(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】分岐構造を有する肺芽オルガノイドの生成および肺疾患のモデリングのためのその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20221128BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221128BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20221128BHJP
C12N 11/04 20060101ALI20221128BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20221128BHJP
A01K 67/027 20060101ALN20221128BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/10
C12N5/0735
C12N11/04
C12Q1/02
A01K67/027
C12N15/09 110
(21)【出願番号】P 2019552163
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018024383
(87)【国際公開番号】W WO2018176044
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-03-19
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306018457
【氏名又は名称】ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】スノーック,ハンス‐ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤー‐ウェン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】eLife,2015年03月24日,4,e05098,https://elifesciences.org/articles/05098参照
【文献】Nat Cell Biol.,2017年05月,19, 5,542-549.,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5777163/参照
【文献】Nat Protoc.,2015年03月,10, 3,413-425,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4654940/参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00-28
C12N 15/00-90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dマトリックス中で哺乳動物多能性幹細胞から分岐肺芽オルガノイド(BLBO)を作製する方法であって、
a)前方前腸内胚葉細胞から剥離した細胞凝集塊を浮遊状態で培養し、折り畳み構造を有する肺芽オルガノイド(LBO)を形成するステップであって、前記細胞凝集塊を、BMP4、レチノイン酸、およびWntアゴニズムを含む培地の存在下で培養し、前記前方前腸内胚葉細胞が、前記多能性幹細胞から産生されたものであるステップ、ならびに
b)d20~d25のLBOを選択するステップ、ならびに
c)前記LBOを3Dマトリックス内に埋め込むステップ、ならびに
d)BMP4、レチノイン酸、およびWntアゴニズムを含む分岐培地の存在下で前記LBOを培養し、または、前記折り畳み構造を有するLBOを、免疫欠損マウスの腎被膜下に移植することにより、前記折り畳み構造を有するLBOを異種移植し、前記異種移植LBOを前記マウス中、30日~270日間にわたりインビボで培養し、異種移植分岐LBO(BLBO)を得るステップ、ならびに
e)必要に応じ、前記BLBOを用いてヒト肺発生の研究を行い、肺疾患のモデリングを行い、若しくは薬物のスクリーニングを行うステップ;または前記BLBOを単離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記多能性幹細胞が、胚性幹細胞(ESC)または誘導多能性幹細胞(iPSC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ESCが、RUES2細胞株または任意の他の変異細胞株のものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ESCまたはiPSCが、肺疾患関連変異を有するように変異導入されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ESCまたはiPSCが、HPS1、HPS2、HPS4、hTERT、hTERC、ジスケリン、CFTR、DKC1、SFPTB、SFTPC、SFTPA1、SFTPA2、MUC5B、SHH、PTCH、SMO遺伝子、もしくはABCA3の多型、またはこれらの内のいずれかの組み合わせの完全欠失またはその中に変異を有するように変異導入されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記3Dマトリックスが、マトリゲルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分岐培地が、CHIR99021およびFGF7をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分岐培地が、FGF10をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記折り畳み構造を有するLBOが、i)前記多能性幹細胞を培養し、胚体内胚葉を形成するステップ;ii)前記胚体内胚葉を前方化培地中で培養し、前記細胞凝集塊を形成するステップ、およびiii)培地中で前記細胞凝集塊を培養し、折り畳み構造を有するLBOを形成するステップ、により作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ
d)
における前記分岐培地の存在下での前記LBOの培養が、20~270日にわたり行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ
d)
における前記分岐培地の存在下での前記LBOの培養が、少なくとも100日間にわたり行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ
d)
における前記分岐培地の存在下での前記LBOの培養の条件が、正常酸素圧インキュベーター中での培養を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記3Dマトリックスが、マトリゲルであり、前記LBOが、マトリゲルサンドイッチ中に埋め込まれる、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
埋め込みが、(i)容器中で第1の量のマトリゲルを固化して、固化マトリゲルの低位部を形成するステップ;(ii)折り畳み構造を有するLBOおよびマトリゲルの混合物を前記低位部の上で固化して、固化中央部を形成するステップ;ならびに(iii)第2の量のマトリゲルを前記固化した中央部上で固化して、上部を形成するステップ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記多能性幹細胞が、HPS1、HPS2、HPS4、HPS5、HPS8、LYST hTERT、hTERC、ジスケリン、CFTR、DKC1、SFPTB、SFTPC、SFTPA1、SFTPA2、MUC5B、SHH、PTCH、SMO遺伝子変異、もしくはABCA3遺伝子の多型、またはこれらの内のいずれかの組み合わせを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記LBOまたはBLBOが、EPCAM陰性間葉細胞の存在の増大、間葉細胞マーカーの発現の増大、および/または非変異導入したLBOまたはBLBOと比較した細胞外マトリックス沈着の増大、からなる群より選択される1つまたは複数の線維症の特徴を発現する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
肺疾患を治療する薬剤の特定のための細胞ベースアッセイ方法であって、請求項1に記載の方法により得られた1つまたは複数のLBOまたはBLBOの対照試料および請求項15に記載の方法により得られた1つまたは複数の変異LBOまたはBLBOの試験試料を用意すること;前記試験試料を試験薬剤と接触させること;前記対照試料および前記試験試料中の、(a)肺および気道上皮細胞マーカーの発現のレベル、(b)細胞外マトリックス沈着のレベル、(c)代謝のレベル、(d)エンドソーム輸送のレベル、(e)細胞ストレス応答のレベル、(f)小胞体ストレス応答のレベル、(g)マイトファジーのレベル、(h)オートファジーのレベル、(i)サーファクタント分泌のレベル、もしくは(j)リサイクルのレベル、またはこれらの組み合わせのレベルを測定すること;ならびに前記試験試料中のいずれかの決定されたレベルが前記対照試料とは有意に異なる場合に、前記試験薬剤を選択することを含む、アッセイ方法。
【請求項18】
変異LBOまたはBLBOの第2の対照試料をさらに含み、前記LBOまたはBLBOが、LYST、HPS3、HPS5、またはHPS8変異を有する、請求項17に記載のアッセイ方法。
【請求項19】
前記多能性細胞が、サーファクタント分泌障害に関連する変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記サーファクタント分泌障害に関連する変異が、SFTPA、SFTPC、SFTPBまたはABCA3変異である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記BLBOに、呼吸器疾患を引き起こすRSVまたはその他のウイルス種を感染させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
肺疾患を治療する薬剤の特定のための細胞ベースアッセイ方法であって、(a)請求項1に記載の方法により得られた1つまたは複数のLBOまたはBLBOの対照試料、および1)間葉細胞の存在の増大;2)細胞外マトリックスの沈着の増大;3)上皮ストレスの増大;または4)異常なオルガノイド形態、を含む線維症の1つまたは複数の特徴を有する請求項15に記載の方法により得られた変異LBOまたはBLBOの試験試料を用意すること;(b)前記試験試料を試験薬剤と接触させること;c)前記試験薬剤との接触が、間葉細胞の存在の低減;細胞外マトリックスの沈着の低減;上皮ストレスの低減の証拠;または前記オルガノイド形態の完全または部分的正常化、の内の1つまたは複数をもたらすかどうかを判定すること、を含む、アッセイ方法。
【請求項23】
前記iPSCが、肺疾患遺伝子変異を有する対象由来であり、前記iPSCが、前記遺伝子変異を訂正するように遺伝子改変されている、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記iPSCが、Crispr/casシステムにより遺伝子改変されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法において用いるための培地であって、CHIR99021、FGF7、BMP4およびレチノイン酸を含む、培地。
【請求項26】
FGF10をさらに含む、請求項25に記載の培地。
【請求項27】
前記間葉細胞の存在の増大が、EPCAM陰性間葉細胞の存在の増大を含む、請求項22に記載のアッセイ方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法において用いるための培地であって、BMP4、レチノイン酸、およびWntアゴニズムを含む、培地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月24日出願の米国特許仮出願第62/476,335号に対する優先権を主張する。この内容は、本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の権利に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所により授与された認可番号第HL134760号に基づく政府の支援によりなされた。米国政府は本発明に対し一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
特発性肺線維症(IPF)は、3~4年の生存期間中央値を有する制御困難な間質性肺疾患であり、線維芽細胞巣ならびに肺胞のリモデリングおよび閉塞を特徴とする1、2。唯一の最も確実な治療は、肺移植であり、その介入は、ドナーの臓器の低い入手可能性および重篤な外科的、医学的、および免疫学的合併症により阻まれる3。したがって、革新的手法が緊急に必要である。このような手法の開発は、この大被害を及ぼす、蔓延しつつある疾患の病因に対する著しく欠けている洞察および薬物発見のプラットホームの確立が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、添付図面により例示されるが、限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A-1E】肺芽オルガノイドの生成。(
図1A)d6~d8のAFEの腹側化の間に、浮遊培養(d10、d20)中で増殖され得る接着構造体の発生(プロトコル
図6b参照)。50種を超える独立した実験(ESCおよびiPSC)の代表例。スケールバー 250μm。(
図1B)LBO生成中の細胞増殖。RUES2 ESC中のN=3の独立した3回の繰り返し実験。(
図1C)d25 LBO中のEPCAM、KRT8、NKX2.1、FOXA1、およびP63の発現。ESCおよびiPSC中の10種を超える独立した実験の代表例。スケールバー 100μm。(
図1D)ECADHおよびPDGFRAのためのd25 LBOの染色。RUES2 ESC中の独立した3種の実験の代表例。スケールバー 250μm。(
図1E)RNAseqにより決定されたd25 LBOのEPCAM
+およびEPCAM
-画分中の内胚葉および中胚葉マーカーの発現(3回の独立した生物学的反復実験、RUES2 ESC)。
【
図2A-2G】LBOのインビボ潜在能力。(
図2A)NSGマウスの腎被膜下へのマトリゲル中に埋め込まれた10
6個のLBO細胞の移植後、1.5ヶ月の増殖の巨視的観察。スケールバー 1cm。(
図2B)移植の1.5ヶ月後のLBOからの増殖のHE染色。スケールバー 500μm。(
図2C)移植の1.5ヶ月後のLBOからの増殖時の示したマーカーの免疫蛍光。スケールバー 100μm。(
図2D)移植の5ヶ月後のLBOからの増殖のHE染色。スケールバー 250μm。(
図2E)移植の5ヶ月後のLBOからの増殖時の示したマーカーの免疫蛍光。スケールバー 250μm。(
図2F)移植の5ヶ月後のLBOからの増殖時の細管からの吸引物中の左側に標識したタンパク質に対するドットブロット。(
図2G)移植の7ヶ月後のLBOからの増殖時の示したマーカーのHE染色および免疫蛍光。スケールバー 100μm。全てのパネルでRUES2 ESCを使用した、4種の独立した実験の代表例。
【
図3A-3B】d70でのマトリゲル中のLBO分化。(
図3A)マトリゲル中に播種後、分岐構造体中のLBOの発生の明視野像。RUES2 ESC。50種を超える独立した実験の代表例。スケールバー 500μm。(
図3B)d25でマトリゲル中で播種したd70 RUES2由来LBO中の示したマーカーの免疫蛍光染色。独立した4種の実験の代表例。スケールバー 250μm。
【
図4A-4G】インビトロでのLBOの長期発生。(
図4A)d25でマトリゲル内に埋め込まれたd170 RUES2 LBOの巨視的外観。50種を超える独立した実験の代表例。スケールバー 5mm。(
図4B)d25でマトリゲルに埋め込んだd170 RUES2およびC12 LBOの明視野像。50種を超える独立した実験の代表例。スケールバー 500μm。(
図4C)d25でマトリゲル内に埋め込まれたd170 RUES2 LBOの示したマーカーの免疫蛍光。独立した3種の実験の代表例。MUC1+SFTPBおよびHT2-280のスケールバー 100μm。SFTPCのスケールバー 10μm。(
図4D)RUES2 ESCおよびHDF SV iPSC中のd25でマトリゲル内に埋め込まれたd170 LBOの電子顕微鏡観察。矢印は、LBを示す。独立した3種の実験の代表例。(
図4E)d25でマトリゲル内に埋め込まれたSFTPB-ボディピー(緑)のd170 LBOへの取り込み。独立した4種の実験の代表例。スケールバー 100μm。(
図4F)d25でマトリゲル内に埋め込まれたd170 LBOへのSFTPB-ボディピーの取り込みの時間経過(平均±平均の標準誤差、n=4のRUES2 ESC中の独立した実験)。(
図4G)2番目の三半期ヒト肺との最良一致を示す、KeyGenesデータベースを用いたhESCおよびhiPSC由来d170 LBOにおけるゲノムワイド発現の比較(12種の生物学的に独立した試料)。
【
図5A-5D】ヒト疾患のモデリングにおけるLBOの適用の可能性。(
図5A)RSV感染の1日および2日後で、抗RSV(全抗原)抗体を用いて染色後のホールマウントd170 LBO共焦点像。矢印:内腔中の感染細胞。独立した3種の実験の代表例。スケールバー 100μm。(
図5B)RUES2およびRUES2-HPS1細胞からのd50 LBO由来マトリゲルコロニーの明視野像。独立した6種の実験の代表例。スケールバー 500μm。(
図5C)RUES2およびRUES2-HPS1細胞の3Dマトリゲル培養物中のd50 LBO由来コロニー中のEPCAM
+およびEPCAM
-細胞の比率(n=6、2種の実験の3回の技術的反復の平均±平均値の標準誤差;*P<0.0001;両側スチューデントのt検定)。(
図5D)RUES2およびRUES2-HPS1細胞の3Dマトリゲル培養での間充組織マーカーおよびECM成分の免疫蛍光染色。独立した3種の実験の代表例。スケールバー 500μm。
【
図6A-6E】肺芽オルガノイドの特性評価。(
図6A)肺および気道上皮細胞の生成のための発表された2D分化プロトコル。(
図6B)LBO生成および分化のためのプロトコルの概略模式図。(
図6C)d25 RUES2 LBOから単離したEPCAM
+およびEPCAM
-細胞からのRNAseqデータ生成の管理されていないクラスタリング(3回の独立した生物学的反復実験)。(
図6D)肺および気道中の、およびその他のd25 LBOのAFE由来系統中の、AFE中で発現した遺伝子のSHHおよびその転写標的、GLI1、PTCHおよびHHIPの発現(
図6(c)で示したRNAseqデータから抽出;n=3の独立したRUES2 ESC中の実験)。(
図6E)d15、d20およびd25でのLBO中のSHHのISH。RUES2 ESC中の独立した3種の実験の代表例。スケールバー 250μm。
【
図7A-7E】インビボでのLBOの可能性。(
図7A)NSGマウスの腎被膜下移植の1.5ヶ月後のヒト核のRUES2 ESC LBOからの増殖の染色。スケールバー 500μm。(
図7B)マウスCD31(mCD31)の移植の5ヶ月後のLBOからの増殖の染色。スケールバー 50μm。(
図7C)SMAおよびEPCAMの移植の5ヶ月後のLBOからの増殖の染色。スケールバー 500μm。(
図7D)NSGマウスの腎被膜下移植の5ヶ月後の、繊毛性細胞を示すLBOからの増殖のヘマトキシリン-エオシン染色。スケールバー 25μm。(
図7E)NSGマウスの腎被膜下移植の5ヶ月後の粘膜下腺を示すLBOからの増殖のヘマトキシリン-エオシン染色。スケールバー 100μm。全てのパネルでRUES2 ESCを使用した、4種の独立した実験の代表例。
【
図8A-8E】iPSおよびES LBO中の分岐および分岐に対する中胚葉の必要性。(
図8A)RUES2由来LBOのd70培養物中の分岐コロニーおよびCHIR99021、BMP4、FGF7、FGF10、およびRAの存在下、d25でマトリゲル3D培養物中に播種した3種の異なるiPS株。10種を超える独立した実験の代表例。スケールバー100μm。(
図8B)6.4mmウェル当たり、1LBO(上段)または4LBO(下段)でマトリゲル中にRUES2 LBOを播種の90日後の分岐コロニー。スケールバー 2.5mm。全ての画像は、10種を超える独立した実験の代表例である。(
図8C)LBO中のEPCAM
-細胞の比率(RUES2 ESC中のn=3の独立した実験)。(
図8D)LBOの単細胞由来の、LBOから単離したEPCAM
+およびEPCAM
-細胞由来のコロニー。5種の実験の代表例。スケールバー 500μm。(
図8E)マトリゲル3D培養物中のLBO由来の単細胞から生成したコロニーのIF。5種の実験の代表例。スケールバー SFTPBおよびSFTPCに対し、500μm、25μM。
【
図9A-9E】d170でのマトリゲル中のLBO成熟。(
図9A)d25でCHIR99021、BMP4、FGF7、FGF10、およびRAの存在下、d25でマトリゲル中に播種した3種のiPS株由来のLBOのd170培養物の形態。10種を超える独立した実験の代表例。スケールバー 250μm。(
図9B)表示したマーカーの低倍率の免疫蛍光像(タイルスキャン)。CHIR99021、BMP4、FGF7、FGF10、およびRAの存在下、d25でマトリゲル中に播種したC12 iPS株由来のLBOのd170培養物の連続切片に対し染色を実施した。独立した4種の実験の代表例。スケールバー 1mm。(
図9C)HDF mRNA iPSC中のd25でマトリゲル内に埋め込まれたd170 LBOの電子顕微鏡観察。矢印は、LBを示す。独立した3種の実験の代表例。スケールバー 1μm。(
図9D)14週目の遠位ヒト胎児肺(HFL)のヘマトキシリン-エオシン染色(左)およびSOX2およびSOX9の発現。SOX2およびSOX9(矢印)を同時発現する管に留意されたい。独立した3種の実験の代表例。スケールバー 250μm。(
図9E)KeyGenesデータベースからの2番目の三半期のヒト臓器および組織のゲノムワイド発現プロファイルを有する、d170 LBO中のゲノムワイド発現プロファイルの階層型クラスタリング。
【
図10A-10J】肺線維症のモデリング。(
図10A)HPS1遺伝子、およびgRNAに相補的な配列の位置の略図(上段)。gRNAにより標的とされる領域中の、RUES2中の野生型アレルおよびRUES2-HPS1細胞中の両方の標的化アレルのヌクレオチド配列(中段)。RUES2-HPS1細胞の標的化アレル中の欠失および未成熟停止コドンを示すHPS1のエキソン15および16のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(下段)。(
図10B)RUES2およびRUES2-HPS1細胞の3Dマトリゲル培養物中のd50 LBO由来コロニー中のEPCAM
+およびEPCAM
-細胞のフローサイトメトリー分析の代表例(2種の実験からの3回の技術的反復のn=6、平均±平均の標準誤差;*P<0.0001;両側スチューデントのt検定)。(
図10C)親RUES2細胞およびRUES2-HPS1細胞から生成された3Dマトリゲル培養物中のLBO由来分岐コロニーのEPCAMおよびPDGFRAの免疫蛍光染色のタイルスキャン像。独立した5種の実験の代表例。スケールバー 1mm。(
図10D)親RUES2および変異体RUES2-HPS1細胞由来のd40 LBOのEPCAM
+およびEPCAM
-細胞中の増殖抗原Ki67の発現の代表例。3つの独立した実験の代表例。(
図10E)RUES2およびRUES2-HPS1細胞の3Dマトリゲル培養物中のLBO由来コロニー中のヒドロキシプロリン含量(n=3の独立した実験の平均±平均値の標準誤差;*P<0.05;両側スチューデントのt検定)。(
図10F)免疫蛍光法を用いた、DAPIに対する、RUES2およびRUES2-HPS1細胞の3Dマトリゲル培養物中のコラーゲンIおよびIIIならびにフィブロネクチンの定量化(平均±平均値の標準誤差、n=3の独立した実験;*フィブロネクチンに対してP<0.05、コラーゲンに対して*P<0.01;各実験でRUES2対照を1に正規化後、両側スチューデントのt検定)。(
図10G)
図6Bで示すプロトコルのd4またはd10でZsGreen
+およびmCherry
+ RUES2由来細胞を混合後、d25での浮遊培養物のLBO。5種を超える独立した実験の代表例。(
図10H)培養プロトコルのd4またはd10で細胞を混合後、d40培養物中の親RUES2または変異体RUES2-HPS1細胞由来のEPCAM
-細胞の比率(平均±平均値の標準誤差、n=3の独立した実験;*親RUES2と、およびd10でRUES2-HPS1と混合した親RUES2と比較して、P<0.01;一元配置分散分析)。
図10Iは、変異上皮細胞を示す写真であり、
図10Jは、HSP1細胞がより高いパーセンテージのEPCAM-細胞を有したことを示すグラフである。
【
図11】肺の発生。呼吸器系は、前方前腸内胚葉(AFE)の腹側に生ずる芽が起源である。これらは、型通りの分岐プロセスを通して近位気道および遠位肺胞前駆細胞に発達する(偽腺状期)。管状期中に、細胞周期活動が低下し、茎部気道上皮の分化が起こり、基底細胞、杯細胞、クラブ細胞、繊毛細胞、およびその他の細胞型が出現する(
図11)。この段階に続いて、嚢状期があり、ここでは、細管が広がって小嚢を形成し、原始肺胞を生ずることになる95~97。未成熟小嚢のさらなる分化、肺胞の成熟および二次的隔壁形成による肺胞数の増大は、主に出生後に継続される98。
【
図12】d20でのLBOの形態。左パネルは、折り畳み構造を有するオルガノイドを示し、これは、マトリゲル中で分岐構造を生成するより高い可能性を有する。右パネルは、d4のかなり少ない細胞数で開始される準最適なオルガノイド(矢印)を示し、これは、マトリゲル中で分岐構造を生成する可能性はより低い。RUES2、ESCのd20でのオルガノイドの代表的画像。スケールバー:500μm。
【
図13A-13C】AP3B1の標的化変異。
図13Aは、Crispr/casシステムを用いて変異導入した標的AP3B1(エキソン4)配列を示す。配列の最後のより黒っぽい灰色のボックスは、ジェノタイピングプライマー配列を表し、配列内の中間の灰色配列は、gRNA配列を表す。
図13Bは、得られた選択HPS2クローンの変異配列を示す。
図13Cは、変異クローンがもはやHPS2を産生しないことを示すウェスタンブロットである。
【
図14A-14C】BLOC1S3の標的化変異。
図14Aは、Crispr/casシステムを用いて変異導入した標的BLOC1S3(エキソン2)配列を示す。配列の最後のより黒っぽい灰色のボックスは、ジェノタイピングプライマー配列を表し、配列内の中間の灰色配列は、gRNA配列を表す。
図14Bは、得られた選択HPS8クローンの変異配列を示す。
図14Cは、変異クローンがもはやHPS8を産生しないことを示すウェスタンブロットである。
【
図15】Crispr/casシステムを用いて変異導入した標的SFTPC(エキソン2)配列を示す。配列の最後のより黒っぽい灰色のボックスは、ジェノタイピングプライマー配列を表し、配列内の中間の灰色配列は、gRNA配列を表す。
【
図16A-16B】TERCの標的化変異。
図16Aは、Crispr/casシステムを用いて変異導入した標的TERC(エキソン1)配列を示す。配列の最後のより黒っぽい灰色のボックスは、ジェノタイピングプライマー配列を表し、配列内の中間の灰色配列は、gRNA配列を表す。囲み配列は、テロメアテンプレート配列を表す。
図16Bは、得られた選択TERCクローンの変異配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
我々は、これまでに、3Dマトリックス中でLBOを培養すること(LBO-3D)、または免疫欠損マウスの腎被膜下などへLBO異種移植すること(LBO-xeno)により、哺乳動物、好ましくは、胚性幹細胞(ESC)および誘導多能性幹細胞(IPSC)を含むヒトの多能性幹細胞から、少なくとも部分的にヒト肺発生を再現する、分岐気道および肺胞構造に発達する能力を有する肺芽オルガノイド(LBO)を作製する新規方法を開発した。分岐LBO(BLBO)は、肺間葉と適合性がある肺内胚葉および中胚葉を含み、分岐形態が形成される。それらは、主に遠位肺、すなわち、肺胞上皮細胞を含む肺胞構造と適合性がある構造に発達するが、いくつかのより近位の、すなわち、気道細胞も同様に含む。3D培養により作製される分岐LBOは、BLBO-3Dと呼ばれることもあり、異種移植によりインビボで作製されたものは、BLBO-XENOとも呼ばれる。
【0007】
結果で示され、実施例で説明されるように、LBOの発生は、基本的には次の3つの段階で起こる:
段階1:インビトロで生成された前方前腸細胞浮遊培養で、折り畳まれた上皮を有する球状構造体であるLBOを形成する(d25まで)。
段階2:凡そd25で開始される3Dマトリゲル培養では、非分岐鎖LBOスフェアが1週間以内に分岐を始める。免疫欠損マウスの腎被膜下異種移植後、分岐は長時間を要し、移植後約2ヶ月間観察される。
段階3:最後に、異種移植または3Dマトリゲル培養として長期間培養される場合、BLBOは、肺胞構造の形態を有する拡張された先端部を示し始める。
【0008】
LBOの培養時間(3Dまたは異種移植の)が長いほど、分岐形態形成がより多くなる。BLBO-3D培養物は、180日にもわたり増殖され、BLBO-xenoは、7ヶ月まで追跡が行われた。BLBOが長く増殖されるほど、より多くの成熟した肺胞細胞が存在し、オルガノイドはより大きくなるが、HPS1細胞(LBO-HPS1DEL)中では、d40で線維症表現型が既に明らかである。
【0009】
BLBO-3DまたはBLBO-xenoのいずれが使用される場合でも、薬物スクリーニングは通常、BLBO-3Dを用いてインビトロにより、およびそれに続けてBLBO-xenoを用いてインビボ検証により実施される。
【0010】
定義
本明細書で使用される場合、用語の「ヒト多能性幹細胞(hPSC)」は、胚性幹細胞(ESC)および誘導多能性幹細胞(iPSC)を含み得るヒト多能性幹細胞を意味する。胚盤胞の内側細胞集団に由来するESCは、多能性状態でインビトロで維持でき、生物中で全ての細胞型を生成する潜在能力を有する5。iPSCは、体細胞をESCに類似の多能性状態にリプログラミングすることにより生成され、したがって、患者特異的である。特定の実施例では、胚性幹細胞またはiPS細胞は、未分化多能性幹細胞であり、OCT4、SOX2、NANOG、およびSSEA4を発現している。
【0011】
本明細書で使用される場合、「前方前腸内胚葉」(AFE)は、肝臓を生じさせる内胚葉の前側にある内胚葉を意味する。したがって、当業者なら、「前方前腸内胚葉」は、例えば、咽頭内胚葉または肺内胚葉などのより高度に分化した内胚葉細胞集団を含むことを容易に理解するであろう。胚組織は、一連の特徴的な分子マーカーを発現する。用語の「前方前腸内胚葉」により包含される種々の細胞型は、分子マーカーの種々の発現パターンを示し得る。当業者なら、「前方前腸内胚葉」が種々の組織、例えば、扁桃腺、鼓膜、甲状腺、副甲状腺、胸腺、気管、食道、胃、肺および喉頭/咽頭などを生ずることを理解するであろう。前方前腸内胚葉は、FOXA2、FOXA1、SOX2およびEPCAMを発現するが、遠位内胚葉マーカーCDX2に対しては陰性である。
【0012】
本明細書で使用される場合、胚体内胚葉(DE)は、腸管、肝臓、膵臓、胃および上記のAFE由来の全てのその他の臓器を生ずる原腸形成後に生ずる3つの胚葉の1つである。DEは、マーカー:FOXA2、FOXA1、cKIT、CXCR4、EPCAMを発現する。
【0013】
肺芽オルガノイド(LBO)は、ヒト多能性幹細胞から浮遊状態で誘導され、肺上皮細胞(FOXA2、FOXA1、NKX2.1およびEPCAMを発現している)および間葉系前駆細胞(PDGFRa、CD90、TBX4、HOXA5を発現している)を含む。
肺芽オルガノイドは、マトリゲルに埋め込まれた後で分岐コロニーを生成する。インビトロ浮遊培養で前方前腸細胞から生成した場合、LBOは通常、球状である。LBOは通常、d20~d25に形成され、オルガノイド内に折り畳み構造を含む(
図12参照)。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語の「分岐LBO」(BLBO)は、分岐形態形成に関連する構造を有するLBOを意味する。BLBOがさらに発達すると、拡張された先端部を示し、これは、胎生期の肺胞構造の形態を有する。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語の「マトリゲルサンドイッチ」は、LBOのBLBOへの3次元増殖を可能とするマトリゲルおよびLBOの配置を意味する。特定の一例では、この配置は、固化マトリゲルの底部分、混合マトリゲル/LBO中間部分および固化マトリゲルの上部を含み、そのためにサンドイッチ構造に似ている。
【0016】
本発明の実施形態
特定の実施形態は、新規に発見した、肺分岐形態形成の特徴を有する肺芽オルガノイド(LBO)に関する。本明細書で開示のLBOは、胚性幹(ES)細胞または誘導多能性細胞(iPSC)などの多能性細胞から発生し、一連の異なる培養ステップに供されて、多能性細胞の胚体内胚葉(DE)、前方前腸上皮(AFE)細胞、その後、最終的に、折り畳み構造を有するLBO(LBOf)への分化が行われる。LBOf(浮遊培養中の約20~25日まで)は、出芽上皮構造の先端にソニックヘッジホッグ(SHH)を発現するが、分岐構造を欠いている。LBOfはその後、異種移植されるか、または3Dマトリゲル内に埋め込まれる。BLBO-3Dは、LGO-3Dではインビトロでこれまで観察されなかったI型肺胞上皮細胞および神経上皮小体を含む分岐気道および初期肺胞構造を示すBLBO-異種移植で観察される分岐より形態学的に進行度合いが少ない上述したような分岐構造を有する。3Dおよび異種移植の両方のBLBOは、中胚葉および肺内胚葉を含む。他の実施形態は、これらのLBOの作製方法に関する。
【0017】
他の実施形態は、LBOおよびBLBOの作製方法および、例えば、線維症の原因であることが知られているHPS1、HPS2、SFTPCおよびTERCなどの変異を有するLBOまたはBLBOを用いてモデル化された線維症を治療できる試験薬剤のスクリーニング方法に関する。HPS3、5、8およびLYSTの変異を有する細胞株は、リソソーム関連オルガネラに作用するが、臨床的線維症に関連しないので、これらの株を対照として使用できる。
【0018】
肺疾患関連遺伝子変異を生成または訂正するためのCRISPR/Casシステムの使用。
クラスター化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(Clustered Regularly Interspaced Short Palendromic Repeat)の略語として本明細書で使用される場合、用語の「CRISPR」は、病原体防御で使用される細菌ゲノム中の領域である。本明細書で使用される場合、用語の「Cas」は、CRISPR関連タンパク質の略後を意味する;Cas9ヌクレアーゼは、II型CRISPRシステムの活性酵素である。本明細書で使用される場合、用語の「gRNA」は、ガイドRNAを意味し、これは、標的化特異性およびCas9ヌクレアーゼの足場/結合能力の両方を提供する。本明細書で使用される場合、用語の「gRNA」は、標的化ゲノムDNA中のPAM配列の前にある20個のヌクレオチドを意味する。本明細書で使用される場合、用語の「PAM」は、フォトスペーサー隣接モチーフ(Protospacer Adjacent Motif)を意味し、これは、gRNA配列の直ぐ後に続くことが必要な配列である。したがって、本明細書で使用される場合、用語の「CRISPR/Casシステム」は、遺伝子を編集するために、gRNAによりgRNA配列に向けられるRNA誘導ヌクレアーゼ、Casの使用を含むシステムを意味する。遺伝的に訂正または変異導入された細胞株はその後、本明細書で記載の技術に従って、LBOに成長する。
【0019】
BLBOはまた、HPS1遺伝子の欠失を有するCRISPR/Cas9を用いて作製された変異により遺伝子改変された肺RUES2幹細胞(以後、「RUES2-HPS1
DEL」細胞)(
図10)から生成されており、これは、細胞を高浸透度でIPFに罹患しやすくし
22、44、したがって、hPSC中で線維症のインビトロ反復発生を可能とする。ゲノム編集ESCの使用により、通常、iPSCに関連する不完全なリプログラミングおよび背後に存在する遺伝的変異の問題が回避された
45。異常な形態を有する変異LBO型は、HPS1変異を有する、線維症の対象で見られるような線維化表現型を示す。
【0020】
線維症、サーファクタント分泌疾患、例えば、ABCA3変異、または嚢胞性線維症を含む肺疾患を研究するために他の変異細胞株が作製された。HPS2、HPS3、HPS5、HPS8およびテロメラーゼ変異多能性細胞を有する細胞株は、以下で記載される。これらの細胞株から増殖されたLBOはまた、本発明の実施形態である。
【0021】
HPS1(OMIM#604982):HPS1は、BLOC3の一部であり、この変異は、PFに対し最も浸透性が高い(現時点で80%)21。複数の変異が記載されており、それらの全てがBLOC3を除去する。コドン321~322の位置に、フレームシフトホットスポットが存在する143~144。我々は、既にこの領域の標的化に成功しており、この株を使って、線維症がインビトロで誘発できることを実証した。
【0022】
HPS2(OMIM#608233):HPS2変異はAP3複合体を不安定化し、また、線維症にかかりやすくする。AP3B1中の複数の欠失およびフレームシフトは、ナンセンス変異によるmRNA分解を生じさせ、したがって、全体タンパク質およびAP3複合体を除去する59、145ので、我々は、5’領域中に欠失を導入した。光学顕微鏡観察により、HPS2変異LBO-3D培養物は、予測結果を模倣する線維症に見える。
【0023】
HPS8(OMIM#614077):BLOC1複合体の一部のBLOC1S3の変異は、IPFに関連しないHPSの形成を生じ、対照として機能する。記載される初期変異は、ナンセンス変異によるmRNA分解が観察されなかったときに、異常な244aaタンパク質を理論的に生ずる1bpフレームシフト欠失である146。しかし、別のヒト変異は、ナンセンス変異によるmRNA分解を示し、mRNAは検出不能であった147。したがって、フレームシフト変異のために、5’領域を標的とすることによる遺伝子の欠失が実施された。光学顕微鏡検査により、LBO-3Dオルガノイドは、拡張された分岐先端部を発生しているように見え、これは、異常なサーファクタント分泌を想起させ得る。全てのHPS遺伝子は、II型肺胞上皮細胞の層状体を含むリソソーム関連オルガネラの生合成に関与し、HPS8は、インビトロサーファクタント分泌表現型を有し得る。
【0024】
テロメラーゼ(OMIM#614742):テロメラーゼ成分中の変異は、細胞がリプログラミングされた患者の臨床的表現型と相関する、iPS細胞中のテロメアの短縮を引き起こす151、152。重要なのは、他のテロメアの短縮は、hPSCでは起こるようには見えないことである151。IPFは、最もよくあるテロメラーゼ遺伝子の変異の臨床症状であるため133、テロメラーゼ変異のhESCへの導入は、テロメア病のATII細胞機能に対する影響を研究するための有効な戦略である。hTERTおよびhTERCの両方における広範な変異は、臨床的識別不能で、主要な臨床症状の決定因子は実際のテロメア長さである、短テロメア症候群に関連する133。我々は、hTERCのN末端領域中にヘテロ接合およびダブルヘテロ接合インデルを導入した。テロメアFISHにより連続的継代に対するテロメアの長さを検証した。初期および顕著なテロメアの短縮を示す後期継代(>15)由来の細胞152を使用した。TERC欠失株を作製した。光学顕微鏡検査で線維症に見える非常に小さい形態のLBOは予測通りであった。
【0025】
次の株もまた、本明細書の教示に従って開発した。
HPS5(OMIM#607521)。HPS5は、間質性肺疾患と関連しておらず、対照として機能し、HPS3と同様に、BLOC2複合体のタンパク質をコードする。ヒトで既知の唯一の変異は、コドンleu675~val676の位置のホモ接合4-bp欠失(AGTT)である。変異は、コドン682の位置のナンセンスポリペプチドの短縮によるフレームシフトをもたらし、C末端の40%のタンパク質の減少を生じた。
【0026】
HPS3(OMIM#060118):HPS3は、間質性肺疾患と関連せず、対照として機能する。HPS3は、特に、HPS3遺伝子の大きな欠失により生じ、これは、BLOC2複合体の一部である57。対応するmRNAおよびBLOC2複合体が存在しないので57、5’領域の完全削除が行われた。
【0027】
LYST:(OMIM#606897):白血球およびメラノサイト中に確証された巨大顆粒を有する重度小児期発症CHSを生ずる複数フレームシフト変異が記載された64、148~150。我々は、Lys633/Lys634の位置にインデルを形成し、これは、未成熟停止コドン638を生じる。
【0028】
SFTPC(OMIM#178620):我々は、ガイドRNAおよび点変異を含む相同単鎖80bp DNAセグメントを用いて、エキソン5のヌクレオチド128にヘテロ接合T->A塩基転換を導入する。このヘテロ接合変異は、オランダ人ファミリーで高度に浸透性IPFを生じた11。SFTPCの場合は、より挑戦的でより効果が少ないが、タンパク質の非存在ではなく、異常に折り畳まれたタンパク質により生ずるタンパク質毒性が疾患の原因なので、患者で観察される特異的変異を導入することが不可欠である4、5、67。
【0029】
逆に、遺伝子変異関連肺疾患を有する患者由来の、上述したC12株などのiPSCは、Crispr/casシステムを用いてインビトロで訂正して、遺伝的に訂正された細胞株を産生できる。遺伝的欠陥を訂正するという意図した目的のために遺伝子改変された細胞を用いたLBOの産生は、疾患表現型を訂正するそれらの能力に関して、このような遺伝的変化を試験する有効な方法を提供する。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語の「変異関連肺疾患」は、肺疾患表現型をもたらすことが既知の遺伝子変異または多型に関連する。例えば、特定の肺疾患は、次の非包括的遺伝子リスト中の遺伝子変異が原因である:HPS1、2、4、hTERT、hTERC、ジスケリン(dyskerin)、CFTR、DKC1、SFPTB、SFTPC、SFTPA1、SFTPA2、MUC5B、SHH、PTCH、SMO、ABCA3。これらの遺伝子に対する遺伝子ID番号は、以下に提供される:
【表1】
さらに、嚢胞性線維症は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子および多型関連ナトリウムチャネル上皮1アルファ(SCNN1A)遺伝子の遺伝子変異に関連し、このような変異/多型は、大きく変化する。このような遺伝子の発現タンパク質に関連して、変異は、CFTRタンパク質中のF508、CFTRタンパク質中のG551、CFTRタンパク質中のG542、CFTRタンパク質中のN1303、CFTRタンパク質中のR117、CFTRタンパク質中のW1282、CFTRタンパク質中のR553、CFTRタンパク質中のc.3849+10kb、CFTRタンパク質中のc.2657+5、CFTRタンパク質中のc.3140-26、およびSCNN1Aタンパク質中のV114を含む。さらに、Differentiation of Human Pluripotent Stem Cells into Functional Lung Alveolar Epithelial Cellsと題する、Anjali Jacobらによる刊行物のCell Stem Cell 21,1-17 ,October 5,2017では、このようなCrispr/casシステムを用いて、ホモ接合サーファクタント変異(SFTPB121ins2)を訂正して、肺胞上皮2型細胞中のサーファクタント処理を回復している。Efficient Derivation of Functional Human Airway Epithelium from Pluripotent Stem Cells via Temporal Regulation of Wnt Signalingと題する、Katherine B.McCauleyらによる別の刊行物の、2017、Cell Stem Cell 20,844-857では、CRISPRを、フォルスコリン誘導膨潤における欠陥を訂正するために使用して、化合物ヘテロ接合CFTR遺伝子型DF508/DF508に関連する疾患変異を訂正するように遺伝子編集することにより、この障害が救済される。
【0031】
限定されないが、上記に記載のものを含む変異遺伝子を有する細胞は、当該技術分野において既知の技術(例えば、米国特許出願公開第20170022507号を参照)および本明細書で記載の技術に従ってCRISPR/Casシステムに供することができる。通常、細胞は、多能性段階などの成長および増殖段階でCRISPR/Cas誘導遺伝子訂正に供せられる。これらの細胞は、その後、本明細書で教示したように、LBOに発達し、表現型の変化および/またはバイオマーカー発現が観察される。
【0032】
概要
IPFおよび家族性PFにおけるII型肺胞上皮細胞の中心的役割。
肺線維症は、肺中の過剰な線維状結合組織の形成または発生(線維化)であり、「肺の瘢痕形成」とも呼ばれる。肺線維症は、他の疾患の副作用であり得る。これらのほとんどは、間質性肺疾患として分類される。例には、自己免疫障害、ウイルス感染、またはその他の肺に対する微視的損傷が含まれる。しかし、肺線維症はまた、いずれかの既知の原因がないように見える場合があり(「特発性」と呼ばれる)、いずれの免疫抑制治療にも応答しないという点で、他の形態の線維症とは異なる。
【0033】
特発性肺線維症(IPF)は、3~4年の生存期間中央値を有する制御困難な、発症例が増大している間質性肺疾患であり、線維芽細胞巣ならびに肺胞のリモデリングおよび閉塞を特徴とする1、2。唯一の最も確実な治療は、肺移植であり、その介入は、ドナーの臓器の低い入手可能性および重篤な外科的、医学的、および免疫学的合併症により阻まれる3。
【0034】
ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS)におけるATII細胞の役割
ATII細胞中の欠陥がIPFの根底にあるという考えは、ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS)の患者の一部は、高いIPF発生率を示し、HPS関連間質性肺炎(HPSIP)とも呼ばれるという事実によりさらに裏付けられる56。HPSは、異常な生合成およびリソソーム関連オルガネラ(LRO)の異常な輸送が原因であり、色素沈着異常性ならびにメラノソームおよび血小板デルタ顆粒(両方ともLRO)それぞれの機能障害に関連する出血性素因を特徴とする。サーファクタントが貯蔵、分泌およびリサイクルされる場合、ATII細胞の層状体(LB)もまた、LROである21、22。HPSを引き起こす変異は、4種の別々のタンパク質複合体:リソソーム関連オルガネラ複合体(BLOC)1(HPS7、8、9)、BLOC2(HPS3、5、6)、BLOC3(HPS1、4)およびAP3(HPS2)の生合成に影響を与える。これらの複合体の機能は明らかではないが、それらは全て、タンパク質輸送およびLRO生合成に関与している21、22。9つの既知の変異の内で、3つ(HPS1およびHPS4はBLOC3に影響を与え、HPS2はAP3を無能力化する)は、30年の寿命に関し、IPFと関連する。この寿命は、臨床的に、予後的に、放射線学的におよび組織学的に、IPFに極めて類似している21、22。HPS1では、IPFの発生率は、80%超であり、このことが、HPS1を最も浸透性の高いIPF変異にしている21。いくつかの自然変異を有するマウス系統は、種々のサブグループのヒトHPSの色素沈着欠陥および血小板異常性を模写し、ヒトの原因遺伝子を特定する手段になった57~62。いずれも自然発生的IPFを示さなかったが、ブレオマイシン誘導線維症に対する感受性は、ヒトHPSサブグループのIPFの発生率と関連する19。HPS2mtマウスでは、ATII細胞中の遺伝子導入訂正は、線維症感受性を元に戻し、ATII機能障害の病因における重要な役割を実証した19。PFは、高齢のep/peマウスで起こり、このマウスは、HPS1およびHPS2に変異を有し、したがって、おそらく、最良のIPFマウスモデルを提供する18、63。チェディアック・東症候群(CHS)はまた、LROの疾患であり、患者およびベージュ色(be)のマウスのLYSTの変異により引き起こされ64、自然免疫不全および神経変性が主な症状である4。LYSTは、小胞融合体または分裂に関与するが、その正確な機能は未知である65。ベージュ色のマウスおよびCHS患者では、LBは、拡大され4、19、33、34、HPSIPで死亡した患者66およびep/peマウスに類似しているが、CHSはPFに関連しない18、58。これらの知見は、全てのATII損傷が線維症を引き起こすわけではないことを示す。
【0035】
ATII細胞の役割をさらに裏付けるのは、ep/peマウスのATII細胞で観察される増大したアポトーシスおよびリソソームERストレスという、限られた一連のヒトHSPIP試料で確認された知見である18。類似のタイプのストレスは、散発性IPFのATII細胞で観察され、これには、小胞体の小胞体ストレス応答(UPRER、SFTPC変異にも関連する)4、5、67、低オートファジー6、8、9、68、ミトコンドリアの機能障害7、およびアポトーシスが含まれる。IPFにおけるATII細胞の役割は、おそらく、サーファクタントの産生、分泌およびリサイクルといったそれらの最も特異的な機能に関連しているのであろう。リソソームの基礎構造は、細胞の品質管理機序にとって不可欠であり、これには、ストレスに応答したオートファジーおよびマイトファジーが含まれる35~38。
【0036】
しかし、ヒトATII細胞の単離と維持は難題である。重要なのは、診断後の患者から単離されたATII細胞の特徴は、多くの観察された変化が二次的なものであり得るので、疾患素因に関し情報価値のあるものではない可能性があることである。さらに、疾患の開始は、臨床症状の数年前に発生していると考えられている1、2。ヒト多能性幹細胞(hPSC)の分化により生成されたATII細胞は、線維症に繋がる損傷または変異によりATII細胞に誘導された機能的およびトランスクリプトームの共通性の発見を容易にすると思われる。哺乳動物の胚盤胞の内側細胞集団に由来する、胚性幹細胞(ESC)は、多能性状態でインビトロで維持でき、生物中で全ての細胞型を生ずることができる80。誘導多能性幹細胞(iPSC)は、体細胞のリプログラミングにより、OCT4、KLF4、MYCおよびSOX2の一時的な発現を介して、ESCに類似のまたは同一の多能性状態を産生する80~89。いまでは、CRIPSR/Cas9媒介ゲノム編集は、hPSC中の目的の変異の設計を可能とする90~94。hPSC由来ATII細胞は、未発症状態にあり、したがって、既存の異常性の検出を可能とする。
【0037】
IPFのhPSCベースモデルに関する発表された研究は存在しない。マウスモデルは、この広く蔓延し、被害の大きい疾患の病因を根本的に明らかにすることができなかった。ここで、提供される結果が示すように、hPSCからの遠位肺細胞および間葉の生成、IPFに関連する変異を導入するためのhESCのゲノム改変、およびATII細胞に影響を与えるがIPFに関連しない変異をIPFになりやすい変異を有する細胞で共通の機能的または発現上の特性を探索してIPFの病因に対する不可欠な洞察を得るための対照としての使用を含む、いくつかの技術的におよび概念的に革新的でユニークな手法が組み合わされた。
【0038】
呼吸器系は、前方前腸内胚葉(AFE)の腹側に生ずる芽から始まり、型通りの分岐プロセスを通して近位気道および遠位の肺胞前駆細胞へと発達する(偽腺状期)。管状期中に、細胞周期活動が低下し、茎部気道上皮の分化が起こり、基底細胞、杯細胞、クラブ細胞、繊毛細胞、およびその他の細胞型が出現する。この段階に続いて、嚢状期があり、ここでは、細管が広がって小嚢を形成し、原始肺胞を生ずることになる
6~7(
図11)。
【0039】
以前に、我々は、hPSC(胚性幹細胞(ESC)およびリプログラミングされた誘導多能性幹細胞(iPSC))を、2Dでの逐次発達ステップを通して、胚体内胚葉(DE)からAFE、肺野前駆細胞、および最終的に肺および気道上皮細胞へ分化させる戦略を報告した。これらの発達は、米国特許出願公開第20160168535号および同第20150247124号に開示されている。(
図6A)
10~12。
【0040】
前述のように、新規方法の実施形態は、肺間葉と適合性がある肺内胚葉および中胚葉を含み、分岐形態が形成され、3D培養で遠位肺が発生するLBOを作製するために開発された。新規方法の実施形態はまた、免疫欠損マウスの腎被膜下などへのLBOの異種移植による最も進行した形態形成を有するLBOを作製するためにも記載されている。異種移植されているLBOは、ヒト肺発生を少なくとも部分的に再現し、したがって、IPF様表現型がインビボで生ずるかどうかを含む、肺発生に影響を与える因子のモデルを作製し、その因子を評価するために使用できる。他の実施形態では、BLBO-3DおよびBLBO-xenoが、hESCsh中で高浸透度でIPFに罹患しやすくするCRISPR/Cas9で設計された変異をHPS1中に有するRUES2-HPS1DEL細胞から作製され22、44;これらの変異体LBOは、インビトロでの線維症の反復発生を可能とし、異種移植を介してインビボでも同じことが行えることが期待される。ゲノム編集ESCにより、iPSCに関連する不完全なリプログラミングおよび背後に存在する遺伝的変異の問題が回避される45。
【0041】
疾患のモデリングでのほとんどの取り組みは、iPS細胞を使用している45、134、135。iPS生成の間、成熟細胞のエピジェネティックな特性が消去され、ESCに対応する多能性状態で細胞を維持する多能性ネットワークおよびエピエピジェネティックマークが確立される45、136、137。iPSCはESCと同一とは言わないまでも、極めて類似した、不完全なリプログラミングおよびiPSCのそれらが元々由来した細胞型への分化に適し得るエピジェネティックな記憶の持続性が記載されてきたが、問題点が議論されている45、138、139。さらに、遺伝的背景は、iPS株中の変異に対する最も重要な寄与因子であり45、140、統計的検出力を得るために、十分な数の患者からの複数のクローンを必要とする。今日では、CRISPR/Cas9媒介ゲノム編集技術を利用できることにより、ESC中への患者の変異の導入が可能となる91~93。これは、遺伝的背景の変動を大きく排除し、加えて、不完全なリプログラミングおよびエピジェネティックな記憶(これらが存在する場合)により生ずるバイアスおよび変動を排除する。しかし、家族性素因が存在し得るが、関連変異が特定されない、または複数の座位が含まれ得る、散発性IPFでは、iPSCの使用が好ましい。
【0042】
1つのグループがヒト肺オルガノイドを報告し8、9、これらの小型構造体は、肺および気道8細胞のマーカーを発現している細胞を含み、マウス中での皮下異種移植後にいくつかの気道になる潜在能力を有した9が、それらは、肺発生の特徴、特に、分岐形態形成および中心部から周辺部への特異化も、機能も観察されなかったので、上述のオルガノイドの基準を満たしていない。したがって、現時点まで、正常なまたは異常な線維症などの肺のモデルを作るために使用できる肺オルガノイド培養物は存在していない。
【0043】
結果
A.中胚葉の存在下での3D肺発生
IPFは、多数の間充組織成分を有する線維性疾患であるので、我々は、間葉が存在するモデルを目的とした。LBOを培養物中のヒト多能性幹細胞から生成した。以下に記載の戦略は、例えば、センダイウイルスまたは改変mRNAを用いて健康なヒト皮膚線維芽細胞7、9(継代16~25)およびIRF7-欠損C12 hiPSC株から生成された、ES細胞(例えば、RUES2細胞)またはiPSにも適用できる28。胞を、15,000~18,000細胞/cm2で播種したマウス胚性線維芽細胞(MEF)上で維持した。
【0044】
図1~4に記載の結果では、正常なRUES2胚性幹細胞(ESC)で実験を実施したが、iPSCと類似のデータが得られた。マウス胚性線維芽細胞(mfe)を枯渇させた後、胚様体/原始線条形成培地中で、続けて、内胚葉誘導培地に切り替えてhPSCを培養することにより、内胚葉が誘導された。前に記載のように
9、前方前腸内胚葉が誘導され、その後、AFEが腹側化培地(分岐培地)で48時間処理され、3次元集塊形成が観察された。凝集塊はその後、ウェルの周囲で静かにピペット操作することにより懸濁させた。腹側化培地/分岐培地の存在下での前方前腸上皮(AFE)からの腹側肺の予定された誘導の間の早期に、容易に剥離され、肺発生のために必要とされることが以前に示された因子
6、7の、BMP4、FGF10、FGF7、レチノイン酸(RA)およびGSK3βアンタゴニスト、CHIR99201(
図6B)の存在下で、細胞凝集塊として浮遊培養で増殖される接着構造体が形成された(
図1A~1B)。7.5x10
5の胚体内胚葉(DE)細胞から、2490+129個の凝集塊が生成された(n=3.RUES2 ESC)。以降では肺芽オルガノイド(LBO)と呼ばれる、AFEの浮遊凝集塊を非組織培養物で処理したマルチウェルプレート中で、分岐培地中に浸して維持し、それらが100%マトリゲル内に埋め込まれる、またはNOD.Cg-Prkdc
scid.Il2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG)マウスの腎被膜下に移植される時間のd20~d25まで1日おきに供給した。
【0045】
LBOの浮遊培養相中、構造体は、EPCAM
+KRT8
+ECAD
+FOXA1/2
+AFE細胞の折り畳みシートを形成した(FOXA2:89.07%±3.36%、EPCAM+:92.08%±1.88%、n=3;RUES2 ESC)(
図1C)。d25までに、細胞の51.26±4.37%(n=3;RUES2 ESC)が肺マーカーNKX2.1
+を発現した(
図1C)。上皮前駆細胞マーカー、p63(18.59%±1.49%、n=3;RUES2 ESC、
図1C)を除いて、成熟肺および気道細胞のマーカーは存在しなかった(ECRtは示されず)。細胞は、中胚葉PDGFRA
+ECAD
-細胞に取り囲まれていた(
図1D)。RNAseq(
図6C)は、EPCAM
+細胞中で内胚葉/肺遺伝子(FOXA2、SOX2、NKX2.1)の強い濃縮を確証した(
図1E)。EPCAM
-細胞は中胚葉遺伝子を発現し(
図1e)、その内のTBX4およびHOX5パラログなどのいくつかは、肺中胚葉中で発現している
13、14。成熟肺および気道中および他のAFE由来系統中での遺伝子発現は、EPCAM
+画分中では、ほとんど検出不能であった(
図6D)。ソニックヘッジホッグ(SHH)は、内胚葉細胞、および中胚葉中のその転写標的
15、PTCH1、GLI1およびHHIP中で発現した(
図6D)。インサイツハイブリダイゼーションにより、d15での内胚葉画分中のSHH発現を確認した。d25では、SHHは、出芽上皮構造の先端で最も強力に発現した(
図6E)。これらの知見は、早期発生マウス肺と一致し、この場合、SHHは、最初は、肺内胚葉全体を通して発現するが、分岐形態形成中に次第に分岐部先端に限定される
15~17。それらは、インビボで発達している肺芽と類似して空間的に組織化されている複数の細胞型を含むので、我々は、これらの構造を肺芽オルガノイド(LBO)と呼ぶ。
【0046】
B.異種移植後のヒト肺芽オルガノイドのインビボ潜在能力。
約20~25日目に、手術の前に、約百万個のd20~d25 LBO細胞を5μlのマトリゲルと混合し、NOD.Cg-Prkdc
scid.Il2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG)マウスの腎臓下に移植した。免疫不全のNSGマウスの腎被膜下に移植したとき、ヒトRUE2細胞由来のLBO-xenoは、平滑筋、疎性結合組織および希少軟骨を含む多量の間充組織と共に増殖した(
図2A)。LBO-xenoは、約1.5ヶ月後に、間充組織に取り囲まれた管状構造を含んでいた(
図2B)。管は、基底層にP63
+細胞を有するMUC5AC
+(杯)細胞含有FOXA2
+NKX2.1
+SOX2
+上皮により均一に覆われており(
図2C)、これは、気道上皮と適合性がある。全ての細胞は、マウス起源であった内皮細胞(
図7B)を除き、ヒトであった(
図7a)。5ヶ月後、SMA
+胚葉細胞に取り囲まれた分岐構造(
図2D、
図7C)が現れる(
図7C)。全ての上皮細胞は、NKX2.1
+であり、一方、肺発達の後期の近位マーカー
18、19であるSOX2は、分岐部先端から排除され、そこには、サーファクタント産生II型肺胞の上皮(ATII)細胞のマーカーである、SFTPBおよびSFTPCを発現した(
図2E)
20。茎部および中央細管は、近位(気道)マーカーFOXJ1(繊毛性細胞)、CC10(クラブ細胞)およびムチン(杯細胞)を発現した(
図2E)。ヘマトキシリン-エオシン染色は、多くの多繊毛細胞を示し(
図2D)、一方、ライブイメージングは、繊毛叩解を実証した。さらに、粘膜下腺がより大きな管状構造の近くに観察された(
図7E)。全体として、増殖中の形態および発現パターンは、肺の分岐形態形成
6、7中の中心部から周辺部への特異化と一致した。管状構造中の流体は、全ての試験した肺および気道の分泌生成物を含んでいたが、細胞表面ムチン
21、MUC1に関しては陰性であり、分泌タンパク質を検出し、脱落細胞に関連するタンパク質は検出しないことを示し、機能に関する証拠を提供する(
図2F)。7ヶ月後、神経上皮小体
22と適合性があるドーム形状群のCGRP
+PGP9.5
+細胞が気道様構造体中に存在した(
図2G)。さらに、増殖領域は、ATII細胞マーカー(SFTPC、ABCA3、HT2-280)
23を発現している細胞およびI型肺胞上皮細胞(ATI)マーカー(HT1-56、HOPX、PDPN、CAV1、SCNN1A、AKAP5、CLIC5)
20を有する細胞を含む薄い細胞層(
図2G)のネットワークに発達したが、成熟ATI細胞の他のマーカー(RAGE、AQP5)
20は検出されなかった(
図2G)。しかし、肺胞毛細管ネットワークおよび気管支肺胞管は、観察されなかった。我々は、完全な表現型のおよび構築上の肺胞成熟は達成されなかったが、可能な限り、異所配置のために少なくとも一部では、LBOは、多くの肺発生の本質的な特徴を再現しており、これらには、異種移植後の、分岐形態形成および中心部から周辺部への特異化が含まれる。
【0047】
C.長期BLBO-3Dインビトロ発生およびATII機能:3Dマトリックス中のLBOは、分岐コロニーを生成でき、これらの培養条件では分岐のために間葉細胞は必要ではない。
CHIR99021、FGF10、FGF7、BMP4、およびRA(
図6B参照)の存在下、RUES2からのd25 LBOをマトリゲル中に埋め込んだ後、95%超が急速に増殖している分岐構造をもたらした(C12、インフルエンザ感染後、急性呼吸窮迫症候群を生ずるIRF7変異を有する患者由来の株を含む、RUES2に関しては
図3Aを、iPSCに関しては
図8Aを参照)
24。RUES2細胞は、肺内胚葉のマーカーを発現する(FOXA2
+:95.17%±1.54%、NKX2.1
+:74.97%±4.37%、EPCAM
+:96.83%±0.62%、SOX9
+:92.42%±3.81%、d70でn=3;RUES2 ESC)(
図3B)。MUC1の均一な管腔発現は、偏光を示す(
図3B)。ATIIマーカーSFTPC、SFTPBおよびABCA3を発現している細胞が、全ての構造体中に存在した(
図3B)。気道杯細胞(MUC5BまたはMUC5AC)は希であったが、一方、他の気道細胞(クラブ細胞(SCGB3A2)、繊毛性細胞(FOXJ1)および基底細胞(KRT5およびP63))は検出されなかった(図示せず)。単独で播種したRUES2 LBOは、あらゆる方向にランダムに分岐し、6.4mmウェルを90日以内に満たしたが、それらは、近接して一緒に播種した場合、ウェルの一部を占めるのみである分岐の木を形成した(
図8B)。これらの知見は、正常なRUES2細胞の分岐構造は、インビトロで操作でき、分岐構造間の反発相互作用がそれらの構造の決定に一定の役割を果たし得ることを示す。
【0048】
ビメンチンおよびCD90を発現しているRUES2中の間葉細胞は、LBO-3D構造を取り囲んで存在した(
図3B)。しかし、EPCAM
-細胞のフローサイトメトリーにより決定したそれらの比率は、マトリゲル培養中に総集団の2%未満にまで低下した(
図8C)。EPCAM-細胞を除いて、d25 LBOから精製したEPCAM
+細胞は、低いクローニング効率(0.30±0.0316%)にもかかわらず、マトリゲル中で播種後に分岐コロニーを生成した(
図8D)。これらの分岐コロニーは、未処理LBOから生成したマトリゲルコロニーとしてのマーカー発現と類似のパターンを示した(
図8E)。これらの知見は、LBO中の希な前駆細胞は、分岐コロニーを生成でき、これらの培養条件では分岐のために間葉細胞は必要ではないことを示す。
【0049】
D.RUES2 LBOは、ヒト妊娠期間の後期の2番目の三半期までインビトロでヒト肺発生を再現する
RUES2 LBO-3D培養の170日超後に、肺発生の嚢状期中に形成される小嚢を想起させる、拡張された先端部を有する枝管からなる巨視的組織(
図4A)を開発し(
図4B、
図9A)、84.86%+5.21%の細胞は、NKX2.1
+であったが、ほとんどの細胞はSOX9
+(76.75+6.89%)であり、少数(23.78+5.21%)はSOX2
+(
図9B)(n=4、1種のESC株および3種のiPS株)であった。ほとんどの管腔細胞は、HT2-280、MUC1、SFTPB、SFTPCおよびABCA3を発現し(RUES2
図4C、iPSC
図9B)、これらをATII細胞と特定した。電子顕微鏡観察は、多数の層状体(LB)、サーファクタントが貯蔵されているオルガネラ
25を示した(
図4D、
図9C)。
【0050】
ATII細胞機能を調査するために、蛍光脂質に共有結合されたSFTPBである、ボディピーを加えた。数分以内に、SFTPB-ボディピーがRUES2 LGO細胞に取り込まれ、内腔中に分泌された(
図4E、
図4F)。マウス中のATI細胞およびマウスの推定二分化能肺胞前駆細胞
20、26のマーカーである、HOPXは、広範に発現した(
図9B)が、他のATIマーカー(AQP5、CLIC5、AKAP5、CAV1、AGER)は検出できなかった。遠位先端部のマーカーで、肺胞成熟に伴い下方制御され、生後に検出不能になるSOX9は、インビトロで、分岐構造の先端部および外縁部で主に発現し、マウスの発生と一致し、SOX9は遠位肺マーカー
27~29である(
図9B)。
【0051】
気道マーカー(MUC5AC、SCGB3A2)のマトリゲル LBO-3D RUES2コロニー中での発現は、SOX2およびSOX9を同時発現している構造体に限定され(
図9B)、したがって、より近位に該当するものと考えられた。SOX2およびSOX9の同時発現は、マウスでは例外的である
19が、多数のより大きなSOX2
+SOX9
+構造体がヒト2番目の三半期の胎生期の遠位肺で特定されており(
図9D)、LBO-3Dが、ヒト肺発生を再現することを示唆している。SOX9の発現、主にATIIマーカーを発現している嚢状構造の形成、および成熟ATI細胞の非存在は、肺発生の管状期と一致し、マウスの妊娠期間最後に起こるが、ヒトでは2番目の三半期の後期中に起こる。d170マトリゲルLBO-3D培養の発育段階をさらに検証するために、我々は、RUES2細胞由来および3種のiPSC株由来の12種の独立した試料に対し、RNAseqを実施した。妊娠期間の1番目と2番目の三半期および成人期中
30のヒト臓器の発現プロファイルを含む、KeyGenesデータベースを用いた相互参照プログラムは、2番目の三半期の胎生期の肺と最良の一致を示し、その他の臓器とは何ら一致がなかった(
図4G、
図9E)。まとめると、構造的タンパク質発現およびトランスクリプトームデータは、d170マトリゲルRUES2 LBOオルガノイドが、ヒト妊娠期間の2番目の三半期の後期まで到達したことを示す。
【0052】
E.ヒト疾患のモデリングにおけるLBO-3Dの適用の可能性
1.LBOモデルは、遠位肺におけるRSV感染症の形態学的特徴を再現する
我々は次に、選択感染性および線維性肺疾患が再現され得るかどうかを調査した。我々は、呼吸器多核体ウイルス(RSV)感染LBO-3Dが、ヒト肺感染症の特徴を示すかどうかの答えを求めた。RSVは、乳幼児の下気道感染症の主要な原因であり、小気道の通過障害による細気管支炎を引き起こす
2、31。現時点では、認可されたワクチンまたは効果的抗ウイルス薬は存在せず、また、感染後の免疫も短寿命である
32。ヒトにおけるRSV向性には、繊毛性細胞および肺胞上皮細胞が含まれる
2、3。以前のヒト気道上皮細胞株での研究は、RSV感染細胞が膨潤して上皮から剥離し
33、アーカイブ病態供試体中の感染細胞による小気道の通過障害および臨床的細気管支炎症候群と一致する結果を示した
3。d170マトリゲルLBO-3D培養物のRSV感染の2日後に、共焦点顕微鏡は、膨潤した感染細胞の分岐構造の内腔中への脱落を示した(
図5A、矢印)。ウイルス感染の証拠があるのにもかかわらず、1日目には脱落は認められなかった。したがって、LBOのRSV感染は、ヒトの感染の重要な特徴を再現する。
【0053】
2.RUES2-HPS1
DEL LBO-xenoモデルは、CRISPR-Cas9を用いて作製したHPS1-変異体細胞株中の間葉細胞の蓄積を示した。
RUES2株は、適切な変異を誘導するために神経芽腫株中でスクリーニングされたCRIPSR/Cas9構築物を遺伝子導入された。クローンは採取され、CRISPR相同性領域にまたがるプライマーを用いてPCRにより分析され、続けて、プラスミドクローニングおよび塩基配列決定が実施され、目的の変異またはインデルを有する株が検出された。欠失を確認する古典的な手法(PCR、塩基配列決定)に加えて、各変異はコードされているタンパク質が属する複合体全体を不安定化することが示されているので
141、142、HPS変異に対して、WBにより関与複合体の非存在が確認された(BLOC1-3およびAP3複合体が広範に発現している)
21、60、141。変異のための標的化配列は、
図13~16に提供されている。
【0054】
F.RUES2細胞(RUES2-HPS1DEL)および線維症の証拠
次に、我々は、いくつかの形態のヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS)5に関連する肺線維症をモデル化することを試みた。HPSは、血小板密顆粒およびメラノソーム34を含む、リソソーム関連オルガネラ(LRO)の異常な生合成および輸送に起因する色素沈着および出血異常を特徴とする。いくつかの形態、特にHPS1は、臨床的に類似の特発性肺線維症(IPF)5である、早期発症型の制御困難な肺線維症(HPS間質性肺炎(ヘルマンスキー・パドラック症候群関連間質性肺炎またはHPSIP))に関連し、肺胞の線維性閉塞を特徴とし、3~4年の生存期間中央値35を有する。ATII細胞のLBはまた、LROであるという事実34は、可能性として、HPSの原因となるいくつかの変異を有するIPFの関連性を説明する5。
【0055】
HPS1のCRISPR-CAS9誘導欠失を有するRUES2細胞(以降では、RUES2-HPS1
DEL)(
図10A)からのLBO-3D作製由来のマトリゲルコロニーは、親RUES2株(
図5B)からのLBOより、明確さの程度が低いマトリゲル培養物中の分岐構造を示し、EPCAM
-間葉細胞の比率が増加し(
図5C、
図10B)、間充組織マーカー、PDGFRA、PDGFRB、SMA、ビメンチンおよびCD90を不均一に発現している(
図5D、
図10Cの低倍率タイルスキャン)。EPCAM
-集団は、親細胞に比べて、培養物中でのRUES2-HPS1
DEL細胞の極めて高められた増殖を示した(
図10D、
図E)が、EPCAM
+集団はそうではなく、従って、間葉細胞の増殖は、EPCAM
-細胞の比率の増大を説明する。しかし、驚くべきことに、EPCAM
-の過剰増殖は、早くもd15浮遊培養で、何らかのATIIマーカーの検出の前にも、RUES2-HPS1
DEL LBOにおいて認められていた。さらに、RUES2-HPS1
DEL細胞中の、増大したヒドロキシプロリン含量(
図10F)ならびに増強された細胞外マトリックス(ECM)自発蛍光(
図10C)およびコラーゲン1および3ならびにフィブロネクチン(
図5D、
図10G)の免疫蛍光染色は、増大したECM沈着を示した。混合実験(
図10H~
図10J)は、という、HPSIP
36および可能性としてはその他の形態のIPF
4が上皮損傷により引き起こされ得るという考えと一致する知見である、間葉細胞の蓄積は変異体上皮細胞により推進され、変異体間葉細胞の細胞固有の特性ではない考えと一致した。まとめると、これらの知見は、LBOを用いて、少なくとも一部の線維性肺疾患のモデル化を行うことができることを示唆している。
【0056】
特定の変異を有する他の細胞株(すなわち、HPS2、HPS8、SFPTCおよびテロメラーゼ)の発生に関する情報および関連データは、下記実施例3で提供される。変異を有するそれぞれの細胞株を作製する技術は、実施例1および3で示されるHPS1細胞株のものと類似である。各遺伝子変異の配列ならびに細胞ゲノム中の挿入するためのgRNA標的配列は、
図13~16に提供されている。HPS2およびテロメラーゼを有するLBOは、HPS1-LBOで観察されるものと類似の線維性異常を示す。
【0057】
考察
マトリゲル中のLBOおよびLBO由来インビトロ分岐コロニーおよびマウス腎被膜下の異種移植後の増殖は、真のオルガノイド1の定義を満たし、したがって、これらのコロニーは、肺芽オルガノイド(LBO)と命名される。以前に報告した「ヒト肺オルガノイド」は、オルガノイドでは全くなかった。理由は、インビトロでもまたは異種移植後でも分岐を示さなかったためである8、9。さらに、本LBOと対照的に、以前に記載した肺オルガノイドは、血清の存在下であるが、インビトロでの肺特異化のために不可欠であることを我々が示した10、BMP4、RAおよびWntアゴニズムの非存在下で生成された。最終的には、皮下移植後に気道上皮細胞を生成するために必要とされる生体工学により作製した足場上での前培養がなければ、免疫不全マウスの腎被膜下移植後、これらの構造は発達しなかった9。対照的に、現時点で人感染を再現するモデルが存在しない、遠位の肺のRSV感染症の形態学的特徴は、RSVに感染したRUES2細胞のLBO-3Dモデルで初めて再現された。RUES2-HPS1DEL LBO-3Dモデルはまた、HPS1欠損細胞中で、線維症(間質性肺炎またはHPSIP関連ヘルマンスキー・パドラック症候群)の証拠を示し、このHPS1欠損は、臨床的に、予後的に、放射線学的におよび病理学的にIPFと識別不能の、最も浸透性型の肺線維症を引き起こす変異である4、5、36。しかし、疾患HPSIPは通常、30~40才代に発症するが、線維性表現型は、RUES2-HPS1DEL LBOモデルでは、分化の40日以内にインビトロで再現され得ることが優れている。理論に束縛されるものではないが、年齢およびテロメア機能障害がIPFの主要なリスク因子であることから、インビトロ培養のストレスが老化により誘導される変化を再現し、表現型の急速な出現に繋がったことが考えられる35、37。LBOモデルは、マトリゲル中での6ヶ月の培養後、オルガノイドは、構造、マーカー発現およびゲノムワイド発現特性の観点から、ヒト妊娠期間の2番目の三半期に一致するという点で限界がある。これらの知見は、LBO系でモデル化された肺発生は、子宮内でのヒト肺発生と歩調を合わせることを示唆する。したがって、完全な最終成熟は、オルガノイドの分野で課題として残されている1。第2の制約は、まだ証明されていない、分岐形態形成の「空間充填」モデルと一致する知見である、分岐がランダムに表れることである38。しかし、LBO-3D分岐は、マトリゲル中で相互に極めて接近していくつかのLBOを播種することにより誘導され得ることが示されており、この場合、オルガノイドは、相互から離れて分岐し、分岐がインビトロで操作できることを示唆する。3つ目の制約は、LBO中に存在する間葉の正確な性質およびパターニングが明らかになっていないことである。インビボ異種移植は、LBO-xeno関連中胚葉細胞は、内皮細胞、骨または骨格筋を生成する潜在能力を有さず、間葉は、ある程度特定化されていることが明らかになった。肺中の種々の間充組織系統およびそれらの個体発生学はまだ純分に特性が明らかになっていない6。しかし、肺性血管系は、肺間葉から誘導されそうにない。近位の肺血管は、高頻度心肺間充組織前駆細胞から誘導され、一方、肺胞毛細管ネットワークの発生起源は、既存躯幹血管で生じたVE-カドヘリン+前駆細胞である可能性がある6、39。4つ目の制約は、インビトロ培養は、大きく遠位の肺の方向に偏っており、SOX2およびSOX9を共発現しているいくつかの領域は、杯細胞およびクラブ細胞前駆物質のより近位のマーカーを発現したが、成熟クラブ細胞、繊毛細胞または基底細胞は観察されなかったという点である。我々はまた、インビボ移植後、ATIの潜在能力は存在しているが、ATIマーカーのインビトロ誘導を達成できなかった。
【0058】
まとめると、この研究は、特定の制約にもかからず、LBO(3Dおよびxenoの両方)は、ヒト肺発生、肺疾患のモデリングおよび正常なLBOに対するおよびRSV感染症および線維症などの肺疾患のモデルとなるLBOに対する薬物の作用に関する薬物のスクリーニングの研究の有用なツールとなることを示している。
【0059】
薬物スクリーニング
本発明は、試験薬剤、特に、本明細書に記載のような、肺および気道細胞スフェア中のコラーゲンの形成を防止または低減する試験薬剤を提供する。しかし、フィブロネクチンおよび任意の他の細胞外マトリックスタンパク質としてのコラーゲンの防止または低減に限定されず、さらには、全てのタイプの間葉細胞(線維芽細胞、リポ線維芽細胞、筋線維芽細胞、など)も同様に低減できる。
【0060】
別のスクリーニング実施形態は、本方法により作製された細胞集団中のサーファクタントの産生を増加または低減させる試験薬剤を特定する。
【0061】
この薬剤の例には、タンパク質、ペプチド、非ペプチド化合物、合成化合物、発酵生成物、細胞抽出物、植物抽出物、動物組織抽出物など、核酸、ペプチド、タンパク質、非ペプチド化合物、合成化合物、発酵成物、細胞抽出物、細胞培養上清、植物抽出物、哺乳動物組織抽出物、プラズマ、などが挙げられる。試験物質は、新規物質または既知物質であってよい。試験物質は、塩の形態であってよく、このような塩は、生理学的に許容可能な酸または塩基との塩であり得る。これらの物質は、新規または既知であってよい。さらに、コンビナトリアル化学技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成またはファージディスプレイにより作製されたランダムペプチドライブラリー、などはまた、試験物質の好ましい例である。
【0062】
本明細書で使用される場合、「試験薬剤」という用語は、非常に広い範囲にわたる(後述のように)、本明細書に記載の肺および気道細胞のスフェア中のコラーゲン形成を阻止する能力、またはコラーゲン発現スフェアの崩壊を防止する能力で評価される薬学的または非薬学的化合物または基質を意味し得る。
【0063】
一実施形態では、BLBOは、細胞膜を通って輸送できる小分子量試験試薬で処理される。このような薬剤の量は、当業者により決定され得るが、通常は、約0.01ミクロモル(0.01uM)~1mMでよい。培養したスフェアまたはその他の試験細胞と試験化合物との接触の時間は、変化し得る。BLBO中の線維形成を低減するまたは防止するための化合物の能力の測定は、試験物質の投与の開始後であり限りにおいて、任意の時間に行ってよい。
【0064】
本発明の方法を用いてスクリーニングされるライブラリーは、種々のタイプの化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、化合物は、ペプチド分子である。非限定的例では、ペプチド分子はファージディスプレイライブラリー中に存在できる。他の実施形態では、化合物のタイプには、限定されないが、非天然アミノ酸、例えば、D-アミノ酸、α-アミノリン酸、または非ペプチド結合を有するアミノ酸などのアミノ酸の亜リン酸類似体を含むペプチドを含むペプチド類似体、ホスホロチオエートおよびPNAなどの核酸類似体、ホルモン、抗原、合成または天然薬物、オピエート、ドーパミン、セロトニン、カテコールアミン、トロンビン、アセチルコリン、プロスタグランジン、有機分子、フェロモン、アデノシン、スクロース、グルコース、ラクトースおよびガラクトースが挙げられる。ポリペプチドまたはタンパク質のライブラリーも同様に使用できる。
【0065】
ある実施形態では、コンビナトリアルライブラリーは、限定されないが、ベンゾジアゼピン、イソプレノイド、チアゾリジノン、メタチアザノン、ピロリジン、モルホリノ化合物、およびジアゼピンジオンなどの小有機分子ライブラリーである。別の実施形態では、コンビナトリアルライブラリーは、ペプトイド;ランダムバイオオリゴマー;ベンゾジアゼピン;ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー; ビニルポリペプチド;非ペプチドペプチド模倣体;オリゴカルバメート;ペプチジルホスホネート;ペプチド核酸ライブラリー;抗体ライブラリー;または炭水化物ライブラリーを含む。コンビナトリアルライブラリーそれ自体は市販されている(例えば、Advanced ChemTech Europe Ltd.,Cambridgeshire,UK;ASINEX,Moscow Russia;BioFocus plc,Sittingbourne,UK;Bionet Research(A division of Key Organics Limited),Camelford,UK;ChemBridge Corporation,San Diego,Calif.;ChemDiv Inc,San Diego,Calif.;ChemRx Advanced Technologies,South San Francisco,Calif.;ComGenex Inc.,Budapest,Hungary;Evotec OAI Ltd,Abingdon,UK;IF LAB Ltd.,Kiev,Ukraine;Maybridge plc,Cornwall,UK;PharmaCore,Inc.,North.Carolina;SIDDCO Inc,Tucson,Ariz.;TimTec Inc,Newark,Del.;Tripos Receptor Research Ltd,Bude,UK;Toslab,Ekaterinburg,Russia、を参照されたい)。
【0066】
一実施形態では、本発明の方法のためのコンビナトリアル化合物ライブラリーは、合成され得る。
【0067】
本明細書での使用を意図した例示的合成低分子量の生物学的に活性な分子には、Molecular Diversity Libraries(MolBio)からのMaxiVerse(商標)、LOPAC1280(Sigmaからの)、薬物様のスクリーニング化合物のMyriaScreen Diversity Collection(Sigmaからの)、biofocus.com/offerings/compound-libraries.htm?gclid=CMXYzorejp4CFSZdagodh-ktmswからのワールドワイドウェブ上で利用可能な化合物ライブラリーなど、ならびにこれらの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0068】
本明細書での使用を意図した例示的抗体には、ヒト細胞型と機能的に相互作用できる任意の抗体(またはそのフラグメント)が含まれ、該抗体はモノクローナルまたはポリクローナルである。例示的抗体には、免疫グロブリンサブタイプの抗体、Fabフラグメント、など、例えば、標的LBOに特有の細胞表面マーカーを認識する抗体;発現が多因子培地への曝露により誘導される、任意の細胞表面タンパク質を認識する抗体または既知のシグナル伝達経路を阻害する抗体;または既知シグナル伝達経路を活性化する抗体、など、ならびにこれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0069】
本明細書での使用が意図される例示的核酸には、オリゴヌクレオチド、DNA分子、RNA分子、など、ならびにこれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0070】
本明細書での使用が意図される例示的DNA分子には、ジンクフィンガーヌクレアーゼをコードするDNAプラスミド/ベクター、ジンクフィンガー転写因子、cDNA過剰発現ライブラリーなど、ならびにこれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0071】
本明細書での使用が意図されるRNA分子には、siRNA(例えば、ワールドワイドウェブ上で利用できるsigmaaldrich.com/life-science/functional-genomics-and-mai/sima.htmlを参照)、shRNA(例えば、ワールドワイドウェブ上で利用できるsigmaaldrich.com/life-science/functional-genomics-and-mai.htmlおよびopenbiosystems.com/RNAi/shrnaLibraries/を参照)、マイクロRNA(例えば、ワールドワイドウェブ上で利用できるmirbase.org/index.shtmlを参照)など、ならびにこれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。当業者なら容易にわかるように、RNA分子は、直接的に(例えば、siRNAまたはマイクロRNAを用いて)、または目的のRNA分子(例えば、マイクロRNAまたはshRNA)を含むウイルス発現ベクターを含むウイルスとして、アレイ上にスポットできる。
【0072】
試験化合物のライブラリーをスクリーニングするための本発明のスクリーニング方法は、好ましくは、試験化合物を標的LBOと、好ましくは生理的条件下で接触させることを含む。
【0073】
分岐形態形成による肺組織の形成
肺芽オルガノイドは、以下の実施例2に記載の技術により作製される。プロトコルは、3つの段階を含む。第1に、誘導多能性幹細胞または胚性幹細胞などのヒト多能性細胞が、多能性細胞の胚体内胚葉(DE)への分化を誘導する条件下で、胚様体/原始線条形成培地に晒される。この第1段階は通常、4日間(d0~d4)を要し、CXCR4の発現およびc-kitにより特定される内胚葉を有する胚様体を形成する。第2段階、(d5~d6)では、胚様体は、胚様体が前方前腸パターニングを形成する条件下で、前方化培地に晒される。その後、第3段階、(d6~d20~25)では、細胞は、腹側化および最終的な肺芽オルガノイド(LBO)の産生を誘導する条件下で、腹側化培地/分岐培地に晒される。LBO形成は、出芽上皮構造の先端部上のソニックヘッジホッグ(SHH)発現により特定される(
図6E参照)。
【0074】
培養物プロセスのd20~d25のLBOの産生時は、その後、折り畳み構造を有するオルガノイドが選択され、マトリゲル内にサンドイッチ構造で埋め込まれる。折り畳み構造には、EPCAM
+KRT8
+ECAD
+FOXA1/2
+AFE細胞の折り畳みシート(FOXA2:89.07%±3.36%、EPCAM+:92.08%±1.88%、n=3;RUES2 ESC)が含まれる(
図1C)。サンドイッチの形成は、ウェルまたは他の好適する容器中に第1の量のマトリゲルを加え、固化させてサンドイッチの底部分を形成することを含む。折り畳み構造を有する選択オルガノイドを、マトリゲルと混合して、底部分の上に配置し、固化させて中央細胞層を形成する。細胞不含の別の量のマトリゲルを細胞埋め込み層の上に配置し、固化させてサンドイッチの上部を形成する。腹側化培地/分岐培地をウェル中に入れ、定期的に補充する。オルガノイドからの分岐出芽の生成は、マトリゲル埋め込み後、1週間で起こる。埋め込み後2~3週間で、広範囲に分岐したオルガノイドが観察される。
【0075】
上述したマトリゲルの代わりに、Gjorevsky et al,Nature.2016 Nov 24;539(7630):560-564.doi:10.1038/nature20168およびDiMarco et al.,Biomater Sci.2015 Oct 15;3(10):1376-85に記載のものなどの他のゲルマトリックスを組み込むことができる。
【0076】
実施例
実施例1:方法
試薬
使用した試薬は、下表1に記載されている。
【0077】
ヒト試料
Human Studies Core at Columbia Center for Translational Immunologyから調達したヒト胎児組織の使用は、Columbia University Medical Center(CUMC)ヒト研究審査委員会により承認され、実験は、承認プロトコルに従って実施された。
【0078】
培地
hPSC維持培地は、20%のノックアウト血清代替物、0.1mM β-メルカプトエタノール、1ml Primocin、5ml 非必須アミノ酸、5ml GlutaMax、および20ng/ml FGF-2を補充したDMEM/F12(1:1)から構成した。無血清分化(SFD)培地は、N2、B27、0.05%ウシ血清アルブミン、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、50 ug/ml アスコルビン酸、2mM Glutamax,0.4uM モノチオグリセロールおよび表2に示した種々の成長因子の混合物を補充したIMDM/Ham’s F12(3:1)から構成した。
【0079】
hPSC維持
Rockefeller University Embryonic Stem Cell Line 2(RUES2、NIH承認番号NIHhESC-09-0013、登録番号0013、継代17~28)、センダイウイルスおよび改変mRNAにより作製した健康なヒト皮膚線維芽細胞由来hiPSC株7、9(継代16~25)およびIRF7-欠損C12 hiPSC株28を、15,000~18,000細胞/cm2で播種したマウス胚性線維芽細胞(MEF)上で維持した。細胞をhPSC維持培地中で培養し、培地を毎日交換した。hPSCをアクターゼ/EDTAを通して洗浄し、1:48の希釈で再播種した。培養物を加湿5%CO2雰囲気中、37℃で維持した。株の核型を決定し、PCRを用いて6ヶ月毎にマイコプラズマ混入を検証した。
【0080】
内胚葉誘導
以前に記載のように9、内胚葉の誘導を実施した。手短に説明すると、hPSC維持培地を加えたマトリゲル上で24時間にわたり培養することによりMEFを枯渇させ、加湿5%CO2雰囲気下、37℃で維持した。MEF枯渇後、原始線条および胚様体誘導を胚様体/原始線条形成培地(表2)中、低接着性プレートで、12~16時間実施し、続けて、内胚葉誘導培地(表2)に切り替えて36~40時間誘導を実施した。胚様体を毎日供給し、加湿5%CO2/5%O2雰囲気下、37℃で維持した。内胚葉収率は、CXCR4の発現およびc-kitにより決定した。iPS株の場合、内胚葉細胞をヒトCD184(CXCR4)マイクロビーズキットを用いて精製した。全ての実験で使用した細胞は、90%超の内胚葉収率であった。
【0081】
前方前腸内胚葉誘導
以前に記載のように9、前方前腸内胚葉を誘導した。4日目に、胚様体を0.05%トリプシン/EDTAで剥がし、フィブロネクチンコートマルチウェルプレートに、80,000~105,000細胞/cm2の密度で播種した。細胞を、前方化培地-1中で24時間インキュベートし、続けて、前方化培地-2に切り替えて、さらに24時間インキュベートした。
【0082】
肺芽オルガノイドの形成
前方前腸内胚葉の誘導の終わりに、細胞を腹側化培地(分岐培地)で48時間処理し、3次元集塊形成が観察された。凝集塊はその後、ウェルの周囲で静かにピペット操作することにより懸濁させた。懸濁凝集塊は、以降では、肺芽オルガノイド(LBO)と呼ばれる。LBOを非組織培養物で処理したマルチウェルプレート中で、分岐培地中に浸して維持し、d20~d25まで1日おきに供給した。
【0083】
マトリゲル中の分岐形態形成
d20~d25 LBOを24ウェルトランスウェルインサート中で100%マトリゲル内に埋め込み、マトリゲルが固化するまでインキュベーター中でインキュベートした。分岐培地をウェルに加え、その後、トランスウェルを挿入し、トランスウェルインサート中にさらに分岐培地を添加した。培地を1日おきに交換した。マトリゲル中でのLBOおよびLBO由来分岐コロニーの生成を記載するステップバイステッププロトコルは、実施例2で見つけることができる。
【0084】
免疫蛍光染色
LBOおよび分岐マトリゲル培養物を最適切断温度(OCT)で新しく埋め込んだ。試料からを5~8μmの薄片を作製した後、2時間空気乾燥させた。切片を4%パラホルムアルデヒドで20分間、室温で固定し、DPBSで5分間洗浄した。切片を0.3%トリトンX-100/PBSで30分間透過処理し、続けて、5%ロバ血清で1時間ブロッキングした。一次抗体(表3)を4℃で一晩インキュベートした。翌日、切片をDPBSで3x5分間洗浄し、続けて、二次抗体(表3)で室温下2時間インキュベートし、DPBSで3x10分間洗浄した後、蛍光封入剤含有DAPIを用いて取り付けた。3D画像化のために、D25 LBOを上述のように染色したが、未処理オルガノイドとして染色した。
【0085】
EPCAM+およびEPCAM-集団のLBOからの単離
0.05%トリプシン/EDTAによりLBOを剥がした。細胞をAPC標識EPCAMを用いて4℃で20分間染色した。EPCAM+およびEPCAM-細胞を、BD Influx Cell Sorter(San Jose,CA)を用いて、蛍光活性化細胞分取(FACS)により単離した。
【0086】
RNAseq
LBO由来の総RNAを、Direct-zol(商標)RNA MicroPrepキットを用いて精製した。2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を使って、Agilent microfluidic RNA 6000 Nano Chipキット(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)により、RNA濃度およびRNA integrity number(RIN値)を測定した。9より大きいRIN値を有する試料をRNAseqに使用した。Poly-A-pull-down法を用いて、総RNA試料からmRNAを濃縮した。Illumina TruSeq RNAプレップキット(Illumina,San Diego,CA)を用いてライブラリーを作製した。その後、Illumina HiSeq2000(Illumina,San Diego,CA)を用いて、Columbia Genome Centerで、ライブラリーの配列を決定した。試料を各レーンで多重化し、各サンプルについて、全レーンに対する180百万リードの一部として、目標数のシングルエンド/ペアエンド100bpリードを得た。ベースコーリングのために、RTA(Illumina,San Diego,CA)を用い、また、BCLをFASTQフォーマットへの変換のために、アダプタートリミングと連動する、bcl2fastq(バージョン1.8.4)を用いた。Tophat(バージョン2.0.4)を用いて、ミスマッチ数4および最大マルチヒット10で、リードを参照ゲノム(NCBI/ビルド37.2)にマッピングした。エキソン-エキソン接合由来のリードのマッピング捕捉するために、Tophatは、新規エキソン-エキソン接合を最初から推測し、それらを、参照アノテーションとして、既知mRNA配列からの接合と組み合わせる。我々は、cufflinks(バージョン2.0.2)をデフォルト設定で用いて、遺伝子の相対存在量およびスプライスアイソフォームを推定した。我々は、RNAseq実験および発現差異のための試験からのリード数をモデル化する負の二項分布に基づくRパッケージであるDEseqを用いて、各種条件下で差次的に発現した遺伝子を試験した。
【0087】
インサイツハイブリダイゼーション
ジゴキシゲニン(DIG)-UTP-標識SHHリボプローブを用いて、凍結切片(5~8μm)に対しインサイツハイブリダイゼーションを実施した。手短に説明すると、ヒト成人肺組織cDNAをテンプレートとして用いて、T7またはT3プロモーター配列(順方向プライマー:AATTAACCCTCACTAAAGGGACAGCTCGGAAGTCATCAGTT;逆方向プライマー:TAATACGACTCACTATAGGGG CCTCTGAGTGGTGGCCATCTT)を含む、SHH PCR産物を生成した。PCR産物をテンプレートとして使用し、T7 MAXIscriptキット(Ambion)を用いてSHHリボプローブを生成し、続けて、RNeasy microキット(Qiagen)を用いて、リボプローブを浄化した。種々の段階のLBOをOCT中に新しく埋め込んだ。試料を5~8μmに薄片化し、続けて、4%パラホルムアルデヒドを用いて室温で20分間固定した。切片をDEPC-DPBSで3x5分間洗浄し、アセチル化バッファー(584μlのトリエタノールアミン/50mlのDEPC-H2O/125μlの無水酢酸)中で10分間アセチル化した。0.1%トリトンX-100/PBSで30分間の透過処理を実施し、続けて、DEPC-DPBSで3x5分間洗浄した。切片をハイブリダイゼーションバッファー(5%デキストラン硫酸塩/4x SSC/50%フォルムアミド/1xデンハルト溶液/5%魚の精子DNA)と共に、室温で少なくとも2時間インキュベートした後、200ng/mlのDIG標識SHHプローブと共にハイブリダイゼーションバッファー中、72℃で一晩インキュベートした。翌日、切片を、72℃に予熱した0.2x SSCと共に2時間、インキュベートした後、続けて、30分間で室温まで冷却した。切片を新しい0.2x SSCで5分間洗浄し、その後、PBSでさらに5分間洗浄した。切片をブロッキング溶液(2%ヒツジ血清/TBST)と共に1時間インキュベートし、続けて、抗DIG-AP Igと共に4℃で一晩インキュベートした。切片をTBSTで3x10分間洗浄し、呈色反応バッファー(100mMトリス、pH9.5/0.1%ツイーン-20/100mM NaCl/50mM MgCl2)で10分間濯いだ。切片をBM-purpleと共にインキュベートすることにより発色させた。
【0088】
マウス腎被膜移植
NOD.Cg-PrkdeScid.Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウスを特殊な病原体不含マウス設備に収容した。全マウスは、10~13週齡で使用し、性別では選択しなかった。実験は、時点当たり5~7匹のマウスを使用するように設定した。標本数を設定する統計的方法は使用しなかった。実験はランダム化しなかった。実験および動物飼育は、Columbia University学内実験動物委員会により承認されたプロトコルに従って実施した。手術の前に、百万個のd20~d25 LBO細胞を5μlのマトリゲルと混合し、腎被膜下に移植した。増殖物を摘出し、免疫蛍光法のために新しくOCT中に埋め込むか、またはパラフィン包埋のために4%パラホルムアルデヒドで固定した。ヘマトキシリン/エオシン染色を用いて組織分析を行った。
【0089】
ドットブロット
5ヶ月の移植片の管状構造物から吸引した3マイクロリットルの体液をニトロセルロースブロッティング膜(GE Healthcare Life Sciences)上にスポッティングした。ドットブロット膜を5分間風乾し、5%ミルク/PBS中で1時間ブロッキング後、示した一次抗体(表3)を使って4℃で一晩検出した。HRP標識二次抗体を膜に適用し、続けて、ECLウェスタンブロッティング検出試薬を用いてシグナル検出を行い、X線フィルムに露光した。
【0090】
画像化
電動Leica DMI6000 B(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)またはDMi8(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)倒立顕微鏡または2光子共焦点レーザー走査型顕微鏡Leica TCS SP8(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)を用いて試料を画像化した。巨視的な画像(
図3Aおよび
図5A)をiPhone6(モデル:MG5A2LL/A,Apple,Cupertino,CA)を使って取得した。
【0091】
生存LBO中へのSPB-ボディピーの取り込みおよび定量化
d170 LBOをCellMask(商標)Deep Red Plasma membrane Stainで10分間染色し、5回の洗浄に続けて、SPB-ボディピーのロード前の画像取得を行い、バックグラウンド蛍光レベルを得た(0分)。その後、培養物に20ng/mlの精製ヒトSPB-ボディピータンパク質(培養物当たり全体で10ng)をマトリゲルの上に直接加えた。2光子共焦点レーザー走査型顕微鏡(Leica TCS SP8)を用いて2分ごとに画像を取得し、LeicaアプリケーションスイートXを使って蛍光強度を定量化した。統計分析前に、全ての測定値からバックグラウンド蛍光値を差し引いた。
【0092】
免疫蛍光法の定量化
各核マーカーの画像をImageJを用いて定量化した。手短に説明すると、画像を8ビット画像に変換し、核染色に対応するように閾値を調整し、全領域の測定を可能にした。全領域をImageJの「Analyze Particles」機能により分析した。陽性細胞の全領域をDAPIの全領域で除算することにより、陽性細胞のパーセンテージを計算した。細胞外マトリックス定量化の場合には、蛍光強度をLeicaアプリケーションスイートXを用いて定量化した。統計分析前に、値を各個別の実験のRUES2対照に対し正規化した。
【0093】
透過型電子顕微鏡
NYU Langone Medical Center Microscopy Coreで、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を実施した。LBOを0.1Mのカコジル酸ナトリウムバッファー(pH7.2)中の2.5%グルタルアルデヒドで2時間固定し、1%四酸化オスミウムで室温で1.5時間、後固定を行った後、標準的方法で処理し、EMbed 812(Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)中に埋め込んだ。厚切りの切片を1mmに切り出し、1%トルイジンブルーで染色し、保存品質を評価し、目的の領域を見つけた。極薄の切片(60nm)を切り出し、銅グリッド上に取り付け、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で標準的方法により染色した。染色したグリッドを、Philips CM-12電子顕微鏡で調査し、Gatan(4k x2.7k)デジタルカメラ(Gatan,Inc.,Pleasanton,CA)で撮影した。
【0094】
呼吸器多核体ウイルス調製および感染
組換え赤色蛍光タンパク質(RFP)発現RSV A2(rrRSV)を、高感度緑色蛍光タンパク質をpDsRed由来野性型Discosoma RFP遺伝子で置換することにより、完全長RSVプラスミド1、MP224から生成した。細胞維持のために、HEp-2細胞(ATCC番号CCL-23)およびベロ細胞(ATCC番号CCL-81)を単層培養で増殖させ、10%ウシ胎仔血清(FCS)および2mMのL-グルタミンを補充したDMEM中、5%CO2含有加湿雰囲気下、37℃で維持した。HEp-2細胞(ATCC番号CCL-23)中で、ウイルスストックを調製した。手短に説明すると、HEp-2細胞を一晩増殖し、OptiMEMで洗浄し、rrRSVで接種した。2.5時間の吸着期間後、細胞を、1%FCSを補充したDMEM中で3日間インキュベートした。凍結-解凍の1サイクルとそれに続く、3,500rpmの清澄化遠心分離によりウイルスを採取し、-80℃で貯蔵した。2%メチルセルロースオーバーレイ、5%(v/v)ホルムアルデヒド固定、および5日間のクリスタルバイオレット染色(0.015%w/v)を用いた、ベロ細胞中のプラークアッセイによりウイルス力価を測定した。d170 LBOのRSV感染に関しては、1ml中107プラーク形成単位(PFU)のRSVをウェル中の各マトリゲル培養物上に直接加え、37℃で3時間インキュベートした。その後、RSV接種材料を取り除き、培養物をSFD培地で5回、5分間にわたり洗浄し、分岐培地中で維持した。ホールマウント染色のために、抗RSV(全抗原)抗体(Meridian Life Science,B65890G)を使って、培養物を示した時点で収集した。倒立顕微鏡または2光子共焦点レーザー走査型顕微鏡Leica TCS SP8(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)を用いて画像を取得した。
【0095】
データ入手可能性
本研究の知見を裏付けるRNA塩基配列決定データセットは、Sequence Read Archive(SRA)から入手可能である。d25 LBO塩基配列決定のSRA受入番号は、SRP073749であり、d170 LBOは、SRR4295269である。
【0096】
統計および再現性
対応のない両側スチューデントのt検定または1元配置分散分析を用い、適用できる場合にはPrism7を使用して、統計分析を実施した。結果は、平均±平均の標準誤差で示し、p値<0.05を統計的に有意と見なした。別段の定めがある場合を除き、N値は、生物学的に独立した反復実験回数を意味する。統計解析を実施しなかったので、研究者を、実験中の割り付けおよび動物試験の結果評価に対し盲検とはしなかった。実施例1に関する追加の参考文献:
1.Hallak LK,Spillmann D,Collins PL,Peeples ME.Glycosaminoglycan sulfation requirements for respiratory syncytial virus infection.J Virol 2000;74:10508-10513.
【0097】
実施例2:3次元肺芽オルガノイドおよびそれ由来分岐コロニーの生成のための詳細プロトコル。
このプロトコルは、ヒト多能性幹細胞(hPSC)の分岐形態形成ができる3次元肺芽オルガノイド(LBO)への分化について記載する。我々のグループにより以前に発表された2Dプロトコル1~3をベースにして、我々は、3Dシステムを設計し、この場合、hPSCが順次胚体内胚葉(DE)、前方前腸内胚葉(AFE)および、接着2D培養における腹側AFE、に順次分化し、続けて、浮遊培養によりLBO形成が可能となる。d25でマトリゲル中に播種すると、LBOは、強い外側への分岐を起こし、最終的に、肺発生の嚢状期中に形成される小嚢を想起させる拡張された先端部を形成した。これらの培養物は、ヒト肺発生および分岐形態形成の研究に使用できる。
【0098】
オルガノイドは、臓器と同様に空間的に組織化され、少なくとも一部の特異的臓器機能を再現する4、複数の細胞型からなる構造体である。成人組織および多能性幹細胞の両方由来の、いくつかのタイプのオルガノイドについて説明されてきた。この技術は、発達生物学、臓器生理学および機能ならびに疾患モデリング5、6に研究に関して大きな影響を有すると思われる。しかし、真のヒト肺オルガノイドモデルは、まだ実現されていない。呼吸系は、漸進的により小さい気道になり、ガス交換が行われる肺胞7、8で終わる複雑な分岐系から構成される。ヒト肺オルガノイドの生成は、以前に報告された9、10。しかし、記載オルガノイドは、分岐形態形成または中心部から周辺部への特異化を示さず、機能も実証されなかった。現在のプロトコルで記載の肺芽オルガノイド(LBO)モデルは、分岐形態形成、中心部から周辺部への特異化およびインビボおよびインビトロ両方での初期肺胞形成の証拠を示す。それらの発生は、ヒト発生の2番目の三半期と等価の段階に到達している。マトリゲル中のLBO由来分岐構造体は、多数の層状体を有する2型肺胞上皮細胞(AT2)を含み、サーファクタントタンパク質のインビトロ取り込みおよび放出を行うことができる。さらに、ムチンおよびサーファクタントタンパク質の分泌、ならびに繊毛運動が、異種移植後に実証された。したがって、このプロトコルにより生成されたLBOは、真のオルガノイドの定義を満たし、ヒト肺発生および可能性として、ヒト肺疾患のモデリングのために有用であると思われる。
【0099】
【0100】
装置:
正常酸素圧インキュベーター(95%空気/5%CO2)
低酸素インキュベーター(5%O2/5%CO2)
遠心分離機
血球計数器
採取フード
【0101】
手順:
*マトリゲル上のMEF枯渇(d-1)*
1.マトリゲルを氷上で解凍し、マトリゲルを含むアイスバケットを4℃で一晩放置する。
2.マトリゲルを冷IMDM中に希釈する(1:30)。
3.6mlの希釈したマトリゲル溶液を各10cm2の組織培養物処理ディッシュに加え、室温で少なくとも3時間または4℃で一晩放置する。
4.1つ6ウェルプレート胚様体(EB)を作製するために、1ml/ウェルのアクターゼを用いてヒト多能性幹細胞(hPSC)の2つの集密的ウェルを(6ウェルプレートから)剥がし、正常酸素圧インキュベーター中で2~3分間インキュベートする。
5.アクターゼを吸引する。
6.停止培地で酵素を中和する。
7.1,400rpmで4分間遠心分離し、剥離細胞をペレット化する。
8.酵素および停止培地を可能な限り吸引する。
9.10~12mlのhPSC維持培地で細胞を再懸濁する。
10.ディッシュから上清を吸引後、マトリゲルコートディッシュ中に細胞を播種する(ステップ3参照)。
11.正常酸素圧インキュベーター中で細胞を一晩インキュベートする。
【0102】
内胚葉誘導(d0~d4)
1.d0で、マトリゲルコートディッシュからhPSC維持培地を取り出し、3mlのトリプシンを加える。正常酸素圧インキュベーター中でディッシュを1~1.5分間インキュベートする。
2.トリプシン溶液を吸引し、10mlの停止培地を加えることにより、残りの酵素を停止させる。
3.剥離細胞を集め、1,400rpmで4分間の遠心分離によりペレット化する。
4.酵素および停止培地を吸引する。
5.細胞を12mlの胚様体/原始線条形成培地に再懸濁し、6ウェル低接着性プレートに分配する(2ml/ウェル)。
6.低接着性プレートを低酸素インキュベーター中に置き、胚様体(EB)の形成を行わせる。
7.12~16時間後、全EBを15mlのチューブに集め、800rpmで1分間遠心分離する。
8.胚様体/原始線条形成培地を吸引する。
9.EBを12mlの内胚葉誘導培地に静かに再懸濁し、それらを低接着性プレートに均等に分配して戻す(2ml/ウェル)。
10.プレートを低酸素インキュベーターに戻す。
11.d2で、1mlの新しい内胚葉誘導培地を各ウェルに加える。
12.d3で、2mlの新しい内胚葉誘導培地を各ウェルに加える。
13.d4.1~d4.3で、CXCR4およびc-kit発現のフローサイトメトリー分析により、内胚葉収率をチェックする。内胚葉収率が90%超の場合、分化を継続する。
【0103】
前方化(d5~d6)
1.フィブロネクチンを、DPBS中の0.2%(vol/vol、1:500、4ug/ml)に希釈することにより、フィブロネクチンコート6ウェルプレートを調製する。2mlのフィブロネクチン/DPBS溶液を各ウェルに加え、正常酸素圧インキュベーター中でプレートを少なくとも30分間または4℃で一晩インキュベートする。
2.トリプシン(最大4分間の消化に対し、EBの6ウェルプレート当たり、3mlのトリプシン)を用いて、EBを単細胞に剥離させる。
3.停止培地で酵素を中和する。
4.血球計数器を使って細胞を計数する。
5.1,400rpmで4分間の遠心分離により、解離細胞をペレット化する。
6.停止培地を吸引する。
7.細胞を7.5x105細胞/2mlで前方化培地-1に再懸濁する。
8.2mlの細胞混合物を各ウェル(6ウェルプレート、フィブロネクチンコート、ステップ1参照)に加える。
9.正常酸素圧インキュベーター中でプレートをインキュベートする。
10.24時間(±1時間)後、前方化培地-1を前方化培地-2(2ml/ウェル)で置換する。
11.プレートを正常酸素圧インキュベーターに戻す。
【0104】
腹側化および肺芽オルガノイド(LBO)形成(d6~d25)
1.24時間(±1時間)後、前方化培地-2を腹側化培地/分岐培地(2ml/ウェル)で置換する。
2.プレートを正常酸素圧インキュベーターに戻す。
3.48時間後、全ての腹側化培地/分岐培地を吸引し、2mlの新しい腹側化培地/分岐培地を各ウェルに加える。
4.ウェル全体に対して、P1000チップでピペッティングによる下層での吸引と上層での吐出を静かに行いオルガノイドを懸濁させる。
5.懸濁オルガノイドを非組織培養物処理プレートに移す。
6.プレートを正常酸素圧インキュベーターに戻す。
7.プレートを傾かせて、オルガノイドを下端に沈下させることにより、オルガノイドを1日おきに供給する。オルガノイドに接触することを回避しながら、古い培地を取り出す。2mlの新しい腹側化培地/分岐培地を各ウェルに加える。
【0105】
オルガノイドの分岐(d20~実験の終わり)
1.d20~d25の間に、採取フード中で、折り畳み構造を有するオルガノイドを選択する。
2.インサート当たりの所望の数のオルガノイドを各ウェル(ウェル当たり100μlの新しい腹側化培地/分岐培地を含む96ウェルU底プレート)に入れる。通常、1~4オルガノイドがインサート当たり播種される(24ウェルインサート)。
3.24ウェルインサートを非組織培養物治療プレート中に入れる。
4.50μlの100%の冷マトリゲルを各インサートの底部に置く。
5.5分間またはマトリゲルが固化するまで待つ。
6.1回につき1つのウェルの腹側化培地/分岐培地を取り出す。
7.オルガノイドと30μlの100%の冷マトリゲルとを静かに混合し、気泡生成を回避する。
8.直ちに、オルガノイド-マトリゲル混合物をインサートに中央に置く。
9.マトリゲルが固化する5分間待ち、オルガノイドをインサートの中央に固定する。
10.さらなる50μlの100%冷マトリゲルをインサートに加え、マトリゲルサンドイッチを形成する。
11.プレートを正常酸素圧インキュベーター中に10分間入れ、全てのマトリゲルが固化したことを保証する。
12.500μlの腹側化培地/分岐培地をインサートに加え、別の500μlの腹側化培地/分岐培地をウェル中に加える。
13.正常酸素圧インキュベーターで培養物をインキュベートし、培地を2~3日毎に置換する。
【0106】
タイミング:
各ステップのハンズオン時間:
マトリゲル上のMEF枯渇(d-1):20分
内胚葉誘導(d0~d4):2時間
前方化(d5~d6):1時間
腹側化および肺芽オルガノイド(LBO)形成:30分+オルガノイドの懸濁:5分/プレート
オルガノイドの分岐:24インサートの埋め込み、およびそれらの培地への供給を終わるまで、おおよそ2時間。
【0107】
予測結果:
この分化プロトコルを用いて、オルガノイドになる接着凝集塊は、腹側化培地/分岐培地に切り替えた2日後に形ができる(プロトコルのd8)。懸濁オルガノイド内の折り畳み構造は、早くもd10~d12に生ずる。オルガノイドからの分岐出芽の生成は、マトリゲル埋め込み後、1週間で起こる。埋め込み後2~3週間で、広範囲に分岐したオルガノイドが観察される。異なる細胞株は、初期オルガノイド形成の間、異なった挙動をする。いくつかのiPS株は、オルガノイド懸濁の前、d8に明白な接着凝集塊を有する傾向がなかった。しかし、それらは、懸濁後オルガノイドを形成し、それらは、マトリゲル中で分岐しなかった。
【0108】
実施例2に関する追加の参考文献:
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【0109】
実施例3:RUES2-HPS1株の生成と特性評価
RUES2-HPS1株をUniversity Medical CenterのStem Cell Core Facilityで生成した。手短に説明すると、RUES2細胞(継代25)をマトリゲルでコートした6ウェルプレートで70~80%コンフルエンスまで培養した。細胞を、6ウェルプレートのウェル当たり、7.5μgのHPS1ガイドRNAプラスミド(pX330、Addgene Plasmid #42230)+2.5μgのCas9mCherryで、Nucleofector 4Dを用いて電気穿孔処理した。Cas9mCherry由来mCherryを、遺伝子導入された細胞を選別するための蛍光マーカーとして使用した。遺伝子導入の24時間後、細胞をBio-Rad S3eセルソーターを用いてFACSにより選別し、約2,000細胞/6cmディッシュでMEFフィーダーに播種した。コロニーを選別後7~10日に採取した。個々のクローン由来のゲノムDNAを単離し、HPS1特異的PCRプライマー(HPS1-F-1(GTAGAGGCAGCAGATCCAAGAGG)およびHPS1-R-1(GAACAAGGTGGTCCACACA)、予測される420bpバンド)を用いて遺伝子型判定を実施した。PCR産物を、In-Fusion反応(Clontech,Mountain View,CA)を用いて、適切な配列のプラスミドに挿入した。塩基配列決定は、各アレル中の未成熟停止コドンを明らかにした(
図10)。上記技術を実施し、HPS2(
図13、AP3B1、エキソン4)、HPS8(
図14、BLOC1S3 エキソン2)、SFPTC(
図15、SFTPC エキソン2)またはテロメラーゼ(
図16、TERC、エキソン1)遺伝子に変異を有する細胞株を作製した。本明細書の教示を考慮すると、当業者なら、目的の変異を有する多くの他の細胞株が作製でき、その後、さらなる研究、評価、およびスクリーニングのためのLBOに成長させ得ることを理解するであろう。
【0110】
ヒドロキシプロリン含量
製造業者のプロトコル(Sigma、MAK008-1KT)に従って、ヒドロキシプロリン含量を測定した。手短に説明すると、RUES2またはRUES2-HPS1培養物由来の試料をガラス/テフロン・ダンス型組織ホモジナイザーによりホモジナイズし(100μl中の10mg試料)、耐圧性バイアルに移し、続けて、10mgの試料当たり、100μlの濃塩酸(約12M)を加えた。混合物を120℃で3時間加水分解した。
試料を96ウェルプレート中、60℃で乾燥し、続けて、クロラミンT/酸化バッファー混合物を用いて室温で5分間およびDMAB試薬を用いて60℃でさらに90分間インキュベートした。ヒドロキシプロリン含量は、560nmで測定した。同じ量のマトリゲルを対照として使用した。
【0111】
鍵遺伝子を用いた比較分析
鍵遺伝子を用いて、RUES2、C12、HDF SVおよびHDF mRNA株由来のd170 LBOから得たRNAseqデータを、他の1番目と2番目の三半期および肺を含む成人臓器と比較した。LBOとd170の12試料および2番目の三半期からの19臓器由来の75試料の階層型クラスタリングをCluster3.0を用いて実施し、ツリー表示で調べた。87関連遺伝子が鍵遺伝子により計算された。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0112】
参考文献
上付き文字の文献は参考文献リスト1に記載され、下付き文字の文献は参考文献リスト2に記載されている。
参考文献リスト1:
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