(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/376 20110101AFI20221128BHJP
H04N 5/374 20110101ALI20221128BHJP
H04N 5/353 20110101ALI20221128BHJP
【FI】
H04N5/376 500
H04N5/374
H04N5/353
(21)【出願番号】P 2018220672
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤義
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-217280(JP,A)
【文献】特開2001-211347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数の画素と、
第1の周期または前記第1の周期外の第1のタイミングで第1のカウント値をリセットする第1のカウンタと、
第2の周期または前記第2の周期外の第2のタイミングで第2のカウント値をリセットする第2のカウンタと、
外部から入力された垂直同期信号を検出する検出手段と、
前記第1のカウント値または前記第2のカウント値に基づいて、前記複数の画素を駆動するためのパルスを生成する生成手段と、を有し、
前記生成手段は、前記第1のカウント値または前記第2のカウント値のうち、前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタとは異なるカウンタのカウント値に基づいて選択されたカウント値に同期して前記パルスを生成することを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
前記検出手段による前記垂直同期信号の検出に同期して第3のカウント値をカウントアップする第3のカウンタを更に有し、
前記第3のカウント値は、少なくとも第1の状態または第2の状態に遷移可能であり、
前記第1のタイミングは、前記第3のカウント値が前記第1の状態に遷移したタイミングであり、
前記第2のタイミングは、前記第3のカウント値が前記第2の状態に遷移したタイミングであり、
前記複数の画素のうち前記第1のカウント値に同期してリセット動作が行われた画素の読み出し動作は、前記第1のカウント値に同期して行われ、
前記複数の画素のうち前記第2のカウント値に同期してリセット動作が行われた画素の読み出し動作は、前記第2のカウント値に同期して行われることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記第1の状態は、前記第3のカウント値が偶数である状態であり、
前記第2の状態は、前記第3のカウント値が奇数である状態であることを特徴とする請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第1のカウント値がリセットされるタイミングで第3のカウント値をカウントアップする第3のカウンタを更に有し、
前記第1のタイミングは、前記検出手段による前記垂直同期信号の検出されたタイミングであり、
前記第2のタイミングは、前記第3のカウント値が所定値に一致したタイミングであり、
前記複数の画素のうち前記第1のカウント値に同期して開始された画素のリセット動作は、前記第2のカウント値が前記第2のタイミングでリセットされた後、第2のカウント値に同期して行われ、前記画素の読み出し動作は、前記第2のカウント値に同期して行われることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1の周期および前記第2の周期は、同一周期であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記第1の周期および前記第2の周期は、異なる周期であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第1の周期は、前記第1のカウント値が前記第1のタイミングでリセットされることで変更されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第2の周期は、前記第2のカウント値が前記第2のタイミングでリセットされることで変更されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像素子と、
前記第1および第2のカウンタの動作するためのクロックとは非同期のクロックで動作し、前記垂直同期信号を生成する生成手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リセット動作や読み出し動作を制御するための駆動パルスを発生させるタイミングを決定するために、垂直カウンタおよび水平カウンタを備える回路を有する撮像素子が知られている。このような構成において撮像素子の露光時間を制御するためには、垂直カウンタおよび水平カウンタのカウント値をリセットするタイミングを適切に制御する必要がある。従来、垂直カウンタおよび水平カウンタのカウント値のリセットをそれぞれ、撮像素子の外部から入力される垂直同期信号および水平同期信号によって行う構成において、垂直同期信号と水平同期信号の出力タイミングを制御する方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、水平走査をアサートされた水平同期信号に基づいて行い、垂直同期信号がアサートされる間隔である1垂直期間内に所定回数の水平同期信号をアサートすることによって画像の1フレームを取得する撮像装置が開示されている。特許文献1の撮像装置では、水平同期信号がアサートされる間隔が2種類存在する場合、間隔が長い水平期間は間隔が短い水平期間の間に設定される。これにより、画面全体で均すと、均一なタイミングで水平走査を行うことが可能となる。
【0004】
特許文献2には、垂直同期信号の発生間隔と所定数の水平同期信号を発生させるまでに要する時間とが異なる場合、垂直同期信号の発生間隔を水平同期信号の発生間隔の整数倍にするために水平同期信号の発生間隔を変更する撮像装置が開示されている。特許文献2の撮像装置では、全ての水平走査を同一の時間で行い、画面内で露光時間を均一に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5737921号公報
【文献】特許5268539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、カウンタと異なるクロックで動作する信号発生器から生成されるパルスに同期してカウント値をリセットして読み出しを行う構成が知られている。この場合、全く同じデバイスをクロック源として用いたとしてもデバイスの個体差に起因するクロックの周期のずれが発生する。同期信号の生成タイミングと各種カウンタのリセットタイミングを非同期のクロックで制御する構成では、同期信号の入力に同期してカウント値のリセットを行うと、カウント値のリセット周期がずれてしまう。そのため、カウント値のリセット周期に従う読み出し走査およびリセット走査のタイミングを常に一定のタイミングに制御することができなくなる。その結果、同期の前後で画面内の露光時間に差が生じてしまい、画面内に露光段差が発生してしまう。特許文献1,2に開示された撮像装置は、カウント値をリセットするタイミングを司る同期信号を、そのカウンタと同じクロックで動作する同期信号発生回路から発生させるため、このような課題を解決することができない。
【0007】
本発明は、各種カウンタと非同期で入力される垂直同期信号に同期した撮像を行いつつ、リセット走査および読み出し走査のタイミングを適切に制御可能な撮像素子およびこれを備える撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての撮像素子は、行列状に配置された複数の画素と、第1の周期または第1の周期外の第1のタイミングで第1のカウント値をリセットする第1のカウンタと、第2の周期または第2の周期外の第2のタイミングで第2のカウント値をリセットする第2のカウンタと、外部から入力された垂直同期信号を検出する検出手段と、第1のカウント値または第2のカウント値に基づいて、複数の画素を駆動するためのパルスを生成する生成手段と、を有し、生成手段は、第1のカウント値または第2のカウント値のうち、第1のカウンタおよび第2のカウンタとは異なるカウンタのカウント値に基づいて選択されたカウント値に同期してパルスを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各種カウンタと非同期で入力される垂直同期信号に同期した撮像を行いつつ、リセット走査および読み出し走査のタイミングを適切に制御可能な撮像素子およびこれを備える撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】単位画素の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【
図4】実施例1の画素アレイのリセット走査と読み出し走査のタイミングチャートである。
【
図5】複数フレームにおける画素アレイのリセット走査と読み出し走査のタイミングチャートである。
【
図6】実施例2の撮像素子の回路ブロック図である。
【
図7】実施例2の画素アレイのリセット走査と読み出し走査のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、1つ以上のレンズを備える撮像光学系を有する。第1のレンズ100は、撮像光学系の先端側(被写体側)に配置されている。絞り101は、絞り駆動回路119により絞りアクチュエータ120を介して開口径を制御され、撮影時の光量調節を行う。第2レンズ102および第3レンズ103は、CPU110の出力に基づいてフォーカス駆動回路117によりフォーカスアクチュエータ118を介して制御され、光軸に沿って進退することで撮像光学系の焦点位置を調節する。
【0013】
フォーカルプレーンシャッタ104は、シャッター駆動回路116により制御され、静止画撮影時に露光秒時を調節する。光学的ローパスフィルタ105は、撮影画像の偽色やモアレを低減する。撮像素子106は、撮像光学系で形成された被写体の光学像を電気信号に光電変換する。撮像素子106は、第1のクロック生成回路107によって生成されたクロックによって動作し、CPU110によって制御される。
【0014】
DSP(Digital Signal Processor)108は、撮像素子106で撮影された画像データに対する補正・圧縮等の処理を行う画像処理部である。RAM109は、撮像素子106からの出力データを保持する信号保持手段の機能、DSP108で処理された画像データを記憶する画像データ記憶手段の機能、およびCPU110が動作を行う際のワークメモリの機能を有する。なお、本実施例ではこれらの機能を、RAM109を用いて実現するが、アクセス速度が十分に速く、動作上問題のないレベルのメモリを用いて実現してもよい。また、本実施例では、RAM109はDSP108やCPU110の外部に設けられているが、RAM109の一部または全部の機能をDSP108やCPU110に内蔵してもよい。
【0015】
CPU110は、第2のクロック生成回路111によって生成されるクロックによって動作し、撮像装置1の動作を統括的に制御する。CPU110は、撮像装置1の各部の動作を制御するためのプログラムを実行する。また、CPU110は、撮像素子106に対して垂直同期信号を出力することによって、撮像素子106の撮像タイミングを制御する機能を有する。
【0016】
表示部112は、撮影した静止画像や動画像、およびメニュー等の表示を行う。操作部113は、撮影命令や撮影条件等の設定をCPU110に対して行う。記録媒体114は、静止画データおよび動画データを記録するための、撮像装置1に着脱可能な記録媒体である。ROM115は、CPU110が撮像装置1の各部の動作を制御するために実行するプログラムを格納する。
【実施例1】
【0017】
図2を参照して、本実施例の撮像素子106について説明する。
図2は、本実施例の撮像素子106の説明図である。
【0018】
まず、
図2(a)を参照して、撮像素子106の構成について説明する。
図2(a)は、撮像素子106の回路ブロック図である。画素アレイ200には、行列状に複数の単位画素201が配置されている。具体的には、水平方向に(m+1)個、垂直方向に(n+1)個の単位画素201が配置されている。なお、m,nともに自然数である。駆動パルス生成回路202は、第1のHカウンタ210または第2のHカウンタ211のカウント値に従って単位画素201のリセットや、単位画素201で光電変換により生成された画素信号の読み出しを行うためのパルスを生成する。生成されたパルスは、画素駆動回路204に供給される。行選択回路203は、第1のVカウンタ212または第2のVカウンタ213のカウント値に従って、駆動パルス生成回路202によって生成されたパルスを供給する行(特定行)を選択し、画素駆動回路204に選択した行を設定する。画素駆動回路204は、行選択回路203によって設定された行に、駆動パルス生成回路202によって生成されたパルスを供給する。
【0019】
画素信号は、画素駆動回路204から供給されるパルスに応じて垂直出力線205に行ごとに出力される。定電流源206は、画素アンプ用トランジスタ221と組み合わさってソースフォロワ回路を形成する。AD変換回路(以下、ADC)207は、垂直出力線205に出力されたアナログ出力を、その出力に応じたデジタル値に変換する。ADC207の動作タイミングは、第1のHカウンタ210または第2のHカウンタ211によって制御される。ADC207によって変換された画素信号は、水平走査回路208によって第1のHカウンタ210または第2のHカウンタ211のカウントタイミングに同期しながら順に選択されて、出力部209に転送される。出力部209は、ノイズ信号を減算した画素信号を外部に出力する。
【0020】
同期カウンタ215は、第1のHカウンタ210、第2のHカウンタ211、第1のVカウンタ212、第2のVカウンタ213およびフレームカウンタ214を有し、第1のクロック生成回路107によって生成されたクロックで動作する。第1のHカウンタ210は、クロックの入力に伴って第1のHカウント値をカウントアップさせる。第1のHカウント値は、所定の周期経過時またはフレームカウンタ214のカウント値が偶数にカウントアップされるタイミングでリセットされる。第2のHカウンタ211は、クロックの入力に伴って第2のHカウント値をカウントアップさせる。第2のHカウント値は、所定の周期経過時またはフレームカウンタ214のカウント値が奇数にカウントアップされるタイミングでリセットされる。ここで、所定の周期とは、例えば、CPU110によって設定される周期である。第1のVカウンタ212は、第1のHカウント値がリセットされるタイミングに同期して第1のVカウント値をカウントアップするカウンタである。第1のVカウント値は、フレームカウンタ214のカウント値が偶数にカウントアップされるタイミングでリセットされる。第2のVカウンタ213は、第2のHカウント値がリセットされるタイミングに同期して第2のVカウント値をカウントアップするカウンタである。第2のVカウント値は、フレームカウンタ214のカウント値が奇数にカウントアップされるタイミングでリセットされる。フレームカウンタ214は、同期信号検出回路216によってCPU110から入力された垂直同期信号を検出したタイミングに同期してカウント値をカウントアップするカウンタである。フレームカウンタ214のカウント値は、少なくとも第1の状態または第2の状態に遷移可能である。本実施例では、フレームカウンタ214が第3のカウンタとして機能する。
【0021】
なお、本実施例では、画素駆動回路204やADC207は、撮像素子106に内蔵されているが、撮像素子106とは別のチップに設けられてもよい。
【0022】
次に、
図2(b)を参照して、単位画素201の回路構成について説明する。
図2(b)は、単位画素201の回路図である。フォトダイオード(PD)217は、マイクロレンズ下で単位画素201を構成する素子であり、光電変換部を構成する。光電変換部転送スイッチ218は、信号φptxによって制御される。信号φptxの値をHigh(以下、H)にすることによって、光電変換部に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョン部(FD)219に転送することができる。
【0023】
リセットスイッチ220は、FD219を初期化するように信号φpresによって制御される。画素アンプ用トランジスタ221は、セレクトスイッチ222、および垂直出力線205を介して定電流源206に接続されている。セレクトスイッチ222の入力信号φpselの値がHになると、画素アンプ用トランジスタ221は定電流源206に接続され、画素アンプを形成する。FD219はこの画素アンプに接続されているため、PD217からFD219に転送された電荷は、画素アンプによって電荷量に応じた電圧値に変換され、垂直出力線205に画素信号として出力される。
【0024】
以下、
図3を参照して、単位画素201の駆動方法について説明する。
図3は、画素駆動回路204による単位画素201の駆動方法を示すタイミングチャートである。パルスが変化するタイミングとして以下で説明される時刻は全て、第1のHカウンタ210または第2のHカウンタ211のカウントタイミングに同期している。図中、第1のHカウンタ210の第1のHカウント値または第2のHカウンタ211の第2のHカウント値として0が記入されているタイミングが、第1または第2のHカウント値がリセットされるタイミングを示している。リセットされるタイミング以外の第1または第2のHカウント値の表記は、省略されている。なお、
図3では、リセットされるタイミングを分かりやすくするためにリセットされるタイミングのHカウント値、すなわち0であるHカウント値を他のHカウント値よりも大きく記載しているが、実際にはHカウント値は等間隔でカウントアップされる。
【0025】
図3(a)は、リセット動作を示すタイミングチャートである。時刻t300では、信号φptxの値をHとし、PD217がFD219に接続される。このとき、信号φpresの値はHのままであるから、単位画素201は電源に接続されてリセット状態になる。時刻t301では、信号φptxの値をLow(以下、L)とし、単位画素201のリセット状態が解除される。時刻t301以降、単位画素201の蓄積が開始される。
図3(a)のタイミングチャートに対応する動作は、Hカウント値がリセットされる周期よりも短い期間で行われる。
【0026】
図3(b)は、1行の読み出し動作を示すタイミングチャートである。時刻t302では、信号φpselの値をHとし、行が選択される。時刻t303では、信号φpresの値をLとし、FD219のリセットが解除される。時刻t304から時刻t305までの間において、ADC207によってFD219のリセットレベルがAD変換される。このAD変換によって、リセットレベルのデジタル値であるN信号が得られる。時刻t305では、信号φptxをHとし、PD217がFD219に接続され、PD217で発生した光電荷がFD219に転送される。時刻t306では、信号φptxの値をLとし、転送が終了する。ここで、時刻t305でのHカウント値と
図3(a)の時刻t300でのHカウント値が同じとなるように設定されている。また、時刻t306での第1または第2のHカウント値と
図3(a)の時刻t301での第1または第2のHカウント値が同じとなるように設定されている。このように設定することで、単位画素201がリセットされてから読み出されるまでの蓄積時間が、正確に第1または第2のHカウント値がリセットされる周期の整数倍になるように制御することができる。
【0027】
時刻t306から時刻t307までの間において、ADC207によってFD219のリセットレベルがAD変換される。このAD変換によって、PD217に蓄積された光電荷に応じた出力のデジタル値であるS信号が得られる。時刻t308では、信号φhsr_0の値をHとする。これにより、選択された行の第0列目のADC207が出力部209に接続される。出力部209がS信号からN信号を差し引いて出力することで、第0列目の単位画素201に蓄積された光電荷のデジタル値が得られる。時刻t309では、信号φhsr_0の値をL、信号φhsr_1の値をHとし、第1列目の単位画素201のデジタル値が得られる。時刻t310では、信号φhsr_1の値をL、不図示の信号φhsr_2の値をHとする。以降逐次的に水平走査を行い、時刻t311から時刻t312までの間において第m列目の単位画素201の転送が終わり、水平転送が終了する。水平転送が終了すると同時に、信号φpresの値をHとし、選択行のFD219のリセットが行われる。時刻t313では、信号φpselの値をLとし、行の選択が終了する。
図3(b)のタイミングチャートに対応する動作は、第1または第2のHカウント値がリセットされる周期よりも短い期間で行われる。
【0028】
以上説明したように、所定の行のリセット動作および読み出し動作が、第1または第2のHカウント値がリセットされる周期よりも短い期間で行われる。リセット動作および読み出し動作を上の行から順次行うことによって、画像を取得することができる。
【0029】
以下、
図4を参照して、フレームカウンタ214のカウント値が偶数にカウントアップされる場合の画素アレイ200のリセット走査と読み出し走査について説明する。
図4は、画素アレイ200のリセット走査と読み出し走査のタイミングチャートである。時刻t400では、同期信号検出回路216は、CPU110から撮像素子106に入力された垂直同期信号(以下、外部VD)を検出する。外部VDの検出(入力)に同期して、フレームカウンタ214のカウント値は偶数にカウントアップされる。このとき、第1のHカウンタ210の第1のHカウント値および第1のVカウンタ212の第1のVカウント値がリセットされる。CPU110によって設定された時刻t401では、画素アレイ200の第0行目のリセット動作が開始される。リセット動作は、第1のHカウント値に同期して
図3(a)のタイミングチャートに沿って実行される。時刻t401から所定周期経過後、第1のHカウント値はリセットされ、それに伴って第1のVカウント値はカウントアップされる。第1のVカウント値がカウントアップされると、行選択回路203は次の行を選択し、次の行のリセット走査が開始される。このようにして、行単位で順次、リセット動作が行われる。
【0030】
時刻t402では、第n-2行目のリセット動作が開始される。時刻t403では、同期信号検出回路216は、外部VDを検出する。外部VDの検出に同期して、フレームカウンタ214のカウント値は奇数にカウントアップされる。そのため、第2のHカウンタ211の第2のHカウント値および第2のVカウンタ213の第2のVカウント値がリセットされ、第1のHカウント値および第1のVカウント値はリセットされない。したがって、リセット動作は、中断されることなく続行される。時刻t404では、第1のHカウント値がリセットされる。時刻t404は、時刻t403で外部VDが検出されてから初めて第1のHカウント値がリセットされるタイミングである。本実施例では、このタイミングで読み出し動作が開始される。読み出し動作は、第1のHカウント値に同期して
図3(b)のタイミングチャートに沿って実行される。蓄積時間は、CPU110によって設定された時刻t401と、時刻t404との時間差となる。
【0031】
このような動作を行うことによって、外部VDの検出に同期してリセット走査および読み出し走査を行いつつ、次の外部VDの検出により走査は中断されなくなる。その結果、外部VDの検出タイミングの前後でも画面内の露光時間には差は発生せず、画面内の露光段差も生じない。
【0032】
なお、フレームカウンタ214のカウント値が奇数にカウントアップされる場合、第1のHカウンタ210と第2のHカウンタ211の役割が入れ替わり、第1のVカウンタ212と第2のVカウンタ213の役割が入れ替わる。
【0033】
図5は、複数のフレームにおける画素アレイ200のリセット走査と読み出し走査のタイミングチャートである。時刻t550では、フレームカウンタ214のカウント値が2k(k:自然数)にカウントアップされ、第1のHカウンタ210の第1のHカウント値がリセットされる。時刻t551では、第1のHカウント値のリセットタイミングに同期してリセット走査500が開始される。時刻t552では、フレームカウンタ214のカウント値が2k+1にカウントアップされ、第2のHカウンタ211の第2のHカウント値がリセットされる。このとき、第1のHカウント値はリセットされないので、リセット走査500は中断されない。時刻t553では、第1のHカウント値のリセットタイミングに同期して読み出し走査501が開始される。
【0034】
時刻t554では、第2のHカウント値のリセットタイミングに同期してリセット走査502が開始される。時刻t555では、フレームカウンタ214のカウント値が2k+2にカウントアップされ、第1のHカウント値がリセットされる。このとき、第2のHカウント値はリセットされないので、リセット走査502は中断されない。時刻t556では、第2のHカウント値のリセットタイミングに同期して読み出し走査503が開始される。
【0035】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、各種カウンタと非同期で入力される垂直同期信号に同期した撮像を行いつつも、その同期の前後でリセット走査および読み出し走査の周期が変わらないように撮像素子を駆動させることができる。
【0036】
本実施例では、第1のHカウンタ210の第1のHカウント値と第2のHカウンタ211の第2のHカウント値は同一周期でリセットされるが、必ずしも同一の周期でリセットされなくてもよい。例えば、第1のHカウント値のリセット周期を動画用のリセット走査および読み出し走査に最適な周期に設定し、第2のHカウント値のリセット周期を静止画用のリセット走査および読み出し走査に最適な周期に設定してもよい。この場合、フレームカウンタ214のカウント値が偶数にカウントアップされるタイミングで、第1のHカウント値に従って動画のリセット走査および読み出し走査が行われる。また、フレームカウンタ214のカウント値が奇数にカウントアップされるタイミングで、第2のHカウント値に従って静止画のリセット走査および読み出し走査が行われる。このような制御により、連続するフレームで異なる種類のデータを取得することができる。
【0037】
また、本実施例では、第1のHカウント値および第2のHカウント値の周期が常に一定であるが、本発明はこれに限定されない。同一フレームでは、周期を一定に保つ必要があるが、複数のフレームでは、周期を一定に保つ必要はない。例えば、フレームカウンタ214のカウント値が4k,4k+1,4k+2にカウントアップされるタイミングで同期されるカウンタを動画用の周期、4k+3にカウントアップされるタイミングで同期されるカウンタを静止画用の周期で動作させる。このような制御により、連続する4フレームの中で1つのフレームでは静止画を取得し、他のフレームでは動画を取得することができる。
【実施例2】
【0038】
図6を参照して、本実施例の撮像素子106の構成について説明する。
図6は、本実施例の撮像素子106の回路ブロック図である。本実施例では、実施例1と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施例では、第1のVカウンタ212が第3のカウンタとして機能する。
【0039】
第1のHカウンタ210の第1のHカウント値は、所定の周期経過時または同期信号検出回路216によってCPU110から撮像素子106に入力された垂直同期信号(以下、外部VD)が検出されたタイミングでリセットされる。第1のVカウンタ212は、第1のHカウント値がリセットされるタイミングに同期して第1のVカウント値をカウントアップさせる。第1のVカウント値は、同期信号検出回路216によって外部VDが検出されたタイミングでリセットされる。
【0040】
第2のHカウンタ211の第2のHカウント値は、所定の周期経過時またはリセットパルス生成回路601でリセットパルスが生成されたタイミングに同期してリセットされる。第2のVカウンタ213は、第2のHカウント値がリセットされるタイミングに同期して第2のVカウント値をカウントアップさせる。第2のVカウント値は、リセットパルス生成回路601でリセットパルスが生成されたタイミングに同期してリセットされる。
【0041】
リセットタイミング設定手段600は、例えば、CPU110から設定された値(所定値)を保持する。リセットパルス生成回路601は、第1のVカウント値と、リセットタイミング設定手段600が保持する値とを比較し、両者が一致した場合にリセットパルスを出力する。そのため、第1のVカウント値とリセットタイミング設定手段600が保持する値とが一致したタイミングに同期して第2のHカウント値および第2のVカウント値がリセットされる。
【0042】
図7は、本実施例の画素アレイ200のリセット走査と読み出し走査のタイミングチャートである。なお、一例として、リセットタイミング設定手段600が設定された値として「p-1」を保持している場合について説明する。
【0043】
時刻t700では、同期信号検出回路216は、外部VDを検出する。外部VDの検出(入力)に同期して、第1のHカウント値および第1のVカウント値はリセットされる。CPU110によって設定された時刻t701では、画素アレイ200の第0行目のリセット動作が開始される。リセット動作は、第1のHカウント値に同期して
図3(a)のタイミングチャートに沿って実行される。時刻t701から所定周期経過後、第1のHカウント値はリセットされ、それに伴って第1のVカウント値はカウントアップされる。第1のVカウント値がカウントアップされると、行選択回路203は次の行を選択し、次の行のリセット走査が開始される。このようにして、行単位で順次、リセット動作が行われる。
【0044】
時刻t702では、第1のVカウント値が「p-1」にカウントアップされると、リセットタイミング設定手段600が保持する値と一致する。そのため、リセットパルス生成回路601はリセットパルスを生成し、第2のHカウント値および第2のVカウント値は所定周期外のタイミングでリセットされる。このタイミングから、リセット動作は第2のHカウント値に同期して行われる。また、行選択は、第2のVカウント値に基づいて行われる。時刻t702から所定周期経過後、第2のHカウント値はリセットされ、第2のVカウント値はカウントアップされる。第2のVカウント値がカウントアップされると、行選択回路203は次の行を選択し、次の行のリセット走査が開始される。
【0045】
時刻t703では、同期信号検出回路216は、外部VDを検出する。外部VDの検出に同期して、第1のHカウント値は所定周期外でリセットされる。しかしながら、このタイミングにおけるリセット動作は第2のHカウント値に従って実行されているため、リセット動作が中断されることはない。時刻t704では、第2のHカウント値のリセットタイミングに同期して読み出し動作が開始される。読み出し動作は、第2のHカウント値に同期して
図3(b)のタイミングチャートに沿って実行される。
【0046】
上述したように、時刻t701のリセット動作の開始から、時刻t704の読み出し動作の開始まで、外部VDの検出が行われる前後でも走査周期は変わらない。そのため、どの行においても蓄積時間は、CPU110によって設定された時刻t701と時刻t704との時間差となり、面内で一定の蓄積時間となる。その結果、同期の前後でも画面内の露光時間には差は発生せず、画面内の露光段差も生じない。
【0047】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、各種カウンタと非同期で入力される垂直同期信号に同期した撮像を行いつつも、読み出し走査およびリセット走査の制御を適切に行うことができるようになる。また、読み出し走査が必ず第2のHカウンタ211に同期して行うことができるようになるため、実施例1の構成と比較して、駆動パルス生成回路を簡略化することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
106 撮像素子
201 単位画素
202 駆動パルス生成回路(生成手段)
210 第1のHカウンタ(第1のカウンタ)
211 第2のHカウンタ(第2のカウンタ)
216 同期信号検出回路(検出手段)