(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】マルチカーエレベーターシステム及び建築構造物
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
B66B3/00 M
(21)【出願番号】P 2018144503
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堂薗 美礼
(72)【発明者】
【氏名】安部 貴
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-308239(JP,A)
【文献】特開平06-040675(JP,A)
【文献】特開2016-193772(JP,A)
【文献】特表2013-500221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人や荷物が出入りする複数の乗りかごと、
前記乗りかごが移動する移動路と、を有するマルチカーエレベーターを備え、
前記移動路は、
前記乗りかごが第1の向きに移動する第1移動路と、
前記乗りかごが前記第1の向きとは反対の第2の向きに移動する第2移動路と、を有し、
建築構造物における前記乗りかごが停止する停止階のうち、混雑時に最も乗客が前記乗りかごに乗車する基準階の乗降ホールにおいて、前記第1移動路及び前記第2移動路のうち前記乗りかごに乗車する乗客が多い前記第1移動路の乗車口は、前記乗降ホールの出入り口から、前記第2移動路の乗車口よりも離れた位置に設置される
マルチカーエレベーターシステム。
【請求項2】
前記乗降ホールに設置され、前記乗客を誘導する誘導表示部を備え、
前記誘導表示部は、前記第2移動路の乗車口に設置される
請求項
1に記載のマルチカーエレベーターシステム。
【請求項3】
前記第1移動路及び前記第2移動路の乗車口に設置され、前記乗りかごに関するかご情報表示部を備え、
前記誘導表示部は、前記かご情報表示部よりも早く前記乗りかごに関する情報が表示される
請求項
2に記載のマルチカーエレベーターシステム。
【請求項4】
前記出入り口に設置され、前記乗客から行き先が入力されると共に前記乗客の待機位置を表示する入場ゲートを備えた
請求項
1に記載のマルチカーエレベーターシステム。
【請求項5】
前記乗降ホールの床面には、前記乗客の待機位置を示す待機位置表示部が設置される
請求項
1に記載のマルチカーエレベーターシステム。
【請求項6】
人や荷物が出入りする複数の乗りかごと、
前記乗りかごが移動する移動路と、を有するマルチカーエレベーターが設置され、
前記移動路は、
前記乗りかごが第1の向きに移動する第1移動路と、
前記乗りかごが前記第1の向きとは反対の第2の向きに移動する第2移動路と、を有し、
前記乗りかごが停止する停止階のうち、混雑時に最も乗客が前記乗りかごに乗車する基準階の乗降ホールでは、前記第1移動路及び前記第2移動路のうち前記乗りかごに乗車する乗客が多い前記第1移動路の乗車口が、前記乗降ホールの出入り口から、前記第2移動路の乗車口よりも離れた位置に設置される
建築構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の乗りかごが移動路内を移動するマルチカーエレベーターを備えたマルチカーエレベーターシステム及びマルチカーエレベーターが設置された建築構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エレベーターの乗りかごが停止する乗降ホールには、乗客に乗車を案内する表示装置が設置されている。乗車を案内する技術をとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1には、乗場にいる乗客が視認可能な表示位置と視認不能な格納位置とに移動可能な表示部と、乗場でのかご呼び登録に応じて表示部を表示位置まで移動させて情報を表示させるエレベータ制御盤とを備えた技術が開示されている。
【0003】
また、乗客の輸送効率を向上させるために、一つの移動路内に複数の乗りかごが移動するマルチカーエレベーターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、循環式のマルチカーエレベーターは、乗りかごの移動の向きが一方向に決まっているため、混雑時には片側の移動路の乗車口に乗客が集中する。その結果、乗客の混雑を解消するために、乗降ホールを広くする必要があった。
【0006】
本目的は、上記の問題点を考慮し、乗降ホールの省スペース化を図ることができるマルチカーエレベーターシステム及び建築構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するため、マルチカーエレベーターシステムは、人や荷物が出入りする複数の乗りかごと、乗りかごが移動する移動路と、を有するマルチカーエレベーターを備えている。移動路は、乗りかごが第1の向きに移動する第1移動路と、乗りかごが第1の向きとは反対の第2の向きに移動する第2移動路と、を有している。
建築構造物における乗りかごが停止する停止階のうち、混雑時に最も乗客が乗りかごに乗車する基準階の乗降ホールにおいて、第1移動路及び第2移動路のうち乗りかごに乗車する乗客が多い第1移動路の乗車口は、乗降ホールの出入り口から、第2移動路の乗車口よりも離れた位置に設置される。
【0008】
また、マルチカーエレベーターシステムの他の例は、人や荷物が出入りする複数の乗りかごと、乗りかごが移動する移動路と、を有するマルチカーエレベーターを備えている。移動路は、乗りかごが第1の向きに移動する第1移動路と、乗りかごが第1の向きとは反対の第2の向きに移動する第2移動路と、を有している。
建築構造物における乗りかごが停止する停止階の乗降ホールに設置され、乗りかごが停止する停止階に対応した待機位置に、乗客を誘導する誘導表示部を備えている。
【0009】
また、建築構造物には、上述したルチカーエレベーターが設置される。乗りかごが停止する停止階のうち、混雑時に最も乗客が乗りかごに乗車する基準階の乗降ホールでは、第1移動路及び第2移動路のうち乗りかごに乗車する乗客が多い第1移動路の乗車口が、乗降ホールの出入り口から、第2移動路の乗車口よりも離れた位置に設置される。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のマルチカーエレベーターシステム及び建築構造物によれば、乗降ホールの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】マルチカーエレベーターを示す概略構成図である。
【
図2】第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図3】第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図4】第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図5】第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図6】第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図7】第6の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図8】第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図9】第8の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図10】第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールの第1の変形例を示す平面図である。
【
図11】第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールの第2の変形例を示す平面図である。
【
図12】第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図13】第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図14】第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールを示す平面図である。
【
図15】第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールの変形例を示す平面図である。
【
図16】第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム及び建築構造物について、
図1~
図16を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.実施の形態例
1-2.マルチカーエレベーターの構成例
まず、マルチカーエレベーターシステムに適用されるマルチカーエレベーターの構成例について
図1を参照して説明する。
図1は、マルチカーエレベーターの一例を示す概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、マルチカーエレベーター10は、人や荷物を載せる複数の乗りかご11と、不図示の駆動部と、を備えている。複数の乗りかご11は、建築構造物に設けた移動路5内を一方向に移動する。
【0015】
また、移動路5は、乗りかご11が上昇移動する第1移動路を示す上昇路6と、乗りかご11が下降移動する第2移動路を示す下降路7が設けられている。さらに、移動路5における上昇路6と下降路7の上下方向の上端部には、乗りかご11の移動が上昇から下降に反転する第1反転路8が設けられている。また、移動路5における上昇路6と下降路7の上下方向の下端部には、乗りかご11の移動が下降から上昇に反転する第2反転路9が設けられている。
【0016】
また、上昇路6における乗りかご11が停車する停車階には、乗客が乗りかご11に出入りするための乗車口の一例を示す上昇用乗降口12(
図1参照)が設けられている。同様に、下降路7における乗りかご11が停車する停車階には、乗客が乗りかご11に出入りするための乗車口の一例を示す下降用乗降口13(
図1参照)が設けられている。
【0017】
そして、複数の乗りかご11は、駆動部により駆動し、移動路5における上昇路6、下降路7、第1反転路8及び第2反転路9を一方向に移動する。
【0018】
なお、マルチカーエレベーター10として、複数の乗りかご11が一方向に移動するマルチカーエレベーターを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の乗りかご11を移動路5に沿って循環移動させてもよく、あるいは、複数の乗りかご11が移動路5を上昇と下降の両方向に移動可能に構成されたマルチカーエレベーターシステムにも適用できるものである。
【0019】
乗りかご11の駆動方法としては、巻上機を設けた駆動方法や、リニア駆動部を設けて、乗りかご11に接続された主ロープに誘導電流を流して、主ロープ自体に駆動力(推力)を発生される駆動方法を用いてもよい。また、乗りかご11に駆動部を設けた自走式のマルチカーエレベーターシステムにも適用できるものである。
【0020】
また、マルチカーエレベーター10に設けられる乗りかご11の数は、6つに限定されるものではなく、乗りかごの数は、5つ以下、あるいは7つ以上設けてもよい。
【0021】
1-2.マルチカーエレベーターシステムの第1の実施の形態例
次に、上述したマルチカーエレベーター10を備えたマルチカーエレベーターシステムの第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)について
図2を参照して説明する。
図2は、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【0022】
ここで、基準階とは、建築構造物における乗りかご11が停止する複数の停止階のうち最も乗客が出入りする階である。なお、基準階として、
図1に示す例では、ロビー階である1階を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。基準階としては、例えば、2階以上の階を基準階としてもよく、あるいは建築構造物の上階に設けられた展望室等のスカイロビー階や、建築構造物における他の建築構造物と接続される接続階等その他各種の階を基準階としてもよい。
【0023】
図2に示すように、基準階の乗降ホール100には、乗客21が出入りする出入り口101が片側に1箇所設けられている。マルチカーエレベーターシステム1000は、2台のマルチカーエレベーター10A、10Bと、かご情報表示部15と、誘導表示部16と、入場ゲート17とを備えている。第1マルチカーエレベーター10Aと、第2マルチカーエレベーター10Bは、乗降ホール100の通路を間には挟んで互いに対向して配置されている。
【0024】
第1マルチカーエレベーター10Aにおける上昇路6は、下降路7よりも出入り口101から離れた位置に配置されている。すなわち上昇用乗降口12は、下降用乗降口13よりも出入り口101から離れた位置に配置されている。同様に、第2マルチカーエレベーター10Bにおける上昇用乗降口12は、下降用乗降口13よりも出入り口101から離れた位置に配置されている。
【0025】
また、上昇用乗降口12には、乗りかご21の到着やドアの開閉状態等の乗りかご21に関する各種情報を表示するかご情報表示部15が設けられている。なお、下降用乗降口13にも同様に、不図示のかご情報表示部が設けられている。
【0026】
乗降ホール100における下降用乗降口13の正面には、誘導表示部16が設置されている。誘導表示部16は、出入り口101が乗降ホール100に入場した乗客21を誘導する情報を表示する。誘導表示部16に表示される情報としては、例えば、乗客21の待機位置が表示される。
【0027】
また、乗降ホール100における出入り口101には、入場ゲート17が設置されている。入場ゲート17は、乗客21から行き先が入力される入力部と、乗客21の待機位置や乗車位置等の各種情報を表示する表示部とを有している。入場ゲート17は、乗客21から行き先が入力されると、入力した乗客21に待機位置を表示する。入場ゲート17としては、例えば、タッチパネル、キー入力部や乗客が所持するタグやカードを読み取る読み取り部等により構成される。
【0028】
ここで、出勤時等の乗客21が基準階で混雑するときでは、乗客21は、下降移動する乗りかご11よりも上昇移動する乗りかご11に集中する。そこで、本例のマルチカーエレベーターシステム1000では、上昇路6を下降路7よりも出入り口101から離れた位置に配置している。これにより、出入り口101から乗降ホール100に入場した乗客21は、下降用乗降口13の前方を通過して乗降ホール100の奥まで移動し、上昇用乗降口12の正面で待機する。
【0029】
そのため、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12から乗車する乗客21の第1待機列22Aは、上昇用乗降口12から下降用乗降口13の前方にかけて形成される。同様に、第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12から乗車する乗客21の第2待機列22Bは、上昇用乗降口12から下降用乗降口13の前方にかけて形成される。
【0030】
このように、出入り口101の周囲に乗客21を集中させることなく、乗降ホール100の奥から乗客21を整列させることができる。これにより、乗降ホール100のスペースを有効活用することができ、乗降ホール100の省スペース化を図ることが可能となる。さらに、乗客21が出入り口101に集中することを防止することができるため、乗降ホール100に入場できない乗客21が発生することを防ぐことができ、乗降ホール100の混雑の解消を図ることもできる。
【0031】
なお、混雑時では、下降用乗降口13から乗り降りする乗客21は、上昇用乗降口12から乗車する乗客21よりも少ないため、第1待機列22Aや第2待機列22Bが乗降ホール100を移動する乗客21の妨げになることを防ぐことができる。
【0032】
また、第1待機列22A及び第2待機列22Bが形成される下降用乗降口13には、誘導表示部16が配置されている。これにより、第1待機列22A及び第2待機列22Bの後方に並ぶ乗客21に対しても、上昇路6を移動する乗りかご11の状態や、上昇用乗降口12のドアの開閉状態を通知させることができる。その結果、乗客21が集中する混雑時においても、全ての乗客21に対して適切な情報を通知させることができ、乗客21の乗車をスムーズに行うことができる。
【0033】
また、マルチカーエレベーターシステム1000を制御する不図示の制御部は、誘導表示部16に表示される情報を、乗降口12、13に設置されたかご情報表示部15に表示される情報よりも先に表示させてもよい。例えば、誘導表示部16には、かご情報表示部15よりも先にドアの開閉情報や、乗りかご11の到着又は接近情報が表示される。これにより、第1待機列22A及び第2待機列22Bの後方に待機する乗客21に対して、乗降口12、13付近に待機している乗客21よりも事前に各種情報を告知することができる。その結果、第1待機列22A及び第2待機列22Bの後方に待機する乗客21に対して、乗車準備を事前に促すことができ、乗りかご11への乗車をスムーズに行うことができる。
【0034】
2.第2の実施の形態例
次に、
図3を参照して第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図3は、第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、乗降ホール200には、2つの出入り口201A、201Bが設けられている。第1出入り口201Aと第2出入り口201Bは、2台のマルチカーエレベーター10A、10Bを間に挟んで対向して形成されている。
【0036】
マルチカーエレベーターシステム2000は、2台のマルチカーエレベーター10A、10Bと、第1入場ゲート17Aと、第2入場ゲート17Bとを備えている。
【0037】
第1マルチカーエレベーター10Aにおける上昇用乗降口12は、第1マルチカーエレベーター10Aの下降用乗降口13よりも第1出入り口201Aから離れた位置に配置されている。また、第2マルチカーエレベーター10Bにおける上昇用乗降口12は、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13よりも第2出入り口201Bから離れた位置に配置されている。
【0038】
そのため、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12から乗車する乗客21の第1待機列22Aは、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12から下降用乗降口13の前方にかけて形成される。第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12から乗車する乗客21の第2待機列22Bは、第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12から下降用乗降口13の前方にかけて形成される。
【0039】
また、第1入場ゲート17Aは、第1出入り口201Aに設置されており、第2入場ゲート17Bは、第2出入り口201Bに設置されている。第1入場ゲート17Aは、第1出入り口201Aから入場した乗客21を第1待機列22Aに誘導する。また、第2入場ゲート17Bは、第2出入り口201Bから入場した乗客21を第2待機列22Bに誘導する。これにより、第1出入り口201A及び第2出入り口201Bの周囲に乗客21が集中することを防ぐことができる。
【0040】
なお、第1出入り口201Aから入場した乗客21を第2待機列22Bに誘導する場合、第1入場ゲート17Aや不図示の誘導表示部により、第2マルチカーエレベーター10Bの下降路7の下降用乗降口13まで移動するように誘導する。また、第2出入り口201Bから入場した乗客21を第1待機列22Aに誘導する場合、第2入場ゲート17Bや不図示の誘導表示部により、第1マルチカーエレベーター10Aの下降路7の下降用乗降口13まで移動するように誘導する。
【0041】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム2000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0042】
また、第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム2000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、かご情報表示部15や、誘導表示部16が設置される。
【0043】
3.第3の実施の形態例
次に、
図4を参照して第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図4は、第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、乗降ホール300の出入り口301は、
図2に示す乗降ホール100と同様に、片側に1箇所設けられている。マルチカーエレベーターシステム3000は、2台のマルチカーエレベーター10A、10Bと、出入り口301に設けられた入場ゲート17とを備えている。
【0045】
第1マルチカーエレベーター10Aと第2マルチカーエレベーター10Bは、乗降ホール300の通路に沿って横並びに設置されている。第2マルチカーエレベーター10Bは、第1マルチカーエレベーター10Aよりも出入り口301から離れた位置に設置されている。
【0046】
第1マルチカーエレベーター10Aにおける上昇用乗降口12は、第1マルチカーエレベーター10Aの下降用乗降口13よりも出入り口301から離れた位置に配置されている。第2マルチカーエレベーター10Bにおける上昇用乗降口12は、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13よりも出入り口301から離れた位置に配置されている。
【0047】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム3000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0048】
なお、乗客21が第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12から乗車する第2待機列22Bに並ぶ際には、第1マルチカーエレベーター10Aを通過する必要がある。上述したように、第1待機列22Aは、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12から下降用乗降口13にかけて整列して形成される。これにより、第1待機列22Aが第2待機列22Bに並ぶ乗客21の妨げになることを防ぐことができる。
【0049】
また、第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム3000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、かご情報表示部15や、誘導表示部16が設置される。
【0050】
4.第4の実施の形態例
次に、
図5を参照して第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図5は、第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0051】
図5に示すように、乗降ホール400には、
図3に示す乗降ホール200と同様に、2つの出入り口401A、401Bが設けられている。第1出入り口401Aと第2出入り口401Bは、2台のマルチカーエレベーター10A、10Bを間に挟んで対向して形成されている。
【0052】
マルチカーエレベーターシステム4000は、2台のマルチカーエレベーター10A、10Bと、第1入場ゲート17Aと、第2入場ゲート17Bとを備えている。第1入場ゲート17Aは、第1出入り口401Aに設置されており、第2入場ゲート17Bは、第2出入り口401Bに設置されている。
【0053】
第1マルチカーエレベーター10Aと第2マルチカーエレベーター10Bは、乗降ホール400の通路に沿って横並びに設置されている。第1マルチカーエレベーター10Aは、第1出入り口401A側に配置され、第2マルチカーエレベーター10Bは、第2出入り口401B側に配置されている。
【0054】
第1マルチカーエレベーター10Aにおける上昇用乗降口12は、第1マルチカーエレベーター10Aの下降用乗降口13よりも第1出入り口401Aから離れた位置に配置されている。また、第2マルチカーエレベーター10Bにおける上昇用乗降口12は、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13よりも第2出入り口401Bから離れた位置に配置されている。
【0055】
そして、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12から乗車する乗客21の第1待機列22Aは、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12から下降用乗降口13の前方にかけて形成される。第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12から乗車する乗客21の第2待機列22Bは、第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12から下降用乗降口13の前方にかけて形成される。
【0056】
そのため、乗降ホール400における第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12と第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12の間に、スペース406を形成することができる。これにより、スペース406に建築構造物のパイプ、シャフトを配置したり、スペース406を倉庫等に利用したりすることができる。
【0057】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム4000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0058】
また、第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム4000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、かご情報表示部15や、誘導表示部16が設置される。
【0059】
5.第5の実施の形態例
次に、
図6を参照して第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図6は、第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、乗降ホール300の出入り口301は、
図2に示す乗降ホール100と同様に、片側に1箇所設けられている。マルチカーエレベーターシステム5000は、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’と、かご情報表示部15と、誘導表示部16とを備えている。
【0061】
2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’の乗りかごには、互いに対向する2つのドアが設けられている。2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’は、それぞれ上昇用乗車口12A、上昇用降車口12B、下降用乗車口13A、下降用降車口13Bが設けられている。上昇用乗車口12Aと上昇用降車口12Bは、上昇路6を間に挟んで対向し、下降用乗車口13Aと下降用降車口13Bは、下降路7を間に挟んで対向する。
【0062】
乗りかごが上昇移動する際は、上昇用乗車口12Aから乗客21が乗りかごに乗車し、上昇用降車口12Bから乗客21は降車する。また、乗りかごが下降移動する際は、下降用乗車口13Aから乗客21が乗りかごに乗車し、下降用降車口13Bから乗客21は降車する。
【0063】
第1マルチカーエレベーター10A’と、第2マルチカーエレベーター10B’は、上昇用乗車口12A及び下降用乗車口13Aを互いに対向して配置されている。乗降ホール500における第1マルチカーエレベーター10A’と、第2マルチカーエレベーター10B’の間には、乗車用通路503が形成されている。また、乗降ホール500における第1マルチカーエレベーター10A’と第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用降車口12B及び下降用降車口13Bを臨む側には、降車用通路504が形成されている。降車用通路504には、出入り口501に連通する接続通路505が接続されている。
【0064】
第1マルチカーエレベーター10A’における上昇用乗車口12Aは、下降用乗車口13Aよりも出入り口501から離れた位置に配置されている。同様に、第2マルチカーエレベーター10B’における上昇用乗車口12Aは、下降用乗車口13Aよりも出入り口501から離れた位置に配置されている。
【0065】
また、基準階が混雑する混雑時とは異なる時間帯、例えば、帰宅時等では、乗りかご11に乗車する乗客21よりも乗りかご11から降車する乗客21が増える。そのため、降車用通路504の幅の長さaを、上昇用降車口12Bや下降用降車口13Bの開口の幅の長さWと同じか、それ以上の長さに設定することが好ましい。これにより、乗りかご11から降車した乗客21が降車用通路504で渋滞することを防ぐことができ、乗客21をスムーズに出入り口501に移動させることができる。
【0066】
また、基準階では、上昇移動する乗りかご11から降車する乗客21は、下降移動する乗りかご11から降車する乗客21よりも少ない。そのため、降車用通路504における上昇用降車口12Bの前方には、乗客21が通過しないスペース511が形成される。その結果、このスペース511に導流帯や建築構造物のパイプ、シャフトを配置したり、スペース511を倉庫等に利用したりすることができる。また、乗降ホール500の一番奥に配置される上昇用降車口12Bを閉鎖してもよい。
【0067】
さらに、混雑時では、乗客21は、上昇用乗車口12Aから下降用乗車口13Aにかけて整列する。そのため、待機列の幅の長さbを、上昇用乗車口12Aや下降用乗車口13Aの開口の幅の長さWよりも短くすることができる。その結果、乗降ホール500における乗車用通路503の幅の長さ2bを短くすることができ、乗降ホール500の省スペース化を図ることができる。
【0068】
また、乗客21を上昇用乗車口12Aから下降用乗車口13Aにかけて整列させることで、乗車用通路503における出入り口501とは反対側の壁面にスペース511を形成することができる。このスペース511も、降車用通路504に形成されたスペース511と同様に、導流帯や建築構造物のパイプ、シャフトを配置したり、スペース511を倉庫等に利用したりすることができる。
【0069】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム5000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0070】
また、第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム5000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、出入り口501に入場ゲート17を設置してもよい。
【0071】
6.第6の実施の形態例
次に、
図7を参照して第6の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図7は、第6の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0072】
図7に示すように、乗降ホール600には、
図3に示す乗降ホール200と同様に、2つの出入り口601A、401Bが設けられている。第1出入り口601Aと第2出入り口601Bは、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’を間に挟んで対向して形成されている。また、乗降ホール600には、乗車用通路603、降車用通路604及び接続通路605が設けられている。
【0073】
マルチカーエレベーターシステム6000は、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’を備えている。なお、このマルチカーエレベーター10A’、10B’は、第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーター10A’、10B’と同様に、乗りかごに互いに対向する2つのドアが設けられており、それぞれ上昇用乗車口12A、上昇用降車口12B、下降用乗車口13A、下降用降車口13Bが設けられている。
【0074】
第1マルチカーエレベーター10A’における上昇用乗車口12Aは、第1マルチカーエレベーター10A’の下降用乗車口13Aよりも第1出入り口601Aから離れた位置に配置されている。また、第2マルチカーエレベーター10B’における上昇用乗車口12Aは、第2マルチカーエレベーター10B’の下降用乗車口13Aよりも第2出入り口601Bから離れた位置に配置されている。
【0075】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第6の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム6000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0076】
また、第6の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム6000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、かご情報表示部15や、誘導表示部16が設置される。また、第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム2000と同様に、第1出入り口601Aに第1入場ゲート17Aを設置し、第2出入り口601Bに第2入場ゲート17Bを設置してもよい。
【0077】
7.第7の実施の形態例
次に、
図8を参照して第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図8は、第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、乗降ホール700の出入り口701は、
図4に示す乗降ホール300と同様に、片側に1箇所設けられている。また、乗降ホール700には、乗車用通路703と降車用通路704が設けられている。乗車用通路703及び降車用通路704は、それぞれ出入り口701に接続されている。
【0079】
マルチカーエレベーターシステム7000は、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’を備えている。なお、このマルチカーエレベーター10A’、10B’は、第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーター10A’、10B’と同様に、乗りかごに互いに対向する2つのドアが設けられており、それぞれ上昇用乗車口12A、上昇用降車口12B、下降用乗車口13A、下降用降車口13Bが設けられている。
【0080】
第1マルチカーエレベーター10A’と第2マルチカーエレベーター10B’は、乗車用通路703及び降車用通路704に沿って横並びに設置されている。そして、第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム3000と同様に、第2マルチカーエレベーター10B’は、第1マルチカーエレベーター10A’よりも出入り口701から離れた位置に設置されている。
【0081】
第1マルチカーエレベーター10A’における上昇用乗車口12Aは、第1マルチカーエレベーター10A’の下降用乗車口13Aよりも出入り口701から離れた位置に配置されている。第2マルチカーエレベーター10B’における上昇用乗車口12Aは、第2マルチカーエレベーター10B’の下降用乗車口13Aよりも出入り口701から離れた位置に配置されている。
【0082】
この第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000においても乗車用通路703や降車用通路704における第2マルチカーエレベーター10B’側にスペース711を形成することができる。また、乗降ホール700の一番奥に配置される第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用降車口12Bを閉鎖してもよい。
【0083】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0084】
また、第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、かご情報表示部15や、誘導表示部16が設置される。また、第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム3000と同様に、出入り口701に入場ゲート17を設置してもよい。
【0085】
8.第8の実施の形態例
次に、
図9を参照して第8の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムについて説明する。
図9は、第8の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
なお、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0086】
乗降ホール800には、
図5に示す乗降ホール400と同様に、2つの出入り口801A、801Bが設けられている。第1出入り口801Aと第2出入り口801Bは、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’を間に挟んで対向して形成されている。また、乗降ホール800には、乗車用通路803と降車用通路804が設けられている。乗車用通路803及び降車用通路804は、それぞれ第1出入り口801A及び第2出入り口801Bに接続されている。
【0087】
マルチカーエレベーターシステム8000は、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’を備えている。なお、このマルチカーエレベーター10A’、10B’は、第5の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーター10A’、10B’と同様に、乗りかごに互いに対向する2つのドアが設けられており、それぞれ上昇用乗車口12A、上昇用降車口12B、下降用乗車口13A、下降用降車口13Bが設けられている。
【0088】
第1マルチカーエレベーター10Aと第2マルチカーエレベーター10Bは、乗降ホール400の通路に沿って横並びに設置されている。第1マルチカーエレベーター10Aは、第1出入り口401A側に配置され、第2マルチカーエレベーター10Bは、第2出入り口401B側に配置されている。
【0089】
第1マルチカーエレベーター10A’における上昇用乗車口12Aは、第1マルチカーエレベーター10A’の下降用乗車口13Aよりも第1出入り口801Aから離れた位置に配置されている。また、第2マルチカーエレベーター10B’における上昇用乗車口12Aは、第2マルチカーエレベーター10B’の下降用乗車口13Aよりも第2出入り口801Bから離れた位置に配置されている。
【0090】
この第8の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム8000においても乗車用通路803や降車用通路804にスペース811を形成することができる。また、乗車用通路803における第1マルチカーエレベーター10A’の上昇用乗車口12Aと第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用乗車口12Aの間にも、スペース806を形成することができる。さらに、降車用通路804における第1マルチカーエレベーター10A’の上昇用降車口12Bと第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用降車口12Bの間にも、スペース807を形成することができる。
【0091】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様であるため、それらの説明は省略する。この第8の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム8000によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0092】
また、第8の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム8000においても、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000と同様に、かご情報表示部15や、誘導表示部16が設置される。また、第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム2000と同様に、第1出入り口801Aに第1入場ゲート17Aを設置し、第2出入り口801Bに第2入場ゲート17Bを設置してもよい。
【0093】
9.変形例
次に、
図10及び
図11を参照してマルチカーエレベーターシステムの変形例について説明する。
9-1.第1の変形例
まず、
図10を参照して第1の変形例について説明する。
図10は、第1の変形例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【0094】
この第1の変形例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000Aは、第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000に待機位置表示部716A、716B、717A、717Bを設けたものである。そのため、第7の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0095】
図10に示すように、マルチカーエレベーターシステム7000Aは、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’と、複数の待機位置表示部716A、716B、717A、717Bと、複数の降車経路表示部721とを有している。複数の待機位置表示部716A、716B、717A、717Bは、乗降ホール700Aにおける乗車用通路703の床面に形成されている。また、複数の降車経路表示部721は、乗降ホール700Aにおける降車用通路704の床面に形成されている。
【0096】
待機位置表示部716A、716B、717A、717B及び降車経路表示部721は、例えば、床面にLEDや蓄光部材等を埋め込んで形成してもよく、あるいは床面にペンキにより描いてもよい。また、待機位置表示部716A、716B、717A、717B及び降車経路表示部721としては、ステッカーを床面に貼り付けることで形成したりしてもよく、その他各種の表示方法で形成してもよい。
【0097】
第1エリア待機位置表示部716A及び第1エリア待機位置表示部717Aは、
図1に示す乗りかご11が停止する複数の停止階のうち第1エリアAの停止階に停車する乗りかご11に乗車する乗客21が待機する待機位置である。また、第2エリア待機位置表示部716B及び第2エリア待機位置表示部717Bは、
図1に示す乗りかご11が停止する複数の停止階のうち第2エリアBの停止階に停車する乗りかご11に乗車する乗客21が待機する待機位置である。
【0098】
第1エリア待機位置表示部716A及び第2エリア待機位置表示部716Bは、第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用乗車口12Aの正面から下降用乗車口13Aの正面にかけて形成されている。また、第1エリア待機位置表示部716Aには、第2エリア待機位置表示部716Bよりも第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用乗車口12Aから先に到着した乗りかご11に乗車する乗客21が待機する。
【0099】
第1エリア待機位置表示部717A及び第2エリア待機位置表示部717Bは、第1マルチカーエレベーター10A’の上昇用乗車口12Aの正面から下降用乗車口13Aの正面にかけて形成されている。また、第2エリア待機位置表示部717Bには、第1エリア待機位置表示部717Aよりも第1マルチカーエレベーター10A’の上昇用乗車口12Aから先に到着した乗りかご11に乗車する乗客21が待機する。
【0100】
このように、乗降ホール700Aの床面に、待機位置表示部716A、716B、717A、717Bを設けることで、乗客21の待機位置を明確にすることができる。これにより、乗客21の待機列を直線状に整列させることができ、乗降ホール700Aの省スペース化を図ることができる。さらに、乗りかご11が停車する停車階や停車エリア毎に、待機位置を分けることで、乗客21が乗車すべき乗りかご11を容易に判断することができる。
【0101】
また、乗降ホール700Aにおける乗車用通路703の壁面には、誘導表示部16が設置されている。誘導表示部16には、マルチカーエレベーター10A’、10B’の上昇用乗車口12A及び下降用乗車口13Aに到着する乗りかご11の行き先階が表示される。
【0102】
複数の降車経路表示部721は、降車用通路704の床面において、各マルチカーエレベーター10A’、10B’の降車口12B、13Bから出入り口701にかけて形成されている。また、複数の降車経路表示部721は、互いに交差しないように形成されている。これにより、各降車口12B、13Bから降車した乗客21をスムーズに出入り口701に向けて誘導することができる。
【0103】
9-2.第2の変形例
次に、
図11を参照して第2の変形例について説明する。
図11は、第2の変形例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける基準階の乗降ホールを示す平面図である。
【0104】
この第2の変形例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000Bは、第1の変形例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000Aにおける待機位置表示部716A、716B、717A、717Bの位置を変更したものである。そのため、第1の変形例にかかるマルチカーエレベーターシステム7000Aと共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0105】
図11に示すように、マルチカーエレベーターシステム7000Bは、2台のマルチカーエレベーター10A’、10B’と、複数の待機位置表示部716A、716B、717A、717Bと、複数の降車経路表示部721とを有している。なお、第1マルチカーエレベーター10A’の乗りかご11は、
図1に示す複数の停止階のうち第1エリアAの停止階に停車する。また、第2マルチカーエレベーター10B’の乗りかご11は、
図1に示す複数の停止階のうち第2エリアBの停止階に停車する。
【0106】
そのため、第1エリア待機位置表示部716A、717Aは、第1マルチカーエレベーター10A’の上昇用乗車口12Aの正面から下降用乗車口13Aの正面にかけて形成されている。また、第1エリア待機位置表示部716Aには、第1エリア待機位置表示部717Aよりも第1マルチカーエレベーター10A’の上昇用乗車口12Aから先に到着した乗りかご11に乗車する乗客21が待機する。なお、第1エリア待機位置表示部716A、717Aは、第1エリアAにおいて異なる停車階に停車する乗りかご11の待機位置であってもよい。
【0107】
第2エリア待機位置表示部716B、717Bは、第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用乗車口12Aの正面から下降用乗車口13Aの正面にかけて形成されている。また、第2エリア待機位置表示部716Bには、第2エリア待機位置表示部717Bよりも第2マルチカーエレベーター10B’の上昇用乗車口12Aから先に到着した乗りかご11に乗車する乗客21が待機する。なお、第2エリア待機位置表示部716B、717Bは、第2エリアBにおいて異なる停車階に停車する乗りかご11の待機位置であってもよい。
【0108】
なお、待機位置表示部716A、716B、717A、717Bの配置パターンは、上述した例に限定されるものではなく、乗車する順番や、乗りかご11が停車する停車階に応じて種々に設定されるものである。
【0109】
10.一般階の構成例
次に、一般階における乗降ホールの例について
図12~
図16を参照して説明する。
図12は、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000における一般階の乗降ホールを示す平面図である。
図13は、第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム2000における一般階の乗降ホールを示す平面図である。
図14は、第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールを示す平面図、
図15は、その変形例を示す平面図である。また、
図16は、第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステムにおける一般階の乗降ホールを示す平面図である。
【0110】
一般階の乗降ホールでは、基準階の乗降ホールとは反対向きに移動する乗りかご11に乗客21が集中する。上述した実施の形態例では、基準階において上昇移動する乗りかご11に乗客21が集中する例を説明したため、一般階では下降移動する乗りかご11に乗客21が集中する。
【0111】
図12に示すように、第1の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム1000の乗降ホール150には、下降用乗降口13の前方だけでなく、乗降ホール350の出入り口151と対向する壁面にも誘導表示部36が配置されている。そして、誘導表示部16、36には、下降用乗降口13から上昇用乗降口12に向けて並ぶように示す情報が表示される。そのため、待機列23は、下降用乗降口13から上昇用乗降口12に延び、乗降ホール150の奥に設置された誘導表示部36から出入り口151にかけて形成される。
【0112】
また、
図13に示すように、第2の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム2000の乗降ホール250では、第1待機列23Aが第1マルチカーエレベーター10Aの下降用乗降口13から上昇用乗降口12の前方にかけて形成される。また、第2待機列23Bは、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13から上昇用乗降口12の前方にかけて形成される。
【0113】
図14に示すように、第3の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム3000の乗降ホール350では、第1待機列23Aが第1マルチカーエレベーター10Aの下降用乗降口13から上昇用乗降口12の前方にかけて形成される。また、第2待機列23Bは、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13から上昇用乗降口12の前方にかけて形成される。これにより、第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12の前方に、スペース371を形成することができる。
【0114】
なお、
図15に示す変形例にかかるマルチカーエレベーターシステム3000Bの乗降ホール350Bのように、第2待機列23Bを、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13から、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12の前方にかけて形成してもよい。
【0115】
さらに、
図16に示すように、第4の実施の形態例にかかるマルチカーエレベーターシステム4000の乗降ホール450では、第1待機列23Aが第1マルチカーエレベーター10Aの下降用乗降口13から上昇用乗降口12の前方にかけて形成される。また、第2待機列23Bは、第2マルチカーエレベーター10Bの下降用乗降口13から上昇用乗降口12の前方にかけて形成される。すなわち、第1待機列23Aは、第1出入り口451Aとは反対方向に向けて形成され、第2待機列23Bは、第2出入り口451Bとは反対方向に向けて形成される。
【0116】
また、この一般階の乗降ホール450においても、第1マルチカーエレベーター10Aの上昇用乗降口12と第2マルチカーエレベーター10Bの上昇用乗降口12の間に、スペース471を形成することができる。
【0117】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0118】
例えば、上述した実施の形態例では、混雑時に基準階の乗降ホールにおいて乗客が集中する乗りかごとして、上昇移動する乗りかごに集中する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、混雑時に乗客が下降移動する乗りかごにも適用できるものである。この場合、下降路7が乗降ホールの出入り口から上昇路6よりも離れた位置に配置される。
【0119】
また、上述した実施の形態例では、2台のマルチカーエレベーターを設置する例を説明したが、設置されるマルチカーエレベーターの数は、2台に限定されるものではなく、例えば、1台だけ、あるいは3台以上設置してもよい。
【0120】
さらに、上述した実施の形態例では、マルチカーエレベーターとして、乗りかごを鉛直方向である上下方向に昇降移動させる例を説明したが、これに限定されるものではなく、乗りかごを水平方向、上下方向及び水平方向から傾斜した斜め方向に移動させてもよい。また、乗りかごを水平方向や斜め方向に移動させる場合でも、混雑時に乗客が集中する第1移動路が第2移動路よりも乗降ホールの出入り口から離れた位置に配置される。
【0121】
なお、上述した実施の形態例では、マルチカーエレベーターを2台設置した例を説明したが、設置されるマルチカーエレベーターの数は、2台に限定されるものではない。例えば、マルチカーエレベーターを1台、あるいは3台以上設置してもよい。
【符号の説明】
【0122】
5…移動路、 6…上昇路(第1移動路)、 7…下降路(第2移動路)、 8…第1反転路、 9…第2反転路、 10、10A、10B…マルチカーエレベーター、 12…上昇用乗降口(乗車口)、 12A…上昇用乗車口、 12B…上昇用降車口、 13…下降用乗降口(乗車口)、 13A…下降用乗車口、 13B…下降用降車口、 15…かご情報表示部、 16…誘導表示部、 17、17A、17B…入場ゲート、 21…乗客、 22A…第1待機列、 22B…第2待機列、 100…乗降ホール、 101…出入り口、 716A、716B、717A、717B…待機位置表示部、 1000…マルチカーエレベーターシステム