(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ステアリング装置、ステアリングシステム、および作業車両
(51)【国際特許分類】
B62D 1/12 20060101AFI20221128BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20221128BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20221128BHJP
G05G 9/047 20060101ALI20221128BHJP
B62D 5/06 20060101ALI20221128BHJP
B62D 5/28 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
B62D1/12
E02F9/20 K
G05G5/03 A
G05G9/047
B62D5/06 B
B62D5/28
(21)【出願番号】P 2018152423
(22)【出願日】2018-08-13
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】寺西 雄一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 唯太
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-515150(JP,A)
【文献】特開2017-213994(JP,A)
【文献】特開2010-039910(JP,A)
【文献】実開昭48-087728(JP,U)
【文献】国際公開第2005/056357(WO,A1)
【文献】実開昭52-131582(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/12
E02F 9/20
G05G 5/03
G05G 9/047
B62D 5/06
B62D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両を操作するステアリング装置であって、
前記作業車両の運転席の側方に配置されたコンソールボックスに固定された支持部と、
前記支持部に回動可能に支持されたベース部材と、
前記支持部または前記ベース部材に回動可能に支持されたレバーと、
前記レバーと前記ベース部材に介在し、前記レバーを前記ベース部材に対して所定位置に付勢する付勢部材と、
前記作業車両のステアリング軸の回動角度に基づいた回動を前記ベース部材に伝達する、リンクを含む伝達機構が接続される伝達機構接続部と、を備えた、
ステアリング装置。
【請求項2】
前記支持部に対する前記レバーの回動角度を検出する第1レバー角度センサと、
前記作業車両のステアリング軸の回動角度を検出する車体ステアリング角度センサと、を更に備えた、
請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記ベース部材に対する前記レバーの回動角度を検出する第2レバー角度センサを更に備えた、請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項4】
請求項2記載のステアリング装置と、
前記作業車両のステアリング軸を回動させるアクチュエータの駆動出力を調整する調整機構と、
前記作業車両の走行速度を検出する走行速度検出部と、
前記第1レバー角度センサによる第1検出値および前記車体ステアリング角度センサによる第2検出値および前記走行速度検出部による走行速度に基づいて、前記調整機構に指令を行う制御部と、を備えた、
ステアリングシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のステアリング装置と、
前記作業車両のステアリング軸を回動させるアクチュエータの駆動出力を調整する調整機構と、
前記作業車両の走行速度を検出する走行速度検出部と、
前記第2レバー角度センサによる第3検出値および前記走行速度検出部による走行速度に基づいて、前記調整機構に指令を行う制御部と、を備えた、
ステアリングシステム。
【請求項6】
前記レバーの前記ベース部材に対する角度が所定角度に達すると前記レバーの回動を規制する規制部を更に備えた、請求項1~3のいずれか1項に記載のステアリング装置。
【請求項7】
前記規制部は、
移動可能であり、前記所定角度に達すると前記レバーが当接する当接部と、
前記当接部の位置を検出する位置検出部と、
前記当接部を駆動する駆動部と、を有する、
請求項6に記載のステアリング装置。
【請求項8】
請求項7に記載のステアリング装置と、
前記作業車両の走行速度を検出する走行速度検出部と、
前記走行速度検出部による検出値に基づいて、前記駆動部に指示することにより前記当接部の位置を変更して、前記所定角度を変更する制御部と、を更に備えた、
ステアリングシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のステアリング装置が配置された第1のフレームと、
前記第1のフレームに対して回動自在に接続された第2のフレームと、
前記第1のフレームに対して前記第2のフレームを駆動するアクチュエータと、
前記伝達機構接続部に接続され、前記第1のフレームに対する前記第2のフレームの回動角度に基づいた回動を前記ベース部材に伝達する、リンクを含む伝達機構と、を備えた、作業車両。
【請求項10】
作業車両を操作するステアリング装置であって、
支持部と、
前記支持部に回動可能に支持されたベース部材と、
前記支持部または前記ベース部材に回動可能に支持されたレバーと、
前記レバーと前記ベース部材に介在し、前記レバーを前記ベース部材に対して所定位置に付勢する付勢部材と、
前記作業車両のステアリング軸の回動角度に基づいた回動を前記ベース部材に伝達する伝達機構が接続される伝達機構接続部と、
前記レバーの前記ベース部材に対する角度が所定角度に達すると前記レバーの回動を規制する規制部と、を備え、
前記規制部は、
移動可能であり、前記所定角度に達すると前記レバーが当接する当接部と、
前記当接部の位置を検出する位置検出部と、
前記当接部を駆動する駆動部と、を有するステアリング装置。
【請求項11】
前記レバーと前記支持部または前記ベース部材に介在し、前記レバーに対し減衰力を与える減衰部材を更に備えた、請求項1または10に記載のステアリング装置。
【請求項12】
前記レバーと前記支持部または前記ベース部材に介在し、前記レバーに対して摩擦抵抗力を与える摩擦部材を更に備えた、請求項1または10に記載のステアリング装置。
【請求項13】
第1のフレームと、
前記第1のフレームに対して回動する第2のフレームと、
前記第1のフレームに対し前記第2のフレームを駆動する油圧シリンダと、
運転席の側方に配置されたコンソールボックスと、
前記コンソールボックスに固定された支持部と、
前記支持部に対し回動可能に支持されたベース部材と、
前記ベース部材に対し回動可能に前記ベース部材または前記支持部に支持されたレバーと、
リンクを含み前記ベース部材に接続し、前記第1のフレームに対する前記第2のフレームの回動状態を前記ベース部材に伝達し、前記第1のフレームに対する前記第2のフレームの回動状態を前記支持部に対する前記ベース部材の回動状態として変換する伝達機構と、
前記ベース部材に対する前記レバーの回動操作に基づき前記油圧シリンダの調整信号を出力するコントローラと、
前記コントローラから出力される調整信号によって前記油圧シリンダの動作を調整する調整部と、
を備えた作業車両。
【請求項14】
前記ベース部材に対する前記レバーの回動角度を検出する第2レバー角度センサを更に備え、
前記コントローラは、前記第2レバー角度センサによる第3検出値に対応する値に基づき前記調整信号を出力する、
請求項13に記載の作業車両。
【請求項15】
前記支持部に対する前記レバーの回動角度を検出する第1レバー角度センサと、
前記支持部に対する前記ベース部材の回動角度を検出するベース部材角度センサと、を更に備え、
前記コントローラは、前記第1レバー角度センサによる第1検出値に対応する値と前記ベース部材角度センサによる第4検出値に対応する値に基づき前記調整信号を出力する、
請求項13に記載の作業車両。
【請求項16】
前記支持部に対する前記レバーの回動角度を検出する第1レバー角度センサと、
前記作業車両のステアリング軸の回動角度を検出する車体ステアリング角度センサと、を更に備え、
前記コントローラは、前記第1レバー角度センサによる第1検出値に対応する値と前記車体ステアリング角度センサによる第2検出値に対応する値に基づき前記調整信号を出力する、
請求項13に記載の作業車両。
【請求項17】
前記調整部は、前記油圧シリンダに供給される油の流量を調整する油圧バルブである、
請求項13に記載の作業車両。
【請求項18】
前記調整信号が入力され、前記調整部に供給するパイロット圧またはパイロット流量を調整する電磁パイロットバルブを更に備えた、
請求項14に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング装置、ステアリングシステム、および作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
アーティキュレート式の作業車両として、フロントフレームとリアフレームに亘って配置された油圧アクチュエータに供給する油の流量を制御することによって、ステアリング角が変更される構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示す作業車両には、入力されるパイロット圧に応じて油圧アクチュエータに供給する油の流量を調整するステアリング弁と、ステアリング弁に供給するパイロット圧を調整するパイロット弁が設けられている。
【0003】
パイロット弁には、相対的に回転可能に設けられた操作入力軸とフィードバック入力軸が設けられている。操作入力軸は、ジョイスティックレバーにリンク機構によって連結されており、ジョイスティックレバーの回転角に応じて回転する。また、フィードバック入力軸は、リンク機構によってフロントフレームと連結されており、ステアリンング角の変化に応じて回転する。操作入力軸は、フィードバック入力軸に対して所定位置になるよう付勢されており、作業車両の回動位置に応じてオペレータのジョイスティックレバーの操作に対して反力が付与される。
【0004】
オペレータが、反力に対抗してジョイスティックレバーを操作することによって、パイロット弁の操作入力軸が回転し、操作入力軸の回転角とフィードバック入力軸の回転角の差に応じてステアリング弁に入力されるパイロット圧が調整される。調整されたパイロット圧に応じてステアリング弁から油圧アクチュエータに供給される油の流量が変更され、ステアリング角が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、ジョイスティックレバーとフロントフレームの間のリンク機構の間にパイロット弁が介在し、パイロット弁に設けられた付勢部材およびパイロット弁のストロークエンドストップ部によってジョイスティックレバーの操作に反力が付与されている。
このため、パイロット弁の設置場所の確保の観点からキャブ内におけるリンク機構のレイアウトに制約が生じていた。
【0007】
本発明は、レイアウトの自由度を向上することが可能なステアリング装置、ステアリングシステム、および作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明にかかるステアリング装置は、支持部と、ベース部材と、レバーと、付勢部材と、伝達機構接続部と、を備える。ベース部材は、支持部に回動可能に支持されている、レバーは、支持部またはベース部材に回動可能に支持されている。付勢部材は、レバーとベース部材に介在し、レバーをベース部材に対して所定位置に付勢する。伝達機構接続部は、作業車両のステアリング軸の回動角度に基づいた回動をベース部材に伝達するリンクを含む伝達機構が接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レイアウトの自由度を向上することが可能なステアリング装置、ステアリングシステム、および作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる実施の形態1のホイールローダを示す側面図。
【
図4】レバー角度とベースプレート角度の差分に対するバネ部材の反力を示す図。
【
図5A】車体フレーム角度とベース角度の対応関係の例を示す図。
【
図5B】車体フレーム角度とベース角度の対応関係の例を示す図。
【
図7】
図3のコントローラの入出力と演算を示すブロック図。
【
図10A】
図1のホイールローダの制御動作を説明するための図。
【
図10B】
図1のホイールローダの制御動作を説明するための図。
【
図10C】
図1のホイールローダの制御動作を説明するための図。
【
図10D】
図1のホイールローダの制御動作を説明するための図。
【
図10E】
図1のホイールローダの制御動作を説明するための図。
【
図10F】
図1のホイールローダの制御動作を説明するための図。
【
図11】
図1のホイールローダの制御動作を示すフロー図。
【
図12】本発明にかかる実施の形態2におけるステアリングシステムを示す構成図。
【
図13】
図12のコントローラの入出力と演算を示すブロック図。
【
図16】本発明にかかる実施の形態3におけるステアリングシステムを示す構成図。
【
図17】
図16のステアリング装置におけるカムの第1ストッパへの当接を説明するための図。
【
図18】本発明にかかる実施の形態3におけるレバー角度とベースプレート角度の差分に対する反力を示す図。
【
図19】本発明にかかる実施の形態の変形例におけるステアリングシステムを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる作業車両の一例としてのホイールローダについて図面を参照しながら以下に説明する。
(1.実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1のホイールローダ1について説明する。
<構成>
(ホイールローダの構成の概要)
図1は、本実施の形態のホイールローダ1の構成を示す模式図である。本実施の形態のホイールローダ1は、車体フレーム2と、作業機3と、一対のフロントタイヤ4、キャブ5、エンジンルーム6、一対のリアタイヤ7、ステアリングシステム8、ステアリングシリンダ9a、9b(
図3参照)、伝達機構10(
図3参照)と、を備えている。
【0012】
なお、以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、及び「下」とは運転席から前方を見た状態を基準とする方向を示す。また、「車幅方向」と「左右方向」は同義である。
図1では、前後方向をXで示し、前方向を示すときはXf、後方向を示すときはXbで示す。また、後述する図面において、左右方向をYで示し、右方向を示すときはYr、左方向を示すときはYlで示す。
【0013】
ホイールローダ1は、作業機3を用いて土砂積み込み作業などを行う。
車体フレーム2は、いわゆるアーティキュレート式であり、フロントフレーム11とリアフレーム12と、連結軸部13と、を有している。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置されている。フロントフレーム11は、第2のフレームの一例に対応し、リアフレーム12は、第1のフレームの一例に対応する。連結軸部13は、ステアリング軸の一例に対応し、車幅方向の中央に設けられており、フロントフレーム11とリアフレーム12を互いに揺動可能に連結する。一対のフロントタイヤ4は、フロントフレーム11の左右に取り付けられている。また、一対のリアタイヤ7は、リアフレーム12の左右に取り付けられている。
【0014】
作業機3は、図示しない作業機ポンプからの作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム14と、バケット15と、リフトシリンダ16と、バケットシリンダ17と、を有する。ブーム14は、フロントフレーム11に装着されている。バケット15は、ブーム14の先端に取り付けられている。
リフトシリンダ16およびバケットシリンダ17は、油圧シリンダである。リフトシリンダ16の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、リフトシリンダ16の他端はブーム14に取り付けられている。リフトシリンダ16の伸縮により、ブーム14が上下に揺動する。バケットシリンダ17の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、バケットシリンダ17の他端はベルクランク18を介してバケット15に取り付けられている。バケットシリンダ17が伸縮することによって、バケット15が上下に揺動する。
【0015】
キャブ5は、リアフレーム12上に載置されており、内部には、ステアリング操作のためのジョイスティックレバー41(後述する
図2参照)、作業機3を操作するためのレバー、各種の表示装置等が配置されている。エンジンルーム6は、キャブ5の後側であってリアフレーム12上に配置されており、エンジンが収納されている。
図2は、キャブ5の部分側面図である。キャブ5には、運転席19が設けられており、運転席の側方にコンソールボックス20が配置されている。コンソールボックス20の上側にはアームレスト20aが配置されている。コンソールボックス20の前先端部から上方に向かってジョイスティックレバー41が配置されている。ジョイスティックレバー41は、レバーの一例に対応する。
【0016】
図3は、ステアリングシステム8を示す構成図である。ステアリングシステム8は、ステアリングシリンダ9a、9bに供給する油の流量を変更することによって、フロントフレーム11のリアフレーム12に対する車体フレーム角度を変更し、ホイールローダ1の進行方向を変更する。ステアリングシリンダ9a、9bは、アクチュエータの一例に対応する。また、ステアリングシリンダ9a、9bは、油圧シリンダの一例に対応する。
【0017】
一対のステアリングシリンダ9a、9bは、油圧によって駆動される。一対のステアリングシリンダ9a、9bは、連結軸部13を挟んで車幅方向の左右側に並んで配置されている。ステアリングシリンダ9aは、連結軸部13の左側に配置されている。ステアリングシリンダ9bは、連結軸部13の右側に配置されている。ステアリングシリンダ9a、9bは、それぞれの一端がフロントフレーム11に取り付けられており、それぞれの他端が、リアフレーム12に取り付けられている。
【0018】
後述するステアリングシステム8からの油圧によりステアリングシリンダ9aが伸長し、ステアリングシリンダ9bが収縮すると、実際の車体フレーム角度θs_realが変化し車両は右に曲がる。また、ステアリングシステム8からの油圧によりステアリングシリンダ9aが収縮し、ステアリングシリンダ9bが伸長すると、実際の車体フレーム角度θs_realが変化し車両は左に曲がる。なお、本実施の形態では、フロントフレーム11とリアフレーム12が前後方向に沿って配置されている場合の実際の車体フレーム角度θs_realをゼロとし、右側を正の値、左側を負の値とする。
【0019】
(ステアリングシステム8)
ステアリングシステム8は、調整機構21と、ステアリング装置22と、コントローラ23と、車速センサ24と、を備える。調整機構21は、ステアリングシリンダ9a、9bの駆動出力を調整する。ステアリング装置22は、ジョイスティックレバー41等を有し、オペレータによってホイールローダ1のステアリングの回動指示角度が入力される。コントローラ23は、ステアリング装置22に入力されたステアリングの回動指示角度に基づいて、調整機構21にステアリングシリンダ9a、9bの駆動出力を調整する指示を行う。車速センサ24は、走行速度検出部の一例に対応し、ホイールローダ1の車速Vを検出して検出信号としてコントローラ23に送信する。
なお、
図3では、電気に基づいた信号の伝達について点線で示し、油圧に基づいた伝達について実線で示す。また、センサによる検出については二点鎖線で示す。
【0020】
(調整機構21)
調整機構21は、ステアリングシリンダ9a、9bに供給する油の流量を調整する。調整機構21は、油圧バルブ31と、メインポンプ32と、電磁パイロットバルブ33と、パイロットポンプ34と、を有する。油圧バルブは、調整部の一例に対応する。
【0021】
油圧バルブ31は、入力されるパイロット圧に応じてステアリングシリンダ9a、9bに供給される油の流量を調整する流量調整弁である。油圧バルブ31には、例えばスプール弁が用いられる。メインポンプ32は、ステアリングシリンダ9a、9bを作動する作動油を油圧バルブ31に供給する。
油圧バルブ31は、左ステアリング位置、中立位置、および右ステアリング位置に移動可能な弁体(図示せず)を有する。油圧バルブ31において弁体が左ステアリング位置に配置されている場合、ステアリングシリンダ9aが収縮し、ステアリングシリンダ9bが伸長して、実際の車体フレーム角度θs_realが小さくなり車体は左に曲がる。
【0022】
油圧バルブ31において弁体が右ステアリング位置に配置されている場合、ステアリングシリンダ9bが収縮し、ステアリングシリンダ9aが伸長して、実際の車体フレーム角度θs_realが大きくなり車体は右に曲がる。油圧バルブ31において弁体が中立位置に配置されている場合は、実際の車体フレーム角度θs_realは変化しない。
電磁パイロットバルブ33は、コントローラ23からの指令に応じて油圧バルブ31に供給するパイロット油圧の流量または圧力を調整する流量調整弁である。パイロットポンプ34は、油圧バルブ31を作動させる作動油を電磁パイロットバルブ33に供給する。電磁パイロットバルブ33は、例えばスプールバルブ等であって、コントローラ23からの指令に従って制御される。
【0023】
電磁パイロットバルブ33は、左パイロット位置、中立位置、および右パイロット位置に移動可能な弁体(図示せず)を有する。電磁パイロットバルブ33において弁体が左パイロット位置に配置されている場合、油圧バルブ31は左ステアリング位置の状態をとる。電磁パイロットバルブ33において弁体が右パイロット位置に配置されている場合、油圧バルブ31は右ステアリング位置の状態をとる。電磁パイロットバルブ33において弁体が中立位置に配置されている場合、油圧バルブ31は中立位置の状態をとる。
以上のように、コントローラ23からの指令に応じて電磁パイロットバルブ33からのパイロット圧またはパイロット流量が制御されることにより、油圧バルブ31が制御されてステアリングシリンダ9a、9bが制御される。
【0024】
(ステアリング装置22)
ステアリング装置22は、
図3に示すように、ジョイスティックレバー41と、支持部42と、ベース部材43と、付勢部材44と、伝達機構接続部45と、レバー角度センサ46と、車体フレーム角度センサ47と、規制部48と、を有する。レバー角度センサ46は、第1レバー角度センサの一例に対応する。車体フレーム角度センサ47は、車体ステアリング角度センサの一例に対応する。
【0025】
支持部42は、コンソールボックス20のフレーム20fに固定されている。支持部42は、コンソールボックス20のフレームの一部であってもよい。
ベース部材43は、支持部42に回動可能に支持されている。ベース部材43は、例えば、
図3に示すように軸43aを有し、軸43aが回動可能に支持部42に支持されている。これによりベース部材43は、軸43aを中心に支持部42に対して回動することが可能である。また、支持部42が軸を有し、ベース部材43に貫通孔が形成され、支持部42の軸がベース部材43の貫通孔を挿通するような構成によっても、ベース部材43が支持部42に対して回動可能に構成することができる。
【0026】
ジョイスティックレバー41は、ベース部材43または支持部42に対して回動可能に配置されている。ジョイスティックレバー41は、例えば、その基端部に貫通孔が形成され、軸43aが貫通孔に挿入されることにより、ベース部材43に対して回動可能に構成される。また、支持部42が軸を有し、その軸がジョイスティックレバー41の基端部の貫通孔を挿通することにより、支持部42に対してジョイスティックレバー41が回動可能に構成することができる。
【0027】
付勢部材44は、バネ部材であって、ジョイスティックレバー41とベース部材43に介在している。付勢部材44は、ジョイスティックレバー41をベース部材43に対してベース基準位置43bに付勢する。ジョイスティックレバー41は、ベース基準位置43bから右方向に回動させた場合およびベース基準位置43bから左方向に回動させた場合の双方に対して反力を付与する。オペレータがジョイスティックレバー41を把持していない状態では、ジョイスティックレバー41は左右の回動方向からの付勢力によってベース基準位置43bに位置する。
【0028】
規制部48は、ベース部材43に設けられている。規制部48は、当接部481、482を有している。当接部481、482は、ジョイスティックレバー41のベース部材43に対する回動範囲を所定角度範囲内に規制する。ジョイスティックレバー41の長手方向がベース基準位置43bに配置されている状態をジョイスティックレバー41のベース部材43に対する回動角度がゼロとし、ジョイスティックレバー41をベース部材43に対して右方向に回動させた場合をプラスであらわし、ジョイスティックレバー41をベース部材43に対して左方向に回動させた場合をマイナスであらわす。ジョイスティックレバー41のベース部材43に対する実際の相対角度θr_realが
図3に示されている。
【0029】
ジョイスティックレバー41をベース部材43に対して右方向Yrに回動し、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realがθ1(正の値)に達するとベース部材43の当接部481にジョイスティックレバー41が当接し、それ以上ジョイスティックレバー41を右側に回動できなくなる。また、ジョイスティックレバー41をベース部材43に対して左方向に回動し、θr_realがθ1´(負の値)に達するとベース部材43の当接部482にジョイスティックレバー41が当接し、それ以上ジョイスティックレバー41を右側に回動できなくなる。すなわち、θ1´~θ1の角度の範囲内でジョイスティックレバー41はベース部材43に対して回動可能に設定されている。この所定角度θ1´とθ1は、キャッチアップ角度に対応する。また、この所定角度θ1、θ1´は例えば10度、-10度に設定されている。所定角度θ1の絶対値と所定角度θ1´の絶対値は同じ値であっても良いし、異なっていてもよい。
【0030】
また、ジョイスティックレバー41は、ベース部材43に加えて支持部42によっても規制される。支持部42は、ジョイスティックレバー41が当接する当接部49を有し、当接部49は、右側当接部分491および左側当接部分492を持つ。支持部42は、支持基準位置42bに対してθ2´(負の値)~θ2(正の値)の所定角度の範囲内でベース部材43を規制する。所定角度θ2´、θ2の値は例えば、-20度、20度に設定される。所定角度θ2´と所定角度θ2は同じ値であっても良いし、異なっていても良い。
【0031】
伝達機構接続部45は、後述する伝達機構10が接続され、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の回動角度である実際の車体フレーム角度θs_realの情報が機械的に入力される。伝達機構接続部45は、ベース部材43に設けられている。伝達機構接続部45は、例えば、ベース部材43に固定されたギヤ部材であり、伝達機構10のギヤと噛み合っている。これにより、実際の車体フレーム角度θs_realに基づいた回動角度がベース部材43に伝達される。
【0032】
図4は、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realに対して付与される反力を示す図である。
図4では、横軸にベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realが示されており、縦軸に反力が示されている。横軸(相対角度)の正の値が、ベース部材43に対してジョイスティックレバー41を右回転させた場合を示し、横軸(相対角度)の負の値が、ベース部材に対してジョイスティックレバーを左回転させた場合を示す。縦軸(反力)の正の値が、左回転向きに反力を付与する場合を示し、縦軸(反力)の負の値が、右回転向きに反力を付与する場合を示す。
【0033】
実際の相対角度θr_realが0°~θ1または0°~θ1´までの間は、付勢部材44のバネ特性によって反力が付与される。初期反力、すなわち、ジョイスティックレバー41がベース基準位置43bから操作する際には、F1以上の反力を付与する。実際の相対角度θr_realの絶対値が大きくなるに従ってジョイスティックレバー41の操作に対して付与される反力も大きくなっている。実際の相対角度θr_realがθ1またはθ1´に達すると反力が直線的に増加している。これは、ジョイスティックレバー41がベース部材43の当接部481、482に当接するためである。
【0034】
レバー角度センサ46は、例えばポテンショメータによって構成されており、支持部42に対するジョイスティックレバー41の実際のレバー角度θi_realをレバー角度の検出値θi_detectとして検出する。レバー角度の検出値θi_detectは、第1検出値の一例に対応する。
ここで、支持部42に対するジョイスティックレバー41の支持基準位置42bが
図3に示されている。ジョイスティックレバー41の長手方向が支持基準位置42bに維持されている状態では、実際の車体フレーム角度θs_realは0°となるように調整機構21によって制御され、リアフレーム12に対してフロントフレーム11が前後方向に沿って配置される状態となる。そして、ジョイスティックレバー41が支持基準位置42bに配置されている状態をジョイスティックレバー41の支持部42に対する回動角度がゼロとし、ジョイスティックレバー41を支持部42に対して右方向に回動させた場合をプラスであらわし、ジョイスティックレバー41を支持部42に対して左方向に回動させた場合をマイナスであらわす。ジョイスティックレバー41の支持基準位置42bからの実際のレバー角度θi_realに対応した実際の車体フレーム角度θs_realになるようにコントローラ23による制御が行われる。なお、ベース部材43の支持部42に対する実際のベース角度をθb_realとする。実際のベース角度θb_realは、ベース部材43のベース基準位置43bの支持基準位置42bからの回動角度に相当する。また、ベース基準位置43bが支持基準位置42bに配置されている状態をベース部材43の支持部42に対する回動角度がゼロの状態とし、ベース部材43を支持部42に対して右方向に回動させた場合をプラスで示し、ベース部材43を支持部42に対して左方向に回動させた場合をマイナスで示す。
【0035】
車体フレーム角度センサ47は、実際の車体フレーム角度θs_realを車体フレーム角度の検出値θs_detectとして検出する。車体フレーム角度の検出値θs_detectは、第2検出値の一例に対応する。車体フレーム角度センサ47は、ステアリングシリンダ9a、9bの間に配置されている連結軸部13の近傍または後述する伝達機構10またはベース部材43の軸43aに配置されている。車体フレーム角度センサ47は、例えばポテンショメータによって構成されており、検出された車体フレーム角度の検出値θs_detectは検出信号としてコントローラ23に送られる。
【0036】
なお、ステアリングシリンダ9a、9bの各々に、シリンダのストロークを検出するシリンダストロークセンサを設け、これらシリンダストロークセンサの検出値がコントローラ23に送られ、車体フレーム角度の検出値θs_detectが検出されてもよい。
また、後述する伝達機構10によって、車体フレーム角度θs_realと、支持部42に対するベース部材の回動角度であるベース角度θb_realとは対応する位置関係になるため、車体フレーム角度センサ47がベース部材43の軸43aに設けられてもよい。支持部42に対するベース部材43の回動角度を検出することで、車体フレーム角度を検出することができるためである。
【0037】
図5Aおよび
図5Bに車体フレーム角度θs_realとベース角度θb_realの対応関係の例を示す。
図5Aおよび
図5Bの例では、車体フレーム角度θs_realが±40°をとることに対してベース角度θb_realは±20°の幅をとることができる。
図5Aでは、ベース角度θb_realは、車体フレーム角度θs_realと比例関係を有しており、車体フレーム角度θs_realが増加するとベース角度θb_realも増加する。
【0038】
図5Bでは、グラフは曲線であり、車体フレーム角度θs_realの絶対値が小さい場合は、車体フレーム角度θs_realの変化の際のベース角度θb_realの変化が大きく、車体フレーム角度θs_realの絶対値が大きくなると、車体フレーム角度θs_realの変化の際のベース角度θb_realの変化が小さくなる。
また、ジョイスティックレバー41と支持部42の間、またはジョイスティックレバー41とベース部材43の間にダンパ、フリクション、またはダンパとフリクションの双方が設けられた構成でもよい。
図6Aには、ジョイスティックレバー41と支持部42の間にダンパ411とフリクション412が設けられた構成が示されている。また、
図6Bには、ジョイスティックレバー41とベース部材43の間に、ダンパ411とフリクション412が設けられた構成が示されている。ダンパ411は、減衰部材の一例に対応し、フリクション412は摩擦部材の一例に対応する。
【0039】
(コントローラ23)
コントローラ23は、プロセッサおよびメモリなどを有している。以下の処理等は、プロセッサを用いて行われる。
コントローラ23には、レバー角度センサ46の検出値θi_detectと、車体フレーム角度センサ47の検出値θs_detectと、車速センサ24によって検出された車速V_detectが入力され、コントローラ23は、これらの値に基づいて電磁パイロットバルブ制御電流出力iを出力し、電磁パイロットバルブ33を制御する。電磁パイロットバルブ制御電流出力iは、調整信号の一例に対応する。
【0040】
ここで、
図7にコントローラ23の入出力と演算のブロック図を示す。
コントローラ23は、目標角度算出部91と、実ステアリング角度算出部92と、パルス・車速換算部93と、差分算出部94と、出力算出部95と、を有する。
コントローラ23には、レバー角度センサ46からレバー角度の検出値θi_detectが入力され、目標角度算出部91は、マップM1を用いて目標角度θtargetを算出する。また、コントローラ23には、車体フレーム角度センサ47からステアリング角度の検出値θs_detectが入力され、実ステアリング角度算出部92は、マップM2を用いて実ステアリング角度θactualを算出する。コントローラ23には、車速センサ24から車速の検出値V_detectが入力される。パルス・車速変換部231は、入力されたパルスから車速へ変換し、車速信号Vを算出する。
【0041】
差分算出部94は、目標角度θtargetとθactualの差分θdiffを算出する。そして、出力算出部95は、差分diffと車速信号VからマップM3を用いて電磁パイロットバルブ制御電流出力iを算出し、電磁パイロットバルブ33に出力する。なお、マップM1~M3は、コントローラ23の記憶部に記憶されている。
図8Aは、マップM1の一例を示す図である。
図8Bは、マップM2の一例を示す図である。
図8Cは、マップM3の一例を示す図である。
【0042】
図8Aに示すマップM1の一例は、レバー角度の検出値θi_detectと目標角度θtargetの関係のグラフを示す。この例では、レバー角度の検出値θi_detectと目標角度θtargetは比例関係を有している。このマップM1を用いて、コントローラ23は、レバー角度の検出値θi_detectから目標角度θtargetを算出する。なお、目標角度θtargetは、車体フレーム角度の目標とする角度を示す。また、
図8AのマップM1では、θtarget=2×θi_detectとなっているが、これに限られるものではない。
【0043】
図8Bに示すマップM2の一例は、ステアリング角度の検出値θs_detectと実ステアリング角度θactualの関係のグラフを示す。この例では、ステアリング角度の検出値θs_detectと実ステアリング角度θactualは比例関係を有している。このマップM2を用いて、コントローラ23は、ステアリング角度の検出値θs_detectから実ステアリング角度θactualを算出する。なお、実ステアリング角度θactualは、車体フレーム角度の実際の角度を示す。また、
図8BのマップM2では、θactual=1×θs_detectとなっており、θactualの値とθs_detectの値は等しくなっているが、これに限られるものではない。
【0044】
図8CのマップM3の一例は、偏差角度θdiffに対する電磁パイロットバルブ制御電流出力iの値を示す曲線の一例を表す。
コントローラ23は、差分角度θdiffに対する電磁パイロットバルブ制御電流出力iの値を示す曲線を、複数の車速について記憶している。
図8Cに示すマップM3の一例では、例えば、車速10km/hのときの曲線C1(実線)と、車速20km/hのときの曲線C2(点線)と、車速30km/hのときの曲線C3(一点鎖線)が設定されている。車速が速いほうが電磁パイロットバルブ制御電流出力iの値が小さくなる。これにより、車速が速くなると、実際の車体フレーム角度θs_realの変化する速度(角速度ともいえる)が小さくなり、高速安定性を向上させることができる。また、車速が遅くなると、実際の車体フレーム角度θs_realの変化する速度(角速度ともいえる)が大きくなり、低速における操作性を向上させることができる。なお、車速VがC1、C2、C3の間の場合、補間計算によって、電磁パイロットバルブ制御電流出力iが決定される。
【0045】
コントローラ23は、
図8Cに基づいて電流を電磁パイロットバルブ33へ送信する。
なお、
図3では省略しているが、コントローラ23は、メインポンプ32およびパイロットポンプ34等の制御を行ってもよい。
また、コントローラ23と、車体フレーム角度センサ47、レバー角度センサ46、車速センサ24、および電磁パイロットバルブ33との間の信号の送受信については、各々が無線で行われてもよいし有線で行われてもよい。
また、マップM1~M3は、入力に対して出力が一意に決まれば、線形であっても非線形であってもよい。
【0046】
(伝達機構10)
伝達機構10は、実際の車体フレーム角度θs_realの情報をベース部材43に伝達し、実際の車体フレーム角度θs_realに対応した位置にベース部材43を回動させる。
【0047】
図9(a)は、伝達機構10の構成を示す模式図である。伝達機構10は、図に示すように、リンクを含む機構であって、伝達部材51と、第1変換部52と、ユニバーサルジョイント53と、ベベルボックス54と、ユニバーサルジョイント55と、伝達部56と、を有する。
図9(b)は、伝達部材51近傍の構成を示す裏面図である。
【0048】
伝達部材51は、棒状の部材であって、概ね前後方向Xに沿って配置されている。伝達部材51の前側の端51aは、フロントフレーム11に固定されているブラケット58に回動可能に接続されている。伝達部材51のブラケット58との接続部である端51aは、連結軸部13の車幅方向Y近傍に位置している。伝達部材51の後側の端51bは、リアフレーム12まで伸び、第1変換部52のレバー52aに回動可能に接続されている。
【0049】
第1変換部52は、伝達部材51による前後方向Xへの移動を回転方向の移動に変換する。第1変換部52は、レバー52aと、回動軸52bと、軸支持部52cと、を有する。回動軸52bは、概ね上下方向に沿って配置されている。軸支持部52cは、回動軸52bを回動可能に支持する。軸支持部52cは、リアフレーム12に固定されており、キャブ5のフロアに配置されている。レバー52aは、回動軸52bの下端に固定されており、少なくとも一部がキャブ5のフロアの下に配置されている。すなわち、回動軸52bは、キャブ5のフロアを貫通している。また、
図9(b)に示すように、連結軸部13と、端51aと、端51bと回動軸52bを結ぶ四角形は、平行四辺形であり、平行リンクが形成されている。
【0050】
ユニバーサルジョイント53は、伸縮可能であり、回動軸52bに接続されている。ユニバーサルジョイント53の下端53aは、回動軸52bの上端に接続されている。ユニバーサルジョイント53の上端53bは、ベベルボックス54に接続されている。
ベベルボックス54は、例えば、コンソールボックス20の内側に配置されている。ベベルボックス54は、支持ケース54aと、第1回動軸54bと、第1ベベルギア54cと、第2回動軸54dと、第2ベベルギア54eと、を有する。支持ケース54aは、コンソールボックス20に固定されている。第1回動軸54bは、支持ケース54aに回転可能に支持されている。第1回動軸54bは、概ね上下方向に沿って配置されており、第1回動軸54bの下端は、ユニバーサルジョイント53の上端53bに接続されている。
【0051】
第1ベベルギア54cは、支持ケース54aの内側に配置されており、第1回動軸54bに固定されている。
第2回動軸54dは、支持ケース54aに回動可能に支持されている。第2回動軸54dは、概ね水平方向に沿って配置されている。第2回動軸54dの前側の端には、ユニバーサルジョイント55が接続されている。
【0052】
第2ベベルギア54eは、支持ケース54aの内側に配置されており、第2回動軸54dに固定されている。第2ベベルギア54eは、第1ベベルギア54cと噛み合っている。このようなベベルボックス54により、概ね上下方向を軸とした回転から、概ね水平方向を軸とした回転に変換することができる。
ユニバーサルジョイント55は、伸縮可能であり、コンソールボックス20の内部に配置されている。ユニバーサルジョイント55の後端55aが、第2回動軸54dに接続されている。ユニバーサルジョイント55の前端55bは、伝達部56の伝達軸56bに接続されている。
【0053】
伝達部56は、ユニバーサルジョイント55の回動をベース部材43に伝達する。伝達部56は、軸支持部56aと、伝達軸56bと、伝達ギア56cと、を有する。軸支持部56aは、コンソールボックス20の内部に固定されている。伝達軸56bは、概ね水平方向に沿って配置されている。伝達軸56bの後端は、ユニバーサルジョイント55の前端55bに接続されている。伝達ギア56cは、軸支持部56aの内側において伝達軸56bに固定されている。
【0054】
伝達ギア56cは、ベース部材43の軸43aに固定されている伝達機構接続部45であるギアと噛み合っている。
フロントフレーム11が二点鎖線に示すように、例えば右方向(
図7(b)の裏面図の矢印Yr)に回動すると、ブラケット58も回動するため、伝達部材51も前方に移動する(矢印C1)。すると、レバー52aも上方から見て右回転(矢印C2)し、ユニバーサルジョイント53も右回転する。このユニバーサルジョイント53の回転がベベルボックス54によって後方から見て左回り(矢印C3)の回転に変換され、ユニバーサルジョイント55を介して伝達軸56bおよび伝達ギア56cも後方から見て左回りに回動する。これによって、伝達機構接続部45および軸43aが後方から見て右回り(矢印C4)に回動するため、ベース部材43も右方向に回動する。
【0055】
フロントフレーム11が左方向に回動した場合は、ブラケット58が後方に移動し、レバー52aおよびユニバーサルジョイント53が上方から見て左回りに回動する。ユニバーサルジョイント53の回動により、ベベルボックス54を介してユニバーサルジョイント55、伝達軸56bおよび伝達ギア56cも後方から見て右回りに回動する。これにより、伝達機構接続部45および軸43aが後方から見て左回りに回動し、ベース部材43も左方向に回動する。
【0056】
ここで、伝達ギア56cからギアである伝達機構接続部45への減速比は、
図5Aまたは
図5Bに示す関係性となるように設定されている。例えば、
図5Aの場合θb_real=0.5×θs_realに設定されており、フロントフレーム11のリアフレーム12に対する車体フレーム角度θs_realが40度の場合には、ベース部材43の支持部42に対する回動角度が20度になるように設定されている。
【0057】
<2.動作>
以下に、本実施の形態のホイールローダ1の制御動作について説明する。
図10A~
図10Eは、ステアリング装置22の操作と車体フレーム2の状態を示す図である。
図11は、本実施の形態のホイールローダ1の動作を示すフロー図である。
図10Aに示すように、ベース部材43のベース基準位置43bが支持部42の支持基準位置42bに一致し、ジョイスティックレバー41の長手方向も支持基準位置42bに一致している状態(初期位置ともいう)の場合、ジョイスティックレバー41による実際のレバー角度θi_realはゼロである。
【0058】
このとき、電磁パイロットバルブ33は中立位置の状態となっている。この場合、油圧バルブ31も中立位置となっている。このため、左右のステアリングシリンダ9a、9bの油の供給または排出が行われておらず、実際の車体フレーム角度θs_realはゼロに維持される。このように、実際の車体フレーム角度θs_realもゼロであるため、ベース部材43も初期位置に位置している。
【0059】
そして、オペレータがジョイスティックレバー41を支持基準位置42bから右側に回転させるために操作力Finを加える。操作力Finが付勢部材44の初期付勢力F1を越えると、
図10Bに示すように、ジョイスティックレバー41が右方向に回転して実際のレバー角度θi_realが増大する。なお、右方向に移動させるに従って、ベース部材43との相対角度θr_realが増大するため、
図4に示すように、付勢部材44によって付与される反力は大きくなる。
【0060】
レバー角度センサ46は、ステップS10において、オペレータによって操作されたジョイスティックレバー41の実際のレバー角度θi_realをレバー角度の検出値θi_detectとして検出する。
次に、ステップS20において、車体フレーム角度センサ47は、実際の車体フレーム角度θs_realを車体フレーム角度の検出値θs_detectとして検出する。
【0061】
このとき、左右のステアリングシリンダ9a、9bの反応の遅れのために、実際の車体フレーム角度θs_realはゼロの状態である。このため、車体フレーム角度センサ47による検出値である車体フレーム角度の検出値θs_detectはゼロとなっている。実際の車体フレーム角度θs_realがほぼゼロであるため、ベース部材43も回動していない。そのため、
図10Bに示すように、ジョイスティックレバー41を右方向に回動した状態では、ジョイスティックレバー41は、ベース部材43のベース基準位置43bに対して右方向に回動した状態となっている。また、付勢部材44によって、ジョイスティックレバー41は、ベース基準位置43b(
図10Bの状態では支持基準位置42bともいえる)に戻るように付勢されている。
【0062】
次に、ステップS30において、コントローラ23が、検出されたレバー角度の検出値θi_detectを
図8Aに示すマップM1を用いて目標角度θtargetに変換する。また、コントローラ23は、車体フレーム角の検出値θs_detectを
図8Bに示すマップM2を用いて実ステアリング角度θactualに変換する。さらに、コントローラ23は、上記目標角度θtargetと実ステアリング角度θactualの差分を演算し、差分角度θdiffを得る。
【0063】
次に、ステップS40において、コントローラ23は、車速センサ24による検出信号V_detectから換算を行い、車速Vを得る。
次に、ステップS50において、コントローラ23は、差分角度θdiffと、車速Vとを用いて、記憶している
図8Cに示すマップM3から電磁パイロットバルブ制御電流出力iを決定し、電磁パイロットバルブ33に指令を行う。
【0064】
ジョイスティックレバー41を右回転させたため、電磁パイロットバルブ33は右パイロット位置をとり、電磁パイロットバルブ33によって制御されたパイロット圧が油圧バルブ31に供給される。パイロット圧の供給により、油圧バルブ31は右ステアリング位置をとり、ステアリングシリンダ9aを伸長させ、ステアリングシリンダ9bを収縮させるようにステアリングシリンダ9a、9bにメイン油圧が供給される。
【0065】
これにより実際の車体フレーム角度θs_realが除々に増大し、フロントフレーム11がリアフレーム12に対して右方向に向けられる。
この実際の車体フレーム角度θs_realの変化は、伝達機構10を介してベース部材43の角度に反映される。
すなわち、
図10Cに示すように、車体フレーム角度θs_realに対応した位置にベース部材43の角度も回動する。このように、ベース部材43がジョイスティックレバー41の回動位置に向かって回動すると、
図10Cに示すように、実際のレバー角度θi_realと実際のベース角度θb_realとの偏差角度θr_realが小さくなるため、付勢部材44による付勢力は小さくなる。
【0066】
図10Dに示すように、オペレータがジョイスティックレバー41を所定の実際のレバー角度θi_real=θaで停止させると、実際の車体フレーム角度θs_realは除々に増大しているため、差分角度θdiffは小さくなる。
そして、
図10Eに示すように、実際の車体フレーム角度θs_realが動いてベース角度θb_realがθaとなると、差分角度θdiffがゼロになる。このとき、電磁パイロットバルブ33は中立位置をとり、油圧バルブ31も中立位置となる。このため、左右のステアリングシリンダ9a、9bへの油の供給または排出が行われておらず、実際の車体フレーム角度θs_realは回転角θaを
図5Aに従って変換したθcに維持される。また、
図10Eに示すように、ベース部材43もθa分、右方向に回動し、ジョイスティックレバー41が、ベース部材43のベース基準位置43bに位置する。
【0067】
次に、オペレータがジョイスティックレバー41を右側位置(θi_real=θa)から支持基準位置42b(θi_real=ゼロ)に向けて戻す。
図10Fに示すように、ジョイスティックレバー41が支持基準位置42bに位置するようにジョイスティックレバー41が左回転される。
なお、ジョイスティックレバー41を支持部42に対して支持基準位置42bに戻す前(
図10Eに示す状態)は、ジョイスティックレバー41とベース部材43の位置関係は、
図10Aと同様の位置関係となっている。そのため、ジョイスティックレバー41を動かす際には、動き出しの反力は初期位置からの動き出しと同じ反力となっている。すなわち、本実施の形態では、ベース部材43が実際の車体フレーム角度θs_realに対応した位置に回動するため、ジョイスティックレバー41の位置にかかわらず電磁パイロットバルブ33の状態(中間位置、右パイロット位置、左パイロット位置)に対応して、操作に対して付与される反力が決められる。
【0068】
このとき、左右のステアリングシリンダ9a、9bの反応の遅れのために、実際の車体フレーム角度θs_realはθcの状態である。また、ベース部材43は、実際の車体フレーム角度θs_realと同様に実際のベース角度θb_realはθaであるため、付勢部材44は、
図10Eの状態になるようにベース部材43に対してジョイスティックレバー41を付勢している。
【0069】
上記のように実際の車体フレーム角度θs_realがθcの状態であるため、差分角度θdiffはゼロから減少してマイナスになる。すると、電磁パイロットバルブ33は、左パイロット位置をとり、油圧バルブ31にパイロット圧が供給され、油圧バルブ31が左ステアリング位置をとる。これにより、ステアリングシリンダ9bが伸長し、ステアリングシリンダ9aが収縮するように油圧が供給される。
【0070】
この油圧の供給により実際の車体フレーム角度θs_realが回転角θcから除々に減少する。この実際の車体フレーム角度θs_realの変化は、伝達機構10を介してベース部材43に反映され、実際の車体フレーム角度θs_realの変化と同様に、ベース部材43も回動する。
そして、実際の車体フレーム角度θs_realがゼロになると、実際のレバー角度θi_real(=0)との差分がゼロとなる。このとき、電磁パイロットバルブ33は中立位置をとり、油圧バルブ31も中立位置となっている。このため、左右のステアリングシリンダ9a、9bへの油の供給または排出が行われておらず、実際の車体フレーム角度θs_realもゼロに戻って維持される。これによって、フロントフレーム11はリアフレーム12に対して前後方向に沿った向きに戻される。
【0071】
また、実際の車体フレーム角度θs_realの減少とともに、実際のベース角度θb_realもゼロになるようにベース部材43は回動し、
図10Aに示すような初期位置(θb_real=0)に戻る。
なお、ジョイスティックレバー41を左側に回転させた場合は、上記と同様であるため省略する。
【0072】
(2.実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2におけるホイールローダ101について説明する。本実施の形態2のホイールローダは、実施の形態1のホイールローダ1とステアリングシステムの構成が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明し、他の同様の構成については説明を省略する。
【0073】
図12は、本実施の形態2のステアリングシステム108の構成を示す図である。
上記実施の形態1のステアリングシステム8のステアリング装置22には、支持部42に対するジョイスティックレバー41の回動角を検出するレバー角度センサ46が設けられているが、本実施の形態2のステアリングシステム108では、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の角度を算出するレバー・車体フレーム差分角度センサ146が設けられている。レバー・車体フレーム差分角度センサ146は、第2レバー角度センサの一例に対応する。
【0074】
ジョイスティックレバー41の基端部に形成された貫通孔にベース部材43の軸43aを挿通して、ジョイスティックレバー41がベース部材43に対して回動可能に構成されている場合、ギアなどを介してレバー・車体フレーム差分角度センサ146はジョイスティックレバー41の回動角度を検出すればよい。例えば、レバー・車体フレーム差分角度センサ146はポテンショメータなどであり、ベース部材43に固定されている。レバー・車体フレーム差分角度センサ146に接続された軸と、その軸に固定されたギアが、ジョイスティックレバー41の基端部の外周に形成されたギアと噛み合っている。このような構成により、ベース部材43に固定されたレバー・車体フレーム差分角度センサ146が、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realを相対角度の検出値θr_detectとして検出することができる。相対角度の検出値θr_detectは、第3検出値の一例に対応する。
【0075】
ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realは、支持部42に対するジョイスティックレバー41の実際のレバー角度θi_realと、支持部42に対するベース部材43の実際のベース角度θb_realの差分に相当する。そして、ベース部材43の実際のベース角度θb_realは、伝達機構10によって車体フレーム角度θs_realに対応している。
【0076】
図13に、コントローラ123の入出力と演算のブロック図を示す。本実施の形態2のコントローラ123は、実施の形態1のコントローラ23と比較して、目標角度算出部91、実ステアリング角度算出部92および差分算出部94を備えておらず、差分角度算出部191を備えている。
コントローラ123には、レバー・車体フレーム差分角度センサ146からθr_detectが入力され、差分角度算出部191は、マップM4を用いて差分角度θdiffを算出する。コントローラ123には、車速センサ24から車速の検出値V_detectが入力される。パルス・車速変換部231は、入力されたパルスから車速へ変換し、車速信号Vを算出する。
【0077】
そして、出力算出部95は、差分diffと車速信号VからマップM3を用いて電磁パイロットバルブ制御電流出力iを算出し、電磁パイロットバルブ33に出力する。なお、マップM3、M4は、コントローラ123に記憶されている。
図14は、マップM4の一例を示す図である。
図14に示すマップM4の一例は、相対角度の検出値θr_detectと差分角度θdiffの関係のグラフを示す。この例では、相対角度の検出値θr_detectと差分角度θdiffは比例関係を有している。このマップM4を用いて、コントローラ123は、相対角度の検出値θr_detectから差分角度θdiffを算出する。なお、
図14のマップM4では、θdiff=2×θr_detectとなっているが、これに限られるものではない。
【0078】
図15は、本実施の形態2のホイールローダ101の動作を示すフロー図である。ステップS110において、コントローラ123が、レバー・車体フレーム差分角度センサ146から入力された相対角度の検出値θr_detectを
図14に示すマップM4を用いて差分角度θdiffに変換する。
次に、ステップS40において、コントローラ23は、車速センサ24による検出信号V_detectから換算を行い、車速Vを得る。
【0079】
次に、ステップS50において、コントローラ23は、差分角度θdiffと、車速Vとを用いて、記憶している
図8Cに示すマップM3から電磁パイロットバルブ制御電流出力iを決定し、電磁パイロットバルブ33に指令を行う。
なお、マップM4は、入力に対して出力が一意に決まれば、線形であっても非線形であってもよい。
【0080】
(3.実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3におけるホイールローダ201について説明する。本実施の形態3のホイールローダは、実施の形態1のホイールローダ1とステアリングシステムの構成が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明し、他の同様の構成については説明を省略する。
【0081】
図16は、本実施の形態3のステアリングシステム208の構成を示す図である。
上記実施の形態1のステアリング装置22では、規制部48の当接部481、482によってジョイスティックレバー41の回動範囲を規制しているが、本実施の形態3のステアリング装置222では、規制部48が設けられておらず、規制部248によって回動範囲の規制が行われる。
【0082】
本実施の形態3のステアリング装置222は、実施の形態1のステアリング装置22の規制部48に代えて規制部248と、コントローラ63と、車速センサ64と、を備える。規制部248は、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の回動角度を所定範囲内に規制し、所定範囲を変更することが可能である。
規制部248は、ストッパ部60と、ストッパ角度センサ61と、を備える。ストッパ角度センサ61は、位置検出部の一例に対応する。
【0083】
ストッパ部60は、ジョイスティックレバー41のベース部材43に対する相対角度θr_realが所定角度θ3(正の値)またはθ5(負の値)に達するとジョイスティックレバー41に付加する反力を増大させる。ストッパ部60は、第1ストッパ71と、第2ストッパ72と、第1ギア73と、第2ギア74と、第3ギア75と、第4ギア76と、第5ギア77と、電動モータ78を有する。第1ストッパ71および第2ストッパ72は、当接部の一例に対応する。電動モータ78は、駆動部の一例に対応する。
【0084】
ストッパ部60は、ベース部材43とともに回動する筐体79内に配置されている。また、ジョイスティックレバー41は回動支点を越えて筐体79内まで延びており、筐体79内の端にはカム41aが配置されている。
第1ストッパ71と第2ストッパ72は、それらの間にカム41aが位置するように配置されている。第1ストッパ71と第2ストッパ72は、回動可能に筐体79に支持されている。第1ストッパ71は、
図16では軸71aを中心として上端が回動する。第2ストッパ72は、
図16では軸72aを中心として上端が回動する。カム41aは、第1ストッパ71と第2ストッパ72の間を自在に移動できるため、カム41aが第1ストッパ71または第2ストッパ72に当接することによって、それ以上のジョイスティックレバー41の回動が規制される。
【0085】
第1ストッパ71の軸71aに第1ギア73が固定されており、第2ストッパ72の軸72aに第2ギア74が固定されている。第3ギア75は、第2ギア74と噛み合っており、回動自在に筐体79に支持されている。第4ギア76は、第3ギア75および第1ギア73に噛み合っており、回動自在に筐体79に支持されている。第5ギア77は、電動モータ78の出力軸に固定されており、第4ギア76に噛み合っている。電動モータ78は、筐体79に支持されており、コントローラ63の指令により駆動する。
【0086】
このような構成により、例えば
図16において、電動モータ78を駆動して第5ギア77を右方向に回動させると、第4ギア76が左方向に回動し、第1ギア73が右方向に回動し、
図17の拡大図に示すように、第1ストッパ71の先端71bがカム41aに近づく方向に移動する。また、第3ギア75が右方向に回動し、第2ギア74が左方向に回動し、第2ストッパ72の先端72bがカム41aに近づく方向に移動する。これにより、第1ストッパ71の先端71bと第2ストッパ72の先端72bの幅が狭くなり、ジョイスティックレバー41の回動範囲が狭くなる。なお、カム41aが第1ストッパ71に当接している状態のジョイスティックレバー41が二点鎖線で示されている。
【0087】
また、反対に、電動モータ78を駆動して第5ギア77を左方向に回動させると、第4ギア76が右方向に回動し、第1ギア73が左方向に回動し、第1ストッパ71の先端がカム41aから遠ざかる方向に移動する。また、第3ギア75が左方向に回動し、第2ギア74が右方向に回動し、第2ストッパ72の先端がカム41aから遠ざかる方向に移動する。これにより、第1ストッパ71と第2ストッパ72の先端の幅が広くなり、ジョイスティックレバー41の回動範囲が広くなる。
【0088】
図18は、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realに対してジョイスティックレバー41に付与される反力のグラフG1を示す図である。相対角度θ3が第1ストッパ71の位置を示し、相対角度θ5が第2ストッパ72の位置を示す。
図13に示すように、θr_realの値が0~θ3まで、若しくは0~θ5までは、付勢部材44による反力のみが付与される。θr_realの値がθ3若しくはθ5に達すると、ジョイスティックレバー41のカム41aが第1ストッパ71または第2ストッパ72に当接するため、反力の増加率が急激に増加する。なお、オペレータがθ3に達してからも反力に抵抗して力を加えつづけることによって、第1ストッパ71または第2ストッパ72を押し続け、θr_realの値がθ4若しくはθ6に達すると反力の増加率が減少する。θr_realの値がθ4における反力がF2と示されており、θr_realの値がθ6における反力が-F2と示されている。θr_realの値がθ4以上、若しくはθ6以下の反力は、電動モータ78の位置フィードバックによって付与される。
【0089】
ストッパ角度センサ61は、例えばポテンショメータなどによって構成されており、第1ストッパ71の軸71aに設けられている。ストッパ角度センサ61は、実際のストッパ角度θw_realをストッパ角度の検出値θw_detectとして検出する。
車速センサ64は、車両速度検出部の一例に対応し、ホイールローダ1の車速V_realを検出して検出信号V_detectとしてコントローラ63に送信する。
【0090】
コントローラ63は、車速センサ24からの車速Vに基づいて、ストッパ角度θw_realを変更するように、ストッパ角度センサ61の検出値をフィードバックしながら電動モータ78に指令を行う。コントローラ63は、例えば、車速V_realが速い場合には、第1ストッパ71の先端71bおよび第2ストッパ72の先端72bがカム41aに近づくように電動モータ78に指令を行う。これにより、ジョイスティックレバー41の回動範囲が狭くなり、高速時の操作安定性を向上することができる。
【0091】
また、コントローラ63は、例えば、車速V_detectが遅い場合には、第1ストッパ71の先端および第2ストッパ72の先端がカム41aから離れるように電動モータ78に指令を行う。これにより、ジョイスティックレバー41の回動範囲が広くなり、低速時の操作性を向上することができる。
なお、
図13には、例えば回動範囲を狭くした場合の反力のグラフが一点鎖線G2で示され、回動範囲を広くした場合の反力のグラフが二点鎖線G3で示されている。
また、θ3とθ5は同じ値であっても異なる値でもよく、θ4とθ6は同じ値であっても異なる値であってもよい。さらに、
図18では、θ4とθ6における反力がF2となっているが、θ4とθ6において反力が異なっていても良い。
【0092】
<特徴など>
(1)
本実施の形態1~3のステアリング装置22、122、222は、支持部42と、ベース部材43と、ジョイスティックレバー41と、付勢部材44と、伝達機構接続部45と、を備える。ベース部材43は、支持部42に回動可能に支持されている、ジョイスティックレバー41は、支持部42またはベース部材43に回動可能に支持されている。付勢部材44は、ジョイスティックレバー41とベース部材43に介在し、ジョイスティックレバー41をベース部材43に対してベース基準位置43bに付勢する。伝達機構接続部45は、ホイールローダ1、101、201の連結軸部13の回動角度に基づいた回動をベース部材43に伝達する、リンクを含む伝達機構10が接続される。
【0093】
ここで、ベース部材43とジョイスティックレバー41に介在した付勢部材44を設け、ホイールローダ1、101、201の連結軸部13の回動が伝達機構10を介してベース部材43に入力されることによって、ホイールローダ1、101、201の連結軸部13の回動状態に応じてジョイスティックレバー41の操作に反力を付与することができる。
【0094】
このようにステアリング装置22、122、222において反力を発生させることができるため、更に、ジョイスティックレバー41の回動に関する情報を電気的に電磁パイロットバルブ33に送信することにより、ジョイスティックレバー41と電磁パイロットバルブ33を機械的な伝達機構で接続する必要がなくなり、レイアウトの自由度を向上することができる。
【0095】
また、ジョイスティックレバーの操作により、パイロット弁がストロークエンドストップ部に当たった際にリンク機構に大きな力がかかるため、リンク機構を頑丈に作る必要があり、リンク機構のレイアウトに制約が生じていた。しかしながら、上述のようにジョイスティックレバー41と電磁パイロットバルブ33を機械的な伝達機構で接続する必要がなくなるため、レイアウトの自由度を向上できる。
【0096】
(2)
本実施の形態1、3のステアリング装置22、222は、レバー角度センサ46と、車体フレーム角度センサ47と、を備える。レバー角度センサ46は、支持部42に対するジョイスティックレバー41の実際のレバー角度θi_realを検出値θi_detectとして検出する。車体フレーム角度センサ47は、ホイールローダ1の連結軸部13の実際の車体フレーム角度θs_realを検出値θs_detectとして検出する。
これにより、レバー角度の検出値θi_detectから算出される目標角度θtargetと、車体フレーム角の検出値θs_detectから算出される実ステアリング角度θactualから差分角度θdiffを算出することができ、差分角度θdiffに基づいてホイールローダ1の連結軸部13を回動操作することができる。
【0097】
(3)
本実施の形態2のステアリング装置122は、レバー・車体フレーム差分角度センサ146を更に備える。レバー・車体フレーム差分角度センサ146は、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realを検出値θr_detectとして検出する。
【0098】
ここで、ベース部材43の支持部42に対する実際のベース角度θb_realは、リンクを含む伝達機構10によって車両の実際の車体フレーム角度θs_realに対応しているため、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の回動角度の検出値θr_detectは、ジョイスティックレバー41による回動角度と車体フレーム角度の差分角度θdiffに対応し、差分角度θdiffに基づいてホイールローダ101の連結軸部13を回動操作することができる。
【0099】
(4)
本実施の形態1、3のステアリングシステム8、208は、ステアリング装置22、222と、調整機構21と、車速センサ24と、コントローラ23と、を備える。調整機構21は、ホイールローダ1、201の連結軸部13を回動させるステアリングシリンダ9a、9bの駆動出力を調整する。車速センサ24は、ホイールローダ1、201の走行速度V_realを走行速度の検出値V_detectとして検出する。コントローラ23は、レバー角度センサ46による回動角度の検出値θi_detectおよび車体フレーム角度センサ47による回動角度の検出値θs_detetcと、車速センサ24による走行速度の検出値V_detectに基づいて、調整機構21に指令を行う。
これにより、ホイールローダ1、201の実際の車体フレーム角度θs_realとジョイスティックレバー41の実際のレバー角度θi_realからジョイスティックレバー41による目標角度と実ステアリング角度の差分角度θdiffを検出することができ、差分角度θdiffに基づいてホイールローダ1、201の連結軸部13を回動操作することができる。
【0100】
(5)
本実施の形態2のステアリングシステム108は、ステアリング装置122と、調整機構21と、車速センサ24と、コントローラ123と、を備える。調整機構21は、ホイールローダ1の連結軸部13を回動させるステアリングシリンダ9a、9bの駆動出力を調整する。車速センサ24は、ホイールローダ1の走行速度V_realを走行速度の検出値V_detectとして検出する。コントローラ123は、レバー・車体フレーム差分角度センサ146による回動角度の検出値θr_detectと、車速センサ24による走行速度の検出値V_detectに基づいて、調整機構21に指令を行う。
【0101】
ここで、ベース部材43の支持部42に対する実際のベース角度θb_realは、ホイールローダ1、101の実際の車体フレーム角度θs_realに対応しているため、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の回動角度の検出値θr_detectは、差分角度θdiffに対応し、差分角度に基づいてホイールローダ101の連結軸部13を回動操作することができる。
【0102】
(6)
本実施の形態1~3のステアリング装置22、122、222は、規制部48、248を更に備える。規制部48、248は、ジョイスティックレバー41のベース部材43に対する角度が所定角度に達するとジョイスティックレバー41の回動を規制する。
これにより、たとえば所定の角度範囲θ1、θ1´、θ3、θ5内ではジョイスティックレバー41の操作に対して付勢部材44による反力だけを付与し、所定角度θ1、θ1´、θ3、θ5に達するとジョイスティックレバー41の操作に対してより強い反力を付与することでジョイスティックレバー41の操作範囲をオペレータに感じ取らすことが可能となる。いわゆるキャッチアップ角度をオペレータに感じ取らすことが可能となる。
【0103】
(7)
本実施の形態3にステアリングシステム208では、規制部248は、第1ストッパ71および第2ストッパ72と、ストッパ角度センサ61と、電動モータ78と、を有する。第1ストッパ71および第2ストッパ72は、移動可能であり、所定角度θ3、θ5に達するとジョイスティックレバー41が当接する。ストッパ角度センサ61は、第1ストッパ71の位置を検出する。電動モータ78は、第1ストッパ71および第2ストッパ72を駆動する。
これにより、ジョイスティックレバー41を規制する角度を変更することができ、レバーのキャッチアップ角度を自在に変更することができる。
【0104】
(8)
本実施の形態3のステアリングシステム208は、ステアリング装置222と、車速センサ64と、コントローラ63と、を備える。車速センサ64は、ホイールローダ201の速度を検出する。コントローラ63は、車速センサ64による検出値V_detectに基づいて、電動モータ78に指示することにより第1ストッパ71および第2ストッパ72の位置を変更して、所定角度を変更する。
【0105】
これにより、ジョイスティックレバー41のキャッチアップ角度をホイールローダ1の走行速度に基づいて変更することができる。例えば、車速が速いときには、キャッチアップ角度の範囲を狭く設定することにより、オペレータがキャッチアップを感じるまでの回動範囲が狭くなり、高速安定性を向上することができる。また、車速が遅いときには、キャッチアップ角度の範囲を広く設定することにより、オペレータがキャッチアップを感じるまでの回動範囲が広くなり、操作性を向上することができる。
【0106】
(9)
本実施の形態1~3のホイールローダ1、101、201は、リアフレーム12と、フロントフレーム11と、ステアリングシリンダ9a、9bと、リンクを含む伝達機構10とを、を備えている。リアフレーム12は、ステアリング装置22、122、222が配置されている。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して回動自在に接続されている。ステアリングシリンダ9a、9bは、リアフレーム12に対してフロントフレーム11を駆動する。伝達機構10は、リンクを含み、伝達機構接続部45に接続され、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の回動をベース部材43に伝達する。
【0107】
これにより、アーティキュレート方式のホイールローダ1において、リンクを含む伝達機構10を介してホイールローダ1の実際の車体フレーム角度θs_realに応じた実際のベース角度θb_realにベース部材43を回動させることができるため、ジョイスティックレバー41による目標角度と実ステアリング角度の差分角度θdiffに対応した反力をジョイスティックレバー41に付与することができる。
【0108】
(10)
本実施の形態3のステアリング装置222は、ホイールローダ201を操作するステアリング装置であって、支持部42と、ベース部材43と、ジョイスティックレバー41と、付勢部材44と、伝達機構接続部45と、規制部248と、を備える。ベース部材43は、支持部42に回動可能に支持されている。ジョイスティックレバー41は、支持部42またはベース部材43に回動可能に支持されている。付勢部材44は、ジョイスティックレバー41とベース部材43に介在し、ジョイスティックレバー41をベース部材43に対してベース基準位置43bに付勢する。伝達機構接続部45は、ホイールローダ1の連結軸部13の回動角度に基づいた回動をベース部材43に伝達する伝達機構10が接続される。規制部248は、ジョイスティックレバー41のベース部材43に対する角度が所定角度に達するとジョイスティックレバー41の回動を規制する。規制部248は、第1ストッパ71および第2ストッパ72と、ストッパ角度センサ61と、電動モータ78と、を有する。第1ストッパ71および第2ストッパ72は、移動可能であり、所定角度に達するとジョイスティックレバー41が当接する。ストッパ角度センサ61は、第1ストッパ71および第2ストッパ72の位置を検出する。電動モータ78は、第1ストッパ71および第2ストッパ72を駆動する。
【0109】
これにより、たとえば所定の角度範囲θ3~θ5内ではジョイスティックレバー41の操作に対して付勢部材44による反力だけを付与し、所定角度θ3、θ5に達するとジョイスティックレバー41の操作に対してより強い反力を付与することでジョイスティックレバー41の操作範囲をオペレータに感じ取らすことが可能となる。更に、角度範囲を変更することができる。すなわち、キャッチアップ角度を自在に変更することができる。
【0110】
(11)
上記実施の形態1のステアリング装置22は、ダンパ411を備える。ダンパ411は、ジョイスティックレバー41と支持部42またはベース部材43に介在し、ジョイスティックレバー41に対し減衰力を与える。
これにより、ジョイスティックレバー41の急操作に対して付勢部材44による反力とは別に抵抗する方向に反力を与えることができ、オペレータに急操作したことを感じ取らすことができる。
【0111】
(12)
上記実施の形態1のステアリング装置22は、フリクション412を備える。フリクション412は、ジョイスティックレバー41と支持部42またはベース部材43に介在し、ジョイスティックレバー41に対して摩擦抵抗を与える。
これにより、ジョイスティックレバー41に位置を保持する性質を与えることができ、オペレータはジョイスティックレバー41を回動させて止めた後、大きな力を加え続けなくてもジョイスティックレバー41の位置を保持できるようになる。このため、オペレータの疲労低減に効果がある。
【0112】
(13)
本実施の形態1~3のホイールローダ1、101、201は、リアフレーム12と、フロントフレーム11と、ステアリングシリンダ9a、9bと、支持部42と、ベース部材43と、ジョイスティックレバー41と、伝達機構10と、コントローラ23、123と、油圧バルブ31と、を備える。フロントフレーム11は、リアフレーム12に対して回動する。ステアリングシリンダ9a、9bは、リアフレーム12に対しフロントフレーム11を回動する。ベース部材43は、支持部42に対し回動可能に支持されている。ジョイスティックレバー41は、ベース部材43に対し回動可能にベース部材43または支持部42に支持されている。伝達機構10は、リンクを含み、ベース部材43に接続し、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の回動状態をベース部材43に伝達し、リアフレーム12に対するフロントフレーム11の回動状態を支持部42に対するベース部材43の回動状態として変換する。コントローラ23、123は、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の回動操作に基づきステアリングシリンダ9a、9bを調整するための電磁パイロットバルブ制御電流出力iを出力する。油圧バルブ31は、コントローラ23、123から出力される電磁パイロットバルブ制御電流出力iによってステアリングシリンダ9a、9bの動作を調整する。
ジョイスティックレバー41の回動に関する情報を電気的な信号を介して油圧バルブ31に伝達することにより、ジョイスティックレバー41と油圧バルブ31の間の伝達の全てを機械的に連結する必要がなくなり、レイアウトの自由度を向上することができる。
【0113】
(14)
本実施の形態2のホイールローダ101は、レバー・車体フレーム差分角度センサ146を更に備える。レバー・車体フレーム差分角度センサ146は、ベース部材43に対するジョイスティックレバー41の実際の相対角度θr_realを検出値θr_detectとして検出する。コントローラ123は、レバー・車体フレーム差分角度センサ146による相対角度の検出値に基づき電磁パイロットバルブ制御電流出力iを出力する。
これにより、相対角度の検出値θr_detectに基づいて回動操作することができる。
【0114】
(15)
本実施の形態1、3のホイールローダ1、201は、レバー角度センサ46および車体フレーム角度センサ47を更に備える。コントローラ23、123は、レバー角度センサ46によるレバー角度の検出値θi_detectに対応する目標角度θtargetと車体フレーム角度センサ47による車体フレーム角度の検出値θs_detectに対応する実ステアリング角度θactualに基づき電磁パイロットバルブ制御電流出力iを出力する。
これにより、レバー角度の検出値θi_detectと車体フレーム角度の検出値θs_detectに基づいて回動操作することができる。
【0115】
(16)
本実施の形態1~3のホイールローダ1、101、201は、電磁パイロットバルブ33を更に備える。電磁パイロットバルブ33は、電磁パイロットバルブ制御電流出力iが入力され、油圧バルブ31に供給するパイロット圧またはパイロット流量を調整する。
ジョイスティックレバー41の回動に関する情報を電気的に電磁パイロットバルブ33に送信することにより、ジョイスティックレバー41と電磁パイロットバルブ33を機械的な伝達機構で接続する必要がなくなり、レイアウトの自由度を向上することができる。
【0116】
[他の実施形態]
以上、本開示の一実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
なお、上記実施の形態3のような移動可能な規制部248が、実施の形態2のステアリングシステム108に適用されてもよい。
【0117】
(B)
なお、上記実施の形態3では、ベース部材43の回動角度を、リンクを含む伝達機構10によって車体フレーム角度に対応した角度に回動させているが、リンクを含む伝達機構10を設けず、電動モータなどのアクチュエータを用いてベース部材43を回動させてもよい。この場合、コントローラ23が車体フレーム角度センサ47の検出値に基づいてアクチュエータに有線または無線で指令を行えばよい。
【0118】
(C)
上記実施の形態1、3のホイールローダ1、201には、車体フレーム角度θs_realを検出する車体フレーム角度センサ47が設けられているが、車体フレーム角度センサ47の代わりにベース部材43の回動角度を検出するベース部材角度センサ247が設けられていてもよい。このような構成のホイールローダ301が、
図19に示されている。ホイールローダ301のステアリングシステム308におけるステアリング装置222は、車体フレーム角度センサ47の代わりにベース部材角度センサ247を有している。ベース部材角度センサ247は、ポテンショメータなどであって、支持部42に対するベース部材43の回動角度を検出する。
【0119】
伝達機構10によって、車体フレーム角度θs_realと、支持部42に対するベース部材の回動角度であるベース角度θb_realとは対応する位置関係になるため、支持部42に対するベース部材43の回動角度を検出することで、車体フレーム角度を検出することができる。
この場合、ベース部材角度センサ247によって検出されたベース部材43の回動角度の検出値θb_detectは、検出信号としてコントローラ23に送信される。ベース部材43の回動角度の検出値θb_detectは、第4検出値の一例に対応する。
【0120】
コントローラ23は、
図7の車体フレーム角度の検出値θs_detectをベース部材43の回動角度の検出値θb_detectで置き換えたブロック図を用いて制御を行う。ここで、ベース部材43の実際のベース角度θb_realは、伝達機構10によって車体フレーム実角度θs_realに対応しているため、伝達機構10による減速比と対応したマップM2を用いることで車体フレーム実角度θactualを算出できる。この車体フレーム実角度θactualに基づいて、実施の形態1と同様にステアリングシリンダ9a、9bの制御を行うことができる。
【0121】
このように、コントローラ23が、レバー角度センサ46によるレバー角度の検出値θi_detectに対応する目標角度θtargetと、ベース部材角度センサ247によるベース部材43の回動角度の検出値θb_detectに対応する車体フレーム実角度θactualに基づいて、電磁パイロットバルブ制御電流出力iを出力することによって、油圧バルブ31はステアリングシリンダ9a、9bの動作を調整し、回動操作が行われる。
【0122】
(D)
上記実施の形態1~3の伝達機構10では、リンクの形状としてユニバーサルジョイント53、55を用いた構成を例に挙げて説明しているが、このような構成に限らず、ユニバーサルジョイントの代わりにプッシュプルケーブルなどのケーブルを用いた構成が用いられてもよい。
【0123】
(E)
上記実施の形態1~3では、電磁パイロットバルブ33から入力されるパイロット圧に応じて油圧バルブ31からステアリングシリンダ9a、9bに供給される油の供給量が制御されるように構成されていたが、油圧バルブ31を介さずに電磁パイロットバルブ33からの油が直接ステアリングシリンダ9a、9bに供給される構成であってもよい。すなわち、電磁パイロットバルブ33に代えて電磁メインバルブが用いられてもよい。
【0124】
(F)
上記実施の形態では、ベース部材角度およびレバー角度の範囲(角度スケール)は、車体フレーム角度の範囲(角度スケール)よりも狭くなっているが、車体フレーム角度の範囲と同じまたは車体フレーム角度の範囲よりも大きくても良い。ただし、ベースプレート角度およびレバー角度の範囲(角度スケール)は、車体フレーム角度の範囲(角度スケール)よりも狭いほうが、オペレータの操作範囲が狭くなるため操作しやすくなり好ましい。
【0125】
(G)
上記実施の形態では、作業車両の一例としてホイールローダ1を用いて説明したが、アーティキュレート式のダンプトラック、モータグレーダ等であってもよい。
(H)
上記実施の形態1~3では、ジョイスティックレバー41のみ記載していたが、ステアリングホイールが設けられていてもよい。ステアリングホイールの回動による信号はコントローラ23に入力され、その回動に基づいて電磁パイロットバルブ33が操作される。
【0126】
(I)
上記実施の形態3では、コントローラ23とコントローラ63が別々に設けられているが、同じであってもよい。また、車速センサ24と車速センサ64が別々に設けられているが、同じであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明のステアリング装置は、レイアウトの自由度を向上することが可能な効果を有し、ホイールローダ等として有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 :ホイールローダ
10 :伝達機構
13 :連結軸部
22 :ステアリング装置
41 :ジョイスティックレバー
42 :支持部
43 :ベース部材
44 :付勢部材
45 :伝達機構接続部