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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221128BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
E02F9/00 J
E02F3/36 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019104520
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020197086
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】菖蒲 和晃
(72)【発明者】
【氏名】堀井 啓司
(72)【発明者】
【氏名】岩村 仁
(72)【発明者】
【氏名】河野 翔一
(72)【発明者】
【氏名】土井 祥平
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-032316(JP,A)
【文献】特開2016-075042(JP,A)
【文献】特開2016-188548(JP,A)
【文献】特開2004-100173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体の前部に設けられ且つ上部にブーム枢支部を有すると共に前下部にシリンダ枢支部を有する支持ブラケットと、
前記ブーム枢支部にブーム軸を介して枢支されるブームと、
一端側が前記シリンダ枢支部に枢支されると共に他端側が前記ブームに枢支されていて伸縮することで前記ブームを上下に揺動させるブームシリンダと、
前記支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策されて前記ブームシリンダに接続される油圧ホースと、
前記油圧ホースを前記支持ブラケットに保持する第1クランプと、
前記油圧ホースを前記ブームシリンダに保持する第2クランプと、
を備え、
前記支持ブラケットは、前記ブーム枢支部を含む側壁と、前記油圧ホースを前後方向に挿通する通し穴と、を有し、
前記第1クランプは、前記側壁の内側において前記通し穴の後方で且つ前記ブーム軸の後端よりも前方に配置され前記側壁に取り付けられている作業機。
【請求項2】
前記ブームシリンダは、前記シリンダ枢支部に枢支されるシリンダチューブと、前記シリンダチューブから突出及び縮退可能であると共に前記ブームに枢支連結されるピストンロッドとを有し、
前記第2クランプは、前記シリンダチューブに取り付けられ、
前記油圧ホースは、ブームシリンダの揺動範囲内において、前記シリンダチューブの幅内で動く請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
機体と、
前記機体の前部に設けられ且つ上部にブーム枢支部を有すると共に前下部にシリンダ枢支部を有する支持ブラケットと、
前記ブーム枢支部にブーム軸を介して枢支されるブームと、
一端側が前記シリンダ枢支部に枢支されると共に他端側が前記ブームに枢支されていて伸縮することで前記ブームを上下に揺動させるブームシリンダと、
前記支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策されて前記ブームシリンダに接続される油圧ホースと、
前記油圧ホースを前記支持ブラケットに保持する第1クランプと、
前記油圧ホースを前記ブームシリンダに保持する第2クランプと、
を備え、
前記支持ブラケットは、前記油圧ホースを前後方向に挿通する通し穴を有し、
前記第1クランプは、前記通し穴の後方で且つ前記ブーム軸の後端よりも前方であって前記通し穴の機体内方側の端部の後方に配置されていると共に、前方に向かうにつれて機体外方に移行する傾斜方向且つ前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向を向いている作業機。
【請求項4】
前記ブームシリンダを前記シリンダ枢支部に枢支するシリンダ軸を備え、
前記第1クランプは、前記シリンダ軸の上端より下方で且つ前記通し穴の上下方向中央部よりも前記通し穴の下端部寄りに配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
機体と、
前記機体の前部に設けられ且つ上部にブーム枢支部を有すると共に前下部にシリンダ枢支部を有する支持ブラケットと、
前記ブーム枢支部にブーム軸を介して枢支されるブームと、
一端側が前記シリンダ枢支部に枢支されると共に他端側が前記ブームに枢支されていて伸縮することで前記ブームを上下に揺動させるブームシリンダと、
前記支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策されて前記ブームシリンダに接続される油圧ホースと、
前記油圧ホースを前記支持ブラケットに保持する第1クランプと、
前記油圧ホースを前記ブームシリンダに保持する第2クランプと、
前記第1クランプを前記支持ブラケットに取り付けるクランプブラケットと、 を備え、
前記支持ブラケットは、前記油圧ホースを前後方向に挿通する通し穴を有し、
前記第1クランプは、前記通し穴の後方で且つ前記ブーム軸の後端よりも前方に配置され、
前記支持ブラケットは、前記ブーム枢支部を含む側壁を有し、
前記クランプブラケットは、前記側壁の内側に、該側壁の外側から締結具によって取り付けられる作業機。
【請求項6】
前記側壁は、間隔をあけて対向配置された第1側壁及び第2側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁との前部同士を連結する前壁とを有し、
前記シリンダ枢支部は、前記前壁に設けられ、
前記通し穴は、前記前壁の前記シリンダ枢支部より側方に形成され、
前記第1クランプは、前記第1側壁及び前記第2側壁の少なくとも一方の内側に配置される請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
機体と、
前記機体の前部に設けられ且つ上部にブーム枢支部を有すると共に前下部にシリンダ枢支部を有する支持ブラケットと、
前記ブーム枢支部にブーム軸を介して枢支されるブームと、
一端側が前記シリンダ枢支部に枢支されると共に他端側が前記ブームに枢支されていて伸縮することで前記ブームを上下に揺動させるブームシリンダと、
前記支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策されて前記ブームシリンダに接続される油圧ホースと、
前記油圧ホースを前記支持ブラケットに保持する第1クランプと、
前記油圧ホースを前記ブームシリンダに保持する第2クランプと、
前記支持ブラケットに取り付けられ且つ前記油圧ホースを案内するホースガイドと、
を備え、
ホースガイドは、前記通し穴よりも前方で前記油圧ホースの機体外方に配置される第1規制部と、前記第1規制部の下端から機体内方に延びていて前記油圧ホースの下方に配置される第2規制部とを有する作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、機体の前部に支持ブラケットを有している。支持ブラケットは、上部にブーム枢支部を有すると共に前下部にシリンダ枢支部を有している。ブーム枢支部にはブームが枢支されている。シリンダ枢支部には、ブームを駆動するブームシリンダのシリンダチューブがシリンダ軸を介して枢支されている。ブームシリンダのピストンロッドは、ブームの中途部に枢支連結されている。ブームシリンダを伸縮させるとブームが上下に揺動すると共にブームシリンダも上下に揺動する。ブームシリンダに接続される油圧ホースは、支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策される。支持ブラケットは、シリンダ枢支部の側方に、油圧ホースを挿通する通し穴を有している。油圧ホースを支持ブラケットに保持するクランプは、シリンダ軸の後方近傍に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4004041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブームシリンダ側にも油圧ホースを保持するクランプが設けられる。油圧ホースは、シリンダ軸と支持ブラケット側のクランプ及びシリンダ側のクランプとが一直線上に並ぶデッドポイント位置からブームを上下に揺動させると撓む(弛む)。
従来の作業機にあっては、支持ブラケット側のクランプがシリンダ軸の近傍に配置されているため、油圧ホースの撓み代をとるため、シリンダ側のクランプをシリンダ軸から遠ざけて配置しなければならない。そうすると、デッドポイント位置からブームを上方揺動させると、油圧ホースは、ブームシリンダから前側にはみ出るように撓む。また、デッドポイント位置からブームを下方揺動させると、油圧ホースは、ブームシリンダから上側にはみ出るように撓む。
【0005】
ブームシリンダから前側にはみ出ると、掘削時にバケットが油圧ホースに当たって油圧ホースを損傷させる虞がある。また、ブームシリンダから上側にはみ出ると、油圧ホースがブームに当たって油圧ホースを損傷させる虞がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、ブームを上下に揺動させる際の油圧ホースの撓みを抑制することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体の前部に設けられ且つ上部にブーム枢支部を有すると共に前下部にシリンダ枢支部を有する支持ブラケットと、前記ブーム枢支部にブーム軸を介して枢支されるブームと、一端側が前記シリンダ枢支部に枢支されると共に他端側が前記ブームに枢支されていて伸縮することで前記ブームを上下に揺動させるブームシリンダと、前記支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策されて前記ブームシリンダに接続される油圧ホースと、前記油圧ホースを前記支持ブラケットに保持する第1クランプと、前記油圧ホースを前記ブームシリンダに保持する第2クランプと、を備え、前記支持ブラケットは、前記ブーム枢支部を含む側壁と、前記油圧ホースを前後方向に挿通する通し穴と、を有し、前記第1クランプは、前記側壁の内側において前記通し穴の後方で且つ前記ブーム軸の後端よりも前方に配置され前記側壁に取り付けられている。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、ブームを上下に揺動させる際の油圧ホースの動きを良好に吸収することができ、油圧ホースの撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フロント作業装置の一部の側面図である。
図2】スイングブラケットの一部断面側面図である。
図3】スイングブラケットの斜視図である。
図4】スイングブラケットの正面図である。
図5】スイングブラケットの平面図である。
図6】スイングブラケットの平面断面図である。
図7】クランプ及びクランプブラケットの分解斜視図である。
図8】ブームシリンダが動いた様子を示す側面図である。
図9】作業機の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
図9に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、フロント作業装置4とを備えている。機体2上には、運転者(オペレータ)が着座する運転席(座席)6が搭載されている。
【0010】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(図9の矢印A1方向)を前方、オペレータの後側に向かう方向(図9の矢印A2方向)を後方、オペレータの左側に向かう方向(図9の手前側の方向)を左方、オペレータの右側に向かう方向(図9の奥側の方向)を右方として説明する。また、図9に示す前後方向(機体前後方向)K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向(機体2の幅方向)として説明する。また、機体2の幅方向の中央部から右方、或いは、左方へ向かう方向を機体幅方向外方として説明する。機体幅方向外方とは反対の方向を、機体幅方向内方として説明する。
【0011】
図9に示すように、走行装置3は、機体2の幅方向の一側(左側)に設けられた第1クローラ走行体3Lと、機体2の幅方向の他側(右側)に設けられた第2クローラ走行体3Rとを有するクローラ式の走行装置である。走行装置3によって機体2が走行可能に支持されている。また、機体2は、走行装置3上に、縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに旋回可能に支持されている。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。
【0012】
図9に示すように、フロント作業装置4は、機体2の前方側に配置されている。フロント作業装置4は、機体2の前部に設けられたスイングブラケット(支持ブラケット)10に支持されている。スイングブラケット10は、機体2に前方突出状に設けられた枢支ブラケット11に縦軸回りに回動可能に支持されている。フロント作業装置4は、スイングブラケット10に上下に揺動可能に支持されたブーム12と、ブーム12の先端側に揺動可能に支持されたアーム13と、アーム13の先端側に揺動可能に支持された作業具(バケット)14とを有する。
【0013】
また、フロント作業装置4は、ブーム12を駆動するブームシリンダ19と、アーム13を駆動するアームシリンダ20と、作業具14を駆動する作業具シリンダ21とを有する。ブームシリンダ19、アームシリンダ20、作業具シリンダ21は、複動型の油圧シリンダによって構成されている。
図1図5に示すように、スイングブラケット10は、上部にブーム枢支部22を有すると共に前下部にシリンダ枢支部23を有している。
【0014】
図3に示すように、ブーム枢支部22は、機体幅方向で間隔をあけて配置された第1枢支部22L及び第2枢支部22Rを含む。第1枢支部22Lは、第2枢支部22Rの左方に間隔をあけて配置されている。第1枢支部22Lには、軸支穴24Lが形成されている。第2枢支部22Rには、軸支穴24Rが形成されている。図1に示すように、第1枢支部22Lと第2枢支部22Rとの間には、ブーム12の基部12aが挿入されている。軸支穴24L、軸支穴24R及びブーム12の基部12aには、ブーム軸25がブッシュ26を介して挿通されている。ブーム軸25は、水平方向に延伸する軸心(水平軸心)を有し、ブーム12は、ブーム軸25回り(水平軸心回り)に上下に揺動可能である。
【0015】
図3に示すように、シリンダ枢支部23は、機体幅方向で間隔をあけて配置された第1枢支部23L及び第2枢支部23Rを含む。第1枢支部23Lは、第2枢支部23Rの左方に間隔をあけて配置されている。第1枢支部23Lには、軸支穴27Lが形成されている。第2枢支部23Rには、軸支穴27Rが形成されている。図1に示すように、第1枢支部23Lと第2枢支部との間には、ブームシリンダ19の一端側が挿入されている。詳しくは、ブームシリンダ19は、シリンダチューブ28と、シリンダチューブ28から突出及び縮退可能なピストンロッド29とを有し、シリンダチューブ28のボトム側に設けられた連結部30が第1枢支部23Lと第2枢支部23Rとの間に挿入されている。軸支穴27L、軸支穴27R及び連結部30には、水平軸心を有するシリンダ軸31がブッシュ32を介して挿通されている。したがって、シリンダチューブ28は、シリンダ枢支部23にシリンダ軸31回り(水平軸心回り)に回動可能に枢支されている。
【0016】
図9に示すように、ピストンロッド29の先端側29aは、ブーム12の中途部の下面側に固定されたステー33にシリンダピン34を介して水平軸心回りに回動可能に枢支連結されている。
ブームシリンダ19は、ピストンロッド29をシリンダチューブ28から突出させることで伸長し、ピストンロッド29をシリンダチューブ28に対して縮退させることで収縮する。ブームシリンダ19を伸長させるとブーム12が上方揺動し、ブームシリンダ19を収縮させるとブーム12が下方揺動する。ブームシリンダ19は、ブーム12と共にシリンダ軸31回りに上下に揺動する。
【0017】
図3に示すように、スイングブラケット10は、ブーム枢支部22を含む側壁35を有している。詳しくは、側壁35は、第1枢支部22Lを含む第1側壁35Lと、第2枢支部22Rを含む第2側壁35Rとを有している。第1側壁35Lは、第2側壁35Rの左方に間隔をあけて対向配置されている。
図1図2に示すように、スイングブラケット10は、後部に、上枢支基部36及び下枢支基部37を有している。上枢支基部36及び下枢支基部37は、第1側壁35Lと第2側壁35Rとにわたって設けられている。上枢支基部36は、上壁36Aと、上壁36Aの下方に間隔をあけて配置された下壁36Bとを有する。図9に示すように、上壁36Aと下壁36Bとの間には、枢支ブラケット11の上壁部11Aが挿入されている。上枢支基部36は、枢支ブラケット11の上壁部11Aにピンによって縦軸回りに回動可能に枢支連結されている。
【0018】
図1図2に示すように、下枢支基部37は、上壁37Aと、上壁37Aの下方に間隔をあけて配置された下壁37Bとを有する。図9に示すように、上壁37Aと下壁37Bとの間には、枢支ブラケット11の下壁部11Bが挿入されている。下枢支基部37は、枢支ブラケット11の下壁部11Bにピンによって縦軸回りに回動可能に枢支連結されている。
【0019】
図2図6に示すように、スイングブラケット10は、後部で且つ上枢支基部36の下壁36Bと下枢支基部37の上壁37Aとの間に、開口38を有する。ブームシリンダ19を制御する制御弁は、機体2側に設けられており、ブームシリンダ19に接続される油圧ホース39は、機体2側から開口38を介してスイングブラケット10内(第1側壁35Lと第2側壁35Rとの間)に挿入される。油圧ホース39は、シリンダチューブ28のヘッド側(ピストンロッド29が突出する側)に接続される第1ホース39Lと、シリンダチューブ28のボトム側に接続される第2ホース39Rとを含む。
【0020】
図3図4に示すように、スイングブラケット10は、第1側壁35Lと第2側壁35Rとの下部の前部同士を連結する前壁40を有している。第1側壁35L及び第2側壁35Rの前部は、ブーム枢支部22から前壁40にかけて漸次厚肉になるように形成されて前壁40に接続されている。
図2図4図6に示すように、前壁40に、シリンダ枢支部23が前方突出状に一体形成されている。前壁40(スイングブラケット10)は、シリンダ枢支部23の側方に油圧ホース39を前後方向K1に挿通する通し穴41を有する。詳しくは、通し穴41は、シリンダ枢支部23の第1枢支部23Lの左方に形成された第1通し穴41Lと、シリンダ枢支部23の第2枢支部23Rの右方に形成された第2通し穴41Rとを含む。第1ホース39Lは、第1通し穴41Lを挿通してシリンダチューブ28の左側に配策される。第2ホース39Rは、第2通し穴41Rを挿通してシリンダチューブ28の右側に配策される。
【0021】
図6に示すように、スイングブラケット10内には、油圧ホース39をスイングブラケット10に保持するクランプ構造体42が設けられている。詳しくは、クランプ構造体42は、第1ホース39Lを保持する第1クランプ構造体42Lと、第2ホース39Rを保持する第2クランプ構造体42Rとを含む。クランプ構造体42は、通し穴41の後方に配置されている。詳しくは、第1クランプ構造体42Lは、第1通し穴41Lの後方に配置され、第2クランプ構造体42Rは、第2通し穴41Rの後方に配置されている。
【0022】
図7に示すように、クランプ構造体42は、油圧ホース39をスイングブラケット10に保持する第1クランプ43と、第1クランプ43をスイングブラケット10に取り付けるクランプブラケット44とを有する。第1クランプ43は、ゴム製のブロック体によって形成されている。
図2に示すように、第1クランプ43は、通し穴41の後方に配置されている。詳しくは、図6に示すように、第1クランプ43は、通し穴41の機体内方側の端部41aの後方に配置されている。また、図2に示すように、第1クランプ43は、ブーム軸25の後端よりも前方に配置されている。詳しくは、第1クランプ43は、ブーム軸25の中心よりも前方に配置されている。第1クランプ43の後端部は、ブーム軸25の前端よりも後方に位置している。
【0023】
図2図6に示すように、第1クランプ43は、前方に向かうにつれて機体外方に移行する傾斜方向及び前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向を向いている。また、図2に示すように、第1クランプ43は、シリンダ軸31の上端より下方で且つ通し穴41の上下方向中央部よりも通し穴41の下端部寄りに配置されている
図7に示すように、第1クランプ43は、貫通孔46と、突部47と、挿通孔48と、スリット45とを有している。貫通孔46は、第1クランプ43の上部に形成され、且つ第1クランプ43の機体外方側の第1側面43aから機体内方側の第2側面43bにわたって貫通している。突部47は、円柱形状に形成され、第1側面43a及び第2側面43bの下部に設けられている。挿通孔48は、第1クランプ43の前面43cから後面43dにわたって貫通状に形成されている。挿通孔48に、油圧ホース39が挿通される。詳しくは、第1クランプ構造体42Lの挿通孔48に第1ホース39Lが挿通され、第2クランプ構造体42Rの挿通孔48に第2ホース39Rが挿通される。スリット45は、第1クランプ43における挿通孔48より機体内方側の部分を前面43cから後面43dにわたって且つ突部47を上下に二分するように形成されている。したがって、スリット45を開くことにより、油圧ホース39を挿通孔48内に挿入することができる。
【0024】
図7に示すように、クランプブラケット44は、取付部材49と、保持部材50とを有している。図6に示すように、取付部材49は、側壁35の前部にボルト(締結具)51によって取り付けられる取付部49aと、取付部49aから機体内方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる延出部49bと、延出部49bの後端から後方に向かうにつれて機体内方に移行する傾斜方向に延びる支持部49cとを有する。図7に示すように、取付部49aは、上下方向に長い板状に形成されており、該取付部49aの機体内方側の面の上部及び下部にナット52が固定されている。ボルト51は、スイングブラケット10の機体外方から側壁35を貫通してナット52にねじ込まれる。したがって、クランプブラケット44は、側壁35の内側に、該側壁35の外側からボルト51によって取り付けられる。詳しくは、第1クランプ構造体42Lのクランプブラケット44は、第1側壁35Lの内面に取り付けられ、第2クランプ構造体42Rのクランプブラケット44は、第2側壁35Rの内面に取り付けられる。なお、ナット52は、取付部49aに固定されていなくてもよい。
【0025】
支持部49cの上部には、該支持部49cから機体内方に突出状に設けられたナット部材53が固定されている。ナット部材53は、円柱状に形成されている。ナット部材53は、第1クランプ43の貫通孔46に挿入されている。支持部49cの下部には、第1側面43aに形成された突部47が嵌め込まれる嵌め穴54が形成されている。
図7に示すように、保持部材50は、第1クランプ43の第2側面43bに当接する第1壁50aと、第1クランプ43の下面43eに当接する第2壁50bとを有するL字形に形成されている。第1壁50aは、上部にボルト挿通孔50cを有し、下部に第2側面43bに形成された突部47が嵌め込まれる嵌め穴50dを有する。ボルト55をボルト挿通孔50cに挿通し且つナット部材53にねじ込むことにより、第1クランプ43がクランプブラケット44に保持される。
【0026】
以上のクランプ構造体42にあっては、該クランプ構造体42に油圧ホース39を組み付けてサブアッセンブリした状態でスイングブラケット10に外側から取り付けることができるので、組み付け性がよい。また、クランプ構造体42が、スイングブラケット10の内側にあっても、外側からボルト51を外すことで取り外すことができるので、メンテナンス性がよい。
【0027】
図2に示すように、スイングブラケット10には、油圧ホース39を案内するホースガイド56が設けられている。詳しくは、図4図5に示すように、ホースガイド56は、第1側壁35Lに取り付けられる第1ホースガイド56Lと、第2側壁35Rに取り付けられる第2ホースガイド56Rとを含む。ホースガイド56は、取付プレート57と、ガイド杆58とを有する。取付プレート57は、前後に長い板材によって形成され、クランプ構造体42よりも上方で側壁35の外面にボルト59によって取り付けられている。第1ホースガイド56Lの取付プレート57は、第1側壁35Lの外面に取り付けられ、第2ホースガイド56Rの取付プレート57は、第2側壁35Rの外面に取り付けられる。
【0028】
図3に示すように、ガイド杆58は、支持杆部58aと、第1規制部58bと、第2規制部58cとを有している。支持杆部58aは、後部が取付プレート57の前部に固定され、且つ取付プレート57から前方に突出している。
図2に示すように、第1規制部58bは、支持杆部58aの前端から下方に延出されている。第1規制部58bは、シリンダ軸31の側方に位置している。詳しくは、第1規制部58bは、スイングブラケット10が機体2の正面を向く状態において、側面視でシリンダ軸31と重畳する。図6に示すように、第1規制部58bは、通し穴41よりも前方で油圧ホース39の機体外方に配置されている。
【0029】
図3図4に示すように、第2規制部58cは、第1規制部58bの下端から機体内方に延出されている。図2に示すように、第2規制部58cは、油圧ホース39の下方に配置される。
図1に示すように、ブームシリンダ19には、第1ホース39L(油圧ホース39)をブームシリンダ19に保持する第2クランプ60が設けられている。第2クランプ60は、シリンダチューブ28の長手方向の略中央部にネジ61によって取り付けられている。第2クランプ60は、油圧ホース39の長手方向の動きを規制するタイプの部材である。第2クランプ60は、油圧ホース39の角度を制限するタイプのガイドであってもよい。第2油圧ホース39は、第1ホース39Lと略同じ位置でクランプ或いは配管部材に接続される。
【0030】
図8は、ブームシリンダ19を伸縮させたときの油圧ホース39の動きを示している。油圧ホース39は、シリンダ軸31と第1クランプ43及び第2クランプ60とが一直線上に並ぶデッドポイント位置からブーム12を上下に揺動させると撓む。詳しくは、デッドポイント位置からブーム12を上方揺動させると、油圧ホース39は、前側に膨らむように撓む。また、デッドポイント位置からブーム12を上方揺動させると、油圧ホース39は、上側に膨らむように撓む。本実施形態では、第1クランプ43は、通し穴41の後方で且つブーム軸25の後端よりも前方に配置されていて、シリンダ軸31から適度な距離をおいて配置されている。シリンダ軸31から適度な距離を取って第1クランプ43を配置することで油圧ホース39の動きを吸収することができる。また、油圧ホース39の撓み代をとるために第2クランプ60の位置をシリンダ軸31から遠ざける必要がなく、第2クランプ60の位置をシリンダ軸31に寄せることができる。これにより、ブーム1
2を上下に揺動させた際の油圧ホース39の撓みを抑制することができる。図8に示すように、本実施形態では、ブームシリンダ19を最も伸長(上昇)させた位置X1でも、最も収縮(下降)させた位置X2でも、側面視において、油圧ホース39は、シリンダチューブ28からはみ出すことはない。つまり、油圧ホース39は、ブームシリンダ19のシリンダ軸31回りの揺動範囲内において、シリンダチューブ28の幅内で動く。これにより、油圧ホース39が、作業具やブーム12等の障害物に当接するのを防止することができる。
【0031】
第1規制部58bは、油圧ホース39が撓んで機体外方に膨らむのを規制する。詳しくは、第1規制部58bの機体内方側の端部は、側壁35の機体外方側の端部の前方に位置していて、油圧ホース39がスイングブラケット10よりも外側方に大きく突出するのを規制することができる。これにより、油圧ホース39が障害物に当たって損傷するのを防止することができる。
【0032】
また、ブーム12を下方に揺動した際に、油圧ホース39がS字状に波打つと、油圧ホース39が小さい曲率で曲がることによって損傷する虞がある。第2規制部58cは、この油圧ホース39が波打つのを規制する。
本実施形態は、種々の設計変更が可能である。例えば、第1油圧ホース39と第2油圧ホース39とは、同じ通し穴41を挿通させてもよい。即ち、通し穴41は少なくとも1つ形成されていればよい。この場合、クランプ構造体42は、スイングブラケット10の左又は右の一方にのみ設けられる。つまり、クランプ構造体42(第1クランプ43)は、第1側壁35L及び第2側壁35Rの少なくとも一方の内側に配置されていればよい。
【0033】
また、ブーム12の基部12aを二股状に形成し、この二股状の基部12aでブーム枢支部22を挟む構造にしてもよい。また、上枢支基部36及び下枢支基部37を、それぞれ1つの壁部で構成し、上枢支基部36と下枢支基部37の間に枢支ブラケットを挿入すると共に1本のピンによって上枢支基部36及び下枢支基部37を枢支ブラケット11に枢支連結してもよい。また、シリンダチューブ28の連結部30を二股状に形成し、この二股状の連結部30でシリンダ枢支部23を挟む構造にしてもよい。
【0034】
本実施形態の作業機1は、機体2と、機体2の前部に設けられ且つ上部にブーム枢支部22を有すると共に前下部にシリンダ枢支部23を有する支持ブラケット(スイングブラケット10)と、シリンダ枢支部22にブーム軸25を介して枢支されるブーム12と、一端側がブーム枢支部22に枢支されると共に他端側がブーム12に枢支されていて伸縮することでブーム12を上下に揺動させるブームシリンダ19と、支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策されてブームシリンダ19に接続される油圧ホース39と、油圧ホース39を支持ブラケットに保持する第1クランプ43と、油圧ホース39をブームシリンダ19に保持する第2クランプ60と、を備え、支持ブラケットは、油圧ホース39を前後方向K1に挿通する通し穴41を有し、第1クランプ43は、通し穴41の後方で且つブーム軸25の後端よりも前方に配置されている。
【0035】
この構成によれば、ブーム12を上下に揺動させる際の油圧ホース39の動きを良好に吸収することができ、油圧ホース39の撓みを抑制することができる。
また、ブームシリンダ19は、シリンダ枢支部23に枢支されるシリンダチューブ28と、シリンダチューブ28から突出及び縮退可能であると共にブーム12に枢支連結されるピストンロッド29とを有し、第2クランプ60は、シリンダチューブ28に取り付けられ、油圧ホース39は、ブームシリンダ19のシリンダ軸31回りの揺動範囲において、シリンダチューブ28の幅内で動く。
【0036】
この構成によれば、油圧ホース39が障害物に接触して損傷するのを防止することができる。
また、第1クランプ43は、通し穴41の機体内方側の端部の後方に配置されていると共に、前方に向かうにつれて機体外方に移行する傾斜方向且つ前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向を向いている。
【0037】
この構成によれば、油圧ホース39を第1クランプ43から通し穴41を通してブームシリンダ19へ向けてスムーズに配策することができる。
また、ブームシリンダ19をシリンダ枢支部23に枢支するシリンダ軸31を備え、第1クランプ43は、シリンダ軸31の上端より下方で且つ通し穴41の上下方向中央部よりも通し穴41の下端部寄りに配置されている。
【0038】
この構成によっても、油圧ホース39を第1クランプ43からブームシリンダ19へ向けてスムーズに配策することができる。
また、第1クランプ43を支持ブラケット(スイングブラケット10)に取り付けるクランプブラケット44を備え、支持ブラケットは、ブーム枢支部22を含む側壁35を有し、クランプブラケット44は、側壁35の内側に、該側壁35の外側から締結具(ボルト51)によって取り付けられる。
【0039】
この構成によれば、油圧ホース39及び第1クランプ43をクランプブラケット44に組み付けてアッセンブリした状態で支持ブラケットの外側から取り付けることができ、油圧ホース39及び第1クランプ43の取付けを容易に行える。また、クランプブラケット44を支持ブラケットの外側から取り外すことができるので、メンテナンス性もよい。
また、側壁35は、間隔をあけて対向配置された第1側壁35L及び第2側壁35Rと、第1側壁35Lと第2側壁35Rとの前部同士を連結する前壁40とを有し、シリンダ枢支部23は、前壁40に設けられ、通し穴41は、前壁40のシリンダ枢支部23より側方に形成され、第1クランプ43は、第1側壁35L及び第2側壁35Rの少なくとも一方の内側に配置される。
【0040】
この構成によれば、支持ブラケットの後方側から前方側へ該支持ブラケットを通過して配策される油圧ホース39を側壁35の内側で支持することができる。
また、支持ブラケット(スイングブラケット10)に取り付けられ且つ油圧ホース39を案内するホースガイド56を備え、ホースガイド56は、通し穴41よりも前方で油圧ホース39の機体外方に配置される第1規制部58bと、第1規制部58bの下端から機体内方に延びていて油圧ホース39の下方に配置される第2規制部58cとを有する。
【0041】
この構成によれば、第1規制部58bによって、油圧ホース39の機体外方への膨らみを規制できるので、油圧ホース39が障害物にあたって損傷するのを防止することができる。また、第2規制部58cによって、ブーム12を下降させた際に油圧ホース39が小さい曲率で湾曲して損傷するのを防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
2 機体
10 支持ブラケット(スイングブラケット)
12 ブーム
19 ブームシリンダ
22 ブーム枢支部
23 シリンダ枢支部
25 ブーム軸
28 シリンダチューブ
29 ピストンロッド
31 シリンダ軸
35 側壁
35L 第1側壁
35R 第2側壁
39 油圧ホース
40 前壁
41 通し穴
43 第1クランプ
44 クランプブラケット
51 締結具(ボルト)
56 ホースガイド
58b 第1規制部
58c 第2規制部
60 第2クランプ
K1 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9