(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】管理装置及び管理システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20221128BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20221128BHJP
G01S 13/74 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G06K7/10 276
G06K7/10 128
G01S13/74
(21)【出願番号】P 2018155476
(22)【出願日】2018-08-22
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 順
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-028979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0303006(US,A1)
【文献】登録実用新案第3121984(JP,U)
【文献】特表2015-507207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
G06K 7/10
G01S 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品のそれぞれに取り付けられた無線タグが通過する通信エリアを備え、前記無線タグから電波を受信するアンテナと、
前記アンテナが前記無線タグから受信する電波によって無線タグ情報を読み取るリーダーと、
前記アンテナが受信する特定の無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出し、前記無線タグの位置と前記無線タグから読み取る識別情報とを関連付ける処理部と、を備え
、
前記アンテナは、前記複数の物品を保持する物品保持台に取り付けられた無線タグから電波を受信し、
前記処理部は、前記アンテナが受信する、前記物品保持台に取り付けられた無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出した場合に、前記物品保持台の搬送速度を遅くするように指示する、
管理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記アンテナが受信する、前記物品保持台に取り付けられた無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出することで、前記物品保持台の位置を特定する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記通信エリアは、
前記アンテナと前記無線タグ
の距離が最短となる前記アンテナの位置の前後1/4波長の範囲以下である、
請求項1又は請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
搬送装置と管理装置とを備え、
前記搬送装置は、
それぞれに無線タグが貼付けられた複数の物品を
保持する物品保持台を搬送する搬送路と、
前記搬送路による搬送を制御する搬送制御部と、を備え、
前記管理装置は、
前記無線タグが通過する通信エリアを備え、前記無線タグから電波を受信するアンテナと、
前記アンテナが前記無線タグから受信する電波によって無線タグ情報を読み取るリーダーと、
前記アンテナが受信する特定の無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出し、前記無線タグの位置と前記無線タグから読み取る識別情報とを関連付ける処理部と、を備
え、
前記処理部は、前記アンテナが受信する、前記物品保持台に取り付けられた無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出した場合に、前記搬送路上における前記物品保持台の搬送速度を遅くするように前記搬送制御部に指示する、
管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、管理装置及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、患者から採血した血液(検体)を入れた採血管の側面に、バーコードを貼り付けている。このバーコードには、患者ごとの識別情報などが記録される。そして、このバーコード及び識別情報を用いて患者と検体とを紐付けて管理することが行われている。しかしながら、この場合、バーコードをリーダーに効率よく読み取らせるために、ラックに収容する複数の採血管の向きをそろえる必要があり、手間がかかるという問題がある。
【0003】
この問題を解決する技術として、採血管にRFID(radio frequency identifier)タグなどの無線タグを取り付けるようにしたものが知られている。無線タグには、患者ごとの識別情報などが記録される。このような無線タグは、無線通信によって、無線タグの向きによらず識別情報などのデータの読み書きが可能である。したがって、無線タグを用いることで、バーコードを用いる場合のように採血管の向きを揃える必要が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の無線タグを用いる方法では、複数本の採血管をラックに並べて収容すると、採血管同士の間隔が数cm以下と狭くなる。このため、ラックのどの位置に、どの無線タグが取り付けられた採血管が収容されているかを判別することが難しい。このような問題を解決するため、隣接する採血管と採血管との間に電波を遮断する隔壁を設ける対策も行われている。しかしながら、このような隔壁のみでは、設置間隔数cm以下のような狭い間隔での電波の回り込みを十分に防ぐことは難しい。
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、無線タグ同士の間隔が狭い場合でも適切に無線タグの位置を特定可能な管理装置及び管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の管理装置は、アンテナ、リーダー及び処理部を備える。アンテナは、複数の物品のそれぞれに取り付けられた無線タグが通過する通信エリアを備え、前記無線タグから電波を受信する。リーダーは、前記アンテナが前記無線タグから受信する電波によって無線タグ情報を読み取る。処理部は、前記アンテナが受信する特定の無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出し、前記無線タグの位置と前記無線タグから読み取る識別情報とを関連付ける。アンテナは、前記複数の物品を保持する物品保持台に取り付けられた無線タグから電波を受信する。処理部は、前記アンテナが受信する、前記物品保持台に取り付けられた無線タグから受信した電波の位相に基づいて当該無線タグの通過を検出した場合に、前記物品保持台の搬送速度を遅くするように指示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態及び第2実施形態に係る検体検査システムの特定部の側面図。
【
図2】第1実施形態及び第2実施形態に係る検体検査システムの特定部の上面図。
【
図3】第1実施形態及び第2実施形態に係る検体検査システムに含まれる構成要素についての要部構成の一例を示すブロック図。
【
図4】
図3に示す読取装置のプロセッサーによる第1実施形態に係る処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】無線タグがアンテナの前を通過するときの位相の変化を示すグラフ。
【
図6】無線タグがアンテナの前を通過するときの位相の変化を示すグラフ。
【
図7】無線タグとアンテナとの距離と、位相との関係を示すグラフ。
【
図9】
図3に示す読取装置のプロセッサーによる第2実施形態に係る処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、いくつかの実施形態に係る検体検査システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。なお、各図面において同一の要素については同一の符号を用いている。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1及び
図2は、実施形態に係る検体検査システム1の特定部100の概要を示す二面図である。当該二面図は、上面図及び側面図から成る。
図1は、実施形態に係る検体検査システム1の特定部100の側面図である。
図2は、実施形態に係る検体検査システム1の特定部100の上面図である。検体検査システム1は、採血管に入れられた血液(検体)の検査を行う。検体検査システム1は、一例として、特定部100を含む。特定部100は、採血管が検体ラックのどの位置に入れられているかを特定する。特定部100は、一例として、搬送装置10、検体ラック20、採血管21及び読取装置30を含む。なお、検体検査システム1は、管理システムの一例である。
【0011】
搬送装置10は、検体ラック20を搬送する装置である。搬送装置10は、一例として、制御部11、搬送路12及び搬送台13を含む。
【0012】
制御部11は、例えば、搬送装置10の動作に必要な演算及び制御などの処理などを行う。制御部11の詳細については後述する。
【0013】
搬送路12は、検体ラック20を搬送するためのレール又はガイドなどである。搬送路12は、アンテナ16の前を採血管21が通過するように形成されている。
搬送台13は、検体ラック20を載せることが可能な台である。搬送台13は、検体ラック20を載せた状態で搬送路12に沿って移動することで、検体ラック20を搬送する。なお、例えば、搬送装置10が検体ラック20を搬送台13に載せる。例えば、搬送装置10は、複数の検体ラック20が載せられた検体トレイから1つの検体ラック20を引き抜いて搬送台13に載せる。あるいは、搬送台13に検体ラック20を載せる方法は、人力であっても良い。
【0014】
検体ラック20は、複数の採血管21を立てた状態で一列に並べて収容することができるようになっている。このため、検体ラック20は、採血管21を入れるための穴などが一列に並んでいる。なお、
図1及び
図2では、検体ラック20は、直線状であるが、円形であっても良い。また、検体ラック20は、搬送台13と一体となったものであっても良い。検体ラック20は、採血管21を保持する物品保持台の一例である。
採血管21は、例えば、直径12~16mmの円筒形である。採血管21の素材は、例えば、樹脂などである。採血管21には、RFIDタグなどの無線タグ22及びラベルが取り付けられている。例えば、無線タグ22を含むラベルが採血管21に貼り付けられる。あるいは、無線タグ22は、採血管21に埋め込まれていても良い。なお、採血管21に無線タグ22を取り付ける方法は、限定せず、他の方法でも良い。
【0015】
無線タグ22は、典型的にはパッシブダグであるが、セミアクティブダグ又はアクティブタグであっても良い。無線タグ22は、情報を記憶するためのメモリなどを備える。当該メモリなどは、例えば、患者IDを含む情報を記憶する。なお、患者ID(identifier)は、患者ごとにユニークに付与される識別情報である。無線タグ22は、無線タグから情報を読み取ることを指示する電波を受信したことに応じ、記憶している情報を載せた電波を返信する。また、無線タグ22は、無線タグに情報を書き込むことを指示する電波を受信したことに応じ、搭載しているメモリに情報を書き込む。なお、無線タグ22が通信に使用する電波の周波数は、一例として、920MHz帯である。
無線タグ22に記憶された情報は、無線タグ情報である。
【0016】
読取装置30は、無線タグ22に対する情報の読み書きを行う。読取装置30は、一例として、制御部31、リーダーライター33及びアンテナ32を含む。読取装置30は、管理装置の一例である。
【0017】
制御部31は、例えば、読取装置30の動作に必要な演算及び制御などの処理などを行う。制御部31の詳細については後述する。
【0018】
アンテナ32は、無線タグ22に電波を送信する。また、アンテナ32は、無線タグ22から送信される電波を受信する。
リーダーライター33は、無線タグ22から送信され、アンテナ32によって受信された電波を復調する。これにより、リーダーライター33は、アンテナ32と協働して無線タグ22に記録されている情報を読み取る。また、リーダーライター33は、電波を変調することで、無線タグ22に送信する情報を電波に載せる。リーダーライター33は、アンテナ32と協働して無線タグ22に情報を書き込む。以上より、リーダーライター33は、無線タグ22に記録されている情報を読み取るリーダーとしての機能と、無線タグ22に情報を書き込むライターとしての機能を備える。
【0019】
また、リーダーライター33は、無線タグ22から受信した電波の位相値を計測して出力する。出力された位相値は、制御部31に入力される。なお、リーダーライター33は、例えば、位相値を0度から180度の範囲で表す。
【0020】
図3は、実施形態に係る検体検査システム1に含まれる構成要素についての要部構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
搬送装置10の制御部11は、一例として、プロセッサー111、ROM(read-only memory)112、RAM(random-access memory)113、駆動部114及び接続インターフェース115を含む。そしてこれら各部がバス116などによって接続される。
【0022】
プロセッサー111は、制御部11の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー111は、ROM112などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、制御部11の各種の機能を実現するべく各部を制御する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー111の回路内に組み込まれていても良い。プロセッサー111は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー111は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサー111は、搬送制御部の一例である。
【0023】
ROM112は、プロセッサー111を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM112は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM112は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM112は、プロセッサー111が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0024】
RAM113は、プロセッサー111を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM113は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM113は、プロセッサー111が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0025】
駆動部114は、検体ラック20を搬送するために駆動する。駆動部114は、モーターなどを含む。
【0026】
接続インターフェース115は、搬送装置10と読取装置30とを接続するためのインターフェースである。搬送装置10と読取装置30との間の通信は、接続インターフェース115を介して行われる。
【0027】
バス116は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、搬送装置10の各部で授受される信号を伝送する。
【0028】
読取装置30の制御部31は、一例として、プロセッサー311、ROM312、RAM313、補助記憶デバイス314及び接続インターフェース315を含む。そして、これら各部がバス316などによって接続される。
【0029】
プロセッサー311は、制御部31の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分に相当する。プロセッサー311は、ROM312又は補助記憶デバイス314などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、制御部31の各種の機能を実現するべく各部を制御する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー311の回路内に組み込まれていても良い。プロセッサー311は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー311は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサー311は、処理部の一例である。
【0030】
ROM312は、プロセッサー311を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。ROM312は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM312は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM312は、プロセッサー311が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0031】
RAM313は、プロセッサー311を中枢とするコンピューターの主記憶装置に相当する。RAM313は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM313は、プロセッサー311が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0032】
補助記憶デバイス314は、プロセッサー311を中枢とするコンピューターの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス314は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)又はeMMC(embedded MultiMediaCard)などである。補助記憶デバイス314は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス314は、プロセッサー311が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー311での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0033】
ROM312又は補助記憶デバイス314に記憶されるプログラムは、後述する処理を実行するためのプログラムを含む。一例として、制御部31は、当該プログラムがROM312又は補助記憶デバイス314に記憶された状態で制御部31の管理者などへと譲渡される。しかしながら、制御部31は、当該プログラムがROM312又は補助記憶デバイス314に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、制御部31は、当該プログラムとは別のプログラムがROM312又は補助記憶デバイス314に記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、後述する処理を実行するためのプログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にROM312又は補助記憶デバイス314へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0034】
接続インターフェース315は、搬送装置10と読取装置30とを接続するためのインターフェースである。搬送装置10と読取装置30との間の通信は、接続インターフェース315を介して行われる。
【0035】
バス316は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、読取装置30の各部で授受される信号を伝送する。
【0036】
以下、実施形態に係る検体検査システム1の動作を
図4などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図4は、読取装置30のプロセッサー311による処理のフローチャートである。プロセッサー311は、例えば、ROM312又は補助記憶デバイス314などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。
【0037】
Act11において読取装置30のプロセッサー311は、搬送路12に沿った搬送台13の移動を開始させる。すなわち、プロセッサー311は、移動コマンドを制御部11に送信するように接続インターフェース315に対して指示する。移動コマンドは、搬送台13の移動を開始するように指示するコマンドである。この指示を受けて接続インターフェース315は、移動コマンドを搬送装置10に送信する。送信された当該移動コマンドは、搬送装置10の接続インターフェース115によって受信される。
接続インターフェース115によって受信された当該移動コマンドは、例えば、プロセッサー111に入力される。プロセッサー111は、当該移動コマンドが入力されたことに応じ、駆動部114を制御して搬送台13の移動を開始させる。搬送台13は、搬送路12に沿って移動を開始する。
【0038】
Act12においてプロセッサー311は、リーダーライター33を動作開始させる。すなわち、プロセッサー311は、リーダーライター33を制御して、無線タグ22から情報を読み取ることが可能な状態にする。
【0039】
Act13においてプロセッサー311は、搬送台13の移動距離が上限に達したか否かを判定する。すなわち、プロセッサー311は、搬送台13がAct11で移動を開始してからの移動距離が一定以上になったか否かを判定する。プロセッサー311は、搬送台13の移動距離が上限に達していないならば、Act13においてNoと判定してAct14へと進む。
【0040】
Act14においてプロセッサー311は、位相の傾きの正負が変化したか否かを判定する。位相の傾きの正負の変化については後述する。プロセッサー311は、位相の傾きの正負が変化していないならば、Act14においてNoと判定してAct13へと戻る。かくして、プロセッサー311は、搬送台13の移動距離が上限に達するか、位相の傾きの正負が変化するまでAct13及びAct14を繰り返す。
【0041】
無線タグ22がアンテナ32の前を通過するときの位相の変化を
図5及び
図6に示す。
図5に示すように、アンテナ32の正面位置P0に無線タグ22があるとき、アンテナ32と無線タグ22の距離が最短となる。このP0を境に、P1aとP1b、及びP2aとp2bでは、アンテナ32からの距離が等しい。位相値は、アンテナ32と無線タグ22の距離で決まるため、P0を境に左右対称のグラフとなる。したがって、無線タグ22がアンテナ32の正面を通過する際に位相値の傾きの符号が正負反転する。これを用いることで、プロセッサー311は、アンテナの正面を無線タグ22が通過したことを検出することができる。リーダーライター33は、前述のように位相値を0度から180度の範囲で表す。したがって、
図6に示すように、1/4波長周期で不連続点が発生する。また、無線タグ22とアンテナ32との距離Lと、位相との関係は、
図7のグラフに示すようになる。
図7は、無線タグ22とアンテナ32との距離Lと、位相との関係を示すグラフである。L0を約25mm且つ25mm以上に設定することで、無線タグ22通過時の位相値を約180度且つ180度未満にすることができる。これにより、アンテナ正面P0の前後約1/4波長の範囲が位相値の不連続点が無い範囲となる。したがって、アンテナ32が無線タグ22を読み取る範囲をアンテナ正面P0の前後約1/4波長の範囲に限定することで、位相値のデータ処理において不連続点を排除することができる。これによって、位相値の傾きの反転を捉えやすくなる。例えば、リーダーライター33が、無線タグ22を読み取る範囲を限定するように制御する。なお、リーダーライター33は、読み取る範囲の限定を、ハードウェア構成によって実現するものでも良いし、ソフトウェアによって実現するものでも良い。なお、L0の距離を長くすると、アンテナ32の前を通過する無線タグ22に対する距離の変動が小さくなる。このため、位相値の変動も小さくなってしまう。したがって、L0は、短い値に設定することが好ましい。また、上記のように限定された読み取り範囲は、無線タグ22から受信する電波の位相に不連続点が生じない範囲の通信エリアの一例である。
【0042】
プロセッサー311は、Act13及びAct14の待受状態にあるときに位相の傾きの正負が変化したならば、Act14においてYesと判定してAct15へと進む。
Act15においてプロセッサー311は、直前のAct14の処理においてYesと判定する原因となった無線タグ22(採血管21)の位置を、当該無線タグ22に記憶された患者IDと関連付けて、RAM313などに記憶する。当該無線タグ22は、アンテナ32の正面を直前に通過した無線タグ22である。なお、プロセッサー311は、無線タグ22の位置を、例えば、搬送台13の移動距離に基づいて記憶する。プロセッサー311は、Act15の処理の後、Act13へと戻る。
【0043】
プロセッサー311は、Act13及びAct14の待受状態にあるときに搬送台13の移動距離が上限に達したならば、Act13においてYesと判定してAct16へと進む。
【0044】
Act16においてプロセッサー311は、リーダーライター33を制御して、リーダーライター33の動作を停止させる。プロセッサー311は、Act16の処理の後、
図4に示す処理を終了する。そして、検体検査システムは、当該搬送台13に載せられた検体ラック20に載せられた採血管21内の検体それぞれについて検査を行う。
【0045】
以上のように、プロセッサー311は、搬送台13の移動距離が上限に達するまでAct13~Act15を繰り返すことで、当該搬送台13に載せられた検体ラック20に載せられた採血管21全ての位置を記憶することができる。
【0046】
第1実施形態の検体検査システム1によれば、読取装置30は、無線タグ22が送信する電波の位相に基づいて位置を特定する。これにより、読取装置30は、高精度な位置特定が可能となる。
【0047】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の検体検査システム1bの構成は、第1実施形態の検体検査システム1の構成と同様である。ただし、第2実施形態では、検体ラック20に代えて検体ラック20bを用いる。したがって、検体ラック20b以外については説明を省略する。
【0048】
図8は、第2実施形態に係る検体ラック20bの上面図である。検体ラック20bには、無線タグ23が取り付けられる。検体ラック20bは、物品保持台の一例である。
【0049】
無線タグ23の取り付け位置は、検体ラック20bの搬送方向の先頭部分である。無線タグ23のハードウェア構成は、無線タグ22と同様である。無線タグ23は、例えば、検体ラック20bに取り付けられている無線タグ23であることを特定可能な情報を記憶する。なお、幅aは、一例として6[mm]である。
リーダーライター32及びアンテナ33は、無線タグ22と同様に無線タグ23とも通信を行う。
【0050】
以下、第2実施形態に係る検体検査システム1bの動作を
図9などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図9は、読取装置30のプロセッサー311による処理のフローチャートである。プロセッサー311は、例えば、ROM312又は補助記憶デバイス314などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。
【0051】
第2実施形態では、プロセッサー311は、Act12~Act15において、無線タグ23についても、無線タグ22と同様に処理する。
【0052】
プロセッサー311は、Act14においてYesと判定したならば、Act21へと進む。
Act21においてプロセッサー311は、直前に読み込んだ無線タグが検体ラック20に取り付けられたものであるか否かを判定する。プロセッサー311は、読み込んだ無線タグが無線タグ22であるならば、Act21においてNoと判定してAct15へと進む。対して、プロセッサー311は、読み込んだ無線タグが無線タグ23であるならば、Act21においてYesと判定してAct22へと進む。
【0053】
Act22においてプロセッサー311は、検体ラック20の位置をRAM313などに記憶する。なお、プロセッサー311は、検体ラック20の位置を、例えば、搬送台13の移動距離に基づいて記憶する。
【0054】
Act23においてプロセッサー311は、搬送台13の移動速度を遅くする。すなわち、プロセッサー311は、低速コマンドを制御部11に送信するように接続インターフェース315に対して指示する。低速コマンドは、搬送台13の移動速度を遅くするように指示するコマンドである。この指示を受けて接続インターフェース315は、低速コマンドを搬送装置10に送信する。送信された当該低速コマンドは、搬送装置10の接続インターフェース115によって受信される。プロセッサー311は、Act23の処理の後、Act13へと戻る。
接続インターフェース115によって受信された当該低速コマンドは、例えば、プロセッサー111に入力される。プロセッサー111は、当該低速コマンドが入力されたことに応じ、駆動部114を制御して搬送台13の移動低速を遅くする。
【0055】
第2実施形態の検体検査システム1bは、第1実施形態の検体検査システム1と同様の効果が得られる。
また、第2実施形態の検体検査システム1bは、検体ラック20に取り付けられた無線タグ23がアンテナ32の前を通過したことに応じて、搬送台13の移動速度を遅くする。これにより、検体検査システム1bは、採血管21の位置特定の精度を向上することができる。
【0056】
上記の実施形態は以下のような変形も可能である。
第1実施形態及び第2実施形態では、検体ラック20が移動することで、アンテナ32の前を無線タグ22が通過する。しかしながら、検体ラック20側が固定でアンテナ32が動くものであっても良い。
【0057】
リーダーライターは、位相値を0度から180度以外の範囲で表すものであっても良い。例えば、リーダーライターは、位相値を0度から360度の範囲で表す。
【0058】
第1実施形態及び第2実施形態では、検体検査システム1を例に、採血管21の位置を特定する場合について説明した。しかしながら、実施形態の管理装置が位置を特定する対象は採血管21に限らない。例えば、実施形態の管理装置は、物流の管理又は仕分けなどに用いる装置であっても良い。当該装置は、上記の実施形態と同様にして搬送対象の物品の位置特定が可能である。また、当該物品は、専用の台に載せられて搬送されても良い。当該専用の台は、物品保持台の一例である。
【0059】
プロセッサー111及びプロセッサー311は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1……検体検査システム、10……搬送装置、11,31……制御部、12……搬送路、13……搬送台、20……検体ラック、21……採血管、22,23……無線タグ、30……読取装置、32……アンテナ、33……リーダーライター、100……特定部、111,311……プロセッサー、112,312……ROM、113,313……RAM、114……駆動部、115,315……接続インターフェース、116,316……バス、314……補助記憶デバイス