含む入力モータと、ステータ軸を有するステータギアと、前記ステータ軸に対して非ゼロ角度で配置された転頭軸、及び、概して前記入力モータに向かって配向されるとともに接触点において前記突起に接触する実質的に平坦な面、を有する転頭プレートと、前記ステータ軸と実質的に整列する出力軸を有する出力プレートと、を含み、前記入力モータは、前記ステータ軸を中心として前記突起を回転させ、これにより、前記転頭軸が前記ステータ軸を中心として歳差運動するように、前記転頭プレートを前記ステータギアの周囲に沿って章動させ、さらに、これにより、前記ステータギアに対する前記転頭プレートの最接近点が前記ステータ軸を中心として移動する際に、前記接触点を、前記ステータギアに対する前記転頭プレートの前記最接近点よりも前方に進ませるように構成されている、転頭プレート駆動装置。
【0069】
付記8: 前記転頭プレートは、概して前記入力モータから離れる方を向く第2面と、前記第2面に設けられるとともに前記出力プレートと係合するように構成された複数の面歯と、前記転頭軸に垂直な平面内に設けられるとともに前記ステータギアと係合するように構成された複数の転頭歯と、を含む、付記7に記載の転頭プレート駆動装置。
【0070】
付記9: 前記ステータギアは、複数のステータ歯を有し、前記出力プレートは、複数の出力歯を有し、前記複数の転頭歯は、前記複数のステータ歯と係合するように構成されており、前記複数の面歯は、前記転頭プレートが前記ステータギアの周囲に沿って章動する際に、前記複数の出力歯と係合するように構成されている、付記8に記載の転頭プレート駆動装置。
【0071】
付記10: 前記複数の転頭歯及び前記複数のステータ歯は、各々が少なくとも部分的に、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定される、付記9に記載の転頭プレート駆動装置。
【0072】
付記11: 前記複数の面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記円錐台面は、前記転頭プレートの重心が前記円錐台面の頂点と一致するように構成されている、付記9に記載の転頭プレート駆動装置。
【0073】
付記12: 前記入力モータは、前記入力モータの前記実質的に平坦な面から延びるとともに前記入力モータの回転軸を中心として測定した際に89度角度離間している2つの丸みを帯びた突起を含む、付記7に記載の転頭プレート駆動装置。
【0074】
付記13: 前記丸みを帯びた突起は、カートリッジベアリングである、付記7に記載の転頭プレート駆動装置。
【0075】
付記14: 前記転頭プレートは、前記入力モータ、前記ステータギア、又は前記出力プレートのうちの任意の1つによって前記転頭プレートに付与される接触力が、前記入力モータの回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向を向くように構成されている、付記7に記載の転頭プレート駆動装置。
【0076】
付記15: 実質的に平坦な面と前記実質的に平坦な面から延びる少なくとも1つの丸みを帯びた突起とを有しているモータを励起させて回転軸周りに回転させ、前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起を、転頭プレートの実質的に平らな面と係合させ、これにより前記転頭プレートを章動させ、前記転頭プレートが章動する際に、前記転頭プレートの複数の転頭歯を、ステータギアの複数のステータ歯と係合させ、これにより、前記転頭プレートを回転させ、前記転頭プレートが章動及び回転する際に、前記転頭プレートの複数の面歯を、出力プレートの複数の出力歯と係合させ、これにより、前記出力プレートを回転させる、転頭プレート駆動装置の操作方法。
【0077】
付記16: 前記モータは、前記モータの前記実質的に平坦な面から延びるとともに前記回転軸を中心として測定した場合に89度角度離間している2つの丸みを帯びた突起を含み、各瞬間では、前記突起のうちの1つのみが、前記転頭プレートと接触するように構成されている、付記15に記載の方法。
【0078】
付記17: 前記少なくとも1つの丸みを帯びた突起は、カートリッジベアリングである、付記15に記載の方法。
【0079】
付記18: 前記複数の転頭歯及び前記複数のステータ歯は、各々が少なくとも部分的に、円と楕円の複合インボリュート曲線によって規定される、付記15に記載の方法。
【0080】
付記19: 前記複数の面歯は、前記転頭プレートの円錐台面に設けられており、前記円錐台面は、前記転頭プレートの重心が前記円錐台面の頂点と一致するように構成されている、付記15に記載の方法。
【0081】
付記20: 前記転頭プレートは、前記モータ、前記ステータギア、又は前記出力プレートのうちの任意の1つによって前記転頭プレートに付与される接触力が、前記回転軸に垂直な平面内に位置する円に対する接線方向を向くように構成されている、付記15に記載の方法。
【0082】
<効果、特徴、利点>
本明細書に記載の機械式の仮想楕円駆動装置の様々な実施形態は、同様に小型でギア比の高い駆動装置に対する既知の方策に対して、いくつかの利点をもたらす。本開示によれば、ステータと転頭プレートと出力プレートのみを用いて、数百あるいは数千ものギア比を実現可能である。例えば、本明細書に記載の例示的な実施形態は、章動する転頭プレートの高効率且つ非偏心の動きを可能にする。既知のシステムや装置には、特にこのような小型で、このような機能を実現できるものはない。従って、本明細書に記載の例示的な実施形態は、小型且つ可動部品数の少ない構成でモータのトルクを増大させるのに特に有用である。ただし、本明細書に記載したすべての実施形態が、同じ利点又は同程度の利点をもたらすとは限らない。
【0083】
<結び>
上述の開示は、独自の有用性を有する複数の別個の発明を包含しうる。これらの発明の各々を、その好ましい形態で開示しているが、本明細書に開示及び図示されたそれらの具体的な実施形態は、限定的な意味でとらえられるべきではなく、多くの変形例が可能である。本開示においてセクションごとの見出しが用いられている場合、そのような見出しは、単に体系化のみを目的としたものであり、特許を受けようとする発明の特徴部分を構成するものではない。本発明の要旨は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、すべての新規且つ非自明の組み合わせ及びサブコンビネーションを含む。以下の特許請求の範囲は、新規且つ非自明とみなされる、いくつかの組み合わせ及びサブコンビネーションを特に示している。特徴、機能、要素、及び/又は特性の、その他の組み合わせ及びサブコンビネーションにおいて実施される発明は、本願又は関連出願に基づく優先権を主張する出願の特許請求の範囲に記載されうる。そのような特許請求の範囲は、異なる発明を対象としたもの、同じ発明を対象としたもの、元の特許請求の範囲よりも広いもの、狭いもの、均等のもの、又は異なるもの、のいずれであろうとも、本開示の発明の要旨に含まれるものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6