(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/355 20060101AFI20221128BHJP
B41J 2/365 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B41J2/355 B
B41J2/365
(21)【出願番号】P 2019061884
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッタラート ナッタウット
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-098827(JP,A)
【文献】特開昭62-218150(JP,A)
【文献】特開平07-137327(JP,A)
【文献】特開2001-096790(JP,A)
【文献】特開平03-239564(JP,A)
【文献】特開2014-010506(JP,A)
【文献】特開2018-052105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/355
B41J 2/365
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、
前記複数の発熱素子への通電を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理の途中で、前記複数の発熱素子に印加される通電パルスのデューティ比を低下させる変調処理を行
い、
前記1サイクルの通電処理における累計通電時間が所定のタイミングで所定の通電時間になるように、前記変調処理後の前記通電パルスのデューティ比を決定する、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記サーマルヘッドの温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記サーマルヘッドの温度が所定の第1温度以上になると、前記変調処理を行う、
プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記サーマルヘッドの温度が前記所定の第1温度よりも高い所定の第2温度以上になると、印字を中止する、
プリンタ。
【請求項4】
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドを備えるプリンタの制御方法であって、
1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理の途中で、前記複数の発熱素子に印加される通電パルスのデューティ比を
、前記1サイクルの通電処理における累計通電時間が所定のタイミングで所定の通電時間になるように低下させる、
プリンタの制御方法。
【請求項5】
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドを備えるプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理の途中で、前記複数の発熱素子に印加される通電パルスのデューティ比を
、前記1サイクルの通電処理における累計通電時間が所定のタイミングで所定の通電時間になるように低下させる手順を前記コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プリンタの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラテンローラを回転させてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持された被印刷媒体を搬送しながら印刷を行う印刷装置が開示されている。
【0003】
上記の印刷装置では、サーマルヘッドにライン状に配列された複数の発熱素子に選択的に通電することでインクリボンを加熱して、熱転写により被印刷媒体に1ラインずつ印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の印刷装置のようなプリンタにおいては、1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理が行われる間にも、印字媒体が搬送される。つまり、1サイクルの通電処理中に、サーマルヘッドに対する印字媒体の位置が変化し続ける。
【0006】
よって、1サイクルの通電処理の間に発熱素子の温度が大きく変化した場合、1サイクルの通電処理において1つの発熱素子によって印字される1ドットの印字範囲内でも印字濃度にばらつきが生じ得る。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、1ドットの印字範囲内の印字濃度のばらつきを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、前記複数の発熱素子への通電を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理の途中で、前記複数の発熱素子に印加される通電パルスのデューティ比を低下させる変調処理を行い、前記1サイクルの通電処理における累計通電時間が所定のタイミングで所定の通電時間になるように、前記変調処理後の前記通電パルスのデューティ比を決定する、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、1サイクルの通電処理の途中で通電パルスのデューティ比を低下させるので、その後の発熱素子の温度を安定させることができる。よって、1ドットの印字範囲内の印字濃度のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【
図2】サーマルヘッド及び印字媒体を印字面側から見た図である。
【
図3】1サイクルの通電処理を示すフローチャートである。
【
図4】通電処理が行われる様子を模式的に示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。
【0013】
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のプリンタである。
【0014】
プリンタ100は、印字指示データに基づいて、価格、バーコード、その他の商品情報、物品あるいはサービスに関する管理情報等の可変情報を印字媒体Mに印字する。
【0015】
印字媒体Mとしては、例えば、タグ、ラベル、リストバンド等がある。
図1では、印字媒体Mは長尺台紙に連なって仮着されたラベルであって、印字媒体Mの連続体MLとしてプリンタ100にセットされている。
【0016】
プリンタ100は、
図1に示すように、印字機構10と、リボン供給軸20と、リボン巻取軸30と、媒体供給軸40と、位置検出センサ60と、制御部としてのコントローラ(コンピュータ)70と、を備える。
【0017】
印字機構10は、ヘッドユニット11と、プラテンローラ12と、ステッピングモータ16と、を備え、印字媒体Mへの印字と連続体ML及びインクリボンRの搬送を行う機構である。
【0018】
ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13の複数の発熱素子H(
図2参照)を下面から露出させた状態でサーマルヘッド13を保持する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド13の直下に配置され、印字媒体Mに印字を行う印字部15をサーマルヘッド13とともに構成する。サーマルヘッド13については後で詳しく説明する。
【0019】
ヘッドユニット11は、支持軸14により
図1の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13がプラテンローラ12から離間するヘッドオープン位置と、サーマルヘッド13がプラテンローラ12に当接するヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。
図1では、ヘッドユニット11はヘッドクローズ位置である。
【0020】
ステッピングモータ16は、ベルト、ギヤ等を介してプラテンローラ12を駆動する。
【0021】
リボン供給軸20は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸20から印字部15に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持される。
【0022】
媒体供給軸40は、印字部15に供給される連続体MLをロール状に保持する。媒体供給軸40から印字部15に供給された連続体MLは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間にインクリボンRとともに挟持される。
【0023】
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持された状態でサーマルヘッド13の複数の発熱素子Hへの通電が行われると、複数の発熱素子Hの熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。また、ステッピングモータ16によってプラテンローラ12が正回転(
図1では反時計回り)すると、連続体ML及びインクリボンRが下流側(白抜き矢印で示す搬送方向)へと搬送される。
【0024】
使用済のインクリボンRは、ステッピングモータ16とのギヤの連結によってリボン巻取軸30が回転すると、その外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置になっている場合は、リボン巻取軸30を回転させることで、インクリボンRのみをフィードすることができる。
【0025】
位置検出センサ60は、反射型光電センサであって、連続体MLに所定ピッチで予め印刷されている位置検出用のアイマーク(図示せず)を検出することで、連続して印字発行するときに、印字部15に対する印字媒体Mの相対的位置を検出する。
【0026】
コントローラ70は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ70は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。コントローラ70には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字指示データ、位置検出センサ60の検出信号、サーマルヘッド13に設けられた温度センサ13a(
図2参照)の検出信号等が入力される。
【0027】
コントローラ70は、記憶装置に格納されている各種制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド13の複数の発熱素子Hへの通電、ステッピングモータ16への通電等を制御する。なお、コントローラ70が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0028】
図2は、サーマルヘッド13及び印字媒体Mを印字面側から見た図であり、印字媒体Mにバーコード、送り先、商品名等を含む印字情報50を印字している状態を示している。
【0029】
図2に示すように、サーマルヘッド13は、複数の発熱素子Hと、温度センサ13aと、を有する。
【0030】
複数の発熱素子Hは、サーマルヘッド13の下面において、印字媒体Mの幅方向に沿ってライン状に配列される。
【0031】
温度センサ13aは、複数の発熱素子Hの近傍に設けられる。
【0032】
プリンタ100では、ステッピングモータ16によりプラテンローラ12が正回転して印字媒体Mが搬送方向へと搬送されるとともに、印字指示データに基づいて、複数の発熱素子Hに選択的に通電パルスが印加されて1ラインずつ印字が行われる。1ラインの印字を行うと、1つの発熱素子Hにおいては、1ドットの印字がなされることになる。
【0033】
ところで、プリンタ100では、1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理が行われる間にも、連続体MLが搬送される。つまり、1サイクルの通電処理中に、サーマルヘッド13に対する印字媒体Mの位置が変化し続ける。
【0034】
よって、1サイクルの通電処理中にある発熱素子Hの温度が大きく変化した場合は、1サイクルの通電処理において当該発熱素子Hによって印字される1ドットの印字範囲内でも、印字濃度にばらつきが生じ得る。
【0035】
これに対して、本実施形態のコントローラ70は、1ドットの印字範囲内の印字濃度のばらつきを抑制できるように、
図3に示すフローチャートに従って1サイクルの通電処理を実行する。
【0036】
以下、
図3のフローチャートを参照しながら、コントローラ70が実行する1サイクルの通電処理について説明する。
【0037】
コントローラ70は、通電サイクルが開始されると、複数の発熱素子Hのうち1ライン分の印字指示データに基づいて選択された発熱素子Hに対して、第1デューティ比で通電パルスを印加する(ステップS11)。1ライン分の印字指示データは、印字情報全体の印字指示データに基づいて生成される。
【0038】
通電パルスの周期は、実験等により予め定められる。なお、通電パルスの周期は、任意に設定変更できるようにしてもよい。
【0039】
第1デューティ比は、インクリボンRのインクを印字媒体Mに転写可能な温度まで発熱素子Hを速やかに発熱させることができるデューティ比とされる。例えば、ディーティ比は1であってもよい。
【0040】
ステップS12では、コントローラ70は、温度センサ13aの検出信号に基づいて、サーマルヘッド13の温度が所定の第1温度以上になったか判定する。
【0041】
所定の第1温度は、インクリボンRのインクを印字媒体Mに転写した際の濃度、すなわち印字濃度が、予め設定された濃度になる温度である。なお、プリンタ100では、印字濃度をユーザが所望する濃度に段階的に設定できるようになっている。
【0042】
所定の第1温度は、例えば、印字濃度とサーマルヘッド13の温度とのマップに基づいて、ユーザが設定した印字濃度に応じて自動的に定まるようになっている。
【0043】
コントローラ70は、サーマルヘッド13が所定の第1温度以上になったと判定すると、処理をステップS13に移行する。また、コントローラ70は、サーマルヘッド13が所定の第1温度未満と判定すると、ステップS11に戻って第1デューティ比による通電パルス印加を継続する。
【0044】
ステップS13では、コントローラ70は、通電パルスの第2ディーティ比を決定する。第2ディーティ比は、第1デューティ比より小さい値とされる。ステップS14では、コントローラ70は、複数の発熱素子Hのうち1ライン分の印字指示データに基づいて選択された発熱素子Hに対して、第2デューティ比で通電パルスを印加する。
【0045】
つまり、ステップS13~ステップS14の処理は、第1デューティ比から第2デューティ比に通電パルスを変調させる変調処理である。
【0046】
具体的には、第2デューティ比は、1サイクルの通電処理における累計通電時間が所定の通電終了タイミングで所定の通電時間になるように決定される。
【0047】
1サイクルの通電処理における所定の通電時間は、インクリボンR、印字媒体M、及びサーマルヘッド13がそれぞれ許容できるエネルギー量を考慮して、1サイクルの通電処理の時間に応じて予め設定されている。
【0048】
1サイクルの通電処理の時間が2000μsであれば、所定の通電時間は、例えば1000μsである。なお、1サイクルの通電処理の時間が長いほどプリンタ100の印字速度は遅くなり、1サイクルの通電処理の時間が短いほどプリンタ100の印字速度は速くなる。
【0049】
所定の通電終了タイミングは、次の通電サイクルが開始される前の冷却期間を考慮して定められる。例えば、1サイクルの通電処理が終了する200μs前のタイミングとされる。よって、1サイクルの通電処理の時間を短くした場合、すなわち、印字速度を速くした場合は、所定の通電時間も必要に応じて短くなる。
【0050】
例えば、1サイクルの通電処理の時間が2000μsであれば、所定の通電終了タイミングは通電サイクルの開始から1800μs後となる。また、1サイクルの通電処理の時間が1000μsであれば、所定の通電終了タイミングは通電サイクルの開始から800μs後となる。
【0051】
ここで、1サイクルの通電処理の時間が2000μsの場合の所定の通電時間が1000μsであったとしても、1サイクルの通電処理の時間を1000μsにした場合は、所定の通電時間を1000μsとすることはできない。よって、この場合の所定の通電時間は、例えば600μsとされる。
【0052】
仮に、第2デューティ比を第1デューティ比と同じ値にしたとしても所定の通電終了タイミングまでに所定の通電時間に達しない場合は、所定の通電終了タイミングが所定の通電時間よりも優先される。よって、この場合は例外的に、第2デューティ比は第1デューティ比と同じ値に設定される(ステップS13)。このような状態は、印字速度を速くしていくと発生し得る。
【0053】
ステップS15では、コントローラ70は、温度センサ13aの検出信号に基づいて、サーマルヘッド13の温度が所定の第2温度以上になったか判定する。
【0054】
所定の第2温度は、所定の第1温度よりも高い温度とされる。所定の第2温度としては、例えば、インクリボンRの許容温度に基づいて設定することができる。また、サーマルヘッド13自体の許容温度に基づいて設定してもよい。
【0055】
コントローラ70は、サーマルヘッド13が所定の第2温度以上になったと判定すると、処理をステップS18に移行する。また、コントローラ70は、サーマルヘッド13が所定の第2温度未満と判定すると、処理をステップS16に移行する。
【0056】
ステップS18では、コントローラ70は、印字を中止する。これにより、所定の第2温度をインクリボンRの許容温度に基づいて設定した場合は、インクリボンRの溶解や皺の発生を防止できる。また、所定の第2温度をサーマルヘッド13自体の許容温度に基づいて設定した場合は、サーマルヘッド13の劣化を抑制できる。
【0057】
ステップS16では、コントローラ70は、所定の通電終了タイミングになったか判定する。
【0058】
コントローラ70は、所定の通電終了タイミングになったと判定すると、処理をステップS17に移行する。また、コントローラ70は、所定の通電終了タイミングになっていないと判定すると、ステップS14に戻って第2デューティ比による通電パルス印加を継続する。
【0059】
ステップS17では、コントローラ70は、通電パルスの印加を終了して1サイクルの通電処理の時間が経過するまで待機する。待機期間は、上述した冷却期間である。
【0060】
以上の処理が終了すると、コントローラ70は、次の通電サイクルを開始する。
【0061】
続いて、
図4を参照しながら、1サイクルの通電処理が行われる様子について説明する。
【0062】
時刻t1で通電サイクルが開始されると、複数の発熱素子Hに第1デューティ比で通電パルスが印加される。
図4では、第1デューティ比は1である。
【0063】
時刻t2でサーマルヘッド13の温度が所定の第1温度になり、デューティ比の変調処理が行われる。これにより、通電パルスが第2デューティ比に低下する。
図4では、第2デューティ比は0.5である。
【0064】
通電パルスが第1デューティ比から第2デューティ比に低下したことで、サーマルヘッド13の温度が所定の第1温度付近で安定して維持される。つまり、通電パルスが印加されている複数の発熱素子Hの温度が安定した状態となる。
【0065】
時刻t3で通電終了タイミングとなり、第2デューティ比による複数の発熱素子Hへの通電パルスの印加が終了する。
【0066】
第2デューティ比による通電パルスの印加が終了すると、サーマルヘッド13の冷却期間を経て、時刻t4で1サイクルの通電処理が終了する。そして、次の通電サイクルが開始される。
【0067】
以上述べたように、本実施形態のプリンタ100は、ライン状に配列された複数の発熱素子Hを有するサーマルヘッド13と、複数の発熱素子Hへの通電を制御するコントローラ70と、を備え、コントローラ70は、1ラインの印字を行う1サイクルの通電処理の途中で、複数の発熱素子Hに印加される通電パルスのデューティ比を低下させる変調処理を行う。
【0068】
これによれば、1サイクルの通電処理の途中で通電パルスのデューティ比を低下させるので、その後の複数の発熱素子Hの温度を安定させることができる。よって、1ドットの印字範囲内の印字濃度のばらつきを抑制できる。また、複数の発熱素子Hの温度が過度に上昇することがないので、インクリボンRの溶解や皺の発生も防止できる。
【0069】
また、プリンタ100は、サーマルヘッド13の温度を検出する温度センサ13aを備え、コントローラ70は、サーマルヘッド13の温度が所定の第1温度以上になると、変調処理を行う。
【0070】
これによれば、サーマルヘッド13の温度に基づいて変調処理を行うので、複数の発熱素子Hの温度の制御性が向上する。よって、所望する印字濃度を容易に実現できる。
【0071】
また、コントローラ70は、サーマルヘッド13の温度が所定の第1温度よりも高い所定の第2温度以上になると、印字を中止する。
【0072】
これによれば、所定の第2温度をインクリボンRの許容温度に基づいて設定した場合は、インクリボンRの溶解や皺の発生を防止できる。また、所定の第2温度をサーマルヘッド13自体の許容温度に基づいて設定した場合は、サーマルヘッド13の劣化を抑制できる。
【0073】
また、コントローラ70は、1サイクルの通電処理における累計通電時間が所定の通電終了タイミングで所定の通電時間になるように、変調処理後の通電パルスである第2デューティ比を決定する。
【0074】
これによれば、複数の発熱素子Hの発熱を、インクリボンR、印字媒体M、及びサーマルヘッド13が許容できるエネルギー量に収めることができる。また、次の通電サイクルに備えるための適切なタイミングで複数の発熱素子Hへの通電パルスの印加を終了させることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0076】
例えば、上記実施形態では、プリンタ100を、インクリボンRを熱してインクリボンR上のインクを印字媒体Mに転写して印字する熱転写方式の装置として説明している。しかしながら、プリンタ100は、感熱媒体を熱して印字する感熱発色方式の装置であってもよい。この場合は、インクリボンRに関する効果を除き、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
100 プリンタ
10 印字機構
11 ヘッドユニット
12 プラテンローラ
13 サーマルヘッド
13a 温度センサ
14 支持軸
15 印字部
16 ステッピングモータ
20 リボン供給軸
30 リボン巻取軸
40 媒体供給軸
50 印字情報
60 位置検出センサ
70 コントローラ(制御部、コンピュータ)
H 発熱素子
M 印字媒体
ML 連続体
R インクリボン