(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】樹脂サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20221128BHJP
E06B 3/22 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/22
(21)【出願番号】P 2019061955
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晃尚
(72)【発明者】
【氏名】丸池 勇
(72)【発明者】
【氏名】米道 貴広
(72)【発明者】
【氏名】荒井 直樹
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-21446(JP,A)
【文献】特開2018-13004(JP,A)
【文献】特開2018-188806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/52
E06B 5/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料からなる框材と、框材のガラス間口に配置される間口補強部材と、框材のレールを案内する開口部に配置される開口部補強部材とを備え、
開口部補強部材は、内側にスチール製の補強部材が配置されるとともに、レールの室内外両側面に対向する部位に熱膨張耐火材を有しており、
間口補強部材と開口部補強部材は、框材を挟んで連結部材によって連結されており、
間口補強部材と開口部補強部材との間
に熱膨張耐火材を備えている樹脂サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建築物等の開口部に配置される樹脂サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の開口部に配置されるサッシとして、高い断熱性を有する樹脂枠及び樹脂框を備える樹脂サッシが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す樹脂サッシは、樹脂材料の特徴を生かして高い断熱性を有することができ、また、ある程度の防火性能を備えている。
しかし、近年、樹脂材料からなる部位を備える断熱サッシにおいて、さらに高い防火性能が求められるようになっている。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みたものであり、断熱性能とともに高い防火性能を備えるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、樹脂材料からなる框材と、框材のガラス間口に配置される間口補強部材と、框材のレールを案内する開口部に配置される開口部補強部材とを備え、開口部補強部材は、内側にスチール製の補強部材が配置されるとともに、レールの室内外両側面に対向する部位に熱膨張耐火材を有しており、間口補強部材と開口部補強部材は、框材を挟んで連結部材によって連結されており、間口補強部材と開口部補強部材との間に熱膨張耐火材を備えている樹脂サッシである。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、樹脂材料からなる部材を有するサッシに対して、断熱性能を維持しながら、高い防火性能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施形態に係るサッシの取付状態における竪断面図である。
【
図3】一実施形態に係るサッシの取付状態における横断面図である。
【
図6】一実施形態に係るサッシの外障子の上框の拡大図であり、(a)は、通常時の図であり、(b)は、火災時の図である。
【
図7】他の実施形態に係るサッシの外障子の上框の拡大図であり、(a)は、通常時の図であり、(b)は、火災時の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るサッシについて、図面を参考にして説明する。
本実施形態のサッシは、
図1に示すように、建物開口部に配置されている窓装置Bの室内側に配置される内窓Aとして構成されており、枠体10と、枠体10に対して摺動自在に配置される内障子20及び外障子30を備えている。
【0010】
枠体10は、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14を有しており、各枠材は枠組されることなく、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14がそれぞれ建物開口部の内周面にビス等の固定手段によって固定されることで建物開口部の四周に亘る枠体10が形成されている。
【0011】
内障子20は、上框21、下框22、左竪框(召合框)23及び右竪框(戸先框)24を四周に組んで、その内周にパネル体25を取り付けて形成されており、外障子30は、上框31、下框32、左竪框(戸先框)33及び右竪框(召合框)34を四周に組んで、その内周にパネル体35を取り付けて形成されている。
【0012】
そして、本実施形態の内窓Aは、
図2,3に示すように、予め建物開口部に配置されている建具Bの室内側に配置されること、例えば額部Cの内周に固定されることによって、二重サッシを構成し、建物開口部における断熱性能を高めることができる。なお、建物開口部に配置されている建具Bは、どのような建具であっても良く、ここではその説明を省略する。
【0013】
(枠体の構成)
枠体10の上枠11は、
図4に示すように、樹脂材料からなる略平板状の上枠本体111と、アルミ合金等の金属材料からなる上レール部材112を有している。そして、上レール部材112が上枠本体111の内周面(下面)に配置された状態で、上枠本体111と上レール部材112はビス等の固定手段bにより、建物開口部の額部Cの内周面(下面)に固定されている。
【0014】
上枠本体111は、額部Cに固定される上枠固定部111aと、上枠固定部111aの室内側端から垂下する室内側壁部111bを有している。
【0015】
上レール部材112は、上枠本体111と共に額部Cに固定される上レール固定部112aと、上レール固定部112aの室内側より下方に垂設される上内レール112bと、上レール固定部112aの室外側より下方に垂設される上外レール112cを有している。
【0016】
上枠11の上内レール112bと上外レール112cとの間であって、内障子20及び外障子30の召合框23,34の上方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材71が配置されている。
また、上枠11の上内レール112bと上外レール112cとの間であって、見付け方向両端近傍の上方位置には火災時に内、外障子20,30の熱伸びを抑える上り止め金具81が配置されている。
【0017】
枠体10の下枠12は、
図4に示すように、樹脂材料からなる略平板状の下枠本体121と、アルミ合金等の金属材料からなる下レール部材122を有している。そして、下レール部材122が下枠本体121の内周面(上面)に配置された状態で、下枠本体121と下レール部材122はビス等の固定手段bにより、建物開口部の額部Cの内周面(上面)に固定されている。
【0018】
下枠本体121は、建物開口部に固定される下枠固定部121aと、下枠固定部121aの室内側端から上方に立設する室内側壁部121bを有している。
【0019】
下レール部材122は、下枠本体121と共に額部Cに固定される下レール固定部122aと、下レール固定部122aの室内側より上方に立設する下内レール122bと、下レール固定部122aの室外側より上方に立設する下外レール122cを有している。
下枠12の下内レール122bと下外レール122cとの間であって、内障子20及び外障子30の召合框23,34の下方位置にはヒレ状の風止め部を有する風止め部材72が配置されている。
【0020】
枠体10の左、右竪枠13,14は、
図5に示すように、略平板状に形成されており、ビス等の固定手段b,bにより、建物開口部の額部Cの内周面に固定されている。
【0021】
左、右竪枠13,14は、建物開口部に固定される左、右竪枠固定部131a,141aと、左、右竪枠固定部131a,141aの見込み方向略中央位置から内周方向に突設される中央壁部131b,141bと、左、右竪枠固定部131a,141aの室内側端から内周方向に突設される室内側壁部131c,141cと、左、右竪枠固定部131a,141aの室外側端から内周方向に突設される室外側壁部131d,141dとを有している。
【0022】
中央壁部131b,141bは、内周端に、室内外両側に延びるヒレ状の気密片sを有している。ヒレ状の気密片は、内障子20もしくは外障子30の閉鎖時において、内、外障子20,30の戸先框24,33に当接して、内、外障子20,30の閉鎖時における内障子20と右竪枠14との気密、外障子30と左竪枠13との気密を行っている。
【0023】
左竪枠13は、左竪枠固定部131aの内周側であって中央壁部131bの室外側に金属材料からなる補強部材132を有しており、右竪枠14は、右竪枠本体部141aの内周面であって中央壁部141bの室内側に金属材料からなる補強部材142を有している。
【0024】
左竪枠13の補強部材132は、アルミ合金やスチール等の金属材料からなり、中央壁部131bの室外側面に沿う見付壁と左竪枠固定部131aの内周面に沿う見込壁を有する断面略L字状の長尺部材であり、左竪枠13の全長に亘って配置されている。
右竪枠14の補強部材142は、アルミ合金やスチール等の金属材料からなり、中央壁部141bの室内側面に沿う見付壁と右竪枠本体部141aの内周面に沿う見込壁を有する断面略L字状の長尺部材であり、右竪枠14の全長に亘って配置されている。
【0025】
そして、左竪枠13の補強部材132の見付壁の室外側面に、外障子30の戸先框33の戸先端部の室内側面に対向するように熱膨張耐火材fが配置されており、右竪枠14の補強部材142の見付壁の室内側面に、内障子20の戸先框24の戸先端部の室外側面に対向するように熱膨張耐火材fが配置されている。
【0026】
左、右竪枠13,14に配置された補強部材132,142は、それぞれ左、右竪枠13,14を固定する固定手段b,bによって、左、右竪枠固定部131a,141aとともに建物開口部に固定されている。
【0027】
本実施形態のサッシの枠体10を建物開口部に固定するに際しては、例えば、左竪枠13→下枠12→右竪枠14→上枠11の順番で建物開口部の四周に配置、固定することで、枠体10を建物開口部の四周に対して配置することができる。
このとき、建物開口部の四隅において、横枠(上枠11,下枠12)の少なくとも上内レール112b、上外レール112c及び下内レール122b、下外レール122cの一部、もしくは、竪枠(左竪枠13,右竪枠14)の中央壁部131b,141bの一部を切欠くこと等によって、上枠11,下枠12及び左、右竪枠13,14同士が取付けに際して干渉することを防止することができる。
【0028】
(内障子の構成)
内障子20の上框21は、
図4に示すように、樹脂材料からなる上框本体211と、アルミ合金等の金属材料からなる補強芯材212を有している。
【0029】
上框本体211は、パネル体25を保持するためのガラス間口211aと、ガラス間口211aの外周側に形成され上内レール112bに案内される開口部211bを有し、開口部211bを構成する室内、外側壁の上端には上内レール112bに当接もしくは近接する気密片が設けられている。
【0030】
内障子20の上框21は、ガラス間口211a内にスチール等の金属材料からなる間口補強部材213が配置されており、パネル体25が、間口補強部材213及び難燃性のグレイジングチャンネル219を介してガラス間口211aに保持されている。
内障子20の上框21は、開口部211b内に補強芯材212が配置されており、補強芯材212は、開口部211bを補強する開口部補強部材として機能している。
【0031】
補強芯材212の内側には、ステンレス等の金属材料からなる補強部材214が配置されており、補強部材214は、開口部を補強する開口部補強部材として機能している。
開口部211bに配置された補強芯材212及び補強部材214と、ガラス間口211aに配置された間口補強部材213は、上框本体211の開口部211bの底壁を間に挟んで連結手段により連結されている。
【0032】
ガラス間口211a内に配置される間口補強部材213は、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状をしており、室内外壁の内側面及び外側面には、熱膨張耐火材が取り付けられている。
【0033】
開口部211b内に配置される補強芯材212は、開口部211bの底部に沿って配置される底壁部212aと、底壁部212aの室内側端部に連続して開口部211bの室内壁に沿って延びる室内壁部212bと、底壁部212aの室外側端部に連続して開口部211bの外側壁に沿って延びる室外壁部212cを有している。
【0034】
補強芯材212の底壁部212aの下面に熱膨張耐火材が配置されており、室内壁部212b及び室外壁部212cの上端近傍の内周側面に熱膨張耐火材が配置されている。
補強芯材212の内側に配置された補強部材214の内側底面に、熱膨張耐火材が配置されている。
【0035】
内障子20の下框22は、
図4に示すように、樹脂材料からなる下框本体221と、アルミ合金等の金属材料からなり下框本体221内に配置される第1補強芯材222及び第2補強芯材223を有している。
【0036】
下框本体221は、内周側のガラス間口221aと、ガラス間口221aの外周に配置される中空部221bと、外周側の開口部221cとを有している。
【0037】
第1補強芯材222は、断面略矩形の中空形状をなしており、下框本体221の中空部221b内に配置されている。第2補強芯材223は、矩形中空部と下方に開口する開口部を備える断面形状をなしており、下框本体221の開口部221cの開口内に配置されている。
【0038】
第1補強芯材222の中空部内には、スチール等からなる断面略U字状の第1補強部材224が外周方向に開口するように配置され、第2補強芯材223の中空部内及び開口部内には、断面略U字状の第2補強部材225及び第3補強部材226がそれぞれ室内方向に開口するように配置されている。
【0039】
ガラス間口221a内には、スチール等の金属材料からなり、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の間口補強部材227が配置されており、パネル体25が、間口補強部材227及び難燃性のグレイジングチャンネル229を介してガラス間口221aに保持されている。
間口補強部材227と第1補強芯材222及び第1補強部材224は、ガラス間口221aの底壁を挟んで連結手段を介して連結されている。
【0040】
また、第1補強芯材222と第2補強芯材223及び第2補強部材225は、下框本体221の中空部221bの底壁を挟んで連結手段により連結されており、第2補強部材225と第3補強部材226は、第2補強芯材223の中間壁223aを間に挟んで連結手段により連結されている。
下框本体221の開口部221cの所定位置には、下内レール122b上を走行する車輪92が配置され、内障子20は、下内レール122b上を走行自在に配置されている。
【0041】
内障子20の右竪框(戸先框)24は、
図5に示すように、断面略矩形の中空部を有する右竪框本体部241bと、右竪框本体部241bの内周側に形成されパネル体25を保持するためのガラス間口241aを有している。
【0042】
右竪框本体部241bの中空部内には、スチール等の金属材料からなり、見込壁と室内側見付壁と室外側見付壁を有する断面略U字状の第1補強部材(開口部補強部材)242が外周側に向けて開口するように配置されている。
第1補強部材242の見込壁の内側面と室内側見付壁の室外側面(内側面)と室外側見付壁の室内側面(内側面)には、それぞれ熱膨張耐火材fが配置されている。
また、第1補強部材242の見込壁のガラス間口側面と右縦框本体241との間に、熱膨張耐火材fが配置されている。
【0043】
ガラス間口241a内には、スチール等の金属材料からなりパネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の間口補強部材243が配置されており、パネル体25が、間口補強部材243及び難燃性のグレイジングチャンネル249を介してガラス間口241aに保持されている。
【0044】
第1補強部材242と間口補強部材243とは、右竪框本体部241bの内周側の壁部を挟んで連結手段により連結されている。
なお、右竪框本体部241bの中空部内に配置される第1補強部材242は、略U字状の断面形状に限らず、例えば、断面略矩形のホロー構造等でもよい。
【0045】
内障子20の左竪框(召合框)23は、樹脂材料からなり、
図5に示すように、中空部を有する左竪框本体部231bと左竪框本体部231bの室外側内周に形成されるガラス間口231aを有しており、外周側面が室外側に延びて外障子30の召合框34に当接もしくは近接する気密片231cが形成されている。
また、左竪框23の外周面には防火クレセント錠61が取り付けられている。
【0046】
左竪框本体部231bの中空部内には、スチール等の金属材料からなりガラス間口231aの底壁に沿う見込面部と左竪框本体部231bの室外側面に沿う見付面部と外周側の見込面部を有する第1補強部材232を有している。
【0047】
一方、ガラス間口231a内には、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の間口補強部材234が内周側に向けて開口するように配置されており、間口補強部材234の室内外壁には熱膨張耐火材fが配置されている。そして、パネル体25が、間口補強部材234及び難燃性のグレイジングチャンネル239を介してガラス間口231aに保持されている。
【0048】
第1補強部材232と間口補強部材234は、ガラス間口231aの内周側の壁及び熱膨張耐火材fを間に挟んで連結手段により連結されている。また、第1補強部材232の適宜部位に、熱膨張耐火材fが配置されている。
なお、内障子20に使用されるパネル体25は、耐火性、耐熱性を有するガラス、例えば、結晶化ガラスにより形成されている。
【0049】
(外障子の構成)
以下に、外障子30について説明するが、外障子30と内障子20とは、上下枠および戸先框について基本的にその構成を同じくするものであるから、ここでは、特に外障子30の召合框34について説明し、内障子20の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0050】
外障子30の右竪框(召合框)34は、樹脂材料からなり、
図5に示すように、中空部を有する右竪框本体部341bと右竪框本体部341bの内周側に形成されるガラス間口341aを有しており、外周側面が室内側に延びて内障子20の召合框23に当接もしくは近接する気密片341cが形成されている。
また、右竪框(召合框)34の室内側面に防火クレセント受け62が設けられている。
【0051】
右竪框(召合框)34の右竪框本体部341bの中空部内には、スチール等の金属材料からなりガラス間口341aの底壁に沿う見込面部と右竪框本体部341bの室内側面に沿う見付面部と外周側の見込面部を有する第1補強部材342が配置されている。
【0052】
ガラス間口341a内には、パネル体25の端面に対向する底壁と、パネル体25の縁部の室内外側面に対向する室内外壁を有する断面略U字状の間口補強部材343が内周側に向けて開口するように配置されており、間口補強部材343の室内外壁には熱膨張耐火材が配置されている。そして、パネル体35が、間口補強部材343及び難燃性のグレイジングチャンネル349を介してガラス間口341aに保持されている。
【0053】
第1補強部材342と間口補強部材343は、右竪框本体部341bの内周側の壁及び熱膨張耐火材を間に挟んで連結手段により連結されている。また、第1補強部材342の見付面部の室外側面には、火災時の加熱により膨張する熱膨張耐火材fが配置されている。
【0054】
以上のように、本実施形態の樹脂内窓は防火性能を備えるものであるが、さらに、本実施形態の樹脂内窓の框材の防火構造について、内障子20の上框21を用いて説明する。
【0055】
-第1の実施形態-
第1の実施形態の内障子20の上框21は、
図6(a)に示すように、樹脂材料からなる上框本体211と、アルミ合金等の金属材料からなる補強芯材212を有している。
【0056】
上框本体211は、パネル体25を保持するガラス間口211aと、ガラス間口211aの外周側に形成され上外レール112cに案内される開口部211bを有している。
【0057】
ガラス間口211aは、上框本体211の室内側内周に形成された中空部からなる内パネル間口壁211cと、室外側内周に形成された中空部からなる外パネル間口壁211dによって構成されており、ガラス間口211aの内周側に間口補強部材213が配置されている。
【0058】
ガラス間口211aの内周側に配置される間口補強部材213は、ガラス間口211aの底面に沿う底壁部213aと、底壁部213aの室内側に連続する室内側壁部213bと、底壁部213aの室外側に連続する室外側壁部213cを有する断面略U字状をしており、パネル体が、間口補強部材213及び難燃性のグレイジングチャンネル219を介してガラス間口211aに保持される。
【0059】
間口補強部材213の室内側壁部213bの室内側面(外側面)に熱膨張耐火材f6が配置されているとともに、室外側壁部213cの室外側面(外側面)に熱膨張耐火材f7が配置されている。
また、間口補強部材213の室内側壁部213bの室外側面(内側面)に熱膨張耐火材f8が配置されているとともに、間口補強部材213の室外側壁部213cの室内側面(内側面)両面に熱膨張耐火材f9が配置されている。
また、間口補強部材213の底壁部213aの内周面に、熱膨張耐火材f10が配置されている。
【0060】
開口部211bは、上框本体211の室内側外周から上方に延びる室内側壁部211gと、室外側外周から上方に延びる室外側壁部211hによって構成されており、開口部211bの内周側に補強芯材(開口部補強部材)212が配置されている。
【0061】
開口部211bの内周側に配置される補強芯材212は、開口部211bの底部に沿って配置される底壁部212aと、底壁部212aの室内側端に連続する室内壁部212bと、底壁部212aの室外側端に連続する室外壁部212cを有しており、全体として外周方向の開口が深く形成された断面略H字状の部材として形成されている。
【0062】
開口部211bを構成する室内側壁部211gと室外側壁部211hは、外周端部にそれぞれ係止部211i,211jを有しており、開口部211bの内側に配置された補強芯材212の室内壁部212bの上端及び室外壁部212cの上端が係止されている。
【0063】
補強芯材212の底壁部212aの上面には、スチール等の金属材料からなる補強部材214が配置されている。
補強部材214は、底壁部214aと、底壁部214aの室内側端に連続する室内壁部214bと、底壁部214aの室外側端に連続する室外壁部214cを有しており、底壁部214aの上面には、熱膨張耐火材f1が配置されている。
【0064】
補強芯材212は、底壁部212aの下面室内側に熱膨張耐火材f4が配置され、下面室外側に熱膨張耐火材f5が配置されており、補強芯材212の室内壁部212bの上端内側面に熱膨張耐火材f2が配置されるとともに、室外壁部212cの上端内側面に熱膨張耐火材f3が配置されている。
【0065】
上框本体211の開口部211bに配置された補強芯材(開口部補強部材)212は、上框本体211の開口部211bの底壁を介してガラス間口211aに配置された間口補強部材213に連結手段bによって連結されている。
【0066】
そして、第1の実施形態の上框21は、火災時には、
図6(b)に示すように、補強芯材212の底壁部212aの下面に配置された熱膨張耐火材f4,f5と間口補強部材213の室内側壁部213b及び室外側壁部213cの外側面に配置された熱膨張耐火材f6,f7が膨張して領域A1に示すように一体化することで、上内レール112bからパネル体25までの間を金属部材及び熱膨張耐火材によって塞ぐことができる。
【0067】
さらに、本実施形態の樹脂内窓の上框21は、補強芯材212の底壁部212aの上面には、スチール等の金属材料からなる補強部材214が配置され、補強部材214の底壁部214aの上面に熱膨張耐火材f1が配置されてるので、開口部211b内の補強芯材212の内側で発泡する熱膨張耐火材f1は、補強芯材212の上方に向かって膨張し、補強芯材212の室内壁部212b及び室外壁部212cの上端内周面に配置された熱膨張耐火材f2,f3と一体化して、補強芯材212と上内レール112bとの間を確実に塞ぐことができる。
【0068】
さらに、間口補強部材213の室内側壁部213b及び室外側壁部213cの内側面に配置された熱膨張耐火材f8,f9は、間口補強部材213とガラス等パネルの間を塞ぎ、間口補強部材213の底壁部213aに熱膨張耐火材f10を配置することで、さらに確実に間口補強部材213とガラス等パネルの間を塞ぐことができる。
【0069】
-第2の実施形態-
第2の実施形態の内障子20の上框21は、第1の実施形態の内障子20の上框21に比べて、
図7(a)に示すように、上框本体211の開口部211bに補強芯材212が配置されず、開口部211bに、直接、補強部材(開口部補強部材)215が配置されている点で相違している。
なお、以下、第2の実施形態の内障子20の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、一部その説明を省略する。
【0070】
上框本体211は、パネル体25を保持するガラス間口211aと、ガラス間口211aの外周側に形成され上外レール112cに案内される開口部211bを有している。
【0071】
ガラス間口211aは、上框本体211の室内側内周に形成された中空部からなる内パネル間口壁211cと、室外側内周に形成された中空部からなる外パネル間口壁211dによって構成されており、ガラス間口211aの内周側に間口補強部材213が配置されている。
【0072】
上框21のガラス間口211aの内周側に配置される間口補強部材213の室内側壁部213bの室内側面(外側面)に熱膨張耐火材f6が配置されているとともに、間口補強部材213の室外側壁部213cの室外側面(外側面)に熱膨張耐火材f7が配置されている。
また、間口補強部材213の室内側壁部213bの室内側面(内側面)に熱膨張耐火材f8が配置されているとともに、間口補強部材213の室外側壁部213cの室内側面(内側面)に熱膨張耐火材f9が配置されている。
また、間口補強部材213の底壁部213aの内周面に、熱膨張耐火材f10が配置されている。
【0073】
開口部211bの内側に配置される補強部材(開口部補強部材)215は、開口部211bの底部に沿って配置される底壁部215aと、底壁部215aの室内側端に連続する室内側壁部215bと、底壁部215aの室外側端に連続する室外側壁部215cを有し、全体として外周方向に開口する断面略U字状の部材として形成されている。
【0074】
補強部材215は、底壁部215aの室内側下面及び室外側下面に長さ方向のほぼ全長にわたって熱膨張耐火材f4,f5が配置されている。
そして、上框本体211の開口部211bに配置された補強部材215は、上框本体211の開口部211bの底壁を介してガラス間口211aに配置された間口補強部材213に連結手段bによって連結されている。
【0075】
そして、第2の実施形態の上框21は、火災時には、
図7(b)に示すように、補強部材215の底壁部215aの下面に配置された熱膨張耐火材f4,f5と間口補強部材213の室内側壁部213b及び室外側壁部213cの外側面に配置された熱膨張耐火材f6,f7が膨張して領域A1に示すように一体化することで、上框21のガラス間口211aに配置された金属材料からなる間口補強部材213と開口部211bに配置された金属材料からなる補強部材215の間を熱膨張耐火材によって塞ぐことができる。
【0076】
なお、本実施形態の樹脂内窓の上框21において、補強部材215の室内側壁部215b及び室外側壁部215cが上框21の開口部211bの上端近傍にまで達するような長い補強部材215を用いてもよく、補強部材215の内側に熱により発泡する熱膨張耐火材f1等を配置してもよい。
【0077】
以上のように、本実施形態の樹脂内窓は、框材のパネル間口内に断面略U字状の補強部材(間口補強部材)を配置するとともに、框材のレールを案内する開口部に断面略U字状の補強部材(開口部補強部材)を配置し、間口補強部材と開口部補強部材を連結手段によって連結し、間口補強部材と開口部補強部材との間に熱膨張耐火材を設けているので、火災時に、ガラス間口に配置されるパネル体とレールとの間を金属部材及び熱膨張耐火材によって連絡するので、樹脂部分が溶融してもパネル体とレールとの間に隙間が発生することを塞ぐことができ、煙や火炎の室内外の連通を防止することができる。
【0078】
また、框材のレールを案内する開口部に配置される断面略U字状の補強部材の底壁に熱膨張耐火材を配置することで、熱膨張耐火材をレールに向けて無駄なく発泡させることができるので、比較的少ない熱膨張耐火材によってレールと上框との間を塞ぐことができる。
【0079】
なお、本実施形態では、火災時により熱が集中しやすい上框を用いて説明しているが、上記框材の補強部材及び熱膨張耐火材の構成は、内障子もしくは外障子のいずれの框材に採用しても良く、また全ての框に適用してもよい。
【0080】
なお、本実施形態は、室外側に既設のサッシが配置された建物開口部の室内側に配置される内窓として説明されているが、単独で建物開口部に配置されるサッシに対して採用することもできる。
【0081】
さらに、本発明において、内障子及び外障子の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、如何なる障子も用いることができる。
また、障子の框材を補強する補強部材や補強芯材の断面形状は、実施形態に示す断面形状に限定されるものではなく、補強部材や補強芯材に配置される熱膨張耐火材の位置も限定されるものではない。
【0082】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
21 :上框
211 :上框本体
211a :ガラス間口
211b :開口部
212 :補強芯材(開口部補強部材)
213 :間口補強部材
f4-f7:熱膨張耐火材