(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】胃内容排出パラメータを測定するための嚥下可能カプセル、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/07 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
A61B5/07 ZDM
(21)【出願番号】P 2019568333
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 US2018037153
(87)【国際公開番号】W WO2018231865
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-01
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514002891
【氏名又は名称】ラニ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イムラン, ミル
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511961(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0000180(US,A1)
【文献】特開2015-142754(JP,A)
【文献】国際公開第2011/092936(WO,A1)
【文献】特表2006-517827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0065168(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102088281(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0318783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃内容排出パラメータの測定のための嚥下可能カプセルであって、前記カプセルは、
カプセル本体であって、前記カプセル本体は、嚥下され、かつ、患者の腸
管を通過するようなサイズにされ、前記カプセル本体は、外面を有し、かつ、カプセル本体内部を画定する、カプセル本体と、
前記カプセル本体外面上に配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極と、
前記第3の電極を含む前記カプセル本体外面の一部にわたって配置される腸溶性コーティングであって、前記コーティングは、胃の中にある間に前記第3の電極を電気的に絶縁し、小腸内の選択されたpHに応答して分解し、前記第3の電極を露出するように構成される、コーティングと、
前記第1および第2の電極に電気的に結合される第1の回路であって、前記第1の回路は、前記第1の電極と第2の電極との間の電流に基づいて第1の入力信号を生成するように構成される、第1の回路と、
前記第2および第3の電極に電気的に結合される第2の回路であって、前記第2の回路は、前記第2の電極と第3の電極との間の電流に基づいて第2の入力信号を生成するように構成される、第2の回路と、
前記第1および第2の回路に動作可能に結合されるコントローラであって、前記コントローラは、前記カプセル本体内部内に配置され、前記コントローラは、前記第2の電極に送信されるドライバ信号を生成し、前記第1および第2の回路から前記信号を受信し、前記第1の入力信号に応答して第1の出力信号を生成し、前記第
2の入力信号に応答して第2の出力信号を生成するように構成される、コントローラと、
前記コントローラ、前記第1の回路、または
前記第2の回路のうちの少なくとも1つに結合される電源と
を備え、
前記カプセルが前記胃に到達するとき、前記第1および第2の電極は、胃液と電気的に結合し、電流が前記第1の電極と第2の電極との間で流動することを可能にして、前記第1の入力信号を生成し、前記カプセルが前記小腸に到達するとき、前記腸溶性コーティングは、分解し、前記第2および第3の電極が前記小腸内の流体と結合し、電流が前記第2の電極と第3の電極との間で流動することを可能にして、前記第2の入力信号を生成する、カプセル。
【請求項2】
前記腸溶性コーティングは、
アクリルおよびメタクリル酸のエステルに由来する、コポリマーを備える、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記電源は、バッテリ、リチウムバッテリ、リチウムイオンバッテリ、またはアルカリバッテリである、請求項1に記載のカプセル。
【請求項4】
前記ドライバ信号は、AC信号である、請求項1に記載のカプセル。
【請求項5】
前記第1および第2の入力信号は、電圧を備える、請求項1に記載のカプセル。
【請求項6】
前記第1および第2の回路は、演算増幅器(オペアンプ)を含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項7】
前記オペアンプは、前記第1または第2の電極および前記コントローラに結合される、
請求項6に記載のカプセル。
【請求項8】
前記第1および第2の回路は、抵抗器を含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項9】
前記抵抗器は、約1メガオームを上回る値を有する、請求項8に記載のカプセル。
【請求項10】
前記抵抗器は、第1および第2の抵抗器を含む、請求項8に記載のカプセル。
【請求項11】
前記コントローラは、選択された時間周期後に前記第1の出力信号を中断するように構成される、請求項1に記載のカプセル。
【請求項12】
前記コントローラは、選択された時間周期後に前記第2の出力信号を中断するように構成される、請求項1に記載のカプセル。
【請求項13】
前記第1の出力信号の振幅は、前記コントローラが前記第2の出力信号を生成し始めた後に減少する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項14】
前記第1の出力信号振幅は、電圧振幅である、請求項13に記載のカプセル。
【請求項15】
少なくとも1つの前記第1の出力信号または前記第2の出力信号は、第1のチャープ信号に対応する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項16】
患者において胃内容排出パラメータを測定するための方法であって、前記方法は、
嚥下可能カプセルを摂取することであって、前記嚥下可能カプセルは、前記患者の腸管を通して進行し、前記カプセルが胃の中にあるときに第1の電気信号を生成し、前記カプセルが小腸の中にあるときに第2の電気信号を生成するように構成される、ことと、
前記第1または第2の電気信号を前記患者の身体の外側に伝送することと、
前記第1および第2の電気信号からの情報を利用して、前記胃内容排出パラメータを決定することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記決定される胃パラメータは、胃内容排出時間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カプセルは、カプセル本体外面上に配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極を含み、前記第3の電極は、絶縁コーティングによって被覆され、前記絶縁コーティングは、前記胃の中に残留し、前記小腸内のpH条件に応答して分解し、前記第1の
電気信号は、前記患者の胃の中で前記第1の電極と第2の電極との間の電流によって開始され、前記第2の
電気信号は、前記患者の小腸の中で前記第2の電極と第3の電極との間の電流によって開始される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の胃の中の流体の存在下で、前記第1の電極と第2の電極との間の電流によって前記第1の
電気信号を生成することと、
前記患者の小腸の中で前記絶縁コーティングを分解することと、
前記患者の小腸の中の流体の存在下で、前記第2の電極と第3の電極との間の電流によって前記第2の
電気信号を生成することと
をさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによって、あらゆる目的のために全体として本明細書に組み込まれる、2017年6月12日に出願に出願され、「Swallowable Capsule, System and Method For Measuring Gastric Emptying Parameters」と題された、米国仮特許出願第62/518,246号(弁理士整理番号42197-743.101号)の優先権の利益を主張する。
【0002】
(1.発明の分野)
本明細書に説明される実施形態は、消化管系の生理学的パラメータを測定するためのデバイス、システム、および方法に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、胃内容排出時間等の胃内容排出パラメータを測定するためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトまたは他の哺乳類の消化管の適切な消化および機能に影響を及ぼし得る、いくつかの状態が存在する。それらのうちの1つ、胃内容排出遅延としても公知である胃不全麻痺は、吐き気、嘔吐、膨満、腹痛または不快感、および早期の満腹感を含む、複数の症状によって特徴付けられる状態である。胃不全麻痺を診断することは、従来、症状査定および胃内容排出シンチグラフィの組み合わせから決定される。特に、本方法は、胃内容排出時間、または食物が食べられた後に胃から小腸の中に排出されるために要する時間を測定するために、使用されることができる。胃十二指腸検圧もまた、状態のさらなる証拠を提供するように実施され得る。胃十二指腸検圧は、検圧プローブが患者の鼻または口を通して消化管の中に挿入される、侵襲性のカテーテルベースのシステムである。検圧プローブは、通常、その長さに沿った固定位置に位置する、圧力センサ一式を有する。これらの圧力センサは、収縮振幅および周波数データを検出し、接続されたワイヤを通して外部記録デバイスに送信する。プローブの設置のために、本技法は、患者にとって不快であり、患者が鎮静状態であり、検出器に物理的に接続されることを要求する。極めて不快であること以外に、検圧測定システムは、患者の正常機能に直接影響を及ぼし、検圧結果を歪ませ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記の理由により、胃内容排出時間の測定のための改良されたシステムおよび方法、および胃不全麻痺を診断するための手段の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、胃内容排出時間等の胃内容排出パラメータ(GEP)を測定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。多くの実施形態は、1つが、胃の中に残留するが小腸(SI)の中で分解されるコーティングによって被覆される、3つの電極を有する、嚥下可能カプセルを提供する。電極は、カプセルが胃の中にあるとき、電流が最初の2つの電極の間で発生して、第1の信号を生成し、SIの中で、電流が第2の電極とここでは被覆されていない第3の電極との間で発生して、第2の信号を生成するように、回路に結合される。これら2つの信号は、胃内容排出時間または他の胃内容排出パラメータを決定するように、外部デバイスまたは内部コントローラによって、伝送および分析されることができる。患者は、2つの信号を受信および分析し、胃内容排出時間または他の胃内容排出パラメータについての情報を患者および/または医療提供者に提供するように構成される、外部デバイスを装着し得る。
【0006】
本発明の実施形態は、患者を胃不全麻痺または関連状態と診断し、状態の有害症状(例えば、吐き気)を最小限にするように、食事パターンについての情報、例えば、1人前の分量のサイズおよび1人前の分量の間の時間をこれらの患者に提供することに、特に有用である。それらはまた、食事をした後にそのインスリン(または他のグルコース調整化合物)を投与するときについての情報を糖尿病等のグルコース調整障害がある患者に提供するために、使用されてもよい。
【0007】
第1の側面では、本発明の実施形態は、胃内容排出時間または他の胃内容排出パラメータの測定のための嚥下可能カプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。そのようなカプセルの実施形態は、嚥下され、患者の腸管進路を通過するようなサイズにされる、カプセル本体を備える。カプセル本体は、カプセルの1つ以上の構成要素の位置付けのためのカプセル内部を画定する。カプセル本体は、望ましくは、消化管の中で分解されない、当技術分野で公知である種々の生体適合性ポリマーを含み、好適な実施例は、ポリカーボネートを含む。カプセル本体はまた、蛍光透視法または超音波下で可視であるように、放射線不透過性またはエコー源性マーカ等の撮像マーカを有してもよい。また、カプセル本体全体は、放射線不透過性またはエコー源性材料に由来する、またはそのような材料を含んでもよい。2つ以上の電極は、胃または小腸の中の流体等の消化管の器官の中に存在する流体に結合し、流体を通して電流を流動させるように、種々の配列でカプセル本体上に位置付けられてもよい。電極は、ステンレス鋼または金合金等の医療デバイス技術分野で公知である1つ以上の生体適合性伝導性金属を含んでもよく、それらは、種々の生体適合性接着剤を使用して、カプセル本体に取り付けられてもよい。具体的実施形態では、配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極は、カプセル本体の外面上に配置される。好ましい実施形態では、電極は、半径方向整合を通してカプセルの縦軸に対して線形に整合され、非整合構成もまた、考慮される。また、好ましくは、それらは、第1の電極と第2の電極との間の距離が第2の電極と第3の電極との間とほぼ同一であるように、等距離に(例えば、約1mm~10mmの範囲内で)離間される。しかしながら、いくつかの実施形態では、非等距離構成が、使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2および第3の電極は、デバイスが、その酸性でより高い流体含有量により、より伝導性の流体を含有する胃と対比して、電極間の回路を完成させるために、あまり伝導性ではない流体/媒体を含有し得る小腸の中にあるときに、第2の電極と第3の電極との間の電流の流動に対する低減した抵抗を提供するように、より近く離間されることができる。
【0008】
腸溶性電気絶縁性コーティングが、第3の電極を含むカプセル本体外面の一部にわたって配置される。コーティングは、胃の中にある間に第3の電極を保護および電気的に絶縁し、小腸内の選択されたpHに応答して分解し、第3の電極を小腸内の流体に暴露するように構成される。カプセル本体内部は、第1および第2の電極に電気的に結合される、第1の回路と、第2および第3の電極に結合される第2の回路とを含有する。同様にカプセル本体の中に配置される、コントローラが、両方の回路に電気的に結合される。回路は、典型的には、分圧器構成で配列され得る、演算増幅器(オペアンプ)と、少なくとも3つの抵抗器とを含む。オペアンプは、第1または第3の電極を含む、個別の回路のノードから入力信号を受信し、それを増幅し、出力信号を入力信号としてコントローラに送信する。抵抗器は、1~10メガオームを上回る値を有してもよい。回路はまた、胃または小腸の中の電極の間を流動する電流がAC電流であることを確実にするためのコンデンサを含んでもよい。回路はまた、コントローラからドライバ入力電圧を受信する。
【0009】
回路は、GETまたは他のGEパラメータを測定する際に使用される、1つ以上の機能を果たすように構成されることができる。特に、第1の回路は、第1の電極と第2の電極との間に電流があるときに第1の入力信号を生成するように構成され、第2の回路は、第2の電極と第3の電極との間に電流があるときに基づいて第2の入力信号を生成するように構成される。下記に解説されるように、電流は、第1および第2の電極が胃酸等の胃の中の伝導性流体と接触するときに、第1の回路内で発生する。これが起こるときに、第1の回路は、カプセルが嚥下された後に胃に到達したときのインジケーションを提供する、コントローラへの入力信号を生成し始める。同様に、電流は、絶縁コーティングが小腸の中で分解し、第2および第3の電極が小腸内の伝導性流体と接触した後に、第2の回路内で流動する。これが起こるとき、第2の回路は、カプセルが小腸に到達したときのインジケーションを提供する、コントローラへの入力信号を生成する。それらの開始時間を含む、これら2つの信号からの情報は、次いで、胃内容排出時間または別の胃内容排出パラメータを決定するために使用されることができる。特定の実施形態では、開始時間は、コントローラと一体である、または別様に結合されるクロックデバイスを使用して、決定されることができる。特に、第1の入力信号の開始時間は、胃内容排出時間に着信する第2の信号の開始時間から減算されることができる。特定の実施形態では、腸溶性コーティングが小腸の中で分解するために要する推定時間、および他の要因が、考慮に入れられることができる。そのような考慮は、外部デバイスのコントローラまたはカプセル内のコントローラ上に常駐し得る、胃内容排出時間の決定のためのモジュールに組み込まれることができる。
【0010】
マイクロプロセッサまたはアナログデバイスに対応し得る、コントローラは、両方の回路およびリチウムイオンまたは他の化学蓄電池等の電源に結合される。コントローラはまた、コントローラからの情報(例えば、GET)を符号化する信号を外部デバイス上の受信機に伝送するためのRF伝送機等の伝送機を含む、またはそれに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、低電力RF発生器を含んでもよく、伝送機は、コントローラから生じる低電力RF信号を増幅する電力増幅器に対応し得る。
【0011】
コントローラは、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかを介して、いくつかの機能を果たすように構成されてもよい。特に、これは、第1および第2の信号の開始時間を決定するためのクロック信号を生成および/または利用するように構成されてもよい。クロック信号は、単相または多相であり得る。また、いくつかの実施形態では、クロック信号は、アナログ/デジタル変換器によって生成されることができる。コントローラはまた、典型的には、第2の電極に送信されるドライバ信号を生成し、電流がそれらの間で流動しているときに第1および第2の回路から信号を受信するように構成されるであろう。典型的には、ドライバ信号は、ミリアンペア範囲内、より好ましくは、マイクロアンペア範囲内の非常に低いアンペア数を伴うAC電圧、および0.5~2ボルトの範囲内の電圧の形態であり、他の範囲も考慮される。コントローラはさらに、第1の回路からの第1の入力信号に応答して第1の出力信号を生成し、第2の回路からの第2の入力信号に応答して第2の出力信号を生成するように構成される。個別の出力信号は、典型的には、AC形態であり、コントローラと一体である、または別様に結合される、RFまたは他の伝送機による伝送のために構成されるであろう。これらの信号は、コントローラ自体またはコントローラに電気的に結合される信号発生器によって生成されてもよい。特定の実施形態では、出力信号は、信号処理技術分野で公知である独特のチャープ信号に対応し得る。1つの特定の実施形態では、第1の出力信号は、アップチャープ信号に対応し得、第2の信号は、ダウンチャープ信号に対応し得る。コントローラはまた、いったん開始すると、個別の出力信号が生成される長さを制御することもできる。例えば、これは、第1の出力信号が開始した後の選択された時間周期後に、その信号を停止することができる。これはまた、第2の出力信号に関して同様に行ってもよい。1~20秒、より具体的には、1~10秒の範囲内であり得る、時間周期は、外側の受信機またはコントローラ自体による検出および記録のために十分な時間を提供するとともに、バッテリ電力を節約するように、選択される。
【0012】
コントローラはまた、開始時間およびそれらの振幅等の第1および第2の入力信号についての他の情報を記録および記憶するためのハードウェアまたはソフトウェア内の論理を含んでもよい。コントローラはまた、本明細書に説明されるアプローチを使用して、胃内容排出時間(GET)または他のGEパラメータを計算するためのハードウェアまたはソフトウェア内の論理を含んでもよい。ソフトウェア実装に関して、論理は、GETのアルゴリズム計算を含む、コントローラの中に(例えば、RAM、ROM、または他のメモリの中に)常駐するソフトウェアモジュールの形態であってもよい。同一のモジュール、本明細書では、GETモジュールはまた、患者によって装着される外部デバイス上のコントローラ上に常駐し得る。上記に説明される減算方法によるGETの計算に加えて、モジュールは、腸溶性コーティングが溶解するために要する時間の長さ、およびカプセルが摂取される前、間、または後に食べられる任意の食物の量、タイプ、および時間等の他の要因を考慮する、GETの計算のためのアルゴリズムを含んでもよい。本情報は、食べられる食物のタイプおよび量に関して、より長いまたは短い胃内容排出時間を考慮に入れるために、使用されることができる。例えば、液体対固形食およびタンパク質が豊富な食物は、炭水化物分が高い食物よりも早く胃から退出する一方で、脂質(例えば、脂肪)分が高い食物は、胃から退出するために最も長い時間を要する。GET計算が外部デバイス上のコントローラによって行われるものを含む、いくつかの実施形態では、患者は、栄養素情報および1人前の分量のサイズを含む、本情報を(例えば、タブレット、携帯電話等の外部デバイスを使用して)入力し得る。モジュールを含む、コントローラはまた、GE速度、すなわち、食物/胃内容物が胃から小腸まで移動する速さ、平均GE速度、ピークGE速度、蠕動収縮数あたりのGE時間の比である、GET蠕動収縮比、および胃から小腸への食物の通過に先立って、またはその間に起こる平均蠕動収縮力あたりのGET時間の比である、GET平均蠕動力比のうちの1つ以上のものを含む、他のGEパラメータの計算のためのプログラミングまたは他の論理を含んでもよい。
【0013】
しかしながら、GETモジュールがカプセル上のコントローラの中に常駐するものを含む、他の実施形態では、患者が、カプセルと、例えば、既知の1人前の分量のサイズおよび炭水化物、タンパク質、脂肪等の既知の量を含む、既知のパラメータを有する、対応した事前梱包GET検査食とを含有する、検査キット(本明細書ではGET検査キット)を与えられる、具体的手順が、患者によって従われることができる。これらまたは他の栄養パラメータは、検査食情報を備える。1人前の分量のサイズおよび栄養素情報(例えば、タンパク質含有量等)を含む、検査食情報は、GETモジュールに事前入力される。患者はまた、カプセルとともに、またはカプセルの摂取の前または後の設定された時間間隔で、食事をするように指示される。検査食情報は、次いで、それに応じてGETの測定を調節する(例えば、それを増加させる、またはそれを減少させる)ために、GETモジュールによって使用されてもよい。例えば、より高い、より大きい、および/またはより濃厚な食事に関して、GETモジュールは、最終的に決定されるGETを減少させ、より濃厚な食物および/またはより大きい1人前の分量のサイズが、胃を通して移動するためにより多くの時間を要し得るという事実を反映し得る。逆のことが、より小さい、および/またはあまり濃厚ではない食事の場合に当てはまる。いくつかの実施形態では、カプセルは、実際に、検査食によって埋め込まれ、または別様に囲繞され、それが所望のアプローチである実施形態に関して、両方が同時に服用されることを確実にし得る。そのようなGET検査キットを使用する実施形態は、患者の食習慣に起因する胃内容排出の変動性の低減、したがって、GETまたは他のGEパラメータのより正確な結果という利益を提供する。
【0014】
別の側面では、本発明は、本明細書に説明される嚥下可能カプセルの実施形態と、患者によって装着または携行されるように構成され得る、外部受信機ユニットとを備える、GETまたは他のGEパラメータの測定のためのシステムを提供する。受信機ユニットは、典型的には、カプセルによる伝送された出力および他の信号を受信するためのRF受信機等の受信機を含むであろう。受信機ユニットはまた、超音波受信機も備えてもよい。これはまた、カプセルからの伝送された信号を分析し、本明細書に説明される1つ以上のアプローチを使用してGE時間を決定するためのGETモジュール等のハードウェアおよび/またはソフトウェアを含み得る、コントローラ(例えば、マイクロプロセッサ)も含むであろう。外部受信機ユニットはまた、(第1の出力信号を検出することによって)カプセルが胃に到達したとき、および(第2の出力信号を検出することによって)小腸に到達したときに患者に警告するためのオーディオアラームまたは表示を含んでもよい。コントローラはまた、患者または医療提供者によって使用するために、計算されたGE時間または他のGEパラメータを表示するようにプログラムされてもよい。
【0015】
上記の特徴に加えて、受信ユニットは、携帯電話、スマートフォン、タブレット、および同等物等の他のWIFI対応デバイスとの通信およびデータ共有を可能にするように、それ自体の通信能力、例えば、BLUETOOTH(登録商標)プロトコルを使用するWIFI能力を有してもよい。一実装では、受信機ユニットは、患者がそのGETおよび関連データをそれらのスマートフォンにアップロードし、次いで、インターネットまたは他のネットワークを経由して、そのデータをその医師または他の医療提供者に送信し得るように、スマートフォンと通信し、データを共有するように構成されることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、受信機ユニットは、受信機とカプセルとの間の通信を促進するように、例えば、腹部にわたって、患者によって装着される接着パッチを備える、またはそれに組み込まれてもよい。パッチは、受信機のみ、またはコントローラ等の他の構成要素も含有してもよい。パッチはまた、パッチから情報(例えば、第1または第2の信号に含有される情報)を受信し、種々の算出を実施してGE時間または他のGEパラメータを決定する、タブレットデバイスまたはスマートフォン等の別の外部計算デバイスと(例えば、下記に説明されるBLUETOOTH(登録商標)プロトコルによって)無線で通信するように構成されてもよい。パッチの使用は、患者がGE時間を見て、情報、例えば、食事内容および時間を入力することを依然として可能にしながら、(近接性に起因する)受信機による信号受信の改良という利益を提供する。
【0017】
種々の実施形態では、腸溶性コーティングは、第3の電極が、第2の電極とともに、小腸の中の内容物と電気的に結合し、電流が2つの電極の間を流動することを可能にするように、小腸のpHで分解し、第3の電極を露出するように選択される。また、コーティングは、pHに基づいて、小腸の選択された部分内で分解するように構成されることができる。例えば、特定の実施形態では、コーティングは、十二指腸に関しては約5.5のpHを上回って、または空腸では6.5~6.8のpHを上回って分解するように構成されることができる。好ましい実施形態では、コーティングは、約6.5のpHを上回って分解するように構成される。種々の実施形態では、pH感受性コーティングは、胃の中でより酸性のpH(1.5~3.5)、および小腸の中でますます低くなる酸性(十二指腸の中で5.5および空腸の中で6.5~6.8)等の消化管内の具体的場所における具体的pHに応答して分解する、EUDRAGITコーティングおよび当技術分野で公知であるその他に対応し得る。特定の実施形態では、EUDRAGITコーティングは、約6.5のpHを上回って分解するように選択される。
【0018】
さらに別の側面では、本発明は、本明細書に説明される嚥下可能カプセルの実施形態と、検査食とを含む、GET検査キットを提供する。検査食の1人前の分量のサイズおよび構成成分(例えば、脂肪、タンパク質等の量)は、例えば、カプセルのサイズおよびカプセル上の電極の位置付けの観点から、事前選択され、特定の嚥下可能カプセルに合致される。検査食の栄養素情報および1人前の分量のサイズ(検査食情報として本明細書に説明される)はまた、その情報がGE時間または他のGEパラメータの計算のためのアルゴリズムで使用され得るように、カプセルマイクロプロセッサまたは他のコントローラのメモリの中に記憶されることができる。いくつかの実施形態では、カプセルおよび検査食が分離している一方で、他の実施形態では、カプセルは、検査食の食品材料によって囲繞されること、または検査食の表面に組み込まれる、または付着されることのいずれかによって、検査食に組み込まれる。
【0019】
さらに別の側面では、本発明は、本明細書に説明される嚥下可能カプセルの実施形態を使用して、GE時間または他のGEパラメータを測定するための種々の方法を提供する。そのような方法の例示的実施形態では、GEパラメータが測定される患者は、カプセルが胃の中にあるときは第1の電気信号を、カプセルが小腸の中にあるときは第2の電気信号を伝送するように構成される、説明される嚥下可能カプセルの実施形態を摂取する。特定の実施形態では、これは、その表面上に位置付けられた3つの電極を有する、カプセルの実施形態を使用して遂行され、第1および第2の電極は、露出され、第3の電極は、胃の中に残留するが、小腸の中にあるときに小腸のpH環境内で分解し、第3の電極を露出する、絶縁pH感受性コーティングによって被覆される。
【0020】
カプセルが胃に到達するとき、第1および第2の電極は、胃の中の流体に電気的に結合し、第1の電気信号は、外部受信機ユニットまたは他のデバイスによる検出および分析のために生成および伝送される。本時点で、第3の電極にわたる絶縁コーティングは、依然として、無傷である。しかしながら、カプセルが小腸に到達するとき、コーティングは、分解して第3の電極を露出し、それとともに、第2の電極は、小腸の中の流体と電気的に結合し、伝送される第2の電気信号を生成する。第1および第2の生成された信号は、典型的には、装着される、または別様に患者に近接している受信機ユニットによって検出および分析されるであろう。GE時間等の胃内容排出パラメータが、次いで、第1および第2の電気信号からの情報を使用して、決定される。胃内容排出時間(GET)に関して、これは、第2の信号の開始時間から第1の信号の開始時間を減算することによって行われる。本GETの決定は、外部受信デバイスまたはカプセル上に常駐する論理リソースによって行われることができる。それらの開始時間を含む、個別の信号はまた、特定の瞬間における場所を含む、カプセルの場所についての情報を提供するために使用されることもできる。例えば、第1の信号の開始は、カプセルが胃に到達したという情報を提供する一方で、第2の信号の開始は、カプセルが小腸に到達したという情報を提供する。第1および第2の信号はまた、バッテリ電力を含む、カプセル上の電力を節約するために、固定間隔、例えば、約1~10秒後に停止されることもできる。デバイスが小腸に進入し、コーティングが分解した後、これは、次いで、消化管を通過し、便の中で排除される。また、コーティングが分解する一方で、カプセルシェルは、分解せず、カプセルは、患者の腸管を無傷で通過する。いくつかの実施形態では、カプセルの進行は、超音波撮像または蛍光透視法を使用して監視されることができる。使用時に、本アプローチは、第1および第2の信号から決定されるようなカプセル場所の検証を提供する。さらに、撮像からの場所情報は、信号生成場所情報を胃または小腸内の位置の範囲と相関させるためのモデルを開発するために、使用されてもよい。そのようなモデルは、胃内容排出時間計算および他のGEパラメータの計算の正確度も向上させるために、撮像を伴わずに後続のGET検査を行うときに使用されてもよい。付加的または代替実施形態では、カプセルの場所情報は、RF信号によって示される瞬間におけるカプセルの位置を三角測量するように、(患者の皮膚の上または近傍に設置される、3つ以上の音響受信機から検出される)RFおよび音響信号の組み合わせを使用して、決定されてもよい。本アプローチを使用する、カプセル場所の決定のための装置、システム、および方法のさらなる説明は、米国特許第7,160,258号、第8,005,536号、第8,360,976号、第8,617,070号、第9,167,990号、および第9,456,774号(あらゆる目的でそれらの全体として参照することによって本明細書に組み込まれる)のうちの1つ以上のものの中で、見出され得る。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、本方法およびGE時間または他のGEパラメータを測定することからの結果は、消化管を通して食物の遅い低減した移動を引き起こす、患者の胃不全麻痺または他の同様の症状を診断するために使用されることができる。GE時間は、上記で説明されるように決定されることができ、次いで、決定された時間は、正常な胃内容排出時間の値の範囲および胃不全麻痺のものと比較されることができる。次いで、比較に基づいて、患者に胃不全麻痺があるかどうかの決定が行われることができる。いくつかの実施形態では、比較を行うためのアルゴリズムが、外部受信機ユニットまたは別のコンピューティングデバイスのコントローラまたは論理リソースの中に常駐することができる。典型的には、アルゴリズムは、GETモジュールまたは胃不全麻痺診断を実施するための別個の診断モジュールを用いて、ソフトウェアによって実装されるであろう。いくつかのGE検査が、特に、患者が正常なGE時間と胃不全麻痺のものとの間の境界領域内にある場合に、診断の正確度を向上させるように実行されることができる。診断モジュールはまた、患者のプールに注目し、したがって、診断の正確度を向上させるための人工知能および/または自己学習ルーチンを使用してもよい。これはまた、治療の経過にわたって患者のGE時間の短縮および/または短縮の傾向に注目することによって、個々の患者の胃不全麻痺に対する治療の有効性を査定するために、使用されることもできる。
【0022】
関連実施形態では、本発明の実施形態によって決定されるGE時間は、胃不全麻痺または関連障害がある患者が、食物の第1の1人前の分量を食べた後に後続の1人前の分量を食べるときおよび量を把握することに役立つために、使用されることができる。特に、その胃内容排出時間を把握することによって、患者は、第2または後続の1人前の分量の消費および量を計時することができ、したがって、その次の1人前の分量を食べる前に、その胃が空になるための十分な時間を許容するであろうため、吐き気および嘔吐を含む、胃不全麻痺の悪影響のうちのいくつかに悩まされない。患者はまた、高脂肪食が胃の中でより長い滞留時間を有することを把握し、したがって、その後続の1人前の分量において、それに応じて調節を行うことができるため、GE時間を使用し、その最初の1人前の分量のサイズおよび栄養素含有量(例えば、脂肪、タンパク質、炭水化物等)も制御することができる。患者の個々のGE時間を使用するアルゴリズム、特に、食べる食物のタイミング、1人前の分量のサイズ、および栄養素含有量についての推奨を行うために、(既知の栄養素含有量を有する)本明細書に説明される検査食の実施形態を使用して開発されるアルゴリズムが、開発されることができる。アルゴリズムは、本明細書に説明される外部受信機ユニットのコントローラ/マイクロプロセッサに組み込まれる、ソフトウェアモジュールの中に含有されてもよい。アルゴリズムは、既知の栄養素含有量の食事を食べた後に患者が体験している症状(例えば、吐き気)、1人前の分量のサイズ、および前の食事の後の時間についての患者からの入力を提供することができるという点で、自己学習型であり得る。アルゴリズムは、次いで、症状および食事情報を使用し、1人前の分量のサイズおよび1人前の分量または食事の間のタイミングについての推奨を調整または微調整する。
【0023】
他の実施形態では、GE時間または他のGEパラメータの測定のための方法は、他の医療用途に組み込まれることができる。例えば、1つ以上の実施形態では、GE時間の測定は、投与量および投与のタイミングの調節を含む、患者への治療薬の投与を制御するために使用されることができる。糖尿病患者の場合に関して、測定されたGE時間は、その血糖が食事をした後に上昇するであろうときのGE時間に基づいて、得策を有するであろうであろうため、食事後にインスリンまたは他のグルコース調整剤の投与量を投与するときを患者に知らせるために、使用されることができる。使用時に、そのようなアプローチは、食事をするときに基づいて、そのインスリン注射の時間を測定することができるため、糖尿病患者がその血糖値を正常範囲内により良好に制御することに役立つ。GE時間はまた、インスリンまたは他のグルコース調整剤の投与量およびタイプを滴定するために使用されることもできる。例えば、より遅い時間に関して、患者は、低血糖になりすぎないように、インスリンのより低い投与量を服用することを所望し得、逆も同様である(例えば、高血糖になりすぎないように、より速いGE時間のためのより高い投与量)。推奨投与時間が、本明細書に説明される受信ユニットのソフトウェアモジュール内のアルゴリズムに組み込まれることができる。そのように時間を測定され、調節され得る、他の薬剤は、例えば、商標BYETTAの下で入手可能であるエキセナチドを含む、種々のGLP-1インクレチン等のインクレチンを含む。グルコース調整化合物の投与量およびタイミングを調節または滴定する際にGE時間と併せて使用され得る、他の要因は、特定のグルコース調整剤の半減期を含むことができる。したがって、例えば、より短い半減期を有する、そのような作用物質は、食事をした後に、より長い半減期を伴うものよりも早く服用されることができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
胃内容排出パラメータの測定のための嚥下可能カプセルであって、前記カプセルは、
カプセル本体であって、前記カプセル本体は、嚥下され、かつ、患者の腸管進路を通過するようなサイズにされ、前記カプセル本体は、外面を有し、かつ、カプセル本体内部を画定する、カプセル本体と、
前記カプセル本体外面上に配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極と、
前記第3の電極を含む前記カプセル本体外面の一部にわたって配置される腸溶性コーティングであって、前記コーティングは、胃の中にある間に前記第3の電極を電気的に絶縁し、小腸内の選択されたpHに応答して分解し、前記第3の電極を露出するように構成される、コーティングと、
前記第1および第2の電極に電気的に結合される第1の回路であって、前記第1の回路は、前記第1の電極と第2の電極との間の電流に基づいて第1の入力信号を生成するように構成される、第1の回路と、
前記第2および第3の電極に電気的に結合される第2の回路であって、前記第2の回路は、前記第2の電極と第3の電極との間の電流に基づいて、第2の入力信号を生成するように構成される、第2の回路と、
前記第1および第2の回路に動作可能に結合されるコントローラであって、前記コントローラは、前記カプセル本体内部内に配置され、前記コントローラは、前記第2の電極に送信されるドライバ信号を生成し、前記第1および第2の回路から前記信号を受信し、前記第1の入力信号に応答して第1の出力信号を生成し、前記第1の入力信号に応答して第2の出力信号を生成するように構成される、コントローラと、
前記コントローラ、前記第1の回路、または第2の回路のうちの少なくとも1つに結合される電源と
を備え、
前記カプセルが前記胃に到達するとき、前記第1および第2の電極は、胃液と電気的に結合し、電流が前記第1の電極と第2の電極との間で流動することを可能にして、前記第1の入力信号を生成し、前記カプセルが前記小腸に到達するとき、前記腸溶性コーティングは、分解し、前記第2および第3の電極が前記小腸内の流体と結合し、電流が前記第2の電極と第3の電極との間で流動することを可能にして、前記第2の入力信号を生成する、カプセル。
(項目2)
腸溶性コーティングは、EUDRAGITコーティングを備える、項目1に記載のカプセル。
(項目3)
前記電源は、バッテリ、リチウムバッテリ、リチウムイオンバッテリ、またはアルカリバッテリである、項目1に記載のカプセル。
(項目4)
前記ドライバ信号は、AC信号である、項目1に記載のカプセル。
(項目5)
前記コントローラは、プロセッサまたはマイクロプロセッサを備える、項目1に記載のカプセル。
(項目6)
前記第1および第2の入力信号は、電圧を備える、項目1に記載のカプセル。
(項目7)
前記第1および第2の回路は、演算増幅器(オペアンプ)を含む、項目1に記載のカプセル。
(項目8)
前記オペアンプは、前記第1または第2の電極および前記コントローラに結合される、項目7に記載のカプセル。
(項目9)
前記第1および第2の回路は、抵抗器を含む、項目1に記載のカプセル。
(項目10)
前記抵抗器は、約1メガオームを上回る値を有する、項目9に記載のカプセル。
(項目11)
前記抵抗器は、第1および第2の抵抗器を含む、項目9に記載のカプセル。
(項目12)
前記コントローラは、選択された時間周期後に前記第1の出力信号を中断するように構成される、項目1に記載のカプセル。
(項目13)
前記選択された時間周期は、約1~10秒である、項目12に記載のカプセル。
(項目14)
前記コントローラは、選択された時間周期後に前記第2の出力信号を中断するように構成される、項目1に記載のカプセル。
(項目15)
前記選択された時間周期は、約1~10秒である、項目14に記載のカプセル。
(項目16)
前記第1の出力信号の振幅は、前記コントローラが前記第2の出力信号を生成し始めた後に減少する、項目1に記載のカプセル。
(項目17)
前記第1の出力信号振幅は、電圧振幅である、項目16に記載のカプセル。
(項目18)
前記第1の出力信号の電圧振幅は、約2倍減少する、項目17に記載のカプセル。
(項目19)
前記第1の出力信号は、第1のチャープ信号に対応する、項目1に記載のカプセル。
(項目20)
前記第2の出力信号は、第2のチャープ信号に対応する、項目19に記載のカプセル。
(項目21)
前記コントローラに結合される伝送機をさらに備え、前記伝送機は、前記第1または第2の出力信号を伝送するように構成される、項目1に記載のカプセル。
(項目22)
前記伝送機は、前記コントローラと一体である、項目21に記載のカプセル。
(項目23)
前記伝送機は、RF伝送機である、項目21に記載のカプセル。
(項目24)
前記伝送機は、電力増幅器を備える、項目21に記載のカプセル。
(項目25)
前記コントローラは、前記第1または第2の出力信号のうちの少なくとも1つの開始時間、または胃内容排出パラメータのうちの少なくとも1つを決定するための論理を含む、項目1に記載のカプセル。
(項目26)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間、平均胃内容排出時間、食物を伴う胃内容排出時間、選択された食事タイプに関する胃内容排出時間、または選択された食事部分に関する胃内容排出時間である、項目25に記載のカプセル。
(項目27)
前記胃内容排出時間は、前記第1および第2の出力信号の開始時間に基づいて決定される、項目25に記載のカプセル。
(項目28)
前記コントローラは、少なくとも1つまたは第2の出力信号の開始時間または前記胃内容排出時間についての情報を符号化する信号を生成するように構成され、前記符号化信号は、前記コントローラまたは前記コントローラに結合される伝送機によって伝送可能である、項目25に記載のカプセル。
(項目29)
前記選択されたpHは、約6を上回る、項目1に記載のカプセル。
(項目30)
前記選択されたpHは、約6.5を上回る、項目29に記載のカプセル。
(項目31)
前記カプセルの密度は、約0.5~約1.5グラム/ccの範囲内である、項目1に記載のカプセル。
(項目32)
前記カプセルの密度は、約0.8~約1.2グラム/ccの範囲内である、項目31に記載のカプセル。
(項目33)
前記カプセルの密度は、約1グラム/ccである、項目32に記載のカプセル。
(項目34)
前記カプセル本体外壁の表面張力は、約30~45ダイン/cmの範囲内である、項目1に記載のカプセル。
(項目35)
前記カプセル本体外壁の表面張力は、約30~31ダイン/cmの範囲内である、項目34に記載のカプセル。
(項目36)
胃内容排出時間の測定のための嚥下可能カプセルであって、前記カプセルは、
カプセル本体であって、前記カプセル本体は、嚥下され、かつ、患者の腸管進路を通過するようなサイズにされ、前記カプセル本体は、外面を有し、かつ、カプセル本体内部を画定する、カプセル本体と、
前記カプセル本体外面上に配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極と、
前記第3の電極を含む前記カプセル本体外面の一部にわたって配置される腸溶性コーティングであって、前記コーティングは、胃の中にある間に前記第3の電極を被覆し、小腸内の選択されたpHに応答して分解し、前記第3の電極を露出するように構成される、コーティングと、
前記第1および第2の電極に電気的に結合される第1の回路であって、前記第1の回路は、前記第1の電極と第2の電極との間の電流に基づいて第1の入力信号を生成するように構成される、第1の回路と、
前記第2および第3の電極に電気的に結合される第2の回路であって、前記第2の回路は、前記第2の電極と第3の電極との間の電流に基づいて、第2の入力信号を生成するように構成される、第2の回路と、
前記第1および第2の回路に結合されるコントローラであって、前記コントローラは、前記カプセル本体内部内に配置され、前記コントローラは、前記第2の電極に送信されるドライバ信号を生成し、前記第1および第2の回路から前記信号を受信し、前記第1の入力信号に応答して第1の出力信号を生成し、前記第1の入力信号に応答して第2の出力信号を生成するように構成される、コントローラと、
前記第1および第2の出力信号を伝送するために前記コントローラに結合される伝送機と、
前記コントローラ、前記第1の回路または第2の回路、または前記伝送機のうちの少なくとも1つに結合される電源と
を備え、
前記カプセルが前記胃に到達するとき、前記第1および第2の電極は、胃液と電気的に結合し、電流が前記第1の電極と第2の電極との間で流動することを可能にして、前記第1の入力信号を生成し、前記カプセルが前記小腸に到達するとき、前記腸溶性コーティングは、分解し、前記第2および第3の電極が前記小腸内の流体と結合し、電流が前記第2の電極と第3の電極との間で流動することを可能にして、前記第2の入力信号を生成する、カプセル。
(項目37)
前記伝送機は、RF伝送機である、項目36に記載のカプセル。
(項目38)
胃内容排出パラメータを測定するためのシステムであって、前記システムは、
項目36に記載のカプセルと、
伝送された第1および第2の出力信号を受信するための受信機ユニットと
を備える、システム。
(項目39)
前記受信機ユニットは、前記患者によって装着されるように構成される、項目38に記載のシステム。
(項目40)
前記患者の腹部上に装着されるように構成されるパッチをさらに備え、前記受信機ユニットは、前記パッチ上に位置付けられる、項目39に記載のシステム。
(項目41)
前記パッチは、前記患者の皮膚に接着するように構成される、項目40に記載のシステム。
(項目42)
前記パッチは、前記患者の腹部の動きに伴って屈曲および撓曲し、前記受信機ユニットが取り付けられた皮膚に接着されたままであるように、十分に可撓性である、項目41に記載のシステム。
(項目43)
前記受信機ユニットに動作可能に結合されるコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記第1および第2の出力信号を利用して前記胃内容排出パラメータを決定するように構成される、項目38に記載のシステム。
(項目44)
前記第1および第2の出力信号は、ある瞬間における消化管内の前記カプセルの場所についての情報を提供する、項目38に記載のシステム。
(項目45)
決定される胃パラメータは、胃内容排出時間である、項目38に記載のシステム。
(項目46)
患者において胃内容排出パラメータを測定するための方法であって、前記方法は、
嚥下可能カプセルを摂取することであって、前記嚥下可能カプセルは、前記患者の腸管を通して進行し、前記カプセルが胃の中にあるときに第1の電気信号を生成し、前記カプセルが小腸の中にあるときに第2の電気信号を生成するように構成される、ことと、
前記第1または第2の電気信号を前記患者の身体の外側に伝送することと、
前記第1および第2の電気信号からの情報を利用して、前記胃内容排出パラメータを決定することと
を含む、方法。
(項目47)
決定される胃パラメータは、胃内容排出時間である、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記場所は、前記患者の胃、小腸、十二指腸、または空腸のうちの少なくとも1つである、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記カプセルは、カプセル本体外面上に配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極を含み、前記第3の電極は、絶縁コーティングによって被覆され、前記絶縁コーティングは、前記胃の中に残留し、前記小腸内のpH条件に応答して分解し、前記第1の信号は、前記患者の胃の中で前記第1の電極と第2の電極との間の電流によって開始され、前記第2の信号は、前記患者の小腸の中で前記第2の電極と第3の電極との間の電流によって開始される、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記患者の胃の中の流体の存在下で、前記第1の電極と第2の電極との間の電流によって前記第1の信号を生成することと、
前記患者の小腸の中で前記絶縁コーティングを分解することと、
前記患者の小腸の中の流体の存在下で、前記第2の電極と第3の電極との間の電流によって前記第2の信号を生成することと
をさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記第1の信号または第2の信号は、選択された時間周期後に停止される、項目46に記載の方法。
(項目52)
前記選択された時間周期は、約1~10秒の範囲内である、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記胃内容排出パラメータからの情報を利用して、治療薬の投与量を前記患者に投与することをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目54)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間である、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記治療薬の投与量は、グルコース調整剤の投与量を含む、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記グルコース調整剤は、インスリンである、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記グルコース調整剤は、インクレチンである、項目55に記載の方法。
(項目58)
前記インクレチンは、エキセナチドである、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記胃内容排出パラメータは、前記グルコース調整剤の投与量を滴定するために使用される、項目55に記載の方法。
(項目60)
前記胃内容排出パラメータは、前記患者が食事をした後に前記グルコース調整剤の投与量が投与されるときの時間を調節するために使用される、項目55に記載の方法。
(項目61)
前記嚥下可能カプセルとともに検査食を摂取することであって、前記検査食は、1人前の分量のサイズまたは栄養素含有量のうちの少なくとも1つを含む所定のパラメータを有し、前記パラメータは、検査食情報を備える、ことと、
前記第1および第2の信号からの情報とともに前記検査食情報を利用し、前記胃内容排出パラメータを決定することと
をさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目62)
前記栄養素含有量は、タンパク質、炭水化物、または脂肪含有量のうちの少なくとも1つを含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間である、項目61に記載の方法。
(項目64)
決定される胃内容排出時間は、前記検査食情報に基づいて増加または減少される、項目61に記載の方法。
(項目65)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間である、項目46に記載の方法。
(項目66)
前記方法はさらに、
前記患者に関する前記決定される胃内容排出時間を通常胃内容排出時間の値の範囲と比較することと、
前記に比較に基づいて、前記患者に胃不全麻痺があるかどうかを決定することと
を含む、項目63に記載の方法。
(項目67)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間を含み、前記方法はさらに、
前記胃内容排出パラメータからの情報を利用し、前記患者が食べる食物の1人前の分量のサイズを決定すること
を含む、項目46に記載の方法。
(項目68)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間を含み、前記方法はさらに、
前記胃内容排出パラメータからの情報を利用し、前記患者が食物の第1の1人前の分量を食べた後に第2の1人前の分量を食べるための時間間隔を決定すること
を含む、項目46に記載の方法。
(項目69)
患者において胃内容排出パラメータを測定するための方法であって、前記方法は、
嚥下可能カプセルを摂取することであって、前記嚥下可能カプセルは、前記患者の腸管を通して進行し、前記カプセルが胃の中にあるときに第1の電気信号を生成し、前記カプセルが小腸の中にあるときに第2の電気信号を生成するように構成され、前記カプセルは、カプセル本体外面上に配置される少なくとも第1、第2、および第3の電極を含み、前記第3の電極は、絶縁コーティングによって被覆され、前記絶縁コーティングは、前記胃の中に残留し、前記小腸内のpH条件に応答して分解し、前記第1の信号は、前記患者の胃の中で前記第1の電極と第2の電極との間の電流によって開始され、前記第2の信号は、前記患者の小腸の中で前記第2の電極と第3の電極との間の電流によって開始される、ことと、
前記患者の胃の中の流体の存在下で、前記第1の電極と第2の電極との間の電流によって前記第1の信号を生成することと、
前記患者の小腸の中で前記絶縁コーティングを分解することと、
前記患者の小腸の中の流体の存在下で、前記第2の電極と第3の電極との間の電流によって前記第2の信号を生成することと、
前記第1または第2の電気信号を前記患者の身体の外側に伝送することと、
前記第1および第2の電気信号からの情報を利用して、前記胃内容排出パラメータを決定することと
を含む、方法。
(項目70)
前記胃内容排出パラメータは、胃内容排出時間である、項目69に記載の方法。
【0024】
本発明のこれらおよび他の実施形態および側面のさらなる詳細が、添付の図面を参照して、下記でより完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、本発明の種々の実施形態が、添付の図面を参照して議論されるであろう。図面は、本発明の典型的実施形態のみを描写し、したがって、範囲が限定的と見なされるものではないことを理解されたい。
【0026】
【
図1A】
図1A-1Cは、感知電極および腸溶性コーティングの配向を示す、本発明の嚥下可能カプセルの異なる図および実施形態を図示する。
【
図1B】
図1A-1Cは、感知電極および腸溶性コーティングの配向を示す、本発明の嚥下可能カプセルの異なる図および実施形態を図示する。
【
図1C】
図1A-1Cは、感知電極および腸溶性コーティングの配向を示す、本発明の嚥下可能カプセルの異なる図および実施形態を図示する。
【0027】
【
図2A】
図2Aは、本発明のデバイスおよび方法において有用である、例示的感知および受信回路のブロック図である。
【0028】
【
図2B】
図2Bは、カプセルの実施形態における、
図2Aの回路の例示的レイアウトを図示する。
【0029】
【
図3】
図3は、患者の胃から小腸の中への本発明の嚥下可能カプセルの通過を検出するために、患者の腹部上の感知パッチの外部設置を図示する。
【0030】
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、十二指腸を越えた小腸の中への患者の胃を通した本発明の嚥下可能カプセルの進行を図示する。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、十二指腸を越えた小腸の中への患者の胃を通した本発明の嚥下可能カプセルの進行を図示する。
【0031】
【
図5】
図5は、
図2Aおよび2Bの回路によって生成される出力信号およびドライバ電圧を図示する。
【0032】
【
図6】
図6Aおよび6Bは、個々の患者に関して基準胃内容排出時間(GET)を確立するための検査キットの実施形態を図示する。
【0033】
【
図7】
図7は、胃体内の流動循環(渦)場および胃洞面積内の噴出場を含む、胃の蠕動収縮に起因する、胃の異なる面積内の速度場を図示する、胃内の速度流線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、胃内容排出時間(GET)等の胃内容排出(GE)パラメータ(GEP)を測定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。特定の実施形態は、3つ以上の電極E(E1、E2、およびE3)を有する、嚥下可能カプセル10を提供し、電極のうちの1つは、胃の中で無傷のままであるが、小腸(SI)の中で分解する、腸溶性または他のコーティングによって被覆される。電極Eは、カプセルが胃の中にあるときに、電流が最初の2つの電極の間で発生し、第1の信号を生成するように、回路Cに結合される。小腸では、電流は、第2の電極E2とここでは被覆されていない第3の電極E3との間で発生し、第2の信号を生成する。これら2つの信号は、GEP、例えば、GETを決定するように、外部から、または内部コントローラ60によって、伝送および分析されることができる。患者は、信号を受信および分析し、GETを決定するように構成される、外部デバイスを装着し得る。付加的電極Eが、付加的信号を生成し、GETまたは小腸を通したカプセルの通過時間等の他のGEPの決定のための情報を提供するために、含まれてもよい。本発明の実施形態は、例えば、胃不全麻痺を診断するために、かつ食事をする、または食事をした後にインスリンまたは他のグルコース調整要素を投与するときについての情報を患者に提供するために、使用されてもよい。
【0035】
ここで図面を参照すると、
図1A-1Cは、感知電極および腸溶性コーティングの配向を示す、本発明の嚥下可能カプセル10の異なる図および実施形態を図示する。
図1Aに示されるように、嚥下可能カプセル10は、カプセル内部13を画定する外部表面14(本明細書では外側本体表面とも称される)を有する、カプセル本体12を備える。カプセル本体は、胃または消化管の他の部分の中で分解しない、当技術分野で公知である種々の生体適合性の非毒性ポリマーから加工されてもよい。カプセル本体12は、望ましくは、胃内容排出中に胃から小腸まで容易に通過するようなサイズにされ、過剰に長く(例えば、何時間も)胃の中に留まらない。種々の実施形態では、カプセルサイズは(卵形または卵のような形状であるときに)、標準カプセルチャートに従って、00、1、2、3、4、または5であり得る。好ましい実施形態では、カプセルサイズは、4または5である。典型的には、カプセル10は、卵形または卵のような形状を有するであろうが、円形、半円形、円筒形、錐体、および丸みを帯びた縁を伴う長方形を含む、他の形状もまた、考慮される。
【0036】
第1、第2、および第3の電極E1、E2、およびE3は、患者の胃および/または腸の中に存在する流体等の導電性媒体の中へのカプセルの浸漬が、電極の間の導電性ブリッジを提供するであろうように、カプセル本体の外部に露出された伝導性表面ESを有する。電極のうちの少なくとも1つ、ある事例では、電極のうちの2つまたは3つは、最初に、電極対(例えば、E2およびE3)を電気的に隔離するように、電気絶縁カバー、典型的には、コーティング16によって被覆されるであろう。望ましくは、コーティングは、コーティングが定位置にあるときに、最小限の電流がE3と他の電極との間で流動する、または全く流動しないように、十分な電気抵抗を提供するように構成される。特定の実施形態では、コーティングは、E3と任意の他の被覆/コーティングされていない電極Eとの間で、1メガオーム超の抵抗、より好ましくは、10メガオーム超の抵抗を提供するように構成されてもよい。
【0037】
コーティング16または他のカバーは、胃および/または腸液の存在下で選択的に分解するように構成される。特定の実施形態では、コーティングのpH感受性は、胃の中に存在するときに無傷のままであるが、カプセルが幽門を通して小腸の中に通過した後に、pHが変化する(例えば、増加する)につれて分解するであろうように、構成される。このようにして、コーティング16は、小腸の中で第3の電極E3を選択的に露出して、電流が回路2を通して流動することを可能にし、カプセルが小腸の中にあるときを決定するために使用される、出力信号S2の生成を引き起こす役割を果たす。別の言い方をすれば、コーティング16は、回路C1およびC2とともに、カプセルが胃、小腸、または消化管内の場所(例えば、大腸)の中にあるときの決定のために、pHセンサとして機能する。
【0038】
胃の中で無傷のままであるが、小腸の中で分解される、コーティング16に使用されるコーティングは、典型的には、腸溶性コーティングと称される。種々の実施形態では、コーティング16に使用される腸溶性コーティングは、商標EUDRAGIT(EVONIK Industries AGから入手可能である)の下で作製されるアクリルおよびメタクリル酸(例えば、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー)のエステルに由来する、コポリマーに対応し得る。選択される特定のEUDRAGITコーティングは、小腸の中で選択されたpH(十二指腸の中で5.5、空腸の中で6.5~6.8、および回腸の中で7~8)において分解するように選択されてもよい。特定の実施形態では、EUDRAGITコーティングは、約6.5のpHを上回って分解し、第3の電極E3が露出される前に小腸の中間部分(例えば、空腸)の中にあることによって、カプセルが小腸に完全に進入したことを把握するように選択される。付加的または代替実施形態によると、コーティング16は、1つ以上の電極Eにわたって設置され、小腸内の選択された場所において分解するように構成される、複数のコーティング16を備えてもよい。使用時に、そのような実施形態は、小腸の具体的区分を通した通過時間の決定を可能にする。例えば、一実施形態によると、コーティング16は、十二指腸の入口におけるpH(例えば、約5.5)において分解し、第3の電極(例えば、E3)を露出するように構成される、第1のコーティングと、回腸末端の中のpH(約7.5~8)において分解して、第4の電極を露出し、信号が第3の回路によって生成されることを可能にするように構成される、第2のコーティングとを含んでもよい。特定のコーティング16およびその厚さはまた、選択された特定のpHまたはそれを上回って、既知の分解時間、例えば、10~15分を有するように選択されることもできる。使用時に、既知の分解時間を有するコーティング16のそのような実施形態は、本分解時間をGETまたは他のGEパラメータ計算の考慮に入れることによって、GET測定の正確度を向上させる。種々の実施形態では、コーティング16の厚さは、0.005、0.01、0.025、0.05、0.075、0.8インチの具体的実施形態を伴って、約0.001~0.1インチの範囲内であり得る。コーティング厚さは、以下のうちの1つ以上のもの、すなわち、i)被覆された電極と被覆されていない電極との間で所望される電気抵抗の量、ii)小腸または他の消化管場所におけるコーティングの分解時間、およびiii)その疑わしい胃不全麻痺の程度を含む、患者の症状に基づいて、選択されることができる。より厚いコーティング16が、カプセルが患者の胃の中にある間に多量の保護を提供するように、さらなる程度の胃不全麻痺がある患者のために選択されることができる。より厚いコーティング16はまた、被覆された電極と被覆されていない電極との間の増加した量の電気抵抗を提供するように、選択されることもできる。コーティング16の電気抵抗はまた、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマーまたは他のコーティングに添加される、当技術分野で公知である生体適合性高抵抗添加剤(例えば、高い誘電率を伴うもの)の使用を通して、増加されることもできる。
【0039】
図1Aの実施形態に図示されるように、電極E3は、コーティング16で被覆される。小腸内の条件への暴露後に、コーティングは、分解し、
図1Bに示されるようにE3を露出するであろう。したがって、カプセル10が最初に嚥下され、胃の中に通過されるとき、電極E1およびE2は、胃液(例えば、酸)に暴露され、胃酸および部分的に消化された食物等の胃の中の伝導性流体を介して、電気的に接触するであろう(例えば、電気的に短絡されるであろう)。カプセル10が腸の中にさらに通過するとき、pHの変化は、コーティングを分解し、電極E3は、次いで、電極E1およびE2の両方と短絡されるであろう。下記でより詳細に説明されるように、3つの電極の電気接触の本状態の変化は、胃と腸との間のカプセルの通過のタイミングが追跡されることを可能にする、信号を生成するために使用されるであろう。
【0040】
図1Aおよび1Bに示されるように、電極1A-1Cは、カプセルの長さ10lに沿って軸方向に分配され、コーティングは、電極E3にわたってカプセルの一方の端部を被覆する。
図1Cは、電極E1-E3がカプセル本体12の外部14にわたって円周方向に分配され、コーティング16がカプセル外部14の1つの側面または外側面14lsを被覆する、代替的配列を示す。電極およびコーティングは、多くの他のパターンで配列されてもよく、3つを上回る電極および1つを上回るコーティングおよび/または1つのコーティング材料が、採用されてもよい。例えば、全ての電極が、最初に、胃内で分解し、第1の対の電極を露出して、胃の中への通過を確認する、コーティングまたは他の障壁で被覆され得る。1つ以上の付加的電極Eは、消化管の中の種々の場所を通したカプセルの通過時間についての情報を提供するために、異なる時間にわたって、および/または消化管の異なる領域、例えば、大腸の中で分解する、1つ以上の付加的腸溶性コーティングによって被覆され得る。例えば、カプセル本体12上に位置付けられる2つの付加的電極Eは、小腸から大腸までのカプセルの通過を確認するために、大腸の中で分解する第2の腸溶性コーティングによって被覆され得る。
【0041】
図2Aおよび2Bは、電極E1-E3の電気短絡を検出することによって、GETまたは他のGEBを測定するための回路C1およびC2を含む、1つまたは複数の例示的回路Cを描写する。典型的には、回路C1およびC2は、それぞれ、演算増幅器(オペアンプ)OA、OA1、およびOA2と、望ましくは分圧器構成で配列される、それぞれ、少なくとも3つの抵抗器R1、R2、およびR3とを含むが、他の構成も考慮される。オペアンプOAは、第1または第3の電極E1およびE3を含む、個別の回路のノードNから入力信号Inを受信し、それを増幅し、次いで、出力信号を入力信号ISとしてコントローラ60に送信する。したがって、例えば、オペアンプOA1は、ノードN1から電流CF1からの入力信号In1を受信し、オペアンプOA2は、ノードN3から電流CF3からの入力信号In2を受信する。個別のノードN1、N2、およびN3のそれぞれにおける電圧は、V1、V2、およびV3として指定される。オペアンプOA1およびOA2(または他のオペアンプOC)は、100、250、500、1,000、2,500、5,000、および7,500の具体的実施形態を伴って、約1~10,000またはそれよりも大きい利得を有してもよい。利得は、出力信号Sの所望の電圧に基づいて選択されることができる。望ましくは、R1およびR3の抵抗は、電流が電極Eを通る以外にカプセル本体12から身体に進入しないように、十分に高い値を有する。R2はまた、電極Eを通して身体に進入する電流が最小限であるように、高い値を有する。種々の実施形態では、R1、R2、およびR3のうちの1つ以上のものの抵抗は、約1メガオームを上回る値を有し、約1~10メガオームの範囲内であってもよく、より高い値も考慮される。抵抗器R1、R2、およびR3は、固定される、または可変であり得る。特定の実施形態では、抵抗がコントローラ60によって制御され得る、R2を含む、デジタル電位差計の使用が考慮される。回路C1およびC2のための入力電圧Viは、ドライバ入力信号61を介して提供され、電極Eへの電流CF2をもたらす。1つ以上の実施形態によると、ドライバ信号61は、コントローラ60によって、例えば、コントローラ60と一体である信号発生器またはオペアンプ62、またはノードN2および/またはコントローラ60に動作可能に結合される他の電圧源によって、提供される。C1およびC2の一方または両方の回路はまた、胃または小腸の中で電極の間を流動する電流がAC電流であることを確実にする様式で回路の中に位置付けられる、コンデンサ(図示せず)を含んでもよい。
【0042】
種々の実施形態では、回路C1およびC2または他の回路Cは、患者のGETまたは他のGEパラメータを決定する際に使用される1つ以上の機能を果たすように構成されることができる。特定の実施形態では、第1の回路C1は、第1および第2の電極E1およびE2の間に電流があるときに第1の入力信号IS1を生成するように構成され、第2の回路C2は、第2および第3の電極E2およびE3の間に電流があるときに基づいて第2の入力信号IS2を生成するように構成される。下記に解説されるように、電流は、第1および第2の電極E1およびE2が胃酸等の胃の中の伝導性流体と接触するときに、第1の回路C1内で発生する。これが起こるときに、第1の回路C1は、カプセル10が嚥下された後に胃に到達したときのインジケーションを提供する、入力信号IS1(プロセッサによって第1の出力信号S1に変換される)を生成し始める。同様に、電流は、絶縁コーティング16が小腸の中で分解し、第2および第3の電極E2およびE3が小腸内の伝導性流体と接触した後に、第2の回路C2内で流動する。これが起こるとき、第2の回路C2は、カプセル10が小腸に到達したときのインジケーションを提供する、入力信号IS2(第2の出力信号S2に変換される)を生成する。それらの開始時間を含む、これら2つの信号IS1およびIS2(またはそれらの対応する出力信号S1およびS2)からの情報は、次いで、胃内容排出時間または別の胃内容排出パラメータを決定するために使用されることができる。特に、第1の入力信号IS1の開始時間は、胃内容排出時間に着信する第2の信号IS2の開始時間から減算されることができる。類似計算が、入力信号IS1およびIS2と事実上同一の開始時間(例えば、数百または数千分の1秒以内またはそれ未満)を有するようにプロセッサ60によって構成され得る、出力信号S1およびS2に関して行われることができる。種々の実施形態では、GET(または他のGEパラメータ)の計算は、外部コントローラ(例えば、プロセッサ)またはカプセル10内のコントローラ60(例えば、プロセッサ)によって行われることができる。一実施形態によると、計算は、外部受信機ユニット30(本明細書に説明される)または携帯電話、タブレット、および同等物等の別の外部デバイス内に常駐する、外部コントローラによって行われる。本アプローチでは、外部コントローラ内に常駐するソフトウェアまたは他の論理は、(カプセルによって伝送される)信号S1およびS2の開始時間(または他の情報)を使用し、GETまたは他のGEパラメータの計算を実施する。下記で議論されるように、信号S1およびS2(または他の出力信号S)は、外部受信機または他の外部デバイス内に常駐するソフトウェアまたは他の論理によって容易に区別され得るように、(例えば、本明細書に説明される独特のチャープ信号等の明確に異なる周波数を介して)明確に異なるように構成されることができる。付加的または代替実施形態では、カプセル10上のコントローラ内に常駐するソフトウェアまたは他の論理は、入力信号IS1およびIS2の開始時間(または他の情報)を利用し、GETまたは他のGEパラメータの計算を行うように構成されることができる。本アプローチでは、信号IS1およびIS2が、コントローラ上の別個の入力チャネルを介して(例えば、コントローラと一体である、または動作可能に結合されるA/D変換器上の入力チャネルを介して)コントローラに入力され得るため、2つの信号の間の区別は、必ずしも必要とはされない。代替的アプローチでは、IS1およびIS2の開始時間は、カプセル10に搭載されたメモリ(例えば、コントローラ60と一体である、または結合されるRAM、DRAM等)の中に記憶され、次いで、GETまたは他のGEパラメータを計算するように、ユニット30または外部デバイス40による処理のために受信機ユニット30に伝送されることができる。
【0043】
GETの計算のための特定のアプローチでは、腸溶性コーティング16が小腸の中で分解するために要する推定時間(例えば、10~15分)、および他の要因(例えば、カプセルが食物とともに服用されるかどうか、および患者の年齢、体重、およびサイズ、および/または胃内容排出を減速させ得る他の薬剤、例えば、オピオイド、カルシウムチャネル遮断薬、または止痢薬)が、考慮に入れられることができる。そのような考慮は、外部デバイス40のコントローラまたはカプセル10内のコントローラ60上に常駐し得る、胃内容排出時間の決定のためのソフトウェアモジュール(下記に説明されるモジュール37または67等)または他の論理に組み込まれることができる。
【0044】
ここで、議論が、コントローラ60の種々の側面について提示されるであろう。1つ以上の実施形態によると、コントローラ60は、マイクロプロセッサ、アナログデバイス、状態デバイス、または当技術分野で公知である他の論理リソースに対応し得る。コントローラ60がマイクロプロセッサまたは他の同様のデバイスに対応する、実施形態に関して、これは、通常、1つ以上のソフトウェアモジュール66、本明細書では、コントローラの1つ以上の機能を果たすための電子命令セットを含む、モジュール66を含むであろう。
【0045】
コントローラ60は、入力信号IS1およびIS2を受信し得るように、回路C1およびC2の一方または両方を含む、回路Cに動作可能に結合される。これはまた、リチウムイオンまたは当技術分野で公知である他の小型化学蓄電池等の電源70に動作可能に結合される。代替実施形態では、マイクロスーパーコンデンサの使用もまた、考慮される。これはまた、コントローラからの情報を符号化する信号STを外部デバイス(例えば、受信機ユニット30または外部デバイス40)上の受信機に伝送するためのRF伝送機等の伝送機80を含む、またはそれに動作可能に結合されてもよい。特定の実施形態では、伝送機80は、信号S1およびS2についての情報を符号化する信号ST1およびST2を伝送してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ60は、低電力RF発生器を含んでもよく、伝送機80は、コントローラから生じる低電力RF信号を増幅する電力増幅器に対応し得る。いくつかの実施形態によると、伝送機80はまた、ユニット30またはデバイス40から信号Srを受信し得る、受信機に対応し得る。
【0046】
コントローラ60は、GETまたは他のGEパラメータの決定に関連するハードウェアまたはソフトウェアのいずれかを介して、いくつかの機能を果たすように構成されてもよい。特に、コントローラ60は、GETまたは他のGEパラメータを決定するように、第1および第2の信号IS1およびIS2の開始時間を決定するためのクロック信号64を生成および/または利用するように構成されてもよい。クロック信号は、単相または多相(例えば、2相または4相)であり得る。コントローラがマイクロプロセッサを備える実施形態に関して、クロック信号は、クロック信号発生器65によって生成されることができる。他の実施形態によると、クロック信号は、コントローラ60と一体である、または動作可能に結合される、アナログ/デジタル変換器によって生成されることができる。上記で議論されるように、1つ以上の実施形態では、コントローラ60はまた、典型的には、第2の電極E2に送信されるドライバ信号61を生成または別様に提供し、電流が胃および/または小腸の中のそれらの間で流動しているときに第1および第2の回路から信号IS1およびIS2を受信するように構成されるであろう。駆動信号61の生成は、コントローラ60と一体である、または別様に動作可能に結合される、ドライバ増幅器/発生器62によって、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって行われることができる。典型的には、ドライバ信号61は、ミリアンペア範囲(例えば、1~20)内、より好ましくは、マイクロアンペア範囲(0.5~1μa)内の低いアンペア数を伴うAC電圧、および0.5~2ボルトの範囲内の電圧の形態であり、他の範囲も考慮される。コントローラ60はさらに、第1の回路からの第1の入力信号IS1に応答して第1の出力信号S1を、第2の回路からの第2の入力信号IS2に応答して第2の出力信号S2を生成するように構成される。個別の出力信号は、典型的には、AC形態であり、コントローラと一体である、または別様に結合される、RFまたは他の伝送機80による伝送のために構成されるであろう。これらの信号は、コントローラ自体またはコントローラに電気的に結合される信号発生器によって生成されてもよい。特定の実施形態では、S1およびS2等の出力信号は、第1および第2のチャープ信号SC1およびSC2を含む、信号処理技術分野で公知である独特のチャープ信号SCに対応し得る。1つの特定の実施形態では、第1の出力信号は、アップチャープ信号SCUに対応し得、第2の信号は、ダウンチャープ信号SCDに対応し得、アップチャープ信号は、ダウンチャープ信号よりも高い周波数を有する。コントローラはまた、いったん開始すると個別の出力信号が生成される長さを制御することもできる。例えば、これは、第1の出力信号S1が開始した後の選択された時間周期後に、その信号を停止することができる。これはまた、第2の出力信号に関して同様に行ってもよい。1~20秒、より具体的には、1~10秒の範囲内であり得る、時間周期は、外側の受信機(例えば、本明細書に説明される受信機ユニット30)60またはコントローラ自体による検出および記録のために十分な時間を提供するとともに、バッテリ電力を節約するように、選択される。
【0047】
1つ以上の実施形態では、コントローラ60はまた、カプセルが患者の消化管から排出されたときを把握するように、追跡信号TSを生成および伝送するように構成されてもよい。追跡信号のアクティブ化は、信号IS1またはIS2のいずれかの入力の検出に基づいてもよく、追跡信号は、入力信号の検出またはその後の選択した時間周期において開始される。受信機ユニット30および/または外部デバイス40は、追跡信号を検出し、追跡信号の検出または検出なしのステータス更新を患者に提供するように構成されることができる。特定の実施形態では、ユニット30および/または外部デバイス40は、所定の時間周期(例えば、5~10分またはそれより長い)にわたって追跡信号を検出することができないことに基づいて、カプセルが排出されたときのアラートを患者に提供するようにプログラムまたは別様に構成されることができる。ユニット30および/または外部デバイスはまた、カプセルが望ましくない時間量で(例えば、24時間よりも長く)その消化管の中に残留した後に、追跡信号の検出を使用し、患者に警告するようにプログラムされることもできる。患者は、次いで、自分の医師に知らせる、または下剤等の適切な薬剤を服用してもよい。代替または付加的実施形態では、カプセル10は、蛍光透視法、超音波、または他の医療画像診断法による消化管内のカプセルの検出を促進するために、放射線不透過性またはエコー源性マーカ10mを含んでもよい。
【0048】
本明細書で議論されるように、コントローラ60はまた、第1および第2の入力信号IS1およびIS2上の開始時間、およびそれらの振幅等の他の情報を記録および記憶するためのハードウェアまたはソフトウェア内のプログラミングまたは他の論理を含んでもよい。本データを符号化する信号は、伝送機80によって外部デバイスに伝送されることができる。コントローラ60はさらに、本明細書に説明されるアプローチを使用して、胃内容排出時間(GET)または他のGEパラメータを計算および分析するためのハードウェアまたはソフトウェア内の論理を含んでもよい。ソフトウェア実装に関して、論理は、ソフトウェアモジュール67、本明細書ではコントローラの中に(例えば、RAM、DRAM、ROM、フラッシュ、または他のメモリの中に)常駐するモジュール67の形態であってもよい。モジュール67はまた、本明細書ではGETモジュール67と称される。同一のモジュール67(またはそれに類似するもの)は、下記に説明されるように、患者によって装着される外部受信機ユニット30のコントローラ35の中に常駐し得る。上記に説明される減算方法によるGETの計算に加えて、モジュール67(およびモジュール37)は、腸溶性コーティングが溶解するために要する時間の長さ、およびカプセルが摂取される前、間、または後に食べられる任意の食物の量、タイプ、および時間等の他の要因を考慮する、GETの計算のためのアルゴリズムを含んでもよい。本情報は、食べられる食物のタイプおよび量に関して、より長いまたは短い胃内容排出時間を考慮に入れるために、使用されることができる。例えば、液体対固形食およびタンパク質が豊富な食物は、炭水化物分が高い食物よりも早く胃から退出する一方で、脂質(例えば、脂肪)分が高い食物は、胃から退出するために最も長い時間を要する。GET計算が外部デバイス40(例えば、携帯電話、タブレット、または当技術分野で公知である他のポータブル計算デバイス)上のコントローラによって行われるものを含む、いくつかの実施形態では、患者は、栄養素情報および1人前の分量のサイズを含む、本情報を外部デバイスに入力し得る。モジュール67を含む、コントローラ60はまた、以下のうちの1つ以上のもの、すなわち、GE速度、すなわち、食物/胃内容物が胃から小腸まで移動する速さ、平均GE速度、ピークGE速度、GET蠕動収縮比、すなわち、蠕動収縮数あたりのGE時間の比、およびGET平均蠕動力比、すなわち、胃から小腸への食物の通過に先立って、またはその間に起こる平均蠕動収縮力あたりのGET時間の比を含む、他のGEパラメータの計算のためのプログラミングまたは他の論理を含んでもよい。
【0049】
図6aおよび6bに関して下記に説明される付加的または代替実施形態では、患者が、カプセル10と、既知の1人前の分量のサイズおよび炭水化物、タンパク質、脂肪等の既知の量を有する、対応した事前梱包GET検査食52とを含有する、検査キット50(本明細書ではGET検査キット)を与えられる、具体的手順が、患者によって従われることができる。検査食の1人前の分量のサイズおよび栄養素情報は、検査食情報として本明細書に説明されるものを備える。検査食情報は、検査食実施形態が、典型的には、カプセルコントローラ60上に常駐するであろう(但し、受信機ユニットコントローラ35上にも常駐し得る)、GETモジュールの実施形態に事前入力されてもよい。患者はまた、カプセルとともに、またはカプセルの摂取の前または後の設定された時間間隔で、食事をするように指示される。いくつかの実施形態では、カプセルは、実際に、検査食によって埋め込まれ、または別様に囲繞され、それが所望のアプローチである実施形態に関して、両方が同時に服用されることを確実にし得る。そのようなGET検査キット50を使用する実施形態は、患者の食習慣に起因する胃内容排出の変動性の低減、したがって、GETまたは他のGEパラメータのより正確な結果という利益を提供する。
【0050】
ここで
図3を参照すると、GETまたは他のGEパラメータについての情報を符号化する、カプセル10によって伝送される信号を受信するための受信機ユニット30は、(例えば、腹部にわたって)患者によって装着される接着パッチ32を備え、それと通信し、受信機とカプセルとの間の通信を促進してもよい。集合的に、カプセル10、受信機ユニット30、およびパッチ32は、GETまたは他のGEパラメータの測定のためのシステム100を備える。受信機ユニット30は、パッチに組み込まれてもよい、またはその外部にあり、パッチによって担持される回路と通信し、カプセル10から信号を受信してもよい。受信機ユニットがパッチの外部にある、一実施形態によると、パッチ32は、カプセル10によって発せられる信号を受信するために必要な回路を担持し、次いで、データを受信し、処理し、随意にさらに、クラウド、医師、または他の場所に送信するために必要なソフトウェアアプリケーションまたは他のプログラミングを担持する受信機ユニット30に、これらの信号を伝送する。受信機ユニット30は、典型的には、受信機33と、ディスプレイ34と、コントローラ35とを含むであろう。受信機33は、医療電子技術分野で公知であるRFまたは他の受信機に対応し得る。コントローラ35は、カプセル10から受信される信号S(例えば、信号S1およびS2)の受信、処理、および伝送のうちの1つ以上のものを含む、1つ以上の動作を実施するための論理を有する、1つ以上のソフトウェアモジュール36(本明細書ではモジュール36)を含み得る(またはそこへの電子アクセスを有する)、マイクロプロセッサに対応し得る。特定の実施形態では、モジュール36は、GETまたは他のGEパラメータ(例えば、小腸通過時間)を計算するための論理を有する、GETモジュール37を含む。コントローラ35はまた、カプセル20から受信される信号S1およびS2または他の信号の受信の時間を測定するための(ハードウェアまたはソフトウェア内の)タイマデバイス38を含んでもよい。特定の実施形態では、タイマデバイス38は、クロック発生器に対応し得る。
【0051】
パッチ32は、望ましくは、カプセル10から信号S1およびS2または信号を受信するように、患者の腹部にわたって装着され、そこに接着するように構成される、接着パッチに対応する。パッチ32は、受信機ユニット30のみ、または他の構成要素も含有してもよい。例えば、一実施形態によると、パッチ32の全てまたは一部は、カプセル10からの信号(例えば、S1およびS2)の受信を向上させるようにアンテナとして配列される、伝導性材料32Cを備えてもよい。望ましくは、パッチ32は、患者が活発である、または別様に位置を変化させるときでさえも、カプセル10からの信号を検出することができるように、患者の腹部の動きに伴って屈曲および撓曲し、(デバイス30が取り付けられた)皮膚に接着されたままであるように、十分に可撓性である。これは、医療デバイスおよびポリマー技術分野で公知であるエラストマポリマーおよび皮膚接着剤からパッチ32を加工することによって達成されることができる。また、パッチは、接着をさらに向上させるように、(例えば、第3の印刷方法を使用して)所与の患者の腹部に関してカスタムサイズにされることができる。受信機ユニット30を含むパッチ32はまた、パッチから情報(例えば、第1または第2の信号に含有される情報)を受信し、種々の算出を実施してGE時間または他のGEパラメータを決定する、タブレットデバイスまたはスマートフォン等の別の外部計算デバイス40と(例えば、説明されるBLUETOOTH(登録商標)プロトコルによって)無線で通信するように構成されてもよい。カプセルが通信デバイス40と直接通信し得る一方で、パッチ32の使用は、患者が表示されたGE時間を容易に見て、情報、例えば、通信デバイス上の食事内容および時間を外部に入力することを依然として可能にしながら、(近接性に起因する)デバイス30による信号受信の改良という利益を提供する。
【0052】
ここで
図4Aおよび4Bを参照すると、カプセル10を使用し、GET(または他のGEパラメータ)を測定する方法の実施形態が、ここで例証されるであろう。患者がカプセル10の実施形態を嚥下した後、これは、食道から胃の中に通過する。いったん胃内容物(例えば、酸)が第1および第2の電極E1およびE2の間の伝導性経路を提供すると、第1の回路内に電流が存在する。これは、S1出力信号の生成および伝送をもたらす。本時点で、第3の電極E3にわたる絶縁コーティング16は、依然として、無傷であり、第2の回路内の電流およびS2出力信号の生成がない。しかしながら、カプセル10が小腸に到達するとき、コーティング16は、分解して第3の電極E3を露出し、それとともに、第2の電極は、小腸の中の伝導性流体と電気的に結合し、第2の回路内の電流およびS2出力信号の生成および伝送をもたらす。小腸から外へ通過した後、カプセルは、大腸に進入し、患者の身体から外に排出される。本明細書に説明される追跡信号を採用する実施形態では、カプセルの排出は、受信機ユニット30による追跡信号TSの検出の損失によって決定されてもよい。付加的コーティング16および電極Eを有する、実施形態では、カプセルが、大腸または小腸の回腸部分等の消化管内の別の選択された場所に到達するときに、付加的出力信号が生成されてもよい。患者は、GET測定の精度および他の統計メトリックを医師に提供するように、GETの複数の決定を有するために、以前のカプセルの排出後に複数回、上記の手順を繰り返してもよい。特に、患者は、概日リズムおよび食習慣に起因する影響を考慮するために、食物の有無別に1日にわたって同一または異なる時間にも丸薬を服用してもよい。患者はまた、治療有効性および標的エンドポイントを査定するとともに、薬物または他の治療薬の投与量を滴定するために、胃不全麻痺治療(例えば、薬物の使用または当技術分野で公知である胃ペースメーカの埋込)が開始した後に上記のGET測定手順を繰り返してもよい。説明されるGET測定方法はまた、2つの方法の間の比較を提供し、必要である場合、説明される方法を使用して行われる測定を従来的な方法の測定に対して較正するために、(例えば、造影剤を嚥下し、蛍光透視法を実施することによって)従来的なGET測定手順と同時またはほぼ同時に実施されてもよい。いくつかの実施形態によると、較正は、GETソフトウェアモジュール(例えば、モジュール37または67)の1つ以上の実施形態を使用して、ソフトウェアを介して行われることができる。
【0053】
ここで
図5を参照すると、
図2Aおよび2Bの実施形態の回路の信号および機能の議論が、提示されるであろう。本明細書で議論されるように、回路は、典型的には、いくつかある機能の中でも特に、回路C1およびC2を含む回路C内で信号のうちの1つ以上のものを生成または処理する、コントローラ60を含む。種々の実施形態では、これは、第2の電極E2に送信されるドライバ信号61を生成し、電流がそれらの間で流動しているときに第1および第2の回路C1およびC2から信号(例えば、入力信号IS1およびIS2)を受信するように構成されてもよい。典型的には、ドライバ信号61は、ミリアンペア範囲(例えば、1~20ミリアンペア)内の非常に低いアンペア数を伴うAC電圧、および0.5~2ボルトの範囲内の電圧の形態であり、他の範囲も考慮される。コントローラ60はさらに、第1の回路からの第1の入力信号IS1に応答して第1の出力信号S1を、第2の回路からの第2の入力信号IS2に応答して第2の出力信号S2を生成するように構成される。個別の出力信号S1およびS2は、典型的には、AC形態であり、コントローラと一体である、または別様に結合される、RFまたは他の伝送機(例えば、音響)による伝送のために構成されるであろう。望ましくは、第1および第2の出力信号S1およびS2は、明確に異なる周波数(または他の波形特性)を有し、例えば、受信機ユニット30または同様のデバイスによる、それらの個々の検出を促進するように構成される。1つ以上の実施形態によると、信号S1およびS2は、電子および信号処理技術分野で公知であるチャープ信号SCとして構成される。1つの特定の実施形態では、第1の出力信号S1は、(周波数が増加する)アップチャープ信号CUに対応し得、第2の信号S2は、(周波数が減少する)ダウンチャープ信号に対応し得る。これらの信号は、コントローラ60自体、またはコントローラに電気的に結合される信号発生器によって生成されてもよい。
【0054】
独特のチャープ信号の使用に加えて、他の手段が、カプセル10が小腸に到達したときを決定するために考慮される。例えば、
図6に示されるように、S1は、典型的には、電極E1、E2、およびE3の分圧器配列に起因して、いったんカプセルが小腸に到達すると、振幅が減少するであろう。本減少は、具体的には、
図6に示されるS1波形の区分S1aから区分S1bまで進む振幅の減少によって図示される。したがって、コントローラ35またはユニット30、または外部デバイス40上のコントローラ、またはコントローラ60は、減少を検出するように構成されることができる。コントローラ60はまた、いったん開始すると個別の出力信号が生成される長さを制御してもよい。例えば、これは、第1の出力信号S1が開始した後の選択された時間周期後に、その信号を停止することができる。これはまた、第2の出力信号に関して同様に行ってもよい。約1~10秒の範囲内であり得る、時間周期は、通信デバイス30またはコントローラ自体による検出および記録のために十分な時間を提供するように選択される。特定の実施形態では、第1の出力信号は、例えば、ユニット30または外部通信デバイス40による2つの信号の間の可能性として考えられる混同が存在しないように、第2の出力信号の開始の検出を促進するために、受信機ユニット30による初期検出後すぐに停止される。
【0055】
ここで
図6Aおよび6Bを参照すると、本発明の1つ以上の実施形態では、検査キットが、個々の患者に関して基準胃内容排出時間(GET)を確立するために利用されてもよい。基準GETは、患者が、既知の栄養素含有量(例えば、本明細書では栄養素情報と称される、脂肪、タンパク質、炭水化物の既知の量)を有する、固定量の食物を食べ、異なる食事栄養素含有量および食事サイズに関して発生するGETの変動性を低減させるものである。集合的に、本情報は、栄養素情報と称される。一実施形態によると、GET検査キット50は、典型的には、無菌パックまたはパッケージ54の中に、カプセル10と、既知の1人前の分量のサイズおよび炭水化物、タンパク質、脂肪等の既知の量を有する、対応した事前梱包GET検査食52とを含んでもよい。検査食のこれらおよび他のパラメータおよび特性は、検査食情報として公知である。そのような検査食情報は、カプセル10、受信機デバイス30、または外部デバイス40のコントローラ上に常駐する、GETモジュールに事前入力されてもよい。検査食情報は、次いで、それに応じて、GETの最終的な決定された値を調節するために、使用されてもよい。例えば、GE時間は、胃から小腸まで進行するためにより多くの時間を要し得る、より高いタンパク質および/またはより濃厚な食事に関して、減少されることができる。逆が、あまり濃厚ではないおよび/または低タンパク質含有量の食事の場合に当てはまる。キットは、典型的には、患者が、カプセルとともに、またはカプセル10の摂取の前または後に設定された間隔で、食事をするための指示56も含む。
図6Bに示されるように、代替実施形態では、カプセル10は、実際に、カプセル埋込型検査食53を損傷するように、検査食52によって埋め込まれる、または別様に囲繞されてもよい。そのようなカプセル埋込型検査食53の実施形態は、それが所望のアプローチである実施形態に関して、両方が同時に服用されることを確実にする。いずれの場合も、検査食を含むGET検査キット50を使用する実施形態は、患者の食習慣に起因するGETまたは他のGEパラメータ測定の変動性の低減、したがって、GETまたは他の所望のGEパラメータのより正確で再現可能な結果という利益を提供する。
【0056】
種々の実施形態では、カプセル10の物理的性質は、GETまたは他のGEパラメータをより正確に予測するように、食物と同様に、および/または同一の速度で、胃を通したカプセルの通過を促進するように構成されることができる。例えば、1つ以上の実施形態によると、カプセルの密度は、(下記で参照されるMJFerrua et al.による論文の通りに)約1gr/ccである、食物が存在する典型的胃内容物の密度を概算するように構成されてもよい。カプセル10がそのような密度を有するとき、カプセルは、食物と接触するときに、胃の上部に浮動することも底部まで沈むこともない。むしろ、これは、消化または部分的に消化された食物と同様に、かつ同一の速度で胃を通過する。また、食物とともに服用された場合、カプセルは、(同様に胃の中の)消化された食物内容物の大部分とともに、食物内容物と同一の時間間隔で胃を通過するであろう。使用時に、そのように構成されるカプセルを有する、本発明の実施形態は、カプセルが胃の中の消化された食品の密度を模倣するため、消化された食品の胃内容排出時間または他の胃内容排出パラメータのより正確な測定という利益を提供する。カプセル密度の範囲もまた、考慮され、例えば、0.5~1.5mg/ccであり、より高いまたは低い密度が、患者の症状および/またはカプセルとともに服用される(下記に説明される)検査食のサイズおよび内容に応じて、選択される。具体的カプセル密度を取得することは、カプセル本体材料およびカプセル本体の中に設置される構成要素および充填材料の選択によって、達成されることができる。充填材料は、ポリマーゲルを含む、当技術分野で公知である種々の生体適合性ポリマー材料から成ってもよい。
【0057】
特定の実施形態では、カプセルの密度は、検査食の組成/内容のものと合致されることができる。したがって、例えば、カプセルのより高い密度(例えば、>1.0ml/cc、1.1~1.5ml/cc)が、より濃厚な検査食(例えば、より多くのタンパク質を含有するもの)と併用されてもよく、より低い密度(例えば、<1.0ml/cc、0.5~0.9ml/cc)が、あまり濃厚ではない検査食(例えば、パン)に使用されてもよく、適度な密度(例えば、1ml/cc)が、水の密度に近似する適度に濃厚な食事、例えば、ミルクシェイク、スープ等に使用されてもよい。胃内容物の密度、および幽門を含む胃内の運動性パターンおよび速度プロファイルおよびパターンについてのさらなる情報は、Modeling the Fluid Dynamics in a Human Stomach to Gain Insight of Food Digestion, Food Sci. 2010 Sep; 75 (7): R151-R162と題された、MJ Ferrua et al.による論文(あらゆる目的で参照することによって本明細書に組み込まれる)の中で見出され得る。
【0058】
他の実施形態では、カプセルの形状は、カプセルが前進される、または前進される前の時間周期にわたって胃の特定の部分内に残留するように、その部分内の特定の速度場またはプロファイルに関して選択されることができる。ここで
図7を参照すると、当技術分野(例えば、Ferrua et al.による論文)で公知であるように、蠕動運動によって胃の中で生成される2つの速度場が存在し、これらは、低速度である、胃体部分C内の再循環または渦場(EF)と、胃の胃洞部分Aの中の後方突進噴出場としても表される高速度または噴出場(JF)とを含む。故に、一実施形態では、カプセルが容易に取り上げられ、渦場から後方突進噴出場に輸送されるように、伸長形状のカプセル(例えば、卵形、円筒形等)が、使用されることができる。代替として、別の実施形態では、カプセルがより長い時間周期にわたって渦場に残留することが所望されるときに、球形状のカプセルが、採用されることができる。他の形状もまた、渦場の中の滞留または渦場と後方突進噴出場との間のカプセルの移送を促進するように、考慮される。
【0059】
なおも他の実施形態では、カプセル12本体の外面の表面張力は、胃液がカプセル本体の表面を容易に湿潤させるように、胃液/胃の液体内容物のものと同一の範囲内であるように構成されることができる。種々の実施形態では、本表面張力(すなわち、空気液体表面張力)は、30.5、33、35、36.8、38、40、42、43、および44ダイン/cmの具体的値を伴って、約30~約45ダイン/cmに及ぶことができる。カプセルが検査食52等の食物とともに服用される、実施形態に関して、カプセル本体は、30および30.5および31ダイン/cmの具体的値を伴って、約28~32ダイン/cmの範囲内の表面張力を有することができる。そのような表面張力を取得するためのアプローチは、所望の表面張力を有する、当技術分野で公知である生体適合性ポリマーおよびポリマーコーティングの使用を含むことができる。例えば、1つ以上の実施形態では、カプセル本体12は、35~36ダイン/cmの範囲内の表面張力を有するポリエチレン、または約42ダイン/cmの表面張力を有するポリエチレンテレフタレートの1つ以上の形態を備えてもよい。他のアプローチは、ポリマーおよび表面処理技術分野で公知である種々のプラズマ処理および他の化学処理等の表面処理の使用を含んでもよい。
【0060】
使用時に、前述の表面張力のうちの1つを有する、カプセル本体10のそのような実施形態は、カプセル10が、蠕動収縮または他の関連消化運動から胃を通して推進され、別様に移動するにつれて、胃の液体消化内容物によって容易に搬送され、それとともに流動することを可能にする。これは、ひいては、胃を通したカプセルの移動を可能にし、胃を通した消化された液体食物内容物の移動をより正確に反映し、GE時間または他のGEパラメータのより正確な測定を提供する。
(胃不全麻痺の診断のための方法)
【0061】
本発明の種々の実施形態では、嚥下可能カプセル10の実施形態を使用することから取得されるGE時間または他のGEパラメータを測定することからの結果は、消化管を通して食物の遅い低減した移動を引き起こす、患者の胃不全麻痺または他の同様の症状を診断するために使用されることができる。GE時間は、上記で説明されるように決定されることができ、次いで、決定された時間は、正常な胃内容排出時間の値の範囲および胃不全麻痺のものと比較されることができる。次いで、比較に基づいて、患者に胃不全麻痺があるかどうかの決定が行われることができる。いくつかの実施形態では、比較を行うためのアルゴリズムが、外部受信機ユニットまたは別のコンピューティングデバイスのコントローラまたは他の論理リソースの中に常駐することができる。典型的には、アルゴリズムは、GETモジュールまたは胃不全麻痺診断を実施するための別個の診断モジュールを用いて、ソフトウェアによって実装されるであろう。いくつかのGE検査が、特に、患者が正常なGE時間と胃不全麻痺のものとの間の境界領域内にある場合に、診断の正確度を向上させるように実行されることができる。診断モジュールはまた、患者のプールに注目し、したがって、診断の正確度を向上させるための人工知能および/または自己学習ルーチンを使用してもよい。これはまた、治療の経過にわたって患者のGE時間の短縮および/または短縮の傾向に注目することによって、個々の患者の胃不全麻痺に対する治療の有効性を査定するために、使用されることもできる。
(食事消費のタイミングのための胃内容排出時間の使用)
【0062】
関連実施形態では、本発明の実施形態によって決定されるGE時間は、胃不全麻痺または関連障害がある患者が、食物の第1の1人前の分量を食べた後に後続の1人前の分量を食べるときおよび量を把握することに役立つために、使用されることができる。特に、その胃内容排出時間を把握することによって、患者は、第2または後続の1人前の分量の消費および量を計時することができ、したがって、その次の1人前の分量を食べる前に、その胃が空になるための十分な時間を許容するであろうため、吐き気および嘔吐を含む、胃不全麻痺の悪影響のうちのいくつかに悩まされない。患者はまた、高脂肪食が胃の中でより長い滞留時間を有することを把握し、したがって、その後続の1人前の分量において、それに応じて調節を行うことができるため、GE時間を使用し、その最初の1人前の分量のサイズおよび栄養素含有量(例えば、脂肪、タンパク質、炭水化物等)も制御することができる。患者の個々のGE時間を使用するアルゴリズム、特に、食べる食物のタイミング、1人前の分量のサイズ、および栄養素含有量についての推奨を行うために、(既知の栄養素含有量を有する)本明細書に説明される検査食の実施形態を使用して開発されるアルゴリズムが、開発されることができる。アルゴリズムは、本明細書に説明される外部受信機ユニットのコントローラ/マイクロプロセッサに組み込まれる、ソフトウェアモジュールの中に含有されてもよい。アルゴリズムは、既知の栄養素含有量の食事を食べた後に患者が体験している症状(例えば、吐き気)、1人前の分量のサイズ、および前の食事の後の時間についての患者からの入力を提供することができるという点で、自己学習型であり得る。アルゴリズムは、次いで、症状および食事情報を使用し、1人前の分量のサイズおよび1人前の分量または食事の間のタイミングについての推奨を調整または微調整する。
【0063】
他の実施形態では、GE時間または他のGEパラメータの測定のための方法は、他の医療用途に組み込まれることができる。例えば、1つ以上の実施形態では、GE時間の測定は、投与量および投与のタイミングの調節を含む、患者への治療薬の投与を制御するために使用されることができる。糖尿病患者の場合に関して、測定されたGE時間は、その血糖が食事をした後に上昇するであろうときのGE時間に基づいて、得策を有するであろうであろうため、食事後にインスリンまたは他のグルコース調整剤の投与量を投与するときを患者に知らせるために、使用されることができる。使用時に、そのようなアプローチは、食事をするときに基づいて、そのインスリン注射の時間を測定することができるため、糖尿病患者がその血糖値を正常範囲内により良好に制御することに役立つ。GE時間はまた、インスリンまたは他のグルコース調整剤の投与量およびタイプを滴定するために使用されることもできる。例えば、より遅い時間に関して、患者は、低血糖になりすぎないように、インスリンのより低い投与量を服用することを所望し得、逆も同様である(例えば、高血糖になりすぎないように、より速いGE時間のためのより高い投与量)。推奨投与時間が、本明細書に説明される受信ユニットのソフトウェアモジュール内のアルゴリズムに組み込まれることができる。そのように時間を測定され、調節され得る、他の薬剤は、例えば、商標BYETTAの下で入手可能であるエキセナチドを含む、種々のGLP-1インクレチン等のインクレチンを含む。グルコース調整化合物の投与量およびタイミングを調節または滴定する際にGE時間と併せて使用され得る、他の要因は、特定のグルコース調整剤の半減期を含むことができる。したがって、例えば、より短い半減期を有する、そのような作用物質は、食事をした後に、より長い半減期を伴うものよりも早く服用されることができる。
(付加的GEパラメータおよびそれらの使用)
【0064】
胃内容排出時間の測定に加えて、本発明の実施形態はまた、いくつかの他の胃内容排出および他の消化管関連パラメータの測定値も考慮する。これらのパラメータは、以下のうちの1つ以上のもの、すなわち、GE速度、すなわち、食物/胃内容物が胃から小腸まで移動する速さ、平均GE速度、ピークGE速度、胃内容排出中にカプセル/食物に及ぼされる、胃および/または小腸の中で起こる蠕動収縮の数、蠕動収縮数あたりのGE時間の比である、GET対蠕動収縮比、胃から小腸までの食物の通過中に胃および/または小腸によってカプセル/食物に及ぼされる、平均およびピーク蠕動力、および胃から小腸への食物の通過に先立って、またはその間に起こる平均蠕動収縮力あたりのGET時間の比である、GET対平均蠕動力比を含む。これらのパラメータの決定は、カプセル(例えば、コントローラ60)または外部受信デバイスデバイス(例えば、コントローラ35)上のコントローラの中に常駐する、プログラミング(例えば、ソフトウェアモジュール)または他の論理によって行われてもよい。GE速度の測定は、
図1A、1b、および2bに示されるように、種々の測定を行うためにカプセル10の上または中に1つ以上のセンサ10Sを含むことによって、促進され得る。種々の実施形態では、センサ10Sは、消化管内のカプセルの速度および加速度データを提供するための加速度計と、カプセルに及ぼされる蠕動力の規模、および消化周期内の胃内容排出または他の時間周期中にカプセルに及ぼされる蠕動収縮の数を含む、データを提供するための歪みゲージ等の力センサとに対応し得る。これらのセンサの出力は、コントローラ60および/または伝送機80に結合されることができ、これは、次いで、受信機ユニット30または他の外部受信デバイス、例えば、デバイス40上の受信機33に伝送するために、センサによる測定されたデータ(例えば、力、速度等)を符号化する信号を生成する。これらおよび他のGEパラメータは、以下の臨床用途のうちの1つ以上のもの、すなわち、i)胃不全麻痺または他の同様の症状の診断、ii)蠕動収縮の平均を上回る数および/またはGE速度の増加による、過敏性腸症候群の診断、iii)食事をする前、間、または後に、患者が薬剤の投与のタイミングおよび投与量を滴定または調節するために使用し得る、情報を提供する、iv)その血糖値の向上した制御を取得し、低血糖症および高血糖症の発症を低減させ得るように、食事をする前、間、または後に、患者がインスリンまたは他のグルコース調整剤のタイミングおよび投与量を滴定または調節するために使用し得る、情報を提供する、およびiv)特に、第1または他の以前の食事または1人前の分量が食べられた後に、患者が食事のタイミングおよび/または1人前の分量のサイズを滴定または調節するために使用し得る、情報を提供するために、使用されることができる。この場合のタイミングは、前の食事または1人前の分量を食べた後の時間である。
(結語)
【0065】
本発明の種々の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。本発明を開示される精密な形態に限定することは、意図されていない。多くの修正、変形例、および改良が、当業者に明白であろう。例えば、カプセルは、種々の小児科用途のためのサイズにされ、そして別様に構成されることができる。また、いくつかの実施形態では、カプセルコーティングは、胃から大腸までの通過時間が測定され得るように、大腸の中で分解するように構成されることができる。さらに、いくつかの実施形態では、カプセルは、4つの電極を含むことができ、第3の電極は、小腸の中で分解するコーティングによって被覆され、第4の電極は、小腸から大腸までの通過時間が測定され得るように、大腸の中で分解するコーティングによって被覆される。使用時に、そのような実施形態は、臨床医が消化管内の具体的器官の間の通過時間および全体的通過時間の線形マップを有する状態を提供する。加えて、カプセルの種々の実施形態は、本明細書に説明される受信デバイスの実施形態等の外部監視および/または制御デバイスを往復してシグナリングするための双方向テレメトリを含むことができる。また、代替実施形態では、電極の代わりに、カプセルは、個別の場所(例えば、胃または小腸)の中のpHに基づいて、カプセルが腸管の中にある場所を決定するためのpHセンサを含んでもよい。したがって、例えば、約1.5~3.5の範囲内のpH読取値は、カプセルが胃の中にあることを示し、約6または6.5を上回るpHは、カプセルが小腸の中にあることを示すであろう。
【0066】
一実施形態からの要素、特性、または行為は、本発明の範囲内で多数の付加的実施形態を形成するように、他の実施形態からの1つ以上の要素、特性、または行為と容易に再結合または代用されることができる。また、他の要素と組み合わせられるものとして示される、または説明される要素は、種々の実施形態では、独立型要素として存在することができる。なおもさらに、要素、構成要素、化合物、値、特性、または行為の全記載はまた、これらの要素、構成要素、化合物等を具体的に除外する実施形態が考慮されることも意味すると理解されたい。故に、本発明の範囲は、説明される実施形態の詳細に限定されないが、代わりに、添付の請求項のみによって限定される。