(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】塞がれた気流要素を有する吸入器物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/05 20200101AFI20221128BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20221128BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20221128BHJP
【FI】
A24F40/05
A61M15/06 A
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2019565528
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 IB2018053619
(87)【国際公開番号】W WO2018220475
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ビューラー フレデリック ユリシー
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-187143(JP,A)
【文献】特表2015-513427(JP,A)
【文献】特表2015-521526(JP,A)
【文献】特開平09-262295(JP,A)
【文献】特開昭56-015759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220106(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166004(US,A1)
【文献】米国特許第03888253(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02022526(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第101489612(CN,A)
【文献】国際公開第2015/193498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-40/95
A24F 42/00-42/90
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器物品であって、
長軸方向軸に沿ってマウスピース端から消耗品受け側端に延びるホルダー本体を画定する管状ハウジングであって、前記ホルダー本体が、
前記長軸方向軸に沿って前記管状ハウジング内で管の取り込み側端から管の排出側端に延びる内側管であって、前記管
の取り込み
側端が前記消耗品受け側端の近傍にあり、前記内側管が、前記内側管の壁を通って延びる二つ以上の気流開口部を備える気流内腔を画定し、空気遮断特徴が気流内腔内に、かつ二つの気流開口部間に位置付けられている、内側管と、
前記管の排出側端または前記管の取り込み側端の近傍にある前記内側管上に配置された振動誘発要素であって、前記振動誘発要素が前記内側管の前記壁を貫通し、先細りしたまたは角度の付いた下流開口部端を有する、振動誘発要素とを備える、吸入器物品。
【請求項2】
前記空気遮断特徴が前記管の取り込み側端から下流の気流内腔内に配置されていて、少なくとも一つの気流開口部が管の空気出口を画定し、前記
空気遮断特徴と前記管の取り込み側端との間にあり、少なくとも一つの気流開口部が管の空気吸込み口を画定し、前記
空気遮断特徴と前記管の排出側端との間にあり、前記管
の排出側端が前記マウスピース端と気流連通している、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項3】
少なくとも3つの気流開口部が、前記空気遮断特徴の上流かつそれに隣接して位置し、少なくとも3つの気流開口部が、前記空気遮断特徴の下流かつそれに隣接して位置する、請求項1~2のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項4】
前記管状ハウジング内に位置付けられていて、前記マウスピース端を前記消耗品受け側端から分離
する空気密封要素をさらに備え、前記内側管が前記空気密封要素を通って延びる
、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項5】
前記管状ハウジングおよび前記内側管が同軸である、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項6】
前記内側管上に配置されたカプセルをさらに備え、前記内側管が前記カプセルの対向する側面を通って延び、前記カプセルがニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸入器物品。
【請求項7】
前記空気遮断特徴および気流開口部が
前記カプセル内に位置付けられていて、前記管の取り込み側端が前記カプセルから遠位に延び、前記管の
排出側端が前記カプセルから近位に延びる、請求項
6に記載の吸入器物品。
【請求項8】
吸入器システムであって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の吸入器物品と、
前記ホルダー本体の前記消耗品受け側端に受けられるように構成されたニコチン粉末消費者物品であって、前記ニコチン粉末消費者物品が、
近位端と遠位端の間に延びる細長い消耗品本体と、
前記細長い消耗品本体内に固定されたカプセルであって、前記カプセルがニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有する、カプセルと、
前記カプセルが前記内側管上に配置されていて、前記内側管が前記カプセルの向かい合った側を通って延び、前記管の取り込み側端が、ニコチン粉末消費者物品が前記ホルダー本体の前記消耗品受け側端内に受けられている時に、前記カプセルから遠位に延びる、吸入器システム。
【請求項9】
多孔性材料の第一のプラグが前記細長い消耗体の前記近位端内に配置されていて、多孔性材料の第二のプラグが前記細長い消耗品本体の前記遠位端内に配置されている、請求項8に記載の吸入器システム。
【請求項10】
前記多孔性材料の前記第一のプラグがセルロースアセテートトウを含み、前記多孔性材
料の前記第二のプラグがセルロースアセテートトウを含む、請求項9に記載の吸入器システム。
【請求項11】
前記多孔性材料の第一のプラグおよび前記多孔性材料の第二のプラグが、前記カプセルを前記細長い消耗品本体内に固定する、請求項9または10に記載の吸入器システム。
【請求項12】
前記多孔性材料の第二のプラグが風味送達要素を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の吸入器システム。
【請求項13】
前記管の取り込み側端が前記多孔性材料の第二のプラグ内に延びる、請求項9~12のいずれか一項に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチンを含む粒子などの粒子をユーザーに送達するための塞がれた気流要素を含む吸入器物品に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切なわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である、あるいは可動部品が関与する場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量の全部を提供しようとする。
【0003】
従来の喫煙方法での吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、ニコチンを含む粒子を肺に供給する吸入器物品を提供することが望ましいであろう。従来の紙巻たばこと同様な形態を有する吸入器物品を備えたニコチンを含む粒子を提供、送達することが望ましいであろう。また、製造が単純でかつ消費者が使用するのに好都合な吸入器物品を提供することが望ましいであろう。再使用可能であり、交換可能なニコチン粉末消費者物品を利用する吸入器物品を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本開示は、長軸方向軸に沿ってマウスピース端から消耗品受け側端に延びるホルダー本体を画定する管状ハウジングを備える吸入器物品を対象とする。ホルダー本体は、長軸方向軸に沿って管状ハウジング内で管の取り込み側端から管の排出側端に延びる内側管を含む。管の取り込み側端は、消耗品受け側端の近傍である。内側管は、内側管の壁を通って延びる二つ以上の気流開口部を有する気流内腔を画定する。空気遮断特徴は気流管腔内に、および二つの気流開口部の間に位置付けられている。
【0005】
吸入器物品内側管は振動要素を含みうる。振動要素は、先細りしたまたは角度の付いた下流開口部端を有する内側管の壁を貫通する開口部を含みうる。
【0006】
カプセルは、内側管がカプセルの向かい合った側を通って延びる内側管上に配置されうる。空気遮断特徴および気流開口部はカプセル内に位置付けられていて、管の取り込み側端はカプセルから遠位に延び、管の空気出口はカプセルから近位に延びることが好ましい。
【0007】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載の吸入器物品と、ホルダー本体の消耗品受け側端に受けられるように構成されたニコチン粉末消費者物品とを含む吸入器システムを対象とする。ニコチン粉末消費者物品は、近位端と遠位端の間に延びる細長い消耗品と、細長い消耗品本体内に固定されたカプセルとを備えてもよい。カプセルは、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有することが好ましい。カプセルは、内側管上に配置されてもよい。内側管はカプセルの向かい合った側を通って延びてもよく、管の取り込み側端は、ニコチン粉末消費者物品がホルダー本体の消耗品受け側端内に受けられている時に、カプセルから遠位に延びてもよい。
【0008】
ニコチン粉末消費者物品は、細長い消耗品の近位端内に配置された多孔性材料の第一のプラグ、および細長い消耗品の遠位端内に配置された多孔性材料の第二のプラグを含みうる。多孔性材料の第一のプラグおよび多孔性材料の第二のプラグは、カプセルを細長い消耗品本体内に固定してもよい。多孔性材料の第二のプラグは、風味送達要素を含みうる。管の取り込み側端は、多孔性材料の第二のプラグの中へと延びることが好ましい。
【0009】
気流開口部の間に空気遮断特徴を提供することは有利なことに、カプセルを通る気流経路を形成しうる。カプセルは内側管上に配置されていて、気流開口部および空気遮断特徴を囲んでもよい。内側管壁に沿ってこれらの気流開口部を選択的に位置付けることは、カプセル内の乱流を増大させ、カプセルを完全に空にするのを補助しうる。
【0010】
内側管の壁に振動誘発要素を提供することは有利なことに、吸入気流が内側管の長さ方向に沿った振動を発生または開始させることを可能にしうる。この振動は、カプセル内の乱流を増大させることができ、また粒子の凝集を低減もしくは防止する、または凝集した粒子を粉砕することができ、またカプセル内部での粒子の消費中にカプセルを完全に空にするのを補助することができる。
【0011】
有利なことに、説明した単純な細長い吸入器装置に独特な内側管要素を、ニコチン粉末消費者物品とともに提供することは、従来の紙巻たばこと類似した形態の吸入器システムを提供し、従来の紙巻たばこと類似した気流構成を提供する。吸入器システムは有利なことに、モジュール式および交換可能なニコチン粉末消費者物品を有する再使用可能な吸入器物品を提供する。
【0012】
本明細書に記載の吸入器物品は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量でニコチンを含む乾燥粉末または粒子を肺に供給しうる。消費者は、各々の「吸煙」が、ニコチン粉末消費者物品内に収容されたカプセルの中に含まれる乾燥粉末の部分量を送達する、複数の吸入または「吸煙」を行ってもよい。この吸入器物品は、従来の紙巻たばこと類似した形態を有してもよく、従来の喫煙の決まったやり方を真似てもよい。この吸入器は、製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに好都合でありうる。
【0013】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、ユーザーが吸入器物品を吸い込む時に吸入物品および粉末消費者物品を通る気流の方向に関して、本明細書に記載の吸入物品および粉末消費者物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を説明するために使用される。特に、ユーザーが吸入器物品を吸い込む際に、空気は管の空気吸込み口からマウスピース端に下流方向に流れる。
【0014】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0015】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall, R.L. & Oser, B.L., Food Technology, February 1965 pg 151-197)、GRAS風味付け物質27(S.M. Cohen et al., Food Technology Aug. 2015 pg. 40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を意味することが好ましい。本開示の目的において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0016】
本明細書に記載の吸入器物品は、ニコチン粉末消費者物品と組み合わせて吸入器システムを形成しうる。吸入器システムは、二つ以上のニコチン粉末消費者物品を含みうる。第一のニコチン粉末消費者物品が消費されると、ユーザーは枯渇したニコチン粉末消費者物品を第二または新しいニコチン粉末消費者物品と置き換え、ニコチン粉末消費者物品内に含まれたニコチンを含む粒子の消費を継続しうる。吸入器物品は、2、10、25、または100個以上のモジュール式のニコチン粉末消費者物品用に利用されうる。
【0017】
吸入器物品は、長軸方向軸に沿ってマウスピース端から消耗品受け側端に延びるホルダー本体を画定する管状ハウジングを備える。ホルダー本体は、長軸方向軸に沿って、管の取り込み側端から管の排出側端に管状ハウジング内に延びる内側管を備える。管の取り込み側端は、消耗品受け側端の近傍である。内側管は、内側管の壁を通って延びる二つ以上の気流開口部を有する気流内腔を画定する。空気遮断特徴は気流管腔内に、および二つの気流開口部の間に位置付けられている。
【0018】
吸入器またはホルダー本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに似ていてもよい。吸入器本体またはホルダー本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒形の本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒形の本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有してもよい。吸入器本体の外径は約5mm~約15mm、または約7mm~約12mm、または約7mm~約10mm、または約8mm~約9mmの範囲内であってもよい。吸入器本体の(長軸方向軸に沿った)長さは、約40mm~約100mm、または約50mm~約90mm、または約60mm~約80mmの範囲内であってもよい。
【0019】
内側管は、ニコチンを含む粒子を含有するカプセルを貫通するように構成されうる。内側管は、カプセルの貫通を容易にする鋭利な端の管遠位端を有しうる。内側管はカプセルの向かい合った側を貫通することが好ましく、また内側管の長さはカプセルの長軸方向の全長を通して延びる。管の遠位端は、カプセルから遠位に延びうる。管状ハウジングおよび内側管は、同一の長軸方向軸に沿って同軸であることが好ましい。
【0020】
内側管は、カプセル内の回旋や渦流パターンを誘発するように構成されてもよい。単一の内側管は、吸入空気がカプセルに入るように供給する入口空気と、粒子を豊富に含む空気がカプセルを出て、吸入器物品のマウスピース部分に流れることを可能にする空気出口との両方を提供するように構成されうる。内側管は消耗品受け側端から遠位に延びなくてもよい。内側管は任意の剛直な材料で形成されうる。内側管はポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタンなどの高分子材料で形成されうる。内側管は金属または金属材料で形成されてもよい。
【0021】
空気遮断特徴は内側管の内腔を塞ぎ、内側管内腔内の出口空気から入口空気を物理的に分離または分離しうる。空気遮断特徴は、空気が空気遮断特徴を通って流れるのを防止しうる。空気遮断特徴は、空気取り入れ端から下流の気流内腔内に配置される要素であってもよく、あるいは空気遮断特徴は、空気が空気遮断特徴を通して流れることができないように内側管が挟まれている、挟み込まれた特徴であってもよい。内側管の外径は、内側管長の残りの部分に対して挟まれた特徴の地点で減少されてもよい。
【0022】
空気遮断特徴は、内側管を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。空気遮断特徴は、内側管を形成する材料と同一の材料で形成されてもよい。空気遮断特徴は、内側管と一体的に形成されうる。空気遮断特徴は、任意の不通気性材料で形成されうる。空気遮断特徴は、例えばポリプロピレン、シリコーン、PEEK、液晶、またはポリウレタンなどのゴムまたは高分子材料で形成されうる。
【0023】
少なくとも一つの気流開口部は管空気出口を画定し、空気遮断特徴と管の取り込み側端の間である。少なくとも一つの気流開口部は空気吸込み口を画定し、空気遮断特徴と管の排出側端の間である。管の排出側端はマウスピース端と気流連通している。
【0024】
気流は、内側管の空気取り入れ端にある単一の空気吸込み口を介して吸入器物品に入ってもよい。気流は、管の排出側端の単一の空気出口から最終的に内側管を抜け出しうる。管の排出側端からの粒子を豊富に含む空気は、マウスピース端に、および消費者に放出される。気流は、吸入器の管状ハウジングまたはホルダー本体を通過しなくてもよい。吸入器の管状ハウジングまたはホルダー本体を通した空気吸込み口はないことが好ましい。
【0025】
内側管の壁を通した気流開口部の位置および数は、望む通りに、カプセル内の特定の位置への空気の流れを加減するように調整または構成されてもよい。気流開口部は、内側管の直径の周りに円周方向に位置しうる。気流開口部は、内側管の周囲の周りに均一に配置されうる。気流開口部は、内側管の周囲の周りに無作為に配置されうる。
【0026】
内側管は、空気遮断特徴の上流にかつそれに隣接して位置する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも3つの気流開口部と、空気遮断特徴の下流にかつそれに隣接して位置する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも3つの気流開口部とを含みうる。内側管は、空気遮断特徴の上流にかつそれに隣接して位置する少なくとも6つの気流開口部と、空気遮断特徴の下流にかつそれに隣接して位置する少なくとも6つの気流開口部とを含みうる。内側管は、空気遮断特徴の上流にかつそれに隣接して位置する少なくとも9つの気流開口部と、空気遮断特徴の下流にかつそれに隣接して位置する少なくとも9つの気流開口部とを含みうる。内側管は、空気遮断特徴の上流にかつそれに隣接して位置する少なくとも12個の気流開口部と、空気遮断特徴の下流にかつそれに隣接して位置する少なくとも12個の気流開口部とを含みうる。上流および下流の気流開口部は、内側管の周囲の周りに均一の間隔で配置されうる。上流および下流の気流開口部は、内側管の長さに沿って均一の間隔で配置されうる。
【0027】
吸入器物品を通る気流の大部分または実質的にすべては、内側管を通って流れる。吸入器物品は、気流のすべてまたは実質的にすべてが内側管を通過してマウスピース端に流れるように構成されうる。吸入器物品は、内側管を介することを除き、マウスピース端を消耗品受け側端から分離するように構成されうる。
【0028】
空気密封要素は、管状ハウジング内に配置されてもよい。空気密封要素はマウスピース端を塞いで消耗品受け側端から分離してもよい。内側管は空気密封要素を通って延び、粒子を豊富に含む空気がカプセルおよび消耗品受け側端の中に収容された内側管からマウスピース端に通過することを可能にする。内側管は空気密封要素を通って、および空気密封要素から近位に、ある距離延びてもよい。
【0029】
空気密封要素は、任意の不通気性材料で形成されうる。空気密封要素は、例えばポリプロピレン、シリコーン、PEEK、液晶、またはポリウレタンなどのゴムまたは高分子材料で形成されうる。空気密封要素は、吸入器物品の内側管または管状ハウジングを形成する同一の材料で形成されうる。空気密封要素は、内側管と一体的に形成されうる。空気密封要素は、吸入器物品の管状ハウジングと一体的に形成されうる。
【0030】
振動誘発要素は、内側管の長さに沿って配置されてもよい。振動誘発要素は、内側管を通る気流によって活性化される。内側管を通した気流は、振動誘発要素によって振動運動に変換されるエネルギーを提供する。振動誘発要素は内側管の振動を開始する。振動誘発要素は内側管の任意の振動数を誘発しうる。振動誘発要素は、約500Hz~約10000Hz、または約1000Hz~約10000Hzの範囲の内側管の振動数を誘発しうる。振動誘発要素は、吸入中にカプセル内で粒子が流動化するのを補助しうる。振動数は、(カプセル内の)凝集粒子を粉砕する能力を有するか、または消費中にカプセル内で粒子のエアロゾル化中の凝集を減少させることが好ましい。
【0031】
振動誘発要素は、消費中にカプセルによって囲まれるように、内側管上に位置してもよい。振動誘発要素は、消費中にカプセルの外側にあるように、内側管上に位置してもよい。振動誘発要素は、空気密封要素から近位に延びる管の排出側端部分の近傍にある内側管上に位置してもよい。振動誘発要素は、管の取り込み側端の近傍にある内側管上に位置してもよい。二つ以上の振動誘発要素は、内側管上に位置してもよい。
【0032】
振動誘発要素は、内側管の壁を貫通し、かつ先細りしたまたは角度の付いた下流開口部端を有する開口部を備えうる。この先細りした開口部構造は、振動を作り出すための楽器のリードと類似した「リード効果」を誘発しうる。内側管の(および潜在的にカプセルの)振動は、カプセル内の粒子の乱流および機械的振盪を作り出して、カプセルからの粒子の完全な枯渇を可能にしうる。
【0033】
先細りした開口部構造または「リード」によって作り出される振動の特性は、材料および「リード」の角度および開口部のサイズに依存しうる。「リード」の角度は、長軸方向軸から約70~約110度、または長軸方向軸から約85~約95度、長軸方向軸から約60~約120度変動することができる。開口部のサイズは、約0.05mm~約3mm、または約0.1mm~約1mm、または約0.5mmの範囲の横方向の距離を有しうる。
【0034】
カプセルは内側管上に配置されてもよい。カプセルは、ニコチンを含む粒子を含有するように構成された円筒形の体積(楕円形状を有してもよい)を画定しうる。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のニコチンを含む粒子の消費の前に内側管によって貫通または穿孔されうる。カプセルは高分子材料で形成されてもよい。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルは、サイズ000~サイズ4カプセル、またはサイズ0~サイズ2カプセル、またはサイズ0カプセル、またはサイズ1カプセル、またはサイズ2カプセルとしうる。
【0035】
内側管は、カプセルの向かい合った側を通って延びてもよい。カプセルはニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有しうる。空気遮断特徴および(内側管の壁を通って延びる)気流開口部はカプセル内に位置付けられていて、管の取り込み側端はカプセルから遠位に延び、管の空気出口はカプセルから近位に延びることが好ましい。カプセル内への気流は、内側管を塞ぐ空気遮断特徴から上流に位置する内側管上の気流開口部によってのみ提供される。カプセルからの気流は、内側管を塞ぐ空気遮断特徴から下流に位置する内側管上の気流開口部によってのみ提供される。カプセルは、内側管がカプセルを通って延びる両方の場所で内側管の周りを密封しうる。
【0036】
カプセルは、ニコチンを含むニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含む。カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を包含してもよい。カプセルは、少なくとも2回の吸入または「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入または「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入または「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含みうる。カプセルは、約5~50回の吸入または「吸煙」、または約10~30回の吸入または「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含みうる。各々の吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達する場合がある。
【0037】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有してもよい。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%~最高約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有してもよい。各々の吸入または「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達されうることが好ましい。
【0038】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または包含してもよい。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または含みうる。カプセルは、約5mg~約300mgのニコチン粒子、または約10mg~約200mgのニコチン粒子を保持または含みうる。
【0039】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドまたは組み合わせられた時、毎回の吸入または「吸煙」でユーザーに送達される所望の風味を提供する量の風味粒子が存在しうる。
【0040】
ニコチン粒子は、優先的にユーザーの肺の中へと吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含みうる。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末システムを形成しうる。
【0041】
カプセルは、少なくとも約5mgの乾燥粉末(粉末システムとも呼ばれる)または少なくとも約10mgの乾燥粉末を保持または含みうる。カプセルは、約900mg未満の乾燥粉末、または約300mg未満の乾燥粉末、または約150mg未満の乾燥粉末を保持または含みうる。カプセルは、約5mg~約300mgの乾燥粉末、または約10mg~約200mgの乾燥粉末を保持または含みうる。
【0042】
乾燥粉末または粉末システムは、約10マイクロメートル未満、または約5マイクロメートル未満、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の粒子サイズのニコチン粒子から成る粉末システムの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0043】
ニコチンを含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内であってもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0044】
風味を含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲内、または約50~約150マイクロメートルの範囲内であってもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0045】
乾燥粉末の中央粒子径は、約60マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲内であってもよい。中央粒子径は質量あたりの中央粒子径を意味し、またレーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって測定することが好ましい。
【0046】
粉末システム中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬品として許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であってもよい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選ばれてもよい。
【0047】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよいことが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、それ故にニコチン粒子の凝集を低減する場合がある。同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減する場合があり、それ故にニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは自由流動材料であってもよく、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する場合がある。
【0048】
ニコチンは表面修飾したニコチン塩であってもよいことが好ましく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子または複合粒子を含む。好ましい被覆材料または複合材料はL-ロイシンであってもよい。一つの特に有用なニコチン粒子は、L-ロイシンを含む重酒石酸ニコチンであってもよい。
【0049】
粉末システムは風味粒子を含んでもよい。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。
【0050】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0051】
風味剤または風味は、固体の風味として(約22℃の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。本明細書に記載の風味剤は、ニコチン構成要素の味覚特性または芳香特性をその消費中または吸入中に変化させるために、または変化させることを意図するために選択および利用される感覚刺激性の化合物、組成物、または材料である。
【0052】
風味剤または風味は、天然起源または合成起源のさまざまな風味材料を指す。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、消費中にニコチン構成要素の体験を高める場合がある風味特性を有する。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果から得られるものと類似の体験を提供するように選ばれてもよい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高める場合がある。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0053】
適切な風味には例えば、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
その他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれてもよい。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、iso-s吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0055】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、すなわち臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0056】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200百万分率未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、β-ダマセノン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主なたばこ芳香化合物である。その他の風味剤は、より高い濃度レベルで人間によってのみ感知されうる。本明細書で力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は一般に、吸入空気内に放出される風味剤が結果的に、桁違いに多い量のレベルで使用される。力価のより低い適切な風味剤には例えば、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、およびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、およびリナロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含んでもよい。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減し、それ故に風味粒子の凝集を低減する場合がある。それ故に、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減する場合がある。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。粉末システムは自由流動であってもよいことが好ましい。
【0058】
粉末システムは、活性粒子(ニコチンを含む粒子)が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有しうる。これらの担体粒子は、約50マイクロメートル超の粒子サイズでありうるラクトースまたはマンニトールまたはトレハロースなどのサッカリドであってもよい。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用されうる。別の方法として、本明細書に記載のニコチン粉末送達システムとともに利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。
【0059】
ニコチン粒子と風味は、組み合わせられても、カプセル内に含められてもよい。上述の通り、ニコチン粒子および風味はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、それらが安定した粒子製剤をもたらし、この場合ではニコチンを含む粒子と風味含む粒子が組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。別の方法として、粉末システムは、単一のカプセルの中に収容されたニコチン粒子を含み、風味粒子または風味剤はカプセルの外側に収容されている。
【0060】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーが風味粒子を検知するように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられてもよい。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0061】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑ではなく、また単純化された気流経路を有する。有利なことに、再使用可能な吸入器物品を備えたモジュール式の交換可能なニコチン粉末消費者物品を利用することは、便利でユーザーにとって使いやすいニコチン粉末送達システムを提供する。独自の内側管構成は、カプセルまたはモジュール式の交換可能なニコチン粉末消費者物品内のニコチン粉末の完全な枯渇を確実にしうる。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。モジュール式ニコチン粉末消費者物品は、枯渇したモジュラー式ニコチン粉末消費者物品の清潔で便利な廃棄を可能にしうる。
【0062】
吸入器システムは、本明細書に記載の通りの吸入器物品と、ホルダー本体の消耗品受け側端に受けられるように構成されたニコチン粉末消費者物品とを含みうる。ニコチン粉末消費者物品は、ユーザーによって吸入器物品の内側管上に簡単に取り付けられうる、およびユーザーによって吸入器物品の内側管から簡単に取り外されうる「モジュラー式」要素として記述されうる。
【0063】
ニコチン粉末消費者物品の取り付けおよび取り外しは、ニコチン粉末消費者物品を内側管上に摺動または「串刺し」することによって、例えばニコチン粉末消費者物品を長軸方向軸に沿って吸入器物品の空気密封要素に向かって横方向に摺動または「串刺し」することによって達成されうる。空気密封要素は、ニコチン粉末消費者物品を内側管の気流開口部とともに登録しうる物理的な停止部として動作しうる。
【0064】
ニコチン粉末消費者物品は、近位端と遠位端の間に延びる細長い消耗品と、細長い消耗品本体内に固定されたカプセルとを含みうる。カプセルはニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有しうる。カプセルは内側管上に配置されている。内側管は、ニコチン粉末消費者物品がホルダー本体の消耗品受け側端内に受けられている時に、管の取り込み側端がカプセルから遠位に延びるように、カプセルの向かい合った側を通って延びることが好ましい。
【0065】
ニコチン粉末消費者物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジング内に受けられる任意の有用な直径を有しうる。ニコチン粉末消費者物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジング内にきつく適合しうる。ニコチン粉末消費者物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジング内に緩く適合しうる。ニコチン粉末消費者物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径の約80%~約99%である外径を有してもよい。ニコチン粉末消費者物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径の約85%~約95%である外径を有してもよい。ニコチン粉末消費者物品と、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径との間に画定された空隙は、協働して吸入気流チャネルの任意の部分を形成しなくてもよい。
【0066】
ニコチン粉末消費者物品は、長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有してもよい。ニコチン粉末消耗品は、吸入器物品の内側管に取り付けられると、内側管の長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有しうる。吸入器物品の内側管に取り付けられると、ニコチン粉末消費者物品は、内側管または内側管と同軸になる細長い円筒形の本体を有し、管状ハウジングは吸入器物品のホルダー本体を画定する。
【0067】
ニコチン粉末消費者物品は、ニコチン粉末消費者物品の長さに沿った実質的に均一な外径を有してもよい。ニコチン粉末消費者物品は、細長いニコチン粉末消費者物品の長さに沿って均一でもよい円形断面を有してもよい。ニコチン粉末消費者物品の外径は約4mm~約14mm、または約5mm~約10mm、または約6mm~約10mm、または約6mm~約8mmの範囲内であってもよい。ニコチン粉末消費者物品の(長軸方向軸に沿った)長さは、約30mm~約100mm、または約40mm~約80mm、または約40mm~約60mmの範囲内であってもよい。
【0068】
ニコチン粉末消費者物品は、吸入器装置の消耗品受け側端に適合するか、または受けられるサイズであってもよい。ニコチン粉末消費者物品は、空気密封要素および吸入器装置の消耗品受け側端によって画定された受け入れチャンバーの長さを超える長さを有してもよい。ニコチン粉末消費者物品は、ニコチン粉末消費者物品の長さの少なくとも約10%、または少なくとも約20%が吸入器装置の消耗品受け側端から遠位に延びるように、吸入器装置の受け入れチャンバーの長さを超える長さを有してもよい。ニコチン粉末消費者物品は、ニコチン粉末消費者物品の長さの少なくとも約10%~約50%、または少なくとも約20%~約40%が吸入器装置の消耗品受け側端から遠位に延びるように、吸入器装置の受け入れチャンバーの長さを超える長さを有してもよい。
【0069】
ニコチン粉末消費者物品は、ニコチン粉末消費者物品内で閉じ込められたカプセルの直径に、ニコチン粉末消費者物品の外表面を形成する層またはオーバーラップの厚みを加えたものと等しい外径を有しうる。ニコチン粉末消費者物品の外表面を形成する層またはオーバーラップは、カプセルの周りを密接に包み、かつカプセルと密着または直接接触することが好ましい。カプセルの外表面およびニコチン粉末消費者物品の外表面を形成する層またはオーバーラップは、カプセルの外表面に沿った気流を提供しない。
【0070】
ニコチン粉末消費者物品は、ニコチン粉末消費者物品内のカプセルの移動を塞ぐ材料で充填された近位端および遠位端を有してもよい。この材料は、細長い消耗品本体の遠位端および近位端によって画定された開いた空間に完全に充填されることが好ましい。遠位端を充填する材料は、吸入空気が、封入されたカプセルに容易に流れることを可能にするために、多孔性または空気透過性であることが好ましい。近位端を充填する材料は、内側管によって貫通可能である。近位端を充填する材料は、類似した多孔性または通気性の材料であってもよく、または近位端を充填する材料は、通気性または多孔性ではなくてもよい異なるタイプの材料であってもよい。近位端を充填する材料は、不通気性材料であってもよい。
【0071】
細長い消耗品本体の遠位端および近位端によって画定された開いた空間を充填する材料は、多孔性材料のプラグであってもよい。多孔性材料の第一のプラグは細長い消耗品本体の近位端内に配置されてもよく、また多孔性材料の第二のプラグは細長い消耗品の遠位端内に配置されてもよい。多孔性材料の第一のプラグはセルロースアセテートトウを含んでもよく、多孔性材料多孔性材料の第二のプラグはセルロースアセテートトウを含んでもよい。多孔性材料の第一のプラグおよび多孔性材料の第二のプラグは、カプセルを細長い消耗品本体内に固定してもよい。多孔性材料の第一のプラグおよび多孔性材料の第二のプラグは、細長い消耗品本体の遠位端および近位端によって画定された開いた空間を完全に充填し、カプセルと接触し、細長い消耗体内にカプセルを固定しうる。内側管の取り込み側端は、ニコチン粉末消費者物品が内側管の上に取り付けられた時に、またはホルダー本体の消耗品受け側端内に受けられている時に、多孔性材料の第二のプラグ内に延びることが好ましい。
【0072】
ニコチン粉末消費者物品は、ユーザーが吸入器物品を通して空気を引き出す時に、ユーザーに風味感覚を提供するための風味送達要素をさらに備えうる。風味送達要素は、ニコチン粉末消費者物品の外径または幅に対する影響を最小限に抑えるために、カプセルと直列に提供されていることが好ましい。
【0073】
本明細書で使用される「直列」は、使用時にニコチン粉末消費者物品を通過して引き出された気流(吸入空気)が、カプセルを通ってから風味送達要素の周りを通過するか、または風味送達要素の周りを通過してからカプセルを通るかのいずれかであるように、風味送達要素およびカプセルがニコチン粉末消費者物品内に配置されていることを意味する。
【0074】
風味送達要素は、カプセルの上流に提供されてもよい。風味送達要素は、多孔性材料の第二のプラグ内に提供されてもよい。
【0075】
風味送達要素からの風味剤の漏れを防止するために、風味送達要素は、ユーザーがカプセルの周りでニコチン粉末消費者物品を圧迫することによって破裂されうる壊れやすいカプセルを含むことが好ましい。風味送達要素を提供する壊れやすいカプセルを形成するために適切な材料は、例えばキサンタンガム、ゲランガム、カルボキシメチルセルロース、カーボポール、アラボキシメチルセルロース、およびその組み合わせなどの、ゲル形成剤および親水コロイドを含む。壊れやすいカプセルは、約50ニュートン未満、随意に約10ニュートン未満、随意に約5ニュートン未満の破砕力で壊れやすいことが好ましい。これらの範囲内の破砕力で壊れるカプセルを提供することは、ユーザーが手でカプセルを粉砕することが比較的簡単であることを確実にする。追加的に、または別の方法として、壊れやすいカプセルの破壊には、少なくとも約3ニュートン、随意に少なくとも約5ニュートン、随意に少なくとも約10ニュートンの破砕力が必要とされる場合がある。これらの範囲の最小破壊力を必要とするカプセルを提供することは、使用前に物品の製造中およびその後の取り扱い中にカプセルが偶発的に破裂するリスクを低減する。
【0076】
別の方法としてまたは壊れやすいカプセルに加えて、風味送達要素は、風味剤を浸み込ませた糸などの担体要素としうる。これらの実施形態における風味剤はメントールが好ましい。糸は、好ましくはカプセルの上流にある多孔性材料のプラグ内に配置されうる。
【0077】
風味送達要素を含む実施形態のどれかにおいて、風味送達要素は、(約22℃の室温および1気圧で)液体または固体の形態でありうる一つ以上の風味剤を含む。固体風味剤は粉末の形態でもよい。風味剤は、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含みうる。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。適切な風味剤または風味剤が上述されている。
【0078】
吸入器物品および吸入器システムは、約5L/分未満または約3L/分未満または約2L/分または約1.6L/分未満の流量を使用してもよい。流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分~約2.5L/分の範囲内であることが好ましい。吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)喫煙方法の吸入量または流量、すなわち約1.6 L/分と類似しうることが好ましい。
【0079】
吸入器物品および吸入器システムは、約25mmWG~約100mmWGの引き出し抵抗を有することが好ましい。吸入器物品および吸入器システムは、約50mmWGの引き出し抵抗を有することが好ましい。引き出し抵抗は、ISO 6565-2002に従い測定される。
【0080】
吸入器は、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少容量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少容量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される有効な薬剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0081】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0082】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0083】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0084】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0085】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一のまたはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【0086】
吸入器物品および吸入器システムについては、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、これは例証としてのみである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】
図1は、例示的な吸入器物品の断面概略図である。
【
図2】
図2は、例示的なニコチン粉末消費者物品の断面概略図である。
【
図3】
図3は、例示的吸入器物品内またはその上に受けられたニコチン粉末消費者物品を含む例示的吸入器システムの断面概略図である。
【
図4】
図4は、
図3の吸入器システムの断面概略図であり、例示的振動誘発要素の拡大図を図示する。
【
図5】
図5は、
図3の吸入器システムの断面概略図であり、ニコチンを含む粒子を含有する完全に充填されたカプセルを図示する。
【
図6】
図6は、
図5の吸入器システムの断面概略図であり、ニコチンを含む粒子を含有する完全に充填されたカプセルを通過する吸入気流を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0088】
概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。ただし、図面に描かれていないその他の態様が本開示の範囲および精神に則るものと理解される。
【0089】
図1は、例示的な吸入器物品100の断面概略図である。吸入器物品100は、長軸方向軸L
Aに沿ってマウスピース端104から消耗品受け側端106に延びるホルダー本体101を画定する管状ハウジング102を備える。ホルダー本体101は、長軸方向軸L
Aに沿って管状ハウジング102内で管の取り込み側端116から管の排出側端114に延びる内側管110を含む。管の取り込み側端116は、消耗品受け側端106の近傍である。内側管110は、内側管110の壁111を通って延びる二つ以上の気流開口部113、115を有する気流内腔112を画定する。空気遮断特徴118は気流管腔112内に、および二つの気流開口部113、115の間に位置付けられている。
【0090】
空気遮断特徴118は、管の取り込み側端116の下流にある気流内腔112内に配置されている。少なくとも一つの気流開口部115は、管空気出口115を画定し、空気遮断特徴118と管の取り込み側端116との間にある。少なくとも一つの気流開口部113は、管の空気吸込み口113を画定し、遮断特徴118と管の排出側端114との間にある。管の排出側端114は、マウスピース端104と気流連通している。図は、五つの管の空気出口115および五つの管の空気吸込み口113を図示し、これらの開口部113、115は上述の通りの任意の有用な数で存在してもよいと理解される。
【0091】
空気密封要素120は管状ハウジング102内に位置付けられて、マウスピース端104を消耗品受け側端106から隔離してもよい。内側管110は、空気密封要素120を通して延びる。
【0092】
図2は、例示的なニコチン粉末消費者物品200の断面概略図である。ニコチン粉末消費者物品200は、近位端204と遠位端206の間に延びる細長い消耗品本体201を含む。カプセル210は、細長い消耗品本体201内に固定されている。カプセル210は、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子215を含む。
【0093】
多孔性材料の第一のプラグ224は細長い消耗品本体201の近位端204内に配置されてもよく、また多孔性材料の第二のプラグ226は細長い消耗品本体201の遠位端206内に配置されてもよい。風味送達要素230は、多孔性材料の第二のプラグ226内に配置されてもよい。
【0094】
図3は、例示的吸入器物品100内またはその上に受けられたニコチン粉末消費者物品200を含む例示的吸入器システム300の断面概略図である。
図4は、
図3の吸入器システム300の断面概略図であり、例示的振動誘発要素119の拡大
図400を示す。
図5は、
図3の吸入器システム300の断面概略図であり、ニコチンを含む粒子215を含有する完全に充填されたカプセルを図示する。
図6は、
図5の吸入器システム300の断面概略図であり、ニコチンを含む粒子を含有する完全に充填されたカプセルを通過する吸入気流(矢印で示す)を図示する。
【0095】
カプセル210は内側管110上に配置されていて、内側管はカプセル210の向かい合った側面を通って延びる。管の取り込み側端116は、ニコチン粉末消費者物品200がホルダー本体101の消耗品受け側端106に受けられている時、カプセル210から遠位に延びる。管の取り込み側端116は、多孔性材料の第二のプラグ226の中へと延びうる。
【0096】
空気遮断特徴118および気流開口部113、115は、ニコチン粉末消費者物品200が、ホルダー本体101の消耗品受け側端106に受けられている時、カプセル210内に位置付けられている。管の取り込み側端116は、ニコチン粉末消費者物品200がホルダー本体101の消耗品受け側端106に受けられている時、カプセル210から遠位に延び、管の空気出口114はカプセル210から近位に延びうる。
【0097】
振動誘発要素119は、内側管110上に配置されてもよい。振動誘発要素119は、
図4の管の排出側端114の近傍にある内側管110上に配置されて図示されている。振動誘発要素119は、上述の通り、「リード」要素として動作するように構成されてもよい。振動誘発要素119は、内側管110の壁111を貫通し、かつ先細りしたまたは角度の付いた下流開口部端117を有する開口部を含みうる。