(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ挿通手段
(51)【国際特許分類】
A61B 17/221 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61B17/221
(21)【出願番号】P 2018164091
(22)【出願日】2018-09-01
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503468972
【氏名又は名称】小林 真
(74)【代理人】
【識別番号】100160370
【氏名又は名称】佐々木 鈴
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-019937(JP,A)
【文献】特開2009-225903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0233117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/221
A61M 25/09
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺円筒状の可撓性シースと、該可撓性シースの円筒内に進退自在に挿通される操作ワイヤと、終端が該操作ワイヤ先端の後端チップに結合され、先端が先端チップに結合された状態で弾性的に縮径または拡開するように形成された複数のバスケットワイヤから成るバスケット部とを備え、ガイドワイヤによりバスケット部を案内するバスケット型内視鏡用処置具のガイドワイヤ挿通手段であって、
前記ガイドワイヤ挿通手段を、前記先端チップが嵌め込まれる中空の先端チップ嵌合部と、該先端チップ嵌合部よりも外径が小さい中空円筒状且つ前記先端チップよりも先端側に突出するガイドワイヤ挿通部とから構成し、
該ガイドワイヤ挿通部が、基端側周面に前記ガイドワイヤを挿通するための孔と、該孔と周方向の対称位置の先端側周面に前記ガイドワイヤを通すための溝とを有し、前記ガイドワイヤを前記孔から溝に向かって直線状に貫通させることを特徴とするガイドワイヤ挿通手段。
【請求項2】
前記先端チップ嵌合部とガイドワイヤ挿通部との径差によって段差を構成することを特徴とする請求項
1に記載のガイドワイヤ挿通手段。
【請求項3】
前記孔の基端側底部と前記溝の基端側底部を結ぶ線を前記先端チップの中心軸に対して10度から45度傾斜する範囲に設定することを特徴とする請求項
1または2に記載のガイドワイヤ挿通手段。
【請求項4】
前記先端チップは、基端側の細径部と、先端側の半球状部を有し、
前記ガイドワイヤ挿通手段は、熱収縮チューブを前記先端チップの前記半球状部及び該半球状部から先端側に突出させた状態で収縮させることにより形成したことを特徴とする請求項
1から3のいずれかに記載のガイドワイヤ挿通手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入され、体腔内の結石等の異物の回収や破砕に用いられるバスケット型の処置部を有するバスケット型内視鏡用処置具に装着するガイドワイヤ挿通手段に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、胆道結石等を除去するには、内視鏡チャネルに挿通され、内視鏡の先端から突出して異物の回収や破砕を行うためのバスケット型内視鏡用処置具が用いられる。このバスケット型内視鏡用処置具は、操作ワイヤの先端に設けた収縮自在な籠状のバスケット部を操作ワイヤと共に可撓性シース内に挿入し、可撓性シースの後端に接続された操作部の操作によって、操作ワイヤを押して可撓性シースの先端からバスケット部を突出拡開させた状態でバスケット部内に結石等を取り込み、操作ワイヤを牽引してバスケット部を収縮させて結石等を把持して粉砕または回収するものである。このバスケット型内視鏡用処置具には、例えば、十二指腸の乳頭部内の胆管に可撓性シースの挿入を案内するためのガイドワイヤを用いたものもある。このようなガイドワイヤを用いたバスケット型内視鏡用処置具に関する技術が記載された文献としては、下記の特許文献1及び2が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、遠位端側開口から処置具本体の遠位端を露出及び引き込み可能なメインルーメンが内部に形成されている可撓性シースと、可撓性シースの遠位端部に固定されており3~30mmの長さである固定部と、前記固定部から近位端側に伸びており可撓性シースに固定されておらず可撓性シースに対して離間可能である自由部と、遠位端側開口からガイドワイヤの遠位端を露出及び引き込み可能なガイドワイヤルーメンが内部に形成されているガイドワイヤチューブとを備えており、処置具本体のメインルーメンが、ガイドワイヤルーメンと分かれていることにより、ガイドワイヤと処置具本体が干渉することを防止するバスケット型内視鏡用処置具が記載されている。
【0004】
特許文献2には、細長いシース内に進退自在に挿通された操作ワイヤの先端部にバスケット部が連結され、このバスケット部の先端部に先端チップが固定されるとともに、前記先端チップにその前面と、外周面との間を連通するガイドワイヤ挿通孔を設けたことにより、ガイドワイヤが拡開したバスケット部の内部を横切らないようにして、結石をバスケット内に取り込み易くするバスケット型内視鏡用処置具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-30492号公報
【文献】特開2011-19937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1に記載されたバスケット型内視鏡用処置具は、自由部においては離間していた可撓性シースのメインルーメンとガイドワイヤルーメンとを、可撓性シースの先端の固定部では平行に固定しているため、ガイドワイヤは可撓性シースのガイドワイヤルーメンの固定部内において曲げられ且つ先端に向かって可撓性シースと平行に突出することになり、ガイドワイヤに沿って可撓性シースを胆管に挿入するときに、剛性のあるガイドワイヤがガイドワイヤルーメンの固定部内壁に押し付けられる抵抗により、可撓性シースがスムーズに動きづらく、胆管への挿入が困難であるといった課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたバスケット型内視鏡用処置具は、先端チップに、先端チップの前面と、外周面との間を連通するガイドワイヤ挿通孔を設けたことにより、先端チップよりも操作部側においては先端チップから離間していたガイドワイヤがガイドワイヤ通過孔の内部で曲げられて、可撓性シースと同軸で先端チップの先端から突出することになり、ガイドワイヤに沿って可撓性シースを胆管に挿入するときに、剛性のあるガイドワイヤが曲げられて先端チップの内壁に押し付けられる抵抗により、可撓性シースがスムーズに動きづらく、胆管への挿入が困難であるといった課題があった。
【0008】
なお、ガイドワイヤを用いたバスケット型内視鏡用処置具の施術は、
図5に示す如く、医師が、操作ワイヤを牽引して先端部のバスケット部4を内部に引き込んで縮径し且つガイドワイヤ9を突出させた状態の可撓性シース2を
図5(a)の如く十二指腸の乳頭部210近傍に位置させ、ガイドワイヤ9を乳頭部210内の胆管22に挿入し、次いで
図5(b)の如く可撓性シース2をガイドワイヤ9により案内しながら胆管22内に挿入して先端を結石230より上位置に移動させた状態で操作ワイヤを押し出してバスケット部4を突出させて開き、次いで
図5(c)の如くガイドワイヤ9を可撓性シース2内に引き込んでから操作ワイヤを引き込んでバスケット部4の隙間内に結石230を捕捉し、バスケット部4を可撓性シース2内にさらに引き込んで結石230を締め付けて破砕するか、結石230を捕捉した状態の先端部のバスケット部4を可撓性シース2に接する位置まで引き込み、この状態の可撓性シース2を胆管22外に引き出すことによって、結石230を回収する。
【0009】
本発明の目的は、このような従来技術による課題を解決することであり、ガイドワイヤに沿って可撓性シース及びバスケット部をスムーズに案内することができ乳頭部内の胆管へ容易に挿入することができるガイドワイヤ挿通手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明は、長尺円筒状の可撓性シースと、該可撓性シースの円筒内に進退自在に挿通される操作ワイヤと、終端が該操作ワイヤ先端の後端チップに結合され、先端が先端チップに結合された状態で弾性的に縮径または拡開するように形成された複数のバスケットワイヤから成るバスケット部とを備え、ガイドワイヤによりバスケット部を案内するバスケット型内視鏡用処置具のガイドワイヤ挿通手段であって、 前記ガイドワイヤ挿通手段を、前記先端チップが嵌め込まれる中空の先端チップ嵌合部と、該先端チップ嵌合部よりも外径が小さい中空円筒状且つ前記先端チップよりも先端側に突出するガイドワイヤ挿通部とから構成し、 該ガイドワイヤ挿通部が、基端側周面に前記ガイドワイヤを挿通するための孔と、該孔と周方向の対称位置の先端側周面に前記ガイドワイヤを通すための溝とを有し、前記ガイドワイヤを前記孔から溝に向かって直線状に貫通させることを第1の特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記先端チップ嵌合部とガイドワイヤ挿通部との径差によって段差を構成することを第2の特徴とし、前記孔の基端側底部と前記溝の基端側底部を結ぶ線を前記先端チップの中心軸に対して10度から45度傾斜する範囲に設定することを第3の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記先端チップは、基端側の細径部と、先端側の半球状部を有し、前記ガイドワイヤ挿通手段は、熱収縮チューブを前記先端チップの前記半球状部及び該半球状部から先端側に突出させた状態で収縮させることにより形成したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるガイドワイヤ挿通手段は、先端チップが嵌め込まれる先端チップ嵌合部と、該先端チップ嵌合部よりも外径が小さく前記先端チップよりも先端側に突出するガイドワイヤ挿通部を有し、該ガイドワイヤ挿通部は、ガイドワイヤを先端チップの中心軸に対して傾斜させて直線状に挿通する挿通空間を備え、該挿通空間を、前記ガイドワイヤ挿通部の基端側の側面から先端側の側面へ向けて形成したことによって、可撓性シースをガイドワイヤに沿ってスムーズに移動させて乳頭部内の胆管へ容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるガイドワイヤ挿通手段を備えたバスケット型内視鏡用処置具の全体構成を示す図。
【
図2】本発明の実施例1によるガイドワイヤ挿通手段を説明するための図。
【
図3】本発明の実施例1によるガイドワイヤ挿通手段を説明するための図。
【
図4】本発明の
参考例によるガイドワイヤ挿通手段を説明するための図。
【
図5】本発明によるガイドワイヤ挿通手段を備えたバスケット型内視鏡用処置具の課題を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるガイドワイヤ挿通手段及びガイドワイヤ挿通手段を備えたバスケット型内視鏡用処置具の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施例においては、
図1の左側のバスケット部が位置する側を先端側、右側の操作部が位置する側を基端側と呼ぶ。
【実施例1】
【0016】
[実施例1]
[基本構成]
まず、本発明の第1実施例によるガイドワイヤ挿通手段を備えたバスケット型内視鏡用処置具の全体構成は、
図1に示す如く、細長い可撓性シース2と、該可撓性シース2の先端側に装着される硬質金属材料から成る円筒状の先端金具20と、前記可撓性シース2内に進退自在に挿通される操作ワイヤ3と、該操作ワイヤ3を進退操作するために操作ワイヤ3の後端に取り付けられた操作部10と、前記操作ワイヤ3の先端に連結された複数のバスケットワイヤ8を含み、操作ワイヤ3の進退操作により可撓性シース2内から突没可能な処置部である結石把持又は破砕用のバスケット部4と、前記操作部10側から可撓性シース2に沿って延び、進退操作されるガイドワイヤ9と、該バスケット部4の先端に装着され、ガイドワイヤ9を挿通するためのガイドワイヤ挿通手段70とを備える。
【0017】
前記バスケット部4は、弾性復元力をもつ複数の金属線である複数のバスケットワイヤ8と、前記操作ワイヤ3の先端に取り付けられ、複数のバスケットワイヤ8の後端側(操作部10側)を操作ワイヤ3に一体に纏めて結合する後端チップ7と、複数のバスケットワイヤ8の先端側を一体に纏めて結合した部分である先端チップ6とを備え、先端チップ6と後端チップ7との間隔を伸ばして可撓性シース2内に収納した状態では長尺形状を成し、可撓性シース2内から出した状態では複数のバスケットワイヤ8の弾性復元力によって籠(バスケット)型に弾性的に縮径または拡開するように構成されている。また、前記先端チップ6は、本実施例においては溶加材を用いる溶接等によって複数のバスケットワイヤ8の先端を纏めたものであり、基端側に細径筒状部分を有し、先端側に半球状部分を有するキノコ状に形成されたものであるが、この形状に限られるものではなく、円筒状金属製内に複数のバスケットワイヤ先端を挿入結合する等の他の部品を用いて形成しても良い。本実施例では、この複数のバスケットワイヤの先端部分を結合した部分を、先端チップと呼ぶ。
【0018】
前記操作部10は、操作ワイヤ3の後端に操作パイプ12を介して取り付けられる把持部14と、該操作ワイヤ3に取り付けられた把持部14の操作パイプ12を貫通させ、送水口13が開口され、把持部14を進退することによって操作ワイヤ3を可撓性シース2に対して移動させる操作部本体11とを備える。前記送水口13は、内端部が操作部本体11の筒内空間に連通され、図示しない注射等を取り付けて可撓性シース2内に薬液等を送液できるように構成されている。
【0019】
[ガイドワイヤ挿通手段]
次に、本実施例によるガイドワイヤ挿通手段70を
図2(a)~(d)及び
図3を用いて詳述する。なお、
図2(a)はガイドワイヤ挿通手段の断面図、(b)はガイドワイヤ挿通手段を先端チップに装着した状態の断面図(ガイドワイヤ挿通手段以外は断面としない)、(c)はガイドワイヤ挿通手段を先端チップに装着し、ガイドワイヤを挿通した状態の断面図(ガイドワイヤ挿通手段以外は断面としない)、(d)はガイドワイヤ挿通手段の斜視図であり、
図2及び
図3の図中上部を先端側、下部を基端側と呼ぶ。
【0020】
ガイドワイヤ挿通手段70は、
図2(d)及び
図3に示す如く、先端側が細径で、基端側が太径であって、該径差によって段差70eを構成する中空の壺状となっており、基端側は先端チップ6に取り付けるための先端チップ嵌合部となる太径部70aであり、先端側はガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤ挿通部となる細径部70bであって先端チップよりも先端側に突出する。
細径部70bは、基端側周面であって基端側の段差70eに隣接する位置にガイドワイヤ9を挿通させるための孔70cを有し、細径部70bの先端側周面であって且つ孔70cの周方向対称位置に、ガイドワイヤ9を案内するために先端側から切り込まれた略V字状の溝70dを有する。なお、この溝70dは、孔70cの周方向の対象位置から略3分の1程度の位置から基端方向且つ外方に向けて斜めに削ぐように切断して形成してもよいがこれに限られず他の方法により形成してもよい。
また、孔70c及び溝70dは、孔70cと溝70dを結ぶ挿通空間に挿通したガイドワイヤ9が先端チップ6の中心軸に対して同軸又は平行とならず、且つ直線状に挿通することができるように、孔70cの底部(基端側)と溝70dの底部(基端側)とを結ぶ線の角度θ1が先端チップの中心軸に対して10度~45度となるよう設定するのが好適である。なお、この角度θ1は、上記孔70c及び溝70dの長さ方向の位置及び段差70eの高さによって設定するのが好ましい。
【0021】
[ガイドワイヤ挿通手段の製造方法及び先端チップへの取付方法]
本実施例によるガイドワイヤ挿通手段70の製造及び先端チップ6への取り付けは、以下のように行う。ガイドワイヤ挿通手段70は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂からなる筒状の熱収縮チューブからなり、まず、この熱収縮チューブを所定長さ(例えば6mm程度)に切断し、略中央にガイドワイヤを通過させるための孔70c(例えば0.9mm~1.2mm程度)を開口する。そして、前記熱収縮チューブを先端チップ6の先端側から被せる。このとき、熱収縮チューブは、先端チップ6に対し、熱収縮チューブが先端チップ6より先端側に突出し(例えば3mm程度)且つ、先端チップ6の半球状部分よりもわずかに細径部分に達する程度に被せる。この位置で、熱収縮チューブに熱を加え収縮させることにより、熱収縮チューブが先端チップ6密着するとともに、熱収縮チューブの後端側が先端チップ6の半球状部分の端部に引っ掛かり、先端チップ6から熱収縮チューブ(ガイドワイヤ挿通手段70)が抜けるのを防止することができる。その後、熱収縮チューブの孔70cの周方向対称位置の先端に略V字状の溝を形成する。
本実施例によるガイドワイヤ挿通手段70の製造及び先端チップ6への取り付けは上記のように行うことができるが、この順に限られるものではない。
【0022】
このように構成された本実施例によるガイドワイヤ挿通手段を備えたバスケット型内視鏡用処置具は、
図1に示す如く、ガイドワイヤ9がガイドワイヤ案内手段70の挿通空間で曲げられることなく直線状にガイドワイヤ挿通手段に挿通され、ガイドワイヤ9がガイドワイヤ挿通手段70に対して角度をもって(傾斜して)挿入されることにより、ガイドワイヤ9に沿ってガイドワイヤ挿通手段70を移動するときに平行又は同軸に移動させるよりも接触抵抗が少なくスムーズに移動させることができる。
また、ガイドワイヤ挿通手段70の孔70cの周方向対称位置の先端に溝70dを設けたことにより、ガイドワイヤ9をガイドワイヤ挿通手段70の先端側から挿入するときに、溝70dがガイドとなり、孔70cにガイドワイヤ9を挿入し易く作業の効率化が図れる。
【0023】
[参考例]
上述の実施例においては、ガイドワイヤ挿通手段を筒状の熱収縮チューブにより構成する例を示したが、これに限られず、例えば以下のように構成してもよい。
本
参考例によるガイドワイヤ挿通手段80は、
図4に示す如く、先端チップ6が嵌め込まれる先端チップ嵌合部80aと、該嵌合部80aよりも外径が細く先端チップ6よりも先端側に突出し、ガイドワイヤ9を挿通するための挿通空間80cが形成されたガイドワイヤ挿通部80bを有する。ガイドワイヤ挿通手段80は、先端チップ嵌合部80aとガイドワイヤ挿通部80bとの径差によって段差80eを構成し、挿通空間80cは、ガイドワイヤ挿通部80bの基端側の側面から先端側の側面へ向けて形成される。
挿通空間80cの中心線の先端チップ6の中心軸に対する角度θ2は、10度から45度に設定され、ガイドワイヤ9は、先端チップ6の中心軸に対して傾斜し且つ直線状に挿通空間80cに挿通される。
【0024】
このように構成された本参考例のガイドワイヤ挿通手段80を備えたバスケット型内視鏡用処置具は、ガイドワイヤ9がガイドワイヤ案内手段80によって曲げられることなく直線状にガイドワイヤ挿通手段に挿通され、ガイドワイヤ9がガイドワイヤ挿通手段80に対して角度をもって(傾斜して)挿入されることにより、ガイドワイヤ9に沿ってガイドワイヤ挿通手段80を移動するときに平行又は同軸に移動させるよりも接触抵抗が少なくスムーズに移動させることができる。
【符号の説明】
【0025】
2 可撓性シース、3 操作ワイヤ、4 バスケット部、6 先端チップ、
7 後端チップ、8 バスケットワイヤ、9 ガイドワイヤ、10 操作部、
11 操作部本体、12 操作パイプ、13 送水口、14 把持部、20 先端金具、
22 胆管、70 ガイドワイヤ挿通手段、80 ガイドワイヤ挿通手段、230 結石