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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】X線CT装置、架台装置及びカバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61B6/03 321B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018170807
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020039707
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】孫 彦吉
(72)【発明者】
【氏名】澤登 正
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-234721(JP,A)
【文献】特開平09-276262(JP,A)
【文献】特開2006-230783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管及びX線検出器を回転させる回転フレームを有する架台装置を備え、
前記架台装置は、
前記架台装置の前面における外装となる第1外側部材と、前記第1外側部材の内側に位置する第1内側部材との2層を有し、前記第1外側部材と前記第1内側部材により前記架台装置の前面において内側と外側の境界となるフロントカバーであって、前記第1外側部材に形成された第1吸気口から外気を吸気し、前記第1外側部材と前記第1内側部材との間の第1間隙空間を介して、前記回転フレームが収容される前記第1内側部材の内側の収容空間へと外気を流入する、フロントカバーと、
前記架台装置の後面における外装となる第2外側部材と、前記第2外側部材の内側に位置する第2内側部材との2層を有し、前記第2外側部材と前記第2内側部材により前記架台装置の後面において内側と外側の境界となるリアカバーであって、前記第2外側部材に形成された第2吸気口から外気を吸気し、前記第2外側部材と前記第2内側部材との間の第2間隙空間を介して、前記収容空間へと外気を流入する、リアカバーと、
前記架台装置の側面における外装となる第3外側部材と、前記第3外側部材の内側に位置する第3内側部材との2層を有し、前記第3外側部材と前記第3内側部材により前記架台装置の側面において内側と外側の境界となるサイドカバーであって、前記第3外側部材と前記第3内側部材との間の第3間隙空間を介して、前記収容空間の空気を前記第3外側部材に備えられる排気口から排気する、サイドカバーと、
を備える、X線CT装置。
【請求項2】
前記第1内側部材及び前記第2内側部材は、前記回転フレームの回転する内周部において、前記収容空間に外気を流入する、請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記フロントカバー及び前記リアカバーは、吸気した外気を前記収容空間へと流入する、吸気流路を備える、請求項1又は請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記第3内側部材は、前記第3間隙空間に前記収容空間の空気を排出する、ファンを備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記フロントカバー及び前記リアカバーにおける吸気した外気の流路と、前記サイドカバーにおける排気する空気の流路とは、分断された空間である、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記サイドカバーは、前記収容空間から空気を排出する、排出流路を備える、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記第1吸気口又は前記第2吸気口は、前記架台装置の下部に備えられる、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記収容空間から前記第3間隙空間への前記第3内側部材における空気の排出は、前記架台装置の上部において行われる、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項9】
X線管及びX線検出器を回転させる、回転フレームと、
前面における外装となる第1外側部材と、前記第1外側部材の内側に位置する第1内側部材との2層を有し、前記第1外側部材と前記第1内側部材により前面において内側と外側の境界となるフロントカバーであって、前記第1外側部材に形成された第1吸気口から外気を吸気し、前記第1外側部材と前記第1内側部材との間の第1間隙空間を介して、前記回転フレームが収容される前記第1内側部材の内側の収容空間へと外気を流入する、フロントカバーと、
後面における外装となる第2外側部材と、前記第2外側部材の内側に位置する第2内側部材との2層を有し、前記第2外側部材と前記第2内側部材により後面において内側と外側の境界となるリアカバーであって、前記第2外側部材に形成された第2吸気口から外気を吸気し、前記第2外側部材と前記第2内側部材との間の第2間隙空間を介して、前記収容空間へと外気を流入する、リアカバーと、
側面における外装となる第3外側部材と、前記第3外側部材の内側に位置する第3内側部材との2層を有し、前記第3外側部材と前記第3内側部材により側面において内側と外側の境界となるサイドカバーであって、前記第3外側部材と前記第3内側部材との間の第3間隙空間を介して、前記収容空間の空気を前記第3外側部材に備えられる排気口から排気する、サイドカバーと、
を備える架台装置。
【請求項10】
外装となる外側部材と、前記外側部材の内側に位置する内側部材との2層を有し、
前面又は背面において、前記外側部材に形成された吸気口から外気を吸気し、前記外側部材と前記内側部材との間の間隙空間を介して、前記内側部材の内側の収容空間へと外気を流入
側面において、前記外側部材と前記内側部材との間の間隙空間を介して、前記収容空間の空気を前記外側部材に備えられる排気口から排気する、
課題装置の内側と外側を隔てるカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線CT装置、架台装置及びカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置には、架台中央部に被験体を撮影するための撮影口が形成され、箱状の収納部材内に、当該撮影口の周りを回転するようにX線管及び検出器が設置され、その他電源、信号処理用の回路等が収納されるものがある。このようなX線CT装置は、収納部材内にX線管、計算機等の構成要素が収納されるため、熱がこもり易い上、今日では、回転スピードの高速化及び高出力化に伴いさらに排熱の重要性が増している。排熱を行うために外気と比較して高温となった空気を排出させ、外気を吸気する必要があるが、排熱を効率的に行おうとすると吸排気口からの騒音が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-238876号公報
【文献】特開平10-234721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の実施形態は、排熱の効率を向上するとともに、騒音を抑制することが可能なX線CT装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、X線CT装置は、X線管及びX線検出器を回転させる回転フレームを有する架台装置を備える。架台装置は、前面における外装となる第1外側部材と第1外側部材の内側に位置する第1内側部材との2層を有し、第1外側部材と第1内側部材により前面において内側と外側の境界となり、第1外側部材に形成された第1吸気口から外気を吸気し、第1外側部材と第1内側部材との間の第1間隙空間を介して回転フレームが収容される第1内側部材の内側の収容空間へと外気を流入する、フロントカバーと、後面における外装となる第2外側部材と、第2外側部材の内側に位置する第2内側部材との2層を有し、第2外側部材と第2内側部材により後面において内側と外側の境界となり、第2外側部材に形成された第2吸気口から外気を吸気し、第2外側部材と第2内側部材との間の第2間隙空間を介して収容空間へと外気を流入する、リアカバーと、を備える
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るX線CT装置の機能を示すブロック図。
図2】一実施形態に係る架台装置の斜視図。
図3】一実施形態に係る架台装置の側面図。
図4】一実施形態に係るフロントカバーにおける流路の一例を示す図。
図5】一実施形態に係る吸気口の一例を示す図。
図6】一実施形態に係る架台装置の正面断面図。
図7】一実施形態に係る架台装置の側面図。
図8】一実施形態に係る架台装置の正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において、ほぼ同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るX線CT装置の概略的な構成を示す図である。X線CT装置1は、架台装置10と、コンソール装置20と、医用寝台装置30と、を備える。
【0009】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18と、を備える。
【0010】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。X線検出器12は、X線管11から照射され、被験体Pを透過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へ出力する。回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電子回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置と、を有する。以下、これらのデバイスが収容される架台装置10の内側の空間を、収容空間と記載する。
【0011】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置20又は架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェース23からの入力信号を受けて、架台装置10及び医用寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御、架台装置10をチルトさせる制御及び医用寝台装置30と天板33を動作させる制御を行う。なお、制御装置15は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置20に設けられてもよい。
【0012】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。DAS18は、X線検出器12の角X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、を備え、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置20へと転送される。
【0013】
コンソール装置20は、メモリ21と、ディスプレイ22と、入力インターフェース23と、処理回路24と、を備える。メモリ21は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。ディスプレイ22は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ22は、処理回路24によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。入力インターフェース23は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。処理回路24は、X線CT装置1全体の動作を制御する。なお、本実施形態においては、コンソール装置20は、架台装置10と別体であるが、架台装置10にコンソール装置20又はコンソール装置20の構成要素の一部が含まれていてもよい。
【0014】
医用寝台装置30は、スキャン対象の被験体Pを載置、移動させる装置である。図1には、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とが、医用寝台装置30の構成要素として示されている。以下、X線CT装置1が設置された床面に対して水平な天板33の短手方向をX軸方向、X軸方向に直交し、床面に対して垂直な軸方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する天板33の長手方向をZ軸方向とそれぞれ規定する。
【0015】
基台31は、支持フレーム34をY軸方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被験体Pが載置された天板33をZ軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被験体Pが載置される板である。寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34をZ軸方向に移動してもよい。
【0016】
図2は、本実施形態に係るX線CT装置1の架台装置10の斜視図である。X線CT装置1の架台装置10は、回転フレーム13の中央部に空間を設け、当該空間内に医用寝台装置30の天板33が挿入される形状をしている。この架台装置10は、その筐体として、フロントカバー100と、リアカバー102と、サイドカバー104と、を備え、これらのカバーによって上述したX線管11等が内部に収納される。
【0017】
フロントカバー100は、架台装置10の前面に備えられ、リアカバー102は、架台装置10の後面に備えられる。これらのフロントカバー100及びリアカバー102により、装置の正面側及び背面側が覆われ、架台装置10の内側と外側が隔てられる。すなわち、フロントカバー100は、架台装置10の前面における外側と収容空間114との境界を形成し、リアカバー102は、架台装置10の後面における外側と収容空間114との境界を形成する。サイドカバー104は、架台装置10の側面及び上面に備えられ、側面及び上面が覆われ、架台装置10の内側と外側を隔てる。すなわち、サイドカバー104は、架台装置10の側面における外側と収容空間114との境界を形成する。サイドカバー104は、これには限られず、架台装置10の下面もまた覆うものであってもよい。
【0018】
本実施形態においては、フロントカバー100及びリアカバー102は、2層に形成され、この2層に形成された間の空間を介して筐体の内部へ外気を流入する。外気は、架台装置10の内部と比較して冷たい空気であるので、このように外気を流入することにより架台装置10の内部を冷却する。
【0019】
外気を2層に形成されたカバーの間に取り入れるため、フロントカバー100は、吸気口106を備える。吸気口106は、例えば、フロントカバー100において外気が2層のカバーの間に取り入れられるように、フロントカバー100において架台装置10の内部に面していないカバーに備えられる。カバーの構造について、詳しく説明する。
【0020】
図3は、図2に示した架台装置10の側面を示す図である。破線は、側面から直接観察することのできない内側の状態を示す境界線である。また、実線の矢印は、外気の吸入に関する空気の流れの一例を示す。図3に示すように、フロントカバー100は、第1外側部材100Aと、第1内側部材100Bと、を備える。第1外側部材100Aと第1内側部材100Bとの間には、空気の流れを確保するための第1間隙空間が形成される。架台装置10の収容空間114において、前述したX線管11、X線検出器12等が、回転フレーム13にしたがって高速回転する。
【0021】
第1外側部材100Aは、フロントカバー100の外側、すなわち、架台装置10の外気と接する外装を形成し、第1間隙空間と外気との境界となる部材である。ここで、外気とは架台装置10の内部(収容空間114)に対して外側に存在する空気のことをいう。第1内側部材100Bは、フロントカバー100の架台装置10の内側、すなわち、X線管11等が収容される収容空間114と面し、第1間隙空間と収容空間114との境界となる部材である。密閉部材140、142は、フロントカバー100とサイドカバー及び上面カバーとの間に備えられ、これらのカバー同士を固定し、また、他のカバーにも間隙空間が備えられる場合には、これらの間隙空間同士を互いに空気の移動ができない別個の空間として確保するために備えられる。
【0022】
吸気口106は、第1外側部材100Aの下部に備えられる。ここで、下部とは、例えば、架台装置10において、検査時において医用寝台装置30の天板33よりも下に位置する領域を言う。一般的に冷たい空気は、熱い空気よりも密度が重く、対流により空間内の下方に流れるので、吸気口106を下部に備えることにより、冷たい空気を吸気口106から流入することができる。なお、吸気口106の位置は、上記の理由により,望ましい一例として下部に備える構成を示したものであり、上部に存在していてもよい。
【0023】
吸気口106から吸気された外気は、第1間隙空間を介して流入口108から収容空間114へと流入する。X線CT装置1が作動中の状態においては、収容空間114内部ではX線管11、X線検出器12及びこれらに付随する各種デバイスが回転フレーム13にしたがって高速に回転しており、また、ファンにより収容空間114内の空気は、排気されている。このため、被験体Pがそのドーナツ状になっている空間の中央を通過する収容空間114の内周部においては架台装置10の外側に対して負圧となり、大気圧である外気は、吸気口106、第1間隙空間及び流入口108を介して収容空間114へと流入する。
【0024】
このように、フロントカバー100を2層構造にして空気が流れるような第1間隙空間を備え、かつ、収容空間114の内周部、すなわち、回転フレーム13によりデバイスが回転する中心軸に近い位置において第1間隙空間から収容空間114への空気の入口を設けることにより、吸気口106から流入口108へと外気を流すことが可能となる。
【0025】
リアカバー102についても同様である。リアカバー102は、第2外側部材102Aと、第2内側部材102Bと、を備える。第2外側部材102Aと第2内側部材102Bとの間には、空気の流れを確保するための第2間隙空間が形成される。
【0026】
第2外側部材102Aは、リアカバー102の外側、すなわち、架台装置10の外気と接する外装を形成し、第2間隙空間と外気との境界となる部材である。第2内側部材102Bは、リアカバー102の架台装置10の内側、すなわち、X線管11等が収容される収容空間114と面し、第2間隙空間と収容空間114との境界となる部材である。
【0027】
吸気口110は、第2外側部材102Aの下部に備えられる。なお、吸気口110の位置は、上記の理由により,望ましい一例として下部に備える構成を示したものであり、上部に存在していてもよい。
【0028】
吸気口110から吸気された外気は、第2間隙空間を介して流入口112から収容空間114へと流入する。上記と同様に、被験体Pがそのドーナツ状になっている空間の中央を通過する収容空間114の内周部においては架台装置10の外側に対して負圧となり、大気圧である外気は、吸気口110、第2間隙空間及び流入口112を介して収容空間114へと流入する。
【0029】
図4は、第1間隙空間における吸気口106から流入口108までの外気の流路の一例を示す図である。実線の矢印が外気の流れを示し、第1間隙空間における破線で示す経路が、外気の流路を示す。なお、リアカバー102の第2間隙空間についても同様の流路を形成することが可能である。
【0030】
この図4に示すように、第1間隙空間において、空間内を自由に空気が移動できるのではなく、所定の流路を備えて、当該流路に沿って空気が流れるようにしてもよい。流路を形成することにより、外気の流れを制御することも可能である。さらに、流路を形成することにより、第1間隙空間における空気による音の伝達を少なくすることにより、空気を介しての収容空間114内の騒音の漏れをより少なくすることが可能となる。また、第1間隙空間における外気の流路以外の部分を、例えば、防音性又は吸音性が高い物質を充填して流路を形成することにより、収容空間114内の温度を低く保つとともに、さらなる騒音の外部への漏れを抑制することが可能となる。
【0031】
図5は、吸気口106、110の別の例を示す図である。吸気口106、110には、それぞれ、吸気口保護部材116、118が備えられる。このように、保護部材を備えることにより、使用者又は被験者から吸気口106、110が見えないようにするとともに、外気を吸入する領域を床面に近づけ、より冷たい外気を取り込むことが可能となる。また、ちり、ほこり等が吸気口106、110から吸引されないように、吸気口106、110には、フィルタ等を備えることも可能である。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、フロントカバー100及びリアカバー102を2層にし、当該2層となっている部材の間の空間を外気の吸入領域とすることにより、外気による冷却を効率よく行うとともに、2層になっていることから内部の騒音が、空気を通して外に伝達することを抑制することが可能となる。回転フレーム13の存在する架台装置10の内周部において、直接的に外気を吸入するのではなく、2層で形成されているフロントカバー100又はリアカバー102において正面又は背面から外気を吸入することにより、回転フレーム13が発する騒音を直接的に外部へと伝達させることなく、外気を吸入することが可能となる。また、このような構成とすることにより、吸気用のファンを用いることなく、収容空間114内へと冷たい外気を流入することが可能となる。
【0033】
なお、本実施形態で説明したフロントカバー100及びリアカバー102は、架台装置10に元々備えられている必要は無い。すなわち、既に設置されている架台装置10の前面及び背面のカバーを外し、代わりに本実施形態に係るフロントカバー100又はリアカバー102を設置することも可能である。このように、本実施形態に係るフロントカバー100又はリアカバー102は、既設の架台装置10のカバーの代替品として用いることもできる。
【0034】
上述の実施形態では、フロントカバー100及びリアカバー102の双方を2層構造にすることを説明したが、これには限られずいずれか一方のカバーのみを取り替えることによっても同様の効果を得ることが可能である。すなわち、フロントカバー100及びリアカバー102のいずれか一方のカバーとして、上述の実施形態を実装することも可能である。
【0035】
(第2実施形態)
前述した第1実施形態においては、前面、背面においてカバーを2層にすることについて説明したが、側面のカバーは、任意の形態である。そこで、第2実施形態においては、側面においてもカバーを2層にすることについて説明する。
【0036】
図6は、本実施形態に係る架台装置10を正面からの断面図で示すものである。例えば、図2に記載の架台装置10の側面の中央部の位置における断面を示すものである。サイドカバー104は、右側に位置するサイドカバー120と、左側に位置するサイドカバー122と、を備える。また、サイドから接続されている上面カバー136もサイドカバー104の一部として形成されてもよい。
【0037】
サイドカバー120は、第3外側部材120Aと、第3内側部材120Bと、を備え、収容空間114と架台装置10の外部との側面における境界となるカバーである。第3外側部材120Aは、架台装置10の側面の外装となる部材である。第3内側部材120Bは、第3外側部材120Aの内側(収容空間114側)に位置し、第3外側部材120Aとの間に第3間隙空間を備える。上面カバー136との間には、密閉部材132が備えられ、密閉部材132を介してサイドカバー120と、上面カバー136とが固定される。密閉部材132は、例えば、騒音の伝達を抑えるようにゴム等の樹脂で形成されている。
【0038】
収容空間114と、第3間隙空間との間は、例えば、ファン128により接続される。収容空間114内の空気は、ファン128により第3間隙空間へと排出される。第3間隙空間へと排出された空気は、矢印で示すように、第3外側部材120Aに備えられる排気口124から架台装置10の外部へと排気される。収容空間114内で発生した騒音及びファン128による騒音の外部への漏れを抑制するために、ファン128と、排気口124とは、図6に示すように装置において遠い箇所に設置されていてもよい。
【0039】
サイドカバー122、第3外側部材122A、第3内側部材122B、排気口126、ファン130、密閉部材134に関しても、上述のサイドカバー120等と同様の構成である。なお、図6等においては、左右に設置されているサイドカバーは、いずれも間隙空間を備える2層構造であるが、これには限られず、いずれか一方のサイドカバーのみが2層構造であってもよい。
【0040】
図7は、本実施形態に係る架台装置10の側面図である。この図に示すように、サイドカバー120の第3内側部材120Bに備えられたファン128からの空気が、第2間隙空間を介して排気口124から排気される。なお、図示していないが、前述した実施形態と同様に、防音性、吸音性に優れた物質により排出される空気の流路を形成することにより、さらに防音性能を高めることができる。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、フロントカバー100、リアカバー102に加え、サイドカバー104についても2層構造とし、フロントカバー100、リアカバー102による冷たい空気の吸入と、サイドカバー104による熱い空気の排出との両立を可能とする。さらに、前述の実施形態と同様に、架台装置10の内部で発生する騒音の外部への伝達の抑制をも可能とする。
【0042】
なお、図5に示す吸気口保護部材116、118と同様に、排気口保護部材を備えていてもよい。この場合、排気口から上向きに空気が流れるように、排気口の下側においてサイドカバーに固定されていてもよい。
【0043】
図6において、上面カバー136については2層であるか否かについては記載しておらず、上面カバー136に備えられるファンは、補助用のファンとして機能するが、上面カバー136を2層構造とすることも可能である。図8は、上面カバー136を2層構造とした一例を示す。なお、本実施形態では、広義の意味で、上面カバー136を含めた概念として、サイドカバー104として説明する。すなわち、サイドカバー104と記載した場合、上面カバー136を含めた意味であるものとする。
【0044】
図8に示すように、上面カバー136は、第3外側部材136Aと、第3内側部材136Bと、を備え、第3外側部材136Aと第3内側部材136Bとの間に第3間隙空間を備える。第3外側部材136Aは、排気口138を備え、第3内側部材136Bは、ファン128、130を備える。第3外側部材136A、第3内側部材136B、排気口138、及び、ファン128、130については、上述した実施形態と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0045】
密閉部材132とファン128の位置関係、及び、密閉部材134とファン130の位置関係は、図6とは逆となり、収容空間114からファン128、130を介して排出された空気は、上面カバー136の第3外側部材136Aに備えられる排気口138から架台装置10の上部へと排気される。
【0046】
このように、サイドからではなく、上部へと空気を排出することも可能である。この場合、排気口138と、吸気口106、110との距離を遠くすることができる。このため、給気する冷たい空気と、排出する熱い空気とが、上述の実施形態よりも混ざりにくい状態となり、架台装置10内の冷却効果をさらに向上することが可能となる。
【0047】
前述した各実施形態において、それぞれのカバーは、空気の流路と一体化されて形成されているので、例えば、既設の架台装置10に備えられているカバーを、実施形態に係るカバーに取り替える場合においても、その作業性を損なうことなく交換することが可能である。また、架台装置10の構造に対して、カバーの構造は比較的自由に変更することが可能であるので、様々な架台装置10において、実施形態に係るカバーを適用することが可能である。
【0048】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【0049】
例えば、流入口108は、カバーの上下に位置している例を示したが、これには限られず、適切に室温又は冷たい空気が流入できる位置に設けられていればよい。また、吸気口106から流入口108の流路は、図示したものに限られず、2重のカバーの間において上述した効果が得られるように設けられていればよい。
【符号の説明】
【0050】
1:X線CT装置
10:架台装置、100:フロントカバー、100A:第1外側部材、100B:第1内側部材、102:リアカバー、102A:第2外側部材、102B:第2内側部材、104:サイドカバー、106、110:吸気口、108、112:流入口、114:収容空間、116、118:吸気口保護部材、120、122:サイドカバー、136:上面カバー、120A、122A、136A:第3外側部材、120B、122B、136B:第3内側部材、124、126、138:排気口、128、130:ファン、132、134、140、142:密閉部材
11:X線管、12:X線検出器、13:回転フレーム、14:X線高電圧装置、15:制御装置、16:ウェッジ、17:コリメータ、18:DAS、20:コンソール装置、21:メモリ、22:ディスプレイ、23:入力インターフェース、24:処理回路、30:医用寝台装置、31:基台、32:寝台駆動装置、33:天板、34:支持フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8