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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】HDAC6阻害剤及び造影剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 259/10 20060101AFI20221128BHJP
   C07B 59/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221128BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20221128BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
C07C259/10 CSP
C07B59/00
A61P35/00
A61P25/00
A61P11/00
A61P7/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/28
A61P25/14
A61P29/00
A61P37/06
A61K51/04 200
A61K31/166
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019555586
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018027077
(87)【国際公開番号】W WO2018191360
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】62/484,207
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ロッカ,ジョハンナ カーリナ
(72)【発明者】
【氏名】フッカー,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チャンニン
(72)【発明者】
【氏名】ストリブル-バンティッロ,マーティン ゲオルク
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0359794(US,A1)
【文献】米国特許第04205085(US,A)
【文献】国際公開第2011/106632(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/058582(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/043953(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0052599(US,A1)
【文献】国際公開第2014/059306(WO,A1)
【文献】特表2013-542994(JP,A)
【文献】国際公開第2015/058106(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/018795(WO,A1)
【文献】Registry(STN)[online],2011年09月20日,CAS登録番号 1332894-18-4
【文献】Registry(STN)[online],1984年11月16日,CAS登録番号 73779-41-6
【文献】Registry(STN)[online],2016年02月28日,CAS登録番号 1875612-53-5
【文献】Registry(STN)[online],2016年02月05日,CAS登録番号 1860746-44-6
【文献】KATTAR, S. D. et al.,Parallel medicinal chemistry approaches to selective HDAC1/HDAC2 inhibitor(SHI-1:2) optimization,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,Vol.19,pp.1168-1172,DOI:10.1016/j.bmcl.2008.12.083
【文献】HENDRICKS, J. A. et al.,In vivo PET imaging of histone deacetylases by 18F-suberoylanilide hydroxamic acid(18F-SAHA),Journal of Medicinal Chemistry,2011年,Vol.54,pp.5576-5582,DOI:10.1021/jm200620f
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
【化1】
からなる群から選択される、化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素と接触させて前記HDAC酵素の活性を阻害する方法に用いられる、組成物。
【請求項3】
前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、及びHDAC11の内の1つ又は複数よりもHDAC6を選択的に阻害する、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
対象を撮像する方法に用いられる、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、
前記方法が、前記組成物を投与された対象を撮像技術により撮像すること
を含み、
ここで、前記化合物又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも1個の18F放射性同位体を含む、組成物。
【請求項6】
前記撮像技術は、単一光子放出コンピュータ断層撮影、ポジトロン放出断層撮影イメージング、コンピュータ断層撮影、コンピュータ断層撮影イメージングを有するポジトロン放出断層撮影、磁気共鳴イメージングを有するポジトロン放出断層撮影からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発
本発明は、国立衛生研究所により与えられた助成金番号R01 NS099250の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月11日に出願された米国仮特許出願第62/484,207号明細書の利益を主張し、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の阻害に有用な化合物を提供する。本出願は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現レベル及び/又は活性と関連する疾患の処置に有用な化合物(例えば、標識化合物又は非標識化合物)、並びに放射標識化合物を使用してHDAC酵素を撮像する方法をさらに提供する。
【背景技術】
【0004】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、DNAパッケージング、遺伝子発現を調節するクロマチン改変酵素のファミリであり、生物レベルでの行動変化を介して、細胞レベルでの分化から高次の脳機能までの生物学的機能に関係している。証拠により、エピジェネティックなメカニズムとクロマチンにより媒介される神経可塑性とのターゲティングにより精神神経疾患の処置が改善され得るということがますます支持されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、特に、式I:
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
は、-N(R)-又は-CH(R)-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はC1~6アルキレン基、連結性のC3~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~6アルキル基で任意選択的に置換されており、
は、結合であるか又はC1~6アルキレン基であり;
は、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、及びC6~10アリールからなる群から選択され、C3~10シクロアルキル及びC6~10アリールはそれぞれ、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されており、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H、ハロ、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択される、
化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
一部の実施形態では、Xは-N(R)-である。一部の実施形態では、Rは、H及びメチルからなる群から選択される。
【0007】
一部の実施形態では、Xは-CH(R)-である。一部の実施形態では、RはHである。
【0008】
一部の実施形態では、Lは結合である。一部の実施形態では、Lは、C1~6アルキレン基、連結性のC3~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~6アルキル基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Lは、メチレン、
【化2】
からなる群から選択され、
【化3】
は、LとXとの間の結合を示し、
【化4】
は、LとRとの間の結合を示す。
【0009】
一部の実施形態では、Lは結合である。一部の実施形態では、Lはメチレンである。
【0010】
一部の実施形態では、Rは、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Rは、メチル、メトキシ、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニル、フェニル、及び3-フルオロフェニルからなる群から選択される。
【0011】
一部の実施形態では、XはNである。一部の実施形態では、XはCRである。一部の実施形態では、RはH又はFである。一部の実施形態では、RはFである。
【0012】
一部の実施形態では、XはNである。一部の実施形態では、XはCRである。一部の実施形態では、RはH又はFである。一部の実施形態では、RはHである。
【0013】
一部の実施形態では、X及びXはそれぞれNである。一部の実施形態では、XはCRであり、且つXはCRである。一部の実施形態では、RはFであり、且つRはHである。
【0014】
一部の実施形態では、RはH又はCFである。一部の実施形態では、RはHである。
【0015】
一部の実施形態では、RはH又はCFである。
【0016】
一部の実施形態では、RはHである。
【0017】
一部の実施形態では、RはFであり、R、R、及びRはそれぞれHである。
【0018】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり:
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はC1~3アルキレン基、連結性のC6~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~3アルキル基で任意選択的に置換されており;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され;
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0019】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はメチレン、
【化5】
からなる群から選択され、
【化6】
は、LとXとの間の結合を示し、
及び
【化7】
は、LとRとの間の結合を示し、
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され、
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0020】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式II:
【化8】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0021】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式III:
【化9】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0022】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式IV:
【化10】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0023】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式V:
【化11】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0024】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又は薬学的に許容される塩は、少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又は薬学的に許容される塩は、11C及び18Fからなる群から選択される少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又は薬学的に許容される塩は、少なくとも1個の18F放射性同位体を含む。
【0025】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式VI:
【化12】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0026】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化13】
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0027】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化14】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0028】
本出願は、医薬組成物であって、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される単体とを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0029】
本出願は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の活性を阻害する方法であって、HDAC酵素と、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩とを接触させることを含む方法をさらに提供する。一部の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の活性を阻害することは、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を調節解除すること(deregulating)を含む。一部の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である。一部の実施形態では、本化合物は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、及びHDAC11の内のHDAC6 1つ又は複数を選択的に阻害する。
【0030】
一部の実施形態では、本方法はインビトロでの方法である。一部の実施形態では、本方法はインビボでの方法である。
【0031】
本出願は、対象を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0032】
本出願は、細胞中の又は組織中のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を撮像する方法であって、
i)この細胞又は組織と、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩とを接触させること;
及び
ii)この細胞又は組織を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0033】
本出願は、対象中のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0034】
本出願は、対象中において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する疾患を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0035】
本出願は、対象中において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する疾患の処置をモニタリングする方法であって、
i)この対象を撮像技術により撮像すること;
ii)この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること;
iii)この対象を撮像技術により撮像すること;
及び
iv)工程i)の画像と工程iii)の画像とを比較すること
を含む方法をさらに提供する。
【0036】
一部の実施形態では、この撮像技術は、単一光子放出コンピュータ断層撮影、ポジトロン放出断層撮影イメージング、コンピュータ断層撮影、コンピュータ断層撮影イメージングを有するポジトロン放出断層撮影、磁気共鳴イメージングを有するポジトロン放出断層撮影からなる群から選択される。一部の実施形態では、この撮像技術はポジトロン放出断層撮影イメージングである。一部の実施形態では、このヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である。
【0037】
本出願は、対象の脳を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0038】
本出願は、疾患の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与することを含み、この疾患は、癌、中枢神経系の疾患、及び炎症性自己免疫疾患からなる群から選択される、方法をさらに提供する。
【0039】
一部の実施形態では、この疾患は癌である。一部の実施形態では、癌は固形腫瘍を含む。一部の実施形態では、この癌は、神経膠腫、膠芽腫、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される。一部の実施形態では、この癌は血液癌である。一部の実施形態では、この血液癌は、白血病及びリンパ腫からなる群から選択される。一部の実施形態では、この癌は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する。一部の実施形態では、この癌は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連する。
【0040】
一部の実施形態では、この疾患は中枢神経系の疾患である。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は神経変性疾患を含む。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は鬱病である。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、統合失調症、双極性障害、アルツハイマー病、及びハンチントン病からなる群から選択される。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は鬱病をさらに含む。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連している。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連している。
【0041】
一部の実施形態では、この疾患は炎症性自己免疫疾患である。一部の実施形態では、この炎症性自己免疫疾患は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連している。一部の実施形態では、この炎症性自己免疫疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連している。
【0042】
一部の実施形態では、投与された化合物の約0.1%~約5%が血液脳関門を通過する。一部の実施形態では、投与された化合物は、脳:血漿比が少なくとも約1:1~少なくとも約50:1である。
【0043】
本出願は、対象の癌を処置する方法であって、
i)この癌が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;
及び
ii)この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法をさらに提供する。
【0044】
本出願は、対象の中枢神経の疾患を処置する方法であって、
i)この中枢神経系の疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;
及び
ii)この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法をさらに提供する。
【0045】
本出願は、対象の炎症性自己免疫疾患を処置する方法であって、
i)この炎症性自己免疫疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること、
及び
ii)この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法をさらに提供する。
【0046】
一部の実施形態では、このヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である。
【0047】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明での使用のために本明細書では方法及び材料が説明されているが、当分野で既知の他の適切な方法及び材料も使用し得る。材料、方法、及び例は一例にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、ヒト神経前駆細胞ヒストン及びチューブリンのアセチル化アッセイの結果を示す図である。
図2A図2図2Aは、[18F]放射標識4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド(実施例2)を注射したSprague-Dawleyラットの全脳ROIの平均化した(n=3)時間-放射能曲線を示す図である。ブロックされた動物では、1mg/kgの非標識4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド(実施例1)を放射性トレーサーの投与の直前に注射し、ベースラインの動物をビヒクルで処置した。
図2B図2Bは、[18F]放射標識4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド(実施例2)を注射したSprague-DawleyラットのPET画像を示す。この画像は、30~90分からまとめた矢状スライスを示す。
図3図3は、実施例1の化合物又はツバスタチンの存在下で実施例2の放射標識化合物に曝露されたSprague-Dawleyラットの脳の矢状スライスの代表的なオートラジオグラフィー画像を示す。
図4図4は、黒ヒヒの環椎を使用したヒヒ脳内の15個の領域のSUV解析、ベースライン分布及び前処置分布の比較を示す図である。各関心領域(ROI)を、ROI内の各ボクセルのSUV値(平均60~120分)の分布として示す。ACC=前帯状皮質、amgyg=扁桃体、CB=小脳、DLPFC=背外側前頭前皮質、HC=海馬、M1=一次運動野、NAc=側坐核、OFC=眼窩前頭皮質、PCC=後帯状皮質、Pu=被殻、SMA=補足運動野、Th=視床、V1=一次感覚皮質、WM=白質。
図5図5は、SUV及びVの比較を示す図である。実施例2の関心領域データを、2つの測定値の直線性を示すためにSUV値(平均60~120分)対分布体積(Vt)としてプロットした。このデータは、シグナルの定量のための参照戦略の潜在的な使用を支持する。
図6図6A~Bは、平均取込み画像、並びにベースライン(実施例2)PETスキャンと前処置PETスキャンとの間の比較のための時間-放射能曲線を示す図であり、標的を、実施例1の非放射標識形態の投与により事前に飽和させた。
図7図7A~Bは、競合アッセイからのインビトロでのオートラジオグラフィーデータを示す図である。図7B、上部パネル:実施例2、競合相手なし;中央パネル:実施例2+実施例1;底部パネル:実施例2+ツバスタチンA。
図8図8A~Bは、CD2 hHDAC6複合体にドッキングさせた実施例2の化合物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
ヒストンデアセチラーゼは、様々な有望な適応症により、医薬品ターゲットとして現れている。Zn依存性HDACの11種のアイソフォームの内の複数を標的とするいくつかのpan-HDAC阻害剤が、FDAにより承認されているか又は現在臨床試験中である(例えば、Mottamal et al,Molecules(Basel,Switzerland),2015,20(3):3898-3941を参照されたい)。しかしながら、この非選択的薬剤は概して、望ましくない副作用を引き起こす(例えば、Estiu et al,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2010,18(11):4103-4110;Estiu et al,Journal of Medicinal Chemistry,2008,51(10):2898-2906;及びDifei et al,Current Topics in Medicinal Chemistry,2009,9(3):241-256を参照されたい)。
【0050】
HDAC6の細胞質内の位置及び構造はアイソフォームの中でも独特であり、HDAC6選択的処置レジメンは、第1世代のpan-HDAC阻害剤の副作用の内の多くを回避する見込みを示している(例えば、Santo et al,Blood,2012,119(11):2579-2589を参照されたい)。アイソフォームの選択性は操作することが困難であり、HDAC6は他のアイソフォームとは構造が異なり、選択的阻害剤の合理的な設計の出発点を提供する。
【0051】
異常なHDAC6発現レベルは、多形膠芽細胞腫(例えば、Li et al,Tumor Biology,2015,36(12):9661-9665;Wang et al,Cancer Letters,2016,379(1):134-142;及びLucio-Eterovic et al,BMC Cancer,2008,8(1):243を参照されたい)、レット症候群(例えば、Delepine et al,Human Molecular Genetics,2015,25(1):146-157;及びGold et al,Journal of Molecular Medicine,2015,93(1):63-72を参照されたい)、アルツハイマー病(例えば、Anderson et al,PLOS ONE,2015,10(5):e0126592;及びCuadrado-Tejedor et al,Neuropsychopharmacology,2017,42(2):524-539)、並びにパーキンソン病(例えば、d’Ydewalle et al,Traffic,2012,13(6):771-779;Su et al,Journal of Neurochemistry,2011,117(1):112-120;及びDu et al,Neurobiology of Aging,2014,35(10):2316-2328)の病態生理に関与していが、生きているヒトの脳中におけるこれらの相関関係の理解は限定されたままである。さらに、脳浸透性HDAC6選択剤の設計は困難であることが証明されており、HDAC6阻害の機能的効果を達成するためには高用量が必要であることが多い(例えば、Jochems et al,Neuropsychopharmacology,2014,39(2):389-400を参照されたい)。
【0052】
ポジトロン放出断層撮影(PET)はヒトの神経エピジェネティクス及び関連するプロセスの理解を高める可能性があり、HDAC6を研究するためのプローブは、脳機能及び脳疾患の分子レベルの基盤への洞察、並びに治療標的及び治療用小分子の検証における洞察を増す可能性がある。従って、本出願は、脳浸透剤である選択的HDAC6阻害剤の開発、及びPET撮像でのその応用を説明する。
【0053】
化合物
本出願は、式I:
【化15】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
は、-N(R)-又は-CH(R)-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はC1~6アルキレン基、連結性のC3~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~6アルキル基で任意選択的に置換されており、
は、結合であるか又はC1~6アルキレン基であり;
は、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、及びC6~10アリールからなる群から選択され、このC3~10シクロアルキル及びC6~10アリールはそれぞれ、C1~6アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H、C1~6アルキル、ハロ、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択される、
化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化16】
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0055】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH(R)-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか又はC1~6アルキレン基であり;
は、結合であるか又はC1~6アルキレン基であり;
は、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、及びC6~10アリールからなる群から選択され、このC3~10シクロアルキル及びC6~10アリールはそれぞれ、C1~6アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており、
、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H、C1~6アルキル、ハロ、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択される。
【0056】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH(R)-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、H、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はC1~6アルキレン基、連結性のC3~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~6アルキル基で任意選択的に置換されており、
は、結合であるか又はC1~6アルキレン基であり;
は、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~10シクロアルキル、及びC6~10アリールからなる群から選択され、このC3~10シクロアルキル及びC6~10アリールはそれぞれ、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されており;
、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H、ハロ、及びC1~6ハロアルキルからなる群から選択される。
【0057】
一部の実施形態では、Xは-N(R)-である。一部の実施形態では、Rは、H、C1~3アルキル、及びC1~3ハロアルキルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H及びC1~3アルキルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H及びメチルからなる群から選択される。一部の実施形態では、RはC1~6アルキルである。一部の実施形態では、Rは、メチル及びペンチル(例えばn-ペンチル)からなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、メチル、及びペンチルからなる群から選択される。
【0058】
一部の実施形態では、Xは-CH(R)-である。
【0059】
一部の実施形態では、Rは、H、C1~3アルキル、及びC1~3ハロアルキルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H及びC1~3アルキルからなる群から選択される。一部の実施形態では、RはHである。
【0060】
一部の実施形態では、Lは結合である。一部の実施形態では、Lは、C1~6アルキレン基、連結性のC3~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~6アルキル基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Lは、C1~3アルキレン基、連結性のC6~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~3アルキル基で任意選択的に置換されている。
【0061】
一部の実施形態では、LはC1~6アルキレン基である。一部の実施形態では、LはC1~3アルキレン基である。一部の実施形態では、Lは、メチレン及びプロピレン(例えば、-CHCH(CH)-又は-CH(CHCH)-)からなる群から選択される。
【0062】
一部の実施形態では、Lは、メチレン、プロピレン、
【化17】
からなる群から選択され、
【化18】
は、LとXとの間の結合を示し、
【化19】
は、LとRとの間の結合を示す。
【0063】
一部の実施形態では、Lは、メチレン、
【化20】
からなる群から選択され、
【化21】
は、LとXとの間の結合を示し、
【化22】
は、LとRとの間の結合を示す。
【0064】
一部の実施形態では、Lは結合である。一部の実施形態では、LはC1~3アルキレン基である。一部の実施形態では、Lはメチレンである。
【0065】
一部の実施形態では、Rは、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルは、C1~3アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Rは、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルは、メチル及びフルオロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Rは、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Rは、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは1個又は2個のフルオロ基で任意選択的に置換されている。
【0066】
一部の実施形態では、Rは、C6~10シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルはそれぞれ、C1~6アルキル及びハロからなる群から独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、Rは、C6~10シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルはそれぞれ、C1~3アルキル及びフルオロからなる群から独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、RはC6~10シクロアルキルであり、このC6~10シクロアルキルは、C1~6アルキル基から独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されている。一部の実施形態では、RはC6~10シクロアルキルであり、このC6~10シクロアルキルは、C1~3アルキル基から独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されている。
【0067】
一部の実施形態では、Rは、メチル、メトキシ、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニル、フェニル、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(例えば、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)、及び3-フルオロフェニルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、メチル、メトキシ、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニル、フェニル、及び3-フルオロフェニルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、アダマンチル又は6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(例えば、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)である。一部の実施形態では、Rはアダマンチルである。一部の実施形態では、Rは6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(例えば、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)である。
【0068】
一部の実施形態では、XはNである。
【0069】
一部の実施形態では、XはCRである。
【0070】
一部の実施形態では、Rは、H又はFである。一部の実施形態では、RはFである。一部の実施形態では、RはHである。一部の実施形態では、Rは、H、C1~6アルキル、及びハロからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、メチル、F、Cl、及びBrからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、メチル、及びFからなる群から選択される。
【0071】
一部の実施形態では、XはNである。
【0072】
一部の実施形態では、XはCRである。
【0073】
一部の実施形態では、Rは、H又はFである。一部の実施形態では、RはHである。一部の実施形態では、Rは、H、C1~6アルキル、及びハロからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、メチル、F、Cl、及びBrからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、メチル、及びFからなる群から選択される。
【0074】
一部の実施形態では、X及びXはそれぞれNである。
【0075】
一部の実施形態では、XはCRであり、且つXはCRである。
【0076】
一部の実施形態では、XはNであり、且つXはCRである。
【0077】
一部の実施形態では、XはCRであり、且つXはNである。
【0078】
一部の実施形態では、RはFであり、且つRはHである。一部の実施形態では、R及びRはそれぞれHである。一部の実施形態では、R及びRはそれぞれハロである。一部の実施形態では、R及びRはそれぞれFである。
【0079】
一部の実施形態では、Rは、H、ハロ、及びC1~3フルオロアルキルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、F、及びCFからなる群から選択される。一部の実施形態では、RはHである。
【0080】
一部の実施形態では、Rは、H、ハロ、及びC1~3フルオロアルキルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、H、F、及びCFからなる群から選択される。一部の実施形態では、RはHである。
【0081】
一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の少なくとも1つは、C1~6アルキル基、ハロ基、又はC1~6ハロアルキル基である。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の少なくとも1つは、ハロ基又はC1~6ハロアルキル基である。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の少なくとも1つはハロ基である。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の少なくとも1つはC1~6アルキル基である。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の少なくとも1つはFである。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の少なくとも1つはメチルである。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の1つはFであり、且つ他の可変要素(variable)はそれぞれHである。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の1つはメチルであり、且つ他の可変要素はそれぞれHである。一部の実施形態では、R、R、R、及びRの内の1つは18Fであり、且つ他の可変要素はそれぞれHである。一部の実施形態では、RはFであり、且つR、R、及びRはそれぞれHである。
【0082】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり:
は、CR又はNであり;
は、H及びC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はC1~3アルキレン基、連結性のC6~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~3アルキル基で任意選択的に置換されており;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルは、C1~3アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
は、H、C1~6アルキル、及びハロからなる群から選択され;
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0083】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり:
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はC1~3アルキレン基、連結性のC6~10シクロアルキル基、及び連結性の4~10員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、この4~10員のヘテロシクロアルキル基は、1個又は2個の独立したC1~3アルキル基で任意選択的に置換されており;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは、1個又2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され;
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0084】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H及びC1~6アルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はメチレン、プロピレン、
【化23】
からなる群から選択され、
【化24】
は、LとXとの間の結合を示し、
及び
【化25】
は、LとRとの間の結合を示し、
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルは、C1~6アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
は、H、C1~6アルキル、及びハロからなる群から選択され、
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0085】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はメチレン、
【化26】
からなる群から選択され、
【化27】
は、LとXとの間の結合を示し、
及び
【化28】
は、LとRとの間の結合を示し、
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C6~10シクロアルキル、及びフェニルからなる群から選択され、このフェニルは、1個又は2個の独立して選択されるハロ基で任意選択的に置換されており、
は、H及びハロからなる群から選択され、
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0086】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はメチレン、
【化29】
からなる群から選択され、
【化30】
は、LとXとの間の結合を示し、
及び
【化31】
は、LとRとの間の結合を示し、
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、メチル、メトキシ、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニル、フェニル、及び3-フルオロフェニルからなる群から選択され;
は、H及びハロからなる群から選択され、
並びに
、R、及びRはそれぞれHである。
【0087】
一部の実施形態では、
は-N(R)-であり;
はCRであり;
はCRであり;
はC1~3アルキルであり;
及びLはそれぞれ、独立して選択されるC1~3アルキレン基であり;
はC6~10シクロアルキル基であり;
及びRはそれぞれ独立して、H及びハロからなる群から選択され;
並びに
及びRはそれぞれHである。
【0088】
一部の実施形態では、
は-N(R)-であり;
はCRであり;
はCRであり;
はC1~3アルキルであり;
及びLはそれぞれ、独立して選択されるC1~3アルキレン基であり;
は、アダマンチル又は6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(例えば、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)であり;
及びRはそれぞれ独立して、H及びハロからなる群から選択され;
並びに
及びRはそれぞれHである。
【0089】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか又はC1~3アルキレン基であり;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C6~10シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルはそれぞれ、C1~3アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され;
、R及びRはそれぞれHである。
【0090】
一部の実施形態では、
は、-N(R)-又は-CH-であり;
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はメチレン及びプロピレンからなる群から選択され;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C6~10シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、このC6~10シクロアルキル及びフェニルはそれぞれ、C1~3アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され;
、R及びRはそれぞれHである。
【0091】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式II:
【化32】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、可変要素R、X、X及びXは、式Iの化合物に関して本明細書に記載された定義に従って定義される。
【0092】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式III:
【化33】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、可変要素R、L、X、X及びXは、式Iの化合物に関して本明細書に記載された定義に従って定義される。
【0093】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式IV:
【化34】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、可変要素R、R、X及びXは、式Iの化合物に関して本明細書に記載された定義に従って定義される。
【0094】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式V:
【化35】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、可変要素R及びRは、式Iの化合物に関して本明細書に記載された定義に従って定義される。
【0095】
具体的に定義されない限り、本明細書で提供される化合物及び塩は、中間体又は最終化合物に存在する原子の全ての同位体も含み得る。同位体は、原子番号が同一であるが質量数が異なる原子を含む。
【0096】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式I~Vのいずれかの化合物)又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも1個の放射性同位体を含む。本明細書で使用される場合、用語「放射性同位体」は、原子質量又は質量数が、自然界で概して見出される(即ち、天然に存在する)原子質量又は質量数と異なる原子を指す。「放射標識」化合物は、本明細書で提供される化合物であって、1個又は複数個の原子が、原子質量又は質量数が自然界で概して見出される(即ち、天然に存在する)原子質量又は質量数と異なる原子に置き換えれている、又はこの原子で置換されている、化合物である。放射性同位体の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:11C、13N、15O、18F、34mCl、38K、45Ti、51Mn、52mMn、52Fe、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Ga、68Ga、71As、72As、74As、75Br、76Br、82Rb、86Y、89Zr、90Nb、94mTc、99mTc、110mIn、111In、118Sb、120I、121I、122I、123I、124I、124I、131I、及び201Tl。
【0097】
一部の実施形態では、放射性同位体は陽電子放射体である。本明細書で使用される場合、用語「陽電子放射体」は、放射性同位体であって、陽子が中性子に変換され、それにより陽電子及び電子ニュートリノが放出される、放射性同位体を指す。一部の実施形態では、この陽電子放射体は11C又は18Fである。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又は薬学的に許容される塩は、11C及び18Fからなる群から選択される少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、この化合物又は薬学的に許容される塩は、少なくとも1個の18F放射性同位体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物の少なくとも1個のハロ基は放射性同位体である。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物の少なくとも1個のハロ基は18Fである。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物の少なくとも1個のハロアルキル基又はフルオロアルキル基は、少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物の少なくとも1個のハロアルキル基又はフルオロアルキル基は、少なくとも1個の18F放射性同位体を含む。
【0099】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0100】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0101】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0102】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0103】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0104】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0105】
一部の実施形態では、Rは少なくとも1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の放射性同位体を含む。一部の実施形態では、Rは1個の18F放射性同位体を含む。
【0106】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、式VI:
【化36】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、可変要素R及びRは、式Iの化合物に関して本明細書に記載された定義に従って定義される。
【0107】
別途明言しない限り、原子が同位体又は放射性同位体(例えば、重水素、11C、18F)と指定されている場合には、この原子は、この同位体又は放射性同位体の天然の存在量と比べて少なくとも多い量で同位体又は放射性同位体を含むと理解される。例えば、原子が「D」又は「重水素」と指定されている場合には、この位置は、0.015%である重水素の天然の存在量と比べて少なくとも3000倍多い存在量で重水素を有する(即ち、重水素の少なくとも45%の取込み)と理解される。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「Ci」は、放射能の単位である「キュリー」を指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「比放射能」は、単位質量当たりの所与の放射性同位体の放射能(例えばCi/g)を指す。
【0110】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化37】
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0111】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化38】
【化39】
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0112】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化40】
【化41】
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0113】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化42】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0114】
合成
認識されるように、本明細書で提供される化合物(その塩を含む)を、既知の有機合成技術を使用して調製し得、且つ多数の可能な合成経路の内のいずれかに従って合成し得る。
【0115】
本明細書で提供される化合物を、例えば、スキーム1に示す代表的な手順に従って調製し得る。例えば、空気中で安定なルテニウム錯体を使用して、η-配位フェノール前駆体を調製し、陰イオン交換カートリッジから[18F]フッ化物を溶出させるための溶出剤として、さらに精製することなく使用した。標識化は概して、高い変換(TLCにより>70%)で進行した。同一のポット中でのその後のアシル基転移により、最終的な放射標識生成物が得られた(例えば、実施例2)。
【化43】
【0116】
放射性同位体を有機化合物に組み込むための更なる合成方法は当分野で公知であり、当業者は、本明細書で提供される放射標識化合物及び塩の調製に適用可能な他の方法を容易に認識するだろう。
【0117】
説明されたプロセスは本明細書で提供される化合物を合成し得る唯一の手段ではないこと、及び合成有機反応の広範なレパートリーが本明細書で提供される化合物の合成で潜在的に利用され得ることが、当業者に認識されるだろう。当業者は、適切な合成経路を選択して実行する方法を知っている。出発物質、中間体、及び生成物の適切な合成経路を、例えば下記の参照ソース等の文献への参照により特定し得る:Advances in Heterocyclic Chemistry,Vols.1-107(Elsevier,1963-2012);Journal of Heterocyclic Chemistry Vols.1-49(Journal of Heterocyclic Chemistry,1964-2012);Carreira,et al.(Ed.)Science of Synthesis,Vols.1-48(2001-2010)及びKnowledge Updates KU2010/1-4;2011/1-4;2012/1-2(Thieme,2001-2012);Katritzky,et al.(Ed.)Comprehensive Organic Functional Group Transformations,(Pergamon Press,1996);Katritzky et al.(Ed.);Comprehensive Organic Functional Group Transformations II(Elsevier,2nd Edition,2004);Katritzky et al.(Ed.),Comprehensive Heterocyclic Chemistry(Pergamon Press,1984);Katritzky et al.,Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Pergamon Press,1996);Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6th Ed.(Wiley,2007);Trost et al.(Ed.),Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press,1991)。
【0118】
本明細書で説明された化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を伴い得る。保護及び脱保護の必要性、並びに適切に保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学的性質を、例えばT.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)で見出し得る。
【0119】
反応を、当分野で既知の任意の適切な方法に従ってモニタリングし得る。例えば、生成物の形成を、分光学的手段(例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、H又は13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV-可視)、質量分析)によりモニタリングし得るか、又はクロマトグラフ法(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)、若しくは薄層クロマトグラフィー(TLC))によりモニタリングし得る。化合物を、様々な方法(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び順相シリカクロマトグラフィー)により、当業者によって精製し得る。
【0120】
本明細書の様々な箇所で、二価の連結性置換基(linking substituent)が説明されている。各二価の連結性置換基が、この連結性置換基の前方及び後方の両方の形態を含むことが特に意図されている。例えば、-NR(CR’R’’)-は、-NR(CR’R’’)-及び-(CR’R’’)NR-の両方を含む。構造が連結基を明らかに必要とする場合、この群に関して列挙されたMarkush可変要素は連結基であると理解される。
【0121】
本明細書で使用される場合、語句「任意選択的に置換されている」は、非置換であること又は置換されていることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「置換されている」は、水素原子が除去され且つ置換基で置き換えられていることを意味する。所与の原子での置換は原子価により制限されることを理解されたい。
【0122】
定義全体を通して、用語「Cn~m」は、端点を含む範囲を示し、n及びmは整数であり且つ炭素の数を示す。例として、C1~4、C1~6、及び同類のものが挙げられる。
【0123】
本明細書で使用される場合、用語「Cn~mアルキレン」は、n~m個の炭素を有する二価のアルキル連結基を指す。アルキレン基の例として、メチレン、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、及び同類のものが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、アルキレン部分は、1~6個、1~3個、又は1~2個の炭素原子を含む。
【0124】
本明細書で使用される場合、単独で用いられるか又は他の用語と組み合わせて用いられる用語「Cn~mアルキル」は、n~m個の炭素を有する、直鎖又は分枝であり得る飽和炭化水素基を指す。アルキル部分の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:化学基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル;高級相同体、例えば、2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピル、及び同類のもの。一部の実施形態では、このアルキル基は、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、1~3個の炭素原子、又は1~2個の炭素原子を含む。
【0125】
本明細書で使用される場合、単独で用いられるか又は他の用語と組み合わせて用いられる用語「Cn~mアルコキシ」は、式-O-アルキルの基であって、このアルキル基はn~m個の炭素を有する、基を指す。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシ、及びイソプロポキシ)、tert-ブトキシ、並びに同類のものが挙げられる。一部の実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、又は1~3個の炭素原子を有する。
【0126】
本明細書で使用される場合、「ハロ」は、F、Cl、Br、又はIを指す。一部の実施形態では、ハロは、F、Cl、又はBrである。一部の実施形態では、ハロはFである。一部の実施形態では、ハロは18Fである。
【0127】
本明細書で使用される場合、用語「Cn~mハロアルキル」は、1個のハロゲン原子~2s+1個のハロゲン原子(同一であってもよいし異なっていてもよい)を有するアルキル基であって、「s」はアルキル基中の炭素原子の数であり、このアルキル基はn~m個の炭素原子を有する、アルキル基を指す。一部の実施形態では、このハロアルキル基はフッ素化のみされている(例えば、C1~6フルオロアルキル基)。一部の実施形態では、このアルキル基は、1~6個、1~4個、又は1~3個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、このハロアルキル基は1個又は複数個の18F放射性同位体を含む。一部の実施形態では、このハロアルキル基は1個の18F放射性同位体を含む。
【0128】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、単環式でもよいし多環式(例えば、2個、3個、又は4個の縮合環を有する)であってもよい芳香族炭化水素基を指す。用語「Cn~mアリール」は、n~m個の環炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基として、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、及び同類のものが挙げられる。一部の実施形態では、アリール基は、6~約20個の炭素原子、6~約15個の炭素原子、又は6~約10個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アリール基は、置換された又は非置換のフェニルである。
【0129】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、環状のアルキル基及び/又はアルケニル基等の非芳香族環状炭化水素を指す。シクロアルキル基として、単環式又は多環式(例えば、2個、3個、又は4個の縮合環を有する)の基及びスピロ環が挙げられ得る。シクロアルキル基は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の環形成炭素を有し得る(即ち、C3~10シクロアルキル基)。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、オキソ又はスルフィドで任意選択置換的にされ得る(例えば、C(=O)又はC(=S))。シクロアルキル基の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、アダマンチル、及び同類のもの。一部の実施形態では、このシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びアダマンチルからなる群から選択される。一部の実施形態では、このシクロアルキルは6~10個の環形成炭素原子を有する(即ち、C6~10シクロアルキル基)。一実の施形態では、このシクロアルキルは3~6個の環形成炭素原子を有する(即ち、C3~6シクロアルキル基)。一部の実施形態では、このシクロアルキル基はアダマンチル基である。
【0130】
本明細書で使用される場合、用語「連結性シクロアルキル」は、二価のシクロアルキル連結基を指す。連結性シクロアルキル基として、単環式又は多環式(例えば、2個、3個、又は4個の縮合環を有する)の基及びスピロ環が挙げられ得る。シクロアルキル基は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の環形成炭素を有し得る(即ち、C3~10シクロアルキル基)。同様にシクロアルキルの定義に含まれるのは、シクロアルキル環に縮合した(即ち、シクロアルキル環と共通の結合を有する)1個又は複数個の芳香族環を有する部分(例えば、シクロペンタンのベンゾ誘導体、シクロヘキサン、及び同類のもの)である。例示的な連結性シクロアルキル基として、1,3-シクロブチレン、1,4-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、1,1-シクロヘキシレン、及び同類のものが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な多環式連結性シクロアルキル基として、
【化44】
、及び同類のもが挙げられるがこれらに限定されない。
【0131】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」は、O、N、又はSから選択される1個又は複数個の環形成ヘテロ原子を有する非芳香族の単環式又は多環式の複素環を指す。ヘテロシクロアルキル基として挙げられるのは、単環式の4員、5員、6員、及び7員のヘテロシクロアルキル基である。ヘテロシクロアルキル基として、スピロ環も挙げられ得る。ヘテロシクロアルキル基の例として下記が挙げられる:ピロリジン-2-オン、1,3-イソオキサゾリジン-2-オン、ピラニル、テトラヒドロプラン、オキセタニル、アゼチジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、アゼパニル、ベンゾアザペン(benzazapene)、及び同類のもの。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子及びヘテロ原子は、オキソ(=O)で任意選択的に置換され得る。ヘテロシクロアルキル基は、環形成炭素原子又は環形成ヘテロ原子を介して付着し得る。一部の実施形態では、このヘテロシクロアルキル基は0~3個の二重結合を含む。一部の実施形態では、このヘテロシクロアルキル基は0~2個の二重結合を含む。同様にヘテロシクロアルキルの定義に含まれるのは、シクロアルキル環に縮合した(即ち、シクロアルキル環と共通の結合を有する)1個又は複数個の芳香族環を有する部分(例えば、ピペリジンのベンゾ誘導体又はチエニル誘導体、モルホリン、アゼピン等)である。縮合芳香族環を含むヘテロシクロアルキル基は、縮合芳香族環の環形成原子等の任意の環形成原子を介して付着し得る。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を有する4~10個、4~7個、又は4~6個の環原子を有する。
【0132】
本明細書で使用される場合、用語「連結性ヘテロシクロアルキル」は、二価の複素環連結基を指す。例示的な二価のヘテロシクロアルキル基として、下記が挙げられるがこれらに限定されない:1,4-ピペリジニレン、4,4-ピペリジニレン、1,3-アゼチジニレン、及びベンゾ縮合ヘテロシクロアルキル基(例えば、
【化45】
)、及び同類のもの。一部の実施形態では、この連結性ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を有する4~10個、4~7個、又は4~6個の環原子を有する。
【0133】
用語「化合物」は、本明細書で使用される場合、示された構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、及び同位体を含むように意図されている。ある特定の互変異性型として名称又は構造により特定されている本明細書の化合物は、別途明記しない限り、他の互変異性型を含むように意図されている。
【0134】
本明細書で提供される化合物は互変異性型も含む。互変異性型は、プロトンの付随する移動と共に、単結合と隣接する二重結合との交換から生じる。互変異性型として、同一の実験式及び総電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体が挙げられる。プロトトロピー互変異性体の例として下記が挙げられる:ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、及びプロトンが複素環系の2箇所以上の位置を占め得る環状型、例えば、1H-及び3H-イミダゾール、1H-、2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、並びに1H-及び2H-ピラゾール。互変異性型は、平衡状態であり得るか、又は適切な置換により一方の型へと立体的に固定され得る。
【0135】
全ての化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、他の物質(例えば、水及び溶媒)と一緒に見出され得る(例えば、水和物及び溶媒和物)か、又は単離され得る。
【0136】
一部の実施形態では、化合物の調製は、例えば所望の反応の触媒作用又は酸付加塩等の塩形態の形成に影響を及ぼす酸又は塩基の付加を伴い得る。
【0137】
酸の例は無機酸又は有機酸であり得、酸の例として強酸及び弱酸が挙げられるがこれらに限定されない。酸の一部の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び硝酸が挙げられる。弱酸の一部として、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、酒石酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、及びデカン酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
塩基の例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸水素ナトリウムが挙げられる。強塩基の一部の例として、水酸化物、アルコキシド、金属アミド、金属水素化物、金属ジアルキルアミド、及びアリールアミンが挙げられるがこれらに限定されず、アルコキシドとして、メチルオキシド、エチルオキシド及びt-ブチルオキシドのリチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられ、金属アミドとして、ナトリウムアミド、カリウムアミド、及びリチウムアミドが挙げられ、金属水素化物として、水素化ナトリウム、水素化カリウム、及び水素化リチウムが挙げられ、金属ジアルキルアミドとして、メチル置換アミド、エチル置換アミド、n-プロピル置換アミド、イソプロピル置換アミド、n-ブチル置換アミド、tert-ブチル置換アミド、トリメチルシリル置換アミド、及びシクロヘキシル置換アミドのリチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。
【0139】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物及び塩は実質的に単離されている。「実施的に単離されている」は、化合物が、この化合物が形成されるか又は検出される環境から少なくとも部分的に又は実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離として、例えば、本明細書で提供される化合物に富む組成物が挙げられ得る。実質的な分離として、本明細書で提供される化合物又はその塩を少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、又は少なくとも約99重量%を含む組成物が挙げられ得る。化合物及びその塩を単離する方法は、当分野ではルーチンである。
【0140】
語句「薬学的に許容される」は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴うことなく、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的なベネフィット/リスク比に見合う化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0141】
本出願はまた、本明細書で説明されている化合物の薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、既存の酸部分又は塩基部分をそれらの塩形態へと変換することにより改変されている、本開示の化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例として、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩、及び同類のものが挙げられるがこれらに限定されない。本出願の薬学的に許容される塩として、例えば非毒性の無機酸又は有機酸から形成された親化合物の通常の非毒性塩が挙げられる。本出願の薬学的に許容される塩を、従来の化学的方法により、塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から合成し得る。一般に、そのような塩を、水中で、有機溶媒中で、又はこれら2種の混合物中で、この化合物の遊離酸形態又は遊離塩基形態と、適切な塩基又は酸の化学量論的量とを反応させることにより調製し得、一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、若しくはブタノール)、又はアセトニトリル(MeCN)のような非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストが、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)で見出される。塩形態を調製するための従来の方法は、例えばHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wiley-VCH,2002で説明されている。
【0142】
使用方法
本出願は、細胞サンプル中で、組織サンプル中で、又は対象中でヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の活性を阻害する方法をさらに提供する。一部の実施形態では、この方法はインビトロでの方法である。一部の実施形態では、この方法はインビボでの方法である。一部の実施形態では、この方法は、HDAC酵素を有する細胞又は組織(例えば、細胞サンプル又は組織サンプル)と、本明細書で提供される化合物(例えば、式I~VIのいずれかの化合物)又はその薬学的に許容される塩とを接触させることを含む。一部の実施形態では、この方法は、対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一部の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の活性を阻害することは、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を調節解除することを含む。
【0143】
一部の実施形態では、HDAC酵素はクラスIIb HDAC酵素である。一部の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である。
【0144】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、哺乳類等のあらゆる動物を指す。対象の例として、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、及びヒトが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、この方法は、対象に、本明細書で提供される化合物(例えば、式I~VIのいずれかの化合物)又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与することを含む。
【0145】
本明細書で提供される化合物は、選択的HDAC阻害剤であり得る。使用される場合、用語「選択的」は、化合物が、少なくとも1種の他の酵素と比較してそれぞれ高い親和性又は効力で特定の酵素に結合するか又はこの酵素を阻害することを意味する。一部の実施形態では、選択性は、少なくとも1種の他の酵素と比較して特定の酵素に対する約2倍~約1000倍の選択性を含み、例えば、約2倍~約1000倍、約2倍~約500倍、約2倍~約100倍、約2倍~約50倍、約2倍~約20倍、約2倍~約10倍、約10倍~約1000倍、約10倍~約500倍、約10倍~約100倍、約10倍~約50倍、約10倍~約20倍、約20倍~約1000倍、約20倍~約500倍、約20倍~約100倍、約20倍~約50倍、約50倍~約1000倍、約50倍~約500倍、約50倍~約100倍、約100倍~約1000倍、約100倍~約500倍、又は約500倍~約1000倍を含む。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、及びHDAC11の内の1つ又は複数よりもHDAC6を選択的に阻害する。
【0147】
本出願は、対象を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物(例えば、式I~VIのいずれかの放射標識化合物)又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0148】
本出願は、細胞中の又は組織中のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を撮像する方法であって、
i)この細胞又は組織と、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩とを接触させること;
及び
ii)この細胞又は組織を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0149】
本出願は、対象中のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0150】
本出願は、対象中の疾患(例えば腫瘍)を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0151】
本出願は、対象の疾患の処置をモニタリングする方法であって、
i)この対象を撮像技術により撮像すること;
ii)この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること;
iii)この対象を撮像技術により撮像すること;
及び
iv)工程i)の画像と工程iii)の画像とを比較すること
を含む方法をさらに提供する。
【0152】
一部の実施形態では、この方法は、工程i)の撮像することの前に、この対象に造影剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、工程iii)の撮像することの前に、この対象に造影剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、この造影剤は、本明細書で提供される放射標識化合物(例えば、式I~VIのいずれかの放射標識化合物)である。一部の実施形態では、工程ii)で投与される化合物は、造影剤(例えば、撮像技術により撮像され得る蛍光部分又は放射性同位体)をさらに含む。
【0153】
一部の実施形態では、この疾患は、対象中におけるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する。一部の実施形態では、撮像する疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連する。
【0154】
本出願は、対象の脳を撮像する方法であって、
i)この対象に、本明細書で提供される放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;
及び
ii)この対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法をさらに提供する。
【0155】
一部の実施形態では、この撮像技術は非侵襲的撮像技術である。一部の実施形態では、この撮像技術は低侵襲的撮像技術である。本明細書で使用される場合、用語「低侵襲的撮像技術」は、内部プローブの使用又はシリンジによる化合物(例えば放射標識化合物)の注射を用いる撮像技術を含む。
【0156】
撮像技術の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波イメージング、断層撮影イメージング、ポジトロン放出断層撮影イメージング、コンピュータ断層撮影、コンピュータ断層撮影イメージングを有するポジトロン放出断層撮影、及び磁気共鳴イメージングを有するポジトロン放出断層撮影。
【0157】
一部の実施形態では、この撮像技術は、単一光子放出コンピュータ断層撮影、ポジトロン放出断層撮影イメージング、コンピュータ断層撮影、コンピュータ断層撮影イメージングを有するポジトロン放出断層撮影、磁気共鳴イメージングを有するポジトロン放出断層撮影からなる群から選択される。一部の実施形態では、この撮像技術はポジトロン放出断層撮影イメージングである。
【0158】
本出願は、疾患の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与することを含む方法をさらに提供する。一部の実施形態では、この疾患は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する。一部の実施形態では、この疾患は、癌、中枢神経系の疾患、及び炎症性自己免疫疾患からなる群から選択される。
【0159】
一部の実施形態では、この疾患は癌である。一部の実施形態では、この癌は、乳癌、前立腺癌、結腸癌、子宮内膜癌、脳癌(例えば多形性膠芽腫)、膀胱癌、皮膚癌、子宮癌、卵巣癌、肺癌、膵癌、腎癌、胃癌、及び血液癌からなる群から選択される。一部の実施形態では、この癌は固形腫瘍を含む。一部の実施形態では、この癌は、神経膠腫、膠芽腫、非小細胞肺癌、及び血液癌からなる群から選択される。
【0160】
一部の実施形態では、この癌は血液癌である。一部の実施形態では、この血液癌は、白血病及びリンパ腫からなる群から選択される。一実施形態では、血液癌は、急性骨髄芽球性白血病、慢性骨髄白血病、B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯リンパ腫、活性化B細胞様(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び胚中心B細胞(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫からなる群から選択される。一部の実施形態では、この癌は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連する。
【0161】
一部の実施形態では、本出願は、対象の癌を処置する方法であって、
i)この癌が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素(例えばHDAC6)の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;
及び
ii)この癌が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性と関連していると特定される場合には、この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法を提供する。
【0162】
一部の実施形態では、処置する疾患は中枢神経系の疾患である。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、アルツハイマー病、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、ベル麻痺、双極性障害、カタレプシー、脳性麻痺、てんかん、脳炎、ハンチントン病、閉じ込め症候群、髄膜炎、偏頭痛、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、レット症候群、統合失調症、熱帯性痙性不全対麻痺症、及びトゥレット症候群からなる群から選択される。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、アルツハイマー病、双極性障害、鬱病、ハンチントン病、及び統合失調症からなる群から選択される。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及び同類のもの)を含む。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、統合失調症、双極性障害、アルツハイマー病、及びハンチントン病からなる群から選択される。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は鬱病をさらに含む。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は鬱病である。一部の実施形態では、この中枢神経系の疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連する。
【0163】
一部の実施形態では、本出願は、対象の中枢神経の疾患を処置する方法であって、
i)この中枢神経系の疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素(例えばHDAC6)の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;
及び
ii)この中枢神経系の疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定される場合には、この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法を提供する。
【0164】
一部の実施形態では、処置する疾患は炎症性自己免疫疾患である。一部の実施形態では、この炎症性自己免疫疾患は、円形脱毛症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、皮膚筋炎、糖尿病(1型)、若年性特発性関節炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、心筋炎、天疱瘡/類天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、強皮症/全身性硬化症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、及び多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)からなる群から選択される。一部の実施形態では、この炎症性自己免疫疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連する。
【0165】
一部の実施形態では、本出願は、対象の炎症性自己免疫疾患を処置する方法であって、
i)この炎症性自己免疫疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素(例えばHDAC6)の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;
及び
ii)この炎症性自己免疫疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定される場合には、この対象に、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法を提供する。
【0166】
一部の実施形態では、この対象に投与された化合物又は塩の約0.1~約5%が血液脳関門を通過し、例えば、約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.75%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約0.25%、約0.25%~約5%、約0.25%~約4%、約0.25%~約3%、約0.25%~約2%、約0.25%~約1%、約0.25%~約0.75%、約0.25%~約0.5%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、約0.5%~約0.75%、約0.75%~約5%、約0.75%~約4%、約0.75%~約3%、約0.75%~約2%、約0.75%~約1%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、約2%~約5%、約2%~約4%、約2%~約3%、約3%~約5%、約3%~約4%、又は約4%~約5%が通過する。
【0167】
一部の実施形態では、この対象に投与する化合物は、血液:血漿比が約1:1~約100:1であり、例えば、約1:1~約2:1、約1:1~約3:1、約1:1~約4:1、約1:1~約5:1、約1:1~約10:1、約1:1~約15:1、約1:1~約20:1、約1:1~約30:1、約1:1~約1:40、約1:1~約50:1、約1:1~約60:1、約1:1~約70:1、約1:1~約80:1、約1:1~約90:1、約1:1~約100:1、約1:1~約3:2、又は約1:1~約4:3である。一部の実施形態では、この血液:血漿比は約1:100~約1:1であり、例えば、約1:100~約1:1、約1:100~約1:2、約1:100~約1:3、約1:100~約1:4、約1:100~約1:5、約1:100~約1:10、約1:100~約1:15、約1:100~約1:20、約1:100~約1:30、約1:100~約1:40、約1:100~約1:50、約1:100~約1:60、約1:100~約1:70、約1:100~約1:80、約1:100~約1:90、少なくとも約1:100、約1:100~約2:3、約1:100~約2:5、約1:100~約3:4、約1:100~約3:5、又は約1:100~約4:5である。一部の実施形態では、投与された化合物は、脳:血漿比が約1:1~約50:1である。
【0168】
本明細書で使用される場合、語句「治療上有効な量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医により、組織、系、動物、個体、又はヒトで求められている生物学的反応又は医学的反応を誘発する活性化合物又は医薬品の量を指す。
【0169】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」又は「処置」は、(1)疾患を阻害すること;例えば、疾患、状態、又は障害の病理又は総体症状を経験しているか又は表している個体の疾患、状態、又は障害を阻害すること(即ち、この病理及び/又は総体症状のさらなる発達を阻むこと);並びに(2)疾患を寛解させること;例えば、疾患、状態、又は障害の病理又は総体症状を経験しているか又は表している個体の疾患、状態、又は障害を寛解させること(即ち、この病理及び/又は総体症状を反転させること)、例えば、疾患の重症度を軽減すること、又は疾患の1種若しくは複数種の症状を軽減すること若しくは緩和することの内の1つ又は複数を指す。
【0170】
併用療法
HDACに関連する疾患、障害、又は状態の処置のために、本明細書で提供される化合物及び塩と組み合わせて、1種又は複数種の追加の治療薬(例えば、化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、治療抗体、及び/又は麻酔薬等)を使用し得る。
【0171】
化学療法剤の例として、プロテオソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、及びDNA損傷剤(例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン、及び同類のもの)が挙げられる。
【0172】
抗炎症剤の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:アスピリン、サリチル酸コリン、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールを含むジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカン、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、トルメチンナトリウム、及びバルデコキシブ。
【0173】
ステロイドの例として、副腎皮質ステロイド、例えばコルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びプレドニゾンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0174】
免疫抑制剤の例として、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、インフリキシマブ、メトトレキサート、及びタクロリムスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0175】
麻酔薬の例として下記が挙げられるがこれらに限定されない:局所麻酔薬(例えば、リドカイン、プロカイン、ロピバカイン)、及び全身麻酔薬(例えば、デスフルラン、エンフルラン、ハロタン、イソフルラン、メトキシフルラン、亜酸化窒素、セボフルラン、モバルビタール(mmobarbital)、メトヘキシタール、チアミラール、チオペンタール、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、エトミデート、ケタミン、プロポフォール、アルフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ヒドロモルホンレボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシモルフォン、ペンタゾシン)。
【0176】
一部の実施形態では、この追加の治療薬を、本明細書で提供される化合物又は塩と同時に投与する。一部の実施形態では、この追加の治療薬を、本明細書で提供される化合物又は塩の投与後に投与する。一部の実施形態では、この追加の治療薬を、本明細書で提供される化合物又は塩の投与前に投与する。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又は塩を外科手術の最中に投与する。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物又は塩を、外科手術の最中に、追加の治療薬と組み合わせて投与する。
【0177】
医薬組成物及び製剤
医薬品として用いられる場合、本明細書で提供される化合物及び塩を医薬組成物の形態で投与し得る。この組成物を、本明細書又は他で説明されているように調製し得、且つ局所処置が望ましいか又は全身処置が望ましいかに応じて、及び処置する領域に応じて、様々な経路で投与し得る。投与は、局所(例えば、経皮、表皮、眼、並びに粘膜(例えば、鼻腔、膣、及び直腸送達)へ)であってもよいし、肺(例えば、例えば噴霧器による粉末若しくはエアロゾルの吸入若しくは吹送による;気管内、又は鼻腔内)であってもよいし、経口であってもよいし、又は非経口であってもよい。非経口投与として、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内筋肉内、又は注射若しくは注入;又は頭蓋内(例えば、髄腔内投与若しくは脳室内投与)が挙げられる。非経口投与は単回ボーラス投与の形態であり得るか、又は例えば連続灌流ポンプによってであってもよい。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、塩、及び医薬組成物は、非経口投与に適している。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、塩、及び医薬組成物は、静脈内投与に適している。
【0178】
局所投与用の医薬組成物及び製剤として、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、座薬、スプレー剤、液剤、及び散剤が挙げられ得る。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤、又は油性基剤、増粘剤、及び同類のものが必須であるか又は望ましい場合がある。
【0179】
同様に提供されるのは、医薬組成物であって、活性成分として、本明細書で提供される化合物又はその薬学的に許容される塩を、1種又は複数種の薬学的に許容される担体(例えば添加剤)と組み合わせて含む医薬組成物である。本明細書で提供される組成物の製造において、この活性成分は概して、添加剤と混合されるか、添加剤により希釈されるか、又は例えばカプセル、小袋、紙、若しくは他の容器の形態のそのような担体内に封入される。この添加剤が賦形剤として機能する場合、この添加剤は、活性成分のビヒクル、担体、又は媒体として機能する固体の、半固体の、又は液体の材料であり得る。そのため、この組成物は、錠剤、丸薬、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体として、又は液体媒体中)、軟膏剤、軟ゼラチンカプセル剤及び硬ゼラチンカプセル剤、座薬、滅菌注射液、並びに滅菌包装散剤の形態であり得る。
【0180】
適切な添加剤のいくつかの例として、下記が挙げられるがこれらに限定されない:ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロース。製剤は、下記をさらに含み得るがこれらに限定されない:潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;保存剤、例えば、メチル-ベンゾエート及びプロピルヒドロキシ-ベンゾエート;甘味料;着香料、又はこれらの組み合わせ。
【0181】
活性成分は、広い投与量範囲にわたり有効であり得、一般に薬学的に有効な量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は通常、関連する環境(例えば、処置する状態、選択した投与経路、投与する実際の化合物、個々の対象の年齢、体重、及び反応、対象の症状の重症度、並びに同類のもの)に従って、医師により決定されることが理解されるだろう。
【実施例
【0182】
本発明を、具体的な実施例によりさらに詳細に説明する。下記の実施例は例証目的で提供されており、いかなる方法であっても本発明を限定することは意図されていない。当業者は、本質的に同一の結果を得るために変更され得るか又は改変され得る様々な重要でないパラメータを容易に認識するだろう。
【0183】
全体的な材料及び方法
全ての空気及び水分に非感受性の反応を、周囲雰囲気下で実行し且つ磁気により撹拌した。テトラヒドロフランを、深紫色のナトリウムベンゾフェノンケチルから蒸留した。乾燥DMF及び乾燥DMSOをAcros Organicsから購入した。他の無水溶媒(アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ペンタン、及びトルエン)を、mBraunシステムにより乾燥カラム(例えば、Pangborn et al,Organometallics,1996,15:1518-1520を参照されたい)に通したろ過により得た。全ての空気及び水分に感受性の操作を、窒素雰囲気下で、オーブンにより乾燥されたガラス器具を使用して実施した。
【0184】
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、250μm厚のシリカゲル60F254プレートで予めコーティングされたEMD TLCプレートで実施し、UV光下での蛍光消光及びKMnO染色により可視化した。フラッシュクロマトグラフィーを、分析物のR及び質量に基づいて推奨されるようにSilicycleカラムを使用して、Isolera One(Biotage)で実施した。無水アセトニトリルをVWRから購入し、無水アセトンをAcrosから購入し、使用の30分前に窒素を注入した。Silicycle Inc.から購入したシリカゲル(230~400メッシュ)、又は言及した場合にはフラッシュクロマトグラフィーを、Isolera精製システムを備えたBiotageからの球状シリカゲルカートリッジ(ZIP球)を使用して実施した。
【0185】
全ての重水素化溶媒を、Cambridge Isotope Laboratoriesから購入した。NMRスペクトルを、Hの捕捉のために600MHzで作動するVarian Unity/Inova 600分光器、H、19F、及び13Cの捕捉のためにそれぞれ500MHz、471MHz、及び125MHzで作動するVarian Unity/Inova 500分光器、又は19Fの捕捉のために375MHzで作動するVarian Mercury 400分光器のいずれかで記録した。化学シフトを、内部標準としての溶媒共鳴によるppmで報告する(H:クロロホルム-d、δ7.26;DMSO-d、δ2.50)、(13C:CDCl、δ77.16;DMSO-d、δ39.52)。データを下記のように報告する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、m=多重線;Hzでの結合定数;積分;別途言及しない限り、炭素シグナルは一重線である。別途明言しない限り、全ての基質を商業供給業者から受け取ったままで使用した。Ru(cod)(cp)Clを、既に説明したように合成した。
【0186】
中間体1. メチル-4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-2-フルオロベンゾエート
【化46】
メチル2-フルオロ-4-ホルミルベンゾエート(100mg、0.549mol 1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.1eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム50mgを添加し、この反応混合物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(153mg、0.461mmol、92%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 7.88(td,J=7.7,1.0Hz,1H),7.24-7.09(m,2H),3.92(d,J=1.2Hz,3H),3.82(s,2H),2.21(d,J=1.0Hz,2H),1.97(t,J=3.1Hz,3H),1.74-1.60(m,6H),1.52(d,J=2.9Hz,6H).
【0187】
中間体2. メチル-4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3,5-ジフルオロベンゾエート
【化47】
メチル3,5-ジフルオロ-4-ホルミルベンゾエート(100mg、0.500mol 1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.2eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム150mgを添加し、この反応混合物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(62mg、0.177mmol、35%)を透明なオイル状物質として得た。 H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 6.90(d,J=7.4Hz,2H),4.69(s,3H),3.88(d,J=1.2Hz,2H),2.19(s,2H),1.95(s,3H),1.77-1.54(m,6H),1.48(d,J=2.8Hz,6H).
【0188】
中間体3. メチル-4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-トリフルオロメチルベンゾエート
【化48】
メチル3-トリフルオロメチル-4-ホルミルベンゾエート(100mg、0.431mol 1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.4eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム50mgを添加し、この反応混合物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(65.2mg、0.171mmol、39.7%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。 H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 8.31(d,J=2.0Hz,1H),8.20(d,J=8.1Hz,1H),7.87(d,J=8.1Hz,1H),4.01(s,2H),3.96(d,J=1.9Hz,3H),2.26(d,J=1.6Hz,2H),1.99(s,3H),1.78-1.60(m,6H),1.55(s,6H).
【0189】
中間体4. メチル-4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-メチルベンゾエート
【化49】
メチル3-メチル-4-ホルミルベンゾエート(100mg、0.561mol 1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.1eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム50mgを添加し、この反応混合物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(131mg、0.400mmol、71.3%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 7.91-7.78(m,2H),7.42(d,J=7.8Hz,1H),3.91(d,J=1.2Hz,3H),3.79(s,2H),2.38(s,3H),2.29(d,J=1.4Hz,2H),1.98(s,3H),1.80-1.49(m,12H).
【0190】
中間体5. メチル-6-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-ニコチン酸
【化50】
メチル4-ホルミルニコチン酸(100mg、0.606mol 1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.0eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム150mgを添加し、この反応混合物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(75mg、0.239mmol、39%)を透明なオイル状物質として得た。1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 9.15(d,J=2.2Hz,1H),8.26(dd,J=8.2,2.1Hz,1H),7.47(d,J=8.2Hz,1H),3.97(s,2H),3.96(d,J=1.6Hz,3H),2.27(s,2H),1.98(s,3H),1.80-1.61(m,6H),1.55(d,J=2.8Hz,6H).
【0191】
中間体6. メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-クロロベンゾエート
【化51】
メチル3-クロロ-4-ホルミルベンゾエート(100mg、0.505mmol、1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.2eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム150mgを添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(72mg、0.207mmol、41%)を透明なオイル状物質として得た。1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 8.02(t,J=1.6Hz,1H),7.96-7.87(m,1H),7.54(d,J=8.0Hz,1H),3.93(s,3H),3.92(s,2H),2.24(s,2H),2.18(s,1H),1.98(s,3H),1.76-1.62(m,6H),1.54(d,J=2.7Hz,6H).
【0192】
中間体7. メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-ブロモベンゾエート
【化52】
メチル3-ブロモ-4-ホルミルベンゾエート(100mg、0.412mmol 1.0eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(100mg、0.606mol、1.5eq.)のメタノール2mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム150mgを添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(104mg、0.265mmol、64%)を透明なオイル状物質として得た。1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 8.21(d,J=1.7Hz,1H),8.06-7.86(m,1H),7.53(d,J=8.0Hz,1H),3.93(s,3H),3.89(s,2H),2.24(s,2H),2.18(s,1H),1.98(s,3H),1.82-1.60(m,6H),1.54(d,J=2.6Hz,6H).
【0193】
中間体8. メチル4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化53】
メチル4-ホルミルベンゾエート(155mg、0.94mol 1.1eq.)及び1-アダマンタンメチルアミン(140mg、0.85mol、1eq.)のメタノール3mL溶液を、室温で2時間にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム210mgを少量ずつ添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで(約3.5時間)撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(221mg、0.71mmol、75%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。1H NMR(クロロホルム-d)δ 7.99(d,2H),7.41(d,2H),3.90(s,1H),3.86(s,5H),2.23(s,2H),1.97(s,3H),1.82-1.59(m,7H),1.59-1.44(m,7H).MS(m/z) C2027NOに対する計算値 [M+H] 313.20;実測値,313.7.
【0194】
中間体9. メチル4-((((3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化54】
メチル4-ブロモメチルベンゾエート(300mg、1.83mmol、1.4eq.)及び1-アダマンタンアミン(201mg、1.33mol、1eq.)のDMSO 1.5mL溶液、N,N-ジイソプロピルエチルアミン200μLを添加し、この混合物を60℃で12時間にわたり撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、次いで、まとめた有機相を水で3回抽出した。次に、この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(44.6mg、0.15mmol、11%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。1H NMR(クロロホルム-d)δ 7.98(d,2H),7.43(d,2H),3.89(s,5H),2.12(s,3H),1.79-1.51(m,13H).MS(m/z) C1925NOに対する計算値 [M+H] 299.2;実測値,299.7.
【0195】
中間体10. メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化55】
メチル4-ホルミルベンゾエート(198mg、1.21mmol 1.75eq.)及び1-(1-アダマンチル)プロパン-1-アミン)(134mg、0.69mmol、1eq.)のメタノール6mL溶液を、室温で40分にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム200mgを少量ずつ添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで(約3時間)撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(339mg、0.41mmol、60%)を透明なオイル状物質として得た。1H NMR(クロロホルム-d6)δ 8.00(d,2H),7.42(d,2H),3.84(s,5H),2,80(m,1H),1.93(s,3H),1.82-1.42(m,14H),1.34-1.20(m,2H),1.20-1.01(m,4H).MS(m/z) C2231NOに対する計算値 [M+H] 341.24;実測値,341.7.
【0196】
中間体11. メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化56】
メチル4-ホルミルベンゾエート(202mg、1.23mmol、1eq.)及び1-(1-アダマンチル)プロパン-1-アミン)(232mg、1.20mmol、1eq.)のメタノール6mL溶液を、室温で45分にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム200mgを少量ずつ添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで(約3時間)撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(136mg、0.413mmol、74.3%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。1H NMR(クロロホルム-d6)δ 7.9(d,2H),7.4(d,2H),4.08(m,4H),3.8(m,1H),1.99(m,3H),1.85(m,1H),1.78-1.44(m,15H),1.24-1.06(m,2H),1.06-0.87(m,4H).MS(m/z) C2231NOに対する計算値 [M+H] 341.2;実測値,341.7.
【0197】
中間体12. メチル4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化57】
メチル4-ホルミルベンゾエート(0.306mg、1.86mmol、モル1.1eq.)及び(-)-cis-ミルタニルアミン(247mg、1.62mmol、1eq.)のメタノール5mL溶液を、室温で1.5時間にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム175mgを少量ずつ添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで(約4時間)撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(463mg、1.54mmol、94%)を、黄色がかったオイル状物質として得た。1H NMR(クロロホルム-d)δ 8.0(d,2H),7.6(d,2H),4.17-3.77(m,3H),3.98(s,2H),2.77-1.65(m,11H),1.65-0.43(m,11H).MS(m/z) C1927NOに対する計算値 [M+H] 301.20;実測値,301.7.
【0198】
中間体13. メチル4-(((シクロヘキシルメチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化58】
メチル4-ホルミルベンゾエート(0.303mg、1.84mmol、モル1.2eq.)及びシクロヘキサンメチルアミン(174mg、1.53mmol、1eq.)のメタノール5mL溶液を、室温で0.5時間にわたり撹拌した。次に、水素化ホウ素ナトリウム170mgを少量ずつ添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで(約3時間)撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。表題の生成物(363mg、1.39mmol、91%)を、黄色がかったオイル状物質として得た。1H NMR(クロロホルム-d)δ 8.0(d,2H),7.4(d,3H),4.0(s,2H),2.45-1.97(m,2H),1.97-1.44(m,7H),1.44-0.92(m,6H),0.93-0.53(m,2H).MS(m/z) C1623NOに対する計算値 [M+H] 261.17;実測値,261.7.
【0199】
中間体14. [CpRu(cod)Cl]
【化59】
工程1. [RuCl(cod)]
二口丸底フラスコを火炎乾燥させてNをパージした。このフラスコに、三塩化ルテニウム水和物(RuCl・×HO、7.4g、0.03mol、1eq;RuCl・×HOは様々な含水量を含み、総ルテニウム含有量は40~43%であった)を入れた。このフラスコを排気し、1時間にわたり真空下で保持し、次いでNをパージした。このフラスコに1,5-シクロオクタジエン(20mL、18g、0.16mol、5eq.)及びエタノール(0.14L、c=0.2M)を入れて、暗褐色溶液を得た。この反応混合物を撹拌し、48時間にわたり95℃で加熱還流し、その後に23℃まで冷却した。得られた褐色の沈殿物を空気下で焼結ガラス漏斗に通してろ別し、エタノール(50mL)で完全に洗浄した。褐色の固体を48時間にわたり真空下で乾燥させて、[RuCl(cod)](8.2g)を得た。この材料を、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0200】
工程2. [(cod)RuH(NHNMe]PF
【化60】
オーブンで乾燥させた、磁気撹拌子を備えた250mLの二口丸底フラスコに、N下で[RuCl(cod)](5.50g)を入れた。このフラスコに、脱気メタノール(55mL)、脱気水(13.8mL)、及び新たに蒸留した脱気N,N’-ジメチルヒドラジン(55mL、43g、0.72mol)を入れた。この混合物を95℃で加熱し、45分にわたり同一温度で撹拌した。その後、得られた混合物を、撹拌しつつ60分かけて23℃まで冷却した。N下で、上記反応混合物に、NHPF(5.5g、34mmol)のHO(55mL)脱気溶液を添加した。このスラリーを、N下で12時間にわたり-20℃で維持した。得られた無色の沈殿物を、空気下で焼結ガラス漏斗に通してろ過した。次いで、ろ液を減圧下で半分の体積まで濃縮し、60分にわたり-20℃で保持した。得られた無色の沈殿物を焼結ガラス漏斗に通してろ過し、生成物の第2の収穫物を得、これを以前の画分とまとめた。まとめた無色の沈殿物を氷冷水(200mL)で完全に洗浄し、48時間にわたり真空下で乾燥させて、[(cod)RuH(NHNMe]PF(4.9g)を得た。この材料を、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0201】
工程3. [CpRu(cod)Cl]
【化61】
窒素が充填されたグローブボックス内で、磁気撹拌子及びゴムセプタムを備えた250mLの二口丸底フラスコに、[(cod)RuH(MeNNH]PF(5.00g)及びタリウムシクロペンタジエニド(2.78g、10.3mmol)を入れた。このフラスコを第2のゴムセプタムで密封し、グローブボックス外に出した。このフラスコに、N下で脱気アセトン(88mL)を添加した。この混合物を65℃で加熱し、30分にわたり同一温度で撹拌した。その後、得られた混合物を、20分かけて23℃まで冷却した。この混合物をカニューレによりシュレンクフラスコに移し、密封し、次いでグローブボックスに入れた。この混合物を、真空下でセライトのパッドに通してろ過した。得られたろ液を真空中で濃縮して、褐色の固体を得た。この褐色の固体にペンタン(30mL)を添加し、この混合物を10分にわたり激しく振盪した。得られた混合物をシリンジに吸引し、0.2nmのPTFEシリンジフィルタに通して、CCl(1.93mL)が入った別の50mLのフラスコにろ過した。黄色い沈殿物を観察した。上記の一連の褐色の固体へのペンタン(30mL)の添加を繰り返した。上清を再度ろ過し、CClが入っているフラスコに添加した。この混合物を、30分にわたりグローブボックス内で撹拌した。次いで、このフラスコをグローブボックスから取り出し、混合物を、空気下で焼結ガラス漏斗に通してろ過した。得られた固体をペンタン(30mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、[CpRu(cod)Cl](1.21g、3.27mmol、RuClから16±1%)を暗黄色の固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl,23 ℃,δ):5.32-5.29(m,2H),4.95(s,5H),4.41-4.38(m,2H),2.62-2.59(m,2H),2.10-2.03(m,4H),2.00-1.93(m,2H)(1H NMR分光データは、文献で報告されているデータに対応する(例えば、Chem.Eur.J.2014,20,11101-11110を参照されたい)).13C NMR(125MHz,CDCl,23℃,δ):128.8,87.1,85.9,78.7,32.6,28.1,28.0.HRMS(m/z) C1317ClRuに対する計算値 [M-Cl],275.0374;実測値,275.0367.
【0202】
実施例1. 4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化62】
工程1. メチル4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロベンゾエート
【化63】
メチル3-フルオロ-4-ホルミルベンゾエート250mg(1.37mmol)及びアダマンタンメチルアミン238mg(1.44mmol、1.05eq)のメタノール2mL溶液を、室温で30分にわたり撹拌した。次いで、水素化ホウ素ナトリウム104mg(2.74mmol、2.00eq)を添加し、この反応物を、出発物質がなくなるまで(約3時間)撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロベンゾエート372mg(1.12mmol、82%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。R(25%のEtOAc、75%のヘキサン)=0.49;H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 7.79(dd,J=7.9,1.6Hz,1H),7.66(dd,J=10.5,1.6Hz,1H),7.49(t,J=7.6Hz,1H),3.90(s,3H),3.88(s,2H),2.22(s,2H),1.94(d,J=3.1Hz,2H),1.80-1.65(m,3H),1.65-1.57(m,3H),1.51(d,J=3.0Hz,6H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ 164.49,160.85(d,J=247.4Hz),132.34,131.35,129.58(d,J=13.3Hz),122.45,114.22(d,J=24.8Hz),70.83,56.96,45.36,40.88,37.10,34.97,28.42.19F NMR(471MHz,クロロホルム-d)δ -118.66.HRMS:m/z(+H) 計算値:332.2020,実測値:332.2068.
【0203】
工程2. メチル4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロベンゾエート
【化64】
メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロベンゾエート350mg(1.06mmol)のメタノール3mL、ホルマリン0.5mL、及び1滴の酢酸溶液を2時間にわたり撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム80.2mg(2.12mmol、2eq)を添加し、この混合物をさらに1時間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロベンゾエート227mg(0.657mmol、62%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。R(25%のEtOAc、75%のヘキサン)=0.75;H NMR(600MHz,クロロホルム-d)δ 7.73(dd,J=7.9,1.6Hz,1H),7.64-7.44(m,2H),3.83(s,3H),3.56(s,2H),2.16(s,3H),2.06(s,2H),1.90-1.80(m,3H),1.63(dd,J=12.2,3.3Hz,3H),1.59-1.52(m,3H),1.46-1.35(m,6H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ 165.75,160.66(d,J=245.8Hz),132.49(d,J=14.3Hz),130.62,130.26,124.94,116.06(d,J=24.0Hz),71.00,57.15,51.98,45.52,40.91,37.12,35.06,28.42.19F NMR(471MHz,クロロホルム-d)δ -117.64HRMS:m/z(+H) 計算値:346.2177,実測値:346.2158.
【0204】
工程3. 4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化65】
エステル200mg(0.580mmol)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、0℃で、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.5mL及び5MのNaOH 0.1mLを添加した。この反応混合物を2時間にわたり撹拌し、次いでDCMと水との間で分配した。水層をDCMでさらに3回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を、ギ酸で緩衝した水及びアセトニトリルの勾配による分取HPLCにより精製した。ヒドロキサメートを淡黄色のオイル状物質として得、真空中でのさらなる乾燥により、淡橙色の泡状固体123mg(0.355mmol、61%)へと変化した。H NMR (600MHz,クロロホルム-d)δ 11.21(s,1H),9.11(s,1H),7.59-7.50(m,2H),7.47(dd,J=10.9,1.6Hz,1H),3.56(s,2H),2.16(s,3H),2.08(s,2H),1.88(s,3H),1.63(d,J=12.3Hz,3H),1.55(d,J=12.2Hz,3H),1.43(s,6H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ 164.49,160.85(d,J=247.4Hz),132.34,131.35,129.63,122.45,114.22(d,J=24.8Hz),70.83,56.96,45.36,40.88,37.10,34.97,28.42.19F NMR(471MHz,クロロホルム-d)δ -116.71.HRMS:m/z(+H) 計算値:347.2129,実測値:347.2560.
【0205】
実施例2. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-[18F]フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化66】
工程1. メチル3-ヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート
【化67】
ヒドロキシテレフタル酸ジメチル500mg(2.38mmol)のTHF 5mL溶液に水素化ホウ素ナトリウム180mg(4.76mmol、2eq)を添加し、得られた懸濁液を2時間にわたり加熱還流した。溶媒を真空中で除去し、得られた残留物に水5mLを添加した。次いで、この溶液を1MのHClで酸性化し、結晶化を観察するまで0℃で貯蔵した。生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物368mg(2.02mmol、85%)を白色固体として得た。R(25%のEtOAc、75%のヘキサン)=0.11;H NMR(600MHz,DMSO-d)δ 9.83(s,1H),7.42(dt,J=3.3,1.9Hz,2H),7.36(q,J=1.6Hz,1H),5.16(s,1H),4.51(s,2H),3.81(dd,J=2.2,1.1Hz,3H).13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ 167.24,154.83,135.52,129.49,127.85,120.75,115.56,58.90,52.87.HRMS:m/z(+Na).計算値:205.0471,実測値:205.0471.
【0206】
工程2. メチル4-ホルミル-3-ヒドロキシベンゾエート
【化68】
メチル3-ヒドロキシ-4-(ヒドロキシメチル)ベンゾエート250mg(1.37mmol)の10%含水メタノール3mL溶液に、Pd/C 73mg(10%ローディング、0.034mmol、2.5mol%)、炭酸カリウム567mg(4.11mmol、3eq)、及び水素化ホウ素ナトリウム5.2mg(0.137、0.1eq)を添加し、この混合物を一晩酸素の雰囲気下で撹拌した。次いで、この混合物をジクロロメタンで希釈し、次いでろ過した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-ホルミル-3-ヒドロキシベンゾエート92mg(0.506mmol、37%)を、白色固体として得た。R(25%のEtOAc、75%のヘキサン)=0.50;H NMR(600MHz,クロロホルム-d)δ 10.94(s,1H),9.98(s,1H),7.69-7.63(m,3H),3.94(s,3H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ 196.44,165.67,161.24,137.30,133.62,122.86,120.40,119.12,52.69.HRMS:m/z(+H).計算値:181.0495,実測値:181.0494.
【0207】
工程3. メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-ヒドロキシベンゾエート
【化69】
メチル4-ホルミル-3-ヒドロキシベンゾエート100mg(0.556mmol)及びアダマンタンメチルアミン96.4mg(0.583mmol、1.05eq)のメタノール2mL溶液を、室温で30分にわたり撹拌した。次いで、水素化ホウ素ナトリウム37.8mg(1.00mmol、1.80eq)を添加し、この反応混合物を約3時間にわたり撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、次いで、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-ヒドロキシベンゾエート136mg(0.413mmol、74%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。R(25%のEtOAc、75%のヘキサン)=0.46;H NMR(600MHz,クロロホルム-d)δ 7.52-7.37(m,1H),7.01(d,J=7.8Hz,0H),3.98(s,1H),3.86(s,1H),2.30(s,1H),1.99-1.93(m,2H),1.70(d,J=12.6Hz,1H),1.62(d,J=12.3Hz,1H),1.56-1.44(m,3H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d δ 167.06,158.36,130.57,128.19,127.71,120.16,117.30,61.77,53.27,51.99,40.64,36.97,33.04,28.25.HRMS:m/z(+H).計算値:330.2064,実測値:330.1910.
【0208】
工程4. メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-ヒドロキシベンゾエート
【化70】
メチル4-(アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-ヒドロキシベンゾエート100mg(0.303mmol)のメタノール3mL、ホルマリン0.5mL、及び1滴の酢酸溶液を2時間にわたり撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム22.9mg(0.606mmol、2eq)を添加し、この混合物をさらに1時間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-ヒドロキシベンゾエート67.7mg(0.197mmol、65%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。R(25%のEtOAc、75%のヘキサン)=0.64;H NMR(600MHz,クロロホルム-d)δ 7.46(s,1H),7.43(dd,J=7.8,1.7Hz,2H),6.99(d,J=7.8Hz,2H),3.87(s,7H),3.76(s,4H),2.26(s,7H),2.23(s,4H),1.76-1.68(m,6H),1.69-1.60(m,7H),1.56(d,J=3.0Hz,12H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ 167.07,157.93,130.62,128.28,127.37,120.21,116.97,72.04,64.27,52.02,44.84,41.11,36.89,34.44,28.30.HRMS:m/z(+H).計算値:344.2220,実測値:344.2230.
【0209】
工程5. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-[18F]フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化71】
サイクロトロンから得た含水[18F]フッ化物を、5.0mg/mLの含水炭酸カリウムで予め調節したSPE Chromafix 30-PS-HCOカートリッジに通し、次いでMillipore Milli-Q水18mLで洗浄した。捕捉された[18F]フッ化物を、このカートリッジにエタノール1mLを通すことにより洗浄した。合成の初めに、このカートリッジで657mCiを測定した。メチル4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-ヒドロキシベンゾエート5mg、Ru(cp)(cod)Cl 10mg、及びN,N-ビス-(2,6-ジイソプロピル)フェニル-2-クロロイミダゾリウムクロリド30mgを、30分にわたり85℃にてエタノール250μL中で加熱した。得られた溶液を陰イオン交換カートリッジに通し、ドラムバイアル中に回収した。このカートリッジにアセトニトリル400μL及びDMSO 400μLを流して同一のバイアル中に回収し、その後にテフロン内張りキャップ(Teflon lined cap)で密封し、30分にわたり130℃で加熱した。次いで、THF/MeOH(1:1)1mL、50%のNHOH水溶液0.4mL、及び5MのNaOH 0.1mLを室温で添加し、この反応混合物を5分にわたり撹拌した。この溶液を水で10mLまで希釈し、OASIS(登録商標)MAX SPEカートリッジ(60mg)上にロードし、水5mLで洗浄し、エタノール/0.1MのAcOH(1:1)2mLで溶出させ、セミ分取HPLC(Agilent Eclipse C-18、9.4×250mm、5μm;流量勾配(flow ramp)、0~4分で0.5mL/分から5mL/分へ、次いで5mL/分;0~4分で0.01NのNaOH中の5%のACN、次いで45分で0.01 NaOH中の70%のACNへの勾配)で精製した。単離した画分を、OASIS(登録商標)MAX SPEカートリッジ(60mg)で再構築し、水5mLで洗浄し、エタノール/0.1MのAcOH(1:1)2mLで溶出させ、0.9%の生理食塩水8mLで希釈し、0.1NのNaOHでpH5に中和した。全体で、94分内で53.3mCiが単離された(崩壊補正されていない放射化学的収率8.1%)。
【0210】
実施例2A. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-[18F]フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミドの精製
セミ分取HPLC
実施例2の放射標識化合物を、下記のシステム及び条件を使用するセミ分取HPLCにより精製した:Agilent Eclipse C-18、9.4×250mm、5μm;流量勾配0~4分で0.5mL・分-1から5mL・分-1へ、次いで5mL・分-1、0~4分で0.01NのNaOH中の5%のACN、次いで45分で0.01 NaOH中の70%のACNへの勾配。
【0211】
分析HPLC
実施例2の放射標識化合物を、下記のシステム及び条件を使用する分析HPLCにより精製した:Agilent Eclipse C-18、4.6×10mm、5μm、流量2mL・分-1、0分での5%のACN/HO、0.1%のTFAから10分での95%のACN/HO、0.1%のTFAへの勾配。
【0212】
標準との分析HPLC共注入
実施例2の放射標識化合物を、下記のシステム及び条件を使用して、実施例1の化合物との分析HPLC共注入により分析した:Agilent Eclipse C-18、4.6×10mm、5μm、流量2mL・分-1、0分での5%のACN/HO、0.1%のTFAから10分での95%のACN/HO、0.1%のTFAへの勾配。
【0213】
実施例3. IC50アッセイ
IC50測定を、確立された蛍光アッセイによって、BPS Biosciences(表1)又はNanosyn(表1A)により行った。表1は、既知のHDAC阻害剤、マルティノスタット(martinostat)(構造を下記に示す)と比較した、4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド(実施例1)に関して測定した代表的なIC50値を示す。
【化72】
【0214】
【表1】
【0215】
表1Aは、実施例1及び8~25の化合物に関して測定したHDAC6 IC50値を示す。
【0216】
【表2】
【0217】
表1Bは、下記の化合物と比較した、実施例1の化合物に関して測定したHDAC1~11 IC50値の比較を示す:
A=マルティノスタット(Nanosynによるキャリパ(マイクロフルイディクス移動度シフト検出(microfluidics mobility shift detection))(同一実行、重複));
B=
【化73】
(例えば、国際公開第2015/058106号パンフレットを参照されたい;蛍光強度ベースの酵素アッセイ、複数実行;重複);
C=
【化74】

D=ツバスタチン(Tubastatin)A(例えば、Butler et al,JACS(2010)132:10842-10846を参照されたい);
E=ACY-1215(例えば、Santo et al.,Blood(2012)119:2579を参照されたい);及び
F=CI-994(例えば、Seo et al.,ACS Chem.Neurosci.2014,5(7):588-596を参照されたい)。
【0218】
【表3】
【0219】
表1Cは、既知の化合物ツバスタチンA、ACY-1215(リコリノスタット(ricolinostat))、及びCI-994(即ち、タセジナリン(tacedinaline))と比較した、実施例1の化合物に関するHDAC6選択性及び効力の比較を示す。+++=検証済みの脳浸透剤;+/-=適度な脳の取込みから脳の取込みなし;-=脳の取込みなし。
【0220】
【表4】
【0221】
表1Dは、実施例1の化合物に関して測定した更なる薬物動態データを示す。
【0222】
【表5】
【0223】
実施例4. アセチル化レベルアッセイ
健康なコントロール対象の線維芽細胞株GM08330(Coriell Institute for Medical Research)由来のヒトiPSC由来神経前駆細胞を、既に報告されている方法を使用して生成し、37℃で6時間にわたり、DMSO又はHDAC阻害剤の溶液(ACY1215、最終濃度5μM;実施例1、CI-994、ツバスタチンA、最終濃度10μM)で処理した。細胞ペレット(条件毎にn=3)の溶解を、EDTAフリープロテアーゼ阻害剤(Sigma #4693159001)を含む放射免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液(Boston BioProducts #BP-115)で実施した。溶解物を15分にわたり4℃にて18,000rpmで遠心分離し、上清を回収した。タンパク質濃度をBCAアッセイ(Thermo Scientific #23227)で測定した。6μgの総タンパク質/複製に調整したサンプルに対してウエスタンブロット分析を実行した。
【0224】
実施例3で説明したIC50値により示唆される高い選択性を確認するために、上記で説明したように、IPS由来のヒト神経前駆細胞株中での基質及びHDAC6の2種の非基質のアセチル化レベルを調べた。図1に示すように、他のツール化合物と比較した実施例1の化合物による処理、並びにα-チューブリン及びヒストン(具体的にはH3K9及びH4K12)のアセチル化状態の定量により、機能レベルでのHDAC6に対する選択性を確認した。
【0225】
ツバスタチンA及びACY1215が両方ともHDAC6を阻害することが示されている。両方の化合物も細胞のアセチル-α-チューブリンの量を増加させたが、クラスI選択的HDAC阻害剤であるCI-994は、チューブリンのアセチル化を増加させなかった。図1に示すように、実施例1の化合物も細胞のアセチルチューブリンの量を増加させ、HDAC6との関与を示した。
【0226】
ヒストンのアセチル化は、高HDAC6選択剤であるツバスタチンAの場合と同様に、実施例1の化合物の場合に変更されないままであった。ACY1215はHDAC6に対する低い選択性を示し、他のHADCアイソフォームの阻害によりH4K12のアセチル化が顕著に増加した。H3K9及びH4K12の両方でのヒストンのアセチル化は、CI-994で処理された細胞で顕著に増加した。結論として、図1に示すように、HDAC阻害剤処理に反応する細胞タンパク質のアセチル化の変化により、HDAC6に対する実施例1の機能的選択性が裏付けられた。
【0227】
実施例5. ウエスタンブロッティング
タンパク質を、50分にわたり200VにてCriterion Stain-Free 4~20%ゲル(Biorad 567-8095)上で分離した。タンパク質を、60分にわたり0.14ampsにて低蛍光PVDF膜(Biorad 162-0264)に転写した。ゲル及び膜を、品質管理目的でChemidoc XRSシステム(Biorad 170-8265)により撮像した。膜を下記のように処理した:4℃で一晩にわたり、5%のブロッカー(Biorad 170-6404)を含むTris緩衝生理食塩水+Tween 20(TBST、0.1%のTween 20)でブロックした。下記の工程を室温で実施した:膜をTBSTで洗浄し、60分にわたり、1%のブロッカー(アセチルヒストンH3リシン9:EMD Millipore 06-942-S 1:4000、アセチルヒストンH4リシン12:EMD Millipore 07-595 1:4000)を含むTBST中で一次抗体と共にインキュベートし、TBSTで洗浄し、60分にわたり、1%のブロッカー(抗ウサギHRP:Cell Signaling #7074S 1:5000、抗マウスHRP:Cell Signaling #7076S 1:5000)を含むTBST中で二次抗体と共にインキュベートし、TBSTで洗浄し、ECLプライムウエスタンブロッティング検出試薬(GE RPN2232)で現像し、Chemidoc XRSシステムにより可視化した。ウエスタンブロット画像を、Image Lab 5.2.1(.scn)ファイルから600 dpi.tifファイルへと変換した。この画像をImageJ中で開いた。画像を8ビットに変換し、バックグラウンドから50.0ピクセルの回転ボール半径を差し引いた。画像を反転させ、平均バンド強度を測定ツールで定量した。
【0228】
実施例6. オートラジオグラフィー
脳組織中における実施例1の選択性を、オートラジオグラフィーを使用して実証した(図3)。Sprague-Dawleyラットの脳の矢状スライスをクリオスタット(Thermo Scientific HM550)で切片化し(10μm)、ColorFrost Plus顕微鏡スライド(Fisher Scientific 12-550-18)上にマウントし、次いで-20℃で貯蔵した。このスライドを、DMSO又はブロッキング化合物のDMSO溶液(実施例1:100nM、1μM、及び10μMの最終濃度、並びにツバスタチンA:100μMの最終濃度)50μLを含む室温の緩衝液(100mMのTris、50mMのNaCl、pH7.5)50mLの槽中に浸した。15分後、実施例2の放射標識化合物50μCiを各槽に入れた。15分後、全てのスライドを、緩衝液に10×浸漬することにより洗浄し、その後に5分にわたり4℃で緩衝液の50mL槽に浸した。スライドを、真空チャンバ中において35℃で乾燥させた。リンスクリーン(Perkin Elmer 7001723)を45分にわたりスライドと共に露光し、その後にCyclone Plus Storage Phosphor(Perkin Elmer)検出器により撮像した。ImageJを使用してガウスぼかし(3.0半径)の平滑化を適用し、輝度の同等の閾値を有するルックアップテーブル(Royal)を適用した。ImageJ測定ツールにより、灰白質及び白質から生の強度値を定量した。
【0229】
ラットの脳組織のスライスを、実施例1又はツバスタチンの存在下で実施例2の放射標識化合物に曝露した。1μMの実施例1では結合が顕著に減少した。HDAC6選択的化合物であるツバスタチンAは、結合放射能の量を10μMの実施例1と同一のバックグラウンドまで減少させ得た。これらのデータは、HDAC6に対する選択性で脳組織への結合が起こることを示す。
【0230】
実施例7. PET/CT撮像
ラットの撮像
8匹の雄のSprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories)をPET撮像に使用した。麻酔を、医療用酸素運搬体中のイソフルランにより達成した(導入用に3%、維持用に2%)。静脈内投与のために、延長線(extension line)を備えたカテーテルを外側尾静脈中に留置した。各動物に、放射性トレーサーの注射直前に、ビヒクル(1:1:8 DMSO/Tween80/生理食塩水)又はブロッキング剤の溶液(1mg/kg、1:1:8 DMSO/Tween80/生理食塩水中に1mg/mL)のいずれかをボーラス注射した。
【0231】
放射性トレーサーのボーラス(約700μCi 実施例2)の注射後、全ての動物に関して、90分の動的PETスキャンをペアで取得した。PETスキャンをGammaMedica Triumph PET/CT/SPECTスキャナで実施し、PETスキャンの直後に取得した、対応するCT画像から得られたμ-マップにより、減衰を補正した。動的PETデータを38個のタイムフレーム(8×15秒、8×1分、10×2分、12×5)にビニングし、16回の反復での反復MLEM(最尤推定期待値最大化(maximum likelihood expectation maximization))アルゴリスムにより個々に再構築した。
【0232】
PET画像を、AMIDEを使用して、同一の動物から取得したCT画像に共記録した。データセットをトリミングし、PMOD 3.3(PMOD Technologies,Zurich,Switzerland)を使用して、全ての更なる画像解析を実行した。最大の一貫性のために、データを、Schiffer Px Ratラット脳テンプレートに共記録し、データを、時間放射能曲線の全脳VOI(関心領域)から取得した。
【0233】
霊長類の撮像
PET-MR撮像を、不快感を最小限に抑えるために麻酔した(ケタミン、イソフルラン)ヒヒ(アヌビスヒヒ(Papio anubis))で実施した。心理的に健康な状態を促進するために、音声、画像、及び触覚の強化を毎日提供した。示した研究を達成するために、非ヒト霊長類を安楽死させなかった。
【0234】
PET-MR画像を、Biograph mMRスキャナ(Siemens,Munich,Germany)と、5mmのPET解像度並びに59.4及び25.8cm(それぞれ長軸断及び軸)の視野による非ヒト霊長類脳撮像のためのPET互換8チャンネルコイルアレイとで取得した。動的PET画像取得を開始し、その後に放射性トレーサーを静脈内投与した。MEMPRAGEシーケンスは、解剖学的な共記録のベースラインのスキャンの30分後に開始した。特異的結合を特徴付けるために、取得の開始時に非標識の実施例1を静脈内に共投与する第2の撮像実験を実行した。PETスキャンからの動的データをリストモードで記録し、減衰を補正した。ヒヒのデータを、4mmの半値全幅の解像度が得られる3D-OSEM法を使用して再構築した。
【0235】
PET撮像をヒヒの脳でさらに実施した。図4は、黒ヒヒの環椎を使用したヒヒ脳内の15個の領域の解析、ベースライン分布及び前処置分布の比較を示す。各関心領域(ROI)を、ROI内の各ボクセルのSUV値(平均60~120分)の分布として示す。ACC=前帯状皮質、amgyg=扁桃体、CB=小脳、DLPFC=背外側前頭前皮質、HC=海馬、M1=一次運動野、NAc=側坐核、OFC=眼窩前頭皮質、PCC=後帯状皮質、Pu=被殻、SMA=補足運動野、Th=視床、V1=一次感覚皮質、WM=白質。図5は、SUVと、代謝産物が補正された動脈血漿入力関数(Feng内挿)から得られ且つ侵襲的Loganプロットにより算出されたVとの比較を示す。
【0236】
統計解析
GraphPad Prism(Prism6,GraphPad Software Inc.)を使用して、統計的試験を実施した。PET画像解析のために、ノンパラメトリックFriedman検定(Dunnの多重比較補正によるa=0.05)を実施して、脳領域間のSUV60~90分を比較した(図2A図2B)。VTと14個のVOIに関するSUV60~90分値との間でPearson相関解析を実施して(図2B)、画像ベースの結果測定(SUV60~90分)が完全な速度論的モデリングデータ(VT)で推定されたものに対する適切な代理であるかどうかを評価した。死後のHDAC発現レベルの差異、並びに核密度、サイズ、及びSFGとCCとの間の全面積の差異を、対応のないt検定で評価した。背外側前頭前皮質、海馬、及び前帯状回の間での死後のHDAC発現レベルの差異を、通常の一方向ANOVA(Tukeyの多重比較補正によるa=0.05)で評価した。ビヒクルと比較したヒストンのアセチル化及び遺伝子発現レベルの差異を、反復測定の二方向ANOVA(Dunnettの多重比較補正によるa=0.05)で評価した。オートラジオグラフィーアッセイでは、灰白質及び白質における[11C]Martinostatベースラインとブロッキング強度値との間の差異を、通常の二方向ANOVA(Sidakの多重比較補正によるa=0.05)で評価した。
【0237】
実施例2の放射標識化合物は、優れた脳の取込み及び保持を示した。1mg/kgでの実施例1の非放射性化合物による動物の処置は、特異的な結合を示す、脳の取込みのブロッキングを引き起こした。放射性トレーサーの投与の30分後での実施例1の化合物1mg/kgによる動物の処置により、時間放射能曲線の明確な偏向が示され、このことは標的関与の可逆性が示す。前臨床PETでのオフレートは、遅いが[11C]Martinostat等の既知の速度論的に十分に特徴付けられた放射性トレーサーの範囲内であるように見えた。
【0238】
実施例8. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-2-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化75】
中間体1(10mg、30μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.4mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH水溶液(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物9.7mg(22μmol、72%)を白色のふわふわした固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 11.06(s,1H),9.30(s,1H),8.64(s,2H),7.61(t,J=7.6Hz,1H),7.48(d,J=10.9Hz,1H),7.40(d,J=7.9Hz,1H),4.20(s,2H),2.77(s,2H),1.96(d,J=4.8Hz,3H),1.72-1.55(m,6H),1.52(d,J=2.9Hz,6H).
【0239】
実施例9. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3,5-ジフルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化76】
中間体2(10mg、30μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.4mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物5.2mg(11μmol、37%)を白色のふわふわした固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 11.53(s,1H),9.38(s,1H),8.63(s,2H),7.56(d,J=8.2Hz,2H),4.25(s,2H),2.77(s,2H),1.96(s,3H),1.70-1.52(m,12H).
【0240】
実施例10. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-トリフルオロメチル-N-ヒドロキシベンズアミド
【化77】
中間体3(10mg、26μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.4mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物7.3mg(15μmol、57%)を白色のふわふわした固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 11.59(s,1H),9.32(s,1H),8.75(s,2H),8.15(d,J=8.9Hz,2H),7.94(d,J=8.1Hz,1H),4.34(s,2H),2.76(s,2H),1.96(s,3H),1.78-1.34(m,12H).
【0241】
実施例11. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-メチル-N-ヒドロキシベンズアミド
【化78】
中間体4(10mg、30μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.8mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物8.3mg(19μmol、63%)を白色のふわふわした固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 11.26(s,1H),9.09(s,1H),8.50(s,2H),7.71-7.59(m,2H),7.55(d,J=7.9Hz,1H),4.19(d,J=5.9Hz,2H),2.70(d,J=7.6Hz,2H),2.38(s,3H),1.96(s,3H),1.75-1.50(m,12H).
【0242】
実施例12. 4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化79】
工程1.メチル4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
中間体8(0.20g、0.64mmol)のホルマリン3ml 0.5mL及び1滴の酢酸溶液を2時間にわたり撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム200mgを少量ずつ添加し、この反応物を2時間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(80mg、0.26mmol、41%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。
【0243】
工程2. 4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化80】
メチル4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(50mg、0.15mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL)を添加した。この反応混合物を室温(RT)で2時間にわたり撹拌し、次いで6NのHCl 80μLを添加した。生成物をDCMで抽出し、有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで真空中で濃縮した。オイル状の残留物をエーテルで粉砕した。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ 11.34(s,1H),9.14(s,1H),8.77(s,1H),7.83(d,J=8.0Hz,2H),7.64(d,J=8.0Hz,2H),4.48-4.23(m,2H),2.88(d,J=4.8Hz,5H),1.90(s,3H),1.66-1.42(m,12H).
【0244】
実施例13. 6-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシニコチンアミド
【化81】
中間体5(10mg、31μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.4mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物12mg(28μmol、90%)を白色のふわふわした固体として得た。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 11.50(s,1H),10.14(s,1H),8.96(s,2H),8.82(s,1H),8.23-8.15(m,1H),7.60(d,J=8.2Hz,1H),4.37(d,J=12.5Hz,2H),2.63(s,2H),1.97(s,3H),1.70-1.58(m,6H),1.56(d,J=2.7Hz,6H).
【0245】
実施例14. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-クロロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化82】
中間体6(10mg、29μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.4mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物8.7mg(25μmol、86%)を白色のふわふわした固体として得た。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 11.45(s,1H),9.25(s,1H),8.63(s,2H),7.85(d,J=45.4Hz,3H),4.31(s,2H),2.74(s,2H),1.96(s,3H),1.74-1.47(m,12H).
【0246】
実施例15. 4-((((アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-ブロモ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化83】
中間体7(10mg、26μmol、1.0eq)の1:1 THF/MeOH 0.4mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq)0.1mL及び含水NaOH(5.0M、0.05mL)を添加した。この反応混合物を35分にわたり撹拌し、次いで水で1mLまで希釈し、セミ分取HPLC(勾配:5mL/分で45分かけて0.025%のTFA中の20%のMeOHから95%のMeOHへ、Luna C-18)で精製した。メタノールを真空中で除去し、残留する水溶液を凍結乾燥させて、表題の生成物11mg(22μmol、85%)を白色のふわふわした固体として得た。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 11.45(s,1H),9.25(s,1H),8.73(s,2H),8.05(s,1H),7.80(m,2H),4.30(s,2H),2.74(s,2H),1.96(s,3H),1.74-1.52(m,12H).
【0247】
実施例16. 4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミド
【化84】
メチル4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロベンゾエート(例えば、Strebl et al.,ACS Cent.Sci.2017,3(9):1006-1014を参照されたい);102mg、0.31mmol,1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、12eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、1.6eq)を添加した。この反応混合物を7時間にわたり撹拌し、次いで2.5NのHCl 100μLを添加した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(50.3mg、0.15mmol、48%)を白色の泡状固体として得た。1H NMR(DMSO-d)δ 11.3(s,1H),9.9(s,1H),8.69(m,2H),7.80-7.53(m,3H),4.23(s,2H),3.34(s,8H),2.67(s,2H),2.49(m,12H),1.93(m,3H),1.76-1.44(m,14H).MS(m/z) C1925FNに対する計算値 [M+H] 332.19 ;実測値,332.7.
【0248】
実施例17. 4-(((((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化85】

中間体8(92mg、0.29mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、12eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、2eq)を添加した。この反応混合物を5時間にわたり撹拌し、次いで2.5NのHCl 100μLを添加した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(49.7mg、0.16mmol、55%)を白色固体として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 11.3(s,1H),8.8(m,2H),7.79(d,2H),7.58(d,2H),4.19(s,2H),3.49(s,5H),2.55(m,7H),1.91(m,4H),1.78-1.39(m,17H).MS(m/z) C1926に対する計算値 [M+H] 314.2;実測値,314.7.
【0249】
実施例18. 4-((((3s,5s,7s)-アダマンタン-1-イル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化86】
中間体9(34mg、0.11mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、0℃で、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、32eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、5eq)を添加した。この反応混合物を2時間にわたり撹拌した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(32mg、0.1mmol、95%)を白色の泡状固体として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 11.3(s,1H),9.0(s,1H),8.8(d,2H),7.8(d,2H),4.1(s,2H),3.34(s,8H),2.49(m,8H),2.49(m,10H),2.16(m,3H),2.04-1.84(m,6H),1.76-1.51(m,6H).MS(m/z) C1824に対する計算値 [M+H]+,300.40;実測値,300.7.
【0250】
実施例19. 4-(((1-(アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化87】
中間体10(191mg、0.56mmol、6.4eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、0℃で、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、6.4eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、1eq)を添加した。この反応混合物を3時間にわたり撹拌し、次いで6NのHCl 80μLを添加した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、生成物(103mg、0.30mmol、53%)を白色固体として得た。1H NMR(DMSO-d)δ 11.3(s,1H),8.8(d,2H),7.8(d,2H),7.5(d,2H),4.1(s,2H),3.39(s,6H),2.49(m,7H),1.92(m,3H),1.76-1.39(m,15H),1.39-1.21(m,5H).MS(m/z) C2130に対する計算値 [M+H] 342.23;実測値,342.7.
【0251】
実施例20. 4-(((1-(アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化88】
工程1. メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化89】
中間体10(97mg、0.28mmol)のホルマリン3ml 0.5mL及び1滴の酢酸溶液を2時間にわたり撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム184mgを少量ずつ添加し、この反応物を2時間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(33mg、0.09mmol、33%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。MS(m/z) C2322NOに関する計算値 [M+H]+,355.25;実測値,355.8。
【0252】
工程2. 4-(((1-(アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化90】
メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(33mg、0.09mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、37eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、5eq)を添加した。この反応混合物をRTで2時間にわたり撹拌し、次いで6NのHCl 80μLを添加した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(31mg、0.087mmol、90%)を白色固体として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 11.3(s,1H),7.8(d,2H),7.6(d,2H),4.4(m,1H),4.2(m,1H),3.6(m,11H),2.70-2.39(m,16H),2.05-1.82(m,4H),1.82-1.20(m,24H).MS(m/z) C2232に対する計算値 [M+H] 356.51;実測値,356.7.
【0253】
実施例21. 4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化91】
中間体11(89.7mg、0.26mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、0℃で、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、13.8eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、1.92eq)を添加した。この反応混合物を5時間にわたり撹拌し、次いで6NのHCl 80μLを添加した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(84mg、0.24mmol、93%)を白色の泡状固体として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 11.3(s,1H),9.1(s,1H),8.9(s,1H), 7.8(d,2H),7.6(d,2H),4.4(m,2H),3.3(m,7H),2.5(s,9H),2.2(m,1H),2.02-1.87(m,3H),1.87-1.72(m,1H),1.72-1.46(m,12H),1.45-1.34(m,3H),1.03-0.80(m,3H).MS(m/z) C2231に対する計算値 [M+H] 342.23;実測値,342.9.
【0254】
実施例22. 4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)(メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化92】
工程1. メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化93】
中間体11(95mg、0.29mmol)のホルマリン3mL 0.5mL及び1滴の酢酸溶液を2時間にわたり撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム215mgを少量ずつ添加し、この反応物を2時間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、まとめた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(79.7mg、0.23mmol、79%)を、放置時に固化する透明なオイル状物質として得た。MS(m/z) C2333NOに関する計算値 [M+H]355.2;実測値,355.7.
【0255】
工程2. 4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)(メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化94】
メチル4-(((1-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)プロピル)(メチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(79mg、0.22mmol、1eq.)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、0℃で、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、16eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、2eq)を添加した。この反応混合物をRTで3.5時間にわたり撹拌し、次いで6NのHCl 80μLを添加した。生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、生成物(45mg、0.13mmol、59%)を白色固体として得た。1H NMR(DMF-d6)δ 8.9(s,1H),8.14-7.73(m,7H),4.84-4.47(m,2H),3.23-3.00(m,3H),3.00-2.66(m,8H),2.2(m,1H),2.07-1.33(m,27H),1.31-0.91(m,4H).MS(m/z) C2232に対する計算値 [M+H] 356.25;実測値,356.7.
【0256】
実施例23. 4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化95】
中間体12(73mg、0.24mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、15eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、2eq)を添加した。この反応混合物をRTで3時間にわたり撹拌し、次いで、生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(29mg、0.096mmol、40%)を白色固体として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 11.3(s,1H),9.1(s,1H),9.0(s,2H),7.78(d,2H),7.54(d,2H),4.2(m,2H),3.34(s,2H),2.91(s,2H),2.58-2.23(m,7H),2.03-1.71(m,5H),1.73-1.38(m,4H),1.59-1.37(m,1H),1.23-1.07(m,3H),0.99-0.72(m,4H).MS(m/z) C1826に対する計算値 [M+H] 302.2;実測値,302.7.
【0257】
実施例24. 4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)(ペンチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化96】
工程1. メチル4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)(ペンチル)アミノ)メチル)ベンゾエート
【化97】
中間体12(56mg、0.19mmol)のDMSO 0.2ml溶液、1-ブロモペンタン 23μL、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン 44μLを添加し、この混合物を60℃で12時間にわたり撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルと水との間で分配し、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、次いで、まとめた有機相を水で3回抽出した。次に、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。メチル4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)(ペンチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(25.8mg、0.07mmol、36%)を黄色がかったオイル状物質として得た。MS(m/z) C2437NOに関する計算値 [M+H]371.3;実測値,313.7。
【0258】
工程2. 4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)(ペンチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化98】
メチル4-((((6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)(ペンチル)アミノ)メチル)ベンゾエート(約25mg、0.07mmol、1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、51eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、7eq)を添加した。この反応混合物をRTで3.5時間にわたり撹拌し、次いで真空中で濃縮し、ジクロロメタンと水との間で分配し、水層をジクロロメタンでさらに2回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(9mg、0.024mmol、34%)を黄色がかったオイル状物質として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 7.83-7.33(m,1H),3.71-3.20(m,18H),2.85-2.23(m,72H),1.37-1.07(m,4H),1.07-0.73(m,3H),0.73-0.44(m,1H).MS(m/z) C2336に対する計算値 [M+H] 372,3;実測値,372.8.
【0259】
実施例25. 4-(((シクロヘキシルメチル)アミノ)メチル)-N-ヒドロキシベンズアミド
【化99】
中間体13(196mg、0.75mmol 1eq)の1:1 THF/MeOH 2mL溶液に、ヒドロキシルアミン(50%aq、0.25g、3.6mmol、4.8eq)0.50mL及び含水NaOH(5.0M、0.10mL、0.50mmol、0.67eq)を添加した。この反応混合物をRTで4時間にわたり撹拌し、次いで、生成物を、水及びメタノール中の0.025%のTFAの勾配による分取HPLCで精製した。真空中での乾燥により、表題の生成物(108mg、0.41mmol、55%)を、白色でわずかに褐色がかった固体として得た。1H NMR(DMSO-d6)δ 11.3(s,1H),8.9(m,2H),7.77(d,2H),7.55(d,2H),4.18(s,2H),3.42(s,3H),2.77(m,2H),2.50(m,4H),1.83-1.49(m,6H),1.31-1.02(m,3H),1.02-0.79(m,2H).MS(m/z) C1522に対する計算値 [M+H] 262.17;実測値,262.7.
【0260】
実施例26. ドッキング研究
4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミドを、方法セクションで説明したCD2 hHDAC6複合体にドッキングさせた。図8Aは、触媒亜鉛(紫色の球体)間の複雑な水素結合ネットワークを示し、タンパク質及びリガンドを黄色の破線で示す。図8Bに示すように、4-(((((3s)-アダマンタン-1-イル)メチル)(メチル)アミノ)メチル)-3-フルオロ-N-ヒドロキシベンズアミドのリンカーフェニル環上のフッ素置換基を、タンパク質表面に至るhHDAC6 10Åチャネル中の中空の窪み/裂け目中のベクトルにモデル化した。
【0261】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて説明しているが、上述の説明は、添付の特許請求の範囲により画定される本発明の範囲を説明するように意図されており、限定するようには意図されていないことを理解すべきである。他の態様、利点、及び改変は以下の特許請求の範囲内である。
本発明は次の態様を含みうる。
[1]式I:
【化100-1】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
は、-N(R )-又は-CH(R )-であり;
は、CR 又はNであり;
は、CR 又はNであり;
は、H、C 1~6 アルキル、及びC 1~6 ハロアルキルからなる群から選択され;
は、H、C 1~6 アルキル、及びC 1~6 ハロアルキルからなる群から選択され;
は、結合であるか又はC 1~6 アルキレン基であり;
は、結合であるか又はC 1~6 アルキレン基であり;
は、C 1~6 アルキル、C 1~6 アルコキシ、C 3~10 シクロアルキル、及びC 6~10 アリールからなる群から選択され、前記C 3~10 シクロアルキル及びC 6~10 アリールはそれぞれ、C 1~6 アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
、R 、R 、及びR はそれぞれ独立して、H、C 1~6 アルキル、ハロ、及びC 1~6 ハロアルキルからなる群から選択される、
化合物又はその薬学的に許容される塩。
[2]X は-N(R )-である、上記[1]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[3]R は、H及びメチルからなる群から選択される、上記[1]又は[2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[4]X は-CH(R )-である、上記[1]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[5]R はHである、上記[1]又は[4]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[6]L は結合である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[7]L はC 1~6 アルキレン基である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[8]L は、メチレン及びプロピレンからなる群から選択される、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[9]L は結合である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[10]L はメチレンである、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[11]R は、1個又は2個の独立して選択されるC 1~3 アルキル基で任意選択的に置換されているC 6~10 シクロアルキルである、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[12]R は、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニル、及び6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタニルからなる群から選択される、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[13]R はアダマンチルである、上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の化合物。
[14]X はNである、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[15]X はCR である、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[16]R はH又はFである、上記[1]~[13]又は[15]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[17]R はFである、上記[1]~[13]又は[15]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[18]X はNである、上記[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[19]X はCR である、上記[1]~[17]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[20]R はH又はFである、上記[1]~[17]又は[19]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[21]R はHである、上記[1]~[17]又は[19]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[22]X 及びX はそれぞれNである、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[23]X はCR であり、且つX はCR である、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[24]R はFであり、且つR はHである、上記[1]~[13]、[15]又は[19]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[25]R はH又はCF である、上記[1]~[24]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[26]R はHである、上記[1]~[24]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[27]R はH又はCF である、上記[1]~[26]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[28]R はHである、上記[1]~[26]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[29]R はFであり、且つR 、R 、及びR はそれぞれHである、上記[1]~[13]、[15]、[19]又は[23]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[30]X は、-N(R )-又は-CH -であり;
は、CR 又はNであり;
は、CR 又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか又はC 1~3 アルキレン基であり;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C 6~10 シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、前記C 6~10 シクロアルキル及びフェニルはそれぞれ、C 1~3 アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され;
、R 、及びR はそれぞれHである、
上記[1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[31]X は、-N(R )-又は-CH -であり;
は、CR 又はNであり;
は、CR 又はNであり;
は、H及びメチルからなる群から選択され;
は、結合であるか、又はメチレン及びプロピレンからなる群から選択され;
は、結合であるか又はメチレンであり;
は、C 6~10 シクロアルキル及びフェニルからなる群から選択され、前記C 6~10 シクロアルキル及びフェニルはそれぞれ、C 1~3 アルキル及びハロから独立して選択される1個又は2個の基で任意選択的に置換されており;
は、H及びハロからなる群から選択され;
、R 、及びR はそれぞれHである、
上記[1]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[32]前記式Iの化合物は、式II:
【化100-2】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、上記[1]に記載の化合物。
[33]前記式Iの化合物は、式III:
【化100-3】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、上記[1]に記載の化合物。
[34]前記式Iの化合物は、式IV:
【化100-4】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、上記[1]に記載の化合物。
[35]前記式Iの化合物は、式V:
【化100-5】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、上記[1]に記載の化合物。
[36]前記化合物又は薬学的に許容される塩は少なくとも1個の放射性同位体を含む、上記[1]~[35]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[37]前記化合物又は薬学的に許容される塩は、 11 C及び 18 Fからなる群から選択される少なくとも1個の放射性同位体を含む、上記[1]~[35]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[38]前記化合物又は薬学的に許容される塩は少なくとも1個の 18 F放射性同位体を含む、上記[1]~[35]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[39]前記式Iの化合物は、式VI:
【化100-6】
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、上記[1]又は[36]~[38]のいずれか一項に記載の化合物。
[40]前記式Iの化合物は、
【化100-7】
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である、上記[1]に記載の化合物。
[41]前記式Iの化合物は、
【化100-8】
【化100-9】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記[1]に記載の化合物。
[42]前記式Iの化合物は、
【化100-10】
又はそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、上記[1]に記載の化合物。
[43]上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
[44]ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の活性を阻害する方法であって、前記HDAC酵素と、上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩とを接触させることを含む方法。
[45]ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の活性を阻害することは、前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を調節解除することを含む、上記[44]に記載の方法。
[46]前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である、上記[44]又は[45]に記載の方法。
[47]前記化合物は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、及びHDAC11の内のHDAC6 1つ又は複数を選択的に阻害する、上記[44]~[46]のいずれか一項に記載の方法。
[48]前記方法はインビトロでの方法である、上記[44]~[47]のいずれか一項に記載の方法。
[49]前記方法はインビボでの方法である、上記[44]~[47]のいずれか一項に記載の方法。
[50]対象を撮像する方法であって、
i)前記対象に、上記[36]~[39]~[42]のいずれか一項に記載の放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;及び
ii)前記対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法。
[51]細胞中の又は組織中のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を撮像する方法であって、
i)前記細胞又は組織と、上記[36]~[39]~[42]のいずれか一項に記載の放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩とを接触させること;及び
ii)前記細胞又は組織を撮像技術により撮像すること
を含む方法。
[52]対象中のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素を撮像する方法であって、
i)前記対象に、上記[36]~[39]~[42]のいずれか一項に記載の放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;及び
ii)前記対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法。
[53]対象中において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する疾患を撮像する方法であって、
i)前記対象に、上記[36]~[39]~[42]のいずれか一項に記載の放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;及び
ii)前記対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法。
[54]対象中において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する疾患の処置をモニタリングする方法であって、
i)前記対象を撮像技術により撮像すること;
ii)前記対象に、上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること;
iii)前記対象を撮像技術により撮像すること;及び
iv)工程i)の画像と工程iii)の画像とを比較すること
を含む方法。
[55]前記撮像技術は、単一光子放出コンピュータ断層撮影、ポジトロン放出断層撮影イメージング、コンピュータ断層撮影、コンピュータ断層撮影イメージングを有するポジトロン放出断層撮影、磁気共鳴イメージングを有するポジトロン放出断層撮影からなる群から選択される、上記[50]~[54]のいずれか一項に記載の方法。
[56]前記撮像技術はポジトロン放出断層撮影イメージングである、上記[50]~[54]のいずれか一項に記載の方法。
[57]前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である、上記[51]~[56]のいずれか一項に記載の方法。
[58]対象の脳を撮像する方法であって、
i)前記対象に、上記[36]~[39]~[42]のいずれか一項に記載の放射標識化合物又はその薬学的に許容される塩を投与すること;及び
ii)前記対象を撮像技術により撮像すること
を含む方法。
[59]疾患の処置を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与することを含み、前記疾患は、癌、中枢神経系の疾患、及び炎症性自己免疫疾患からなる群から選択される、方法。
[60]前記疾患は癌である、上記[59]に記載の方法。
[61]前記癌は固形腫瘍を含む、上記[59]又は[60]に記載の方法。
[62]前記癌は、神経膠腫、膠芽腫、及び非小細胞肺癌からなる群から選択される、上記[59]~[61]のいずれか一項に記載の方法。
[63]前記癌は血液癌である、上記[59]又は[60]に記載の方法。
[64]前記血液癌は、白血病及びリンパ腫からなる群から選択される、上記[63]に記載の方法。
[65]前記癌は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連する、上記[59]~[64]のいずれか一項に記載の方法。
[66]前記癌は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連する、上記[59]~[64]のいずれか一項に記載の方法。
[67]前記疾患は中枢神経系の疾患である、上記[59]に記載の方法。
[68]前記中枢神経系の疾患は神経変性疾患を含む、上記[59]又は[67]に記載の方法。
[69]前記中枢神経系の疾患は鬱病である、上記[59]又は[67]に記載の方法。
[70]前記中枢神経系の疾患は、統合失調症、双極性障害、アルツハイマー病、及びハンチントン病からなる群から選択される、上記[59]又は[67]に記載の方法。
[71]前記中枢神経系の疾患は鬱病をさらに含む、上記[59]、[68]又は[70]のいずれか一項に記載の方法。
[72]前記中枢神経系の疾患は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連している、上記[59]又は[67]~[71]のいずれか一項に記載の方法。
[73]前記中枢神経系の疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連している、上記[59]又は[67]~[71]のいずれか一項に記載の方法。
[74]前記疾患は炎症性自己免疫疾患である、上記[59]に記載の方法。
[75]前記炎症性自己免疫疾患は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な発現又は異常な活性と関連している、上記[74]に記載の方法。
[76]前記炎症性自己免疫疾患は、HDAC6の異常な発現又は異常な活性と関連している、上記[59]、[74]又は[75]のいずれか一項に記載の方法。
[77]投与された前記化合物の約0.1%~約5%が血液脳関門を通過する、上記[49]~[58]のいずれか一項に記載の方法。
[78]投与された前記化合物は、脳:血漿比が少なくとも約1:1~少なくとも約50:1である、上記[49]~[58]のいずれか一項に記載の方法。
[79]対象の癌を処置する方法であって、
i)前記癌が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;及び
ii)前記対象に、上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法。
[80]対象の中枢神経の疾患を処置する方法であって、
i)前記中枢神経系の疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること;及び
ii)前記対象に、上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法。
[81]対象の炎症性自己免疫疾患を処置する方法であって、
i)前記炎症性自己免疫疾患が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の異常な活性又は異常な発現と関連していると特定すること、及び
ii)前記対象に、上記[1]~[42]のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与すること
を含む方法。
[82]前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素はHDAC6である、上記[79]~[81]のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8