IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧 ▶ 岐阜工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社演算工房の特許一覧

特許7182899トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法
<>
  • 特許-トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法 図1
  • 特許-トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法 図2A
  • 特許-トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法 図2B
  • 特許-トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法 図3
  • 特許-トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
E21D11/10 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018084544
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019190142
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000158725
【氏名又は名称】岐阜工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591284601
【氏名又は名称】株式会社演算工房
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山本 将
(72)【発明者】
【氏名】木村 厚之
(72)【発明者】
【氏名】前田 全規
(72)【発明者】
【氏名】楠本 太
(72)【発明者】
【氏名】本田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】大久保 常秀
(72)【発明者】
【氏名】林 稔
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 勝之
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴之
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035632(JP,A)
【文献】特開平06-050917(JP,A)
【文献】特開平05-156811(JP,A)
【文献】特開2015-098734(JP,A)
【文献】特開2015-108260(JP,A)
【文献】特開平02-161072(JP,A)
【文献】特開2015-132049(JP,A)
【文献】特開2017-190567(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110185472(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0254202(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1463859(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
E04G 21/00-21/10
E21D 1/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シートと覆工型枠の間にコンクリートを打込み、打込みが完了すると前記覆工型枠をトンネル軸に沿って移動させることでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するトンネル覆工施工管理システムであって、
前記防水シート表面と前記覆工型枠において高さ方向において異なる位置に複数設けられ、前記打込まれるコンクリートの打込み状況を前記設けられた位置において測定するセンサと、
前記覆工型枠に複数設けられ前記コンクリートに振動を与える加振器と、
前記センサが設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、前記加振器が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示する表示部と、
前記移動の前に施工された際に得られた、前記複数のセンサの測定結果と、前記複数の加振器の前記覆工型枠における稼働位置及び稼働時間を施工データとして記憶する記憶部と、
施工対象位置における前記複数のセンサの測定結果に基づく打込み状況に応じて、当該複数のセンサからの検出結果の組み合わせに対応する施工データを、前記記憶部から読み出し、読み出された施工データに基づく加振器の稼働位置及び稼働時間に応じた作動パターンを用いて、前記複数の加振器のうち稼働させる加振器を選択し、選択された加振器を前記稼働時間に従って稼働させる稼働制御部と、
を有し、
前記センサは、前記コンクリートが打込みされ前記加振器によって加振された際に前記コンクリートを介して伝搬する前記加振器の振動に応じた加速度を測定し、
前記表示部は、前記測定された加速度に基づいて算出される締固めエネルギーを表示する
トンネル覆工施工管理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記表示部に表示された前記センサの測定結果に基づく打込み状況及び前記加振器の稼働状況に応じて作業員から入力される稼働対象の加振器に対するON・OFFの指示に基づいて稼働した際の、前記複数のセンサの測定結果及び前記複数の加振器の前記覆工型枠における稼働位置及び稼働時間を前記施工データとして記憶する
請求項1に記載のトンネル覆工施工管理システム。
【請求項3】
前記複数のセンサは、前記覆工型枠における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられ、
前記複数の加振器は、前記覆工型枠における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられ、
前記稼働制御部は、前記複数のセンサの測定結果に基づいて、打込まれたコンクリートの高さ方向の位置がいずれであるかを判定し、打込まれたコンクリートの高さ方向の位置に対応した加振器を稼働させる
請求項2に記載のトンネル覆工施工管理システム。
【請求項4】
前記打込み状況に基づいて、前記覆工型枠に複数設けられコンクリートを打込むための打込み口のうちコンクリートを打込む打込口を選択し、選択結果を外部に出力する選択部
を有する請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。
【請求項5】
前記複数のセンサは、コンクリートに接触したか否かを検出する充填センサ、加速度センサ、圧力温度センサのそれぞれが複数設けられる
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。
【請求項6】
前記加振器は、前記覆工型枠の坑口側と切羽側との間においてトンネル軸に沿って複数設けられるとともに、前記覆工型枠において前記トンネル軸を基準とした周方向に沿って複数設けられる
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。
【請求項7】
防水シートと覆工型枠の間にコンクリートを打込み、打込みが完了すると前記覆工型枠をトンネル軸に沿って移動させることでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するトンネル覆工施工管理システムにおけるトンネル覆工施工管理方法であって、
センサが、前記防水シート表面と前記覆工型枠に複数設けられ、前記打込まれるコンクリートの打込み状況を前記設けられた位置において測定し、
加振器が、前記覆工型枠に複数設けられ前記コンクリートに振動を与え、
表示部が、前記センサが設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、前記加振器が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示し、
稼働制御部が、施工対象位置における前記複数のセンサの測定結果に基づく打込み状況に応じて、当該複数のセンサからの検出結果の組み合わせに対応する施工データを、前記移動の前に施工された際に得られた、前記複数のセンサの測定結果と、前記複数の加振器の前記覆工型枠における稼働位置及び稼働時間を施工データとして記憶する記憶部から読み出し、読み出された施工データに基づく加振器の稼働位置及び稼働時間に応じた作動パターンを用いて、前記複数の加振器のうち稼働させる加振器を選択し、選択された加振器を前記稼働時間に従って稼働させ、
前記センサが測定することは、前記コンクリートが打込みされ前記加振器によって加振された際に前記コンクリートを介して伝搬する前記加振器の振動に応じた加速度を測定することを含み、
前記表示部が表示することは、前記測定された加速度に基づいて算出される締固めエネルギーを表示することを含む
トンネル覆工施工管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中流動覆工コンクリートは、一般に、流動性に優れ、材料分離がないフレッシュコンクリートを移動型枠内に打込み、型枠バイブレータで締固めることで施工される。フレッシュコンクリートは、例えば、トラックミキサー車1台当たり例えば4mを、移動型枠内左右に2mずつを目安にして、交互に打込みされる。
移動型枠には、複数台の型枠バイブレータが装着されており、作業員は、自身の経験に基づいて、操作盤に設けられたON/OFFボタンを操作することで、型枠バイブレータを不規則に稼働させて、フレッシュコンクリートの締固めを行っている。この締固めは、実際に締固めされた状態を直接確認できているわけではなく、作業員の経験に基づいて行われている。
なお、覆工コンクリートの施工方法として、例えば特許文献1のような施工方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-090031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、打込み締固め作業は、作業員の技量に基づいて行われており、覆工コンクリート締固め状態は直接確認できている訳ではなく、また、技量の相違があると仕上がり品質にむらが生じる。例えば、コンクリートが打込まれた際の表面の高さについては、作業員の技量や経験に基づいて判断され、この判断結果に基づいて、どの位置の型枠バイブレータをどの程度稼働させるかについても作業員によって判断される。そのため、締固め状態が作業員の技量によって異なり、また、締固め状態を直接確認できないため、締固め作業が目標としたレベルまで実施できたか否かを管理することが難しい。
また、箱抜きや余掘りがある場合には、移動型枠の左右において所定単位(例えば2m単位)の打込み締固めの切り替えの判断に多大な時間を要することとなり、連続打込みに制約を受けることがあり、そうすると、施工時間が多くなり、仕上がり品質が低下する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、コンクリートの打込みや締固めの管理を行うことが可能なトンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、防水シートと覆工型枠の間にコンクリートを打込み、打込みが完了すると前記覆工型枠をトンネル軸に沿って移動させることでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するトンネル覆工施工管理システムであって、前記防水シート表面と前記覆工型枠に複数設けられ、前記打込まれるコンクリートの打込み状況を前記設けられた位置において測定するセンサと、前記覆工型枠に複数設けられ前記コンクリートに振動を与える加振器と、前記センサが設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、前記加振器が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示する表示部と、前記移動の前に施工された際に得られた、前記複数のセンサの測定結果と、前記複数の加振器の前記覆工型枠における稼働位置及び稼働時間を施工データとして記憶する記憶部と、施工対象位置における前記複数のセンサの測定結果に基づく打込み状況に応じて、当該複数のセンサからの検出結果の組み合わせに対応する施工データを、前記記憶部から読み出し、読み出された施工データに基づく加振器の稼働位置及び稼働時間に応じた作動パターンを用いて、前記複数の加振器のうち稼働させる加振器を選択し、選択された加振器を前記稼働時間に従って稼働させる稼働制御部と、を有し、前記センサは、前記コンクリートが打込みされ前記加振器によって加振された際に前記コンクリートを介して伝搬する前記加振器の振動に応じた加速度を測定し、前記表示部は、前記測定された加速度に基づいて算出される締固めエネルギーを表示する。
【0007】
また、本発明は、防水シートと覆工型枠の間にコンクリートを打込み、打込みが完了すると前記覆工型枠をトンネル軸に沿って移動させることでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するトンネル覆工施工管理システムにおけるトンネル覆工施工管理方法であって、センサが、前記防水シート表面と前記覆工型枠に複数設けられ、前記打込まれるコンクリートの打込み状況を前記設けられた位置において測定し、加振器が、前記覆工型枠に複数設けられ前記コンクリートに振動を与え、表示部が、前記センサが設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、前記加振器が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示し、稼働制御部が、施工対象位置における前記複数のセンサの測定結果に基づく打込み状況に応じて、当該複数のセンサからの検出結果の組み合わせに対応する施工データを、前記移動の前に施工された際に得られた、前記複数のセンサの測定結果と、前記複数の加振器の前記覆工型枠における稼働位置及び稼働時間を施工データとして記憶する記憶部から読み出し、読み出された施工データに基づく加振器の稼働位置及び稼働時間に応じた作動パターンを用いて、前記複数の加振器のうち稼働させる加振器を選択し、選択された加振器を前記稼働時間に従って稼働させ、前記センサが測定することは、前記コンクリートが打込みされ前記加振器によって加振された際に前記コンクリートを介して伝搬する前記加振器の振動に応じた加速度を測定することを含み、前記表示部が表示することは、前記測定された加速度に基づいて算出される締固めエネルギーを表示することを含む。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、防水シート表面と覆工型枠に設けられる複数のセンサから得られるコンクリートの打込み状況の測定結果を用いるとともに、覆工型枠に複数設けられコンクリートに振動を与える加振器の稼働状況について表示するようにしたので、コンクリートが打込まれた状況を確認しつつ、締固めが実施されている位置や状況を把握することが可能となる。これにより、コンクリートの打込みや締固めの管理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態によるトンネル覆工施工管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。
図2A】移動型枠10と、移動型枠10および防水シート表面に取り付けられるセンサ20及び加振器30について説明する構成図である。
図2B】移動型枠10と、移動型枠10および防水シート表面に取り付けられるセンサ20及び加振器30について説明する構成図である。
図3】表示パネル41に表示される画面の一例を示す図である。
図4】表示パネル41に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態によるトンネル覆工施工管理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態によるトンネル覆工施工管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。トンネル覆工施工管理システム1は、防水シートと覆工型枠(セントル)の間にコンクリートを打込んでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するシステムである。コンクリートとしては、例えば、中流動覆工コンクリートを用いることができる。このトンネル覆工施工管理システム1において、移動型枠10は、切羽側10a(妻側ともいう)と坑口側10b(既設覆工側、ラップ側ともいう)とがある。移動型枠10は、覆工型枠の一例である。移動型枠10は、トンネルの長手方向に沿った軸であるトンネル軸の方向から見た形状は、アーチ状である。センサ20は、防水シート表面と移動型枠10に複数に設けられ、打込まれるコンクリートの打込み状況を、自センサ20が設けられた位置において測定する。打込み状況としては、コンクリートの表面高さ、移動型枠10の側面における側圧、移動型枠10の各部における温度と圧力、加速度等がある。この複数のセンサ20は、移動型枠10における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられる。センサ20は、コンクリートに接触したか否かを検出する充填センサのコンクリートセンサ、加速度センサ、圧力温度センサのそれぞれが複数設けられる。
型枠バイブレータ(以下、加振器と称する)30は、移動型枠10に複数設けられ、稼働することにより移動型枠10を介してコンクリートに振動を与える。加振器30は、移動型枠10の内周面側(移動型枠10の防水シートに向く面とは反対側の面)に設けられる。加振器30は、移動型枠10における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられる。また、加振器30は、移動型枠10の坑口側と切羽側との間においてトンネル軸に沿って複数設けられるとともに、移動型枠10においてトンネル軸を基準とした周方向に沿って複数設けられる。
【0011】
操作盤40は、各センサ20の検出結果を取得する機能、作業者からの操作入力を受け付ける複数の操作ボタン、制御装置50から出力される情報を受信する機能、各種情報を表示する表示パネル41、コンピュータ60と通信をする機能を含む。表示パネル41は、各センサ20が設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、各加振器30が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示する。表示パネル41は、例えば、液晶表示装置を用いることができる。
【0012】
制御装置50は、操作盤40と各加振器30に接続されており、各センサ20の測定結果を取得するとともに、各加振器30に駆動信号を供給することで加振器30を駆動させる機能を有する。制御装置50は、各センサ20の測定結果に基づく打込み状況に応じて、各加振器30のうち稼働させる加振器30を選択し、選択された加振器30に対して駆動信号を供給することで稼働させる稼働制御部51を有する。稼働制御部51は、各センサ20の測定結果に基づいて、打込まれたコンクリートの高さ方向の位置がいずれであるかを判定し、打込まれたコンクリートの高さ方向の位置に対応した加振器30を稼働させることができる。また、制御装置50は、打込み状況に基づいて、移動型枠10に複数設けられコンクリートを打込むための打込み口11のうち、いずれの打込み口からコンクリートを打込むかを選択し、選択結果を外部に出力する選択部52を有する。出力先となる外部としては、例えば、操作盤40であり、選択結果を表示パネル41にさせることができる。また、出力先となる外部としては、端末装置80であり、操作盤40、コンピュータ60、ネットワーク70を介して端末装置80に送信することで、端末装置80の表示画面に選択結果を表示させることもできる。例えば、コンクリートを打込む作業員が携帯する端末装置80の画面上に選択結果を表示させることで、その表示画面を見た作業員が、選択結果に応じた打込み口11からコンクリートを打込むことができる。制御装置50は、各センサ20の測定結果及び各加振器30の稼働結果を記憶する記憶部53を有する。
【0013】
コンピュータ60は、操作盤40に接続されるとともに、ネットワーク70に接続され、操作盤40の表示パネル41に表示される画面データを外部に送信することが可能である。また、コンピュータ60は、外部(端末装置80)からの操作入力データをネットワーク70を介して受信し、操作盤40に出力する。この操作入力データに基づいて、操作盤40が操作入力データに応じた各種操作内容に応じた処理を実行することが可能である。
【0014】
ネットワーク70は、例えばインターネットや公衆回線網であり、有線や無線であってもよい。
端末装置80は、ネットワーク70を介してコンピュータ60と通信することで、操作盤40の表示パネル41の表示内容を、端末装置80の画面上に表示する。また、端末装置80のタッチパネルやキーボードなどの入力デバイスを介して作業員からの操作に応じて操作入力データの入力を受け付けることで、作業者が操作盤40から離れた場所に操作可能である。端末装置80は、コンピュータやタブレット端末、スマートフォン等であってもよい。
【0015】
図2は、移動型枠10と、移動型枠10および防水シート201表面に取り付けられるセンサ20及び加振器30について説明する構成図である。
図2Aは、移動型枠10を上方側から見た図であり、図2Bは、移動型枠10を正面側(例えば坑口側)から見た図である。
段R1、段R2、段R3、段R4、段R5、段R6、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、段L6は、移動型枠10の高さ方向の位置を表している。段R1、段R2、段R3、段R4、段R5、段R6は、切羽側10aから見て右側の移動型枠10の下端部から天端部(クラウン部)の間でお互いに異なる高さの位置であり、段R1から段L6に向かうほど高い位置となる関係である。また、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、段L6は、切羽側10aから見て左側の移動型枠10の下端部から天端部(クラウン部)の間でお互いに異なる高さの位置である。段R1と段L1、段R2と段L2、段R3と段L3、段R4と段L4、段R5と段L5、段R6と段L6がそれぞれ同じ高さである。
【0016】
列S1、列S2、列S3、列S4、列S5は、坑口側10bの端部から切羽側10aの端部の間において、お互いに異なる位置であり、列S1が坑口側10bに最も近く、列S2、列S3、列S4、列S5の順に、坑口側10bから離れる位置である。言い換えれば、列S5は、切羽側10aに最も近い位置である。
【0017】
打込み口11は、ここでは、打込み口11a、打込み口11b、打込み口11c、打込み口11d、打込み口11e、打込み口11f、打込み口11gとして合計7カ所設けられている。打込み口11aは、移動型枠10において、段R4と段R5の間であって列S1と列S2の間の位置に設けられる。打込み口11bは、移動型枠10において、天端部C1近傍であって列S1と坑口側10bの端部との間の位置に設けられる。打込み口11cは、移動型枠10において、段L4と段L5の間であって列S1と列S2の間の位置に設けられる。これら打込み口11a、打込み口11b、打込み口11cは、吹き上げ口として利用される。
【0018】
打込み口11dは、移動型枠10において、段R1と段R2の間であって列S2と列S3の間の位置に設けられる。打込み口11eは、移動型枠10において、段R3と段R4の間であって列S2と列S3の間の位置に設けられる。打込み口11fは、移動型枠10において、段L3と段L4の間であって列S2と列S3の間の位置に設けられる。打込み口11gは、移動型枠10において、段L1と段L2の間であって列S2と列S3の間の位置に設けられる。これら打込み口11d、打込み口11e、打込み口11f、打込み口11gは、移動型枠10の左右の側部に対してコンクリートを打込む際に利用される。
【0019】
加振器30は、移動型枠10において、段R1、段R2、段R3、段R4、段R5、段R6、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、段L6に示す高さ方向における各位置と、列S1、列S2、列S3、列S4、列S5に示す坑口側10bから見た奥行き方向の各位置との交点に対応する各位置にそれぞれ設けられる。ここでは、一例として、加振器30は、この交点のそれぞれの位置に設けられることで、合計60個の加振器30が設けられる。
【0020】
センサ20は、ここでは、コンクリートセンサ(充填センサ)、圧力温度センサ、加速度センサが用いられる。
コンクリートセンサ21は、例えば、列S3の位置における加振器30の所定の高さだけ上方の位置にそれぞれ1つずつ設けられる。ここでは列S3の位置であって、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5の加振器30よりも上方(例えば30cm程度)の位置にそれぞれ設けられ、段R1、段R2、段R3、段R4、段R5の加振器30よりも上方(例えば30cm程度)の位置にそれぞれ設けられる。このコンクリートセンサ21は、例えば、打込みされたコンクリートに接触したか否かを検出する。これにより、いずれのコンクリートセンサ21によってコンクリートに接触したかの検出結果を操作盤40を介して制御装置50が取得し、これら検出結果に基づいて、コンクリートが打込みされた高さを判定することで、打込みされたコンクリートの表面位置を検出することができる。また、制御装置50は、このコンクリートセンサ21の検出結果を参照することで、加振器30を稼働させる稼働パターンを決定することができる。稼働パターンは、複数の加振器30のうち、稼働させる対象の加振器30を特定する情報、加振器30の稼働を開始するタイミング、加振器30の稼働を停止させるタイミング、加振器30の稼働時間を表す情報、加振器30を稼働させる順序を規定する情報、等を用いることができる。
【0021】
コンクリートセンサ22は、例えば、列S3の位置であって、移動型枠10の右側の下端部から所定の高さ毎に異なる位置となるように設けられる。ここでは例えば、移動型枠10の右側の下端部から高さ約50cm毎にコンクリートセンサ22が1つずつ設けられる。また、コンクリートセンサ22は、列S3の位置であって、移動型枠10の左側の下端部から所定の高さ(約50cm)毎に1つずつ設けられる。これらコンクリートセンサ22は、例えば、打込みされたコンクリートに接触したか否かを検出する。これにより、いずれのコンクリートセンサ22によってコンクリートに接触したかの検出結果を操作盤40を介して制御装置50が取得し、これら検出結果に基づいて、コンクリートが打込みされた高さを判定することで、打込みされたコンクリートの表面位置を検出することができる。また、このコンクリートセンサ22の検出結果を基に、制御装置50は、このコンクリートセンサ21の検出結果を参照することで、コンクリートの打込み単位での打込み開始タイミングを把握することができる。例えば、コンクリートの打込み単位としては、高さ方向において約50cm程度高くなる量のコンクリートを1回の打込みで打込む。
これらコンクリートセンサ21、22は、移動型枠10に取り付けられる。
【0022】
圧力温度センサ23は、列S5と切羽側10aの端部との間であって、段R1、段R2、段R3、段L1、段L2、段L3の近傍にそれぞれ1つずつ設けられる。これら圧力温度センサ23は、例えば、打込みコンクリートの側部における圧力を検出する。これにより、それぞれの圧力温度センサ23の検出結果が操作盤40を介して制御装置50によって取得される。制御装置50は、これら圧力温度センサ23の検出結果に基づいて、移動型枠10の外力と、コンクリートの打ち上げ速度を検出することができる。
圧力温度センサ23は、地山200に対して設けられるトンネル支保構造の内空表面に張り付けられた防水シート201の内空側表面に張り付けられる。
【0023】
加速度センサMR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、ML1、ML2、ML3、ML4、ML5、ML6は、列S4と列S5の間であって、各段(段R1、段R2、段R3、段R4、段R5、段R6、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、段L6)のそれぞれにおいて、1つずつ設けられる。これら加速度センサMR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、ML1、ML2、ML3、ML4、ML5、ML6は、例えば、コンクリートが打込みされ加振器30によって加振された際にコンクリートを介して伝搬する加振器30の振動を検出する。例えば、コンクリートが段毎に打込まれる際に、その段において加振器30によって加振された際にコンクリートが受けた加速度が測定される。
【0024】
加速度センサMe1、Me2、Me3は、列S1と移動型枠10の坑口側10bとの間であって、段L5、天端部C1、段R5のそれぞれの位置に1つずつ設けられる。これら加速度センサMe1、Me2、Me3は、打込まれたコンクリートを介して伝搬する加振器30の振動を検出する。特に、加速度センサMe1、Me2、Me3によって加速度が検出されている時間を計測することで、加振器30を駆動させて締固めを行った時間を把握することができる。
加速度センサMf1、Mf2、Mf3は、列S5と移動型枠10の切羽側10aとの間であって、段L5、天端部C1、段R5のそれぞれの位置に1つずつ設けられる。これら加速度センサMf1、Mf2、Mf3は、打込まれたコンクリートを介して伝搬する加振器30の振動を検出する。特に、加速度センサMf1、Mf2、Mf3によって加速度が検出されている時間を計測することで、加振器30を駆動させて締固めを行った時間を把握することができる。
【0025】
加速度センサM1は、列S3と列S4との間であって、段L2の高さの位置に設けられる。加速度センサMpは、列S4と列S5との間であって、段L2の高さの位置に設けられる。ここでは、加速度センサMpは、列S4と加速度センサML2の間であって、段L2の高さの位置に設けられてもよい。これら加速度センサM1、加速度センサMpは、加速度を検出することで、制御装置50は、これら加速度センサM1、加速度センサMpが加速度を検出した期間の回数をカウントすることで、加振器30の稼働回数を測定することができる。
【0026】
圧力温度センサ27は、列S3と列S4の間であって、天端部C1に対応する位置に設けられる。圧力温度センサ28は、列S5と切羽側10aの端部との間であって、天端部C1に対応する位置に設けられる。圧力温度センサ28は、列S5と切羽側10aの端部との間であって、天端部C1に対応する位置に設けられる。
【0027】
次に上述したトンネル覆工施工管理システム1の動作等について説明する。トンネル覆工施工管理システム1を利用して行われる中流動覆工コンクリートの締固めは、型枠バイブレータの加振で、打込んだコンクリート表面が水平となり、流動が止まる状態にすることを基本として動作する。また、トンネル覆工施工管理システム1は、移動型枠10の左右の側部に対して打込み口11d、打込み口11e、打込み口11f、打込み口11gから順にコンクリートの打込みを行いつつ、締固めを都度行い、打込み口11a、打込み口11b、打込み口11cからコンクリートの吹き上げを行い、締固めを行うまでの施工を各センサからの検出結果を参照しつつ、加振器30を駆動させるように所定の施工手順に沿って制御装置50が主体となって実行することで、自動打込み締固めが可能である。
【0028】
制御装置50は、打込んだコンクリート表面高さをセンサ20の検出結果に基づいて検出し、その検出されたコンクリート表面高さに応じて、複数の打込み口のうち、実際にコンクリートの打込みを行う打込み口を選定し、コンクリートを打込む打込み口を切り替え、また、センサ20からの検出結果に基づいてコンクリートの打込み速度を検出し、加振器30の稼働パターンを選定し、選定された稼働パターンに従って加振器30を稼働させて、締固める。
これにより、中流動覆工コンクリートの打込み締固めのパターン化施工を可能とし、覆工コンクリート仕上がり品質の均質化、打込み締固め作業の機械制御システムによる自動化を可能にする。
【0029】
トンネル覆工施工管理システム1において、打込み締固め作業はトンネル覆工施工管理システム1が主に行い、作業員はトンネル覆工施工管理システム1の操作や、トンネル覆工施工管理システム1における機械各部の作動状況の確認、品質向上のための補助作業を行うことを基本として動作することができる。
制御装置50は、リアルタイムに、各種センサからの検出結果を取得することで、打込み締固め状態を検出し、その打込み締固め状態を、操作盤40の表示パネル41に表示させ、また、コンピュータ60、ネットワーク70を介して端末装置80に配信する。これにより、作業員は、表示パネル41あるいは、端末装置80の表示画面に表示される画面を視認することで、打込み締固め状態を確認することができる。また、制御装置50は、覆工コンクリート施工時の加振器の稼働時間と締固めエネルギー、最大側圧、打止め圧力、脱型枠強度などの施工管理データを取得し、記憶部53に記憶する。これにより、メンテナンスに役立てることができる。
【0030】
《打込み締固め方法》
制御装置50は、例えば次のような条件に従ってトンネル覆工施工管理システム1における各部の制御を行う。
(1)移動型枠10の側部におけるコンクリートの打込みは、列S2と列S3の間にある左右の側部にある2箇所の打込み口から行う。落下高は、例えば最大1.5mとする。肩部と天端部は、吹上げ口(打込み口11a、打込み口11b、打込み口11c)から行う。
(2)側部におけるコンクリートの打込み速度は、例えば、14~16m/h、吹上げは連続打込みとする。
(3)コンクリートの打込み締固めの施工単位は、高さ50cmを基本とし、その都度、加振器30を駆動させて締固める。天端部の吹上げは4mずつの打込みとし、その都度、加振器30を駆動させて締固める。なお、吹上げコンクリートが、妻側(切羽側10a)において天端まで達していない場合は、妻側の列S5の天端部近傍にある2つのバイブレータ(段L6における加振器30、段R6における加振器30)を5~10秒間、同時加振することで、吹上げ口周辺のコンクリートを妻側に移動させる。
(4)加振器30は、自身の約30cm程度上方までのコンクリートの締固めを行うようにし、コンクリート表面位置に応じて、駆動させる対象の加振器30を、上方側にある加振器30に切り替える。ここで、打込みコンクリートの表面高さが、加振器稼働段(稼働段)に達した場合、制御装置50は、この段の列S2,列S3,列S4のバイブレータを例えば5秒間稼働させ、コンクリート表面高さが均一になるように均す。均すことによって、コンクリート表面高さが稼働段を下回った場合は、下方側の稼働段の加振器30を稼働させる。
【0031】
(5)型枠バイブレータの稼働は、トンネル軸方向において、例えば最大5台を同時稼働させ、その稼働時間は1回当たり例えば15秒とする。
(6)移動型枠10の側部の締固めは、同時5台(列S1、列S2、列S3、列S4、列S5)の15秒稼働とする。
【0032】
(7)アーチ、天端の締固めは、同時5台(列S1、列S2、列S3、列S4、列S5)を左右交互(例えば段L5、段R5、段L6、段R6の順)に行うものとし、それぞれ15秒ずつ4回稼働させる。
(8)加振器30の1台当たり最大5回の稼働(15sec×5=75sec)とし、作動時間は、最大1時間とする。
(9)加振器30の稼働と停止の制御は、作業員による制御盤での操作に応じて行われてもよく、制御装置50が各センサ20からの検出結果に応じて行うようにしてもよい。
【0033】
《吹上げコンクリート打止め》
制御装置50は、圧力温度センサ27、圧力温度センサ28によって検出された圧力の測定結果を参照し、妻側(圧力温度センサ28の検出結果)において基準圧力(例えば0.02N/mm)を越えたか否かを判定し、この基準圧力を上回った時点で、天端部の加振器30(例えば列S5における段L5、段R5、段L6、段R6)を左右交互に10sec単位で稼働させ、コンクリート圧力が圧力温度センサ27、圧力温度センサ28の検出結果において均等に分布することが検出された場合(圧力温度センサ27、圧力温度センサ28の検出結果の差が一定値以内となった場合)、密充填されたと判定(確認)し、打止め・脱型枠管理システムに打止めを指示して、打込み、締固めを完了する。なお、打止め圧力の管理値は、施工の初期に見直す。
【0034】
《締固めエネルギーと締固め時間》
(a)制御装置50は、締固めエネルギーを、締固めの都度、加速度センサMp、加速度センサM1の2点、3測線18点(ML1、ML2、ML3、ML4、ML5、ML6、MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、Me1、Me2、Me3、Mf1、Mf2、Mf3)の最大加速度を測定した測定結果に基づいて、所定の演算式に従って計算することで、コンクリート表面下の加振段について計算し、締固めエネルギーとして表示パネル41(または端末装置80の画面)に出力する。
(b)制御装置50は、締固め時間を、締固めの都度、累積し、締固めエネルギーとともに表示パネル41(または端末装置80の画面)に出力する。
【0035】
図3図4は、表示パネル41に表示される画面の一例を示す図である。
図3は、コンクリートを打込みしている打込み口の位置、各加振器30の稼働状況、締固め時間、締固めエネルギー等を含む打込み締固め状態を表示する表示画面の一例を示す図である。この図において、加振器30の稼働状況は、列方向(符号A,列S1、列S2、列S3、列S4、列S5)と段方向(符号B,段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、及び、符号C,段R1、段R2、段R3、段R4、段R5)に並べられたアイコンであって、加振器30が配列された位置に対応するアイコンに対し、稼働しているか否かについて異なる色で表示される。また、コンクリートの打込みをしている打込み口については、その打込み口の名称を表示したり、画面上の対応する位置にマッピングされて表示される。
締固め時間、締固めエネルギーについては、制御装置50において演算された結果が、画面上の所定の位置(例えば、画面の上端部側)に表示されるようになっている。
また、各センサ20の測定結果が、画面上の対応する位置にマッピングして表示されてもよい。
【0036】
図4は、コンクリート表面位置とコンクリート側圧を表示する場合における表示画面の一例を示す図である。この図においては、坑口側10b側からトンネル軸方向に見た移動型枠10の側面の形状が表示された画面が図示されている。移動型枠10のうち、各コンクリートセンサ21によって測定されたコンクリートが接触したか否かの検出結果が、移動型枠10の側部におけるコンクリートセンサ21が設けられた位置に対応させて表示されることで、コンクリート表面高さが表示される。これにより、作業者は、どの高さまでコンクリートセンサが打込まれているか、コンクリートの表面高さを把握することができる。また、この図において、移動型枠10の側部のうち左側と右側のそれぞれの圧力温度センサの検出結果が、画面上における移動型枠10の対応する位置に表示されることで、側圧として表示される。これにより、作業員は、側圧を確認しつつ、コンクリートの打込みを行うことが可能である。このような表示画面は、表示パネル41の他に、端末装置80の表示画面にも表示可能である。
【0037】
トンネル軸における施工対象の位置においてコンクリートの打込みが完了すると、移動型枠10を切羽側10aに移動させることで、次の施工対象位置に設置し、その位置におけるコンクリートの打込みが行われる。ここで、例えば、トンネル覆工の初期の段階において、制御装置50は、各センサ20からの検出結果と加振器30等を含む、上述した図3図4のような各種情報を画面上に表示し、これに応じて作業員から入力される稼働対象の加振器30に対するON・OFFの指示を受け付け、これに応じて対象の加振器30を稼働させる。この際の各センサ20の検出結果や移動型枠10における稼働対象の加振器30の位置、稼働させる加振器30の稼働時間を施工データとして記憶する。このような処理を複数回実施する。そして、その後、次の施工対象位置に移動型枠10が移動した際には、制御装置50は、この記憶した施工データを元に、各センサ20からの検出結果の組み合わせに対応する過去の施工データを読み出し、その読み出された施工データに含まれる加振器30を稼働させた履歴に沿って、稼働対象となる位置の加振器30に対して駆動信号を出力することで、加振器30を所定時間だけ稼働させる。これにより、制御装置50は、センサ20の測定結果に基づいて、コンクリート表面高さに対応する位置の加振器30を稼働させることができる。また、制御装置50は、センサ20からの測定結果や、コンクリート表面高さ、加振器30を稼働させた状況に対応する過去の施工データを読み出し、その読み出された施工データに含まれる打込み口を特定することで、その施工状況に応じたコンクリートを打込む打込み口を選択することができる。
また、制御装置50は、各センサ20の検出結果に応じた施工データを読み出して、コンクリートの打込みや締固めを行うこともできるが、過去の施工データと同じコンクリートの打込み状況となったことをセンサ20からの検出結果に基づいて判断し、過去の施工データと同じコンクリートの打込み状況となった段階毎に、その段階において加振器30を稼働させた稼働履歴に従って、加振器30を稼働させるようにしてもよい。
このように、過去の施工データを利用することで、過去に実施した施工データに沿って、同様の品質でコンクリートの打込み及び締固めを行うことができるため、作業員の技量や経験の差による品質のむらを低減することができる。
【0038】
以上説明した実施形態によれば、移動型枠10に対して、コンクリート打込み部を7箇所設け、加振器30を約60個装着し、センサ20を約50個設け、制御装置50がコンクリートの打込み締固めの制御を、センサ20の検出結果に応じて加振器30を駆動させることで行う。複数のセンサ20の測定結果を参照することで、打込み締固めの自動化施工を実現することができ、また、リアルタイムにコンクリート表面位置、側圧、打込み口の位置、加振器30の稼働状況を表示し、締固め時間と締固めエネルギーなどの打込み締固め状態を表示する。これにより、各加振器の作動時間や締固めエネルギーおよびその分布の締固め状況について、目視によるリアルタイムな確認を行うことが可能となり、締固め管理を行うことができる。また、これらを可視化・数値化し、施工状態を目視確認することができ、打込み締固めの自動化施工を実現することができる。
また、制御装置50は、記憶部53に、覆工コンクリート締固め状態のデータを記憶するようにしたので、仕上がり品質と打込み締固めの施工法との関係を把握することが可能となり、これらのデータに基づく品質向上の検討を行うことが可能となる。また、メンテナンスのための施工状態の記録を行うことができる。
【0039】
また、上述したトンネル覆工施工管理システム1によれば、覆工コンクリート打込み締固作業については制御装置50の制御に任せることができ、作業員はトンネル覆工施工管理システム1に対する操作入力や、各部(例えば加振器30等)の作動状況の確認、品質向上のための補助作業をすればよく、これにより、覆工コンクリートの打込み締固め作業の自動化を実現することができる。
【0040】
中流動覆工コンクリートの打込み締固めのパターン化をし、このパターンに従って打込み締固めを制御装置50の制御による施工が可能となり、覆工コンクリート仕上がり品質の均質化と作業の機械化、省力化を実現することが可能となる。
また、制御装置50は、施工時に記憶した施工データと、仕上がり品質を測定した品質データとの対応関係について比較することで、締固めパターンの適合性を評価・確認し、また、施工データと品質データとの関係を学習モデルに従って学習することで、品質を向上させるためのパターンを学習し、見直しすることもできる。
【0041】
また、上述した実施形態によれば、打込み締固めの施工状態は、リアルタイムに数値化され、画面上に表示することで可視化され、管理値による打込み締固め、打止め、脱型枠管理が行われるようになる。また、表示画面は、ネットワークを介して配信することで、遠隔にある端末装置の画面上でも確認できるため、トンネル覆工の現場から離れた作業員との間においても施工状況を共有することができる。また、施工データが記憶部53に記憶されることで、メンテナンスに活用することができる。
なお、上述した実施形態における制御盤40、制御装置50の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 トンネル覆工施工管理システム 10 移動型枠
11 打込み口 20 センサ
30 加振器 40 操作盤
41 表示パネル 50 制御装置
51 稼働制御部 52 選択部
53 記憶部 60 コンピュータ
70 ネットワーク 80 端末装置
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g 打込み口
21、22 コンクリートセンサ
23、27、28 圧力温度センサ
MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、ML1、ML2、ML3、ML4、ML5、ML6、Me1、Me2、Me3、Mf1、Mf2、Mf3、M1、Mp 加速度センサ
図1
図2A
図2B
図3
図4