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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61B5/055 320
A61B5/055 366
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019014534
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020120920
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 庄治
(72)【発明者】
【氏名】高森 博光
(72)【発明者】
【氏名】池田 薫
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-149118(JP,A)
【文献】特開2015-066125(JP,A)
【文献】特開2013-163018(JP,A)
【文献】特開2010-252970(JP,A)
【文献】特開2017-093949(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0266204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアを有する架台と、
前記ボア外からボア内に移動可能な天板と、
前記ボア内に設けられ、当該ボア内を照らす光源とを備え、
前記天板は、前記光源から照射された光を透過又は反射させる導光部を有し、前記天板が前記ボア外に位置するときは、前記光源から照射された光が前記導光部を経由せずに前記ボア内に到達し、前記天板が前記ボア内に位置するときは、前記光源から照射された光が前記導光部を経由する、
磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記導光部は、前記天板の移動に伴い、前記ボア内の照明を連続的に変化させる、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記ボア内の照明の変化は、照度の変化、照明の範囲の変化、及び照明の色の変化のうちのいずれか1つ又は少なくとも2つの組み合わせである、
請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記架台は、前記ボアの内壁に設けられた導光板を有しており、
前記導光部は、前記天板が前記ボア内に位置するときに、前記光源から照射された光を前記導光板の入射面に入射させるように反射させ、
前記導光板は、前記導光部によって前記入射面から入射した光を前記ボア内に拡散させる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記架台は、前記ボアの内壁に設けられた反射板を有しており、
前記導光部は、前記天板が前記ボア内に位置するときに、前記光源から照射された光を前記反射板の表面に照射するように偏向させて透過させ、
前記反射板は、前記導光部によって前記表面に照射された光を前記ボア内に拡散させる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記光源は、前記ボア内の奥側を手前側より明るく照らすように調整されている、
請求項1~5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査空間を形成するボアを有する架台を備え、ボア内に配置された被検体にRF(Radio Frequency)磁場を印加し、当該RF磁場の影響によって被検体から発生するMR信号に基づいて画像を生成するMRI装置が知られている。このようなMRI装置では、ボア内が暗くなることによって被検体が不安を感じないように、ボア内を照明するための照明器具が設けられることがある。しかしながら、一般的に、照明器具は、電気的な制御によってノイズを発するため画像に悪影響を及ぼすこともあり、実装が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-66125号公報
【文献】特開2017-80298号公報
【文献】特開2008-149118号公報
【文献】特開2010-124942号公報
【文献】特開2013-163018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電気的な制御によらずにボア内の照明を制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るMRI装置は、ボアを有する架台と、前記ボア外からボア内に移動可能な天板と、前記ボア内に設けられ、当該ボア内を照らす光源とを備える。前記天板は、前記光源から照射された光を透過又は反射させる導光部を有し、前記天板が前記ボア外に位置するときは、前記光源から照射された光が前記導光部を経由せずに前記ボア内に到達し、前記天板が前記ボア内に位置するときは、前記光源から照射された光が前記導光部を経由する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係るMRI装置の全体的な構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るMRI装置におけるボア内の照明制御を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るMRI装置におけるボア内の照明制御を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係るMRI装置の天板が有する導光部の第1の例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係るMRI装置の天板が有する導光部の第1の例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係るMRI装置の天板が有する導光部の第2の例を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係るMRI装置の天板が有する導光部の第3の例を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係るMRI装置の天板が有する導光部の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、MRI装置の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する各図面は概念的な構成を示すものであり、各構成要素の形状や大きさは実物と異なる場合がある。また、各図面において、同一の役割を果たす構成要素には同一の符号が付されている。
【0008】
図1は、本実施形態に係るMRI装置の全体的な構成例を示す図である。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル20、傾斜磁場電源3、全身用コイル4、局所用コイル5、送信回路6、受信回路7、架台8、寝台9、インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路13~16を備える。
【0010】
静磁場磁石1は、被検体Sが配置される検査空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、当該円筒の内周側にある検査空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、略円筒状に形成された冷却容器と、当該冷却容器内に充填された冷却材(例えば、液体ヘリウム等)に浸漬された超伝導磁石等の磁石とを有する。なお、静磁場磁石1は、例えば、永久磁石を用いて静磁場を発生させるものであってもよい。
【0011】
傾斜磁場コイル20は、被検体Sが配置される検査空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル20は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、当該円筒の内周側にある検査空間に傾斜磁場を発生させる。ここで、傾斜磁場コイル20は、径方向に積層された略円筒状の3つのコイルを有しており、当該複数のコイルが、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向に沿った傾斜磁場を発生させる。
【0012】
より具体的には、傾斜磁場コイル20は、3つのコイルとして、X軸方向に沿った傾斜磁場コイルを発生させるXコイルと、Y軸方向に沿った傾斜磁場コイルを発生させるYコイルと、Z軸方向に沿った傾斜磁場コイルを発生させるZコイルとを有する。ここで、X軸、Y軸、及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、X軸は、傾斜磁場コイル20の中心軸に直交する水平方向に設定され、Y軸は、傾斜磁場コイル20の中心軸に直交する鉛直方向に設定される。また、Z軸は、傾斜磁場コイル20の中心軸に沿って設定される。
【0013】
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル20が有するXコイル、Yコイル、及びZコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、X軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向に沿った傾斜磁場を検査空間に発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、Xコイル、Yコイル、及びZコイルそれぞれに適宜に電流を供給することによって、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる。ここで、リードアウト方向に沿った軸、位相エンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。
【0014】
そして、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることによって、被検体Sから発生したMR信号に空間的な位置情報を付与する。具体的には、リードアウト方向の傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。また、位相エンコード方向の傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、位相エンコード方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。また、スライス方向の傾斜磁場は、スライス方向に沿った位置情報をMR信号に付与する。例えば、スライス方向の傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させるために用いられる。
【0015】
全身用コイル4は、被検体Sが配置される検査空間にRF(Radio Frequency)磁場を印加し、当該RF磁場の影響によって被検体Sから発生するMR信号を受信するRFコイルである。具体的には、全身用コイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路6から供給されるRFパルス信号に基づいて、当該円筒の内周側にある検査空間にRF磁場を印加する。また、全身用コイル4は、RF磁場の影響によって被検体Sから発生するMR信号を受信し、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、全身用コイル4は、バードケージ型のQD(quadrature)コイルである。
【0016】
局所用コイル5は、被検体Sから発生したMR信号を受信するRFコイルである。具体的には、局所用コイル5は、被検体Sの部位ごとに用意されたRFコイルであり、被検体Sの撮像が行われる際に、撮像対象の部位の近傍に配置される。そして、局所用コイル5は、全身用コイル4によって印加されるRF磁場の影響によって被検体Sから発生したMR信号を受信し、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。なお、局所用コイル5は、被検体SにRF磁場を印加する送信コイルの機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用コイル5は、送信回路6に接続され、送信回路6から供給されるRFパルス信号に基づいて、被検体SにRF磁場を印加する。例えば、局所用コイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルで構成されたアレイコイルである。
【0017】
送信回路6は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数(ラーモア周波数)に対応するRFパルス信号を全身用コイル4に出力する。具体的には、送信回路6は、パルス発生器、RF発生器、変調器、及び増幅器を有する。パルス発生器は、RFパルス信号の波形を生成する。RF発生器は、共鳴周波数のRF信号を発生する。変調器は、RF発生器によって発生したRF信号の振幅をパルス発生器によって発生した波形で変調することで、RFパルス信号を生成する。増幅器は、変調器によって発生したRFパルス信号を増幅して全身用コイル4に出力する。
【0018】
受信回路7は、全身用コイル4又は局所用コイル5によって受信されたMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。具体的には、受信回路7は、プリアンプ、検波器、及びA/D(Analog/Digital)変換器を有する。プリアンプは、全身用コイル4又は局所用コイル5から出力されるMR信号を増幅する。検波器は、プリアンプによって増幅されたMR信号から共鳴周波数の成分を差し引いたアナログ信号を検波する。A/D変換器は、検波器によって検波されたアナログ信号をデジタル信号に変換することでMR信号データを生成し、生成した生成したMR信号データを処理回路14に出力する。
【0019】
架台8は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア8aを有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル20、及び全身用コイル4を支持している。具体的には、架台8は、静磁場磁石1の内周側に傾斜磁場コイル20を配置し、傾斜磁場コイル20の内周側に全身用コイル4を配置し、全身用コイル4の内周側にボア8aを配置した状態で、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル20、及び全身用コイル4それぞれを支持している。ここで、架台8が有するボア8a内の空間が、被検体Sの撮像が行われる際に被検体Sが配置される検査空間となる。
【0020】
寝台9は、架台8のボア8a外からボア8a内に移動可能な天板9aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、被検体Sが載置された天板9aをボア8a内に形成された検査空間に移動する。例えば、天板9aは、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されており、静磁場磁石1の中心軸に沿って移動可能となっている。
【0021】
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル20及び全身用コイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構成を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、被検体Sが配置される検査空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構成を有していてもよい。この場合には、一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルによって挟まれた空間が、トンネル型の構成におけるボアに相当する。
【0022】
インタフェース10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路16に出力する。例えば、インタフェース10は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、インタフェース10は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース10の例に含まれる。
【0023】
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0024】
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、MR信号データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0025】
処理回路13は、寝台制御機能13aを有する。寝台制御機能13aは、制御用の電気信号を寝台9へ出力することで、寝台9の動作を制御する。例えば、寝台制御機能13aは、インタフェース10を介して、天板9aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板9aを移動するように、寝台9が有する天板9aの移動機構を動作させる。
【0026】
処理回路14は、データ収集機能14aを有する。データ収集機能14aは、各種のパルスシーケンスを実行することで、被検体SのMR信号データを収集する。具体的には、データ収集機能14aは、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに従って、傾斜磁場電源3、送信回路6及び受信回路7を駆動することで、パルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル20に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路6が全身用コイル4に供給するRFパルス信号の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を規定した情報である。そして、データ収集機能14aは、パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路12に記憶させる。ここで、データ収集機能14aによって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路12に記憶される。
【0027】
処理回路15は、画像生成機能15aを有する。画像生成機能15aは、記憶回路12に記憶されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、画像生成機能15aは、データ収集機能14aによって記憶回路12に記憶されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理、すなわち、フーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、画像生成機能15aは、生成した画像の画像データを記憶回路12に記憶させる。
【0028】
処理回路16は、主制御機能16aを有する。主制御機能16aは、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、主制御機能16aは、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ11に表示する。そして、主制御機能16aは、インタフェース10を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。例えば、主制御機能16aは、インタフェース10を介して操作者から撮像条件の入力を受け付ける。そして、主制御機能16aは、受け付けた撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、当該シーケンス実行データを処理回路14に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、主制御機能16aは、操作者からの要求に応じて、記憶回路12から画像データを読み出してディスプレイ11に出力する。
【0029】
ここで、上述した処理回路13~16は、例えば、プロセッサによって実現される。この場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶される。各処理回路は、記憶回路12から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。ここで、各処理回路は、複数のプロセッサによって構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、ここでは、単一の記憶回路12が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0030】
以上、本実施形態に係るMRI装置100の全体的な構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、ボア8a内が暗くなることによって被検体が不安を感じないように、ボア8a内を照明するための構成を備えている。
【0031】
例えば、このような構成として、ライトやプロジェクター等の照明器具を用いることが考えられる。しかしながら、一般的に、照明器具は、電気的な制御によってノイズを発するため画像に悪影響を及ぼすこともあり、実装が難しい。
【0032】
このことから、本実施形態に係るMRI装置100は、電気的な制御によらずにボア8a内の照明を制御することができるように構成されている。
【0033】
具体的には、本実施形態に係るMRI装置100は、ボア8a内に設けられ、当該ボア8a内を照らす光源を備えている。また、天板9aが、光源から照射された光を透過又は反射させる導光部を有しており、天板9aがボア8a外に位置するときは、光源から照射された光が導光部を経由せずにボア8a内に到達し、天板9aがボア8a内に位置するときは、光源から照射された光が導光部を経由するように構成されている。
【0034】
図2及び3は、本実施形態に係るMRI装置100におけるボア8a内の照明制御を示す図である。ここで、図2は、天板9aがボア8a外に位置するときの照明制御を示しており、図3は、天板9aがボア8a内に位置するときの照明制御を示している。
【0035】
図2に示すように、本実施形態では、架台8におけるボア8aの下側に、ボア8aの軸方向に沿って延在し、天板9aをボア8aの軸方向に移動可能に支持するする2本のレール8bが設けられている。なお、図2では図示の都合上、1本のレール8bのみを示しているが、架台8には、天板9aの進入方向における左側及び右側それぞれにレール8bが設けられている。
【0036】
そして、本実施形態では、架台8に設けられている2本のレール8bそれぞれに沿って、複数の光源(図示は省略)が連続して並ぶように配置されている。各光源は、それぞれが上側に向けて光を出射することで、ボア8a内を照明する。ここで、各光源は、ボア8a内の奥側を手前側より明るく照らすように調整されている。
【0037】
さらに、架台8には、各レール8bに沿って、複数の光源の上を覆うように細長いレンズ8cが配置されている。ここで、レンズ8cは、各光源から出射される光を発散させて、ボア8a内を下から上へ広く照らすように調整されている。
【0038】
そして、図3に示すように、本実施形態では、被検体が載置された天板9aがボア8a内に移動されたときには、天板9aが有する導光部が、ボア8a内の照明を変化させる。具体的には、導光部は、反射板やレンズ等の光学的な部材によって構成されており、光源から出射される光に作用することで、ボア8a内の照明を変化させる。ここで、導光部は、天板9aの移動に伴い、ボア8a内の照明を連続的に変化させる。例えば、導光部は、ボア8a内の照明について、照度、照明の範囲、及び照明の色の変化のうちのいずれか1つ、又は、それらのうちの少なくとも2つを変化させる。
【0039】
このような構成によれば、天板9aがボア8a外に位置するときには、各光源によってボア8a内が明るく照らされるため、被検体の不安を低減させることができる。この一方で、天板9aがボア8a内に位置するときには、天板9aの移動に伴ってボア8a内の照明を変化させることによって、被検体に対して、眩しすぎず、不安を和らげるような検査空間を提供することができる。また、各光源がボア8a内の奥側を手前側より明るく照らすように調整されているため、サバンナ効果によって、被検体がボア8a内へ入り込むことの不安を軽減させることができる。
【0040】
そして、本実施形態では、このようなボア8a内の照明の制御が、天板9aに設けられた導光部によって、電気的な制御ではなく、機構的な制御で行われる。これにより、本実施形態では、画像に悪影響を及ぼすようなノイズを発生させることなく、ボア8a内の照明を制御することができるようになる。
【0041】
以下、本実施形態に係るMRI装置100の天板9aが有する導光部の構成例について説明する。なお、以下で説明する例では、各例の間で異なる点を中心に説明することとし、重複する内容については詳細な説明を省略する。
【0042】
図4及び5は、本実施形態に係るMRI装置100の天板9aが有する導光部の第1の例を示す図である。
【0043】
ここで、図4は、天板9aがボア8a外に位置するときの光源の周辺の構成を示しており、図5は、天板9aがボア8a内に位置するときの光源の周辺の構成を示している。なお、図4及び5は、架台8が有する2つのレール8bのうちの一方の周辺部分の構成を示しているが、他方のレール8bの周辺部分も同様に構成されている。
【0044】
図4に示すように、本実施形態では、架台8におけるボア8aの下側に設けられたレール8bに沿って、複数の光源8dが連続して配置されている。各光源は、それぞれが上側に向けて光を出射することで、ボア8a内を照明する。ここで、例えば、光源8dは、LED(Light Emitting Diode))等である。また、架台8には、複数の光源8dを覆うように、ボア8aの軸方向に延在する細長いレンズ8cが配置されている。ここで、レンズ8cは、各光源から出射される光を発散させて、ボア8a内を下から上へ広く照らすように調整されている。
【0045】
ここで、図4に示すように、第1の例では、架台8は、ボア8aの内壁に設けられた導光板8eを有している。ここで、導光板8eは、ボア8aの内壁に沿うように配置された出射面8fと、光源8dに近い側の端部に配置された入射面8gとを有しており、入射面8gから入射した光を拡散させて出射面8fの全体から出射することで、ボア8a内に光を拡散するように構成されている。
【0046】
また、図5に示すように、第1の例では、天板9aは、導光部として、反射板9bを有している。ここで、反射板9bは、天板9aにおいて、天板9aがボア8a内に位置するときに光源8dの上側に配置される位置に設けられており、光源8dから出射される光をボア8aの内壁側に反射させるように、反射面の傾き等が調整されている。
【0047】
このような構成により、第1の例では、天板9aに設けられた反射板9bが、天板9aがボア8a内に位置するときに、光源8dから照射された光を導光板8eの入射面8gに入射させるように反射させる。そして、導光板8eが、反射板9bによって入射面8gから入射した光をボア8a内に拡散させる。これにより、第1の例では、天板9aがボア8a外に位置するときには、光源8dからの直接光によってボア8a内の全体が明るく広く照らされる一方で、天板9aがボア8a内に位置するときには、導光板8eからの間接光によって、ボア8a内の内壁に近い範囲が柔らかい光で照らされるようになる。
【0048】
図6は、本実施形態に係るMRI装置100の天板9aが有する導光部の第2の例を示す図である。
【0049】
ここで、図6は、天板9aがボア8a内に位置するときの光源の周辺の構成を示している。なお、図6は、架台8が有する2つのレール8bのうちの一方の周辺部分の構成を示しているが、他方のレール8bの周辺部分も同様に構成されている。
【0050】
図6に示すように、第2の例では、架台8は、ボア8aの内壁に設けられた反射板8hを有している。ここで、反射板8hは、ボア8aの内壁に沿うように配置されており、表面に照射された光を反射させることで、ボア8a内に光を拡散するように構成されている。
【0051】
また、図6に示すように、第2の例では、天板9aは、導光部として、レンズ9cを有している。ここで、レンズ9cは、天板9aにおいて、天板9aがボア8a内に位置するときに光源8dの上側に配置される位置に設けられており、光源8dから出射される光をボア8aの内壁側に偏向させて透過させるように、レンズ面の形状等が調整されている。
【0052】
このような構成により、第2の例では、天板9aに設けられたレンズ9cが、天板9aがボア8a内に位置するときに、光源8dから照射された光を反射板8hの表面に照射するように偏向させて透過させる。そして、この結果、反射板8hが、レンズ9cによって表面に照射された光をボア8a内に拡散させる。これにより、第2の例では、天板9aがボア8a外に位置するときには、光源8dからの直接光によってボア8a内の全体が明るく広く照らされる一方で、天板9aがボア8a内に位置するときには、反射板8hからの間接光によって、ボア8a内の内壁に近い範囲が柔らかい光で照らされるようになる。
【0053】
図7及び8は、本実施形態に係るMRI装置100の天板9aが有する導光部の第3の例を示す図である。
【0054】
ここで、図7は、天板9aがボア8a外に位置するときの光源の周辺の構成を示しており、図8は、天板9aがボア8a内に位置するときの光源の周辺の構成を示している。なお、図7及び8は、架台8が有する2つのレール8bのうちの一方の周辺部分の構成を示しているが、他方のレール8bの周辺部分も同様に構成されている。
【0055】
図7に示すように、第3の例では、架台8は、図4及び5に示した例と同様に、ボア8aの内壁に設けられた導光板8eを有している。そして、第3の例では、図7に示すように、天板9aがボア8a外に位置する状態で、各光源8dから出射される光が、レンズ8cだけでなく、導光板8eの入射面8gにも入射されるように、光源8dの位置及び導光板8eの形状が調整されている。これにより、導光板8eは、天板9aがボア8a外に位置するときも、ボア8a内に光を拡散することになる。
【0056】
また、図8に示すように、第3の例では、天板9aは、導光部として、ハーフミラー9dを有している。ここで、ハーフミラー9dは、天板9aにおいて、天板9aがボア8a内に位置するときに光源8dの上側に配置される位置に設けられており、光源8dから出射される光の一部をボア8aの内側に透過させつつ、当該光の一部をボア8aの内壁側に反射させるように構成されている。これにより、導光板8eは、天板9aがボア8a内に位置するときには、天板9aがボア8a内に位置するときと比べて、より強い光をボア8a内に拡散することになる。
【0057】
なお、図7及び8に指名した例では、各光源8dから出射される光がレンズ8c及び導光板8eの入射面8gの両方に光を入射することとしたが、実施形態はこれに限られない。例えば、架台8において、複数の光源8dが、各レール8bに沿って、レンズ8cに光を入射する光源と、導光板8eの入射面8gに光を入射する光源とを交互に配置することで構成されてもよい。この場合には、天板9aに設けられたハーフミラー9dは、天板9aがボア8a内に位置するときに、レンズ8cに光を入射する光源から出射される光の一部を導光板8eの入射面8gに入射させるように反射させるように構成される。
【0058】
このような構成により、第3の例では、天板9aに設けられたハーフミラー9dが、天板9aがボア8a内に位置するときに、光源8dから照射された光の一部をレンズ8cに入射させるように透過させつつ、当該光の一部を導光板8eの入射面8gに入射させるように反射させる。そして、導光板8eが、反射板9bによって入射面8gから入射した光をボア8a内に拡散させる。これにより、第3の例では、天板9aがボア8a外に位置するときには、光源8dからの直接光及び導光板8eからの間接光の両方によってボア8a内の全体が明るく広く照らされるようになる。また、この一方で、天板9aがボア8a内に位置するときには、導光板8eからの間接光のみに照明が切り替えられるとともに、天板9aがボア8a外に位置するときと比べて、導光板8eの入射面8gに入射される光が増えることになり、より強い間接光でボア8a内の内壁に近い範囲が照らされるようになる。
【0059】
なお、上述した各例において、例えば、ボア8aの内壁に設けられる導光板8e及び反射板8hは、内壁の全体にわたって設けられていてもよいし、内壁の一部に設けられていてもよい。例えば、導光板8e及び反射板8hは、ボア8aの内壁のうち、上側の部分を避けて、天板9aの進入方向における左側及び右側の部分に設けられる。これにより、例えば、被検体が仰向けの状態でボア8aに配置された際に、被検体の両横を柔らかい間接光で照らしつつ、眩しさによる不快感を与えないように、被検体の視界に入るボア8aの上側の部分の照明を抑えることができるようになる。
【0060】
また、上述した各例では、ボア8a内の照明について、天板9aがボア8a外に位置するときと、天板9aがボア8a外に位置するときとで、照明の範囲が変化することになるが、実施形態はこれに限られない。
【0061】
例えば、ボア8a内の照明について、照度が変化するようにしてもよい。その場合には、例えば、ボア8a内の照度を変えるように、導光板8e及び反射板8hの透過率又は反射率が調整される。例えば、導光板8e及び反射板8hは、光源8dから照射された光の照度を下げるように、透過率又は反射率が調整される。ここで、導光板8e及び反射板8hの透過率又は反射率は、必ずしも、それぞれの全体で一様でなくてもよく、ボア8a内の位置に応じて各部で適宜に変えられていてもよい。例えば、ボア8a内の空間が一様な明るさとなるように、導光板8e及び反射板8hにおける各部の透過率又は反射率が調整されていてもよい。
【0062】
また、例えば、ボア8a内の照明について、照明の色が変化するようにしてもよい。その場合には、例えば、ボア8a内の照明の色を変えるように、導光板8e及び反射板8hに色付けが施される。例えば、導光板8e及び反射板8hは、光源8dから照射された光をより淡い色に変えるように色付けが施される。また、例えば、導光板8e及び反射板8hは、被検体がリラックスしたり安心したりできるような模様や図柄(ドット、波模様、プラネタリウム調の図柄等)を表面に浮き上がらせるように、適宜にパターンが施されていてもよい。または、例えば、導光板8e及び反射板8hに色付けが施される代わりに、架台8に設けられているレンズ8cに色付けが施されてもよい。
【0063】
なお、ここで説明した照度の変化、照明の範囲の変化、及び、照明の色の変化は、それぞれが単独で行われるようにしもよいし、それらのうちの少なくとも2つが組み合わされて行われるようにしてもよい。
【0064】
上述したように、本実施形態では、MRI装置100が、ボア8a内に設けられ、当該ボア8a内を照らす光源を備えている。また、天板9aが、光源から照射された光を透過又は反射させる導光部を有しており、天板9aがボア8a外に位置するときは、光源から照射された光が導光部を経由せずにボア8a内に到達し、天板9aがボア8a内に位置するときは、光源から照射された光が導光部を経由するように構成されている。
【0065】
このような構成によれば、本実施形態では、ボア8a内の照明の制御が、天板9aに設けられた導光部によって、機構的な制御で行われる。したがって、本実施形態では、電気的な制御によらずにボア8a内の照明を制御することができる。これにより、本実施形態では、画像に悪影響を及ぼすようなノイズを発生させることなく、ボア8a内の照明を制御することができるようになる。また、被検体に対して、眩しすぎず、不安を和らげるような検査空間を安価に提供することができる。
【0066】
なお、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0067】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0068】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、電気的な制御によらずにボア内の照明を制御することができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
100 磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置
8 架台
8a 光源
8e 導光板
8h 反射板
9 寝台
9a 天板
9b 反射板(導光部の第1の例)
9c レンズ(導光部の第2の例)
9d ハーフミラー(導光部の第3の例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8