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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】電源装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20221128BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221128BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H02M3/28 H
G03G21/00 398
G03G15/00 680
H02M3/28 Q
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018189552
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020061799
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】大野 篤史
(72)【発明者】
【氏名】大舘 崇
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 敬造
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-52161(JP,A)
【文献】特開2016-73060(JP,A)
【文献】特開2013-188083(JP,A)
【文献】特開2014-230377(JP,A)
【文献】特開2017-192210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流、平滑して入力電圧を生成する整流平滑手段と、
一次巻線、二次巻線及び補助巻線を有するトランスと、
前記入力電圧が印加される前記トランスの前記一次巻線に接続されたスイッチング手段と、
前記トランスの前記二次巻線に誘起された電圧に応じたフィードバック電圧を出力するフィードバック手段と、
前記スイッチング手段を連続発振させる連続モード、又は前記スイッチング手段を連続発振させる動作期間と前記スイッチング手段を停止させる休止期間を交互に繰り返して前記スイッチング手段を間欠発振させる間欠モードに切り換えが可能で、前記スイッチング手段のスイッチング動作を制御するスイッチング制御手段と、
を備える電源装置であって、
前記補助巻線に誘起される電圧に基づいて、前記トランスの二次側に接続された負荷を検知する負荷検知手段と、
電荷を蓄積可能なコンデンサを有し、前記負荷検知手段の検知結果に基づいて、前記コンデンサの容量を切り換える容量切り換え手段と、
前記フィードバック手段から入力された前記フィードバック電圧に基づいて、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの充電又は放電を行い、前記スイッチング手段による前記スイッチング動作を制御する周期制御手段と、
を備え、
前記スイッチング制御手段が前記間欠モードの場合に、
前記周期制御手段は、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が所定の電圧以上の場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を行い、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が前記所定の電圧より小さい場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を停止させ、
前記容量切り換え手段は、前記負荷検知手段により検知された前記負荷が所定の負荷以上の第一の待機状態の場合には、前記負荷検知手段により検知された前記負荷が前記所定の負荷より小さい第二の待機状態に比べて、前記コンデンサ容量を減らすことにより前記間欠モードの間欠周期を短くし、前記第二の待機状態の場合には、前記第一の待機状態に比べて、前記コンデンサ容量を増やすことにより前記間欠モードの間欠周期を長くすることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記補助巻線に誘起される電圧は、前記トランスの二次側に接続された前記負荷に応じて大きくなることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記負荷検知手段は、前記補助巻線に誘起される電圧を分圧する抵抗と、前記抵抗により分圧された電圧が入力される第一のスイッチ素子と、を有し、
前記第一のスイッチ素子は、前記入力される電圧が第一の閾値以上となる前記第一の待機状態の場合には第一の信号を出力し、前記入力される電圧が前記第一の閾値未満となる前記第二の待機状態の場合には前記第一の信号とは異なる第二の信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記容量切り換え手段は、第一のコンデンサと、第二のスイッチ素子と直列に接続された第二のコンデンサと、が並列に接続された回路を有し、
前記第二のスイッチ素子には、前記負荷検知手段から前記第一の信号又は前記第二の信号が入力され、
前記容量切り換え手段の前記コンデンサの容量は、
前記第二のスイッチ素子に前記第二の信号が入力された場合には、前記第二のスイッチ素子がオンし、前記第一のコンデンサ及び前記第二のコンデンサのそれぞれの容量を合計した容量であり、
前記第二のスイッチ素子に前記第一の信号が入力された場合には、前記第二のスイッチ素子はオフし、前記第一のコンデンサの容量であることを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記周期制御手段は、前記フィードバック電圧が第二の閾値以上の場合には、前記容量切り換え手段のコンデンサの充電を行い、前記フィードバック電圧が前記第二の閾値より小さい場合には、前記容量切り換え手段のコンデンサの放電を行うことを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記スイッチング制御手段は、外部からの信号に基づいて、前記スイッチング手段を前記連続モード又は前記間欠モードに切り換えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記スイッチング手段は、直列に接続された第一のスイッチング素子及び第二のスイッチング素子を有し、
前記第一のスイッチング素子は、一端が前記整流平滑手段の一端に接続され、他端が前記第二のスイッチング素子に接続され、
前記第二のスイッチング素子は、一端が前記第一のスイッチング素子の前記他端に接続され、他端が前記整流平滑手段の他端に接続され、
前記一次巻線は、一端が前記第一のスイッチング素子の前記他端と前記第二のスイッチング素子の前記一端とに接続され、他端が共振コンデンサの一端と接続され、
前記共振コンデンサの他端は、前記第二のスイッチング素子の前記他端と接続されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
記録材に画像形成を行う画像形成手段と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電源装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
記録材に画像形成を行う画像形成手段と、
請求項6に記載の電源装置と、
を備える画像形成装置であって、
前記画像形成手段を制御するコントローラを備え、
前記外部からの信号は、前記コントローラから出力された信号であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
記録材に画像形成を行う画像形成手段と、
前記画像形成手段を制御するコントローラと、
前記画像形成手段に電力を供給する電源装置と、
を備える画像形成装置であって、
前記電源装置は、
交流電圧を整流、平滑して入力電圧を生成する整流平滑手段と、
一次巻線、二次巻線及び補助巻線を有するトランスと、
前記入力電圧が印加される前記トランスの前記一次巻線に接続されたスイッチング手段と、
前記トランスの前記二次巻線に誘起された電圧に応じたフィードバック電圧を出力するフィードバック手段と、
前記スイッチング手段を連続発振させる連続モード、又は前記スイッチング手段を連続発振させる動作期間と前記スイッチング手段を停止させる休止期間を交互に繰り返して前記スイッチング手段を間欠発振させる間欠モードに切り換えが可能で、前記スイッチング手段のスイッチング動作を制御するスイッチング制御手段と、
電荷を蓄積可能なコンデンサを有し、前記コントローラからの指示に基づいて、前記コンデンサの容量を切り換える容量切り換え手段と、
前記フィードバック手段から入力された前記フィードバック電圧に基づいて、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの充電又は放電を行い、前記スイッチング手段による前記スイッチング動作を制御する周期制御手段と、
を備え、
前記スイッチング制御手段が前記間欠モードの場合に、
前記周期制御手段は、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が所定の電圧以上の場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を行い、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が前記所定の電圧より小さい場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を停止させ、
前記容量切り換え手段は、前記コントローラからの前記指示が、前記トランスの二次側に接続された負荷が所定の負荷以上の第一の待機状態の場合には、前記コントローラからの前記指示における前記負荷が前記所定の負荷より小さい第二の待機状態に比べて、前記コンデンサ容量を減らすことにより前記間欠モードの間欠周期を短くし、前記第二の待機状態の場合には、前記第一の待機状態に比べて、前記コンデンサ容量を増やすことにより前記間欠モードの間欠周期を長くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記スイッチング制御手段に、前記スイッチング手段の前記連続モード又は前記間欠モードへの切り換えを指示することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続モードと間欠モードとを切り換え可能な電源装置、及び電源装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネルギー化の要求の増大に伴い、プリンタ等の画像形成装置のような電子機器は、消費電力を低減させた第1の待機状態に加え、第1の待機状態より更に消費電力を低減させることを目的とした第2の待機状態を備えている。第1の待機状態では、例えば、液晶パネル部や、スキャナに原稿が設置されたことを検知するためのフォトセンサ部等が動作している。第2の待機状態では、これらの消費電力の比較的大きな動作部は停止させ、第2の待機状態から第1の待機状態に復帰するトリガーを検知するためのユーザインターフェース部等の最低限の機能のみを動作させる。これにより、電源装置の負荷を軽減し、消費電力の低減化を図っている。また、電源装置を制御する電源制御ICでは、省エネルギー化の要求に対応するため、常時スイッチング動作を行う連続モードに加え、間欠的にスイッチング動作を行って消費電力を低減する間欠モードを備えた電源制御ICが増加傾向にある。画像形成装置の電源装置は、プリント動作に即座に移行するために、電源制御ICは、第1の待機状態では連続モードで動作している場合が多い。一方、電源制御ICは、第2の待機状態では、省エネルギー化の度合いを高めるために、間欠モードで動作し、スイッチングによる損失を減少させている。
【0003】
しかし、例えば電流共振方式でスイッチング動作を行う電源装置の場合、第1の待機状態において連続モードで動作しているため、トランスの一次側には定常的に共振電流が流れている。このため、電源装置に接続されている負荷が小さいにもかかわらず、共振電流による消費電力の増大や素子の昇温が生じ、場合によっては、ファン等の冷却手段が必要になるという課題があった。そこで、例えば特許文献1では、第1の待機状態及び第2の待機状態に限らず、待機状態においては間欠モードで動作し、動作状態においては速やかに連続モードに切り換えることで、待機状態における消費電力の低減及び素子の低温化が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-100252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1では、画像形成装置のように複数の待機状態を備えた構成は想定されていないため、上述した第1の待機状態と第2の待機状態とで、間欠モードでの間欠周期を切り換える手段は設けられていない。ここで、間欠モードは、電源制御ICの機能として自動的に制御が行われ、間欠周期は、電源制御ICに接続される外部回路によって調整することが一般的である。例えば、コンデンサへの充放電を行う回路を外部回路として設け、電源制御ICは、外部回路の電圧と基準電圧とを比較することにより、間欠周期を制御する。間欠動作は、間欠周期が長い程、消費電力を低減できるため、通常、第2の待機状態での消費電力を低減させるために、第2の待機状態での間欠周期が長くなるように回路定数が設定されている。
【0006】
そのため、外部回路の回路定数を、第2の待機状態と同一の回路定数に設定して、第1の待機状態にて間欠モードを動作させた場合には、間欠周期が長くなる。間欠モード中の休止期間には、トランスの二次側への電力供給は行われない。上述した負荷には、スイッチング動作を休止している期間でも、電力供給が行われるため、間欠周期が長いと、負荷に供給される直流電圧が低下する。その結果、間欠周期が短い場合と比較して、間欠周期が長い場合には、消費電力は低減できるものの、スイッチング動作期間とスイッチング休止期間の直流電圧の変動量(以下、直流電圧リップルという)が増大するという課題が生じる。直流電圧リップルが増大すると、負荷として接続されているIC等に供給される直流電圧が、ICの電源電圧定格を超えることによってICが破壊されたり、逆にICの動作保証電圧を下回ることによってICが動作不良を引き起こしたりするおそれがある。
【0007】
一方、第1の待機状態の直流電圧リップルを低減するために、外部回路の回路定数を第2の待機状態とは異なる回路定数に設定して間欠周期を短くした場合には、第2の待機状態では、スイッチング回数が増加することになる。その結果、消費電力が増加し、省エネルギー化の度合い(以下、省エネルギー性ともいう)が低下することになる。このように、上述した従来技術のように、単一の待機状態を想定した構成をそのまま画像形成装置に搭載する電源装置に適用した場合には、第1の待機状態での低直流電圧リップル化と、第2の待機状態での低消費電力化を両立できないという課題が生じる。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、第1の待機状態での直流電圧リップルを低減させることと、第2の待機状態での消費電力を低減させることとを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0010】
(1)交流電圧を整流、平滑して入力電圧を生成する整流平滑手段と、一次巻線、二次巻線及び補助巻線を有するトランスと、前記入力電圧が印加される前記トランスの前記一次巻線に接続されたスイッチング手段と、前記トランスの前記二次巻線に誘起された電圧に応じたフィードバック電圧を出力するフィードバック手段と、前記スイッチング手段を連続発振させる連続モード、又は前記スイッチング手段を連続発振させる動作期間と前記スイッチング手段を停止させる休止期間を交互に繰り返して前記スイッチング手段を間欠発振させる間欠モードに切り換えが可能で、前記スイッチング手段のスイッチング動作を制御するスイッチング制御手段と、を備える電源装置であって、前記補助巻線に誘起される電圧に基づいて、前記トランスの二次側に接続された負荷を検知する負荷検知手段と、電荷を蓄積可能なコンデンサを有し、前記負荷検知手段の検知結果に基づいて、前記コンデンサの容量を切り換える容量切り換え手段と、前記フィードバック手段から入力された前記フィードバック電圧に基づいて、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの充電又は放電を行い、前記スイッチング手段による前記スイッチング動作を制御する周期制御手段と、を備え、前記スイッチング制御手段が前記間欠モードの場合に、前記周期制御手段は、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が所定の電圧以上の場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を行い、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が前記所定の電圧より小さい場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を停止させ、前記容量切り換え手段は、前記負荷検知手段により検知された前記負荷が所定の負荷以上の第一の待機状態の場合には、前記負荷検知手段により検知された前記負荷が前記所定の負荷より小さい第二の待機状態に比べて、前記コンデンサ容量を減らすことにより前記間欠モードの間欠周期を短くし、前記第二の待機状態の場合には、前記第一の待機状態に比べて、前記コンデンサ容量を増やすことにより前記間欠モードの間欠周期を長くすることを特徴とする電源装置。
(2)記録材に画像形成を行う画像形成手段と、前記(1)に記載の電源装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
(3)記録材に画像形成を行う画像形成手段と、前記画像形成手段を制御するコントローラと、前記画像形成手段に電力を供給する電源装置と、を備える画像形成装置であって、前記電源装置は、交流電圧を整流、平滑して入力電圧を生成する整流平滑手段と、一次巻線、二次巻線及び補助巻線を有するトランスと、前記入力電圧が印加される前記トランスの前記一次巻線に接続されたスイッチング手段と、前記トランスの前記二次巻線に誘起された電圧に応じたフィードバック電圧を出力するフィードバック手段と、前記スイッチング手段を連続発振させる連続モード、又は前記スイッチング手段を連続発振させる動作期間と前記スイッチング手段を停止させる休止期間を交互に繰り返して前記スイッチング手段を間欠発振させる間欠モードに切り換えが可能で、前記スイッチング手段のスイッチング動作を制御するスイッチング制御手段と、電荷を蓄積可能なコンデンサを有し、前記コントローラからの指示に基づいて、前記コンデンサの容量を切り換える容量切り換え手段と、前記フィードバック手段から入力された前記フィードバック電圧に基づいて、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの充電又は放電を行い、前記スイッチング手段による前記スイッチング動作を制御する周期制御手段と、を備え、前記スイッチング制御手段が前記間欠モードの場合に、前記周期制御手段は、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が所定の電圧以上の場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を行い、前記容量切り換え手段の前記コンデンサの電圧が前記所定の電圧より小さい場合には、前記スイッチング制御手段による前記スイッチング手段の前記スイッチング動作を停止させ、前記容量切り換え手段は、前記コントローラからの前記指示が、前記トランスの二次側に接続された負荷が所定の負荷以上の第一の待機状態の場合には、前記コントローラからの前記指示における前記負荷が前記所定の負荷より小さい第二の待機状態に比べて、前記コンデンサの容量を減らすことにより前記間欠モードの間欠周期を短くし、前記第二の待機状態の場合には、前記第一の待機状態に比べて、前記コンデンサの容量を増やすことにより前記間欠モードの間欠周期を長くすることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の待機状態での直流電圧リップルを低減させることと、第2の待機状態での消費電力を低減させることとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1、3の電源装置の回路構成を示す回路図
図2】実施例1~3の電流共振回路の動作を説明する図
図3】実施例1~3の電流共振回路のFETのドレイン電流波形を示す図
図4】実施例1~3の電源制御ICの構成を示すブロック図
図5】実施例1~3の間欠モードにおけるスイッチング動作を説明するタイミングチャート
図6】従来例における間欠周期-負荷領域特性を示す図
図7】実施例1の構成における間欠周期-負荷領域特性を示す図
図8】実施例2、3の電源装置の構成を示す回路図
図9】実施例3の画像形成装置の構成を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
[電源装置の構成]
図1は、実施例1の電源装置の回路構成を示す回路図である。本実施例の電源装置は、一般的な電流共振方式でスイッチング動作を行う電源装置である。図1において、インレット101から入力された交流電圧は、ヒューズ102、コモンモードコイル103を経て、整流ダイオードブリッジ104により整流され、平滑コンデンサ105により平滑化される。トランス109のスイッチングを行う電界効果トランジスタ(以下、FETという)106、107は直列に接続されている。そして、平滑コンデンサ105の一端はFET106(第一のスイッチング素子)のドレイン端子に接続され、平滑コンデンサ105の他端はFET107(第二のスイッチング素子)のソース端子に接続されている。
【0017】
トランス109は、漏洩インダクタンスがコントロールされて設計されたトランスであり、一次側には一次巻線110、補助巻線113を有し、二次側には二次巻線111、112を有する。一次巻線110の一端は、FET107のドレイン端子とFET106のソース端子との接続点に接続され、一次巻線110の他端は、電流共振コンデンサの一端に接続され、電流共振コンデンサの他端は、FET107のソース端子に接続されている。補助巻線113には、補助巻線113に誘起された電圧を整流平滑するダイオード114、平滑コンデンサ115が接続され、平滑コンデンサ115に蓄えられた電圧は電源制御IC121のVCC端子に入力される。トランス109の二次巻線111、112には、それぞれダイオード131、132が接続され、ダイオード131、132は、二次巻線111、112に誘起された電圧を整流し、平滑コンデンサ133により平滑化される。平滑コンデンサ133に蓄えられた電圧は、二次側の出力電圧である直流電圧Voutとして、電源装置に接続された負荷134に出力される。
【0018】
直流電圧Voutの状態を一次側にフィードバックするフィードバック部は、フォトカプラ144、シャントレギュレータ143、抵抗141、142から構成されている。シャントレギュレータ143のREF端子には、直流電圧Voutを抵抗141、142で分圧された電圧が入力される。フィードバック部の動作については、後述する。電源装置の連続モード、間欠モードを切り換えるモード切替部は、フォトカプラ205、トランジスタ204から構成され、コントロールユニット201のGP01端子から出力される信号に応じてトランジスタ204がオン、オフされる。トランジスタ204のオン、オフにより、フォトカプラ205のフォトトランジスタがオン、オフし、フォトカプラ205のフォトトランジスタが接続されている電源制御IC121のREG端子及びSB端子の入力電圧に応じて、モード切替が行われる。
【0019】
電源装置を制御する電源制御IC121は、FET106、107のゲート端子に電圧を印加し、FET106、107のオン・オフ動作を制御するG1、G2端子、及び補助巻線113で生成された電源電圧が供給されるVCC端子を備えている。また、電源制御IC121は、定電圧を出力するREG端子、及び電源装置から出力される直流電圧Voutの電圧値をモニタするためのFB(フィードバック)端子を備えている。更に、電源制御IC121は、コントロールユニット201のGP01端子から出力される信号に応じて連続モードと間欠モードを切り換える機能、及び間欠モードでのスイッチング周波数と間欠周期を決定するためのSB端子を備えている。なお、電源制御IC121は、SB端子の端子電圧VSB(以下、SB端子電圧VSBという)がモード切り換え閾値の電圧以上になった場合には、FET106、107を所定周期で連続発振させる連続モードに切り換える。一方、電源制御IC121は、SB端子電圧VSBがモード切り換え閾値未満になった場合には、FET106、107を所定周期よりも長い周期で間欠発振させる間欠モードに切り換える。電源制御IC121のFB端子には、フォトカプラ144と並列に接続されたコンデンサ122が接続されている。そして、電源制御IC121は内部にFB端子と接続された定電流回路(図4の電流源501)を有し、コンデンサ122に電荷を供給する。また、電源制御IC121はSB端子と接続されたコンデンサへの充電及び放電を行うために、内部にSB端子と接続された定電流充電回路及び定電流放電回路を備えている。更に、電源制御IC121は、SB端子電圧VSBに応じて、間欠モードにおける間欠周期、及びFET106、107のスイッチング周波数を制御する。
【0020】
負荷領域検知部30は、抵抗301、302、FET303を有し、FET303のゲート端子には、電源制御IC121のVCC端子に入力される電圧を抵抗301、302で分圧した電圧が印加される。また、負荷領域信号Sloadは、負荷領域検知部30から出力される信号であり、FET303のオン、オフ状態に応じて、ロー(Low)レベル、又はハイ(High)レベルの信号が出力される。
【0021】
間欠周期制御部40は、コンデンサ401、402、及びFET403を有し、FET403のゲート端子には、負荷領域信号Sloadが入力される。FET403とコンデンサ402は直列に接続され、コンデンサ401とは並列に接続されている。FET403のオン、オフ状態に応じて、電源制御IC121のSB端子に接続されるコンデンサは、それぞれ、2つのコンデンサ401、402、又はコンデンサ401のみとなる。
【0022】
[スイッチング動作の説明]
上述した回路構成において、電源制御IC121のVCC端子に補助巻線113から電源電圧が供給されると、電源制御IC121が起動される。電源制御IC121は起動されると、FET106、107の各ゲート端子にG1、G2端子から制御信号を出力し、FET106、107の動作を制御する。次に、図2図3を参照して、電源装置が搭載された画像形成装置が画像形成を行う通常モード(連続モードともいう)におけるトランス109の一次側の電流の流れについて、FET106、107のオン/オフ状態に応じた順序に沿って説明する。図2は、トランス109の一次側の電流の流れを説明するために、トランス109、FET106、107、電源制御IC121、平滑コンデンサ105から構成される電流共振回路の周辺回路部分を図1の回路図より抜き出した回路図である。図2では、説明の順に(a)から(f)の回路図に電流の流れを矢印で表示している。図3は、FET106、107のドレイン電流の電流波形を示した図であり、上図はFET106のドレイン電流の電流波形を示しており、下図はFET107のドレイン電流の電流波形を示している。図3では、縦軸は電流値、横軸は時間を示す。また、図3に示すFET106、107の波形図は、図2(a)~(f)の電流の流れと対応しており、図中に記載した順序番号(順序1~順序7)は、図2の(a)(順序1、7)~(f)(順序6)に対応する。
【0023】
1)順序1(図2(a)の状態)
図2(a)では、FET106がオン(ON)状態、FET107がオフ(OFF)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序1の破線で示している。図2(a)では、電流は平滑コンデンサ105からFET106を介して、トランス109の一次巻線110へと流れ、一次巻線110を流れた電流は、電流共振コンデンサ108を経て、平滑コンデンサ105に戻る電流経路で流れる。
【0024】
2)順序2(図2(b)の状態)
図2(b)では、FET106がオフ(OFF)状態、FET107がオフ(OFF)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序2の破線で示している。図2(b)では、FET106がオン状態からオフ状態になっても、トランス109の一次巻線110に流れる電流は図2(a)での電流の流れを維持しようと働く。そのため、トランス109の一次巻線110を流れる電流は、電流共振コンデンサ108を経て、FET107の寄生ダイオードを経由して一次巻線110に戻る電流経路で電流が流れる。
【0025】
3)順序3(図2(c)の状態)
図2(c)では、FET106がオフ(OFF)状態、FET107がオン(ON)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序3の破線で示している。図2(c)では、順序2の状態でFET107をオン状態にしても、引き続き、電流は、トランス109の一次巻線110から電流共振コンデンサ108を経て、FET107の寄生ダイオードを経由する電流経路で流れる。
【0026】
4)順序4(図2(d)の状態)
図2(d)では、順序3に引き続き、FET106がオフ(OFF)状態、FET107がオン(ON)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序4の破線で示している。図2(d)では、トランス109の漏洩インダクタンスと電流共振コンデンサ108との共振作用により、電流は、順序3の状態から次第に次のように流れる。すなわち、電流は、電流共振コンデンサ108からトランス109の一次巻線110へと流れ、FET107を経て、電流共振コンデンサ108に戻る電流経路で流れるように変化する。
【0027】
5)順序5(図2(e)の状態)
図2(e)では、FET106がオフ(OFF)状態、FET107がオフ(OFF)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序5の破線で示している。図2(e)では、順序4の状態のままでFET107をオン状態からオフ状態にしても、トランス109の一次巻線110に流れる電流は図2(d)での電流の流れを維持しようと働く。そのため、電流は、電流共振コンデンサ108からトランス109の一次巻線110へと流れ、トランス109の一次巻線110からFET106の寄生ダイオードを経由して、平滑コンデンサ105に向かう電流経路で流れる。
【0028】
6)順序6(図2(f)の状態)
図2(f)では、FET106がオン(ON)状態、FET107がオフ(OFF)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序6の破線で示している。図2(f)では、順序5の状態でFET106をオフ状態からオン状態にしても、引き続き、電流は、次のように流れる。すなわち、電流は、電流共振コンデンサ108からトランス109の一次巻線110へと流れ、トランス109の一次巻線110からFET106の寄生ダイオードを経由して、平滑コンデンサ105に向かう電流経路で流れる。
【0029】
7)順序7(図2(a)の状態)
図2(f)に引き続き、FET106がオン(ON)状態、FET107がオフ(OFF)状態であり、このときの電流の流れを図中、順序7の破線で示している。トランス109の漏洩インダクタンスと電流共振コンデンサ108との共振作用により、電流は、順序6の状態から、次第に次のように流れる。すなわち、電流は、平滑コンデンサ105からFET106を経由してトランス109の一次巻線110へと流れ、一次巻線110から電流共振コンデンサ108を経由して平滑コンデンサ105に戻る電流経路で、電流が流れるように変化する。
【0030】
このようにして、トランス109の一次巻線110には、正方向と逆方向の電流が交互に流れることになる。これにより、トランス109の二次巻線111、112に電圧が誘起され、その後、誘起された電圧は、2つのダイオード131、132、及び平滑コンデンサ133から構成される整流平滑回路によって整流・平滑化されて、直流電圧Voutが生成される。また、このとき、トランス109の補助巻線113にも電圧が誘起され、この誘起電圧は、ダイオード114、及び平滑コンデンサ115の整流平滑回路により整流平滑化され、電源制御IC121のVCC端子に電源電圧として入力される。なお、FET106、107のスイッチング周波数が低い程、FET106、107のオン時間が長くなるため、FET106、107のドレイン電流が増加し、トランス109の一次巻線110の電圧振幅が大きくなる。これにより、トランス109の二次側には、より大きな電圧が誘起され、より大きな電圧の直流電圧Voutを出力することができる。
【0031】
[フィードバック制御の説明]
次に、フィードバック部のフィードバック制御について説明する。トランス109の二次側から負荷134に直流電圧Voutが出力されると、直流電圧Voutを抵抗141、142によって分圧した電圧がシャントレギュレータ143のREF端子に入力される。シャントレギュレータ143は、REF端子の入力電圧が、シャントレギュレータ143が内部に有する基準電圧より高い場合は、カソード端子Kをアノード端子Aと導通させることで、シャントレギュレータ143を導通状態に設定する。一方、シャントレギュレータ143は、REF端子の入力電圧が、シャントレギュレータ143が内部に有する基準電圧以下の場合には、カソード端子Kをハイインピーダンス状態にして、シャントレギュレータ143を非導通状態に設定する。
【0032】
シャントレギュレータ143のカソード端子Kは、フォトカプラ144の発光ダイオードと接続され、シャントレギュレータ143が導通状態の場合には、フォトカプラ144の発光ダイオードに電流が流れる。これにより、フォトカプラ144のフォトトランジスタがオンする。一方、シャントレギュレータ143が非導通状態の場合には、フォトカプラ144の発光ダイオードには電流が流れず、フォトカプラ144のフォトトランジスタはオフする。また、フォトカプラ144のフォトトランジスタは、電源制御IC121のFB端子に接続されている。そのため、フィードバック電圧であるFB端子の電圧VFB(以下、FB端子電圧VFBという)は、FB端子に接続された定電流源から供給される電流量、コンデンサ122の容量値、フォトカプラ144のフォトトランジスタのオン・オフ状態により変化する。
【0033】
直流電圧Voutの電圧が高い場合には、REF端子の入力電圧が高くなり、シャントレギュレータ143が導通状態となる。これにより、フォトカプラ144の発光ダイオードが導通状態となり、フォトカプラ144のフォトトランジスタがオンし、その結果、コンデンサ122に充電された電荷が放電され、電源制御IC121のFB端子電圧VFBが低下する。
【0034】
一方、直流電圧Voutの電圧が低下すると、フォトカプラ144の発光ダイオードに流れる電流が減少するため、発光量が減り、フォトトランジスタに流れる電流も低下する。そのため、電源制御IC121内部のFB端子に接続されている定電流充電回路により電流が供給され、コンデンサ122が充電されることにより、FB端子電圧VFBは上昇する。そして、直流電圧Voutの電圧が更に低下して、シャントレギュレータ143のREF端子の入力電圧が、シャントレギュレータ143が内部に有する基準電圧以下になると、カソード端子Kはハイインピーダンス状態となる。その結果、フォトカプラ144の発光ダイオードには電流が流れなくなり、フォトトランジスタはオフ状態となるため、定電流充電回路から供給される電流によりコンデンサ122が充電されるため、FB端子電圧VFBは、更に上昇する。このように、電源制御IC121は、FB端子電圧VFBに基づいて、直流電圧Voutの電圧を検知することができ、FB端子電圧VFBに基づいて、FET106、107のスイッチング制御を行う。これにより、電源装置は、安定した直流電圧Voutを出力することが可能になる。
【0035】
[モード切り換え手順の説明]
電源装置は、連続モードの場合には常にスイッチング動作を行っているため、電源制御IC121の動作電流や、FET106、107のスイッチング時の損失により、消費電力がより増加する。そのため、近年の電源制御ICは、消費電力を低減させるためにスイッチング動作を間欠的に行う間欠モードを備えている。ここでは、電源装置が搭載された画像形成装置がプリント動作から待機状態に移行する際の、動作モードの切り換え手順について説明する。
【0036】
画像形成装置がプリント動作を行うときには、モータ等のアクチュエータを稼働させるために電源装置の負荷が大きく、負荷に必要な電力を供給するために、電源制御IC121は連続モードで動作するように設定される。そのため、コントロールユニット201は、GPO1端子からハイレベルの信号を出力し、これによりトランジスタ204がONし、フォトカプラ205の発光ダイオードが導通状態となり、フォトカプラ205のフォトトランジスタがオンする。フォトカプラ205のフォトトランジスタがオンすると、SB端子電圧VSBがREG端子の出力電圧(定電圧)まで上昇して、モード切り換え閾値よりも高くなると、電源制御IC121は、動作モードを連続モードに切り換える。
【0037】
一方、画像形成装置はプリント動作が終了して、待機状態へ移行すると、プリント動作のために稼動していたアクチュエータ類が停止し、電源装置の負荷が減少する。そのため、画像形成装置は待機状態になると、コントロールユニット201はGPO1端子からローレベルの信号を出力する。これにより、トランジスタ204がオフし、フォトカプラ205の発光ダイオードは非導通状態となり、フォトカプラ205のフォトトランジスタもオフする。フォトカプラ205のフォトトランジスタがオフすると、SB端子電圧VSBは徐々に低下し、モード切り換え閾値未満になると、電源制御IC121は動作モードを間欠モードに移行する。
【0038】
[間欠モード時におけるスイッチング動作の説明]
図4は、電源制御IC121のSB端子及びFB端子の内部構成と、その周辺回路を表したブロック図である。なお、以下では、第1の待機状態に発生し得る負荷の範囲を第1の負荷領域、第2の待機状態に発生し得る負荷の範囲を第2の負荷領域という。図4を参照して、従来の第1の待機状態での負荷状態、すなわち所定の負荷以上の負荷状態である第1の負荷領域内の負荷における間欠モードでのスイッチング動作の制御方法について説明する。なお、ここでは説明を簡潔にするために、電源制御IC121が連続モードから間欠モードへ移行した後は、SB端子電圧VSBは0Vから開始するものとする。また、従来例の説明を行うため、負荷領域信号Sloadは常にハイレベルとし、第1の負荷領域と、所定の負荷よりも小さい負荷状態である第2の負荷領域において、SB端子に接続されているコンデンサの容量値は同一とする。そのため、図4において、負荷領域信号Sloadがハイレベルの場合には、間欠周期制御部40のFET403はオン状態となり、SB端子には、コンデンサ402、402が接続された状態となる。
【0039】
図4において、電流源501は、FB端子から外部へ一定電流を供給する定電流源であり、周期制御手段である比較器502は、基準電圧Vref1とFB端子電圧VFBとを比較した結果を出力する。スイッチ503、505は、比較器502の比較結果に応じて、オン又はオフされるスイッチであり、スイッチ503とスイッチ505は互いに逆に動作する。すなわち、スイッチ503がオンするとスイッチ505はオフし、スイッチ503がオフするとスイッチ505はオンする。電流源504は、スイッチ503がオンすると、SB端子から外部へ一定電流を供給する定電流源であり、一方、電流源506は、スイッチ505がオンすると、SB端子を介して内部へ一定電流を引き込む定電流源である。比較器507は、基準電圧Vref2とSB端子電圧VSBとを比較した結果を出力する。出力部508は、SB端子電圧VSB及び比較器507から出力される比較結果に応じて、G1端子及びG2端子からFET106、107のスイッチング動作を制御する信号を出力する。FB端子は、電源制御IC121内部には電流源501が接続され、電源制御IC121外部にはコンデンサ122及びフォトカプラ144が接続されている。前述したように、直流電圧Voutの電圧値に応じて、FB端子電圧VFBは増減する。また、間欠周期制御部40は、後述するように、第1の負荷領域又は第2の負荷領域に応じて、SB端子に接続されるコンデンサの容量を制御する。
【0040】
なお、誤動作を防止するために、比較器502、507の基準電圧Vref1、Vref2にはヒステリシス特性を持たせている。比較器502の出力がハイレベルからローレベルになるときの基準電圧Vref1を基準電圧Vref1onとし、比較器502の出力がローレベルからハイレベルになるときの基準電圧Vref1を基準電圧Vref1offとする。また、比較器507の出力がハイレベルからローレベルになるときの基準電圧Vref2を基準電圧Vref2onとし、比較器507の出力がローレベルからハイレベルになるときの基準電圧Vref2を基準電圧Vref2offとする。
【0041】
比較器502は、反転入力端子(-)に入力されるFB端子電圧VFBが、非反転端子(+)に入力される基準電圧Vref1on以上(第二の閾値以上)になるとローレベル信号を出力し、スイッチ503がオンし、スイッチ505はオフする。スイッチ503がオンすると、電流源504からSB端子を介して外部に定電流が出力され、電流源504からの定電流により、間欠周期制御部40内のコンデンサに電荷が蓄えられ、SB端子電圧VSBが上昇する。比較器507は、反転入力端子(-)に接続されたSB端子電圧VSBが上昇し、基準電圧Vref2on以上になると、ローレベル信号を出力する。比較器507がローレベル信号を出力すると、出力部508は、G1端子及びG2端子を介してFET106、107のスイッチング制御を行う。また、このときのFET106、107のスイッチング周波数は、SB端子電圧VSBに応じて決定される。
【0042】
一方、比較器502は、反転入力端子(-)に入力されるFB端子電圧VFBが、非反転入力端子(+)に入力される基準電圧Vref1offを下回ると、ハイレベル信号を出力し、スイッチ503がオフし、スイッチ505はオンする。スイッチ505がオンすると、電流源506によって、SB端子の外部に接続されたコンデンサからSB端子を介して電源制御IC121内部へ電流が流入し、SB端子電圧VSBが減少する。比較器507は、反転入力端子(-)に入力されるSB端子電圧VSBが減少し、非反転入力端子(+)に入力される基準電圧Vref2offを下回ると、ハイレベル信号を出力し、出力部508はFET106、107のスイッチング制御を停止する。このように、間欠モードにおけるFET106、107のスイッチング動作は、電源制御IC121のFB端子電圧VFBとSB端子電圧VSBによって制御される。
【0043】
なお、本実施例では、負荷領域信号Sloadの状態が切り替わることにより、間欠周期制御部40によってSB端子に接続されるコンデンサが切り換わり、それによりSB端子電圧VSBの上昇速度及び下降速度が切り換えられる構成になっている。詳細動作については後述する。
【0044】
[間欠モード時の各部動作の説明]
図5は、電源制御IC121のFB端子、SB端子の電圧、負荷134への出力電圧である直流電圧Voutの電圧波形を用いて、上述したFET106、107の従来のスイッチング制御を説明したタイミングチャートである。図5(a)において、縦軸方向には、上から順に、FB端子電圧VFBの電圧波形、SB端子電圧VSBの電圧波形、FET106、107のゲート端子の電位(ゲート電位)、間欠モードの状態、直流電圧Voutの電圧波形を示している。横軸は時間を示し、Ta、Tb、Tc、Td、Teは、時間(タイミング)を示す。図5(b)も、図5(a)と同様であり、時間を示す横軸のTa’、Tb’、Tc’、Td’、Te’は時間(タイミング)を示す。なお、図5(a)と図5(b)では、電源装置はそれぞれ同一の負荷134と接続されている。また、図5(a)は、SB端子に接続されたコンデンサの容量がC1の場合の電圧波形を示し、図5(b)は、SB端子に接続されたコンデンサの容量がC2の場合の電圧波形を示している。なお、コンデンサの容量C1、C2の大小関係は、C1>C2とする。
【0045】
まず、図5(a)について説明する。電源装置の動作モードが連続モードから間欠モードに切り替わると、電源制御IC121は、FET106、107のスイッチング動作を停止する。そのため、負荷134に供給される直流電圧Voutが徐々に低下し、上述したフィードバック制御によってFB端子電圧VFBが上昇する。時間TaにおいてFB端子電圧VFBが基準電圧Vref1on以上になると、比較器502はローレベル信号を出力し、スイッチ503がオンし、スイッチ505がオフする。これにより、電流源501からSB端子に接続されたコンデンサに対して電流が供給され、SB端子電圧VSBが上昇する。時間TbにおいてSB端子電圧VSBが基準電圧Vref2on以上になると、比較器507からローレベル信号が出力される。これにより、出力部508は、間欠モードの休止期間のため停止していたFET106、107のスイッチング動作を再開させ、その結果、直流電圧Voutは徐々に上昇する。
【0046】
一方、直流電圧Voutが上昇すると、フォトカプラ144がオンし、コンデンサ122の電荷が放電されるため、FB端子電圧VFBが低下する。そして、時間TcにおいてFB端子電圧VFBが基準電圧Vref1offを下回ると、比較器502はハイレベル信号を出力し、スイッチ503はオフし、スイッチ505がオンする。これにより、SB端子に接続される電流源は、電流源504から電流源506に切り替わることで、SB端子電圧VSBが低下する。そして、時間Tdにおいて、SB端子電圧VSBが基準電圧Vref2offを下回ると、比較器507からハイレベル信号が出力され、出力部508は、FET106、107のスイッチング動作を停止して、間欠モードの休止期間へと移行する。
【0047】
間欠モードの休止期間では、FET106、107のスイッチング動作が行われないため、トランス109の二次側には電力が供給されない。そのため、負荷134への電力供給は、平滑コンデンサ133に蓄積された電荷から行われるが、電力供給が続くと、平滑コンデンサ133の電荷が徐々に減少していき、直流電圧Voutは徐々に低下する。直流電圧Voutが低下すると、シャントレギュレータ143のREF端子に入力される電圧も低下するため、フォトカプラ144がオフし、その結果、FB端子電圧VFBが上昇する。そして、FB端子電圧VFBが基準電圧Vref1on以上になると、再び上述した制御を行い、時間Teにおいて、出力部508が、再度、FET106、107のスイッチング動作を再開する動作期間に移行して、上述した制御を繰り返す。
【0048】
なお、間欠モードにおいて、FET106、107のスイッチング動作を開始する時間Tbから、次のスイッチング動作を開始する時間Teまでの期間を間欠周期(スイッチング周期)という。また、図5(a)の直流電圧Voutの波形では、このときの直流電圧リップル(直流電圧Voutの最大電圧と最小電圧との電圧差)を図示している。なお、負荷134が増加すると、休止期間中の直流電圧Voutの低下速度が増加し、FB端子電圧VFBが基準電圧Vref1on以上になるまでの時間が短くなり、その結果、間欠周期が短くなる。一方、負荷134が減少すると、休止期間中の直流電圧Voutの低下速度が減少し、FB端子電圧VFBが基準電圧Vref1on以上になるまでの時間が長くなり、その結果、間欠周期が長くなる。
【0049】
次に、図5(b)について説明する。図5(b)と図5(a)との違いは、SB端子に接続されたコンデンサの容量の大きさの違いであり、負荷の大きさ等のその他の条件は同一である。上述したように、図5(b)でSB端子に接続されているコンデンサの容量C2は、図5(a)でのコンデンサの容量C1より小さいものとする。
【0050】
図5(b)において、時間Ta’でFB端子電圧VFBが基準電圧Vref1on以上になると、比較器502はローレベル信号を出力し、スイッチ503がオンし、スイッチ505がオフする。これにより、電流源501からSB端子に接続されたコンデンサに対して電流が供給される。時間Ta’においてスイッチ503がオンして、電源制御IC121内部の電流源504からSB端子を介して外部のコンデンサに電流が供給されると、コンデンサの容量が小さいため、SB端子電圧VSBの上昇速度は、図5(a)と比較して速くなる。そして、時間Tb’で、SB端子電圧VSBが基準電圧Vref2on以上になると、比較器507からローレベル信号が出力される。これにより、出力部508は、間欠モードの休止期間のため停止していたFET106、107のスイッチング動作を再開させ、その結果、直流電圧Voutは徐々に上昇する。
【0051】
一方、直流電圧Voutが上昇すると、FB端子電圧VFBが低下する。そして、時間Tc’で、FB端子電圧VFBが基準電圧Vref1offを下回ると、比較器502はハイレベル信号を出力し、スイッチ503はオフし、スイッチ505がオンする。これにより、SB端子に接続される電流源は、電流源504から電流源506に切り替わることで、SB端子を介して、電源制御IC121の内部に定電流が流れ込むため、SB端子電圧VSBは減少する。このときも、SB端子に接続されているコンデンサの容量が小さいため、SB端子電圧VSBの下降速度は、図5(a)と比較して速くなる。そして、時間Td’において、SB端子電圧VSBが基準電圧Vref2offを下回ると、比較器507からハイレベル信号が出力され、出力部508は、FET106、107のスイッチング動作を停止する。
【0052】
このように、図5(b)では、図5(a)と比較すると、SB端子電圧VSBの上昇速度及び下降速度が速い。そのため、結果としてFET106、107のスイッチングが開始される時間Tb’から、FET106、107のスイッチングが停止される時間Td’までの動作期間が短くなり、スイッチング回数が減少する。そして、動作期間が短く、スイッチング回数が少ないことによって、動作期間における直流電圧Voutの増加分も小さくなり、直流電圧リップルも、図5(a)の場合に比べて小さくなる。
【0053】
また、図5(a)と図5(b)で負荷134は同一なので、間欠モードのFET106、107がスイッチング動作を停止している休止期間中の、直流電圧Voutの低下速度は同一となる。FB端子電圧VFBは、直流電圧Voutが所定の電圧値まで低下すると増加し、基準電圧Vref1on以上になると次の動作期間が開始するため、動作期間中の直流電圧Voutの増加分が小さい図5(b)の方が、次の動作期間が早く開始されることになる。
【0054】
その結果、SB端子容量に接続されるコンデンサの容量が小さい場合には、間欠モードの間欠周期が短くなり、直流電圧リップルを抑制することができる。しかしながら、間欠モードの休止期間が短くなることにより、消費電力がより増加するという短所がある。一方、図5(a)のように、SB端子に接続されるコンデンサの容量が大きいと、間欠モードの間欠周期を長くすることができ、スイッチング休止期間が長くなって消費電力を低減することができる。しかしながら、図5(b)と比べて直流電圧リップルが増大するという短所がある。
【0055】
[従来の構成の課題]
図6は、上述した間欠周期の変化と課題をまとめた図であり、図6(a)、(b)は、それぞれ図5(a)、(b)に対応している。図6(a)、(b)において、縦軸は間欠モードの間欠周期を示し、横軸は負荷134の大きさを示している。図6(a)、(b)では、負荷134の基準となる負荷をLthで示し、負荷Lthより小さい領域を第2の負荷領域、負荷Lthより大きい領域を第1の負荷領域としている。電源装置は、電源装置が搭載される電子機器に応じて、消費電力や出力電圧リップルが所定の範囲内であることが要求される。上述したように、消費電力や出力電圧リップルの仕様は、間欠周期の影響を受けるため、間欠周期も所定の範囲内であることが必要となる。図6は、本実施例における第1の負荷領域における出力電圧リップルに対する要求範囲と、第2の負荷領域における消費電力の省エネルギーの度合いに対する要求範囲をハッチングで示している。
【0056】
本実施例では、電源装置が画像形成装置に搭載された場合、第1の負荷領域では、DCブラシレスモータやステッピングモータ用のモータ駆動IC等が負荷として接続されている。そして、このとき、電源装置から供給する直流電圧Voutは22.8V~25.2Vの範囲であり、出力電圧リップルとしては2.4V(=25.2V-22.8V)以下が要求されているものとする。出力電圧リップルを2.4V以下とするためには、間欠モードの間欠周期も所定の時間以下に設定する必要があり、その範囲を図6(a)、(b)の出力電圧リップルに対する要求範囲(ハッチング部分)として示している。なお省エネルギー性に対する規格については、第1の負荷領域では第2の負荷領域と比較して要求水準が低いため、ここでは間欠周期に依らず満足しているものとする。
【0057】
一方、電源装置が画像形成装置に搭載された場合、第2の負荷領域では、消費電力の低減化のために、上述したモータ駆動IC等の負荷への電力供給はFET等のロードスイッチによって遮断される。そして、第2の負荷領域では、第2の負荷領域から第1の負荷領域に復帰するトリガー(ボタン等の操作)を検知するために、ユーザインターフェース部のみが動作している。第2の負荷領域では、省エネルギー性に対する規格を満足するために、間欠モードの間欠周期を所定の時間以上に設定する必要があり、その範囲を図6(a)、(b)の消費電力に対する要求範囲(ハッチング部分)として示している。なお、負荷として電源装置に接続されているユーザインターフェース部は、一般的にモータ駆動ICと比べて、電源電圧の変動に対する許容範囲が広いため、出力電圧リップルに対する要求水準は低いものとする。そのため、第2の負荷領域では、間欠周期に依らず出力電圧リップルに対する要求範囲は満足しているものとする。
【0058】
図6(a)に対応する図5(a)で説明したFET106、107のスイッチング動作の場合、図6(b)に対応する図5(b)と比較して、間欠周期が長く、第2の負荷領域での消費電力に対する要求範囲を満足している。しかしながら、図6(a)は、間欠周期が長いため、出力電圧リップルが増大し、第1の負荷領域においては出力電圧リップルに対する要求範囲(ハッチング部分)からはずれ、要求範囲を満足していない。一方、図6(b)に対応する図5(b)で説明したFET106、107のスイッチング動作の場合は、図6(a)と比較して、間欠周期が短く、第1の負荷領域での出力電圧リップルの要求範囲を満たしている。しかしながら、図6(b)は、間欠周期が短いため、消費電力が大きくなり、第2の負荷領域においては消費電力に対する要求範囲(ハッチング部分)からはずれ、要求範囲を満足していない。このように、電源装置に対して、出力電圧リップルと消費電力の両方を所定の範囲内とすることが求められている場合には、SB端子に接続されているコンデンサの容量を固定していると要求を満足できない場合があり、課題となっている。
【0059】
[負荷領域検知部の説明]
上述した課題を解決するために、本実施例では、電源装置に接続される負荷134の負荷領域を検知し、検知結果に応じて、SB端子に接続されているコンデンサの容量を切り換え、それに伴い間欠周期の切り換えを行う。まず、負荷領域を検知する負荷検知手段である負荷領域検知部について説明する。
【0060】
一般的に、電流共振方式のトランスは、共振電流を流すために漏洩インダクタンスが大きくなるように作られており、一次側のインダクタンスは、二次側と磁気結合する励磁インダクタンスと、漏洩インダクタンスの合計値で表わすことができる。そのため、本実施例のように補助巻線113を一次巻線110に巻いた場合には、励磁インダクタンス及び漏洩インダクタンスと磁気結合するため、補助巻線113に発生する電圧は、励磁インダクタンス及び漏洩インダクタンスに発生する電圧の影響を受ける。漏洩インダクタンスには二次側への負荷電流が流れるため、漏洩インダクタンスに発生する電圧は負荷134の大きさに依存する。そのため、補助巻線113に誘起される電圧は、負荷134の大きさに依存した電圧となる。その結果、第1の負荷領域と第2の負荷領域で補助巻線113に誘起される電圧に大きな差がある場合は、誘起される電圧に基づいて、負荷134の負荷領域を検知することができる。図1に示す負荷領域検知部30は、補助巻線113に誘起される電圧に基づいて、負荷134の負荷領域を検知する回路の一例を示したものである。負荷領域検知部30には、補助巻線113に誘起された電圧をダイオード114と平滑コンデンサ115によって整流・平滑化された電圧が入力される。そして、入力された電圧は抵抗301、302で分圧されて、第一のスイッチ素子であるFET303のゲート端子に印加される。
【0061】
第1の負荷領域は、第2の負荷領域と比較して負荷が大きいため、補助巻線113に誘起される電圧が上昇する。その結果、抵抗301、302で分圧されてFET303のゲート端子に印加される電位が上昇し、閾値電圧以上(第一の閾値以上)になるとFET303がオンする。FET303がオンすると、FET303のドレイン端子の電位が低下して、負荷領域検知部30から出力される負荷領域信号Sloadはローレベル(第一の信号)となる。一方、第2の負荷領域は、第1の負荷領域と比較して負荷が小さいため、補助巻線113に誘起される電圧が低下する。その結果、抵抗301、302で分圧されてFET303のゲート端子に印加される電位が低下し、閾値電圧未満(第一の閾値未満)になるとFET303はオフする。FET303がオフすると、FET303のドレイン端子の電位が上昇して、負荷領域検知部30から出力される負荷領域信号Sloadはハイレベル(第二の信号)となる。なお、上述した動作を行うために、補助巻線113に誘起される電圧値を考慮した上で、抵抗301、302の抵抗値、及びFET303がオンするスレッショルドレベルを適正に選定する必要がある。
【0062】
[間欠周期制御部の説明]
次に、負荷領域に応じて、間欠モードの間欠周期を切り換える間欠周期制御部40の構成及び動作について説明する。負荷領域検知部30から間欠周期制御部40に負荷領域信号Sloadが入力されると、容量切り換え手段である間欠周期制御部40は、負荷領域信号Sloadに応じて、電源制御IC121のSB端子に接続されるコンデンサの容量を切り換える。負荷領域信号SloadはFET403のゲート端子に入力され、負荷領域信号Sloadがローレベル、すなわち負荷134が第1の負荷領域の場合にはFET403はオフする。その結果、SB端子に接続されているコンデンサはコンデンサ401(第一のコンデンサ)のみとなる。一方、負荷領域信号Sloadがハイレベル、すなわち負荷134が第2の負荷領域の場合には、FET403(第二のスイッチ素子)はオンする。その結果、SB端子には、コンデンサ401に加え、コンデンサ401に並列に接続されたコンデンサ402(第二のコンデンサ)も接続される。そのため、第1の負荷領域の場合と比較して、SB端子に接続されているコンデンサの電荷を蓄積可能な容量は増加することになる。図5で説明したように、電流源504及び電流源506は定電流源であるため、電流量は一定である。そのため、SB端子に接続されているコンデンサの容量が増減すると、SB端子電圧VSBの上昇速度及び下降速度も変動することになる。
【0063】
SB端子電圧VSBの上昇速度及び下降速度が減少すると、図5(a)に示したように、間欠モードの間欠周期は長くなり、その結果、直流電圧リップルは大きくなるが、間欠モードの休止期間が長くなることにより消費電力は少なくなる。低消費電力が要求される第2の負荷領域においては、このように簡潔モードの間欠周期を長くすることにより、所望の仕様を実現することができる。一方、SB端子電圧VSBの上昇速度及び下降速度が増加すると、図5(b)に示したように、間欠モードの間欠周期は短くなり、その結果、直流電圧リップルは小さくなるが、間欠モードの休止期間が短くなることにより消費電力は大きくなる。低直流電圧リップルが要求される第1の負荷領域においては、このように間欠周期を短くすることにより、所望の仕様を実現することができる。
【0064】
図7は、上述した間欠モードにおける電源装置の動作をまとめた図である。従来技術について説明した図6では、負荷に対する間欠周期は直線で表現され、第1の負荷領域及び第2の負荷領域に対して連続性を有しており、そのため、負荷領域においては、消費電力、又は出力電圧リップルのいずれか一方の仕様しか満足できていなかった。これに対し、本実施例の負荷に対する間欠周期の関係を示す図7においては、第1の負荷領域内、又は第2の負荷領域内の同じ負荷領域内では、負荷に対する間欠周期は連続的であるが、第1の負荷領域と第2の負荷領域との間では不連続となっている。このように電源装置に接続された負荷134の負荷領域に応じて、間欠モードの間欠周期を大きく切り換えることで、負荷領域に応じた所望の仕様を満足するように電源装置を動作させることができる。
【0065】
なお、図6図7で説明した間欠周期-負荷の特性は線形であるが、この特性は電源制御ICの仕様によって決定され、必ずしも線形である必要はなく、例えば二次関数や指数関数的な特性となることもある。
【0066】
以上説明したように、本実施例では、補助巻線113に誘起される巻線電圧を利用して負荷134の負荷領域を検知し、検知された負荷領域に応じてSB端子に接続されたコンデンサの容量を切り換えることで、負荷領域に応じた間欠周期に切り換える。負荷領域に応じて間欠モードの間欠周期を切り換えることにより、第2の待機状態である第2の負荷領域における低消費電力と、第1の待機状態である第1の負荷領域における低出力電圧リップルとを両立させることができる。更に、本実施例では、負荷領域の検知を、トランス109が通常備えている補助巻線113の誘起電圧に基づいて行うことで、新たな検知回路を追加することによるコストの増加を抑えることができる。なお、本実施例では、SB端子に接続される間欠周期制御部40内のコンデンサの容量を切り換えることで、間欠モードの間欠周期の切り換えを行っているが、例えばFB端子に接続されたコンデンサの容量を切り換えることで、同様の制御を行ってもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施例によれば、第1の待機状態での直流電圧リップルを低減させることと、第2の待機状態での消費電力を低減させることとを両立させることができる。
【実施例2】
【0068】
実施例1では、補助巻線に誘起される電圧に基づいて負荷領域を検知し、検知された負荷領域に応じて間欠モードの間欠周期を切り換える構成について説明した。実施例1の構成の場合には、第1の待機状態である第1の負荷領域と、第2の待機状態である第2の負荷領域で補助巻線113に発生する電圧に大きな差がある場合には適用可能であるが、電圧差が小さい場合には適用が難しい場合がある。そこで、実施例2では、第1の負荷領域と第2の負荷領域で補助巻線113に発生する電圧に大きな差がない場合でも適用が可能な、コントロールユニット201からの指示により、第1の待機状態と第2の待機状態を切り換える構成について説明する。
【0069】
[電源装置の構成]
図8は、実施例2の電源装置の回路構成を示す回路図である。図8は、実施例1の図1と比較すると、負荷領域検知部30が削除され、コントロールユニット201にGPO2端子を設け、GP02端子からの出力信号を間欠周期制御部40のFET403のゲート端子に入力する回路が追加されている点が異なる。フォトカプラ206は、待機状態を二次側から一次側へ伝えるために設けられている。フォトカプラ206の発光ダイオードは、コントロールユニット201のGPO2端子と接続され、フォトカプラ206のフォトトランジスタは、間欠周期制御部40のFET403のゲート端子と接続されている。
【0070】
実施例1では、負荷領域検知部30から出力された負荷領域信号Sloadが、間欠周期制御部40のFET403のゲート端子に出力されていた。実施例2では、負荷領域信号Sloadの代わりに、コントロールユニット201のGPO2端子からの待機状態を指示する制御信号が、間欠周期制御部40のFET403のゲート端子に出力される。コントロールユニット201が第1の待機状態と第2の待機状態との切り換えを行っているため、負荷領域検知部30が設けられていなくても、コントロールユニット201は、電源装置がいずれの待機状態にあるかどうか判断することができる。
【0071】
コントロールユニット201は、電源装置を第1の待機状態に設定する場合には、GPO2端子からハイレベルの信号を出力して、フォトカプラ206の発光ダイオードを導通状態にして、フォトトランジスタをオンさせる。フォトカプラ206のフォトトランジスタがオンすることにより、FET403のゲート端子に入力される負荷領域信号Sloadをローレベルにし、FET403をオフする。実施例1で説明したように、FET403がオフ状態となることで、電源制御IC121のSB端子に接続されるコンデンサの容量はコンデンサ401の容量のみとなり、接続されるコンデンサの容量が小さくなることでSB端子電圧VSBの上昇速度が増加する。これにより、第1の待機状態では、間欠モードの間欠周期を短くし、出力電圧リップルを小さくすることができる。
【0072】
一方、コントロールユニット201は、電源装置を第2の待機状態に設定する場合には、GPO2端子からローレベルの信号を出力して、フォトカプラ206の発光ダイオードを非導通状態にして、フォトトランジスタをオフさせる。フォトカプラ206のフォトトランジスタがオフすることにより、FET403のゲート端子に入力される負荷領域信号Sloadはハイレベルとなり、FET403をオンする。実施例1で説明したように、FET403がオン状態となることで、電源制御IC121のSB端子に接続されるコンデンサの容量は、コンデンサ401とコンデンサ402の合計容量となる。その結果、接続されるコンデンサの容量が大きくなることで、SB端子電圧VSBの上昇速度が減少する。これにより、第2の待機状態では、間欠モードの間欠周期を長くし、消費電力を抑制することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施例では、コントロールユニット201からの第1の待機状態又は第2の待機状態への切り換えを指示する制御信号により、間欠周期制御部40を制御して、SB端子に接続されるコンデンサを切り換えている。このように、本実施例では、実施例1のように第1の待機状態と第2の待機状態で負荷に大きな差がない場合でも、コントロールユニット201は、負荷に応じて電源装置の待機状態を切り換えることができる。
【0074】
以上説明したように、本実施例によれば、第1の待機状態での直流電圧リップルを低減させることと、第2の待機状態での消費電力を低減させることとを両立させることができる。
【実施例3】
【0075】
実施例1、2で説明した電源装置は、例えば画像形成装置の低圧電源、すなわちコントローラ(制御部)やモータ等の駆動部へ電力を供給する電源として適用可能である。以下に、実施例1、2の電源装置が適用される画像形成装置の構成を説明する。
【0076】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置の一例として、レーザビームプリンタを例にあげて説明する。図9に電子写真方式のプリンタの一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す。レーザビームプリンタ300は、静電潜像が形成される像担持体としての感光ドラム311、感光ドラム311を一様に帯電する帯電部317(帯電手段)、感光ドラム311に形成された静電潜像をトナーで現像する現像部312(現像手段)を備えている。そして、感光ドラム311に現像されたトナー像をカセット316から供給された記録材としてのシート(不図示)に転写部318(転写手段)によって転写して、シートに転写したトナー像を定着器314で定着してトレイ315に排出する。この感光ドラム311、帯電部317、現像部312、転写部318が画像形成部(画像形成手段)である。また、レーザビームプリンタ300は、実施例1、2で説明した電源装置500を備えている。なお、実施例1、2の電源装置500を適用可能な画像形成装置は、図9に例示したものに限定されず、例えば複数の画像形成部を備える画像形成装置であってもよい。更に、感光ドラム311上のトナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写部と、中間転写ベルト上のトナー像をシートに転写する二次転写部を備える画像形成装置であってもよい。
【0077】
レーザビームプリンタ300は、画像形成部による画像形成動作や、シートの搬送動作を制御するコントローラ320を備えており、実施例1、2に記載の電源装置500は、例えばコントローラ320に電力を供給する。また、実施例1、2に記載の電源装置500は、感光ドラム311を回転するため、又はシートを搬送する各種ローラ等を駆動するためのモータ等の駆動部に電力を供給する。なお、コントローラ320は、実施例1の図1、及び実施例2の図8のコントロールユニット201に相当する。本実施例の電源装置500が実施例1の電源装置である場合、電源制御IC121は、コントローラ320からの指示に応じて、連続モード又は間欠モードの切り換えを行う。また、負荷領域検知部30は、補助巻線113に誘起される電圧に基づいて負荷134の負荷領域を検知し、間欠周期制御部40は、検知された負荷領域に応じてSB端子に接続されたコンデンサの容量を切り換え、負荷領域に応じた間欠周期に切り換える。これにより、第2の待機状態である第2の負荷領域における低消費電力と、第1の待機状態である第1の負荷領域における低出力電圧リップルとを両立させることができる。
【0078】
また、本実施例の画像形成装置は、間欠モードでは、第1の待機状態に対応するスタンバイモード、又は第2の待機状態に対応するスリープモードで動作することが可能となっている。スタンバイモードは、画像形成動作を行う通常動作モード(連続モードともいう)よりも消費する電力を低減させつつ、印刷指示を受信したらすぐに画像形成動作を実施できる状態となるモードである。スリープモードは、スタンバイモードより更に消費する電力を低減させた状態となるモードである。電源装置500が実施例2の電源装置である場合には、コントローラ320のGP01端子から出力された指示に応じて、連続モード又は間欠モードの切り換えを行う。更に、実施例2の電源装置の場合には、コントローラ320のGP02端子から出力された指示に応じて、第1の待機状態又は第2の待機状態の切り換えを行う。これにより、実施例2の電源装置では、第1の待機状態と第2の待機状態で負荷に大きな差がない場合でも、コントローラ320の指示に応じて、電源装置の待機状態を切り換えることができる。
【0079】
以上説明したように、本実施例によれば、第1の待機状態での直流電圧リップルを低減させることと、第2の待機状態での消費電力を低減させることとを両立させることができる。
【符号の説明】
【0080】
30 負荷領域検知部
40 間欠周期制御部
106、107 FET
113 補助巻線
121 電源制御IC
134 負荷134
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9