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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019105811
(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公開番号】P2020199786
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】赤沼 卓
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-243840(JP,A)
【文献】特表2002-516216(JP,A)
【文献】特開2008-254554(JP,A)
【文献】特開2003-127841(JP,A)
【文献】特開2016-149594(JP,A)
【文献】特開2005-186758(JP,A)
【文献】特開2007-62545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
B60S 3/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入車された車体を跨いで処理フレームがレール上を移動して前記車体に処理を施す車体処理装置であって、
前記処理フレームに設けられ、車幅方向において前記車体と接触することで前記車体を検知する検知部材と、
前記処理フレームとは別個に設けられ、前記レールの長さ方向において前記処理フレームと対向するカメラ装置と、を備え、
入車される前であって前記カメラ装置から離れた位置にある前記処理フレームが前記カメラ装置によって撮影された第1画像と、入車される前であって前記カメラ装置に近づいた位置にある前記処理フレームが前記カメラ装置によって撮影された第2画像とから前記処理フレームの移動に伴う前記検知部材の軌跡を算定しておき、
入車された後であって前記カメラ装置によって撮影された第3画像中の前記車体を置き換えた図形と、前記軌跡とを参照して、車幅方向における前記車体と前記処理フレームとが接触するか否か判定することを特徴とする車体処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の車体処理装置において、
入車案内を表示する表示装置を更に備え、
前記車体と前記処理フレームとが接触すると判定した際に、前記表示装置によって接触を回避するよう入車案内を行うことを特徴する車体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車体処理装置において、
遮断桿を有する遮断機を更に備え、
前記カメラ装置は、前記遮断桿に設けられ、前記遮断桿が降りた状態で前記処理フレームの真正面と対向していることを特徴とする車体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-62545号公報(特許文献1)には、自動車(車体)の幅方向の接触を検知する車体検知装置を備える洗車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-62545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、例えば、処理フレーム(本体フレーム)の乗り入れ口に対して車体が車幅方向のどちらか一方に寄りすぎた状態で洗車が開始されると、車体検知装置によって車体が検知され、洗車が中止される。すなわち、洗車を最後まで行うことができない。
【0005】
本発明の一目的は、車体への処理を開始する前に、車体と処理フレームとが接触する可能性があるか判定することのできる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る車体処理装置は、入車された車体を跨いで処理フレームがレール上を移動して前記車体に処理を施す。車体処理装置は、前記処理フレームに設けられ、車幅方向において前記車体と接触することで前記車体を検知する検知部材と、前記処理フレームとは別個に設けられ、前記レールの長さ方向において前記処理フレームと対向するカメラ装置と、を備える。入車される前であって前記カメラ装置から離れた位置にある前記処理フレームが前記カメラ装置によって撮影された第1画像と、入車される前であって前記カメラ装置に近づいた位置にある前記処理フレームが前記カメラ装置によって撮影された第2画像とから前記処理フレームの移動に伴う前記検知部材の軌跡を算定しておく。入車された後であって前記カメラ装置によって撮影された第3画像中の前記車体を置き換えた図形と、前記軌跡とを参照して車幅方向における前記車体と前記処理フレームとが接触するか否か判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段によれば、車体への処理を開始する前に、車体と処理フレームとが接触する可能性があるか判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車体処理装置の処理フレームの正面図である。
図2】車体処理装置の平面図である。
図3】車体処理装置の側面図である。
図4】車体処理装置の制御ブロック図である。
図5】車体処理装置のカメラ装置で撮影された画像の説明図である。
図6】車体処理装置のカメラ装置で撮影された画像の説明図である。
図7】車体処理装置のカメラ装置で撮影された画像の説明図である。
図8】車体処理装置のカメラ装置で撮影された画像の説明図である。
図9】車体処理装置のカメラ装置で撮影された画像の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る車体処理装置として洗車装置50に適用した場合について、図面を参照して説明する。洗車装置50は、入車された車体CAを跨いで処理フレーム2がレール8上を移動(走行)して車体CAに洗浄などの処理を施す。図1は洗車装置50(車体処理装置)が備える処理フレーム2の正面図である。また、図2および図3はそれぞれ洗車装置50の平面図および側面図である。また、図4は洗車装置10の制御ブロック図である。また、図5図9は洗車装置50のカメラ装置24で撮影された画像の説明図である。なお、図5図9は所定の位置のカメラ装置24から処理フレーム2を撮影した画像であり、画像中の処理フレーム2の位置はXY座標で表すことができる。
【0010】
洗車装置50は、処理フレーム2を備えている。処理フレーム2は、後述の各装置を備え、車体CAを跨ぐような乗り入れ口を有する門型に形成されている(図1)。門型であるため、処理フレーム2は、一対の脚部と一対の脚部の上部に架かる梁部とを有している。処理フレーム2は、一対の脚部のそれぞれに電動機6および車輪7を備え、正転逆転可能な電動機6により車輪7を回転させることで一対のレール8上を往復移動する。一対のレール8は、直線状に平行となるように敷設面(地面)に設けられている。また、処理フレーム2は、ロータリーエンコーダ9を備えている。ロータリーエンコーダ9は、電動機6の回転軸に直結され、回転数と回転方向とを検出することにより、処理フレーム2の移動距離と移動方向とを検出することができる。
【0011】
また、洗車装置50は、位置センサ10を備えている(図3)。位置センサ10は、処理フレーム2の基準となる位置を検出する。この位置センサ10は、処理フレーム2下部に設けられ、レール8に沿うように敷設面に突起して固定されたドッグ11、12を感知してスイッチングすることで処理フレーム2の位置を検出している。
【0012】
レール後部のドッグ11を感知した位置が処理フレーム2の待機位置となり、レール前部のドッグ12を感知した位置が処理フレーム2の前進限界位置となる。洗車待機中(入車前)は、処理フレーム2がレール後部の待機位置に停止しており、運転手が車体CAを洗車スペース4に乗り入れて洗車位置に停止させると、処理フレーム2が移動(前進)して洗車を開始する。そして洗車終了後は、処理フレーム2がレール前部の前進限界位置で停止する。運転手が洗車スペース4の洗車位置から車体CAを退出させると、処理フレーム2が背面側に移動(後退)して待機位置に戻る。
【0013】
また、洗車装置50の処理フレーム2は洗浄部Wと乾燥部Dとを備えている(図3)。処理フレーム2前部の洗浄部Wには、上面洗浄ブラシ13と、側面洗浄ブラシ14と、噴射ノズル15、16とが搭載されている。上面洗浄ブラシ13は、昇降自在に設けられ、車体CA上面を回転して洗浄する。一対の側面洗浄ブラシ14は、それぞれ車幅方向に進退自在に処理フレーム2の脚部側で梁部(上部)に吊されるように設けられ、車体CAの上下以外の面を回転して洗浄する。噴射ノズル15、16は、水やワックスなどの洗浄液を車体CAに噴射する。また、処理フレーム2後部の乾燥部Dには、上面乾燥ノズル17と、側面乾燥ノズル18とが搭載されている。上面乾燥ノズル17は、昇降自在に設けられ、車体CA上面を乾燥させる。一対の側面乾燥ノズル18は、それぞれ車幅方向に対向して設けられ、車体CAの側面を乾燥させる。
【0014】
また、洗浄装置50は、車形センサ19を備えている。車形センサ19は、複数の投光素子を上下に配列させた投光器19aと、投光素子からの光線を受光する複数の受光素子を上下に配列させた受光器19bとを備えている。投光器19aおよび受光器19bは、処理フレーム2の前部に互いが正対させた状態で取り付けられている。この車形センサ19は、処理フレーム2の前進に伴い車体CAの側面を鉛直方向に走査し、車体CAに遮光された光線と遮光されなかった光線とを区別することで、車体CAの上面形状を検出する。なお、上面洗浄ブラシ13と上面乾燥ノズル17とは、車形センサ19で検出された車体CAの上面形状に基づいて昇降する。
【0015】
また、洗車装置50は、停車センサ20を備えている。停車センサ20は、車形センサ19と連携して車体CAが洗車位置に停止していることを検知する。具体的に、停車センサ20は、光線を投光する投光器20aと、投光器20aが投光した光線を受光する受光器20bとを備えてなり、洗車位置に車体CAが進入する方向に車形センサ19と隣接するように、車体CAに遮光される高さで洗車位置を挟んで正対して処理フレーム2の前面から飛び出すように取り付けられている。車体CAが洗車位置に停止していると、車形センサ19の投光器19aが投光した光線は車体CAに遮光されず、停車センサ20の投光器20aが投光した光線は車体CAに遮光される。
【0016】
また、洗車装置50は、車体検知装置60を備えている(図1)。車体検知装置60は、車体フレーム2が車体CAに接触するのを防ぐために設けられている。具体的に、車体検知装置60は、処理フレーム2の前面開口(乗り入れ口)に左右一対で設けられ、車体CAの側面(特にドアミラー)が接触したことを検知して洗車を停止する車幅センサとして機能する。この車体検知装置60は、検知部材としての検知バー61と、支持アーム62と、回動アーム63と、検知スイッチ64とを備えて構成されている。検知バー61は、軟質で長尺に形成され、車幅方向において車体CAと接触することで車体CAを検知する。支持アーム62は、この検知バー61の上端を回動自在に支持する。回動アーム63は、検知バー61の下部に連係される。検知スイッチ64は、回動アーム63の変位によりスイッチングする。
【0017】
検知バー61は、処理フレーム2で洗車可能なあらゆるタイプの車体CAに対応した検知範囲をカバーする長手寸法を有し、車体CAが接触することで支持アーム62を支点にして回動変位するもので、通常は自重により支持アーム62から垂下されている。支持アーム62は、検知バー61を正面視で処理フレーム2の開口よりも内側、平面視で処理フレーム2の開口よりも前側になる位置、つまり車体CAが処理フレーム2と接触する前に車体検知ができる位置に吊下する。回動アーム63は、先端部に設けた連係部材65で検知バー61の下端を所定のクリアランスを持たせて貫通させることで検知バー61に遊嵌するとともに、他端部に設けた作動体66で検知スイッチ64を作動する。
【0018】
また、洗車装置50は、受付ユニット21を備えている。受付ユニット21は、運転手が車体CAから降りずに操作できる位置に操作パネルを備えており、洗車コースの選択や選択した洗車コースの料金精算を行う。また、洗車装置50は、遮断機22を備えている。遮断機22は、遮断桿23を備えており、遮断桿23によって洗車スペース4への入場を制限し、受付ユニット21が操作されて洗車受付が完了すると遮断桿23を開放する。
【0019】
また、洗車装置50は、カメラ装置24を備えている。カメラ装置24は、処理フレーム2とは別個に設けられ、レール8の長さ方向(車長方向)において処理フレーム2の正面側で対向している。本実施形態では、カメラ装置24(例えば、CCDカメラ、CMOSカメラ)は、遮断桿23に配線が通され、遮断桿23が地面と平行となるように降りた状態で、処理フレーム2の真ん中と正対する位置(真正面と対向する位置)に設けられている。カメラ装置24は、処理フレーム2が最も離れた位置(待機位置)と最も近づいた位置(前進限界位置)との間を移動する処理フレーム2を撮影できるように調整されている。遮断桿23にカメラ装置24を取り付けることで、カメラ装置24を設置するために洗車装置50の設置スペースを広げる必要がなくなる。なお、洗車装置50は、カメラ装置24で撮影された画像の振れを補正(いわゆる手ぶれ補正)する機能を備えてもよい。
【0020】
また、洗車装置50は、表示装置25を備えている。表示装置25は、処理フレーム2とは別個に設けられ、レール8の長さ方向において処理フレーム2の背面側で対向している。表示装置25は、運転手に入車案内をするために種々の表示を行う。「前進」表示は、例えば車体CAが洗車位置に行き着いていないことを運転手に伝え、車体CAの前進を促す。「後進」表示は、例えば車体CAが停車位置から行き過ぎたことを運転手に伝え、車体CAの後進を促す。「停止」表示は、例えば正規位置に乗り入れたことを運転手に伝え、車体CAの停止を促す。「右に寄れ」表示は、例えば処理フレーム2の前面開口に対して左に寄りすぎたことを運転手に伝え、右に寄ることを促す。「左に寄れ」表示は、例えば処理フレーム2の前面開口に対して右に寄りすぎたことを運転手に伝え、左に寄ることを促す。なお、洗車装置50は、車体CAと処理フレーム2とが接触する可能性があると判定した際に、表示装置25によって接触を回避するよう入車案内(「右に寄れ」や「左に寄れ」の表示)を行うことができる。
【0021】
また、洗車装置50は、制御部26を備えている(図4)。制御部26は、洗車装置50が備える各装置と電気的に接続されている。図4では矢印で信号の方向を示している。洗車装置50は、制御部26が各装置を制御することで動作する。制御部26は、CPU26aと、RAM26bと、ROM26cと、画像記憶部26dと、画像処理部26eと、メモリカード26fとを備えている。CPU26aは、制御プログラムを実行する制御手段である。RAM26bは、制御プログラムを実行するために一時的に必要なデータを記憶する。ROM26cは、制御プログラムを記憶する。画像記憶装置26dはカメラ装置24で撮影した画像を記憶する記憶手段である。画像処理部26eは、後述するように車体CAと処理フレーム2とが接触したか判定する処理を行う。メモリカード26fは、着脱自在な外部記憶装置である。
【0022】
ここで、本実施形態に係る車体処理方法として洗車装置50の動作方法について説明する。概略すると、洗車装置50の動作方法は、洗車装置50に自動車(車体CA)を案内する入車案内工程と、車体CAを洗浄する洗浄工程と、車体CAを乾燥する乾燥工程と、を含み、この順で工程が行われる。
【0023】
入車案内工程では、まず、洗車装置50に入車される前の状態において、待機位置にいるときの処理フレーム2と、処理フレーム2を前進させた前進限界位置にいるときの処理フレーム2とをカメラ装置24によって撮影する。待機位置および前進限界位置のそれぞれで撮影された画像G1、G2(図5図6)は、画像記憶装置26dに記憶される。これら画像G1、G2は、それぞれ停車位置および前進限界位置にある処理フレーム2を撮影したものであるが、後述の軌跡を算出するためには、処理フレーム2がカメラ装置24から離れた位置にある画像と、近づいた位置にある画像が撮影されればよい。なお、画像G1、G2は、洗車の都度撮影する必要はなく、例えば洗車装置50の設置時に撮影しておけばよい。
【0024】
次いで、これら画像G1、G2から処理フレーム2の移動に伴う検知バー61(検知部材)の所定の箇所の軌跡を画像処理部26eによって算定する。検知バー61は、処理フレーム2の左右一対の脚部のそれぞれに設けられており、それぞれの検知バー61の軌跡T1、T2を算出する(図6)。本実施形態では、検知バー61を地面まで延長させた箇所の軌跡T1、T2を、検知バー61の軌跡として算出する。
【0025】
具体的には、まず、画像G1(図5)からは一方の検知バー61の延長箇所P1(X1、Y1)と、他方の検知バー61の延長箇所P2(X2、Y2)とを抽出する。また、画像G2(図6)からは一方の検知バー61の延長箇所P3(X3、Y3)と、他方の検知バー61の延長箇所P4(X4、Y4)とを抽出する。次いで、一方の検知バー61の軌跡T1を延長箇所P1、P3を通る直線として算出し、他方の検知バー61の軌跡T2を延長P2、P4を通る直線として算出する。算出された軌跡T1、T2の直線式は、画像記憶装置26dに記憶される。その後、洗車装置50は入車待ちの状態となる。
【0026】
次いで、運転手により受付ユニット21で洗車受付が行われると、制御部26は、洗車開始ボタンが押されたことを判断し、遮断機22の遮断桿23を上げて洗車スペース4への入場を許可し、表示装置25の「前進」表示により運転手に車体CAの前進を促す。車体CAが前進していくと、車形センサ19及び停車センサ20が透光状態から停車センサ20が遮光状態となる。これにより、入車されたと判断した、制御部26は、表示装置25の「停止」表示により運転手に車体CAの停止を促し、また遮断桿23を下ろす。
【0027】
次いで、入車された後の車体CAをカメラ装置24によって撮影する。この撮影された画像G3(図7図8)は、画像記憶装置26dに記憶される。ここで、画像G3の理解を容易にするために図7では車体CAを示さず、代わりに車体CA周辺を拡大して図8に示している。入車時において処理フレーム2は待機位置にいるため、処理フレーム2に遮られること無く、車体CAを撮影することができる。
【0028】
次いで、画像G3中の車体CAと軌跡T1、T2とを参照して処理フレーム2の開口の左右方向(車幅方向)における車体CAと処理フレーム2とが接触するか否か判定する。具体的には、まず、図8に示すように、第3画像G3中の車体CAを、これを内包する図形R(ここでは矩形)に置き換える。ここでは、車体CAのタイヤ、左右のサイドミラー、ルーフ面に接するような矩形Rを抽出し、これを車体CAの形状として置き換える。矩形Rは、図8に示すように、左下角部R1、右下角部R2、右上角部R3、左上角部R4を有している。
【0029】
軌跡T1、T2は処理フレーム2の検知バー61、61の軌跡とみなせるため、軌跡T1、T2と矩形Rとの位置関係から、車体CAと処理フレーム2とが接触するか否か判定することができる。本実施形態では、軌跡T1、T2は検知バー61、61を地面まで延長させた箇所の軌跡であるため、地面側に対応する矩形Rの角部R1と角部R2との間の下辺との位置関係で判定している。図7に示すように、矩形Rの下辺が軌跡T1、T2と交差していない場合は、車体CAと処理フレーム2は接触しないと判定できる。他方、図9の画像G4に示すように、矩形Rの下辺が軌跡T1と交差している場合は、車体CAの左側と処理フレーム2は接触すると判定できる。なお、矩形Rの下辺が軌跡T2と交差している場合は、車体CAの右側と処理フレーム2は接触すると判定できる。また、矩形Rの下辺が軌跡T1、T2の両方と交差している場合は、車体CAの両側と処理フレーム2は接触すると判断できる。
【0030】
車体CAの左側がフレーム2と接触すると判定された場合は、運転手に車体CAの右側への移動を促す。例えば、表示装置25で「後進」表示をし、車体CAを後進させた後、表示装置25で「右に寄れ」表示により運転手に車体CAの右側への移動を促す。そして、再度停車された後の車体CAをカメラ装置24によって撮影し、車体CAと処理フレーム2とが接触する可能性があるか判定し、接触しないと判定できれば、洗浄工程、乾燥工程が行われる。本実施形態によれば、車体CAへの洗浄、乾燥処理を開始する前に、車体CAと処理フレーム2とが接触する可能性があるか判定することができ、接触を回避した状態で洗浄、乾燥処理を行うことができる。したがって、洗浄、乾燥処理を途中で中止させることなく、処理を完了させることができる。
【0031】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0032】
前記実施形態では、カメラ装置を遮断機の遮断桿に取り付けた場合について説明した。これに限らず、処理フレームと正対する位置においてカメラ装置を遮断機とは別個に設けることができる。また、カメラ装置を遮断機の支柱に設けることができる。
【0033】
また、前記実施形態では、車体CAが停止している状態で車幅方向における車体と処理フレームとが接触するか否か判定する場合について説明した。これに限らず、入車の途中の車体を撮影することで、入車の途中で表示装置に「右に寄れ」または「左に寄れ」の表示をさせることもできる。これによれば、入車して車体を停止させたときには、車体と処理フレームとの接触を防止することができる。また、車体の両側が処理フレームと接触すると判断される場合には処理フレームによって処理を施すことができないため、その旨を表示装置で案内することもできる。
【符号の説明】
【0034】
2 処理フレーム
8 レール
24 カメラ装置
50 洗車装置(車両処理装置)
61 検知バー(検知部材)
CA 車体
G1、G2、G3 画像
R 図形
T1、T2 軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9