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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/02 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
E06B9/02 A
E06B9/02 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018198504
(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2020066859
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】脇田 嵩朗
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直也
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-294037(JP,A)
【文献】特開2001-311370(JP,A)
【文献】特開2005-282027(JP,A)
【文献】特開平07-293142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/02
E06B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に形成された開口を開閉する開閉体を備え、
当該開閉体が、開口を閉鎖する閉鎖状態と開口を開放する開放状態とに設定され、
閉鎖状態においては、開閉体が上下方向に延在して開口を閉鎖する状態に設定され、
開放状態においては、開閉体が開口を隔てた一方の領域の天井に沿って延在して開口を開放する状態に設定される開閉装置であって、
開閉体が、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルを備えて、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されて構成され、
開閉体を構成するパネルの一方の領域側の面より突出するように設けられた補強体と、
パネルの一方の領域側の面と補強体とを連結して補強体の倒れを防止する補強体倒れ防止手段とを備え
補強体倒れ防止手段は、パネルの一方の領域側の面と補強体との間で傾斜する傾斜板と、当該傾斜板の一方の側縁より補強体の上面又は補強体の下面に近づく方向に延長するように設けられた一方縁側補強板とを備えたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
補強体倒れ防止手段は、傾斜板の他方の側縁より補強体の上面又は補強体の下面に近づく方向に延長するように設けられた他方縁側補強板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
パネルは、開口の横幅方向に沿った長辺縁と開口の上下方向に沿った短辺縁とを備えた矩形状のパネル本体と、パネル本体の四方を囲む框と、框補強部材とを備えて構成され、
框補強部材は、パネル本体の一方の領域と面する面側において、框の上框と下框とを連結する補強部材であって、パネル本体の長辺縁に沿った方向において所定の間隔を隔てて複数個設けられ、
補強体は、パネルの一方の領域側の面より突出して、開口の横幅方向に対応するパネルの左右方向及び一方の領域側に延長するように設けられて、一方の領域側に延長する延長端側に係合部が設けられており、
補強体倒れ防止手段は、一端側に設けられた連結部が框補強部材に連結されるとともに、他端側に設けられた被係合部が補強体の係合部に係合された状態に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項4】
補強体倒れ防止手段は、パネルにおける左右方向の中央側に位置される框補強部材に連結されたことを特徴とする請求項3に記載の開閉装置。
【請求項5】
構造物に形成された開口を開閉する開閉体を備え、
当該開閉体が、開口を閉鎖する閉鎖状態と開口を開放する開放状態とに設定され、
閉鎖状態においては、開閉体が上下方向に延在して開口を閉鎖する状態に設定され、
開放状態においては、開閉体が開口を隔てた一方の領域の天井に沿って延在して開口を開放する状態に設定される開閉装置であって、
開閉体が、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルを備えて、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されて構成され、
開閉体を構成するパネルの一方の領域側の面より突出して、開口の横幅方向に対応するパネルの左右方向及び一方の領域側に延長するように設けられて、一方の領域側に延長する延長端側に係合部が設けられた補強体と、
パネルの一方の領域側の面と補強体とを連結して補強体の倒れを防止するために、一端側に設けられた連結部がパネルの一方の領域側の面に連結されるとともに、他端側に設けられた被係合部が補強体の係合部に係合された状態に連結された補強体倒れ防止手段とを備え、
補強体の係合部が、パネルから離れる方向に延長する補強体の上面又は補強体の下面と、補強体の上面又は補強体の下面の延長端から延長するように設けられた補強体の一方の領域側の面と、当該補強体の一方の領域側の面の下端又は上端からパネルに近づく方向に延長して補強体の上面又は補強体の下面と対向する補強体の端面とで構成され、
補強体倒れ防止手段は、補強体の一方の領域側の面と接触する押さえ板と、当該押さえ板の一端縁より延長して補強体の端面と接触する引掛板と、押さえ板の他端縁より引掛板の延長方向と同方向でかつ当該引掛板から離れる方向に傾斜して延長する傾斜板と、当該の傾斜板の一方の側縁より延長して当該傾斜板の板面と直交する板面を有するとともに補強体の上面又は補強体の下面と接触する接触面を有した一方縁側補強板と、傾斜板の他方の側縁より延長して傾斜板の板面と直交する板面を有するとともに補強体の上面又は補強体の下面と接触する接触面を有した他方縁側補強板とを備え、
補強体倒れ防止手段の他端側に設けられた被係合部が、引掛板と押さえ板と一方縁側補強板及び他方縁側補強板とにより構成されたことを特徴とする開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置の開閉体を構成するパネルの変形防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置が知られている(特許文献1等参照)。
当該開閉装置は、構造物の開口を開閉する開閉体が、上下方向に延在して開口を閉鎖する閉鎖状態と、開口を隔てた一方の領域の天井側において当該天井に沿って延在して開口を開放する開放状態とに設定される。
上述した開閉体は、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルと、各パネルの一方の領域側の面より突出するように設けられた補強体と、各パネルの左右の側縁より外方に突出するように設けられたガイドローラとを備える。
開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルは、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されている。
各パネルは、開口の左右方向(横幅方向)に沿って延長して開口の横幅寸法に対応した長辺と開口の上下方向(高さ方向)に沿って延長する短辺とを備えた左右方向に長い長尺な矩形状に形成されている。
補強体は、各パネルにおける一方の領域側の面より突出して、パネルの左右方向(パネルの長辺に沿った方向)及び一方の領域側に延長するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-214745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した開閉装置では、例えば、閉鎖状態の開閉体に、開口を隔てた一方の領域側から、又は、開口を隔てた他方の領域側から、風圧等の力が加わった場合、開閉体に引張荷重や圧縮荷重が掛かって補強体がパネルとの境界部分を回転中心として開口側に倒れてしまう。当該補強体が倒れる際には、補強体とパネルとの境界部分に力が集中することにより、パネルの形状が変形してしまうため、パネルの耐風圧強度が低下してしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、補強体の倒れに起因するパネルの変形を防止できる開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉装置は、構造物に形成された開口を開閉する開閉体を備え、当該開閉体が、開口を閉鎖する閉鎖状態と開口を開放する開放状態とに設定され、閉鎖状態においては、開閉体が上下方向に延在して開口を閉鎖する状態に設定され、開放状態においては、開閉体が開口を隔てた一方の領域の天井に沿って延在して開口を開放する状態に設定される開閉装置であって、開閉体が、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルを備えて、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されて構成され、開閉体を構成するパネルの一方の領域側の面より突出するように設けられた補強体と、パネルの一方の領域側の面と補強体とを連結して補強体の倒れを防止する補強体倒れ防止手段とを備え、補強体倒れ防止手段は、パネルの一方の領域側の面と補強体との間で傾斜する傾斜板と、当該傾斜板の一方の側縁より補強体の上面又は補強体の下面に近づく方向に延長するように設けられた一方縁側補強板とを備えたことを特徴とする。
また、補強体倒れ防止手段は、傾斜板の他方の側縁より補強体の上面又は補強体の下面に近づく方向に延長するように設けられた他方縁側補強板を備えたことを特徴とする。
また、パネルは、開口の横幅方向に沿った長辺縁と開口の上下方向に沿った短辺縁とを備えた矩形状のパネル本体と、パネル本体の四方を囲む框と、框補強部材とを備えて構成され、框補強部材は、パネル本体の一方の領域と面する面側において、框の上框と下框とを連結する補強部材であって、パネル本体の長辺縁に沿った方向において所定の間隔を隔てて複数個設けられ、補強体は、パネルの一方の領域側の面より突出して、開口の横幅方向に対応するパネルの左右方向及び一方の領域側に延長するように設けられて、一方の領域側に延長する延長端側に係合部が設けられており、補強体倒れ防止手段は、一端側に設けられた連結部が框補強部材に連結されるとともに、他端側に設けられた被係合部が補強体の係合部に係合された状態に連結されたことを特徴とする。
さらに、補強体倒れ防止手段は、パネルにおける左右方向の中央側に位置される框補強部材に連結されたことを特徴とする。
また、本発明に係る開閉装置は、構造物に形成された開口を開閉する開閉体を備え、当該開閉体が、開口を閉鎖する閉鎖状態と開口を開放する開放状態とに設定され、閉鎖状態においては、開閉体が上下方向に延在して開口を閉鎖する状態に設定され、開放状態においては、開閉体が開口を隔てた一方の領域の天井に沿って延在して開口を開放する状態に設定される開閉装置であって、開閉体が、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルを備えて、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されて構成され、開閉体を構成するパネルの一方の領域側の面より突出して、開口の横幅方向に対応するパネルの左右方向及び一方の領域側に延長するように設けられて、一方の領域側に延長する延長端側に係合部が設けられた補強体と、パネルの一方の領域側の面と補強体とを連結して補強体の倒れを防止するために、一端側に設けられた連結部がパネルの一方の領域側の面に連結されるとともに、他端側に設けられた被係合部が補強体の係合部に係合された状態に連結された補強体倒れ防止手段とを備え、補強体の係合部が、パネルから離れる方向に延長する補強体の上面又は補強体の下面と、補強体の上面又は補強体の下面の延長端から延長するように設けられた補強体の一方の領域側の面と、当該補強体の一方の領域側の面の下端又は上端からパネルに近づく方向に延長して補強体の上面又は補強体の下面と対向する補強体の端面とで構成され、補強体倒れ防止手段は、補強体の一方の領域側の面と接触する押さえ板と、当該押さえ板の一端縁より延長して補強体の端面と接触する引掛板と、押さえ板の他端縁より引掛板の延長方向と同方向でかつ当該引掛板から離れる方向に傾斜して延長する傾斜板と、当該の傾斜板の一方の側縁より延長して当該傾斜板の板面と直交する板面を有するとともに補強体の上面又は補強体の下面と接触する接触面を有した一方縁側補強板と、傾斜板の他方の側縁より延長して傾斜板の板面と直交する板面を有するとともに補強体の上面又は補強体の下面と接触する接触面を有した他方縁側補強板とを備え、補強体倒れ防止手段の他端側に設けられた被係合部が、引掛板と押さえ板と一方縁側補強板及び他方縁側補強板とにより構成されたことを特徴とする。
本発明によれば、補強体倒れ防止手段を備えたので、補強体の倒れに起因するパネルの変形を防止できる開閉装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】開閉体を閉鎖状態とした際の開閉装置の全体構成斜視図。
図2】開閉体を開放状態とした際の開閉装置の全体構成斜視図。
図3】閉鎖状態の開閉体を一方の領域側から見た正面図。
図4】閉鎖状態の開閉体の側面図。
図5】閉鎖状態の開閉体の最上端側に位置される上パネルを示す縦断面図。
図6】閉鎖状態の開閉体の中央側に位置される中間パネルを示す縦断面図。
図7】閉鎖状態の開閉体の最下端側に位置される下パネルを示す縦断面図。
図8】補強体倒れ防止手段を示す斜視図であり、(a)は補強体倒れ防止手段の外表面側を見た図、(b)は補強体倒れ防止手段の内表面側を見た図。
図9】補強体倒れ防止手段がパネルの一方の領域側の面と補強体とを連結するように設けられた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図2に示すように、実施形態に係る開閉装置1は、構造物に形成された開口2を開閉する開閉体3と、開閉体3の移動をガイドするガイド手段4と、開閉体3の開閉機構5とを備え、開口2を開閉する開閉体3が開口2を開放した場合に、開閉体3が、開口2を隔てた一方の領域6の天井側に当該天井に沿って位置された(収納された)状態となる、所謂、オーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置である。
【0009】
開口2は、例えば住宅やビル、倉庫、工場等の構造物の内外を仕切る外壁や、構造物の内部において内部空間を仕切る内壁等の躯体7に開設されて、内外を連通する空間として上下左右方向に延長するように設けられた例えば矩形状の開口(図1図2において、一点鎖線で示した矩形の開口2)である。
また、開口2を隔てた一方の領域6とは、構造物の屋内、又は、構造物の室内であり、例えば、住宅やビルの駐車場内、工場内、倉庫内等の領域である。
また、開口2を隔てた他方の領域は、構造物の屋外、又は、構造物の室外であり、例えば、住宅やビルの駐車場の外側、工場の外側、倉庫の外側等の領域である。
【0010】
開閉体3は、上下方向に延在して開口2を閉鎖する閉鎖状態と、一方の領域6における開口2の近傍の天井に沿って延在して開口2を開放する開放状態とに設定される。
即ち、図1に示すように、閉鎖状態においては、上下方向に延在する開閉体3の一端(上端)3tが開口2の上方側に位置されるとともに、開閉体3の他端(下端)3uが床面、地面等の開口下端に接触した状態となって、開閉体3が開口2を閉鎖する状態に設定される。
また、図2に示すように、開放状態においては、開口2を隔てた一方の領域6の天井側において、開閉体3の一端3tが開口2より離れた天井側に位置されるとともに、開閉体3の他端3uが開口2の上方側に位置されることによって、開閉体3が、開口2の上方側から当該開口2より離れる方向に一方の領域6の天井に沿って延在して、開口2を開放する状態に設定される。
【0011】
尚、開閉体3は、開放状態においては、一方の領域6の天井側において、図2に示すように、他端3uから一端3tにかけて水平に延在した状態となるタイプ、あるいは、他端3uから一端3tにかけて上向きに傾斜して延在した状態となるタイプ等がある。
【0012】
図1図3に示すように、開閉体3は、開閉体3の移動方向(開閉方向)Sに沿って並ぶように設けられた複数のパネルにより形成されたパネル構成体10と、各パネルにおける一方の領域6側の面より突出して、パネルの左右方向(パネルの長辺縁に沿った方向(開口2の横幅方向))W及び一方の領域6に延長するように設けられた補強体と、パネルの一方の領域6側の面と補強体とを連結して補強体の倒れを防止する補強体倒れ防止手段60と、各パネルの左右の側縁より外方に突出するように設けられたガイドローラ30とを備える。
【0013】
図3図4に示すように、開閉体3の開閉面を形成するパネル構成体10は、例えば、閉鎖状態の開閉体3の最上端側に位置される上パネル10Aと、閉鎖状態の開閉体3の最下端側に位置される下パネル10Bと、上パネル10Aと下パネル10Bとの間に設けられた複数の中間パネル10C,10C…とで構成される。
【0014】
図3に示すように、各パネル10A,10B,10Cは、それぞれ、パネル本体11と、パネル本体11の四方を囲む框12と、框補強部材13とを備えて構成される。
【0015】
パネル本体11は、開口2の左右方向(横幅方向)に沿って延長して開口2の横幅寸法に対応した長辺と開口2の上下方向(高さ方向)に沿って延長する短辺とを備えた左右方向に長い長尺な矩形状に形成される。
尚、図5乃至図7に示すように、パネル本体11は、断面形状が、例えば、上下方向に沿って連続する凹凸形状に形成される。即ち、パネル本体11は、一方の領域6側に突出して左右方向に延長する平面11aと、他方の領域側に突出して左右方向に延長する平面11bとを備えた凹凸パネルにより構成される。
このように、パネル本体11を、強度の高い凹凸パネルにより構成したことによって、各パネル10A,10B,10Cの耐風圧効果を向上させることができる。
【0016】
図3に示すように、框12は、パネル本体11の一端縁となる上側の長辺縁に沿って設けられた上框15と、パネル本体11の他端縁となる下側の長辺縁に沿って設けられた下框16と、パネル本体11の左右の短辺縁に沿ってそれぞれ設けられた左右の縦框17,18とで構成されて、左右方向に長い長尺な矩形状のパネル本体11の四方を囲む枠体である。
従って、各パネル10A,10B,10Cは、開口2の左右方向(横幅方向)Wに沿って延長して開口2の横幅寸法に対応した長辺と開口2の上下方向(高さ方向)に沿って延長する短辺とを備えた左右方向に長い長尺な矩形状に形成される。
【0017】
框補強部材13は、パネル本体11の一方の領域6と面する面側において、上框15と下框16とを連結した補強桟のような補強部材であり、パネル本体11の長手方向、即ち、開口2の左右方向(横幅方向)Wに沿って所定の間隔を隔てて、複数個設けられている。
図5乃至図7に示すように、框補強部材13は、一方の領域6側に位置して上端側が上框15に連結されて下端側が下框16に連結される主板部13xと、当該主板部13xの一方の側縁から他方の領域側に延長する補強板部13aと、補強板部13aの延長端より延長してパネル本体11の平面11aと対向して当該平面11aに連結される連結板部13bとを備える。
即ち、複数の框補強部材13の主板部13xの上端側が上パネル10Aの上框15における一方の領域6側に位置する面15aに図外のリベット等の固定手段によって固定され、複数の框補強部材13の主板部13xの下端側が上パネル10Aの下框16における一方の領域6側に位置する面16aに図外のリベット等の固定手段によって固定され、さらに、複数の框補強部材13の連結板部13bがパネル本体11の一方の領域6側の平面11aに図外のリベット等の固定手段によって固定されている。
【0018】
図5乃至図7に示すように、上框15は、框補強部材13の主板部13xの上端側が連結される一方の領域6側の面15aと、他方の領域側に設けられてパネル本体11の上端縁側11tを挟持する挟持部15bと、面15aの上端と挟持部15bの上端とを繋ぐ上面15cとを備え、左端部が左の縦框17と連結され、右端部が右の縦框18と連結されている。
挟持部15bは、上面15cの他方の領域側に位置する長辺縁から下方に分岐する2つの挟持片により構成される。
図5に示すように、上パネル10Aの上框15の上面15cは、他方の領域側が上方に位置される上側平面に形成され、一方の領域6側が下方に位置される下側平面に形成され、上側平面の一方の領域6側の長辺縁と下側平面の他方の領域側の長辺縁とが傾斜面で繋がれて形成された凹凸係合面に構成されている。
また、図6図7に示すように、中間パネル10C及び下パネル10Bの上框15の上面15cは、他方の領域側が下方に位置される下側平面に形成され、一方の領域6側が上方に位置される上側平面に形成され、下側平面の一方の領域6側の長辺縁と上側平面の他方の領域側の長辺縁とが傾斜面で繋がれて形成された凹凸係合面に構成されている。
【0019】
図5乃至図7に示すように、下框16は、框補強部材13の主板部13xの下端側が連結される一方の領域6側の面16aと、他方の領域側に設けられてパネル本体11の下端縁側11uを挟持する挟持部16bと、面16aの下端と挟持部16bの下端とを繋ぐ下面16cとを備え、左端部が左の縦框17と連結され、右端部が右の縦框18と連結されている。
挟持部16bは、下面16cの他方の領域側に位置する長辺縁から上方に分岐する2つの挟持片により構成される。
図5図6に示すように、上パネル10A及び中間パネル10Cの下框16の下面16cは、他方の領域側が下方に位置される下側平面に形成され、一方の領域6側が上方に位置される上側平面に形成され、下側平面の一方の領域6側の長辺縁と上側平面の他方の領域側の長辺縁とが傾斜面で繋がれて形成された凹凸係合面に構成されている。
【0020】
また、図7に示すように、下パネル10Bの下框16の下面16cは、面16aの下端と挟持部16bの下端とを繋ぐ平面に形成され、当該平面に形成された下面16cに水切りシール25が設けられている。
即ち、開閉体3の他端3uとなる下パネル10Bの下端は、下框16の下面16cに設けられた中空ゴム等による水切りシール25により構成され、開閉体3が閉鎖状態となった場合に、当該水切りシール25が床面、地面等の開口下端に密着した状態となって、開閉体3の他端3uと開口下端との水密性能、及び、気密性能が維持される。
【0021】
上パネル10Aは、一方の領域6側の面において、開閉体3の移動方向Sに沿った一端縁側(上端縁側)及び開閉体3の移動方向Sに沿った他端縁側(下端縁側)に、補強体を備えている。
例えば、図3乃至図5に示すように、上パネル10Aは、上パネル10Aの上框15における一方の領域6側に位置する面15aより上パネル10Aの左右方向W及び一方の領域6側に延長するように設けられて、一方の領域6側に延長する延長端側に、補強体倒れ防止手段60の被係合部が係合する係合部が設けられた上側補強体20と、上パネル10Aの下框16における一方の領域6側に位置する面16aより上パネル10Aの左右方向W及び一方の領域6側に延長するように設けられて、一方の領域6側に延長する延長端側に、補強体倒れ防止手段60の被係合部が係合する係合部が設けられた下側補強体21とを備える。
【0022】
上側補強体20は、上框15の面15aより当該面15aと直交して一方の領域6に延長するとともに上パネル10Aの左右方向Wに延長する板面を備えた中空板部20aと、中空板部20aの一方の領域6側の先端縁より延長して当該中空板部20aの板面と直交する板面を備えた中実板部20bとを備えている。そして、中空板部20aの延長端側と中実板部20bとにより被係合部が構成される。
【0023】
中間パネル10Cは、開閉体3の移動方向Sに沿った他端縁側(下端縁側)に、補強体を備えている。
例えば、図3図4図6に示すように、中間パネル10Cは、中間パネル10Cのパネル本体11を囲む框12における下框16における一方の領域6側に位置する面16aより中間パネル10Cの左右方向W及び一方の領域6側に延長するように設けられて、一方の領域に延長する延長端側に、補強体倒れ防止手段60の被係合部が係合する係合部が設けられた下側補強体21を備える。
【0024】
上パネル10A及び中間パネル10Cの下側補強体21は、下框16の面16aより当該面16aと直交して一方の領域6に延長するとともにパネル本体11の左右方向Wに延長する板面を備えた中空板部21aと、中空板部21aの一方の領域6側の先端縁より延長して当該中空板部21aの板面と直交する板面を備えた中実板部21bとを備えている。そして、中空板部21aの延長端側と中実板部21bとにより被係合部が構成される。
【0025】
上パネル10A及び中間パネル10Cの下側補強体21の中空板部21aには、後述するヒンジ31の取付板を当該中空板部21aに連結するためのねじ28aのねじ頭を収容するねじ頭収容溝28が形成されている。このねじ頭収容溝28は、中空板部21aの下面において、下面の左端と右端とに亘って連続するように形成されており、当該下面の左端又は右端からねじ頭収容溝28にねじ28aのねじ頭を挿入して当該ねじ28aをヒンジ31の取付位置まで移動させ、図4に示すように、ヒンジ31の取付板に形成されたねじ貫通孔にねじ28aの軸部を貫通させてナット28bを締結することにより、ヒンジ31の取付板を中空板部21aの下面に取付けることができる。
【0026】
下パネル10Bは、開閉体3の移動方向Sに沿った他端縁側(下端縁側)及び開閉体3の移動方向Sに沿った一端と他端との間の中央側に、補強体を備えている。
即ち、図3図4図7に示すように、下パネル10Bは、下パネル10Bのパネル本体11を囲む框12の下框16における一方の領域6側に位置する面16aより下パネル10Bの左右方向W及び一方の領域6に延長するように設けられた下側補強体22と、各框補強部材13の主板部13xに取付けられて下パネル10Bの左右方向W及び一方の領域6に延長するように設けられた中央側補強体23とを備える。
【0027】
下側補強体22は、下框16の面16aより当該面16aと直交して一方の領域6に延長するとともにパネル本体11の左右方向に延長する板面を備えた板部22aと、当該板部22aの一方の領域6側の先端縁より延長して当該板部22aの板面と直交する板面を備えた板部22bとを備えている。
【0028】
中央側補強体23は、框補強部材13の主板部13xの板面と直交する板面を有した中空板部23aと、中空板部23aを框補強部材13の主板部13xの板面に連結するための連結板部23bとを備える。
【0029】
下パネル10Bの下側補強体22及び中央側補強体23は、例えば、開閉体3を開閉する操作者の脚にぶつかり難いように、一方の領域6方向への突出長さが、上側補強体20及び下側補強体21の一方の領域6方向への突出長さよりも短く形成されている。
【0030】
補強体倒れ防止手段60は、一端側に設けられた連結部が框補強部材13に連結されるとともに、他端側に設けられた被係合部が補強体の係合部に係合した状態に連結されることによって、補強体とパネルの一方の領域6側の面とを連結して補強体の倒れを防止するように構成されている。
【0031】
図5図6図8図9に示すように、補強体倒れ防止手段60は、上側補強体20の中実板部20bの一方の領域6側の面(以下、外面という)20c、又は、下側補強体21の中実板部21bの一方の領域6側の面(以下、外面という)21cと接触する接触面61aを有した押さえ板61と、押さえ板61の一端縁62より延長して、上側補強体20の中実板部20bの延長端の端面20d、又は、下側補強体21の中実板部21bの延長端の端面21dと接触する接触面63aを有した引掛板63と、押さえ板61の他端縁64より引掛板63の延長方向と同方向でかつ引掛板63から離れる方向に傾斜して延長する傾斜板65と、当該傾斜板65の一方の側縁66より引掛板63に近付く方向及び押さえ板61から離れる方向に延長して傾斜板65の板面と直交する板面を有した一方縁側補強板67と、傾斜板65の他方の側縁における押さえ板61に近い側縁部分68より引掛板63に近付く方向に延長して傾斜板65の板面と直交する板面を有した他方縁側補強板69とを備えている。
【0032】
一方縁側補強板67において、傾斜板65の延長端縁65tよりも押さえ板61から離れる方向に延長する部分が連結部としての連結板70として機能し、当該連結板70には、ボルト75を貫通させるためのボルト貫通孔71が1つ以上形成されている。
【0033】
連結板70は、押さえ板61の延長方向と同方向に長い矩形板状に形成され、ボルト貫通孔71は、例えば、連結板70の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて例えば2つ設けられている。
【0034】
一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69の引掛板63に近付く方向への延長端の端面は、上側補強体20の中空板部20aの一方板面(パネルの中心10Z(パネルの短辺に沿った長さの中心)に近い側の板面)20e、又は、下側補強体21の中空板部21aの一方板面(パネルの中心10Zに近い側の板面)21eと接触する接触面72に形成される。
【0035】
補強体倒れ防止手段60は、引掛板63の接触面63aと、上側補強体20の中実板部20bの延長端の端面20d、又は、下側補強体21の中実板部21bの延長端の端面21dとを接触させることで、当該引掛板63を、当該端面20d、又は、端面21dに引っ掛けるとともに、押さえ板61の接触面61aと、上側補強体20の中実板部20bの外面20c、又は、下側補強体21の中実板部21bの外面21cとを接触させ、かつ、一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69の接触面72;72と、上側補強体20の中空板部20aの一方板面20e、又は,下側補強体21の中空板部21aの一方板面21eとを接触させることにより、これら引掛板63と押さえ板61と一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69とで構成された被係合部が、上側補強体20の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部、又は、下側補強体21の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部を、三方から囲んで挟持した状態に設定された後、連結板70が、ボルト75及びナット76等の固定手段によって框補強部材13の補強板部13a(パネルの一方の領域6側の面)に取付けられる。
【0036】
即ち、補強体倒れ防止手段60は、一端側に設けられた連結部としての連結板70と、他端側に設けられた連結部としての被係合部とを備え、上側補強体20の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部、又は、下側補強体21の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部を、三方から囲んで挟持する被係合部が、引掛板63と押さえ板61と一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69とにより構成されている。
【0037】
以上のように補強体倒れ防止手段60が設けられたことにより、補強体倒れ防止手段60は、以下のように、上側補強体20の倒れ、又は、下側補強体21の倒れを防止する。
即ち、例えば閉鎖状態の開閉体3に、開口2を隔てた他方の領域側から風圧が加わった場合、図5において、上側補強体20が上框15との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Zから離れる方向に、及び、下側補強体21が下框16との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Zから離れる方向に倒れようとするが、この際、補強体が倒れようとする力が引掛板63の接触面63aで受け止められて、補強体が倒れようとする力に対して補強体倒れ防止手段60が抵抗するため、補強体の倒れを防止できる。
また、例えば閉鎖状態の開閉体3に、開口を隔てた一方の領域6側から風圧が加わった場合、図5において、上側補強体20が上框15との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Z側に向けて、及び、下側補強体21が下框16との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Z側に向けて倒れようとするが、この際、補強体が倒れようとする力が一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69の接触面72;72で受け止められて、補強体が倒れようとする力に対して補強体倒れ防止手段60が抵抗するため、補強体の倒れを防止できる。
【0038】
即ち、補強体とパネルの一方の領域6側の面とが補強体倒れ防止手段60で連結されたことにより、上側補強体20が上框15との境界を回転中心として開口2側に倒れてしまうことや、下側補強体21が下框16との境界を回転中心として開口2側に倒れてしまうことを防止でき、補強体の倒れに起因するパネルの変形を防止できるようになる。
【0039】
尚、上側補強体20とパネルとを連結する場合と下側補強体21とパネルとを連結する場合とでは、同じ補強体倒れ防止手段60を向きを変えて使用する。
即ち、上側補強体20とパネルとを連結する場合においては、連結板70において他方縁側補強板69と対向する側の内面70uを框補強部材13の補強板部13aと接触させるとともに、傾斜板65の延長端縁65tと框補強部材13の主板部13xの板面とを対向させた状態としてから、連結板70を補強板部13aに取付ける。
また、下側補強体21とパネルとを連結する場合においては、連結板70において内面70uとは反対側の外面70fを框補強部材13の補強板部13aと接触させた状態としてから、連結板70を補強板部13aに取付ける。
【0040】
開閉体3の移動方向Sに沿って並ぶように設けられた複数のパネル10A,10B,10Cは、互いに隣り合うパネルがヒンジ31,32を介して連結されている。
図3に示すように、開閉体3の移動方向Sに沿って互いに隣り合うパネルは、左右方向の端部側がヒンジ32,32により連結され、さらに、左端部と右端部との間は、左右方向に沿って間隔を隔てた複数個所においてヒンジ31,31…により連結されていることにより、開閉体3の移動方向Sに沿って互いに隣り合う一方のパネルの一方の領域6側の面と他方のパネルの一方の領域6側の面とのなす角度が180度以下となることが可能なように構成されている。
【0041】
即ち、開閉体3の移動方向に沿って並ぶように設けられたパネル構成体10は、互いに隣り合う一方のパネルの長辺縁側と他方のパネルの長辺縁側とが連結手段としてのヒンジ31,32を介して連結され、互いに隣り合うパネルの板面が、同一平面上に位置される状態、及び、互いに交差する状態に設定可能に構成されている。
【0042】
図3図4に示す、閉鎖状態のパネル構造体10で説明した場合、上下に隣り合うパネル同士は、具体的には、以下のように連結されている。
上のパネルの左端部側に位置される左の縦框17における一方の領域6側の面の下端側と、下のパネルの左端部側に位置される左の縦框17における一方の領域6側の面の上端側とが、ヒンジ32によって連結されている。
上のパネルの右端部側に位置される右の縦框18における一方の領域6側の面の下端側と、下のパネルの左端部側に位置される右の縦框18における一方の領域6側の面の上端側とが、ヒンジ32によって連結されている。
上のパネルに設けられた下側補強体21の中空板部21aの下面と、下のパネルの一方の領域6側の面の左右方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた各框補強部材13,13…の上端側とが、パネルの左右方向に沿って所定の間隔を隔てて配置された複数のヒンジ31,31…によって連結されている。
【0043】
また、図4に示すように、上パネル10Aの下框16の下面16cを形成する係合凹凸面と上パネル10Aの下隣りに位置された中間パネル10Cの上框15の上面15cを形成する係合凹凸面とを互いに係合させた状態で、これら上パネル10Aと中間パネル10Cとがヒンジ31,32により連結されている。
また、中間パネル10Cの下框16の下面16cを形成する係合凹凸面と当該中間パネル10Cの下隣りに位置された中間パネル10Cの上框15の上面15cを形成する係合凹凸面とを互いに係合させた状態で、これら中間パネル10Cと中間パネル10Cとがヒンジ31,32により連結されている。
また、下パネル10Bの上框15の上面15cを形成する係合凹凸面と当該下パネル10Bの上隣りに位置された中間パネル10Cの下框16の下面16cを形成する係合凹凸面とを互いに係合させた状態で、これら下パネル10Bと中間パネル10Cとがヒンジ31,32により連結されている。
【0044】
ガイドローラ30は、各パネル10A,10B,10Cの左右方向(長手方向)Wの両方の端部に設けられる。
ガイドローラ30は、パネルの左右方向Wの端部に設けられた軸受部に回転可能に取付けられた回転軸部と、パネルの長手方向の端縁より外側に突出する回転軸部の先端側に設けられてガイド手段4の凹部内のガイド面を転動可能に構成されたローラ部とを備える。
従って、開閉体3は、各パネルに設けられたガイドローラ30がガイド手段4によって移動方向Sにガイドされることで、開閉体3の移動方向Sに移動可能である。
【0045】
ガイド手段4は、開口2の左右の側縁に沿ってそれぞれ設置される。
ガイド手段4は、断面コの字状に形成されるレールであって、開口2の側部に設置される垂直案内部41と、一方の領域6の天井側において開口2の上端側から開口2から離れる方向に延長するように設けられた上側案内部43と、垂直案内部41の上端と上側案内部43の開口側端とを連結する円弧状案内部42とを備えて構成される。
開口の左右の縁側に設置された一対のガイド手段4,4間に、開閉体3が開放方向又は閉鎖方向に移動自在に設けられ、開閉体3が垂直案内部41と上側案内部43との間を移動することにより、開閉体3が開口2を開放又は閉鎖する。
【0046】
図1に示すように、開閉機構5は、例えば、開口2の上方において開口2の幅方向に亘って配設される回転軸51と、回転軸51の両端部に固着される一対の巻取ドラム52,52と、一端が巻取ドラム52に連結されて他端が開閉体3に連結され、回転軸51が回転することによって巻取ドラム52に巻き取られたり巻取ドラム52から繰り出される、例えば金属製のワイヤー等の連結部材53と、連結部材53を巻取ドラム52で巻き取る方向、即ち、開閉体3を開放する方向に、回転軸51を付勢する付勢部材54とを備える。
【0047】
回転軸51は、中空又は中実の軸体であって、一対のガイド手段4,4が離間する距離と略等しい長さを有し、開口2の上端よりも上方において開口2の幅方向に延長して配設される。回転軸51は、躯体7に取付けられた複数の軸受けブラケット56,56…により回転可能に支持される。
【0048】
巻取ドラム52は、連結部材53の巻き取りや繰り出しを可能とするボビン状(筒状)の部材であって、当該巻取ドラム52の中心軸と回転軸51の中心軸とが同心となるように回転軸51の両端部に固定される。
巻取ドラム52は、回転軸51とともに回転することにより、連結部材53を外周面上に巻き取ったり、連結部材53が外周面上から繰り出す部材である。より詳細には、巻取ドラム52は、開閉体3が開放動作する際に連結部材53を巻取り、開閉体3が閉鎖動作する際に連結部材53を繰出す。
【0049】
連結部材53は、一端が巻取ドラム52の外周面に止着され、他端が開閉体3の下端部に止着される。なお、連結部材53は、巻取ドラム52に巻き取り可能な部材であればよく、例えば、金属製の鎖やチェーン、金属以外の材質の略紐状あるいは略帯状の部材等であっても良い。
【0050】
付勢部材54としては、例えば、ねじりばね(トーションスプリング)が使用される。回転軸51を当該ねじりばねの中空筒部に通した後、ねじりばねの一端部が回転軸51の外周面に止着され、ねじりばねの他端部が躯体7に止着されている。
当該ねじりばねは、連結部材53を巻き取る方向に回転軸51を付勢するように設けられている。
つまり、付勢部材54は、操作者による開閉体3の開放動作をアシストする機能を有するとともに、開閉体3を全開した状態において、上側案内部43上に位置する開閉体3を上側案内部43上で留置く機能を有する。
【0051】
操作者が、閉鎖状態の開閉体3を持ち上げて開口2を開放する開放動作を行うことにより、開閉体3の最上部に位置するパネルから一枚ずつ折れ曲がるように上側案内部43に順次移動する。そして、開放動作が継続することにより、開閉体3が上側案内部43に移動し、開口2が全開される。
一方、開口2を閉鎖する際には、操作者が、下パネルの取り付けられた図外の下げ紐等の操作部を下方に引張ることにより、開閉体3を垂直案内部41に沿って引き下げる閉鎖動作を行う。開閉体3を閉鎖動作させると上側案内部43上の複数のパネルのうち、開口2側に位置するパネルから垂直案内部41に順次移動する。そして、閉鎖動作が継続することにより、開閉体3が垂直案内部41に移動し、最下部に位置する下パネル10Bの下端に設けられた水切りシール25が床面、地面等の開口下端と接触することにより開口2が全閉される。
【0052】
なお、上記では、開閉機構5として、操作者が開閉体3の開閉を手動で行うタイプの開閉機構を例示したが、図外のチェーンホイスト機構を介して回転軸51を回転させる開閉機構や、図外のモーター等の駆動源により回転軸51を回転させる開閉機構を備えた構成であってもよい。
【0053】
実施形態によれば、上側補強体20、及び、下側補強体21の倒れを防止する補強体倒れ防止手段60を備えたので、上側補強体20や下側補強体21の倒れに起因するパネルの変形を防止でき、パネルの耐風圧強度の低下を防止できる開閉装置1を提供できるようになる。
また、補強体倒れ防止手段60は、上側補強体20とパネルとを連結する場合と下側補強体21とパネルとを連結する場合との両方に使用できるように構成したので、コスト削減を図ることができる。
【0054】
また、開閉体3は、上パネル10Aが、一方の領域6側の面における上端縁側において、パネルの左右方向W及び一方の領域6に延長するように設けられた上側補強体20を備えているので、開閉体3が閉鎖状態に設定された場合に、他方の領域側から開閉体3に加わる風の力が一番強くなる開閉体3の上端側の部分の強度が大きくなる。
即ち、閉鎖状態に設定された開閉体3の上端側の部分の耐風圧強度を大きくできる。
従って、他方の領域側からの風圧に対する耐風圧強度を向上させた開閉体3を備えた開閉装置1を提供できるようになる。
【0055】
また、下パネル10Bは、一方の領域6側の下端に沿って設けられた下側補強体22と、一方の領域6側の上下間の中央側に設けられた中央側補強体23とを備えているので、閉鎖状態に設定された開閉体3の下端側の部分の耐風圧強度を大きくできる。
また、当該下パネル10Bは、中央側補強体23を備えたので、開閉体3の閉鎖時に下パネル10Bが地面に衝突した際にパネル本体の曲げ耐力が向上する。
【0056】
また、閉鎖状態の開閉体3は、上下に隣り合うパネルとパネルとの間に下側補強体21を備えた構成となるため、閉鎖状態に設定された開閉体3の全体の耐風圧強度を大きくできる。
【0057】
また、上側補強体20、下側補強体21,22、中央側補強体23は、パネルにおける一方の領域6側の面より突出して、開口2の横幅方向に対応するパネルの左右方向及び一方の領域6に延長するように設けられたので、開口2を隔てた他方の領域側からの風圧に対する開閉体3の耐風圧強度をより向上させることができるようになる。
【0058】
また、上パネル10Aの上側補強体20及び下側補強体21、中間パネル10Cの下側補強体21を、中空材料により形成したので、材料費を削減できるとともに、高強度の補強体を備えた開閉体3を提供できる。
【0059】
尚、図5に示すように、上側補強体20は、上框15と一体に形成されたものであっても良いし、あるいは、上框15と別体に形成された後に上框15に連結される構成のものであってもよい。
また、図5図6に示すように、下側補強体21は、下框16と一体に形成されたものであっても良いし、あるいは、下框16と別体に形成された後に下框16に連結される構成のものであってもよい。
【0060】
実施形態では、図5に示すように、上パネル10Aの上框15及び上側補強体20が、上框15と上側補強体20とが一体に形成された上側一体成形品を使用して構成され、かつ、上パネル10Aの下框16及び下側補強体21が、下框16と下側補強体21とが一体に形成された下側一体成形品を使用して構成された例を示している。
この場合、図5に示すように、上側一体成形品及び下側一体成形品として同一のものを上下対称に配置して使用できるので、部品の製造コストを削減できるようになる。
また、実施形態では、図6に示すように、中間パネル10Cの下框16及び下側補強体21が、下框16と下側補強体21とが一体に形成された下側一体成形品を使用して構成された例を示している。
【0061】
尚、中間パネル10Cは、パネルの一方の領域6側の面における下端縁側にのみ下側補強体21を備えたものを例示したが、中間パネル10Cは、下側補強体21を備えるとともに、パネルの一方の領域6側の面における上下間の中央側に中央側補強体を備えた構成としてもよい。
【0062】
また、上パネル10Aは、パネルの一方の領域6側の面において上述した上側補強体20及び下側補強体21の他に、パネルの一方の領域6側の面における上下間の中央側に中央側補強体を備えた構成としてもよい。
【0063】
また、上側補強体20及び下側補強体21は、開口2の横幅方向に対応するパネルの左右方向に沿って、間欠的に設けられた構成であってもよい。
【0064】
補強体倒れ防止手段は、上側補強体20や下側補強体21との連結部が、ねじ等の固定手段により連結される構成であってもよい。
【0065】
また、補強体倒れ防止手段は、溶接や接着等の固定手段によって、パネルの一方の領域6側の面(例えば、框補強部材13の補強板部13a)と補強体とに連結された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 開閉装置、2 開口、3 開閉体、6 一方の領域、
10A 上パネル(パネル)、10B 下パネル(パネル)、
11 パネル本体、12 框、13 框補強部材、
15 上框、16 下框、20 上側補強体(補強体)、21 下側補強体(補強体)、31,32 ヒンジ、60 補強体倒れ防止手段、70 連結板(連結部)、
S 開閉体の移動方向、W パネルの左右方向(開口の横幅方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9