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特許7182953情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221128BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221128BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221128BHJP
【FI】
H04N5/232 290
H04N7/18 D
H04N7/18 E
H04N5/232 380
G03B15/00 S
G03B15/00 W
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018160283
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2019115031
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2017248013
(32)【優先日】2017-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】小暮 憲太朗
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-311860(JP,A)
【文献】特開2012-089954(JP,A)
【文献】特開2016-025516(JP,A)
【文献】特開平11-261868(JP,A)
【文献】特開2011-139376(JP,A)
【文献】特開2014-36323(JP,A)
【文献】特開2016-39539(JP,A)
【文献】特開2017-168882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 7/18
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚眼レンズを用いて撮像された撮像画像である全方位画像から得られる注目領域の数及び位置に基づいて、前記全方位画像から得られる部分画像を出力するためのパターンを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定されたパターンに基づいて、前記全方位画像から前記注目領域を含む部分画像を切り取る切り取り手段と、
前記切り取り手段により切り取られた部分画像に対して歪補正処理を行う補正手段と、
前記設定手段によって設定されたパターンに従って、前記補正手段により歪補正処理された部分画像を出力する出力手段と、
を有し、
前記設定手段は、さらに、前記魚眼レンズを有する撮像部の撮像方向に基づいて、前記パターンを設定し、前記撮像方向が水平方向である場合は、1つの部分画像を切り取り、前記撮像方向が垂直方向である場合には、2つの部分画像を切り取るパターンを設定する情報処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記全方位画像から得られる注目領域が2箇所の場合、前記2箇所の注目領域の位置が近接していれば前記2箇所の注目領域を含む1つの部分画像を切り取り、近接していなければそれぞれ1つの注目領域を含む2つの部分画像を切り取るパターンを設定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、撮像装置である請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、撮像装置と通信可能なクライアント装置である請求項1乃至何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
魚眼レンズを用いて撮像された撮像画像である全方位画像から得られる注目領域の数及び位置に基づいて、前記全方位画像から得られる部分画像を出力するためのパターンを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定されたパターンに基づいて、前記全方位画像から前記注目領域を含む部分の画像を切り取る切り取り手段と、
前記切り取り手段により切り取られた部分画像に対して歪補正処理を行う補正手段と、
前記設定手段によって設定されたパターンに従って、前記補正手段により歪補正処理された画像を出力する出力手段と、
を有し、
前記設定手段は、さらに、前記魚眼レンズを有する撮像部の撮像方向に基づいて、前記パターンを設定し、前記撮像方向が水平方向である場合は、1つの部分画像を切り取り、前記撮像方向が垂直方向である場合には、2つの部分画像を切り取るパターンを設定するシステム。
【請求項6】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
魚眼レンズを用いて撮像された撮像画像である全方位画像から得られる注目領域の数及び位置に基づいて、前記全方位画像から得られる部分画像を出力するためのパターンを設定する設定工程と、
前記設定工程により設定されたパターンに基づいて、前記全方位画像から前記注目領域を含む部分画像を切り取る切り取り工程と、
前記切り取り工程により切り取られた部分画像に対して歪補正処理を行う補正工程と、
前記設定工程によって設定されたパターンに従って、前記補正工程により歪補正処理された部分画像を出力する出力工程と、
を含み、
前記設定工程は、さらに、前記魚眼レンズを有する撮像部の撮像方向に基づいて、前記パターンを設定し、前記撮像方向が水平方向である場合は、1つの部分画像を切り取り、前記撮像方向が垂直方向である場合には、2つの部分画像を切り取るパターンを設定する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至何れか1項記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラの種別の1つとして魚眼レンズを搭載した魚眼カメラが浸透してきている。1台で360°監視することができるので、台数・コストの削減につながる。また、魚眼カメラから得られる全方位画像をそのまま出力するだけではなく、複数種類の切り取り処理及び歪補正処理を行った画像や映像を出力可能なカメラがある。このようなカメラでは人体検知や動体検知といった各種Video Content Analysis等を使用する際も切り取り処理及び歪み補正処理後の画像を用いることも多い。更に、このようなカメラでは複数種類の切り取り処理及び歪み補正処理を行った複数の映像を出力して撮像環境や設置環境に応じた監視ができる。
しかしながら、ユーザーが監視している撮像シーンに対して適切な切り取り処理あるいは歪補正方式を、ユーザーインターフェースを介して設定する必要がある。また、一度設定した切り取り処理及び歪曲補正方式を用いていると撮像シーンの変化に対応できない。
例えば、特許文献1では、複数の画像の特徴量を検出し、指定された各画像の連続表示時間ごとに表示装置に切り替える方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-222917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、魚眼カメラから得られる撮像画像の表示に関して、撮像シーン等に適した表示がより一層求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理装置は、魚眼レンズを用いて撮像された撮像画像である全方位画像から得られる注目領域の数及び位置に基づいて、前記全方位画像から得られる部分画像を出力するためのパターンを設定する設定手段と、前記設定手段により設定されたパターンに基づいて、前記全方位画像から前記注目領域を含む部分画像を切り取る切り取り手段と、前記切り取り手段により切り取られた部分画像に対して歪補正処理を行う補正手段と、前記設定手段によって設定されたパターンに従って、前記補正手段により歪補正処理された部分画像を出力する出力手段と、を有し、前記設定手段は、さらに、前記魚眼レンズを有する撮像部の撮像方向に基づいて、前記パターンを設定し、前記撮像方向が水平方向である場合は、1つの部分画像を切り取り、前記撮像方向が垂直方向である場合には、2つの部分画像を切り取るパターンを設定する
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮像シーン等に適した、画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】カメラのハードウェア構成の一例を示す図である。
図2】撮像部の一例を示す図である。
図3】カメラのソフトウェア構成の一例を示す図である。
図4】撮像画像の一例を示す図である。
図5】出力部により出力される画像の一例を示す図である。
図6】撮像画像の一例を示す図である。
図7】出力部により出力される画像の一例を示す図である。
図8】カメラの情報処理の一例を示すフローチャートである。
図9】カメラの情報処理の一例を示すフローチャートである。
図10】パターン1の一例を示す図である。
図11】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図12】パターン2の一例を示す図である。
図13】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図14】パターン3の一例を示す図である。
図15】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図16】出力部により出力される画像の一例を示す図である。
図17】撮像システムを構成する装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図18】撮像システムを構成する装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図19】クライアント装置の情報処理の一例を示すフローチャートである。
図20】撮像画像の一例を示す図である。
図21】パターン2以外のパターンの一例を示す図である。
図22】クライアント装置の情報処理の一例を示すフローチャートである。
図23】パターン3の一例を示す図である。
図24】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図25】パターン2の一例を示す図である。
図26】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図27】パターン3の一例を示す図である。
図28】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図29】パターン3の一例を示す図である。
図30】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図31】パターン3の一例を示す図である。
図32】パターン3の一例を示す図である。
図33】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
図34】パターン1の一例を示す図である。
図35】歪補正処理が行われた画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下では、撮像装置としてカメラを用いる場合について説明する。
【0009】
<実施形態1>
図1は、カメラ10のハードウェア構成の一例を示す図である。カメラ10は魚眼カメラである。カメラ10は、ハードウェア構成として、撮像部11と、CPU12と、メモリ13と、入力部14と、表示部15と、通信部16と、を含む。撮像部11は、被写体像を撮像する。撮像部11の詳細は後述する図2に示す。CPU12は、カメラ10の全体を制御する。メモリ13は、プログラム、撮像部11で撮像された画像、設定値等を記憶する。入力部14は、ユーザーの選択操作等を入力し、CPU12に渡す。表示部15は、CPU12の制御に基づき画面等を表示する。通信部16は、カメラ10をネットワークに接続し、他の装置との通信等を制御する。CPU12がメモリ13に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって後述する図3に示すカメラ10のソフトウェア構成、及び後述する図8のフローチャートの処理が実現される。カメラ10は、情報処理装置の一例である。カメラ10からネットワークを介して取得した全方位画像を蓄積する録画サーバ、又は全方位画像を表示させるための端末装置に対しても以下の実施形態を適用することが可能である。
【0010】
図2は、撮像部11の一例を示す図である。撮像部11は、数枚のレンズ群からなるレンズ201、CCDやCMOS等の撮像素子202を備える。また、撮像部11は、雑音軽減を行う相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)回路203を備える。また、撮像部11は、カメラの利得制御を自動で行うゲインコントロールアンプ回路(Automatic Gain Control:AGC)204を備える。また、撮像部11は、アナログ信号をデジタル信号へと変換を行うA/D変換205を備える。
【0011】
図3は、カメラ10のソフトウェア構成の一例を示す図である。撮像制御部101は、撮像部11を制御し、撮像部11からの信号を画像生成部102に渡す。画像生成部102は、受け取った信号に基づき撮像画像を生成する。判定部103は、撮像画像から撮像シーンを判定する。パターン設定部104は、撮像画像から部分画像を切り取り、更に歪み補正した画像を出力画像上に配置するパターンを設定する。切り取り位置設定部105は、設定されたパターンに従って撮像画像の切り取り位置を設定する。切り取り部106は、切り取り位置設定部105で設定された切り取り位置で画像を切り取る。歪補正処理部107は、切り取り部106により切り取られた画像に対応する歪補正を行い、パターン設定部104において設定されたパターンに基づいて切り取られた画像を出力画像として配置する処理を行う。出力部108は、歪補正処理部107で歪補正された画像信号を出力する。
【0012】
上述した各構成要素の動作について詳しく説明を行う。
まず、撮像装置について、図2及び図3を用いて詳しく説明を行う。撮像素子202は、撮像光学系としてのレンズ201を介して結像された被写体像を電気信号に変換する。レンズ201は歪みが多く画角が広い広角レンズや魚眼レンズでもよい。本実施形態では、撮像装置として魚眼レンズが備えられる魚眼カメラの場合に関して説明する。CDS回路203は、撮像素子202から出力された電気信号に対して相関二重サンプリング処理等を実施する。AGCアンプ204は、CDS回路203から出力された電気信号に対して増幅処理等を行う。A/D変換205は、AGCアンプ204により増幅処理されたアナログ信号をデジタル信号へと変換する。撮像制御部101は、撮像部11から得られた輝度信号及び色信号を画像生成部102に渡す。画像生成部102は、得られた輝度信号及び色信号からRGB画像やYUV画像等の画像信号を生成する。判定部103は、画像生成部102で生成された画像から注目領域の数、及び注目領域の位置を判定する。パターン設定部104は、判定部103で判定された画像内の注目領域の数及び位置(あるいは分布)に基づいてパターンを設定する。切り取り位置設定部105は、パターン設定部104において設定されたパターンに対応して、判定部103で判定された画像内の注目領域が切り取られる位置を設定する。このとき、1つの注目領域が分断されないような切り取り位置が設定される。切り取り部106は、切り取り位置設定部105で設定された切り取り位置を用いて画像生成部102で生成された画像から一部の画像を切り取る。歪補正処理部107は、切り取り部106で切り取られた画像に対して、種々の幾何学的変換等の歪補正処理を行う。そして、歪補正処理部107は、パターン設定部104で設定されたパターンに基づいて、歪み補正された画像を出力画像として配置する処理を実行する。
【0013】
ここで、図4図7を用いて切り取り部106で切り取り処理された画像及び歪補正処理部107で歪補正処理された画像に関して説明する。図4の全方位画像30は、屋内の天井に設置された魚眼レンズを備えた魚眼カメラで、床に対して垂直な方向を撮像して得られた画像の例である。切り取り部106は、図4の全方位画像30の破線で区切られた領域300の部分を除外して、同じく破線で区切られた領域301、領域302をそれぞれ切り取る。そして歪補正処理部107が歪補正処理を行い、領域302を上下反転させて繋げた出力画像の例を図5に示している。図4は、領域300を無効領域とみなして出力画像とせず、注目領域が含まれる領域301及び領域302を有効領域とみなして出力画像とする例である。更に、他の例として、図6に示すように、切り取り部106が注目領域である領域400~402を部分的に切り取り、歪補正処理部107が歪補正処理を行う例が考えられる。図7の領域400~402には、図6に示す切り取り領域400~402の画像を歪み補正処理して出力された画像が配置されている。図6の例では、図6の領域400~402を有効領域とみなして出力画像として用いられ、それ以外を無効領域とみなして出力画像としては用いられていない。なお、出力部108が3つの部分画像を合成して1つの画像として出力してもよいし、これら3つの部分画像を複数のストリームとして出力してもよい。4つ以上の場合も同様に、例えば出力部108が出力する画像の大きさに合わせて拡大縮小した後に各切り出し画像を合成して出力してもよいし、複数ストリームとして出力してもよい。出力部108は、歪補正処理部107で歪補正処理された画像信号を出力する。画像信号の出力先としてはカメラ10に内蔵されているディスプレイでもよいし、通信部16を介してネットワークに接続されている外部の端末装置でもよい。
【0014】
図8のフローチャートを用いて、カメラ10が撮像画像の注目領域の条件に応じて画像を出力するためのパターン及び切り取り位置を設定する際の例を説明する。S101において、判定部103は、画像生成部102で生成された画像を取得する。この画像は歪み補正処理前の全方位画像である。次に、S102において、判定部103は、取得した歪み補正処理前の全方位画像から注目領域を抽出する。次に、S103において、判定部103は、注目領域が1箇所以上あるか否かを判定する。判定部103は、画像内の顔や人物の分布を算出し、画像内の顔や人物の数が設定された数より多い領域を注目領域として判定してもよいし、密集度が設定された値より高い領域を注目領域として判定してもよい。また、判定部103は、画像は一枚の画像から顔や人物の滞留度数や動線密度を算出してもよいし、複数枚の画像から顔や人物の滞留度数や動線密度を算出してもよい。なお、パターンマッチングを用いて顔あるいは人物を検出する場合、一旦歪み補正を行った画像に対して顔あるいは人物を検出する必要がある。また、判定部103は、解析を単純化して、所定サイズ以上の前景領域の数をカウントしてもよい。本実施形態では、判定部103は、歪み補正処理前の全方位画像内の周辺領域に対して、所定の大きさを有する領域内に人物が所定数(例えば3人)以上いる領域を注目領域と判定する。一方、判定部103は、歪み補正処理前の全方位画像内の中心領域に対して、当該設定された大きさを有する領域内に人物が1人以上存在する領域を注目領域とする。これは、歪み補正処理前の画像では、周辺部より中心部に存在する人物がより大きく撮影されるためである。前述の領域の設定された大きさは、予め全体画像に対して占める割合として決められメモリ13に記憶されていてもよいし、入力部14等を介したユーザー操作に応じて、メモリ13等に記憶されていてもよい。判定部103は、注目領域が画像上に存在しない場合(S103でNo)は、S104に遷移し、注目領域が1箇所以上画像上に存在する場合(S103でYes)は、S105に遷移する。S104において、パターン設定部104は、予めユーザーによって設定されたパターンを設定する。また、切り取り位置設定部105は、当該パターンに対応する切り取り位置を設定する。ここで、予めユーザーによって設定されたパターンは、パターン1、パターン2、パターン3の内、何れか1つでもよいし、切り取り前の全方位画像であってもよい。本実施形態では、予めユーザーによって設定されたパターンとして、画像全体が俯瞰できる切り取り前の全方位画像とし、この全方位画像が出力されるものとする。S105において、判定部103は、注目領域が2箇所以上あるか否かを判定する。判定部103は、注目領域が2箇所以上存在しない場合(S105でNo)は、S106に遷移し、注目領域が2箇所以上存在する場合(S105でYes)は、S107に遷移する。
【0015】
S106において、パターン設定部104は、1箇所の注目領域に対応するため、分割画像を出力せずに1つの画像として出力するパターン1を設定する。また、切り取り位置設定部105は、設定されたパターン1に対応するように、1つの注目領域が含まれるような切り取り位置を設定する。S107において、判定部103は、注目領域が3箇所以上あるか否かを判定する。判定部103は、注目領域が3箇所以上存在しない場合(S107でNo)は、S108に遷移し、注目領域が3箇所以上存在する場合(S107でYes)は、S109に遷移する。S108において、パターン設定部104は、2箇所の注目領域に対応させるため、2画面分割画像(ダブルパノラマ)を生成し、出力するためのパターン2を設定する。また、切り取り位置設定部105は、設定されたパターン2に対応するように、検出された注目領域のそれぞれが分断されないような切り取り位置を設定する。S109において、パターン設定部104は、3箇所以上の注目領域に対応させるため、4画面分割画像を生成し、出力するためのパターン3を設定する。また、切り取り位置設定部105は、設定されたパターンに対応するように、注目領域を切り取る。
【0016】
図9のフローチャートを用いて、カメラ10が設定されたパターン及び切り取り位置に基づいて画像を切り取り、歪補正を行い、出力する例を説明する。S150において、切り取り部106は、パターン設定部104で設定されたパターン及び切り取り位置設定部105で設定された位置に基づいて、撮像画像より注目領域を切り取る。切り取り部106は、S106で設定されたパターン1及び切り取り位置の例では図10の全体画像から1箇所の破線で囲まれた左上に位置する注目領域501を切り取る。また、切り取り部106は、S108で設定されたパターン2及び切り取り位置の例では図12の全体画像から2箇所の破線で囲まれた真ん中の無効領域を除く、半円で表される領域601及び602から部分画像を切り取る。すなわち、切り取られた2枚の画像のそれぞれ1つずつ注目領域が含まれるように切り取り位置を設定する。また、切り取り部106は、S109で設定されたパターン3及び切り取り位置の例では図14の全体画像から3箇所の破線で囲まれた注目領域701、702、703を切り取る。S151において、歪補正処理部107は、S150で切り取られた画像に対して歪補正処理を実行する。例えば、歪補正処理部107は、パターンがパターン1、又はパターン3であった場合は、パターンに応じた歪み補正処理を実行する。また、例えば、歪補正処理部107は、設定されたパターンがパターン2であった場合は、パターン及び切り取り位置に応じた歪み補正処理を実行する。ここで、歪み補正処理とは、例えば、画像の拡大縮小や幾何学的変換等の処理である。S152において、出力部108は、S151で歪補正処理された画像を出力する。図11は、S106の設定に従って図10の注目領域501の画像が切り取られ、歪補正処理され、後述の図17に示すクライアント装置20へ出力された一例を示す図である。また、図13は、S106の設定に従って図12の領域601及び602が切り取られ、歪補正処理され、出力された一例を示す図である。図13に示すように、パターン2ではダブルパノラマと呼ばれる2画面分割画像が出力されることになる。また、図15は、S109の設定に従って図14の注目領域701、702、703が切り取られ、歪補正処理され、出力された一例を示す図である。すなわち、パターン3では、4画面分割画像が出力されることになる。なお、パターン3が選択された場合であって、注目領域が3つしか存在しない場合、空き領域が生じる。この場合、出力部108は、図16の画像のように切り取り画像701、702、703を並べ替え、空いている領域に対して図16の801のように撮像画像である全方位画像を縮小して出力してもよい。この全方位画像は注目領域が五か所以上存在する場合に有効である。なお、図8に示すフローチャートでは、注目領域が3箇所以上存在する場合、パターン3が選択される。注目領域が5箇所以上存在する場合、1つずつ注目領域を分割画像に割り当てた場合、出力できない注目領域が生じることになる。本実施の形態では、注目領域が5箇所以上存在する場合、隣接する注目領域同士をグループ化して4グループ作成すればよい。また、注目領域が5箇所以上存在する場合、あるいは注目領域がオーバーラップして最適な切り取り位置が設定できない場合、部分画像を出力することなく、全体が俯瞰可能なように歪み補正前の全方位画像を出力してもよい。
【0017】
本実施形態の各パターンはそれぞれ切り取り時の例である。切り取り数及び切り取り位置の異なる他のパターンでもよい。また、各々のパターンの変更タイミングは、判定部103の判定結果に対して即時に反映してもよいし、予め決められた一定間隔でもよいし、ユーザーが任意に変更してもよい。切り取られた画像に対して歪補正処理部107で歪補正処理が行われ、出力部108で画像が出力される。
【0018】
以上説明したように、本実施形態の処理によれば、注目領域(注目被写体)が画像切り取りにより見切れることを防止することができる。また、ユーザーが設定することなく撮像シーン等に応じた適切な切り取り処理及び歪補正処理を行った画像を出力することができる。よって、撮像シーン等に応じて画像のパターン及び歪補正処理を適切に変更しているので監視に好適な画像を提供することができる。
【0019】
<実施形態2>
図17は、撮像システムを構成する装置のハードウェア構成の一例を示す図である。撮像システムでは、カメラ10とクライアント装置20とがネットワークを介して通信可能に接続されている。ネットワークは有線であっても無線であってもよい。カメラ10のハードウェア構成は実施形態1と同様である。CPU12がメモリ13に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって後述する図18に示すカメラ10のソフトウェア構成等が実現される。クライアント装置20は、ハードウェア構成として、CPU21と、メモリ22と、入力部23と、表示部24と、通信部25と、を含む。CPU21は、クライアント装置20の全体を制御する。メモリ22は、プログラム、カメラ10から送信された画像、設定値等を記憶する。入力部23は、ユーザーの選択操作等を入力し、CPU21に渡す。表示部24は、CPU21の制御に基づき画面等を表示する。通信部25は、クライアント装置20をネットワークに接続し、他の装置(例えば、カメラ10)との通信等を制御する。CPU21がメモリ22に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって後述する図18に示すクライアント装置20のソフトウェア構成、及び後述する図19のフローチャートの処理が実現される。クライアント装置20は、情報処理装置の一例である。
【0020】
図18は、撮像システムを構成する装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。カメラ10の撮像部11、画像生成部102に関しては、実施形態1と同様の構成のため説明を省略する。撮像方向検出部121は、撮像部11の撮像方向を検出する。例えば、撮像方向検出部121は、ジャイロセンサの出力から撮像している角度を取得してもよい。クライアント装置20の判定部103、パターン設定部104、切り取り位置設定部105、切り取り部106、歪補正処理部107、出力部108に関しては、実施形態1のカメラ10の構成と同様であるため説明を省略する。通信処理部122は、カメラ10と通信して、画像生成部102で生成された画像及び撮像方向検出部121で検出された撮像方向を受信する。
【0021】
次に、図19に示すフローチャートを用いて、カメラ10及びクライアント装置20で構成される撮像システムが撮像画像の注目領域の条件に応じて画像のパターン及び切り取り位置を設定し出力する際の例を説明する。図19のフローチャートのS101~S109に関しては、それぞれ実施形態1と同様の処理内容、かつ、処理フローのため説明を省略する。また、図10図15のパターン等に関しては実施形態1と同様の処理内容のため説明を省略する。
S201では、判定部103は、撮像方向検出部121で検出され、通信処理部122を介して受信した撮像部11の撮像方向に基づき撮像部11の撮像方向が水平方向かどうかを判定する。このとき撮像方向が水平方向というのは、例えばカメラ10が壁面に設置されている場合等であり、それ以外は天井に設置されて垂直方向を撮像している場合等である。判定部103は、撮像方向が水平方向であると判定すると、S106に遷移し、撮像方向が水平方向でないと判定すると、S108に遷移する。パターン2では全体画像の中心部分を除いた周辺画像に対して切り取り処理及び歪補正処理を行う。したがって、撮像方向が水平方向である場合、S106において、パターン設定部104は、パターン1を設定する。また、切り取り位置設定部105は、設定されたパターン1に対応するように2つの注目領域を含むような1つの部分画像を切り取る切り取り位置を設定する。このとき、注目領域は全方位画像の上下領域を除く中央部に出現すると考えられるので、全方位画像の中央部を切り取るように切り取り位置が設定される。一方で、撮像部11が水平方向でない、すなわち、例えば、垂直方向を向いている場合、S108において、パターン設定部104は、パターン2を設定する。また、切り取り位置設定部105は、設定されたパターン2に対応するように、切り取られた2つの部分画像にはそれぞれ1つずつ注目領域が含まれるように切り取り位置が設定される。S202において、判定部103は、図20のように全体画像の中央部に特定の動体等の注目領域が出現したか否かを判定する。判定部103は、全体画像の中央部に特定の動体等の注目領域が出現した場合(S202でYes)は、S203に遷移し、全体画像の中央部に特定の動体等の注目領域が出現しない場合(S202でNo)、図19のフローチャートの処理を終了する。S203において、パターン設定部104は、一時的にパターン2以外のパターン、例えば図21のようにパターン3を設定する。また、切り取り位置設定部105は、設定されたパターン3に従って、注目領域がそれぞれ含まれるように3つの部分画像が切り取られる位置を設定する。ここで、判定部103は、顔認識等で特定の被写体を特定の動体として認識してもよいし、動体の大きさ又は速度が予め決められた閾値又はユーザーが設定した閾値を超える場合に特定の動体と認識してもよい。また、画像の中央部とは、例えば、画像の中心から設定された範囲内のことである。パターン2は、第1のパターンの一例である。S203の処理は、第1のパターン以外のパターンを設定する処理の一例である。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の処理によれば、実施形態1の効果に加え、特定の動体の監視に好適な画像を提供することができる。
【0023】
<実施形態3>
実施形態3では、撮像画像の注目領域の条件に応じてパターン及びパターンに対応する切り取り位置を設定する際の実施形態1及び2とは異なる場合の例を説明する。カメラ10及びクライアント装置20を構成するハードウェア構成及びソフトウェア構成に関しては上述の実施形態と同様のため説明を省略する。CPU21がメモリ22に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって後述する図22のフローチャートの処理が実現される。
次に、図22に示すフローチャートを用いて、カメラ10及びクライアント装置20で構成される撮像システムが撮像画像の注目領域の条件に応じて画像のパターン及び切り出し位置を設定し、出力する際の例を説明する。フローチャートのS106~S109、S201に関しては、それぞれ実施形態1及び実施形態2と同様の処理内容、かつ、処理フローである。また、実施形態1及び実施形態2のフローチャートでそれぞれ説明したS101~S105、S202、S203の処理を図22に追加してもよい。
図23図28のパターン等に関しては実施形態1と同様のため説明を省略する。
【0024】
S301において、判定部103は、注目領域が5箇所以上あるか否かを判定する。判定部103は、注目領域が5箇所以上存在しない場合(S301でNo)は、S109に遷移し、注目領域が5箇所以上存在する場合(S301でYes)は、S302に遷移する。S109において、図23のように注目領域が5箇所未満の4箇所の場合に、パターン設定部104は、図24のようにパターン3を選択し、領域1001~領域1004のそれぞれの対応関係で分割する。また、注目領域の数を5箇所の場合としているが、パターン設定部104で分割可能な分割数を超える数であればよい。S302において、判定部103は、撮影画像内に優先領域が設定されているか否かを判定する。判定部103は、撮影画像内に優先領域が設定されていない場合(S302でNo)は、S303に遷移し、撮影画像内に優先領域が設定されている場合(S302でYes)は、S306に遷移する。図25は注目領域が5箇所ある場合の例であり、判定部103は、5箇所の位置関係を判定する。パターン2で5箇所すべての注目領域を出力可能なので、S303において、パターン設定部104は、図26のようにパターン2を選択する。このとき、切り取り位置設定部105は、それぞれの注目領域が分断されない位置に切り取り位置を設定する。その結果、画像切り取り部106は、それぞれの注目領域が分断されない位置で領域1101と領域1102とを切り取る。また、歪補正処理部107は、歪み補正処理を行う。S304において、判定部103は、図27のように注目領域である被写体が中央に位置する領域1103に侵入したか否かを判定する。判定部103は、被写体が中央に位置する領域に侵入した場合(S304でYes)は、S305に遷移し、被写体が中央に位置する領域に侵入しない場合(S304でNo)は、図22のフローチャートの処理を終了する。S305において、パターン設定部104は、図28のように図27の領域1101~領域1103のすべての領域を含むことができる領域1104として全方位画像を一時的に選択してもよい。また、被写体が領域1103から消失した場合は、パターン設定部104は、図26のようなパターン2が再設定されることになる。
【0025】
S306において、判定部103は、撮影画像内に検知領域が設定されている場合、設定されている検知領域内に検知対象が存在するか否かを判定する。判定部103は、撮影画像内に予め設定されている検知領域内に検知対象が存在しない場合(S306でNo)は、S307に遷移し、撮影画像内に予め設定されている検知領域内に検知対象が存在する場合(S306でYes)は、S308に遷移する。
図29は、優先領域が設定されており、検知領域が設定されていない場合を示す例である。図29の領域1205が優先領域として設定されている。優先領域は、その領域が注目領域として検出しているか否かにかかわらず、優先領域に対応する部分画像が切り取られ、出力される領域である。但し、優先領域は画像中の任意の領域にも設定することができる。また、優先領域は、複数設定されてもよい。図31は、更に、画像中に設定されている検知領域1206の一例を示している。ここでいう検知領域は、人物が領域内に侵入又は領域から消失等の特定のイベントを検知するための領域である。図32は、検知領域1206内に人物の侵入が検出されていることを表している。
S308において、パターン設定部104は、図32に示される優先領域1205(1202)及び検知領域1206(1207)を選択し、更にステップ102において抽出された注目領域の中からより注目度の高い領域を選択する。そしてパターン設定部104は、図33の画像の配置になるようにパターン3を設定する。このとき注目領域のうち、より注目度の高い領域として人数の多い領域1201及び1203が選択される。そして、切り取り位置設定部105は、優先領域1205、検知領域1206、及び領域1201及び領域1203の部分画像が切り取られる切り取り位置を設定する。その結果、画像切り取り部106は、領域1201、1203、1205、及び1206から部分画像を切り取る。この処理は、全方位画像内に優先領域が設定されている場合、画像切り取り部106が、優先領域が注目領域として検出しているか否かにかかわらず、優先領域に対応する部分画像を優先的に切り取る処理の一例である。また、この処理は、全方位画像内に検知領域が設定されている場合、画像切り取り部106が、検知領域が他の注目領域よりも注目度の低い注目領域として検出されたいた場合であっても、検知領域に対応する部分画像を優先的に切り取る処理の一例でもある。歪補正処理部107は、それぞれ切り取られた部分画像に対して歪み補正処理を行う。
S307において、検知領域が設定されていない場合、図29に示される優先領域1205を選択し、更にステップS102において抽出された注目領域の中からより注目度の高い領域1201、1203、及び1204を選択する。そして、パターン設定部104は、図30の配置になるようにパターン3を設定する。図29では、検知領域が設定されていないため、図32の領域1207と同じ位置に存在する図29の注目領域は選択されずに注目領域1204が代わりに選択されている。その理由は、注目領域1204内の人数の方が図32の領域1207と同じ位置に存在する図29の注目領域内の人数より多く注目度が高いからである。なお、図29の左側にも注目領域1204と同じ人数が存在する注目領域があるが、本実施の形態では、人物の属性として「女性」が優先される設定となっているため注目領域1204が選択されることになる。
また、切り取り位置設定部105は、選択された領域1201、1202(1205)、1203、1204に対応する部分画像が切り取られるように切り取り位置を設定する。
【0026】
S309において、判定部103は、2つの注目領域が検出され、その検出された2つの注目領域の位置が近接しているかどうかを判定する。判定部103は、歪み補正前の魚眼カメラの円形の撮像画像のうちの1つの半円内(中心領域を除く)に2つの注目領域が存在している場合、近接していると判定する。判定部103は、図34に示すように、2つの注目領域が近接していると判定した場合、S106に進む。即ち、パターン1が選択され、切り取り位置として中心領域を除く半円が設定される。歪み補正後の画像は、図35に示すようなシングルパノラマ画像となる。一方、判定部103は、図12に示すように、2つの注目領域が近接していないと判定した場合、S108に進む。その結果、図13に示すようなダブルパノラマ画像が表示されることになる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の処理によれば、実施形態1及び実施形態2の効果に加え、特定の領域及び物体、動体を考慮した監視に好適な画像を提供することができる。
なお、実施形態1~3で説明したパターンの選択は適宜組み合わせることが可能である。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0028】
以上、本発明の実施形態の一例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、撮像装置として説明したカメラには、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラに適用することができる。
また、上述したソフトウェア構成の一部又は全てをハードウェア構成として装置に実装してもよい。
また、ハードウェア構成としてCPUに替えてGPU(Graphics Processing Unit)を用いることとしてもよい。
【0029】
以上、上述した各実施形態によれば、ユーザーが設定することなく撮像シーン等に応じてリアルタイムに適切な切り取り処理及び歪補正処理を行った画像を出力することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 カメラ
11 撮像部
12 CPU
図1
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