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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ディスク装置用サスペンション
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20221128BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B5/60 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019036110
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020140749
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩志
(72)【発明者】
【氏名】半谷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 辰彦
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067474(JP,A)
【文献】特開2010-086630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/21
G11B 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面とは反対側の第2の面とを有するロードビームと、
前記ロードビームの前記第1の面に沿って配置され、スライダが搭載されるタングと、前記タングの幅方向の両外側に配置されそれぞれ前記ロードビームの長さ方向に延びる第1のアウトリガーアームおよび第2のアウトリガーアームとを有したフレキシャと、
前記第1のアウトリガーアームの基部と第2のアウトリガーアームの基部とを前記ロードビームに固定する固定部と、
前記第1のアウトリガーアームの前記基部を含む第1のアウトリガー根元部に配置された第1のダンパー材を有し、前記第1のダンパー材の一部が前記ロードビームに接着し、前記第1のダンパー材の他の一部が前記第1のアウトリガーアームに接着した第1のアウトリガー制振部と、
前記第2のアウトリガーアームの前記基部を含む第2のアウトリガー根元部に配置された第2のダンパー材を有し、前記第2のダンパー材の一部が前記ロードビームに接着し、前記第2のダンパー材の他の一部が前記第2のアウトリガーアームに接着した第2のアウトリガー制振部とを具備し
前記第1のアウトリガー制振部が、前記ロードビームに形成された第1の開口を含む第1の開口部と、前記第1のダンパー材の一部で前記ロードビームの前記第2の面に接着した第1のロードビーム接着部と、前記第1のダンパー材の他の一部で前記第1の開口の内側にて前記第1のアウトリガー根元部に接着した第1のアウトリガー接着部とを有し、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記ロードビームに形成された第2の開口を含む第2の開口部と、前記第2のダンパー材の一部で前記ロードビームの前記第2の面に接着した第2のロードビーム接着部と、前記第2のダンパー材の他の一部で前記第2の開口の内側にて前記第2のアウトリガー根元部に接着した第2のアウトリガー接着部とを有したことを特徴とするディスク装置用サスペンション。
【請求項2】
前記第1のダンパー材と、前記第2のダンパー材とが、それぞれ、粘弾性層と拘束板とを有した請求項1に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項3】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口の内側にて前記第1のダンパー材と前記第1のアウトリガー根元部との間に設けられた第1のスペーサを具備し、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口の内側にて前記第2のダンパー材と前記第2のアウトリガー根元部との間に設けられた第2のスペーサを具備したことを特徴とする請求項に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項4】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口を覆う形状の前記第1のダンパー材と、前記第1の開口の周りに存する前記第1のロードビーム接着部と、前記第1の開口の内側に存する前記第1のアウトリガー接着部とを具備し、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口を覆う形状の前記第2のダンパー材と、前記第2の開口の周りに存する前記第2のロードビーム接着部と、前記第2の開口の内側に存する前記第2のアウトリガー接着部とを具備したことを特徴とする請求項に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項5】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口の長さ方向に延びる長方形の前記第1のダンパー材と、前記第1のダンパー材の両端部に存する前記第1のロードビーム接着部と、前記第1の開口の内側に存する前記第1のアウトリガー接着部とを具備し、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口の長さ方向に延びる長方形の前記第2のダンパー材と、前記第2のダンパー材の両端部に存する前記第2のロードビーム接着部と、前記第2の開口の内側に存する前記第2のアウトリガー接着部とを具備したことを特徴とする請求項に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項6】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口の長さ方向に延びる縦部と前記第1の開口の幅方向に延びる横部とを含む十字形の前記第1のダンパー材と、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口の長さ方向に延びる縦部と前記第2の開口の幅方向に延びる横部とを含む十字形の前記第2のダンパー材と、
を具備したことを特徴とする請求項に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項7】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1のアウトリガーアームの長さ方向の一部で前記第1の開口に入る第1の折曲げ部と、前記第1の開口の内側にて前記第1の折曲げ部が前記第1のダンパー材に接着した前記第1のアウトリガー接着部とを具備し、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2のアウトリガーアームの長さ方向の一部で前記第2の開口に入る第2の折曲げ部と、前記第2の開口の内側にて前記第2の折曲げ部が前記第2のダンパー材に接着した前記第2のアウトリガー接着部とを具備したことを特徴とする請求項に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項8】
第1の面と前記第1の面とは反対側の第2の面とを有するロードビームと、
前記ロードビームの前記第1の面に沿って配置され、スライダが搭載されるタングと、前記タングの幅方向の両外側に配置されそれぞれ前記ロードビームの長さ方向に延びる第1のアウトリガーアームおよび第2のアウトリガーアームとを有したフレキシャと、
前記第1のアウトリガーアームの基部と第2のアウトリガーアームの基部とを前記ロードビームに固定する固定部と、
前記第1のアウトリガーアームの前記基部を含む第1のアウトリガー根元部に配置された第1のダンパー材を有し、前記第1のダンパー材の一部が前記ロードビームに接着し、前記第1のダンパー材の他の一部が前記第1のアウトリガーアームに接着した第1のアウトリガー制振部と、
前記第2のアウトリガーアームの前記基部を含む第2のアウトリガー根元部に配置された第2のダンパー材を有し、前記第2のダンパー材の一部が前記ロードビームに接着し、前記第2のダンパー材の他の一部が前記第2のアウトリガーアームに接着した第2のアウトリガー制振部とを具備し
前記第1のアウトリガー制振部が、前記ロードビームの前記第1の面に配置された前記第1のダンパー材と、前記第1のダンパー材の一部で前記第1の面に接着した第1のロードビーム接着部と、前記第1のダンパー材の他の一部で前記第1のアウトリガー根元部に接着した第1のアウトリガー接着部とを具備し、
前記第2のアウトリガー制振部が、前記ロードビームの前記第1の面に配置された前記第2のダンパー材と、前記第2のダンパー材の一部で前記第1の面に接着した第2のロードビーム接着部と、前記第2のダンパー材の他の一部で前記第2のアウトリガー根元部に接着した第2のアウトリガー接着部とを具備したことを特徴とするディスク装置用サスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハードディスク装置等に使われるディスク装置用サスペンションに係り、特にフレキシャの揺れを抑制する制振手段を備えたサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に、ハードディスク装置(HDD)が使用されている。ハードディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクと、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジなどを含んでいる。キャリッジはアクチュエータアームを有し、ボイスコイルモータ等のポジショニング用モータによって、ピボット軸を中心にディスクのトラック幅方向に旋回する。
【0003】
前記アクチュエータアームにディスク装置用サスペンション(これ以降、単にサスペンションと称す)が取付けられている。サスペンションは、ロードビーム(load beam)と、ロードビームに重ねて配置されたフレキシャ(flexure)などを含んでいる。フレキシャの先端付近に形成されたジンバル部に、磁気ヘッドを構成するスライダが設けられている。スライダには、データの読取りあるいは書込み等のアクセスを行なうための素子(トランスジューサ)が設けられている。これらロードビームやフレキシャおよびスライダ等によって、ヘッドジンバルアセンブリが構成されている。
【0004】
前記ジンバル部は、スライダを搭載するタングと、タングの近傍の両側に形成された第1のアウトリガーおよび第2のアウトリガーを含んでいる。これらアウトリガーは、それぞれフレキシャの両側部の外側に張り出す形状である。第1のアウトリガーと第2のアウトリガーの長さ方向の両端部付近は、それぞれ、例えばレーザ溶接等による固定部によってロードビームに固定されている。第1のアウトリガーと第2のアウトリガーは、それぞれ厚さ方向にばねのように撓むことができ、タングのジンバル運動を確保する上で重要な役割を担っている。
【0005】
ディスクの高記録密度化に対応するためには、ヘッドジンバルアセンブリをさらに小形化し、かつディスクの記録面に対してスライダをさらに高精度に位置決めできるようにすることが必要である。そのためには、ヘッドジンバルアセンブリに要求されるジンバル運動を確保した上で、フレキシャの揺れを極力小さくする必要がある。例えば特許文献1や特許文献2に記載されているように、フレキシャの揺れを抑制するために、サスペンションの一部にダンパー材を設けることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,967,821号明細書
【文献】特開2010-86630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
振動が入力したときのフレキシャの揺れを小さくするには、アウトリガーの揺れを抑制することが効果的な場合がある。このためアウトリガーそのものにダンパー材を設けることも考えられた。つまりアウトリガーにダンパー材を貼り付けることにより、アウトリガーとダンパー材とが一体に動くようにする。しかしながらアウトリガーにダンパー材を貼り付けると、フレキシャの揺れを抑制できる反面、フレキシャの剛性が大きくなってしまうという問題がある。たとえばアウトリガーの長さ方向に延びるダンパー材をアウトリガーに貼り付けたフレキシャは、ダンパー材を有しないフレキシャと比較して、ピッチ方向の剛性とロール方向の剛性が増加するため、ジンバル運動にとって好ましくない。
【0008】
従ってこの発明の目的は、フレキシャの揺れを効果的に抑制できるとともに、フレキシャの剛性が大きくなることも抑制できるディスク装置用サスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ディスク装置用サスペンションの1つの実施形態は、第1の面と前記第1の面とは反対側の第2の面とを有するロードビームと、前記ロードビームの前記第1の面に沿って配置されスライダが搭載されるタングと、前記タングの幅方向の両外側に配置されそれぞれ前記ロードビームの長さ方向に延びる第1のアウトリガーアームおよび第2のアウトリガーアームとを有したフレキシャと、前記第1のアウトリガーアームの基部と第2のアウトリガーアームの基部とを前記ロードビームに固定する固定部と、第1のアウトリガー制振部と、第2のアウトリガー制振部とを具備している。
【0010】
前記第1のアウトリガー制振部は、前記第1のアウトリガーアームの前記基部を含む第1のアウトリガー根元部に配置された第1のダンパー材を有し、前記第1のダンパー材の一部が前記ロードビームに接着し、かつ、前記第1のダンパー材の他の一部が前記第1のアウトリガーアームに接着している。
【0011】
前記第2のアウトリガー制振部は、前記第2のアウトリガーアームの前記基部を含む第2のアウトリガー根元部に配置された第2のダンパー材を有し、前記第2のダンパー材の一部が前記ロードビームに接着し、かつ、前記第2のダンパー材の他の一部が前記第2のアウトリガーアームに接着している。
【0012】
前記第1のアウトリガーアームと前記第2のアウトリガーアームとは、それぞれフレキシャのメタルベースの一部からなり、前記タングの両外側に張り出す形状である。第1のアウトリガーアームと第2のアウトリガーアームとは、それぞれフレキシャの厚さ方向にばねのように撓むことができる。
【0013】
前記第1のアウトリガー制振部の一例は、前記ロードビームに形成された第1の開口を含む第1の開口部と、前記第1のダンパー材の一部で前記ロードビームの前記第2の面に接着した第1のロードビーム接着部と、前記第1のダンパー材の他の一部で前記第1の開口の内側にて前記第1のアウトリガー根元部に接着した第1のアウトリガー接着部とを有している。
【0014】
前記第2のアウトリガー制振部の一例は、前記ロードビームに形成された第2の開口を含む第2の開口部と、前記第2のダンパー材の一部で前記ロードビームの前記第2の面に接着した第2のロードビーム接着部と、前記第2のダンパー材の他の一部で前記第2の開口の内側にて前記第2のアウトリガー根元部に接着した第2のアウトリガー接着部とを有している。
【0015】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口の内側にて前記第1のダンパー材と前記第1のアウトリガー根元部との間に設けられた第1のスペーサを具備してもよい。また前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口の内側にて前記第2のダンパー材と前記第2のアウトリガー根元部との間に設けられた第2のスペーサを具備してもよい。
【0016】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口を覆う形状の前記第1のダンパー材と、前記第1の開口の周りに存する前記第1のロードビーム接着部と、前記第1の開口の内側に存する前記第1のアウトリガー接着部とを具備してもよい。また前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口を覆う形状の前記第2のダンパー材と、前記第2の開口の周りに存する前記第2のロードビーム接着部と、前記第2の開口の内側に存する前記第2のアウトリガー接着部とを具備してもよい。
【0017】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口の長さ方向に延びる長方形の前記第1のダンパー材と、前記第1のダンパー材の両端部に存する前記第1のロードビーム接着部と、前記第1の開口の内側に存する前記第1のアウトリガー接着部とを具備してもよい。また前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口の長さ方向に延びる長方形の前記第2のダンパー材と、前記第2のダンパー材の両端部に存する前記第2のロードビーム接着部と、前記第2の開口の内側に存する前記第2のアウトリガー接着部とを具備してもよい。
【0018】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1の開口の長さ方向に延びる縦部と前記第1の開口の幅方向に延びる横部とを含む十字形の前記第1のダンパー材を具備してもよい。また、前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2の開口の長さ方向に延びる縦部と前記第2の開口の幅方向に延びる横部とを含む十字形の前記第2のダンパー材を具備してもよい。
【0019】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記第1のアウトリガーアームの長さ方向の一部で前記第1の開口に入る第1の折曲げ部と、前記第1の開口において前記第1の折曲げ部と前記第1のダンパー材とが接着した前記第1のアウトリガー接着部を具備してもよい。前記第2のアウトリガー制振部が、前記第2のアウトリガーアームの長さ方向の一部で前記第2の開口に入る第2の折曲げ部と、前記第2の開口において前記第2の折曲げ部と前記第2のダンパー材とが接着した前記第2のアウトリガー接着部を具備してもよい。
【0020】
前記第1のアウトリガー制振部が、前記ロードビームの前記第1の面に配置された前記第1のダンパー材と、前記第1のダンパー材の一部で前記第1の面に接着した第1のロードビーム接着部と、前記第1のダンパー材の他の一部で前記第1のアウトリガー根元部に接着した第1のアウトリガー接着部とを具備してもよい。また前記第2のアウトリガー制振部が、前記ロードビームの前記第1の面に配置された前記第2のダンパー材と、前記第2のダンパー材の一部で前記第1の面に接着した第2のロードビーム接着部と、前記第2のダンパー材の他の一部で前記第2のアウトリガー根元部に接着した第2のアウトリガー接着部とを具備してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、タングと第1のアウトリガーアームおよび第2のアウトリガーアームを有するフレキシャの揺れを、第1のアウトリガー制振部および第2のアウトリガー制振部によって効果的に抑制することができる。しかもフレキシャの剛性が大きくなることを抑制でき、ジンバル運動に悪影響が生じることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ディスク装置の一例を示す斜視図。
図2図1に示されたディスク装置の一部の断面図。
図3】第1の実施形態に係るディスク装置用サスペンションの斜視図。
図4図3に示されたサスペンションの一部をスライダ側から見た斜視図。
図5図4に示されたサスペンションの一部の平面図。
図6図5中のF6-F6線に沿うサスペンションの一部の断面図。
図7図4に示されたサスペンションのアウトリガー制振部を模式的に表わした平面図。
図8図7中のF8-F8線に沿うアウトリガー制振部の断面図。
図9】同サスペンションにおいて、アウトリガー制振部を有する場合と、アウトリガー制振部を有しない場合とで、それぞれのフレキシャの振動強度を表した図。
図10】同サスペンションにおいて、アウトリガー制振部を有する場合と、アウトリガー制振部を有しない場合とで、それぞれのフレキシャの剛性を示した図。
図11】第2の実施形態に係るアウトリガー制振部を模式的に表わした平面図。
図12】第3の実施形態に係るアウトリガー制振部を模式的に表わした平面図。
図13】第4の実施形態に係るアウトリガー制振部の断面図。
図14】第5の実施形態に係るアウトリガー制振部の断面図。
図15】第6の実施形態に係るアウトリガー制振部の断面図。
図16】比較例を示すサスペンションの一部の平面図。
図17図16に示されたサスペンションにおいて、ダンパー材を有する場合と、ダンパー材を有しない場合とで、それぞれのフレキシャの剛性を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に第1の実施形態に係るディスク装置用サスペンションについて、図1から図10を参照して説明する。
図1に示すディスク装置(HDD)1は、ケース2と、スピンドル3を中心に回転するディスク4と、ピボット軸5を中心に旋回可能なキャリッジ6と、キャリッジ6を駆動するためのポジショニング用モータ(ボイスコイルモータ)7などを有している。ケース2は、図示しない蓋によって密閉される。
【0024】
図2はディスク装置1の一部を模式的に示す断面図である。図1図2に示されるように、キャリッジ6にアーム(キャリッジアーム)8が設けられている。アーム8の先端部にサスペンション10が取付けられている。サスペンション10の先端部に、磁気ヘッドを構成するスライダ11が設けられている。ディスク4が高速で回転すると、ディスク4とスライダ11との間に空気が流入することによって、エアベアリングが形成される。
【0025】
ポジショニング用モータ7によってキャリッジ6が旋回すると、サスペンション10がディスク4の径方向に移動することにより、スライダ11がディスク4の所望トラックまで移動する。
【0026】
図3に示されたサスペンション10は、キャリッジ6のアーム8(図1図2に示す)に固定されるベースプレート20と、ロードビーム21と、フレキシャ22とを備えている。ベースプレート20には、前記アーム8に形成された孔8a(図2に示す)に挿入されるボス部20aが形成されている。
【0027】
図3に矢印Xで示す方向がロードビーム21とフレキシャ22の長さ方向、すなわちサスペンション10の長さ方向である。フレキシャ22はロードビーム21に沿って配置され、ロードビーム21の長さ方向に延びている。矢印Yがスウェイ方向(フレキシャ22の幅方向)である。ロードビーム21は、フレキシャ22が配置される側である第1の面21aと、第1の面21aとは反対側の第2の面21bとを有している。ロードビーム21には必要に応じてダンパー部材25が設けられている。
【0028】
図4は、サスペンション10の先端側の一部をスライダ11側から見た斜視図である。磁気ヘッドをなすスライダ11の先端部には、例えばMR素子のように磁気信号と電気信号とを変換可能な素子28が設けられている。これらの素子28によって、ディスク4に対するデータの書込みあるいは読取り等のアクセスが行なわれる。スライダ11と、ロードビーム21と、フレキシャ22などによって、ヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly)が構成されている。フレキシャ22はロードビーム21の第1の面21aに配置されている。
【0029】
フレキシャ22は、薄いステンレス鋼の板からなるメタルベース40と、メタルベース40に沿って配置された配線部41とを有している。メタルベース40の厚さ(例えば12~25μm)は、ロードビーム21の厚さ(例えば30μm)よりも小さい。メタルベース40の厚さの一例は20μmである。配線部41の一部は、スライダ11用の端子41a(図4に示す)を介してスライダ11の素子28に電気的に接続されている。
【0030】
図5はサスペンション10の先端部付近をスライダ11側から見た平面図である。メタルベース40の一部に、スライダ11が搭載されるタング45が形成されている。タング45の幅方向(図5に矢印Y1で示す方向)の両外側に、それぞれ第1のアウトリガーアーム51と、第2のアウトリガーアーム52とが形成されている。第1のアウトリガーアーム51と第2のアウトリガーアーム52とは、タング45の幅方向の両側部の外側に張り出す形状である。タング45と一対のアウトリガーアーム51,52とは、いずれもメタルベース40の一部であり、例えばエッチングによってそれぞれの輪郭が形成されている。
【0031】
図6は、サスペンション10の一部で図5中のF6-F6線に沿う断面図である。ロードビーム21の先端付近に、タング45に向かって突出するディンプル55が形成されている。ディンプル55の先端55aがタング45に接している。タング45は、ディンプル55の先端55aを中心として揺動し、所望のジンバル運動をなすことができる。タング45とアウトリガーアーム51,52とディンプル55などによってジンバル部56が構成されている。
【0032】
第1のアウトリガーアーム51はタング45の一方の側部の外側に配置され、フレキシャ22の長さ方向(図5に矢印Xで示す)に延びている。第1のアウトリガーアーム51の基部51aは、固定部61によってロードビーム21に固定されている。第1のアウトリガーアーム51の先端側アーム部51bはフレキシャ22の先端部22aに連なっている。フレキシャ22の先端部22aは固定部62によってロードビーム21の先端付近に固定されている。固定部61,62は、例えばレーザスポット溶接等によって形成されている。第1のアウトリガーアーム51は、長さ方向の両端部が固定部61,62によって支持され、固定部61,62の間の部分がメタルベース40の厚さ方向に撓むことができる。
【0033】
この明細書では、第1のアウトリガーアーム51の長さ方向の一部で固定部61を含む基部51a寄りの部分(基部51aの近傍)を第1のアウトリガー根元部51cと称す。図5に示すように第1のアウトリガー根元部51cは、角度θ1をなして曲がった形状となっている。第1のアウトリガーアーム51の先端部付近は、接続部51dを介してタング45の一方の側部に接続されている。
【0034】
第2のアウトリガーアーム52はタング45の他方の側部の外側に配置され、フレキシャ22の長さ方向(図5に矢印Xで示す)に延びている。第2のアウトリガーアーム52の基部52aは、固定部63によってロードビーム21に固定されている。第2のアウトリガーアーム52の先端側アーム部52bはフレキシャ22の先端部22aに連なっている。
【0035】
この明細書では、第2のアウトリガーアーム52の長さ方向の一部で固定部63を含む基部52a寄りの部分(基部52aの近傍)を第2のアウトリガー根元部52cと称す。図5に示すように第2のアウトリガー根元部52cは、角度θ2をなして曲がった形状となっている。第2のアウトリガーアーム52の先端部付近は、接続部52dを介してタング45の他方の側部に接続されている。
【0036】
第2のアウトリガーアーム52は、長さ方向の両端部が固定部62,63によって支持されている。このため固定部62,63の間の部分がメタルベース40の厚さ方向に撓むことができる。このようにタング45は、第1のアウトリガーアーム51と第2のアウトリガーアーム52とによって弾性的に支持され、ディンプル55を支点として揺動することができる。
【0037】
ジンバル部56に一対のマイクロアクチュエータ素子65,66が搭載されている。マイクロアクチュエータ素子65,66はそれぞれ圧電材料からなり、スライダ11の両側に配置されている。第1のマイクロアクチュエータ素子65の両端部65a,65bは、それぞれタング45のアクチュエータ支持部70,71に固定されている。第2のマイクロアクチュエータ素子66の両端部66a,66bは、それぞれタング45のアクチュエータ支持部72,73に固定されている。
【0038】
マイクロアクチュエータ素子65,66は、タング45をスウェイ方向(図3に矢印Yで示す方向)に回動させる機能を有している。タング45の一方の側部と第1のアウトリガーアーム51との間に、タング45の過剰な揺れを抑制するリミッタ部材75が設けられている。タング45の他方の側部と第2のアウトリガーアーム52との間にもリミッタ部材76が設けられている。
【0039】
本実施形態のサスペンション10は、第1のアウトリガーアーム51に対応する第1のアウトリガー制振部80と、第2のアウトリガーアーム52に対応する第2のアウトリガー制振部90とを備えている。第1のアウトリガー制振部80と第2のアウトリガー制振部90とは、それぞれフレキシャ22の揺れを抑制する制振手段として機能する。
【0040】
図7は、第1のアウトリガー制振部80と第2のアウトリガー制振部90とを模式的に表わした平面図である。第1のアウトリガー制振部80と第2のアウトリガー制振部90とは互いに左右対称形であるが、両者の構成は互いに実質的に共通である。図8は第1のアウトリガー制振部80の断面図である。第1のアウトリガー制振部80は、ロードビーム21に形成された第1の開口81と、第1のアウトリガー根元部51cに設けられた第1のダンパー材82とを含んでいる。第1の開口81はロードビーム21の厚さ方向に貫通している。第1のダンパー材82はロードビーム21の第2の面21bに配置されている。この明細書では、第1の開口81とその周縁部を含む部分を第1の開口部と称している。
【0041】
第1の開口部に第1のダンパー材82が設けられている。第1のダンパー材82は第1の開口81を覆うことができる大きさである。図8に示すように第1のダンパー材82は粘弾性層(viscoelastic material layer)83と拘束板(constrained plate)84とを有している。粘弾性層83は、変形したときに粘性抵抗を発揮することができる高分子材料(例えばアクリル系樹脂)からなり、粘着性を有している。粘弾性層83の厚さは、例えば51μmである。拘束板84はポリエステル等の合成樹脂からなり、粘弾性層83の厚さ方向に積層されている。拘束板84の厚さは、例えば51μmである。
【0042】
図3図5図7に示すように、第1のアウトリガーアーム51の長さ方向の一部である第1のアウトリガー根元部51cは、第1の開口81を臨む位置に配置されている。第1のダンパー材82は、第1の開口81を覆うようロードビーム21の第2の面21bに配置されている。第1のダンパー材82は、第1の開口81を覆った状態において、粘弾性層83自身の接着力により、ロードビーム21の第2の面21bと、第1のアウトリガー根元部51cとの双方に固定されている。
【0043】
このように第1のダンパー材82の粘弾性層83の一部が、第1の開口部においてロードビーム21の第2の面21bに接着することにより、第1のロードビーム接着部85が形成されている。さらに第1のダンパー材82の粘弾性層83の他の一部が、第1の開口81の内側にて第1のアウトリガー根元部51cに接着することにより、第1のアウトリガー接着部86が形成されている。
【0044】
図8に示すように、第1のアウトリガー制振部80が第1のスペーサ87を含んでいてもよい。第1のスペーサ87は、第1のダンパー材82の粘弾性層83と第1のアウトリガー根元部51cとの間に配置されている。第1のスペーサ87の厚さは、ロードビーム21の厚さと同等であるとよい。第1のスペーサ87の一方の面(アウトリガー根元部51cと対向する面)に接着層が設けられている。第1のダンパー材82が第1のスペーサ87を介して第1のアウトリガーアーム51に接着することにより、第1のダンパー材82と第1のアウトリガー根元部51cとの間に第1のアウトリガー接着部86が形成される。
【0045】
第2のアウトリガー制振部90は、第1のアウトリガー制振部80と同様に、ロードビーム21に形成された第2の開口91と、第2のアウトリガー根元部52cに設けられた第2のダンパー材92とを含んでいる。第2の開口91はロードビーム21の厚さ方向に貫通している。第2のダンパー材92はロードビーム21の第2の面21bに配置されている。この明細書では、第2の開口91とその周縁部を含む部分を第2の開口部と称している。
【0046】
第2の開口部に第2のダンパー材92が設けられている。第2のダンパー材92は、第2の開口91を覆うことができる大きさである。第2のダンパー材92は第1のダンパー材82と同様に粘弾性層83と拘束板84(図8に示す)とを有している。
【0047】
図3図5図7に示すように、第2のアウトリガーアーム52の長さ方向の一部である第2のアウトリガー根元部52cは、第2の開口91を臨む位置に配置されている。第2のダンパー材92は、第2の開口91を覆うようロードビーム21の第2の面21bに配置されている。第2のダンパー材92は、第2の開口91を覆った状態において、粘弾性層自身の接着力により、ロードビーム21の第2の面21bと、第2のアウトリガー根元部52cとの双方に固定されている。
【0048】
このように第2のダンパー材92の粘弾性層の一部が、第2の開口部においてロードビーム21の第2の面21bに接着することにより、第2のロードビーム接着部95が形成されている。さらに第2のダンパー材92の粘弾性層の他の一部が、第2の開口91の内側にて第2のアウトリガー根元部52cに接着することにより、第2のアウトリガー接着部96が形成されている。
【0049】
第2のアウトリガー制振部90は、第1のスペーサ87(図8に示す)と同様の第2のスペーサ97を含んでいる。第2のスペーサ97は、第2のダンパー材92の粘弾性層と第2のアウトリガー根元部52cとの間に設けられている。第2のスペーサ97を介して第2のダンパー材92が第2のアウトリガーアーム52に接着している。第2のスペーサ97の厚さは、ロードビーム21の厚さと同等であるとよい。
【0050】
以下に本実施形態のサスペンション10の動作について説明する。
ポジショニング用モータ7によってキャリッジ6(図1図2に示す)が旋回すると、サスペンション10がディスク4の径方向に移動することにより、磁気ヘッドのスライダ11がディスク4の記録面の所望トラックまで移動する。マイクロアクチュエータ素子65,66に電圧が印加されると、電圧に応じてマイクロアクチュエータ素子65,66が歪むことにより、ロードビーム21をスウェイ方向(図3に矢印Yで示す方向)に微小量移動させることができる。
【0051】
本実施形態のサスペンション10は、一対のアウトリガーアーム51,52の基部51a,52aを含むアウトリガー根元部51c,52cに、それぞれアウトリガー制振部80,90を備えている。フレキシャ22を振動させるエネルギーが外部から入力すると、ダンパー材82,92のそれぞれの粘弾性層83が変形し、粘弾性層83を構成する分子の摩擦による内部抵抗を生じる。このため振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、フレキシャ22の揺れを抑制することができる。
【0052】
図9は、アウトリガー制振部80,90を備えた本実施形態のサスペンション10と、アウトリガー制振部80,90を有しないサスペンションをそれぞれ加振させたときの周波数応答特性を示している。図9中の実線S1は、アウトリガー制振部80,90を有するサスペンション10の周波数応答特性である。図9中の破線S2は、アウトリガー制振部80,90を有しないサスペンションの周波数応答特性である。アウトリガー制振部80,90を有するサスペンション10は、アウトリガー制振部80,90を有しないサスペンションと比較して、10~11KHz付近のトーションモードと、15KHz付近のゲインが低く抑えられている。
【0053】
図10中のA,Bは、それぞれアウトリガー制振部80,90を有するフレキシャ22のピッチ方向の剛性とロール方向の剛性とを示している。図10中のC,Dは、それぞれアウトリガー制振部80,90を有しないフレキシャのピッチ方向の剛性とロール方向の剛性とを示している。図10のA,Cに示されるように、ピッチ方向の剛性に関して、アウトリガー制振部80,90を有するフレキシャ22と、アウトリガー制振部80,90を有しないフレキシャの剛性とは、互いに同等であった。また図10のB,Dに示されるように、ロール方向の剛性に関して、アウトリガー制振部80,90を有するフレキシャ22と、アウトリガー制振部80,90を有しないフレキシャの剛性とは、互いに同等であった。よってアウトリガー制振部80,90を設けてもフレキシャのジンバル運動に悪影響を与えないことが確認された。
【0054】
図11は第2の実施形態に係る第1のアウトリガー制振部80Aと、第2のアウトリガー制振部90Aとを示している。第1のアウトリガー制振部80Aに設ける第1のダンパー材82Aは、第1の開口81の長さ方向X1に延びる長方形である。第1のダンパー材82Aの両端部にそれぞれ第1のロードビーム接着部85が形成されている。また第1の開口81の内側に第1のアウトリガー接着部86が形成されている。
第2のアウトリガー制振部90Aに設ける第2のダンパー材92Aは、第2の開口91の長さ方向X2に延びる長方形である。第2のダンパー材92Aの両端部にそれぞれ第2のロードビーム接着部95が形成されている。第2の開口91の内側に第2のアウトリガー接着部96が形成されている。それ以外の構成と効果は第1の実施形態のサスペンション10と共通であるため、両者に共通の部位に共通の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図12は第3の実施形態に係る第1のアウトリガー制振部80Bと、第2のアウトリガー制振部90Bとを示している。第1のダンパー材82Bは、第1の開口81の長さ方向X1に延びる縦部100と、第1の開口81の幅方向W1に延びる横部101とを含む十字形である。そして縦部100の両端部と横部101の両端部とに、それぞれ第1のロードビーム接着部85が形成されている。第1の開口81の内側において第1のアウトリガー根元部51cと第1のダンパー材82Bとが接着することにより、第1のアウトリガー接着部86が形成されている。
【0056】
図12に示された第2のダンパー材92Bは、第2の開口91の長さ方向X2に延びる縦部110と、第2の開口91の幅方向W2に延びる横部111とを含む十字形である。そして縦部110の両端部と横部111の両端部とに、それぞれ第2のロードビーム接着部95が形成されている。第2の開口91の内側において第2のアウトリガー根元部52cと第2のダンパー材92Bとが接着することにより、第2のアウトリガー接着部96が形成されている。それ以外の構成と効果は第1の実施形態のサスペンション10と共通であるため、両者に共通の部位に共通の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図13は、第4の実施形態に係るサスペンションの第1のアウトリガー制振部80Cの断面図である。第2のアウトリガー制振部は図示していないが、第1のアウトリガー制振部80Cと共通の構成であるため、ここでは第1のアウトリガー制振部80Cを代表して説明する。この実施形態のアウトリガー制振部80Cは、第1のダンパー材82Cの一部120が第1の開口81の内側に入り込むように変形している。そして第1のダンパー材82Cと第1のアウトリガー根元部51cとが互いに接着することにより、第1のアウトリガー接着部86が形成されている。それ以外の構成と効果は第1の実施形態のサスペンション10と共通であるため、両者に共通の部位に共通の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図14は、第5の実施形態に係るサスペンションの第1のアウトリガー制振部80Dの断面図である。第2のアウトリガー制振部は図示していないが、第1のアウトリガー制振部80Dと共通の構成であるため、ここでは第1のアウトリガー制振部80Dを代表して説明する。この実施形態のアウトリガー制振部80Dは、第1の開口81の内側に入る折曲げ部130を有している。折曲げ部130は、第1のアウトリガーアーム51の長さ方向の一部を塑性加工によって厚さ方向に曲げることにより形成されている。この折曲げ部130に第1のダンパー材82Dの粘弾性層83が接着することにより、第1のアウトリガー接着部86が形成されている。それ以外の構成と効果は第1の実施形態のサスペンション10と共通であるため、両者に共通の部位に共通の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図15は、第6の実施形態に係るサスペンションの第1のアウトリガー制振部80Eの断面図である。第2のアウトリガー制振部は図示していないが、第1のアウトリガー制振部80Eと共通の構成であるため、ここでは第1のアウトリガー制振部80Eを代表して説明する。この実施形態のアウトリガー制振部80Eは、ロードビーム21の第1の面21aに配置された第1のダンパー材82と、第1のロードビーム接着部85と、第1のアウトリガー接着部86とを有している。第1のロードビーム接着部85は、第1のダンパー材82の一部でロードビーム21の第1の面21aに接着している。第1のアウトリガー接着部86は、第1のダンパー材82の他の一部で第1のアウトリガーアーム51に接着している。それ以外の構成と効果は第1の実施形態のサスペンション10と共通であるため、両者に共通の部位に共通の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図16は比較例としてのサスペンション200を示している。このサスペンション200は、フレキシャ210のアウトリガーアーム211,212に、それぞれダンパー材213,214を有している。ダンパー材213,214は、それぞれアウトリガーアーム211,212のみに接着し、それぞれアウトリガーアーム211,212の長さ方向に延びている。このサスペンション200もジンバル部220の揺れを抑制することができたが、以下に説明するようにダンパー材213,214を有しないサスペンションと比較して、フレキシャの剛性が大きかった。
【0061】
図17中のE,Fは、それぞれ図16に示された比較例のサスペンション200(ダンパー材213,214有り)のピッチ方向の剛性とロール方向の剛性を示している。図17中のG,Hは、それぞれダンパー材213,214を有しないサスペンションのピッチ方向の剛性とロール方向の剛性を示している。ダンパー材213,214を有するフレキシャの剛性E,Fは、ダンパー材213,214を有しないフレキシャと比較して剛性が約13%増加し、ジンバル運動に悪い影響が生じた。
【0062】
図16に示した比較例のダンパー材213,214は、アウトリガーアーム211,212の長さ方向に大きく延びている。このためサスペンション200をディスク装置に組付ける際に使用されるシッピングコウム(shipping comb)がダンパー材213,214と干渉し、ダンパー材213,214が破損するおそれがあった。これに対し本発明の実施形態に係るサスペンションは、アウトリガー根元部51c,52cにそれぞれ比較的小形のダンパー材を設けたため、ダンパー材がシッピングコウムと干渉することを回避できた。
【0063】
なお本発明を実施するに当たって、ロードビームやフレキシャの形状、第1および第2のアウトリガー制振部の配置などの具体的な態様をはじめとして、ディスク装置用サスペンションを構成する各要素の具体的な態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。例えば第1のダンパー材と第2のダンパー材とが互いに一体に連なった1枚のダンパー部材が使われてもよい。またマイクロアクチュエータ素子65,66を有しないサスペンションに、前記実施形態と同様の第1のアウトリガー制振部と第2のアウトリガー制振部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…ディスク装置、10…サスペンション、11…スライダ、21…ロードビーム、21a…第1の面、21b…第2の面、22…フレキシャ、40…メタルベース、41…配線部、45…タング、51…第1のアウトリガーアーム、51a…基部、51b…先端側アーム部、51c…第1のアウトリガー根元部、52…第2のアウトリガーアーム、52a…基部、52b…先端側アーム部、52c…第2のアウトリガー根元部、55…ディンプル、56…ジンバル部、61,62,63…固定部、65,66…マイクロアクチュエータ素子、80,80A,80B,80C,80D,80E…第1のアウトリガー制振部、81…第1の開口、82,82A,82B,82C…第1のダンパー材、83…粘弾性層、84…拘束板、85…第1のロードビーム接着部、86…第1のアウトリガー接着部、87…第1のスペーサ、90,90A,90B…第2のアウトリガー制振部、91…第2の開口、92,92A,92B…第2のダンパー材、95…第2のロードビーム接着部、96…第2のアウトリガー接着部、97…第2のスペーサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17