(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】めっき装置、及びめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/08 20060101AFI20221128BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
C25D17/08 R
C25D17/10 A
(21)【出願番号】P 2018118164
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【氏名又は名称】串田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】下村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長井 瑞樹
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-101189(JP,A)
【文献】特開2010-007137(JP,A)
【文献】特開2017-043815(JP,A)
【文献】特開平10-130896(JP,A)
【文献】特開2018-090911(JP,A)
【文献】特開2013-194309(JP,A)
【文献】特開平05-239698(JP,A)
【文献】特開2015-200017(JP,A)
【文献】特開2018-053316(JP,A)
【文献】特開2016-098399(JP,A)
【文献】特開昭62-116799(JP,A)
【文献】国際公開第2010/133220(WO,A2)
【文献】韓国登録特許第10-1047336(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードを保持するように構成されるアノードホルダと、
多角形基板を保持するように構成される基板ホルダと、
前記アノードホルダ及び前記基板ホルダを収容して、前記アノード及び前記基板をめっき液に浸漬するためのめっき槽と、
前記アノードと前記基板との間に流れる電流を制御するための制御装置と、を有し、
前記基板ホルダは、前記多角形基板の各辺に沿って配置される給電部材を有し、
前記給電部材の各々の長手方向は、前記給電部材の各々が配置される前記辺の長さ方向と同じであり、
少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、
前記複数のグループに属する前記複数の辺は、めっき膜が形成される前記多角形基板の同一の面にあり、
前記制御装置は、めっき中に、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御し得るように構成された、めっき装置。
【請求項2】
前記グループのうちの任意の2つのグループに共通に含まれる前記辺はない、請求項1記載のめっき装置。
【請求項3】
前記辺の個数は偶数であり、
偶数個の前記辺に、連続した番号を、隣り合う前記辺は前記番号が連続するように付した時に、奇数番号を付された前記辺を含む前記グループと、偶数番号を付された前記辺を含む前記グループとがある、ことを特徴とする請求項2記載のめっき装置。
【請求項4】
複数の前記グループのうちの1つの前記グループは複数の前記辺を含み、1つの前記グループとは異なる少なくとも1つの他の前記グル-プは、1つの前記グループに含まれる複数の前記辺のうちの一部の辺のみを含む、請求項1記載のめっき装置。
【請求項5】
めっき開始時に前記制御装置によって前記電流が供給される前記給電部材が配置される前記辺を含む前記グループと、その後、めっき中に前記制御装置によって前記電流が供給される前記給電部材が配置される前記辺を含む前記グループとが異なる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記制御装置は、めっき開始時の電流値と、その後、めっき中の電流値が異なるように、前記電流を制御し得るように構成された、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記各辺に関して、前記電流が供給される前記給電部材の、前記給電部材が配置されている前記辺方向の長さの合計を、前記給電部材が配置されている前記辺の長さで除算した比は、前記めっき開始時と比べて、前記その後、めっき中、異なるように、前記制御装置は、前記給電部材に供給される前記電流を制御し得るように構成された、ことを特徴とする請求項6記載のめっき装置。
【請求項8】
前記めっき装置は、前記アノードホルダと前記基板ホルダとの間に設けられる電場遮蔽マスクを備え、
前記電場遮蔽マスクは、前記多角形基板の外形に沿った多角形開口を有し、
前記めっき開始時の前記多角形開口と、前記その後、めっき中の前記多角形開口は、形状、サイズのうちの少なくとも1つが異なる、ことを特徴とする請求項6または7に記載のめっき装置。
【請求項9】
アノードと多角形基板との間に電流を流して前記多角形基板にめっきする方法であって、
前記多角形基板の各辺に給電部材を接触させる工程と、
前記アノードと、前記多角形基板とをめっき液に浸漬する工程と、
前記給電部材に供給される電流を制御する工程と、を有し、
前記給電部材は前記多角形基板の各辺に沿って配置され、
前記給電部材の各々の長手方向は、前記給電部材の各々が配置される前記辺の長さ方向
と同じであり、
少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、
前記複数のグループに属する前記複数の辺は、めっき膜が形成される前記多角形基板の同一の面にあり、
前記電流を制御する工程では、めっき中に、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御する、めっき方法。
【請求項10】
アノードを保持するように構成されるアノードホルダと、
多角形基板を保持するように構成される基板ホルダと、
前記アノードホルダ及び前記基板ホルダを収容して、前記アノード及び前記多角形基板をめっき液に浸漬するためのめっき槽と、
前記アノードと前記多角形基板との間に流れる電流を制御するための制御装置と、を有し、
前記基板ホルダは、前記多角形基板の各辺に沿って配置される給電部材を有し、
前記給電部材の各々の長手方向は、前記給電部材の各々が配置される前記辺の長さ方向と同じであり、
前記制御装置は、めっき中に、前記多角形基板の第1の辺に沿って配置される第1の給電部材と前記第1の辺と異なる第2の辺に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流すように構成され
、
前記第1の辺と前記第2の辺は、めっき膜が形成される前記多角形基板の同一の面にある、めっき装置。
【請求項11】
前記多角形基板は矩形基板であり、
前記第1の給電部材は前記矩形基板の対向する2辺に沿って配置され、
前記第2の給電部材は前記第1の給電部材が配置される前記対向する2辺に直交する他の2辺に沿って配置される、請求項10記載のめっき装置。
【請求項12】
前記制御装置は、めっき中に、前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記第2の給電部材に電流を流すように構成される、請求項10または11記載のめっき装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記第2の給電部材に電流を流す間に、前記第1の給電部材への電流の供給を停止する、請求項12記載のめっき装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記第2の給電部材に電流を流す間に、前記第1の給電部材への電流の供給を継続する、請求項12記載のめっき装置。
【請求項15】
前記制御装置は、前記第1の給電部材と前記第2の給電部材の少なくとも一方に供給する電流を、めっき中に増加させる、請求項10ないし14のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項16】
前記第1の辺の長さに対する前記第1の給電部材が接触している部位の長さの比率と、前記第2の辺の長さに対する前記第2の給電部材が接触している部位の長さの比は異なる、請求項10ないし15のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項17】
アノードと多角形基板との間に電流を流して前記多角形基板にめっきする方法であって、
前記多角形基板の各辺に給電部材を接触させる工程と、
前記アノードと、前記多角形基板とをめっき液に浸漬する工程と、を有し、
前記給電部材は前記多角形基板の各辺に沿って配置され、
前記給電部材の各々の長手方向は、前記給電部材の各々が配置される前記辺の長さ方向と同じであり、
めっき中に、前記多角形基板の第1の辺に沿って配置される第1の給電部材と前記第1の辺と異なる第2の辺に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流
し、
前記第1の辺と前記第2の辺は、めっき膜が形成される前記多角形基板の同一の面にある、めっき方法。
【請求項18】
前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記第2の給電部材に電流
を流す、請求項17記載のめっき方法。
【請求項19】
前記アノードと前記多角形基板との間の電場を部分的に遮蔽するように開口部を有する電場遮蔽マスクを配置する工程をさらに有し、
前記第1の辺に沿った前記多角形基板の領域を前記電場遮蔽マスクによって遮蔽した状態で前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記開口部の形状を変化させて、前記第2の辺に沿った前記多角形基板の領域を前記電場遮蔽マスクによって遮蔽した状態で前記第2の給電部材に電流を流す、請求項18記載のめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置、及びめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板の表面に設けられた微細な配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に配線を形成したり、基板の表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりすることが行われている。この配線及びバンプを形成する方法として、例えば、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法等が知られている。半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電解めっき法で配線又はバンプを形成する場合、基板上の配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に設けられるバリアメタルの表面に電気抵抗の低いシード層(給電層)が形成される。このシード層の表面において、めっき膜が成長する。
【0004】
一般的に、めっきされる基板は、その周縁部に電気接点を有する。このため、基板の中央部には、めっき液の電気抵抗値と基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値との合成抵抗に対応する電流が流れる。一方で、基板の周縁部(電気接点近傍)には、めっき液の電気抵抗値にほぼ対応する電流が流れる。即ち、基板の中央部には、基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値の分だけ、電流が流れにくい。この、基板の周縁部に電流が集中する現象はターミナルエフェクトと呼ばれる。
【0005】
なお、電解めっき法でめっきされる基板の形状としては、円形の基板や、四角形の基板が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
円形基板においては、円形基板の中央部から基板の周縁部までの距離と隣り合う電気接点間の距離が、基板の全周に渡って同一である。このため、円形基板にめっきするときのターミナルエフェクトは、基板の全周囲に渡ってほぼ同様に生じる。したがって、円形基板にめっきをした場合は、基板の中心部におけるめっき速度が低下し、基板の中心部におけるめっき膜の膜厚が基板の周縁部におけるめっき膜よりも薄くなる。従来は、ターミナルエフェクトによる膜厚の面内均一性の低下を抑制するために、円形基板の周縁部に均等に配置された電気接点に電流を供給しつつ、例えば特許文献3に開示されているようなレギュレーションプレートを用いて、円形基板に加わる電場、すなわち電気活性イオンの移流を調節することが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平09-125294号公報
【文献】特公平03-029876号公報
【文献】特開2005-029863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでの円形基板に対するめっきに加えて、角型(パネル)基板に対する(再)配線、貫通ビア等の電気めっきの必要性が高まっている。角形基板に対する電気めっき方法として、基板の特定の二辺のみに対応する位置に給電用の電極を設置して、二辺のみから給電する方法と、四辺全てに対応する位置に給電用の電極を設置して、四辺から給電する方
法が行われている。
【0009】
円形基板へのめっきと異なり、角型基板には中心からの距離が他の基板の部分と比較して遠い角部が存在する。四辺全てに対応する位置に給電用の電極を設置して、給電する場合、角部分に電場が最も集中しやすいことが従来から知られている。角部に電場が最も集中するため、角部の膜厚が高くなりやすく、面内均一性の確保を更に難しくしている。この問題に対する解決策として、中間マスク、アノードマスクを用いてめっき液中の電場分布を部分的に遮蔽し、角部や端部の膜厚増加を抑制する方法が行われている。
【0010】
この問題に対する他の解決策として、基板の特定の二辺のみに対応する位置に給電用の電極を設置して、二辺のみから給電する方法がある。この場合、角部の膜厚を抑制することができる。しかし、新たな問題として、角部(辺の両端部)から、辺の中央部に向かってやや内側に入った基板の辺の近傍部分の膜厚が低くなりすぎてしまう。
【0011】
中間マスク、アノードマスクを用いた場合も、角部の膜厚を抑制できる。しかし二辺から給電する場合と同様に、基板の辺上の角部から、辺の中央部に向かってやや内側に入った部分の膜厚が低くなりすぎてしまう。すなわち、この問題は、給電する辺の数(二辺から給電や四辺から給電)によらずに発生する。また、角部の膜厚を制御しようとする場合、一般に中間マスクの開口サイズを調整する(絞る)ことで、角部の膜厚を調整する場合、開口サイズ変更の結果、基板の辺付近の膜厚が下がってしまう。この傾向は給電する辺の数によらない。このような理由から、角型基板における面内均一性の確保が難しくなっていた。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、多角形基板にめっきされる膜の面内均一性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、第1の形態では、アノードを保持するように構成されるアノードホルダと、多角形基板を保持するように構成される基板ホルダと、前記アノードホルダ及び前記基板ホルダを収容して、前記アノード及び前記基板をめっき液に浸漬するためのめっき槽と、前記アノードと前記基板との間に流れる電流を制御するための制御装置と、を有し、前記基板ホルダは、前記多角形基板の各辺に沿って配置される給電部材を有し、少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、前記制御装置は、めっき中に、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御し得るように構成された、めっき装置という構成を採っている。
【0014】
本実施形態では、少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、前記制御装置は、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御し得るため、多角形基板にめっきされる膜の面内均一性を向上させることができる。
【0015】
従来は、二辺のみからなる1つのグループ、又は四辺のみからなる1つのグループしかなく、1つのグル-プに対して電流の制御が行われていた。本実施形態では、辺のグループが複数あり、グループごとに制御し得る。従来のように、特定の二辺のみから給電することや、四辺全体のみから給電することとは異なり、本実施形態では、1個以上の辺を含むいずれかのグループを選択して、かつ選択されたグループを他のグループとは独立に制御することもできる。
【0016】
本実施形態では、複数のグループの各々を独立に制御することもできるため、例えば、
基板が長方形の場合、最初に長辺である二辺のみを含むグループに給電し、その後、短辺である二辺のみを含むグループに給電することができる。これにより、基板の辺上の角部から、辺の中央部に向かってやや内側に入った部分の膜厚が低くなる上記の問題を改善できる。
【0017】
形態2では、前記グループのうちの任意の2つのグループに共通に含まれる前記辺はない、形態1記載のめっき装置という構成を採っている。
【0018】
形態3では、前記辺の個数は偶数であり、偶数個の前記辺に、連続した番号を、隣り合う前記辺は前記番号が連続するように付した時に、奇数番号を付された前記辺を含む前記グループと、偶数番号を付された前記辺を含む前記グループとがある、ことを特徴とする形態1記載のめっき装置という構成を採っている。
【0019】
形態4では、複数の前記グループのうちの1つの前記グループは複数の前記辺を含み、1つの前記グループとは異なる少なくとも1つの他の前記グル-プは、1つの前記グループに含まれる複数の前記辺のうちの一部の辺のみを含む、形態1記載のめっき装置という構成を採っている。
【0020】
形態5では、めっき開始時に前記制御装置によって前記電流が供給される前記給電部材が配置される前記辺を含む前記グループと、その後、めっき中に前記制御装置によって前記電流が供給される前記給電部材が配置される前記辺を含む前記グループとが異なる、形態1ないし4のいずれか1項に記載のめっき装置という構成を採っている。
【0021】
形態6では、前記制御装置は、めっき開始時の電流値と、その後、めっき中の電流値が異なるように、前記電流を制御し得るように構成された、形態1ないし5のいずれか1項に記載のめっき装置という構成を採っている。
【0022】
形態7では、前記各辺に関して、前記電流が供給される前記給電部材の、前記給電部材が配置されている前記辺方向の長さの合計を、前記給電部材が配置されている前記辺の長さで除算した比は、前記めっき開始時と比べて、前記その後、めっき中、異なるように、前記制御装置は、前記給電部材に供給される前記電流を制御し得るように構成された、ことを特徴とする形態6記載のめっき装置という構成を採っている。
【0023】
形態8では、前記めっき装置は、前記アノードホルダと前記基板ホルダとの間に設けられる電場遮蔽マスクを備え、前記電場遮蔽マスクは、前記多角形基板の外形に沿った多角形開口を有し、前記めっき開始時の前記多角形開口と、前記その後、めっき中の前記多角形開口は、形状、サイズのうちの少なくとも1つが異なる、ことを特徴とする形態6または7に記載のめっき装置という構成を採っている。電場遮蔽マスクとしては、アノードマスク、中間マスク、またはカソードマスクがある。中間マスクはレギュレーションプレートとも呼ばれる。電場遮蔽マスクが中間マスクの場合、中間マスクは、多角形基板の外形に沿った多角形開口を有する本体部と、多角形開口の縁から基板ホルダ側に突出する壁部と、を有する場合がある。
【0024】
形態9では、アノードと多角形基板との間に電流を流して前記多角形基板にめっきする方法であって、前記多角形基板の各辺に給電部材を接触させる工程と、前記アノードと、前記多角形基板とをめっき液に浸漬する工程と、前記給電部材に供給される電流を制御する工程と、を有し、少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、前記電流を制御する工程では、めっき中に、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御する、めっき方法という構成を採っている。
【0025】
形態10では、アノードを保持するように構成されるアノードホルダと、多角形基板を保持するように構成される基板ホルダと、前記アノードホルダ及び前記基板ホルダを収容して、前記アノード及び前記多角形基板をめっき液に浸漬するためのめっき槽と、前記アノードと前記多角形基板との間に流れる電流を制御するための制御装置と、を有し、前記基板ホルダは、前記多角形基板の各辺に沿って配置される給電部材を有し、前記制御装置は、めっき中に、前記多角形基板の第1の辺に沿って配置される第1の給電部材と前記第1の辺と異なる第2の辺に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流すように構成される、めっき装置という構成を採っている。
【0026】
形態11では、 前記多角形基板は矩形基板であり、前記第1の給電部材は前記矩形基板の対向する2辺に沿って配置され、前記第2の給電部材は前記第1の給電部材が配置される前記対向する2辺に直交する他の2辺に沿って配置される、請求項10記載のめっき装置という構成を採っている。
【0027】
形態12では、前記制御装置は、めっき中に、前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記第2の給電部材に電流を流すように構成される、請求項10または11記載のめっき装置という構成を採っている。
【0028】
形態13では、前記制御装置は、前記第2の給電部材に電流を流す間に、前記第1の給電部材への電流の供給を停止する、請求項12記載のめっき装置という構成を採っている。
【0029】
形態14では、前記制御装置は、前記第2の給電部材に電流を流す間に、前記第1の給電部材への電流の供給を継続する、請求項12記載のめっき装置という構成を採っている。
【0030】
形態15では、前記制御装置は、前記第1の給電部材と前記第2の給電部材の少なくとも一方に供給する電流を、めっき中に増加させる、請求項10ないし14のいずれか1項に記載のめっき装置という構成を採っている。
【0031】
形態16では、前記第1の辺の長さに対する前記第1の給電部材が接触している部位の長さの比率と、前記第2の辺の長さに対する前記第2の給電部材が接触している部位の長さの比は異なる、請求項10ないし15のいずれか1項に記載のめっき装置という構成を採っている。
【0032】
形態17では、アノードと多角形基板との間に電流を流して前記多角形基板にめっきする方法であって、前記多角形基板の各辺に給電部材を接触させる工程と、前記アノードと、前記多角形基板とをめっき液に浸漬する工程と、を有し、めっき中に、前記多角形基板の第1の辺に沿って配置される第1の給電部材と前記第1の辺と異なる第2の辺に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流す、めっき方法という構成を採っている。
【0033】
形態18では、前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記第2の給電部材に電流を流す、請求項17記載のめっき方法という構成を採っている。
【0034】
形態19では、前記アノードと前記多角形基板との間の電場を部分的に遮蔽するように開口部を有する電場遮蔽マスクを配置する工程をさらに有し、前記第1の辺に沿った前記多角形基板の領域を前記電場遮蔽マスクによって遮蔽した状態で前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記開口部の形状を変化させて、前記第2の辺に沿った前記多角形基板の領域を前記電場遮蔽マスクによって遮蔽した状態で前記第2の給電部
材に電流を流す、形態18記載のめっき方法という構成を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態の電解めっき装置の全体配置図である。
【
図2】めっき装置に備えられているめっきユニットの概略側断面図(縦断面図)である。
【
図3】めっきユニットで使用される基板ホルダの概略正面図である。
【
図6】コネクタに近い側のフェース部の角部近傍を拡大して示す背面図である。
【
図10】コンタクトに印加する電流を示す図である。
【
図11】コンタクトに印加する電流を示す図である。
【
図12】コンタクトに印加する電流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0037】
図1は、実施形態におけるめっき装置の全体配置図を示す。
図1に示すように、このめっき装置は、半導体ウェハ等の基板を収納したカセット100を搭載する2台のカセットテーブル102と、基板のオリフラ(オリエンテーションフラット)やノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ104と、めっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させるスピンリンスドライヤ106とを有する。スピンリンスドライヤ106の近くには、基板ホルダ30を載置して基板の着脱を行う基板着脱部120が設けられている。これらのユニット100,104,106,120の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置122が配置されている。
【0038】
基板着脱部120、基板ホルダ30の保管及び一時仮置きを行うストッカ124、基板を純水に浸漬させるプリウェット槽126、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜をエッチング除去するプリソーク槽128、プリソーク後の基板を基板ホルダ30と共に洗浄液(純水等)で洗浄する第1洗浄槽130a、洗浄後の基板の液切りを行うブロー槽132、めっき後の基板を基板ホルダ30と共に洗浄液で洗浄する第2洗浄槽130b、及びめっきユニット10は、この順に配置されている。
【0039】
このめっきユニット10は、オーバーフロー槽136の内部に複数のめっき槽14を収納して構成されている。各めっき槽14は、内部に1個の基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを施すようになっている。
【0040】
めっき装置は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ30を基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置140を有する。この基板ホルダ搬送装置140は、基板着脱部120、ストッカ124、プ
リウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、及びブロー槽132との間で基板を搬送する第1トランスポータ142と、第1洗浄槽130a、第2洗浄槽130b、ブロー槽132、及びめっきユニット10との間で基板を搬送する第2トランスポータ144を有している。めっき装置は、第2トランスポータ144を備えることなく、第1トランスポータ142のみを備えるようにしてもよい。
【0041】
この基板ホルダ搬送装置140のオーバーフロー槽136を挟んだ反対側には、各めっき槽14の内部に位置してめっき槽14内のめっき液を攪拌する掻き混ぜ棒としてのパドル16(
図2参照)を駆動するパドル駆動装置146が配置されている。
【0042】
基板着脱部120は、レール150に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート152を備えている。2個の基板ホルダ30は、この載置プレート152に水平状態で並列に載置され、一方の基板ホルダ30と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われた後、載置プレート152が横方向にスライドされ、他方の基板ホルダ30と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われる。
【0043】
図2は、
図1に示すめっき装置に備えられているめっきユニットの概略側断面図(縦断面図)である。
図2に示すように、めっきユニット10は、めっき液、基板ホルダ30、及びアノードホルダ13を収容するように構成されためっき槽14と、オーバーフロー槽(不図示)とを有する。基板ホルダ30は、多角形の基板Wfを保持するように構成され、アノードホルダ13は、金属表面を有するアノード12を保持するように構成される。多角形の基板Wfとアノード12は、めっき電源15を介して電気的に接続され、基板Wfとアノード12との間に電流を流すことにより基板Wfの表面にめっき膜が形成される。
【0044】
アノードホルダ13は、アノード12と基板Wfとの間の電界を調整するためのアノードマスク18を有する。アノードマスク18は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材であり、アノードホルダ13の前面に設けられる。ここで、アノードホルダ13の前面とは、基板ホルダ30に対向する側の面をいう。すなわち、アノードマスク18は、アノード12と基板ホルダ30の間に配置される。アノードマスク18は、アノード12と基板Wfとの間に流れる電流が通過する多角形開口(第2の多角形開口)18aを略中央部に有する。
【0045】
めっきユニット10は、基板Wfとアノード12との間の電場を調整するためのレギュレーションプレート(調整板)20と、めっき液を撹拌するためのパドル16と、を有する。レギュレーションプレート20は、基板ホルダ30とアノード12との間に配置される。具体的には、レギュレーションプレート20の下端部が、めっき槽14の床面に設けられた一対の凸部材28間に挿入されて、レギュレーションプレート20がめっき槽14に対して固定される。また、レギュレーションプレート20は、上端付近で外側に突出するアーム(図示せず)を有し、
図1に示したストッカ124内において、ストッカ124の周壁上面にアームを引っ掛けることで吊下げ支持されてもよい。パドル16は、基板ホルダ30とレギュレーションプレート20との間に配置される。
【0046】
レギュレーションプレート20は、例えば誘電体である塩化ビニルによって形成される。レギュレーションプレート20は、略中央部に多角形開口21を有する板状の本体部22と、本体部22から基板ホルダ30側に突出する壁部23と、を有する。多角形開口21は、基板Wfの外形に沿った形状、好ましくは基板Wfの外形よりもやや小さい形状であり、
図2に示す例では四角形である。壁部23は、本体部22における多角形開口21の縁から、本体部22の板面に対して垂直な方向(
図2中、左右方向)に沿って突出する。
【0047】
レギュレーションプレート20がめっき槽14に収容された状態で、基板Wfとアノード12に電圧が印加されると、アノード12からの電流が、多角形開口21を通過して基板Wfに流れる。言い換えれば、レギュレーションプレート20は、アノード12と基板Wfとの間に形成される電場の一部を遮蔽する。また、多角形開口21を通過した電流は、壁部23に案内されて基板Wfの外側に広がることが抑制される。ここで、多角形の基板Wfの角部付近には比較的電流が集中せず、基板Wfの辺の中央部付近に比較的電流が集中する傾向がある。
【0048】
レギュレーションプレート20には、多角形開口21を閉塞するように隔膜24が取り付けられている。隔膜24は、金属イオンを通して添加剤を通さないカチオン交換膜または多孔性膜から構成されている。このような多孔性膜の例として、(株)ユアサメンブレン製のユミクロン(商標名)が挙げられる。隔膜24は、多角形開口21に対応した開口を有する枠状の固定板25によってレギュレーションプレート20に固定されている。隔膜24および固定板25は、背面(アノード12側の面)からレギュレーションプレート20に対して取り付けられるとよい。また、レギュレーションプレート20と隔膜24および/または固定板25との接触面には多角形開口21の形状に応じた枠状のシール体が設けられるとよい。
【0049】
なお、いまはレギュレーションプレート20について説明した。しかし、レギュレーションプレート20の壁部23に代えて、又は加えて、アノードホルダ13に取り付けられたアノードマスク18について、レギュレーションプレート20の壁部23と同様の壁部を有していてもよい。つまり、アノードマスク18は、多角形の基板Wfの外形に沿った多角形開口18aを有するアノードマスク本体部と、アノードマスク本体部の多角形開口18aの縁から基板ホルダ30側に突出するアノードマスク壁部とを有してもよい。アノードマスク18における多角形開口18a、及びアノードマスク壁部は、レギュレーションプレート20における多角形開口21、及び壁部23と、同一の寸法であってもよいし、異なる寸法であってもよい。
【0050】
続いて、基板ホルダ30について説明する。
図3は
図2に示しためっきユニット10で使用される基板ホルダ30の概略正面図であり、
図4は、基板ホルダ30の概略側面図である。基板ホルダ30は、フロントプレート300とバックプレート400とを備えている。これらのフロントプレート300とバックプレート400との間に基板Wfが保持される。本実施例では、基板ホルダ30は、基板Wfの片面を露出した状態で基板Wfを保持する。
【0051】
フロントプレート300は、フロントプレート本体310と、アーム部330とを備えている。アーム部330は、一対の台座331を有し、
図1に示した各処理槽の周壁上面に台座331を設置することで、基板ホルダ30が垂直に吊下げ支持される。また、アーム部330には、めっき槽14の周壁上面に台座331を設置したときに、めっき槽14に設けられた電気接点と接触するように構成されたコネクタ332が設けられる。これにより、基板ホルダ30は外部電源と電気的に接続され、基板ホルダ30に保持された多角形の基板Wfに電圧・電流が印加される。
【0052】
フロントプレート本体310は、概ね矩形状であり、配線バッファ部311とフェース部312とを有し、前面301と背面302とを有する。フロントプレート本体310は、取付部320によって2箇所でアーム部330に取り付けられている。フロントプレート本体310には、開口部303が設けられており、開口部303から基板Sの被めっき面が露出される。本実施形態では、開口部303は、多角形の基板Wfの形状に対応した形状に形成されている。
【0053】
バックプレート400は、概ね矩形状であり、基板Wfの背面を覆う。バックプレート400は、基板Wfをフロントプレート本体310(より詳細には、フェース部312)の背面302との間に挟んだ状態でクランプ340によって固定される。クランプ340は、フロントプレート本体310の面301,302に平行な回転軸341回りに回転するように構成される。ただし、クランプ340は、こうした例に限定されず、面301,302に垂直な方向に往復運動してバックプレート400をクランプするように構成されるなどとしてもよい。
【0054】
図5は、フロントプレート本体の背面図であり、
図6は、コネクタに近い側のフェース部の角部近傍を拡大して示す背面図である。フロントプレート本体310の背面302は、18個のコンタクト領域C1-C18を有する。コンタクト領域C1-C5はフェース部312のうち、右辺に配置されている。コンタクト領域C6-C9はフェース部312のうち、下辺に配置されている。コンタクト領域C10-C14はフェース部312の左辺に配置されている。コンタクト領域C15-C18はフェース部312の上辺に配置されている。
【0055】
図6に示すように、各コンタクト領域C1-C18には、基板Wfに給電するためのコンタクト370(給電部材)が含まれる。コンタクト370は、フロントパネル300の開口部303の各辺に沿って配置されている。つまり、コンタクト370は、多角形の基板Wfの各辺に沿って配置される。各コンタクト領域C1-C18のコンタクト370には、それぞれ、ケーブルL1-L18を介して、外部から給電される。
【0056】
なお、以下の説明では、各ケーブルを区別する必要がない場合には、ケーブルL1-L18をまとめて、ケーブルLと総称する場合がある。また、任意のケーブルをケーブルLとして参照する場合もある。また各コンタクト領域を区別する必要がない場合には、コンタクト領域C1-C18をまとめて、コンタクト領域Cと総称する場合がある。また、任意のコンタクト領域をコンタクト領域Cとして参照する場合もある。
【0057】
ケーブルL1-L18の第1端部は、アーム部330の一端に設けられたコネクタ332に接続されおり、より詳細には、コネクタ332において個別の接点または複数本ずつ共通の接点(図示省略)に電気的に接続されている。ケーブルL1-L18は、コネクタ332の各接点を介して外部の電源(電源回路、電源装置等)に電気的に接続可能である。
【0058】
ケーブルL1-L7は、同一平面内に並んでケーブル通路365内に導入され、開口部303のコネクタ332側の辺に沿って配置されている。ケーブル同士は、フェース部312の厚み方向に重ならない。したがって、フェース部312及びフロントパネル300の厚みを抑制することができる。
【0059】
各コンタクト領域におけるケーブルLとコンタクト370との電気接続は、以下のように行われている。ケーブルL1を例に挙げると、ケーブルL1の先端部(第2端部)は、ケーブルL1の被覆が除去されて、心線(導電線)が露出している。ケーブルL1の先端部は、コンタクトC1の近傍においてシールホルダ363の配線溝内に導入され、コンタクト領域C1内で、4箇所のネジ(締結部材)511によってコンタクト370とともに押圧されている。つまり、ネジ(締結部材)511とシールホルダ363とが、ケーブルL1の心線をコンタクト370とともに挟持している。この結果、ケーブルL1は、コンタクト370に電気的に接続される。基板ホルダ30が基板Wfを保持すると、コンタクト370が基板Wfに接触して、外部の電源からケーブルL1、コンタクト370を介して基板Wfに給電が行われる。他のコンタクト領域C2-C18も同様に構成されており
、18箇所のコンタクト370から基板Wfに給電が行われる。
【0060】
以上で説明したように、本実施形態に係る基板ホルダ30は、多角形の基板Wfの各辺にコンタクト370が設けられており、各辺に設けられたコンタクト370から基板Wfに給電が行われる。これにより、基板Wfの表面にめっき膜が形成される。
【0061】
以上、四角形の基板Wfについて説明したが、これに限らず、三角形、又は五角形以上の基板Wfにも、同様のプロセスでめっきをすることができる。こうした場合においても、アノードマスク18およびレギュレーションプレート20には、基板Wfの形状に沿った三角形、又は五角形以上の多角形開口が形成されればよい。また、多角形基板の各辺に沿って給電部材が配置されればよい。
【0062】
めっきユニット10は、さらに、電源15と、電源15を制御するための制御装置17と、を有する。電源15は、それぞれアノード12と基板Wfとに電気的に接続され、アノード12と基板Wfとの間に電流を流すように構成される。制御装置17は、電源15を制御することにより、基板ホルダ30に設けられる各コンタクト領域Cにそれぞれ異なる値の電流が供給されるように、電流を制御することができる。
【0063】
制御装置17は、給電部材370に供給される電流を、辺のグループごとに制御し得るように構成されている。基板Wfの各辺に関して、少なくとも1個の辺を含む辺のグループが複数あり、各グループ間では少なくとも1つの辺が異なる。辺のグループごとに制御するために、例えば、電源15内において、フェース部312のうち1つの辺(例えば、右辺)に配置されているコンタクト領域C1-C5からの5本のケーブルLは、1本のケーブルに結線されている。この結線例を用いた実施形態について
図7により説明する。
【0064】
なお、1本のケーブルに結線されるケーブルLは、1つの辺(例えば、右辺)に配置されているコンタクト領域C1-C5からの5本のケーブルLすべてではなく、中央部に配置されたコンタクト領域C2-C4のみとしてもよい。この結線例を用いた実施形態については、後述する
図8の実施例において説明する。
図8の実施例では、制御装置17は個々のコンタクト領域Cを独立に制御できる。
【0065】
図7は、3個の異なる実施形態を示す。
図7において、制御装置17は、めっき開始時に電流が供給されるコンタクト370が配置される辺と、その後に電流が供給されるコンタクト370が配置される辺とが、少なくとも部分的に異なるように、コンタクト370に供給される電流を制御し得るように構成されている。
図7(a)では、めっき開始時に長方形の基板Wfの2つの長辺206に対応してフロントプレート本体310上に配置されるコンタクト370にのみ電流が供給される。その後、2つの短辺208に対応してフロントプレート本体310上に配置されるコンタクト370にのみ電流が供給される。
図7は、電流が供給されるコンタクト370が接触する基板Wf上の領域226(基板Wfに給電される領域)を示す。なお、
図7において、基板Wfの辺を除いた内部がめっきの対象となるめっきエリア210である。また、
図7では
左側の図がめっき開始時に給電される辺を示し、
右側の図が、その後にめっきされる辺を示す。例えば、
図7(a)の場合、めっき開始時に給電される領域226は長辺206a,206b上にあり、その後に給電される領域226は短辺208a,208b上にある。
【0066】
図7(a)、(c)では、「複数のグループのうちの任意の2つのグループに共通に含まれる辺はないという」ことを、複数のグループが2つのグループである場合に示す実施形態である。
図7(a)では、1つのグループは長辺206a,206bからなり、もう1つのグループは短辺208a,208bからなる。別の表現をすると、
図7(a)では、辺の個数は偶数(4個)であり、偶数個の辺に、連続した番号(本図では1~4)を、
隣り合う辺は番号が連続するように付す。そして、奇数番号を付された辺を含むグループ(長辺206a,206bからなるグループ)と、偶数番号を付された辺を含むグループ(短辺208a,208bからなるグループ)とがある。
【0067】
図7(c)では、1つのグループは短辺208a,208bの2辺からなり、もう1つのグループは長辺206aのみからなる。
図7において、めっき開始時に制御装置17によって電流が供給される給電部材370が配置される辺を含むグループと、その後に制御装置17によって電流が供給される給電部材370が配置される辺を含むグループとが異なる、
【0068】
図7(b)では、複数のグループのうちの1つのグループは複数の辺を含み、1つのグループとは異なる少なくとも1つの他のグル-プは、1つのグループに含まれる複数の辺のうちの一部の辺のみを含む。具体的には、1つのグループは長辺206a,206bの2辺からなり、もう1つのグループは長辺206a,206bと、短辺208a,208bの4辺からなる。
【0069】
図7(a)の形態によると、以下の効果がある。既述のように、1つのグループのみを有し、1つのグループに含まれる固定された二辺や四辺から給電する場合、
図7(a)の基板Wfの辺上の角部200から、辺の中央部202に向かってやや内側に入った中間部分204の近傍の 膜厚が低くなりすぎてしまう。
図7(a)の形態によると、2つの長辺206a,206bからなるグループに給電した後に、2つの短辺208a,208bからなるグループに給電するため、中間部分204の近傍の膜厚と、角部200や中央部202の近傍の膜厚との差を減少させることができる。
【0070】
図7(b)では、めっき開始時に長方形の基板Wfの2つの長辺206a,206bからなるグループに対応するフロントプレート本体310上に配置されるコンタクト370にのみ電流が供給される。その後、長辺206a,206bと、短辺208a,208bからなるグループに対応するフロントプレート本体310上に配置されるコンタクト370に電流が供給される。
【0071】
図7(c)では、めっき開始時に長方形の基板Wfの2つの短辺208a,208bの2辺からなるグループに対応するフロントプレート本体310上に配置されるコンタクト370にのみ電流が供給される。その後、1つの長辺206aからなるグループに対応するフロントプレート本体310上に配置されるコンタクト370にのみ電流が供給される。
【0072】
図7(a)~
図7(c)の形態のいずれを採用してめっきを行うかは、所望のめっきパターンや基板Wfの表面特性、すでに行われているめっきの結果等により決定される。電流が給電される給電辺について従来は、長辺206あるいは短辺208における固定された二辺給電か、全ての辺に固定的に給電する四辺給電が用いられている。本実施形態では、
図7に示すように、給電辺は二辺、四辺に限らず1~4辺まで任意に選択できる。また、選択される辺をめっき中に変化させる場合、変化の前後において選択できる辺は任意である。なお、
図7の実施例において、電場遮蔽マスクを用いなくてもよい。
【0073】
なお、
図7(a)~
図7(c)の形態では、制御装置17は、めっき中に、矩形基板Wfの第1の辺206に沿って配置される第1の給電部材と第1の辺206と異なる第2の辺208に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流すように構成されている。
図7(a)
~図7(c)の形態では、第1の給電部材は矩形基板Wfの対向する2辺206に沿って配置され、第2の給電部材は第1の給電部材が配置される対向する2辺206に直交する他の2辺208に沿って配置される。
【0074】
次に
図8により別の実施形態について説明する。基板Wfにめっきする技術において、電流値を複数段階変化させて電流を印加する、一般にステップ電流と呼ばれるめっき方法が知られている。すなわち、めっき開始時の電流値と、その後の電流値が異なる方法が知られている。本実施形態では、ステップ電流に加えて、各ステップ毎に給電する辺、あるいは辺内のコンタクトを切り替えてめっきする。給電する辺、1つの辺内にある給電するコンタクト、各ステップにおける電流値、印可時間、ステップ数を、めっきへの要求仕様に合わせて選択し、めっきを行うことが可能である。
【0075】
各ステップにおいて、給電する辺を、制御装置17の制御によって選択する。めっき開始時に、長辺206側の二辺を給電辺として、めっきする。その後、短辺208側の二辺を給電辺としてめっきする。すなわち、
図8では、辺の個数は偶数(4個)であり、偶数個の辺に、連続した番号(本図では1~4)を、隣り合う辺は番号が連続するように付す。本図では、(1)~(4)の番号が、図示するように、例えば右回りに付される。
【0076】
その時に、制御装置17は、奇数番号を付された長辺206の給電部材に供給される電流と、偶数番号を付された短辺208の給電部材に供給される電流とが独立であるように、前記電流を制御し得るように構成されている。このとき、電流値は最初のステップと同じでも良いし、異なっていてもよい。なお、角部200の膜厚増加を抑えるために、中間マスク20、アノードマスク18によって、アノード12と基板Wfとの間の電場を部分的に遮蔽する。
【0077】
この時の電流値の一例を
図9に示す。図の横軸は時間(分)、縦軸は電流値(mA/cm
2)である。グラフ212は、長辺206の給電部材に供給される電流である第1の電流を示す。グラフ214は、短辺208の給電部材に供給される電流である第2の電流を示す。めっき開始時刻は、「0」で示す。めっき開始後、ある時間(t1)から短辺208に電流を印可する。ある時間(t1)まで電流を印加していた長辺206に印可していた電流はOFFとする。
図9に示すように電流を印可する場合、電源15(整流器)は、一台でめっき装置の運用が可能である。
【0078】
電流値の印加パターンとしては、以下のパターンも可能である。以下の
図10~12では、
図9と同様に、図の横軸は時間(分)、縦軸は電流値(mA/cm
2)であり、グラフ212は、長辺206の給電部材に供給される電流である第1の電流を示す。また、グラフ214は、短辺208の給電部材に供給される電流である第2の電流を示す。
図10は、四辺に常に電流を流し、電流値は一定であるが、長辺206と短辺208とで、電流値が異なるものである。短辺208に流す電流値は、長辺206に流す電流値より大きい。
【0079】
図11は、四辺に常に電流を流し、長辺206と短辺208とで、電流値が異なり、さらに、長辺206に流す電流値は、一定である。短辺208に流す電流値は、ある時間(t1)までは、長辺206に流す電流値より小さく、ある時間(t1)後は、長辺206に流す電流値より大きい。
【0080】
ある時間(t1)までは電流値は小さく、ある時間(t1)後は電流値が大きい理由は以下のとおりである。めっき開始直後は、めっき膜が薄く、電気抵抗が大きく、辺の端部、中央部、中間部分間での電気抵抗の差(ばらつき)も大きい。この状態で、電流値が大きいと、めっきの膜厚のばらつきが大きくなる。そのため、めっき開始直後は、電流値を小さくして、めっきの膜厚が大きくなって、電気抵抗が小さくなった(ばらつきが小さくなった)時に、電流値を大きくする。
【0081】
図11に示す例では、
図10に示す例に比べて、コンタクト370に流れる電流の値を
めっき途中で変更している点が異なる。即ち、短辺208に流れる電流の値を、めっき途中で段階的に増加させている。この理由をさらに説明する。基板Wfの辺206の中央部202には、ターミナルエフェクトにより、めっきの初期段階では電場が集中し、めっきが進むにつれて電流が小さくなる。このため、電場が集中するめっきの初期段階では、電流の値を比較的小さくする。中央部202の電流が他の部分と比べて相対的に小さくなるめっきの途中段階で、電流の値を比較的大きくしている。このように、ターミナルエフェクトに応じて電流値を変化させているので、定電流を流し続ける
図10の例に比べて、より膜厚の面内均一性を向上させることができる。
【0082】
図12では、ある時間(t1)までは、長辺206にのみ電流を流す。ある時間(t1)後は、四辺に電流を流し、長辺206と短辺208とで、電流値が異なる。ある時間(t1)後は、短辺208に流す電流値は、長辺206に流す電流値より大きい。
図11,12に示す電流の印加方法によれば、
図10と比較して、基板Wf内でシード膜厚の異方性があるなどの場合に、めっきの膜厚を均一化する効果が高くなる可能性がある。その結果、めっきによる膜厚の制御方法の自由度が上がる。
【0083】
図9,12では、制御装置17は、めっき中に、第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に第2の給電部材に電流を流す。
図9では制御装置17は、第2の給電部材に電流を流す間に、第1の給電部材への電流の供給を停止する。
【0084】
図12では制御装置17は、第2の給電部材に電流を流す間に、第1の給電部材への電流の供給を継続する。
図11では制御装置17は、第1の給電部材と第2の給電部材の少なくとも一方に供給する電流を、めっき中に増加させる。
【0085】
図13、14,15では、第1の辺206の長さ216に対する第1の給電部材が接触している部位の長さ218の比率と、第2の辺の長さ216に対する第2の給電部材が接触している部位の長さ218の比は異なる。
【0086】
図9~12に示す電流は、
図7,8に適用できるものであるが、
図8に示す実施形態は、電流値の印加パターン以外にも特徴がある。これについて、
図13により説明する。
図13は、
図8(b)の拡大図である。
図13において、各辺に関して、電流が供給されるコンタクト370の、コンタクト370が配置されている辺方向の部分の長さの合計218を、コンタクト370が配置されている辺の幅216(長さ)で除算した比は、めっき開始時と比べて、その後、異なるように、制御装置17は、コンタクト370に供給される電流を制御し得るように構成されている。
【0087】
図8(a)に示す最初の一段階目でのめっきでは、既述のように角部200の膜厚増加を抑えた代わりに、長辺側端部に近い中間部分204の膜厚が低くなる。
図8(b)に示すその後の二段階目でのめっきでは、一段階目と比較して、給電部の長さの合計218と辺の幅216の比(給電部の長さの合計218÷辺の幅216)が小さくなっている。これによって、角部200への膜厚増加を抑制しながら、膜厚不足部分である短辺近くの中間部分204に厚くめっきされるようにする。結果として、角型基板全体に対し均一にめっきすることができる。なお、ステップ数、給電辺の数、電流値については任意に組み合わせることが可能である。
【0088】
図8に示す実施形態を実現する具体的な方法としては、コンタクト370の長さの合計が、
図8に示す合計218に相当する。コンタクト370の長さの具体例を
図14,15により説明する。既述のように、1つの辺には、いくつかのコンタクト370がある。各コンタクトについて独立に、給電するか否かを選択できるようになっている。
図14(a),15(a)に示すように、めっき開始時、2つの長辺206にあるコンタクト370
の全てに給電する。その後、
図14(b),15(b)に示すように、2つの短辺208に給電してめっきする。その際に短辺208の全てのコンタクト370を給電に使用しない。
【0089】
図14(b)では、全体で4個あるコンタクト370a、370b、370c、370dのうち、内側の2個のコンタクト370b、370cのみに給電する。
図15(b)では、全体で4個あるコンタクト370a、370b、370c、370dのうち、
外側の2個のコンタクト370a、370dのみに給電する。
【0090】
短辺208上のコンタクト370はそれぞれ、長さ224を有する。
図14,15の短辺208上の給電される2個のコンタクト370の長さ224の合計が、
図8の短辺208上の合計218に相当する。長辺206に関しても同様である。この結果、
図8の例と同様、めっき開始時と比較して、その後のめっきでは、辺の長さAと給電長さBの比B/Aが小さくなっている。これによって、角部への膜厚増加を抑制しながら、膜厚不足部分である短辺近くの中間部分204に厚くめっきされる。結果として、角型基板全体に対し均一にめっきすることができる。
【0091】
なお、
図14,15の例に限らず、任意に給電するコンタクトの組み合わせは変える事ができる。給電するコンタクトの組み合わせは、例えば以下のような点を考慮して決定される。基板Wfによっては、基板Wfのすべてに均一なめっき用レジストパターンが存在するのではなく、部分的にめっき用レジストパターンの異なる基板Wfがある。従来の方法のように、単一ステップで、基板Wfに均一に電流を印加する方法では、めっき用レジストパターンの部分的な違いに対応出来ない、すなわち、均一な膜をつけられない可能性がある。めっき用レジストパターンの異なるエリア近くの辺(コンタクト)にのみ異なるステップ、異なる電流値を印加してめっきすることで、上記の問題を解決することができる。めっき用レジストパターンの部分的な違いに対応して、辺毎に電流値変えるか、コンタクト毎に電流値を変えるか、何れかの方法を採用する。
【0092】
次に、
図16により、別の実施形態について説明する。本実施形態では、めっき装置は、アノードホルダ13と基板ホルダ30との間に設けられるレギュレーションプレート20を備える。レギュレーションプレート20は、既述のように多角形の基板Wfの外形に沿った多角形開口21を有する本体部22と、多角形開口21の縁から基板ホルダ30側に突出する壁部23とを有する。めっき開始時の多角形開口21と、その後の多角形開口21は、形状、サイズのうちの少なくとも1つが異なる。本実施形態は、
図7の実施形態と組み合わせて実施できる。
【0093】
長方形型の角型基板において、二段階の電流ステップと、開口のサイズが可変な電場遮蔽マスク(アノードマスク、中間マスク、またはカソードマスク)を組み合わせる。
図16では、電場遮蔽マスクがレギュレーションプレート20の場合である。一般に、給電されている辺の近傍において、めっきの膜厚が高くなりやすい傾向がある。給電されている辺に合わせてレギュレーションプレート20の開口を調整することが好ましい。各電流ステップにおいて、給電する辺を、制御装置17の制御によって選択できる。1例として、
図7(a)のように二段階めっきを行う。
【0094】
図7(a)に合わせて、めっき開始時は、多角形開口21aは縦長であり、その後、多角形開口21aは横長である。
図16(a)に示す多角形開口21の短辺208方向の長さである開口径220は、
図16(b)に示す多角形開口21の短辺208方向の長さである開口径222より短い。
【0095】
めっき開始時に、任意に選択した辺(
図7(a)の場合は長辺206)に給電してめっ
きする。その後、めっき開始時と異なる辺(
図7(a)の場合は短辺208)に給電する。さらに、異なる電流値でめっきする。その際に可変マスクであるレギュレーションプレート20の開口径も
図16(a)に示す開口径220から
図16(b)に示す開口径222に変化させてめっきする。結果として、基板Wf全体に対し均一にめっきすることができる。
【0096】
図16では、第1の辺206に沿った基板Wfの領域を電場遮蔽マスク20によって遮蔽した状態で前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に開口21の形状を変化させて、第2の辺208に沿った基板の領域を電場遮蔽マスク20によって遮蔽した状態で前記第2の給電部材に電流を流している。
【0097】
開口径220を開口径222に変える機構としては、手動により、めっき槽の外部から変える機構、または、開口径を変える駆動機構(シャッタ等)と、駆動機構を駆動する駆動部(モータ等)と、駆動部を制御する制御装置17によって自動的に変える機構がある。
【0098】
なお、従来の角型の基板ホルダ30では、給電方法を、2辺のみから給電する方法と4辺から給電する方法を切り替えるために、基板ホルダ30を分解して、コンタクト370を取り外す(または取り付ける)必要があった。そのためのメンテナンス作業が必要になる。また、メンテナンス作業中にめっき作業を中断しないために、ホルダ枚数が多く必要になる。この問題の対策として、コンタクト370は基板Wfの全周につけておき、制御装置17の制御によってコンタクト370のON/OFFの切り替えを行い、給電する辺を二辺または四辺等にする。
【0099】
この対策によれば、メンテナンス作業なしに給電する辺を切り替えることができ、メンテナンス工数やホルダ数の削減につながる。また、基板Wfの種類に応じて給電する辺の数を変えてめっきすることもでき、めっきレシピの自由度が上がる。
【0100】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
形態1
アノードを保持するように構成されるアノードホルダと、
多角形基板を保持するように構成される基板ホルダと、
前記アノードホルダ及び前記基板ホルダを収容して、前記アノード及び前記基板をめっき液に浸漬するためのめっき槽と、
前記アノードと前記基板との間に流れる電流を制御するための制御装置と、を有し、
前記基板ホルダは、前記多角形基板の各辺に沿って配置される給電部材を有し、
少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、
前記制御装置は、めっき中に、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御し得るように構成された、めっき装置。
形態2
前記グループのうちの任意の2つのグループに共通に含まれる前記辺はない、形態1記載のめっき装置。
形態3
前記辺の個数は偶数であり、
偶数個の前記辺に、連続した番号を、隣り合う前記辺は前記番号が連続するように付した時に、奇数番号を付された前記辺を含む前記グループと、偶数番号を付された前記辺を含む前記グループとがある、ことを特徴とする形態2記載のめっき装置。
形態4
複数の前記グループのうちの1つの前記グループは複数の前記辺を含み、1つの前記グループとは異なる少なくとも1つの他の前記グル-プは、1つの前記グループに含まれる複数の前記辺のうちの一部の辺のみを含む、形態1記載のめっき装置。
形態5
めっき開始時に前記制御装置によって前記電流が供給される前記給電部材が配置される前記辺を含む前記グループと、その後、めっき中に前記制御装置によって前記電流が供給される前記給電部材が配置される前記辺を含む前記グループとが異なる、形態1ないし4のいずれか1項に記載のめっき装置。
形態6
前記制御装置は、めっき開始時の電流値と、その後、めっき中の電流値が異なるように、前記電流を制御し得るように構成された、形態1ないし5のいずれか1項に記載のめっき装置。
形態7
前記各辺に関して、前記電流が供給される前記給電部材の、前記給電部材が配置されている前記辺方向の長さの合計を、前記給電部材が配置されている前記辺の長さで除算した比は、前記めっき開始時と比べて、前記その後、めっき中、異なるように、前記制御装置は、前記給電部材に供給される前記電流を制御し得るように構成された、ことを特徴とする形態6記載のめっき装置。
形態8
前記めっき装置は、前記アノードホルダと前記基板ホルダとの間に設けられる電場遮蔽マスクを備え、
前記電場遮蔽マスクは、前記多角形基板の外形に沿った多角形開口を有し、
前記めっき開始時の前記多角形開口と、前記その後、めっき中の前記多角形開口は、形
状、サイズのうちの少なくとも1つが異なる、ことを特徴とする形態6または7に記載のめっき装置。
形態9
アノードと多角形基板との間に電流を流して前記多角形基板にめっきする方法であって、
前記多角形基板の各辺に給電部材を接触させる工程と、
前記アノードと、前記多角形基板とをめっき液に浸漬する工程と、
前記給電部材に供給される電流を制御する工程と、を有し、
少なくとも1個の前記辺を含む前記辺のグループが複数あり、前記各グループ間では少なくとも1つの前記辺が異なり、
前記電流を制御する工程では、めっき中に、前記給電部材に供給される電流を、前記グループごとに制御する、めっき方法。
形態10
アノードを保持するように構成されるアノードホルダと、
多角形基板を保持するように構成される基板ホルダと、
前記アノードホルダ及び前記基板ホルダを収容して、前記アノード及び前記多角形基板をめっき液に浸漬するためのめっき槽と、
前記アノードと前記多角形基板との間に流れる電流を制御するための制御装置と、を有し、
前記基板ホルダは、前記多角形基板の各辺に沿って配置される給電部材を有し、
前記制御装置は、めっき中に、前記多角形基板の第1の辺に沿って配置される第1の給電部材と前記第1の辺と異なる第2の辺に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流すように構成される、めっき装置。
形態11
前記多角形基板は矩形基板であり、
前記第1の給電部材は前記矩形基板の対向する2辺に沿って配置され、
前記第2の給電部材は前記第1の給電部材が配置される前記対向する2辺に直交する他の2辺に沿って配置される、形態10記載のめっき装置。
形態12
(図10、図11以外)
前記制御装置は、めっき中に、前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記第2の給電部材に電流を流すように構成される、形態10または11記載のめっき装置。
形態13
前記制御装置は、前記第2の給電部材に電流を流す間に、前記第1の給電部材への電流の供給を停止する、形態12記載のめっき装置。
形態14
前記制御装置は、前記第2の給電部材に電流を流す間に、前記第1の給電部材への電流の供給を継続する、形態12記載のめっき装置。
形態15
前記制御装置は、前記第1の給電部材と前記第2の給電部材の少なくとも一方に供給する電流を、めっき中に増加させる、形態10ないし14のいずれか1項に記載のめっき装置。
形態16
前記第1の辺の長さに対する前記第1の給電部材が接触している部位の長さの比率と、前記第2の辺の長さに対する前記第2の給電部材が接触している部位の長さの比は異なる、形態10ないし15のいずれか1項に記載のめっき装置。
形態17
アノードと多角形基板との間に電流を流して前記多角形基板にめっきする方法であって、
前記多角形基板の各辺に給電部材を接触させる工程と、
前記アノードと、前記多角形基板とをめっき液に浸漬する工程と、を有し、
めっき中に、前記多角形基板の第1の辺に沿って配置される第1の給電部材と前記第1の辺と異なる第2の辺に沿って配置される第2の給電部材に独立して電流を流す、めっき方法。
形態18
前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記第2の給電部材に電流を流す、形態17記載のめっき方法。
形態19
前記アノードと前記多角形基板との間の電場を部分的に遮蔽するように開口部を有する電場遮蔽マスクを配置する工程をさらに有し、
前記第1の辺に沿った前記多角形基板の領域を前記電場遮蔽マスクによって遮蔽した状態で前記第1の給電部材に電流を流し、所定時間が経過した後に前記開口部の形状を変化させて、前記第2の辺に沿った前記多角形基板の領域を前記電場遮蔽マスクによって遮蔽した状態で前記第2の給電部材に電流を流す、形態18記載のめっき方法。
【符号の説明】
【0101】
12…アノード
13…アノードホルダ
14…槽
17…制御装置
18…アノードマスク
20…中間マスク
20…レギュレーションプレート
21…多角形開口
30…基板ホルダ
200…角部
202…中央部
204…中間部分
206…辺
206…長辺
208…短辺
370…給電部材
370…コンタクト