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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】エンジン用ヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20221128BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
F02F7/00 P
F01M13/04 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019240095
(22)【出願日】2019-12-31
(65)【公開番号】P2021110237
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】杉本 智
(72)【発明者】
【氏名】市川 隆行
(72)【発明者】
【氏名】畑田 祥太
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-003628(JP,A)
【文献】特開2016-217332(JP,A)
【文献】特開平10-159531(JP,A)
【文献】実開昭51-112108(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0069286(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00
F01M 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケースからのブローバイガスを吸気通路に導くためのカバー内ガス通路と、
前記カバー内ガス通路の終端部のヘッドカバー壁に形成されるガス出口と、
前記カバー内ガス通路以外のカバー内空間部に臨む状態でヘッドカバー壁に形成されるガス中間出口部と、
前記カバー内ガス通路に臨む状態でヘッドカバー壁に形成されるガス中間入口部と、を備えるとともに、
前記ガス中間出口部及び/又は前記ガス中間入口部は、ヘッドカバー壁を貫通する通孔が形成された開通仕様と、前記通孔が形成されない閉塞仕様と、の選択が可能とされているエンジン用ヘッドカバー。
【請求項2】
前記開通仕様における前記ガス中間出口部及び/又は前記ガス中間入口部は、エンジン外装オイルセパレータへのブローバイガス給排通路の連通接続が可能であり、
前記閉塞仕様では、ヘッドカバー壁の内部側へのオイルセパレータ配置が可能である請求項1に記載のエンジン用ヘッドカバー。
【請求項3】
前記通孔が、ヘッドカバーの型成形後の後加工により形成可能に構成されている請求項1又は2に記載のエンジン用ヘッドカバー。
【請求項4】
前記カバー内ガス通路は、ヘッドカバー壁から下方突出状態で形成される箱状構造体の内部空間によりなり、
前記ガス中間出口部が前記箱状構造体の外側に臨むように設定され、かつ、前記ガス中間入口部が前記箱状構造体の内側に臨むように設定されている請求項1~3の何れか一項に記載のエンジン用ヘッドカバー。
【請求項5】
前記箱状構造体は、ヘッドカバー天井壁から下方突出する周壁と、前記周壁の下端縁に螺着される底板部材とにより構成されている請求項4に記載のエンジン用ヘッドカバー。
【請求項6】
前記ヘッドカバー天井壁における前記ガス中間出口部よりもブローバイガス流れ方向で上流側に、前記閉塞仕様のカバー内ガス通路形成部材を螺着するための雌ねじ部の形成が可能なボス部が設けられている請求項5に記載のエンジン用ヘッドカバー。
【請求項7】
前記ガス出口又はその近傍のヘッドカバー壁は、調圧弁の取付けが可能なものに形成されている請求項1~6の何れか一項に記載のエンジン用ヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用エンジンや走行車両用エンジンなどのエンジンであって、ブローバイガス還流装置を備えたエンジンに好適なエンジン用ヘッドカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブローバイガス還流装置を備えたエンジンにおいては、クランクケースからのブローバイガスを、ヘッドカバーを通してからエンジン外に取出して吸気通路に戻す構造を採るものが多い。この場合、ヘッドカバーの内部に形成されたカバー内ガス通路には、通常、ブローバイガス中のオイル成分を取り除くためのオイルセパレータ(オイルフィルタ)が装備されている。このように、オイルセパレータをヘッドカバー内に装備した構造、いわゆる内装セパレータを有するものとしては、特許文献1などが知られている。
【0003】
また、オイルセパレータをヘッドカバーの外に専用の部品として装備する構造、即ちエンジン外装オイルセパレータを採るエンジンもあり、例えば、特許文献2において開示されたディーゼルエンジンが知られている。エンジン外装オイルセパレータでは、配置スペースの制約が緩いので、十分な容量を持つ大きなものも装着できる利点がある。
【0004】
つまり、ヘッドカバー内装オイルセパレータは、容量に制限はあるがブローバイガス還流装置をコンパクトにまとめられる利点があり、容量に余裕のあるエンジン外装オイルセパレータを持つ場合は、配置の制約が厳しいとともにエンジンが嵩張り易い不利がある。従来は、エンジンの大きさや搭載機種などの種々の条件により、内装か外装かが選択されていた。
【0005】
例えば、排気量は同じか少し異なる程度のシリーズエンジンにおいては、搭載される農機の種類や輸出国での使い方などにより、基本は同じエンジンでありながら、内装オイルセパレータ仕様と外装オイルセパレータ仕様との両方を設定することがある。これら両者の仕様では、ヘッドカバーでのブローバイガスの配管取り回しが大きく異なるので、それぞれの仕様に適したヘッドカバーが必要になる。
【0006】
従って、ヘッドカバーの金型も2種類必要になり、基本は同じエンジンでありながらも型費が倍増することにより、生産コストや商品としてのコストが割高になる点で改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭62-188510号公報
【文献】特開2018-3628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、構造工夫により、ヘッドカバー内装オイルセパレータ仕様とエンジン外装オイルセパレータ仕様とのそれぞれのエンジンであっても、各々のヘッドカバーの共通化が行えるようにして、型費の節減によるコストダウンが可能となるように改善されたエンジン用ヘッドカバーを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エンジン用ヘッドカバーにおいて、
クランクケースからのブローバイガスを吸気通路に導くためのカバー内ガス通路と、
前記カバー内ガス通路の終端部のヘッドカバー壁に形成されるガス出口と、
前記カバー内ガス通路以外のカバー内空間部に臨む状態でヘッドカバー壁に形成されるガス中間出口部と、
前記カバー内ガス通路に臨む状態でヘッドカバー壁に形成されるガス中間入口部と、を備えるとともに、
前記ガス中間出口部及び/又は前記ガス中間入口部は、エンジン外装オイルセパレータへのブローバイガス給排通路の連通接続を可能とすべくヘッドカバー壁を貫通する通孔が形成された開通仕様と、ヘッドカバー壁の内部側へのオイルセパレータ配置を可能すべく前記通孔を形成しない閉塞仕様と、の選択が可能とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明に関して、上述した構成(手段)以外の特徴構成や手段ついては、請求項2~6を参照のこと。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヘッドカバーに形成されているガス中間出口部やガス中間入口部は、それぞれを内外貫通させる通孔の有無が選択できる構造のものとされている。故に、ガス中間出口部やガス中間入口部は、エンジン外装オイルセパレータへのブローバイガス給排通路の連通接続を可能とすべくヘッドカバー壁を貫通する通孔が形成された開通仕様と、ヘッドカバー壁の内部側へのオイルセパレータ配置を可能とすべく通孔を形成しない閉塞仕様と、の選択が可能である。
【0012】
つまり、開通仕様と閉塞仕様という、互いに構造が異なる2種類のヘッドバーでありながら、型成形に要する型(金型)は1種類で済むものとなる。通孔の有無については、後加工の有無により使い分け可能であり、孔を開ける程度の機械加工は極めて簡単で廉価に行える。
【0013】
その結果、構造工夫により、ヘッドカバー内装オイルセパレータ仕様とエンジン外装オイルセパレータ仕様とのそれぞれのエンジンであっても、各々のヘッドカバーの共通化が行えるようにして、型費の節減によるコストダウンが可能となるように改善されたエンジン用ヘッドカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】産業用ディーゼルエンジンの平面図
図2図1のエンジンの右側面図
図3】ヘッドカバーの平面図
図4図3のヘッドカバーの底面図
図5図3のヘッドカバーの右側面図
図6図3のヘッドカバーにおけるZ-Z線の断面図
図7】ヘッドカバー部位でのブローバイガス還流装置の原理構造を示し、(A)はセパレータ外装仕様の模式図、(B)はセパレータ内装仕様の模式図
図8】セパレータ内装仕様のエンジン用ヘッドカバーの底面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明によるエンジン用ヘッドカバーの実施の形態を、農用トラクタなどに適用されるブローバイガス還流装置を有する産業用ディーゼルエンジンのヘッドカバーについて、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1及び図2に、ブローバイガス還流装置付の直列4気筒産業用ディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」と略称する)Eが示されている。このエンジンEは、シリンダブロック1の上にシリンダヘッド2が組付けられ、シリンダヘッド2の上にヘッドカバー(エンジン用ヘッドカバー)3が組付けられている。シリンダブロック1の下部がクランクケース1Aであり、クランクケース1Aの下にはオイルパン4が組付けられている。
【0017】
エンジンEの前部には、冷却ファン5、オルタネータ(セルダイナモ)6、ベルト伝動機構7などが配置され、エンジンEの後部にはフライホイールハウジング8が設けられている。エンジンEの右サイドには前記オルタネータ6、吸気マニホルド30、オイルセパレータ(エンジン外装オイルセパレータ)9などが配置され、エンジンEの左サイドには、吸気マニホルド(符記省略)、過給機(ターボ)11、EGRクーラ(符記省略)などが配置されている。
【0018】
エンジンEは、ブローバイガス中のオイル成分を除去するオイルセパレータ9が、専用の部品としてヘッドカバー3の外部に配置される仕様(エンジン外装オイルセパレータ仕様、以下「セパレータ外装仕様」と呼ぶ)である。図示は省略するが、このエンジンEと基本は同じで詳細が異なる(例:排気量が少し大きい又は小さい、出力の違い、など)ことから、オイルセパレータがヘッドカバー内にある仕様(ヘッドカバー内装オイルセパレータ仕様、以下「セパレータ内装仕様」と呼ぶ)のエンジンも設定されている。
【0019】
〔セパレータ外装仕様のヘッドカバー3などについて〕
セパレータ外装仕様のエンジンE(図1,2に示すエンジン)では、ヘッドカバー3に、外装のオイルセパレータ9に対するブローバイガスの出口(ガス中間出口部)と入口(ガス中間入口部)とを設ける必要があるが、そのような出口と入口は、セパレータ内装仕様のエンジンにおけるヘッドカバーには必要がない。従って、セパレータ外装仕様のヘッドカバー3と、セパレータ内装仕様のヘッドカバー33(図8参照)とは別部品になるため、それぞれに成形用の金型が必要になる、というのが従来の技術常識であった。
【0020】
それに対して、本発明では、主にガス中間出口部及びガス中間入口部に関する構造工夫により、各仕様のヘッドカバー3,33を1つの金型で成形できるようにすることに成功している。次に、前述の構造工夫がなされたヘッドカバーについて、セパレータ外装仕様のヘッドカバー3を用いて説明する。
【0021】
図3図6に示されるように、セパレータ外装仕様のエンジンEに用いられるヘッドカバー3は、上部左部の一部を上方突出させてなる突出カバー部3Aと、主カバー部3Bとを備える段付き無底箱状の部品である。突出カバー部3Aはカバー天井壁3aと周壁3sとを有しており、その内部空間はブローバイガスを通すためのカバー内ガス通路Wである。主カバー部3Bは、カバー上壁3b、カバー前壁3f、カバー後壁3r、カバー左壁3c、カバー右壁3dを有し、その内部空間は、ロッカーアームなどの動弁機構(図示省略)を配置するための動弁室Sである。
【0022】
図3図6において、12はインジェクタ用孔、13はオイル給油口孔、14は調圧弁15(PCV弁などであって図1参照)を設ける場所として突出カバー部3Aの前端部に形成された起立壁である。突出カバー部3Aの内側の底部位には、下向きで前後に長い略ループ状の取付座16が形成されており(図4参照)、実機においては、取付座16には仕切り板17がボルト止めされる。仕切り板17は、ブローバイガスの通路であるカバー内ガス通路Wを個室化(孤立化)させるために動弁室Sとを仕切る底板部材である。
【0023】
つまり、セパレータ外装仕様におけるカバー内ガス通路Wは、突出カバー部3A(カバー天井壁3aと周壁3s)と仕切り板17とによりなる箱状構造体Bの内部空間としてヘッドカバー3内に形成されている。なお、突出カバー部3Aを持たない単純形状のヘッドカバーにおいては、箱状構造体Bは、カバー上壁3bなどのヘッドカバー壁から下方突出状態で形成されてもよく〔図7(A参照)、勿論、突出カバー部3Aを持つ構成でもよい。
【0024】
突出カバー部3Aのカバー天井壁3aの前後中央やや後寄りの位置には、動弁室Sに連通される出口側の通孔18aを有するガス中間出口部18と、カバー内ガス通路Wに連通される入口側の通孔19aを有するガス中間入口部19とが形成されている。取付座16におけるガス中間出口部18に対応する箇所の右側縦座部16aは、大きく円弧状に左側に凹入する形状に形成されており、その部分のカバー内ガス通路Wの左右幅が左側に圧縮されている。
【0025】
互いに傾斜構造部であるガス中間出口部18とガス中間入口部19とのそれぞれには、右上と左下とを繋ぐ傾斜を有する横向き斜めの出口側及び入口側の通孔18a,19aが、ヘッドカバー3の素材の型成形後における機械加工、即ち後加工により形成されている。ガス中間出口部18は、その出口側の通孔18aを動弁室Sに開口させるため、その後側のガス中間入口部19よりも少し右側に寄せて配置されている。
【0026】
ガス中間出口部18には、ブローバイガスをオイルセパレータ9に送るための管状の供給通路24が接続され、ガス中間入口部19には、オイルセパレータ9からのブローバイガスをヘッドカバー3に送るための管状の排出通路25が接続されている。入口側の通孔19aは、カバー内ガス通路Wの始端部(後端部)に臨むように配置形成されている。つまり、ガス中間出口部18が箱状構造体Bの外側に臨むように設定され、かつ、ガス中間入口部が箱状構造体Bの内側に臨むように設定されている。
【0027】
起立壁14の前側におけるカバー天井壁3aには、調圧弁15を経たブローバイガスを過給機(吸気通路の一例)11に送るためのガス出口20が形成されている。右斜め前に向く姿勢のガス出口20には、過給機11のコンプレッサ側に繋がれる還流ダクト23が連通接続されている。調圧弁15及び起立壁14は、カバー内ガス通路Wの終端部(前端部)に配置されている。
【0028】
セパレータ外装仕様のエンジンでは、図7(A)に模式図で示されるように、シリンダヘッド2から上がってくるブローバイガスgは、動弁室Sを通ってガス中間出口部18から供給通路24を通ってオイルセパレータ9に入る。オイルセパレータ9でオイル成分が除去された後のブローバイガスgは、排出通路25及びガス中間入口部19を通ってカバー内ガス通路Wに入り、ここで流れるときにも若干のオイル除去作用を受けた後、調圧弁15、ガス出口20を通って還流ダクト23に送り出される。
【0029】
〔セパレータ内装仕様のヘッドカバーなどについて〕
図7(B)、及び図8に示されるように、セパレータ内装仕様のエンジン(図示省略)のヘッドカバー33は、カバー天井壁3aにおけるガス中間出口部18よりもブローバイガス流れ方向で上流側に、閉塞仕様のカバー内ガス通路形成部材34(又は35)を螺着するための雌ねじ部22が形成されたボス部21が設けられている。このボス部21(図8参照)は、セパレータ外装仕様のヘッドカバー3でも設けられている(図4参照)。
【0030】
ガス中間出口部18及びガス中間入口部19には通孔18a,19aが後加工されずに鋳肌のまま、即ち閉塞されており、かつ、ボス部21には後加工によって雌ねじ部22が形成されている。取付座16の適所には、3箇所の雌ねじ部22も後加工で設けられている。従って、計4箇所の雌ねじ部22を用いて、カバー内ガス通路Wを形成するための底板部材34、又は専用の部品であって、起立壁14の内側に臨むガス出口とガス入口とを有する小型オイルセパレータ(又はセパレータ内蔵のブローバイガス通路構造体)35をヘッドカバー3の内部に設けることができる。
【0031】
セパレータ内装仕様のエンジンでは、図7(B)に模式図で示されるように、シリンダヘッド2からのブローバイガスgは、底板部材34によるカバー内ガス通路W又は小型オイルセパレータ35のガス入口36から入り、オイルフィルタ(又はオイルセパレータ)37でオイル成分の除去が行われた後のブローバイガスgは、調圧弁15及びガス出口20を通って出る、という順路になる。ガス中間出口部18及びガス中間入口部19は閉じているので、別途にガス入口36が必要である。なお、小型オイルセパレータ35には、図示しないガス出口がある。
【0032】
以上説明したように、ヘッドカバー3,33は、型成形時には通孔18a,19aの無いガス中間出口部18とガス中間入口部19、及びと雌ねじ部22の無いボス部21が一体形成されているだけの状態であり、この状態ではセパレータ外装仕様のヘッドカバー3とセパレータ内装仕様のヘッドカバー33とは全く同じ部品であり、従って、成形型(金型)は1種類でよい。型成形状態の未加工(機械加工されていない状態)ヘッドカバーに、ガス中間出口部18の通孔18aとガス中間入口部19の通孔19aとを後加工で作って開通仕様とすれば、セパレータ外装仕様のヘッドカバー3にすることができる。そして、ボス部21に雌ねじ部22を後加工で作って通孔18a,19aを形成しない閉塞仕様とすれば、セパレータ内装仕様のヘッドカバー33にすることができる。
【0033】
つまり、セパレータ外装仕様として見れば、ヘッドカバー3は、クランクケース1Aからのブローバイガスを吸気通路11に導くためのカバー内ガス通路Wと、カバー内ガス通路Wの終端部のカバー天井壁(ヘッドカバー壁)3aに形成されるガス出口20と、動弁室(カバー内ガス通路W以外のカバー内空間部)Sに臨む状態でカバー天井壁(ヘッドカバー壁)3aに形成されるガス中間出口部18と、カバー内ガス通路Wに臨む状態でカバー天井壁(ヘッドカバー壁)3aに形成されるガス中間入口部19と、を備えている。
【0034】
そして、ガス中間出口部18及び/又はガス中間入口部19は、エンジン外装オイルセパレータ9へのブローバイガス給排通路24,25の連通接続を可能とすべくカバー天井壁(ヘッドカバー壁)3aを貫通する通孔18a,19aが形成された開通仕様と、カバー天井壁(ヘッドカバー壁)3aの内部側へのオイルセパレータ配置を可能とすべく通孔18a,19aを形成しない閉塞仕様と、の選択が可能とされている。
【0035】
従って、エンジンの排気量や輸出国の使用状況などの条件により、セパレータ外装仕様とセパレータ内装仕様とが設定されるエンジンであって、仕上げ構成が互いに異なる2種類のヘッドカバー3,33は、それらの金型としては1種類で済み、生産コストや部品コストの低減、及び部品管理コストの低減化が行える利点がある。
【0036】
〔別実施形態〕
突出カバー部3Aを持たない平らなヘッドカバーであっても、本発明の構成を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0037】
3a ヘッドカバー壁(カバー天井壁)
3s 周壁
9 エンジン外装オイルセパレータ
14 ヘッドカバー壁(起立壁)
15 調圧弁
17 底板部材
18 ガス中間出口部
18a 通孔
19 ガス中間入口部
19a 通孔
20 ガス出口
21 ボス部
22 雌ねじ部
24 供給通路
25 排出通路
34,35 カバー内ガス通路形成部材
B 箱状構造体
S カバー内ガス通路以外のカバー内空間部
W カバー内ガス通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8