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特許7183039吸収性物品、吸収性コアおよび該吸収性物品の製造方法
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  • 特許-吸収性物品、吸収性コアおよび該吸収性物品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】吸収性物品、吸収性コアおよび該吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20221128BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221128BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/15 320
A61F13/15 390
A61F13/537 220
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018520509
(86)(22)【出願日】2015-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 SE2015051115
(87)【国際公開番号】W WO2017069666
(87)【国際公開日】2017-04-27
【審査請求日】2018-06-19
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】プレロ・エム・フッド
(72)【発明者】
【氏名】ポール・クームズ
(72)【発明者】
【氏名】マリエラ・バイバー
(72)【発明者】
【氏名】ペテル・カセナーク
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】井上 茂夫
【審判官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/086487(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/535
A61F13/15
A61F13/537
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向、横方向および厚さ方向を有し、流体透過性トップシート(2)と、流体不透過性バックシート(3)と、前記流体透過性トップシート(2)と前記流体不透過性バックシート(3)との間に封入された吸収性コア(4)とを含む、失禁ライナーである吸収性物品(1)であって、
長手方向に前部セクション(8)と、後部セクション(9)と、前記前部セクション(8)と前記後部セクション(9)との間の股部セクション(10)とを有し、
前記流体不透過性バックシート(3)の衣類に面する側に、サポート下着の中に失禁ライナーを固定するための接着剤が設けられており、
前記吸収性コア(4)は、長手方向に延在する少なくとも1つのチャネル領域(4a)によって横方向に離間された長手方向に延在する2つの側部領域(4b、4c)を有し、
前記チャネル領域(4a)が前記側部領域(4b、4c)よりも坪量が少なく、
前記チャネル領域(4a)の坪量と前記吸収性コア(4)の前記側部領域(4b、4c)の坪量との比が1:3~2:3であり、
前記チャネル領域(4a)が前記吸収性コア(4)の全長に沿って延在し、
前記吸収性コア(4)は、前記吸収性コア(4)に沿って均等に分布した超吸収性材料を含み、前記吸収性コア(4)における前記超吸収性材料の量が、前記吸収性コア(4)の総重量の25~55%の範囲内であることを特徴とする、吸収性物品(1)。
【請求項2】
前記吸収性物品(1)が単一の吸収性コア(4)を有する、請求項1に記載の吸収性物品(1)。
【請求項3】
前記吸収性物品(1)が、前記吸収性コア(4)を覆う獲得層を含む、請求項1または2に記載の吸収性物品(1)。
【請求項4】
長手方向に延在する2つ以上のチャネル領域を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項5】
前記吸収性コアは、長手方向に延在する2つの側部領域と、前記側部領域の間に長手方向に延在する中央領域とを有し、前記中央領域および前記側部領域は、前記チャネル領域によって横方向に離間されている、請求項4に記載の吸収性物品(1)。
【請求項6】
股部セクション(10)と、前部セクション(8)と、後部セクション(9)とを備え、前記中央領域の幅は、少なくとも前記前部セクションと前記後部セクションにおいて、前記側部領域の幅よりも小さい、請求項5に記載の吸収性物品(1)。
【請求項7】
横方向の前記中央領域の幅は、前記股部セクションにおいても横方向の各側部領域の幅よりも小さい、請求項6に記載の吸収性物品(1)。
【請求項8】
前記チャネル領域は、前記吸収性コア(4)の長手方向に沿って平行かつ直線状である、請求項4~7のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項9】
前記中央領域の幅が6~10mmである、請求項5~8のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項10】
前記チャネル領域(4a)の幅(w)が、対応する側部領域(4b、4c)の幅(ws)の0.4倍未満であることを特徴とする方法、請求項1~9のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項11】
各チャネル領域の幅(w)は、2~3ミリメートルである、請求項5~10のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項12】
前記チャネル領域(4a)の幅(w)は、最も狭い領域(10)における前記吸収性コア(4)の幅の0.1倍未満である、請求項1~11のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項13】
コア材料の堆積によって前記チャネル領域(4a)が前記吸収性コア(4)内に形成されており、前記コア材料の前記堆積は、コア領域(4)の他の領域における材料の堆積と比較して、前記チャネル領域(4a)において相対的に少ない、請求項1~12のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項14】
長手方向に延在する少なくとも1つのチャネル領域(4a)によって横方向に離間された長手方向に延在する2つの側部領域(4d、4e)を有する、失禁ライナーである吸収性物品(1)において使用するための吸収性コア(4)であって、
前部セクション(8)と、後部セクション(9)と、前記前部セクション(8)と前記後部セクション(9)との間の股部セクション(10)を長手方向に有し、
前記チャネル領域(4a)は、前記側部領域(4b、4c)と同じ厚さで、且つ前記側部領域(4b、4c)よりも坪量が小さく、
前記チャネル領域(4a)の坪量と前記吸収性コア(4)の前記側部領域(4b、4c)の坪量との比が1:3~2:3であり、前記チャネル領域(4a)が前記吸収性コア(4)の全長に沿って延在し、前記吸収性コア(4)は、前記吸収性コア(4)に沿って均等に分布した超吸収性材料を含み、前記吸収性コア(4)における前記超吸収性材料の量は、前記吸収性コア(4)の総重量の25~55%の範囲内である、吸収性コア(4)。
【請求項15】
失禁ライナーである吸収性物品(1)において使用するための吸収性コア(4)であって、長手方向、横方向および厚み方向を有する吸収性コア(4)の製造方法であって、
流体透過性トップシート(2)を提供するステップと、
流体不透過性バックシート(3)を提供するステップと、
吸収性コア(4)に、長手方向に延在する少なくとも1つのチャネル領域(4a)を形成することにより、前記チャネル領域(4a)によって横方向に離間された長手方向に延在する2つの側部領域(4b、4c)を画定するステップと、
前記流体透過性トップシート(2)と前記流体不透過性バックシート(3)との間に前記吸収性コア(4)を封入するステップであって、前記吸収性コア(4)は、前部セクション(8)と、後部セクション(9)と、前記前部セクション(8)と前記後部セクション(9)との間の股部セクション(10)と、を長手方向に有するステップと、
前記側部領域(4b、4c)よりも坪量が小さい前記チャネル領域(4a)を形成するステップであって、前記チャネル領域(4a)の坪量と前記吸収性コア(4)の前記側部領域(4b、4c)の坪量との比が1:3~2:3であるステップと、
前記吸収性コア(4)の全長に沿って延在するように前記チャネル領域(4a)を形成することにより、前記吸収性コア(4)は、前記吸収性コア(4)に沿ってほぼ均等に分布した超吸収性材料を含み、前記吸収性コア(4)における前記超吸収性材料の量が、前記吸収性コア(4)の総重量の25~55%の範囲内であるステップと、
前記流体不透過性バックシート(3)の衣類に面する側に、サポート下着の中に失禁ライナーを固定するための接着剤を設けるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記吸収性コア(4)における前記超吸収性材料の量が、前記吸収性コア(4)の総重量の35~50%の範囲内であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の吸収性物品(1)。
【請求項17】
前記吸収性コア(4)における前記超吸収性材料の量が、前記吸収性コア(4)の総重量の35~50%の範囲内であることを特徴とする、請求項14項に記載の吸収性コア(4)。
【請求項18】
前記吸収性コア(4)における前記超吸収性材料の量が、前記吸収性コア(4)の総重量の35~50%の範囲内であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向、横方向および厚さ方向を有し、流体透過性トップシート、流体不透過性バックシート、およびトップシートとバックシートとの間に封入された吸収性コアを含む吸収性物品に関し、長手方向において、前部セクションと、後部セクションと、前部セクションと後部セクションとの間の股部セクションとを有する。吸収性コアは、少なくとも1つの長手方向に延在するチャネル領域によって横方向に離間された2つの側部領域を有する。
【0002】
本発明はまた、吸収性物品において使用するための吸収性コアであって、長手方向に延在する少なくとも1つのチャネル領域によって横方向に離間されている、長手方向に延在する2つの側部領域を有する吸収性コアに関する。吸収性コアはまた、長手方向において、前部セクションと、後部セクションと、前部セクションと後部セクションとの間の股部セクションとを有する。
【0003】
本発明はまた、長手方向、横方向および厚さ方向を有する吸収性物品に使用するための吸収性コアを製造する方法に関する。この方法は、流体透過性トップシートを提供するステップと、流体不透過性バックシートを提供するステップと、吸収性コアに少なくとも1つの長手方向に延在するチャネル領域を形成することにより、前記チャネル領域によって横方向に離間された2つの長手方向に延在する側部領域を画定するステップと、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアを封入するステップとを含む。また、吸収性コアは、長手方向において、前部セクションと、後部セクションと、前部セクションと後部セクションとの間の股部セクションとを有する。
【背景技術】
【0004】
例えば失禁ライナーや乳児用おむつ、生理用ナプキンの形態の吸収性物品はよく知られている。このような吸収性物品の一般目的は、吸収性物品の使用中に着用者に高いレベルの快適さおよび乾燥感を提供しながら、様々なタイプの身体排出物を吸収し、分配し、貯蔵することである。また、吸収性物品は、着用者がこのような身体排出物によって衣服を汚すのを防止する。
【0005】
特に、失禁ライナーの形態の吸収性物品は、軽い尿漏れから着用者を保護するために使用されることに留意することができる。そのような漏出は、例えば、妊娠または出産の結果として、または走ったり、笑ったり、くしゃみまたは咳をするなどの身体的努力の間に起こり得る。このため、着用時に吸収性物品に放出されると予想される流体を吸収するのに十分な吸収能力を有するように設計された失禁ライナーを使用することが知られている。
【0006】
失禁ライナーに関して、そのようなタイプの製品には一定の要件が存在する。最初は、失禁ライナーは、使用者の通常の下着に着用され、軽い尿漏れに対する保護を提供するように設計されるべきであることに留意すべきである。この理由のために、既知のタイプの失禁ライナーは、使用者の下着および身体に最適なフィットを提供し、また使用中の尿漏れを吸収するように成形される。この目的のために、ライナーは、製品の長手方向軸に沿って配置された吸収性材料のコアを含む。また、ライナーは通常、着用者に新鮮さと乾燥感を与えるために軟質のトップシートを含む。さらに、失禁ライナーは、比較的薄くなければならず、使用中に着用者の衣服を通して一般に見えないように、控えめな形状に設計されるべきである。最後に、ライナーは、通常、適切な接着手段を備え、着用者の下着に取り付けることを可能にする。
【0007】
特に、尿失禁用ライナーは、尿の吸収に加えて柔らかさ、柔軟性および快適性を提供すべきであることに注目される。
【0008】
特許文献米国特許出願公開第2007/078422号明細書は、吸収性コアを包囲するトップシートとバックシートとを含むおむつの形態の吸収性物品を開示している。吸収性コアは、コアの厚さを貫通して延在する2つの長手方向に延在するギャップを含み、ギャップの間の長手方向に延在する中央領域と、ギャップの外側の2つの長手方向に延在する側部領域とを共に画定する。その結果、中央領域および側部領域は、コアに沿って延在する長手方向の隙間によって吸収性物品の横方向に離間される。米国特許出願公開第2007/078422号明細書による物品の目的は、使用中に物品の制御された変形を提供するように構成された吸収性物品を提供することである。
【0009】
米国特許出願公開第2007/078422号明細書に開示された物品は、おむつとして使用するのに適しており、使用中に制御された変形を提供することができるが、さらなる改善が必要である。特に、吸収性物品の特定のタイプである失禁ライナーの柔軟性を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2007/078422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明によれば、これに特に限定されるものではないが、失禁ライナーとして使用することを意図した吸収性物品を提供し、ここで、物品の柔軟性に関する特性および使用中の着用者の解剖学的構造に適合する能力は、既知の吸収性物品に比べ、改善される。
【0012】
本明細書において、「柔軟性(pliability)」という用語は、ライナーが使用中に着用者の解剖学的構造に従うように容易に曲げられ、成形されるように設計されることを意味する。特に、ライナーは、その長手方向に沿って屈曲して、最適な機能および適合性を提供するように設計される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、長手方向、横方向および厚さ方向を有する吸収性物品によって得られ、流体不透過性のトップシートと、不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートとの間に封入された吸収性コアとを備え、長手方向において、前部セクションと、後部セクションと、前部セクションと後部セクションの間の股部セクションとを含む。吸収性コアは、少なくとも1つの長手方向に延在するチャネル領域によって横方向に離間された2つの長手方向に延在する側部領域を有する。また、チャネル領域は、側部領域よりも坪量が小さい。
【0014】
一実施形態によれば、チャネル領域は、吸収性コアの全長に沿って延在する。
【0015】
上述したように、本発明による吸収性物品は、吸収性コアが、より低い坪量を有する少なくとも1つのチャネル領域を有するように設計されているという事実のために、高い柔軟性を提供し、すなわち、吸収性コアの残りの部分よりも面積(gsm)当たりの吸収性材料の量が少ない。
【0016】
吸収性物品は、前部セクションと、後部セクションと、前部セクションと後部セクションとの間の股部セクションとを含む、細長い一般的に長方形の形状を有する。本出願における「略(generally)」という用語は、例えば、吸収性物品の角が丸くなることを意味する。少なくとも後部セクションおよび前部セクションにおいて、横方向の中央領域の幅は、横方向の各側部領域の幅よりも小さい。ただし、丸みを帯びた後端コーナおよび丸みを帯びた前端コーナは、後部セクションおよび前部セクションに含まれない。
【0017】
一実施形態によれば、チャネル領域も吸収性コアの側部領域より密度が低い。密度は0.5kPaの印加圧力で測定する。
【0018】
一実施形態によれば、軽い坪量領域を有するチャネル領域は、コアの側面領域および中央領域とほぼ同じ厚さである。軽い坪量領域を有するチャネル領域は、コアの側部領域とほぼ同じ厚さであるので、チャネル領域は、この実施形態によれば、吸収性コアの側部領域よりも密度が低い。密度は0.5kPaの印加圧力で測定する。これは、使用中に、物品がチャネル領域の方向に沿って高度の可撓性を示し、着用者の解剖学的構造に対する高度の適合性を示すことを意味する。これは、本発明による吸収性物品の快適性および機能に関する利点である。
【0019】
一実施形態によれば、チャネル領域と吸収性コアの残りの部分との間の坪量の比は、少なくとも2:5または少なくとも1:2である。
【0020】
一実施形態によれば、チャネル領域と吸収性コアの残りの部分との間の坪量の比が1:3~2:3の間である。
【0021】
さらなる実施形態によれば、チャネル領域と吸収性コアの残りの部分との間の坪量の比は約1:2である。
【0022】
一実施形態によれば、側部250~600gsmまたは250~450gsmの坪量がある。吸収性コアが中央領域も有する場合、中央領域も250-600gsmまたは250-450gsmの坪量を有することができる。
【0023】
一実施形態によれば、物品は単一の吸収性コアを有する。単一の吸収性コアを有することにより、着用者にとって快適かつ控えめである薄くコンパクトな吸収性製品が提供される。
【0024】
一実施形態によれば、物品は、例えば失禁ライナー等の失禁プロテクターである。
【0025】
さらに、一実施形態によれば、吸収性物品は、前記吸収性コアを略覆う獲得層を含む。このような層は、流体の迅速な注入および分配が得られるため、失禁用品での使用に特に適している。これは、比較的短い時間で比較的多量の流体を排出する状況において、獲得層が有利であることを意味する。一実施形態によれば、獲得層の坪量は30~60gsm、または40~50gsmである。一実施形態によれば、獲得層は、例えばスルーエアーボンド不織布(through air bonded nonwoven)である繊維ベースの獲得層である。
【0026】
一実施形態によれば、獲得層は、本質的に非吸収性繊維、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらのブレンドおよび組み合わせから選択される熱可塑性ポリマー繊維からなる。
【0027】
一実施形態によれば、トップシートはまた、不織布、例えばスパンボンド不織布、カード熱結合不織布、カードスルーエアーボンド不織布或いはスパンレース不織布である。
【0028】
一実施形態によれば、吸収性コアは、吸収性コアに沿って概して等しく分布された超吸収性材料を含む。 より正確には、前記吸収性コア中の前記超吸収性材料の量は、吸収性コアの全重量の25~55%、好ましくは35~50%の範囲内である。
【0029】
一実施形態によれば、前記チャネル領域の幅は、少なくとも前部セクションおよび後部セクションにおいて対応する側部領域の幅の0.4倍未満である。更なる実施形態によれば、前記チャネル領域の幅は、股部セクションにおいても対応する側部領域の幅の0.4倍未満である。
【0030】
さらなる実施形態によれば、前記チャネル領域の幅は、最も狭い領域での吸収性コアの幅の0.1倍未満である。
【0031】
さらに、一実施形態によれば、チャネル領域は、吸収性物品の長手方向軸に沿ってほぼ平行で直線状である。
【0032】
一実施形態によれば、吸収性物品は、2つ以上の長手方向に延在するチャネル領域を含む。そのような場合、吸収性コアは、2つの長手方向に延在する側部領域と、前記側部領域の間の長手方向に延在する中央領域とを画定し、中央領域および側部領域は、前記チャネル領域によって横方向に離間されている。好ましくは、チャネル領域は、吸収性物品の長手方向に沿ってほぼ平行で直線状である。このようにして、物品の柔軟性に関する最適な特性を得ることができる。
【0033】
一実施形態によれば、各側部領域の幅は、最も狭い領域の中央領域の幅とほぼ同じである。
【0034】
さらなる実施形態によれば、各側部領域の幅は、その最も狭い領域における中央領域の幅よりも大きい。
【0035】
更なる実施形態によれば、中央領域は、股部セクションにおいて、股部セクションにおける吸収性コアの全幅の2/5未満、または股部セクションにおける吸収性コアの全幅の1/3未満、または股部セクションにおける吸収性コアの全幅の1/4未満の幅を有する。
【0036】
一実施形態によれば、吸収性物品は2つのチャネル領域を含み、各チャネル領域の幅は約2~3ミリメートルである。
【0037】
一実施形態によれば、中央領域の幅は6~12mm、7~10mmまたは8~9mmである。
【0038】
一実施形態によれば、側面領域および中央領域(コアが中心領域を有する場合)に同じタイプの吸収性コアの材料があり、しかし、コアの他の領域と比較して、チャネル領域内の面積当たりの材料が少ない。吸収性コアは単一の連続層であってもよい。
【0039】
さらに、本発明の上記目的は、吸収性物品に使用するための吸収性コアと、
少なくとも1つの長手方向に延在するチャネル領域によって横方向に離間された2つの長手方向に延在する側面領域を有し、前記吸収性コアはまた、長手方向において、前方セクションと、後方セクションと、前方セクションと後方セクションとの間の股部セクションとを有する。また、チャネル領域は、側部よりも坪量が小さい。
【0040】
本発明の上記目的は、長手方向、横方向及び厚さ方向を有する吸収性物品に使用する吸収性コアの製造方法によって得られる。前記方法は、流体透過性トップシートを提供するステップと、流体不透過性バックシートを提供するステップと、吸収性コアに少なくとも1つの長手方向に延在するチャネル領域を形成することにより、前記チャネル領域によって横方向に離間された2つの長手方向に延在する側部を画定するステップと、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアを封入し、吸収性コアは、長手方向に、前部セクションと、後部セクションと、前部セクションと後部セクションとの間の股部セクションとを有するステップと、を含む。さらに、この方法は、側部領域よりも坪量の少ない前記チャネル領域を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、添付の図面に示されている図面を参照して以下により詳細に説明される。
図1】本発明による吸収性物品の一部を形成する多数の層の分解図を示す。
図2】着用時に使用者の下着に面する側から見た吸収性物品の図である。
図3図2のIII-III線に沿った、図2の吸収性物品の断面図である。
図4図3に示すような吸収性コアを通る断面の拡大部分である。
図5】吸収性コアを製造するための装置の簡略化した斜視図を示す。
図6】前記吸収性コアを製造するために使用されるコア型の断面図を示す。
図7】本発明による物品の曲げ剛性試験を行う配置の側面図である。
図8】曲げ剛性試験を実施するための配置のさらなる図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の様々な態様を、添付の図面を参照して以下に完全に説明する。しかしながら、本明細書に開示された実施形態は、多くの異なる形態で実現されてもよく、本明細書に記載される態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0043】
図1を最初に参照すると、本発明によるパーソナルケア用吸収性物品1の分解図が示されている。一実施形態によれば、吸収性物品1は、失禁ライナー、すなわち軽い尿漏れを吸収するように特別に設計され最適化された失禁プロテクター物品である。
【0044】
しかしながら、本発明の原理は、任意のタイプの衛生的な吸収性物品に等しく適用可能であることを理解されたい。このような物品には、様々なタイプの失禁ライナーおよびパッド、ならびに生理用ナプキン、月経パッド、パンティーライナー、または支持パンティー若しくはホルダーの中に着用される同様の製品が含まれる。そのような物品はまた、ベビーおむつ、パンツおむつ、トレーニングパンツ、ベルト付きおむつまたは同様の使い捨て吸収性衣類を含む。
【0045】
図1は、完全のライナー1を一緒に形成する特定の層を有する失禁ライナー1を示す。より正確には、失禁ライナー1は、流体透過性トップシート2および流体不透過性バックシート3を含む。ライナー1はまた、トップシート2とバックシート3との間に挟まれた吸収性コア4を含む。トップシート2は、失禁ライナー1の表面、すなわち着用者に面する側に配置される。バックシート3は、ライナー1の下側に、すなわち着用者の下着に面して配置されている。さらに、トップシート2とバックシート3とは、吸収性コア4の全周に沿って、吸収性コア4の横方向外側に一緒に延在している。トップシート2、バックシート3および吸収性コア4は、以下でさらに詳細に説明するように、特定の目的に適した任意の材料からなることができる。
【0046】
さらに、吸収層5は、表面シート2と吸収性コア4との間に位置する。獲得層5は、吸収性コア4の上に配置され、失禁ライナーの形態の吸収性物品に使用するのに特に適している液体入口層として機能する。これは、比較的短時間で比較的多量の流体が排出される状況では、失禁ライナーが通常使用されるという事実に起因する。
【0047】
ライナー1の構成要素は、接着剤、熱接着または超音波結合などの従来の手段によって互いに接続されてもよい。
【0048】
吸収性物品1の一部を形成する種々の層2,3,4,5について、主に図1および2を参照してより詳細に説明する。
【0049】
一実施形態によれば、トップシート2は、熱可塑性合成繊維からなる流体透過性の不織布またはフィルムによって形成される。トップシート2は、十分に透液性であり、排出された尿などの体液がトップシート2の厚みを貫通して吸収層5および吸収性コア4に到達して吸収されることを可能にする。また、トップシート2は、着用者の肌に対応して柔らかい感触を有する材料で製造されている。
【0050】
さらなる実施形態によれば、トップシートは、織物ウェブおよび不織ウェブ、フィルム、発泡材(foams)、または上記の材料の組み合わせなどの様々なウェブ材料から製造することができる。トップシート2に使用される不織布材料は、例えば、スパンボンド不織布、カード樹脂結合材料(carded resin bonded materials)、カードスルーエアーボンド材料(carded through-air bonded materials)、ハイドロエンタングル材料または熱接着材料であってもよい。
【0051】
さらなる実施形態によれば、トップシート2は穿孔されていてもよく、すなわち流体透過性の開口部が設けられていてもよく、場合によって任意の方向に伸ばされることを可能にする弾性特性を有していてもよい。さらに、トップシート2は、吸収性物品1の全体に亘って延在している。また、トップシート2は、単層であってもよく、2層以上の組み合わせであってもよい。
【0052】
さらに、バックシート3は、流体不透過性かつ通気性のポリエチレンのフィルムによって構成された実施形態に従う。様々な実施形態によれば、バックシート3を製造するために使用され得る材料は、薄くかつ柔軟な流体不透過性プラスチックフィルム、または流体不透過性不織材料、流体不透過性発泡材および流体不透過性積層体を含む。
【0053】
図示された実施形態によれば、バックシート3は単一の層によって形成されるが、代わりに、多層構造、すなわち少なくとも1つの層が流体不透過性である積層体によって形成することができる。さらに、バックシート3は場合によっていずれの方向にも弾性を有することができる。また、完全に流体不浸透性ではなく、流体浸透にのみ耐えるバックシート材料を使用することができ、特に比較的少量の尿が失禁ライナー1によって吸収されることが予想される場合である。さらなる実施形態によれば、バックシート3は通気性であり得、空気および蒸気がバックシートを通過し得ることを暗示する。さらに、バックシート3は、場合によって、不織布等の繊維材料の衣服に面する外側表面を有してもよい。
【0054】
図1および図3に示すように、バックシート3の後部領域には、失禁ライナー1が使用されていない状態にあるときに剥離紙層7で覆われた接着セクション6(図1に破線で示す)の形態の固定手段が設けられている。ライナー1が使用されるとき、ライナー1が下着に固定されるように、ユーザーによって剥離紙層7が除去される。
【0055】
さらに、図に示す実施形態によれば、失禁ライナー1は、セルロースフラッフパルプの繊維および超吸収性粒子を含む単一層によって形成される吸収性コア4を含む。代替の実施形態によれば、吸収性コア4は、当該分野で公知の任意の適切な吸収剤または流体吸収性材料、例えば発泡体、繊維ワッディングおよび類似な材料で構成することができる。
【0056】
さらに、一実施形態によれば、失禁ライナー1は、セルロースフラッフパルプと適切な量の超吸収性粒子との混合物からなる吸収性コア4を含む。このような超吸収性材料は、吸収性物品の分野において周知であり、ヒドロゲルの形成時に多量の流体を吸収することができる水膨潤性かつ水不溶性材料によって構成される。通常の超吸収性材料は、自重の少なくとも10倍の流体を吸収することができる。一実施形態によれば、前記超吸収性粒子の量は、吸収性コア4の総重量の25~55%、好ましくは35~50%範囲内の量に対応する。
【0057】
超吸収剤は、セルロースフラッフパルプと混合されて吸収性コア4を形成する。セルロースフラッフパルプと超吸収性物品との混合物は、好ましくは、吸収性コア4の全体にわたって均質に混合される。
【0058】
上述のように、失禁ライナー1はまた、液体注入層として機能し、ポリエステルまたはポリプロピレンなどの合成繊維から適切に構成され、スルーエアーボンディング(through-air bonding)によって適切に製造され得る獲得層5を含む。一実施形態によれば、取得層5は、50gsmののカードスルーエアーボンド不織布材料で構成される。好ましくは、獲得層5は、吸収性コア4の上に直接置かれる。取得層5は、吸収性コア4に迅速に導入され得る液体の噴出を迅速に獲得し、分配するように適合される。
【0059】
さらなる実施形態によれば、吸収性コア1は、単一の層において同種の材料の均質かつ連続的な構造であってもよく、同じ材料または異なる材料の積層体を有する層状構造であってもよい。
【0060】
図2は失禁ライナー1が着用されているときに着用者の身体に面することを意図した失禁ライナー1の側面から見た図を示す。図2から分かるように、失禁ライナー1は、本実施形態に係る前部セクション8と、後部セクション9と、前部セクション8と後部セクション9との間の股部セクション10とを含む細長い略長方形の形状を有している。ここにおける「略(generally)」という用語は、例えば、失禁保護具1の角部が、図1および2に示されるように丸くされ得ることを意味する。また、図2に示すように、股部セクション10は、ライナー1のウエスト、すなわち、ライナー1の一部であって、前部セクション8および後部セクション9の幅よりもわずかに小さい幅を有している。また、股部セクション10は、ライナー1に到達する体液の主取得領域を構成する。
【0061】
また、トップシート2とバックシート3とは、吸収性コア4の周縁に沿って端部接合部11で互いに接合されている。また、吸収性コア4は、トップシート2およびバックシート3の面積よりも若干小さい面積のものである。
【0062】
図1および図2に示されるような失禁用ライナー1の形状は、本発明を限定するものと考えるべきではない。したがって、砂時計形状、台形形状、三角形形状、楕円形状などの任意の他の適切な形状を使用することができる。本発明の物品の形状は、図2に示すように、物品を通る横断方向の中心線に対して対称であってもよく、または異なる形状および/または異なるサイズを有する端部部分と非対称であってもよい。また、後部セクション9は、ライナー1の使用中に後方に向けられるように意図されているが、前部セクション8は、使用中に着用者の腹部に向かって前方に面するように意図されている。
【0063】
図2及び図3に示されている実施形態によれば(図1も参照)、吸収性コア4にはチャネル領域4aが形成され、チャネル領域4aは吸収性コア4の長手方向に沿って比較的細い線の形態であり、以下に説明するように特定の方法で設計されている。また、第1側部領域4bおよび第2側部領域4cも、チャネル領域4aの外側の長手方向に延在する領域として定義される。
【0064】
図示の実施形態によれば、チャネル領域4aは、単一のほぼ直線状の直線によって画定されるが、代替の実施形態によれば、湾曲形状または他の適切な形状であってもよい。さらに、図2および図3に示すように、チャネル領域4aは、吸収性コアの全長に沿って延在している。また、本実施形態では、図2および図3では、1つのチャネル領域4aのみを示し、本発明は1つの単一チャネル領域に限定されず、2つ以上のこのようなチャネル領域で実施することもできることに留意されたい。これについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0065】
要約すると、本実施形態に係る吸収性物品1は、長手方向、横方向及び厚さ方向を有し、流体透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、トップシート2とバックシート3との間に封入された吸収性コア4とを含む。さらに、吸収性コア4は、2つの長手方向に延在する側部領域4b、4cと、長手方向に延在するチャネル領域4aとを有する。
【0066】
一実施形態によれば、特に図4に示すように、チャネル領域4aは、より少ない材料(すなわち、セルロースフラッフパルプ,場合によって超吸収剤と混合される)で形成される。より正確には、チャネル領域4aは、コア4の残りの部分よりも少ない材料で充填され、これは以下でより詳細に説明する特別な製造プロセスによって実施される。これは、チャネル領域4a内の材料が少ないため、チャネル領域4aが側部領域4b、4cと比較して全体(または平均)坪量が少ないことを意味する。チャネル領域4aは、軽い坪量領域の形態であると言える。すなわち、吸収性コア4の残りの領域に関して相対的に低い坪量を有する吸収性コア4の領域またはセクション。これは、吸収性コア4の材料が、チャネル領域4aと吸収性コア4の残りの部分の両方において同じタイプであることを意味し、しかし、コア領域4の他の領域と比較して、チャネル領域4aの面積当たりの材料が少ない。
【0067】
一実施形態によれば、チャネル領域は、吸収性物品の使用中に、コアの側部領域および中央領域とほぼ同じ厚さの軽い坪量領域を有する。この実施形態では、軽い坪量領域を有するチャネル領域は、コアの側部領域とほぼ同じ厚さであるため、チャネル領域は、この実施形態によれば、吸収性コアの側部領域よりも密度が小さい。密度は0.5kPaの印加圧力で測定する。これは、チャネル領域4aが、吸収性コア4の残りの部分よりも密度の低い領域、すなわち、吸収性コア4の残りの部分よりも面積(gsm)あたりの材料のグラムに相当する低い値を画定することを意味する。
【0068】
一実施形態によれば、チャネル領域4aと吸収性コア4の残りの部分との間の坪量の適切な比は、約1:2である。
【0069】
チャネル領域4aの目的は、吸収性コア4の柔軟性の向上と吸収性物品1の長手方向への屈曲性向上に寄与することである。これは、本発明の重要な利点である
【0070】
図4を参照すると、チャネル領域4aの幅wは約2~3ミリメートルであることに留意されたい。しかし、吸収性物品1の設計によってはばらつきが生じ得ることがあり、本発明は上記寸法に限定されるものではない。
【0071】
さらに、チャネル領域4aの幅wは、対応する側部領域4b、4cの幅wsの0.4倍未満である。また、チャネル領域4aの幅wは、最も狭いセクションすなわち股部セクション10における吸収性コア4の幅の0.1倍未満である。
【0072】
さらに、図2を参照すると、チャネル領域4aは、吸収性コア4の長手方向に見られる長さと同じ長さを有する。言い換えれば、チャネル領域4aは、ずっと吸収性コア4に沿って、すなわちその長手方向端部の間で端と端の方向に沿って延在している。
【0073】
上述したように、図1および図3に示すように、失禁ライナー1は、図1及び図3に示すように、一対の下着(図示せず)等の支持下着の中に失禁用プロテクター1を固定するための固定手段6を有する。一実施形態によれば、固定手段6は、バックシート3の後部領域、すなわち衣類に面する側に配置された2つの長手方向に延在する接着性ストリップの形態である。
【0074】
代替的な実施形態によれば、失禁ライナー1は、摩擦締結具の形態の様々なタイプの締結手段、例えば、当業界で知られているように、締結具タイプのような機械的締結具または異なるタイプの締結具の組み合わせを備えることができる 。
【0075】
さらに、 図1および図2を参照すると、締結手段6は、解放可能な保護層7によって覆われていることが示されている。この保護層は、シリコーン処理された紙、不織布または当技術分野で知られている他の任意の解放可能な材料であってもよい。
【0076】
図5は、上述したタイプの吸収性コア4を製造するための配置を示す。この配置は、回転シリンダ13を含むコア形成ドラム12に基づいている。多数のコア型14がシリンダ13の円周に沿って配置されている。各コア型14には、完成した吸収性コア4の形態を有する内部凹部が形成され、またその底部にスクリーンまたはメッシュ15が設けられている。上述した吸収性コア4の材料(すなわち、セルロースフラッフパルプの繊維、場合によって上述のような超吸収剤と任意に混合されたもの)の供給源16は、シリンダ13の回転中に供給源16の位置を通過するときにコア型(core molds)14を充填するように、ドラム12の上方に配置される。この手順を支援するために、真空源を含む真空チャンバ17がシリンダ13内に配置され、コア型14を通して空気を吸引する。これは、図5の矢印18によって象徴的に示されている。このようにして、コア型14にフラッフパルプ材料を充填することができる。
【0077】
さらに、各コア型14には、完成品の一部を形成する上述のチャネル領域4aの位置に対応する長手方向に延在する幅狭部19が設けられている。
【0078】
図5に示す配置の動作中、フラッフパルプ材料は、供給部16を通過する際に各コア型14を充填することができる。本実施形態によれば、各コア型14は、各コア4に軽量坪量チャネル領域4aが形成されるように配置された3D形状を有する。その結果、形成されたコア4がモールド14から出るときに当該コア4がチャネル領域4a内に低密度材料を含む必要なすべてのフラッフパルプ材料を含むように、コア4の残りの部分よりも坪量の少ないチャネル領域4aを有する完全な吸収性コア4が形成されるフラッフ。
【0079】
図6は、吸収性コア4の製造プロセスをより詳細に説明するために、コア型14の断面図を示す。上述したように、コア型14には、符号18の矢印で示すように、空気を引き込むスクリーン15が設けられている。フラッフパルプ材料の供給源16は、図5に示すように、前記材料がスクリーン15上に堆積されるように配置される。
【0080】
長手方向に伸びる狭いセクション19を設けることにより、この部分19がちょうど位置するコア14を通して空気を引き出すことができない。また、フラフパルプ材料は、部分19が位置するところに堆積させることができない。しかしながら、フラッフパルプ材料の層の高さが増加するにつれて、フラッフパルプ材料が前記狭い部分19の上側に、すなわち吸収性コア4が徐々に形成されるにつれて堆積する。
【0081】
吸収性コア4がコア形成ドラム12から出るときの吸収性コア4の最終形状は、図4に示す形状に対応する。図4のチャネル領域4aの上部は、狭い部分19が位置するコア型14のセクションにほぼ対応している。すなわち、この上部には材料がほぼない。しかしながら、実際には、場合によっては、図4において空であるように示されている、チャネル領域4aのこの上部に堆積された一定量の材料が存在してもよい。例えば、場合によっては、これらのセクションにも一定量のフラッフパルプ材料が堆積することが予想される。したがって、チャネル領域および側部領域におけるコアの厚さは、ほぼ同じであってもよい。しかし、坪量は、側部領域と比較して、チャネル領域において常に小さい。
【0082】
いずれにしても、チャネル領域4aは、吸収性コア4の残りの部分よりも小さい全体的な坪量の材料を有することになる。
【0083】
要約すると、チャネル4aは、特別に設計されたスクリーン15および狭い部分19のためにコアに形成され、これにより、チャネル領域4a内に堆積される材料の量がコア4の他の領域堆積される材料の量(坪量あたりのグラム数)と比べて少ない。長手方向に延在する幅狭部分19は、1~3ミリメートルの間の厚さ、例えば2mmを有することができる。コア型は3~6、例えば4mmの厚さを有することができる。幅の狭い部分19の厚さをコアモールドの厚さ(モールドの頂部からスクリーンの底まで)0.5にすることにより、チャネル領域の坪量は側部領域の坪量の約0.5倍になる。
【0084】
さらなる実施形態によれば、吸収性コア4を製造するための図5および図6には、圧縮ステップが続き、すなわちコア4が厚さ方向に一緒にプレスされる。このステップは、一般的にそのように知られており、この理由で、図面に詳細には示されていない。
【0085】
要約すると、本発明は、失禁ライナーとして特に使用されることが意図されており、吸収性コア4の残りの部分よりも坪量が小さいチャネル領域4aを有する吸収性コア4を含む。
【0086】
本発明は、実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で変更することができる。例えば、吸収性物品1を形成する異なる層に使用される材料および寸法は、上記のように変更することができる。
【0087】
一実施形態によれば、吸収性物品は2つ以上のチャネル領域を含むことができる。2つのチャネル領域が使用される場合、それらは、例えば図2に示されるように単一のチャネル領域が延在するように、吸収性コアの全長に沿って延在する2つのほぼ平行な線として形成される。そのような場合、中央領域、すなわち、ほぼ長手方向に延在する領域が、2つのチャネル領域の間に位置することになる。
【0088】
また、2つのチャネル領域を含む実施形態では、2つの長手方向に延在する側部領域が各チャネル領域の外側に画定される。言い換えれば、2つの側部領域は、2つの長手方向に延在するチャネル領域およびチャネル領域間の中央領域によって横方向に離間されている。
横方向の中央領域の幅は、横方向の各側部領域の幅より小さくてもよい。好ましくは、2つのチャネル領域の幅は約2~3ミリメートルであり、中央領域の幅は約9ミリメートルである。しかし、吸収性物品の設計によってはバリエーションが生じることがある。
【0089】
さらに、チャネル領域は、図1-4を参照して説明した実施形態と同様の方法で、吸収性コアの残りの部分よりも坪量が少ない。
【0090】
〔吸収性物品の柔軟性を決定するための試験方法〕
試験方法:
曲げモード(12-92)-柔軟性の試験方法
【0091】
概要:
本発明による吸収性物品は、以下に特定されるように、製品の剛性の少なくとも25%の低下を示す。
【0092】
テスト適用の目的と分野:
試験方法は、製品がその目的のために設計された固定具で折り畳まれたり曲がったりしたときに、製品の柔軟性、剛性または抵抗を規定するために使用される。試験方法は、下着に適用した後に体に合うように製品を形作るために必要とされる力を説明しなければならない。
【0093】
定義(力):
この力は、テフロン(登録商標)で覆われた下部固定具に載置されている製品が上部固定具において下方に移動する金属ワイヤによって固定具内に折り畳まれるときに生じる抵抗として定義される。
【0094】
原理:
この製品は、水平の平行なテフロン(登録商標)で覆われた2つの支持体上に自由に置かれる。試料は、引張試験装置を用いて、2つの支持体の間の製品の中心線で押し下げられる。次に最大の力が登録される。テストプロセスの詳細な説明は以下の通りである。
【0095】
装置
引張試験装置 Lloyd LRX等
ロードセル 20N
速度 300mm/分
クロスヘッドの動き 40mm
上部固定具 SCA Hygiene Products ABによって製造された12-92、直径3mmの金属ワイヤー
下部固定具 SCA Hygiene Products ABによって製造された47-07、支持体の断面が直径10mmの円形であり、支持体の中心間の距離は40mmである
タルク ベビーパウダー等
テフロン(登録商標)テープ Stokvisにより製造されたPD420
【0096】
サンプル製造:
1. 固定具は、引張試験機に取り付ける必要がある。
2. 下部固定具に製品を置く。上部固定具は、上部金属と製品の間の距離を残して調整する必要がある。始める前に、上部の固定具との接触がないようにしなければならない。
3. ゼロを押す。
4. 試験前に製品の剥離紙を取り除き、粘着性を除去するためにタルクで接着剤を覆う必要がある。
【0097】
手順:
トップシートを上向きにして、下部固定具に製品を置く。上部固定具が製品を中心に正確に会うように製品を中心にする。スタートを押す。
【0098】
計算:
最大の力を登録する必要がある。結果の精度を0.1N単位で(by 1 decimal unit N)記述する。
【0099】
次に、図6および図7を参照して、試験方法のより詳細な説明を行う。図7は、曲げ剛性試験を行うための装置の概略側面図である。図8は、図7の図に垂直に見た、装置の別の概略側面図である。
【0100】
この装置は、測定される物品1を支持するためのベース固定具20と、ベース固定具20上に載置されたときに物品1に降ろされる上部固定具21とを備える。基礎固定具20は、引張試験機に取り付けるためのホルダを含むベース手段22を含む。ベース手段22には、2つの支持手段23a、23bが設けられている。各支持手段23a、23bは、2つの略垂直なバーと、2つの略垂直なバーの間に水平に延在する2つの水平なバー24a、24bとを含む。支持手段23a、23bは、互いの方にある程度で傾斜するような位置でベース手段22に取り付けられている。従って、ベース手段22における支持手段23a、23bの中心間の距離は約87mmであり、水平バー24a、24bにおける支持手段23a、23bの中心間の距離はわずか40mmである。水平バー24a、24bは水平にかつ平行に延在している。
【0101】
水平バー24a、24bはテフロン(登録商標)で覆われ、直径10mmの円形断面(テフロンを含む)を有する。水平バー24a、24bの表面は滑らかである。
【0102】
上部固定具21は、引張試験機に取り付けるためのホルダ25と、金属ワイヤ構造26とを含む。金属ワイヤ構造26は、ベース固定具に向かって降下したときに製品1と接触するための水平部分を含む。水平部分の長さは140mmである。その2つの端部において、水平部分は、50mmの長さを有する垂直に延在するワイヤ部分に取り付けられる。その後、ワイヤ部分は、50mmの長さをも有する角度のあるワイヤ部分で続き、角度の付いたワイヤ部分の上端が90mmの距離で離間するように、互いに向かって傾いている。角度のあるワイヤ部分の各々には、50mmの長さを有する第2水平ワイヤ部分が続く。最後に、第2水平ワイヤ部分がホルダ25に取り付けられる。したがって、ホルダ25における第2水平ワイヤ部分間の距離は90mmである。金属ワイヤ26は、3mmの直径を有し、剛性で柔軟性のない材料で作られている。
【0103】
上部固定具21は、金属ワイヤ構造26が水平バー24a、24bと略平行になるようにベース固定具20に対して配置されている。
【0104】
試験のために、固定具20,21が引張試験機に取り付けられる。 上部固定具は、水平金属ワイヤと、ベース固定具のベース22上に載置されたときのサンプルの最上面との間の距離が約2mmになるように調節される。 この距離で、サンプルはベース固定具上に容易に位置決めされ得る。サンプルは、上部固定具が試料の中央に影響を及ぼすように配置する。
【0105】
試験のために、製品を水平支持部の間に押し下げるように、上部固定具を200mm/分の速度でサンプルに向けて下げる。試験は、製品全体が支持体の間に押下されたとき、終了する。
【0106】
測定結果:
以下の表1は、従来の失禁ライナーの測定結果を示しているのに対して、下記の表2は、本発明による失禁ライナーの測定結果を示している。両方の試験シリーズは、25回の測定を含む手順に基づいていた。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
結論:
結論として、従来の失禁ライナーの平均値は1.8408Nであったが、本発明による失禁ライナーの平均値は1.3771Nであった。これは、本発明によるライナーが従来のライナーよりも25.2%少ない製品剛性を有すること、または柔軟性を有することを意味する。
【符号の説明】
【0110】
1 吸収性物品
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収性コア
8 前部セクション
9 後部セクション
10 股部セクション
4a 中央領域
4d、4e 側部領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8