(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221128BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221128BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20221128BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20221128BHJP
G06F 1/3296 20190101ALI20221128BHJP
G06F 1/3215 20190101ALI20221128BHJP
【FI】
B41J29/38 104
G03G21/00 398
H02M3/00 P
G06F1/26 306
G06F1/3296
G06F1/3215
(21)【出願番号】P 2019027184
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹原 奈音
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-168589(JP,A)
【文献】特開2013-244699(JP,A)
【文献】特開2019-009850(JP,A)
【文献】特開2015-122924(JP,A)
【文献】特開2006-007581(JP,A)
【文献】国際公開第2005/022369(WO,A1)
【文献】米国特許第5568044(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H02M 3/00
G06F 1/26
G06F 1/3296
G06F 1/3215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBデバイスを接続するためのUSBホストインターフェースと、
前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスに対して電力を供給するDCDCコンバータと、
前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスの種類に応じて、前記DCDCコンバータのモードを、PWMモードからPFMモードに切り換え制御する切換処理を行う制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、第1電力状態から前記第1電力状態よりも消費電力が低い第2電力状態に移行可能であり、
前記制御手段は、前記画像形成装置の電力状態を前記第2電力状態へ移行する場合に、前記切換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記USBデバイスには、前記PWMモードに対応する種類のデバイスと、前記PFMモードに対応する種類のデバイスがあり、
前記制御手段は、前記PFMモードに対応する種類のUSBデバイスに対して、前記DCDCコンバータからの電力供給を遮断する切断処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記USBホストインターフェースに接続されて電力供給されているUSBデバイスが存在しない場合に、前記DCDCコンバータのモードを、PWMモードからPFMモードに切り換えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
USBデバイスの種類ごとにDCDCコンバータのモードが対応付けされた対応情報を記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記対応情報を用いて、前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスに対応する前記DCDCコンバータのモードを判別することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記USBデバイスに割り当てられているデバイスドライバ名に基づいて前記USBデバイスの種類を判別することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記USBデバイスのClassID、VendorID又はProductIDに基づいて、前記USBデバイスの種類を判別することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
USBデバイスを接続するためのUSBホストインターフェースと、前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスに対して電力を供給するDCDCコンバータと、を有する画像形成装置であって、
前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスの種類に応じて、前記DCDCコンバータのモードを、PWMモードからPFMモードに切り換え制御する切換処理を行うステップを有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に搭載されているUSBホストコントローラに接続されるUSBデバイスへ電力を供給するDCDCコンバータの制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)のインターフェース(I/F)が搭載されているホストコンピュータには、USBホストコントローラが装備されている。この種のホストコンピュータでは、USB I/Fを介して、USBストレージや、USBカードリーダ、USBキーボード等を接続し、これらをホストコンピュータの1つのデバイスとして使用することが可能である。
【0003】
USB2.0では、ホストとデバイスの間は4本の線で接続される。該4本の線は、それぞれ、電力供給を行うためのVBUS線とGND線、通信を行うためのデータ線であるD+線、D-線である。データ線は、USBホストコントローラと接続される必要がある。なお、VBUS線には、USBホストコントローラとは別経路で電力が供給される。
【0004】
USBのVBUSへ供給する電力は、DCDCコンバータを用いて生成することができる。DCDCコンバータには、一般的にPWMモードとPFMモードが存在する。なお、PWMはパルス幅変調(Pulse Width Modulation)、PFMはパルス周波数変調(Pulse Frequency Modulation)の略である。
【0005】
PWMモードは、負荷電流が大きい時に安定するが、負荷電流が小さい時には電力効率が悪くなる。PFMモードは、負荷電流が小さい時は電力効率が良いが、負荷電流が大きい時は出力が安定しないという特性を持つ。
【0006】
特許文献1では、DCDCコンバータが供給する負荷電流の大きさを検知し、自動的にPWMモードとPFMモードを切り替える技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
USBは、ユーザが任意のタイミングでデバイスを挿抜することが前提となっているため、負荷電流の変動が生じやすいインターフェースである。電力を供給すべきデバイスが存在する時にはDCDCコンバータをPWMモードで動作させるが、電力を供給すべきデバイスが存在しない時には消費電力を抑えるためにDCDCコンバータのモードをPFMモードに切り替えることが望ましい。
【0009】
しかし、従来のように、接続されているUSBデバイスの種類に関係無く負荷電流の変化に応じてDCDCコンバータのモードを切り替えると、以下のような事態が発生する可能性があった。例えば、ユーザがUSBデバイスを挿抜した時に、接続中の他のUSBデバイスへ供給する電圧が不安定になるケースが発生する可能性があった。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、接続されているUSBデバイスの種類に応じて適切にDCDCコンバータのモードを切り替えることができ、最適な電力状態を提供可能な仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、USBデバイスを接続するためのUSBホストインターフェースと、前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスに対して電力を供給するDCDCコンバータと、前記USBホストインターフェースに接続されるUSBデバイスの種類に応じて、前記DCDCコンバータのモードを、PWMモードからPFMモードに切り換え制御する切換処理を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接続されているUSBデバイスの種類に応じて適切にDCDCコンバータのモードを切り替えることができ、最適な電力状態を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図2】本実施形態の画像形成装置に搭載されているUSBホストI/Fの構成と各USBホストI/FのVBUSを制御可能にする構成の一例を示す図。
【
図3】本実施形態の画像形成装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】USBデバイスの切断処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】USBデバイス種別とDCDCモードの対応情報の一例を示す図。
【
図6】本実施形態の画像形成装置の電力状態の遷移を説明する図。
【
図7】本実施形態の画像形成装置の各電力状態におけるDCDCコンバータのモードと各USBホストI/Fの通電状態を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1において、CPU101は、画像形成装置1を稼働されるためのソフトウェアを動作させる中央演算処理装置である。システムバス102は、CPU101が他のユニットにアクセスするため及び、他のユニット同士がアクセスする通路となる。
【0016】
eMMC(embedded Multi Media Card)103は、画像形成装置1のソフトウェア、及び、画像形成装置1が動作するために必要なデータ、一時保存ファイル等を格納する。
図1では、eMMCと記載しているが、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)といった他の不揮発性記憶装置を用いてもよい。
【0017】
RAM(Random Access Memory)104は、CPU101の作業領域として利用される。RAM104には、画像形成装置1のプログラムが展開され、プログラム動作時の変数や、各ユニットからDMA(Direct Memory Access)で転送されるデータの格納領域として機能する。ネットワークコントローラ105とネットワークインターフェース(ネットワークI/F)106は、画像形成装置1とネットワーク上の他の機器と通信を制御する。
【0018】
USBホストコントローラ107とUSBホストインターフェース(USBホストI/F)108は、画像形成装置1とUSBデバイス2との通信を制御する。
図1の例では、USBホストI/F108は、1つ記載されているのみであるが、実際には複数存在する。このUSBホストI/F108は、USBケーブル3を使用してUSBデバイスと接続される。USBデバイスの形態によっては、USBケーブルは使用せず直接接続される形態となる。
【0019】
ディスプレイ110は、画像形成装置1の動作状況をユーザ等が確認できるように表示する。ディスプレイコントローラ109は、ディスプレイ110に表示制御を行う。
入力部112は、画像形成装置1へのユーザからの指示を受け付ける。入力部コントローラ111は、入力部112を制御する。入力部112は、具体的にはキーボードやマウス、10キー、カーソルキー、タッチパネルや、操作部キーボードといった入力システムである。入力部112がタッチパネルである場合は、物理的にはディスプレイ110の表面に装着された実装形態になる。
リアルタイムクロック(以下「RTC」)113は、画像形成装置1の時計機能、アラーム機能、タイマー機能等を提供する。
【0020】
画像形成装置1には、システムバス102とスキャナインターフェース(スキャナI/F)114を介して、スキャナ115が接続される。また、画像形成装置1には、システムバス102とプリンタインターフェース(プリンタI/F)116を介して、プリンタ117が接続される。
【0021】
ここで、
図6を用いて、画像形成装置1の電力状態の遷移について説明する。
図6は、画像形成装置1の電力状態の遷移を説明する図である。
図6に示すように、画像形成装置1は、電力状態として、全てのデバイスに通電されている通常状態(601)と、一部のデバイスの通電を切る省電力状態1(602)と、さらに省電力効果の高い省電力状態2(603)とを有する。
【0022】
通常状態(601)では、全てのデバイスに通電されている状態に対応するが、ディスプレイ110のみが消灯している電力状態を、通常状態(601)に含めてもよい。
省電力状態1(602)では、ディスプレイ110、ディスプレイコントローラ109、入力部112、入力部コントローラ111、スキャナ115、スキャナIF114、プリンタ117、プリンタI/F116の通電が切断される。すなわち、省電力状態1(602)は、通常状態(601)よりも消費電力が低い電力状態に対応する。
省電力状態2(603)では、省電力状態1(602)から、さらにCPU101への通電が切断される。すなわち、省電力状態2(603)は、省電力状態1(602)よりも消費電力が低い電力状態に対応する。
なお、各電力状態における、USBホストI/F108を介したUSBデバイスへの電力供給については後述する。
【0023】
図2は、画像形成装置1に搭載されているUSBホストI/F108の構成と、各USBホストI/FのVBUSを制御可能にする構成の一例を示す図である。なお、
図2において、
図1と同一のものには同一の符号を付してある。
【0024】
USBホストコントローラ107は、CPU101の指示によって動作し、各USBホストI/Fに接続されたUSBデバイスとの通信を行う。
図2では、一例として、USBホストコントローラ107の先にUSB-HUB202を接続し、その先にUSBホストI/F108a~108dが存在する形態を記載している。しかし、各USBホストI/F108がUSBホストコントローラ107に直結していても構わない。
【0025】
USB-HUB202は、USBホストコントローラ107と各USBデバイスの通信を中継する機能を持っており、複数のUSBホストI/F108a~108dをUSBホストコントローラ107に接続することを可能とする。
【0026】
各USBホストI/F108a~108dにUSBデバイスが接続されると、CPU101がUSBホストコントローラ107を通してUSBデバイスの情報を取得する。ここで取得する情報には、Vendor ID、Product ID、Class IDが含まれている。CPU101は、これらの情報に基づいて、各USBデバイスに適切なデバイスドライバを割り当てて制御を行う。画像形成装置1が使用するデバイスドライバには、HIDドライバ、Storageドライバ、WLANドライバ、汎用ドライバ、HUBドライバ等がある。
【0027】
各USBホストI/F(108a,108b,108c,108d)のVBUSに供給される電力は、DCDCコンバータ201によって生成されている。
また、VBUSへの電力供給は、DCDCコンバータ201とGPIO(211,212,213,214)の出力値がAND回路(215,216,217,218)によって論理積を取って行われる。なお、GPIOは「General-purpose input/output」の略で、「汎用入出力」を意味する。
【0028】
CPU101から各GPIO(211、212,213,214)を制御することによって、USBホストI/F(108a,108b,108c,108d)に供給する電力のOFF/ONをそれぞれ制御することができる。ここでは、簡易的にAND回路を用いた構成にしているが、ハイサイドスイッチとOR回路を用いてVBUSのOFF/ONを制御することも可能である。
【0029】
DCDCコンバータ201は、CPU101からGPIO210にHigh信号を書き込むとPWMモードとなり、CPU101からGPIO210にLow信号を書き込むとPFMモードとなる。
【0030】
以下、本実施形態の画像形成装置1の処理について説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置1の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図3及び後述する
図4のフローチャートの処理は、CPU101がeMMC103等に格納されるプログラム(画像形成装置1を稼働させるためのソフトウェア)を必要に応じてRAM104にロードして実行することにより実現される。また、これ以降は特に断りの無い場合、記載される処理はCPU101によって実行される。
【0031】
なお、
図3のフローチャートの処理は、通常状態(601)の状態で、例えば一定のインターバルで定期的に実行される。通常状態(601)では、DCDCコンバータ201は「PWMモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「全て通電」状態である(後述する
図7の701の状態)。
【0032】
まずS301において、CPU101は、画像形成装置1の状態か監視し、画像形成装置1が省電力状態1(602)へ移行するか否かを判定する。例えば、通常状態(601)において、所定時間(予め設定された省電力状態1移行時間)の間、入力部112の操作がなかった場合等に、省電力状態1(602)へ移行すると判定する。
上記S301において、画像形成装置1が省電力状態1(602)へ移行しないと判定された場合(S301でNoの場合)、CPU101は、S301の処理を継続する。
【0033】
一方、上記S301において、画像形成装置1が省電力状態1(602)へ移行する場合(S301でYesの場合)、CPU101は、省電力状態1(602)への移行を開始し、S302に処理を進める。なお、省電力状態1(602)に移行することで、ディスプレイ110、ディスプレイコントローラ109、入力部112、入力部コントローラ111、スキャナ115、スキャナIF114、プリンタ117、プリンタI/F116の通電が切断される。
【0034】
S302において、CPU101は、各USBホストI/F108のうち、未処理の(まだS302の処理を行っていない)USBホストI/F108を1つ選択し、対象となるUSBホストI/F108とする。そして、該対象となるUSBホストI/F108に接続されている(電力が供給されて接続状態となっている)USBデバイスの種類を判別する。
【0035】
USBデバイスの種類の判別は、RAM104上に作成されている接続中のUSBデバイスの情報が記載されたファイルを確認し、該USBデバイスに割り当てられているデバイスドライバ名を確認することによって行う。ここでは、ドライバ名に基づいてUSBデバイスの種類を判別する。
【0036】
例えば、HIDドライバが割り当てられている場合には、USBデバイスの種類を、HID(Human Interface Device)、例えばキーボード、マウス等のポインティングデバイスなどと判別する。また、Storageドライバが割り当てられている場合には、USBデバイスの種類をStorage、例えばUSBメモリなどと判別する。また、WLANドライバが割り当てられている場合には、USBデバイスの種類をWLAN(無線LAN)デバイスと判別する。また、汎用ドライバが割り当てられている場合には、USBデバイスの種類をカードリーダと判別する。また、HUBドライバが割り当てられている場合には、USBデバイスの種類をHUBと判別する。
本実施形態では、USBデバイス種類の判別を割り当てられているドライバ名に基づいて行っているが、ClassIDやVendorID,ProductIDなどから判断してもよい。
【0037】
次にS303において、CPU101は、上記S302で判別されたデバイスの種類が
図5に示すUSBデバイス種別とDCDCモードの対応情報において、「PFMモード」を指定しているデバイスであるか否かを判定する。該対応情報について以下に説明する。
【0038】
図5は、USBデバイス種別とDCDCモードとを対応付けする対応情報の一例を示す図である。なお、この対応情報は、例えばeMMC103に予め格納されており、CPU101が必要に応じて読み出して使用するものとする。
図5に示す例では、USBデバイス種別が「HID」、「WLAN」又は「カードリーダ」の場合は「PWMモード」指定のデバイスに対応する。また、USBデバイス種別が「Storage」又は「HUB」の場合は「PFMモード」指定のデバイスに対応する。
【0039】
以下、
図3のフローチャートの説明に戻る。
上記S303において、上記S302で判別されたデバイスの種類が「PFMモード」指定のデバイスである場合(S303でYesの場合)、CPU101は、S304に処理を進める。
S304において、CPU101は、対象となるUSBデバイスの切断処理を行う。以下、
図4を用いてUSBデバイスの切断処理について説明する。
【0040】
図4は、USBデバイスの切断処理の一例を示すフローチャートである。
まずS401において、CPU101は、対象となるUSBデバイスが「USB Storage」か否かを判定する。そして、対象となるUSBデバイスが「USB Storage」である場合(S401でYesの場合)、CPU101は、S402に処理を進める。
【0041】
S402において、CPU101は、対象となるUSBデバイスをシステムからアンマウントする処理を実行し、S403に処理を進める。
【0042】
一方、上記S401において、対象となるUSBデバイスが「USB Storage」でない場合(S401でNoの場合)、CPU101は、S403に処理を進める。
【0043】
S403において、CPU101は、対象となるUSBデバイスが接続されているUSBホストI/F108に繋がっているGPIO(211,212,213,214のいずれか)へLow信号の書き込みを行う。これにより、対象となるUSBデバイスが接続されているVBUSをOFFにして電力供給を遮断し、対象となるUSBデバイスを切断する。
S403の処理の後、CPU101は、本USBデバイスの切断処理を終了し、
図3のフローチャートに制御を戻す。
【0044】
上記S304のUSBデバイスの切断処理が終了すると、CPU101は、S305に処理を進める。
また、上記S303において、上記S302で判別されたデバイスの種類がPFMモード指定のデバイスでない場合(S303でNoの場合)、CPU101は、S305に処理を進める。
【0045】
S305において、CPU101は、全てのUSBホストI/F108に対して、上記S302~S304に示した接続デバイスの確認と切断処理を実行した(全USB-Portチェック完了)か否かを判定する。そして、まだ未処理のUSBホストI/F108がある場合(S305でNoの場合)、CPU101は、S302に処理を戻し、次のUSBホストI/F108にたいして処理を行うように制御する。
【0046】
一方、上記S305において、全てのUSBホストI/F108に対して接続デバイスの確認と切断処理を完了した場合(S305でYesの場合)、CPU101は、S306に処理を進める。以上、S302~S305の処理により、接続されている「PFMモード」指定のデバイスは全て切断される(切断状態になる)。
【0047】
S306において、CPU101は、全てのUSBホストI/Fについて接続されているUSBデバイスの有無を確認し、接続状態のUSBデバイスがあるか否かを判定する。接続状態のUSBデバイスが有る場合(S306でNoの場合)、すなわちPWM指定のデバイスが接続されている場合、CPU101は、省電力状態1(602)のまま、本フローチャートの処理を終了する。すなわち、この場合、DCDCコンバータ201は「PWMモード」のまま維持され、各USBホストI/F108の通電状態は「PWM指定デバイスのみ通電」状態となる(後述する
図7の702の状態)。
【0048】
一方、上記S306において、接続状態のUSBデバイスが無いと判定された場合(S306でYesの場合)、CPU101は、S307に処理を進める。
S307において、CPU101は、GPIO210へLowを書き込み、DCDCコンバータ201をPFMモードへ切り替えるように制御する。
【0049】
さらにS308において、CPU101は、画像形成装置1が省電力状態2(603)へ移行可能な状態であるか否かを判定する。例えば、省電力状態1(602)移行してから所定時間(予め設定された省電力状態2移行時間)が経過した場合等に、省電力状態2(603)へ移行可能な状態と判定する。また、画像形成装置1で動作している各ソフトウェアが省電力状態2(603)への移行を許可している場合に、省電力状態2(603)へ移行可能な状態と判定するようにしてもよい。
【0050】
そして上記S308において、画像形成装置1が省電力状態2(603)へ移行可能な状態でないと判定した場合(S308でNoの場合)、CPU101は、本フローチャートの処理を終了する。すなわち、この場合、DCDCコンバータ201は「PFMモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「全て遮断」状態となる(後述する
図7の703の状態)。
【0051】
一方、上記S308において、画像形成装置1が省電力状態2(603)へ移行可能な状態であると判定した場合(S308でYesの場合)、CPU101は、S309に処理を進める。
S309において、CPU101は、画像形成装置1の電力状態を省電力状態2へ移行するように制御し、本フローチャートの処理を終了する。なお、省電力状態2(603)に移行すると、CPU101への通電も切断される状態となる(ただしRAM104は通電状態)。この場合、DCDCコンバータ201は「PFMモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「全て遮断」状態となる(後述する
図7の704の状態)。
【0052】
図7は、
図3及び
図4に示した処理によって画像形成装置1の電力状態が変化する場合の、各電力状態におけるDCDCコンバータ201のモードと、各USBホストI/F108の通電状態を例示する図である。
【0053】
例えば、画像形成装置1の電力状態が「通常状態(601)」の場合、
図7の701に示すように、DCDCコンバータ201は「PWMモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「全て通電」である。
【0054】
次に、画像形成装置1の電力状態が「省電力状態1(602)」の場合に、各USBホストI/F108に「PWM指定のデバイスが接続」されている場合について説明する。この場合、
図3のS302~S305の処理により、PFM指定のデバイスが全て切断され、PWM指定のデバイスのみが接続状態となる。さらにS306においてNoとなり、画像形成装置1は「省電力状態1(602)」を維持する。すなわち、
図7の702に示すように、DCDCコンバータ201は「PWMモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「PWM指定のデバイスのみ通電」の状態となる。
【0055】
次に、画像形成装置1の電力状態が「省電力状態1(602)」の場合に、各USBホストI/F108に「PFM指定のデバイスのみが接続」されている場合について説明する。この場合、
図3のS302~S305の処理により、PFM指定のデバイスが全て切断された状態になる。さらにS306においてYesとなり、DCDCコンバータ201が「PFMモード」に切り替えられる。すなわち、
図7の703に示すように、DCDCコンバータ201は「PFEモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「全て遮断」の状態となる。
【0056】
さらに、省電力状態2(603)に移行可能な状態の場合、
図3のS308においてYesとなり、省電力状態2(603)に移行する(S309)。この場合、すなわち
図7の704に示すように、DCDCコンバータ201は「PFEモード」、各USBホストI/F108の通電状態は「全て遮断」の状態となる。
【0057】
なお、
図3の処理では、省電力状態1(602)の場合に、DCDCコンバータ201のモードを切り替える(変更する)構成について説明した。しかし、他の電力状態の場合でも、DCDCコンバータ201のモードを切り替える(変更する)ようにしてもよい。
【0058】
上記フローチャートの特にS302、S303及びS307の処理を行うことによって、画像形成装置1は接続されているUSBデバイスの種類に応じてDCDCのモードを切り替えることができるようになる。これにより、省電力状態中に使用すべきUSBデバイス(例えばHID(非接触型のカードリーダ)、接触型のカードリーダ、無線LANデバイス等)が接続されていない時に、DCDCコンバータが消費する電力を低減させることができる。また、DCDCコンバータのモード切り替えは瞬時に行われるため、省電力状態への移行や省電力状態からの復帰に掛かる時間に与える影響を最小限にすることができる。
したがって、接続されているUSBデバイスの種類に応じて適切にDCDCコンバータのモードを切り替えることができ、最適な電力状態を提供することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、画像形成装置を例に説明した。しかし、画像形成装置でなくても、USBホストI/F、USBホストコントローラを有し、該USBホストI/Fに接続されるUSBデバイスに電力を供給する構成の装置であれば本発明を適用可能である。
また、本実施形態では、外部デバイスを接続する規格としてUSBを例に説明した。しかし、USBに限定されるものではなく、USB以外の規格の外部インターフェースに接続される外部デバイスに電力を供給する構成であっても本発明を適用可能である。
【0060】
例えば、外部デバイスを接続するための外部インターフェースと、前記外部インターフェースに接続される外部デバイスに対して電力を供給する電力供給部と、を有する装置であっても本発明を適用可能である。そして、前記電力供給部は、出力が安定する第1モードと、効率の良い第2モードとを切換可能な構成する。さらに、該装置の制御部であるCPU等が、前記外部インターフェースに接続される外部デバイスの種類に応じて、電力供給部のモードを切り換える切換処理を行う構成とする。その他も上記実施形態と同様の構成とする。これにより、外部インターフェースに接続されている外部デバイスの種類に応じて、外部インターフェースに電力供給する電力供給部のモードを適切に切り替えることができ、最適な電力状態を提供することができる。
【0061】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0062】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
2 USBデバイス
101 CPU
107 USBホストコントローラ
108a~108d USBホストI/F
201 DCDCコンバータ
210~214 GPIO
215~218 AND回路