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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/00 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61H15/00 320B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018179283
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020048710
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1557264(KR,B1)
【文献】特開2017-119077(JP,A)
【文献】特開2018-086358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体をハンドルに対して取り付けるための美容器のソケットであって、
前記回転体および前記ハンドルの一方に配置され、
前記回転体および前記ハンドルの他方に取り付けられた軸受が着脱可能に取り付けられるよう構成されており、
本ソケットはさらに、前記回転体および前記ハンドルの前記一方と係合可能な弾性爪を備え、当該弾性爪によって前記回転体および前記ハンドルの前記一方に取り外し可能に係合されるよう構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項2】
前記軸受と係合可能な別の弾性爪を備えることを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
本ソケットと前記回転体および前記ハンドルの前記一方との係合を解除させるのに必要な引抜力よりも、前記軸受を本ソケットから取り外すのに必要な引抜力の方が小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のソケット。
【請求項4】
本ソケットを前記回転体および前記ハンドルの前記一方と係合させるのに必要な力よりも、本ソケットと前記回転体および前記ハンドルの前記一方と係合を解除させるのに必要な引抜力の方が大きくなるように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容器、特に施術体が着脱自在な美容器に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体である施術体を肌にあてて転がす美容器が知られている。顔に使用すると、あご周りのフェイスラインが引き締まり、リフトアップ効果が実感できる。複数の施術体が肌を摘み上げるタイプのものはマッサージ効果もあり、使っているだけでも気持ちがよい。より積極的に、リンパマッサージの要領で使えば、老廃物の排出が促進され、新陳代謝が上がり、肌艶を改善できる。脚に使えばむくみやセルライトもとれやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-103085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、施術体がハンドルに対して着脱自在な美容器を検討している。本発明者は、このような検討の過程で、美容器の製造を比較的容易にする技術を模索し、本発明に想到した。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、美容器の製造を比較的容易にするための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のソケットは、回転体をハンドルに対して取り付けるための美容器のソケットであって、回転体およびハンドルの一方に配置され、回転体およびハンドルの他方に取り付けられた軸受が着脱可能に取り付けられるよう構成されている。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、美容器の製造を比較的容易にするための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る美容器の斜視図である。
図2図1の美容器の上面図である。
図3図1の美容器の側面図である。
図4図1の美容器の底面図である。
図5図2のA-A線断面図である。
図6図5のソケットの斜視図である。
図7】第2の実施の形態に係る美容器の施術体とその周辺を示す断面図である。
図8】第3の実施の形態に係る美容器の施術体とその周辺を示す断面図である。
図9】第4の実施の形態に係る美容器の施術体とその周辺を示す断面図である。
図10】変形例に係る美容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1~4は、第1の実施の形態に係る美容器100の外観図である。図1は美容器100の斜視図であり、図2は美容器100の上面図であり、図3は美容器100の側面図であり、図4は美容器100の底面図である。美容器100は、ハンドル110と、一対の施術体120と、を備える。ハンドル110は、使用者が把持するためのハンドル本体111と、ハンドル本体111の長手方向の一端側に設けられる2本の枝部112と、含む。2本の枝部112は、ハンドル本体111から離れるほど互いの間隔が広くなるように延びる。各枝部112の先端側には、施術体120が設けられている。
【0012】
施術体120は、外形が球状であり、表面に多数の三角形の面を有する。なお、施術体120は、形状は特には限定されず、外形が円柱状、円錐台状、その他の形状であってもよい。施術体120は、炭素を含む材料により形成された炭素成形体であってもよい。この場合、施術体120の熱伝導率および放射率は高く、したがって施術体120は美容器100の使用開始から短時間で肌と同程度の温度に温められ、施術体120からの遠赤外線の放射量が増える。施術体120から肌に遠赤外線が放射されると、肌の血流およびリンパ液の循環が促進される。
【0013】
図5は、図2のA-A線断面図である。美容器100はさらに、支持軸130と、軸受140と、ソケット150と、を備える。支持軸130は、棒状の部材であり、導電性の材料、例えば金属材料により形成される。支持軸130の基端側は枝部112(図5では不図示)に保持される。支持軸130の先端側には、抜けが防止された状態に、軸受140が外嵌される。軸受140は、導電性の材料、例えば導電性樹脂によって形成される。なお、軸受140は、導電性樹脂に代えて、例えば非導電性樹脂によって形成され、その全面に金属メッキが施されてもよい。
【0014】
施術体120には、円柱状の非貫通穴である挿通穴121が形成されている。なお、挿通穴121は貫通穴であってもよい。施術体120には、外表面に加えて外表面から挿通穴121の周面121aに回り込むように、金属メッキが施されている。
【0015】
ソケット150は、施術体120の挿通穴121に挿入され、そこで後述のようにして着脱自在に施術体120に固定される。ソケット150は、例えば樹脂材料により、円筒状に形成されている。支持軸130に外嵌した軸受140は、ソケット150に挿入されて、そこで後述のようにして着脱(交換)自在にソケット150に取り付けられる。
【0016】
図6はソケット150の斜視図である。図5に加えて図6を参照する。ソケット150は、円筒状のソケット本体152と、3つのストッパ部材154と、3つのロック部材156と、3つのコンタクト部材158と、を含む。ストッパ部材154、ロック部材156およびコンタクト部材158は、導電性部材、例えば金属材料により形成される。なお、ストッパ部材154、ロック部材156およびコンタクト部材158の数は特に限定されない。
【0017】
ストッパ部材154は、ソケット本体152に、周方向に等間隔(すなわち120度間隔)に固定されている。ストッパ部材154は、ソケット本体152に、図示のように固定孔に嵌合されることで固定されても、接着により固定されても、その他の方法により固定されてもよい。
【0018】
ソケット150は、第1係合構造160により、施術体120の挿通穴121に係合される。本実施の形態の第1係合構造160は、スナップフィット構造であり、ストッパ部材154の第1弾性爪154aと、施術体120の挿通穴121の周面121aに形成された、径方向内側に突出する環状の突起121bと、を含む。
【0019】
第1弾性爪154aは、例えば板バネにより構成され、概ねソケット本体152の軸方向に沿って延在する。第1弾性爪154aは、ソケット本体152の径方向外側に突出する第1傾斜部154bおよび第2傾斜部154cを含む。第1傾斜部154bは、枝部112側ほどソケット本体152の中心軸Cから離れるように傾斜する。第2傾斜部154cは、第1傾斜部154bの枝部112側に連続し、枝部112側ほど中心軸に近づくように傾斜する。
【0020】
施術体120の挿通穴121にソケット150を差し込むとき、第1傾斜部154bと突起121bとの接触により、第1傾斜部154bと第2傾斜部154cとの境界部分154dが中心軸Cに近づくように第1弾性爪154aが弾性的に撓み変形する。ソケット150の差し込み量が大きくなって境界部分154dが突起121bを越えると、第1弾性爪154aは境界部分154dが中心軸Cから離れるように復元し、第2傾斜部154cが突起121bに係合される。これにより、ソケット150の抜けが規制される。
【0021】
所定の大きさ以上の力でソケット150を引き抜くと、第2傾斜部154cと突起121bとの接触により、境界部分154dが中心軸Cに近づくように第1弾性爪154aが弾性的に撓み変形し、第2傾斜部154cと突起121bとの係合が解除され、ソケット150が引き抜かれる。
【0022】
第1係合構造160は、好ましくは、ソケット150を挿通穴121に差し込んでソケット150を挿通穴121の突起121bに係合させるのに必要な力よりも、ソケット150を引っ張ってソケット150と挿通穴121の突起121bとの係合を解除させるのに必要な力の方が大きくなるように構成される。一例としては、中心軸Cに対する第1傾斜部154bの傾斜よりも、中心軸Cに対する第2傾斜部154cの傾斜を大きくすることで、これが実現される。
【0023】
ロック部材156とコンタクト部材158とは一体化されている。ロック部材156およびコンタクト部材158は、ソケット本体152に、ストッパ部材154から周方向に60度ずれるように、周方向に等間隔に固定されている。これらは、ストッパ部材154に、図示のように固定孔に嵌合されることで固定されても、接着により固定されても、その他の方法により固定されてもよい。
【0024】
支持軸130に外嵌した状態の軸受140は、第2係合構造170により、ソケット150に係合される。ロック部材156の第2弾性爪156aと、軸受140の外周面140aに形成された径方向内側に凹んだ環状の凹部140bと、を含む。
【0025】
第2弾性爪156aは、例えば板バネにより構成される。第2弾性爪156aは、ソケット本体152の径方向内側に突出する第1傾斜部156bおよび第2傾斜部156cを含む。第1傾斜部156bは、先端側ほどソケット本体152の中心軸Cに近づくように傾斜する。第2傾斜部156cは、第1傾斜部156bの先端側に連続し、先端側ほど中心軸Cから離れるように傾斜する。
【0026】
ソケット150に軸受140を差し込むとき、第1傾斜部156bと軸受140の外周面140aとの接触により、第1傾斜部156bと第2傾斜部156cとの境界部分156dが中心軸Cから離れるように第2弾性爪156a弾性的に撓み変形する。軸受140の差し込み量が大きくなって境界部分156dが凹部140bに到達すると、第2弾性爪156aは境界部分156dが中心軸Cに近づくように復元し、第1傾斜部156bおよび第2傾斜部156cが凹部140bに進入し、第2傾斜部156cが凹部140bに係合される。これにより、軸受140の抜けが規制される。
【0027】
所定の大きさ以上の引抜力で軸受140を引き抜く(すなわちハンドル10を引っ張る)と、第2傾斜部156cと凹部140bとの接触により、境界部分156dが中心軸Cから離れるように第2弾性爪156aが弾性的に撓み変形し、第2傾斜部156cと凹部140bとの係合が解除され、軸受140が引き抜かれる。
【0028】
第2係合構造170は、好ましくは、軸受140をソケット150に差し込んで軸受140をソケット150に係合させるのに必要な力よりも、軸受140を引っ張って軸受140とソケット150との係合を解除させるのに必要な力の方が大きくなるように構成される。一例としては、中心軸Cに対する第1傾斜部156bの傾斜よりも、中心軸Cに対する第2傾斜部156cの傾斜を大きくすることで、これが実現される。
【0029】
また、第1係合構造160および第2係合構造170は、好ましくは、ソケット150を引っ張ってソケット150と挿通穴121の突起121bとの係合を解除させるのに必要な力よりも、軸受140を引っ張って軸受140とソケット150との係合を解除させるのに必要な力の方が小さくなるように構成される。これにより、施術体120をハンドル10から取り外そうとして施術体120を引っ張ったときに、ソケット150が施術体120から外れてしまうのを抑止できる。一例としては、第1弾性爪154aの第2傾斜部154cの傾斜、第2弾性爪156aの第2傾斜部156cの傾斜、挿通穴121に形成された突起121bの形状、軸受140に形成された凹部140bの形状、などを適宜調整することにより、これが実現される。
【0030】
コンタクト部材158は、例えば板バネにより構成される。コンタクト部材158の一端側は、ロック部材156に接続されている。コンタクト部材158の他端は、ソケット本体152の径方向外側に突出している。軸受140がソケット150に取り付けられた状態では、すなわち軸受140が施術体120の挿通穴121に差し込まれた状態では、コンタクト部材158は自身の弾性によって施術体120の挿通穴121の周面121aに圧接されている。また、ロック部材156は自身の弾性によって軸受140の凹部140bの周面に圧接されている。したがって、支持軸130、軸受140、ロック部材156、コンタクト部材158、施術体120は直列に電気的に接続されている。
【0031】
ハンドル10内には不図示の電源が設けられており、そのプラス端子、マイナス端子はそれぞれ、支持軸130、ハンドル110に電気的に接続されている。したがって、施術体120が人体に触れると、電源、支持軸130、軸受140、ロック部材156、コンタクト部材158、施術体120、人体、ハンドル110を含む閉回路が形成され、人体に微弱電流が流れる。なお、施術体120に供給される電流は、例えば施術体120を温めるヒータなど、他の用途に使用されてもよい。
【0032】
以上で説明したように、美容器100では、施術体120をハンドル110に対して着脱できる。これにより、施術体120が破損等した場合に交換できる。また、異なる形状の施術体120を使用したい場合に交換できる。したがって、美容器に本発明を適用することで、商品価値を高めることができる。
【0033】
また、美容器100では、ソケット150と軸受140との間で着脱され、軸受140には外周面140aにソケット150と係合する係合部(上述の例では凹部140b)を設ければよく、すなわちハンドル110に対して施術体120を着脱自在とするにあたり支持軸130と軸受140との間には影響がなく、したがって、支持軸130と軸受140との間の設計については、安定した回転を実現している従来品の技術を踏襲できる。
【0034】
また、美容器100では、軸受140と係合するための係合構造を施術体120の内部に形成する必要がなく、施術体120ひいては美容器100の製造が比較的容易となる。
【0035】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る美容器200の施術体220とその周辺を示す断面図である。図7は、第1の実施の形態の図5に対応する。第1の実施の形態との主な相違点は、軸受が施術体に固定され、軸受と支持軸との間で着脱される点である。
【0036】
美容器200は、ハンドル110と、一対の施術体220と、支持軸230と、軸受240と、を備える。施術体220は、形状は特には限定されないが、図示の例では外形が球状である。施術体220には、円柱状の非貫通穴である挿通穴221が形成されている。なお、挿通穴221は貫通穴であってもよい。
【0037】
軸受240は、施術体220の挿通穴221に挿入され、そこで施術体220に固定される。軸受240は、ハウジング241と、複数のボール(転動体)242と、外輪244と、付勢部材245と、を含む。
【0038】
ハウジング241は、略カップ状の所定の形状に形成される。複数のボール242は、ハウジング241の内周面に形成された、径方向外側に凹んだ環状の凹部241a内に周方向に並ぶように配置される。複数のボール242は、不図示のリテーナにより、相対位置が保持されるとともに回転自在に支持される。外輪244は、複数のボール242を環囲する。なお、軸受240は専用の内輪を有しておらず、支持軸230の外周面230aが内輪を兼用する。付勢部材245は、例えば板バネであり、軸を環囲するように設けられ、複数のボール242を径方向内側に押し付ける。
【0039】
支持軸230の先端側は、軸受240に挿入される。支持軸230の先端側の外周面230aには、径方向内側に凹んだ環状の凹部230bが形成されており、付勢部材245によって径方向内側に押し付けられている複数のボール242がこの凹部230bに係合することで、支持軸230ひいてはハンドル110に対して、軸受240ひいては施術体220が取り付けられる。例えば施術体220を引っ張ることにより所定の大きさ以上の引抜力で施術体220から支持軸230を相対的に引き抜くと、凹部230bの周面で複数のボール242が径方向外側に押し戻され、複数のボール242が凹部230bから離脱し(すなわち係合が解除され)、支持軸230が引き抜かれる。
【0040】
つまり本実施の形態の軸受240は、回転自在、かつ、着脱自在に支持軸230を保持する。
【0041】
本実施の形態に係る美容器200によると、第1の実施の形態に係る美容器100によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0042】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る美容器300の施術体320とその周辺を示す断面図である。図8は、第1の実施の形態の図5に対応する。第3の実施の形態では、軸受が施術体に固定され、当該軸受に抜けが防止された状態に軸が挿入される。すなわち施術体に軸受と軸が取り付けられる。そして、施術体に取り付けられた軸が着脱自在にハンドルに取り付けられる。以下、第1の実施の形態に係る美容器との相違点を中心に説明する。
【0043】
美容器300は、ハンドル110と、一対の施術体320と、支持軸330と、軸受340と、支持軸ホルダ(ソケット)350と、を備える。
【0044】
施術体320には、非貫通穴である挿通穴321が形成されている。挿通穴321は、いずれも円柱状である、小径部321aと、小径部321aの枝部112側に連続し、小径部321aよりも大径の大径部321bと、を含む。なお、挿通穴321は貫通穴であってもよい。すなわち、小径部321aの枝部112とは反対側が開口してもよい。
【0045】
軸受340は、円筒部340aと、フランジ部340bと、を含む。軸受340は、円筒部340aが小径部321aに挿入され、フランジ部340bが小径部321aと大径部321bとの段差で係止された状態で、挿通穴321に固定される。軸受340の円筒部340aには、抜けが防止された状態に支持軸330が挿入され、そこで回転可能に支持される。
【0046】
支持軸ホルダ350は、本体部351と、ボール352と、付勢部材353と、を含む。本体部351は、円筒部351aと底部351bとが一体に形成された有底カップ形状を有し、その底部351bを枝部112側にして、枝部112の支持筒114に固定される。ボール352は、本体部351の円筒部351aを径方向に貫通する収容穴351cに、その一部が円筒部351aの内側に突出するように収容される。付勢部材353は、例えばCリングであり、ボール352を径方向内側に押し付ける。
【0047】
支持軸ホルダ350には、支持軸330の基端側が挿入される。支持軸330の基端側には、径方向内側に凹んだ環状の凹部330aが形成されており、この凹部330aにボール352が係合することで、支持軸330ひいては施術体320がハンドル110に対して取り付けられる。例えば施術体320を引っ張ることにより所定の大きさ以上の引抜力で施術体320から支持軸330を相対的に引き抜くと、凹部330aの周面でボール352が径方向外側に押し戻され、ボール352が凹部330aから離脱し(すなわち係合が解除され)、支持軸330が引き抜かれる。
【0048】
本実施の形態に係る美容器300によると、第1の実施の形態に係る美容器100によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0049】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態に係る美容器400の施術体420とその周辺を示す断面図である。図9は、第1の実施の形態の図5に対応する。第4の実施の形態では、磁力により施術体がハンドルに対して着脱自在に取り付けられる。
【0050】
美容器400は、ハンドル110と、一対の施術体420と、支持軸430と、軸受440と、磁石450と、ヨーク452と、磁性体490と、を備える。施術体420は、形状は特には限定されないが、図示の例では外形が球状である。施術体420には、円柱状の非貫通穴である挿通穴421が形成されている。
【0051】
支持軸430は基端側が枝部112に保持される。支持軸430には軸受440が外嵌される。磁石450は、円筒状であり、軸受440の先端側を環囲して軸受440に固定される。ヨーク452は、磁石450および軸受440を環囲してそれらに固定される。施術体420には、挿通穴421の底面421cまたはその近傍に、磁性体490が埋め込まれている。
【0052】
つまり、支持軸430、軸受440、磁石450およびヨーク452が枝部112ひいてはハンドル10と一体となっており、磁性体490が施術体420と一体になっている。そして施術体420は、磁石450と磁性体490との間に生じる吸引力により、ハンドル10に対して着脱可能に取り付けられる。
【0053】
本実施の形態に係る美容器400によると、第1の実施の形態に係る美容器100によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0054】
以上、本発明について実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0055】
(変形例1)
実施の形態では、美容器が施術体を2つ備える場合について説明したが、これに限られず、施術体を1つまたは3つ以上備えてもよい。
【0056】
(変形例2)
第1の実施の形態では、施術体120に着脱自在に取り付けられたソケット150に、ハンドル10に対して取り付けられた軸受140が着脱自在に取り付けられる場合について説明したが、これに限られない。施術体120に支持軸130が固定され、施術体120から突出した支持軸130の基端側に抜けが防止された状態に軸受140が外嵌されてもよい。すなわち施術体120に対して軸受140が取り付けられてもよい。そして、ハンドル110にソケット150が着脱自在に取り付けられ、当該ソケット150に、施術体120に対して取り付けられた軸受140が着脱自在に取り付けられてもよい。
【0057】
(変形例3)
第2の実施の形態では、施術体に取り付けられた軸受が、ハンドルに取り付けられた支持軸を回転自在、かつ、着脱自在に保持する場合について説明したが、これに限られず、ハンドルに軸受が取り付けられ、当該軸受が、施術体に取り付けられた支持軸を回転自在、かつ、着脱自在に保持してもよい。
【0058】
(変形例4)
実施の形態では、施術体が回転体であり、ハンドルに対して回転自在に支持される場合について説明したが、これに限られず、施術体は非回転体あり、ハンドルに対して回転不可能に支持されてもよい。
【0059】
具体的には例えば、図5の例において、美容器100が軸受140を備えず、すなわち支持軸130に軸受140は外嵌されず、支持軸130の外周面に径方向内側に凹む環状の凹部が形成され、この凹部にロック部材156の第2弾性爪156aが係合することにより施術体120がハンドル110に取り付けられてもよい。
【0060】
また例えば、図9の例において、美容器400が軸受440を備えず、すなわち支持軸430に軸受440は外嵌されず、磁石450が支持軸430の外周面を環囲して支持軸430に固定されてもよい。
【0061】
(変形例5)
図10は、変形例に係る美容器500の正面図である。美容器500は、ハンドル110と、一対の施術体520と、を備える。一対の施術体520は、着脱自在にハンドル110に支持される。施術体520の外形は、回転軸を中心軸とする円錐台状である。実施の形態では特に言及しなかったが、一対の施術体が球状の場合、一対の施術体を肌に押し当てながらハンドル110を動かすと一対の施術体の間で肌が摘み上げられたり押し広げられたりする。これに対し本変形例では、施術体520は円錐台形状であるため、球状の場合に比べて肌との接触面積が大きくなり、肌の広い範囲が押し流されるような体感が得られる。このように、施術体を異なる形状のものに交換することで、異なる体感を得られる。また、円錐台形状である施術体520について、テーパ角αが異なるものを複数対用意してもよい。施術体520のテーパ角αが異なれば、一対の施術体520の間の開き角βも異なる。開き角βは、各施術体520の中心軸を通る平面で一対の施術体520を切断した切断面において、施術体520の側面がなす鋭角である。テーパ角αが大きくなれば、開き角βは小さくなり、テーパ角αが小さくなれば、開き角βは大きくなる。したがって、施術体520をテーパ角αが異なるものに交換することで、異なる体感を得ることができる。
【0062】
またハンドル110は、摘み上げ(ニーディング)に最も適した角度で球状の施術体が取り付けられるように構成されている。このため、押し流す(エルフラ-ジュ)手技を再現するために、施術体を外形が円柱状のものに交換しても、施術体の間隔が狭すぎて押し流す手技を再現できない。これに対し、施術体の外形を円錐台状(すなわち先細)にして先端側ほど施術体の間隔が広くなるようにすることで、摘み上げに最も適したハンドル110でも、施術体を取り替えるだけで、押し流す手技を再現することができる。
【0063】
上述した実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0064】
100 美容器、 110 ハンドル、 120 施術体、 150 ソケット。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10