(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】コード調整具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/326 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
E06B9/326
(21)【出願番号】P 2018153612
(22)【出願日】2018-08-17
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤一
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-43707(JP,A)
【文献】実開平4-72190(JP,U)
【文献】特開2017-223107(JP,A)
【文献】特開2010-112060(JP,A)
【文献】実開平5-52191(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24-9/388
E06B 9/06
E06B 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードを固定対象に固定するとともに、固定時の前記コードの張力を調整可能なコード調整具であって、
第1部材と、第2部材とを備え、
前記第1部材は、係合部を備え、
前記第2部材は、前記係合部と係合する被係合部を備え、
前記第1部材と前記第2部材とに覆われた空間に複数の係止部が形成され、
前記コードに形成される被係止部が前記複数の係止部のうちの1つの係止部に係止され且つ前記係合部と前記被係合部が係合した状態で、前記コードが固定される、コード調整具。
【請求項2】
請求項1に記載のコード調整具であって、
前記第1部材と前記第2部材とに覆われた空間にコード挿通路が形成され、
前記複数の係止部は、それぞれ前記コード挿通路に沿って形成される、コード調整具。
【請求項3】
請求項2に記載のコード調整具であって、
前記第2部材は、底部と、底部から前記第1部材側に延びる複数の板状部を備え、
前記係止部は、前記板状部の前記第1部材側の面に形成される係止溝である、コード調整具。
【請求項4】
請求項3に記載のコード調整具であって、
前記複数の板状部はそれぞれ、前記コード挿通路と略垂直に配置される、コード調整具。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のコード調整具であって、
前記複数の板状部は平行に配置され、その長手方向における略同一の位置に前記係止溝が形成される、コード調整具。
【請求項6】
請求項3~請求項5の何れかに記載のコード調整具であって、
前記コード挿通路が複数形成され、
前記係止溝は、1つの板状部に複数形成される、コード調整具。
【請求項7】
請求項3~請求項6の何れかに記載のコード調整具であって、
前記第1部材は、前記板状部の第1部材側の面と当接する当接面を備える、コード調整具。
【請求項8】
請求項3~請求項7の何れかに記載のコード調整具であって、
前記係合部は、前記板状部の厚み方向に延びるスライド溝であって、
前記被係合部は、前記厚み方向に延びるスライド突起であり、
前記
第2部材は、前記
第1部材に対しスライドさせることで、前記
第1部材と係合する、コード調整具。
【請求項9】
請求項3~請求項8の何れかに記載のコード調整具であって、
前記第1部材は、前記第2部材側に突出し且つ前記板状部の厚み方向に延在する突条を備え、
前記板状部はそれぞれ、その長手方向における略同一の位置に前記突条と係合する溝部を備える、コード調整具。
【請求項10】
コードを固定対象に固定するとともに、固定時の前記コードの張力を調整可能なコード調整具であって、
第1部材と、第2部材とを備え、
前記第1部材は、係合部を備え、
前記第2部材は、前記係合部と係合する被係合部を備え、
前記第1部材と前記第2部材とに覆われた空間に係止部が形成され、
前記コードに形成される被係止部が前記係止部に係止され且つ前記係合部と前記被係合部が係合することで、前記コードに張力が掛かるよう構成され
、
前記第1部材が前記固定対象に固定されるとともに、前記第2部材の前記第1部材側の面に前記係止部が形成される、コード調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置等に用いられるコードの張力調整を行うコード調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蔽装装置等に用いられるコードをボトムレール等に固定する部材であって、コードの張力(コード末端の長さ)を調整可能なものがある。例えば、特許文献1に記載のボトムレールの下限位置決め機構は、位置決め部材に複数の係合部を配列し、複数の係合部の中から選ばれた1つの係合部にコードの末端を係合することで、コードの張力を決定するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の下限位置決め機構は、コード側に係合固定部材を取り付け、この係合固定部材と同一形状の溝(係合部)に係合させることで、コードを固定する構成である。そのため、係合固定部材と係合部とが分離してしまうおそれもあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、コードの張力を調整でき且つ、確実にコードを固定することの可能コード調整具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、コードを固定対象に固定するとともに、固定時の前記コードの張力を調整可能なコード調整具であって、第1部材と、第2部材とを備え、前記第1部材は、係合部を備え、前記第2部材は、前記係合部と係合する被係合部を備え、前記第1部材と前記第2部材とに覆われた空間に複数の係止部が形成され、前記コードに形成される被係止部が前記複数の係止部のうちの1つの係止部に係止され且つ前記係合部と前記被係合部が係合した状態で、前記コードが固定される、コード調整具が提供される。
【0007】
本発明によれば、第1部材と第2部材とに覆われた空間に複数の係止部を形成し、コードの被係止部を係止部に係止させた状態でさらに第1部材の係合部と第2部材の被係合部とを係合させる構成であることから、コードを強固に固定することが可能となっている。
【0008】
好ましくは、前記第1部材と前記第2部材とに覆われた空間にコード挿通路が形成され、前記複数の係止部は、それぞれ前記コード挿通路に沿って形成される。
【0009】
好ましくは、前記第2部材は、底部と、底部から前記第1部材側に延びる複数の板状部を備え、前記係止部は、前記板状部の第1部材側の面に形成される係止溝である。
【0010】
好ましくは、前記複数の板状部はそれぞれ、前記コード挿通路と略垂直に配置される。
【0011】
好ましくは、前記複数の板状部は平行に配置され、その長手方向における略同一の位置に前記係止溝が形成される。
【0012】
好ましくは、前記コード挿通路が複数形成され、前記係止溝は、1つの板状部に複数形成される。
【0013】
好ましくは、前記第1部材は、前記板状部の第1部材側の面と当接する当接面を備える。
【0014】
好ましくは、前記係合部は、前記板状部の厚み方向に延びるスライド溝であって、前記被係合部は、前記厚み方向に延びるスライド突起であり、前記第1部材は、前記第2部材に対しスライドさせることで、前記第2部材と係合する。
【0015】
好ましくは、前記第1部材は、前記第2部材側に突出し且つ前記厚み方向に延在する突条を備え、前記板状部はそれぞれ、その長手方向における略同一の位置に前記突条と係合する溝部を備える。
【0016】
また、本発明によれば、コードを固定対象に固定するとともに、固定時の前記コードの張力を調整可能なコード調整具であって、第1部材と、第2部材とを備え、前記第1部材は、係合部を備え、前記第2部材は、前記係合部と係合する被係合部を備え、前記第1部材と前記第2部材とに覆われた空間に係止部が形成され、前記コードに形成される被係止部が前記係止部に係止され且つ前記係合部と前記被係合部が係合することで、前記コードに張力が掛かるよう構成される、コード調整具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係るコード調整具を適用可能な横型ブラインド1を示す正面図であり、
図1Bは、同横型ブラインド1の側面図である。
【
図2】
図1の横型ブラインド1のスラット3の平面図である。
【
図3】
図1の横型ブラインド1の揺れ抑制装置10近傍を示す斜視図である。
【
図4】
図4Aは、
図3の揺れ抑制装置10の係合部材40近傍の斜視図であり、
図4Bは、
図3の揺れ抑制装置10の下固定部材50(コード調整具)近傍を示す斜視図である。
【
図5】
図4Bの下固定部材50の分解斜視図である。
【
図6】
図4Bの下固定部材50の、
図5とは異なる方向から見た分解斜視図である。
【
図7】
図4Bの下固定部材50の、ホルダ部材52の下面を示す斜視図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、下固定部材50のホルダ部材52の背面図であり、ガイドコード30の張力を調節可能であることを示す説明図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るアコーディオンカーテン101を模式的に示す正面図である。
【
図12】
図11のアコーディオンカーテン101の移動框104にコード調整具150を取り付ける様子を示す
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0019】
1.第1実施形態
1-1 全体構成
第1実施形態に係るコード調整具を適用可能な遮蔽装置としての横型ブラインド1は、
図1Aの正面図及び
図1Bの側面図に示すように、ヘッドボックス2と、複数段のスラット3と、ボトムレール4と、ラダーコード5と、昇降コード6と、チルトポール8と、コードイコライザ9と、揺れ抑制装置10とを備える。本実施形態の横型ブラインド1は、窓の室内側等に配置されるものであり、
図1Aにおいては、紙面手前側が室内側である。以下、室内側を前側、室外側を後側と呼ぶ。これにより、
図1Bにおいては、左が前側、右が後ろ側となる。また、ヘッドボックス2、スラット3及びボトムレール4の長手方向の向きについては、
図1Aの左右方向を左右方向とする。
【0020】
複数段のスラット3は、ヘッドボックス2から垂下された複数本(
図1Aでは2本)のラダーコード5により回動可能に支持される。具体的には、ラダーコード5は、
図1B及び
図2に示す前後一対の縦糸5a,5b及び、
図2に示すスラット3毎に設けられる2本の横糸5c,5dから構成され、スラット3は、上下に広げた2本の横糸5c,5d間に挿通されて支持される。また、一対の縦糸5a,5bの下端部は、テープホルダ4h(
図1A参照)によってボトムレール4に保持される。
【0021】
また、ラダーコード5は、図示しないチルトドラム及びチルト軸を介してチルトポール8と接続される。これにより、チルトポール8を回転操作することで、ラダーコード5の前後の縦糸の一方が引き上げられ、各スラット3及びボトムレール4が同位相で角度調節される。
【0022】
また、ボトムレール4は、ヘッドボックス2から垂下された複数本(
図1Aでは2本)の昇降コード6により昇降可能に支持される。昇降コード6は、一端がボトムレール4に取着される。昇降コード6の他端は、ヘッドボックス2内に取り付けられたロック部(図示せず)を経てヘッドボックス2の端部(
図1Aでは右端)から引き出される。引き出された昇降コード6は、筒状のチルトポール8内に挿通され、その先端はチルトポール8の下方に設けられたコードイコライザ9に接続される。そして、コードイコライザ9を下方へ引くと、ボトムレール4が引き上げられることにより、各スラット3が順次引き上げられる。なお、図示しないロック部は、ボトムレール4の自重降下を防止するために用いられるものであり、本実施形態では、公知のハートカムストッパが用いられる。詳細な説明は省略するが、このロック部は、ロック状態からコードイコライザ9を一度下方へ引いて手を離すとロックが解除され、コードイコライザ9をもう一度下方へ引くと、昇降コード6が再度ロックされるよう構成される。
【0023】
また、本実施形態において、各スラット3は、
図2に示すように、長手辺の後側にコの字形状の切り欠き3aを有している。そして、ラダーコード5の一対の縦糸5a,5b及び昇降コード6は、切り欠き3aに対応する長手方向の位置に垂下される。また、昇降コード6は、2本の横糸5c,5d間に挿通され、スラット3が水平な場合、切り欠き3a内に配置される。これにより、本実施形態のスラット3は長手方向のずれが抑制されるようになっている。
【0024】
加えて、揺れ抑制装置10は、複数段のスラット3及びボトムレール4の揺れを抑制するために用いられる。以下、揺れ抑制装置10の構成について、詳細に説明する。
【0025】
1-2 揺れ抑制装置10の構成
本実施形態の揺れ抑制装置10は、
図1Aに示すように、ヘッドボックス2、スラット3及びボトムレール4の長手方向(左右方向)両端部分に取り付けられる。揺れ抑制装置10は、
図3に示すように、上固定部材20と、ガイドコード30と、係合部材40と、コード調整具としての下固定部材50とから構成される。以下、
図3~
図9Bを参照して、各部材について説明する。なお、以下の説明では、
図3に示す、右側に取り付けられる揺れ抑制装置10について説明する。左側に取り付けられる揺れ抑制装置10の構成は、左右対称の構成となっているため、詳細な説明を省略する。
【0026】
<上固定部材20>
上固定部材20は、
図1Aに示すように、ヘッドボックス2の長手方向両端部に着脱可能に取り付けられる。具体的には、上固定部材20は、
図3に示すように、ヘッドボックス2の後壁2aとボックスキャップ2bとに係合される。上固定部材20は、中央保持部21と、左右一対の腕部22とを備える。
【0027】
中央保持部21は、前後方向に延びる矩形の構成であり、一部分が肉抜きされている。前端及び後端の下部には、爪部を有しており、ヘッドボックス2と係合可能となっている。また、一対の腕部22は、中央保持部21から左方向又は右方向に延びる。各腕部22は、両端部近傍の前後2ヶ所に、上下方向に貫通する貫通孔を有し、結び玉を形成したガイドコード30を保持するよう構成されている。
【0028】
なお、上固定部材20は、上記のように、腕部22を左右一対有していることから、ヘッドボックス2の左右で上固定部材20を兼用することができる。
【0029】
<ガイドコード30>
ガイドコード30は、
図1A及び
図3等に示すように、複数段のスラット3及びボトムレール4の長手方向外側に配置され、これらの揺れを抑制するものである。ガイドコード30の素材としては、昇降コード6と同一の素材、例えば繊維質の紐を用いることが好ましい。このように部材を共有することで、製造コストを削減することができる。ただし、金属製のワイヤ等、別の素材を用いることも可能である。また、太さについては特に限定されず、断面形状も任意の形状とすることができる。
【0030】
<係合部材40>
係合部材40は、
図1A及び
図4Aに示すように、ボトムレール4の長手方向両端部に、下方から取り付けられる(嵌合する)。係合部材40は、挟持部41と、保持部43とを備える。
【0031】
挟持部41は、ボトムレール4の前縁及び後縁と係合する。保持部43は、ボトムレール4の長手方向の端部4aから突出するよう設けられ、ガイドコード30を囲うことでガイドコード30を保持するものである。本実施形態では、保持部43は、
図4Aに示すように、ボトムレール4の長手方向の端部(端面)4aとともにガイドコード30の周囲を囲むよう構成される。
【0032】
<下固定部材50>
コード調整具としての下固定部材50は、
図1A及び
図1Bに示すように、ガイドコード30を床面F(窓枠の底面等を含むものとする)に固定する部材である。本実施形態の下固定部材50は、
図5、
図6等に示すように、第1部材としてのベース部材51と第2部材としてのホルダ部材52の2部品で構成される。
【0033】
ベース部材51は、
図5に示すように、両面テープ又はビス孔51hを介してビスにより床面Fに固定される。ベース部材51は、底部51bの上面側に、係合部としてのスライド溝51s及び係合突起51eと、突条51tを有する。スライド溝51sは、ベース部材51の右端側略半分の位置において前後方向の縁部に形成される。係合突起51eは、ベース部材51の左端側の縁部に亘って上方向に向かって突出する。突条51tは、係合突起51eの前後方向中央部から右方向に向かって直方体状に延びる。突条51tは、底部51bは、左右方向においてスライド溝51sの存在しない位置に延在しており、当該位置におけるベース部材51の強度向上に寄与している。
【0034】
ホルダ部材52は、
図6及び
図7に示すように、底部52bの下面側に、被係合部としてのスライド突起52s及び係合溝52eと、複数の板状部52pと、コード挿通路としての挿通溝52iと、を備える。スライド突起52sは、右側の略半分の位置において前後方向の縁部に形成される。係合溝52eは、
図7に示すように、ホルダ部材52の左端近傍の下面側に、前後方向に亘って形成される。
【0035】
複数の板状部52pは、前後方向に亘って配置される板状の部分であり、係合溝52eよりも右側において、平行に並ぶよう形成される。本実施形態では、板状部52pは、
図7に示すように5つ形成されている。なお、本実施形態においては、左右方向が板状部52pの厚み方向となる。各板状部52pのベース部材51と対向する面は、全て同一の高さとなっている。挿通溝52iは、ガイドコード30を配置するための溝であり、本実施形態では、前側及び後側の2ヶ所に、左端から右端近傍に亘って板状部52pとは略垂直な方向に形成される。なお、挿通溝52iの右端は、ガイドコード30が下固定部材50から引き出される引出口52mとなる(
図4B参照)。ここで、挿通溝52iと各板状部52pの交差する部分(本実施形態では2列×5ヶ所ある)は、係止部としての係止溝52fとなっている。したがって、各挿通溝52iに沿った係止溝52fは、板状部52pの長手方向における略同一の位置に形成される。揺れ抑制装置10の構成時には、複数の係止溝52fのうちの1つの係止溝52fに、ガイドコード30端部の被係止部としての結び玉32が係止される。加えて、各板状部52pの中央部には、ベース部材51の突条51tと嵌合する中央溝52cが形成されている。各中央溝52cも、板状部52pの長手方向における略同一の位置に形成される。
【0036】
なお、下固定部材50は、上記のように、挿通溝52iを前後一対有しており、各挿通溝52iに沿って複数の係止溝52fが形成されることになるため、ヘッドボックス2の左右で上固定部材20を兼用することができる。
【0037】
このような構成の揺れ抑制装置10において、ガイドコード30は、
図3に示すように、その上端が上固定部材20の貫通孔に通され、結び玉31を形成することにより腕部22に支持される。一方、ガイドコード30の下端側は、ボトムレールに取付けられた係合部材40の保持部43に通され、さらに下固定部材50に取り付けられる。以下、コード調整具としての下固定部材50が、ガイドコード30を固定対象である床面Fに固定するとともに、固定時のガイドコード30の張力を調整可能である点を説明する。
【0038】
1-3 下固定部材50によるガイドコード30の固定
下固定部材50によりガイドコード30を床面Fに固定するには、まず、ベース部材51を床面Fに固定する。次に、
図8A及び
図8Bに示すように、ガイドコード30を挿通溝52iに通し、その端部に形成した結び玉32を、複数の係止溝52fのうちの何れかの係止溝52fに係止させる。そして、ホルダ部材52を、
図5及び
図6の矢印の方向にスライドさせて、ベース部材51に嵌めることでガイドコード30が固定される。この際、
図10Aに示すように、ベース部材51のスライド溝51sとホルダ部材52のスライド突起52sが差し込まれて係合するとともに、ベース部材51の係合突起51eとホルダ部材52の係合溝52eが係合する。加えて、
図10Bに示すように、ベース部材51の突条51tは、ホルダ部材52の各中央溝52cと嵌合する。係合突起51eと係合溝52eの係合によって、左右方向の位置決めがなされ、突条51tと複数の中央溝52cの嵌合により、前後方向の位置決めがなされる。ここで、上記のように各部位が係合した状態においては、係止溝52fはベース部材51の底部51bとホルダ部材52の底部52bに覆われた空間に位置することになる。そして、この状態では、
図10Bに示すように、ベース部材51の底部51bのホルダ部材52側の面(当接面51a、
図5参照)と、ホルダ部材52の各板状部52pのベース部材51と対向する面(被当接面52a、
図7参照)とが当接するようになっている。これにより、係止溝52fの上部が塞がれることで、結び玉32が係止溝52fから外れてしまうことが防止されている。
【0039】
なお、ホルダ部材52がベース部材51に固定された状態において、下固定部材50は、
図4及び
図9に示すように、平面視が略矩形形状となる。また、ベース部材51及びホルダ部材52は、上述したような係合関係により固定される構成に代えて、スナップフィットにより固定される構成とすることも可能である。
【0040】
1-4 下固定部材50によるガイドコード30の張力調整
ガイドコード30の張力調整は、ガイドコード30の結び玉32を係止させる位置を、複数の係止溝52fの中で変更し、その状態でベース部材51とホルダ部材52を係合させることで行うことができる。具体的には、
図8Aに示すように、複数の係止溝52fのうち、引出口52mから遠い位置にある係止溝52fに結び玉32を係止させ、この状態でベース部材51とホルダ部材52を係合させると、ガイドコード30は短くなり、張力が大きくなる。一方、
図8Bに示すように、引出口52mから近い位置にある係止溝52fに結び玉32を係止させ、この状態でベース部材51とホルダ部材52を係合させると、ガイドコード30は長くなり、張力が小さくなる。なお、揺れ抑制装置10としては、結び玉32の位置は、ガイドコード30が張力の掛かった状態で上固定部材20と下固定部材50との間に張られる位置に係止させることが好ましい。
【0041】
なお、上記のように取り付けられたガイドコード30の、スラット3に対する位置は、
図2に示すような位置となる。すなわち、左右方向においては、スラット3の長手方向外側、長手方向端部とガイドコード30とが接触するか又は僅かな距離を隔てて隣接するよう配置される。このような配置により、遮光性を損なうことなく、スラットの長手方向(左右方向)の揺れを防止することができる。また、ガイドコード30がボトムレール4に取り付けられた係合部材40の保持部43に保持されることから、前後方向の揺れも防止することができる。また、前後方向においては、ガイドコード30は、スラット3の短手方向中央よりもやや後側の偏位した位置に配置される。
【0042】
そして、本実施形態では、少なくとも上固定部材20、ガイドコード30及び下固定部材50が左右兼用の構成となっている。これにより、部品数を削減し、コスト等を削減することが可能となっている。
【0043】
1-5 効果
(1)ホルダ部材52の係止溝52fが、ベース部材51の底部51bとホルダ部材52の底部52bに覆われた空間に配置され、ベース部材51のスライド溝51s及び係合突起51eとホルダ部材52のスライド突起52s及び係合溝52eとが係合する構成であることから、ガイドコード30の結び玉32を係合溝52eに係合させることで、ガイドコード30を強固に固定することが可能である。
(2)ホルダ部材52が挿通溝52iに沿って複数の係止溝52fを備えていることから、結び玉32を係止させる位置を変更することで、容易にガイドコード30の張力を調整することができる。
(3)ホルダ部材52が前後2つの挿通溝52iを備えていることから、ガイドコード30を横型ブラインド1のスラット3及びボトムレール4の長手方向両端側に配置する際に、同じ下固定部材50を2つ用いて、前後方向の位置を両側で揃えることができる。その結果、部品数を削減し、コスト等を削減す
【0044】
2 第2実施形態
次に、
図11及び
図12を用いて、第2実施形態に係るコード調整具150を説明する。第2実施形態のコード調整具150は、第1実施形態で説明した下固定部材50の構成と類似する。しかしながら、本実施形態のコード調整具150は、横型ブラインド1の揺れ抑制装置10のガイドコード30に対して用いるのではなく、間仕切り装置、特にコードを介して開閉を行うアコーディオンカーテン101に用いる点で、第1実施形態のものと異なっている。以下に、第2実施形態のコード調整具をアコーディオンカーテン101に適用する場合の構成を説明する。
【0045】
2-1 全体構成
本実施形態のコード調整具150は、
図11に示すアコーディオンカーテン101の牽引コード106を移動框104に固定する際に用いる。アコーディオンカーテン101は、ハンガーレール102と、複数のランナー(図示せず)に吊り下げ支持された間仕切り部材103と、移動框104と、固定框105と、牽引コード106と、操作コード107と、操作部108と、コードイコライザ109と、本発明に係るコード調整具150とを主要な構成要素とする。このアコーディオンカーテン101は、操作部108を操作して操作コード107を引くと、コードイコライザ109を介して牽引コード106が引かれ、移動框104が固定框105の方向へ移動する構成である。このようなアコーディオンカーテン101の基本構成は、公知の構成と同様であり、例えば、特開2018-62847号公報に記載の構成とすることができる。したがって、以下では、
図12に基づいて、コード調整具150の構成及び、コード調整具150の移動框104への取付け構成のみを説明する。
【0046】
2-2 コード調整具150の構成
本実施形態のコード調整具150は、
図12に示すように、ベース部材151とホルダ部材152から構成され、第1実施形態の下固定部材50と類似している。具体的には、ベース部材151とホルダ部材152の外観形状及び係合部の構成は同一である。したがって以下では、第1実施形態の下固定部材50との相違点のみ説明する。
【0047】
本実施形態のホルダ部材152は、コード挿通路としての挿通溝152iが一路のみ形成されおり、挿通溝152iに沿って5つの係止溝152fが形成されている。また、ホルダ部材152の底部152bの挿通溝152i上の位置には、牽引コード106を引き出す引出孔152mが形成される。
【0048】
2-3 コード調整具150による牽引コード106の固定
コード調整具150により牽引コード106を移動框104の固定用開口部104aに取り付けるには、まず、移動框104に形成された貫通孔104hから牽引コードを引き出し、牽引コード106の端部を引出孔152mからベース部材151側に挿通して、牽引コード106の端部に結び玉132を形成する。次に、結び玉132を5つの係止溝152fのうちの1つの係止溝152fに係止する。その後、第1実施形態と同様にして、ベース部材51とホルダ部材52を係合させる。そして、このようにして牽引コード106を保持しつつ一体となったコード調整具150を、移動框104の内壁上に設けられた一対の鍵手状の嵌合用突起片104pに嵌合させる。これにより、コード調整具150が移動框104に取付けられ、牽引コード106が移動框104に固定される。
【0049】
2-4 コード調整具150による牽引コード106の張力調整
牽引コード106の張力調整は、第1実施形態と同様にして、牽引コード106の結び玉132を係止させる位置を、複数の係止溝152fの中で変更することで行うことができる。本実施形態においては、結び玉132の係止位置を変更するという簡単な作業により牽引コード106の張力を調整できるため、施工性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0050】
3 変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。例えば、コード調整具150を適用する対象として、第1実施形態では揺れ抑制装置10のガイドコード30、第2実施形態ではアコーディオンカーテン101の牽引コード106を例として説明したが、その他のコードの固定・張力調整にも用いることが可能である。その他のコードとしては、例えば、横型ブラインドの昇降コードが挙げられる。また、天窓や傾斜窓等に用いる遮蔽装置のガイドワイヤの固定・張力調整に用いることも可能である。
【0051】
また、コード調整具の構成として、上記実施形態では、挿通溝52i(152i)及び係止溝52f(152f)が同じ部材(ホルダ部材52)に形成されていたが、別々の部材に形成することも可能である。
【0052】
加えて、上記実施形態では、コードの被係止部を係止する係止部が板状部52pに形成される係止溝52fによって構成されていたが、一対のピンにより構成することや、穴により構成することも可能である。また、係止部を1本のピンとし、コードの被係止部をリング状の構成とすることも可能である。
【0053】
なお、上記実施形態では、コードの被係止部を係止する係止部としての係止溝が複数設けられていたが、係止部を1つとすることも可能である。この場合であっても、コードの被係止部を係止部に係止した状態でベース部材とホルダ部材を係合することで、コードに張力を掛ける(コードを張る)ことが可能である。
【0054】
上記実施形態では、コードの被係止部が結び玉32である例を説明したが、被係止部は、結び玉に限られない。例えば、コードの端部に別部材(例えば、樹脂製とする)を取り付ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 :横型ブラインド(遮蔽装置)
2 :ヘッドボックス
2a :後壁
2b :ボックスキャップ
3 :スラット
3a :切り欠き
4 :ボトムレール
4a :端部
4h :テープホルダ
5 :ラダーコード
5a,5b :縦糸
5c,5d :横糸
6 :昇降コード
8 :チルトポール
9 :コードイコライザ
10 :抑制装置
20 :上固定部材
21 :中央保持部
22 :腕部
30 :ガイドコード(コード)
31 :結び玉
32 :結び玉(被係合部)
40 :係合部材
41 :挟持部
43 :保持部
50 :下固定部材(コード調整具)
51 :ベース部材(第1部材)
51a :当接面
51b :底部
51e :係合突起(係合部)
51h :ビス孔
51s :スライド溝(係合部)
51t :突条
52 :ホルダ部材(第2部材)
52a :被当接面
52b :底部
52c :中央溝(溝部)
52e :係合溝(被係合部)
52f :係止溝
52i :挿通溝(コード挿通路)
52m :引出口
52p :板状部
52s :スライド突起(被係合部)
101 :アコーディオンカーテン(遮蔽装置)
102 :ハンガーレール
103 :間仕切り部材
104 :移動框
104a :固定用開口部
104p :嵌合用突起片
105 :固定框
106 :牽引コード(コード)
107 :操作コード
108 :操作部
109 :コードイコライザ
132 :結び玉
150 :コード調整具
151 :ベース部材(第1部材)
152 :ホルダ部材(第2部材)
152b :底部
152f :係止溝(係止部)
152i :挿通溝(コード挿通路)
152m :引出孔
F :床面