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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20221128BHJP
   G01R 1/06 20060101ALI20221128BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20221128BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20221128BHJP
【FI】
G01R31/28 K
G01R1/06 E
G01R31/52
G01R31/54
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018158243
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020034283
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】深見 美行
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-098163(JP,A)
【文献】特開平08-050163(JP,A)
【文献】特開2005-326193(JP,A)
【文献】特開2000-235057(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0114628(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
1/06-1/073、
31/50-31/74、
31/00-31/01、
31/24-31/25、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の可動プローブを有し、被検査基板上の複数の検査対象物のそれぞれに上記各可動プローブを接触させて、上記複数の検査対象物間の電気的特性を測定する検査装置において、
上記各可動プローブを支持して、上記各可動プローブを複数の軸方向に移動させて、上記検査対象物の位置に上記各可動プローブを位置決めし、上記各可動プローブを上記検査対象物に接触させる複数の可動部と、
上記各可動プローブを移動させる上記各可動部を駆動する駆動部と、
上記各可動プローブの次の接触先とする上記検査対象物のサイズ情報に応じて、上記各可動プローブを移動させる上記各可動部の動作速度を制御する駆動制御部と
を備え
上記駆動制御部は、
上記各可動プローブが接触している上記検査対象物のサイズ情報と、次の接触先とする上記検査対象物のサイズ情報との比較結果に応じて、上記各可動プローブの上記可動部の動作速度を可変する
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
上記駆動制御部は、
上記各可動プローブの次の接触先とする上記検査対象物のサイズ情報が比較的大きい場合には、当該可動プローブの上記可動部の動作速度を第1速度とし、
上記各可動プローブの次の接触先とする上記検査対象物のサイズ情報が比較的小さい場合には、当該可動プローブの上記可動部の動作速度を第1速度よりも小さい第2速度とする
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
上記被検査基板の上記各検査対象物の位置情報及び上記各検査対象物のサイズ情報を生成する検査データ生成部を備え、
上記駆動制御部が、上記検査データ生成部から取得した上記各検査対象物の位置情報及び上記各検査対象物のサイズ情報に基づいて、上記各可動プローブを移動させる上記各可動部の動作速度を制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
複数の可動プローブを有し、被検査基板上の複数の検査対象物のそれぞれに上記各可動プローブを接触させて、上記複数の検査対象物間の電気的特性を測定する検査方法において、
複数の可動部のそれぞれが、上記各可動プローブを支持して、上記各可動プローブを複数の軸方向に移動させて、上記検査対象物の位置に上記各可動プローブを位置決めし、上記各可動プローブを上記検査対象物に接触させ、
駆動部が、上記各可動プローブを移動させる上記各可動部を駆動し、
駆動制御部が、上記各可動プローブの次の接触先とする上記検査対象物のサイズ情報に応じて、上記各可動プローブを移動させる上記各可動部の動作速度を制御し、
上記駆動制御部は、
上記各可動プローブが接触している上記検査対象物のサイズ情報と、次の接触先とする上記検査対象物のサイズ情報との比較結果に応じて、上記各可動プローブの上記可動部の動作速度を可変する
ことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査方法に関し、例えば、プリント基板に形成された各配線の導通検査や絶縁検査を行なう検査装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の各配線の導通検査や絶縁検査等には、可動式プローブを用いた可動式コンタクト検査装置が用いられる。このような可動式コンタクト検査装置の例としてフライングプローバがある(特許文献1参照)。
【0003】
例えば、フライングプローバの載置台(ワークテーブル)に被検査基板をのせ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動する可動式の複数のプローブのそれぞれが適宜移動して、可動式の各プローブが被検査基板上の各測定点(電極端子)に順次接触し、電気的特性が測定される。そのためには、例えば被検査基板の設計データに基づいて検査に必要な各種検査データを生成している。このような検査データの1つとして、被検査基板上の各測定点(電極端子)の位置情報が含まれており、可動軸駆動部が、各測定点の位置情報に基づいて、各プローブを位置決めしている可動軸(可動部)を駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-270973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の可動式コンタクト検査装置は、各可動式のプローブを移動させる可動軸の動作速度が一定であるため、被検査基板上の測定点の数が増加することに比例して検査時間も増加してしまうと課題がある。
【0006】
その一方で、各プローブを移動させる可動軸の動作速度が速くなると、プローブの位置決め精度が難しくなる。特に、微細な電極端子に対してプローブを接触させるときに、各プローブの位置決め精度が低下してしまう。
【0007】
そのため、プローブの接触先である電極端子のサイズ情報を考慮して、可動軸駆動部の動作速度を可変させて、検査時間を短縮することができる検査装置及び検査方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、第1の本発明に係る検査装置は、複数の可動プローブを有し、被検査基板上の複数の検査対象物のそれぞれに各可動プローブを接触させて、複数の検査対象物間の電気的特性を測定する検査装置において、(1)各可動プローブを支持して、各可動プローブを複数の軸方向に移動させて、検査対象物の位置に各可動プローブを位置決めし、各可動プローブを検査対象物に接触させる複数の可動部と、(2)各可動プローブを移動させる各可動部を駆動する可動駆動部と、(3)各可動プローブの次の接触先とする検査対象物のサイズ情報に応じて、各可動プローブを移動させる各可動部の動作速度を制御する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、各可動プローブが接触している検査対象物のサイズ情報と、次の接触先とする検査対象物のサイズ情報との比較結果に応じて、各可動プローブの可動部の動作速度を可変することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明に係る検査方法は、複数の可動プローブを有し、被検査基板上の複数の検査対象物のそれぞれに上記各可動プローブを接触させて、複数の検査対象物間の電気的特性を測定する検査方法において、(1)複数の可動部のそれぞれが、各可動プローブを支持して、各可動プローブを複数の軸方向に移動させて、検査対象物の位置に各可動プローブを位置決めし、各可動プローブを上記検査対象物に接触させ、(2)可動駆動部が、各可動プローブを移動させる各可動部を駆動し、(3)駆動制御部が、各可動プローブの次の接触先とする検査対象物のサイズ情報に応じて、各可動プローブを移動させる各可動部の動作速度を制御し、駆動制御部は、各可動プローブが接触している検査対象物のサイズ情報と、次の接触先とする検査対象物のサイズ情報との比較結果に応じて、各可動プローブの可動部の動作速度を可変することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プローブの接触先である電極端子のサイズ情報を考慮して、可動軸駆動部の動作速度を可変させて、検査時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る検査装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る検査装置における可動軸制御処理を示すフローチャートである。
図3】実施形態に係る可動軸の動作速度、加速度の制御方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る検査装置及び検査方法の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
この実施形態は、検査装置(可動式コンタクト検査装置)の一例としてフライングプローバに本発明を適用する場合を例示する。
【0014】
(A-1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係る検査装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、実施形態に係る検査装置1は、検査データ生成部11、駆動制御部12、可動軸駆動部13、左可動軸14L、左プローブ15L、右可動軸14R、右プローブ15R、測定部16、表示部17、操作部10を有する。
【0016】
操作部10は、例えば、キーボード、マウス、操作ボタン等であり、検査装置1を操作する操作者が扱うものである。表示部17は、測定部16によって測定された測定結果を表示するものである。
【0017】
検査データ生成部11は、駆動制御部12に対して、被検査基板上の各測定点(電極端子)の位置情報や、各電極端子のサイズ情報等を生成する装置である。なお、検査データ生成部11のハードウェア構成は図示しないが、汎用コンピュータや専用装置等を適用することができる。
【0018】
検査データ生成部11は、被検査基板の設計データを入力し、その設計データに基づいて、被検査基板の導通検査・絶縁検査に必要な検査データを生成する。検査データには、様々なデータが含まれる。例えば、被検査基板の設計データに基づいて測定点とする電極端子の数、各電極端子の位置情報(X-Y座標値)、各電極端子の形状、各電極端子のサイズ情報等がある。そして、検査データ生成部11は、生成した検査データを駆動制御部12に与える。
【0019】
なお、検査データ生成部11は、機能的には、入力部111、端子位置情報生成部112、端子サイズ情報生成部113を有する。
【0020】
入力部111は、被検査基板の設計データを入力するものである。設計データの入力方法は、様々な方法を広く適用することができる。例えば、操作部10を通じて設計データが入力されるようにしてもよいし、設計データを記憶している記憶媒体が検査データ生成部11に差し込まれる(接続される)ことにより設計データが入力されるようにしてもよい。いずれにしても、検査装置1が検査する被検査基板の設計データが検査データ生成部11に入力される。
【0021】
端子位置情報生成部112は、入力された被検査基板の設計データに基づいて、測定点としての各電極端子の位置情報(X-Y座標値)を生成する。
【0022】
端子サイズ情報生成部113は、入力された被検査基板の設計データに基づいて、各電極端子の形状、サイズに関する情報を生成する。
【0023】
駆動制御部12は、検査データ生成部11からの検査データに基づいて、可動軸駆動部13を制御するものである。駆動制御部12は、機能的には、位置・速度・加速度制御部121を有している。
【0024】
位置・速度・加速度制御部121は、検査データに含まれている電極端子Tの位置情報(X-Y座標値)に基づいて、各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)を電極端子Tの表面に接触させるため、各プローブを支持している可動軸14L及び14Rを駆動する可動軸駆動部13を制御する。各プローブが順次接触していく電極端子T(測定点)の順番は決められており、電極端子Tの位置情報(X-Y座標値)に基づいて、位置・速度・加速度制御部121が、可動軸駆動部13に対して、各プローブを移動させる位置を指示することにより、各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)がX方向及びY方向に移動し、その後、各プローブがZ軸方向に移動することで、各プローブが電極端子Tに接触する。
【0025】
また、位置・速度・加速度制御部121は、検査データに含まれている電極端子Tの位置情報及び電極端子のサイズ情報に基づいて、可動軸駆動部13の動作速度、加速度を制御する。これにより、従来、可動軸駆動部13の動作速度は一定であったが、この実施形態によれば、可動軸駆動部13の動作速度を可変にすることができる。
【0026】
例えば、可動式の各プローブが次にコンタクトする先の電極端子Tのサイズが比較的大きい場合には、可動軸駆動部13の動作速度、加速度を大きくする(速度、加速度を速くする)。これに伴い、可動式の各プローブが次のコンタクト先の電極端子Tの位置まで比較的速い速度で移動する。逆に、可動式の各プローブが次にコンタクトする先の電極端子Tのサイズが比較的小さい場合には、可動軸駆動部13の動作速度、加速度を小さくする(若しくは、従来の可動軸駆動部13の動作速度、加速度と同程度としてもよい。)。これに伴い、可動式の各プローブが次のコンタクト先の電極端子Tの位置まで比較的遅い速度(若しくは従来と同程度の速度)で移動する。このように、可動軸駆動部13の動作速度、加速度を、電極端子Tのサイズ(大きさ)に応じて可変にした理由は、可動式の各プローブの位置決め精度を維持するためである。電極端子Tのサイズは様々であり、例えば数百μm程度のものあれば、10μm程度のものもある。可動式の各プローブをサイズの大きい電極端子Tに接触させる場合に、可動式の各プローブの移動速度をある程度速くしたときでも、接触対象とする電極端子Tのサイズが大きいため、各プローブの位置決め精度を維持させることができる。しかし、その一方で、可動式の各プローブの移動速度、加速度を速くしたままで、サイズの小さい電極端子Tに接触させる場合に、接触対象の電極端子Tのサイズが小さいため、各プローブの位置決め精度が低下してしまうことが考えられる。そこで、この実施形態では、可動式の各プローブが、次に接触しようとする電極端子Tのサイズ情報に応じて、位置・速度・加速度制御部121が、可動軸駆動部13の動作速度、加速度を制御するようにする。これにより、従来は一定の動作速度で可動軸駆動部13が可動軸14L及び14Rを駆動していたが、可動式の各プローブの次の電極端子Tのサイズに応じて、可動軸駆動部13の動作速度を可変にすることができる。その結果、可動式の各プローブの位置決め精度を維持したままで、検査速度の高速化、検査時間の低減を図ることができる。
【0027】
左可動軸14Lは、左プローブ15Lを支持して、左プローブ15Lを位置決めする軸機構可動部である。右可動軸14Rは、右プローブ15Rを支持して、右プローブ15Rを位置決めする軸機構可動部である。
【0028】
左可動軸14L及び右可動軸14Rは、X軸方向駆動機構、Y軸方向駆動機構、Z軸方向駆動機構を備えて構成されており、可動軸駆動部13から駆動力を受けて、左プローブ15L及び右プローブ15Rを、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる。
【0029】
可動軸駆動部13は、X軸方向駆動機構、Y軸方向駆動機構、Z軸方向駆動機構を備える左可動軸14L及び右可動軸14Rを駆動するものである。可動軸駆動部13は、例えばサーボモータ等を有して構成される。可動軸駆動部13は、左可動軸14Lと右可動軸14Rとをそれぞれ別々に駆動する構成となっており、さらに可動軸駆動部13は、左可動軸14と右可動軸14RのそれぞれのX軸方向駆動機構、Y軸方向駆動機構、Z軸方向駆動機構も別々に駆動する構成となっている。つまり、可動軸駆動部13は、左可動軸14Lと右可動軸14Rをそれぞれ独立に、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に駆動する構成である。
【0030】
測定部16は、測定点の電極端子Tに接触している左プローブ15L及び右プローブ15Rに検査信号を流して各配線の電気的特性を測定するものである。測定部16による測定結果は表示部17に表示される。
【0031】
(A-2)実施形態の動作
次に、この実施形態に係る検査装置1における可動軸の制御方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図2は、実施形態に係る検査装置1における可動軸制御処理を示すフローチャートである。
【0033】
まず、被検査基板の設計データが検査データ生成部11に入力されると(S101)、検査データ生成部11では、被検査基板の設計データに基づいて、被検査基板の検査に必要な検査データが生成される。この実施形態では、端子位置情報生成部112が、被検査基板の設計データに基づいて、被検査基板上の各電極端子Tの位置情報(X-Y座標値)を作成し(S102)、端子サイズ情報生成部113が、上記設計データに基づいて、各電極端子Tのサイズ情報を作成する(S103)。
【0034】
検査データ生成部11において作成された、各電極端子Tの位置情報(X-Y座標値)及びサイズ情報を含む検査データは、駆動制御部12に与えられる(S104)。
【0035】
そして、駆動制御部12では、位置・速度・加速度制御部121が、可動式の各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)の次のコンタクト先の電極端子Tの位置情報及びサイズ情報に基づいて、可動軸14l及び14Rの動作速度、加速度を制御する(S105)。なお、位置・速度・加速度制御部121による可動軸14L及び14Rの速度、加速度の制御方法は、特に限定されるものではないが、例えば、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を大きくするときには、位置・速度・加速度制御部121は、可動軸駆動部13に対して高い電流値を出力し、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を小さくするときには、位置・速度・加速度制御部121は、可動軸駆動部13に対して低い電流値を出力するなどのように、制御しようとする可動軸駆動部13の動作速度、加速度に応じた電流値を設定して出力するようにしてもよい。
【0036】
可動軸駆動部13は、位置・速度・加速度制御部121の制御を受けて、可動軸14L及び14Rを駆動して、可動式の各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)の次のコンタクト先である電極端子Tの位置まで、各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)をX方向及びY方向に移動させ、当該電極端子Tの位置(X-Y座標値)で、各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)をZ方向に移動させる。これにより、各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)が当該電極端子Tに接触し(S106)、測定部16が、各プローブ(左プローブ15L及び右プローブ15R)に検査信号を出力して測定する(S107)。
【0037】
図3(A)~図3(C)は、実施形態に係る可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度の制御方法を説明する説明図である。
【0038】
図3(A)では、可動式のプローブ15が、現在、電極端子T1の位置にあり、電極端子T1と接触している状態から、次の電極端子T2の位置に移動させる場合を例示する。可動式のプローブ15は、基本的には、電極端子T1の中心から電極端子T2の中心に移動させる。電極端子T1の中心と電極端子T2の中心の2点を通る直線上で、電極端子T1の長さがd1であり、電極端子T2の長さがd2(d1>d2)であるとする。
【0039】
このとき、位置・速度・加速度制御部121は、可動式のプローブ15の現在の電極端子T1の長さd1と、次のコンタクト先の電極端子T2の長さd2とを比較する。そして、次の電極端子T2の長さd2が現在の電極端子T1の長さd1より小さい場合、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を遅くするように制御する。
【0040】
一方、図3(B)に示すように、可動式のプローブ15の次のコンタクト先の電極端子T1の長さd1が現在の電極端子T2の長さd2以上の場合、位置・速度・加速度制御部121は、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を速くするように制御する。
【0041】
また、図3(C)に示すように、可動式のプローブ15が現在接触している電極端子T3の位置(中心位置)と、次の電極端子T4の位置(中心位置)とを結ぶ直線に傾きがある場合でも、上記直線上における電極端子T4の長さd4としてもよい。
【0042】
これは、可動式のプローブ15が傾きのある直線(図3(C)の点線)に沿って移動する場合、当該プローブ15が、次のコンタクト先の電極端子T4と接触することができる範囲(長さ)を判断して、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を決定するためである。言い換えると、可動式のプローブ15が、次の電極端子Tと接触することができる範囲(長さ)が大きい場合には、プローブ15の接触範囲が広いので、当該プローブ15の動作速度、加速度を速くする。一方、小さい場合には、プローブ15の接触範囲が狭いので、プローブの位置合わせが難しくなるので、当該プローブ15の動作速度、加速度を小さくするようにしている。なお、現在の電極端子の位置情報と、次の電極端子の位置情報とを用いることにより、上記直線の傾きを求めることができる。
【0043】
図3(A)、図3(B)で示した通り、各電極端子Tのサイズ情報をそのまま用いて、可動式のプローブの次の電極端子Tのサイズを判断するようにしてもよいし、図3(C)に示した通り、各電極端子Tのサイズ情報に加えて、各電極端子Tの位置情報も利用して、可動式のプローブの次の電極端子Tのサイズを判断するようにしてもよい。
【0044】
さらに、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度の決定方法は、例えば、次のコンタクト先の電極端子Tの長さに比例して動作速度、加速度を導出する関数式を予め設定しておき、次の電極端子Tの長さを用いて、上記関数式に従って、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を求めるようにしてもよい。
【0045】
また、別の方法としては、次の電極端子Tの長さに関して、複数の閾値を用いて電極端子Tの長さを区分し、上記閾値で区分される範囲に応じて、予め設定した動作速度、加速度を決定するようにしてもよい。可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度の決定方法は、上記の例に限定されるものではなく、種々の方法を広く適用することができる。
【0046】
なお、図3(A)~図3(C)を用いた可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度の制御方法の説明では、現在の電極端子の長さと次の電極端子の長さとを比較する場合を例示した。しかし、現在の電極端子の長さと次の電極端子の長さとを比較せず、次の電極端子の長さを用いて、可動軸14L及び14Rの動作速度、加速度を求めるようにしてもよい。
【0047】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、少なくとも、電極端子の位置情報及びサイズ情報を用いて、可動式のプローブの次の接触先とする電極端子のサイズ情報に応じて、可動軸駆動部の動作速度、加速度を可変させることができる。その結果、被検査基板の導通検査、絶縁検査に係る検査時間を短縮することができる。
【0048】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を例示したが、本発明は、以下の変形実施形態も適用することができる。
【0049】
(B-1)上述した実施形態によれば、電極端子間を移動する可動式プローブの移動速度が可変することになる。従って、可動式プローブが順次接触していく電極端子の接触順序(プローブの移動ルート)を調整して、結果的に検査時間を短縮するようにしてもよい。
【0050】
(B-2)上述した実施形態では、検査装置が、2本の左プローブ及び右プローブを有する場合を例示したが、プローブ数は特に限定されるものでない。
【0051】
(B-3)また、各プローブを支持して各プローブを移動させる可動軸がX-Y-Zの3軸可動である場合を例示したが、可動軸の数はこれに限定されるものではない。
【0052】
(B-4)さらに、検査装置が、被検査基板の上面(第1面)と下面(第2面)に存在する電極端子と接触可能な可動式の複数のプローブを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…検査装置、11…検査データ生成部、12…駆動制御部、13…可動軸駆動部、14L…左可動軸、14R…右可動軸、15L…左プローブ、15R…右プローブ、16…測定部、17…表示部、10…操作部、111…入力部、112…端子位置情報生成部、113…端子サイズ情報生成部、121…位置・速度・加速度制御部、T(T1~T4)…電極端子。
図1
図2
図3