IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ポンプ 図1
  • 特許-ポンプ 図2
  • 特許-ポンプ 図3
  • 特許-ポンプ 図4
  • 特許-ポンプ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/00 20060101AFI20221128BHJP
   F04B 13/00 20060101ALI20221128BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
F04B53/00 A
F04B13/00 A
B05C11/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019052314
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153289
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】大城 健一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雄太
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-100378(JP,A)
【文献】特開平03-111675(JP,A)
【文献】実公昭58-030217(JP,Y2)
【文献】特開2007-287831(JP,A)
【文献】米国特許第03771908(US,A)
【文献】特開2001-207951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
F04B 13/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口を有し、内部に流動体を収納可能な収納室と、
前記収納室の上方に設けられ、内部に洗浄液を収納可能な洗浄室と、
一方の端部が前記洗浄室の底面に設けられた孔を介して前記収納室の内部と接続され、他方の端部が前記洗浄室の外部に露出するパイプと、
を備え、
前記収納室の上端は、前記洗浄室の底面に設けられたスリットを介して、前記洗浄室の内部に挿入可能であるポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポンプ関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの対象物の上に流動体を塗布する塗布装置がある。この様な塗布装置は、流動体を供給するポンプを備えている。塗布装置に用いられるポンプには、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプなどがあるが、対象物とノズルとの間の相対速度が変化する場合などには、吐出応答性や定流量性などに優れたシリンジポンプが用いられる場合がある。
【0003】
ここで、シリンジポンプに設けられたロッドを往復動作させると、ロッドの側面の微細な凹凸に付着した流動体が外気に晒される。ロッドの側面に付着した流動体が外気に晒されることで固化すると、ロッドを収納室の内部に挿入した際に剥がれて、流動体に混入するおそれがある。流動体に混入した固化物は不純物となるので、形成された膜の品質が低下するおそれがある。また、ロッドを往復動作させた際に外気が収納室の内部に巻き込まれて、収納室に収納されている流動体の中に気泡が発生するおそれがある。流動体の中に気泡があると、吐出応答性や定流量性などが悪くなるおそれがある。
【0004】
そのため、収納室に接続された洗浄室を設け、洗浄室を介して収納室の内部にロッドを挿入する技術が提案されている。しかしながら、気泡の発生を抑制するのには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-287831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、収納室に収納されている流動体の中に気泡が発生するのを抑制することができるポンプ提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るポンプは、上端に開口を有し、内部に流動体を収納可能な収納室と、前記収納室の上方に設けられ、内部に洗浄液を収納可能な洗浄室と、一方の端部が前記洗浄室の底面に設けられた孔を介して前記収納室の内部と接続され、他方の端部が前記洗浄室の外部に露出するパイプと、を備え、前記収納室の上端は、前記洗浄室の底面に設けられたスリットを介して、前記洗浄室の内部に挿入可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る塗布装置を例示するための模式図である。
図2】本実施の形態に係るポンプを例示するための模式断面図である。
図3】比較例に係るポンプを例示するための模式断面図である。
図4】他の実施形態に係るポンプを例示するための模式断面図である。
図5】他の実施形態に係るポンプを例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る塗布装置100を例示するための模式図である。
図2は、本実施の形態に係るポンプ60を例示するための模式断面図である。
図3は、比較例に係るポンプ360を例示するための模式断面図である。
図1に示すように、塗布装置100には、載置部10、ノズル20、タンク30、排出部40、配管部50、ポンプ60、およびコントローラ70を設けることができる。
【0010】
載置部10の一方の面は、対象物200を載置する載置面11とすることができる。
対象物200には特に限定がない。例えば、図1に例示をしたように、対象物200は板状体とすることもできる。この場合、対象物200は、半導体ウェーハ、ガラス基板などであってもよい。
また、載置部10は、載置面11に載置された対象物200を保持可能としてもよい。例えば、載置部10は、静電チャック、バキュームチャック、メカニカルチャックなどを備え、これらのチャックにより、対象物200の裏面(流動体が塗布される側とは反対側の面)や対象物200の側面などを保持するようにしてもよい。
【0011】
また、載置部10には、ノズル20に対する位置を変化させる駆動部12を設けることができる。例えば、載置部10は、モータを備えたXYテーブル、モータを備えた回転テーブル、モータを備えたコンベアなどであってもよい。ただし、載置部10(対象物200)とノズル20との相対的な位置を変化させることができれば良いので、駆動部12は、載置部10およびノズル20の少なくともいずれかに設けることができる。例えば、単軸ロボット、二軸ロボット、多軸ロボットなどのアームにノズル20を設けるようにしてもよい。
【0012】
ノズル20は、ポンプ60の、流動体201を吐出する開口61bに接続することができる。ノズル20は、供給された流動体201を載置部10に載置された対象物200に向けて吐出する。
流動体201は、ポンプ60により供給が可能なものであれば特に限定はない。流動体201は、例えば、接着剤、塗料、インク、フォトレジスト、薬液などの処理液などとすることができる。また、後述する洗浄液202は、流動体201に含まれている物質を溶解可能なものであれば特に限定はない。洗浄液202は、例えば、流動体201に含まれている溶剤などとすることができる。
【0013】
ノズル20は、吐出口21、供給口22、および流路23を有することができる。
吐出口21は、ノズル20の、載置面11側の端部に設けることができる。吐出口21は、所定の範囲に流動体201を供給することができるものであれば特に限定はない。例えば、吐出口21は、孔やスリットなどとすることができる。ノズル20は、いわゆるニードルノズルやスリットノズルなどであってもよい。
【0014】
供給口22は、例えば、ノズル20の、載置面11側とは反対側の端部や、ノズル20の側面などに設けることができる。供給口22には、配管を接続するための配管継手などを接続することができる。
【0015】
流路23は、ノズル20の内部に設けられ、吐出口21と供給口22とを接続している。流路23は、供給口22から供給された流動体201を吐出口21に導く空間とすることができる。
【0016】
ノズル20の材料には特に限定はなく、流動体201に対する耐性を有するものであればよい。ノズル20は、例えば、ステンレスやフッ素樹脂などを含むものとすることができる。
【0017】
ノズル20の数や配置などにも特に限定はなく、対象物200の大きさ、流動体201の塗布範囲、粘度などの流動体201の性質などに応じて適宜変更することができる。複数のノズル20が設けられる場合には、複数のノズル20毎にポンプ60を設けることもできるし、所定のグループのノズル20毎にポンプ60を設けることもできるし、複数のノズル20に対して1つのポンプ60を設けることもできる。
【0018】
タンク30は、内部に流動体201を収納することができる。タンク30の材料は、流動体201に対する耐性を有し、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。タンク30は、例えば、ステンレスやフッ素樹脂などを含むものとすることができる。
【0019】
排出部40は、タンク30やポンプ60の内部にある残余の流動体201が排出されるものとすることができる。排出部40は、例えば、廃液ポッド、工場配管、ドレインパンなどとすることができる。
【0020】
配管部50は、切替弁51、切替弁52、および開閉弁53を有することができる。切替弁51、切替弁52、および開閉弁53は、電磁弁とすることができる。切替弁51、切替弁52、および開閉弁53は、コントローラ70により制御することができる。なお、必要に応じて、配管部50は、流量調整弁、圧力調整弁、フィルタなどの要素をさらに備えることもできる。
【0021】
切替弁51は、例えば、三方弁とすることができる。切替弁51の第1ポート51aには配管54aを介してタンク30を接続することができる。第2ポート51bには配管54bを介してポンプ60を接続することができる。第3ポート51cには配管54cを介して切替弁52の第1ポート52aを接続することができる。切替弁51は、第1ポート51a、第2ポート51b、および第3ポート51cの開閉状態を切り替えることで、流動体201の供給流路を切り替えることができる。
【0022】
切替弁52、例えば、三方弁とすることができる。切替弁52の第2ポート52bには配管54dを介してノズル20の供給口22を接続することができる。第3ポート52cには配管54eを介して開閉弁53の第1ポート53aを接続することができる。切替弁52は、第1ポート52a、第2ポート52b、および第3ポート52cの開閉状態を切り替えることで、流動体201の供給流路を切り替えることができる。
【0023】
開閉弁53は、例えば、二方弁とすることができる。開閉弁53の第2ポート53bには配管54fを接続することができる。タンク30やポンプ60の内部にある残余の流動体201は、配管54fを介して、排出部40に排出することができる。開閉弁53は、開閉状態を切り替えることで、流動体201の供給と、供給の停止とを切り替えることができる。
【0024】
ポンプ60は、流動体201をノズル20に供給することができる。ポンプ60は、いわゆるシリンジポンプとすることができる。なお、ポンプ60に関する詳細は後述する。
【0025】
コントローラ70は、制御プログラムを格納する記憶部と、制御プログラムを実行する演算部とを有することができる。記憶部は、例えば、半導体メモリやハードディスクなどとすることができる。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などとすることができる。なお、必要に応じて、コントローラ70は、入力部や出力部などをさらに備えることができる。入力部は、例えば、操作者がプロセス条件などを入力するキーボードやマウスなどとすることができる。出力部は、例えば、塗布装置100の動作状態、プロセス条件、異常警報などを表示するフラットパネルディスプレイなどとすることができる。
【0026】
例えば、演算部は、記憶部に格納されている制御プログラムと、入力部から入力された情報とに基づいて、塗布装置100に設けられた各要素の動作を制御する。例えば、演算部は、塗布装置100に設けられた各要素の動作を制御することで、対象物200の所望の領域に流動体201を塗布することができる。
【0027】
次に、比較例に係るポンプ360と、本実施の形態に係るポンプ60とについて説明する。
図3に示すように、比較例に係るポンプ360はシリンジポンプである。
ポンプ360には、収納室361、洗浄室362、ロッド363、および駆動部364が設けられている。
【0028】
収納室361は、筒状を呈し、内部に流動体201を収納する空間361aが設けられている。収納室361の上面には、開口361bが設けられている。流動体201は、開口361bを介して空間361aに供給され、開口361bを介して空間361aから排出される。
【0029】
洗浄室362は、収納室361の下方に設けられている。洗浄室362の内部には洗浄液202を収納する空間362aが設けられている。洗浄室362の側面には、供給口362bと排出口362cが設けられている。洗浄液202は、供給口362bを介して空間362aに供給され、排出口362cを介して空間362aから排出される。
【0030】
ロッド363は、収納室361と洗浄室362が並ぶ方向に延びている。ロッド363の一方の端部側は、収納室361および洗浄室362内部に挿入されている。ロッド363と収納室361との間、および、ロッド363と洗浄室362との間には、O(オー)リングなどのシール部材が設けられている。
【0031】
駆動部364は、ロッド363の他方の端部側に設けられている。駆動部364は、ロッド363を、収納室361と洗浄室362が並ぶ方向に移動させる。ロッド363が収納室361に挿入されることで、空間361aの内部にある流動体201が開口361bを介して排出される。
【0032】
ロッド363の側面に付着した流動体201は、洗浄室362において洗浄液202により除去される。しかしながら、ロッド363の移動距離によっては、ロッド363の側面に付着した流動体201が洗浄室362の外部に露出して固化する場合がある。ロッド363の側面に付着した固化物は、ロッド363が収納室361の空間361aに挿入された際に剥がれて、流動体201に混入するおそれがある。
【0033】
また、ロッド363を往復動作させた際に、外気が洗浄室362の空間362aの内部に巻き込まれて、洗浄液202の中に気泡203が発生する場合がある。洗浄液202の中に気泡203があると、収納室361の内部にロッド363を挿入する際に、洗浄液202の中にある気泡203が収納室361の空間361aの内部に巻き込まれて、流動体201の中に気泡203が発生する場合がある。流動体201の中に気泡203があると、吐出応答性や定流量性などが悪くなるおそれがある。
【0034】
この場合、洗浄室362に気泡203をトラップする機構を設け、トラップされた気泡203を定期的に除去することもできる。しかしながらこの様にすると、ポンプ360の構造が複雑となり、ポンプ360の高価格化、大型化を招くことになる。また、トラップされた気泡203を除去する作業が必要となり、作業の煩雑化、ひいては生産効率の低下を招くおそれがある。
【0035】
これに対して、本実施の形態に係るポンプ60には、図2に示すように、収納室61、洗浄室62、ロッド63、駆動部64、および洗浄液供給部65を設けることができる。
収納室61は、流動体201を収納可能である。例えば、収納室61は、筒状を呈し、内部に流動体201を収納する空間61aを有することができる。収納室61の材料は、流動体201に対する耐性を有し、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。収納室61は、例えば、ステンレスやフッ素樹脂などを含むものとすることができる。
【0036】
収納室61の一方の端部側には、開口61bを設けることができる。なお、図2においては、収納室61の一方の端面に開口61bを設ける場合を例示したがこれに限定されるわけではない。開口61bは、例えば、収納室61の側面に設けることもできる。
【0037】
開口61bには、配管54bを介して切替弁51の第2ポート51bを接続することができる。
第1ポート51aおよび第2ポート51bを開き、第3ポート51cを閉じることで、タンク30に収納されている流動体201を収納室61の空間61aに供給することができる。この場合、ロッド63を洗浄室62側に移動させることで、タンク30に収納されている流動体201を吸引することができる。
【0038】
第2ポート51bおよび第3ポート51cを開き、第1ポート51aを閉じることで、収納室61の空間61aに収納されている流動体201を切替弁52側(ノズル20または排出部40)に供給することができる。この場合、ロッド63を収納室61の空間61aの内部に移動させることで、空間61aに収納されている流動体201を押し出すことができる。
【0039】
第1ポート51aおよび第3ポート51cを開き、第2ポート51bを閉じることで、タンク30に収納されている残余の流動体201を、切替弁52および開閉弁53を介して排出部40に排出することができる。
【0040】
洗浄室62は、収納室61の、流動体201を吐出する側とは反対側(例えば、開口61bが設けられる側とは反対側の端部)に設けることができる。洗浄室62は、洗浄液202を収納する空間の体積が変化可能な構成を有することができる。洗浄室62の、収納室61側とは反対側の端部は、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に移動可能とすることができる。
例えば、洗浄室62は、伸縮部62a、フランジ62b、およびフランジ62cを有することができる。
伸縮部62aは、筒状を呈し、内部に洗浄液202を収納する空間62a1を有することができる。伸縮部62aは、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に伸縮可能なものとすることができる。例えば、伸縮部62aは、伸縮が可能な側壁を有することができる。例えば、伸縮部62aは、蛇腹構造の側壁を有することができる。伸縮部62aの材料は、洗浄液202に対する耐性と、伸縮の繰り返しに対する耐性を有し、伸縮が容易なものであれば特に限定はない。伸縮部62aは、例えば、フッ素樹脂を含むものとすることができる。
【0041】
フランジ62bは板状を呈し、伸縮部62aの一方の端部に設けることができる。フランジ62bは、厚み方向を貫通する孔62b1を有することができる。孔62b1は、洗浄液202の流路となる。
フランジ62cは板状を呈し、伸縮部62aの他方の端部に設けることができる。フランジ62cは、厚み方向を貫通する孔62c1を有することができる。孔62c1は、洗浄液202の流路となる。
フランジ62bおよびフランジ62cの材料は、洗浄液202に対する耐性と、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。フランジ62bおよびフランジ62cは、例えば、ステンレスやフッ素樹脂を含むものとすることができる。この場合、伸縮部62a、フランジ62b、およびフランジ62cが同じ材料を含むものであれば、これらを一体に成形することができる。
【0042】
ロッド63は、柱状を呈するものとすることができる。ロッド63は、例えば、円柱状を呈するものとすることができる。ロッド63は、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に延びるものとすることができる。ロッド63は、フランジ62cの孔62c1、伸縮部62aの空間62a1、フランジ62bの孔62c1、および収納室61の空間61aに設けられている。すなわち、ロッド63の一方の端部は洗浄室62の内部に設けられ、他方の端部は収納室61の内部に設けられている。そのため、ロッド63の一方の端部側は洗浄液202に接触し、他方の端部側は流動体201に接触する。また、ロッド63は、洗浄室62の伸縮に伴い、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に移動可能となっている。
【0043】
この場合、ロッド63は、外気には晒されていない。そのため、ロッド63の側面に付着した流動体201は洗浄液202により除去され、除去されなかった流動体201があったとしても、それが固化することがない。そのため、固化した流動体201が、収納室61の空間61aにある流動体201に混入するのを抑制することができる。
【0044】
また、ロッド63が外気に晒されなければ、ロッド63の往復動作に伴い、外気が洗浄室62の内部に巻き込まれることがない。そのため、洗浄室62に収納されている洗浄液202の中、ひいては収納室61に収納されている流動体201の中に気泡が発生するのを抑制することができる。
【0045】
ロッド63の材料は、流動体201および洗浄液202に対する耐性と、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。ロッド63は、例えば、ステンレスを含むものとすることができる。
【0046】
駆動部64は、洗浄室62の、収納室61側とは反対側の端部を、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に移動可能となっている。駆動部64は、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に伸縮部62aを伸縮させると共に、ロッド63を移動させることができる。
駆動部64は、フレーム64a、ガイド64b、取付部64c、モータ64d、および伝導部64eを有することができる。
フレーム64aは、基部64a1と取付部64a2を有することができる。基部64a1は板状を呈し、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に平行に設けることができる。取付部64a2は、板状を呈し、基部64a1の一方の面に垂直に設けることができる。取付部64a2には、厚み方向を貫通する孔64a2aを設けることができる。ロッド63は、孔64a2aの内部を移動することができる。また、ロッド63と孔64a2aの内壁との間には、O(オー)リングなどのシール部材64a2bを設けることができる。取付部64a2の一方の面には収納室61を設けることができる。取付部64a2の他方の面には洗浄室62のフランジ62bを設けることができる。取付部64a2とフランジ62bとの間には、O(オー)リングなどのシール部材64a2cを設けることができる。
【0047】
ガイド64bは、基部64a1の、取付部64a2が設けられる側の面に設けることができる。ガイド64bは、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に取付板64cを移動させることができる。ガイド64bは、例えば、リニアモーションベアリングなどとすることができる。
【0048】
取付板64cは、ガイド64bに設けることができる。取付板64cは、板状を呈し、取付部64a2と平行に設けることができる。取付板64cの、取付部64a2と対峙する面には、洗浄室62のフランジ62cを設けることができる。取付板64cとフランジ62cとの間には、O(オー)リングなどのシール部材64c2を設けることができる。ロッド63は、取付板64cに固定することができる。
【0049】
モータ64dと伝導部64eは、協働して取付板64cの位置を移動させる。モータ64dは、エンコーダなどの検出器を有し、位置制御が可能なものとすることができる。モータ64dは、例えば、パルスモータやサーボモータなどとすることができる。なお、位置制御のための検出器は、モータ64dと分離させて設けることもできる。伝導部64eは、例えば、ボールネジなどのネジ機構、タイミングベルトとプーリ、ラック&ピニオンなどとすることができる。
【0050】
洗浄液供給部65は、タンク65a、逆止弁65b、逆止弁65c、および流量調整弁65dを有することができる。
タンク65aは、洗浄液202を収納することができる。タンク65aの材料は、洗浄液202に対する耐性を有し、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。タンク65aは、例えば、ステンレスやフッ素樹脂を含むものとすることができる。
【0051】
逆止弁65bは、タンク65aと洗浄室62との間に設けることができる。逆止弁65bは、タンク65aから洗浄室62への洗浄液202の供給を許容し、洗浄室62からタンク65aへの洗浄液202の供給を抑制することができる。
【0052】
逆止弁65cは、タンク65aと洗浄室62との間に設けることができる。逆止弁65cは、洗浄室62からタンク65aへの洗浄液202の供給を許容し、タンク65aから洗浄室62への洗浄液202の供給を抑制することができる。
【0053】
流量調整弁65dは、タンク65aと洗浄室62との間に設けることができる。流量調整弁65dは、洗浄液202の流量を調整することができる。流量調整弁65dは、例えば、ニードル弁などとすることができる。流量調整弁65dは、必要に応じて設けることができる。
【0054】
次に、ポンプ60の作用について説明する。
ポンプ60から流動体201を吐出させる際には、駆動部64により、取付部64cを取付部64a2に近づける方向に移動させる。すると、取付部64cに固定されているロッド63が、収納室61の空間61aに挿入され、ロッド63の移動量に応じた流動体201が開口61bから吐出する。開口61bから吐出した流動体201は、切替弁51の第2ポート51bと第3ポート51cを介して、切替弁52側(ノズル20または排出部40)に供給される。流動体201の吐出量は、ロッド63の移動量、すなわち、ロッド63の位置を制御することで制御することができる。
【0055】
また、取付部64cを取付部64a2に近づける方向に移動させることで、洗浄室62(伸縮部62a)が収縮する。すなわち、洗浄室62(伸縮部62a)の体積が減少する。すると、収縮量に応じた洗浄液202が洗浄室62から流出し、逆止弁65cを介してタンク65aの内部に流入する。
【0056】
ポンプ60に流動体201を供給する際には、駆動部64により、取付部64cを取付部64a2から離れる方向に移動させる。すると、取付部64cに固定されているロッド63が、収納室61の空間61aから引き抜かれ、ロッド63の移動量に応じた流動体201が、開口61b、および切替弁51の第1ポート51aと第2ポート51bを介して、タンク30の内部から吸引される。流動体201の供給量は、ロッド63の移動量、すなわち、ロッド63の位置を制御することで制御することができる。
【0057】
また、取付部64cを取付部64a2から離れる方向に移動させることで、洗浄室62(伸縮部62a)が膨張する。すなわち、洗浄室62(伸縮部62a)の体積が増加する。すると、膨張量に応じた洗浄液202が逆止弁65b介してタンク65aの内部から吸引される。
【0058】
本実施の形態に係るポンプ60においては、ロッド63は、外気には晒されない。そのため、ロッド63の側面に流動体201が付着したとしても、それが固化することがない。その結果、固化した流動体201が、収納室61の空間61aにある流動体201に混入するのを抑制することができる。また、ロッド63が外気に晒されなければ、ロッド63の往復動作に伴い、外気が洗浄室62の内部に巻き込まれることがない。そのため、洗浄室62に収納されている洗浄液202の中、ひいては収納室61に収納されている流動体201の中に気泡が発生するのを抑制することができる。
【0059】
図4は、他の実施形態に係るポンプ160を例示するための模式断面図である。
図4に示すように、ポンプ160には、収納室61、洗浄室62、ロッド63、駆動部164、および洗浄液供給部165を設けることができる。
【0060】
駆動部164は、収納室61と洗浄室62が並ぶ方向に伸縮部62aを伸縮させると共に、ロッド63を移動させることができる。
駆動部164は、フレーム64a、ガイド64b、取付部64c、弾性体164a、および検出部164bを有することができる。
【0061】
弾性体164aは、弾性力により、取付部64cを取付部64a2に近づける方向に移動させる。弾性体164aは、例えば、取付部64cと取付部64a2との間に設けられた引張バネとすることができる。
検出部164bは、取付部64cの位置、ひいてはロッド63の移動量を検出することができる。検出部164bは、例えば、リニアスケールなどの位置センサとすることができる。
【0062】
洗浄液供給部165は、タンク65a、逆止弁65b、逆止弁65c、流量調整弁65d、および圧力制御部165aを有することができる。
圧力制御部165aは、洗浄室62の空間の圧力を制御可能な構成を有することができる。圧力制御部165aは、洗浄室62の空間の圧力を制御することで、洗浄室62の空間の体積を変化させることができる。例えば、圧力制御部165aは、タンク65aに収納されている洗浄液202の圧力を制御することができる。圧力制御部165aは、例えば、タンク65aの内部に設けられたピストンの位置を変化させることでタンク65aの体積、ひいては洗浄液202の圧力を制御するものとすることができる。また、圧力制御部165aは、例えば、タンク65aに収納された洗浄液202の量を制御することで、洗浄液202の圧力を制御するポンプなどとすることもできる。
【0063】
次に、ポンプ160の作用について説明する。
ポンプ160から流動体201を吐出させる際には、圧力制御部165aにより、洗浄液202の圧力を低下させる。すると、弾性体164aにより、取付部64cが取付部64a2に近づく方向に移動する。そのため、取付部64cに固定されているロッド63が、収納室61の空間61aに挿入され、ロッド63の移動量に応じた流動体201が開口61bから吐出する。開口61bから吐出した流動体201は、切替弁51の第2ポート51bと第3ポート51cを介して、切替弁52側(ノズル20または排出部40)に供給される。流動体201の吐出量は、ロッド63の移動量、すなわち、検出部164bからの出力に基づいて、圧力制御部165aによる洗浄液202の圧力制御を調整することで行うことができる。
【0064】
ポンプ60に流動体201を供給する際には、圧力制御部165aにより、洗浄液202の圧力を増加させる。すると、弾性体164aが延び、取付部64cが取付部64a2から離れる方向に移動する。すると、取付部64cに固定されているロッド63が、収納室61の空間61aから引き抜かれ、ロッド63の移動量に応じた流動体201が、開口61b、および切替弁51の第1ポート51aと第2ポート51bを介して、タンク30の内部から吸引される。流動体201の供給量は、ロッド63の移動量、すなわち、検出部164bからの出力に基づいて、圧力制御部165aによる洗浄液202の圧力制御を調整することで行うことができる。
【0065】
本実施の形態に係るポンプ160においても、ロッド63は、外気には晒されない。そのため、前述したポンプ60と同様の効果を享受することができる。
【0066】
図5は、他の実施形態に係るポンプ260を例示するための模式断面図である。
図5に示すように、ポンプ260には、収納室261、洗浄室262、駆動部264、および洗浄液供給部65を設けることができる。
【0067】
収納室261は、上方の端部が開口し、下方の端部が閉鎖された筒状を呈するものとすることができる。収納室261は、上端に開口を有し、内部に流動体201を収納可能な構成を有することができる。収納室261の上端は、洗浄室262の底面に設けられたスリット262dを介して、洗浄室262の空間262aに挿入可能とすることができる。スリット262dの内壁と収納室261の外側面との間には、O(オー)リングなどのシール部材262eを設けることができる。収納室261は、内部に流動体201を収納する空間261aを有することができる。収納室261の材料は、流動体201に対する耐性を有し、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。収納室261は、例えば、ステンレスやフッ素樹脂などを含むものとすることができる。
【0068】
洗浄室262は、収納室261の上方に設けることができる。洗浄室262は、箱状を呈し、内部に洗浄液202を収納する空間262aを設けることができる。収納室262の材料は、洗浄液202に対する耐性を有し、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。洗浄室262は、例えば、ステンレスやフッ素樹脂などを含むものとすることができる。
【0069】
また、洗浄室262には、パイプ262bを設けることができる。パイプ262bの一方の端部は、洗浄室262の底面に設けることができる。パイプ262bの他方の端部は洗浄室262の外部に突出させることができる。パイプ262bの他方の端部には配管54bを介して切替弁51の第2ポート51bを接続することができる。パイプ262bの他方の端部と洗浄室262の壁面との間には、O(オー)リングなどのシール部材262fを設けることができる。洗浄室262の底面の、パイプ262bが設けられる部分には、孔262cを設けることができる。パイプ262bの孔は、孔262cを介して収納室261の内部の空間261aと接続することができる。パイプ262bの孔は、流動体201が流れる流路とすることができる。すなわち、パイプ262bの一方の端部は洗浄室262の底面に設けられた孔262cを介して収納室261の内部と接続され、他方の端部は洗浄室262の外部に露出することができる。
【0070】
駆動部264は、収納室261の上下方向の位置を変化させることができる。駆動部264は、モータ64d、および伝導部64eを有することができる。
【0071】
次に、ポンプ260の作用について説明する。
ポンプ260から流動体201を吐出させる際には、駆動部264により、収納室261を上昇させる。すると、収納室261の上端が、洗浄室262の底面に設けられたスリット262dを介して、洗浄室262の空間262aに挿入される。この際、洗浄室262の挿入量に応じた流動体201がパイプ262bから吐出する。パイプ262bから吐出した流動体201は、切替弁51の第2ポート51bと第3ポート51cを介して、切替弁52側(ノズル20または排出部40)に供給される。流動体201の吐出量は、収納室261の位置を制御することで制御することができる。
【0072】
ポンプ260に流動体201を供給する際には、駆動部264により、収納室261を下降させる。すると、収納室261が、洗浄室262の空間262aから引き抜かれ、収納室261の移動量に応じた流動体201が、パイプ262b、および切替弁51の第1ポート51aと第2ポート51bを介して、タンク30の内部から吸引される。流動体201の供給量は、収納室261の移動量、すなわち、収納室261の位置を制御することで制御することができる。
【0073】
本実施の形態に係るポンプ260においては、流動体201が接触する面(収納室261の内壁、洗浄室262のスリット262dの内側の面、およびパイプ262bの内壁)は、外気には晒されない。そのため、流動体201が固化するのを抑制することができ、ひいては、固化した流動体201が、収納室261の空間261aにある流動体201に混入するのを抑制することができる。また、収納室261の往復動作に伴い、外気が洗浄室262の内部に巻き込まれて気泡203が発生したとしても、気泡203は洗浄室262の天井側に集まる。そのため、気泡203が、洗浄室262の下方に設けられた収納室261の内部に移動するのを抑制することができる。
【0074】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 載置部、20 ノズル、30 タンク、40 排出部、50 配管部、60 ポンプ、61 収納室、62 洗浄室、62a 伸縮部、62b フランジ、62c フランジ、63 ロッド、64 駆動部、65 洗浄液供給部、70コントローラ、100 塗布装置、160 ポンプ、164 駆動部、164a 弾性体、164b 検出部、165 洗浄液供給部、165a 圧力制御部、200 対象物、201 流動体、202 洗浄液、203 気泡、260 ポンプ、261 収納室、262 洗浄室、262b パイプ、264 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5