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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】集積装置および集積方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20221128BHJP
   B65G 21/20 20060101ALI20221128BHJP
   B65G 47/28 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B65G47/30 H
B65G21/20 A
B65G47/28 C
B65G47/30 F
B65G47/30 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019139577
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021020799
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】烏山 智光
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-186288(JP,A)
【文献】実開平05-014021(JP,U)
【文献】実公平01-038009(JP,Y2)
【文献】特開2001-233443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/96
B65G 21/20
B65G 57/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に直交する幅方向に並ぶ複数の第1搬送路により複数の集積対象物を搬送する整列部と、
前記整列部により前記搬送方向における位置が揃えられた所定数の前記集積対象物を搬送しながら、前記幅方向の隙間を詰める第1集積部と、を備え、
前記整列部は、
複数の前記集積対象物であって、前記搬送方向の位置が異なり、かつ、連なって搬送される所定数の前記集積対象物の前記搬送方向における位置を揃え、
先行する所定数の前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃えることで第1グループを構成し、
後続の所定数の前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃えることで第2グループを構成し、
前記第1グループを構成する複数の前記集積対象物と、前記第2グループを構成する複数の前記集積対象物とにより、集積体の単位が構成され、
前記第1集積部は、
前記搬送方向の下流に向けて間隔が狭くなる幅方向集積ガイドを有し、
前記幅方向集積ガイドよりも上流に、搬送される複数の前記集積対象物の向きを変える偏向機構を備え、
前記偏向機構は、
前記第1グループを構成する複数の前記集積対象物、および、前記第2グループを構成する複数の前記集積対象物のいずれか一方の前記集積対象物の向きを変える、集積装置。
【請求項2】
前記整列部は、
独立して搬送速度が制御される複数の前記第1搬送路を有し、
複数の前記第1搬送路の前記搬送速度を調整することにより、所定数の前記集積対象物の前記搬送方向における位置を揃える、
請求項1に記載の集積装置。
【請求項3】
前記第1集積部は、複数の前記集積対象物を搬送する第2搬送路を備え、
前記第1集積部の前記第2搬送路に対して前記整列部の複数の前記第1搬送路のいずれかが一体となって走行する、
請求項1または2に記載の集積装置。
【請求項4】
前記第1集積部は、
前記幅方向集積ガイドよりも下流に、
複数の前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃える整列機構を備える、
請求項1~請求項のいずれか一項に記載の集積装置。
【請求項5】
前記幅方向集積ガイドの前記搬送方向の上流または下流に、前記集積対象物の前記搬送方向における隙間を詰める第2集積部を備える、
請求項1~請求項のいずれか一項に記載の集積装置。
【請求項6】
前記第2集積部は、
前記集積対象物の搬送を堰き止める干渉位置と前記集積対象物Pの搬送を許容する退避位置との間を移動する搬送方向集積ガイドを備える、
請求項に記載の集積装置。
【請求項7】
前記幅方向集積ガイドの前記搬送方向の上流または下流に、前記集積対象物の前記搬送方向における集積を行う第2集積部を備え、
前記第2集積部において、
前記第1グループと前記第2グループとの間の前記搬送方向の隙間が詰められる、
請求項に記載の集積装置。
【請求項8】
前記第1集積部は、
初の向きを維持する前記第1グループを構成する複数の前記集積対象物、および、前記偏向機構により向きが変えられた前記第2グループを構成する複数の前記集積対象物のそれぞれが前記幅方向集積ガイドを順に通過することにより、前記搬送方向と直交する前記幅方向の集積が行われる、
請求項に記載の集積装置。
【請求項9】
前記整列部において、
前記第1グループを構成する複数の前記集積対象物を、隣り合う前記第1搬送路で搬送し、
前記第2グループを構成する複数の前記集積対象物を、隣り合う前記第1搬送路のいずれか、および、隣り合う前記第1搬送路に隣接する前記第1搬送路で搬送する、
請求項7または請求項8に記載の集積装置。
【請求項10】
複数の前記集積対象物Pを前記搬送方向に搬送する、独立して搬送速度が制御される4列の前記第1搬送路を有する前記整列部を、前記第1集積部よりも上流に備え、
前記第1グループを構成する3つの前記集積対象物が、4列の前記第1搬送路のうちの3列の前記第1搬送路で搬送され、
前記第2グループを構成する2つの前記集積対象物が、4列の前記第1搬送路のうちの2列の前記第1搬送路で搬送され、
4列の前記第1搬送路の前記搬送速度を調整することにより、前記第1グループを構成
する3つの前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃え、かつ、前記第2グループを構成する2つの前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃える、
請求項7~請求項9のいずれか一項に記載の集積装置。
【請求項11】
搬送方向に直交する幅方向に並ぶ複数の第1搬送路により複数の集積対象物を搬送する整列ステップと、
前記整列ステップにより前記搬送方向における位置が揃えられた所定数の前記集積対象物を搬送しながら、前記幅方向の隙間を詰める第1集積ステップと、を備え、
前記整列ステップは、
複数の集積対象物であって、前記搬送方向の位置が異なり、かつ、連なって搬送される所定数の前記集積対象物の前記搬送方向における位置を揃え、
先行する所定数の前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃えることで第1グループを構成し、
後続の所定数の前記集積対象物の前記搬送方向の位置を揃えることで第2グループを構成し、
前記第1グループを構成する複数の前記集積対象物と、前記第2グループを構成する複数の前記集積対象物とにより、集積体の単位が構成され、
第1集積ステップは、
前記第1グループを構成する複数の前記集積対象物、および、前記第2グループを構成する複数の前記集積対象物のいずれか一方の前記集積対象物の向きを変えた後に、
前記搬送方向の下流に向けて間隔が狭くなる幅方向集積ガイドにより前記幅方向の隙間を詰める、集積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単列で搬送されてくる物品を所定の集積パターンで集積する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
缶に充填された飲料製品は、一例として、6本の単位で1パックが形成され、さらに5パックの単位で箱詰めされて流通される。一例として、3パックが同じ向きに配列され、他の2パックがこの3パックと直交する向きに配列される所定のパターンに集積された後に箱詰めされる。上流の工程で形成されるパックは、通常、単列をなして搬送されてくる。したがって、箱詰めする前にパックは複数列に振り分けられるとともに、一部のパックは単列で搬送されてきたときとは向きが変更されてから集積される。
【0003】
従来、集積対象物を所定のパターンに集積する装置として、特許文献1に開示される装置がある。特許文献1の集積装置は、搬送コンベヤによって単列で順次供給される集積対象物を、左右一対のバーチカルコンベヤで一旦堰き止める。そして、バーチカルコンベヤを駆動させてきつく詰めた状態で一列に整列した物品を搬送し、さらにプッシャによって搬送方向と直交する方向に押し出してn×m個の集積を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-312836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の集積装置は、所定の集積パターンを形成するのに、一列に整列した物品を、プッシャで複数回押し出す必要がある。例えば、3個×3個の集積パターンを形成するには、3個が一列に整列した集積対象物をプッシャで3回押し出す必要がある。したがって、特許文献1の集積装置は所定の集積パターンを形成するのに迅速性が欠ける。
以上より、本発明は、所定の集積パターンを迅速に形成できる集積装置および集積方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の集積装置は、搬送方向に直交する幅方向に並ぶ複数の第1搬送路により複数の集積対象物を搬送する整列部と、整列部により搬送方向における位置が揃えられた所定数の集積対象物を搬送しながら、幅方向の隙間を詰める第1集積部と、を備える。
本発明における整列部は、複数の集積対象物であって、搬送方向の位置が異なり、かつ、連なって搬送される所定数の集積対象物の搬送方向における位置を揃える。
本発明における第1集積部は、搬送方向の下流に向けて間隔が狭くなる幅方向集積ガイドを有する。
【0007】
本発明における整列部は、好ましくは、独立して搬送速度が制御される複数の搬送路を有し、複数の搬送路の搬送速度を調整することにより、所定数の集積対象物の搬送方向における位置を揃える。
【0008】
本発明における第1集積部は、好ましくは、幅方向集積ガイドよりも上流に、搬送される複数の集積対象物の向きを変える偏向機構を備える。
本発明における第1集積部は、好ましくは、複数の集積対象物を搬送する第2搬送路を備え、第1集積部の第2搬送路に対して整列部の複数の第1搬送路のいずれかが一体となって走行する。
本発明における第1集積部は、好ましくは、幅方向集積ガイドよりも下流に、複数の集積対象物の搬送方向の位置を揃える整列機構を備える。
【0009】
本発明において、好ましくは、幅方向集積ガイドの搬送方向の上流または下流に、集積対象物の搬送方向における隙間を詰める第2集積部を備える。
本発明の第2集積部は、好ましくは、集積対象物の搬送を堰き止める干渉位置と集積対象物Pの搬送を許容する退避位置との間を移動する搬送方向集積ガイドを備える。
【0010】
本発明における整列部は、好ましくは、先行する所定数の集積対象物の搬送方向の位置を揃えることで第1グループを構成し、後続の所定数の集積対象物の前記搬送方向の位置を揃えることで第2グループを構成する。
【0011】
本発明において、好ましくは、第1グループを構成する複数の集積対象物と、第2グループを構成する複数の集積対象物とにより、集積体の単位が構成される。この第1集積部は、好ましくは、幅方向集積ガイドよりも上流に、搬送される複数の集積対象物の向きを変える偏向機構を備える。この偏向機構は、好ましくは、第1グループを構成する複数の集積対象物、および、第2グループを構成する複数の集積対象物のいずれか一方の集積対象物の向きを変える。
【0012】
本発明において、好ましくは、幅方向集積ガイドの搬送方向の上流または下流に、集積対象物の搬送方向における集積を行う第2集積部を備える。この第2集積部において、好ましくは、第1グループと第2グループとの間の搬送方向の隙間が詰められる。
【0013】
本発明における第1集積部は、好ましくは、幅方向集積ガイドよりも上流に、搬送される複数の集積対象物の向きを変える偏向機構を備える。本発明における第1集積部は、好ましくは、当初の向きを維持する第1グループを構成する複数の集積対象物、および、偏向機構により向きが変えられた第2グループを構成する複数の集積対象物のそれぞれが幅方向集積ガイドを順に通過することにより、搬送方向と直交する幅方向の集積が行われる。
【0014】
本発明における整列部において、好ましくは、第1グループを構成する複数の集積対象物を、隣り合う搬送路で搬送し、第2グループを構成する複数の集積対象物を、隣り合う搬送路のいずれか、および、隣り合う搬送路に隣接する搬送路で搬送する。
【0015】
本発明において、好ましくは、複数の集積対象物を搬送方向に搬送する、独立して搬送速度が制御される4列の搬送路を有する整列部を、第1集積部よりも上流に備える。好ましくは、第1グループを構成する3つの集積対象物が、4列の搬送路のうちの3列の搬送路で搬送され、第2グループを構成する2つの集積対象物が、4列の搬送路のうちの2列の搬送路で搬送される。4列の搬送路の搬送速度を調整することにより、第1グループを構成する3つの集積対象物の搬送方向の位置を揃え、かつ、第2グループを構成する2つの集積対象物の搬送方向の位置を揃える、ことができる。
【0016】
本発明は、幅方向に並ぶ複数の搬送路を連続的に搬送される複数の集積対象物の中の連続する所定数の集積対象物の前記搬送方向における位置を揃える整列ステップと、整列ステップにより搬送方向における位置が揃えられた所定数の集積対象物を搬送しながら、幅方向の隙間を詰める第1集積ステップと、を備える、集積方法を提供する。
本発明における集積方法は、第1集積ステップの搬送方向における上流または下流に、集積対象物の搬送方向の隙間を詰める第2集積ステップを備えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の集積装置によれば、複数の集積対象物が一方向に搬送される過程で、第1集積部の幅方向集積ガイドを通過することで、幅方向搬送方向の集積が行われる。このとき、プッシャの複数回の往復移動といった動作を必要としない。したがって、集積装置によれば、所定パターンの集積を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る集積装置の概略構成を示す平面図である。
図2】本実施形態に係る集積装置における整列機構を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図3】本実施形態に係る集積装置の整列部および第1集積部における整列および幅方向の集積の手順を(a)、(b)、(c)の順に示す平面図である。
図4図3に続いて、本実施形態に係る集積装置の整列部および第1集積部における整列および幅方向の集積の手順を(a)、(b)、(c)の順に示す平面図である。
図5図4に続いて、本実施形態に係る集積装置の整列部および第1集積部における整列および幅方向の集積の手順を(a)、(b)、(c)の順に示す平面図である。
図6】本実施形態に係る集積装置の整列機構における動作を(a)、(b)、(c)の順に示す側面図である。
図7】本実施形態に係る集積装置の整列機構における動作を(a)、(b)、(c)の順に示す側面図である。
図8】本実施形態に係る集積装置の第2集積部50における集積の手順を(a)、(b)、(c)の順に示す側面図である。
図9】本発明に係る集積装置のレイアウトの例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る集積装置1および集積装置1による集積方法について説明する。
集積装置1は、簡易な構成でありながら、集積体Gを迅速に形成することができる。
[集積装置1の全体構成]
集積装置1は、図1に示すように、上流(U)から整列部10と、整列部10の下流(D)に設けられる第1集積部30と、第1集積部30の下流(D)に設けられる第2集積部50と、を備える。集積装置1は、整列部10、第1集積部30および第2集積部50の動作を司る制御部70を備える。
なお、集積装置1において、図1に示すように、上流(U)および下流(D)は集積対象物Pの搬送方向(T)を基準にして特定される。ただし、上流(U)および下流(D)は、相対的な意味を含んでいる。また、集積装置1において、図1に示すように、搬送方向(T)に直交する方向を幅方向(W)という。
【0020】
[各構成の動作概略]
(整列部10の動作)
整列部10は、上流(U)から複数のN列とされた集積対象物Pを受け取る。N列とされた集積対象物Pは、搬送方向(T)の位置がずれた状態で上流(U)から受け渡される。整列部10は、受け取った集積対象物Pを、所定数n個(n1個+n2個)の単位で整列させる。より具体的には、n個のうちで、先行するn1個について搬送方向(T)の位置ずれを解消して整列させる。また、n個のうちで後続のn2個については、n1個の集積対象物Pよりも上流(U)において、搬送方向(T)の位置ずれを解消して整列させる。つまり、整列部10は、n1個の単位で連なって搬送されてきた集積対象物Pを整列させた後に、n2個の単位で連なって搬送されてきた集積対象物Pを整列させる動作を繰り返す。これにより、n1個の集積対象物Pで構成される第1グループG1とn2個の集積対象物Pで構成される第2グループG2が生成させる。
整列部10において整列された集積対象物Pは、幅方向(W)に隣接する集積対象物Pの間には隙間が空いている。
本実施形態においては一例として、複数列N=4、整列の単位n=5、整列の単位n1=3および整列の単位n2=2が採用される。これらの例は、図3図5に示されている。
【0021】
(第1集積部30の動作)
第1集積部30は、整列部10においてn1個の単位とn2個の単位で整列された集積対象物Pの幅方向(W)の隙間をなくす、つまり隙間を詰めて集積させる。第1集積部30は、典型的には、隣接する集積対象物Pが接するまで幅方向(W)の隙間を詰める。第1集積部30において、n1個の集積対象物Pの第1グループG1とn2個の集積対象物Pの第2グループG2は、それぞれの幅方向(W)の隙間は詰められるが、搬送方向(T)における第1グループG1と第2グループG2の隙間は維持される。つまり、第1集積部30は、集積対象物Pを幅方向(W)に集積させる。第1グループG1、第2グループG2は、図3図5に示されている。
【0022】
(第2集積部50の動作)
次に、第2集積部50は、第1グループG1と第2グループG2の搬送方向(T)の隙間を詰めて集積させる。第1集積部30は、典型的には、第1グループG1と第2グループG2が接するまで搬送方向(T)の隙間を詰める。つまり、第2集積部50は、第1集積部30において幅方向(W)に集積された第1グループG1と第2グループG2を搬送方向(T)に集積させる。
【0023】
[集積装置1の構成]
整列部10、第1集積部30および第2集積部50の動作の概略は以上の通りであるが、これらの動作を実現する整列部10、第1集積部30および第2集積部50の構成を順に説明する。
【0024】
(整列部10の構成)
整列部10は、図1に示すように、上流(U)から下流(D)に向けて集積対象物Pを連続的に搬送する搬送路11と、搬送路11を駆動する駆動源である電動機M1~M4と、搬送路11で搬送される集積対象物Pを検出する検出器15と、を備える。
搬送路11は、第1搬送路11A、第2搬送路11B、第3搬送路11Cおよび第4搬送路11Dと4つの搬送路から構成される。第1搬送路11A~第4搬送路11Dは互いに平行をなして幅方向(W)に並んで配置される。第1搬送路11A~第4搬送路11Dは、例えばコンベア装置から構成される。後述する搬送路31、搬送路51も同様である。本実施形態において、第1搬送路11A~第4搬送路11Dは同じ幅(w1)を有している。
搬送路11の中で第2搬送路11Bは第1集積部30の搬送路31と繋がっており、第2搬送路11Bと搬送路31は一体となって走行する。なお、ここでは第2搬送路11Bと搬送路31が一体となって走行する例を示したが、第1搬送路11A、第3搬送路11Cおよび第4搬送路11Dのいずれかと搬送路31が一体となって走行することもできる。
【0025】
駆動源は、図1に示すように、第1電動機M1、第2電動機M2、第3電動機M3および第4電動機M4と4つの電動機から構成される。第1電動機M1は第1搬送路11Aを駆動し、第2電動機M2は第2搬送路11Bを駆動し、第3電動機M3は第3搬送路11Cを駆動し、第4電動機M4は第4搬送路11Dを駆動する。ただし、第2電動機M2は搬送路31とともに第2搬送路11Bを駆動する。
第1搬送路11A~第4搬送路11Dは、それぞれに独立した第1電動機M1~第4電動機M4が接続されているので、同じ速度で駆動されることもあれば異なる速度で駆動されることもある。特に、整列部10の機能を実現するためには、第1電動機M1~第4電動機M4が異なる速度で運転されることが必要である。
【0026】
検出器15は、図1に示すように、第1検出器15A、第2検出器15B、第3検出器15Cおよび第4検出器15Dと4つの検出器から構成される。第1検出器15Aは第1搬送路11Aで搬送される集積対象物Pを検出し、第2検出器15Bは第2搬送路11Bで搬送される集積対象物Pを検出する。第3検出器15Cは第3搬送路11Cで搬送される集積対象物Pを検出し、第4検出器15Dは第4搬送路11Dで搬送される集積対象物Pを検出する。第1検出器15A~第4検出器15Dは、図1に示すように、搬送方向(T)において同じ位置に配置される。第1検出器15A~第4検出器15Dは、第1搬送路11A~第4搬送路11Dの上方において、搬送方向(T)の同じ位置に配置される。
【0027】
第1検出器15A~第4検出器15Dのそれぞれが集積対象物Pを検出したことの情報は制御部70に送られる。制御部70は、取得した検出情報に基づいて、第1搬送路11A~第4搬送路11Dの搬送速度および偏向機構33の動作などを制御する。
第1検出器15A~第4検出器15Dの方式は集積対象物Pを検出できる限り任意であり、例えば光学式のセンサを用いることができる。
【0028】
(第1集積部30の構成)
次に、第1集積部30について説明する。
第1集積部30は、図1に示すように、搬送路31と、第2グループG2の搬送方向(T)の向きを90度だけ変える偏向機構33と、を備える。また、第1集積部30は、搬送路31の幅方向(W)の両側に設けられ、所定位置に固定される幅方向集積ガイド35と、第1グループG1と第2グループG2のそれぞれの搬送方向(T)の位置を揃える整列機構37と、を備える。
【0029】
搬送路31は、整列部10から受け渡された集積対象物Pを下流(D)に向けて搬送する。搬送路31の幅(w2)は、本実施形態においては、搬送路11の幅(4×w1)と一致する。
搬送路31は、整列部10の第2搬送路11Bと連なっており、第2電動機M2により第2搬送路11Bと同じ速度で駆動される。
【0030】
偏向機構33は、搬送路31を搬送される集積対象物Pのうちで、第2グループG2に属する集積対象物Pの向きを90度だけ変更する。本実施形態において、第2グループG2に属する集積対象物Pは第2搬送路11Bと第4搬送路11Dを搬送されてくる。したがって、図1に示すように、偏向機構33は第2搬送路11Bと第4搬送路11Dに対応する、搬送路31上の位置に設けられる。
偏向機構33は、回転軸33Aを中心にして回転する連結辺33Bと、連結辺33Bの先端に設けられる押圧体33Cと、を備えている。図示を省略する電動機により連結辺33Bが一回転する間に押圧体33Cが集積対象物Pを押すことで、集積対象物Pの向きを90度だけ変える。
【0031】
幅方向集積ガイド35は、第1グループG1に属するn1個の集積対象物Pの幅方向(W)の隙間を詰め、かつ、第2グループG2に属するn2個の集積対象物Pの幅方向(W)の隙間を詰める。
幅方向集積ガイド35は、搬送路31の幅方向(W)の両側に設けられている。第1グループG1に属する集積対象物Pおよび第2グループG2に属する集積対象物Pが順に通過する過程で、幅方向(W)の両側から当該集積対象物Pに接することで、幅方向(W)の隙間が狭くなる。
【0032】
幅方向集積ガイド35は、上流(U)の側から導入ガイド35Aと、導入ガイド35Aに連なる傾斜ガイド35Bと、傾斜ガイド35Bに連なる排出ガイド35Cと、からなる。導入ガイド35Aと排出ガイド35Cは、搬送方向(T)と平行をなしているのに対して、傾斜ガイド35Bは搬送方向(T)に対して傾斜している。傾斜ガイド35Bは、搬送路31の幅方向(W)の中心に近づくように傾斜している。
【0033】
以上の構成を備える幅方向集積ガイド35が搬送路31の幅方向(W)の両側に設けられるので、傾斜ガイド35B,35Bの間の間隔が上流(U)から下流(D)に向けて狭くなる。したがって、第1グループG1に属する集積対象物Pおよび第2グループG2に属する集積対象物Pは、傾斜ガイド35B,35Bを通過する過程で傾斜ガイド35B,35Bに接触することにより、幅方向(W)の隙間が詰められる。
【0034】
導入ガイド35Aと導入ガイド35Aの間隔Wa、排出ガイド35Cと排出ガイド35Cの間隔Wcは以下のように設定される。
間隔Waは、幅方向集積ガイド35に受け渡される第1グループG1に属する集積対象物Pおよび第2グループG2に属する集積対象物Pが幅方向(W)に占める寸法よりも大きく設定される。また、間隔Wcは、集積された第1グループG1に属する集積対象物Pおよび第2グループG2に属する集積対象物Pが幅方向(W)に占める寸法と同等である。
【0035】
整列機構37は、第1グループG1に属するn1個の集積対象物Pの搬送方向(T)における位置を揃え、かつ、第2グループG2に属するn2個の集積対象物Pの搬送方向(T)における位置を揃える。
整列機構37は一例として、図1に示すように、幅方向集積ガイド35より下流(D)に設けられている。整列機構37は、図2に示すように、無端ベルト39と、無端ベルト39に取付けられた複数のフライトバー41とを備えている。無端ベルト39は、ここでは4つのプーリ43に掛け回されており、第5電動機M5が回転駆動することにより、無限軌道上を走行する。
【0036】
図2に示すように、整列機構37のフライトバー41は、その軸線方向を幅方向(W)に向けた状態で、搬送路31の上方において循環するようになっている。フライトバー41は、搬送方向(T)に移動するが、この移動速度V41が搬送路31の搬送速度V31よりも遅く設定されている。したがって、それぞれのフライトバー41は、第1グループG1に属する集積対象物Pおよび第2グループG2に属する集積対象物Pが突き当たると、搬送路31による搬送を堰き止める。これにより、搬送方向(T)における位置がずれていた集積対象物Pがあったとしても、搬送方向(T)における位置が揃うようになっている。
以上の通りであり、第1集積部30を通過すると、第1グループG1に属する集積対象物Pおよび第2グループG2に属する集積対象物Pは、幅方向(W)における集積がなされるが、搬送方向(T)においては、第1グループG1と第2グループG2の間に隙間が空けられている。これらの集積対象物Pはこの状態を保ったままで、第2集積部50に向けて搬送される。
【0037】
(第2集積部50の構成)
次に、第2集積部50について説明する。
第2集積部50は、図1および図6,7に示すように、搬送路51と、搬送路51を駆動する第6電動機M6と、搬送路51の上を昇降する搬送方向集積ガイド55と、を備える。
搬送路51は、第1集積部30から受け渡される集積対象物Pを下流(D)に向けて搬送する。搬送路51の幅w3は、幅方向(W)に集積された集積対象物Pが幅方向(W)に占める寸法以上である。搬送路51は、第6電動機M6により速度V51で走行する。この速度V51は搬送路31の搬送速度V31と同じである。
【0038】
搬送方向集積ガイド55は、搬送方向(T)に隙間を空けて搬送されてくる第1グループG1と第2グループG2の隙間を詰めることで、第1グループG1と第2グループG2を搬送方向(T)に集積させる。具体的には、搬送方向集積ガイド55は降下することで、先行して搬送されてくる第1グループG1が搬送方向集積ガイド55に堰き止められる。搬送方向集積ガイド55が降下した位置を干渉位置という。これにより、第1グループG1の搬送が停止する。搬送路51は走行し続けるので、第1グループG1は搬送路51と摺動する一方、第2グループG2の搬送は継続して行われる。
【0039】
搬送方向集積ガイド55は、停止している第1グループG1に第2グループG2が追いついて接触するまで、干渉位置に留まっている。第1グループG1に第2グループG2が追いつくと第1グループG1と第2グループG2の搬送方向(T)における集積が終わる。
第1グループG1に第2グループG2が追いついた後に、搬送方向集積ガイド55は第1グループG1と干渉しない位置まで上昇する。この位置を退避位置という。搬送方向集積ガイド55が退避位置に上昇すると、第1グループG1と第2グループG2が幅方向(W)および搬送方向(T)の双方に集積された集積体Gとなって下流(D)に向けて搬送される。
図6および図7において、干渉位置にいる搬送方向集積ガイド55を実線で示し、退避位置にいる搬送方向集積ガイド55を破線で示している。
【0040】
ここで、集積体Gは3つの集積対象物Pからなる第1グループG1と2つの集積対象物Pからなる第2グループG2を集積体Gとして箱詰めの単位とする。集積体Gは、図8(c)に示すように、第1グループG1を構成する3つの集積対象物Pは長辺が搬送方向(T)に沿い、第2グループG2を構成する2つの集積対象物Pは長辺が幅方向(W)に沿うように集積される。これを第1集積要件という。集積対象物Pの長辺が搬送方向(T)に沿うことを縦向きと称し、集積対象物Pの長辺が幅方向(W)に沿うことを横向きと称することがある。次に、集積体Gにおいて、第1グループG1が下流(D)に置かれ、第2グループG2上流(U)に置かれる。これを第2集積要件という。これら集積の要件は、後に集積体Gを箱詰めするのに必要な要件であるが、これ以外の集積の要件にしたがって本発明を実施することもできる。
【0041】
[上流側の装置]
集積装置1の上流側には、図1に示すように、集積対象物Pを単列で搬送する上流搬送路80と、上流搬送路80を単列で搬送されてきた集積対象物PをN列、本実施形態においては4列に振り分ける振分装置90と、を備える。単列で搬送されてきた集積対象物Pを順番に4列に振り分けるので、振り分けられた集積対象物Pは搬送方向(T)の位置がずれて搬送路11で搬送される。
上流搬送路80および振分装置90はその機能を果たす限りその構成は任意である。
【0042】
[集積装置1の集積動作]
次に、図3図5を参照して、集積装置1の集積動作を説明する。
図3図5において、第1搬送路11A、第2搬送路11B、第3搬送路11Cおよび第4搬送路11Dによる集積対象物Pの搬送速度をVa、Vb、Vc、Vdとする。また、図3図5は、集積装置1の動作の理解を容易にするために、1つの第1グループG1と1つの第2グループG2だけを取り上げるが、実際には第1グループG1と第2グループG2の集積動作が連続して行われる。
なお、図3図5には集積動作の説明に不要な要素を省いている。
【0043】
(整列部10における動作)
図3(a)、(b)に示すように、上流(U)の振分装置90で4列に振り分けられた集積対象物Pが、例えば箱詰めされる単位である5つの集積対象物Pが搬送路11(第1搬送路11A~第4搬送路11D)を搬送される。
【0044】
前述したように、本実施形態においては、第1集積要件および第2集積要件を満たす必要がある。図3(b)における5つの集積対象物Pの4列への振り分けはこれら要件を満たすために行われる。つまり、図3(b)において、第1グループG1を構成する3つの集積対象物P1,P2,P3が第1搬送路11A~第3搬送路11Cを縦向きで搬送される。そして、3つの集積対象物P1,P2,P3が第1搬送路11A~第3搬送路11Cを通過しても縦向きが維持されることで、第1集積要件が満たされる。また、第1グループG1が第2グループG2を構成する集積対象物P4,P5より先行して搬送されることで、第2集積要件が満たされる。
【0045】
ただし、第2グループG2を構成する集積対象物P4,P5は、当初は縦向きで搬送されている。そこで、下流(D)にある搬送路31において、集積対象物P4,P5は90度だけ向きが変更されることで、第1集積要件における横向きを満たす。集積対象物P4、集積対象物P5がそれぞれ第4搬送路11D、第2搬送路11Bを搬送されるのは、90度だけ向きが変更された後の幅方向(W)の集積のための移動量を抑えるためである。つまり、集積対象物P4、集積対象物P5を搬送する搬送路をこのように特定することにより、向きが変更された後に、第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3と集積対象物P4、P5との幅方向(W)における位置が近い。
【0046】
つまり、整列部10において、第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3を、隣り合う第1搬送路11A~第3搬送路11Cで搬送する。また、第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5を、隣り合う第1搬送路11A~第3搬送路11Cのいずれか、および、隣り合う第1搬送路11A~第3搬送路11Cに隣接する第4搬送路11Dで搬送する。
【0047】
さて、整列部10における役割は、搬送方向(T)に位置がずれて受け渡される集積対象物Pの位置ずれを解消し、整列した状態として第1集積部30に受け渡すことである。整列は、第1グループG1および第2グループG2のそれぞれの単位でなされる。第1グループG1および第2グループG2のそれぞれを構成する集積対象物Pの搬送方向(T)の位置を揃えることにより、第1グループG1および第2グループG2を区分することを意味する。
【0048】
さて、図3(a)、(b)に示すように、当初には集積の単位をなす5つの集積対象物Pは、順番に振分けされるので、振分けに必要な時間に対応する距離だけ搬送方向(T)に隙間が空いて位置がずれている。そこで、第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3においては、それぞれの搬送速度Va、Vb、Vcを、Vc<Va<Vbとする。つまり、先頭を搬送される集積対象物P1が集積対象物P2が追いつかれ、かつ、後尾の集積対象物P3が集積対象物P2に追い付くように搬送速度Va、Vb、Vcを調整する。そうすることで、図3(c)、図4(a)に示すように、搬送路11の下流端において、集積対象物P1、P2、P3の搬送方向(T)における位置を揃える整列ステップが行われる。こうして整列された第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3は第1集積部30に受け渡される。ただし、この時点では集積対象物P1と集積対象物P2の間、集積対象物P2と集積対象物P3の間には幅方向(W)に隙間が空いている。
【0049】
次に、第2グループG2を構成する集積対象物P4および集積対象物P5について、図4(a)に示すように、集積対象物P4が集積対象物P5に先行して搬送される。そこで、集積対象物P4、P5においては、それぞれの搬送速度Vd、Veを、Vd<Veとする。ただし、集積対象物P5は第2搬送路11Bにより搬送されるので、Ve=Vbである。つまり、先行して搬送される集積対象物P4に集積対象物P5が追い付くように搬送速度Vd、Vbを調整する。そうすることで、図4(a)~図4(c)に示すように、搬送路11の下流端において、集積対象物P4、P5の搬送方向(T)における位置を揃える整列ステップが行われる。こうして整列された第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5は第1集積部30に受け渡される。ただし、この時点では集積対象物P4と集積対象物P5の間には幅方向(W)に隙間が空いている。また、先行する第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3と後続の第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5との間には搬送方向(T)に隙間が空いている。
【0050】
集積対象物P1に集積対象物P2,P3が追い付くための搬送速度Va、Vb、Vcの調整、集積対象物P4に集積対象物P5が追い付くための搬送速度Vd、Veの調整は、第1検出器15A~第4検出器15Dにおける検出情報が用いられる。第1検出器15A~第4検出器15Dから搬送路11の下流端までの距離(L)は既知である。したがって、制御部70は、検出情報と距離(L)を用いて、搬送路11の下流端において集積対象物P1,P2,P3が整列し、また、集積対象物P4,P5が整列するのに必要な、搬送速度Va、Vb、Vc、Vd、Veを演算により求める。集積対象物P1,P2,P3についての具体的な演算例は以下の通りである。以下の演算例は本発明において採用され得る演算の一例に過ぎず、本発明は他の演算手法を採用することを許容する。
【0051】
この演算例は搬送速度Vb、つまり集積対象物P3の搬送速度が一定である。これに対して、搬送速度Vaおよび搬送速度Vcは可変であり、可変される前の搬送速度をVa1および搬送速度Vc1とし、可変された後の搬送速度をVa2および搬送速度Vc2とする。
【0052】
集積対象物P1,P2,P3はこの順に第1検出器15A~第3検出器15Cで検出されるが、検出されたそれぞれの時間をt1,t2,t3とする。
集積対象物P3が検出されてから搬送路11の下流端に到着するまでに要する時間tは、以下の式(1)により特定される。
時間t=L/Vb…式(1)
集積対象物P3が検出された時の集積対象物P1,P2の第1検出器15A~第2検出器15Bからの距離L1,L2は、以下の式(2)、(3)により特定される。また、それぞれが搬送路11の下流端に到着するまでに走行すべき距離ΔL1,ΔL2は以下の式(4)、(5)により特定される。
距離L1:(t3-t1)×Vc1…式(2)
距離L2:(t3-t2)×Va2…式(3)
距離ΔL1:L-L1=L-(t3-t1)×Vc1…式(4)
距離ΔL2:L-L2=L-(t3-t2)×Va2…式(5)
【0053】
集積対象物P1,P2は、式(1)で特定される時間tの間に、それぞれが距離ΔL1,ΔL2だけ走行することにより、搬送路11の下流端において集積対象物P3と整列される。つまり、搬送速度をVa2および搬送速度Vc2は、以下の式(6),(7)により特定される。
搬送速度Va2:ΔL1/t=(L-(t3-t1)×Vc1)/t…式(6)
搬送速度Vc2:ΔL2/t=(L-(t3-t2)×Va2)/t…式(7)
【0054】
(第1集積部30における動作)
さて、図4(b)、(c)に示すように、搬送路11で整列した状態をほぼ維持しながら、第1グループG1は第1集積部30を移送される。さらに第1グループG1が下流(D)に向けて搬送されると、図5(a),(b)に示すように第1グループG1の集積対象物P1が幅方向集積ガイド35の傾斜ガイド35Bに突き当たる。一方で、図5(a)に示すように、偏向機構33まで搬送された集積対象物P4、P5は、偏向機構33の回転動作により向きが変えられる。なお、ここでは集積対象物P4、P5の向きを変える例を示したが、集積対象物P4、P5の向きを変えずに集積対象物P1,P2,P3の向きを変えて集積することもできるし、いずれの集積対象物Pの向きを変えないで集積することもできる。
【0055】
さらに第1集積部30における搬送が進むと、図5(b)に示すように、第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3は排出ガイド35Cまで達することで、幅方向(W)の隙間が詰められる。これで、第1グループG1の幅方向(W)の第1集積ステップは終わる。こうしている間に、第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5も幅方向集積ガイド35の中を進み、図5(b)に示すように、第2グループG2が排出ガイド35Cまで達すると第2グループG2の幅方向(W)の第1集積ステップは終わる。ただし、第1グループG1と第2グループG2の間には搬送方向(T)に隙間が空いている。
第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3と第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5は、幅方向(W)の両側から負荷を与えることにより、幅方向(W)の集積がなされる。
【0056】
ここで、第1集積部30に設けられている整列機構37の動作を、図6を参照して説明する。
整列機構37には、図6(a)に示すように、第1グループG1が先行して搬送される。搬送路31における集積対象物Pの搬送速度V31と整列機構37におけるフライトバー41の移動速度V41は、V41<V31の関係を有する。したがって、図6(b)、(c)に示すように、第1グループG1および第2グループG2はそれぞれ対応するフライトバー41に堰き止められる。これにより、第1グループG1および第2グループG2はそれぞれが対応するフライトバー41に押し付けられる結果、搬送方向(T)の位置合わせがなされる。こうして位置合わせされた第1グループG1および第2グループG2は第2集積部50に受け渡される。
【0057】
(第2集積部50)
次に、第2集積部50における搬送方向(T)における集積の動作を図7および図8を参照して説明する。
第1集積部30の整列機構37において整列された第1グループG1と第2グループG2は搬送方向(T)に隙間を空けた状態で第2集積部50に受け渡される。第2集積部50の搬送路51の上方には搬送方向集積ガイド55が設けられており、第1グループG1が到達する前にこの搬送方向集積ガイド55が干渉位置まで降下する。そうすると、第1グループG1が搬送方向集積ガイド55に接触し搬送が堰き止められる(図7(b)、図8(b))。次いで、第2グループG2が第1グループG1に追い付くので、第1グループG1を介して第2グループG2の搬送が搬送方向集積ガイド55により堰き止められる(図7(c)、図8(c))。
以上のようにして、第2集積部50における搬送方向(T)の第2集積ステップが終わる。
【0058】
[集積装置1の効果]
次に、集積装置1が奏する効果を説明する。
集積装置1は、複数の集積対象物Pが搬送される一方向に搬送される過程で、幅方向集積ガイド35を通過し、かつ、搬送方向集積ガイド55で搬送が堰き止められることで、幅方向(W)および搬送方向(T)の集積が行われる。このとき、プッシャの複数回の往復移動といった動作を必要としない。したがって、集積装置1によれば、所定パターンの集積を迅速に行うことができる。
【0059】
また、集積装置1は、独立して速度を制御できる第1搬送路11A~第4搬送路11Dを備えている。これにより、搬送方向(T)の位置がずれて受け渡された第1グループG1、第2グループG2を構成する集積対象物Pであっても、搬送方向(T)の位置ずれをなくして幅方向(W)に整列させることができる。その後は、搬送路31による搬送の過程で第1グループG1、第2グループG2が幅方向集積ガイド35を通過するだけで、幅方向(W)の集積を終えることができる。また、集積装置1によれば、搬送されてくる第1グループG1および第2グループG2が突き当たる搬送方向集積ガイド55を干渉位置に配置すれば搬送方向(T)の集積を実現できる。したがって、集積装置1が整列部10を備えることにより、所定パターンの集積をより迅速に行うことができる。
【0060】
また、集積装置1は、第1集積部30を構成する幅方向集積ガイド35は位置が固定されている。したがって、集積装置1は、可動するガイドを設けるのに比べて構成が簡易である。
【0061】
また、集積装置1は、第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3および第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5の、搬送路11における配列を特定する。これにより、5つの集積対象物Pを搬送するのに対して4つの第1搬送路11A~第4搬送路11Dを設ければ足りる。これにより、集積装置1の幅方向(W)の寸法を抑えることができる。
しかも、集積装置1は、搬送路11を通過した後に第2グループG2を構成する集積対象物P4、P5の向きを変える。つまり、搬送路11においては幅方向(W)の寸法が小さい縦向きで集積対象物P4、P5を搬送できるので、第2搬送路11Bおよび第4搬送路11Dの幅方向(W)の寸法を横向きに対応するように大きくする必要がない。
【0062】
また、集積装置1の搬送路11において、第2グループG2を構成する集積対象物P4を集積対象物P1に隣接する第4搬送路11Dを搬送するとともに集積対象物P5を集積対象物P3と同じ第2搬送路11Bを搬送する。したがって、第1集積部30において集積対象物P4および集積対象物P5の向きを90度だけ変えれば、第1グループG1を構成する集積対象物P1、P2、P3と集積対象物P4および集積対象物P5とは幅方向(W)における位置が近い。これにより、第1グループG1と第2グループG2の幅方向(W)における相対的な移動量を最小限に抑えることができるので、第1集積部30における搬送方向(T)方向の寸法を抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態において、第2搬送路11Bと搬送路31が一体となって走行するので、それぞれの搬送速度を独立に制御するのに比べて、制御を簡易にできる。ただし、本発明は第2搬送路11Bと搬送路31の搬送速度を個別に制御してもよい。
【0064】
[付記]
以上、本発明の好ましい形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に置き換えたりすることができる。
例えば、図9は、集積装置1のレイアウトの他の例を示している。図9に示すように、周囲のレイアウトとの関係で、屈曲した整列部10とすることができる。また、縦向きの集積対象物Pを横向きに変更するのは、図9に示すように、整列部10で行うこともできる。
【0065】
また、以上で説明した実施形態においては、第1集積部30で幅方向(W)の集積を行い、第2集積部50で搬送方向(T)の集積を行うが、本発明はこの逆の集積を許容する。つまり、昇降する搬送方向集積ガイド(55)で第1グループG1および第2グループG2における搬送方向(T)の集積を行った後に、間隔が狭くなる幅方向集積ガイド(35,35)を用いて幅方向(W)の集積を行うことができる。図9における第1集積部30および第2集積部50はこの手順による集積がなされている。
【符号の説明】
【0066】
1 集積装置
10 整列部
11 搬送路
11A 第1搬送路
11B 第2搬送路
11C 第3搬送路
11D 第4搬送路
M1 第1電動機
M2 第2電動機
M3 第3電動機
M4 第4電動機
15 検出器
15A 第1検出器
15B 第2検出器
15C 第3検出器
15D 第4検出器
30 第1集積部
31 搬送路
33 偏向機構
33A 回転軸
33B 連結辺
33C 押圧体
35 幅方向集積ガイド
35A 導入ガイド
35B 傾斜ガイド
35C 排出ガイド
37 整列機構
39 無端ベルト
41 フライトバー
43 プーリ
M5 第5電動機
50 第2集積部
51 搬送路
M6 第6電動機
55 搬送方向集積ガイド
70 制御部
80 上流搬送路
90 振分装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9